HEADLINE

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- | CM(-) | スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

秀吉 「のう、島田」 美波 「うん?」

2010/10/06 15:07 | CM(1) | その他 バカテス SS
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 18:57:34.34 ID:f75hSeb20
明久 「――っぎにゃぁぁぁあああああああ!!」

明久 「美波! ギブ! ギブギブ! 痛い痛いもげる腕もげちゃうからぁぁぁああ!!

美波 「ふん、自業自得、よっ!」

ポキッ!

明久 「今ポキっていった! ポキッ、て! すっごく気持ちいい音がしたよ!?」

美波 「あらあらアキったら、気持ちよかったのね? ならこっちも、とっ!」

パポキッ!!

明久 「パポキって!? パポキってどんな風に折ったらそんな音がするのさ!?」

美波 「知りたいのなら今度は足でやってあげようかしら?」

明久 「後生だから勘弁してください!」

5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 18:58:36.75 ID:9xD6MqE80
構わん続けろ


6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 18:58:49.50 ID:f75hSeb20
明久 「――痛たたたたた……でも普段に比べたら大したことないかな」 ヒョコッ

明久 「……なんてことが言えちゃうこと自体が悲しいよ」

美波 「ふん。とりあえず今日のところはこれくらいにしておいてあげるわ」

明久 「これくらいって……僕はしっかりと両腕をへし折られているわけだけどね」 ボソッ

美波 「アキ? 何か言ったかしら?」 パキポキ

明久 「な、なんにも言ってないよ!?」

美波 「……ふん! とにかくコレは没収しておくからね」

明久 「ああ……僕の宝物……」

7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 18:58:55.80 ID:vOI/zQb90
秀吉「のう、島津」で書き直せよ

8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:00:09.99 ID:f75hSeb20
美波 「これに懲りたら、こういうものは土屋から買わないこと! いいわね!?」

明久 「……美波だって時々ムッツリーニから何か買ってるらしいくせに」 ボソッ

美波 「  い  い  わ  ね  ?  」 ズイッ

明久 「も、もちろんだよっ!」 アセアセ 「そ、それじゃ、美波、また明日!」

美波 「あっ……行っちゃった」 シュン 「……まったく。逃げ足だけは速いんだから」

? 「放課後じゃというのに、随分荒れておったのう、島田」

美波 「へ? ……ああ、木下」 ジロッ 「盗み見ってのは感心しないけど?」

秀吉 「すまぬすまぬ。島田のあまりの剣幕に出るに出られなくてのう」 コロコロ

美波 「ふん、悪かったわね」 プイッ 「……演劇部は? お休み?」

秀吉 「うむ。残念ながら顧問の事情でお休みじゃ」 ショボン 「で? 明久の奴、今日は一体何をやらかしたのじゃ?」

9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:02:24.64 ID:f75hSeb20
美波 「大方予想はついてるでしょ? これよ、これ」

バサッ

秀吉 「これは……写真の束?」 スッ 「……ふむ。なるほど」

秀吉 「ムッツリーニの盗撮写真というわけじゃの」

美波 「そうよ。まったくアキったら、こんなセコい写真集めて……どうしようもないったらないわ」

秀吉 「ふむ。たしかに島田が怒るのも頷けるのう」

美波 「でしょ!? 本当にアキは――」

秀吉 「――見事に姫路の写真ばかりじゃからのう」

美波 「ぶっ!! そ、それは関係ないでしょ!?」

美波 「う、ウチはただ、盗撮写真なんかを買い取るアキの卑劣なところを怒ってただけで――」

秀吉 「――そんなことを言って、島田もムッツリーニから明久の写真を買っているのだろう?」

美波 「!? な、なんで木下がそのことを……!」

秀吉 「お主、本気でバレていないと思っておったのか!?」

秀吉 「知らぬのはFクラスのメンバーや明久くらいのものじゃろうて……」

美波 「うぅ……」

10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:04:27.84 ID:f75hSeb20
秀吉 「それにしてもすごい量じゃの……」

ピラッ ピラッ

秀吉 「おっ、喜べ島田。お主の写真もあったぞ」

美波 「えっ!? それホント――」 ピタッ 「……ほ、本当にいやらしいわね、アキったらっ!」

秀吉 「言葉は止められても行動は止められておらぬぞ。顔に手を当ててくねくねするでない」

美波 「!?」 バッ 「そ、そんなことしてないわよ!」

美波 「そ、それで? アキはウチのどんな写真を持ってたの?」 キラキラ

秀吉 (瞳の中でお星様が瞬いておる……)

秀吉 「ほれ、これじゃ」 スッ

美波 「……? 何よ、瑞希の写真じゃない」

秀吉 「ほれ、よく見てみるのじゃ」 スッ 「この、外枠ギリギリの場所……」

美波 「瑞希の後ろにちんまりと写ってる人影……た、たしかにウチだわ……」

美波 「――って、こんなの写ってるって言わないでしょっ!」

秀吉 「やはり写っていて欲しいのではないか」

美波 「むぐ……そ、そんなこと……ないもん」 プイッ

11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:07:23.96 ID:f75hSeb20
秀吉 「お、もう一枚島田の写真があるのじゃ」

美波 「こ、今度は騙されないんだから! どうせ端っこでしょ」

秀吉 「いや、真ん中にでかでかとしっかり写っておるぞ」 ピラッ 「ほれ」

美波 「えっ……?」 チラッ 「あ、本当だわ……」

ニヘラァー

美波 「結構可愛く撮れてるじゃない……えへっ……むふふふふっ……」

秀吉 (と、とんでもなく弛緩した顔をしておる……む?)

秀吉 「すまぬ、島田。その写真の裏側に何か書かれているのだが……」

美波 「えへへ……へっ? な、何? 裏?」

ピラッ

『  ☆ オマケ ☆ 毎度ご愛顧ありがとうございます ☆ ムッツリ商会 ☆  』

ガッ

美波 「何でアンタってこう毎度毎度天然で人を奈落の底に突き落とすの!? ウチに何か恨みであるわけ!?」

秀吉 「す、すまぬ。悪気はないのじゃ。じゃから胸ぐらを掴まんでくれ」

12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:10:15.98 ID:pomczj9/0
sien

13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:11:55.22 ID:f75hSeb20
秀吉 「しかしいくら姫路の写真ばかりじゃからといって、あそこまで酷い折檻をせずとものう」

美波 「だ、だからウチはべつに――」

秀吉 「もうよいじゃろ。このことに関しても、分かっておらぬのは当人だけじゃろうしな」

美波 「む……」 プイッ 「……そうよ。ウチはアキのことが好きよ! 悪い!?」

秀吉 「そんなことは誰も言っとらん。じゃが、せめてワシらくらいには素直に言えぬようでは……」

美波 「……言えないようでは、何よ?」

秀吉 「本人に対して素直になることなど、一生かけてもできぬのではないかの?」

美波 「うぐっ……」

秀吉 「……今さら恥ずかしがるようなことでもなかろうに」

美波 「こ、恋する乙女は恥ずかしがり屋なの!」

秀吉 「……ワシはその発言の方がよほど恥ずかしいと思うのじゃが」

14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:15:27.62 ID:f75hSeb20
美波 「そりゃあウチだって好きでアキに暴力を振るってるわけじゃないわよ」

秀吉 (……毎度かなり楽しんでやっていると思うのじゃが、黙っておくかの)

美波 「でも、やっぱりショックじゃない。Fクラスの女子は瑞希だけじゃないのに……」

秀吉 「それはまぁ……そうじゃのう」

美波 「ウチと木下だっているっていうのに、アキったら……」

秀吉 「待つのじゃ。せめてお主だけはFクラスの女子は二人という正しい認識を持ってくれ」

美波 「き、木下! ウチは凶暴でガサツだから女子のカテゴリに入らないとか言うつもり!?」

秀吉 「じゃからそこで何故ワシではなくお主の話になるのじゃ!?」

美波 「ふん! 少なくともアキたち男子はアンタのことを女子扱いするじゃない」

美波 「だったらアンタ本人がどう言おうと、アンタは女子でしょ。違う?」

秀吉 「むぅ……じゃがワシはれっきとした男なのじゃ……」

美波 「……っていうか、」 ジロッ

秀吉 「む? 何じゃ?」

美波 「木下は何とも思わないわけ? アンタの写真もないみたいだけど?」

15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:17:41.40 ID:f75hSeb20
秀吉 「………………」 ハァ 「……島田が何を言いたいのか、ワシにはまったく分からんのじゃが」

美波 「とぼけないでよ。木下だって悔しいでしょ? 見事に瑞希の写真しかないのよ?」

秀吉 「じゃから、ワシが悔しがる必要性がないじゃろ」

秀吉 「ワシは男で、明久も男で、ワシらは仲の良い親友同士」

秀吉 「その色恋を応援することはあれど、悔しく思うなど――」

美波 「――そう言うことを言ってるんじゃないわよ。分かってるくせに」

美波 「ねぇ? 土屋を可愛いって言ったアキを無意識のウチに小突いてた木下秀吉くん?」

秀吉 「むぅ……存外と口も達者なのじゃな、島田は」

美波 「……ねぇ、ホントの話、木下もアキのことが好きなのよね?」

秀吉 「な、何じゃ、唐突に」

美波 「よく考えたらウチだけ言わされるって不公平じゃない」 ニィ 「木下も言っちゃいなさいよ」

秀吉 「いや、ワシはべつに、明久のことなど……」

カァァ……

美波 「……好きなんでしょ?」

秀吉 「………………」 コクッ

16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:19:15.18 ID:f75hSeb20
秀吉 「………………」

美波 「………………」

プハッ

秀吉 「……ははは、」

美波 「ふふふ……、」

秀&美 「「明久 (アキ) って、何でこんなにモテるのかのう (かしらね)」」

秀吉 「ワシらに加えて久保に姫路、か」

美波 「それに玲さんと坂本も、でしょ?」

秀吉 「ふふ、その二人を加えてしまってはいくら何でも昭久が可哀想じゃろ」

フフフ ハハハ ………… ハァ

秀吉 「……じゃが、正直な話、もう勝負はついているようなものじゃからのう」

美波 「そう……やっぱりそうなのよね」 ハァ 「とはいえ、面と向かって言われると堪えるわ」

秀吉 「そう言うな。ワシなどなまじ明久と一緒にいる時間が多いだけに、常にあやつの意識が向かう方を感じているのじゃぞ」

秀吉 「ワシは明久の男友達でもあるからこそ分かる。明久はこの写真が示すとおり、姫路のことが……」

美波 「………………」 ジロッ 「……それは誰に言ってるの? ウチ? それとも、自分自身?」

17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:20:00.74 ID:doi5vHql0
花の慶次の秀吉しか思い浮かばない

18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:20:41.89 ID:f75hSeb20
秀吉 「………………」 フッ 「……さて、のう」

美波 「………………」

秀吉 「………………」

美波 「……アンタは、」

秀吉 「む?」

美波 「アンタは、諦められるの? 木下」

秀吉 「………………」 プイッ 「……分からぬ」

秀吉 「分からぬが……しかしこのままいけば、いずれ絶対に諦めざるを得ないような状況になるということだけは分かる」

秀吉 「その状況を引き起こすのが、明久なのか姫路なのかは分からぬがな」

美波 「それは、どっちかがどっちかに告白する……ってこと?」

秀吉 「……分からぬ」 ブンブン 「しかし、そんな気がしてならぬのじゃ」

美波 「………………」

20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:24:55.37 ID:f75hSeb20
美波 「っだぁぁぁーーーーーもう!」

