1 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/20(木) 22:03:46 ID:IPAW/DKE
高校卒業後、声優になることを夢見て上京しはや四年…
理想と現実の狭間で思い悩みながらも、日々をたくましく生き…
自身が下宿するボロアパートの怪しい住人達との心暖まるほのぼの(時々エロエロ)なお話しを…
…誰か書いていただけませんか?お願いします
6 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 07:47:35 ID:Ozp31Ehw
スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」
スタッフ「お疲れ様です」
オツカレー
声優「お疲れ様でした」
―――――――――――
声優「……はあ」
声優(今週のお仕事はこれでおしまい……か)
声優(…………)
声優(アタシはまだマシな方なのかな)
声優(新しい娘や新人君も大勢見てきたけど……)
声優(残るのはほんの一部)
声優(4年のアタシは、どちらかといえば古株の方ね)
7 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 07:57:12 ID:Ozp31Ehw
声優(仕事があるだけ幸せなのかもしれないけど……)
声優(4年もエロばかりなのは、正直、精神的にきつい)
声優(もちろん、作品を馬鹿にするつもりはないけど)
声優(たまにはエロ以外の作品にも出演したい……)
後輩「先輩~」
声優「あ、後輩ちゃん」
後輩「お疲れ様です。 良かったらこの後、ご飯でもどうですか?」
声優「そうね……うん! 食べよっか!」
後輩「やったぁ!」
8 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 08:14:24 ID:Ozp31Ehw
声優(後輩ちゃん……ついこの前、と言っても3ヶ月前だけど)
声優(アタシみたいに高卒でこの業界に入ってきた娘)
声優(入る前から内情を知っていたみたいで、エロの仕事も)
声優(それ程抵抗はなかった感じだった)
声優(同じ高卒者、という事もあって、アタシは何かと面倒を見る様になっている)
声優(可愛らしい娘だし……夢であるアイドル声優になれるかもしれない)
後輩「どうしたんですか? 先輩?」
声優「ん? ううん、何でも無い」
声優「どこに行こっか?」
後輩「やっぱり庶民の味方! ヨシギューでしょ!」
9 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 08:26:49 ID:Ozp31Ehw
ラッシャイ
後輩「いただきまーす!」
声優「いただきます」
モグモグ
後輩「くう~! 美味しい!」
声優「そうね」 クス
後輩「あ! 先輩、聞いてください」
声優「ん?」
後輩「私、来週からもう一本仕事が入ったんですよ!」
声優「へえ! よかったじゃない」
後輩「もう少し仕事が増えたら、アルバイトともおさらばです!」
後輩「頑張りますよ~私は!」
声優「ふふふ」
10 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 08:39:09 ID:Ozp31Ehw
声優(……懐かしいな、アタシもそうだった)
声優(エロでも仕事が増えて、着実に自分は一歩一歩成長してるって)
声優(実感できていた)
声優(……アタシの方は、そこから長い足踏み状態)
後輩「ごちそうさま! あ~美味しかった」
声優「うん。 お腹いっぱいね」
後輩「これで明日も頑張れそうです!」
声優「アタシも負けないわよ~?」
後輩「あははは!」
11 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 08:47:53 ID:Ozp31Ehw
声優「それじゃ後輩ちゃん、また来週にね」
後輩「はい! また来週です!」
タッ タッ タッ
声優「…………」
声優「さ、アタシも帰らなくちゃ」
―――――――――――
声優「ふう……ついた」
声優「交通費でないから歩いて帰ってるけど」
声優「バス5停留所分の距離は辛いわね……」
カン カン カン
声優「え~っと……カギは、と……」 ゴソゴソ…
12 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 08:58:32 ID:Ozp31Ehw
??「あ……」
声優「あ……」
声優「こ、今晩は……」
??「今晩は、です」
声優(……この人、苦手だわ)
声優(隣の部屋の住人なんだけど……太ってて見るからにキモヲタっぽくて)
声優(アタシの出演してるエロゲーで抜いてそう)
声優(いつも部屋にいるみたいだし……得体が知れないのよね)
声優「じゃ、じゃあ……」
デブ「あ、はい」
デブ「…………」
13 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 09:22:55 ID:Ozp31Ehw
デブ「…………」
デブ(いつもながら綺麗な人だ)
デブ(OLかなんかやっているんだろうな……)
デブ(……身だしなみ、少しは気を付けた方がいいんだろうけど)
デブ(面倒くさいんだよなぁ)
デブ(ま……こんな高卒の三流エロ漫画家なんかに言い寄られても)
デブ(嫌な顔されるだけだろうけど……)
デブ(はあ……)
14 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 20:05:36 ID:Ozp31Ehw
イラッシャイマセー
デブ(今日は何を食うかな)
デブ(……って言ってもビニ弁、食い飽きたけどな)
デブ(…………) ウ~ン…
デブ「……あ」
デブ(…………)
デブ(今日、週刊少年・飛翔の発売日か……)
デブ(…………)
デブ(……普通の漫画、描かなくなって)
デブ(どれくらいになっただろう)
デブ(…………)
デブ(止めよう、こんな事考えるの)
15 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 20:12:06 ID:Ozp31Ehw
アリガトウゴザイマシター
デブ(…………)
テク テク テク…
??「あ、今晩は」
デブ「え?」
デブ「……ああ、お隣さんの歌手さん」
デブ「今晩は」
歌手「またコンビニ弁当っスか~?」
歌手「体に悪いっスよ?」
デブ(……うるせーよ)
歌手「ははは、と言いつつ、俺もコンビニ弁当ですけどね!」
デブ「はあ……」
16 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/06/27(木) 20:18:59 ID:Ozp31Ehw
歌手「っと、引き止めてすんません」
歌手「じゃ!」
デブ「あ、はい」
テク テク テク
デブ(…………)
デブ(相変わらず、無駄に元気な人だ)
歌手「ふう~」
歌手「隣人とのコミュニケーション、OK!」
歌手「これから、俺のファンになってくれる人かもしれないからな」
歌手「愛想は、常に良くしておかないと」
歌手「さて、弁当、冷めない内に食わないとな」
バタン…
26 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:42:17 ID:nwkhIzGo
翌日
♪~♪~♪~
声優「……ん」
声優「ふあ……」
声優「…………」
声優「八時、か……」
声優(今日もいつも通り目が覚めた)
声優(この声は、二つ隣の部屋の住人の発声練習の声)
声優(少し前、問題になったが……本人は毎朝決まった時間にこれをやらないと)
声優(調子が出ない、とかで、話し合いの結果)
声優(10分程度なら許す、という事で折り合いがついた)
声優(いつもきっかり朝八時にやるので、今じゃ ちょっと変わった目覚ましになってる)
27 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:44:05 ID:nwkhIzGo
デブ(……今日も始まったか)
デブ(徹夜仕事しても、これのおかげで何時かわかるんだが)
デブ(あんまりありがたくない……)
デブ(話し合いの時に強く言えなかった自分が恨めしい)
デブ(…………)
デブ(とりあえず、朝飯食うか……)
歌手「あーあーあーあーあー」
歌手(うし! 今日もいい調子だ!)
歌手(みなさん、聞いてますか~?)
歌集(未来の超有名ミュージシャンの声ですよ~?)
