1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:24:54.77 ID:XPJbwliF0
兄「……」
妹「ねーちゃん」
兄「っだああああああああああああああああ、なぜだ妹よおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
妹「ねーちゃんねーちゃん」
兄「なぜにーちゃんより先にねーちゃんという言葉を覚えたああああああああああああああああ」
妹「ふえっ、ふえっ……、うえぇぇぇぇええええん」
姉「こら! 阿呆が! 怖がって泣いちゃったじゃない!」
兄「うえ~~~~~~~~~ん!!」
姉「阿呆が……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:26:50.67 ID:XPJbwliF0
兄「殴られました」
姉「殴りました」
兄「我に返りました」
姉「だったらよろしい」
兄「取り乱してしまい申し訳ありませんでした姉上」
姉「うむ」
妹「きゃっきゃ」
姉「どうやら妹も兄上が殴られている様子が面白いようだ」
兄「」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:28:37.42 ID:XPJbwliF0
兄「いや、というかこの子誰よ。どこの子?」
姉「知らん」
兄「はぁっ?!」
姉「知らんと言ったら知らん」
兄「知らん……っておい、昨日から当たり前の様に我が家に居てたからあまりの存在感に姉上のご子息かと察していたものを!」
姉「? 私はてっきりお前の隠し子かと思っていたんだが」
兄「……」
姉「……」
兄「え?」
姉「え?」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:31:09.23 ID:XPJbwliF0
兄「さて問題です」
姉「うむ」
兄「時に、生命の誕生とはどのような過程を経るものでしょうか」
姉「コウノトリが運んでくるんだ」
兄「カマトトぶるのもええ加減にせい!」
姉「何だ、せっかくノってやったのに」
兄「ええ加減にせい」
姉「君とはやってられんわ」
兄・姉「どうもありがとうございました」
妹「きゃっ、きゃっ」
姉「みろ! やっぱり喜んでいるぞ! 漫才的なソウルがわかるんだなこの子は、天才かもしれん」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:33:41.07 ID:6rJlClnI0
なにこれ好きだ
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:34:05.33 ID:XPJbwliF0
兄「あらどうしましょう姉上、でしたら良い学校に通わせて英才教育を施さないといけません事よ?」
姉「うむ……実は知り合いが講師をやっている学校があるんだが」
兄「ほう? なんて名前?」
姉「NSC」
兄「子役って大丈夫なのかな」
姉「さあな、今度聞いてみるよ」
兄「うむ、さすが姉上」
姉「はっはっは、伊達に君の姉をやっとらんよ」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:37:35.84 ID:XPJbwliF0
妹「……」スヤスヤ
兄「む? どうやら眠ったようだな」
姉「本当だ」
兄「オムツとかあったっけ」
姉「オムツどころか赤ちゃん用の色々なグッズが圧倒的に足りていないな、私と兄上の分は全て親戚で使いまわしているからな」
兄「という事は」
姉「うむ」
兄「お買い物、ですな?」
姉「だな」
兄「Amazonにする? トイザらスにする? それとも……」
姉「時に兄上よ」
兄「何だ? 今まさに財布に手をかけようとしている私を言葉一つで止めるとはさすが姉上」
姉「トイザらスの「ら」は何故に平仮名なのだ?」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:41:15.92 ID:XPJbwliF0
兄「……はっ?!」
姉「何故なのだろうか」
兄「……た、たしかに……! 姉上! それは人類史上稀に見る大発見ですぞ!」
姉「そうだろうか?」
兄「今すぐ論文300P程に纏めて学会誌に提出する準備を始めなくては」
姉「次の学会となると……3ヵ月後か、準備期間としては妥当だな」
兄「早速図書館にて関連論文の検索を」
姉「そうだな、そうしよう」
兄「うむ、では言ってくるぞ妹よ、良い子は寝て育つ、よく眠れ」
姉「私たちの様に強い子に育つのだぞ妹よ」
妹「……」スヤスヤ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:43:46.65 ID:XPJbwliF0
兄「では早速タクシーを呼びましょうぞ」
姉「うむ、緑色のだな?」
兄「左様、緑色はサービスが違いますからな」
姉「では私はノートパソコンを持っていくとしよう」
兄「うむ、忘れ物をなさらぬようにな」
姉「何、ぬかりはないさ」
兄「我々に限って忘れ物などありはしませんな、はっはっは」
妹「……」スヤスヤ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:46:31.98 ID:XPJbwliF0
ブロロロロロロロロロロロ……
「お客さん、どちらまで?」
兄「図書館まで」
「わかりました」
姉「……」
兄「どうかされましたか姉上」
姉「何か大事な事を忘れている気がするのだが……時に兄上よ。我々は何故図書館に?」
兄「論文の下調べをしに行くのでは?」
姉「いや、その前の会話だ」
兄「知り合いがNSCの講師をなされているので?」
姉「ううん……そうではなくてだな、そもそも我々はなぜ外出を?」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:48:11.20 ID:XPJbwliF0
兄「論文を書くためではございませぬか」
姉「そうだな、何の論文だったか」
兄「トイザらスの「ら」が何故ひらがななのか、でしょう?」
姉「そうだ。そうだった、なぜその様な話に……?」
兄「なぜって、それは」
姉「それは?」
兄「……」
姉「……」
兄「運転手さん! 図書館やっぱ辞め!」
「はい?」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:50:55.02 ID:XPJbwliF0
兄「いやーーーーーーーーーーはっはっは、俺とした事が大事な事を忘れていた」
姉「普通忘れるかね、我が子だろう?」
兄「ちょっとしたジョークではござらぬか」
姉「そもそもそのござる言葉はいつから始まったでござる」
兄「さあ……もう忘れてしまいましたぞ、推測はかなりの困難を極めるかと」
姉「生命の起源と同じか」
兄「ってか俺の子じゃないよあの子」
姉「うそつけ、君の子だろう。目が君に似ていた」
兄「だったら輪郭は姉上似だったぞ」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:53:35.36 ID:XPJbwliF0
姉「私の? 冗談はよせ、私には交際している特定の異性など居ない」
兄「’特定の’異性は居なくてもガキは生まれるぜ?」
姉「怖い事を言う様になったな兄上よ、一体どこの娘を孕ませたんだい?」
兄「ばっか、俺じゃねーって」
姉「ふむ、あくまでシラをきりとおす気か貴様。例えお天道様が許しても君の姉が許さぬぞ、その股間の粗末なモノを成敗してくれようか」
「おきゃくさーん、着きましたよ」
兄「あ、5000円でいいですか?」
「はいどーも、毎度あり」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 02:57:12.77 ID:XPJbwliF0
兄「で、子供に必要なものって何なのよ」
姉「私が知るか」
兄「はぁ? 仮にも母親の身だろ? それくらい知ってろよ」
姉「私が母親なら君は父親か兄上よ」
兄「認知しねーからな! 身に覚えがねえよ!」
姉「ふふふ……ネタはあがっているのだぞ」
兄「な……まさかあの時の……」
姉「そう、あの時の」
兄「あの時の……?」
姉「どの時の?」
兄「その時の」
姉「この時の」
兄・姉「時を~越えて~♪」
兄「うむ、見事なデュエットだ」
姉「我ながら惚れ惚れする美声だな」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:00:10.08 ID:XPJbwliF0
兄「オムツは紙がいいのか?」
姉「布という選択肢もありだな」
兄「ふむ……、何せ無駄に生きてきたが子育ての経験は無いからな、わからない事だらけだ」
姉「なぜこんなダメ兄上が子供など……身が引き裂かれる思いだ」
兄「だから違うって」
姉「違う……からの?」
兄「違う……からの、違わなくない」
姉「どっちなのかはっきりしなさい」
兄「自分、はっきりしない男ですから」
姉「だと思ったよ」
兄「はっはっは」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:02:42.84 ID:XPJbwliF0
兄「ところで姉上よ」
姉「何だ?」
兄「最近おっぱいの調子はどうだ?」
ガン!
兄「いってえ!」
姉「こ、公衆の面前でな、な、なにを言うのだ兄上よ!」
兄「ばか、ちげーよ。ミルクの話だよ」
姉「母乳など出るものか! 言っとくが証拠を見せろと言われても吸わせる事はできないぞ!」
兄「……ち、誘導尋問失敗か」
姉「まったく……油断もスキもない」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:04:58.47 ID:XPJbwliF0
兄「まーいっか、適当にミルク買っとくぜ?」
姉「うむ、しかし私財布を忘れたみたいでな」
兄「あー、良い良い。カードで支払うから」
姉「うむ。そうか?」
兄「いいって事よ、なんで俺らの家に居るかわかんねーけど、一緒に居る以上はあいつも家族だ」
姉「そうだな」
兄「大事にしてやらんとな」
姉「ははっ、すっかりお父さんだな兄上」
兄「姉上こそ、すっかりお母さんだな」
兄・姉「はっはっは」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:07:19.69 ID:XPJbwliF0
姉「ただいま」
兄「ただいま~」
妹「……」スヤスヤ
姉「ふむ、よく寝てるな」
兄「だな~、起きてからお腹すいてもいいように準備しとくぜ。あと代えのオムツも」
姉「うむ、私はどうすればいい?」
兄「隣で寝てれば?」
姉「それでは君ばかり働く事になるではないか」
兄「家事は分担、だろ? 今は休んでろ」
姉「……君を旦那に貰う娘は幸せ者だろうな」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:10:09.87 ID:XPJbwliF0
姉「……しかし、誰の子なんだこの子は」
兄「さあな」
姉「出生が判らない事には警察に届けようもない」
兄「迷子……っていうには自分から歩いてくる訳がないしな」
姉「早くも今世紀最大のミステリーになるやもしれん」
兄「まさか宇宙人が」
姉「キャトルミューティレーションとでも言いたいのか? バカな」
兄「いやいや、実際この子がこうして居るわけだし」
姉「ふむ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:12:39.42 ID:XPJbwliF0
姉「私の知り合いに宇宙工学に詳しい者が居るんだが」
兄「交友範囲謎だよな、姉上」
姉「そうでもない、高校の同期だ」
兄「どこの高校に宇宙工学部なんてあるんだよ」
姉「うちだ」
兄「うちだったか……」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:15:12.37 ID:XPJbwliF0
妹「ん」
パチリ
姉「おお? 目を覚ましたか」
妹「んーんー」
姉「ははっ、なんだなんだ。可愛いなぁ」
妹「ねーねー」
姉「ねーねーだぞー、んー? おなかすいたかー?」
妹「んー」
姉「で、兄上は後ろで何をやっているんだ?」
兄「カンペを製作しております」
姉「この歳で’にーにーって言いなさい’という文字が読めたらそれこそ天才だぞ」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:18:31.27 ID:XPJbwliF0
兄「なぜだ……っ、なぜ姉上ばかり……不公平ではないか! ああ世の中は不公平だ! 不条理で……そして俺は無力だ……」
姉「なにもそこまで落ち込まなくても」
兄「ふふ……いいのだ姉上よ……俺は旅に出る……」
姉「そうか……」
兄「止めてくれるな、当ても無くその日暮らしで生きて行くさ」
姉「いつでも戻ってこい、君の家はここだ」
兄「わかった、二人で達者でな」
姉「ああ」
兄・姉「かた~い絆に~思いをよせて~♪」
兄「なん……だと、思考をトレースされたっ?!」
姉「ククク……単純な兄上の事よ、この場面で長淵が来るとは簡単に予想できる」
兄「腕を上げたな」
姉「伊達に君と生活しとらんよ」
兄・姉「はっはっはっは」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:21:33.93 ID:XPJbwliF0
妹「……ん」
兄「ん? 何か様子がおかしくないか?」
姉「本当だな、どうしたんだろう」
兄「オシメでは?」
姉「かもしれん、代えのオムツを」
兄「はっ、ここに」
姉「うむ、大儀であった」
兄「では私はこれで」
姉「待たれよ」
兄「何でしょうか殿」
姉「このオムツ……なぜ暖かい?」
兄「はっ、赤子のお腹を冷やさぬよう、わたくしめの懐で暖めておきました」
姉「そち……なかなか頭が回るではないか」
兄「光栄でござる」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:23:12.10 ID:XPJbwliF0
姉「なるほど、このネタをやりたいが為のござる言葉か」
兄「壮大なオチには細かい複線がつき物よの」
姉「私も見習うとしよう」
兄「姉上こそ中々狡猾でござるからの」
姉「もうござるは必要ないでござる」
姉・兄「バザールでござーる」
兄「……なっ」
姉「ふふふ」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:24:51.18 ID:XPJbwliF0
姉「ところで複線ではなく正しくは伏線ではなかろうか?」
兄「ククク……」
姉「?」
兄「今考えている事の逆が正解だ。でもそれは大きなミステイク」
姉「6か」
兄「うむ」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:26:27.89 ID:XPJbwliF0
姉「さて、オムツも替えたし、そろそろミルクの時間ではなかろうか?」
兄「はっ」
姉「まさか懐で」
兄「さすがにそれはねーよ」
姉「ですよね」
兄「うむ」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:27:56.12 ID:XPJbwliF0
姉「おー、よく飲んでるな」
兄「だな、よっぽどお腹が空いていたんだろうな」
姉「……しかし、兄上よ」
兄「なんだ? いつになくシリアスな口調だな」
姉「この子、虐待されたらしい痕が残っている」
兄「なっ?! 虐待だとっ?!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:30:20.53 ID:XPJbwliF0
兄「許せん……! 断じて許せんぞ姉上えええええええええええええ!!!!」
姉「落ち着け」
兄「俺は一方的に社会的弱者を甚振る様なクズは絶対に許せんのだ!!! 絶対にな!!」
姉「君が熱くなっても解決しない、私の母乳でも飲んで落ち着くのだな」
兄「うむ、そうしよう」
ボカッ
姉「落ち着いたか」
兄「どうして殴る」
姉「出ないからだ」
兄「確かめてみるのも一興」
姉「阿呆が」
兄「あれ、俺の頭に虐待の痕が」
姉「そうか、大変だな」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:35:20.27 ID:XPJbwliF0
兄「いやしかし冷静になってみると益々怪しいな」
姉「私もそう思う」
兄「虐待の痕……なぜか我が家に現れた赤子、これが意味する事は何だ?」
姉「私は我が家に赤子を甚振る趣味がある者の存在を疑いたくは無い」
兄「俺もだ」
姉「だったらやはり警察に届けたほうが」
兄「それで解決するならば、そうするさ」
姉「というと?」
兄「この子の親を想像してみろ姉上、赤子に暴力を振るう最低な親だ、育児を放棄するような最低な親だ。そんな親の元に還すのが本当に最良の判断と言えるのだろうか? 俺は今猛烈に悩んでいる」
姉「む……確かに」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:38:12.31 ID:6rJlClnI0
なんかシリアスな展開になっとる
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:38:45.37 ID:XPJbwliF0
兄「かと言え、一応はまだ学生の身分である俺らに何ができるのかはわからない」
姉「……そうだな」
兄「こうするのはどうだろうか」
姉「何か良い意見が?」
兄「探すのさ、俺らでこの子の親を」
姉「何故だ? それならば警察に」
兄「もし発見できたとしよう、24時間体勢で張り付いてマトモな親と判断したら笑顔でこの子とはオサラバだ。しかし、もし本当に最低でクズな親だった場合」
姉「どうするというのだ?」
兄「我が家がこの子の新しい家になる」
姉「バカを言うな兄上よ」
兄「?」
姉「もう既にこの子は我々の一員だ」
兄「……ふ、そうだったな」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 03:44:51.87 ID:XPJbwliF0
妹「……」すやすや
兄「ふふ、何も知らずによく眠っているな」
姉「そうだな」
兄「これからはお母さん、と呼べばいいのだろうか姉上よ」
姉「だったら君の事はお父さんと呼ばなくてはな」
兄「……ふむ、育児と研究の両立とはこれいかに」
姉「今まさに君の甲斐性が試されている訳だ」
兄「奨学金を獲ろう、いくつか論文を書けばすぐ集まるさ」
姉「そうだな、兄上と私ならばそう難しい事ではなさそうだな」
兄「子育ての本も買おう」
姉「料理も覚えなくては」
兄「大変だ、どこかへ行くときは車が要るぞ、タクシーだと不便だ」
姉「ふむ……色々と物入りだな、お父さんよ」
兄「何を言うお母さん、二人でこそ乗り切っていくべきだ」
姉「三人で、でしょ?」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 04:00:09.21 ID:XPJbwliF0
────────
────
──
数年後。
妹「おとーさーん! おかーさーん! 行くよーー!!」
兄「なんだなんだ? ドコに行くというのだ娘よ」
妹「もうお父さんったら! 今日から小学校って言ったでしょ!」
兄「ああそうだった、今日は入学式だったな。どうりで俺はスーツを着ているわけだ」
妹「うんっ、はやくはやく~」
姉「お父さん、車の準備は?」
兄「はっはっは、お母さんや」
姉「はい?」
兄「そういえばガソリン切らしてたんだった」
妹「なにぃいいいいいッッ~~~~?!」
兄「はっはっは、何をしている二人とも。小学校まで走るぞっ」
妹「あ、ちょっと。おとーさーんっ?!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 04:05:23.17 ID:XPJbwliF0
兄「ゼーハーゼーハー……なんとかギリギリ間に合った……」
妹「それじゃあ先にいってるからね!」
兄「ゼーハーゼーハー……う、うむ、私たちは体育館に行ってるよ」
妹「うんっ!」
姉「もう。情けないですねお父さん、この程度の距離で息切れですか?」
兄「母さんどうしよう、俺もう、トシだ」
姉「老け込むには早すぎますよお父さん」
兄「っつーかよ、全然かわってねーなココも。俺らの時と」
姉「学校なんてそんなものでしょう兄上」
兄「お? 久しぶりにその呼び方になったな姉上よ」
姉「あの子の前では呼べませんからね」
兄「だなぁ……アイツももう6歳、小学校入学か、はえぇなぁ。俺もトシとるわけだよ」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 04:08:43.42 ID:XPJbwliF0
姉「まだまだ若くありたいものだな、お互いに」
兄「まだぴちぴちの20代だっつーの」
姉「兄上がぴちぴちならあの子はピカピカよ」
兄「俺の頭は黒々だけど」
姉・兄「も~お~悩み無用~♪」
兄「久々だなこの感じ」
姉「鈍ってはいないようだな」
兄「ははっ、お互いにな」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 04:13:50.80 ID:XPJbwliF0
兄「この仮面を被り続ける限り、あの子の前では親だからな」
姉「とうの昔に誓った事よ、何を今更」
兄「こうして節目節目には思い出していこうじゃないか。俺たちが兄姉である事を」
姉「ふふ、そうですね。お父さん?」
兄「そうだな、お母さん」
姉「さあ、行きましょう体育館。あの子の晴れ舞台ですよ」
兄「実はゼミの教室から最新式のビデオカメラを拝借してきたんだ」
姉「あら? 学生達が困っているのでは?」
兄「だってあいつら就活とかでゼミに出てこねーんだもん」
姉「寂しがり屋ですか」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 04:17:13.00 ID:XPJbwliF0
兄「お! 出てきたぞ!」
姉「本当ですね」
兄「おお、わらわらと、ちんちくりんがいっぱいだな」
姉「ふふ、どの子も可愛いですね」
兄「だけどうちの子が一番だな」
姉「お父さん、いつも言おうと思っていた事があるんですけれど」
兄「何だ?」
姉「親バカですよね」
兄「俺はお前に対してもバカなつもりだぞ?」
姉「そっちは言葉のままの意味ですよね」
兄「あ、バレてます?」
姉「もちろんですよ、お父さん?」
兄「黒い笑顔やめてお母さん、子供達がすげー怖がってる」
姉「あらあら、うふふ」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 10:34:27.06 ID:RhQtE8VsO
姉は兄上と呼び、兄は姉上と呼ぶ
どっちが年上なんだろ。それとも双子なのかな
とりあえず保守
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 19:30:10.80 ID:XPJbwliF0
兄「ふふ……撮ってる、撮ってるぞ。永久保存版、娘の小学校入学式ファイル」
姉「Xファイルか何かですかそれ」
兄「ふむ。それもいい。すぐに月面のセットと宇宙人のきぐるみを用意させよう」
姉「やめてください、設定がリアルすぎて子供達の夢を壊してしまいます」
兄「ふむ、残念だ。ところで俺達の入学式のビデオもどこかにあるらしいぞ」
姉「タンスの奥深くじゃないですか?」
兄「意外と天井裏だったりしてな」
姉「ああいうのって一回撮ったっきりで、不思議と見返さないんですよね」
兄「現在進行形でビデオを回してる俺へのあてつけか」