秀吉 「!」

美波 「ウチたちがこんな風に悩まなきゃいけないのも、ぜーーーんぶあのバカのせいじゃない!」

秀吉 「な、なんじゃいきなり! 驚かせるでない」

美波 「アンタもそう思わない? 何でウチらはあんなバカのことを気に病んでなきゃいけないのって」

秀吉 「それはまぁ……時々思わんこともないがのう」

秀吉 「しかしそれも含めて、『惚れた弱み』 といったところなのではないかの」

美波 「………………」 ハフゥ 「……惚れた弱み、か」

美波 「間違いないわ。ホント、損な役回りよねぇ」 ニッ

秀吉 「それはまぁ」 ニッ 「違いないのう」

美波 「……あーあ、なんか折檻したり騒いだりしたらお腹減っちゃった」

美波 「軽くなんか食べにでも行こうかしら」

秀吉 「む。それはいいのう。ワシも付き合わせてもらってもよいか?」

美波 「オッケ。それじゃ、どうしたらアキに振り向いてもらうことができるか作戦会議も兼ねて、」

秀&美 「「レッツ、ゴー!」 なのじゃ!」

21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:27:47.07 ID:f75hSeb20
………………歓楽街

秀吉 「……それにしても、改めて考えるとワシら二人だけというのもめずらしいのう」

美波 「そういえばそうね。ウチは普段は瑞希やA組の子たちと遊んでるし」

秀吉 「ワシは演劇部があるし、遊ぶにしてもあのバカ三人と一緒のことが多いからのう」

美波 「アキたちと何かをするにしても、瑞希と、あと土屋と坂本がいるしね」

美波 「……ああ、そういえば、体育祭のときはウチと瑞希と一緒に、三人でボンボン持ってチアやったじゃない」 ニッ

秀吉 「誤解を招くようなことを言うでない」 プイッ 「ワシは学ラン姿じゃったのだからチアではないのじゃ」

美波 「でもあのときの木下、かなり大人気だったみたいだけど?」 ジトッ

秀吉 「そんなことで恨まれてもワシはどうしようもないのじゃが!?」

美波 「ふん、冗談よ」 プイッ 「でも、どうせウチより注目を浴びてたんでしょうねー、だ」

秀吉 「そんなことを言われてものう……」 カリカリ 「それに、島田もなかなかチア姿が様になっていたではないか」

美波 「……どうせ隣の瑞希と比べられて哀れみの目を向けられていたに決まってるわ」

秀吉 「そんなことはないのではないかのう。島田は島田で、姫路とは違う魅力があったであろ」

秀吉 「スポーティで、アグレッシブで、こう……躍動感のある綺麗なチアじゃったと、少なくともワシは思うぞ?」 ニコッ

美波 「……そ、そう?」 (何よ……結構嬉しいこと言ってくれるじゃない)

22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:29:58.03 ID:f75hSeb20
秀吉 「何より島田も姫路も一生懸命やっていることだけはヒシヒシと伝わってきたからのう」

秀吉 「そんな二人に対して優劣をつけるような浅薄な真似は誰もせんじゃろうて」

美波 「………………」 フゥ 「どこかの誰かさんは、どんな目でウチたちを見てたのかしらねー」

秀吉 「むぅ……それは……当人に聞いてみないと分からんが……」

美波 「………………」 フッ 「冗談よ。アンタもほんと律儀な性分ね」

秀吉 「む……悪かったのう」 プイッ

美波 「でも……」

秀吉 「ん?」

ニコッ

美波 「ウチのチア、褒めてくれてありがと。そんな風に言ってくれたの、アンタだけかも」

秀吉 「それはまぁ……どういたしまして、じゃな」

秀吉 「しかしまぁ、思っていても口にできぬ者もたくさんおるじゃろ」

美波 「そう思うことにするわ」 ニッ 「そこの喫茶店でいい?」

秀吉 「うむ。では入るとするかの」

23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:31:30.01 ID:f75hSeb20
………………喫茶店

美波 「う~~~~~~~~~~~~ん……」

秀吉 「? さっきから一体何を悩んでおるのじゃ?」

美波 「………………」 ジッ

秀吉 「……何じゃその恨みがましそうな目は?」

美波 「……考えてもみなさいよ」

秀吉 「何をじゃ?」

美波 「ウチは今、メニューのどこを見てるのかしら?」

秀吉 「……? どう見ても、デザートのページじゃろう」

美波 「そうね。その通りよ。じゃあ、分かるでしょ?」

秀吉 「………………」 フルフル 「……全く分からん」

美波 「………………」 ジトッ 「……きっと瑞希なら分かってくれるわよ」

秀吉 「そう言われてものう……」

美波 「はぁ……そうね。あんたは一応男なんだもんね」

美波 「チョコとイチゴって罪よね……」

24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:33:47.19 ID:f75hSeb20
秀吉 「……は?」

美波 「だから、チョコとイチゴよ」

秀吉 「……お主が何を言いたいのか真剣に分からんのじゃが」

美波 「ほら、メニュー見てみなさいよ」

秀吉 「見るからに甘ったるそうなパフェじゃな」

美波 「あんたわざと男っぽい感想言おうとしてるでしょ?」

秀吉 「そ、そんなことはないぞっ」

美波 「まぁそれはどうでもいいわ。これよ、これ」

秀吉 「チョコパフェとイチゴパフェ……?」

美波 「どうせなら一緒にしてくれればいいのに。どっちを食べるか迷うじゃない」

秀吉 「………………」

美波 「で、どっち食べようかなーって、悩んでたわけよ」

秀吉 「………………」 ハァ 「……女子とは本当に面妖な生き物じゃのう」

秀吉 「両方食べればよいではないか」

美波 「バカ。そんなことできるわけないでしょ。太っちゃうわ」

26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:36:25.48 ID:f75hSeb20
秀吉 「……はて? 太る云々を気にしていたのは姫路の方じゃった気がするのだが」

美波 「無神経ね。お腹のお肉を気にしない女子なんていないわよ」

秀吉 「……すまぬ。しかしワシに女心を説かれてものう……」

美波 「はぁ……どっち食べようかしら……」

秀吉 「ふむ……」 スッ 「ならばこうしてはどうじゃ?」

美波 「なに?」

秀吉 「ワシもどちからのパフェを頼もう。それで、半分こすればよかろう?」

美波 「へ……?」

秀吉 「分からなかったか? じゃから、ワシと半分こすれば――」

美波 「――ストップ! それ本気で言ってるの?」

秀吉 「ふむ? 何かおかしなことを言ったかのう?」

美波 「………………」 ハァ 「……アンタって……アンタってさぁ……」

秀吉 「?」

美波 「……もういいわ。お言葉に甘えさせてもらうわよ。ありがと」 フッ

美波 (ウチが言うのもなんだけど、アンタ、そういうところが女子っぽいって言うのよ。木下)

27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:39:58.71 ID:f75hSeb20
美波 「………………」 モクモク

秀吉 「………………」 ハムハム

美波 「………………」 ニヘラァ 「……甘い……」

秀吉 「?」 ゴックン 「……随分と幸せそうじゃな、島田」

美波 「えっ……?」 カァア 「……お、女の子だもん。当たり前よっ」

秀吉 「……そういう女の子らしく可愛い面を明久の前で遺憾なく発揮できればよいのじゃがな」 ニコッ

美波 「か、かわっ……!?」 ガタッ

秀吉 「……? どうしたのじゃ島田。他の客に迷惑じゃから騒ぐでない」

美波 「あっ……」 カァア 「……わ、分かってるわよ」 カタッ

美波 「………………」 ジトッ

秀吉 「……何じゃ?」

美波 「……あんた、わざとやってるんじゃないでしょうね?」

秀吉 「何の話じゃ?」

美波 「もういいわよ、バカっ」 プイッ

28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:43:47.53 ID:f75hSeb20
秀吉 「……?」 (何だかよく分からぬが怒らせてしまったようじゃ)

秀吉 (それにしても島田の奴、妙に顔が赤いのう……) 「……島田」

美波 「……!」 ビクッ 「な、何?」

秀吉 「随分と顔が赤いが、熱でもあるのか?」

美波 「なっ……」 カァア 「熱なんてないわよっ! っていうか顔も……赤くなんてないもん!」

秀吉 「そ、そうか……? それはすまぬ……」 (ますます顔が赤くなっているのじゃが……) モグモグ

秀吉 「……んあ? お、そろそろ半分じゃな」 スッ 「ほれ、交換するぞ」

美波 「ん……そ、そうね。じゃあ、はい」 サッ

秀吉 「うむ」 ニコッ 「イチゴも美味しそうじゃな」 ワクワク

美波 「………………」 (コイツってやっぱ……)

美波 (素で “女の子” してるわよねぇ……)

秀吉 「………………」 ハムハム 「……あまぁぁああ……」 パァァアア……

美波 「……?」 (思えば、こんなに無防備なコイツの顔、滅多に見られないわよね……)

美波 (もしかしてウチにだけ見せてくれてる……なんて、何バカなこと考えてるのよウチは……!) ブンブンブン

秀吉 「……?」

29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:46:32.87 ID:f75hSeb20
美波 「……そういえばさ、ずっと疑問に思ってたことがあるんだけど、」

秀吉 「ん? 何じゃ?」

美波 「アンタってお手洗いはどうしてるの?」

秀吉 「……いきなり何という話題を出すのじゃお主は」

美波 「だって木下って男子トイレ入れないでしょ?」

秀吉 「………………」 グッ 「……悔しいが否定できぬのう」

美波 「アンタが男子トイレ入ろうとして悲鳴を上げられてるのを何度見てきたと思ってるのよ」

秀吉 「むぅ……」 シュン 「……不条理じゃが仕方がないのじゃ」

秀吉 「少し遠くはなるが、特別教室棟のトイレまで行っておるよ。面倒じゃがのう」

美波 「………………」 ハァ 「……アンタもなんだかんだで苦労してるのね」

美波 「誰も構いはしないんだから女子トイレ使えばいいのに」

秀吉 「ワシは男じゃ」 プイッ 「……それに万が一姉上に見つかりでもしたら……」 ガタガタブルブル……

美波 (そういえば木下のお姉さんって木下には容赦ないわよねー……)

31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:47:56.28 ID:f75hSeb20
客1 『うおっ、あの席の子可愛くねー?』

美波 「……!?」 ビクッ (ウチらのこと指さしてる……?)

客2 『あっ、マジだ。メチャクチャ可愛いじゃん』

美波 (や、やだ……ナンパとかされちゃったり……? ウチそういうの嫌なのに……)

客1 『……じゃ、俺ポニテじゃない方な』

美波 「………………」

客2 『おいおい、そりゃずるいぜ。ポニテじゃない方は俺だって』

美波 「………………」

客1 『いやいや、俺だろ。だってポニテじゃない子の方が圧倒的に可愛いじゃん』

客2 『だからこそだろ。ポニテじゃない方は俺だ』

秀吉 「……もう出るかの」

ガタッ……!!

秀吉 「ひっ……!? 島田……?」

美波 「………………」

トトトトト……

32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:50:24.49 ID:f75hSeb20
客1 「いやだからポニテじゃない方は……」

客2 「だからポニテじゃない子が……」

美波 「………………」

客1 「んあ……? あ、さっきの……」

客2 「ん……?」

美波 「………………」

ギロッ

客1 「ひっ……!?」 ドサッ…… (さ、殺気……?)

客2 「ぎゃっ……!!」 ドタッ…… (か、堅気の目じゃねぇ……!)

