1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:10:49.50 ID:LpOc2f0K0
――平沢宅――
憂「……」
唯「おーいしーい」パクパク
セイバー「ユイ、ご飯粒がついていますよ」モキュモキュ
憂「?」
セイバー「どうしました? ウイ」
憂「え? あ、はい」
唯「変な憂-」
憂「変なのはこの状況でしょ……」
セイバー「このハンバーグは、非常に美味だ。素晴らしいです」
憂「この金髪の人、誰?」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:14:33.58 ID:LpOc2f0K0
セイバー「え?」
唯「ん?」
憂「いやだから、この背筋ピンって張ってる女の人は誰なのって聞いてるの」
唯「いやだなー憂ったら。……あれ?」
唯「だれ!?」
セイバー「……あ」
セイバー「失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私の名前はセイバー。
契約に基づいて参上いたしました」
憂「意味がわからないです」
セイバー「おや、聖杯戦争のために召喚されたのではないのですか?」
唯「せーはい?」
セイバー「この世全ての願望を叶えると言われている、聖なる杯のことです。
もしかして、知らないのですか?」
憂「おとぎ話ですよね。それって」
セイバー「困ったな……」
憂(うわぁ。変な人だったぁ)
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:17:20.60 ID:LpOc2f0K0
セイバー「まず整理しましょう」
憂「はい」
セイバー「ユイ、ウイ。それで、あなたたちの名前はあってますね?」
唯「うん」
セイバー「それで、私を呼びだしたのは誰ですか?」
唯「私じゃないよー」
憂「召喚とか、そういうのは信じてないんで」
セイバー「あれ?」
セイバー「聖杯戦争を知らない。私を召喚した覚えもない。それじゃあ――」
唯「ねえ、憂」ひそひそ
憂「ん?」
唯「変な人だよ。この人」ひそひそ
憂「お姉ちゃんが気付くってことは相当だよね。警察呼ぼうか」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:20:36.97 ID:LpOc2f0K0
セイバー「ちょっと待ってください」
憂「なんですか? もう110押しちゃったんですけど」
セイバー「危ないですよ」
憂「あなたがね」
セイバー「いえ、警官だとか私の障害になる人間がです」
唯「?」
憂「あ、警察ですか? はい、私の家に変な――」ビュオン!
電話「こっぱーん!」
憂「!?」
セイバー「風王鉄槌(ストライク・エア)」
唯「あわわわわわ」
セイバー「……ものすごい魔力の消費を感じた」
憂「えー……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:24:23.16 ID:LpOc2f0K0
――そうして――
セイバー「それでは話しあいましょう」
憂「不本意この上ないんですけどね」
セイバー「今のこの事態に納得なんてものは不純物です」
唯「正座、つらい」
セイバー「それではまず、私がどうしてここにいて、むしゃむしゃと食事を
していたかについて話し合いたいと思います」
憂「お姉ちゃん、知ってる?」
唯「うーん。なんか、お昼寝してて起きたら、もういたんだよ。えーっと」
セイバー「セイバーとお呼びください」
唯「セイバーちゃんが隣で寝てて、一緒にご飯食べようって」
憂「一つ解消されたね。とりあえず、お姉ちゃんの隣で寝てたセイバーさん
は悪ってことまでわかったよ」
セイバー「それはないです。私だって、いきなりユイの顔がすぐ側にあったの
には驚いたんですから」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:28:04.05 ID:LpOc2f0K0
唯「そういえば、なんで私の名前知ってるの?」
セイバー「わかりません。ただ、頭の中に浮かんだんです」
憂(不審者? まさか、レズストーカー? 女のくせに女の子が好きとか、キ
モっ)
唯「へえー」モゾモゾ
憂(お姉ちゃん、正座辛いのかな。かーわいいー!)