28 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:45:11 ID:nwkhIzGo
声優(さて)
声優(顔を洗って、歯を磨いて、ご飯食べて……)
声優(準備が出来たら、出かけよう)
―――――――――――
イラッシャイマセー
声優(…………)
声優(発声練習……アタシも家で出来たらいいのになぁ)
声優(近所迷惑を考えてないけど、正直、ちょっと羨ましい)
声優(スタジオを借りるよりずっと安いし近いから)
声優(仕方なくカラオケボックスでやってるけど……)
声優(それでもけっこう馬鹿にならないのよねぇ……)
29 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:46:24 ID:nwkhIzGo
声優(…………)
声優(ううん、これは必要な事よ)
声優(いつか、必ず、この努力が報われる日が来る)
声優(アタシの演技力が評価される時が来る)
声優(その時まで……アタシは……)
声優(…………)
声優(さて、始めますか)
声優「あーあーあーあーあー」
声優「らーらーらーらーらー」
―――――――――――
声優「ふう……」
声優「こんなものかしらね」
30 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:51:28 ID:nwkhIzGo
アリガトウゴザイマシター
声優「いえ、こちらこそ」
声優「それじゃ、また明日……」
テク テク テク…
店員「テンチョー」
テンチョー「ん?」
店員「今のお客さん、よく見ますね」
テンチョー「ああ、何でも売れない女優さん?みたいで」
テンチョー「ここで発声練習しているんだよ」
店員「へー」
店員「でも売れないって、テンチョー、酷過ぎー」
31 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:52:30 ID:nwkhIzGo
テンチョー「おいおい、人聞きの悪い事を言わないでくれ、店員ちゃん」
テンチョー「本人がそう言っていたんだよ」
店員「そーなんですかー」
テンチョー「まあ……深くは聞かなかったよ」
テンチョー「どの業界もキビシイところは、あるだろうからね」
テンチョー「こっちとしては、売上が落ちる時間帯だし……いいお得意様だよ」
店員「ですねー」
テンチョー「そんな訳で店員ちゃん、普通に接してあげてね」
店員「了解ですー」
店員(…………)
店員(何だか、私の彼氏みたいー)
32 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:53:48 ID:nwkhIzGo
デブ「…………」
デブ「ふう……」
デブ「ええと……63番……63番……」
ゴソ ゴソ
デブ「…………」
デブ「あれ?」
ゴソ ゴソ
デブ「……無い」
デブ「63番トーン、そんなに使ってたか」
デブ「仕方ない、買ってこないとな」
デブ「ついでに他のトーンも補充しとかないと……」
33 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:54:48 ID:nwkhIzGo
ガチャ…
デブ「あ……」
声優「あ……」
デブ「こ、こんにちは……」
声優「こんにちは……」
声優「じゃ……」
デブ「あ、はい」
パタン
デブ「ふー ……」
デブ「さ、行かないと」
デブ(ついでに昼飯も買ってこよう)
34 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:55:54 ID:nwkhIzGo
画材店
デブ(63番に62番……と)
デブ(柄物もいくつか……)
デブ(お?……新作の柄が結構出てるな)
デブ(…………)
デブ(……うん、これ、使えるかも)
デブ(犯される女の子の恐怖感、表現するのにいい感じだ)
デブ(…………)
デブ(とか思って実際貼ってみると、微妙に違ってたりするんだけどな) クス
デブ(さて、こんなものか)
デブ「すみませーん」
35 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:56:56 ID:nwkhIzGo
アリガトウゴザイマシター
デブ「ふー ……」
デブ「暑い……日差しが厳しいなぁ」
デブ(太ってる人間には辛い季節だ……)
デブ(エアコン、調子を見ておかないと)
デブ(去年、八月に突然壊れて、真面目に死ぬかと思ったからなぁ)
デブ(描いている内容が内容だけに、ファミレスとかで作業出来ないのが悲しい……)
デブ(今やってる原稿が終わったら、業者に頼んでメンテナンスしてもらおう)
デブ(…………)
デブ(それじゃ、昼飯を買いに行くか)
36 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:58:11 ID:nwkhIzGo
イラッシャイマセー
デブ(今日もコンビニ……)
デブ(食い飽きてるのに、どうしてここに来るんだろう……)
デブ(…………)
デブ(まあ、雑誌とか置いてあるし)
デブ(ついつい寄っちゃうんだよな)
デブ(…………)
デブ(あ……)
デブ(これ、今月で廃刊……休刊するのか)
デブ(…………)
デブ(1年くらい描いてたエロ雑誌だったけど……正直、あまり待遇は良くなかったな)
デブ(……でも、少し悲しい)
37 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 20:59:16 ID:nwkhIzGo
アリガトウゴザイマシター
デブ(買ってしまった……)
デブ(まあ、これも何かの記念だ)
デブ(…………)
デブ(……そ、それにしても、大荷物になってしまった)
デブ(画材に昼飯と、ついでに買った夕飯用のサンドイッチと飲み物)
デブ(さらにこのエロ雑誌……)
デブ(両手が荷物でいっぱいだ)
デブ(おまけに重い……)
デブ「ふう……ふう……」
38 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:00:18 ID:nwkhIzGo
デブ「さて……カギを……」
ゴソ ゴソ…
デブ(荷物のせいで、めちゃくちゃ取りづらい……)
デブ(よっ……このっ……!)
ガチャ
声優「あ……」
デブ「あ……」
デブ「ど、どうも……」
ドサドサッ!
デブ「」
デブ(に、荷物のエロ雑誌がああああっ!)
39 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:01:14 ID:nwkhIzGo
声優「」
デブ「あわっ、あわわわわっ……!」///
バババッ!
デブ(カ、カギ! 早くカギを!)///
ガチャガチャ! キィ、バタン!
声優「…………」
声優(……み)
声優(見てない)
声優(見てないから)
声優(ドッピュン☆天国!なんて……)///
声優(見てないから!)///
40 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:02:14 ID:nwkhIzGo
歌手「シェキナベイベ~♪」
歌手「お?」
歌手「どうしたんですか? 声優さん」
歌手「そんなところで突っ立って?」
声優「!」///
声優「な、何でも無いですから!」///
タッ タッ タッ
歌手「…………」
歌手「おやおや~? 顔を赤くして……あの慌て様」
歌手「もしかして、フラグってやつ~?」
歌手「まいったなぁ……俺、すでに彼女持ちなのに♪」
41 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:04:19 ID:nwkhIzGo
デブ(…………)
デブ(……なんて言うか)
デブ(終わった……)
デブ(始まってもいないけど、終わった……)
デブ(…………)
デブ(通報……されないといいけど)
デブ(はあ……)
デブ(…………)
デブ(……よし、気持ちを切り替えて飯を食おう)
ゴソ ゴソ
デブ(中身……ぐちゃぐちゃだし……)
デブ(はいはい、わかってますよ……さっき落とした時ですよね)
デブ(……惨めだ)
42 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:05:52 ID:nwkhIzGo
夕方
声優(さて、今日の夕飯は)
声優(ちょっと奮発して牛肉のピーマン肉詰め!)
