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QB「マサムネのきれあじをきみらのからだであじわうといい!」 3 ビーナスの世界

2011/08/09 05:00 | CM(2) | その他 夏休みSS劇場
シリーズ:QB「マサムネのきれあじをきみらのからだであじわうといい!」


162[saga]:2011/07/02(土) 09:44:48.15 ID:jYWhZjsG0
--- 天の柱 ---

 少女達は次の世界を目指していた。
以前にここに来た時と同じように、無言で歩き続ける。
だが、前回のように不和から生まれた沈黙ではない。

 それは彼女達の表情からも明らかであった。

 鹿目詢子の事は不安ではあるが、
彼女は一命をとりとめており、安静にしていれば回復する。

 多少の回り道をしたが、ようやく彼女達は
自分達のすべき事に対して一丸となれていたのだ。

 水晶の通路を歩きながら、その沈黙は自然に破られる。



マミ「ソウルジェムも、もう42個も集まっていたのね」

杏子「全部で77つってたっけ?もう半分もないじゃないか」

まどか「ぜーんぶ集めたら、どうしようかな」

ほむら「まだ気が早いんじゃないの、まどか?」

まどか「えへへ、そうでした・・・」

マミ「その時はその時で考えればいいわよ」

杏子「そうだな。なんだったら、ずっとアタシ達が持っているってのも
 いいと思うよ。誰にも渡すつもりなんてないからね」

ほむら「そんな事で寝込みを襲われるのもイヤなものね。
 ・・・ガーディアンでは、集めたソウルジェムをどうするつもりだったのかしら」

まどか「また今度、ママのお見舞いがてらに行って聞いてみようよ!」

ほむら「それもそうね。あら、もう次の世界のドアが見えるわ」

杏子「よし、おっさき~!」タタッ

まどか「あ~、杏子ちゃんずるい!」タタッ

マミ「あらあら、はしゃいじゃって」

ほむら(ホムッ)ダッ

マミ「えええ、ちょっとみんな待ってよ」ダッ



163[saga]:2011/07/02(土) 09:45:22.85 ID:jYWhZjsG0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9531436

--- ビーナスの大都会 ---

 ドアを開くと、以前の世界と同じように
再び視界には建物が入って来ていた。

 天の柱の出口は、そこに存在する街の入り口でもあったのだ。
彼女達の住んでいた村からは、およそ想像も付かない
その都会の光景。そしてその街は、高い壁によって囲まれていた。

 地面にはアスファルトがびっしりと敷き詰められており
街並みを埋める、少女達が見たこともない高さの摩天楼。
それぞれの建物の入り口には、自動で動く床が往復の2通路分
用意されていた。



ほむら「すごい・・・あれがエスカレーターというものね」

まどか「えすかれーたー?」

ほむら「ええ。あそこに動いている床の事を言うのよ」

杏子「へぇぇ・・・何のためにあんなモンがあるのかね」

ほむら「ラクをするため、だそうよ」

マミ「よく分からないわ・・・歩けばいいのに」



女「この街へようこそ、田舎者さん」


164[saga]:2011/07/02(土) 09:45:51.31 ID:jYWhZjsG0
 きらびやかに装飾された衣装を身にまとい、
よく手入れのされている綺麗な長い髪を手でかきあげながら
その高慢そうな女性は少女達に近づく。



ほむら(それは私のワザよ)ファサッ

女「簡単にでよろしければ、あなた達にこの街を紹介しましょうか?」



 その女性の目からは、親切心というものは感じられなかった。
ただ、見下す対象が欲しいかのような目つき。
そんな彼女の態度に、少女達は反応する事を躊躇していた。



マミ「いえ、結構です。お気遣いありがとうございます」

女「そう?残念ね。1つだけ、教えておいてあげるわ。
 この街には、美しい者だけが住む事が出来るのよ。
 私を見てごらんなさい。美しいでしょう?」ファサッ

ほむら(この女・・・)ファサッ

まどか「みんな、行こう・・・」ボソボソ



杏子「あんなんでもこの街に住めるんだ。アタシらならラクショーじゃね?」

マミ「そうね。4人揃って、滞在の許可でも取りましょうか!」

まどか「ちょ、ちょっと。みんな声が大きいよ」

ほむら「わざと聞かせてるのよ」

まどか「えええ、そんなのって・・・うわぁ、すごい睨んでるよあの人・・・」

杏子「やっべ、声が大きすぎた!聞こえてなきゃいいけどな~!」チラッ

マミ「あらあら、事実なのだけれど気を悪くされてたら謝らなくちゃね!」チラッ

女「ウオオオオ!」ダッ

4人「「うわあああぁぁ!!」」ダッ


165[saga]:2011/07/02(土) 09:46:22.45 ID:jYWhZjsG0
杏子「オイ・・・行ったか?」ゼーゼー

ほむら「・・・ええ、私達を見失ったみたいね」

マミ「助かったぁ・・・」

まどか「逃げるならあんな事言わないでよね、もう・・・」

ほむら「まどか、女の戦いには引き下がれない場面もあるのよ」



 澄ました彼女の顔が揺れる。大地が揺れていた。
地震というものは少女達の世界でも起きた事はあったが、
体感している現在のそれは、故郷で味わったものとは
比べ物にならないほどの揺れであった。

 建物の隙間に身を潜めていた少女達は恐怖した。
今にもこれらが崩れて、瓦礫の山となり自分達にのしかかってこないか
危惧したためであった。急いで、彼女達は広場へと走る。



女「じ、地震よ!ひー、お助けー」

男「おいおい、落ち着けよ・・・にしても最近、地震が多いな」



 やがて揺れはおさまる。道を行く通行人達は、様々な反応を
見せてはいたが、全員がその地震に慣れている様子ではあった。



まどか「・・・びっくりしたぁ」

マミ「建物が崩れるか心配だったわ・・・」

ほむら「でも、崩れたような建物はここから見えないわ」

杏子「頑丈に作られてるんだな。見ろよ、あんな建物でも無事そうだ」



 佐倉杏子の指差す先に、先の尖った高い高い建物。
周囲の建物よりひときわ高いそれは、第4世界で見た
アポロンの宮殿を彷彿させるものであった。


166[saga]:2011/07/02(土) 09:46:51.27 ID:jYWhZjsG0
マミ「あそこが、この街を治める人の居る場所かしら」

杏子「アポロンの宮殿も凄かったけど・・・あれもまた凄いよなぁ」

まどか「もしかしたら、アポロンさんのようにソウルジェムの事を
 教えてくれるかもしれないね。行ってみようよ」

ほむら「彼のように、戦いを挑んでくるような人でなければ
 いいのだけれど」



 少女達の立っている場所は、その宮殿へと続く道路であった。
そこへ歩く最中に、通行人の声が彼女達の耳に届く。



女A「ねぇねぇ、あの2人の事しってる?」

女B「うん、聞いた聞いた。そろそろ結婚するんですってね」

女A「ああん、上条さんちょっと素敵な方なのに。
 あんな緑色のどこがいいのかしら」

女B「なんでも幼馴染なんですって。それでビーナス様が
 あの2人を結婚させようとしているみたいよ」

女A「幼馴染ってだけでうらやましいわ。
 ハァー、私の旦那様も見つけてくれないかしら、ビーナス様」



 そんな会話をする彼女達のさらに奥の方に見える喫茶店。
そこには、1組のカップルがテーブルを囲む姿が見えた。
だが、その2人はおよそ結婚などというものとは無縁であるかのように、
お互いがじっと黙り込み、視線を合わさずに俯いている。



マミ(緑色ってあの女の人かしら?何か修羅場の予感がするわ)ワクワク

杏子「おーい、マミ。何やってんだ?置いてくぞ~」

マミ「あ、待ってー」タタッ

まどか「マミさん、何かあったんですか?」

マミ「ん~。なんでもないわ」


167[saga]:2011/07/02(土) 09:47:18.42 ID:jYWhZjsG0
 その宮殿の内部は、大理石で作られていた。
アポロンの宮殿とはまた別の形で、その壮大さを少女達に見せる。



杏子「これまた中身もすげえな・・・」

まどか「すごい綺麗だね・・・」

女「失礼します。ここは宮殿ゆえに、あまりこの街と無関係な方は
 近寄らないで頂きたいのですが」

ほむら「・・・この街を治めている人物と、少しお話がしたいと思いまして」

女「・・・念のために確認しておきますが、あなた方はアシュラという名前を
 ご存知でしょうか?」

マミ「アシュラを倒したのは私達です」ドヤッ

女「これは失礼いたしました。あなた方がここに現われたのであれば、
 ビーナス様との謁見を許可するようにと命じられております。
 この通路の先が、ビーナス様のお部屋となっております」

まどか「いいんですか?」

女「はい、私からビーナス様には連絡をいたします。
 さ、どうぞ。ビーナス様もきっとお喜びになるでしょう」



ほむら「どうもこの街の人間は、みな高慢に感じるわ」

杏子「生活する環境によって性格ってのは変わるんだろうね」

マミ「どこの世界にも、それぞれの文化ってあるもの。
 この街の文化、とでも捉えておきましょうよ」

まどか「まあまあ・・・ほら、ドアが見えてきたよ。
 みんな、身だしなみのチェック!」

杏子「・・・と、念のために戦える準備もな」



 鹿目まどかは、そのドアをコンコンとノックする。



ビーナス「入りなさい」


168[saga]:2011/07/02(土) 09:47:47.39 ID:jYWhZjsG0
4人「「失礼します」」

ビーナス「そう硬くならなくてもいい。楽にしてくれるといいよ」



 予想に違わず、そこには何度か見てきた顔が。
間違いなく、目の前にいる人物はインキュベーターであった。



ビーナス「あの醜いアシュラを倒してくれたようだね。僕は嬉しいよ。
 君達は僕の美的感覚から少し外れてはいるが、君達がこの世界に
 滞在する事を僕は許そうと思っているよ」

杏子(コイツ・・・)イラッ

ほむら(どの口が美的感覚とか抜かすの・・・)イラッ

まどか「あ、その・・・ありがとうございます」

ビーナス「嬉しいだろう?この街は全てが美しいからね。
 この世に醜いものなど必要ない。君達もそう思うだろう?」

マミ(こらえるのよ、私・・・)イラッ

まどか(・・・・・・)イラッ

まどか「あの、私達、ソウルジェムを集めているんです。
 何か心当たりはありませんでしょうか?」

ビーナス「それは僕にも分からないな。この街の全ては、
 僕が完璧に管理をしている。少なくても、この街の中にはないよ」

ほむら「では街の外なら?」

ビーナス「あるのかもしれないね。君達が望むのであれば、
 壁の外の醜い世界を冒険してみるのもいいだろう。
 そこに君達の望む物があるとも、僕には思えないけどね」

まどか「それでは、そうしてみます。ありがとうございました」


169[saga]:2011/07/02(土) 09:48:14.88 ID:jYWhZjsG0
 少女達は黙ったまま、宮殿の外に出る。
そこまで行かないと、迂闊な会話を行えないから。
道路に出た途端、佐倉杏子は声をあげる。



杏子「マミ、アンタさぁ。文化とか言ってたよな」

マミ「・・・訂正するわ。この街全体の性格すら、ビーナスが決めていたのね」

ほむら「ビーナスの美的感覚によって選りすぐられた、
 性悪の集まる美しい街。なんとも滑稽なことね」

まどか「ちょっと、みんな・・・誰かに聞かれたらまた追いかけられるよ?
 あそこの喫茶店にでも入って、お話しようよ」

マミ(あら、あの2人まだ居たのね)ワクワク



杏子「アタシはアイスコーヒー」

ほむら「私も同じく」

マミ「えーと・・・今日はレモンティーにしようかしら」

まどか「私はミルクティーで!店員さん、すみませ~ん!」

マミ(さりげなく絶好の席に座れたわ。さあ、修羅場の様子を私に聞かせて!)



まどか「ほむらちゃんはいつもコーヒーだね。
 子供の頃に飲んだけど、苦くて全然だめだったよ」

ほむら「あら、それは勿体ないわ。今なら美味しく飲めるかもしれないわよ。
 一口いかが?」

ほむら(まどかの間接キス、ゴチ)

まどか「そうかもしれないね。杏子ちゃん、一口ちょうだい!」

杏子「お、いいよ。アタシにもミルクティーを一口くれよ。甘いのも欲しくなるんだよな」

ほむら(オイィィ!)ギロッ

杏子「な、なんだよ」ビクッ

まどか(予想通り・・・)ハァ


170[saga]:2011/07/02(土) 09:48:51.69 ID:jYWhZjsG0
マミ(・・・あの2人の動きがない・・・)

マミ(こんなお通夜状態でずっとここに居たというの?)