セイバー「それはそうと私は悪ではありません。むしろ正義です」
憂「正義って、人の家の電話吹き飛ばしておいて……」
唯「すごい手品だよね」
セイバー「ああ、あれは私の能力というか、武器というか、そういうものです」
憂「武器?」
セイバー「はい。……しかし、今の話の中で宝具の話は不要でしょう」
唯「宝具?」
セイバー「必要がないので、宝具の説明はしません。とにかく、今は私が
ここにいる理由と原因を突き止めなければなりません」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:34:06.13 ID:LpOc2f0K0
憂「うーん……。お姉ちゃん、覚えないよね」
唯「ないよー」
セイバー「ふう……。それじゃあ仕方ないですね。食事の続きといきましょう」
憂「ちょ! ちょっと待ってください!」
セイバー「なんですか? せっかくの食事が冷めてしまうじゃありませんか」
憂「なに普通にご飯食べようとしてるんですか!?」
セイバー「そこに料理があるからです」
憂「……」
セイバー「私が前回現世に来た時は、食事をする必要がなかったのです
が、今は魔力が死活問題なのです。故に、食事をとっておく必要があり――」
憂「魔力ってなんですか!」
セイバー「私の命です。それでは、再びいただきます」
唯「……」
セイバー「ユイも食事を再開するべきです。明日も学校なのでしょう?」モキュモキュ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:37:55.77 ID:LpOc2f0K0
――食事終わって――
セイバー「……」
テレビ「ちゃうねん。これはな、もっと深いもんやねん。わかるか? 上地」
テレビ「はい。僕も松坂の球を受けてた時、そう思ってました」
流し「ざー」
憂「……」かちゃかちゃ
テレビ「ホントに、素敵やん?」
唯「ごろごろー」
セイバー「ユイの髪は、綺麗ですね」
唯「ありがとー。でも、セイバーちゃんの髪のほうが綺麗だよー」
セイバー「私には、髪を気遣う時間なんてありませんでした」
唯「それでその髪って、反則だよー」
憂(お姉ちゃん、セイバーさんになじんでる……?)
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:40:15.74 ID:4T6SLeJsO
応援してるぞ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:41:35.06 ID:LpOc2f0K0
セイバー「ウイ、お茶をいただきたいのですが」トコトコ
憂「ちょっと待っててください。もう少しで洗い物終わりますから」
セイバー「わかりました」
憂「……」
セイバー「ユイ、ここにアイスクリームが!」
唯「アイス! あーいーすー!!」
憂「しまった!」
セイバー「ちょうど二人分あります。分けて食べましょう。そういうことです
ので、お茶はいりません」
唯「わーい」
憂(あれは……お姉ちゃんと食べる筈だった数量限定アイス! 徹夜で
並んで買ったのに……!)ギリッ
セイバー「美味しいですね」
唯「ねー」
13 :
おチンチン微ローマ法王:2010/06/19(土) 18:42:56.63 ID:/JgbdvaK0
紫煙
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:44:56.08 ID:LpOc2f0K0
唯「セイバーちゃんって、変わった名前だよね」
セイバー「これは、クラスですから」
唯「?」
セイバー「……あだ名みたいなものですよ」
唯「へえー。ホントの名前はなんていうの?」
セイバー「答えられないのです」
唯「ふぇ?」
セイバー「私がここにいるということは、この街で聖杯戦争が行われる
ということに相違ない。そうすると、あなたたち二人のいずれかが私の
マスターだ。……だからこそ、教えられないのです」
唯「なんだか難しいけど、セイバーちゃんにも事情ってもんがあるんだね!」
セイバー「はい。申し訳ありません」
唯「いいよいいよ。セイバーっていうあだ名も可愛いもん!」
憂(やっぱり、お姉ちゃんの感性ってたまにわからないよ)
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:49:06.33 ID:Nqy+uDlH0
続けて!!
でも憂さんが英霊な気がしてきた。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:49:26.14 ID:LpOc2f0K0
お風呂「ピピピピ! お風呂が、わきました!」
セイバー「!?」
憂「お風呂沸いたみたいだから、お姉ちゃん、入ってきて」
唯「はーい。セイバーちゃんも一緒に入ろう!」
セイバー「……その必要がどこに」
唯「セイバーちゃん歓迎ってことで!」
憂「え!?」
セイバー「しかしユイ――」
唯「うちのお風呂はおっきいんだから! いこいこー!」
憂「おねえちゃーん!」
セイバー「なんて強引な……。でも、女性のマスターは初めてですからね。
こういうのも、悪くない」
唯「決まりー!」
セイバー(アイリスフィールとは、一緒に入浴なんてしなかったから)
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:52:05.79 ID:LpOc2f0K0
――お風呂――
唯「セイバーちゃん! 肌きれー!」
セイバー「唯の身体も、少女のもので美しい」
唯「セイバーちゃんが言うと、それが厭味に聞こえるよー」
セイバー「そうでしょうか。私の体は、少女のものでは……」
唯「えい!」ざばっ!