姉「あ、バレました?」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:15:48.56 ID:XPJbwliF0
兄「ところでお母さんや」
姉「何でしょうお父さん」
兄「あやつは何組なのか」
姉「む?」
兄「……どこの組織の者かと聞いている。知っているなら答えたほうが身の為だぞ」
姉「ふ……そんなに簡単に仲間を売ると思ってもらっては困るな」
兄「夜は長い、じっくり体にでも聞いてみるさ」
姉「貴様にできるものか」
兄「なに、時間はたっぷりあるんだ。邪魔者は居ない、二人だけで楽しもうか」
兄・姉「アスファールト、タイヤを切り付けながら~♪」
兄「うむ、息ぴったりだな」
姉「ですな」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:19:35.53 ID:XPJbwliF0
姉「えーっと、たしか5組では?」
兄「1年5組か」
姉「ええ、そうですね」
兄「我々と同じだな」
姉「あら、そうでしたっけ」
兄「俺は忘れぬぞ、同じ年のきょうだいで同じクラスという耐えがたき境遇を……っ!」
姉「私はもう忘れましたよ?」
兄「お金って貸した方はずっと覚えてるもんなんですよ」
姉「お金を貸した覚えはないですけどね」
兄「言葉の綾ですぞ」
姉「承知しております」
兄「余計タチ悪いわ」
姉「君とはやってられんわ」
兄・姉「どうもありがとうございました」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:24:48.26 ID:XPJbwliF0
エー……
デ、アルカラシテ
ホンジツハ、
トテモメデタイヒデアリマス……
妹「もう……、お父さんもお母さんも子供みたいにはしゃいじゃって」
女の子「ねえ」
妹「うん?」
女の子「あそこで漫才やってる二人、あなたのご両親?」
妹「いっその事……他人のフリをしてみたいかも」
女の子「なんで? 仲が良くてとてもステキだと思うけれど」
妹「そう? でも恥ずかしいなぁ……」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:32:10.42 ID:XPJbwliF0
女の子「いつもあんな感じなの?」
妹「そんな事は……あるかも」
女の子「あなたも大変ね、くすくす」
妹「昨日だって二人で夜遅くまで今日何着ていくかで揉めてたんだよ?」
女の子「へぇ?」
妹「それでお父さんが’しまった! スーツをクリーニングに出したままだ!’って言ってさ」
女の子「それは大変ね」
妹「お母さんが’だったらついでにガソリン入れてきてくださいな’って言ったのに、お父さんったらそれ忘れちゃってて、今朝は走って来ちゃった」
女の子「だからあなただけギリギリだったのね」
妹「う……」
女の子「みんなもうちらほらと友達ができてるみたいよ?」
妹「うそっ?」
女の子「ボヤボヤしてると一人取り残されちゃうかもね、くすくす」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:35:48.54 ID:XPJbwliF0
女の子「そういえばあなたはどこの保育園だったの?」
妹「行ってないよ? ずっとお家だったから」
女の子「あらそうなの?」
妹「うん、だからがっこは初めてなの」
女の子「そう。だったら私が色々と教えてあげるわ、くすくす」
妹「本当っ?」
女の子「ええ、色々とね」
妹「やったぁ、じゃああたし達、友達だね?」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:43:38.45 ID:XPJbwliF0
兄「む」
姉「どうされましたお父さん」
兄「見ろ、娘が隣の子と親しげに談笑の花を咲かせている」
姉「あら本当」
兄「保育園にも幼稚園にも行かせてやれなかったから不安だったが……あの調子だと大丈夫そうだな」
姉「そうですね、きっと大丈夫」
兄「でも」
姉「でも?」
兄「お母さんに似てクラスの委員長になって合法的にムカつく男子を絞めたりしなきゃいいけど……」
姉「時効です」
兄「時効で済ませられる程思い出は甘酸っぱくないのだよ」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:48:38.54 ID:XPJbwliF0
姉「それを言うなら」
兄「あん?」
姉「お父さんこそ、随分やんちゃだったじゃないですか」
兄「そんな事はない」
姉「クラスの誰かさんがいじめられてた時、一回りも二回りも大きい相手に立ち向かっていってましたよね」
兄「ふん、男子たるもの女子を守るのが当たり前だ」
姉「あらあら。実はその話には続きがあるってご存知あそばせ?」
兄「続き?」
トイウワケデ
ダイ××カイ○○ショウガッコウノ
ニュウガクシキヲ
ヘイマクイタシマス
姉「あ、終わりましたね」
兄「本当だな」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:53:44.09 ID:XPJbwliF0
兄「で、何よ続きって」
姉「?」
兄「あん?」
姉「何の続きでしたっけ?」
兄「ガソリンを入れ忘れてごめんなさい……っていうのは昨日やったか」
姉「帰ったらお仕置きです」
兄「いや、お仕置き2回目よ? さすがに勘弁願いたいなぁ」
姉「だったらもっとちゃんとしてください」
兄「しているではないか、男とは背中で語るものだ」
姉「嫁に背を見せるとは、男としてどうなのですか」
兄「返す言葉もない」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 20:59:10.06 ID:XPJbwliF0
先生「えー……というわけで今日から君らの担任をやる事になりました、どうかよろしくお願いします」
オネガイシマース
先生「それじゃあ名前の順に自己紹介をしてもらいましょうか」
兄「はい、仕事は近くの大学で准教授をやっとります。趣味は娘の観察、最近だと休日に家族サービスでドライブをするのにハマってます。ぞうさんも好きだけど、綺麗なおねえさんはもっと好きです」
姉「はいはい。引っ込んでましょうねお父さん」
兄「なぜだっ! 自己紹介をしろといわれただけなのにっ」
姉「娘の出番奪ってどうするんですか」
妹「もう! 二人とも大人しくしてなさい!」
兄・姉「すんませんでした」
妹「わかればよろしい」
アハハハハハ、ナニアノコ
オモシローイ
妹「はっ?! しまったついいつもの調子で……」
女の子「くすくす」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:02:27.98 ID:XPJbwliF0
先生「随分面白いご両親ですね」
妹「すみません……」
姉「ほら、娘が可愛そうじゃないですか?」
兄「はっはっは、元気が無いぞ。どうした娘よ」
妹「あんたのせいだ!」
兄「ぐアァァァぁぁぁああああああああああああああああああああッッ?! なんだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお?! お、お、……俺のせいだったのかあああああああああああああああ!!!」
姉「君とはやってられんわ」
兄「今本気で言わなかった?」
姉「気のせいですよ、お父さん」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:07:28.21 ID:XPJbwliF0
保護者「なんですの、随分賑やかな人がいますのね」
女の子「そうだね、おかあさん」
保護者「……」
女の子「どうしたの?」
保護者「いや、なんでもないですのよ。小学校でも幼稚園みたいに仲の良い友達ができればいいですのね」
女の子「さっきあの子と友達になったよ?」
保護者「まぁまぁ、そうですの?」
女の子「くすくす」
保護者「色々な意味で退屈せずに過ごせそうですのね」
女の子「そうだね」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:10:28.65 ID:XPJbwliF0
先生「……と、いうわけで。一年間よろしくお願いします」
ハーイ!
先生「それでは、起立、礼。さようなら」
サヨウナラー!
兄「うーし、帰るか」
姉「帰りましょ」
妹「うんっ」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:12:53.07 ID:XPJbwliF0
妹「ね」
姉「うん?」
兄「どうした娘よ」
妹「お父さんとお母さん、この小学校だったんだよね?」
兄「そうだぞー、お母さんは学級委員長で児童会長だったんだからな、えっへん」
姉「あなたが威張る事ですか」
妹「すごいねお母さん!」
兄「お父さんもすごかったんだぞー」
妹「そっかー、すごいねおかあさん!」
兄「オトウサンモスゴカッタンダゾー」
妹「ソッカースゴイネオカアサン」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:17:30.58 ID:XPJbwliF0
兄「ぐ……、父としての威厳がっ……今音を立てて崩壊しようとしている……っ」
姉「あらあら、最初からそんなものありましたっけ?」
兄「実質最初から無いわー、実質最初から無いわ、うん」
妹「あたしお母さんみたいな小学生になるねっ」
兄「ちょっとはお父さんみたいな小学生になってもいいんだよ?」
妹「えー、お父さん女の子のスカートめくりばっかりしてたんでしょ?」
兄「なぜそのことを!」
姉「あらあら」
兄「貴様かァぁああああああああああ!!!!! なんて……なんて事を娘に教えているんだああああああああ!!!!!!」
姉「事実です、それに史実です」
兄「ひいいいいいいっっ?!」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:21:57.02 ID:XPJbwliF0
妹「もう! バカなお父さん」
兄「娘にまでバカ呼ばわりされる父って一体……」
妹「ふんっ、知らないっ」
兄「おかあさん~……娘が反抗期だぁ……」
姉「まず自らを省みる必要があるのでは」
兄「いま、娘を子に持つ日本全国全ての父親の気持ちがわかった気がする」
姉「すごいじゃないですか、悟りの境地ですね」
兄「君に対してはサトラレですけどね」
姉「テレパシー的な何かですね、たぶん」
兄・姉「僕らはいつも以心電心♪」
妹「結局、阿呆二人ね……」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:23:45.18 ID:XPJbwliF0
兄「以心電信だったっけ」
姉「以心伝心のもじりですからね」
兄「じゃあ以心電心ってのは」
姉「間違いを認めていく強さが我々には必要なのですよ」
兄「なるほど」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:26:31.53 ID:XPJbwliF0
妹「二人とも~、おいてっちゃうよー」
兄「おおう、今行く」
妹「本当、仲いいよねお父さんとお母さん」
兄「当たり前だぞー? 夫婦なんだからな」
妹「ふーん? でも、あたし知ってるよ?」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:30:11.70 ID:XPJbwliF0
ギクッ
兄「……」
姉「……」
兄(……おい姉上)
姉(なんだ兄上)
兄(何か悟られる様な事言ったのか?)
姉(さあ、心当たりがない)
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:34:20.36 ID:XPJbwliF0
兄(……この子の親が我々ではないという事を気づかれてはならない、少なくても今は。ショックを受けて閉じこもりがちにでもなったらどうするのだ)
姉(そうですね兄上)
兄(……だがしかし、この子が事実を知ってしまったというなら……)
姉(やむを得ませんか)
兄(……どうすることもできんだろう。だがしかし、どの面下げて’我々は君の親ではない’と言うのだ?)
姉(いつかは、と。覚悟していた事です)
兄(……そうか)
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:35:52.16 ID:XPJbwliF0
姉(現実とは往々にして厳しいものですから)
兄(だがしかし、誰もが姉上の様に強くは在れないのも事実)
姉(信じましょう)
兄(ぬ?)
姉(私達の娘を)
兄(母は強いんだな)
姉(お父さんの娘でもあるんですよ?)
兄(ははっ、そうだな)
姉(そうですよ)
※テレパシー的な何か
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:38:00.59 ID:XPJbwliF0
兄「……」スー
兄「……」ハー
兄「で、何を知っているって?」
妹「何よ、いきなりそんな爽やか笑顔になっちゃって」
兄「私はいつでも爽やかスマイルではないか娘よ、で何を知っているのだ?」
妹「お父さんとお母さんがやってる事なんだけど」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:41:22.61 ID:XPJbwliF0
兄(……)
姉(……)
兄(姉上)
姉(どうした兄上)
兄(この子、いつから気づいていたんだろうな)
姉(案外、最初からかもしれませんね)
兄(我々のこの狂言に付き合ってくれていた、というのか?)
姉(入学式は私達にとっても大きな節目でしたけど、この子にとっても大切な節目ですからね)
兄(これを機に……か)
姉(寂しいですか?)
兄(バカをいうな)
姉(背中が寂しそうですよ)
兄(……バカを言うな)
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:43:11.95 ID:XPJbwliF0
兄「……」しゅん
妹「ちょ、ちょっと。どうしてそんなに落ち込むのっ?」
兄「……いや、落ち込んでなんかないぞ? うん」
妹「そう?」
兄「あはは、元気全快だー、うおおー」
妹「なんかムリしてない?」
兄「してないさ、あははははーーー!!!!」
妹「ふーん?」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:46:20.30 ID:XPJbwliF0
兄(……どこまで知っているんだろうな)
姉(自分が虐待を受けていた事も知っているのでしょうか)
兄(さすがにそこまでは覚えとらんだろうが……、記憶の中に浮かぶ本当の両親と我々の違いに、もしかしたら一人苦しんでいたのやもしれん)
姉(後悔、ないですか?)
兄(ないさ)
姉(戻りたいと言っても?)
兄(ああ)
姉(優しいんですね、兄上は)
兄(俺はいつだって弱い者の味方だ)
姉(あらあら)
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:53:26.33 ID:XPJbwliF0
兄(せっかく買った子供服、どうすりゃいいかな)
姉(ご近所の若い奥様に差し上げては?)
兄(ふむ、それはナイスアイデアだ。この子の件でご近所様には随分助けられたからな、夜泣きの時とか風邪を引いた時とか)
姉(わからない事だらけでしたからね)
兄(今もわからないさ、日本全国の父親・母親は化け物だと思うよ。子育てなんて神業のオンパレードだ、なにせ泣き声ひとつで感情がわかるんだからな)
姉(我々は親らしくあれたでしょうか?)
兄(胸を張れるさ)
姉(そう……、そうですね)
兄(泣くのは早いぞ)
姉(そう……ですね)
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:55:52.17 ID:XPJbwliF0
兄「……」スー
兄「……」ハー
兄「う~ん、深呼吸したら気持ちいなぁ。ほら娘よ、お前もやってごらん?」
妹「うんっ」
スー
ハー
兄「それで、私達が何だって?」
妹「ああうん、あのね。お父さんとお母さんね」
姉「うん」
妹「お父さんとお母さんがよくやってるあれ」
兄「アレ?」
妹「うん、アレ」
姉「アレとは?」
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 21:58:38.95 ID:XPJbwliF0
妹「ほら、ボケたり突っ込んだり」
兄「漫才かい?」
妹「うんうん」
姉「それがどうかしたの?」
妹「あのね、あたし知ってるんだよ?」
兄「何をだい?」
妹「お父さんとお母さんがやってるのって夫婦漫才って言うんでしょ?」
兄「……」
姉「……」
妹「だからあたしが入ったら家族漫才だねー……って、二人とも、聞いてる?」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:01:21.96 ID:XPJbwliF0
兄「……」
姉「……」
妹「お父さん? お母さん?」
兄「……く」
姉「……あははっ」
兄「ははは」
姉「あははははっ」
兄「……そうか、そうきたか娘よ! くそ! こいつは一本とられた! あはははは!!!」
姉「ええ、随分強烈でしたね。さすが私達の娘です!」
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:03:40.93 ID:XPJbwliF0
妹「ちょっとー、なんで笑ってるのよ? そんな面白い事言ってないよー?」
兄「面白かったさ! ああ面白かったとも娘よ! ドキがムネムネしたぞ!」
姉「ええそうですね、ドキがムネムネでしたよ」
妹「え? へ?」
ギュ
妹「ちょ、二人とも。くるしいよ」
兄「ばかいえ、もっと強く抱いてやる」
ギュウゥウウ
姉「私も負けませんよ」
ギュウウウウ
妹「もう、二人ともどうしたの?」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:05:22.51 ID:7fac4+l50
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:08:38.39 ID:4iWK421y0
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:09:53.74 ID:XPJbwliF0
兄「家族だ。そうだ、私達は家族なんだ」
姉「ええそうですよ、私達は家族ですから」
妹「何言ってんのよ当たり前じゃない、そんなの」
兄「くくく……当たり前、そうか。当たり前か」
姉「ええ、当たり前ですよ。お父さん」
兄「お母さん……当たり前だとよ……こんな俺らなのにな」
姉「ええ、当たり前なんですよ」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:13:49.61 ID:XPJbwliF0
妹「ちょっと二人ともどうしたのよ、さっきからヘンだよ?」
兄「うるさいっ、お父さんがヘンなのはいつもの事だろうっ」
妹「あ、それもそうか」
兄「え、納得しちゃうの?」
妹「うん」
兄「ガーン」
姉「あらあら」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:21:27.73 ID:XPJbwliF0
兄「うわああああああああああああああああああああああああン!!!! グレてやるううううううううううううううううううううううううう!!!!」
妹「あ、ちょ、待っ……行っちゃった」
姉「うふふ、お父さんうれしかったんですよ」
妹「何が?」
姉「あなたに家族って言ってもらえて」
妹「なんで?」
姉「あなたがもうちょっと大人になったらわかるかもしれませんね」
妹「むー。あのね、お母さん」
姉「はいはい?」
妹「あたし、お父さんみたいな人と結婚したいかも」
姉「あらあら、お父さんに行ってあげたら喜ぶわよ?」
妹「チョーシに乗るから絶対内緒」
姉「うふふ」
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:23:55.46 ID:XPJbwliF0
姉「お父さんのどこがいいの?」
妹「お母さんと一緒」
姉「私と?」
妹「うんっ」
姉「あらあら、だったら私達ライバルね」
妹「あくまでお父さん’みたいな人’だから。お父さんじゃないもん」
姉「うふふ、可愛いわねっ」
ギュウ
妹「うにゃ」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/13(日) 22:30:36.45 ID:XPJbwliF0
ブロロロロロロロロロロロロ……
キキー
バタン
兄「ヘイ、そこのキュートなカノジョ達ィ、お茶しない?」
妹「……なにやってんのお父さん……」
兄「いや、お前ら中々帰ってこないからガソリン入れて迎えにきた」
妹「この短時間でっ?!」
兄「愛が成せる業よ! はっはっは!」
姉「あらあら、誰への愛ですか?」
兄「それはもちろんむす」
姉「うふふ」
兄「お母さんに決まってるじゃないか」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 00:11:29.41 ID:UJ7aND+w0
一年生にしちゃ頭良いな
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 00:14:15.50 ID:+fuu23X30
弟や妹がほしいって言われたらどうすんだ・・・・
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:04:13.14 ID:N7W/btwf0
◇ ◇ ◇ ◇
兄「……はぁ」
ズズズ
姉「……ふう」
ズズズ
妹「……んー」
チューチュー
兄「お茶がうめぇなぁ」
姉「ですねぇ」
妹「なんであたしだけオレンジジュースなの」
兄「だって猫舌だし」
姉「猫舌ですからねぇ」
妹「そっかー猫舌なのかー」
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:07:27.07 ID:N7W/btwf0
妹「で、ネコジタってなに?」
兄「にゃーん」
妹「うにゃーん」
兄「ふー」
妹「にゃーん」
兄「うー……わんわん!」
妹「それどっちなの」
兄「犬と猫で犬猫」
妹「新発見?」
兄「ガラパゴスだからな」
妹「ガラパゴスって?」
兄「生命の冷蔵庫だ」
妹「保存してるの?」
兄「うむ」
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:08:11.05 ID:wMFbkYuZ0
ねーちんってかいてあるかとおもた
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:11:10.35 ID:N7W/btwf0
妹「んー」
チューチュー
妹「ジュースおいしい」
姉「和歌山のオレンジジュースですからね、有田みかんですよ」
妹「うん、みかん好き」
姉「毎年お隣の奥様からお裾分けしてもらってますものね」
妹「こたつにみかん」
兄「日本人の心だな」
兄・姉・妹「ね~こはコタツで丸くなる~♪」
ニャーン
兄「ふはは、息ぴったりだな」
姉「ですねぇ」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:13:59.01 ID:N7W/btwf0
妹「にゃーん」
姉「にゃー」
兄「ぬー」
妹「ぬーって何よ」
兄「新種」
妹「さっきから新種ばっかり」
兄「ぬー」
妹「猫はそんな鳴き声じゃないよ」
ニャーン
妹「そうそう、こんな鳴き声」
兄「ほう、まるで本物みたいだな。声真似でデビューするか?」
妹「今あたし何も言ってないよ?」
兄「あん?」
ニャーン?
