1 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:50:01.76 ID:2kjlVSGm0
佐天「今月お小遣い厳しいし、ちょっとやってみようかなー」
初春「大丈夫なんですか?壁を殴るだなんて…」
佐天「初春は心配性なんだからー。ほらここ、【初心者、レベル0、女性も歓迎】って書いてあるじゃない」
初春「ああ、無能力者でもいいんですか。それなら安心ですね」
佐天「うんうん……ん?初春、今なんt」
初春「じゃあ私、支部へ行きますから。あとで話聞かせてくださいね」
佐天「え?あ、うん」
佐天「…とりあえず、電話してみよう」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1394283001
2 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:51:51.25 ID:2kjlVSGm0
佐天「すいませーん、先ほど連絡した佐天涙子ですが」
土御門「おー、待ってたぜい。俺が所長の土御門元春だにゃー」
青ピ「涙子ちゃん言うんかー、ごっつ可愛いコやん。ボクが依頼人の青髪ピアスやで」
佐天「あ、よろしくお願いします」
土御門「んじゃ早速、業務説明して初仕事といくぜよ」
佐天「い、いきなりですか!?私、まだなんにもわかってないんですが」
土御門「大丈夫ぜよ。ウチのやり方は壁ドンと壁殴りの2コース、強さは松竹梅の3つだけだぜい」
佐天「はぁ…」
土御門「やり方も簡単。依頼人からの話を聞いて、君がその想いを壁にぶつけるだけだにゃー」
佐天「……」
3 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:53:34.79 ID:2kjlVSGm0
土御門「ま、実際にやってみるといいぜよ」
佐天「けど、わざわざあたしがやる必要あるんですか?失礼ですけど、男性なら自分でやった方が…」
青ピ「ごめんなー涙子ちゃん。ボクもそうしたいのはやまやまなんやけど、ボクの手はごらんの有り様やねん」
佐天「え?あ、両手に包帯が…」
土御門「連日、自室で壁を殴り続けた結果だにゃー」
青ピ「ボクはなぁ、ただ普通の女のコと、普通に恋愛がしたいだけなんや。けどカミやんは……そんなボクの僅かな希望も、全部摘み取ってしまうんや」
佐天「あの、あまり話が見えてこないんですが」
土御門「補足するぜよ。俺たちのクラスメイトに上条当麻ってヤツがいるんだが、コイツが一級フラグ建築士でな。知り合った女のコを次々と虜にしてしまうんだにゃー」
佐天(上条さんって……もしかして、御坂さんや白井さんとよく騒いでる人?)
青ピ「クラスのコや小萌先生だけじゃ飽き足らず、最近は常盤台のお嬢様や、ナイスバディのお姉さん、教会のシスターにまで魔の手を伸ばしてるんや!」
佐天(……うん、間違い無さそう)
4 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:55:57.78 ID:2kjlVSGm0
土御門「まぁそんなわけで、ここの壁を一発、ガツンと殴ってやって欲しいんだにゃー」
佐天「え、ここでいいんですか?」
土御門「ここは俺の自宅兼事務所。そして奇遇にも、隣はそのカミやんの部屋なんぜよ」
佐天「……納得しました」
青ピ「涙子ちゃん、ボクの両手に代わってよろしく頼むわ」
土御門「コースは壁殴り。強さは竹レベルだにゃー」
佐天「はいっ、それじゃいきますね…………はぁっ!」
ゴスッ
佐天「いっ、、、、たぁぁぁぁぁ!」
土御門「手首を傷めたか?テーピングしてやるぜよ」
青ピ「だ、大丈夫か涙子ちゃん!」
佐天「いたたた……すみません、上手くできなくて」
青ピ「何を言うてるんや、十分やで。不甲斐ないボクなんかのために、こんなに頑張ってくれて」
5 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:57:30.35 ID:2kjlVSGm0
土御門「お疲れさんぜよ佐天さん、今回の報酬だにゃー」
佐天「た、たったあれだけで、お金もらっていいんですか!?」
土御門「俺たちの仕事は、依頼人の想いに応えること。ただ殴るだけじゃないぜよ」
青ピ「せやで。こんな可愛いコが、自分の手を傷めてまで殴ってくれたんや。ボクは感無量やで」
佐天「……」
佐天(あたしの拳は、想いを乗せていた?)