セイバー「うわ!」
唯「私が頭洗ったげるね!」
セイバー「……お願いします」
唯「お願いされます!」ゴシゴシ
セイバー(気持ちいい。こんなに気が休まる日を体験したのは、いつ振り
だろうか)
唯「おかゆいところありませんかー」
セイバー「いいえ。ユイは、すごく上手です」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:56:25.15 ID:LpOc2f0K0
唯「ホントに、綺麗な金髪だよね。ムギちゃんみたい」
セイバー「ムギ? それは敵ですか?」
唯「いやいや私、学校の軽音部に入ってて、そのお友達」
セイバー「軽音部、というとユイは楽器を弾くのですか?」
唯「そうだよー。ギターボーカルやってるんだよ。結構上手なんだから!」
セイバー「フフ。そうですか」
唯「信じてない?」
セイバー「信じてますよ。この手は、ギターの練習を頑張ってる手だ。毎日
鍛錬しているのですね」
唯「な、なんだか恥ずかしいなぁ」
セイバー「恥じることはありません。胸を張って、誇りに思うべきです」
唯「えへへー。ありがとね」
唯「おっけ。……それじゃあ、湯船浸かろうか」
セイバー「はい」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 18:58:39.91 ID:LpOc2f0K0
唯「あったかー」
セイバー「そうですね」
唯「……ていっ」ほよっ
セイバー「な、なにをするのです! 無礼者!」
唯「あべし!」
ドア「ニコ」
憂「お姉ちゃん!」
唯「大丈夫だよー」
憂「そう? よかったー」
ドア「ニコ」
セイバー「……ウイが待機してるのですか」
唯「なんでだろうね」
セイバー「それはそうと、なぜいきなり胸を触るのですか!」
唯「柔らかそうだったから」
セイバー「……貴女は、柔らかいものだったらなんでも触るのですか?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:01:28.66 ID:2NKpUB2m0
特定した瞬間ry
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:01:49.85 ID:LpOc2f0K0
唯「そこまでじゃないよー」
セイバー「まったく……」
唯「でも、セイバーちゃんの胸、ちっさいねー」
セイバー「小さくて結構、私は武人です。無駄に大きな胸など不要です」
唯「あずにゃんほどじゃないけど、りっちゃんくらいかな?」
セイバー「その人たちも、軽音部の部員なのですか?」
唯「うん! みんな可愛いんだから!」
セイバー「そうですか。一度会ってみたいものです」
唯「澪ちゃんを見ても、やきもちやかないでねー」
セイバー「なるほど。そのミオという子は、敵なのですね?」
唯「なんで!? 澪ちゃんはスタイルがすごくいいから、セイバーちゃん
が――」
セイバー「……」
唯「な、なんかごめんなさい」
セイバー「はい。わかればいいのです」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:05:14.23 ID:LpOc2f0K0
セイバー「……」
唯「?」
セイバー「そろそろあがりましょう。ウイも入りたいでしょうし」
唯「うん。わかった」ざばぁ
セイバー「……」
唯「ふう、良いお湯だったー」
セイバー「やはり……」
唯「え?」
セイバー「すいませんがユイ。どうやら、私はもう一度お湯に浸からなければ
ならないようです」
?「……」
セイバー「姿を現しなさい。英霊が出刃亀とは情けない」
ランサー「バレちまったか。気配遮断は不得手だな」
セイバー「……やりますか?」
ランサー「無論だ」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:08:36.32 ID:LpOc2f0K0
唯「?」
セイバー「ここでは被害が出る。場所を変えましょう」
ランサー「そのお嬢ちゃんが、おまえのマスターじゃないのかい? 『セイ
バー』よ」
セイバー「なぜ、私のクラスを知っている?」
ランサー「!」
ランサー「ほう」
ランサー「それはどうでもいい。兎角、俺たちの間に言葉は無用だ」
セイバー「私の提案は?」
ランサー「飲んだ。しばし待ってやるから、服を着替えて死に場所を選べ」
セイバー「感謝しますが、待つ必要はない――!」
ランサー「そういえばそうだったな。場所は?」
セイバー「付いてきなさい!」
ランサー「おうよ!」
唯「……あれ?」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:11:48.78 ID:LpOc2f0K0
――公園――
ランサー「これはまた、半端な場所を選んだもんだ」
セイバー「青い甲冑に赤い槍。聞くまでもなく、ランサーのクラスか」