マミ(そんなバカな・・・)

杏子「どうしたんだ、マミ?」

マミ「んー・・・あそこの席の2人が、今にも修羅場になると思って
 ずっと待っていたんだけど・・・」

まどか「・・・色々と突っ込みたいんですけど・・・」

ほむら「なんで修羅場になると思うの?」

マミ「通行人から聞こえた会話の中身からの推測でしかないんだけど・・・
 あの2人は婚約者同士なのに、あの雰囲気なの。興味がわかない?」

杏子「何にせよ元気がないな。なんか悩みがあるのかもしれないぞ。
 よし、ここはいっちょアタシが・・・」

ほむら「佐倉杏子、待ちなさい」

杏子「何でさ?」

ほむら(他人の事情に関わるなんて関心しないわ)

ほむら(・・・と思ったけど、あの2人の悩みを、
 お馬鹿の佐倉杏子がノリで解決してしまうかもしれない)

ほむら(そうなると、まどかの佐倉杏子への聖女度が更に上がってしまう。
 それだけは避けねばならない)

ほむら(となると・・・)

ほむら「私が行ってくるわ」

杏子「へ?」

まどか「ほむらちゃん?何かいい案でもあるの?」

ほむら「任せておいて」

マミ「頑張って、暁美さん」ニヤニヤ

ほむら(コイツ・・・私の事をコミュ障とでも思っているわね)チッ


171[saga]:2011/07/02(土) 09:49:18.89 ID:jYWhZjsG0
ほむら「あの・・・」ドキドキ

仁美「はい?」

恭介「どちら様でしょうか?君の知り合いかい?」

仁美「いえ・・・存じ上げませんわ」

ほむら(やばい私の心臓やばい。頑張れ、私)ドキドキ

ほむら「すみません、通りすがりの者ですけれど・・・
 何か悩みがありそうなので、お話頂ければと思いまして」

恭介「えっと、そう言われましても・・・」

仁美「ごめんなさい、見ず知らずの方にお話できるような
 悩みではありませんの。せっかくのご好意ですけれど、
 お引取り頂けませんでしょうか」

恭介「仁美、そんな言い方をしなくてもいいじゃないか」

ほむら「えっと、その・・・私、世界中を色んな人の悩みを聞いて
 冒険して来ているんです。悩みの解決するプロなんです!」

マミ「」ブッ

まどか「ちょ、ちょっとマミさん・・・」ボソボソ

ほむら(巴マミ・・・チクショウ・・・!)

ほむら「申し遅れました。私は暁美ほむらと申します」

ほむら「あそこのテーブルに私の仲間がおります。
 手前に座っているのが鹿目まどか。
 その向かいに座っているのが佐倉杏子」

ほむら「・・・そして、その隣に座って鼻からレモンティーを
 噴き出しているのが、巴マミです」

恭介「はぁ・・・」

仁美「まあ、汚らわしい・・・」

マミ(・・・あんの野郎・・・!)ガタッ

まどか「マミさん、落ち着いて・・・」ボソボソ


172[saga]:2011/07/02(土) 09:49:46.43 ID:jYWhZjsG0
恭介「・・・冒険者の方でしたか。壁の外に出る許可は
 お持ちなのでしょうか?」

ほむら「え、ええ、つい先ほど取ってきました」ファサッ

恭介「・・・・・・」チラッ

仁美「・・・先ほどの非礼をお詫び致しますわ。
 私は志筑仁美と申します」

恭介「僕は上条恭介です。暁美ほむらさん、
 聞いて頂けますでしょうか。僕達の悩みを」

ほむら「解決できるかは分からないけれど、話して下さい」

恭介「・・・僕達の幼馴染の友人が、ビーナス様の命令で
 壁の外に追放されてしまったのです」

仁美「私達は壁の外の世界を知りません。彼女の行方が気になりますけれど
 外に確かめに行く力が私達にはないのです」

ほむら「彼女・・・という事は女性なんですね。どうして追放など?」

恭介「不注意から転んでしまい、額に傷を・・・」

ほむら「・・・・・・」

恭介「・・・・・」

ほむら「・・・え?それだけで?」

恭介「はい?いや、それだけと言えばそれだけですけれど・・・」

仁美「ビーナス様は完全な美しさしか望まれません。
 そのような不注意から追放された人間は、この街には多いのですわ」

ほむら「事情は分かりました。その追放された友人を、探して欲しいと」

恭介「おっしゃる通りです。彼女の名前は美樹さやか。
 もしも探して下さるのであれば・・・」

恭介「・・・何て伝えて貰おう・・・」

仁美「上条君・・・」

ほむら(これ以上は重い話になりそうね)


173[saga]:2011/07/02(土) 09:50:13.01 ID:jYWhZjsG0
ほむら「とりあえず、私達も目的があるので壁の外には行ってみます。
 もしも美樹さやかさんと出会えたら、お2人が心配していたとでも
 お伝えすればよろしいでしょうか?」

恭介「・・・はい、そのようにお願いいたします・・・」

仁美「壁から追放された人間が集まって、外で部落を形成していると
 噂を聞いた事があります。それが何処にあるのかまでは存じ上げませんが」

ほむら「分かりました。美樹さやかさんを見つけ出す事が出来たら、
 必ず報告に参ります」

恭介「ありがとうございます。僕はこの時間にはいつも、
 この喫茶店に居るか、あそこの公園でバイオリンを弾いています。
 良い報告をお待ちしております」



ほむら「いかがだったかしら。私のコミュニケーション能力は」ファサッ

杏子「結構やるもんじゃないか!見直したぜ」

まどか「ほむらちゃん、すごいなあ。何でも出来ちゃうんだね」マドマド

マミ「暁美さん・・・あの紹介はないんじゃないの?」

ほむら「あら、喧嘩を売ってきたのはそちらよ。巴レモンティーマミ」

マミ「・・・鹿目さぁん。そろそろ新しい武器も欲しいし、
 ちょっと武器屋を探して見ない?」

まどか「は・・・はい・・・マミさん、目が笑って・・・」

マミ「そんな事ないわよ^^」

まどか「・・・一緒に行きましょう・・・」

杏子「じゃあアタシらは宿を取っておくよ。
 一晩ぐっすり休んで、明日は壁の外に行くよ!」

ほむら「ええ、そうしましょう。また後でね、まどか」

まどか「うん、まt
マミ「ええ、また後でね^^暁美さん^^^^」

まどか(杏子ちゃん、助けて!)

杏子(メシ屋はどこかな~)


174[saga]:2011/07/02(土) 09:50:39.39 ID:jYWhZjsG0
--- 追放者の集落 ---

 一晩ぐっすりと休んだ少女達は、壁の外へと向かう。
最初は門番が彼女達の行く手を塞いだが、
すぐに彼らは気付いたかのように少女達を通した。
ビーナスからの命令がすでにここまで届いていたのだ。

 壁の外は、木、木、木。

 一面は深いジャングルであった。
少女達は襲い掛かる魔物を払いのけ、
用心深く緑の海を歩き続ける。



杏子「マミの買ってきた手榴弾、ずいぶんと威力があるな」

マミ「私の能力で、一晩も休めば手榴弾の作り直しも出来るのよ。
 ずっと使ってきたサブマシンガンもそろそろ買い替え時だったしね」

まどか「おかげで私達は楽ができます。ありがとう、マミさん!」

マミ「そうそう、忘れていたわ。はい、暁美さん。プレゼントがあるの」

ほむら「これは・・・サイコソード?」

マミ「魔力を力に変えて攻撃できる剣なんですって。
 あなたにぴったりじゃないかと思って買ってきたの」

ほむら「ありがとう、あなたから贈り物を貰えるなんて意外だったわ」

マミ(いいのよ、これくらい)

マミ「あなたがサイコソードで切りつけに行った時に、私は手榴弾を投げるの。
 それはとっても素敵な事だなって」

まどか「マミさん、それ私の台詞・・・」

杏子「それ以前に、本音と建前が逆転していないか・・・?」

ほむら「まだ根に持っていたのね。頭を冷やしなさい、巴マミ」

マミ「何を言ってるのよ!今頃、あの2人は
 私の事をレモンティーっていう印象で覚えているのよ!」

ほむら「事実だし、問題ないじゃない。あら、村が見えてきたわ」

マミ「スルーしないで!」


175[saga]:2011/07/02(土) 09:51:08.42 ID:jYWhZjsG0
ほむら「やれやれね。私が能力を使って遠距離で戦っている分には
 構わないけれど、いきなり目の前で爆発なんて勘弁して欲しいものね。
 巻き込まれてしまうわ」

マミ「それを狙っていたんじゃない・・・」

まどか「ほむらちゃん、それも誰かの台詞・・・」

杏子「それ以前に、マミがもう本音を隠そうともしていねぇ」



さやか「おーい!旅人さんかい?」

ほむら(あら、爆発に巻き込まれそうな子ね)

マミ(たぶんこの子は爆発に巻き込まれるわ)

さやか「な、何だよ。ジロジロ見ちゃってさ」

まどか「この村が、壁から追い出された人の村なんですか?」

さやか「うん、そうだよ!あ~、でも可哀想とか思わないでね!
 ここに出て来れたおかげで、アタシ達は自由ってものを満喫しているんだ!」

杏子「壁の中の連中よか気持ちのいいヤツだな、アンタ。
 アタシは佐倉杏子。よろしくね」

まどか「私は鹿目まどか。まどかって呼んでくれるといいな」

ほむら「私は暁美ほむら。それでこちらはレモn・・・

マミ「巴マミです。よろしくね。あなたのお名前は?」

さやか「アタシは美樹さやか。えっと、杏子にまどかにほむらにマミさんね!
 みんなヨロシクぅ!あ、アタシこんな喋り方だから、堅苦しくしないでよね!」

ほむら(あら、探していた人がこうも簡単に見つかるなんて)

マミ「なんで私はいつも、さん付けで呼ばれるんだろう」

まどか「こう・・・オーラが出ているんですよ。
 マミさんはさん付けしなくちゃいけないって」

さやか「それじゃ早速、仲良くなった記念に家に案内するよ。
 こっちこっち!付いてきて!」


176[saga]:2011/07/02(土) 09:51:37.03 ID:jYWhZjsG0
さやか「さー着いた。はい、どうぞ!」

まどか「お邪魔しま~す」

マミ(壁の中に比べたら失礼だけれど・・・)

ほむら(やっぱり、それなりの家になるわよね)

杏子「ふー、やっと座れるよ。あ、寝転がっていい?」

さやか「おーう、楽にしたまえ。そんな事でこのさやかちゃんは
 目くじらを立てたりしないぜっ!」

杏子「んじゃお言葉に甘えて・・・」ゴロン

マミ「もう、佐倉さんたら・・・ごめんなさいね、こんな子で」

さやか「気にしなくていいよ。こんなボロい家でも、
 くつろいで貰えるなら良かった良かった」



ほむら「早速だけれど、壁の中であなたの事を探している人が居たの。
 美樹さやか、上条恭介と志筑仁美という名前に心当たりがあるかしら?」

さやか「ああ、あの2人かぁ。元気でやってた?」

ほむら「ええ。2人とも、あなたの事を心配していたわ」

さやか「そっか。それを聞けただけでも、アタシは嬉しいよ。
 ほむら、どうもありがとうね」

ほむら「感謝されて嬉しいわ。あなたから彼らに伝えたい事は
 何かあるかしら?」

さやか「・・・うーん・・・」

さやか「・・・お幸せに、かな」

ほむら「それだけでいいの?」

さやか「うん。どの道、アタシは壁の中に戻れないしね」

ほむら「分かったわ。確かに伝えるわね」

さやか「頼むよっ!お礼に何でもアタシに聞きたまえ!
 分かる事があれば、教えるからさ」


177[saga]:2011/07/02(土) 09:52:06.37 ID:jYWhZjsG0
まどか「えっとね、私達はソウルジェムって宝石を探して
 旅をしているの。さやかちゃん、心当たりはないかな?」

さやか「ソウルジェムねぇ・・・この村の北に、古き神々の遺跡が
 昔はあったみたいなんだけど」

マミ「けど?」

さやか「私が生まれるよりもずーっと昔に、それは地震で壊れて
 地中に埋まっちゃったみたいなんだ。ビーナスの探検隊も
 何度かそのあたりを調べたらしいけれど、何も見つからないんだって」