スッ……

美波 「……さっさと行くわよ、木下」 スタスタ

秀吉 「う、うむ」 トト…… 「………………」 ジッ

客1&2 「「………………」」 ガタガタブルブル……

秀吉 「………………」 ハァ 「……最低じゃな、お主らは」 プイッ

33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:51:49.20 ID:f75hSeb20
…………アリガトーゴザイマシター……

美波 「………………」 スタスタ

秀吉 「………………」 (ふむ……完全に不機嫌になってしまった……)

秀吉 (いや、まぁ仕方ないかの。あんな風に言われてしまっては……)

美波 「………………」 チラッ 「……ウチ、帰るけど?」

秀吉 「ん、ああ。では送らせてもらおうかの。そろそろ暗くなる頃じゃ」

美波 「いいわよ。どうせ “ポニテの方” には誰も興味ないでしょうしね」 フン

秀吉 「………………」 (これはまた重症じゃのう……)

秀吉 「………………」 スッ 「のう、島田。少し公園にでも寄って行かぬか?」

美波 「は? 公園?」

秀吉 「パフェで身体が冷えてしもうた。温かい飲み物でも飲まぬか? 奢るぞ?」

美波 「べ、べつにウチは……」

ガシッ

美波 「……!?」 (手……掴まれちゃった……)

秀吉 「まぁよいではないか。友達のよしみで付き合うのじゃ」 グイグイ

35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:53:10.73 ID:f75hSeb20
………………公園

秀吉 「………………」 コクコク……プハァ

美波 「………………」

秀吉 「……どうしたのじゃ? 緑茶は嫌いじゃったか?」

美波 「ち、違うわよ……」 コクコク……

美波 「……あったかい」

秀吉 「自販機にも赤が目立ち始める時期じゃのう……」

美波 「そうね……どんどん冬になっていくのね……」

秀吉 「………………」

美波 「………………」

コクコク……プハァ……

美波 「……ウチって……」

秀吉 「むぅ?」

美波 「ウチって……いつも、あんな風に見られてるのかな……」

36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:55:40.50 ID:f75hSeb20
秀吉 「あんな風……?」

美波 「“ポニテじゃない方が可愛い”」

秀吉 「………………」

美波 「……瑞希といるときも、A組のみんなといるときも、ずっと……」

美波 「――ずっと、そんな風に誰かの引き立て役になってるのかな」

秀吉 「お主……」

美波 「……だってそうじゃない。Fクラスでだって、いつもいつも瑞希ばかり」

美波 「Aクラスの子たちだって、美人ばっかりだし……」

美波 「ウチって……いつもいつも、そんなみんなを引き立ててるのかな……」

秀吉 「………………」

美波 「あっ……ごめん。ウチ、何でこんなことアンタに話してるのかしら……」

秀吉 「……構わぬ」 フッ 「愚痴なら姉上から毎日散々聞かされておる」

秀吉 「それに、そんなことは明久たちはもちろん、姫路たちにも言いづらかろう」

秀吉 「ワシには何を言うこともできぬが、話を聞いてやることくらいはできる」

美波 「木下……」

37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:57:04.82 ID:f75hSeb20
秀吉 「それに……」

美波 「?」

秀吉 「そんな風に悩むお主は新鮮で、可愛らしいと思うぞ?」

美波 「!」 カァア 「なっ、何を……」

秀吉 「鏡を見てみるといい。そんな美人に生まれておるのじゃから、外見で文句を言ってはバチが当たる」

ニコッ

秀吉 「お主は綺麗じゃよ、本当にな」

美波 「………………」 ――ッボン!!

秀吉 「……? どうしたのじゃ? また顔が赤くなっておるぞ?」

美波 「あ、赤くなってなんかないわよ! ばっ、バカ!」 プイッ

美波 「アンタって……なんていうか、本当に……っ!」

秀吉 「?」

美波 「……ふん、そういう風に簡単に共感を示せるあたり、女の子っぽいって言われるのよ」

秀吉 「なんと!?」

38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 19:59:19.50 ID:f75hSeb20
美波 「……でも、それと同時に男らしくもあると思うけど」 ボソッ

秀吉 「? 何じゃ? 何か言ったかの?」

美波 「………………」 フッ 「……べつに。アンタも大変よね、って思っただけ」

秀吉 「……?」

コクコク……プハァ

美波 「……さっ、帰りましょ。送ってくれるんでしょ?」

ニコッ

秀吉 「……!」 プイッ 「う、うむ……」

美波 「? どうかしたの?」

秀吉 「……何でもないのじゃ」

秀吉 (その自然に無邪気な笑顔を明久にも向けられたらよいのじゃがのう……)

秀吉 (……いや、しかし……)

秀吉 (――ワシにだけその笑顔を見せてくれているのなら、光栄かもしれんの)

美波 「?」

39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:01:55.15 ID:f75hSeb20
………………翌日

美波 (はぁ、昨日は我ながら恥ずかしいこと言っちゃったけど……でも、何だかんだで楽しかったわね)

美波 (木下の場合、瑞希と比べて、ライバルって感じがあんまりしないから、気兼ねも少ないからかしら)

明久 「あ、美波。おはよう」

美波 「おはよ」 (それで当の本人はこのバカ面だもんね。ホントいやになるわ) ハァ

明久 「朝っぱらから人の顔を見て溜息をつかないでよ!」

雄二 「………………」

美波 「……それで、何でそこで坂本が死んでるの?」

明久 「え? ああ、この死体? なんかよく分からないけど、大荷物を持ってきたから疲れたんだって」

雄二 「明久テメェ、一度説明してやったことくらいしっかりと説明しろ……」 グッタリ

美波 「なんか本当に死にそうね。どうかしたの?」

雄二 「コレだよ、コレ」 スッ

美波 「……? なんか見たことがないジュースね」

雄二 「うちのお袋が通販で失敗して昨日滅茶苦茶大量に届いた健康飲料だよ」

雄二 「いま我が家にはこれの36本入りケースがざっと20ある。ちなみに母親は1ケース頼んだつもりだったらしい」

40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:03:03.65 ID:f75hSeb20
美波 「……それ、間違いってレベルじゃないわよね」

雄二 「母親曰く、『1と20って似てて間違えやすいわよね。てへっ☆』 とのことだ」

美波 「似てる要素が限りなく0に近いような気がするペアリングね」

雄二 「最後の 『てへっ☆』 を聞いてどつきたい衝動にかられたんだが、」

雄二 「いつの間にか背後に立っていた翔子に沈められ、母親には1ケース持っていけと無理矢理持たされ、」

雄二 「このクソ暑い中このクソ重い1ケースを持って登校してきたんだよ……」

美波 「なんていうか、坂本も大概大変よね……」

雄二 「もう慣れそうになっている自分が怖いがな」

雄二 「持ってきちまったものは仕方ない。クラスの皆さんにどうぞ、とのことだからお前も一本飲め」 スッ

美波 「あ、うん。ありがとう。ありがたくもらっておくわ」

雄二 「味はそんなに悪くない。ただ、利尿作用が強いらしいから、家に帰ってから飲むのが無難かもな」

美波 「そうなの? ならそうしようかしら」 クスッ 「授業中にお手洗いに行きたくなったら大変だし」

41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:04:46.80 ID:f75hSeb20
? 「……うん? 朝っぱらか何をやっておるのじゃ?」

美波 「!」 ビクッ

雄二 「おう、秀吉。お前も一本飲め」 ポイッ

秀吉 「む」 カシッ 「なんじゃ、このジュースは」

秀吉 「まぁ何にせよありがたい。今日は朝から暑くての。朝練でかなり汗をかいたのじゃ」

美波 「あっ……」

カシュッ……ゴクゴクゴクゴクゴク……プハァ

秀吉 「うむ。なかなか美味しいの。ありがとなのじゃ、雄二」

秀吉 「ん? どうかしたのか、島田? ワシの顔に何かついておるのか?」

美波 「あ……ううん。なんでもないわ」

秀吉 「? 変な島田じゃのう」

美波 (なんかよく分からないけど……すごく嫌な予感がするわ)

42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:09:07.22 ID:f75hSeb20
………………一時間目 授業中

鉄人 「――――で、あるからして――――――ここは――――」

秀吉 「………………」 カキカキカキ

美波 「………………」 ジーッ (……大丈夫かしら、木下の奴)

秀吉 「………………」 ケシケシケシ……カキカキ

美波 「………………」 ジーーーッ

秀吉 「………………」 カキカキカキ……モジモジ

美波 「!!?」 (まさか……)

瑞希 「……?」 (美波ちゃん、さっきからどうしたんでしょう?)

………………

モジモジモジ

秀吉 (む……なんじゃろう) モジモジ (さっきからトイレに行きたくてたまらん)

チラッ

秀吉 (むぅ……あと十五分で休み時間か。なんとか保ちそうじゃな) モジモジ

秀吉 (授業が終わったらダッシュで特別教室棟に行って……うむ。間に合うじゃろ)

43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:11:48.26 ID:f75hSeb20
キーンコーンカーンコーン

鉄人 「では今日はここま――」

秀吉 (ダッシュじゃ!) ダッ

鉄人 「――木下……? まぁいいか」 スッ 「お前たちに朝のSHRで伝え忘れたことがあるから伝えておく」

美波 (木下……やっぱり我慢してたのね)

鉄人 「試験召喚フィールドの調整のため、今日いっぱいは特別教室棟への立入を禁じる」

美波 (ふーん……) ハッ (えっ?)

鉄人 「まぁ施錠されているから入ろうにも入れないだろうがな。理科科目などに関しては教室でやるそうだ」

鉄人 「以上だ。次の授業までに今日の範囲を復習しておけよ」 スタスタスタ

美波 「………………」

美波 (これって……もしかしなくても、まずいわよね……)

美波 「………………」

タッ

美波 (あー、もう……なんだってウチが……!) ダッ

瑞希 「……?」 (美波ちゃん? 本当にどうしたんでしょうか……)

45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:13:55.38 ID:f75hSeb20
………………特別教室棟入り口

ガチャッ

秀吉 「む?」 ガチャガチャ 「……開かないのじゃ。施錠されておるのか」

秀吉 「……致し方あるまい。普通教室棟のトイレへ行くか」

………………

『うわぁぁぁぁぁあああ! 何で女子が入ってくるんだよ!』

『出ていってくれ! お願いだ!』

バァン!!

秀吉 「うぅ……なぜズボンをはいておるというのにこんな扱いなんじゃ……」

秀吉 「これでは入ろうにも入れないではないか……」

モジモジ

秀吉 (……まずいのう。もうそろそろ限界なのじゃが……)

? 「……やっぱり。こんなことになってると思った」

秀吉 「む? 島田か。すまぬが今ワシは立て込んでおる。用事があるのなら後にしてくれ」

美波 「バカ。その立て込んでることとやらをなんとかするために来てあげたんでしょうが」

46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:20:16.64 ID:f75hSeb20
秀吉 「……何の話じゃ」

美波 「トイレ。我慢してるんでしょ。授業中アンタを見てただけで分かったわよ」

秀吉 「む……」 プイッ 「しかしそれをお主がどう解決してくれるというのじゃ」

美波 「簡単よ」 スーーーッ…… 「美春!」

美春 「お呼びになりましたかお姉様」 サッ

秀吉 「清水!? お主どこから現れたのじゃ!?」

美春 「お姉様いらっしゃるところ常に美春の姿あり、です」

秀吉 (ただのストーカーじゃな……)

美春 「それでお姉様」 ハァハァ 「美春に一体何のご用です?」

美春 「美春、お姉様のためなら何でも辞さない覚悟です! 何なりとご用をお申し付けください」 ハァハァ

美波 「……そう。じゃあ美春、一つだけお願いするわ」

ニコッ

美波 「アンタのスカート、今すぐウチに貸しなさい」

48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:22:09.18 ID:f75hSeb20
………………人気のない廊下

秀吉 「むぅ……なぜワシがこんなものを身につけねばならぬのじゃ」 スルスル

美波 「ぼやくんじゃないわよ。アンタのためにやってるんだから」

秀吉 「もちろん感謝はしておるが……本当にこんな方法しかないのじゃろうか」 パチッ

秀吉 「……着終わったのじゃ」

美波 「そう」 クルッ 「……むぅ」

秀吉 「何じゃ? やっぱり変かのう」

美波 「違うわよ」 ハァ 「スカートが似合いすぎてて恨めしいってだけ」

秀吉 「ワシにとっては何ら嬉しいことではないのじゃが……」

秀吉 「……しかし、本気でやるつもりなのか?」

美波 「仕方ないでしょ。それともこのままトイレを我慢し続ける?」

秀吉 「!」 ブンブンブン 「も、もうそろそろ、本当に限界なのじゃ……」 モジモジモジ

秀吉 「……背に腹は代えられぬ」 ギリッ 「すまぬ、島田。ワシを――」

秀吉 「ワシを、女子トイレに案内してくれ!」

美波 「はいはい」 (っていうか、スカートさえ履いちゃえば、ウチがいなくても問題ない気もするけど)