声優(ぬふふ~)
声優(こうやって、たまには贅沢しないとやっていけないわよね~)
―――――――――――
声優「完成!」
声優「ヘルシーにキャベツの微塵切りも山盛り!」
声優「美味しそう~」
声優「汁物の味噌スープを添えて……出来上がり!」
声優「いただきまーす!」
43 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:07:30 ID:nwkhIzGo
デブ「…………」
デブ「……いい匂いだ」
デブ「肉を焼いたのかな?」
デブ「…………」
デブ「原稿、もう少しで終わるし」
デブ「このまま続けるかな」
デブ(その方が効率上がりそうだし)
デブ(あー腹減った)
デブ(…………)
44 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:09:27 ID:nwkhIzGo
歌手「くう~! たまらねえ! この匂い!」
歌手「腹減ったぜ!」
ガチャ
店員「やっほー生きてるかー?」
歌手「待ってたぜ、ハニー! 愛しのご飯エンジェル!」
店員「その言い方はありがたくないー」
歌手「俺も手伝うから、飯作ろうぜ!」
店員「たまには、ご飯で出迎えてくれると嬉しいんだけどー」
歌手「すまねえ……俺の才能は、ほとんどが音楽に行っちまっているんだ」
店員「料理に才能が無いのはわかってるー」
店員「んじゃ、じゃがいもの皮を剥けー」
歌手「任せとけ!」
45 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:10:33 ID:nwkhIzGo
店員「いただきますー」
歌手「いただきます!」
モグモグ…
歌手「んまいっ!」
歌手「カレーは最高の夕飯だ!」
店員「大げさー」
歌手「もちろん、お前が作ってくれたからだとも!」
店員「はいはい、お世辞もらいましたー」
歌手「素直になれって」
店員「私はいつでも素直ー」
歌手「悪い悪い、感謝してるって!」
46 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:12:55 ID:nwkhIzGo
店員「…………」
店員「今日、私の働いてるお店の常連さんなんだけどー」
店員「気になる人が居たー」
歌手「なぬぅ!?」
店員「その人は女の人ー」
歌手「驚かすなよ……」
店員「大丈夫ー。 私は、あんたしか見えてないー」
歌手(そのイントネーションのせいで、そう聞こえない事は内緒だ)
店員「で、その人ー、発声練習でカラオケルーム使ってたー」
歌手「…………」
47 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:15:45 ID:nwkhIzGo
店員「歌手、あんたは、ここで揉めたって聞いたー」
店員「余計なお世話、と言うかもしんないー。 でもー」
店員「費用も安く済むしー、気を使わずに練習も……」
歌手「いや……それは出来無い」
店員「…………」
歌手「金は、なるべくスタジオで使いたい……これは曲げられないんだ」
店員「…………」
店員「……そう」
48 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:16:39 ID:nwkhIzGo
店員「あんたがそうしたいなら、私はもう何も言わないー」
店員「自分で稼いでいるお金だしねー」
歌手「……まあ、カツカツなのは事実だけどな」
歌手「すまねえ……心配かけて」
店員「いいって事ー」
歌手「ははは」
―――――――――――
声優(…………)
49 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:19:05 ID:nwkhIzGo
声優(……さて、今週のお仕事は)
声優(エロゲ2本と、エロアニメが一つ、それにオーディション……と)
声優(収録の曜日と場所、時間を間違えないようにしないとね)
声優(…………)
声優(出来たら、セリフの練習もしておきたいところだけど……)
声優(さすがに……それは恥ずかしいのよね)
声優(カラオケボックス側は気にしないと思う……でも)
声優(たまに来るお客さんは……アタシの声を知っているかもしれない)
声優(…………)
声優(止めよう……こんな事考えるの)
声優(もう寝なきゃ)
―――――――――――
デブ(…………)
50 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:20:12 ID:nwkhIzGo
デブ(……畜生)
デブ(今度はカレーの匂いがしてきた……)
デブ(…………)
デブ(何で、こんな拷問プレイを一人でやってんだよ)
デブ(さっさと飯を食おう)
―――――――――――
デブ「ふう……」
デブ「…………」
デブ「いかん……」
デブ「眠くなってきた……」
―――――――――――
店員「じゃあねー、歌手ー」
51 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:22:41 ID:nwkhIzGo
歌手「ああ、いつもありがとうな」
店員「気にするなー私が好きでやってる事ー」
店員「あんたが喜んでいるなら、嬉しいのじゃー」
歌手「おう!待ってろよ!」
歌手「一流ミュージシャンになって、必ず、恩返しするぜ!」
店員「期待してるぞよー」
―――――――――――
歌手「…………」
歌手(必ず……必ず、なってみせるぜ、店員!)
歌手(その時、お前に言ってやる……)
歌手(結婚しよう、って……!)
52 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/01(月) 21:23:40 ID:nwkhIzGo
歌手(…………)
歌手(ぬふふ……)
歌手(俺、超カッケー♪)
歌手(…………)
歌手(……さて、明日のバイト、棚おろしがあるんだっけ)
歌手(めんどくさいんだよなぁ……あれ)
歌手(音楽関係のバイトがあればいいのに……)
歌手(…………)
歌手(さっさと風呂入って休むか)
パタン…
57 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:21:11 ID:PwgQyGB2
数日後
声優「いやああああああああああっ!!」
声優「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ! 痛い――!」
声優「抜いてぇっ! オチン○ン、抜いてぇ――!!」
声優「ひぎっ! …いだっ、いがっ……!」
声優「あぎっ、ぎっ、ぎいっ! ひあっ! あああああああっ……!」
声優「ひいっ!?」
声優「い、今、オチ○チン、ビクンッ、って……!?」
声優「嫌あっ! それだけはっ……! それだけは、止めてぇっ!!」
声優「中は、中は止めてえぇぇぇっ!!」
声優「だめっ! いやっ! いや、いやっ、いやいやいやっ!!」
声優「いやあああああああああああああああああああああああっ!!」
声優「出てるっ……出てる、のっ……いっぱい……中に……!」
声優「ううっ……ぐすっ……いやぁ……!」
58 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:22:29 ID:PwgQyGB2
スタッフ「…………」
スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」
スタッフ「お疲れ様です」
声優「お疲れ様でした」
―――――――――――
声優「ふう……」
後輩「あ、先輩、お疲れ様です」
声優「ん? ああ、後輩ちゃん。 お疲れ様」
声優「次はあなた?」
後輩「そうみたいです」
声優「そっか。 頑張ってね」
後輩「はい!」
59 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:23:45 ID:PwgQyGB2
声優(エロゲやエロアニメのアフレコ)
声優(普通のアフレコみたいに数人でやる訳じゃない)
声優(大抵、男女とも一人ずつ収録する)
声優(会話シーンもあるけど、それも単独でやる事が多い)
声優(……まあ理由としては、演者同士、気まずくなるからそうしていると思う)
声優(…………)
声優(今日は、あともう一本あるけど……)
声優(時間がちょっと空く感じね)
声優(ご飯には少し早いし……どうしようかな?)
スタッフ「すみませーん、休憩中の皆さん」
スタッフ「ガヤ、頼めますか?」
60 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:24:58 ID:PwgQyGB2
声優「!」
声優「あ、はい。 アタシやれます」
コッチモデキマス ワタシモ
スタッフ「お手数おかけします」
スタッフ「じゃあ、Bスタジオでよろしくお願いします」
ハーイ
声優「…………」
声優(ガヤ……街中や場面展開での雑踏の音の事)
声優(普通は、そのアニメなりゲームなりの演者や、スタッフなんかがやる事が多いけど)
声優(たまに、微妙に人数が足らなくなったりする事がある)
声優(そういう時は、こうやって臨時に募集したりする)
声優(ボランティアだけど時間にして数秒だし、アタシにとっては密かな楽しみだ)
61 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:25:56 ID:PwgQyGB2
スタッフ「それじゃあ始めます」
スタッフ「5秒前……4……3……」
声優「…………」
声優「ガヤガヤ」
声優「ガヤガヤ」
―――――――――――
スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」
スタッフ「ありがとうございます、お疲れ様でした」
オツカレサマー
声優「お疲れ様でした」
声優(ふふふ、ガヤならアタシ、結構深夜帯アニメに出演してるのよね♪)
62 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:26:58 ID:PwgQyGB2
声優(さて、ちょうどいい暇つぶしも終わったところで)
声優(昼食を取るのにいい時間帯になったわ)
声優(…………)
声優(後輩ちゃん、待とうかな?)
声優(う~ん……)
声優(いつ終わるか聞いいてないし、約束をしているわけでもないからいっか……)
声優(うどん屋さんにでも行こう)
―――――――――――
声優(ふう……)
声優(さて、そろそろ午後の収録の準備をしないと)
声優(台本、台本、っと……)
63 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:27:45 ID:PwgQyGB2
声優(……あら?)
声優(後輩ちゃん、何だか元気がないわね?)
声優(どうしたんだろう?)