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:15:42.39 ID:N7W/btwf0
姉「あらあら」
妹「わぁ、猫ちゃん」
兄「どうなってんだ我が家のセキュリティは」
ニャーン
兄・姉・妹「セコム、してますか?」
ニャア?
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:20:36.02 ID:N7W/btwf0
姉「三毛猫ですね」
妹「男の子?」
兄「オスだったら珍しいな……だが女の子だな」
妹「女の子っ」
ニャーン
姉「あらあら、あなたに懐いてるわね」
ニャーン
すりすり
妹「わ、くすぐったいよー」
兄「おい猫介、俺にも平伏すのだわははははは」
ぷい
兄「あれ? 家主の俺になつかないの? なんで?」
姉「動物って誰が家の中で一番権力があるか察するらしいですよ」
兄「どういう意味だあああああああああああああああああああああああああああああああっ」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:25:35.74 ID:N7W/btwf0
妹「ちょっとお父さん、猫ちゃんびっくりしてるじゃない。威嚇しないでよね」
兄「フーーー!」
姉「人間対猫の仁義無き戦いの火蓋が切って落とされようとしていますね」
妹「猫ちゃん、どこからきたのー?」
ニャー
兄「フーーーー!!!!」
姉「いつまでやってるんですか、お茶なくなったから淹れてきてくださいな」
兄「やだよ、コタツから出たくない」
姉「あらあら?」
兄「……」
姉「うふふ? ばんごはん抜きますよ?」
兄「イヤー、オチャクンデクルワー」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:27:13.33 ID:N7W/btwf0
兄「ったくなんで俺がお茶など……」
ゴト
兄「ん?」
ゴソゴソ
兄「……んん?」
シーン
兄「あんだあ? 誰か居んのか?」
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:29:34.02 ID:N7W/btwf0
ニャー
姉「可愛いわね」
妹「うんっ」
姉「ちっちゃくてくりくりしてて、食べたらおいしそうね」
妹「だ、だめだよ!」
姉「うふふ、冗談よ」
妹「たまにお母さんの冗談は冗談に聞こえない時があるよ……」
姉「あらあら」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 16:33:31.67 ID:N7W/btwf0
ニャーン
妹「ん、可愛いなー」
姉「本当ねぇ」
妹「……」
姉「可愛いわねぇ」
妹「……ねえ、おかあさん」
姉「うん?」
妹「この子、飼っていい?」
姉「だめ」
妹「そんなっ」
姉「あのね。動物を飼うのって大変な事なのよ?」
妹「それは……っ、わかってるけれど」
姉「どんな病気を持っているかわからないし、どれだけ愛情を注いでもある日フラっとどこかへ行ってしまうかもしれない、それに一度飼う事を決めたら責任を持って毎日面倒を見ないといけないのよ? あなたにその覚悟があって?」
妹「……うー……」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:00:33.56 ID:N7W/btwf0
姉「保健所にはね、毎日沢山の迷子の犬や猫が送られているの」
妹「?」
姉「数週間はそこで保護されるわ」
妹「それが、何なの?」
姉「一定期限を過ぎたら殺処分されるの、わかる? 殺されてしまうの」
妹「……そんな、ひどい」
姉「あなたが今ひどいと感じた事。誰もがそう思うでしょうね」
妹「そんなの当たり前じゃない!」
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:01:48.66 ID:N7W/btwf0
姉「多くの飼い主だってもちろんそう思うでしょうね。だけど責任を放棄する飼い主だって少なからず居るわ」
妹「?」
姉「育てるのが面倒になったから放棄する、鳴き声がうるさいから放棄する、手間が面倒、性格が気に入らない、飼った当時と成長後の姿のギャップが気に入らない……理由を挙げればキリがないわ。結局一番迷惑なのはそんな中途半端な飼い主に飼われたペットちゃんなのよ?」
妹「そんな……そんなのおかしいよ!」
姉「そうね。おかしい事よね。でも、あなたがそうならない保障がどこにあるの?」
妹「ならないもん!」
姉「本当?」
妹「あたしは……あたしはこの子を、ちゃんと育ててみせるもん!」
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:03:57.68 ID:N7W/btwf0
ニャーン
姉「猫の育て方は知っているの?」
妹「う……、そ、それは。わかんねいけど」
姉「躾は? エサは何を食べるの?」
妹「……わかんないけど! ちゃんと調べるもん! この子の親になるんだもん! 当たり前だもん!」
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:04:59.86 ID:N7W/btwf0
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|┃. ! ゙, | }
|┃≡゙; i_i ,/
|┃. ,r' `ヽ、 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃.i" ゙; < 話は全部聞かせて貰ったぞ!
|┃:!. ・ ・ ,! \____________
| (ゝゝ. x _,::''
______|┃= ,::`''''''''''''''"ヽ.
|┃ | r';
|┃ ゙';:r--;--:、‐'
|┃≡ ゙---'゙'--゙'
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:05:49.18 ID:N7W/btwf0
ガラッ
兄「話は全部聞かせて貰ったぞ!」
ニー
妹「あれ? もう一匹猫ちゃん?」
兄「リビングでうろうろしてたトコを保護してきた、さすが俺っ」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:06:46.07 ID:N7W/btwf0
兄「娘よ」
妹「うん」
兄「猫を飼いたいそうだな」
妹「うん」
兄「大変だぞー? 生き物ってのは予想の斜め上を行く動きをする、何をしでかすか想定できんからな」
妹「それでも」
兄「あん?」
妹「放っておけないよ」
兄「……ったく、誰に似たんだか……」
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:07:43.19 ID:N7W/btwf0
兄「良いだろうっ、飼う事を許可しようっ!」
姉「お父さん!」
兄「お母さん、いいじゃないか。この子が初めて自分からやりたいと言ってきた事なんだ」
姉「ですが」
兄「それにほら、俺だって猫飼ってみたかったし」
ニー
兄「おー、よちよち。可愛いでちゅねー」
ニーニー
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:09:15.59 ID:N7W/btwf0
姉「まさか鳴き声が気に入ったとかいいませんよね」
兄「アハハ、ソンナマサカ」
姉「……はぁ……一度に二匹も、家計が火の車ですよ?」
兄「なに、講義を増やせばいいだけの話だ。それから娘よ!」
妹「うん?」
兄「飼うからには名前をつけねばならん! 子に名前を授けるのは親の特権だ、だからお前がつけてあげなさい」
妹「……いいの?」
姉「はぁ……いいわよ。そのかわり良い名前つけてあげなさい」
妹「やったー! ありがとおかあさん!」
兄「え? 俺は?」
妹「ありがとおかあさん!」
兄「なぁなぁ、俺は?」
妹「アリガトオカアサン」
兄「ナァナァ、オレハ?」
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:10:03.41 ID:N7W/btwf0
妹「じゃあ、こっちのにゃーにゃー鳴く子がにゃーちゃんで」
ニャー
姉「にゃーちゃん、ね」
妹「こっちのにーにー鳴く子がにーちゃん」
ニー
兄「にーちゃん……だと……」
妹「どうしたのお父さん?」
兄「い、いやなんでも! いい名前じゃないかあはは」
ニャー
ニー
妹「よろしくね、にゃーちゃん、にーちゃん!」
兄「ぐはっ」
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:16:21.65 ID:N7W/btwf0
────────
────
──
その日の夜。
兄「この子の親になる……か」
姉「はい、そう言ってましたね」
兄「はっはっは」
姉「うふふ」
兄「最初は反対したけど、あの子がああ言ってくれて、本当は嬉しかったんだろう姉上」
姉「ふ、当たり前だ」
兄「姉上に似て良い子に育ってるじゃないか」
姉「兄上に似て良い子に育っている」
兄「少し、飲もうか」
姉「お酒は辞めたのでは?」
兄「なに、今日くらい良いではないか」
姉「そうですね、お付き合いしますよ。お父さん?」
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:41:40.53 ID:qDPXTXKF0
この兄妹の生い立ちが気になる
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 17:42:28.59 ID:qDPXTXKF0
つーか兄姉だな
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 18:05:15.65 ID:f2HaKlWX0
しえんします
つづけてくださいね
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 18:42:59.57 ID:NgW/COQ70
やだ、かわいい
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 22:21:17.99 ID:N7W/btwf0
◇ ◇ ◇ ◇
おんなのこは、
おうちでひとりです。
おとうさんと
おかあさんは
おしごとにいってしまいました。
「ろくじにかえってくるから、
いいこでまっててね」
おんなのこはおおきくうなづきました。
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 22:50:38.24 ID:N7W/btwf0
おひる。
おんなのこはおなかがすいてしまいました。
おかあさんがつくってくれたごはんをたべます。
でんしレンジでチンします。
きのう、やりかたをおしえてもらいました。
ごはんとおかずをあたためます。
おんなのこがだいすきなとうもろこしとたこさんういんなーです。
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 22:53:39.28 ID:N7W/btwf0
先生「はい、よく読めました」
妹「はーい」
先生「じゃあ次、読んでもらいましょう」
女の子「はーい」
先生「続きから、どうぞ」
女の子「おんなのこはおとうさんのしょさいを──」
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 22:58:45.67 ID:PblJVzMQ0
毛色が違うと思ったらそういうことか
しえん
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:00:22.06 ID:N7W/btwf0
男の子「──、ただいま。おとうさんとおかあさんが……?」
先生「帰って」
男の子「かえってきました」
キーンコーンカーンコーン
先生「はい、じゃあ今日はここまで」
男の子「やったー、授業おわったー」
妹「おわったー」
男の子「お前、すげーな。あんなスラスラ読めるなんて天才か?」
妹「えっ、そうかな」
男の子「そうそう。あーもー、俺なんて毎日宿題でひーひー言ってるんだぜ? かーちゃんに宿題できるまで晩飯くわせないとか言われてさ」
妹「あはは、大変だね」
男の子「ほんとだぜ」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:06:40.28 ID:N7W/btwf0
妹「宿題、大変だよね」
男の子「漢字練習が一番つらいな、手がまっくろになる」
妹「綺麗に書かないとやりなおしだもんね」
男の子「せんせーきびしーもんな」
妹「あはは」
男の子「お前もう帰るの?」
妹「え、そうだけど」
男の子「ふーん、サッカーやらねぇ?」
妹「サッカー? いいけど」
男の子「お、サッカーできんの?」
妹「やった事無いけど、見たことはあるよ」
男の子「だったらよ! 前のアジアカップ見たか?! 日本優勝したよな~! すげ~よなぁ!」
妹「う? うん、そうだね。すごいね」
男の子「やっぱよ! サッカーだよな~! あーもー授業全部サッカーだったらどんだけ楽しいことか!」
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:12:46.15 ID:N7W/btwf0
妹「サッカー、好きなんだね」
男の子「おう! ワールドカップが俺の夢だ」
妹「なにそれ?」
男の子「はぁ~? ワールドカップもしらねぇでサッカーやってんのか?」
妹「えっと、サッカーはやってないけど……」
男の子「ああそうだっけ、まぁとにかくすげーでっかい大会でよ! それから──」
ガン!
男の子「いってぇ!」
女の子「教室で大きい声ださない」
男の子「るせー! 暴力女!」
女の子「なっ」
男の子「へへっ、どうだ、まいったか!」
女の子「まいるわけないでしょ、このサッカーバカ」
男の子「ああん?」
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:16:49.45 ID:N7W/btwf0
女の子「なによ、やるき?」
男の子「バカって言った方がバカなんだぜ」
女の子「ふ~ん? でもあんたも今言ったわよね?」
男の子「う」
女の子「バカバカバカバカバカ、バ~カ」
男の子「くっそ~、口では勝てねぇ、ひとまず退散だっ」
妹「あ、ちょっと……行っちゃった。ランドセル置きっぱなしだけど……」
女の子「いいのいいの、そのうち戻ってくるから」
妹「いいの?」
女の子「うん」
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:19:05.68 ID:N7W/btwf0
妹「サッカー誘われちゃった」
女の子「あら、そうなの?」
妹「うん」
女の子「良かったじゃない、友達できて。バカだけど」
妹「それ聞いたら落ち込むよ?」
女の子「いいのよ、だってバカだから」
妹「そうなの?」
女の子「うんうん」
妹「そうなのかなぁ……」
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:22:24.85 ID:N7W/btwf0
女の子「あいつとは幼稚園が一緒だったのよ」
妹「へぇ」
女の子「よく三人で遊んでたわ」
妹「さんにん?」
女の子「もう一人は今アメリカに居るの」
妹「へぇ、アメリカかぁ」
女の子「うん」
妹「遠いね」
女の子「離れてても友達よ」
妹「そっかぁ……友達って凄いんだね」
女の子「ライバルだからね」
妹「ふぅん? ライバルって?」
女の子「ないしょ」
妹「えぇ~」
女の子「くすくす、教えてあ~げないっ」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:25:16.87 ID:N7W/btwf0
妹「えぇえぇ、教えてよ~」
女の子「いいよ」
妹「いいのっ?」
女の子「でもちょっと、話すの……その、ちょっと恥ずかしいから……また今度でいい?」
妹「いいよっ」
女の子「ありがと」
妹「うんっ」
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:32:15.58 ID:N7W/btwf0
女の子「じゃ、一緒に帰ろ?」
妹「うんっ」
女の子「お家どっち?」
妹「あっち」
女の子「一緒の方向だね」
妹「そうなの? 良かったぁ」
女の子「くすくす、嬉しそうね」
妹「だって誰かと一緒に帰るのって初めてだもん」
女の子「あらそう?」
妹「うんっ」
女の子「だいじょうぶ」
妹「?」
女の子「お母さん以外の人と帰るの、私も初めてだから」
妹「じゃあ初めて同士だね」
女の子「そうだね」
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:36:09.71 ID:N7W/btwf0
男の子「お? 二人とも帰るの?」
女の子「うん」
男の子「そんじゃ俺のスペシャルフリーキックみてけよ」
女の子「えー」
男の子「いいからいいから」
妹「何がスペシャルなの?」
男の子「それは見てのお楽しみだぜぃ」
妹「ふーん」
女の子「またどうせしょうもないモンでしょ」
男の子「ばか! 今日のはちげーよ、本田もびっくりの超旋風無回転だ」
妹「旋風なのに無回転……?」
女の子「だめ、深く考えたら負けよ……」
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/14(月) 23:39:29.02 ID:N7W/btwf0
男の子「ごちゃごちゃうるせー、黙ってみてろぃ」
女の子「空振りしないでよー」
男の子「しねーよ」
妹「わくわく」
男の子「へへっ、いくぜ。見てろよコジロー!」
妹「コジロー?」
男の子「タイガー……シューーーーート!!!!!!!!」
ぽーん
妹「今タイガーシュートって言ったよね?」
女の子「ほらね? 旋風とかどっか行ったでしょ?」
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:04:37.96 ID:1XwNc5hy0
女の子「たぶんタイガーショットの事だと思うけど」
妹「サッカーマンガか何か?」
女の子「うん」
妹「ふぅん、そうなんだ」
男の子「へへっ、どうだ見たかっ!」
女の子「あーはいはい、見た見たすごいわねー」
妹「すごいすごい」
男の子「次の試合が待ち遠しいぜ、MOMはいただきだな」
女の子「ゴールにボール入れてからいいなさいよ」
男の子「うげっ、バレた?」
女の子「バレるも何もあさっての方向とんでっただけじゃない」
男の子「まだ実験中なんだよ」
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:06:59.28 ID:1XwNc5hy0
女の子「ふーん、実験中、ねぇ……」
男の子「な、なんだよ……」
女の子「実験中、ねぇ」
男の子「みてろよ! 次の試合じゃこれでハットトリックだからな! これが完成したら俺は世界にでる!」
妹「へー、それっていつ完成するの?」
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:13:33.90 ID:1XwNc5hy0
男の子「……」
女の子「……」
男の子「……」
女の子「……」
妹「?」
男の子「う」
妹「う?」
男の子「うおおおおおおおーーーーーーーーー!!!!! 練習だあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
女の子「あー……火がついちゃった……」
妹「え? へ?」
女の子「いいのいいの、放っておいたらそのうち帰るでしょ」
妹「でもほら、すごい走ってるよ?」
女の子「バカだからね、人の3倍練習しないとダメなんだって」
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:23:15.97 ID:1XwNc5hy0
女の子「さ、帰ろ帰ろ」
妹「いいのかなぁ」
女の子「いいのいいの」
妹「うん、じゃ、帰ろっか」
女の子「うんっ」
妹「えへへ」
女の子「じゃんけんしながら帰る?」
妹「なにそれ」
女の子「グーで勝ったらグリコで三歩あるけるの、パーだったらパイナップルで六歩、チョキだったらチョコレートで六歩ね」
妹「うんっ、いいよ」
女の子「じゃあいくよー、じゃーーーんけーーーーん」
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:33:03.75 ID:1XwNc5hy0
────────
────
──
妹「ねーお父さん」
兄「なんだ娘よー、父は今三点倒立の最中だ」
妹「それって楽しい?」
兄「娘に話しかけられて超楽しい!」
妹「倒立関係ないんじゃ……」
兄「細かい事は気にするな、はっはっは!」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:39:21.11 ID:1XwNc5hy0
妹「じゃんけんってどうやったら強くなるのかな」
兄「なぜにじゃんけん?」
妹「今日友達とじゃんけんしながら帰ってきたの」
兄「ほほう?」
妹「勝ったら進めるの、知ってる?」
兄「知ってるぞー、お父さんもよくお母さんと一緒に戦ったものだ。あれは20年前の事だったか……」
妹「その話長くなる?」
兄「原稿用紙500枚くらいかな」
妹「じゃあパス」
兄「ひどい!」
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:42:38.71 ID:1XwNc5hy0
兄「で、だ。じゃんけんがどうしたのだ?」
妹「うーん、あたし弱いのかな、全然進まなくて」
兄「グーでばかり勝っていたんじゃないか?」
妹「え、なんでわかるの?」
兄「くくく……簡単なトリックよ……まさに子供だましと言ってもいいだろう!」
姉「その子供だましにひっかかってたのはどこの誰ですか」
兄「ここの俺だチクショウ」
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:47:46.31 ID:1XwNc5hy0
妹「どういう事なの、お母さん?」
姉「簡単よ、相手をグーで勝たせればいいの」
妹「? なんで、負けたら進めないんだよ?」
姉「この作戦のミソは勝つ事じゃないの、相手に’あいつにはグーで勝てる’と思わせる事が大切なのよ」
妹「グーで勝てる??」
姉「よーく考えてごらんなさい、グーで勝っても3歩しか進めないんでしょう?」
妹「うん」
姉「それに対してチョキとパーは6歩、倍の違いがあるのはわかるわね?」
妹「わかるよ」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:49:29.49 ID:1XwNc5hy0
姉「だったら私はチョキとパーしか出さないわ」
妹「……あ」
姉「わかったかしら?」
妹「うん!」
姉「うん、理解が早い。さすが私の子ね」
妹「私お母さんの子供でよかった!」
兄「俺の子でもあるんだぞー」
妹「ワタシオカアサンノコドモデヨカッタ」
兄「オレノコデモアルンダゾー」
ニャー
ニー
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:52:40.55 ID:1XwNc5hy0
ニーニー
ニャー
妹「おなかすいたのー?」
ニー
妹「まっててね、ごはんとってくるから」
ニャー
妹「ぐ・り・こ、パ・イ・ナ・ッ・プ・ル、チ・ョ・コ・レ・イ・ト。ふふ、明日は負けないからねー」
ニー
妹「はい。キャットフードだよー、おたべー」
ニャー
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 00:58:51.38 ID:2lJBYzLs0
くそー続きを・・続きをくれぇ・・・(血走った目で見る)
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:07:06.51 ID:1XwNc5hy0
兄「で、お母さん」
姉「はいはい」
兄「晩御飯は?」
姉「何だと思います?」
兄「この匂いは……、から揚げだ! そうだろう!」
姉「おぉ、当たりです」
兄「隠し味に生姜と大蒜を使っているな?」
姉「すごいですね、まるで動物の嗅覚です」
兄「くくく……伊達に一緒に過ごしとらんよ」
姉「なんだか悔しいのでお父さんのから揚げだけ失敗作を乗せておきますね」
兄「えぇっ?!」
姉「うふふ、冗談ですよ」
兄「あ、あぁ……よかった」
姉「あらあら」
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:23:13.59 ID:1XwNc5hy0
妹「んー! おいしー!」
姉「そう言ってもらえると作った甲斐があるというものです」
妹「お母さんの料理だいすき!」
兄「俺もお母さんだいすき!」
妹「あたしの方が好きだもん!」
兄「舐めてもらっちゃこまる! こっちは年季がちげーんだよ!」
妹「むー!」
兄「はっはっは!」
姉「あはは、ありがとうございます二人とも……でも、お食事中はお静かに、ね?」ニコッ
兄・妹「は……はいっ、すみませんでしたっ」
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:31:02.17 ID:1XwNc5hy0
妹「おはよっ」
女の子「おはよ~」
妹「ねぇねぇ」
女の子「なあに?」
妹「今日も一緒に帰ろう?」
女の子「うんっ、いいよ」
妹「ふっふ~ん、今日は負けないからね」
女の子「あら? 言ってくれるじゃない?」
妹「あたしに同じ手は二度通じないわよ」
女の子「なっ」
妹「ふっふーん?」
女の子「あなた……ただ者では無いと思ってはいたけれど、流石ね」
妹「あなたもなかなかのキレ者みたいね」
女の子「……」キラーン
妹「……」キラリーン
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:42:44.56 ID:1XwNc5hy0
女の子「私とあなた、ライバルになれるかもしれないわね」
妹「そうかもね」
男の子「おお? なんだなんだ、朝から女の戦いか?」
妹「おはよ~」
男の子「はよ~」
女の子「おはよ。何が戦いよ」
男の子「絶対に負けられない戦いだな」
女の子「またサッカーのフレーズからとってきたでしょ」
男の子「げ、バレた?」
女の子「バレバレなのよ」
男の子「ちえー、カッコイイ台詞だと思ったんだけどな」
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:44:04.68 ID:1XwNc5hy0
男の子「どうでもいいけどお前ら喧嘩すんなよ~」
妹「えぇっ、喧嘩なんてしてないよ?」
女の子「そうよ、どこをどうみたら喧嘩に見えるのよ」
男の子「へへっ」
女の子「ったく」
キーンコーンカーンコーン
先生「はーいじゃあ宿題提出してもらうからなー、前にもってこーい」
男の子「……あ、しまった」
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 01:46:23.91 ID:1XwNc5hy0
妹「どうしたの?」
男の子「何か軽いと思ったらランドセル置きっぱなしだったんだ! やばい! どうしよう! なあ! 写させてくれ!」
妹「え? ぇえ?」
女の子「じごーじとくね、写させちゃダメよ? 一度ラクさせたらずっと頼まれるわよ?」
男の子「そ……そんなぁ……」
先生「どうしたー? 出さないのかー?」
男の子「ひー! ちょっとまって今やるから!」
先生「こらー、今宿題やってどうすんだー」
男の子「ご……ごめんなさーいぃ!!」
アハハハハハ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 02:14:16.91 ID:qpr9Ox800
届け出して、正式に家の子供になったんじゃないか。
育児の資格がこの親には無いと判断されれば親の権利を失うわけだし。
そこから他人が子供の親になる譲与の云々は知らんけども
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 02:57:10.84 ID:i8xEtYlBO
相変わらず妹と友達は小一とは思えない口調だwww
続き期待してます
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 03:52:58.44 ID:L8IVFc+n0
養子は結婚して定職がないとむりじゃなかったか?