佐天(ううん、そんなことない。あたしはただ、言われるがままに殴っただけ)
佐天(お金もらえるのは嬉しいけど、自分の心に嘘はつきたくない!)
6 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:58:44.59 ID:2kjlVSGm0
青ピ「ありがとな涙子ちゃん。無理言ってほんとごめんなぁ」
佐天「待ってください!もう一度、もう一度殴らせてください!」
土御門「どうした?依頼は十分果たしたぜよ」
佐天「あたしの気持ちが満足してません!あたしは役に立たないレベル0ですけど、他人のために、何かができる自分でいたいんです!」
青ピ「涙子ちゃん…」
土御門(ほぉ、なかなか見所のある娘だにゃー)
青ピ「よっしゃ、ほな梅を一丁追加注文や!ただ、ケガせえへんように気をつけるんやで!」
土御門「俺からもアドバイスしてやるぜい。手首はしっかりと固定、拳は小指だけに力を集中するんだ」
佐天「小指だけに…」
佐天(あ、ホントだ。握りやすい)
7 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:00:13.41 ID:2kjlVSGm0
佐天「青ピさん、合図をお願いします!」
青ピ「よっしゃ、ほな行くでぇ!……なんでカミやんばっかりがモテるんやぁぁぁぁ!!!」
佐天「はぁぁあっ!」
ドスン!
土御門「おー、いい音だにゃー」
青ピ「涙子ちゃん、手は大丈夫?」
佐天「はいっ!あたし、やれました!」
青ピ「嬉しいでぇ……ボクは今、めっちゃ感動してるわ!」
8 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:01:40.66 ID:2kjlVSGm0
上条家
上条「全く土御門のヤツ、何を騒いでいるんだ?」
禁書「とうまとうま、今の衝撃でこんなものが落ちてきたんだよ」
上条「え?そ、それは上条さん秘蔵の…!」
禁書「ねえとうま、【巨乳の淫乱お姉さんスペシャル号】ってなんなのかな」
上条「あのーですね、インデックスさん。これには深ーい深ーいワケがありましてね?」
禁書「とうまぁぁ!」
ガブッ
上条「んぎゃあああああああああああ」
9 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:04:38.88 ID:2kjlVSGm0
佐天「…というわけなのよー。初春、聞いてる?」
初春「聞いてますよ。とってもおいしいですね」
佐天「んー、まあおいしい仕事、って言えばそうだけど」
初春「ですよねー、このクリームとチョコソースのバランスが絶妙で…」
佐天「ちょっと初春?」
初春「やっぱりオゴリだと、食が進みます」
佐天「いや、あたしオゴリだなんて一言も……まあいっか」
初春「あ、すいません携帯が……支部からの呼び出しですね」
佐天「えー、まだ話終わってないのに」
初春「また夜にでも電話しますね。それじゃ、ごちそうさまでした」トタタタタ
佐天「…ジャッジメントも大変だなぁ。あ、お会計お願いしまーす」
ありがとうございます。全部で4,200円になります。
佐天「ちょっ、ういはるぅぅぅぅ!アンタどれだけ食べたのよぉぉぉぉ!」
10 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:07:34.61 ID:2kjlVSGm0
PPPPP…
佐天「あ、土御門さんから仕事のメールだ。どれどれ?」
依頼主:白井黒子
コース:壁殴り 松
場所:土御門事務所
佐天「……白井さん何やってるんですか」
佐天「事務所ってことは、また上条さん関連かな?」
佐天「まあいいや、とりあえず行ってみよう」
11 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:09:09.99 ID:2kjlVSGm0
佐天「こんにちはー」
土御門「おうグッドタイミング。ちょうど今、依頼人も来たとこぜよ」
黒子「ごきげんよう佐天さん。お仕事ぶりを拝見しに参りましたの」
佐天「あははっ、まだまだ見習いなんだけど…」
土御門「そうでもないぜよ?スジがいいから、すぐに一人前になれるにゃー」
佐天「おだてても何も出ませんよーだ」
土御門「まあ、判断するのは依頼人の方ぜよ」
黒子「ふふっ、それではお願い致しますの。理由は……あえて語るまでもないですわね?」
佐天「はいっ、任せてください!」
12 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:11:55.00 ID:2kjlVSGm0
黒子「お姉さまとイチャイチャ、羨ましいですのぉぉぉぉ!」
佐天「ちぇいさー!」
ズドン!