声優「後輩ちゃん」
後輩「あ……先輩」
声優「収録、終わったの?」
後輩「はい、ついさっき」
声優「そっか……結構かかったわね。 お昼もまだ?」
後輩「はい」
声優「それで元気がないのかな?」
後輩「…………」
後輩「いえ、そういう訳じゃないです」
64 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:28:49 ID:PwgQyGB2
声優「そうなの?」
後輩「まあ……なんて言うか……」
後輩「声を当てた絵がグロくて……気持ち悪くなっちゃって……」
声優「ああ……触手系?」
後輩「プラス、スプラッター系です」
声優「ダブルパンチね」 クス
後輩「覚悟はしていたんですよ? でも……」
後輩「いざ目の前に、しかも血とか カラーで出されると、さすがに……」
声優「わかるわ~」
声優「世の男どもは、こんな残酷な絵で抜いているのか、と思うのよね~」
後輩「あははは……」
65 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:29:49 ID:PwgQyGB2
声優「こっちとしては、お仕事もらっている立場だし」
声優「需要があれば、答えないといけないのが辛いところよね」
後輩「……ですよね」
声優「アタシもそうだったけど、誰でもぶつかる問題だし、その内に慣れちゃうよ」
声優「怖い事にね」
後輩「…………」
後輩「怖い事……ですか?」
後輩「プロなら、出来て当たり前の事だと思っていたんですけど……」
声優「うーん……今は、まだ知らなくてもいい事だと思う」
後輩「はあ……」
声優「とにかく、全力で頑張ったんだから」
声優「自分に何か、ご褒美をあげてみたらどうかな?」
66 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:30:52 ID:PwgQyGB2
後輩「ああ、いいですね、それ!」
後輩「何だか少し元気が出てきました!」
声優「そう。 良かった」 クス
声優「おっと……そろそろ時間ね」
後輩「あ……すみません、手間を取らせて」
声優「ううん、いいのよ。 アタシから話しかけたんだし」
声優「それじゃあね」
後輩「はい! 頑張ってください!」
声優「ありがとう」
―――――――――――
声優(…………)
声優(慣れ、か……)
67 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:31:54 ID:PwgQyGB2
声優(…………)
声優(仕事上いい事なんだろうけど……)
声優(アタシは……苦もなく喘ぎ声を当てる事に)
声優(慣れてしまっている自分に気がついて……怖かった)
声優(いつの間にか そうなっている事に……)
声優(…………)
声優(そんな現状を打破したい、と思うようになったきっかけでもあるけど)
声優(…………)
声優(さて、気持ちを切り替えないと)
声優(だからと言って、仕事で手を抜いたりしない)
声優(アタシ自身の為に)
68 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:33:04 ID:PwgQyGB2
夜
声優「ふう……疲れた」
後輩「お疲れ様です、先輩」
声優「あら? 後輩ちゃん?」
声優「どうしたの? まさか……待っててくれたの?」
後輩「め、迷惑でしたか?」
声優「ううん、そんな事ない」
声優「でも後輩ちゃんもアルバイトとか、自分の予定があるんじゃないのかな?って」
後輩「大丈夫です」
声優「本当に?」
後輩「…………」
69 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:33:56 ID:PwgQyGB2
後輩「すみません……アルバイト、ずる休みしちゃいました」
声優「…………」
声優「……そっか」
後輩「…………」
声優「ま……アタシが言うのも変だけど」
声優「そういうのは、今回だけよ?」
後輩「……はい」
声優「じゃ、少し遅い晩御飯にしよっか!」
後輩「! は、はい!」
声優「どこに行く?」
後輩「それはもちろん……」
声優・後輩「ヨシギュー!」
アハハハ……
70 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:35:09 ID:PwgQyGB2
デブ「うーん……」 セノビー
デブ(よし、完成)
デブ(後はこれをコピーして、投函して……)
デブ(……って、もうこんな時間か)
デブ(コピーはともかく、郵便局はもう閉まってるな)
デブ(仕方ない……)
デブ(明日、速達で出すか)
デブ(とりあえず、コピーを取らないとな)
デブ(…………)
デブ(コンビニ……人があまり居ないといいけど)
71 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:35:55 ID:PwgQyGB2
コンビニ
デブ(…………)
デブ(……いつもながら緊張する)
デブ(ちょっと遠くの、しかもランダムに選んだコンビニでやってるけど)
デブ(誰かに見られるんじゃないかと……ビクビクする)
デブ(…………)
デブ(さっさと済ませよう)
ピー カサッ ピー カサッ
デブ(後2ページ……)
イラッシャイマセー
デブ(くっ……)
72 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:36:59 ID:PwgQyGB2
デブ(落ち着け……)
デブ(俺の事なんて、誰も気にしてなんていない)
デブ(普通だ。 普通に作業を続けるんだ……)
ピー カサッ ピー カサッ
デブ(……よし! 終わった……)
??「あれー? もしかして、デブさん?」
デブ「!?」
歌手「やっぱりデブさんだ」
デブ「か、歌手さん……」
歌手「珍しいっすね、こんな場所のコンビニで会うなんて」
デブ「そ、そうですね……」
歌手「ん? なんスか? それ?」
73 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:38:04 ID:PwgQyGB2
デブ「!! い、いや、その……」
歌手「? 漫画っスか?」
デブ「え、ええ……まあ……しゅ、趣味で……」
歌手「そうなんスか」
歌手「今度、良かったら見せてくださいよ」
デブ「!! そ、それは、は、恥ずかしい、ので……」
歌手「それは残念」
歌手「でも、気が変わったら読ませてくださいね」
歌手「じゃ!」
デブ「は、はあ……」
アリガトウゴザイマシター
デブ「…………」
74 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:38:57 ID:PwgQyGB2
デブ(…………)
デブ(し、死ぬほど焦った……)
デブ「ふうううう……」
デブ(…………)
デブ(……無駄に疲れたなぁ)
デブ(…………)
デブ(さっさとビニ弁買って帰ろう……)
デブ(…………)
―――――――――――
デブ「……ふう」
デブ(家に着いた)
75 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:39:52 ID:PwgQyGB2
声優「あ……」
デブ「あ……」
デブ「こ、今晩は……」
声優「ど、どうも。 今晩は」
デブ「じゃ……」
ソソクサ……
声優「…………」
―――――――――――
デブ「……はあ」
デブ「ここのところ、よく顔を合わせてしまうな」
76 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:41:09 ID:PwgQyGB2
デブ「…………」
デブ(そういえば……声優さん)
デブ(こんな時間に帰ってくるなんて珍しいな?)