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 03:54:54.71 ID:oEKE+QDs0
こまけえこたあ
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 12:04:42.09 ID:IiCQocaSO
ほ
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 13:36:47.79 ID:eXKMsWcXO
ん
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 14:39:14.59 ID:MAwUl2Nm0
と
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 14:52:22.95 ID:pj+TuiVC0
の
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 15:54:00.86 ID:t5moykBI0
き
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 16:25:05.32 ID:+T/iudeAO
も
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:12:45.98 ID:UKZsN5Um0
ち
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:30:20.55 ID:CBodEjLh0
が
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:54:31.83 ID:1XwNc5hy0
兄「ほんとのきもちが~言えない夜~」
姉「どうしたんですか?」
兄「今俺は奇跡をみた」
姉「?」
兄「なんでもないところで、だ」
姉「はい?」
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:55:17.36 ID:1XwNc5hy0
兄「遠足の下見に行こう」
姉「今何と?」
兄「だから、遠足の下見に行こうと言っているのだ」
姉「なぜ?」
兄「そこに山があるからさ」
兄・姉「口笛はなぜ~遠くまで聞こえる~の♪」
姉「どこのアルピニストですか」
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:56:07.63 ID:1XwNc5hy0
兄「いや、だってほら。電車とかで行くんだろ? なんとなく不安じゃないか、どんな危険が待ち受けているやもしれん」
姉「私達が行くわけじゃないんですから。いいんですよそういう事は先生方にお任せしておけば」
兄「俺だって伊達に先生と呼ばれておらん」
姉「たしかに」
兄「一理あるだろ?」
姉「なるほど、盲点でした」
兄「はっはっは、今更気づくとはお主、まだまだ鍛錬が甘いようだの!」
姉「精進致します」
兄「うむ」
姉「して、何の目的で下見など?」
兄「出番が欲しい」ボソ
姉「は?」
兄「遠足の下見だと申しておろう」
姉「ああそうでしたね、下見でしたね」
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:56:57.72 ID:1XwNc5hy0
兄「したみでしたね、ふむ。韻を踏んできたな」
姉「どこのヒップホッパーですか」
兄「最近結婚したらしい」
姉「あらあら、おめでとうございます」
兄「そんな事はどうでもいい、でだ」
姉「はい?」
兄「例えば電車の中を想定するとしよう」
姉「電車の中ですね」
兄「もちろん迷惑をかけずに静かにするのが大人のマナーだ、携帯電話はマナーモードにするのが当たり前だし、電車の中で飲食はもっての他、大きな声で喋るのもよろしくない」
姉「他人への気遣いですね」
兄「そうだな気配り心配りだ、簡単な様でいて難しいものだよ」
姉「深いですね」
兄「そう。よく小学生の集団が電車の中ではしゃいでいるのを目撃するが……たしかに! 日常とは違う遠足で気持ちが高揚しているのも理解できんことはない! しかし、そういう場面でこそ人間の本質というものが露骨に現れるのではなかろうか」
姉「また大袈裟な」
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 17:58:15.63 ID:1XwNc5hy0
兄「私は思うのだよ」
姉「何をですか?」
兄「つまり、俺も一緒に遠足に行きたいと」
姉「阿呆ですか」
兄「ガーン」
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:03:42.58 ID:1XwNc5hy0
兄「く……お母さんよ、校長先生がよく言うだろう?」
姉「はい?」
兄「遠足は! 家に! 帰るまでが! 遠足だと!」
姉「あぁ、はい。そうですね」
兄「という事は、一体いつからが遠足だというのか、遠足の始まりとは一体どこなのか?」
姉「生命の起源はどこ? みたいな顔で語りださないでください」
兄「前日にドキドキして眠れないところから遠足が始まるのか、それとも家を一歩でも出た瞬間から始まるのか、それとも先生方が職員会議で’今年はどこに行きますか?’と話し合いをしている時から始まっているのか!」
姉「またそんなどうでもいい事を……」
兄「俺はいつでも真剣である」
姉「真剣なのはわかってます」
兄「そうかそうか、はっはっは」
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:11:54.39 ID:1XwNc5hy0
兄「予算がこれくらいだから近場でいいのではないか」
兄「いやしかしそこは去年も行った場所ですから」
兄「しかし都道府県からはなるべく公共の施設を使用するように言われている……」
兄「悩む現場の教師、限りある予算、音もなく忍び寄る期日、回らない稟議書、押されない判子。ああ大変だ」
姉「何の心配してるんですか」
兄「いや小学校の先生って大変だなーって思ってさ」
姉「たしかに」
兄「国語・算数・理科・社会・保健体育に技術家庭、道徳の授業に授業参観とか家庭訪問、遠足修学旅行運動会や文化祭の準備、……クビがまわんねえよ。そういう意味では大学の方が1000倍マシだと思う」
姉「ある意味好きな事だけやってればいいんですもんね」
兄「ですなー、学生も好きだし。若いヤツはいいね、勢いがあるからなー」
姉「ふふ、少し先生の顔になってますよ?」
兄「あらやだ本当? ってか普段から先生だよ? それじゃあ普段はどういう風にうつってるの?」
姉「あらあら、うふふ」
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:14:28.88 ID:1XwNc5hy0
兄「しかし最近の大学はいかんな」
姉「はい?」
兄「いつから大学は就職予備校になったのだ、どいつもこいつも就活就活就活就活……ゼミに出てこーーーーーーーーーい!!!!」
姉「ヒサンですね」
兄「もう! 卒論手伝ってあげないんだから、ぷんぷん」
姉「娘の真似しても可愛くないですよ」
兄「えへ」
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:18:01.72 ID:1XwNc5hy0
兄「で、何の話だっけ」
姉「遠足では?」
兄「ああそうそう遠足だった、ところでだ」
姉「はい?」
兄「例えばこんな場面を思い浮かべてほしい」
姉「何でしょうか?」
兄「例えば電車の中、ハイヒールを履いた女性に思いっきり足を踏まれたらどうするべきか。非常に悩ましい、痛みをグっと堪えて何もないフリをするのか、それとも痛い! と女々しくも声を上げるのか……それとも第三の選択肢か」
姉「お父さんでしたら紳士的に’大丈夫ですか、お嬢さん?’とかですか」
兄「グーーーーッド、79点を与えよう」
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:19:23.42 ID:1XwNc5hy0
姉「む、優評価ではないのですね」
兄「先ほどの会話の流れにヒントが隠されているのだよ」
姉「さっきの?」
兄「うむ」
姉「はて?」
兄「さて?」
姉「こて」
兄「めん」
兄・姉「どーーーう!!」
兄・妹「一本!!!」
兄「うむ、なかなかのキレであった」
妹「そちらも結構なお手並みで」
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:21:16.76 ID:1XwNc5hy0
兄「して、答えは見つかり申したか?」
姉「ええもちろん」
兄「うむ、聞こうではないか」
姉「女性に足を踏まれたら」
兄「うむ」
姉「韻を踏み返す、ですね」
兄「か……カンペキだっ! さすが母は違うな」
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:24:38.69 ID:1XwNc5hy0
兄「ところで遠足って小雨でもやるんだろうか?」
姉「今日は晴れですよ?」
兄「来週の予報は雨だったからな」
姉「なるほど」
兄「小雨なら雨天決行だろうが……。ふむ、照る照る坊主でも作るか」
姉「いいですね」
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:25:35.93 ID:1XwNc5hy0
兄「ところで」
姉「はい?」
兄「千羽鶴をご存知か?」
姉「もちろんですよ」
兄「病気の快復を祈願したり、勝利を祈願したり。色々な願いを込める様だな」
姉「野球部に頼まれてたくさん作りましたね」
兄「徹夜で100羽以上も折ったのはさすがに骨が折れたな」
姉「それで、千羽鶴がどうかしたんですか?」
兄「ふむ、照る照る坊主もやはりひとつだけでは効果が薄かろうと思うのだが」
姉「なるほど」
兄「一理あるだろ?」
姉「科学的根拠は一切ありませんけれど、なんとなく多いほうが良さそうな気がしますね」
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:26:26.90 ID:1XwNc5hy0
兄「うむ、そこで俺は照る照る坊主1000体の製作に移ろうと思うのだが、協力してくれるか?」
姉「もちろんですよ」
兄「はっはっは、では早速ティッシュペーパーを買いに行こうではないか」
姉「夕飯のお買い物もしようと思っていたので丁度良いですね」
兄「うむ、まさに一石二鳥だな」
姉「ですね」
兄「では行こうかお母さん」
姉「行きましょうお父さん」
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:28:18.31 ID:1XwNc5hy0
ブロロロロロロロロロ……
兄「ところで何箱分くらい買えばいいんだろうか?」
姉「そうですね、1箱200枚と仮定して。4枚で1体製作するとすれば20箱程買えばいいかと。それから輪ゴムですね、顔を書くとしたらマジックがあればなお良いかと」
兄「さすがお母さん、頭の回転がはやいな」
姉「ふふ、褒めても何も出ませんよ?」
兄「口が回るようになってくれればそれでいいさ、会話こそ我らの至高の楽しみだからな」
兄・姉「う~んめいの~、ルーレット~、まわして~♪」
兄「ついでに曲がり角でハンドルまわして~」
姉「洗濯機もくるくるまわって」
兄「目も回る」
姉「運転中に辞めてください」
兄「ジョークジョーク」
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:51:45.00 ID:rQAVkEIY0
妹はツインテールと見た
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:54:01.65 ID:vGTVnIjv0
ウルトラマンに出てくる怪獣か
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 18:59:45.49 ID:PunQlLyx0
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:03:08.91 ID:1XwNc5hy0
────────
────
──
兄「ふむ、まさか大安売りだったとは」
姉「たくさん買いましたね」
兄「うむ、だがしかしこれで素材は揃ったな」
姉「そうですね」
兄「早速帰って作ろうではないか」
姉「私は夕飯の用意がありますので」
兄「うむ、先だって100体程作っておくさ。なに、折鶴に比べたら製作はさほど難しいものではないからな」
姉「気合入ってますね……、ところで何故照る照る坊主を作ろうと思ったので?」
兄「さて、何故だったか?」
姉「ううん……、謎ですね」
兄「まぁいい、そのうち思い出すだろう」
姉「そうですね」
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:05:36.59 ID:1XwNc5hy0
妹「ただいまー!」
ニー
妹「にーちゃんただいま」
ニャー
妹「にゃーちゃんもー」
ニー
ニャーニャー
妹「あれ? お父さんどこ行ったの?」
ニー?
妹「居間かな?」
ニャー
妹「そっか、ありがと」
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:09:33.36 ID:1XwNc5hy0
妹「うわ! なにこれ! どうしたのこんなにいっぱい照る照る坊主作っちゃって。ちょっとした山みたいになってる……」
ニャー
兄「ふははははー! どうだ娘よー、すごいだろー、ホワイトスノーテルテルマウンテンだ」
ニー
はむはむ
兄「こらお前ら、それは食いモンじゃねえぇぇー!!!」
ニャアァァ
兄「ふーーーーーー!!!!」
妹「威嚇しない」
兄「はい」
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:13:15.66 ID:1XwNc5hy0
妹「で、なにこれ」
兄「照る照る坊主」
妹「みたらわかるよ!」
兄「たしかに」
妹「なんで照る照る坊主?」
兄「それは」
妹「それは?」
兄「うーん、なぜだったか……」
妹「なんでやねん」
すぱーん
兄「ナイスツッコミだ、しかし角度が甘いな、音を鳴らせつつも相手に痛みを感じさせないのが最高の合いの手と言えよう……ぐはっ」
ばたん
妹「あ……ちょっと強く叩きすぎちゃった」
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:15:35.50 ID:1XwNc5hy0
姉「あらおかえり、遠足はどうだった?」
妹「うん、楽しかったよ! シカがいっぱいいた、シカシカ」
姉「煎餅食べさせてあげた?」
妹「うん! いっぱい寄ってきて大変だった」
姉「あらあら後でどんなだったか聞かせてね」
妹「うんっ」
姉「それじゃ晩御飯できてるから、二人とも手を洗ってきなさい」
兄・妹「はーい!」
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:18:09.43 ID:1XwNc5hy0
兄「今夜は何かなー」
妹「この匂い……カレーでござるな」
兄「なぬ、カレーですと?」
妹「シーフード味でおじゃる」
兄「くんくん……たしかにっ」
妹「わーい、海老はいってるかなー?」
兄「インテルはいってるかなー?」
兄・姉・妹「いただきますっ」
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:20:15.80 ID:1XwNc5hy0
兄「ん~、おいしいなぁ」
妹「おいしー」
姉「シカはどうだった?」
妹「シカっぽかった」
兄「なんだシカって」
妹「遠足だよ」
兄「おお、そうかそうか。シカといえば鹿煎餅だな、あいつら人間が食べさせてくれると思ってるからすかさず寄ってくるからな」
妹「あとね、大仏さんも大きかった」
兄「そりゃそうだろ、大仏さんだからな」
妹「なんかね、こう。手がこんなだった」
兄「こうだっけ?」
妹「それお金のマーク」
兄「なはは、ジョークジョーク」
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:24:01.41 ID:1XwNc5hy0
妹「ところでさ」
兄「うん?」
妹「あの照る照る坊主、結局何なの?」
兄「それはお前に遠足の日にだな、雨が降らない様に願いを込めて作ってたんだ、千羽鶴ならぬ千テルテルだ。あと800体くらいだな」
妹「そっかー、ありがとね」
兄「うむ」
妹「でね、お寺がいっぱいあってね」
姉「うんうん」
兄「ほう?」
妹「れきしてきなところだったよ」
兄「はっはっは、すごい感想だなー、歴史的か」
姉「また皆で行きましょうね」
兄「そうだなー」
妹「うんっ」
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 19:27:09.07 ID:1XwNc5hy0
兄「ふー、ごちそうさま」
姉「お粗末様でした」
兄「さーて、続き作るか」
妹「あたしも手伝うよー」
兄「ほーそうかそうか、どっちが多く作れるか競争だな」
妹「負けないもんっ」
兄「はっはっは、だがこれは一つ一つに願いを込めて作るんだぞ?」
妹「おねがい?」
兄「そうだ、遠足の日に晴れますようにってな」
妹「今日晴れだったよ?」
兄「そっか、いい遠足日和だったんだな」
妹「うん」
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 20:00:50.46 ID:1XwNc5hy0
妹「うん、そうだよ」
兄「じゃあ俺もこのてるてる坊主に……」
妹「?」
兄「テルテル坊主に……」
妹「どうしたの?」
兄「ちょっとまて娘よ、いまなんていった?」
妹「え? 負けないよーって」
兄「そのあと」
妹「お願い?」
兄「もうちょっと後だ、いや、俺の台詞だったか?」
妹「とっても晴れて、いい遠足日和だったよーって?」
兄「ああそうそう。それそれ」
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 20:04:18.98 ID:1XwNc5hy0
妹「うん」
兄「いい遠足日和?」
妹「うん?」
兄「な……な……」
兄「なんだってえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!!!!!!!?????????」
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 20:07:20.23 ID:1XwNc5hy0
姉「あら? どうしたの?」
兄「お母さん! 遠足って今日だったんじゃないか!」
姉「そうですよ?」
兄「いや、当たり前でしょ? みたいな感じで顔を傾げられてもだな!」
姉「だから作る前に聞いたじゃないですか、今日は晴れですよ? って」
兄「わかるかそんなもんで!」
姉「やだもう、忘れっぽいんですから」
兄「うぅ……何故に今日ももうすぐ終わるというのに今日のためのてるてる坊主を作っていたとは……なんたる不覚ッ」
妹「で、でもほら。今日晴れたし、ね?」
兄「うぅ……慰めてくれるか娘よ」
妹「ほら、元気だして?」
兄「うわああああーーーーん、お前の胸の中で泣くぞーーーー!!」
妹「きゃあああああああああああああ!!!!!」
ばしーん!
兄「いいツッコミだ……、ぐは」
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 20:08:56.29 ID:1XwNc5hy0
────────
────
──
先生「はーい、じゃあみんなー。遠足の感想文をもってきてくれー」
男の子「お前何て書いたの?」
妹「ないしょ」
男の子「えー、いいじゃん見せろよー俺のも見せてやるからさっ」
女の子「あんたの字、暗号みたいで読めないのよ」
男の子「なんだとーぅ」
女の子「ほら、さっさと持っていきなさいよ。また先生に怒られるわよ?」
男の子「ひっ、それはまじ勘弁! 超特急で出してくるぜ!」
妹「じゃ、あたしもだしてこよーっと」
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 20:09:51.24 ID:1XwNc5hy0
○月×日
今日はえん足にいきました。
しかと大ぶつとおてらがれきしてきでした。
そのあと広ばでともだちといっぱいあそびました。
いえにかえるとおとうさんが
てるてるぼうずをたくさん作っていました
えん足の日をらいしゅうとかんちがいしていたみたいです
お父さんは
「はっはっは。でもはれてよかったじゃないかー、はっはっは」
わらっていました。
お母さんもわらっていました。
あたしもわらいました。
あたしはそんなお父さんが大すきです!