黒子「…なるほど、素晴らしい一撃ですわ佐天さん」
佐天「いやーそれほどでも」
黒子「では、約束の謝礼ですの」
土御門「毎度ありーぜよ」
13 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:12:56.34 ID:2kjlVSGm0
ドドドドド……バタン!
上条「おい、土御門!昨日といい今日といい、一体何をやってやがる!」
土御門「よーうカミやん。悪いが、やらかしたのは俺じゃなくて、そっちの二人ぜよ」
上条「なんだと?」
佐天「ちょっ、土御門さん!?」
黒子「あーら、お姉さまにまとわりつく、おサルさんじゃありませんか」
上条「へっ、いいぜ。お前らが他人様に迷惑かけて、そんな態度を取ろうってんなら…」
佐天「いやあの、これはですね」
黒子「学園都市壁殴り条例、第十二条2項!壁殴り代行業の業務遂行に関し、不平不満を述べてはならない!」
上条「まずはそのふざけた……えっ?」
14 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:14:11.80 ID:2kjlVSGm0
黒子「違反者には20万円以下の罰金、もしくは2年間の奉仕活動となりますの」
上条「罰金……だと?」
土御門「最悪の場合は、奨学金の取り消しもあるぜよ」
上条「うぐぐ」
佐天「あの、ごめんなさい!あたし、よく知らずにバイト応募しちゃって」
土御門「いいってことよ。なあカミやん?」
上条「えーと、あははは」
佐天「怒って……ませんか?」
上条「ま、まあ上条さんも苦学生の置かれている状況は、よく理解しているわけでありまして……ハァ」
15 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:16:00.33 ID:2kjlVSGm0
禁書「む、またとうまが知らない女の人と仲良くしてる」
上条「いやいや、どこをどう見たらそうなるんだ?」
黒子「全く、毎度毎度節操がありませんこと」
上条「し、白井!これ以上誤解を招くようなことを言うんじゃない!」
佐天(ふむー、これは少しからかってみるのも面白そう)
佐天「あの、上条さん」ギュッ
上条「えーっと、なにゆえ急に、上条さんの手を握っていらっしゃるのでせうか?」
佐天「あたしを許してくださって、ありがとうございます。優しい方なんですね」ウワメヅカイ
上条「ははは……か、上条さんは紳士でありますから」
土御門(あーあ、カミやんやっちまったぜよ)
16 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:17:28.32 ID:2kjlVSGm0
禁書「とうま」
上条「お、落ち着けインデックス。俺は別に、変なことしてるわけじゃないだろ?」
禁書「がるるる…」
佐天「白井さん、ジャッジは?」
黒子「もちろんギルティですの」
上条「ちょ」
禁書「罪人に神の裁きを!」
ガブッ
上条「不幸だぁぁーーーー!」
17 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 22:18:22.08 ID:dv0bmngUo
人の迷惑になることを罰する法律はないのかな…?