杏子「地面の中にソウルジェムかぁ・・・穴掘りでもして探すか?」

ほむら「気が遠くなりそうな作業ね・・・」

さやか「後は、ソウルジェムがあるかなんて分からないけれど
 都会の下水道。あそこには、まだ使える物が沢山流されてくるんだ」

まどか「下水道に?あるのかなぁ・・・」

マミ「可能性はあるわね。あの街の住人達の性格を考えたら、
 下水道なんて調べてないんじゃないかしら?」

杏子「なるほどなー」

ほむら「ところで、この世界にソウルジェムはいくつあるのかしら」

マミ「あ、忘れていたわ。どれどれ・・・」

 - この世界に残るソウルジェムはあと 14 -

まどか「こんなにあるの!」

杏子「ひゃー・・・これは全部集めるのに、骨が折れそうだな」

ほむら「嘆いていても始まらないわ。私達の出来る事をしなくては」

マミ「その意見については同意するわ。少しずつでも、私達は
 前に進まないといけない。まずは下水道から調べてみましょう」

さやか「おっと、今から行くのは危険だよ。そろそろ日が落ちるから、
 真夜中のジャングルを歩くと迷っちゃうぜ~」

杏子「それじゃあここに泊めてくれよ。いいだろ?」

さやか「なんというふてぶてしさ・・・!けどそこが気に入った!
 こんなボロ家で良ければ、どうぞごゆっくり!」


178[saga]:2011/07/02(土) 09:52:46.07 ID:jYWhZjsG0
 空を埋め尽くす星の数。
その下に立ち、思いを巡らせている暁美ほむら。



ほむら(・・・・・・)

ほむら(・・・小さくな~れ・・・)

ほむら(いつの日か、また巨人族の世界を探してみよう)



さやか「ほむら?」

ほむら「あら、美樹さやか。眠れないの?」

さやか「うん・・・ちょっとね。ほむらこそ、何してたの?」

ほむら(・・・言えるか)

ほむら「少しね、考え事を」

さやか「そっか。アタシもなんだ」

ほむら「悩みでもあるのかしら?私で良ければ聞くわよ」

さやか「・・・ほむらがあの2人の事を知らせてくれた事に、
 本当に感謝している。ありがとう」

ほむら「そんな。たかが伝言でしょう?」

さやか「ううん。あの2人がアタシの事を考えてくれていただけで、
 アタシにとってはこの上なく大事な事だったんだ」

ほむら「そう。事情は分からないけれど、そういう事なら
 素直に感謝を受け取っておくわ。
 けれど、それがあなたの悩みなの?」

さやか「・・・ほむらはさ、恋愛とか恋バナに興味ある?」

ほむら「・・・叶わぬ恋をしている最中よ」

さやか「へえ、アンタほどの美人がそんな悩みを持っているなんてね」

ほむら「お世辞を言われても何も出ないわ。けれど、私は諦めたりはしない。
 どんなに時間がかかっても、どんな障害が待っていても、
 やり遂げる覚悟は出来ている」ファサッ


179[saga]:2011/07/02(土) 09:53:14.06 ID:jYWhZjsG0
さやか「・・・ほむらはアタシが思っていたより強いんだね」

ほむら「自分を曲げない事には自信がある。
 ・・・私にだけ話をさせてずるいわ。あなたはどうなの、美樹さやか」

さやか「そうだね・・・あるところに、3人の仲良しさんが居ました。
 幼い頃は本当にそうだったんだ。けれど、そのうちの1人を巡って
 残りの2人がだんだん対立していったの」

ほむら「・・・うん」

さやか「あ、対立ってのは言いすぎか。んー、何て言うのかな。
 お互いに遠慮し合ってるって感じ?2人とも、その1人の事が
 好きで好きでしょうがなかった。けど2人とも、それを理解していたんだ。
 だから、3人は付かず離れず。そんな関係を保っていた」

ほむら「その取り合いになっている1人はどう思っていたの?」

さやか「今でもアタシには分かんないや。けれど、その2人の内の
 片方が、運悪く3人の輪の中から外されてしまったの」

ほむら「・・・そう」

さやか「正直に言うと、諦めきれない。けれど、その事で
 残された2人がくっついてくれるなら・・・
 それはそれでいいかな、そう思っていたんだ。
 2人とも、アタシの大事な友達だったんだもん」

さやか「だから、ほむらが2人の事を教えてくれただけで、
 アタシにとってはすごく重要な事だったんだ。
 今でもあの2人は、私の事を友達と思ってくれているんだな・・・って・・・」


 声にはいつしか嗚咽が混じっていた。
その感情は、喜びなのか。悲しみなのか。後悔なのか。
それは話を聞いていた暁美ほむらにも分からなかった。


180[saga]:2011/07/02(土) 09:54:45.67 ID:jYWhZjsG0
ほむら「あなたは、自分に嘘を付いていないと言い切れるかしら」

さやか「・・・わかんない」

ほむら「本当にあなたの伝言を、2人に伝えてもいいのかしら」

さやか「・・・わかんないんだよ」



 彼女にしては珍しく、荒々しい様子で
暁美ほむらは美樹さやかの胸倉を掴む。



ほむら「分からない分からない、それがあなたの答えなの?」

さやか「・・・なんで怒ってるのさ」

ほむら「あなたから持ち出した話題なのに、あなたの語る愛は
 あまりにも希薄すぎる。そんなものを恋愛と呼ぶなんて、
 それは私への侮辱と受け止めるわ」

さやか「だったらどうしろって言うのさ!私はもう壁の中に入れないんだよ!」

ほむら「それがあなたの逃げるための言い訳なの?
  どんなに時間がかかっても、どんな障害が待っていても、
 私はやり遂げる覚悟は出来ていると言ったはず」

ほむら「あなたは挑戦する事すら諦めた、只の臆病者よ」

さやか「アタシの気持ちも知らないクセに、偉そうに言うな!」

ほむら「何度でも言わせてもらうわ。このまま逃げ続けて、
 あなたは後悔した気持ちを引きずったまま、ここで歳を取っていくの?
 それがあなたの覚悟なの?」

さやか「うるさいっ!」バチン

ほむら「っ!・・・臆病者」バチン

さやか「うるさい!」バチン

ほむら「臆病者!」バチン

さやか「・・・!」バチン

ほむら「・・・!」バチン


181[saga]:2011/07/02(土) 09:55:20.45 ID:jYWhZjsG0
まどか「ふぁ~・・・」

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「おは・・・えええ!」

マミ「っ!」ビクッ

杏子「なんだなんだ!ってオイ!」

マミ(よ、よだれが・・・)ゴシゴシ

まどか「ほむらちゃん、その顔・・・」

ほむら「大した事ではないわ」ファサッ

杏子「いや、そんな膨れたツラで澄ました仕草されても・・・」

マミ「あらあら、これじゃあ暁美おたふくほむらさんね」ニヤニヤ

ほむら「・・・そうね。否定はしない」

マミ(あるぇ~?)

さやか「お、みんな起きたね。おはよ~さん!」

まどか「あ、おは・・・えええ!」

杏子「アンタら・・・喧嘩でもしたのか?」

ほむら「虫さされよ」

さやか「転んじゃってさ。アタシってほんとバカ」

まどか(・・・どうしよう)

マミ「ちょっと暁美さん、後で説明しなさいよね」ボソボソ

ほむら「話す事なんて何もないわ」ファサッ

杏子「2人とも話したくないなら、いいんじゃねえか?」ボソボソ

ほむら「さあ行きましょう。ここに長居は無用だわ」

さやか「・・・気ぃつけてね」

ほむら「美樹さやか。あなたの伝言は保留しておくわ。よく考えなさい」

さやか「・・・余計なお世話だ。出てけよ・・・」


182[saga]:2011/07/02(土) 09:55:58.64 ID:jYWhZjsG0
--- ビーナスの大都会 下水道 ---

 基本的には、いつもと変わらない様子で少女達は歩いていた。
なるべくその事実に触れないように、ジャングルを掻き分けて進む。
そうして見えてきた大都会の壁に、小さな下水道への入り口。



杏子「お、ここだな。さやかの言ってた通りだ」

まどか「・・・やっぱりほむらちゃん、ヘンだよ。さやかちゃんと
 何があったの?」

ほむら(・・・言えるか)