ランサー「ご明察の通りだ。セイバーよ」
セイバー「やはり、聖杯戦争か」
ランサー「腑抜け。俺たちがここにいるということは、そうに決まってるだろう」
セイバー「……その通りだ。いくぞ!」
ランサー「きやがれ!」
?「……」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:14:36.39 ID:LpOc2f0K0
――平沢宅――
唯「……あれ、なんだったんだろ?」
憂「セイバーさんは?」
唯「どっか飛んで行っちゃった。青い服着た男の人と」
憂「?」
唯「私にもよくわからないの。でも、なんだか不安なんだ」
憂「お姉ちゃん?」
唯「セイバーちゃん、私と話すときは違う。すごく、怖かったの」
憂「……大丈夫だよ。状況はわからないけど、きっとセイバーさんは帰って
くるよ」
唯「……うん」
憂「もう寝ちゃお。朝起きたら、セイバーさん帰ってきてるからね」
唯「そうする。おやすみ、憂」
憂「うん。おやすみなさい」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:19:00.27 ID:LpOc2f0K0
――公園――
セイバー「やはり槍のサーヴァント。間合いを取りにくい」
ランサー「あいも変わらず武器を隠しやがって――。戦いにくいったらねえ」
セイバー「!?」
ランサー「気付いたか? 当然だ。お前はセイバーなんだからな」
セイバー「この局面で宝具!?」
ランサー「生憎、このままだとやられちまうんでね。さっさと使わせてもらう」
セイバー「……ならば」
セイバー(駄目だ。今、私の宝具は使えない――)
セイバー(魔力が、あまりにも足りなさすぎる)
ランサー「受けろ――!」
ランサー「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!!」
セイバー「!?」
ランサー「……とったな」にやり
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:23:13.78 ID:LIywWmdr0
セイバー「槍がっ・・・太くなった!?」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:23:58.70 ID:LpOc2f0K0
?「いやいや」
セイバー「ぐっ……」
ランサー「避けた!? 否、掠めただけか!」
セイバー「私には幸運が、味方してくれたようだ。因果律の逆転とは、さす
がはアイルランドの光の皇子だ」
ランサー「チィ!」
セイバー「これで、お前の正体は分かったぞ。クーフーリン」
?「……」
セイバー「しかし、私に返しの刃は――」
ランサー「やめだ」
セイバー「!?」
ランサー「自慢の、っていうか切り札で止めさせなかったんだ。俺の負けと
言ってもいい。だが、実際は俺のほうが優位にいる。セイバーよ。この勝負
は預けたぜ」
セイバー「な、情けをかけるというのか?」
ランサー「そうは言ってない。見たところ、おまえは事情を知らないみたい
だからな。今は倒さないというよりも、倒せない」ヒュン
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:28:20.48 ID:LpOc2f0K0
セイバー「……」
セイバー「戻ろう。ユイとウイが心配している」
セイバー「事情……」
セイバー「私の知らないところで、聖杯戦争はどうなっている?」
セイバー「……わからない」
セイバー「とにかく、今は怪我の治療を……」
セイバー「霊体にもなれない」
セイバー「私は、出来そこないのサーヴァントだ」
セイバー「ユイ、ウイ……」
セイバー「大丈夫。帰るくらいはできる」
セイバー「そうだ。大丈……夫」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:30:18.62 ID:LpOc2f0K0
――次の日――
唯「ん……」
唯「セイバーちゃん?」
セイバー「は、はい?」
唯「うわ!」
セイバー「大声を、出さないでください」
唯「顔色、悪いよ? どうしたの?」
セイバー「問題ありません。少し、傷を負っただけですから」
唯「……見せて」
セイバー「?」
唯「セイバーちゃんの怪我、見せて」
セイバー「ですが――」
唯「いいから」ガバッ
セイバー「!?」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:33:31.93 ID:LpOc2f0K0
唯「ひどい傷……。病院に――」
セイバー「昨日も見たでしょう? 私は普通の人間じゃない。病院に連れて
いったところで無駄です」
唯「それじゃあ、どうすれば……」
セイバー「眠って、魔力を全て回復に回します。そうすれば、ある程度は回復
するでしょう」
唯「……」
唯「セイバーちゃん」
セイバー「?」