騒音だよね…(震え声)
18 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:19:38.51 ID:2kjlVSGm0
数日後
佐天「えっ、あたし一人でですか?」
土御門「ああ、なんせ今回の場所は常盤台の女子寮。男子禁制の聖域だからにゃー」
佐天「あたしも部外者なんですけど…」
土御門「話は通してある。心配はいらないぜよ」
佐天「はぁ、わかりました」
依頼人:食蜂操祈
コース:壁殴り 松
場所:常盤台女子寮
19 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:22:05.23 ID:2kjlVSGm0
佐天「どうもー。壁殴り代行業の佐天ですー」
食蜂「待ってたわぁ。今日はよろしくね♪」
佐天「それじゃ早速、内容を教えてもらえますか?」
食蜂「わかったわぁ。実はここの隣、御坂美琴さんの部屋なんだけどぉ」
佐天「御坂さんの?あーやっぱり常盤台のお嬢様でも、レベル5に嫉妬しちゃうんでしょうか」
食蜂「そんなことないわぁ。だって私も、レベル5なんだゾ☆」
佐天「えぇっ!?」
食蜂「でも、高レベルだからっていいことばかりじゃないのよぉ。近付いてくる人は大抵、私の名声力に魅かれてくるコばっかりだしぃ」
佐天「んー、確かに御坂さんからも、似たような話聞きますね」
20 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:23:24.62 ID:2kjlVSGm0
食蜂「御坂さんにはあなたや白井さんのような、素敵なお友達がいるじゃなぁい?」
佐天「まぁそうですが……依頼の理由はそれだけじゃない、ですよね」
食蜂「ふふっ、頭のいいコは大好きなんだゾ☆」
佐天「学力はいまいちなんですけどねー」
食蜂「じゃあもう一つの理由を話すわ。最近、御坂さんがご執心の男の人がいるんだけどぉ」
佐天「あらら、また上条さんですか」
食蜂「そうなのぉ。私もあの人とは、ちょっとワケありの間柄でぇ…」
佐天「それだけ聞けたらもう十分ですよ」
食蜂「ええ、よろしくね♪」
21 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:24:53.05 ID:2kjlVSGm0
食蜂「御坂さんばっかり、ずるいわぁぁ!」
佐天「ちぇすとぉー!」
ズドン!
食蜂「すごぉい。私にはとてもマネできないパンチ力だわぁ」
佐天「ありがとうございます」
食蜂「それじゃ代金よぉ。また今度、お願いするわね♪」
佐天「毎度ありー」
22 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:25:43.82 ID:2kjlVSGm0
御坂「ちょっと、今の音は何!?」
佐天「あ、御坂さんに白井さん」
黒子「やはり……佐天さんでしたの」
食蜂「御坂さぁん、いらっしゃぁい」
御坂「食蜂!?アンタ、佐天さんに何をしたの!」
食蜂「ひどいわぁ。私はただ、壁殴りをお願いしただけよぉ」
御坂「ふっざけんなぁぁぁ!アンタの部屋はここじゃないでしょ!」
食蜂「この部屋の方が、快く貸してくれたのよぉ」
女生徒「食蜂サマノオ役ニタテテ光栄デス」
佐天(な、なにか只ならぬ気配……御坂さんと食蜂さんって仲悪いの?)
23 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:28:30.61 ID:2kjlVSGm0
御坂「前に言ったわよね?私の友達に手を出したら、ブッ潰すって」
食蜂「私は無実なんだゾ☆」
佐天「あたし、何もされてないですよ?」
食蜂「そうよねぇ。代行業を頼んだら、たまたま御坂さんのお友達が来ちゃっただけよぉ」
御坂「アンタの言うことなんて、信じられるわけないでしょう!」
黒子「お姉さま、どうか落ち着いてくださいまし」
佐天「ごめんなさい御坂さん。一応、お仕事なんで」
御坂「……わかった。じゃあ私も佐天さんに依頼するわ。コイツの隣の部屋で、思いっきりぶん殴ってちょうだい!」
食蜂「何それぇ、ひっどーい」
24 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:30:07.79 ID:2kjlVSGm0
佐天「すみませんが、その依頼は受けられません」
御坂「どうしてよ!」
佐天「理由が薄すぎるんですよ。単にムカつくから、というだけならご自分でお願いします」
黒子「お姉さま。壁殴りという職業柄、依頼するだけの正当な理由が無ければ、ただの嫌がらせですの」
御坂「ぐぬぬ」
食蜂「自分でやるにしてもぉ、隣の人が部屋を貸してくれたら、だけどね♪」