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:02:28.04 ID:1XwNc5hy0
◇ ◇ ◇ ◇
ニー?
ニャァ
ニー
ニャー?
ニーニー
ニャー
おや?
二匹の猫が何やら相談をしているようです。
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:05:13.45 ID:1XwNc5hy0
ニャー
ニーニーニー
ニャ?
ニー?
ニャーン
ニー
猫の言葉はわかりませんが、
何やら二人……二匹の間で意見がまとまったようです。
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:07:40.35 ID:1XwNc5hy0
ニー
ニャ
ニー
カリカリカリカリ
カリカリ
どうやらドアを開けて外に出たい様子。
しかし大きくて硬い金属製のドアは開きません。
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:08:31.58 ID:1XwNc5hy0
ニー……
ニャー……
残念ながらご主人様は学校。
母上様はお買い物。
しもべのオスは仕事にでかけています。
二匹は半ば諦めようとしていましたが、
ニー!
ニャ?
片方がある事を思い出したようです
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:12:10.27 ID:1XwNc5hy0
ニー
※そういえばおれっち抜け道を知ってるにー
ニャー
※何? 抜け道がある? それは本当かにゃー?
ニー
※本当だにー、おれっちはそこから入ってきたにー
ニヤー
※私は玄関から堂々と入ってきたのだがにゃー……。ったく、この家のせきゅりてぃはどうなってるんだにゃー
ニー
※なーに、心配する事はない。今はおれっちたちが番人だにー。ご主人様に拾ってもらったご恩は忘れないにー
ニャー
※猫の忠義だにゃー。それにゃー、その抜け道とやらに案内するにゃー
ニー
※がってん承知だにー
こんな会話が繰り広げられているのでしょうか。
アフレコを勝手につけてしまいました。
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:13:21.36 ID:1XwNc5hy0
ニー
小さい方の猫が視線を上げるように促すと
小窓が空いていました。
料理をするときにあけておく小さな窓ですが、子猫が通るには十分な大きさです。
ニー
ニャーニャー
ひょい。
軽く飛ぶと窓のフチに着地する事ができました。
澄んだ空気が伝わってきます。
一回り大きい方の猫は
ニャー
上がってこいよと小さい猫を促します。
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:16:13.46 ID:1XwNc5hy0
よっと。
二人は窓から出ると、
軽い体躯を生かしてぴょんぴょんと塀から塀へと伝っていきます。
やがて目当ての道にたどり着いたのか二匹は塀から道路に降りました。
一体何をするのでしょうか?
ニーニー
ニャー
二匹はなんだか楽しそうです。
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 22:19:01.61 ID:1XwNc5hy0
じゃれるようにしながら道沿いを歩いていきますが。
ブロロロロロロロロロロロ
あぶない!
二匹の隣を大きな音をたててトラックが通り過ぎていきました。
びっくりしてその場から飛び跳ねるように塀の上へと逃げ込みました。
外の世界は危険がいっぱいです。
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 23:25:04.09 ID:1XwNc5hy0
~♪
~~♪
ニー?
ニャー?
何やら心地の良い音楽が聞こえてきます。
近所に住んでいる音大生がピアノを演奏しているようです。
二匹はその音を聞いているとなんだがダンスを踊ってみたくなりました。
ニーニー♪
ニャンニャン♪
くるくる。
くるくる。
二匹はメロディーに合わせるようにして舞います。
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 23:29:54.88 ID:1XwNc5hy0
空がオレンジ色になった頃、気がつけば演奏も止んでしまいました。
二匹はすっかり疲れてしまって、へとへとです。
お腹もすいてきました。
ニー
そろそろ帰ろうか。
ニャー
二匹はもと来た道を引き返していきます。
野良の時と違って二匹にはあります、帰る家が。
おうちへかえろう。
おうちへかえりましょう。
おかえりを言ってくれる人の待つお家に。
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 23:34:09.82 ID:1XwNc5hy0
今日はここらで失礼します。
亀だけど
>>224からの一連の流れにワロタw
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/15(火) 23:45:14.67 ID:+A0arpat0
むしろ猫の話だけでいい
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 00:38:46.24 ID:nsW/AxYai
保守
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 00:54:39.09 ID:DtEbUkoP0
ほ
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 01:20:33.02 ID:tB0I8sJV0
ん
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 01:31:58.99 ID:UvGfe3+K0
だ
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 01:49:15.58 ID:2dmL2gRz0
の
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 02:02:06.96 ID:nsW/AxYai
え
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 02:47:24.42 ID:Q00kxMh+P
ろ
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:12:24.07 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ① ◇ ◇
ああこりゃ夢だ、俺は今夢をみている。
夢だってわかってるから夢だ。
なんで夢ってわかるかって?
そりゃあんた、何度も見てるからいやでもわかるのさ。
え?
どんな夢か教えろって?
……やだよ恥ずかしい。
それに「今朝見た夢の内容」そんな話しちまったらシラけて学生帰るっての。
え?
授業よりそっちの方が面白いから夢の話をしろって?
バカいっちゃいけねえよ。
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:13:21.07 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ② ◇ ◇
私は夢を見ている。
夢だと認識できるから夢だ。
なぜ夢をみているかわかるのだと?
そんなの簡単だ、何度も見ているからだ。
は?
どんな夢か内容を教えろ?
……察しろ。
それとも「今日の朝こんな夢みちゃったんだけどさー」と女子高生よろしく話し始める私だと思うか?
は?
意外性があるからやってみろって?
阿呆が。
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:14:33.84 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ③ ◇ ◇
あたしは夢を見ている。
おとうさんとおかあさんの夢だ。
シカと大仏が居る。
お寺の中でお父さんが三点倒立をしていて
お母さんがお茶を汲んできた。
シカ煎餅を三人で食べながら
ニーとニャーがニーニーニャニャー鳴いてる。
その横でお父さんが大仏のポーズをとってる。
でも両手がお金のマークになってる。
間違ってるよとあたしはお父さんの頭をスパコーンと叩く。
すると、とってもいい音がして目が覚めた。
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:16:06.47 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ④ ◇ ◇
おれっちは猫である。
名前はニー、ちなみにオスである。
ニーって名前はご主人さまにつけてもらった。
ところでおれっちは最近一緒に暮らしてるニャーってヤツが好きだ。
この前は張り切ってデートに誘ってみた。
自慢のデートコースはあの忌々しいトラックのせいで中断せざるをえなかったけど
偶然迷い込んだ庭でナイスな音楽が聞こえてきたからニャーと一緒にダンスを踊った。
おれっち求愛、あいつの寵愛、愛を頂戴、ちょーだいすき、ちょーだいすき。
ラップ調にしてみたぜ。
え? すべってるって?
いいんだよ猫だから。
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:17:27.43 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ⑤ ◇ ◇
我輩は猫である。
名前はニャー、三毛のメスである。
ニャーという名前はご主人様から頂いたものだ。
ご主人様は小学生らしい。毎日規則正しい時間に起きて食事を取り、学校に出かける。
母上様は朝から掃除に選択に大忙し。
ちなみに私は掃除機が大嫌い、この間はシッポをふんづけられた。
掃除機、てき。威嚇するけど効かない、あいつの音はやばい。
けれど一番やばいのは、それをいとも簡単に操る母上様かもしれない。
ご主人様以上に母上様には絶対逆らってはいけない。
それから、あと一人、人間のオスがこの家では暮らしている。
あいつはニーより下だな。
おっと、そろそろ朝ごはんか。
ご主人様の元へと向かわねば。
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:18:37.50 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ⑥ ◇ ◇
私、女の子。
隣の幼稚園を卒園して小学校に入学したの。
新しく友達ができるか不安だったけど、入学式で隣になった面白そうな子とすぐに仲良くなっちゃった。
でね……、小学校もあいつと一緒のクラスになったの。
嬉しい反面、すこし悔しい。
あいつはサッカーとあの子の事しか考えてないから、
私の入るスキなんてない。
はぁ……好きなのになぁ。
あいつの前だと、なんか、素直になれないのよねぇ……。
考えると落ち込みそうだからやめとこう。
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:23:20.37 ID:cXFqokeR0
そうだ。
あの子の事を少しだけ紹介するね。
幼稚園で私と一番仲がよかった女の子なの。
とうもろこしが好きで、太陽みたいに笑ってて、いつも一緒だった。
くだらない事で揉めちゃった事もあったけど、
私達はライバルという名の親友だ。
けど、卒園の少し前にアメリカに行っちゃった。
本当のお父さんとお母さんの下で暮らすためらしい。
今も月に一度は手紙が届く、
元気そうにしている彼女を見ているとこっちまで元気になっちゃうから不思議ね。
アメリカと日本。
いつかまた会える日がくるのかしら。
う~~~……、負けないんだからねっ。
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:25:34.10 ID:cXFqokeR0
◇ ◇ ⑦ ◇ ◇
俺、男の子。
勉強はあんまり好きじゃない。
かーちゃんも先生も宿題宿題ってうるさいからいやになっちゃう。
でもサッカー大好き。
長友すげー、インテルはいっちゃった。
本田すげー、アジアカップMVP。
岡崎すげー、ハットトリック。
長谷部すげー、日本代表のキャプテン。
川島すげー、守護神。
森脇すげー、日本のムードメーカー。
遠藤すげー、試合の支配者。
内田すげー、日本の翼。
今野すげー、身長なんか関係なくディフェンス。
吉田すげー、ぶいぶいぶいふぇんろー。
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 03:26:53.79 ID:cXFqokeR0
いつか日本代表になって俺も世界の舞台で戦いたい。
ワールドカップに出たい。
そしたら、あいつを呼ぶって約束したから。
でも目下サッカーチームでレギュラー争いの真っ最中。
同じ年にめちゃくちゃうまいやつが居て、そいつと同じポジションなの俺。
一回も勝てた事がない。
どんなフェイントをしても抜けないし、どんなシュートを打っても俺よりすごいのがわかる。
悔しいけど、負けそう。
でも負けない。
こんなとこで負けてられないから。
よっしゃー! 太陽も昇ったしランニングしてくるかー!
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:08:36.70 ID:cXFqokeR0
それぞれがそれぞれ
今日も、
新しい朝を迎える。
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:11:51.56 ID:cXFqokeR0
トントン
トントン
グツグツ
兄「ふあぁ……おはよ」
姉「おはようございます」
妹「おはよー」
兄「おぉ……今日も可愛いなぁ娘よ、ほっぺすりすりさせてくれー」
妹「ヒゲ痛いから嫌」
兄「ガーン!」
姉「二人とも、朝ごはんできてますよ」
兄・妹「はーい」
妹「お父さん。はい、新聞とってきた」
兄「お? ありがとう」
妹「えへへ、どういたしまして」
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:18:06.62 ID:cXFqokeR0
兄「ふむ……」
姉「難しい顔してどうしたんですか?」
兄「いや、前期の考査だがな、どんな問題を出そうかと思って」
姉「どんな問題にするんです?」
兄「考えるのめんどくせーんだよな、教務課から早く出せってチクチク言われてる」
妹「だめだよちゃんと提出しないと」
兄「はは、わかってるよ。ところで娘よ、学校の時間はいいのか?」
妹「えーっとね、今日はそーりつ記念日なんだって」
兄「おお、という事は休みか」
妹「うんっ」
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:20:43.71 ID:cXFqokeR0
兄「いいなー、創立記念日」
妹「大学には無いの?」
兄「今年は日曜日と被ってたからな、有難味がゼロだ」
妹「ふーん、そうなんだ」
兄「ごちそうさま」
姉「コーヒー飲みますか?」
兄「いや、今日はちょっと早く出たいからいいよ、ありがとう」
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:21:44.43 ID:cXFqokeR0
兄「そんじゃーいってきまーす」
姉「いってらっしゃい」
妹「いってらっしゃーい」
ニャー
ニー
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:28:05.58 ID:cXFqokeR0
────────
────
──
姉「それじゃあお母さんはお掃除するけれど、あなたはどうする?」
妹「宿題、たくさん出ちゃったから。先に片付ける」
姉「あら大変ね」
妹「がくせーのほんぎょーはべんきょーなんだって」
姉「あら、難しい言葉を知ってるわね」
妹「お父さんが言ってた」
姉「一つ賢くなったわね」
なでなで
妹「うんっ」
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:34:33.68 ID:cXFqokeR0
姉「このままどんどん賢くなって、あなたは将来何になるのかしらね」
妹「しょーらい?」
姉「そうよ、大人になったら何がやりたい?」
妹「うーん」
姉「?」
妹「友達はお花屋さんとか、ようちえんの先生とか言ってるけど、まだよくわかんない」
姉「そう、まだちょっと難しかったかな」
妹「でもね、お母さん」
姉「うん?」
妹「あたし、お母さんみたいなお母さんになりたいっ」
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:38:05.41 ID:cXFqokeR0
姉「ふふ、ありがとね。嘘でも嬉しいよ?」
妹「嘘じゃないもん!」
姉「それじゃあお父さんは?」
妹「お父さんみたいな人と結婚するもん、お父さん’みたいな’人だからお父さんじゃないもん」
姉「あらあら」
妹「ふ、ふ~んだ」
姉「お父さんが聞いたらショックで倒れちゃうかもね」
妹「だっていっつもだらしないし、ぼーっとしてるし」
姉「たしかに」
妹「でしょ?」
姉「でも良い所もあるのよ?」
妹「……うん、わかってるもん」
姉「ふふ、オンナゴコロは複雑ね?」
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:43:23.44 ID:cXFqokeR0
姉「それじゃあ、さらっと掃除やっちゃいましょうか」
妹「じゃああたしは宿題」
姉「……あら?」
妹「どうしたのお母さん」
姉「あらやだ、お父さんお弁当持っていくの忘れちゃったみたい」
妹「えぇっ」
姉「どうしましょう……、やだわ……ひょっとしたらお父さんお腹を空かせて飢え死にしちゃうかも」
妹「お父さんしんじゃうのっ?!」
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 19:44:25.01 ID:cXFqokeR0
姉「ええ、お父さん空腹には人の3倍弱いのよ。ああ今頃どこかで倒れていないといいけれど……私は家事があるから家を空ける事ができないし……、ああ一体どうすれば……」
妹「あたし! 届けてくる!」
姉「だめよ、外の世界は危険がいっぱいなんだから。あなた一人では危険すぎるわ」
妹「でも……行かないと、お弁当がないとお父さんが……」
姉「……そうね、お父さんが大変だわ」
妹「だったらあたし! 行く! お父さん助けるもん!」
姉「そう……それじゃあお願いできる?」
妹「うんっ!」
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 20:01:20.35 ID:cXFqokeR0
姉「それじゃあ大学までの道のりを書いたメモを渡すわね」
妹「遠いの?」
姉「近いわ、徒歩とバスで30分もあれば到着できると思う。迷う事はないと思うけれど、もし道がわからなかったらおまわりさんに聞きなさい。わかった?」
妹「ええっと……バス停まで歩いて……それからバスに乗って……終点で降りて……それから……」
姉「そう、バスを降りたら大学の正門に出るからね? お父さんはこの時間だと研究室に居ると思うから、場所はここに書いてあるから」
妹「うんっ!」
姉「大丈夫かしら」
妹「大丈夫! あたしお父さん助けてくる!」
姉「あらあら、頼もしいわね」
妹「……待っててね、お父さん……」
335 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 20:07:57.56 ID:cXFqokeR0
妹「それじゃあいってきます!」
姉「いってらっしゃい、お願いね?」
妹「うんっ」
ニー
ニャー
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 20:43:25.12 ID:FilKq/U5O
うらー
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:02:58.22 ID:cXFqokeR0
……………………
…………
……
てくてく
てくてく
てくてく
てくてく
奥様A「あら? お向かいの娘さんじゃない?」
奥様B「本当。一人でどうしたのかしら?」
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:04:50.05 ID:cXFqokeR0
妹「おはよーございますっ」
奥様A「まぁまぁ、礼儀正しいわね、おはようございます」
奥様B「おはよう」
奥様A「一人でどうしたの? お父さんとお母さんは?」
妹「えっとね、お父さんのお弁当を届けにいくの」
奥様B「まぁまぁ、えらいわね」
妹「じゃないとお父さん……しんじゃうから……」
奥様A「?」
妹「う、ううん。なんでもないよっ」
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:07:15.04 ID:cXFqokeR0
奥様B「偉いわねぇ、うちの子も見習って欲しいわ本当」
奥様A「ホントねー、うちの子もだわ」
奥様B「それから、ちょっと聞きました? 最近不審者がこの辺りでうろついてるらしいんですよ」
奥様A「あらやだ、襲われちゃったらどうしよう!」
奥様B「襲ってもらえたらまだまだ若いってことかしら?」
奥様A「ちょっとやだ、子供の前ですよ?」
奥様B「冗談ですよ冗談、あはは」
妹「そ、それじゃあ。あたしはこれで」
奥様B「あら、引き止めちゃってごめんなさいね」
奥様A「お父さんにちゃんと会えるといいわね」
妹「うんっ」
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:13:31.91 ID:cXFqokeR0
……………………
…………
……
てくてく
てくてく
てくてく
てくてく
妹「あ」
男の子「あれ? お前こんなとこで何やってんの?」
342 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:16:49.05 ID:cXFqokeR0
妹「そっちこそ」
男の子「俺はランニング!」
妹「ランニング?」
男の子「そ、鍛えてんの」
妹「あ、サッカーだっけ」
男の子「そうそう、来週試合でさ」
妹「へー、がんばってね」
男の子「おう! あっちの河原でいつもやってるからお前も見に来るか?」
妹「いいの?」
男の子「いいよいいよ、見てくれる人がいたほうが楽しいし」
妹「うんっ」
343 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:20:24.87 ID:cXFqokeR0
妹「サッカー楽しい?」
男の子「おうよ!」
妹「ふーん」
男の子「プロのサッカー選手になるんだ」
妹「将来のゆめ?」
男の子「夢? 違うな、目標かな」
妹「それってどう違うの?」
男の子「う~ん? なんか誰かが言ってたけど、夢は不可能っぽいんだけど、目標はゲンジツテキっていうか……、なんかそんな感じ?」
妹「よくわかんない」
男の子「俺もわからん!」
妹「そんなとこで威張らないでよ」
男の子「へへっ。で、お前は何してたんだ?」
妹「お父さんにお弁当を届けにいく途中なの」
男の子「弁当?」
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:23:12.11 ID:cXFqokeR0
妹「うん、お父さん持っていくの忘れちゃったみたいで。だから届けるの」
男の子「へー! お前偉いなぁ!」
妹「じゃないとお父さん……しんじゃうから……」
男の子「?」
妹「な、なんでもないなんでもない」
男の子「そうかー? 車に気をつけるんだぞー?」
妹「そっちこそ」
男の子「おう! んじゃ俺いくからまた明日な」
妹「うん、また明日。学校でね」
男の子「ばいばーい」
妹「ばいばい」
345 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:25:13.01 ID:cXFqokeR0
……………………
…………
……
てくてく
てくてく
てくてく
てくてく
女の子「あら?」
妹「あ、おはよ」
女の子「おはよう。バス停で会うなんて、きぐうね」
妹「あはは、そうだね」
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:27:36.34 ID:cXFqokeR0
女の子「あなたはどこにいくの?」
妹「お父さんにお弁当を届けに」
女の子「あら、それじゃあもしかして○×大学に?」
妹「うん、そうだよ」
女の子「私とは反対方向ね、それならあっちのバス停よ?」
妹「え? そうなの?」
女の子「そうよ、危なかったわね。くすくす」
妹「う、うん。ありがと」
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 21:30:06.30 ID:cXFqokeR0
女の子「でも、さっきバス出ちゃったから、あと15分はこないわね」
妹「そうなんだ」
女の子「そうね……どうしたのキョロキョロして」
妹「う~ん、一人でこんなところまで来たの初めてだから。わくわく」
女の子「ただのバス停よ、珍しい事なんてないわよ」
妹「ふぅん? なれてるの?」
女の子「まぁね」
妹「おとなだなぁ」
女の子「大人?」
妹「うん」
女の子「ふ~ん」
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:26:45.00 ID:cXFqokeR0
妹「あのさ」
女の子「何かしら?」
妹「どこいくの?」
女の子「市内のしょてん」
妹「書店?」
女の子「うん、楽譜を買いに。お母さんに頼まれてね」
妹「へー、おつかい?」
女の子「そうね」
妹「じゃあ一緒だね」
女の子「そうね、くすくす」
妹「うんっ」
351 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:29:21.34 ID:cXFqokeR0
妹「そういえばさっきサッカー少年に会ったよ」
女の子「私も会った」
妹「うん」
女の子「何か言ってた?」
妹「来週試合あるから来て欲しいって」
女の子「ふーん」
妹「一緒にいく?」
女の子「なんで私が一緒に行かなくちゃいけないのよ」
妹「だ、だってすごく行きたそうにしてるから……」
女の子「……いく」
妹「うん、行こ」
女の子「うん」
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:33:10.80 ID:cXFqokeR0
妹「ねぇ」
女の子「なに?」
妹「ばす、こないね」
女の子「そうだね」
妹「はー、あのさ」
女の子「うん?」
妹「しょーらいのゆめって何かある?」
女の子「なんで?」
妹「あたし、お父さんと結婚したいーって言ったんだけど、それってなんだかやりたい事とは違う気がして」
女の子「なぜ? とてもステキな事だとおもうけど、くすくす」
妹「むー、わらうなぁー」
女の子「ごめんごめん、お父さんの事本当に好きなのね」
妹「うーん、……うん」
354 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:39:03.99 ID:cXFqokeR0
女の子「私はしょうらい外国に行きたいかな」
妹「へー!」
女の子「あいつも外国に行きたいって行ってるし、あの子もアメリカに居るし。私だけ日本ってわけにはいかないのよ」
妹「あの子ってこの間言ってた子の事? ええっと、ライバルだっけ」
女の子「うん」
妹「へー、どんな子だろ」
女の子「一言で言うと、そうね。不思議な子、かな」
妹「ふしぎ?」
女の子「うん、一緒にいるだけで元気になれるの」
妹「それは不思議だなぁ」
女の子「そうね」
妹「いつか会えるかなぁ」
女の子「こんど日本に帰ってきた時にでも会いにいきましょ、あなたの家のすぐ近くだから」
妹「うんっ」
355 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:41:39.73 ID:cXFqokeR0
女の子「あ、来たわよバス」
妹「本当だ、あたし行くね」
女の子「うん、またね」
妹「またねー、ばいばいっ」
女の子「ばいばい」
356 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:46:21.50 ID:cXFqokeR0
……………………
…………
……
毎度ご乗車ありがとうございます。
このバスは終点・○×大学正門前行きです。
お降りの際はお手元のボタンをお押しください。
ブロロロロロロロロロロロロ……
女の子「……ん、しょっと」
女の子「えーっと」
女の子「終点までだから」
女の子「このまま乗ってればいいんだよね」
女の子「財布もあるし」
女の子「メモも地図もある」
女の子「う~ん、お父さん大丈夫かなぁ……」
357 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:54:38.86 ID:cXFqokeR0
……………………
…………
……
ブロロロロロロロロロロロロ……
女の子「わあ……、車がいっぱいだ」
ゴトン
女の子「うぅ、なんだかすごく揺れるなぁ……」
お婆さん「……」
女の子「……あ」
358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:57:31.08 ID:cXFqokeR0
お恥ずかしい、素で間違ってました。
>>356と
>>357の台詞のところ
×女の子「」
○妹「」
です、脳内補完たのんます。
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 22:58:52.06 ID:DtEbUkoP0
_n
( l _、_
\ \ ( <_,` )
ヽ___ ̄ ̄ ) ハイ!!よろこんで!!