ほむら「私と美樹さやかの事を思ってくれるなら、その話題は
 なるべく避けて欲しいわ」

マミ「そうは言っても・・・」

ほむら「お互いに価値観に違いがあったのよ。
 それをお互いに許すことが出来なかった。それだけよ」

杏子「めんどくせぇなぁ・・・ま、言いたくなったらでいいから
 いつかは教えてくれよ」

ほむら「ええ。その機会は当分先になるでしょうけれど」

マミ「仕方ないわね・・・行きましょうか」



 彼女達は階段を下りだす。そして猛烈な悪臭が彼女達に襲い掛かる。
美を誇る大都市の醜い部分が、全てこの下水道に垂れ流されていたのだ。



杏子「クッセェ!覚悟していたとはいえ、これはキツいなぁ」

マミ「ハンカチで口と鼻を覆うと、少しはマシよ・・・」

まどか「こんなところでソウルジェムを探すのかぁ・・・」

ほむら「この程度で怯んでいては、この先を進めないわ。
 みんな、頑張りましょう」


183[saga]:2011/07/02(土) 09:56:28.61 ID:jYWhZjsG0
マミ「・・・・・・」

ほむら「・・・・・・」

まどか「・・・ねえ、何か喋ろうよ・・・」

杏子「喋ると臭いが口から入るんだよ・・・」



マミ「ド」

ほむら「ア」

杏子「だ」

まどか「ね」ガチャ



杏子「た」

ほむら「か」

マミ「ら」

まどか「ば」



マミ「・・・最後、誰か言いなさいよ・・・」

ほむら「2回も口を開けたくないわ」

杏子「もう開けてるじゃねえか。最後くらい言ってくれよ」

まどか「もう普通に話そうよ・・・」

 - 力のソウルジェムを手に入れた -

 - 素早さのソウルジェムを手に入れた -

 - 魔力のソウルジェムを手に入れた -



 - 宝箱の中身は モンスターだった -


184[saga]:2011/07/02(土) 09:57:01.25 ID:jYWhZjsG0
まどか「え?」

 あくまは ファイアで
 マミさんを こうげき
 マミさんに 319のダメージ

マミ「ぐっ・・・」

ほむら「しっかりして。ケアル!」キュイーン

マミ「ありがと。やってくれたわね・・・!」

杏子「マミ、待て!手榴弾は・・・!」

 マミさんは しゅりゅうだんで
 あくまを こうげき
 あくまに 267のダメージ

ほむら「み、水しぶきが・・・!」

まどか「そんな事を言ってる場合じゃないよっ!」

 まどかは ライトセーバーで
 あくまを こうげき
 あくまに 394のダメージ
 あくまは たおれた

杏子「やったな・・・色んな意味で」

マミ「飛び散る汚水のシャワー。もう何も怖くない」

ほむら「魔法攻撃には、巴マミの重装甲も役に立たないのね・・・
 これからはこんな魔物が増えていくのかしら」

まどか「今みたいな敵は、急いで倒さないといけないね。
 ・・・それにしても、この服についたシミ、取れるのかなぁ・・・」

マミ「もうソウルジェムも見つかったし、このまま引き返すというのは・・・」

杏子「まだ奥に道があったからな・・・」

ほむら「残念ながら、まだまだ私達の冒険は終わらないわ」

まどか「みんな、頑張ろう・・・」


185[saga]:2011/07/02(土) 09:57:31.18 ID:jYWhZjsG0
ほむら「道がないわね・・・行き止まりかしら」

まどか「ほむらちゃんは現実から目を背けてるよ!
 見て!階段があるんだよ!」

杏子「この水路へ降りる階段はどう見ても・・・」

マミ「下水風呂への突入ツアーです・・・」



杏子「で、誰から突入する?」



ほむら「誰からですって?私達は一丸となって
 ソウルジェムを目指しているのよ。全員が行くに決まっているじゃない」

マミ「じゃあ、暁美さんからどうぞ」

ほむら「・・・・・・」ゴクッ

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「・・・こうしましょう・・・」



4人「「さいしょはグー。じゃんけんぽん」」


186[saga]:2011/07/02(土) 09:58:16.53 ID:jYWhZjsG0
マミ「うああ・・・うわああん・・・」ザバザバ

まどか「マミさん・・・」グスッ

マミ「だれがぁぁぁ。いっじょにぎでよぉぉぉ」ザバザバ

杏子「・・・次、誰が行くんだ・・・」

ほむら「・・・・・・」

まどか「・・・・・・」

マミ「うぐっ・・・グスッ・・・」ピンッ

杏子「おい!今、何のピンを抜いたんだよ!」

マミ「みんないっじょにじぬしかないじゃない!!」ポイッ



 手榴弾の爆発と共に、舞い上がる汚水のシャワー。
それを全身で受けた彼女達は、もはや観念せざるを得なかった。



4人「「もう何も怖くない」」ザバザバ



まどか「あそこに水から上がるための階段があるよ!」ザバザバ

杏子「何だよ!せっかく楽しくなってきたところなのに!」ザバザバ

ほむら「いつか、みんなでプールか海に行きたいわね!
 こんな所で思い出作りなんて嫌だもの!」ザバザバ

マミ「その前にお風呂からね!こんな所の探検はさっさと終わらせて
 宿に直行するの!魔法少女達の合同お風呂記念パーティーよ!」ザバザバ


187[saga]:2011/07/02(土) 09:58:55.34 ID:jYWhZjsG0
まどか「ほら、みんな見て!ドアがあるよ!」

ほむら「ここにもソウルジェムがあるのかしら!
 早速、行ってみましょう!」ガチャ

杏子「また4つの宝箱か!どれがハズレなんだろうな!」

マミ「ハズレとも限らないわよ!みんな開けちゃいましょう!」

 - 防御のソウルジェムを手に入れた -

 - 氷のソウルジェムを手に入れた -

 - 宝箱の中身は モンスターだった -

 まどかは ライトセーバーで
 あくまを こうげき
 あくまに 419のダメージ
 あくまは たおれた

ほむら「さすがはまどかね!」

まどか「うん!任せてよ!」

 - 稲妻のソウルジェムを手に入れた -

杏子「まだ奥に続く通路があったよな!もう最後まで探そうぜ!」

マミ「ええ、行きましょう!」



4人「「めざめたこーころはーはしりだしたー
 みーらいをーえがくためー♪」」


188[saga]:2011/07/02(土) 09:59:22.82 ID:jYWhZjsG0
--- ビーナスの大都会 ---

ほむら「あれ、ここは・・・」

マミ「この建物・・・ビーナスの宮殿の中に繋がっていたのかしら?」

まどか「このドアから外に出れそうだよ。かんぬきがかかっているけれど」

杏子「知るか。さっさと宿に行こうぜ」カチャン



女「ちょっと、あなた達・・・クサッwww」

男「何だ何だ・・・くせえwwwwww」

杏子「・・・人が集まる前に逃げるぞ・・・!」


 
 そうして、少女達は全力疾走でホテルを目指す。
痛いほど刺さる、通行人の視線と嘲笑。
それを掻い潜って宿に辿りついた彼女達は、
ホテルの従業員を説得するところからしなければならなかった。

 結局、普段の5倍の料金を払い、さらに新品の服を
部屋に届けてもらう条件を付けて、彼女達は部屋に転がりこんだ。
高級そうなカーペットに汚水の足跡を刻み込み、
彼女達は一斉に浴室へ向かう。

 もはや、順番待ちなどとは言っていられなかった。
合同風呂記念パーティーはここに実施されていたのだ。


189[saga]:2011/07/02(土) 09:59:58.44 ID:jYWhZjsG0
まどか「ふう・・・やっとすっきりしたよ・・・」

杏子「まだ臭いが残ってる気がする・・・」

マミ「服が届くまで、私達はバスローブ1枚で過ごすのね・・・」

ほむら「あの泥だらけの服をまた着れる?私は無理だわ」

ほむら「ところで、お願いがあるのだけれど」

まどか「急にどうしたの、ほむらちゃん?」

ほむら「上条恭介と志筑仁美について。
 一晩休んでから、私は彼らに会いに行こうと思うわ。
 そこに1人で行かせて欲しいの」

杏子「なんでだ?」

ほむら「ごめんなさい。今は話せない・・・
 あと、もしも彼らとあなた達が会う事があったら、
 美樹さやかと私達が会ったという事実を伏せておいて欲しい」

マミ「それも今は話せないの?」

ほむら「・・・彼らが彼らの問題にケリを付ければ、その時には話す。
 それまでは、お願い。黙って私の言う通りにして欲しい」

まどか「・・・分かった」

杏子「まどか?」

まどか「ほむらちゃんがこんな事を言うの、私は初めて聞いたよ。
 ほむらちゃんなりに、考えている事があるんだと思う」

マミ「そうね。彼らの事を一番理解しているのは、きっと暁美さんでしょうし。
 喧嘩をするほど仲がいい、ってね」

ほむら「そんな良い事でもないわ。私は、彼らの覚悟を知りたいだけ」

杏子「それなら、アタシも何も言わないよ。
 何だか分からないけど、上手くいくといいな!」

ほむら「元よりそのつもりよ」


190[saga]:2011/07/02(土) 10:00:30.15 ID:jYWhZjsG0
ほむら(喫茶店には居ないようね・・・)

ほむら(あ、この音・・・)

http://www.nicovideo.jp/watch/nm8322561



 大勢の聴衆に囲まれて、上条恭介はバイオリンを弾いていた。
ビーナスが認める音楽家である事を証明する、その綺麗な音色。
彼は演奏をしている最中に暁美ほむらと目が合う。
暁美ほむらは即座に首を振り、演奏を続けるよう促す。

 やがて演奏は終わり、彼女はようやく上条恭介の所へ行けた。



ほむら「素晴らしい演奏だったわ」

恭介「いえ・・・それより、さやかはどうでしたか・・・?」

ほむら「残念だけれど、美樹さやかと会う事は出来なかったわ」

恭介「そうですか・・・実は・・・」

恭介「僕と仁美の結婚が決まったのです」

ほむら「そう」

恭介「せめてこの事だけは、さやかに知らせたかったのですが・・・」

ほむら「それならば、知らせに行けばいいじゃない」

恭介「・・・居場所も知らないから、暁美さんに頼んだんじゃないですか。
 それに・・・知っていたところで・・・」

ほむら「その結婚を、美樹さやかは祝福してくれると思わないの?」

恭介「・・・・・・」

ほむら「上条さん、あなたは志筑仁美さんとの結婚を望んでいるの?」

恭介「・・・こんな事を言うのも、仁美に失礼だとは承知しています。
 けれど、僕にもそれが望みなのか分からないんだ・・・」

ほむら「あなた達の優柔不断さには、心底呆れ果てるわ。
 ・・・けれど、それを聞けて安心した。
 今度こそ、美樹さやかにはそう伝えておくわ」


191[saga]:2011/07/02(土) 10:01:07.24 ID:jYWhZjsG0
恭介「暁美さん・・・その口ぶりだと、僕達の事を・・・」

ほむら「最後に1つだけ聞くわ。もしも美樹さやかがあなたの前に
 現われたのなら。その時、あなたは決断を下せるの?」

恭介「・・・・・・」

ほむら「答えて」

恭介「・・・・・・」

ほむら「~っ!」バチン

恭介「っ!何を・・・!」

ほむら「これで目が覚めるかと思って。色男さん」

恭介「馬鹿にしないでくれ!僕だって・・・」

ほむら「いえ、あなた達は全員が馬鹿よ。
 ビーナスの支配に囚われて、それを自分への言い訳にしている。
 そんなもの、私は許さない」

恭介「・・・・・・」

ほむら「いずれ、私はあなたの前に再び現われるわ。
 その時までによく考えておく事ね」


192[saga]:2011/07/02(土) 10:02:18.31 ID:jYWhZjsG0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9531436

--- 追放者の集落 ---

まどか「・・・ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「何?」

まどか「その・・・怒ってるの?」

ほむら「そうね・・・怒ってるかもしれないわ。
 でも勘違いしないでね。あなた達に対して怒っているわけではない」

まどか「・・・それは良いんだけれど・・・」



杏子「やっぱりほむらを単独行動させたのはマズかったのかね」

マミ「うーん・・・何とも言えないわね・・・」

杏子「見た目には悪い方向に行っているような・・・
 っと、また地震・・・って、すげえ揺れだぞ!」



 少女達がこの世界に着いて、初めて体感したものと比べ
何倍の規模にも思える大きな地震。

 その地震の縦揺れにより、彼女達の体は地面から
トランポリンを跳ねているかのように浮き上がっていた。

 そして、はるか遠くに見える大地がひび割れて行くのを
彼女達は目にする。その場所は、以前に美樹さやかから
教えられていた、古き神々の遺跡があったと言われる場所。

 ひどく長く続いた揺れは、ゆっくりとおさまっていった。


193[saga]:2011/07/02(土) 10:02:53.95 ID:jYWhZjsG0
マミ「すごい揺れだったわね。みんな、大丈夫?」

杏子「ああ、怪我とかは何もないみたい」

まどか「村のみんなは大丈夫かな。さやかちゃん・・・」

ほむら「私が見てくるわ。美樹さやかとは話したい事もあるし」ダッ

まどか「あっ、ほむらちゃん!」

杏子「うーん・・・そろそろ止めたほうがいいかな・・・」

マミ「・・・もう少し、様子を見てみましょう」



ほむら「入るわよ」

さやか「なんだ、アンタか・・・どうしたんだよ。
 こっちは今の地震で、家の中がメチャクチャなんだ」

ほむら「上条恭介と志筑仁美が近いうちに結婚するわ」

さやか「・・・そんな事は、知らされなくても分かっていたさ」

ほむら「それともう一つ。上条恭介は、その結婚を心から望んではいない」

さやか「・・・なんでアンタがそんな事を?」

ほむら「あの男を引っぱたいて来たわ。あなたと同じように、
 ウジウジと煮え切らない態度を取っていたものでね」

さやか「恭介に手を上げたって言うの?」

ほむら「余計なお世話でしょうけれど、あなたに対して
 有益な情報を与えているつもりよ。
 あなたはまだ自分に嘘を付くの?美樹さやか」

さやか「・・・アタシは・・・」


194[saga]:2011/07/02(土) 10:03:31.41 ID:jYWhZjsG0
ほむら「私達は、これから古き神々の遺跡へ向かって
 ソウルジェムを探す事になるわ。
 それがいつ見つかるのかは分からないけれど」

さやか「・・・・・・」

ほむら「それが終わってからになるけれど・・・
 あなたが自分の覚悟を示す意思があるのであれば。
 あなたが壁の中へ入り込む決意があるのであれば、
 私はそれを手伝う事に反対はしない」

さやか「・・・アンタ・・・」

ほむら「私の仲間は何と言うかは分からないけれどね。
 きっとみんなも、反対はしないでしょう」

さやか「・・・・・」

ほむら「私の伝えたい事は以上よ。
 ソウルジェムを探し終わったら、またここに寄るわ。
 それまでによく考えておく事ね」



さやか「待って!」

ほむら「どうしたのかしら?」

さやか「・・・その・・・」

さやか「・・・悪かったね。手間かけさせちゃって」

ほむら「そこまで手間でもなかったわ。言いたい事はそれだけ?」

さやか「アタシなんかが手伝っても、何にもならないかもしれない。
 それでも、アタシにもソウルジェム探しを手伝わせて欲しいんだ」

ほむら「決意は固まったと捉えてもいいのかしら?」

さやか「覚悟は決めたよ」

ほむら「あなたはビーナスに真正面から歯向かう事になる。
 それでも・・・」



さやか「後悔なんて、あるわけない」


195[saga sage]:2011/07/02(土) 10:17:12.92 ID:jYWhZjsG0
*************************

ちょっと区切り。

そのまま続き書くとSaGa2原作を逸脱する流れになるので
安価で読者に決めて貰います。さやかを連れて行くか行かないか。

さやか 人間女 パワー系ファイター
ミスリルソードとケアルの書を装備
ステータス的にはまどかより素早さが低く
魔力が高いくらい。
参考にまどかステータス
mnbls8

1 連れていく
2 連れていかない 

下3安価の多数決、同一ID票無効

*************************

196 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (東京都) [saga sage]:2011/07/02(土) 10:22:03.79 ID:QJdERIvm0
せっかくだから連れて行こう

1。


197 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (大阪府) :2011/07/02(土) 10:27:36.60 ID:q2AoWcxAo
1

199 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (東京都) [saga sage]:2011/07/02(土) 11:02:24.81 ID:QJdERIvm0
そろそろSaGa2の名台詞が出てくる!
乙!

