1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 01:58:38.37 ID:ItboVF/C0
森夏(体育倉庫の一件以来、どうも冨樫くんを意識しすぎる嫌いがあるわね)
森夏(……良くない傾向、なのかしら)
森夏(そうよね。冨樫くんには小鳥遊さんがいるもの)
森夏(……でも、付き合ってないのよね)
森夏「……」
森夏(考えるの、やめ)
森夏(厨房が帰ってからも人っ子一人部室に来ないし、帰りまし――)
ガララ……
勇太「あっ」
森夏「あっ」
勇太「……」
森夏「……」
森夏(もう少しだけ、ここにいよう)
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:03:40.29 ID:ItboVF/C0
勇太「誰も居ないな」
森夏「そうね……何か知ってる?」
森夏「厨房はさっき帰ったけど」
勇太「六花は風邪で寝込んでる。一色は……くみん先輩とデート、だそうだ」
森夏「へぇ、デート。あの坊主、いつの間にそんな約束を取り付けたんだか」
勇太「俺にも分からん」
森夏「……」
勇太「……」
森夏(うわー、気まずい。なにか、なにか話題っ)
勇太(やっべ、話題、なにか話題は……)
グゥー
勇太「ハッ!?」
森夏「……」
勇太「……///」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:09:52.19 ID:ItboVF/C0
森夏「お昼、ちゃんと食べたの?」
勇太「もちろん」
勇太「購買のパン一個」
森夏「すくなっ、ダイエット中の乙女じゃあるまいし」
勇太「……なんか、食欲湧かなくてさ」
勇太(最近、丹生谷のことを考えることが多い)
勇太(考えてると、最後はいつも決まって、ネガティブな気分になっちゃうんだよなぁ)
森夏「食欲がねぇ……体調、悪いの?」
勇太「いやいや、そんなことはないぞ」
勇太(丹生谷の事考えてると食事もおぼつかない――なんて、いえないよな)
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:13:21.73 ID:ItboVF/C0
森夏「……」チラッ
森夏(これは、好機?)
森夏(……何考えてるんだろ、私)
森夏(でも、……)
勇太「……丹生谷?」
森夏「ねぇ、冨樫くん。今は食欲、あるの?」
勇太「えっ」
勇太「……まぁ、腹の虫も鳴ったし、多少はあるかな」
森夏「……私のお弁当、食べる?」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:18:46.12 ID:ItboVF/C0
勇太「……」
森夏「冨樫くん?」
勇太「ハッ!」
勇太(いかんいかん。動揺しすぎだ、俺)
勇太(そう、あくまでもクールに。がっつきすぎないように……)
勇太「いただきまひゅっ」
森夏「……」
勇太(やっちゃった!)
森夏「ふふっ……ちょっと待ってね」
ガサゴソ
勇太「……///」
森夏「はい」スッ)
勇太「……じゃあ、遠慮なく。改めて、いただきます」パカッ
勇太(おおっ、これが女の子の――丹生谷の弁当っ)
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:24:36.22 ID:ItboVF/C0
勇太「……って、これ、殆ど手付かずじゃないか」
勇太(いや、殆どどころじゃ……全く手が付いてない))
勇太「丹生谷こそ、ちゃんと食べてるのか?」
森夏「……当たり前じゃない。ほらっ、さっさと食べろっ、いらないなら返して!」
森夏(いえない。冨樫くんの事を考えてたらご飯を食べるのを忘れただなんて)
勇太「わぁあああ食べる、食べますっ、はいっ」パクッ
勇太「……」モグモグ
森夏「……」
勇太「この卵焼き、美味い……」
森夏(……よかった)ホッ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:27:40.78 ID:ItboVF/C0
勇太「これ、全部食べていいのか?」
森夏「どうぞ」
勇太「……食べるぞ? ホントに、全部」
森夏「えぇ」
勇太「……じゃ、そうする」パクパク
森夏「……」ジーッ
勇太「あの、見られると、食べづらいんだけど」
森夏「あぁ、ごめん。あっち向いてるね」クルン
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:32:20.73 ID:ItboVF/C0
勇太「……」モグモグ
森夏「……」
勇太(うめぇ……うめぇよ……感動だよ)ウルウル
勇太「爆ぜないでよかったリアル……っ」グッ
森夏「えっ?」
勇太「いや、なんでもない」パクパク
・
・
・
勇太「いやー、美味かった……」
森夏「お粗末さま」
森夏(異性に料理を褒められる……中々悪くないわね)
勇太「後でお返ししなきゃあな」
森夏「そんなのいらないわよ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:38:07.91 ID:ItboVF/C0
勇太「……そうか?」
森夏「そうよ」
勇太「んんー……いや、ダメだ。何かしないと気がすまない」
森夏「……そこまでしたいのなら、好きにすれば」
勇太「そうだな……ふぅむ」
森夏「……」
勇太「どこか行きたい場所へ連れて行――今のなし」
森夏(なしなんだ……)
勇太「んんんん……」
勇太「やっぱ、食い物の恩は食い物で返すべきだな」
勇太「よしっ、今度、俺の手作り弁当をご馳走してやるっ」ドヤ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:43:20.02 ID:ItboVF/C0
森夏「……冨樫くん、料理できるの?」
勇太「……多少は」
森夏「じゃあ、とびっきり美味しいの、期待しとくねっ」
勇太「……くそっ、首を洗って待っているがいい。頬が消失するような供物を用意してやろう」
森夏「中二病、でてるわよ」
勇太「ハッ!?」
勇太「とにかく、期待しとけっ」
森夏「うん、期待してる」
勇太「……じゃ、これ。ごちそうさま。返すよ」スッ
森夏「ん」
サワッ
勇太「……」
森夏「……」バッ
森夏「……っ」ガサゴソ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:47:52.42 ID:ItboVF/C0
勇太「……」
勇太(丹生谷の手、触った。触っちゃった)
森夏(冨樫君の手、触った。触っちゃった)
勇太「……なぁ」
森夏「……なに」
勇太「ちょっと、手、触らせて」
森夏「!?」
勇太「あーいや、誤解するな。俺、こう見えて手相占いが得意なんだ、だから見てやろうって話っ」アセアセ
勇太(なんてみえみえな嘘をっ、もっと上手い嘘を言え、俺!)