/ /
360 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 23:03:07.23 ID:cXFqokeR0
兄『いいかー、電車やバスを使う時はなー。お年寄りや妊婦さんに席を譲るのが大人のマナーだぞ?』
妹『あたしも大人になれるの?』
兄『もちろんだとも、こういうのは要するに心構えなのだ。社会ってのは支えあいで形成されてると言っても過言ではないからな』
妹『ふぅん……、カゴンって?』
兄『はっはっはー、少し難しい言葉だったか?』
妹『……むー』
兄『よく学ぶのだ娘よ、その疑問は君を育てる種になる』
妹『うんっ』
兄『……』
妹『どうしたの?』
兄『い……いまの台詞かっこよくなかった? すげー父親っぽくなかったっ?! かっこいい父親ポイント4000万点分くらいあったろ?』
妹『もー、しらないっ』
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 23:05:32.99 ID:cXFqokeR0
妹「お婆さん!」
お婆さん「はいな?」
妹「ここ、どうぞ」
お婆さん「まぁまぁ……いいんですか? 座らせていただいても」
妹「うん! いいよ!」
お婆さん「お嬢さん、ありがとうね。まだ小さいのに偉いねぇ」
妹「えへへ」
お婆さん「お嬢さんはどこまで行くんだい?」
妹「○×大学」
お婆さん「まぁ、こんな小さいのに大学生だったのかい?」
妹「ちがうよー、お父さんにお弁当をとどけにいくの」
お婆さん「お父さん?」
妹「うんっ」
お婆さん「あらまぁ、いい子だねぇ。お父さんは大学で働いてるのかい?」
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 23:10:57.87 ID:cXFqokeR0
妹「うん、えっとね。う~ん……なんだっけ、なんとかっていう研究室の……ええっと、あ! そうだ!」
ガサゴソ
お婆さん「?」
妹「えっとね、ここに書いてるの」
お婆さん「あら立派な文字だこと」
妹「お母さんがそれ書いてくれたの」
お婆さん「そうかいそうかい、人柄が表れているようだねぇ」
妹「うんっ。あのね、あたしね、お父さんを助けにいくの」
お婆さん「助けに?」
妹「あのね……内緒だけど、お父さんってお腹がすいたら死んじゃうんだって」
お婆さん「まぁまぁ、それは大変だねぇ」
妹「だから、お弁当もっていってあげないといけないの」
お婆さん「そうかいそうかい、一人で大丈夫かい?」
妹「うんっ」
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/16(水) 23:13:16.26 ID:cXFqokeR0
妹「お婆さんはどこまで行くの?」
お婆さん「お嬢さんと一緒さね」
妹「一緒?」
お婆さん「そうそう」
妹「そっか、じゃああたしがお婆さん迷子にならないように見ててあげるね」
お婆さん「ほっほ、頼もしいねぇ」
妹「えへへ」
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:09:53.34 ID:Ws+YbA540
お婆さん「お父さんは大学で何をしているのか知っているのかい?」
妹「先生ってことしか知らない」
お婆さん「家では何も言ってないのかい?」
妹「うん、家でいつもぐーたらしてるから」
お婆さん「ほっほっほ、そうかいそうかい。だらしないお父さんだねぇ」
妹「でもね」
お婆さん「うん?」
妹「とっても優しくて、いいお父さんだよ」
お婆さん「そうかい、お父さんが好きなんだね?」
妹「うん」
お婆さん「ほっほ、結構結構」
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:13:41.41 ID:Ws+YbA540
終点、終点です。
傘などお忘れ物がないように……
……………………
…………
……
お婆さん「着いたね」
妹「わぁ……大きい建物だね、れきしてき」
お婆さん「これでも随分こじんまりした校舎なのさ」
妹「そうなの?」
お婆さん「けれど、この校舎には様々な人が携わってきた、色々な人が学び、社会へと羽ばたいていった、それだけ伝統と重みがある……お嬢さんはそれがわかるのかい?」
妹「うんっ、れきしてきだよ?」
お婆さん「ほっほ、良い目をしてるね」
妹「えへへ」
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:18:27.79 ID:Ws+YbA540
お婆さん「さて、お嬢さんの目的地はどこだったか」
妹「えっと、こっち」
お婆さん「そっちかい?」
妹「お婆さんも来るの?」
お婆さん「私も一緒のとこに用があるんだよ、奇遇だね」
妹「そっか、じゃあ案内してあげるねっ」
お婆さん「それじゃあお願いしようかね、お嬢さん」
妹「うんっ」
お婆さん「ここはいつきても活気があるね」
妹「いつも来てるの?」
お婆さん「そうさね、毎週来てるからね」
妹「そうなんだ」
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:22:30.76 ID:Ws+YbA540
……………………
…………
……
コンコン
……シーン。
コンコンコン
……シーン。
コ
兄「空いてますよー、どうぞー」
ガチャ
兄「すみませんね教務課さん、テストならまだ──」
妹「おとーさーん!」
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:24:44.75 ID:Ws+YbA540
どん!
兄「ぶはっ」
妹「お父さん!」
兄「むむ……娘の声がする」
妹「お父さんお父さん!」
兄「ごほごほ、く……くるしい……」
妹「あ、……ご、ごめんなさい」
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:27:24.22 ID:Ws+YbA540
妹「お邪魔します、お父さんっ」
兄「邪魔するんやったら帰って」
妹「あいよ~」
……………………
…………
……
妹「なんでやねん!」
兄「おお! このノリ! やはり我が子だな! 偽者ではなかった! 俺の目に狂いはなかったぞ、はっはっは!」
374 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:30:14.17 ID:Ws+YbA540
お婆さん「全く……会って早々親子で何をやっているんだい」
兄「あれ? 幻聴かな、天国から声がする」
お婆さん「アホか若造、ボケるのには早いよ」
兄「きょ……教授っ?! お戻りになられたのでっ?!」
お婆さん「ああ帰った、お嬢さんのエスコートでね」
兄「お嬢さん?」
ひょこ
妹「あたしだよっ」
兄「……そうだ、なぜ娘がここに……。まままままま、まさかフルポリゴンっ?! 質量を持った分身っ?! それとも宇宙人的な何かが……」
妹「なんでやねん」
すぱこーん
兄「痛い、夢じゃない」
375 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:33:46.68 ID:Ws+YbA540
お婆さん「娘がせっかく来てくれたんだよ、もっと歓迎してやらんか若造」
兄「そ……そうだ、娘よ。なぜ父の職場に?」
妹「えっとね、……お弁当っ」
兄「弁当?」
妹「うん」
兄「おお! これはお母さんがつくってくれた弁当じゃないか!」
妹「はい、お父さん」
兄「……これをわざわざ?」
妹「うん……あのねお父さん」
兄「うむ?」
妹「お父さん、死なないよね?」
兄「は?」
376 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:36:12.84 ID:Ws+YbA540
兄「(死ぬ? 一体どういう事だ?)」
兄「(なぜここに娘と教授が一緒に来るのだ?)」
兄「(考えろ俺、このお弁当。そして姉上が託したらしいメモ、それが意味する事は?)」
ポクポク
ポクポク
ポクポク
ポクポク
ポクポク
ちーん
兄「(……ひらめ……いてたまるかアホー!)」
377 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 00:42:12.94 ID:Ws+YbA540
────────
────
──
妹「──、というわけなの」
兄「はっはっは! なるほど! さすが我が娘だ!」
お婆さん「バスで私に席を譲ってくれてここまで案内してくれたのさ。大した子だよまったく」
兄「おお、偉いなぁ! さすが我が娘だ!」
妹「えへへ」
兄「でもまさか教授まで一緒だとは、びっくりした」
お婆さん「私もびっくりだよ、まさかお前に子供が居たとはね。どうして今まで教えてくれなかったんだい?」
兄「え? えぇまぁそれは……えっと。びっくりさせようと思って」
お婆さん「まったく、祝いもできなかったじゃないか」
兄「はぁ、すんません」
お婆さん「まあいい、今日はとびきり良い茶を出そう。お嬢さん、何もない所だけどゆっくりしていくんだね」
妹「うんっ」
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:02:02.44 ID:Ws+YbA540
妹「お婆さんとお父さんはここで何をしているの?」
お婆さん「私達かい?」
妹「うん」
お婆さん「お前、家では本当に仕事の話をしないんだね。親が何をやっているのかわからないってそいつはどうなんだい?」
兄「仕事とプライベートは分けているんですぅ」
お婆さん「ぶーたれちゃって。これじゃあ一体どっちが子供なのかわかんないねぇ」
兄「ぐぬぬ……」
お婆さん「お嬢さん、私達はここで心理学の研究をしているんだよ」
妹「しんりがく?」
お婆さん「そうさね、お嬢さんにもわかりやすく言うと人の心を研究しているんだ。人が何を感じてどう行動するのか、なぜその行動をするにいたったか、その要因は何なのか……そういう学問さ」
妹「よくわかんない」
お婆さん「ほっほ、少し早かろうて」
妹「むー」
兄「教授……仕事の話はいいじゃないですか、それより学生への期末考査なんですけど、一応チェックお願いしたいんですが」
お婆さん「ふむ、後でな」
380 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:12:01.04 ID:Ws+YbA540
────────
────
──
お婆さん「そんじゃ、私はこれで失礼するよ」
兄「え? もうですか?」
お婆さん「元々書類を取りにきただけだからね、後は学長の顔でもみて帰ろうかね」
兄「そうですか」
お婆さん「お前も遅くまで残ってないで今日くらい早く帰ってもいいんだよ」
兄「それじゃあお言葉に甘えさせてもらいますよ、タスクも終わってるんで」
お婆さん「カギ締めよろしくね」
妹「お婆さん、ばいばい」
お婆さん「うん、またねお嬢さん」
妹「うんっ」
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:15:46.96 ID:Ws+YbA540
お婆さん「ところでお前、姉の方は元気にやってるのかい?」
兄「んん……ゴホゴホ、さ? さぁ? 元気なんじゃないっすかね」
お婆さん「……」
兄「あれー? おかしいな風邪かなー、ゴホゴホ」
お婆さん「……ちょっと顔貸しな」
兄「……はい?」
お婆さん「お嬢さん、ちょっとお父さん借りていくね。良い子で待っててくれないか?」
妹「はーい」
お婆さん「うん、良い返事だ」
兄「え、ちょっと。教授?」
お婆さん「いいからとっとと来なさい」
兄「いてててて、耳! とれる!」
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:18:31.29 ID:Ws+YbA540
……………………
…………
……
お婆さん「ワケありだね?」
兄「えぇまぁ……、その……なんというか……」
お婆さん「誰の子だい? あんたか、それとも姉の方か……、……! まさかあんたら!」
兄「い、いや。そりゃないですって! きょうだいですよ俺ら!」
お婆さん「そうかい……まぁ、なんだ。私は何があってもあんたらの味方になってあげるから、いつでも相談しなさい」
兄「へっ?」
お婆さん「この若造が、よもや何でもかんでも一人で背負い込むのがカッコイイとか勘違いしてるんじゃあるまい?」
兄「え……ええっと……はい……」
お婆さん「まったく……。しかし、この私に隠し事とはね……まだまだ教育が足りないようだな若造」
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:21:59.98 ID:Ws+YbA540
◇ ◇ ◇ ◇
姉「へぇ、無事に届ける事ができてよかったですね」
妹「うんっ!」
姉「美味しかったですか?」
妹「あのね、とっても美味しかったよ!」
姉「あらあら、それは良かった」
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:31:31.98 ID:Ws+YbA540
────────
────
──
その日の深夜。
兄「問おう、お母さん」
兄「近くて安い市バスではなく、少し遠くて高い私鉄のバスを経由を利用させたな?」
兄「そして今日は教授が地方の講演から帰ってくるタイミングだ」
兄「そして、研究室に一緒に現れた娘」
兄「なぜか最初から一人分以上つくってあった弁当」
兄「そして、……あの子の件では、なぜか教授の理解を得る事ができてしまった」
兄「さて、これらが意味する事は一体何だろうか姉上」
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:35:22.34 ID:Ws+YbA540
兄「そうか……いや、すごいな子供は」
姉「そうですね、大人では不可能な事を簡単に超えていってしまいますからね」
兄「……なんだか、どんどん遠くへ行ってしまうんだな」
姉「……その日までは一緒に居ましょう」
兄「……そうだな」
姉「なんてったって私達は家族ですから」
兄「家族、か」
姉「ええ、そうですよ。お父さん」
兄「姉上にはいつも世話になりっぱなしだな……、とても返しきれん」
姉「家族とは、そういうものですよ支え合っていくものです」
兄「……うむ」
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:39:56.19 ID:EUjSgk6t0
追いついた
支援。
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 01:41:01.56 ID:Ws+YbA540
ぐあ、やっちまった。
度々すみません。
>>384と
>>385の間が抜けてました。
脳内補完たのんます……
>>384 姉「すごい偶然があったものですね」
兄「ほう、偶然ときたか。なるほど確かに偶然だな」
姉「ええ、偶然です。あの子と教授がバスで会ったのも偶然、君が弁当を忘れたのも偶然だ兄上」
兄「まったく……、肝が冷えたぞ姉上。一言言ってくれればいいものを」
姉「ふふ。なんの事ですか? はじめてのおつかいですよ? 内緒に決まってるじゃないですか」
兄「そうか、はじめてのおつかいときたか」
姉「ええ」
兄「はっはっは! こいつは一本とられたな! はっはっは!」
>>385
389 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 02:06:03.48 ID:Ws+YbA540
◆ ◆ ● ◆ ◆
世界が真っ黒だった。
あたしは夢をみている。
夢だと思うからたぶん夢だ。
なぜだか電車のホームにいる。
きょろきょろと見渡すと、線路の向かいにお父さんとお母さんが立っていた。
「お父さん、お母さん!」
ふたりはあたしの声に反応して手を軽く振る。
けれど、なぜか悲しそうな顔をしていた。
電車が来る。
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 02:11:37.80 ID:Ws+YbA540
すると、どこからともなく現れた知らない男の人があたしを電車に乗せようとして、
「嫌! やめて! たすけて! お父さん! お母さん!」
抵抗するけど、無理矢理乗せられる。
向かいのホームではお父さんとお母さんが何かをつぶやいていた。
「さよなら」
「さようなら」
……え?
