1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 19:43:11.31 ID:BidBiufe0
恒一「おはよう。あ、まだ寝癖が残ってるよ、ちょっとまって今とかすから」
恒一「ちゃんと宿題やってきた? 見崎のも答え合わせするから見せて」
恒一「天気予報で雨がふるっていってたから傘持ってきたんだ。ほら、見崎のもちゃんとあるよ」
恒一「見崎が見たがってた映画のチケット、明日ウチに届くみたい。楽しみだね」
恒一「それにしても湿気がすごいな、見崎暑くない? ほら、カバン持つよ」
恒一「今日は見崎がこないだ食べたいっていってたラオス料理にチャレンジしてみたんだ口に合えばいいけど」
恒一「あ、制服のボタンが外れかけてる。ちょっとかして、縫っちゃうからさ」
見崎「……」
見崎(榊原くんに構ってもらえるのは嬉しいけど、別に私は親子のような関係になりたいわけじゃない)
見崎(私がなりたいもの、それは……)
見崎(恋人?)
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 19:49:20.65 ID:BidBiufe0
恒一「今日の夜はフォンデュとかのスイス料理にチャレンジしようと思うから、見崎ん家にもお裾分けに行くよ」
見崎「そう」
恒一「この季節になるといろんなもの食べたくなっちゃうからね。油断するとすぐ腹回りがゆるくなっちゃうね」ハハ
見崎「うん」
恒一「それじゃあまたあとで」タタ
見崎「バイバイ、フォンデュ楽しみにしてる」
見崎「……」
見崎「……」
見崎(私、本当にこのままの関係でいいのかな……)
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 19:55:24.65 ID:BidBiufe0
見崎(このままいくとズルズルと榊原くんと同じ関係が続くと思う)
見崎(でもそれは彼が優しいから)
見崎(その優しさにつけこんだまま、私はずっと彼と一緒に生きていける……?)
見崎(……)
見崎(彼の性格を考えると一緒に居てくれると思うけど、やっぱりダメ)
見崎(……)
見崎(今のままじゃ榊原くんに迷惑をかけっぱなし)
見崎(関係を変えるにはまず私自身を変えなくちゃだめなのかも)
見崎「よし、とりあえず料理にチャレンジして、榊原くんがフォンデュを来たら逆にお裾を分けしよう!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 19:58:11.69 ID:ZErjtVeM0
鳴ちゃんも女の子スペックあげないとね!
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:00:39.55 ID:BidBiufe0
見崎「これから料理を始めます」
霧果「はい」
見崎「……」
霧果「?」
見崎「何でいるんですか」
霧果「? 鳴ちゃんが一人でお料理なんて危ない事はさせられないから手伝うためだけど?」
見崎「……そう」
見崎(ここにも一人過保護な人間……)
霧果「うん、それで何を作るの?」
見崎「……」
見崎「考え中」
見崎(何を作るかまでは、考えてなかった……)
見崎(榊原くんみたいに和洋中や諸国の料理とか、特殊な料理、デザートまで完璧に作れる彼に、一体何を作ればいいんだろう?)
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:00:54.37 ID:YXiDXVkU0
榊原くんの主夫レベルがすごい
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:02:31.82 ID:RhtAFgyC0
母親の代わりに家事をやってたから年季が違う
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:07:30.91 ID:BidBiufe0
霧果「……鳴ちゃん」
見崎「? 何」
霧果「料理っていうのはね! 何をつくるかじゃなくて、どうやって作るか、つまり気持ちの問題なの!!」ドヤ
霧果(私今母親らしいこと言った!)
見崎「……それは違うよ霧果。どんな料理だって気持ちをこめればいいとかそういうのじゃないと思う」
見崎「どんなに気持ちを込めた料理だって、技術が伴ってなかったら意味がないの」
見崎「榊原くんの料理は、味付けはもちろん、火の通し方や包丁捌き、時間がたって食べても美味しいようにできているの。もちろん気持ちもこもってるの」
霧果「……」
見崎「そう、家事のベテランの彼と素人の私……」
見崎(やっぱり料理なんて無謀だったのかな……?)