49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:23:33.30 ID:f75hSeb20
………………そのころ

美春 「うふふふふふふふふふふ」 クネクネ ←パンモロ

美春 「お姉様ったら、欲しいのなら美春のスカートなんて何枚でも差し上げますのに」 ←パンモロ

美春 「今頃お姉様は、美春のスカートで何を……」 ポワンポワンポワン 「……うふふふふふふふふふふ」 ←パンモロ

ヒソヒソヒソ……ザワザワザワ……

ムッツリーニ 「…………? なっ……!」 プッシャァァァアアア!!! 「…………ふ、不覚……!」

愛子 「むぅ……」 プクゥ 「ムッツリーニ君」 チラッ

ムッツリーニ 「…………!?」 プッシャァァァアアア!!! 「…………工藤愛子……ッ! お前は、死人に鞭打つのか……!!」 バタン

愛子 「ムッツリーニ君はボクだけで興奮して鼻血噴いてればいいの!」 プンプン

鉄人 「……ん? なっ!? 清水!?」

美春 「美春はお姉様にスカートを脱がされて放置されて……」 ゾクゾクゾクッ ←パンモロ

鉄人 「清水! お前、スカートはどうしたんだ!」

美春 「それだけで色々と果ててしまいそうです……」 ←パンモロ

鉄人 「………………」 ハァ 「……致し方あるまい」 ガシッ……ズルズルズル

鉄人 「校則違反以前の問題で特別補習だ。覚悟しておけよ」 ズルズルズル 「……といっても、聞いてはいないか」

50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:25:23.86 ID:f75hSeb20
………………女子トイレ前

美波 「………………」 ギィ…… キョロキョロキョロ

美波 「……ん。大丈夫そう。誰もいないわ」

秀吉 「ほ、本当じゃろうな?」

美波 「信用しなさいよ。っていうかそもそも、女子がいても問題ないでしょうしね」

秀吉 「それはどういう意味じゃ」

美波 「そのままの意味よ」 グイッ 「そんなことより、早く入っちゃいなさいよ。人来ちゃうわよ?」

秀吉 「分かっておる」 スゥ 「……女子の皆、すまぬ」

ギィ……

秀吉 「……当たり前のことじゃが、個室しかないのじゃな」

美波 「何を今さらなこと言ってるのよ」

秀吉 「じゃからワシにとっては今さらなことではないのじゃがな」

美波 「いいからさっさと用を足しちゃいなさいよ」 スッ 「それじゃウチは外で待って――」 ガシッ

美波 「!? な、何よ、いきなり手を掴んで!」

秀吉 「後生じゃからこんな場所に一人にしないでくれ!」

52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:27:27.96 ID:f75hSeb20
美波 (わー……木下って、本当に肌キレイね……)

秀吉 「頼む!」 ウルウルウル

美波 (目も大きいし……女じゃないって本人は言ってるけど、少なくとも絶対に男じゃないわよ)

秀吉 「……うぅ……一生のお願いじゃから……」

美波 (っていうか手もこんなにすべすべしてて……って!)

美波 「い、いつまで手を握ってるのよ!」 バッ

美波 「わ、分かったわよ! 個室の前で待っててあげるから、さっさと入っちゃいなさい!」

秀吉 「すまぬ! 本当に恩に着るのじゃ!」 パァァ

スタスタ……

秀吉 「ここでよいか……」 クルッ 「や、約束じゃぞ? ここにいるのじゃぞ」

美波 「分かったって言ってるでしょ、だから早くしちゃいなさい」

美波 「音姫の使い方は……まぁ知らなくてもいいわよね。それじゃ――」

――――ギィ……

秀&美 「「!!!?」」

ササッ……バタン!

53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:29:30.46 ID:f75hSeb20
秀吉 (な、何でお主まで個室に入ってくるのじゃ!)

美波 (し、仕方ないでしょ!? いきなりトイレに人が入ってきてビックリしたんだもん!)

美波 (入ってきた奴が個室に入ったら出るわよ!)

『あーあ……なんか今日は髪がきまらないなー』

秀&美 「「!」」

『気のせいだって。いつもと変わんないじゃん』

『あんたには違いが分かんないのよ。ほら、ここら辺の感じとか……』

『あーごめん。全然分からないわ』

秀吉 (………………) ムゥ (……どうやら用を足しに来たわけではなさそうじゃな)

美波 (そうね……)

秀吉 (のう島田)

美波 (な、なによ?)

秀吉 (……そろそろ、いい加減、) モジモジ (下腹部の、感覚が、なくなってきたのじゃが……)

美波 (!?)

54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:33:24.31 ID:f75hSeb20
美波 (ど、どうしよう……ウチが出ていってもいいけど……)

秀吉 (そうしたら洗面台の前にいる連中に不自然に思われるじゃろうな)

秀吉 (人が出てもトイレの扉が閉まったままではのう……)

美波 (……もう限界なんでしょ?)

秀吉 (………………) コクン

美波 (………………) グッ (……だったらしちゃいなさい)

秀吉 (し、しかし……)

美波 (四の五の言ってられないでしょ。入ってきた奴らは出ていく気配がないし……)

美波 (それにそろそろ休み時間も終わっちゃうわ)

秀吉 (むぅ……)

美波 (ウチは耳を塞いで目をつむって後ろを向いてるから)

秀吉 (……分かった。すまぬ。そうさせてもらう)

美波 (謝らないでよ。ウチが個室に一緒に入っちゃったせいなんだから) スッ

美波 (耳塞いだし、目も閉じたわ。どうぞ)

秀吉 (うむ……)

55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:45:39.21 ID:f75hSeb20
スッ……カチッ……スルスル……モゾモゾ……

美波 (………………) ドキドキ (お、音は聞こえないけど……木下が動いてる気配はする……)

美波 (木下……さっさと終わらせちゃいなさいよ)

秀吉 (島田の奴、こっそりと見ていたりは……するはずがないか)

秀吉 (ワシは何を馬鹿なことを考えているのじゃ……)

秀吉 (女子トイレで、しかも婦女子の前で……ああ、なんと男らしくないことをワシはしておるのじゃ)

秀&美 ((うぅぅ……))

………………

………………………………

………………………………………………

56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:48:33.53 ID:f75hSeb20
………………

『あ、そろそろ授業始まっちゃう。ほら、行こ』

『うぅ……髪、直らないよぉ……』

『だからいつもと変わらないって。早くしないと置いてくよー?』

『分かったよ。行くよ……もうっ』

――ギィ……パタン

秀吉 「………………」 ハフゥ 「……行ったようじゃな」

美波 「そうみたいね……」

キィ……

美波 「うん、誰もいないわ。もう出ても大丈夫よ」

秀吉 「むぅ。何から何まですまんのう」

美波 「べつにいいわよ、今さら」

……キーンコーンカーンコーン

美波 「あっ……」

秀吉 「チャイムが鳴ってしまったのじゃ……」 スッ 「島田、お主は先に教室に戻れ」

57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:50:41.60 ID:f75hSeb20
美波 「え……? 何で?」

秀吉 「……お主はワシにスカートのまま教室に戻れと言うのか?」 バシャバシャバシャ……

美波 「あ、ああ……」 (あまりにも自然すぎて気がつかなかったなんて言ったら怒るわよね)

秀吉 「それに、二人一緒に遅れて教室に入ったりしたら何を言われるか分からんしのう」 フキフキ……

美波 「……何にも言われないと思うけど」 (ハンカチ持ってるあたり、コイツって本当に女子よね……)

秀吉 「何か言ったか?」

美波 「何でもないわ」 ニッ 「それじゃ、お言葉に甘えてウチは先に戻ってるわね」

秀吉 「あっ……島田っ!」

美波 「ん? 何よ?」

秀吉 「その……」 ニコッ 「ありがとう、なのじゃ」

美波 「あ、う、うん……」 カァァ (ホント、ムカつくくらいキレイな顔よね……!)

美波 「そ、それじゃ、また……」

――ガッ……

美波 「へ……?」

秀吉 「っ……!」 グイッ

58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:54:02.75 ID:f75hSeb20
――――――ギュッ

秀吉 「………………」 ハァ 「……まったく、何をやっておるのじゃ」

秀吉 「自分の足に蹴つまづくなど……姫路でもあるまいし」

美波 「ご、ごめん……」

秀吉 「……? どうかしたか? 顔が赤いが……」

美波 「べ、べつに、何でも……」

秀吉 「?」 ズイッ 「何でもないことはなかろう? どうしたのじゃ?」

美波 「!! だ、だからっ! か、身体と顔が……近い……っ」

秀吉 「!?」 バッ 「……す、すまぬ! 島田が倒れそうだったから、つい抱きかかえてしまったのじゃ!」

秀吉 「もちろんのこと、他意はなかったのじゃっ!」

美波 「わ、分かってるわよ……」 ハフゥ 「そ、その……ありがとっ。先、教室戻ってるからっ!」 ダッ……

秀吉 「あっ……行ってしもうた」

秀吉 「………………」 ムゥ 「……何から何まで世話をかけて、その上迷惑までかけてしまったの」

秀吉 「これは何らかの形で礼をせねばならんのう……」 フゥ 「……ともあれ、まずは女子トイレから出るとするか」

秀吉 「……あと、」 ピラッ 「清水にこのスカートを返さねばならんのう」

59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 20:54:36.47 ID:6HiZlSWk0
秀吉は男だろ……


60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:03:54.59 ID:f75hSeb20
………………放課後

美波 「………………」 ハァ (……何か分からないけど、あれから恥ずかしくて木下をしっかりと見られないわ)

美波 (ウチったら、何考えるのよ……) パンッ! (相手は半ば女子の男未満の奴じゃない)

美波 (だからべつに、何も意識する必要なんてないのよ……)

美波 (女子トイレで抱きすくめられたくらいで……) ――ッボン!!

美波 (だぁぁぁぁああああああ!! それで意識するなって方が無理でしょうが!)

美波 (いい? 忘れるのよ。さっきのことは、キレイさっぱり忘れるの)

美波 (それで大丈夫。大丈夫。ウチが好きなのはアキなんだから、木下なんて関係ないもん)

美波 (大丈夫……大丈夫……大丈b――)

秀吉 「――のう、島田」

美波 「ひっ……!?」 バッ

秀吉 「……! ど、どうしたのじゃ?」

美波 「なっ……な、何でも、ないわよ?」 アセアセ 「そ、それで何か用?」

秀吉 「……? まぁよい」 スッ 「午前中のこと、本当にありがとう。助かった」 ペコリ

美波 「あ、ああ……ううん。ジュースのことを言わなかったウチも悪いわけだし」

61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:06:26.16 ID:f75hSeb20
秀吉 「それでも助かったことは事実じゃ。本当にありがとう」

美波 「……うん。じゃ、どういたしまして」

秀吉 「それにしても、雄二の奴、ワシにもしっかりと注意してくれればよいものを……」 プンプン

美波 (なんでコイツって怒ってる仕草もこんなに可愛いんだろ……) シュン (ウチが怒ったりすると怖いだけなのにな……)

秀吉 「? ともあれ、雄二にはしっかりと復讐しておいたからもうよいのじゃ」

美波 「復讐?」 チラッ

雄二 「――っぁぁぁあああああああああ!!! いきなり何をするんだ翔子! 放せ!」

翔子 「浮気はっ、」 ギリッ 「絶対にっ」 ギリリッ 「許さないっ」 ギリリリリリリッ!!!