そこで夢は終わった。
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 19:13:22.73 ID:Ws+YbA540
妹「おはよー」
女の子「おはよ」
妹「雨って嫌だねぇ」
女の子「そうだね」
妹「ジメジメしてるから、せんたくものが乾かない~ってお母さんが言ってた」
女の子「うちは乾燥機付きだから大丈夫」
妹「なにそれ?」
女の子「機械が勝手に乾かしてくれるの」
妹「へぇ~! 機械ってすごいんだね」
女の子「そうね、でも凄いのは機械じゃなくて考えた人じゃない?」
妹「ん~、たしかに」
418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 19:17:46.13 ID:Ws+YbA540
妹「じゃあコタツを考えた人はやっぱりミカンが好きなのかな」
女の子「さぁ、でも外国にはコタツは無いって聞いたことがあるわ」
妹「そうなの?」
女の子「コタツとミカンが合うっていうのは日本のブンカと何か関係があるのかもね」
妹「う~ん、ぶんかてきだなぁ」
女の子「でも考えると面白いでしょ?」
妹「うんうん」
419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 19:20:47.77 ID:Ws+YbA540
女の子「テレビはよくみるけど、実際何で映ってるのかわからないし。不思議な事だらけね」
妹「でもギモンを持つのは良い事なんだって」
女の子「へぇ?」
妹「お父さんが言ってた、疑問はあたしを育てる種になるんだって」
女の子「お父さん、かっこいい事いうわね」
妹「でもあんまり褒めちゃだめだよ?」
女の子「なんで?」
妹「チョーシにのるから」
女の子「ああ……なんとなく、わかるかも」
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 19:59:17.70 ID:Ws+YbA540
妹「あ、おはよ」
女の子「おはよー」
男の子「……おう? ……なんだお前らか」
女の子「ちょっと、こっちが挨拶してんだからちゃんと返してきなさいよね」
男の子「……おう」
妹「どうしたの? おなかいたいの?」
男の子「……なんでもねー」
女の子「なんでもないわけないでしょ、あんたわかりやすすぎんのよ」
男の子「うるせーなぁ、なんでもねーよ」
422 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:04:49.81 ID:Ws+YbA540
キーンコーンカーンコーン
先生「はいじゃあ宿題集めるぞー」
男の子「せんせー、はい」
先生「お? 今日はちゃんとやってきたのか?」
男の子「うん」
先生「そうか偉いなー、これからもちゃんとやってくるんだぞー」
男の子「……うん」
女の子「おかしい……、そんなバカな……あいつが宿題をやってきた……ですって……?」
妹「そんなにおかしい事かなぁ」
女の子「……明日はヤリでも降るのかしらね」
423 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:11:46.57 ID:Ws+YbA540
女の子「授業も真面目に聞いてるし」
女の子「休み時間は教室で座ってるし」
女の子「給食はゆっくり食べてるし」
女の子「午後の授業は体育館だっていうのに、あの大人しさ……」
妹「うん?」
女の子「これは事件ね」
妹「えぇっ?!」
424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:16:11.13 ID:Ws+YbA540
妹「事件って、そんなまさか」
女の子「そのまさか……だとしたら? 少なくともあいつの周りで何かあった事は間違いないと思うわ」
妹「なんでわかるの?」
女の子「カンよ」
妹「カンって」
女の子「あら、女のカンはよく当たるのよ?」
妹「へ、へぇ。そうなんだ」
425 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:24:11.80 ID:Ws+YbA540
「……事件?」
「どうしたでやんす? コナソくん」
「いや、なんでも……む? なんだこのオニギリは?」
「それはおいらのでやんす、体育が終わったら食べようと……」
「矢部くん待て、毒が入っているかもしれない、パクッ……、これは……」
「なんでやんす? まさか青酸カリ……」
「おいしい」
「おいらのオニギリ返すでやんす~!」
427 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:34:05.23 ID:Ws+YbA540
女の子「そうと決まれば早速調査ね」
妹「でも調査って何をすれば?」
女の子「そうね、調査の基本は聞き込みってこの漫画に描いてるわ」
妹「あ、それ最新刊?」
女の子「うん」
妹「読み終わったら貸して?」
女の子「いいよ」
妹「やったー」
430 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:45:28.59 ID:Ws+YbA540
女の子「どの話が一番すき?」
妹「んー、サッカー選手のやつ」
女の子「お弁当型のFAXが出ていたアレね」
妹「うんっ、あんなお弁当欲しいよね」
女の子「あれってご飯は食べられるのかしらね」
妹「なんだかちょっと怖いよね」
女の子「でもちょっと食べてみたいくない?」
妹「うんうん」
女の子「どこかに売ってないかなぁ」
妹「スーパーで見てみる?」
女の子「普通のスーパーじゃ売ってないと思う、きっと高いスーパーなら置いてるかも」
妹「ふーん……、そっか」
431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:53:59.06 ID:Ws+YbA540
女の子「じゃあ今度お買い物でも行く?」
妹「うん、いくいく」
女の子「決まりね」
妹「やったー」
女の子「それじゃあいつがいい?」
妹「次の日曜日は?」
女の子「うん、わかった、次の日曜日ね」
妹「うんっ」
432 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 20:58:40.29 ID:vrhvLioA0
ナチュラルにパワプロ入れててワロタ
433 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:13:15.09 ID:Ws+YbA540
女の子「って、買い物の話は置いといて、今はあいつの」
妹「あ、それさっき休み時間に聞いたんだけどさ」
女の子「事件を調べ……」
妹「なんか同い年の子にレギュラーとられちゃったみたいで次の試合に出る事ができないんだって」
女の子「ないといけない……」
妹「それでショックで落ち込んでるんだって、さっき言ってた」
女の子「から……」
妹「大変だよねぇ、サッカー少年だもんね」
女の子「……」
ずーん
434 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:16:40.19 ID:Ws+YbA540
妹「どうしたの? おかないたいの?」
女の子「頭が痛い……」
妹「保健室、いく?」
女の子「いや、大丈夫」
妹「そう?」
女の子「とにかく原因は突き止めたわね!」
妹「うんっ」
女の子「だったらあとは事件を解決するだけよ」
妹「おおっ、探偵みたい」
女の子「ふふん? そうでしょ?」
435 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:23:06.73 ID:Ws+YbA540
作戦その1 思いっきり応援してみよう
女の子「ねぇ」
妹「うん?」
女の子「チアガールの衣装着る必要はあったのかしら?」
妹「気分気分」
男の子「お前ら何着てるの? バカじゃね?」
ゴン!
しゅうぅぅぅうううう
男の子「」
妹「あわわわわわ」
436 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:26:46.47 ID:Ws+YbA540
作戦その2 好きなモノで一本釣り
女の子「あいつの好きなモノ……ねぇ、サッカー以外思いつかないけど」
妹「サッカー漫画とか置いてみる?」
女の子「ああそれいいかも」
妹「じゃーん、実は持ってきました」
女の子「手際がいいわね」
妹「えへへ」
女の子「じゃあコレをあいつの机の上に置いておいて……」
「こ……これは!」
女の子「ククク……読んでる読んでる、あいつのサッカー熱を上げるなんて簡単なのよ」
「これは……! おいらまだこの最新刊読んでなかったでやんす~! やっほ~い!」
ガン!
しゅぅうううううう
矢部くん「」
437 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:41:43.25 ID:arDu6kJg0
矢部くんwwwwwww
438 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:44:35.81 ID:Ws+YbA540
作戦その3 食べ物作戦
女の子「古来よりハラが減っては戦は出来ぬということわざがあるのはご存知かしら?」
妹「うん」
女の子「つまりあいつはハラが減ってるのよ」
妹「さっき給食食べたよ?」
女の子「細かい事はどうでもいいの、とにかくこのオニギリをあいつの机に置いて……」
「ん? ……これは……?」
女の子「ククク……食べてる食べてる、あいつの好きな味くらい心得てるのよ」
「さっきの矢部くんのオニギリの方が美味しいな」
ガン!
しゅぅうううううううううう
コナソ「」
439 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:50:17.42 ID:Ws+YbA540
女の子「ああもうだめ、これもだめあれもだめ、全部だめ」
妹「まぁまぁ、落ち着いて」
女の子「あいつがあんな調子だからこっちまで調子悪くなるのよ」
妹「そうだね」
女の子「ったく……何やってんだか……」
妹「う~ん……」
440 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 21:59:16.49 ID:Ws+YbA540
男の子「……はぁ……」
妹「あ、帰るの?」
男の子「……帰る、またな」
妹「サッカーは? いつも練習してるのに」
男の子「……もうだめだ、俺はサッカーはもう辞めたんだ……」
女の子「辞めたってあんた何言ってるのよ」
男の子「だめだ、だめなんだよ俺は」
女の子「だから何がだめなのよ」
男の子「何をどう頑張ってもあいつには勝てない……試合に出られないんならサッカーなんてやってる意味がねーんだよ……」
女の子「一回試合に出られないからって何だって言うのよ、次勝てばいい話でしょ?」
男の子「次なんかねぇよ……あいつは、すげぇ。俺なんか足元にも及ばないくらい……」
441 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:03:42.95 ID:Ws+YbA540
女の子「ああぁぁあもう! イライラするわね! 良いわ! だったら勝負しましょう!」
男の子「……勝負だ?」
女の子「あんたの得意なサッカーで勝負してあげるわ。一対一、相手をかわしてシュートを決めたら勝ち、それでいいわね?」
男の子「はっ、何の話をして……」
女の子「勝負の日は1週間後よ、クビを洗って待ってなさい」
男の子「……おい、待てよ」
女の子「負けるのが怖くて逃げださないでよ?」
男の子「……誰が」
女の子「ふんっ。私は帰るわ、あんたと違って練習しないといけないから」
妹「え、あ、ちょっと、待ってよ」
442 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:06:26.09 ID:Ws+YbA540
女の子「それから」
男の子「なんだよ」
女の子「私が勝ったら私の言う事何でも一つ聞くこと、いいわね?」
男の子「……へっ、勝手にしてろよ」
女の子「勝手にさせてもらうわ、けれど勝負だけは逃げないでよね」
────────
────
──
妹「ねぇ、サッカーやった事あるの?」
女の子「無いわ」
妹「大丈夫なの?」
女の子「さあ?」
妹「さあって」
女の子「練習あるのみ、よ」
ぽーん
443 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:10:38.68 ID:Ws+YbA540
女の子「意外と難しいわね、ただ蹴るだけなのに。全然まっすぐ飛ばないわ」
妹「パスいくよー」
ぽーん
女の子「とっとっと……きゃっ」
どさっ
妹「ご、ごめん。大丈夫?」
女の子「大丈夫よ、ちょっと躓いちゃっただけだから」
妹「でも血が、拭かないと」
女の子「こんな擦り傷へっちゃらよ」
妹「でもっ」
女の子「いいから!」
妹「だめ! ちゃんと絆創膏はらないとヒドい事になるんだから!」
女の子「……っ」
妹「ご、ごめん大きい声だしちゃって」
女の子「ううん、私の方こそごめんなさい。絆創膏おねがいしてもいいかしら?」
444 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:16:43.37 ID:Ws+YbA540
女の子「サッカーってこんなに難しいものだったのね」
妹「そうだね」
女の子「テレビで見てると簡単そうなのに」
妹「すごいよね」
女の子「あいつ……こんな難しい事やってたのか」
妹「降参?」
女の子「しないわよ、絶対勝つ」
妹「じゃ、練習。しよっか」
女の子「うん」
妹「うんっ」
445 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:26:34.57 ID:Ws+YbA540
女の子「じゃあいくわよ」
妹「こいっ」
ぽーん
妹「おお、今のなかなか良かったね」
女の子「そうかしら?」
妹「うんっ」
女の子「それじゃあもう一回っ」
……………………
…………
……
男の子「何やってんだよ……、あいつら。てんでへたくそじゃねーか」
男の子「……なーにが勝負だよ、アホらしい」
446 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 22:29:03.08 ID:yG4LOoZV0
>>445 だけ見たがおっぱいの音?
妹と女の子はおっぱいでバトルしてるの?
447 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/17(木) 23:16:11.44 ID:TFt781wb0
おっぱいなんて認めないよ。貧乳最高!
449 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 00:21:33.10 ID:7+/Q8D6xO
支援
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 14:48:58.32 ID:hWavljiN0
ほ
469 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 15:38:02.70 ID:ODVPdOAA0
し
470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 16:26:09.16 ID:eqwBJJLC0
の
471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 16:31:54.90 ID:EPzdYOOV0
あ
472 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 16:57:24.69 ID:8zsOZN3/0
き
473 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 17:26:48.19 ID:3UhyvllD0
ぱ
474 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 17:36:55.44 ID:/0ka41Q9O
ん
475 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 17:38:26.90 ID:T4yAPdIO0
つ
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:15:25.74 ID:8zod07Kj0
クンカクンカ
477 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:16:01.56 ID:hJ2IA3Tf0
◇ ◇ ◇ ◇
僕は旅人。
世界中の人たちにサッカーをする楽しさを教えて回っている。
特に最近行った東南アジア……、タイやスーダンでは子供達がサッカーボール一つで本当に笑顔になれるんだ。
そんな子達を見ているだけで、僕は生きていて良かったと思える。
どんな苦しい事があっても、どんな逆境だろうと、彼ら・彼女らに笑顔を絶やして欲しくは無い。
人生は苦しい事もあるけれど、苦しい事ばかりじゃない。
それを子供たちに自分の力で気づいて欲しい、
僕は少しでもそのお手伝いが出来れば……。大袈裟に言うと、それが僕の使命なんじゃないかとさえ思っている。
478 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:17:41.14 ID:hJ2IA3Tf0
久々に日本に帰ってきたら梅雨だった。
なるほど、ジメジメとしていて日本の梅雨らしい。
けれどせっかく日本に帰ってきたのだから、部屋に篭りっきりなのもどうかと思って散歩でもしようかとホテルから傘を借りて少し歩く事にした。
この辺りは小さい頃一度来たことがある。
サッカーの試合だったか学校の行事だったかは覚えていないが、その時も友達とサッカーボールを蹴っていた気がする。
結局現役を引退した今もこうしてサッカーボールを蹴っているわけだけれども。
僕の人生は、それで良いんだと思う。
ふと目の前に大きな水溜りが見えたので、少し避けて歩く。
記憶ではそれほど都会ではないのに、マンションやらビルやらが立ち並び、すっかり近代的な街になってしまっている。
……うん、この国は凄いな。
ヨーロッパ、アジア、オセアニア……色々な国を見てきた、だからこそ思う。日本という国がどれほどの国かという事を。
479 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:21:34.91 ID:hJ2IA3Tf0
「いくよー!」
「おー!」
それから少し歩くと雨音に紛れて声が聞こえてきた。
「何だろう?」
おそらく小学生くらいの子供の声だと思う。
こんな雨の中何をやっているんだろうか?
特に予定もなかった僕の足はその声の主達にひかれるように歩いていった。
480 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:33:29.31 ID:hJ2IA3Tf0
ポツポツポツポツ。
雨はホテルを出た頃と比べると少しだけ小降りになっていた。
けれどさすがに、傘をさしていないと濡れるのが気になるな。
赤信号で止まる。
おそらくこの交差点を渡った先の河川敷だろう。
交差点の周りには最近立てられたのだろう看板に「香川うどん」の文字がでかでかと表記されている。
すると、その看板の向こう側からH●NDAのハイブリッドカーが颯爽と走り去っていき、
町内の掲示板に貼られていた電車のポスターには「あの島より、川島」というキャッチコピーが踊っていた。
481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:42:22.11 ID:hJ2IA3Tf0
……なんだかユニークな街だな。
そんな印象を残して、僕は交差点を渡った。
ちょっとした坂を昇って見下ろした河川敷では、
小さな女の子二人が雨の中だというのにサッカーボールを蹴っていた。
二人の服はドロドロ、靴はすっかり土色になってしまっている、
ボールも水分を吸って随分と重くなっている事だろう。
僕はいつだったかホンジュラス代表との試合を思い出していた。
あの日の前日も、確か雨が降っていたっけ。
……それにしても今日はサッカーをするにはコンディションが悪すぎるな、
何もこんな日にボールを蹴る事はないだろうと僕は
「小さなお嬢さん達、滑って危ないよ」
そこまで言おうとして、ハっと口を噤んだ。
482 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:49:02.95 ID:hJ2IA3Tf0
何があの二人の少女にあったのかはわからない、
なんだろう、二人のあの表情は。
サッカーの技術云々の話ではない。
トラップもめちゃくちゃ、パスは相手に向かって飛んでいかない、
ドリブルをすればボールを置き去りにして走っていってしまっている。
有り体に言うととっても下手糞だ、おそらく初心者なのだろう。
けれど。
……けれど、とっても「楽しそう」だ。
アレはサッカーの神様に魅了された表情だ。
……そうか、ちゃんとあるんじゃないか。
世界を探さなくても、こんな身近に、日本という国にもあったんじゃないか。
483 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 18:52:44.21 ID:hJ2IA3Tf0
その瞬間、何かにうたれたような感覚が全身を襲った。
僕はおそらく間違ってはいなかった。
けれど、大いなる勘違いをしていたのではないかという事だ。
僕が子供が笑顔になるお手伝いをする?
そんなもの、ハナから僕の勘違いだったんじゃないだろうか。
だってほら、あの子達はあんなに楽しそうじゃないか。
雨も気にせず、服が汚れても気にしない。
そこにサッカーがオマケでついてくる。
……きっと、そういう事なんじゃないだろうか。
485 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:06:03.09 ID:hJ2IA3Tf0
しばらく二人を見ていると
ぽーん
ころころころ。
足元にボールが転がってきた。
僕は右足軽くボールを止めて、ふわりとしたゆるい浮き球で相手の足元に返してあげると。
「ありがと!」
小さい方の女の子がペコリとおじぎをしてくれた。
とても礼儀正しくて、なんだかこっちが少し恥ずかしくなって話題を探した。
「二人とも、こんな雨の中でどうしてサッカーをやっているの?」
「勝ちたいヤツがいるの」
大きい方の女の子が膝に手を付きながら言う。
486 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:16:45.89 ID:hJ2IA3Tf0
「お兄さんも昔ちょっとだけサッカーをやっていた事があってね」
「へー!」
「そうなんだ」
「少しだけ、二人と一緒に蹴らせてもらってもいいかな?」
「うんっ」
「いいわよ」
革靴が邪魔だったので裸足になった。
ジーンズは少し高めのヴィンテージだけど、汚れても気にしない。
傘はゴール代わりにして置いた。
即席のサッカースタジアムの完成だ。
さあ、楽しもうか。
487 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:18:23.32 ID:hJ2IA3Tf0
────────
────
──
それじゃあ頑張ってね、言うと二人は大きく頷いていた。
勝負の結果はどうなるかわからないけれど、
きっと良い結果になるんじゃないかな。
見上げるといつしか雨も止んでいた。
太陽が雲間から顔を出す。
差し込む金色の光が眩しくて目を細めた。
勝ちたいヤツがいる。
誰だったか、いつか僕にそう宣言したのは。
生意気な若者が増えたものだ、もっとも、それは僕にとって喜ばしい事だけれど。
488 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:24:28.13 ID:hJ2IA3Tf0
帰り道、
行きと同じ場所に大きな水溜りがあった。
僕はそれを気にせず進み、晴れ晴れとした空を揺らす。
例えば空気や水のようなもの、
とても些細な事だけど、中々見つけられるもんじゃない。
そんな当たり前の何かを再認識した魔法の様な時間だった。
僕の人生にロスタイムがあと何分あるかわからないけれど、タイムアップのその瞬間まで、伝えていこう。
僕でしかできない事がまだまだあるはずだ。
小さな先生達にありがとうの気持ちを込めて、
僕は再び歩き始めた。
489 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:42:27.81 ID:hJ2IA3Tf0
◇ ◇ ◇ ◇
先生「えーっと、妹さん、女の子さん。二人とも後で職員室に来てください」
妹「何でですか?」
先生「お届けものです」
女の子「お届けもの?」
490 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:43:49.00 ID:hJ2IA3Tf0
この間は一緒にサッカーをしてくれてどうもありがとう。
二人のお陰で本当に大切な事に気がつきました。
これからすぐに外国に行かなくちゃいけなくて、ちゃんとしたお礼もできずに御免なさい。
自分の所で作ったボールで申し訳ないですが、よろしければ友達とこのサッカーボールを使ってください。
今度また一緒にサッカーをやりましょう。
HIDE.N
491 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:45:08.65 ID:hJ2IA3Tf0
女の子「ひ、で……ん? あの人ヒデンさんって言うのかしら」
妹「わー、サッカーボールだ」
男の子「……サッカーボール?」
妹「うんっ、ほらっ、これこれ」
男の子「おま……! これ、NAKATAのサッカボールじゃねえの? どうしたんだよこれ日本じゃ売ってないんだぞっ?!」
女の子「どうしたもこうしたも、突然送られてきたの」
男の子「はぁ?! 誰からだよ!」
女の子「ヒデンさん?」
男の子「ひでん? ひでん……、……ヒデっ?!」
492 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:46:37.66 ID:hJ2IA3Tf0
男の子「おい! いますぐ勝負だ! 俺が勝ったら、このボールくれよ!」
女の子「はぁ? 何でよ? あんたもうサッカーは辞めるんじゃないの? だったらボールなんかいらないじゃない」
男の子「サッカー辞めるの辞めるんだよ!」
女の子「……その台詞、嘘じゃないでしょうね」
男の子「男にニゴンはねぇ!」
妹「それじゃこれで皆でサッカーしようよ」
男の子「いいぜー!」
女の子「まったく……調子いいんだから、なんだったのよ。これじゃ心配したこっちがバカみたいじゃない」
男の子「へへっ」
493 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:52:01.70 ID:hJ2IA3Tf0
女の子「あんたってやつはいつもいつも……」
くどくど
女の子「だいたいね……」
くどくど
女の子「そんなところがダメ……」
くどくど
妹「そんじゃ行こっか!」
男の子「グランドまで競争な!」
妹「ローカは走っちゃだめなんだよ」
男の子「走ってねぇ、はやあるきだ!」
494 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 19:53:07.75 ID:hJ2IA3Tf0
女の子「めめしいっていうか……」
くどくど
女の子「バカっていうか……」
くどくど
女の子「……ちょっと、聞いてるの?」
しーん
女の子「はっ? 二人とも居ないっ?」
男の子「何やってんだよー、置いていくぜー」
妹「先いくよー」
女の子「ちょっとー! 私も混ぜなさいよー!」
497 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 20:41:20.77 ID:hJ2IA3Tf0
────────
────
──
男の子「ゼェ……ゼェ……」
女の子「ハァ……ハァ……」
妹「あぁ~、疲れたぁ~」
男の子「お前らなかなかやるじゃねぇか……」
女の子「ふん、あんたがだらしないだけじゃない?」
男の子「んだと!」
女の子「で、……なんでサッカー辞めるなんて言い出したのよ?」
男の子「忘れた」
女の子「は?」
男の子「忘れちまったもんは忘れちまった、へへっ」
498 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 20:42:34.67 ID:hJ2IA3Tf0
女の子「あんたってヤツは……」
男の子「お?」
女の子「あんたってヤツは…………」
男の子「な、なんだよ?」
女の子「あんたってヤツは……、もうずっと一生ボール蹴ってろーーーーーーーーーー!!」
ドガッ
500 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 20:54:58.33 ID:hJ2IA3Tf0
◇ ◇ ◇ ◇
TV『今年は日本もコパアメリカ杯に参加しますが~……』
兄「む? コパアメリカはじまるのか」
妹「こぱあめりか?」
兄「この前のアジアカップは覚えているか?」
妹「日本が優勝したあれ?」
兄「それの南米版だな、大陸選手権ってやつだ。その地域の国で一番強い国はどこか決めるんだ。日本は招待国として参加するみたいだな」
TV『日本代表チームは予選ではエクアドル、メキシコと同じグループになりました……』
妹「ふぅん」
兄「ほう……勝てるのかな日本は」
妹「勝って欲しいね」
501 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 20:57:43.87 ID:hJ2IA3Tf0
TV『中田さん、勝つためにはずばり何が必要でしょうか?』
『そうですね、日本が勝利するためには……』
兄「おお中田よ、お前がピッチに居ないのは未だに少し寂しいぜ……」
妹「あれ? このお兄ちゃん……?」
兄「知ってるのか?」
妹「この前一緒にサッカーしたよ?」
兄「ほほう? そうなのか?」
妹「うんっ」
兄「はっはっは、さすが我が娘だな。ところで今日は友達のサッカーを見にいくんだろ?」
妹「うんっ!」
兄「そっか、じゃあそのサッカーボールも忘れないようになー」
妹「はーいっ」
502 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 21:01:47.29 ID:hJ2IA3Tf0
ちょっとひと段落。
※なおこのSSはフィクションであり実際の人物・名義・団体とは何の関係もございません
503 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 21:14:10.24 ID:GafsJHtE0
中田がNAKATAじゃなくなってるんだね
504 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 21:32:05.40 ID:EEXxLFGZ0
フィクションだしこまけえこたぁry
506 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 21:58:12.07 ID:hJ2IA3Tf0
◇ ◇ ◇ ◇
先生「それじゃあ、お父さんとお母さんについて作文を書いてきてください」
はーい
先生「提出は来週の月曜日だから、週末にしっかり書いてくださいねー」
はーい!