唯「なんで、我慢するの?」グスっ
セイバー「ユイ?」
唯「こんなに酷いのに、痛くないみたいな顔しないでよ。私、耐えられないよ」
セイバー「……痛みなんて、とうに慣れました」
唯「慣れたって痛いものは痛いよ! セイバーちゃん……」
セイバー「……」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:35:33.56 ID:vDn4k8pWO
英霊としてかつて一世を風靡したROCK STARを召喚してだな……
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:36:22.31 ID:LpOc2f0K0
セイバー「痛いですよ」
唯「うん……」
セイバー「今まで、そんなことを言ってきたマスターはいませんでした」
セイバー「私を道具のように扱い、私自身もそれでよかった」
セイバー「――ああ。でも」
セイバー「こんなにも、温かいのですね。人間というものは」
セイバー「貴女は、世界で一番優しい人だ。私のような存在に、気を使う」
唯「そんなことないよ」
セイバー「いいえ。だからこそ、私は話しておかなければなりません」
セイバー「私という存在を」
セイバー「聖杯戦争というものを」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 19:37:32.14 ID:LpOc2f0K0
少し席をはずす
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:11:00.12 ID:LpOc2f0K0
ただいま
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:18:28.18 ID:LpOc2f0K0
…
唯「……そう、なんだ」
セイバー「これが、聖杯戦争です」
唯「7人の魔術師とサーヴァントの殺し合い……」
セイバー「その中の一人が私であり、昨日の男です」
唯「私が、マスターなの?」
セイバー「わかりません。少なくとも、ランサーにはマスターがいるのでしょ
う」
唯「どうして?」
セイバー「必殺の一撃。宝具を用いてきました。あれを放つということは、
魔力に余裕がある何よりの証拠」
唯「セイバーちゃんは?」
セイバー「魔力がありません。だから、宝具を使うこともできない」
唯「それって……」
セイバー「はい。私には切り札がありません。そのうえ、傷を負っても治り
ません」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:22:52.51 ID:LpOc2f0K0
唯「……」
セイバー「聖杯戦争始まって以来でしょうね。マスター不在のセイバーのクラ
スは」
唯「……セイバーちゃん」
セイバー「?」
唯「契約って、今からでもできる?」
セイバー「ユイ……?」
唯「セイバーちゃんが、こんなにつらそうなんだもん。私が力になりたい」
セイバー「そ、そんなつもりは――!」
唯「無理しないで。セイバーちゃんにも、叶えたい願いがあるんでしょう?」
セイバー「……はい。なんとしても、私は聖杯を手に入れなくてはならない」
唯「だったら!」
セイバー「それとこれとは話が違う! 私は、あなたたちに傷ついてほしく
ない」
唯「……だったら、なおさらだよ」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:27:50.40 ID:LpOc2f0K0
唯「セイバーちゃんが、私たちを守ってよ」
セイバー「あなたたちを、私が?」
唯「私を守るために、私はセイバーちゃんを守る!」
セイバー「ユ、ユイ」
唯「いいでしょ?」
唯「いいって言うまで、ここを動かないから」
セイバー「……困った人だ」
唯「……」
セイバー「痛みを、伴います」
唯「分かってる」
セイバー「命を、落すやもしれない」
唯「知ってる」
セイバー「それでも、なお?」
唯「セイバーちゃんが苦しむよりはいい」
セイバー「――承知しました。マスター」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:35:05.58 ID:LpOc2f0K0
セイバー「それでは、いきますよ」
唯「うん」
唯「――私、平沢唯はサーヴァントセイバーに、我が命運を捧げる」
セイバー「セイバーの名に懸け誓いを受ける。汝を、我が主として認めよう」
唯「――ッ!」
セイバー「ユイ!?」
唯「……ちくってした」
セイバー「左手を、見せてください」
唯「……あ」
セイバー「これが令呪です。3回のみ行える絶対命令権。いいですか、一つは
残してください。全て使ってしまうと、私は貴女を守れなくなる」
唯「わかった。でも、私がセイバーちゃんに命令することなんてないよ」
セイバー「もし、あなたが学校で襲われた時……。それを使えば、私を