雄二 「何の話だぁぁぁあああああああああ!!?」

美波 「……アンタ、何をしたわけ?」

秀吉 「女子の声色を使って、霧島翔子嬢に電話であることないこと吹き込んでおいた」

美波 「なるほど……」 チラッ

雄二 「――――――――ッ……ぁ……」 パキュッ

美波 「……アンタ、結構鬼ね」

秀吉 「ワシを女子トイレに入れさせるようなことをしたバツなのじゃ」 ニコッ

62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:10:07.15 ID:f75hSeb20
秀吉 「ところで島田、このあと用事はあるか?」

美波 「へ……?」 パチパチ 「べっ……べつに、何もないけど……?」

秀吉 「そうか。それは良かった」 ニコッ 「このあと少し付き合わんか?」

美波 「つっ……付き合っ……!?」

秀吉 「? 何じゃ? やっぱり何か用事でもあったのか?」

美波 「……!」 ブンブンブン 「そ、そんなことはないわ……」 カァァ……

美波 (ウチはなに意味不明な勘違いしてるのよ……! ウチのばかウチのばか!)

秀吉 (本当にどうしたというのじゃろうか……?)

美波 「……どこかに行くの?」

秀吉 「うむ。よければ遊びにでもいかぬか?」 ニコニコ 「今日の礼もしたいしのう」

美波 「あ……」 (それって、ふたりきりで、ってことよね……)

秀吉 「うん?」

美波 「………………」 コクン 「……うん。行く」

秀吉 「そうか。良かったのじゃ」 ニコッ

63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:11:54.04 ID:r2VpEc1D0
支援

64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:12:02.78 ID:f75hSeb20
………………通学路

美波 「……でも木下、演劇部の方はいいの?」

秀吉 「ふむ。今日も休みなのじゃ。再開は明日からかのう」 (´・ω・`)

美波 「本当に演劇が好きなのね」 クスッ 「すごく残念そう」

秀吉 「うむ。ワシにはそれ以外に何もないからの」

美波 「お姉さんがお姉さんなんだから、真面目に勉強すれば成績も上がるでしょうに」

秀吉 「それを言うなら、お主も日本語をもっと学べば成績が上がるじゃろうに」

美波 「………………」 フッ 「……それもそうね」

秀吉 「ところで、島田はどこか行きたいところなぞはあるか?」

美波 「特に何もないけど?」

秀吉 「ふむ。ならば誘ったワシが選ぶとするかの。たしかお主はゲーセンなどにはあまり行かぬのであったな」

美波 「……あれは不良が行くところでしょ?」

秀吉 「ではまずその偏見を解くところから始めるとするかのう」 ニコッ

66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:13:13.92 ID:f75hSeb20
………………ゲームセンター

美波 「……やっぱりあんまり得意じゃないわ。このうるさい感じ」

秀吉 「まぁ、騒音を良しとする者は少ないじゃろうて」

美波 「あっ……」

秀吉 「?」 チラッ 「……UFOキャッチャー?」

美波 「………………」

トトトトト……

美波 「……可愛い」 ボソッ

くま 『………………』

秀吉 「ふむ……」 ニコッ 「やってみたいかの?」

美波 「………………」 コクッ

スッ……チャリンチャリン

秀吉 「……頑張るのじゃ」 グッ

ガー……

67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:14:52.81 ID:f75hSeb20
………………

美波 「うぅ……」 ギロッ 「何でこんなに弱いのよ、このアーム……」

くま 『………………』

秀吉 「それはまぁ……強ければすぐに取られてしまうしのう……」

秀吉 「今の一回を見る限り、これを取るのは難しそうじゃな」

美波 「……そこまで分かるの?」

秀吉 「UFOキャッチャーでいくらも損をすれば自ずと分かるようになる」

美波 「……うぅ……でも欲しい……」

くま 『………………』

秀吉 「ふむ……」 キョロキョロ 「……む、あれがよいな」

美波 「?」

秀吉 「来い、島田。あれならばきっと取れるぞい」

美波 「……? くまの……ストラップ?」

秀吉 「うむ」

68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:16:46.43 ID:f75hSeb20
………………

チャリンチャリン……ガー……

秀吉 「……この辺かの?」

ピタッ……ガシッ……ポロッ……

美波 「あっ……本当に取れた……!」

秀吉 「……こんな風に、取れる筐体を探すのも醍醐味じゃな」

スッ

美波 「えっ……?」

秀吉 「ほれ。今日の礼と言うわけではないが、お主にやろう」

美波 「で、でも……」

秀吉 「お主はこんな可愛らしいストラップをワシに身につけろというのか?」

美波 「………………」 クスッ 「……それもそうね。じゃあ、ありがたくもらっておくわ」

秀吉 「うむ」

美波 「……ま、折角だし」 スッ 「鞄にでも付けておこうかしらね」

秀吉 「では、もっと色んなゲームをするとしようかの」 ニコッ

69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:21:33.17 ID:EhwP5t+z0
俺は久保派

70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:22:18.57 ID:f75hSeb20
………………休憩所

美波 「ふぅ……」 カタッ 「……疲れたわね」

秀吉 「……意外と楽しんでいたようで何よりじゃ」 スッ

秀吉 「喉が渇いたじゃろう? ほれ」

美波 「……わざわざ悪いわね。ありがと」

コクコク……プハァ

秀吉 「なに。今日はお主の世話になったからの。これくらいは当然じゃ」

美波 「だからそれはもういいってのに……」

秀吉 「いや、しかしのう……最後に迷惑もかけてしまったし……」

美波 「へっ……?」 カァア 「……あ、あれはべつに……」

美波 (あーもう! 人がせっかく忘れようとしてたのにバカ木下!)

秀吉 「?」

美波 「あっ! ほ、ほら! プリクラがあるわ! 撮っていきましょうよ!」

ガシッ

秀吉 「む……むぅ?」 (自然に手を掴まれてしもうた……)

71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:24:30.96 ID:f75hSeb20
秀吉 「ワシはこういう女子がやるようなものは……」

美波 「いいから! やるの!」 グイグイ

秀吉 「むぅ……仕方がないのう」

美波 「はい、アンタはこっち」

秀吉 「うむ」

美波 「………………」 グイッ 「……もっと近寄りなさいよ。写らないでしょ」

秀吉 「う、うむ……」 グッ (……し、島田の奴……ワシの性別を忘れているのではあるまいな?)

美波 「ん……いい感じね」

秀吉 「……プリクラを撮るのは初めてではないようじゃな」

美波 「ええ。前に瑞希たちと撮ったことがあるから」

美波 「じゃ、撮るわよー?」 ギュッ

秀吉 「う、うむ……」 (ほっそりとしているように見えて、意外と肉付きが……)

秀吉 「……!」 ハッ (わ、ワシは友人に対して何を下卑たことを考えておるのじゃ……!)

秀吉 (平静に……平静に、じゃ)

――――――カシャッ

72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:27:08.50 ID:f75hSeb20
………………

美波 「――これでよし、と」

美波 「じゃあ、後であんたのアドレスにプリクラの画像送っておくわね」

秀吉 「う、うむ。頼むのじゃ」

美波 「……? どうかした? 顔赤いわよ?」

秀吉 (島田がそれを言うのか!?) 「な、何でもないのじゃっ!」 プイッ

美波 「変な木下」 プッ

秀吉 「むぅ……」 (……島田にとって、ワシは本当に “女子” なのじゃな)

秀吉 (何故じゃろう……姫路たちに女子扱いされるより……胸が痛いのう……)

美波 「どうかしたの?」

秀吉 「いや……」 フルフル 「……何も」

美波 「? アンタ、――」

?1 「――……あっ、雄二、プリクラがある」

秀&美 「「!?」」 ((この声は……!))

?2 「あん? それがどうした?」

73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:37:27.79 ID:EeC9lz9oO
読んでるよー

74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 21:51:38.40 ID:r2VpEc1D0
秀吉も異端審問会にかけられるのだろうか

76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:24:54.48 ID:f75hSeb20
秀吉 (やはり、雄二たちなのじゃ……!)

美波 「か、隠れるわよ、木下」

秀吉 「うむ……!」

ササササッ……

翔子 「……それがどうした、って。だから、プリクラ」

雄二 「ああそうだな。だからそれがどうした」

翔子 「……撮る」

雄二 「好きにしろ。その間に俺は帰る」

ガシッ

雄二 「だっ、だから頭を掴むな!」

翔子 「……一緒に撮る」

雄二 「はっ、やなこっ――」 ガスッ 「――お前最近目つぶしの沸点下がってないか!?」

翔子 「……それに応じて、雄二の耐性は上がってる。良い夫婦」 ポッ

雄二 「もはや意味がわからねぇ! っつーか放せ! 放せー……」

ズルズルズル……

77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:27:04.45 ID:f75hSeb20
美波 「何よあのふたり……ビックリしたわね」

秀吉 「ふたりきりじゃったの。大方、ワシのせいで雄二が付き合わされておるのじゃろうがな」

美波 「……なるほどね。浮気をタテに放課後デートかぁ」

美波 「なんていうか、霧島さんの健気さになけてくるわね」

秀吉 「そうじゃのう。いい加減雄二も素直になれば良いものを」

秀吉 「ともあれ、ここを離れるとするかの。あの二人にでくわしてしまう」

美波 「そうね……」

トトトト……

秀吉 (ん……?)

美波 (そういえば……)

秀吉 (何故あのふたりが来たとき……)

美波 (ウチたちは隠れたりしたのかしら……?)

秀吉 「………………」 (もしかして……いや……)

美波 「………………」 (もしかしなくとも……)

秀&美 ((ふたりでいるのを見られたくなかったから……?))

78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:31:49.25 ID:f75hSeb20
秀吉 「この声は……!」  美波 「またなの!?」

サササッ……

ムッツリーニ 「………………」 フン 「……女の服に、興味などない」 サワサワ

愛子 「その割には材質チェックに余念がないよね。濡れたら透けるかすけないかを確かめてるの?」

ムッツリーニ 「…………!!」 ブンブンブン!!! 「…………そんなことは、ない……!!」 サッ

愛子 「どうかな? こういう服、ボクに似合うと思う?」

ムッツリーニ 「…………そんなこと、俺が知るか」

愛子 「ああもう、つれないなぁ。じゃあちょっと試着してみせようか?」

ムッツリーニ 「…………!?」 ガバッ 「…………き、興味など、ない……!!」 サササッ

愛子 「うん。大きくい一眼レフを両手に持った時点で色々と分かるよ」 ニコッ 「ありがと、ムッツリーニ君。ボク、着てくるね」

ムッツリーニ 「…………!? お、俺は、お前の服になど、興味は……」

愛子 「興味は?」 ニヤニヤ

ムッツリーニ 「………………」 グッ 「…………早く、着てこい」

愛子 「ムッツリとしての最後の抵抗だね。仕方ないなぁ」 スタスタ……

ムッツリーニ 「…………ま、待て……俺も、行く……」 トトト……

79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:37:01.47 ID:f75hSeb20
コソコソ……

秀吉 「……何というか、あの二人も大概じゃのう」

美波 「……工藤の奴……いつもは否定するくせに、結局土屋と……」

秀吉 「まぁ、良いコンビじゃとは思うがの」

美波 「それは……そうね」

美波 「あの二人って付き合ってるのかしら?」

秀吉 「いや、それはないじゃろ。そんなことになっているとしたら、須川が放ってはおかんじゃろうて」

美波 「……それもそうね」

秀吉 「それにしても、今日はカップルとの遭遇率が高いのう」

秀吉 「まるで狙い澄ましたかのようにワシらの前に現れるものじゃ」

美波 「偶然でしょ。まったく、その度に隠れるこっちの身にもなってほしいわ」

秀吉 「………………」 プハッ 「……そうじゃの。何でワシらは隠れておるのじゃろうな」

美波 「……そうね」 クスッ 「隠れる必要なんて、ないのに」

秀吉 「そう……隠れる必要など……――」

? 「――あっ、明久君! この服可愛くないですか?」

80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:42:17.52 ID:f75hSeb20
秀&美 「「!!」」 サササッ……