森夏「……ふぅん、そう」
森夏「……じゃあ、お願い……しちゃおっ、かな?」スッ
勇太(あれ、マジで? 通じた? 信じちゃった?)
勇太「お、おう。任せろ」
ニギッ……
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:52:25.51 ID:ItboVF/C0
勇太「……」
森夏「……」
森夏「冨樫くんの手、大きいね」
勇太「……そうかな」
森夏「うん、そう」
勇太「汗ばんでたり、してないか?」
森夏「そんなこと……私は? 私の手、汗ばんだりしてない?」
勇太「いや……」
森夏「……そう」
森夏「で、占いは?」
勇太「い、今みてる」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:56:36.07 ID:ItboVF/C0
勇太「……」
勇太「あー、その……」
森夏「結果、でた?」
勇太「……幸せな生涯を送れるでしょう」
勇太(適当にらしいこといっておけば、なんとかなるか……?)
森夏「そうなんだ」
勇太「いえす」
森夏「……」
勇太「……」
勇太(やべぇ、離さないとダメなんだろうけど、離したくねぇ……)
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 02:59:24.93 ID:7c6BXdBpO
勇サマー多いな
ゆうくみんもみたい
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:01:45.75 ID:ItboVF/C0
森夏「ねぇ、冨樫くん」
勇太「……なんだよ」
森夏「私、こうしてるの、嫌いじゃないわ」
勇太「……」
勇太「俺も――」
ガララッ
一色「勇太ぁああああああ!!」
森夏「!?」バッ
勇太「!?」バッ
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:01:55.84 ID:WTeh3g/g0
俺の手が汗ばんできました
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:02:46.43 ID:WJ6acieF0
一色死ね
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:06:01.52 ID:ItboVF/C0
一色「うわぁああああああん、慰めてよぉおおおおん」ギューッ
勇太「うわ気持ちわるっ、坊主に抱きつかれるの気持ちわるっ」
一色「ひどいわっ!」ウルウル
勇太「はなれろっ」ゲシゲシ
一色「ふぎゃっ」
森夏「……デートじゃなかったの」
一色「それ聞く。聞いちゃう? 聞けよお前ら」
勇太「いや、なんとなくオチは分かるから聞きたくないな」
森夏「同じく」
一色「それがな、」
勇太(こいつ、聞いてねぇ)
一色「くみん先輩が待ち合わせ場所にこなかったんだよぉおおおおおお」
勇太「分かってた分かってた。どうせあれだろ、寝過ごしたとかそこらへんだろ」
一色「……う゛ん」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:11:55.83 ID:ItboVF/C0
勇太「帰れ」
一色「今日はやけ食いだっ、付きあえ勇太っ」グイッ
勇太「ちょ――まてっ、引きずるな!」
勇太(えっ、なにこの坊主の力。逆らえない。逞しすぎぃ!)
勇太「あーれー」
森夏「……」
森夏(あれ、なんか既視感)
ズルズル……
勇太(この前もこんな展開があったような……)
勇太(……デジャヴって奴か)
くみん「……」zzZ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:18:28.46 ID:ItboVF/C0
――次の日、放課後、教室
キーンコーン
勇太(昨日は散々だったな……なんだよ、ケーキのやけ食いって)
勇太「……」チラッ
丹生谷「……」
勇太「丹生谷」
森夏「……なに?」
勇太「一緒に帰ろうっ」
勇太(言った、言ったぞおらぁああ!)
森夏「……どうせなら、手を繋いだり、して?」
勇太「えっ」
森夏「……いやなの」
勇太「いやいやいや」
勇太「人前で、そういうのは……」
森夏「……」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:22:04.49 ID:ItboVF/C0
――帰路
スタスタ……
勇太「……」キョロキョロ
森夏「……」
勇太(今なら、人もいない)
勇太「……」ソーッ
森夏「……」
勇太(掴め、その手を掴んじまえ、DFM!)ソーッ
森夏(……もう、焦れったいっ)ガシッ
勇太「!?」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:24:11.79 ID:ItboVF/C0
森夏「……なによ」
勇太「いや、なんでも……」
勇太「……」
ギュッ
森夏「……ふふっ」
勇太「なんだよ、急に笑ったりして」
森夏「私が今なに考えてるか、わかる?」
勇太「……さっぱり」
森夏「……」クスッ
森夏「富樫くんの手、あったかいね」
おわり
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:25:36.02 ID:b0B6WIMl0
えっ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:27:06.67 ID:WJ6acieF0
おい
乙
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:28:16.40 ID:Kjbbsl5o0
乙やっと寝れる
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/02/01(金) 03:58:47.42 ID:SHZjSY7R0
at a kindness
転載元
森夏「冨樫くんの手、あったかいね」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359651518/
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