201 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/02(土) 18:33:50.33 ID:9yTlMt5+o
下水道といえばやどかりん先生

202[saga]:2011/07/03(日) 17:24:50.34 ID:f78h354d0
*************************

>>194から続き

*************************

203[saga]:2011/07/03(日) 17:25:47.00 ID:f78h354d0
まどか「ほむらちゃ~ん!さやかちゃ~ん!」

ほむら「あら、もう追いつかれたのね」

マミ「あらあら、家の中もひどい様子・・・
 美樹さん、怪我はなかった?」

さやか「はい、何ともないっす!」

杏子「無事で良かったなぁ。あんな揺れがいつも起きるのかい?」

さやか「いやー、今の地震は特別すごかったよ。
 ・・・おかげで、古き神々の遺跡に近づけるかもしれない。
 見てよ、あそこ。地面が割れているでしょ?」

まどか「あそこが古き神々の遺跡が埋まっている・・・」

さやか「そ。アンタ達のソウルジェム探しも、もしかしたら
 上手く行くかもしれないね」

ほむら「・・・・・・」チラッ

さやか「それでさ・・・もし良かったらなんだけど、
 アタシも連れていって貰えるかな?」

マミ「どうして急に?」

さやか「んー・・・まあ何、心境の変化って言うのかな・・・?」

杏子「・・・遊び半分で首つっこむワケじゃないんだよ」

さやか「遊び半分で行こうとしているわけじゃない」

ほむら「・・・・・・」

杏子「それなら、どういう事だか言ってみろよ」

まどか「ちょっと、杏子ちゃん・・・」

さやか「・・・・・・」

ほむら「・・・はぁ・・・」

204[saga]:2011/07/03(日) 17:26:16.43 ID:f78h354d0
ほむら「連れていってあげましょう」

杏子「話が見えねぇのがイラつく。理由を教えな」

ほむら「じきに、美樹さやかの口から話さざるを得なくなるわ。
 それに・・・」

ほむら「ここで時間を取ってしまっては、ビーナスの探検隊が先に
 古き神々の遺跡へ到着してしまうかもしれない。
 私達は、急がねばならないのよ」

杏子「言ってる事はもっともだけどよ・・・」

さやか「ごめん、杏子。アンタ達とはまだ会って間もないのに
 こんなお願いをするのが無茶だとは分かってる。
 伝える気持ちが固まったら、なんて言い方も失礼だけど、
 後で必ず理由を話すから・・・」

杏子「・・・・・・」

マミ「佐倉さん・・・」

まどか「杏子ちゃん・・・」

杏子「・・・納得したわけじゃねぇからな。
 ほむらとみんなに感謝しろよ」

まどか「さやかちゃん!えーと、よろしくね!」

さやか「おう、こう見えても結構やるんだぜ、アタシは!」

マミ「あらあら、それじゃあお手並み拝見と行きましょうか」



ほむら「助け舟を出すのはこれが最後よ」

さやか「・・・分かってる」

ほむら「理由を伝えるのが恥ずかしいとでも考えているの?
 あなたの覚悟に対して、失望させないで」

さやか(そんなんじゃないんだ・・・)


205[saga]:2011/07/03(日) 17:26:49.17 ID:f78h354d0
--- 古き神々の遺跡 跡地 ---

 その場所の地面は、多くのひび割れが生まれていた。
中でも目を引くひときわ大きい地割れの奥底に、
石造りの階段が見える。

 それは少女達が旅を始めた、最初の世界に存在していた
遺跡と同じ材質のものであった。
穴の上からそれを発見した巴マミが声をあげる。



マミ「みんな、ちょっとあれを見て」

ほむら「・・・明らかに人工物ね」

まどか「あの階段のある所から、遺跡に行けるのかな?
 ・・・それでも、ちょっと深いね・・・」

さやか「んじゃアタシ、様子を見てくるよ。よっと」ヒョイ

杏子「オイ、危ねーぞ!」

さやか「へーきへーき。こういうの慣れてるんだ」



 心配そうに見つめる少女達をよそ目に、
美樹さやかはどんどん穴の奥へと降りていく。
そうして、彼女は目標の階段まで辿りついていた。

 穴の上からは見えない、その階段の先を確認するために
彼女はランプに火を点ける。



さやか「・・・この階段の先に、通路が見えるよ。
 すぐに曲がり角になっててその先は分からないけど、
 迷路みたいになってるんじゃないかな」

ほむら「そう、分かったわ。私達も行きましょう」

まどか「・・・やっぱ降りなきゃ駄目だよね」

ほむら「大丈夫よ。まどかが足を踏み外しても、私が受け止めてあげるから」

まどか(だいじょう・・・ぶ・・・?)

さやか「足場はわりとしっかりしてたから、大丈夫だと思うよ!」


206[saga]:2011/07/03(日) 17:27:17.70 ID:f78h354d0
マミ「・・・ふう、わりと簡単に降りれたわね」

杏子「ほら、まどかも来いよー。平気だって」

まどか「ううう・・・」プルプル

ほむら(怯えたまどかをローアングルから眺める。絶景ね)

まどか「キャァァ!」ガラガラ

ほむら「よしk
さやか「まどか!危ない!!」ガシッ

まどか「・・・あ、ありがとう、さやかちゃん・・・」プルプル

さやか「くー、まどかは可愛いねえ!こんなにプルプルしちゃって!」

ほむら(オイィィ!お前は上条恭介が居るだろうがぁぁ!)ギロッ

さやか(や、やばい。めっちゃ睨んでる。
 独断でここに飛び降りたのが気に入らなかったのかな)

さやか「ご、ごめん。勝手なマネしてさ」

ほむら(あら、立場をわきまえてはいるようね。
 まどかの危機を救ったのは事実だし、ここは許してあげましょう)

ほむら「気にしなくていいわ。まどかを助けてくれてありがとう」

マミ「2人して顔を腫らしていた日がウソみたいね。
 案外、気が合うのかしら?」

杏子「アタシの勘は、何かが違うって叫んでる」

ほむら「ともあれ、全員無事に降りれたわね。
 さあ、この先へ進んでみましょうか」


207[saga]:2011/07/03(日) 17:27:49.85 ID:f78h354d0
マミ「いまさら、怖くなってきたわ・・・」

ほむら「あら、暗いのが苦手なのかしら?」

マミ「そうじゃなくてね。こんな地下の迷路を歩いている最中に
 また地震が起きたりしたら・・・」

杏子「うわぁぁ、それ考えてなかった。アタシまで怖くなっちゃったよ」

さやか「みんなして生き埋めかー。そして出口のない迷宮を
 アタシ達はゾンビとなってさまようのだぁ・・・」

まどか「さやかちゃん、シャレになってないよそれ・・・」

ほむら「何にせよ、長居をするのは確かに危険ね。
 どんどん進みましょう」



さやか「宝箱、発見!」

杏子「また魔物が潜んでいる宝箱かもしれない。
 みんな、戦う準備はしときなよ」

マミ「それでは美樹さん、それ開けて貰えるかしら?」

ほむら「さりげなく美樹さやかに危険な役を押し付けたわね、巴マミ。
 でも、私もそれに賛成よ」

まどか「みんなひどいよ!さやかちゃんは、私達を手伝ってくれてるんだよ!」

さやか「まどか・・・大丈夫、アタシからお願いして居候してるんだから。
 これくらいの仕事はさせてよ!」

まどか「それじゃお願いね、さやかちゃん!」

さやか「・・・なんでだろう。素直に任せろーって言えない」

杏子(前々から思ってたけど、絶対計算尽くで発言してるよなコイツ・・・)

 - ほのおのたてを 手に入れた -

さやか(ほっ・・・)

まどか「残念だったね、さやかちゃん!」

さやか「いや、コレでいいから!」


208[saga]:2011/07/03(日) 17:28:23.04 ID:f78h354d0
ほむら「盾と言えば恒例の・・・」

マミ「・・・・・・」ジーッ

ほむら「・・・・・・」チラッ

マミ「・・・・・・・」ワクワク

ほむら「美樹さやか、あなたは装備に余裕があるでしょう。
 この盾、使わないかしら?」

マミ「・・・・・・」ガーン

さやか「うーん、アタシが盾を持ってても使わないと思うからなぁ・・・
 盾を構える暇があったら、敵を切りつけてるかも」

ほむら「そうよね・・・えいっ」ポイッ

マミ「ゲットだぜ!」ペタッ

杏子「はいはい」ペリペリ

マミ「さようなら、あまり活躍の機会がなかったミスリルの盾・・・」グスッ

まどか「マミさん・・・」グスッ

さやか「・・・泣くところだったの?」グスッ

杏子「様式美みたいなもんさ。マネしなくていいよ」

マミ「あまり使っていないから、そこまでは痛んでいないわ。
 そのミスリルの盾、あげるわよ」

さやか「それじゃあ、せっかくだし頂いておきますね。
 ありがとう、マミさん!」

マミ(・・・マミスリルの盾・・・)

マミ(・・・口には出さないでおこうかしら・・・)

ほむら(ろくでもない事を考えている顔だわ)

まどか「みんな、あそこに何かいるよ・・・」

杏子「コウモリ・・・?いや、飛行型のロボットか?」

ほむら「古代の遺跡を守っているのかもしれないわね。
 ・・・こっちに向かってくるわ」


209[saga]:2011/07/03(日) 17:28:49.44 ID:f78h354d0
 シュピーゲルは しゅりゅうだんで
 マミさんを こうげき

マミ「ちょっとぉぉ!」ガバッ

杏子「いつ崩れるかも分からないのに手榴弾なんて・・・!」

 マミさんに 154のダメージ

ほむら「巴マミ、あなたが手榴弾に
 覆いかぶさってくれたおかげで助かったわ。ケアル!」キュイーン

まどか「えーい!」

 まどかは ライトセーバーで
 シュピーゲルを こうげき
 シュピーゲルに 375のダメージ
 シュピーゲルは たおれた

マミ「結構痛かったわ・・・これで一件落着・・・
 って、もう1体!こっちに来ているわよ!」

杏子「マジで危ねぇって!やらせるか!」

 きょうこは 2かいこうげきで
 シュピーゲルを こうげき
 2かい ヒット
 シュピーゲルに 191のダメージ

杏子「あれ?”カラドボルグ”の能力、あんまし強くねぇ」

マミ「どどどうしよう、私は手榴弾を使えないわ」

さやか「これでトドメだぁ!」

 さやかは ミスリルソードで
 シュピーゲルを こうげき
 シュピーゲルに 213のダメージ
 シュピーゲルは たおれた

ほむら「・・・もう続きは来ないようね」

まどか「やったぁ!すごいよ、さやかちゃん!」

さやか「へっへー、どんなもんだい!」

マミ「素晴らしいわ!美樹さんのマ・・・・・・ミスリルソード捌きは!」キリッ


210[saga]:2011/07/03(日) 17:29:15.62 ID:f78h354d0
マミ(分かる人には分かってくれるでしょう。
 これだけの高度なネタ、眠らせておくには惜しいわ)

杏子「・・・マミ。今、なんつった?」

マミ「え?」

マミ(リスペクトされているわ。自分の才能が怖い)

マミ「・・・もう、仕方ないわね。マ・・・ミスリルソード捌きと言ったのよ」ドヤッ

ほむら「・・・・・・」チラッ

杏子「マミ、屋上へ行こうぜ・・・
 久しぶりに・・・キレちまったよ・・・」ガシッ

ほむら「・・・・・・」ガシッ

マミ「え?ちょ、ちょっと?」ズルズル



まどか「マミさん・・・私、弱い子で・・・ごめんなさい」グスッ

さやか「・・・これも様式美なの?」

まどか「ううん、これは今回が初かな?」

さやか「あ、そう・・・それにしても、まどかの剣さばきもすごいよね。
 ライトセーバーとミスリルソードじゃ、同じくらいの強さの武器だと
 思っていたんだけどなぁ」

まどか「きっとソウルジェムのおかげだよ。
 私は、素早さのソウルジェムを持っているから」

さやか「これがソウルジェム・・・キレイだね」

まどか「うん。この宝石が秘めている力を、誰にも悪用させたりしない。
 それが私達の旅の目的なんだよ」

さやか「そっか・・・みんな、頑張っているんだね」

まどか「でも、みんなのおかげで楽しい旅なんだよ!
 色んな事があってね。今度、さやかちゃんにも教えてあげるね!」

さやか「うん、楽しみにしとくよ・・・」

まどか(あれ?あんまり聞きたくないのかな?)