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:11:00.38 ID:7skahNXG0
霧果さん子ども欲しがってた割には母親しないよね
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:17:27.06 ID:hlPQ5MmmO
料理下手だしな
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:18:42.75 ID:BidBiufe0
霧果「あるじゃない一つだけ」
見崎「何?」
霧果「料理を全くつくらない私に、鳴ちゃんがよく作っていた得意料理」
霧果「あれなら申し分ない!」
見崎「……?」
~
恒一「やあ、とりあえず王道のチーズフォンデュとかやちょっと変化球で飴フォンデュなんてのもつくってみたんだ。とりあえず火にかけるね」
恒一「あ、あとパンもつくってみたんだ。僕の手生まれつき体温が高くて、パンの発酵に適したものらしんだけど。作ってみたら怜子さんに好評だったから、フォンデュに使って」
恒一「せっかく来たんだから見崎ん家の台所借りて、朝食作っていこうか? 霧果さんまた寝てるんでしょ?」
見崎「……ねえ、恒一くん。食べてほしいものがあるの」
恒一「?」
コソコソ
霧果(くそっ! あの男、私の鳴ちゃんに色目使いやがって!!)ゴゴゴ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:21:28.00 ID:BidBiufe0
見崎「これ、なんだけど……」
コト
恒一「? 『卵かけご飯』」
見崎「……そ、そう。作りすぎて余っちゃったから」
恒一「卵かけご飯って余るものなの?」
見崎「……!」
見崎「きょ、今日は特別です! 特別に余りました!」
恒一「ふうん。じゃあ遠慮なくいただこうかな」
見崎「……ど、どうぞ」
パク
恒一「!」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:25:37.04 ID:CW370A2s0
何この可愛い生き物
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:27:08.76 ID:BidBiufe0
恒一「お、おいしいよ見崎!」
見崎「!」
恒一「まるで雪解けのような食感! 適温のご飯と丁度いい感じの醤油の量!」
見崎「うん。作るのに慣れてるから」
恒一「完璧だ! 完璧だよ見崎!」
見崎「えへへ///」
見崎「霧果がご飯作ってくれない時は、いつも自分でこれを作って食べてたから」
見崎「どんな風に食べれば美味しいか分かるの」
見崎「この料理だけは多分榊原くんにも負けないと思う」
恒一「知らなかったなぁ、見崎にこんな特技があるなんて」
見崎「ありがとう///」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:33:09.05 ID:BidBiufe0
見崎「ねえ、榊原くん。私の事どう思う?」
恒一「? どうって?」パクパク
見崎「例えば、赤沢さんだったら『無能』とか一言でいえるじゃない」
恒一「ああ、確かに一言で言うとそうなるのかもね。いい意味で『無能』って感じだもんね」パクパク
見崎「勅使河原くんだったら『お調子もの』とか」
恒一「桜木さんだったら『しっかり者』とかそんな感じだね」パクパク
見崎「そう」
見崎「それで」
見崎「私の事は……」
見崎「……」ゴク
見崎「どう思う?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:37:18.03 ID:CoYQiJio0
あかざーさんは無能かわいい
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:39:23.29 ID:BidBiufe0
恒一「そうだなぁ」パクパク
恒一「見崎は僕の中で『ハムスター』ってイメージなんだよね」パク・・・
見崎「ハムスター……? どういう意味」
恒一「ごちそうさまでした」
恒一「うん。ちいちゃくて、可愛くて、ちょっと目を離した隙にどっか行っちゃう。だからしっかり見ていなきゃダメなんだ」
見崎「……」
見崎(うん、やっぱり恒一くんにとって私は過保護の対象でしかないんだよね……)
恒一「そして僕が一番大好きな大好きな動物なんだ」ニコ
見崎「……」
見崎「?」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:45:28.25 ID:BidBiufe0
見崎「大好きって、恒一くんは九官鳥が一番好きなんじゃないの?」
恒一「あのレーちゃんはお爺ちゃんが買ってきたものだし、怜子さんはむしろ嫌ってるし」
見崎「じゃあ、なんでハムスターは飼わないの?」
恒一「ああ、やっぱりレーちゃんが食べちゃわないか心配だしね。それに一年しかこっちにいないから、どうしてもね」
見崎「……」
見崎(そうだ、彼は一年しかこっちにいない。もう後少ししか一緒にいられないんだ)
恒一「どうして見崎は僕にこれ……卵かけご飯を食べさせてくれたの」
見崎「それ、は……」
見崎「……」
見崎「……」
見崎「変わらなきゃいけないと思ったから……」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:49:54.92 ID:BidBiufe0
見崎「榊原くんと釣り合うような女になりたかったの」
見崎「守られるんじゃなくて対等になりたかったの」
見崎「そうすれば」グズ
見崎「もっとずっと一緒にいられると思って……」グスグス
見崎「恋人……になりたかったの」グスグス
恒一「……」
見崎「だから、まず変わろうと……して、それで……」グズグズ
恒一「そういう事だったんだね」
見崎「……」グス
恒一「でも、見崎は変わらなくていいよ」
見崎「!」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:53:57.52 ID:BidBiufe0
恒一「うん。変わらなくていい」
見崎「どうして……」
恒一「見崎が変わっちゃうと、多分僕らは一緒にいられなくなっちゃうから」
見崎「……!?」
恒一「もし見崎が変わったら、きっとモテモテになっちゃうよ」
恒一「だから今こうして見崎を一人占めできているのは、見崎が僕を必要としてくれているからなんだ」
見崎「でも、私だって変わりたいの」グス
恒一「うん。だからこれは僕のわがままなんだけどね」
見崎「……」
恒一「東京に戻っても僕はずっと見崎と一緒にいたい」
見崎「!」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:58:12.21 ID:BidBiufe0
恒一「そう、これはわがままなんだ」
恒一「だから、見崎。東京一緒に暮らそう」
恒一「東京でで君を飼わせてもらわないかな?」
見崎「そんな、急な……」
恒一「大丈夫」
恒一「僕は君を大切にする」
恒一「なんたって僕の一番大切な人なんだから」
見崎「……」
見崎「よ、よろしくおねがいします///」
恒一「これからもよろしくね」
恒一「僕の可愛い『ハムスター』さん」
見崎「……うん///」
霧果(鳴ちゃんを寝取られた。もういやだ、死のう……)ズーン
見崎「///」
おわれ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 20:59:58.96 ID:KyBX+KyS0
おつ!
だけどオチww
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 21:01:29.90 ID:0l2XhdJFi
乙
さっくり読めるな
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 21:01:54.95 ID:7skahNXG0
鳴ちゃんの卵かけご飯なくなったら霧果さん生きていけないな
乙
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/04/29(日) 21:03:11.63 ID:ZErjtVeM0
短かったけど面白かった
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うらやましいぞちくちょうお幸せに!
ちょっと待て
もう一回落ち着いてよく自分の書き込みを見直してみ?
も
さ
れ
た
い
!!!!
○ ちくしょう
まさか「いないもの」・・・