御坂「上等よ!壁ごとアンタをぶっ飛ばしてやるから、覚悟しなさい!」
25 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:31:47.78 ID:2kjlVSGm0
寮監「やかましいぞ貴様等!」
黒子「げ……り、寮監様」
御坂「ちょうど良かった。隣で騒ぐこの女に、制裁を加えてください」
寮監「む……そこのお前、見ない顔だな」
佐天「毎度ー、壁殴り代行業ですー」
寮監「ああ、話は聞いている。バイトも社会勉強の一つ、結構なことだ」
食蜂「寮監様ぁ、御坂さんがひどいんですぅ。かくかくしかじかでぇ、佐天さんも迷惑してるのぉ」
御坂「ちょ、ちょっとアンタ!」
寮監「ほぉ……」ゴゴゴゴゴ
26 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:33:43.11 ID:2kjlVSGm0
寮監「白井、壁殴り条例の十二条3項だ」
黒子「は、はいですの……前述の2項に加えて、業務遂行の妨害をしてはならない、ですの」
寮監「分かるな御坂。現状を見る限り、非はお前の方にある」
御坂「そ、そんなのアリ!?」
黒子「お姉さま、ここはどうか引いてくださいまし」
食蜂「うふふ……ところでアナタ、次回から佐天さんが来たら、また部屋を貸してあげてねぇ」
女生徒「ハイ、食蜂サマノ仰セノママニ」
御坂「食蜂ォォォォ!」
寮監「御坂、少し黙れ」ゴキッ
御坂「」
佐天(うわー、御坂さんの首があらぬ方向に曲がっちゃってるよ…)
27 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:36:42.41 ID:2kjlVSGm0
初春「そんなことがあったんですかー」ザワザワ
佐天「御坂さんには、悪いことしちゃったかなぁ」
初春「大丈夫です。お仕事だ、って割り切ってくれますよ」ザワザワ
佐天「しかし初春、よく食べるねー。そろそろ太ってきたんじゃない?」
初春「そ、そんなことないです!ちゃんとベスト体重をキープしてますから」ザワザワ
佐天「そうなんだ。ちょっと羨ましいかも」
初春「最近は学園都市も平和ですし、佐天さんに頻繁にオゴってもらえて、私いまとっても充実してるんです」ザワザワ
佐天(充実してるのは頭のアレのような……養分吸われてるんじゃない?)
28 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:38:17.21 ID:2kjlVSGm0
ステイル「あの子とイチャイチャするなぁぁぁ!」
佐天「でりゃあ!」
ズドン!
海原「僕だって、彼女の傍にいたかった!」
佐天「ふんもっふ!」
ドゴンヌ!
一方通行「眩し過ぎンぜェェェ!ヒィロォォォ!」
佐天「そぉい!」
ソゲブ!
佐天「いやー、千客万来だねー」
上条「」ガクガクブルブル
30 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:40:42.27 ID:2kjlVSGm0
また数日後
佐天「毎度ー、壁殴り代行業ですー」
絹旗「超お待ちしてましたよ」
佐天「では早速ですが、依頼理由を聞かせてくれますか?」
絹旗「その必要はないです」
佐天「えっ」
絹旗「あなたが最近、こちらのシマを超荒らしてる業者ですね?」
佐天「も、もしかして同業者さん!?」
絹旗「このまま好き放題やられては、壁殴り代行業【さいあい】の超名折れです」
31 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:42:38.26 ID:2kjlVSGm0
佐天「あたしを……どうするつもりですか?」
絹旗「レベル0相手に力づくは超簡単ですが、それだと面白くないです。ここは一つ、勝負といきましょう」
佐天「受けてたつ、しかないですよね」
絹旗「場所とかはそちらに任せます。まあどんな条件でも、私が負けるとは超思えませんが」
佐天「わかりました。では、もう一件入ってた依頼で勝負しましょう」
依頼人:御坂妹
コース:壁殴り 竹
場所:常盤台女子寮
32 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:44:08.17 ID:2kjlVSGm0
佐天「ごめんなさい。お客さんを巻き込む形になってしまって」
御坂妹「かまいません、とミサカは一粒で二度おいしいこの状況に、思わずほくそ笑みます」
絹旗「ハンデとして私が先攻します。ただ、こちらの手の内を見せたら、やる気を超なくすでしょうけどね」
佐天「そんなの、やってみなけりゃ…」
絹旗「超窒素パンチ!」
ドゴォォン!