211[saga]:2011/07/03(日) 17:29:47.89 ID:f78h354d0
マミ「えぐっ・・・ひぐっ・・・」

杏子「ヤキ入れてきた」

まどか「ヤキって・・・杏子ちゃん、マミさんに何をしたの!」

ほむら「手はあげてないわ。執拗に言葉攻めをしただけよ」ファサッ

さやか(・・・マジ泣きじゃん・・・)

マミ「鹿目さぁん・・・最近、みんなが冷たいわぁ・・・」グスッ

まどか(えーと、どうするんだっけ・・・)

まどか「違うんです!みんな、私達のリーダーであるマミさんを
 頼りにしているんです!
 だから、リーダーがうわついた言葉を出した事に・・・その・・・」

杏子(超苦しい)

ほむら(言葉に詰まるまどかマジ天使)

マミ「・・・・・・」

さやか「マミさん?」

マミ「その通りよね・・・リーダーたる私が、
 軽い気持ちで居てはいけないのよ・・・私、やっぱりダメな子だ」グスッ

まどか「それでも頑張ってるマミさんに、私、憧れてるんです!」グスッ

さやか「イイハナシダナー」

杏子「さやか?アンタまでソッチに行っちまうのかい?」

さやか「んー、アタシは中立の立場を取ろうかと・・・」

ほむら「あまり褒められたものではないわ。
 何事でも、ハッキリと決める事が重要よ」

さやか「・・・分かってる。まだアタシがついてきた理由、言ってなかったもんね」

ほむら(あ、そんなつもりで言ったわけじゃなかったんだけど)

さやか「ここから出たら・・・必ず話すよ」

ほむら「・・・そうするのが賢明ね」ファサッ


212[saga]:2011/07/03(日) 17:30:23.90 ID:f78h354d0
 襲い掛かる戦闘メカを撃破しながら、少女達は
遺跡を歩いて行く。迷路のように入り組んでいたとはいえ
その遺跡は1本道であり、やがて彼女達は目的へと
辿りつく事が出来た。



杏子「お・・・見ろよ。外の光が差し込んでるぞ」

ほむら「・・・この壁、巴マミの手榴弾で破壊できないかしら?」

マミ「行くわよ・・・ティロ・フィナーレ!」ポイッ



マミ「やっぱり投擲物にティロ・フィナーレは合わないわね・・・」ドーン

まどか「でも、マミさんのおかげで外への出口が作れました!
 やっぱりマミさんは頼りになるなぁ」マドマド

マミ「ふふふ、困った事があったら何でも私に話してね?」

さやか「色々とすげぇ・・・!」

杏子「あれがマミのいい所さ。多分」

ほむら「光が差すまで気付かなかったけれど、
 あそこに宝箱が3つ置いてあるわ」

 - 力のソウルジェムを手に入れた -

 - 炎のソウルジェムを手に入れた -

 - 毒のソウルジェムを手に入れた -

さやか「ソウルジェム・・・」

マミ「ここまでほとんど1本道だったし、もう他にはなさそうね」

杏子「じゃあ、今日はこれで探検は終わりにすっかね」

まどか「ちょっと疲れちゃったしね」

ほむら「美樹さやか。帰りましょう」

さやか「うん・・・そうだ、みんなウチで休んでいきなよ。
 それと・・・みんなに大事な話をしたいんだ」

ほむら「やっと話す気になったのね。それでは、行きましょうか」


213[saga]:2011/07/03(日) 17:30:57.50 ID:f78h354d0
--- 追放者の集落 ---

さやか「とりあえず、喉かわいたでしょ?飲み物持ってくるね」

杏子「おー、気が利くね!頼むよ~」

マミ「佐倉さんったら・・・それにしても、こんなに勿体ぶって
 美樹さんはそんなに大事な事を話すの?」

ほむら「私から見れば大した事ではないのだけれどね。
 美樹さやかにとっては、言いにくい事みたい」

まどか「何を言われるのかな・・・ちょっと緊張しちゃうな・・・」

ほむら「少しは覚悟をする必要があるかもしれないわ。
 それでも、美樹さやかの話にみんなは同意をするはずよ」

杏子「覚悟って・・・荒っぽい事になるのなら、あまり乗り気はしないよ」

ほむら「美樹さやかの話を聞いてから、判断して欲しい」



さやか「お待たせ~。ジャングルで取れる、ココナッツジュースだよ!」

まどか「いただきま~す」

マミ「ちょっと甘みがあって、さっぱりしてて・・・」

杏子「これウメーなぁ!」

ほむら「うん・・・悪くないわね」



さやか「それでは、みんなに大事な話があります!
 ・・・というより、お願いなんだけれど」

まどか「はい、どうぞ!」

マミ「そんなにかしこまらなくてもいいのよ。ゆっくり話してね」

杏子「ちょっと疲れたから、また寝転がらせてもらうよ」ゴロン

ほむら「佐倉杏子・・・話を聞く時くらい、ちゃんと座りなさい」

さやか「いいよいいよ、私の都合を押し付けるんだから。
 楽に聞いてて欲しいな」


214[saga]:2011/07/03(日) 17:31:32.60 ID:f78h354d0
さやか「アタシ・・・上条恭介の事が、すっすす好きです!」

まどか「おー」パチパチ

杏子「潔いねえ、そういうところキライじゃないよ」

さやか「でも、もう恭介には婚約者が居るの。
 けど、アタシは自分の気持ちを伝えるまでは、諦めきれない」

さやか「何とかして、壁の中にもう1度だけ行きたいの。
 でも、アタシはビーナスに追放された身分だから
 すんなりとは中に入れない」

マミ「なんとなく話は見えて来たわ」

ほむら「最後まで話をさせてあげて」

さやか「そうなると、壁の出口の門番をどうにかして、
 無理やりに壁の中に入る必要が出て来る」

さやか「・・・その手伝いをして欲しいって、
 みんなにお願いをしようと思ってた。けれど・・・」



まどか「・・・・・・」

杏子「・・・くかー・・・」

マミ「ちょっと佐倉さん。話の最中に寝るなんて・・・」

ほむら「・・・これは・・・」



さやか「アタシはもうとっくにビーナスに睨まれているから、
 どうなろうと構わない。けれど、みんなはそうじゃない。
 アタシなんかのために、みんなまでビーナスの敵になる必要はない」

マミ「・・・・・・」

ほむら「・・・美樹さやか・・・あなた飲み物に何か入れたわね・・・」



さやか「だから、アタシは1人で壁の中へ行く事に決めたんだ」


215[saga]:2011/07/03(日) 17:32:02.48 ID:f78h354d0
まどか「・・・・・・」

杏子「・・・くかー・・・」

マミ「・・・スー・・・」

ほむら「・・・・・・」



さやか「そんな奇麗事を口では言っておきながら」

さやか「みんなが聞こえなくなってから続きを話すアタシは、卑怯者だ」

さやか「みんながどんな思いでこれを集めてきたのか、それすらも知らないのに」

さやか「アタシは、自分の力が足りないと理解している」



さやか「ごめんね・・・みんな・・・」

さやか「私利私欲のためにソウルジェムの力を使うアタシは、もう悪人だよ・・・」

さやか「・・・それでも、諦められないの・・・」



さやか「・・・生きて戻れたら、必ず返すから・・・」

さやか「・・・本当・・・に・・・ごめん・・・」


216[saga]:2011/07/03(日) 17:32:39.22 ID:f78h354d0
まどか「・・・・・・」

杏子「・・・くかー・・・」

マミ「・・・スー・・・」



ほむら「・・・・・・!」

ほむら「みんな、起きて!」

まどか「・・・んん・・・」

杏子「・・・アレ、寝ちゃってたのか・・・」

マミ「・・・美樹さんは・・・?」

ほむら「多分・・・ビーナスの街へと向かったんだわ・・・」

杏子「えっと、上条恭介が好きだって言ってて・・・」

マミ「壁の中へ行きたいとまでは聞いたわ・・・」

まどか「さやかちゃんは壁の門を通れるの・・・?」

ほむら「通れるワケがないわ。
 美樹さやかは、力づくで門を突破しようと考えているはず。
 もしくは、下水道の中から街に侵入するか・・・」

マミ「大変・・・!どっちにしろ、1人じゃ危険すぎるわ!」

杏子「すぐに追いかけないと!」

ほむら「幸い、外がまだ夕暮れ前なのを見ると
 そこまで長く眠っていたわけではなさそうね。
 まずはここから近い、壁の門から見に行きましょう」

まどか「うん。急ごう、みんな」


217[saga]:2011/07/03(日) 17:33:16.18 ID:f78h354d0
--- ビーナスの大都会 ---

 その門に駆けつけた頃には、日はすっかり落ちていた。
少女達は、倒れている2名の門番の姿を目にする事になる。
多少は傷を負っているものの、彼女達が声をかけると
彼らは意識を取り戻していた。



まどか「大丈夫ですか?」

門番A「う・・・青い髪の女の子が・・・」

ほむら「こっちに来ていたのね・・・!」

門番B「くそ、こうしては居られない。すぐに警報を!」

マミ「あ・・・!」



 静止する間もなく、鳴り響くサイレンの音。
それは外部からの侵入者に対する、この街の備えであった。



門番A「お前達、あの女を知っているのか?」

杏子「いいや、しらねー」

門番B「もうすぐ街には警戒網が敷かれる。青い髪の女を見つけたら
 すぐに警官に知らせるように。分かったな?」

ほむら「分かりました。行きましょう、みんな」



ほむら(この門番達の装備品・・・かなりの高級品で身を固めている)

ほむら(それを美樹さやかは、1人で気絶させるだけの余裕があったの・・・?)

ほむら「まさか・・・!」

マミ「どうしたの、暁美さん?」

ほむら「みんな、ソウルジェムの数を数えてみて!」

杏子「・・・あっ!力のソウルジェムが1コ足りねーぞ!」


218[saga]:2011/07/03(日) 17:33:52.17 ID:f78h354d0
まどか「そんな・・・さやかちゃんが盗んで行ったっていうの・・・?」

ほむら「状況から見て、そうとしか考えられない」

マミ「なんでそんな事を・・・」

ほむら「・・・きっと1人で責任を背負おうとしているのよ」

杏子「責任?」

ほむら「ビーナスの敵側に立つという責任よ」



まどか「・・・私達を巻き込まないようにするため?」

マミ「だからって・・・こんなの・・・」

杏子「・・・まずは事情を話せってんだよな・・・」

ほむら「私が美樹さやかと喧嘩をした理由、
 なんとなく分かってくれたかしら」



まどか「・・・探し出さないとね」

杏子「言ってわからねぇバカとなりゃ・・・殴るしかないよね」

ほむら「今度こそは、容赦しないわよ・・・美樹さやか」

マミ「穏やかじゃない事を言わないで・・・
 まずは、美樹さんを見つけ出さないと」



 街頭のきらめく街並みを走り出す。
サイレンの音は鳴り続け、街には警官が溢れる。
通行人は、彼らの捜査の妨げにならぬよう
警官に足を止められ、家に帰るように伝えられていた。


219[saga]:2011/07/03(日) 17:34:27.82 ID:f78h354d0
女A「今日は遊ぼうと思っていたのに・・・外出禁止とかありえなくない?」

女B「ほんとよね、侵入者とかマジ勘弁」

女A「こんなので明日の結婚式、本当にやるのかしら」

女B「やると言ったらやるからね、ビーナス様」

ほむら「ちょっとごめんなさい」

女A「は?アンタ、誰?」

ほむら「お願い、聞かせて欲しいの。明日の結婚式って誰のかしら?」

女B「この街に居て知らないとか、相当じゃない?
 上条恭介と志筑仁美の結婚式だよ。
 モールの方に行けば、けっこー宣伝しているよ」

女A「あ、アンタ達、きっと冒険者ね。だって服装が汚いもの」クスクス

ほむら「そんな、いくらなんでも結婚式が急すぎるわ・・・」

女B「ウチも急だとは思ったけどさ。
 ビーナス様がそうと決めれば、その日に行事が行われるのがこの街よ。
 アンタ達の住んでいる所じゃ違うわけ?」

ほむら「・・・ありがとう。時間を取らせてごめんなさい」



ほむら「・・・だそうよ」

まどか「どうしよう・・・こんなにお巡りさんがいるんじゃ、
 さやかちゃん見つかっちゃうよ・・・」

杏子「外出禁止令ってなぁ・・・アタシらは外にいて平気なのかね」

マミ「分からないけれど、とりあえずは美樹さんを探さないと」



警官「おい!こんな所で何をしている?」

まどか「あ・・・」

警官「ん・・・お前達は冒険者か。
 ビーナス様から送られてきた書類に、お前達の事は書いてあったぞ」


220[saga]:2011/07/03(日) 17:34:54.38 ID:f78h354d0
ほむら「もし良ければ、侵入者を探すのに協力するわ」

警官「それには及ばない。我々には十分な戦力がある。
 それに・・・」

警官「本音を言ってしまえば、外部の人間を信用するわけには行かない。
 お前達もあらぬ疑いをかけられたくなければ、素直に宿に戻るといい」

杏子「・・・どうするよ」ボソボソ

マミ「・・・・・・」

ほむら「・・・分かりました」

警官「聞き分けが良くて助かる。宿までは送って行こう」



警官「ここだな。明日の朝になれば、外出禁止令も解かれる。
 それまでは、ゆっくりしているんだな」

ほむら「ありがとうございました」



まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんを探さないの?」

杏子「あんな警官、ちょっと殴れば気絶させられたぜ?」

ほむら「警官があの1人だけであれば、それも良かったかもしれない。
 けれど、それをやってしまえば、私達はこの街中を敵に回すわ」

杏子「ハッ、そんなんにビビってられねーだろ」

マミ「彼らは決して、悪人というわけではないわ。
 自分の街を守るために自分の仕事をしているだけ。
 私達の都合で危害を加えるのもどうかと思うわ・・・」

まどか「でも・・・それじゃあ、さやかちゃんが・・・」

ほむら「・・・今、騒ぎを起こしてしまえば、
 それこそ私達は身動きが取れなくなるわ」

杏子「・・・けどよぉ・・・」


221[saga]:2011/07/03(日) 17:35:22.99 ID:f78h354d0
ほむら「今晩の間に美樹さやかがどうなるのか。
 うまく上条恭介と出会い、村に帰っているかもしれない。
 もしかしたら、警官に捕まってしまうかもしれない」