明久 「ん? うわぁ、確かに可愛いワンピースだね」

瑞希 「ほんと、可愛いですよね」

明久 「うん。その……姫路さんに、とっても似合いそうな感じだね……///」

瑞希 「あっ……/// そんなこと……」

明久 「………………///」

瑞希 「で、でもでもっ、明久君にもとっても似合うと思いますよっ///」

明久 「えっ……// そんなこと……――」

明久 「――って待って! 照れ隠しで変なこと言わないで!?」

瑞希 「本気ですよっ!」

明久 「べつにそこは断言してくれなくてもいいよねっ!?」

瑞希 「じ、じゃあ……」 カァア 「二人でおそろいってことで、買いましょうか……///」

明久 「普通ならとっても可愛い発言が僕を変態に貶めようとしている!?」

瑞希 「じゃあ試着しに行きましょうか、明久君」 ガシッ

明久 「いや、ちょっと待って! 試着するのは姫路さんだけだよね!? 何で二着持ってるの!?」 ズルズルズル……

81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:45:21.33 ID:6HiZlSWk0
瑞希www
きがくるっとるwww

83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:50:33.22 ID:f75hSeb20
秀吉 「………………」

美波 「………………」

美波 「……今のは効いたわね」

秀吉 「……うむ」

美波 「……はぁ。あの二人もデートかぁ」

秀吉 「しかしあの二人はまだ……」

美波 「……けど、随分とナチュラルに照れ合ってたわよね」

秀吉 「うむ……確かにそうなのじゃ」

美波 「………………」

秀吉 「………………」

美波 「……帰る」

秀吉 「……それが良さそうじゃな」

秀吉 「すまなかったの。ワシのせいで、明久と姫路の……」

美波 「言いっこなしよ。それに……」 ニコッ 「……今日は、楽しかったから」

秀吉 「そ、そうか……」 ドキッ

85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 22:54:57.98 ID:f75hSeb20
………………帰り道

美波 「………………」 (なんだろう……? 心が痛いのに、そこまでじゃない……)

美波 (アキと瑞希が付き合う……なんてことを想像したら、まだ心が痛むのに……)

美波 (実際に二人のデートに遭遇しても、そこまでショックは受けてない……)

美波 (ひょっとして……) チラッ

秀吉 「………………」

美波 (木下がいたから……?) ドキッ (だから、心が痛くないの……?)

秀吉 「………………」

秀吉 (何じゃろう……今までは、少なからず姫路に嫉妬心も抱いていたものじゃが……)

秀吉 (実際にああいう場面を見ても……心にくすぶるものは少ないのう……)

秀吉 (むしろホッとしているような……心から明久を祝福したいような……そんな気分じゃ)

秀吉 (……いかんな。これでは島田に対して申し訳ない。島田は明久のことが好きなんじゃからな)

ズキッ

秀吉 「………………」 (何故……)

秀吉 (……何故、こちらの方が心が痛むのじゃ……?)

86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:03:49.20 ID:f75hSeb20
? 「あっ……!!」

ダダダダダ……!!!

美波 「……?」

――ッドン!!

美波 「きゃっ……!?」 ギュッ 「……は、葉月!?」

秀吉 「島田の妹……?」

葉月 「お姉ちゃん発見です!」 スリスリ

美波 「いま帰り? 随分と遅いわね」

葉月 「はいですっ! 今日は係活動があったです!」

秀吉 「こんな時間まで大変じゃのう」 ナデナデ 「偉い偉い、じゃ」

葉月 「あっ! 秀吉お姉ちゃんもいたです!」

秀吉 「いや、じゃからワシはお姉ちゃんではなく……」

葉月 「――もっとナデナデしてほしいです!」

秀吉 「う、うむ……」 ナデナデ

葉月 「~~♪」

87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:13:04.74 ID:f75hSeb20
美波 「こら、葉月。この人はお姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんなのよ?」

葉月 「へ……?」 ハッ 「本当です! ズボンの制服をはいてるですっ!」

秀吉 「おお……島田もようやくワシを男扱いしてくれるようになったのじゃな……」

美波 「……そんなことで感動するって、アンタって単純よね」

葉月 「じゃあ、秀吉お兄ちゃんですねっ!」

秀吉 「う、うむ……」 (お兄ちゃんと呼ばれるのも新鮮じゃのう……)

葉月 「……? でも、それなら、お姉ちゃんとお兄ちゃんはデートしてたです?」

秀&美 「「でっ……!!?」」

美波 「なっ、何を言ってるのよ葉月っ! そんな言葉どこで覚えたの!?」

葉月 「? 普通知ってるですよ?」 キラキラ 「デートなんです!?」

美波 「そ、そんなわけ……」 チラッ

秀吉 「!?」 (な、何故ワシを見るのじゃ島田!)

秀吉 「あー……島田の妹? 違うのじゃ、ワシらはべつにデートをしていたわけではなくて……」

葉月 「? でも、男の人と女の人が二人でお出かけするのはデートって言うですよ?」

秀吉 「いや、その、じゃな……」

88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:20:14.78 ID:f75hSeb20
美波 「ほ、ほら……! 早く帰るわよ、葉月!」 ギュッ

葉月 「あ……はいです!」

秀吉 「あっ……送っていくぞ――」

美波 「――も、もうすぐそこだからいいわ!」

秀吉 「あ……ああ、そうか」 シュン (ついてくるな、という目じゃな……)

秀吉 「……じゃあ、また明日。島田」

美波 「………………」 コクン 「……うん。また明日、木下」

葉月 「……?」

秀吉 「……島田の妹も、さよならじゃ」 ノシ

葉月 「はいです! 秀吉お兄ちゃん、また今度、なんですっ!」 ノシ

トコトコトコ……ピタッ

秀吉 「?」

美波 「……あ、あのさっ」 カァア 「……今日、本当に楽しかったから。だから、ありがとっ! また明日!」

トトトト……

秀吉 「あ……う、うむ! ワシも楽しかったぞ!」 カァア 「また明日、なのじゃ!」

89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:21:55.20 ID:r2VpEc1D0
どう締めるのかな

91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:29:56.22 ID:f75hSeb20
………………秀吉宅

秀吉 「………………」 ポーッ

優子 「……? どうしたのアンタ?」

秀吉 「………………」 ポーッ

優子 「……いつものうるさい発声練習は?」

秀吉 「………………」 ポーッ

優子 「………………」

ガシッ……ゴキッ!!

秀吉 「!? な、何故突然足の関節を極めるのじゃ姉上!!」

優子 「アンタが無視するからでしょうが」

秀吉 「そんなつもりはなかったのじゃが……というか、無視されたくらいで関節を極めないでほしいのじゃがな……」

秀吉 「それで、何か用かの?」

優子 「決まってんでしょ。風呂上がりのマッサージよ、マッサージ」

秀吉 「………………」 フゥ 「……はいはい、なのじゃ」

秀吉 「まったく……我が家では悩む暇もないのう……」

92 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:33:43.76 ID:f75hSeb20
………………

美波 「………………」 ポーッ

葉月 「……お姉ちゃん?」

美波 「あっ……葉月」 スッ 「どうかしたの?」

葉月 「……? お姉ちゃんこそ、どうかしたです?」

美波 「ど、どうもしてないわよ……」

葉月 「そうですか?」 ニコッ 「じゃあ、ご本を読んでほしいです!」

美波 「………………」 フッ 「……はいはい。今日はこの本でいいの?」

葉月 「はいです!」

美波 「じゃあ、寝ちゃうといけないから、葉月の部屋で読もうかしらね」

葉月 「は、葉月寝ないですよ!」

美波 「寝ていいのよ。じゃないと育たないわよ?」 (……お姉ちゃんみたいに)

ズーン……

葉月 「……? じゃあ、葉月の部屋で読むです!」

美波 「うん。じゃ、行こうか」 ギュッ (悩む暇もない、か。けど、ありがとね、葉月)

93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:47:15.30 ID:f75hSeb20
………………翌日 放課後

美波 「………………」

美波 (……当たり前のことだけど、今日は昨日みたいな騒動はなかったわね)

美波 (坂本は当たり前として、土屋も普段通りだし……)

美波 (アキも瑞希もいつも通り……ちょっとショックだけど、まあ、それも当たり前よね)

美波 (あとは……) チラッ

明久 「あっ、秀吉! 良かったら今日遊ばない?」

秀吉 「すまぬのじゃ、明久。ワシは今日は演劇部があるのじゃ」

美波 (……木下も普通、か) ズキッ (……でも、これが一番当たり前よね)

美波 (べつに、ただ単純にウチと出かけただけなんだから……)

ギュッ

美波 (……木下が取ってくれたくまのストラップ……かわいいな)

秀吉 「それではの、明久」 トトトト……

明久 「あ、うん。また明日、秀吉」 ノシ

美波 「………………」 ハァ (……帰ろう)

94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:51:38.57 ID:f75hSeb20
ガラガラガラ……

美波 「?」

鉄人 「おっ、ちょうどいいところにいたな、島田」

美波 「……何です?」

鉄人 「悪いが、これを木下に渡してくれ」 スッ

美波 「……? プリントですか?」

鉄人 「ああ。帰りのSHRで渡し忘れてな。頼む」

美波 「木下に……何でウチが?」

鉄人 「Fクラスで頼りになるのはお前か姫路か木下くらいのものだ。他のバカは信用ならん」

美波 「まぁ、たしかに、そうですけど……」

鉄人 「それじゃ、頼んだぞ。俺はこれから職員会議だからな」

美波 「あっ……ちょっと……!」

美波 「……行っちゃった」

美波 「……勝手なんだから。もう……」

95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/03(日) 23:57:55.50 ID:f75hSeb20
………………演劇部部室前

美波 「……結局言われた通りに来ちゃったし」

ハァ

美波 「さっさと渡して帰ろう」

ガチャッ……

ガチャガチャ……ワイワイ……

美波 「……?」 (大道具とか小道具を作ってるの?)

女子 「? あの、何かご用ですか?」

美波 「! あ、ああ……」 キョロキョロ 「えっと、木下秀吉っている? ちょっと用があるんだけど」

女子 「木下先輩ですか? えーっと……多分外で発声練習してると思います」

美波 「あ、そう? ありがとう」

女子 「? 先輩、二年生の方ですよね? 木下先輩に何か?」

美波 「えっ……い、いや」 アタフタ 「ちょっと用事を頼まれただけよ」

美波 「アイツの居場所教えてくれてありがとっ。それじゃ、失礼します!」

女子 「………………」 ニヤリ 「…… “アイツ” 、かぁ……」

96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:01:27.34 ID:PRYTgRPG0
………………

アメンボアカイナアイウエオー!!

秀吉 「声が小さいのじゃ! もっと大きな声で!」

アメンボアカイナアイウエオー!!!!

秀吉 「もっと腹の底から声を出すのじゃ!」

アメンボアカイナアイウエオー!!!!!!