呼びだすことができます。場所もなにも関係なく」
唯「……わかった。それじゃあ、憂に包帯もらってくるね」
セイバー「ええ。令呪は誰にも見せないでください」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:38:35.59 ID:LpOc2f0K0
憂「……お姉ちゃん」
唯「おはよ。憂」
憂「セイバーさん、血塗れで帰って来たの」
唯「知ってる」
憂「……」
唯「大丈夫だよ。セイバーちゃんは、私たちを守ってくれるよ」
憂「本当?」
唯「本当だよ。お姉ちゃんを信じなさい!」
憂「……うん。セイバーさんとお姉ちゃんを信じるよ」
唯「うん。セイバーちゃんにも朝ごはん運んであげてね」
憂「ご飯、食べられるかな」
唯「食べるよ。憂のご飯美味しいもん」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:43:19.25 ID:LpOc2f0K0
――3-2――
唯「おはよーございます!」
さわ子「平沢さん、遅刻っと」
唯「間に合ってるよー」
和「諦めなさいって」
姫子「おはよう、唯」
和「私の方がおはよう。唯」
唯「おはよう、姫ちゃん。和ちゃん」
和「あら、手怪我したの?」
唯「う、うん。コップ割っちゃって」
和「気をつけなさいよ。ドジなんだから」
唯「えへへー」
澪「……」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:45:53.64 ID:pQ5WVS0EO
四円
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:48:48.13 ID:LpOc2f0K0
唯(セイバーちゃん、大人しくしてるかなー)
唯(テレビでも見てるのかな)
姫子「唯」
唯「姫ちゃん?」
姫子「澪から、手紙」
唯「ありがと。えーっと」
唯「昼休み、屋上?」
唯「了解っと。はい」
姫子「ん」
唯(澪ちゃん、どうしたんだろ。まさか、愛の告白!?)
唯(駄目だよ澪ちゃん! 澪ちゃんにはりっちゃんが!)
先生「平沢、なにをクネクネしているんだ?」
唯「!?」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 20:55:26.60 ID:LpOc2f0K0
――昼休み――
唯「澪ちゃん、先に行っちゃったみたい」
律「澪のやつ、どこ行ったんだー」
唯「りっちゃんごめん! 私、ちょっと用事!」
律「なんだなんだー」
紬「まさか、梓ちゃんとなにかあるのかしら」
和「ムギ、声に出てる」
紬「あらやだ」
唯「じゃあ、いってくるね!」
和「いってきなさい」
律「お土産お願いなー」
唯「あはは。期待しないで待っててねー」
ドア「ニコ」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:03:52.71 ID:LpOc2f0K0
唯「お待たせっ!」
澪「別に待ってもいないよ。ごめんな、呼びだしたりなんかして」
唯「ううん! 問題ないよ!」
澪「……そっか」
唯「?」
澪「唯、その手はどうしたんだ?」
唯「こ、コップ割っちゃったんだよ」
澪「その割には変なところを怪我してないか? 見せてみろ」
唯「な、なんか変だよ? 澪ちゃん」
澪「……令呪」
唯「え?」
澪「そうなんだろ。唯」
唯「どうして、それを知ってるの?」
唯「……あ」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:07:52.11 ID:LpOc2f0K0
澪「引っかかったな」
唯「うぅ~」
澪「ホントに知らなかったら、そんなふうには答えないよな」
唯「……澪ちゃん」
澪「安心しろ。私もだから」
唯「そうじゃなくって」
澪「それも平気。私だって戸惑ってるんだから」
唯「信じていいの?」
澪「信じてくれないか?」
唯「……信じるよ。澪ちゃんは親友だもん」
澪「ありがとう。――アーチャー」
アーチャー「やっぱりマスターだったんだ。ミオ」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:13:12.13 ID:LpOc2f0K0
唯「うわ!」
アーチャー「……」
唯「あれ? 女の人?」
アーチャー「サーヴァントに性別なんて、基本的には関係ないでしょ」
唯「セイバーちゃんはすごい可愛いもん!」
澪「セイバー!?」
アーチャー「ええー」
唯「しまった!」
澪「アーチャー、セイバーってことは――」
アーチャー「昨日、公園で戦ってたサーヴァントね。魔力がまるで感じられな
かった」
唯「……澪ちゃん」
澪「安心してくれ。アーチャーには令呪がかけてある。私の命令に背くと、
アーチャーは動けない。二つ使って行使させたんだぞ」