デブ(…………)
デブ(ま……俺には関係ない事、か)
デブ(さて、食い飽きたビニ弁食って、風呂に入って)
デブ(もう寝よう)
デブ(明日原稿投函したら、別の出版社のをやらないと……)
デブ(スケジュール、少し押してるからな)
デブ(はあ……)
デブ(貧乏暇なし、だな)
77 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:41:44 ID:PwgQyGB2
歌手「ふふ~ん、ふんふん……」
♪~♪~♪~
歌手「うんうん、こんな感じで」
歌手「サビの部分は、と……」
歌手「…………」
歌手「どうもいいのが浮かばないな……」
歌手「うーん……」
♪~……♪~♪~
歌手「……違うな」
歌手「う~ん」
78 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:42:36 ID:PwgQyGB2
店員「いいの出来そうー?」
歌手「思いついた時、いいかな、と思ったんだけど……」
店員「産みの苦しみだねー」
歌手「どうもサビの部分が降りてこない……」
歌手「ふふ~ん、ふんふ~ん……」
店員「明るい曲ー」
歌手「そうなんだけど……う~ん」
歌手「……ダメだ、どうもしっくりこない!」
店員「そっかー」
歌手「……あ」
歌手「店員、もうこんな時間だぞ?」
店員「おおう、本当だー」
79 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:43:35 ID:PwgQyGB2
店員「それじゃ……そろそろおいとましますかー」
歌手「いつも悪いな、店員」
歌手「今日の飯も美味かったぜ!」
店員「礼には及ばぬー」
歌手「ここのところ毎日だしな。 何か、お礼を考えとくよ」
店員「だから気にするなー。 私が好きでやっている事ー」
歌手「送っていかなくて、本当に大丈夫か?」
店員「何度も言ってるー。 私は空手の有段者ー」
歌手「わかってるんだけどな……」
店員「気持ちだけもらっとくー」
店員「さらばじゃー」
パタン
歌手「…………」
80 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:44:44 ID:PwgQyGB2
店員「…………」
テク テク テク
店員「…………」
店員「歌手……そう思うのならー」
店員「『今日、泊まっていくか?』くらい」
店員「言ってくれてもいいんだぞー」
店員「……っと」
店員「…………」
店員「私、とっくに、心の準備は済ませているんだぞー」
店員「……っと」
テク テク テク…
―――――――――――
81 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:46:52 ID:PwgQyGB2
数日後・午後
店員「いらっしゃいませー」
店員「あ……」
????「やあ、店員ちゃん」
店員「…………」
店員「イケメン……」
イケメン「久しぶり、高校卒業以来だね」
イケメン「突然訪ねてごめん」
店員「……今は仕事中ー」
イケメン「わかってるよ」
82 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:47:54 ID:PwgQyGB2
店員「どうしたのー? 今頃ー?」
店員「もう……答えは出てるけどー」
イケメン「…………」
イケメン「いやだ」
店員「……!?」
イケメン「悪いけど、こっちにも事情があってね」
イケメン「どうしても話がしたい」
店員「…………」
店員「……変な事したら、地獄を見るよー」
イケメン「そんな事はしないし、君が空手の有段者なのも知ってるよ」
店員「…………」
店員「……わかった」
イケメン「済まないね……そこの喫茶店で仕事が終わるのを待ってるから」
83 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:49:01 ID:PwgQyGB2
喫茶店
店員「それで? 何の用ー?」
イケメン「まあまあ。 まずはコーヒーでも」
店員「こっちにも予定があるー」
店員「手短に済ませて欲しいー」
イケメン「変わらないね、君は」 クスッ
店員「…………」
イケメン「……あれからもう6年になるんだね」
イケメン「君をめぐって、歌手と争ったのは……」
店員「…………」
84 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:50:08 ID:PwgQyGB2
イケメン「あいつは、ミュージシャンになる事以外考えてなくて」
イケメン「将来設計も何も考えていなかった」
店員「人の彼氏、ディスるなー」
イケメン「ごめん」
イケメン「だけど……事実だ」
店員「さっさと本題に入れー」
イケメン「…………」
イケメン「……改めて言うけど」
イケメン「俺は、君の事が好きだ」
店員「……その気持ちには答えられないって、返答してるけどー?」
イケメン「わかってる」
イケメン「で、だ」
イケメン「聞いておきたい事がある」
85 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:51:16 ID:PwgQyGB2
店員「何ー?」
イケメン「あの時はショックだったし、君が選んだ道だから」
イケメン「それでいいと思った」
店員「…………」
イケメン「でも……ずっとくすぶっていてね」
イケメン「突然で悪いと思ったけど」
イケメン「あいつを……歌手を選んだ理由を聞かせて欲しいんだ」
店員「…………」
店員「そんなのは、私の勝手ー」
店員「あんたに聞かせる話じゃないー」
イケメン「どうしてさ?」
86 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:52:23 ID:PwgQyGB2
イケメン「君が振った男に止めを刺せ、と、言ってるだけだぞ?」
店員「…………」
イケメン「…………」
イケメン「……俺さ」
イケメン「親から、見合いをする様に言われた」
店員「……!」
イケメン「皮肉な事に……それがキッカケで」
イケメン「ずっとくすぶってた気持ちに火が付いた」
店員「…………」
イケメン「俺は、今でも君の事が好きだ」
イケメン「……随分時間が経っているのにね」
店員「…………」
87 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:53:15 ID:PwgQyGB2
店員「話はそれで終わり?」
イケメン「……言いたい事は言ったかな」
店員「そう」
店員「なら、もう話す事はない」
イケメン「答えをもらわないと、また会いに来るけどいいかい?」
店員「それは御免被(こうむ)りたい」
イケメン「だけど、それでも会いに行く。 俺は」
店員「それストーカー」
イケメン「それだけ本気って事なんだよ」
店員「…………」
店員「ともかく、今日はこれで終わり」
イケメン「…………」
88 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:54:08 ID:PwgQyGB2
イケメン「……わかった」
イケメン「じゃあ、いずれまた」
店員「…………」
アリガトウゴザイマシター
イケメン「…………」
イケメン(店員ちゃん……相変わらずポーカーフェイスだね)
イケメン(けど)
イケメン(途中から口調が変わっていた)
イケメン(……動揺した証拠だよね)
イケメン(…………)
イケメン(自信がないんだろ?)
イケメン(歌手を選んだ事に)
89 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:54:57 ID:PwgQyGB2
店員「…………」
店員(……早く、歌手の所に行かないと)
店員(…………)
アパート
ガチャ ガチャ…
店員「…………」
店員(今日も居ないのか……)
店員(カギはもらってるけど)
店員(最近)
店員(待つ事が多くなってる気がする)
90 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:55:39 ID:PwgQyGB2
デブ「…………」
プルルルルル… プルルルルル…
デブ「……お、電話だ」
ガチャ…
デブ「はい、もしもし」
デブ「……ああ、A編集者さん」
デブ「締切はまだ先ですけど……?」
デブ「……はい……はい」
デブ「…………」
デブ「…………え」
デブ「そ、それって……」
デブ「……はい……はい」
デブ「…………」
91 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:56:22 ID:PwgQyGB2
デブ「そう……ですか……」
デブ「わかりました」
デブ「また……機会があれば、よろしくお願いします」
プッ……ツーツー
デブ「…………」
デブ「打ち切り……か」
デブ「…………」
デブ「気にするなよ、俺」
デブ「こんな事は、前にもあったじゃないか」
デブ「前にも……」
デブ「…………」
92 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:57:10 ID:PwgQyGB2
後輩「先輩、明日はいよいよオーディションですね!」
声優「そうだね」
後輩「今度こそ、表舞台に立って見せるんだから!」
声優「頑張らないとね」
後輩「…………」
後輩「……どうしたんですか? 先輩?」
声優「え?」
後輩「何だか元気がありませんけど?」
声優「そんな事無いよ」
声優「ただ……緊張してるだけ」
後輩「そうなんですか……先輩でも落ち着かないモノなんですね」
声優「…………」
93 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:57:49 ID:PwgQyGB2
声優(違う)
声優(不安に思っているだけ……)
声優(…………)
声優(アタシだけで受けるのなら、こんなに不安には思わない)
声優(あなたと……二人で一緒に受けるから)
声優(……とても怖い)
声優(…………)
声優(もし)
声優(アタシが落ちて、あなただけが受かったら……)
声優(アタシは……後輩ちゃんを祝福できるのかな……?)