秀吉 「……ふむ。上出来なのじゃ」 ニコッ 「そのいきで、十セット行くぞい!」

アメンボアカイナアイウエオー!!!!!! アメンボアカイナアイウエオー!!!!!! ……………………

秀吉 「ふむ。良い塩梅じゃ。その感覚を忘れるでないぞ」

秀吉 「実際に劇場に立って、声を響かせられねば何の意味もないからの!」

一同 『はい!!』

秀吉 「うむ。良い返事なのじゃ」

部員1 (木下先輩って、普段は可愛いけど……)

部員2 (演劇のことになると本当に真剣で、少し怖いよな……)

部員3 (まぁ、そういうギャップがたまらないんだけどな……) ハァハァ

97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:02:20.49 ID:l+mU6J9hO
俺のヤンデレセンサーが反応した

98 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:06:39.56 ID:PRYTgRPG0
秀吉 「では、十分間だけ休憩じゃ。もう秋で、空気も乾燥してくる。しっかりと水分を取っておくのじゃぞ」

一同 『はい!!!』

秀吉 「……さて、ワシも何か水分を……――」

?? 「――はい、これ」 スッ

秀吉 「む……?」 ビクッ 「……し、島田?」

美波 「ほら、奢りだから遠慮無く飲みなさい」

秀吉 「う、うむ……」 スッ 「ありがたく頂戴しよう。ありがとうなのじゃ」

美波 「どういたしまして」

秀吉 「ひ、ひょっとして、今の練習、見ておったのか?」

美波 「バッチリとね」

秀吉 「そ、それはなかなか……恥ずかしいものじゃのう……」

美波 「べつに。結構格好良かったわよ。なんていうか、普段は見られないような、真剣な顔で」

秀吉 「かっ……」 カァア 「……じ、冗談を申すでない」

美波 「冗談じゃないわよ。アンタって、演劇部では別人なのね」

美波 「……見てみたいわ。アンタが本当に演劇をしてるとこ」

99 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:11:06.84 ID:PRYTgRPG0
秀吉 「みっ、観たければ、今度の公演にでも来るとよい……」 プイッ

美波 「……そうさせてもらおうかしらね」 ニコッ

秀吉 (なっ、何じゃ……? いつもと雰囲気が……)

秀吉 「と、ところで! お主が何故ここに?」

美波 「ああ、忘れてたわ」 スッ 「ほら、これ。なんか西村先生が渡し忘れたって」

秀吉 「む……これを届けに来てくれたのか。わざわざすまぬな」

美波 「べつにいいわよ」 ニヤリ 「なんかいつもと違うアンタを見られたしね」

秀吉 「じ、じゃからいつまでもそれを言うでない……!」 プイッ

美波 「………………」 フッ 「……じゃ、練習の邪魔しちゃ悪いから、ウチはもう帰るわ」

秀吉 「あ、ああ……」 ニコッ 「プリントとスポーツドリンク、ありがとう」

美波 「どういたしまして。じゃ、また明日」

秀吉 「うむ……」

部員1 「………………」 (おいおい、何だあの美人の女の先輩は……?)

部員2 「………………」 (分からない……しかし、まさか……)

部員3 「………………」 (百合ハァハァ……)

100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:19:29.25 ID:PRYTgRPG0
………………

美波 「………………」 ハァ 「……なんていうか、思ってたより呆気ない、かな」

美波 「思ってたより意識してないし、ドキドキもしなかった……」

美波 「……普段のウチなら、“ドキドキしないのなんて当たり前じゃない!” なんて言ってるところかしらね」

美波 「何だろう。木下が横にいると、すっごく心が安らぐのよね……」

美波 「これは、何なのかしら……」

美波 「……ともあれ、」 フッ 「木下、本当に格好良かったわね……」

………………

アメンボアカイナアイウエオー!!!!!!

秀吉 (島田……)

アメンボアカイナアイウエオー!!!!!!

秀吉 (……何じゃろう。やはり、昨日の明久と姫路のデートがショックだったのじゃろうか) ズキッ

アメンボアカイナアイウエオー!!!!!!

秀吉 (……痛いのじゃ。胸が、張り裂けそうに痛いのじゃ……)

部員1 「……あの、木下先輩? 言われた発声練習は終わりましたけど?」

101 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:24:42.59 ID:PRYTgRPG0
秀吉 「!!」 ビクッ 「あ、ああ……そうじゃったか。すまぬな」

秀吉 「時間もいいころじゃ。大道具と小道具班も片づけを初めているじゃろう。こちらも終わりにしよう」

秀吉 「……それでは、また明日の朝練からがんばるぞ!」

一同 『はい!!』

秀吉 「………………」

トトトト……

秀吉 「……?」

女子 「あ、あの、木下先輩!」 キラキラ

秀吉 (こやつは……大道具の一年生……?) 「? どうかしたかの?」

女子 「あのあの! さっきのポニーテールの美人の先輩は、先輩の何なんですか!?」

秀吉 「!?」

部員1 「あっ、それ俺も気になってました!」

部員2 「俺も俺も!」

部員3 「………………」 ハァハァ

秀吉 「なっ……お、お主らまで何を言い出すのじゃ……!」

102 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:29:14.47 ID:PRYTgRPG0
女子 「教えてくださいよぉ! もしかして、先輩の彼女さんとかですか!?」

秀吉 「かのっ……!?」 ブッ 「そ、そんなわけがなかろうが!」

女子 「うわっ、先輩真っ赤になってますよー?」

秀吉 「せっ、先輩をからかうでない! 早く大道具の片づけに行くのじゃ!」

女子 「ちぇーっ」 ニヤッ 「……でも、私、先輩の恋を応援してますからねっ!」

秀吉 「こっ、恋などない……! あやつはただの……」

女子 「ただの?」

秀吉 「た、ただの……と、友達、じゃ……」 プイッ

女子 「………………」 ニヤリ 「……もうその顔が全部を表わしてますね」

部員1 「……だな」 グッ 「俺も応援してます!」

部員2 「ですね……」 ググッ 「俺もです! 頑張ってください先輩!」

秀吉 「なっ! じ、じゃからワシはべつに……」

部員3 「お、俺も応援してます……!!」 ハァハァ

秀吉 「そもそもお主は何か違かろう!?」

103 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:33:22.87 ID:PRYTgRPG0
………………帰り道 歓楽街

秀吉 「ま、まったくあやつらは……」 プンプン

秀吉 「ワシと島田は、べつに、そんなのでは……」

秀吉 「そもそも、たとえワシがどうであったとしても、島田は明久のことが……」

秀吉 「………………」

秀吉 「……そう、なのじゃ。もし、万が一、ワシがそんな気持ちを島田に抱いたとして……」

秀吉 「島田は、結局明久のことを好いておるのじゃから、意味はない」

秀吉 「………………」 フッ 「……そう。そう、なのじゃ……」

? 「――あうぅ……また取れなかったです……」

秀吉 「……?」 チラッ

秀吉 「あれは……島田の妹?」 (ゲームセンターなどで何をしておるのじゃ?)

葉月 「うぅ……でも、葉月は諦めないです!」

チャリンチャリン……

秀吉 (あれは、昨日ワシが島田に取ってやったくまのストラップのUFOキャッチャーか……)

104 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:36:49.20 ID:PRYTgRPG0
ガー……スカッ

葉月 「あうー……」 グスッ

秀吉 「何をしておるのじゃ?」

葉月 「? あっ、秀吉お姉ちゃん……じゃなくてっ、秀吉お兄ちゃんですっ!」

秀吉 「しっかりと覚えてくれたか。偉いぞ」 ナデナデ

葉月 「えへへー」 ニコニコ

秀吉 「しかしこんな場所にひとりで来てはいけないぞ? 危ない人もおるからの」

葉月 「へっ……!? 危ない人ですか!?」

秀吉 「うむ」 ニコッ 「じゃが、ワシがおるから大丈夫じゃ。しかしもうひとりで来てはいかんぞ。分かったな?」

葉月 「あっ……はいです!」

秀吉 「……ところで、これが欲しいのかの?」

葉月 「はいですっ! 昨日お姉ちゃんがカバンに付けて帰ってきたです!」

秀吉 「………………」

葉月 「お姉ちゃんがここで取ってもらったって言ってたから来たんですが……取れないです……」 グスッ

秀吉 「ふむ……」 グッ 「ならば、お兄ちゃんに任せるのじゃ」 ニコッ

105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:42:31.45 ID:PRYTgRPG0
葉月 「お兄ちゃんが取ってくれるですか?」

秀吉 「うむ。何を隠そう、お姉ちゃんのを取ってやったのもワシなのじゃぞ?」

葉月 「そうですか? ……なるほど! だからお姉ちゃん、あのくまさんを大事そうにしてたですね!」

秀吉 「……大事そうに、とな?」

葉月 「はいです! お姉ちゃん、とっても嬉しそうにくまをつついてたです!」

秀吉 「……そう、か」 (う、嬉しいのう……)

秀吉 「……よし! ならばお主の分も張り切ってとるのじゃ!」

葉月 「ありがとうです!」

チャリンチャリン……

ガー……

秀吉 「……ここ、じゃな」

ピタッ……ガシッ……ポロッ……

葉月 「あっ……!」 パチパチパチ 「落ちたです! すごいですお兄ちゃん!」

秀吉 「む……?」

――――……ポロッ……

106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 00:49:10.44 ID:PRYTgRPG0
葉月 「あ! もう一つ落ちたです! お兄ちゃんすごいです!」

秀吉 「う、うむ……ワシも驚いておる」 スッ

秀吉 「ともあれ、これはお主のじゃ、ほれ」

葉月 「………………」

秀吉 「? どうかしたかの?」

葉月 「……じゃあ、葉月はひとつだけもらうです」

秀吉 「……? もう一つはどうするのじゃ?」

葉月 「お兄ちゃんが付けるです!」

秀吉 「……ワシは男じゃ。こんな可愛いものは付けられん」

葉月 「ダメですか……?」 グスッ

秀吉 「………………」 ハァ 「……分かったのじゃ。カバンに付ける」

葉月 「はいです!」

葉月 「これで、お姉ちゃんとお兄ちゃんと葉月、三人でおそろいです!」

秀吉 「!」 カァア 「……し、島田と、おそろい……」

葉月 「? どうかしたです?」

109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:25:07.20 ID:PRYTgRPG0
秀吉 「い、いや、何でもないのじゃ……」

秀吉 「ともあれ、帰るぞい。島田が心配するといかんからのう」

葉月 「はいです!」 スッ

秀吉 「? 何じゃ?」

葉月 「手を繋いでほしいです!」

秀吉 「………………」 フッ 「うむ。よかろう」

スッ……ギュッ

葉月 「へへ……なんか嬉しいです」

秀吉 「何がじゃ?」

葉月 「葉月に本当のお兄ちゃんができたみたいで嬉しいです!」

秀吉 「……本当のお兄ちゃん、か」

秀吉 「………………」

葉月 「?」

110 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:27:07.37 ID:PRYTgRPG0
美波 「………………」 キョロキョロ 「葉月ったら……まったく、どこに行ったのかしら……?」

葉月 「あっ、お姉ちゃんです!」 ダッ

タタタ……ギュッ!!