アーチャー「お陰で、私は朝から身体が重くて仕方がない」
澪「だって、起こしてくれなかったんだもん」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:17:28.62 ID:LpOc2f0K0
アーチャー「私は朝が弱いの」
澪「サーヴァントのくせに寝てるなよ」
アーチャー「はいはい」
澪「聞け」
唯「……」
アーチャー「あ、そうだ」
唯「え?」
アーチャー「ミオの命令で動けないだけで、ワタシはいつだって貴女を殺し
たくてしかたがない」
唯「!?」
アーチャー「だから、これからミオが貴女と交渉するけど、そこにワタシの
意思はまるでない」
唯「だ、だから?」
アーチャー「ただそれだけ。言葉以上のことを期待しないで」
唯(この人、嫌いだ……)
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:28:42.82 ID:x7crcf4I0
支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:38:42.76 ID:LpOc2f0K0
澪「アーチャー。ちょっと消えてろ」
アーチャー「はいはい」スゥ
唯(サーヴァントって、こんなこともできるんだ)
澪「ごめんな唯。アーチャーが変なこと言って」
唯「気にしてないよ。それで、交渉って何?」
澪「うん。それが大事なんだ。……唯、手を組もう」
唯「ふぇ?」
澪「私も唯も、聖杯戦争に関してはまるで知識がない。私も、昨日一日
使って、ようやくある程度は知ってるくらいだ。唯は、聖杯戦争について
なにか知ってるか?」
唯「セイバーちゃんに、ちょっと聞いたくらいかな」
澪「だろ。だったら、一緒に戦った方がいいんじゃないか?」
唯「でも――」
澪「唯の言いたいことわかる。でもさ、セイバーは魔力が殆どないっていう
じゃないか。その状態で戦うのは、かなり辛いというか無理だぞ」
唯「そ、そうだけど……」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:43:18.90 ID:LpOc2f0K0
澪「殺されてもいいのか?」
唯「そ、それは嫌だ!」
澪「憂ちゃんも、危険にさらされる」
唯「やだ!」
澪「なら簡単だろ。私たちと共同戦線を張ったほうがいい」
唯「でも……」
澪「――」
唯「帰って、セイバーちゃんと相談するね。私一人じゃなんとも言えないよ」
澪「そっか。そうだよな。ごめんな。急な話しちゃって」
唯「ううん。澪ちゃんだって大変なんだもん。仕方ないよ」
澪「昨日、散歩から帰ってきたら私の部屋で漫画読んでたんだぞ。アー
チャーのやつ」
唯「セイバーちゃんも、昼寝から起きたときら隣にいた」
澪「……そんなものなのかな。サーヴァントって」
唯「さあ……」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:56:25.42 ID:LpOc2f0K0
――放課後・音楽準備室――
唯「おっす!」
律「おっす!」
唯「あずにゃーん!」
梓「にゃっ! やめてくださいー」
唯「可愛いー」
紬「うんうん」
澪「相変わらずだな」
アーチャー『……』
澪「ムギ、アイスコーヒーくれる?」
紬「ミルクは?」
澪「もちろん」
梓「もう! 離れてください!」
唯「あうー」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:03:56.66 ID:LpOc2f0K0
紬「どうぞ、澪ちゃん」
澪「ありがとう」
アーチャー『のどが渇いた』
澪『黙っててくれ』
アーチャー『ちぇ』
唯「りっちゃん。聡くんは元気?」
律「元気だぞー。なんといっても夜な夜な部屋から変な声が聞こえるくらい
だ!」
唯「聡くんも男の子なんだねー」
梓「唯先輩も律先輩もなに言ってるんですか!」
律「なにが?」
梓「――むー」
律「ほらほらー。梓ー、何想像したんだ? 人の弟で」
梓「離れてくださいー」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:08:40.15 ID:LpOc2f0K0
梓「うう……。聡くんだって、思春期なんですから……」
唯「あずにゃんったら、やらしー」
梓「にゃー」
律「おっかしいよなー」
唯「まあいいや。あずにゃんのえっちー」
梓「みおせんぱーい」
澪「コーヒー美味しい……」
紬「よかったわー」
アーチャー『座りたい』
澪『黙ってろ』
唯(あ、あそこにアーチャーがいるんだ)
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:24:03.58 ID:LpOc2f0K0
――練習終わって――
唯「なんか、今日は頑張ったねー」
梓「唯先輩が練習したいって言い出すとは思いませんでした」
唯「ひどいなー。エロエロあずにゃんはー」