声優(…………)
94 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/09(火) 17:59:06 ID:PwgQyGB2
声優(……ううん、余計な事は考えるな)
デブ(きっと、大丈夫)
店員(きっと……)
これからも、日常は続いていく――
100 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:38:20 ID:npPmphJc
翌日
声優「3番、声優です。 よろしくお願いします」
選定員「はい、よろしくお願いします」
選定員「それでは、お渡ししたセリフを言ってみてください」
声優「はい」
声優「わたくしは、誉れ高き名門の――」
声優(オーディションが始まった)
声優(アタシが希望したアニメキャラは脇役だけど)
声優(お嬢様口調で特長がはっきりしている)
声優(もちろん自分に合っていると判断して応募した)
101 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:39:24 ID:npPmphJc
選定員「……はい、声優さん、ありがとうございました」
声優「ありがとうございました」
選定員「それでは次の方」
モブ美「4番、モブ美です」
声優(……実は、主役級の役は、原作者の希望であらかた決まっていたりする)
声優(ビックネームはずるいなぁ……とか思う)
声優(誰だって上手な演者に演じて欲しいだろうけど……)
声優(どうにかならないものか、と)
声優(つい、いつも考えてしまう……)
―――――――――――
102 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:40:43 ID:npPmphJc
選定員「みなさん、ご苦労様でした」
選定員「結果は後日、各プロダクションの方へ連絡いたしますので」
一同「お疲れ様でした」
ガヤ ガヤ…
声優「ふう……」
後輩「先輩、お疲れ様でした!」
声優「あら、後輩ちゃん。 お疲れ」
声優「そっちも終わったの?」
後輩「はい、10分くらい前に」
声優「そう……手応えはあった?」
後輩「ううっ……正直、微妙です」
後輩「緊張で2回くらい噛んじゃったし……」
声優「あらら」
103 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:41:46 ID:npPmphJc
後輩「で、でも! 貴重な場数を踏めました!」
後輩「次は、もっと頑張ります!」
声優「うんうん」
後輩「先輩はどうでした?」
声優「……どうかな」
声優「自分としては、全力で演技したと思うけど……」
声優「判断する人が、どう捉えるか、よね」
後輩「そう……ですか」
声優「後から後から、ここはもうちょっとこうしとけば……みたいなのに落ち入るし」
後輩「うう~……今の私、そんな感じです」
声優「ふふふ」
104 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:42:37 ID:npPmphJc
声優「……」
声優(後輩ちゃんが自信無さげで)
声優(安心している自分がいる……)
声優(…………)
声優(情けないけど……正直な気持ちだわ)
声優(…………)
声優(……結果を知るのが)
声優(怖い……)
―――――――――――
105 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:43:27 ID:npPmphJc
デブ「…………」
デブ「……ふう」
デブ(いまいちはかどらない……)
デブ(…………)
デブ(まあ……これで終わりだし)
デブ(突然の話だったから、まだ動揺しているんだろう)
デブ(……豆腐メンタルだなぁ)
デブ(…………)
デブ(……あ)
デブ(もう午後2時か……)
デブ(昼飯、どうするかな)
106 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:44:10 ID:npPmphJc
アリガトウゴザイマシター
デブ(結局ビニ弁かよ……)
デブ(いい加減、この食生活から脱出したい)
デブ(…………)
デブ(でも自炊は面倒だし)
デブ(料理なんてした事がない……)
デブ(…………)
デブ(誰かの手料理なんて望めそうもないし)
デブ(はあ……)
テク テク テク…
107 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:44:59 ID:npPmphJc
夕方
スーパー
歌手「お疲れ様っス」
オツカレサマー
歌手「さて、と」
歌手「運良く炊き込みご飯の余りをもらえた」
歌手「いくら明日に使えないからって廃棄するのは、もったいなよな~」
歌手「……まあ業務違反だから、いつももらえるわけじゃないけど」
歌手「タダ飯、ゲットだぜ!」 ニシシ♪
????「……よう、歌手」
歌手「あん?」
歌手「! ……イケメン」
108 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:45:42 ID:npPmphJc
イケメン「久しぶり」
歌手「お、おう……」
イケメン「元気そうだな」
歌手「……お、お前も、な」
イケメン「久しぶりに会ったんだし、少し話さないか?」
歌手「え……」
イケメン「コーヒー奢るぜ?」
歌手「い、いや、俺は」
イケメン「ほら、行こうぜ」
歌手「…………」
109 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:46:22 ID:npPmphJc
喫茶店
イラッシャイマセー
イケメン「コーヒー。 ブレンドを二つ」
カシコマリマシター
歌手「…………」
歌手(イケメン……スーツ姿、かっけぇ……)
歌手(バリバリ仕事してそうだ……)
歌手(…………)
歌手(ただの偶然……なんだろうか……)
イケメン「最近、店員ちゃんとどう?」
歌手「!」
歌手「……上手くやってるけど」
110 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:47:23 ID:npPmphJc
イケメン「そう」
イケメン「それは良かった」
歌手「…………」
イケメン「彼女の事だから」
イケメン「あの独特のイントネーションで笑ったりしてるんだろうな」 クス
歌手「まあな」
イケメン「こっちは、来る日も 来る日も 仕事で死にそうだよ」
イケメン「おかげでまだ独り身さ」
歌手「…………」
歌手「お前なら引き手あまただろ?」
111 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:48:54 ID:npPmphJc
イケメン「まあ会社の女の子達、良く食事に誘ってくれるけど」
歌手「イヤミかよ」
イケメン「ハハハ……時間がなくて、一度も行ってないけどね」
歌手「さよけ」
イケメン「……お前はどうなんだ? 仕事とか」
歌手「……!」
イケメン「…………」
オマタセシマシター
イケメン「ありがとう」
イケメン「…………」 ズズッ…
イケメン「……うん、ここのブレンドはいい味だ」
歌手「…………」
112 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:49:47 ID:npPmphJc
イケメン「最近、夏らしくなったな」
歌手「…………」
歌手「……そうだな」
歌手「毎日クソ暑い」
イケメン「…………」
イケメン「そうだな、クソ暑い」
歌手「…………」 ズズッ…
歌手「……アイスの方が良かったな」
イケメン「悪い」
歌手「……別にいいさ」
歌手「ところで、よ」
イケメン「うん」
113 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:50:40 ID:npPmphJc
歌手「仕事で忙しく、時間がなくて女の子の誘いを断ってるお前が」
歌手「わざわざ何の用だ?」
イケメン「ハハ、本当にただの偶然だよ」
歌手「…………」
イケメン「偶然、時間が出来ただけさ」
イケメン「この後すぐ、社に戻らないといけないしね」
歌手「…………」
イケメン「……おっと、そろそろ時間だな」
イケメン「伝票持っていくよ」
歌手「……ああ」
イケメン「じゃ、またな」
歌手「…………」
114 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:52:06 ID:npPmphJc
歌手(……くそ)
歌手(なんも言い返せねぇ……)
歌手(…………)
歌手(あいつだけじゃない)
歌手(みんな……社会人になって、それぞれで働いている)
歌手(結婚して、子供のいる奴だって……)
歌手(…………)
歌手(俺は……)
歌手(俺は、あいつを……)
歌手(店員を巻き込んでいいのか……?)
