1 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:31:46 ID:BUb/LSwU
格闘家「オレたちってこうして体を鍛えてるけどさァ……」シュシュッ
友「うん」グッグッ…
格闘家「やっぱり素手だと限界があるよなァ……」シュシュシュッ
格闘家「──ってわけで、なにか武器を持ちたいんだけどさ」
格闘家「なにがいいと思う?」
友「う~ん……。ナイフなんかいいんじゃないかな?」
格闘家「ナイフか……。うん、いいかもしれねぇな!」
“格闘家”は“ナイフ使い”にレベルアップした!
2 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:34:09 ID:BUb/LSwU
ナイフ使い「ナイフってのは便利なもんだなァ!」
ナイフ使い「急所を刺すなり切るなりすれば、一発で敵を殺せる!」シュバッ
ナイフ使い「ガードされたって、そこを刺しちまえばいいんだしなァ!」
ナイフ使い「だけど、やっぱりリーチがなァ……」
友「リーチを気にするんなら、剣でも持ってみたらどう?」
ナイフ使い「そうだな。ナイフを剣に持ち替えてみるか!」
“ナイフ使い”は“剣士”にレベルアップした!
3 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:37:05 ID:BUb/LSwU
剣士「よっ、ほっ、はっ!」ヒュバババッ
剣士「どうだ、サマになってんだろ?」
友「さすがだね! 格闘技をやってたから、飲み込みが早いんだろうね、きっと」
剣士「だけど……ま~だ物足りねぇんだよなァ」
友「それなら、槍でも持ってみたら?」
友「槍なら、剣の間合いの外から一方的に突くことができるからね」
剣士「槍ねぇ……よし、チャレンジしてみるか!」
“剣士”は“槍使い”にレベルアップした!
4 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:40:40 ID:BUb/LSwU
槍使い「どりゃ!」ビュオッ
友「おおっ!」
槍使い「いい突きだろ?」
槍使い「こないだも、サーベル振り回してる奴を串刺しにしてやったぜ」
槍使い「だが、槍も決して最強とはいえねえ」
槍使い「ヤケクソで剣を投げつけてこられた時は、ちょっと危なかったしなァ」
友「遠距離攻撃といえば、やっぱり弓矢だけど……」
槍使い「弓矢! そういう手もあったか!」
“槍使い”は“射手”にレベルアップした!
5 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:43:30 ID:BUb/LSwU
射手「……」ギリリッ…
ストンッ!
友「ど真ん中! すごいじゃないか!」
射手「たしかにこいつなら、遠く離れた敵を安全に倒せる!」
射手「だがな、オレはこいつよりもっとすごい武器を持つことに決めた!」
射手「拳銃をなァ……」
友「け、拳銃……!?」
“射手”は“ガンマン”にレベルアップした!
6 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:50:01 ID:BUb/LSwU
ガンマン「こりゃいいやァ!」
ガンマン「頭か心臓ブチ抜けば、ほぼ確実にオダブツだしよ!」
ガンマン「こないだも矢を放とうとしてきた奴を、サクッと射殺してやったぜ」
ガンマン「拳銃に比べりゃあんなもんオモチャだな」
友「そりゃそうだよ……なんたって拳銃だもん」
ガンマン「だがよ、拳銃でもオレは満足できなくなったんだ」
ガンマン「つうわけで、マシンガンを購入したぜ! これっきゃねぇ!」ガガガガガッ
友「……」
“ガンマン”は“機関銃使い”にレベルアップした!
7 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:51:43 ID:BUb/LSwU
機関銃使い「マシンガンを乱射しまくった結果、分かったことだが」
機関銃使い「マシンガンもしょせんは戦車にはかなわねェ!」
機関銃使い「ってことで、戦車を購入したぜ!」
友「おおお……」
機関銃使い「こいつでどんな荒れ地にも乗り込んで、大砲でぶっ飛ばしてやる!」
友「が、がんばってね……」
機関銃使い「任せとけって!」
“機関銃使い”は“戦車運転手”にレベルアップした!