佐天「な……壁をぶち抜いた!?」
御坂妹「おお、これは世界を狙えるストレートですね、とミサカは惜しみない賛辞を贈ります」
33 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:45:51.63 ID:2kjlVSGm0
絹旗「ふふん、どうですか?負けを認めるなら、私の部下として超こき使ってあげますよ」
佐天「……」
御坂妹「たとえ金属バットがあったとしても、彼女の威力を上回ることは不可能です。とミサカは情け容赦ない分析結果を伝えます」
絹旗「気にすることはないですよ。超当然のことですから」
御坂「くろこぉ……壁、穴開いちゃったよぉ」
黒子「お姉さま。黒子がお傍についておりますの」
御坂「私が何をしたって言うのよ…」
34 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:47:52.92 ID:2kjlVSGm0
佐天「あっはっはっは、これがあなたの壁殴りですか?冗談キツイですよ」
絹旗「なんですか。負け惜しみとしても、超聞き捨てならないです」
佐天「何故あたしが最初に、依頼理由を聞くと思いますか?」
絹旗「知ったことじゃないです。依頼者に代わって壁を超ぶち抜くだけのことに、理由なんていらないですよ」
佐天「あなたのやってることはただの壁破壊です。お客さんの想いに、何一つ応えてなんかいません」
絹旗「お客さんの……想い?」
佐天「あたしが本当の壁殴りを見せてあげますよ。妹さん、お願いします」
御坂妹「承知しました。とミサカは自らの想いを、あなたに託すことを決意します」
35 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:49:28.46 ID:2kjlVSGm0
御坂妹「お姉さまと彼がどんどん親密になっていくのを、指をくわえて見ている事しかできないのがもどかしいです。とミサカは素直な心情を吐露します」
佐天「ぶるあああ!」
ドォォン!
絹旗「!!!」
佐天「わかりますか?あたしとの違いが」
御坂妹「あなたのパンチには、何やら言葉では言い表せない、決定的な差がある。とミサカは感じ取りました」
佐天「自己満足ではなく、顧客満足こそ、このお仕事の重要なポイントなんです」
絹旗「超……目が覚めました。師匠と呼ばせてください!」
36 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:51:55.57 ID:2kjlVSGm0
佐天「し、師匠だなんてそんな……」
絹旗「使いっぱしりでも何でもやります!弟子にしてください!」
佐天「うーん……じゃあ、一つだけお願いしていいかな?」
絹旗「はい、なんでしょうか」
佐天「あたしのことは涙子、って呼ぶこと。それが条件ね」
絹旗「わかりました師しょ、いえ、涙子!私のことも最愛って超呼んでください」
佐天「うん、よろしくね最愛♪」
御坂妹「感動の物語が一息ついたところで、ミサカは今日の出来事をミサカネットワークで宣伝拡散いたします」
37 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:54:19.41 ID:2kjlVSGm0
佐天「どんどん行くよ、最愛!」
絹旗「超お任せください涙子!」
19090号「ではこのミサカも便乗して、依頼したいと思います」
10039号「ミサカも(ry
13577号「ミサカも(ry
14889号「ミサカも(ry
番外個体「ぎゃは☆」
テレスティーナ「ぎゃははヴァーカ!」
pぉきじゅhygtfrですぁq
御坂「あははー♪かべにあなー、おっきなあなー」
黒子「もうおやめくださいまし!お姉さまのSAN値は既に0ですの!」
38 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 22:55:57.80 ID:tM4k3Ays0
壁殴りって崇高な仕事だったんだな
39 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:58:20.28 ID:2kjlVSGm0
土御門事務所
佐天「今日は助っ人、ですか?」
土御門「ああ、依頼人がちょっと厄介なヤツでな。他社から手伝ってくれって頼まれたんぜよ」
絹旗「超訳あり物件ってことですか」
土御門「念のため、今回は絹旗。お前が行ってくれるかにゃー?」
絹旗「了解ですよ。私の成長ぶりを、超見せつけてやります」
佐天「……」
佐天(何だろう……妙な胸騒ぎがするなぁ)
依頼人:姫神秋沙