歌手(…………)
―――――――――――
115 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:52:53 ID:npPmphJc
ガチャ
店員「おかえりー」
歌手「ただいま」
店員「夕飯出来ているぞー」
歌手「ああ、美味そうだな」
店員「……?」
店員「どうしたー? 歌手ー?」
歌手「何でも無いって」
歌手「さて、食おうぜ!」
店員「う、うんー」
店員「…………」
116 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:53:46 ID:npPmphJc
店員「ごちそうさまー」
歌手「ごちそうさまでした」
カチャ カチャ…
店員「洗い物、やっとくー」
歌手「おう、すまんな」
店員「いいって事ー」
店員「…………」
ジャー… キュッ
店員「洗い物、終わったー」
歌手「そうか」
店員「…………」
店員「歌手ー」
歌手「ん?」
117 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:54:40 ID:npPmphJc
店員「何か、隠してないー?」
歌手「…………」
歌手「いいや?」
店員「…………」
店員「……そう」
店員「なら、いい」
店員「…………」
店員「……そろそろ帰るー」
歌手「そっか」
歌手「じゃ……」
パタン…
118 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:55:34 ID:npPmphJc
歌手「…………」
歌手「あ……」
歌手「そういやもらった炊き込みご飯……」
歌手「すっかり忘れてた。 ……どうしよう」
歌手(…………)
歌手(……って)
歌手(俺……何、残飯もらって喜んでたんだよ)
歌手(こんなもの……店員に食わせるつもりだったのかよ)
歌手(…………)
歌手(何が、『礼をする』だよ……)
歌手(まともな飯すら用意できねーじゃねーかよ……俺)
歌手(…………)
119 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:56:12 ID:npPmphJc
店員「…………」
店員(どうしたんだろ……)
店員(今までは、どんな事でも話してくれたのに)
店員(…………)
店員(……やっぱり)
店員(音楽の事を良く分かっていない私は)
店員(あんたを……支えてあげられないのかな)
店員(…………)
店員(私は……歌手と一緒に居られれば)
店員(それだけで幸せ)
店員(でも……)
トボ トボ トボ…
120 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:57:15 ID:npPmphJc
数日後
M「あー後輩ちゃん、声優さん」
後輩「マネージャーさん」
声優「何でしょうか?」
M「この前のオーディションの結果が送られてきました」
声優「!」
後輩「!」
M「えー、その結果ですが……」
M「ちょっと、言いにくいんだけど」
声優(……ま)
声優(まさか……)
後輩「…………」 ドキドキ
121 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:58:11 ID:npPmphJc
M「残念ながら……二人共落選です」
声優「!」
後輩「」 ガーン…
M「……また次、頑張りましょう」
声優「はい」
後輩「はい……」
―――――――――――
後輩「はあ……」
声優「元気だしなよ、後輩ちゃん」
声優「マネージャーさんもまた頑張ろうって、言ってくれたじゃない」
後輩「そうなんですけど……悔しいです」
122 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 18:59:12 ID:npPmphJc
後輩「それに……先輩、何だか嬉しそうじゃありません?」
声優「! ……そんな事ないわ」
声優「ただ……こういうのも慣れちゃってるだけ」
後輩「…………」
後輩「それも”怖い”ですか?」
声優「ええ。 とっても、ね……」
後輩「…………」
声優(…………)
声優(……今回はいろんな意味で)
声優(嫌な感じ……)
声優(…………)
声優(仕事に集中しないと)
123 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:00:10 ID:npPmphJc
デブ「……ふあっ」
デブ「むにゃむにゃ……」
デブ「…………」
デブ「……!?」
デブ「もう10時を回っている!?」
デブ「…………」
デブ(今日もお隣さん……歌手目覚まし、鳴らなかったのか)
デブ(……風邪でもひいたのか?)
デブ(まあ、いっか)
デブ(仕事しないと……)
124 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:00:59 ID:npPmphJc
夕方
ガチャ……キィ……パタン
デブ(さて)
デブ(今日も食い飽きたビニ弁買って……)
歌手「あ……」
デブ「あ……」
デブ「どうも」
歌手「どうも、です」
デブ(……?)
デブ(心なしか……元気がない様な……?)
デブ(まあ、関係ないけど)
125 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:01:57 ID:npPmphJc
歌手「…………」
歌手「あ、あの!」
デブ「え?」
歌手「この前、漫画描いてるって、聞きましたけど……」
デブ「は、はあ……」
歌手「もしかしたら……漫画家さん、ですか?」
デブ「!?」
デブ「い、いや、その……」
歌手「だとしたら、お願いがあるんです!」
デブ「だ、だから……」
126 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:02:54 ID:npPmphJc
歌手「漫画を、ぜひ! 読ませてください!」
歌手「お願いします!」 ペコリ
デブ「!?」
歌手「…………」
デブ「…………」
デブ「……何だか解りませんけど」
デブ「そんなに見たいのなら……」
歌手「ありがとうございます!」
デブ「…………」
デブ「でもね……」
デブ「あらかじめ言っておくけど……エロ漫画だよ?」
歌手「……薄々、そんな気はしてました」
歌手「あの日……コンビニでコピーを取ってた時に」
デブ「え」
127 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:04:08 ID:npPmphJc
デブ「…………」
歌手「…………」
デブ「じゃあ……ちょっと待ってて。 今、いくつか持ってくるから」
歌手「はい」
―――――――――――
デブ「はいこれ……2~3日くらいで返してくれ」
歌手「ありがとうございます」
デブ「なるべく汚さないでね……ああ、それから」
デブ「感想とか、言わなくてもいいから」
歌手「……え?」
デブ「じゃ……」
歌手「…………」
128 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:05:11 ID:npPmphJc
デブ「……ふう」
デブ(引越しとか……考えた方がいいかもしれないな)
デブ(…………)
デブ(しかし)
デブ(何だって俺のエロ漫画を読みたい、なんて思ったんだろう?)
デブ(…………)
デブ(考えても解るわけないか……)
デブ(さっさと買い物済ませよう)
テク テク テク…
―――――――――――
129 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:06:42 ID:npPmphJc
歌手「…………」
歌手「…………」 パラ…
歌手「…………」
歌手「…………」 パラ…
歌手「…………」
歌手(……ある程度は予想してた)
歌手(けど……)
歌手(無修正だとは思わなかった……!)///
歌手(女の子のマ○コや チ○コや……結合部がっ)///
歌手(…………)///
ガチャガチャ
歌手(!!)
130 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:07:27 ID:npPmphJc
歌手(やべぇ! 店員が来た!)
カチリ☆(開錠) ……ガチャ
店員「おっ? 今日は居たねー」
歌手「お、おう……」
歌手(間一髪、隠すの間に合った……)
店員「……どうしたー?」
歌手「な、なんでもない」///
店員「……?」
歌手「さ、さあ、飯を作ろうぜ!」
店員「…………」
店員「わかったー」
131 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:08:23 ID:npPmphJc
店員「…………」
トントントン パラパラ… グツグツグツ
歌手「…………」
歌手(やばい……)
歌手(店員に……めちゃくちゃムラムラする……)
歌手(…………)
歌手(こうして見ると)
歌手(黒髪のボブカットにスッとした顔立ち)
歌手(胸は控えめだけど、くびれた腰に柔らかそうなヒップ……)
歌手(そして、スラリと伸びた足……)
歌手(……こうして改めて見ると、本当に可愛いよな)///
132 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:09:28 ID:npPmphJc
店員「……歌手ー?」
歌手「!」
歌手「な、なんだ?」
店員「手が止まってるー」
歌手「す、すまん……」///
店員「…………」
店員(……やっぱり、変)
店員(歌手、どうしたの?)