8 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:54:28 ID:BUb/LSwU
戦車運転手「戦車を運転してて、悟ったんだがよォ……」
戦車運転手「やっぱ空から来られちゃ、どうにもならねぇよなァ」
戦車運転手「つうわけで、戦車はやめにして、戦闘機を購入することにしたぜ!」
戦車運転手「レーダーに映らないタイプだから、どんな場所にでも飛んでいける!」
友「戦闘機を手に入れたら、どうするんだい?」
戦車運転手「決まってんだろ? いけ好かないヤツを片っ端から空襲してやる!」
戦車運転手「どこまでもどこまでもマッハで追いかけてなァ!」
“戦車運転手”は“パイロット”にレベルアップした!
9 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 01:58:16 ID:BUb/LSwU
友「やぁ、戦闘機の調子はどうだい?」
パイロット「戦闘機? あんなものは処分してしまったよ」
パイロット「もはや、オレが自ら手を下す必要はなくなってしまったからなァ」
パイロット「今のオレの武器は、この肉体でも手にした兵器でもなく──」
パイロット「オレに絶対服従の兵士どもだ! その数は50万以上、今も膨張してる!」
パイロット「今日からはオレのことを“司令官”と呼んでもらおうか」
パイロット「お前もそろそろ体鍛えるのなんかやめて、オレの兵士になったらどうだ?」
パイロット「とはいえ、兵士にしちまったら、こうして気軽に会話できなくなるし」
パイロット「このままでいいか!」
パイロット「ハッハッハッハッハ……!」
友「ハ、ハハハ……」
“パイロット”は“司令官”にレベルアップした!
10 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 02:02:08 ID:BUb/LSwU
司令官「親友よ、いかがかな? この帝王タワー最上階からの眺めは……」
友「すごい眺めだね……。世界中を見渡せるようだよ」
司令官「だろ? で、こうやってボタンを押すだけで……」ポチッ
司令官「オレに反抗する愚民どもはキノコ雲とともに吹っ飛ぶ……」
司令官「愚かな奴らだ……」
友「ついに、核兵器をも自在にできるポジションになったんだね」
司令官「そういうことだ」
司令官「念の為、もう二、三発撃ち込んでおこう」ポチッポチッポチッ
司令官「おっと、部下ごとふっ飛ばしちまったが、まァ大した問題ではない」
“司令官”は“独裁者”にレベルアップした!
12 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 02:05:40 ID:BUb/LSwU
独裁者「ついにオレは世界最強になった!」
独裁者「誰もオレに逆らえぬ! 誰もオレに歯向かえぬ!」
独裁者「頼みにする武器を変え続けることで、ついに頂点に立ったのだ!」
友「……」
独裁者「今やオレは世界の王……いや“神”を自称しても差し支えなかろう!」
独裁者「人々の心にいるとか、概念として存在するとか、そんな曖昧なものではない!」
独裁者「現実に! 今この場に! 実体として、“神”が誕生したのだ!」
独裁者「人類の歴史始まって以来の快挙だ! ハッハッハッハッハ……!」
友「そうか……。ついに君は神になってしまったんだね……」
独裁者「そして、この核スイッチは神が持つ裁きの杖というわけだな!」ポチッポチッポチッ
“独裁者”は“神”にレベルアップした!
13 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 02:09:10 ID:BUb/LSwU
友「君は本当に変わってしまった……」
友「君と格闘技で汗を流していたあの日々が、まるでウソのようだよ」
神「だろう? 変わったというより、進化したといって欲しいがね」
友「今の君は誰よりも偉く、誰よりも尊く、誰よりも強いが──」
神「そう褒めるなよ。照れるだろう」
友「誰よりも醜い……!」
友「だから、神話に登場する神殺しとかじゃない、本当の“神殺し”の汚名……」
友「ボクがかぶるッ!」
神「え?」
ドゴォッ!
“神”は素手で殴り殺されてしまった!
14 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 02:09:45 ID:BUb/LSwU
おわり
15 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 02:41:37 ID:mHO4i3rM
面白かった
乙
16 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 07:42:16 ID:i4Q5zdcM
オチが秀逸
17 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/28(日) 08:25:05 ID:W8m7vPvk
乙
18 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 20:10:09 ID:nGMfnj32
よかった
乙
転載元
格闘家「やっぱり素手だと限界があるよなァ……」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1419697906/ リチャード・ホームズ
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