40 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:01:33.95 ID:2kjlVSGm0
常盤台女子寮
黒子「お待ちしておりましたわ」
上条「ああ、お前が俺を頼るなんて、よっぽどの事態だったようだな」
御坂「あー、とうまくんだー。わーいわーい」
上条「ビリビリ……いや御坂、お前…」
黒子「宿敵であるあなたに、恥を忍んでお願いしますの。どうかお姉さまを助けてくださいまし」
御坂「とうまくーん、みこととあそぼーよー」
上条「わかったよ、もう大丈夫だ。なんせ頼りになる友人を連れてきたからな」
黒子「そちらの御方、ですの?」
垣根「毎度ー、なんでも修理の【ていとくん】ですー」
41 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 23:02:46.56 ID:lOkDdwj8o
上条と御坂……
二人が何をしたって言うんだ!
42 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:03:26.23 ID:2kjlVSGm0
黒子「では、この壁の補修と防音をお願いできますか?」
垣根「こりゃひでぇな。能力者の仕業か」
御坂「ねーねーとうまくーん、あそぼーよーあそぼーよー」
上条「御坂、危ないからちょっとだけ大人しくしててくれるか?」
御坂「おとなしくしたらあそんでくれる?」
上条「ああ、好きなだけ遊んでやるぞ」
御坂「えへへ……みこと、おとなしくまってる!」
垣根「色々大変そうだな」
上条「済まないなていとくん。対処できそうなのは、お前くらいしかいなくてさ」
垣根「いいってことよ。俺とお前の仲だ」
黒子「お二方がどうやって知り合ったのか、気になるところですの」
43 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:05:30.89 ID:2kjlVSGm0
上条「ところで白井、報酬の件だが」
黒子「常盤台食堂でのディナー食べ放題。既に手配は済んでますの」
垣根「綺麗どころは用意してるんだろうな?」
黒子「はいですの。わたくしとお姉さま、それに婚后さん、泡浮さん、湾内さんがメイド姿で給仕いたしますわ」
上条「ていとくん、ホントにこれでいいのか?」
垣根「ああ、お前のコネがなきゃ、常盤台のお嬢様に囲まれてのハーレムパーティなんざ、夢のまた夢だからな」
黒子「全く……殿方の考えることは理解できませんの」
上条「悪いな。俺の方は、インデックスのご機嫌さえ取れたらそれでいいからさ」
44 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:07:00.25 ID:2kjlVSGm0
垣根「それじゃいくぜ?部屋は少し狭くなるが、構わねえよな」
黒子「承知ですの」
パキパキパキパキ…
垣根(未元物質で穴を補修、さらに厚さ1mの壁を生成……)
上条「おおすげぇ、さすがだぜ」
垣根「ふう、こんなもんか」
黒子「お姉さま、ご覧くださいまし。もう壁の穴はなくなりましたの」
御坂「あな……ふさがっちゃったの?もうだれもたたかないの?」
黒子「ええ、ご安心なさってくださいな」
上条「さあていとくん、決めゼリフだ!」
垣根「OK、俺の未元コンクリートに、常識は通じねぇ!」(キリッ
45 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:08:26.15 ID:2kjlVSGm0
『根性ォォォォ!!!』
ドガシャァァァァン!!!……パラパラパラ
御坂「」
黒子「」
上条「」
垣根「」
削板『どうだぁ!ありったけの気合いを込めてやったぜ!』
上条「あのー、ていとくン?」
垣根「……済まん。常識外のバカには無意味だったみてぇだ」
御坂「ぴえぇぇぇ~ん」
46 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:11:25.51 ID:2kjlVSGm0
姫神「……足りない。全然。満たされない」オオオオオ…
削板「お、俺の根性がまだ足りないってのか!?」
絹旗「この想いは執念……いや、超怨念と言うべきですね。背後から聞こえるうめき声が、超怖いです」
姫神「悔しい。妬ましい。羨ましい」オオオオオ…
削板「自分の寮の壁も、転がり込んだ先生ん家の壁も、全部ぶっ壊したってのによ」
絹旗「こ、今度は私がやりますよ!」
姫神「二番目の。メインヒロインとして出てきたのに。私は。何のために。存在するの?」オオオオオ…
絹旗「超窒素パンチ!」
ドォォォン!
