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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/02(土) 01:58:17.79 ID:nuDvYVM80
佐天「…(…猫になってる…)」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1269344052/
以前↑のスレで投下したSSを加筆修正したものです。
気がついたら、猫の身体で道ばたにいた。
昨日、私普通に寝たよね? 頬をつねろうとしてもそれはかなわない。私の動かす身体が猫の身体であることを改めて認識させられるだけ。
地面を踏みしめる四肢の感触がとてもリアルで、頭の中は眠気なんてこれっぽっちもなくさっぱりしていて。ねぼけて夢を見ているだけだとは思いたくても思えない。
しかたないので歩いてみる。これからどうしようか、そもそもなにがどうなってこうなっているのか、あてもなく周囲へ首を巡らしながら歩を進めていると、複数人の足音が後ろから近づいてくるのが聞こえた。
早い。走っている様子。どこかへ急いでいるのかなと私は立ち止まる。
道のど真ん中で立ち止まる猫の姿がその人たちにも目立ったようで、振り返ったその先では向こうも足を止めていた。そこにはよく見知った、三人の女子生徒。
「えっと……、猫ですね……」
「りっぱな黒猫ですわね」
私の姿に感想をこぼす初春と白井さん。猫を刺激せずどっかにいくのを待つ様子で、ちょっと困った表情。だけどこの姿で知り合いと対面することはいいのか悪いのか、私も私で戸惑ってしまい、アクションを起こせない。
ただひとり、御坂さんはその会話に参加せず、じっと私を見つめていた。
なんか、どうしていいやら微妙な沈黙が続くなかで、初春が口を開く。
「……あ、あの、こうしてる場合じゃないんですよね、行きましょう」
猫が動かないなら迂回しよう、とふたりを促す。「早く佐天さんのお見舞いに行かないと」。
その言葉を捉えた私の耳がピクリと動いた。ような気がする。
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