507 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:09:46.68 ID:hJ2IA3Tf0
男の子「サクブンとかめんどくせーなぁ」
女の子「ちゃんと書いてきなさいよね、さすがに作文丸写しってのはだめよ?」
男の子「うっせーな、ちゃんと書いてくりゃいいんだろ?」
妹「お父さんとお母さんかぁ」
男の子「かーちゃん、怒ると怖いです。これでいいだろ」
ガン!
男の子「いってぇ!」
女の子「ダメに決まってるでしょそんなの!」
男の子「なんでだよ!」
女の子「はぁ……」
508 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:14:29.20 ID:hJ2IA3Tf0
男の子「でも作文なんてどうやって書いたらいいんだよ」
女の子「そのままを書けばいいのよ、そのままを」
妹「そのまま?」
女の子「そうよ、仕事は何をしているとか、しゅみは何か、とか。怒ると怖いってのは書かなくてもいいと思うけど」
妹「ふうん」
女の子「例えば小さい時、どんな子供だったのか聞いてみるとか」
妹「へ~、それ面白そう。お父さんお母さんの子供の時の話かぁ」
男の子「うちのとーちゃんはかーちゃんのシリに敷かれてるからなぁ」
女の子「それ絶対書いちゃだめよ?」
男の子「なんで?」
女の子「なんでもよ、バカ」
509 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:20:33.66 ID:hJ2IA3Tf0
────────
────
──
ニー
妹「ねー、お父さん」
兄「んー?」
妹「お父さんとお母さんって結婚してるんだよね」
兄「そうだぞー」
ニャー
妹「二人はどこで出会ったの?」
兄「どこ……って、なんでそんな事聞くんだ?」
妹「ふふふー、ナイショ」
兄「はっはっは! なんだなんだ? もう恋愛話に興味を持つお年頃なのか? いいだろう! 聞かせてやろうじゃないか!」
510 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:26:57.25 ID:hJ2IA3Tf0
兄「──、というわけで! お母さんはこの俺にベタ惚れだったのだ! はっはっは!」
妹「へー!」
兄「ぶわっはっはっは!」
姉「あらあら、二人して何の話ですか?」
妹「あ、お母さん」
姉「はいはい、何ですか?」
妹「お母さんはなんでお父さんと結婚したの?」
姉「なんででしょうねぇ、もう忘れましたよそんな昔の事」
妹「お母さんがべたぼれだってお父さん言ってるけど」
姉「あらあら? そうでしたっけ?」
兄「そうだったじゃない」
姉「あなたのベタ惚れの間違いでは?」
511 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:27:46.64 ID:hJ2IA3Tf0
兄「……」
妹「……」
兄「……」
妹「……お父さん……」
兄「……」
妹「うそつきは泥棒のはじまりなんだよ?」
兄「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! ゆ……ゆるしてくれぇええええええええええええええええええ!!!!」
512 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:30:36.75 ID:hJ2IA3Tf0
妹「ふたりは小学校も一緒だったんだよね」
姉「そうよ」
妹「じゃあずっと一緒だったんだね?」
姉「そうね、ずっと一緒だったわ」
妹「ふぅん」
姉「なぁに? 今日は随分と色々聞くじゃない?」
妹「二人はどんな子供だったの?」
姉「どんな? ……ううん、お父さんはこのまま身長を縮めた感じ……って言ったらわかるかしら?」
兄「おい」
姉「何か間違ってますか?」
兄「反論のヨチが無さ過ぎて笑えない」
姉「あらあら」
513 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:38:39.51 ID:hJ2IA3Tf0
妹「なるほど」
めもめも
兄「なんだ~? 取材か?」
妹「わとそん君には教えないのだよ」
兄「お前……まさかホームズ……」
妹「真実はいつもひとつ」
兄「じっちゃんの名に懸けて」
姉「"驚異の部屋 ヴァンダー・カンマー "をご案内します」
兄・姉・妹「オマエのやったコトは全部お見通しだッ!」
姉「なぜベストを尽くさないのか」
兄「また今度借りてくるか」
妹「わくわく」
514 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:44:34.30 ID:hJ2IA3Tf0
妹「あ、それからね。お父さん」
兄「お? なんだなんだ?」
妹「えっとね、土曜日の夜。友達の家にお泊りしたいんだけど、いいかな……?」
兄「……お泊り……」
妹「……」
兄「お泊り……だと……」
妹「え、うん」
兄「お泊り……だと……おぉ……」
妹「う……うん」
兄「いいよー」
妹「そっか……だめなら……いいのっ?!」
兄「うむ、大方今聞いた事を作文か何かにするんだろう。で、書き方がわからないから友達と一緒に書く……そんなところか」
妹「すごーい! なんでわかるの?」
兄「はっはっは! 初歩的なことだよ、ワトソン君?」
515 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 22:45:50.88 ID:hJ2IA3Tf0
妹「お父さんかっこいい!」
兄「はっはっは! そうだろうそうだろう!」
姉「連絡帳に’作文’って書いてあったからですよね」
兄「しー!」
516 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:19:46.78 ID:h4wZZl320
517 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:26:46.81 ID:hJ2IA3Tf0
姉「いいですよ、でも相手のご家族にちゃんとご挨拶するんですよ?」
妹「うんっ!」
姉「お泊りだなんて、何か持って行かせた方がいいんでしょうか?」
兄「俺のサインとかどうだろうか?」
姉「焼きます」
兄「焼くのっ?!」
姉「良い火を起こせそうじゃないですか、良かったですね」
兄「や~~~きいも~~~~~」
兄・姉「いしや~~~~~~きいも~~~~~~~~」
妹「おいもっ」
518 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:30:12.32 ID:hJ2IA3Tf0
姉「なるほど焼き芋ですか」
兄「うむ、ホクホクしても美味しいし冷えても美味しい。手土産品には丁度いいのでは?」
姉「いいですね、じゃあ早速作りますか」
兄「うむ、なぜか今日買ってきたサツマイモがここにあるからな」
姉「丁度食べたかったんですよね」
兄「うむ、お母さんの作った焼き芋は格別に美味いからな」
姉「褒めても何もでませんよ」
兄「出るものはあるだr」
姉「それ以上言ったらどうなるかわかりますよね、うふふ」
兄「ご……、ごめんなさい……」
519 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:35:11.15 ID:hJ2IA3Tf0
兄「ん~~~~~、良い匂いだなぁ」
妹「そうだねっ」
兄「早く食べたいな~」
妹「うんうん」
兄「まだかな~」
妹「まだかな~」
兄「もうちょっとかな」
妹「もうちょっとかな~」
姉「……そうやってジロジロと見られるとなんだか落ち着きませんね、心配しなくてもあと1時間はこのままですよ?」
兄「焼け加減をチェックするのが良いんじゃないか」
妹「良いんじゃないか」
姉「そうですか、それじゃあたっぷりお楽しみあれ」
520 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:38:46.86 ID:hJ2IA3Tf0
姉「……あれ?」
兄「ん~?」
妹「ん~?」
姉「にーとにゃーを知りませんか?」
妹「あれ? さっきまで居たよね?」
兄「どっか遊びに行ったんじゃないか? あいつらいつもどこに居るのかわかんねーし」
姉「そうですか。ところで猫って焼き芋食べるんでしょうか?」
兄「いけるんじゃないか?」
妹「でもネコジタだよ?」
兄「冷やせば問題なかろう、俺がじきじきにふーふーしてやるから問題ナシだ」
姉「それじゃあお願いしますねお父さん」
兄「おう、任せろぃ」
521 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:42:17.57 ID:hJ2IA3Tf0
姉「……」
兄「……」
妹「……」
姉「……」
兄「……」
妹「……」
姉「……」
兄「……」
妹「……」
姉「……」
兄「……」
妹「……」
兄「……まだ?」
姉「まだです」
522 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:46:28.52 ID:hJ2IA3Tf0
兄「でも、ちょっとくらいなら」
姉「今ナベのフタを空けると美味しさ2割減です」
兄「ぐぬぬ……」
姉「まったく、我慢できない子供ですか」
妹「お父さん、お母さん」
兄「ん?」
姉「何ですか?」
妹「あのね、焼き芋みてるの楽しいねっ!」
兄「はっはっは! 当たり前だろ! 焼き芋なんだからなっ! 焼き芋は焼き始めてから食べ終わるまでが焼き芋だからなっ!」
妹「えぇっ! そうなのっ?」
兄「そうだぞー、だから今こうしてみてるのも焼き芋の一部だ」
妹「わかった!」
姉「ちょっと嘘教えないでくださいよ」
兄「あながち間違いでもあるまい、料理とはこうしてできている事を理解するべきだ」
523 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:51:12.26 ID:hJ2IA3Tf0
────────
────
──
兄「……Zzz」
妹「……Zzz」
姉「……全く、出来上がるまで見てるんじゃなかったんですか二人とも?」
兄「……ムニャムニャ……ヤキイモ……ウマイ……」
妹「ヤキイモー……Zzz」
姉「これ同じ夢見てますよね、絶対」
兄「……Zzz」
妹「……Zzz」
姉「まったく、このままでは風邪をひいてしまいますね、何かかぶせておきましょう」
524 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:54:44.55 ID:hJ2IA3Tf0
兄「スピー……スピー……」
妹「……スピー……スピー……」
姉「二人とも、起きてください」
兄「ふにゃ?」
妹「うみゃ?」
姉「ほら。出来ましたよ」
兄「お? おぉ、いつの間にかすっかり眠っていた様だな」
妹「わぁ、おいしそう」
姉「食べる前にその涎を洗い落として、ついでに手も洗ってきてください」
兄・妹「はーい」
525 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/18(金) 23:59:02.28 ID:hJ2IA3Tf0
兄「んー、うまい!」
姉「本当ですね」
妹「おいしいっ」
兄「もう一本!」
姉「まだまだありますからゆっくり食べてくださいな」
兄「うっ……」
妹「お父さんっ?!」
兄「……ぐぐぐ……」
妹「お父さんっ?! 大丈夫っ?!」
兄「う……ううう……うまああああああいいい!!!!!」
妹「ややこしいわ!」
すぱーん
兄「良いツッコミだ……ぐは」
ばたん
526 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:02:54.69 ID:kiUY7ZUj0
────────
────
──
女の子「それで、結局そのまま焼き芋全部食べちゃったの?」
妹「う……うん、ごめんね? 美味しくてつい……」
女の子「いいわよ、くすくす」
妹「本当にごめんね?」
女の子「あなたの家族って本当に面白いわね」
妹「うー……」
女の子「くすくす、次は持ってきてくれると嬉しいわ」
妹「うん! 約束!」
女の子「約束ね」
妹「うん!」
528 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:06:22.12 ID:AB5tFcvL0
kusogesinnja shine
531 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:31:20.69 ID:A7Wc6RchO
同じ日にイチローと中田がSSに出演してるなんて
532 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:38:10.47 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 全盛期のイチロー
TV『さあスポーツニュースです、まずはメジャーリーグコーナー。今日のイチローから』
姉「イチローといえば3打数5安打は当たり前、3打数8安打も」
兄「先頭打者満塁ホームランを頻発」
妹「バントでホームランが特技」
カキーン!
TV『イチロー打ちました、センター前ヒットです。これでマリナーズはこの日初めてのランナーを出しました』
兄「おお! ナイスヒット!」
姉「イチロー、すごいですねぇ。今年はこれで何本目ですか?」
妹「わかんないけど……いっぱい!」
TV『なおマリナーズは3-5で……』
534 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:41:33.11 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 shine
兄「shineってのは’あなたは太陽のような人だ’っていう意味だ」
姉「あの話は遣る瀬無かったですね」
妹「嫌な……事件だったね……」
536 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:47:08.87 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】
>>468-476 姉「ほ」
妹「し」
兄「の」
姉「あ」
妹「き」
兄「ぱ」
姉「ん」
妹「つ」
兄「クンカクンカ」
姉「……」
妹「……」
兄「え? なにその蔑んだ目線」
537 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:50:07.16 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 中田が……
>>503「中田がNAKATAじゃなくなってるんだね 」
兄「中田がなかった」
姉「……」
妹「……」
兄「中田が中田じゃなかった」
姉「……」
妹「……」
兄「中田がなかなかみつからなかった」
姉「……」
妹「……」
兄「中田が……」
姉「……」
妹「……」
538 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:54:31.00 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】
>>288-293 兄「ほ」
姉「……」
妹「……」
兄「の」
姉「……」
妹「……」
兄「うぅ……、すまねぇ……」
姉「反省しましたか?」
兄「はい」
妹「よろしい」
539 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:55:19.50 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 風緑?
妹「ねー、お父さん。カゼミドリって何?」
兄「なんだそれ新種か?」
妹「あの屋根の上に居てくるくる回るトリ」
兄「……?」
妹「?」
兄「そんな事よりコウノトリが運んでくるもんがあってだな──」
姉「何教えようとしてるんですか」
540 :
503 :2011/02/19(土) 00:55:23.55 ID:q12QILpJ0
……
541 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:56:13.01 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 携帯電話
兄「携帯電話欲しいか?」
妹「いらない」
兄「なんでだー? 学校の皆もってるんだろー?」
妹「必要ないもん」
姉「本当は欲しいんでしょ?」
妹「だって……お金、大変だから」
姉「もう、子供はそんな心配しなくてもいいのよ」
兄「……講義増やすか」
542 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:57:35.45 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 野球
TV『打ったー! 大きい、入るか? レフトスタンドへー! 逆転のスリーランホームランですっ!!』
兄「よっしゃー! ホームランだ! はっはっは!」
姉「ねぇお父さん、あの人達って何で野球やってるの?」
兄「決まってるだろ」
姉「あん?」
兄「健康の為だよ」
姉「綺麗な顔してるだろ?」
兄「それは美顔機のお陰だな」
姉「んにゃ」
543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 00:58:25.24 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 ブラックデー
妹「しろの反対は?」
兄「ろし!」
妹「ぶっぶー、黒でした」
兄「むむむ、ヒッカケか!」
妹「じゃあホワイトデーの反対は?」
兄「ブラックデー!」
妹「ぶっぶー、バレンタインデーでした」
兄「ちっくしょおおおおお!!!」
544 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:01:16.88 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 箱入り……①
兄「ノートPCがぶっこわれた」
姉「随分古いの使ってましたからね」
兄「新しいのを買おうと思うんだが、残念ながら俺はパソコンの知識が無い。どれが良いのかも皆目見当もつかん」
姉「ふむ、困りましたね」
兄「そこでいつも読んでるこの雑誌のプレゼントコーナーに応募しようと思うのだが、1等で最新式のノートPCプレゼントだとさ」
姉「どうせ当たりませんよ」
兄「送ることに意義があるんだよ」
姉「はいはい、切手は自分で買ってきてくださいよ?」
545 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:02:35.76 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 箱入り……②
数週間後
兄「当たった……だと……」
姉「一生分の運を使い果たしましたねお父さん?」
兄「なぜか素直に喜べない、ハズれたらそれで笑いを誘おうとおもっていたのに……当たっちゃうなんて……空気の読めない芸人みたいじゃないか……」
姉「まぁまぁ、開けてみましょうよお父さん」
兄「あぁ、そうだな」
パカー
姉「……これは……! お父さん!」
兄「なんだお母さん?」
姉「このノートPC……! ハコだけで中身が入っていません!」
兄「……」キラーン
姉「……」キラリーン
546 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:05:19.95 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 箱入り……③
妹「……」
妹「……」
妹「……」
妹「……なんでパソコンの代わりにあたしがダンボールに入ってるの?」
兄・姉「これが本当の箱入り娘」
妹「アホか」
547 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:09:01.05 ID:Cscd1HCg0
いいぞもっとやれ
支援
548 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:23:54.67 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 春夏秋……?
兄「春といえば?」
姉「花粉症」
兄「夏といえば?」
妹「うみ!」
兄「秋といえば?」
妹「もみじ!」
兄「冬といえば……」
兄・姉・妹「こなぁあああああああ~~~~~~~~~雪ぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~~~~~」
兄・姉・妹「ねぇ」
550 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:30:40.31 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 粉雪といえば?
妹「れみろめん」
姉「レミオロメンですよ」
妹「れみろめん♪ れみろめん♪」
兄「れみおろーめん」
姉「冷やしそーめん」
兄「つたんかーめん」
姉「むしろレミオロメン」
妹「れみろめん♪ れみろめん♪」
551 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:34:00.75 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 お金がない!
兄「トシがバレるぞ」
姉「いいんですよ、20代後半って事になってるんですから」
兄「姉上……?」
姉「あらあら、うふふ?」
552 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:36:56.17 ID:kiUY7ZUj0
【閑話】 猫と猫
ニー
ニャー
ニーニー
ニャーン?
ニー!
ニャァァァ
……ニー
ニャーニャー
ニ
ニャ
555 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 01:59:00.60 ID:PEGgLRnl0
乙
557 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 03:26:14.10 ID:b5He21Kr0
>>543 実は韓国にブラックデーが存在すると言う驚愕の真実
571 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/19(土) 13:34:31.59 ID:/KuqpuJm0
姉、兄の関係が気になる
国際NGOワールドビジョンジャパン募金サイト
http://www.worldvision.jp/
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