ほむら「村に帰れるようであれば、特に大きな問題はない。
 美樹さやかにお灸をすえて、ソウルジェムを返してもらうだけよ」

ほむら「警官に捕まってしまった場合。その時は、
 美樹さやかが囚われている牢を襲撃して、助け出しましょう。
 そのためには、今ここで騒ぎを起こすのはまずいわ」

まどか「・・・・・・」

杏子「・・・そうするしかねえのか・・・?」

マミ「牢屋の襲撃って言うのも物騒よね・・・
 その後、私達はどうするの?」

ほむら「さて、どうしましょうね。美樹さやかを連れて
 別の世界にでも隠れていましょうか」

まどか「・・・ふふっ」

ほむら「何かおかしかったかしら?」

まどか「ごめんね。ほむらちゃん、色々と考えているようで
 最後が行き当たりばったりだったから・・・」

ほむら「まったく、こうなったのは全部あの子のせいよ。
 何にせよ、きつくお仕置きをする必要があるわ」

杏子「全くだな。とりあえず、そうと決まったら部屋に行こうぜ」

マミ「そうね。今晩はぐっと我慢ね・・・」

まどか「うん・・・」



 じっと眠れぬ夜を過ごす。
朝になれば外に飛び出せるように、
食事と外出の準備だけ済ませた少女達は
ひたすら夜が明けるのを待っていた。


222[saga]:2011/07/03(日) 17:35:59.78 ID:f78h354d0
 コン、コン。
少女達の泊まる部屋に響くノックの音。
少しだけ空は明るくなっていたとはいえ、
まだ日も昇っていない時間であった。

 

ほむら「はい?」

女「早朝に失礼します。私はビーナス様の伝令役です。
 本日の上条恭介と志筑仁美の結婚式に、あなた方も出席するよう
 ビーナス様からお達しが出ております」

ほむら「・・・分かりました。結婚式は何時から?」

女「正午には始まります。それまでは、どうぞごゆっくり」



 拡声器に乗った音声が、外出禁止令を解除する事を
知らせていた。窓の外から、朝日が差し込む。
相変わらず、外には大勢の警官の姿も見えていた。



杏子「この様子だと、さやかのヤツ見つかってはいないようだな」

マミ「まだお昼までには時間があるわ。探しに行きましょう」

ほむら「私は上条恭介を当たってみるわ」

まどか「それじゃあ、さやかちゃんが見つかっても見つからなくても
 11時にはここに集合ってことで」


223[saga]:2011/07/03(日) 17:36:27.29 ID:f78h354d0
 警官隊が歩いている他には、まだ通行人もまばらな公園。
以前に得意な楽器を演奏していたその場所に、
上条恭介は座り込んでいた。



ほむら「こんなに朝早くに会えるなんてね。色男さん」

恭介「・・・あなたは・・・」

ほむら「美樹さやかは、あなたの前に現われたかしら」

恭介「何だって・・・!それじゃあ、昨日からの侵入者って・・・」

ほむら(この反応、美樹さやかは彼の前にも現われていないようね)

ほむら(・・・この警戒網じゃ、迂闊に動けないか)

恭介「教えて下さい!さやかは、この街に来ているんですか!」

ほむら「声が大きいわ。・・・確かに美樹さやかはこの街に居るはずよ」

恭介「そんな・・・こんな危険を冒してまで・・・」

ほむら「それが彼女の覚悟よ。あなたはそれに応える事が出来るの?」



恭介「・・・もう遅いんだ・・・」

ほむら「そんな言い訳は聞こえないわ。次はあなたが覚悟を見せる番よ」



 そう告げた暁美ほむらは、上条恭介に背を向ける。
彼女だけではなく、残りの3人も同じように
美樹さやかを探していた。



 それは無駄な努力となったまま、結婚式の時間が迫る。
部屋に集合した4人は、互いの報告に肩を落とした後に
宮殿へと向けて歩き出していた。


224[saga]:2011/07/03(日) 17:37:10.41 ID:f78h354d0
杏子「なあ、結婚式なんて放っておいてさやかを探そうぜ・・・」

ほむら「美樹さやかの目的を考えれば、
 あの子は必ず上条恭介の前に現われる。
 上条恭介を張っていた方が確実だわ」

マミ「でも、結婚式は宮殿で行われるのよ。
 さすがにそんな危なっかしい事、美樹さんがやるなんて・・・」

ほむら「そこまでの思慮がある人間なら、
 そもそもこんな無謀な事はしていないわ」

まどか「さやかちゃん・・・」



 彼女達は、宮殿内にある式場のドアを開く。

 そこには大勢の聴衆と、立会人のビーナス。

 そして、正装に身を固めた上条恭介と、
ウェディングドレスに身を包む志筑仁美。



ビーナス「やあ、よく来てくれたね。彼らと君達は
 知り合い同士だと上条恭介から聞かされていたんだ。
 彼らの前途を祝福してあげていってよ」

ほむら「・・・・・・」



 全員が無言で席に着く。
祝福をするには、あまりにも冴えない新郎新婦の表情。
そしてこれから起こるかもしれない事態を想像すれば、
少女達が笑ってもいられないのは事実であった。



ビーナス「さて・・・時間だ。始めようか」


225[saga]:2011/07/03(日) 17:37:37.75 ID:f78h354d0
ビーナス「上条恭介。君は隣に立つ志筑仁美を、
 一生愛する契約を結びますか?」



恭介「・・・ビーナス様・・・僕は・・・」

ビーナス「二度とは言わないよ、上条恭介」

恭介「・・・・・・」

ビーナス「君はこの神聖かつ美しい結婚式を台無しにするつもりかい?」

恭介「・・・僕は・・・」


226[saga]:2011/07/03(日) 17:38:05.34 ID:f78h354d0
http://www.nicovideo.jp/watch/nm11018523

 沈黙が破られる。
式場の外から聞こえてくる、激しい物音と怒声によって。
ビーナスがその視線を出口に向けると同時に、
そのドアは勢いよく開かれる。



さやか「恭介!!」

恭介「さやか!?」

さやか「ビーナス!世の中の全てを、アンタの思い通りにはさせない!」



 美樹さやかはその手に持つ剣を構え、ビーナスに飛び掛る。
対するビーナスの左手には、ソウルジェムと思わしき宝石。

 その宝石は光を放ちながら盾の形へと変化してゆき、
美樹さやかの渾身の一撃を受け止めていた。



さやか「くそっ・・・!」

ビーナス「驚いたかい?
 これが僕の自慢のソウルジェム、”イージスの盾”さ。
 君のような虫けらが、僕に指一本も触れる事は許されない」


227[saga]:2011/07/03(日) 17:38:40.80 ID:f78h354d0
 ビーナスは右手に魔力を集中させる。
その赤い魔力の集合体は”ほのお”の能力となって、
自身に襲い掛かった侵入者に対して牙を向く。



さやか「うあぁっ!」

恭介「さやか!」

仁美「さやかさん!」



 身を焦がされながら、吹き飛ばされる美樹さやか。
彼女はその手から、力のソウルジェムを取り落としていた。

 新郎新婦が美樹さやかの下へ駆けつけると同時に、
それをゆっくりと拾い上げたビーナスが言葉を続ける。



ビーナス「ソウルジェムを持っていたのか。
 それでは、宮殿の親衛隊は君に倒されてしまったのかな?
 まったく、こんな物を持つから君のような虫けらが
 思い上がった事をするわけだね。嘆かわしいよ」

さやか「・・・う・・・」

恭介「お願いです、ビーナス様!さやかを許してやって下さい!
 僕は仁美と結婚します!ですからお許しを!」

ビーナス「君は僕に指図をするつもりかい?上条恭介。
 君と志筑仁美の結婚は、もう僕が決めていたのだから
 そのような提案は取引にもならないよ」

恭介「そんな、ただ僕は!・・・お願いです、お許しを・・・」



まどか「さやかちゃん・・・今、助けるよ!」

ほむら「待って」グッ

杏子「何で止めるんだよ!それどころじゃねぇだろ!」

ほむら「お願い、もう少しだけ待って・・・」 


228[saga]:2011/07/03(日) 17:41:31.94 ID:f78h354d0
ビーナス「上条恭介、そこをどくんだ。
 身の程を知らない愚か者には制裁を与えなくてはいけない」



恭介「・・・嫌だ!」

仁美「上条君・・・?」

恭介「今、はっきりと分かりました!僕は、さやかを愛しています!
 この結婚式は、もう中止して下さい!」

ビーナス「君は自分が何を言っているのか、理解しているのかい?」

恭介「もうあなたの思い通りにはならない!僕はさやかと壁の外に出ていく!」

ビーナス「そんな事が許されると?ここまでの事を言われても、
 まだ僕は君を壁の外に追放しようとは思っていない」

恭介「何だって・・・?」

ビーナス「君の音楽家としての腕を買っているからだよ。
 今ならまだ許してあげよう。考え直すといい」



恭介「・・・それなら・・・!」

仁美「上条君!やめて!!」



 鮮血。

 美樹さやかの持っていたミスリルソードは、
上条恭介の右手によって握られていた。

 その剣は、彼の左腕に突き立てられていたのだ。
自身の腕を貫き、剣先から血を滴らせて。



恭介「これで僕はもう演奏が出来ない!
 さあ、僕がこの街に居る必要はもうないだろう!
 僕を壁の外に追放してくれ!」



 ╾╾╾╾やれば出来るじゃない╾╾╾╾

229[saga]:2011/07/03(日) 17:42:26.97 ID:f78h354d0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm11635250

ビーナス「美しさを自ら破壊するとは・・・
 それは僕に対する重大な反逆だ」

恭介「・・・・・・」

ビーナス「追放なんて生ぬるい。生かしてはおかないよ」



ほむら「待ちなさい!」

まどか「もうやめて!」

杏子「やりすぎだぜ、アンタ」

ビーナス「君達まで僕に逆らうと言うのかい?
 醜いものなんて、この世には必要がないと言っただろう?」

マミ「あなたという人は・・・!」

ビーナス「美しさこそが全てにおいて優先される。
 美しくないものは、淘汰されねばならない」

ほむら「・・・!」ギリッ


230[saga]:2011/07/03(日) 17:42:55.87 ID:f78h354d0


「「いまのあんたが いちばん みにくいぜ!」」

mnkw87yg


231[saga]:2011/07/03(日) 17:43:29.53 ID:f78h354d0
 佐倉杏子が、続いて鹿目まどかが、
順番にビーナスに突進する。

 佐倉杏子の繰り出した正拳は、
光の盾に阻まれてビーナスまでは届かない。

 それは、鹿目まどかの持つライトセーバーも同じ事であった。



杏子「クソッ!」

ビーナス「さっきの様子を見ていなかったのかい?
 この盾は、君達の醜い攻撃など通さないよ」



マミ「暁美さん・・・!」

ほむら「・・・」コクッ



 続けて、暁美ほむらの”サイコブラスト”の能力が
ビーナスへ向けて襲い掛かる。その衝撃波すらも
まるで水の波紋のように、光の盾は受け流していた。



 それを目くらましとして利用し、高く放り投げられた手榴弾。
空中に残っていた衝撃波の波紋を飛び越えて、
それはビーナスの頭上で炸裂していた。



 ビーナスの頭部から血が流れる。



マミ(銃火器なら、あの盾を抜けられるわ・・・)