美波 「葉月!」

葉月 「えへへー」 ギュッ

美波 「………………」 スッ 「葉月。帰るの遅くなったら心配するでしょ?」

葉月 「あうぅ……ごめんなさいです……」

美波 「どこに行ってたの?」

葉月 「その……ゲームセンター、です……」

美波 「………………」 ギロッ 「……あのね、葉月。お姉ちゃん言ったわよね?」

美波 「そういう場所に、ひとりで、もしくは子どもだけで行っちゃダメだって」

葉月 「……はいです」

美波 「何で約束守れないの?」

葉月 「うぅ……ごめんなさいです……」 グスッ

? 「そこら辺にしておいてやってはくれぬか?」

111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:31:10.66 ID:PRYTgRPG0
美波 「えっ……? き、木下!?」

葉月 「お兄ちゃん!」 ダッ……ギュッ

秀吉 「たまたま見かけての」 フッ 「……どうも、昨日ワシがお主にあげたストラップが欲しかったらしくての」

秀吉 「じゃから、遠回しに責任はワシにもある。そこまで怒らんでやってくれんか?」

美波 「で、でも……」

秀吉 「こやつもしっかりと反省しておるじゃろうて」

葉月 「………………」 グスッ

美波 「………………」 ハァ 「……分かったわよ。ストラップを見せたウチも悪いわけだしね」

秀吉 「……だ、そうじゃぞ?」 フッ

葉月 「はいです!」 ニコッ

秀吉 「……じゃが、いけないことはいけないことじゃ。しっかりともう一度姉君に謝るのじゃ」

葉月 「はいです」 トト……ペコリ 「……ごめんなさいです、お姉ちゃん」

美波 「ん。分かったわ」 チラッ 「……? そのストラップ……取れたのね」

葉月 「違うです……お兄ちゃんが取ってくれたです!」

美波 「木下が……?」

112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:34:11.86 ID:PRYTgRPG0
秀吉 「うむ。見ていられなくてお節介を焼いてしまった」

美波 「……その上、わざわざ葉月を送ってくれたのね」 ペコリ 「ありがとう、木下」

秀吉 「なに。ワシらは友達ではないか。気にするでない」

美波 「そう……そうね。友達だものね」 チラッ 「……? あれ、木下。そのカバンのストラップ……」

秀吉 「……ああ、これか?」 フッ 「二つ取れてしまっての。一つもらったのじゃ」

美波 「あっ……もしかして葉月が無理矢理付けさせたんじゃ……」

秀吉 「違うのじゃ。ワシが自分で付けたのじゃ。妹は悪くない」

美波 「で、でも……」 カァア 「な、なんかこれじゃ……おそろいで付けてるみたい……」

秀吉 「あっ……」 アセアセ 「そ、そうじゃな! 嫌じゃな! ならばワシは……――」

美波 「――いっ、嫌なんかじゃない!!」

秀吉 「あ……」

美波 「ご、ごめん……いきなり大声出して……」

秀吉 「いや……よいのじゃ」

美波 「……アンタが、嫌?」

秀吉 「そっ、そんなわけはない! ワシはむしろ嬉し……――」

113 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:37:59.17 ID:PRYTgRPG0
美波 「えっ……」 カァァアア……

秀吉 「いや、その……」 ――ッボン!!

葉月 「……? 嬉しい、です?」

秀吉 「い、いや、その……う……」 ボソッ 「嬉しい、のじゃ……」

美波 「……!」 ――ッボン!!

葉月 「はいです! 葉月も、お姉ちゃんとお兄ちゃんとおそろいで嬉しいです!」

美波 「そ、そうね……う、ウチも……嬉しい……かも……」

葉月 「? お姉ちゃんとお兄ちゃん、お顔が真っ赤です」

美波 「あ、赤くなんてないわよ!? ね、ねぇ木下?」

秀吉 「そ、そうなのじゃ! 赤くなってなどおらぬぞ!?」

葉月 「でも赤いですっ!」

美波 「いや、だから、これは、べつに……」

―――― 『お主は綺麗じゃよ、本当にな』

秀吉 「べつに、何にも……」

―――― 『べつに。結構格好良かったわよ。なんていうか、普段は見られないような、真剣な顔で』

114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:44:17.31 ID:t/jBmTnI0
ふむ。支援しよう。

115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:49:49.63 ID:PRYTgRPG0
美波 (なっ……何で……こんなっ)

秀吉 (ワシは……やはり、本当に……)

美波 「っ……」 ギュッ 「ほ、ほら、葉月! バカなこと言ってないでもう行くわよ!」

葉月 「? どうしたですか?」

秀吉 (ワシは……)

美波 「……じゃあね、木下」 (だって、ウチは……そして、木下は……)

秀吉 (しかし、ワシは……!) スッ……ガシッ

美波 「!? なっ……何よ、木下……」

秀吉 「……ダメじゃ。今日は逃がさんのじゃ」

美波 「やっ……やだ! 放して!」 (ウチは……ウチは……木下の、こと……)

秀吉 「ワシは!」

美波 「!」 ビクッ

秀吉 「ワシは……分かっておる。お主の気持ちが誰に向かっているのかも……何もかも」

秀吉 「しかし……気づいたのじゃ。ワシは、それでも……」

秀吉 「――島田! お主のことが……――――」

117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 01:54:47.91 ID:PRYTgRPG0
………………数日後

明久 「……えへへへへ」

雄二 「? 何だ明久。また随分と間抜け面だな」

明久 「えっ? やっぱり分かっちゃう?」 グヘヘ

雄二 「……間抜け面に対して反論はないあたり、お前は少し賢くなったと見えるな」

明久 「ほら見てよ雄二。またムッツリーニが新しい写真を流してくれてさ……」

雄二 「ふん。これまた見事に姫路ばかりだな」

明久 「えへヘヘヘ……」

? 「へぇ? 随分と嬉しそうね?」

明久 「ひっ……!? み、美波!?」

美波 「ウチにも見せてもらっていいかしら?」 ニタリ

雄二 (あーあ……明久の奴終わったな……)

明久 「はい……どうぞ……」

美波 「……ふんふん」 ペラペラペラ 「……じゃ、これだけ没収ね」 ピッ

明久 「へっ……?」 キョトン 「それだけでいいの? っていうか、折檻は?」

118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:00:10.37 ID:PRYTgRPG0
美波 「何バカなこと言ってるのよ。そんなことするわけないでしょ?」

雄二 「? 行っちまったな。一体何なんだ?」

明久 「さぁ? 何でだろう? 秀吉の写真だけ持って行っちゃった……」

? 「む? 新しい写真か?」

明久 「あっ、秀吉」 ニヘヘ 「そだよ。ムッツリーニから仕入れたんだ」

秀吉 「そうか。なら、少し見せてもらってもいいかの?」

明久 「? もちろん、どうぞ」 (秀吉が見せてなんていうの、珍しいなぁ)

秀吉 「ふむふむ……」 ペラペラペラ 「……では、これだけ頂くぞい」 ピッ

明久 「へっ? ち、ちょっと秀吉!?」

雄二 「何なんだ?」

明久 「分からないよ。美波の写真だけ持って行っちゃった……」

明&雄 「「???」」

………………

美波 「ふふ……アキったら、写真なんかじゃなくて、本人にはっきりと言えばいいのに」

秀吉 「まったく、その通りじゃのう」

119 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:04:39.70 ID:PRYTgRPG0
美波 「………………」

秀吉 「………………」

ギュッ

秀吉 「……しかし、お主は本当に良かったのかの?」

美波 「しつこい」 ギリッ

秀吉 「痛い! つねらんでくれ……」

美波 「何度も言わせないで。ウチはアンタがいいの」 ニコッ

秀吉 「………………」 フッ 「……そうか。それは一安心、なのじゃ」

美波 「……アンタは?」

秀吉 「言わずもがなじゃろうて」 ニコッ 「ワシも、お主がいいのじゃ」

美波 「そう……」 ギュッ……

秀吉 「本当に幸せじゃ……」

秀吉 「のう、美波?」  美波 「うん!」


おわり

120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:05:52.37 ID:3XHUwplAO

良かった

121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:06:31.15 ID:ZeJ0LzHk0
お疲れ様

うむ 良かった

122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:08:22.30 ID:PRYTgRPG0
>>1です。

後半ぐだったのは仕様です
申し訳ない
やっぱ書きだめは100パーセントが望ましいね

ちなみに昔ムッツリーニ×愛子のSSも書きました
こういうニッチな組み合わせ大好きです

原作第7巻を読んでこのふたりのかけ合いに萌えたので書いた
後悔はしていない
もうこいつら原作でもくっついちまえ

見ててくれたひとありがとうございました

124 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 02:51:59.15 ID:d59liiRii
乙乙

125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 04:01:22.42 ID:/mSe7KC80
おつ

127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 05:17:29.10 ID:nE1glkTuO
秀吉のおもらし小説になるのかと思った

128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 06:42:49.79 ID:OVrSP23TP
珍しい組み合わせで面白かったよ。
乙です!!

129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 06:58:53.98 ID:PrhoUQAvP
おつ!
いい作品に出会えてよかった

130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 09:55:36.55 ID:cUNZWxsuP
原作だと姫路とくっつくみたいだし
本当にこういうことになりそうだよな

131:2010/10/04(月) 11:48:10.76 ID:PRYTgRPG0
>>77の次。今さらだけど
………………外

秀吉 「………………」

美波 「………………」

秀吉 (なんとはなしに気まずいのう……)

美波 「………………」

秀吉 (島田はさっきから目を合わせてくれんし……)

秀吉 (ワシ自身も、きっと目を合わせられんじゃろうしな……)

秀吉 「………………」 (……よし、なんとか話の糸口を……)

秀吉 「の、のう――」  美波 「ね、ねえ――」

秀吉 「!?」 ビクッ 「……な、何じゃ?」

美波 「そっ、そっちこそ、何?」

秀吉 「い、いやいや、そっちからじゃろう。レディファーストじゃ」

美波 「え、遠慮しなくてもいいって――」

? 「――あっ、ムッツリーニ君ムッツリーニ君。この服可愛くない?」

秀&美 「「!?」」

133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 13:04:26.34 ID:PRYTgRPG0
保守しなくて大丈夫です。

誤爆を修正しただけなので。
おわりです。

135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/04(月) 14:32:36.21 ID:PjHdkjaN0
良かった。実に良かった。

バカとテストと召喚獣 木下秀吉 (1/8 PVC 塗装済み完成品)
アルター (2010-12-25)
売り上げランキング: 2973
関連記事
2010/10/06 15:07 | CM(1) | その他 バカテス SS
    コメント一覧
  1. 774@いんばりあん [ 2011/08/06 15:54 ]
  2. 素晴らしい
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

インバリアントへようこそ
インバリアント -SSまとめサイト-
管理人:こばりあんと



  • About
  • 記事一覧
  • Twitter
  • まとめ依頼
  • ランダム SS
カテゴリ
アーカイブス

2018年 02月 (25)
2018年 01月 (7)
2017年 12月 (3)
2017年 11月 (22)
2017年 10月 (11)
2017年 09月 (2)
2017年 08月 (161)
2017年 07月 (180)
2017年 06月 (139)
2017年 05月 (311)
2017年 04月 (157)
2016年 02月 (1)
2015年 12月 (1)
2015年 05月 (261)
2015年 04月 (295)
2015年 03月 (305)
2015年 02月 (259)
2015年 01月 (283)
2014年 12月 (275)
2014年 11月 (287)
2014年 10月 (285)
2014年 09月 (262)
2014年 08月 (264)
2014年 07月 (262)
2014年 06月 (223)
2014年 05月 (218)
2014年 04月 (209)
2014年 03月 (185)
2014年 02月 (172)
2014年 01月 (191)
2013年 12月 (184)
2013年 11月 (183)
2013年 10月 (180)
2013年 09月 (153)
2013年 08月 (141)
2013年 07月 (154)
2013年 06月 (146)
2013年 05月 (152)
2013年 04月 (148)
2013年 03月 (130)
2013年 02月 (111)
2013年 01月 (123)
2012年 12月 (127)
2012年 11月 (120)
2012年 10月 (127)
2012年 09月 (117)
2012年 08月 (120)
2012年 07月 (122)
2012年 06月 (116)
2012年 05月 (122)
2012年 04月 (121)
2012年 03月 (123)
2012年 02月 (116)
2012年 01月 (122)
2011年 12月 (118)
2011年 11月 (113)
2011年 10月 (119)
2011年 09月 (110)
2011年 08月 (118)
2011年 07月 (118)
2011年 06月 (118)
2011年 05月 (123)
2011年 04月 (124)
2011年 03月 (117)
2011年 02月 (95)
2011年 01月 (109)
2010年 12月 (119)
2010年 11月 (110)
2010年 10月 (120)
2010年 09月 (74)
2010年 08月 (87)
2010年 07月 (113)
2010年 06月 (72)
2010年 05月 (67)
2010年 04月 (3)

SS検索
Ads
最新記事
Ads2
人気SSランキング