47 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:13:23.77 ID:2kjlVSGm0
姫神「悲しい。ただ哀しい」オオオオオ…
削板「これでも不満なのかよ……見上げた執念、男だぜ!」
絹旗「馬鹿はさておき、このままでは超埒があきません」
姫神「中二病。似非巫女。セクハラ要員。設定モロ被りな大食い。腹裂き生け贄」オオオオオ…
絹旗「連打連打超連打ァァァ!!!」
削板「根性熱血勝利ィィィ!!!」
ドガガガガガガガ
姫神「……SSどころか。薄い本にすら。私の居場所は。ほとんどない」オオオオオ…
削板「やべぇな、だんだんメタってきやがった」
絹旗「もしもし涙子ぉぉ!超助けてくださぁぁい!」
48 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:16:15.70 ID:2kjlVSGm0
佐天「はいはーい、あたしはここですよー」
絹旗「うわぁぁん涙子ぉぉーっ」
佐天「一応、近くに来てて良かった。嫌な予感がしたからさ」
削板「よおし、友情パワーで一気に逆転だ!」
姫神「■■。空気。スルー。モブ扱い」オオオオオ…
佐天「ありゃりゃ、これは重症だね。あたしにお話、聞かせてくれる?」
姫神「私も。無能力でいいから。あなたのような。元気系になりたかった」オオオオオ…
佐天「そっかぁ……じゃあ、その想いを込めて、一緒に叩いてみようよ」
49 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:19:20.83 ID:2kjlVSGm0
姫神「出番ンンンンン!!!」
佐天「無能で悪いかあああ!!!」
絹旗「鎌○に超言ってえええ!!!」
削板「根性で補ええええ!!!」
……一つの依頼が終了した。
姫神秋沙はひとまずの鬱憤を晴らし終え、その姿を影に沈めた。
佐天涙子と絹旗最愛は、削板軍覇を新たに仲間に加え、一層のシェア拡大を目指す。
そして、上条当麻が新たなフラグを建てたり、新刊が出たりする度に、土御門事務所の電話が忙しく鳴り響くことだろう。
50 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:20:20.55 ID:2kjlVSGm0
浜面「お、俺、滝壺のこと、絶対守ってやるからな」
滝壺「うん。そんなはまづらを、わたしはそばでずっと応援している」
浜面「滝壺…」
滝壺「はまづら…」
麦野「チッ、これ見よがしにイチャつきやがって」
麦野「あーもしもし代行業さん?この佐天、絹旗、削板の特盛三連コースを頼みたいんだけどー」
~完~
51 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 23:24:53.62 ID:bk5zGj+a0
乙です
御琴はこの後元に戻ったんだろうか
52 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 23:29:26.37 ID:+T30SqAho
乙 面白かった
53 :
>>1 [saga]:2014/03/08(土) 23:32:26.41 ID:2kjlVSGm0
お疲れ様です。短編なので一気投下しました。
コメいただいた方々、ありがとうございます。
みこっちゃんはまあ、黒子の献身的介護がありますので、問題はないかとww
転載元
佐天「壁殴り代行業スタッフ募集かぁ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394283001/ みじんこうか 鎌池 和馬
スクウェア・エニックス (2014-02-22)
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