ビーナス「僕に傷を付けるなんてね。
 大したものだけど許される事じゃないね」


232[saga]:2011/07/03(日) 17:44:05.82 ID:f78h354d0
 ビーナスは盾を宝石の形へと戻し、懐へしまう。
そして、空いた両手に再び魔力を集中させる。

 黒い霧のような魔力はやがて死神の形を作り
巴マミに向けてゆっくりと動き出す。



ほむら「巴マミ!それだけは食らってはダメ!」

マミ「・・・くっ・・・」



 地を蹴ってその場を離れる。
彼女にとって残念な事は、この式場が狭かった事であった。
巴マミの後退は、すぐ背後にあった壁によって阻まれていた。



マミ「あ・・・」



 死神の鎌が、巴マミの体を切り裂こうとする。
ほんのわずかな距離だったとはいえ、その後退のおかげで
ビーナスからの魔力は射程の範囲外となっていた。しかし・・・



マミ「・・・ゲボッ・・・」

まどか「マミさん!」

ビーナス「運が良かったね。かすっただけだし、まだ生きているよ」

杏子「どういう事だ、オイ!」

ほむら「”デス”の魔法よ・・・あれに触れたら、
 私達は文字通り生きてはいられない」



 ビーナスの言葉通り、死神の鎌は巴マミをかすめただけであった。
しかしながら、血を吐きながら痙攣している巴マミの体が
少女達にその威力を証明させていた。


233[saga]:2011/07/03(日) 17:44:36.48 ID:f78h354d0
杏子「どうする・・・」

ほむら「あれだけの威力の魔法を連発できるとも思えないわ。
 それに、今のアイツは盾を構えていない。
 こちらがやられる前に、全力を尽くすのよ」

まどか「マミさんを早く治療しないと・・・!」



 暁美ほむらがもう一度、”サイコブラスト”の衝撃波を作り出す。
それを追うように、鹿目まどかと佐倉杏子が突進を開始した。

 今度は、衝撃波はまともにビーナスに着弾した。
それを受けてよろめくビーナスに、ライトセーバーの一撃と
佐倉杏子の2段攻撃がぶつけられる。

 飛びのく少女達の前に、片膝をつくビーナス。
ダメージがある事が、見てとれていた。



ビーナス「・・・さすがにアシュラを倒しただけはあるね。
 その力、利用させて貰うとしよう」



 ビーナスの左手に、魔力が集まる。
それを見て身構える少女達であったが、
今度の魔力は”ほのお”でも”デス”でもなかった。

 その魔力は目に見える紫の光となり、
一瞬だけ輝きを見せる。そしてビーナスの手から消えていった。



杏子「・・・何だったんだ・・・?」

ほむら「こちらに被害は見えないわ。予想通り、
 ヤツの魔力が枯渇しつつあるのよ」



ビーナス「・・・半分は正解だね」

まどか「・・・マミさんを助けなきゃ」


234[saga]:2011/07/03(日) 17:45:02.20 ID:f78h354d0
杏子「これで・・・寝ちまいな!」

 

 立ち上がりつつあるビーナスを、
起こさないかのように佐倉杏子が飛び蹴りを入れる。

 ガツン、と大きな音を立ててビーナスは地面に叩き付けられる。
あと少しで倒せる。そう、彼女は確信していた。



杏子「まどかっ!続けぇ!」

まどか「マミさんを助けなきゃ」



 ライトセーバーを突き出し、鹿目まどかは走る。
素早さに特化した装備を持つ彼女の突進は、
いとも簡単にその目標を捕らえる。



 佐倉杏子は、ライトセーバーを背中から突き立てられ
見た目通りの串刺しにされていた。



杏子「・・・なんの・・・マネ・・・だ・・・」

ほむら「まどか!」

まどか「マミさんを助けなきゃ。マミさんを助けなきゃ」



 最後の力を振り絞り、自分に突き立てられた光の剣を抜く。
それが彼女の限界であった。
佐倉杏子はそのまま膝を折り、地面に倒れこむ。



ほむら「杏子!」

まどか「マミさんをマミさんをマミさんをマミさんを・・・」


235[saga]:2011/07/03(日) 17:45:33.00 ID:f78h354d0
ビーナス「こんな魔力の使い方だってあるんだよ。
 仲間同士で傷つけ合うなんて、醜いものだね」


 
 体を起こしながら、ビーナスはまたも右手に魔力を集中させる。
美樹さやかを焦がした、”ほのお”の能力。

 自身もその能力を使えるために、その魔力からは
回避する事が不可能だと理解していた。
暁美ほむらは両腕を体の前に組み、少しでも身を守ろうとする。

 そして爆風によって吹き飛ばされる、2人の少女達。



まどか「・・・つぅ・・・ほむらちゃん!」

ほむら「目が覚めたのね・・・ケアルをかけるから待ってて・・・」

まどか「ううん、それはほむらちゃんが自分に使って。
 ほむらちゃんが倒れたら、マミさんも杏子ちゃんも助からない」

ほむら「まどか!待って!」



 制止を聞かずに、鹿目まどかは駆け出す。
あと一撃さえ入れる事が出来れば、ビーナスは倒れる。
その場に居た誰もが、そう考えていた。



まどか(・・・これでっ・・・!)



 ブォン、と振り下ろされるライトセーバーの独特の風切り音。
それは、ビーナスの頭の上から大きく火花を上げていた。



 その左手に再び現われた、イージスの盾によって攻撃を阻まれていたために。


236[saga]:2011/07/03(日) 17:45:59.84 ID:f78h354d0
 間髪を入れず、ビーナスは懐から電撃ムチを取り出し、
鹿目まどかに振り付ける。ムチは彼女の体を巻きつけて・・・



まどか「ああああぁぁぁっ!!」


ほむら「まどか!!」



 バチバチと音を立て、肉の焦げる臭いを残し、
鹿目まどかもそのまま床に崩れ落ちていた。



ビーナス「僕をここまで追い詰めるとはね。
 君達の強さは、賞賛に値するよ」



 ビーナスは立ち上がり、ゆっくりと暁美ほむらへと近づく。

 暁美ほむらは、眼前の光景に絶望しつつあった。

 敵は魔力を枯渇させながらも、その近接戦闘の能力を
彼女に見せ付けていたからである。



 最後に一撃だけでも。

 そう彼女が考えた時には、ビーナスの持つムチは
すでに天高く振り上げられていた。


237[saga]:2011/07/03(日) 17:46:35.62 ID:f78h354d0
ほむら「っ!」

 

 ヒュン、と耳に聞こえる風切り音。

 続けて、自らの肉体に降りかかる痛みと熱。



 それを覚悟していた暁美ほむらは、
代わりに激しい金属音を耳にする事になる。



 ミスリルの盾を構える美樹さやか。
その盾の上で、火花を上げ続ける電撃ムチ。



ほむら「さやか!!」

さやか「・・・ぐぅぅ・・・!!」



 迷う事なく、暁美ほむらはサイコソードを手に取る。
ほんの少し、意識を集中させて右手に魔力を集める。



ほむら(行け。手を伸ばせば・・・!)
 


 サイコソードが、ビーナスの腹部に突き刺さる。

 ビーナスは、それから動こうとはしなかった。


238[saga]:2011/07/03(日) 17:47:03.49 ID:f78h354d0
ビーナス「・・・僕の負け、かな」

ほむら「・・・」

ビーナス「・・・何か言いたそうな顔をしているね」

ほむら「そこまでして求める美に、何の価値があるの?」

ビーナス「美の追求。それが、僕に芽生えた唯一の感情なんだ」

ほむら「・・・何ですって・・・?」

ビーナス「僕は今でも自分が正しいと思っているよ。
 僕は僕である事を守るために、こうして生きてきたんだ」

ほむら「待ちなさい!」

ビーナス「待てだって?君が僕にトドメを刺したんだよ。勝手な事を・・・」



 ビーナスの言葉と一緒に、その肉体も消滅してゆく。

 それは空間に吸い込まれるように消えていった。



 その空間から光が差し出し、ソウルジェムの宝石が
地面にコロコロと転がっていく。

 それをポケットに無造作に突っ込んでから、
暁美ほむらは仲間の治療のために駆け出していた。



 - 力のソウルジェムを手に入れた -

 - 炎のソウルジェムを手に入れた -

 - 氷のソウルジェムを手に入れた -

 - 稲妻のソウルジェムを手に入れた -

 - 毒のソウルジェムを手に入れた -

 - ソウルジェム イージスの盾を手に入れた -


239[saga]:2011/07/03(日) 17:47:31.66 ID:f78h354d0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4393197

マミ「・・・ゴホッ、ゴホッ・・・」

まどか「マミさん!」

杏子「良かった、間に合って・・・」

ほむら「”デス”が直撃していたらと思うと・・・考えるだけでも恐ろしいわ」

マミ「・・・?」

杏子「どうした?」

マミ「ん・・・なんだろう。夢の中で誰かと話していたような」

ほむら「あんな戦いの最中に夢を見ていられたなんて」

まどか「よかった・・・マミさんが無事でよかった・・・」グスッ

マミ「よしよし、泣かないの」ナデナデ

杏子「あとは・・・」


240[saga]:2011/07/03(日) 17:48:01.47 ID:f78h354d0
さやか「恭介・・・なんでこんな事を・・・」

仁美「上条君・・・」

恭介「いつまでも優柔不断な僕への戒めのつもりさ。
 ・・・仁美、こんな事になって・・・本当にごめん」

仁美「いえ・・・上条君が決めた事ですもの。
 私はそれにどうこう言うつもりはありませんわ」

さやか「仁美・・・アタシからも・・・」

仁美「その先を言う必要はないですわ。
 ・・・でも、上条君がさやかさんを見限ったりしたら・・・
 その時は、遠慮なく頂きますわよ?」

さやか「・・・そんな事はさせないよっ・・・!」



ほむら「少しいいかしら?」

さやか「ほむら・・・」

ほむら「上条恭介。剣を抜くわよ」グッ

恭介「~っ!」

ほむら「・・・ケアル!」キュイーン

仁美「すごい・・・傷が塞がっていく・・・」

ほむら「私は医者というワケではないわ。
 念のために、病院にも行くことね」

さやか「跡は残っちゃうかもね」

恭介「・・・いいんだ。この傷は、今日という日の記念なんだよ」

恭介「この傷を見るたびに思い出すようにするんだ。
 音楽なんかより大事な事を教えてくれた、今日という日を」



ほむら「さて・・・美樹さやか。私の言いたい事は分かっているでしょうね」


241[saga]:2011/07/03(日) 17:48:45.39 ID:f78h354d0
さやか「・・・謝っても許されない事をしたって分かってる。
 何でもしてくれよ・・・」

ほむら「いい度胸ね。あなたが泣きを入れるまで止めないわよ」



仁美「暁美さん、何があったか知らないですけれど・・・」

恭介「あの・・・さやかが何をしたか知りませんが、
 許してあげてくれませんか・・・」

さやか「ううん。それだけの事を、アタシはやっちゃったんだ。
 好きにしてくれていいよ・・・」



ほむら「目を瞑って、歯を食いしばりなさい」



 美樹さやかは言われた通りにする。
ぐっと歯を食いしばる彼女の耳に、コツ、コツと近づく足音。



 足音はゆっくりと彼女を通り過ぎ、
やがて式場のドアが開かれる音が届く。

 そこで聞こえた一言。


 
 それを聞いた美樹さやかは
彼女に言われた通りに、泣きを入れて膝から折れる。






 ╾╾╾╾お幸せに╾╾╾╾


242[saga sage]:2011/07/03(日) 17:49:18.94 ID:f78h354d0



244 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/03(日) 18:30:43.16 ID:DIm5KN6IO
乙乙だけど…もしかしてさやかの出番終了…?そんなのってないよ!

245 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (北海道) [saga sage]:2011/07/03(日) 22:45:35.41 ID:9cdXpjD/0
だから俺の目からこぼれるソウルジェムはどうすればいいんだ乙ぅ!!

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    コメント一覧
  1. 774@いんばりあんと [ 2011/08/09 09:55 ]
  2. 連携とか秘宝の能力が良く解んないからためらっていたが、我慢できないからSaGa2のDS版買ってくる。
  3. 774@いんばりあん [ 2011/08/09 22:23 ]
  4. ビーナス戦突入前のやりとりは、いつ思い出しても素晴らしい
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