―――――――――――
133 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:10:21 ID:npPmphJc
歌手「ごちそうさま」
店員「……ごちそうさまー」
歌手「…………」
店員「…………」
歌手「え、えと……」
店員「うんー」
歌手「今日も飯、ありがとうな」
店員「何度も言ってるー気にするなー」
歌手「ハハハ……」
歌手「…………」
店員「…………」
134 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:11:16 ID:npPmphJc
店員「歌手」
歌手「ん?」
店員「…………」
店員「私は……歌手に必要?」
歌手「…………」
歌手「え?」
店員「…………」
店員「私は」
店員「音楽の事は、全くと言っていいくらい」
店員「分かっていない」
店員「……私に出来る事は、歌手の食事を作るぐらいが精一杯」
歌手「…………」
135 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:12:27 ID:npPmphJc
店員「私は……」
店員「歌手の『夢』の手伝いが出来無い……」
歌手「…………」
歌手「そんな事ねーよ」
店員「!」
歌手「店員が傍に居てくれるだけで……」
歌手「どれだけ助けになったか、わかんねーよ」
店員「でも……」
歌手「もし、さ」
歌手「店員が居なかったら……俺、たぶん」
歌手「こんな貧乏ミュージシャン活動なんて、とっくに廃業してる」
店員「!」
136 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:13:39 ID:npPmphJc
歌手「……もしかしたら、たった一人かもしんねーけど」
歌手「俺の歌を楽しみにしている奴が、ここに居るって事が」
歌手「どれだけ力になってくれたか……」
店員「歌手……」
歌手「へへ……ちょっと恥ずかしい事、言ったな」///
店員「ううん」
店員「っていうか、もっと言って欲しいー」
歌手「調子に乗んなよ」
ハハハ…
歌手「……あー、でも、な」
店員「んー?」
137 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:14:31 ID:npPmphJc
歌手「こんな事、言った後で言うのも何だが……」
歌手「今日は、これで帰ってくれないか?」
店員「…………」
店員「……は?」
歌手「頼む……何も聞かずに従ってくれ」
店員「……これだけ上げといて叩き落とすのは」
店員「温厚な私でもさすがにカチンとくる……」
店員「納得のいく説明をするまで帰らない」
歌手(……やべぇ)
歌手(地雷踏んだ……)
138 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:15:59 ID:npPmphJc
歌手「そ、その……割と最低系な理由、とだけ、言っとく」
店員「……余計に情報の開示を求めたい」
歌手(火に油だった……)
歌手「と、ともかく! 帰ってくれ!」
店員「私の空手の腕、見たいのー?」
歌手「白状します……」 クスン…
店員「最初からそう言えー」
店員「でー? どんな理由ー?」
歌手「お、おう……」
歌手「そ、その……な」
店員「はっきりしろー」
歌手「……お前に、ものすごくムラムラしてるからです」///
139 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:17:10 ID:npPmphJc
店員「…………」
店員「は!?」///
歌手「な、何度も言わねーからな!?」///
店員「い、いきなりすぎ……」///
店員「というか、何で今頃!?」///
歌手「…………」///
歌手「これを読んだから……」///
―――――――――――
店員「」///
歌手「…………」///
店員「……お、女の子に、な、なんて物、見せるー」///
歌手「手っ取り早く、理解してもらうためだよ……」///
140 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:18:18 ID:npPmphJc
歌手「……これで分かっただろ」
歌手「今の俺は、ただのケダモノだ……」
歌手「まあ、お前の空手で撃退されるだろうけど、そんな目に会いたくもないし」
店員「…………」
歌手「さ……帰ってくれ」
店員「……ちょっと待ってー」
店員「確かに、ムードもへったくれも無くなるのは嫌だけど」
店員「私は……それを……受け入れる覚悟があるー」///
歌手「」
店員「……歌手」
店員「どうして、今まで、私に手を出さなかった?」
141 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:19:09 ID:npPmphJc
歌手「……!」
歌手「…………」
歌手「……将来が」
歌手「将来がどうなるのか、不安だったし」
歌手「もし……諦めた時」
歌手「店員には、綺麗な体でいてもらいたかったから……」
店員「…………」
店員「そうだったの……」
歌手「…………」
店員「歌手」
歌手「……うん」
142 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:20:25 ID:npPmphJc
店員「私、久しぶりに怒った」
歌手「え」
店員「ここであなたに選択肢を与えます」
歌手「は?」
店員「ひとつは」
店員「ダブルブリザードからの 烈風正拳突きを喰らって貰うこと」
歌手「……なんで闘将ダ○モス知ってるんだよ」
店員「もう一つは」
店員「……その、私と……する事」///
歌手「」///
店員「さあ、選んで」
143 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:21:11 ID:npPmphJc
歌手「で、でも……」
店員「歌手」
店員「私を大切に思ってくれてるのは分かったー」
店員「だけど……」
店員「それは、ある意味で『拒絶』とも取れるー」
歌手「!」
店員「私は……」
店員「不安で不安で……怖かった」
店員「どうしようもなく、恐ろしかった……」
歌手「…………」
144 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:22:12 ID:npPmphJc
歌手「……店員」
ギュッ…
店員「!」
歌手「悪い……」
歌手「俺」
歌手「逃げて……いや、覚悟が足りてなかったんだな」
店員「……歌手」
歌手「……なんて言うか、ホント、ムードもへったくれもないけど」///
店員「それは、しょうがないー」
店員「けど」
店員「今、私は、最高に幸せー」///
歌手「ハハ……俺も」///
145 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:23:09 ID:npPmphJc
店員「じゃ……準備するー」
歌手「……へ?」
店員「こんな事もあろうかと」
歌手「真○さんか、お前……」
ゴソゴソ…
店員「お泊まりセットを歌手の部屋に忍ばせておいたー」
歌手「…………」
店員「歌手は童貞?」
歌手「どどどど童貞ちゃうわ!」///
店員「気にするなー。 私も初めてー」
歌手「だから俺h」
店員「ダブルブリザー……」
歌手「童貞です」
146 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:23:59 ID:npPmphJc
店員「じゃ、お湯を沸かすー」
歌手「……? 何に使うんだ?」
店員「これ。 ローションを作るー」
歌手「…………」
歌手「なあ」
店員「何ー?」
歌手「もしかして、経験者?」
店員「ファイヤーブリザー……」
歌手「な、何でもないです!」
147 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:25:07 ID:npPmphJc
店員「まあ、疑うのも分からんではないー」
歌手「さよけ」
店員「私の先輩にあたる人から、いろいろと経験談を聞いたー」
歌手「へえ」
店員「初めて同士は、失敗が多いー」
店員「特に女の子は、個人差があるとは言え、最初の痛みでトラウマになり」
店員「行為はおろか、相手とも気まずくなって別れにつながる事も……」
歌手「…………」
店員「私……」
店員「歌手とそうなりたくないー」///
歌手「お、おう……」///
148 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:26:22 ID:npPmphJc
歌手「他にどんな注意点が?」
店員「避妊具のつけ方とかー、オギノ式の数え方とかー」
歌手(……どんな先輩だよ)
店員「後、○ナルには絶対手を出すな、とかー」
歌手「やらないから。 俺そこまで探求しないから」
店員「実際、かなり危険らしいー」
店員「大腸菌感染でえらい事にな」
歌手「その辺で止めてくれ……萎える」
店員「それは困るー」
歌手「もっと初心者レベルの注意点を、だな……」///
店員「心得たー」
―――――――――――
149 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:27:25 ID:npPmphJc
デブ「…………」
デブ「……ん?」
アン……アン……ア……
デブ「」
デブ「え」
デブ「ええ!?」
歌手……モットォ………
デブ(ちょ……)
デブ(ちょっと待ってくれ……)
アア……スゲェ………店員ッ……
150 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:28:17 ID:npPmphJc
デブ(…………)
デブ(……これってアレか?)
ヤ……ハゲシイ………ユックリ……
デブ(倦怠期で、刺激が欲しくて)
デブ(俺の漫画を使った……?)
ソウイワレテモ……ガマン………デキナ……
デブ(…………)
デブ(……まあ)
デブ(役に立ったみたいだけど)
店員……オレ………モウッ……アアッ………
デブ(出来れば、雑誌を買ってやってくれよな……)
歌手……歌手ゥ…………
デブ(…………)
デブ(一発抜いておくか……) ハア…
151 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:29:18 ID:npPmphJc
翌日
声優「おはようございます」
M「ああ、おはようございます、声優さん」
後輩「おはようございます、先輩、マネージャーさん」
M「お、来たね、後輩ちゃん」
後輩「?」
後輩「私に何か用ですか? 新しいお仕事、とか?」
M「うん、ある意味ではそうだね」
後輩「はあ……」
M「実は、この前のオーディション」
M「選定員の一人が、ぜひ君にやってもらいたいキャラがあるって」
M「さっき連絡があったんだ」
152 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:30:43 ID:npPmphJc
声優「……!」
後輩「え……?」
後輩「エロですか?」
M「いいや」
声優「!」
後輩「ええ!?」
M「深夜枠だけどね」
M「最近流行りの魔法少女もので、準主役級の役をお願いしたいってさ」
後輩「ほ、本当ですか!?」
後輩「やった! やりましたよ! 先輩!」
声優「……っ」
153 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/16(火) 19:31:55 ID:npPmphJc
アタシの時間が、止まる――
転載元
声優「んギモッヂイィ~///」(アタシ…何やってんだろ…)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1371733426/
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最後はみんなハッピーエンドにして欲しいな
まあいい話だったかな
デブ見せ場無さすぎwww