梓「エロくないです」
律「にやにや」
梓「にゃー!」
澪「梓も完全に向こう側になってきたな」
紬「私は?」
澪「向こう側だろ」
紬「しょんぼり」
アーチャー「!?」
澪『どうした?』
アーチャー『見られてる』
澪「……あ! 忘れ物した! みんなは先に帰っててくれ!」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:26:14.15 ID:B9m0en2BP
面白い支援
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:29:41.34 ID:LpOc2f0K0
唯「……じゃあ、ね」
澪「ああ」
澪(あわよくば、セイバーを連れてきてもらいたいけど……)
アーチャー『いくよ、ミオ』
澪『う、うん』
唯「――!」ダッ
ランサー「これは驚いたな――」
澪「!?」
アーチャー「なにが?」
ランサー「なにがって、お前は俺が知ってるサーヴァントじゃないってことさ。
念のため聞くが、なんのクラスだ?」
アーチャー「弓兵――」
ランサー「ケッ。いけすかねえな」
アーチャー「やるなら早くしよう。人が来たら、少し面倒だから」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:33:44.10 ID:LpOc2f0K0
唯「――セイバーちゃん!」
憂「おかえり、お姉ちゃん!」
セイバー「おかえりなさい。ユイ」
唯「セイバーちゃん、怪我は!?」
セイバー「……おかげさまで、完治しましたけど」
唯「早っ!」
セイバー「ユイと契約したのと、憂の料理をいただいたら、自分でも不思議な
くらいに早く回復しました」
唯「じゃあよかった! 来て!」
セイバー「……もしかして」
唯「サーヴァント! 澪ちゃんが危ないの!」
セイバー「――ウイ、食事は帰ってきてからで」
憂「うん。いってらっしゃい」
セイバー「それでは唯。私におぶさってください」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:35:07.46 ID:LpOc2f0K0
少し席をはずす。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:21:56.07 ID:yMS0HikY0
ほ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:36:20.67 ID:r6TYZY3dO
りっちゃんのサーヴァントはライダーだな
勿論イスカンダルの方
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:49:52.79 ID:LpOc2f0K0
ただいま
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:54:36.22 ID:LpOc2f0K0
セイバー「飛びますよ――!」
唯「ふわあああああああああああああああああああ!!!!!」
憂「い、いってらっしゃい……」
セイバー「ユイ! 学校はどこにあるんですか!?」
唯「あっち!」
セイバー「わかりました! 速度を上げます!」
唯「ふわあああああああああああああああん!!!」
住民「?」
唯「見られてない?」
セイバー「普通の人間が視覚出来る速度ではありませんから、平気です」
唯「そっかぁ。えへへー」
セイバー「全開とまではいきませんが、ユイの魔力供給で十分戦えるくら
いに充実しています。感謝していますよ」
唯「うん! それじゃあ、澪ちゃんを助けに行くよー!」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:59:33.68 ID:LpOc2f0K0
ランサー「ああ! うざってえ奴だ!!」
アーチャー「?」
ランサー「てめえ! 弓はどうした!」
アーチャー「家に忘れてきた」
ランサー「死ねィ!」
アーチャー「弓兵は目が死ぬほどいいのを忘れたの? これくらい楽々
避けられるよ」
ランサー「なら――スピードをあげて――!」
アーチャー「だから、そういう問題じゃないの。天津飯にかめはめ波がき
かないのと同じだよ」
澪「アーチャー!」
アーチャー「心配無用だよ、ミオ。武器なら持ってきてるから」
ランサー「なんだと!」
アーチャー「秋山家のフライパン」
ランサー「は?」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:02:50.63 ID:LpOc2f0K0
アーチャー「だから、フライパンだって」
ランサー「馬鹿にしてんのか!」
アーチャー「してないって。本気じゃないけど、ふざけてはいないよ」
ランサー「てめえに宝具に対する誇りはねえのか!」
アーチャー「もちろんあるよー」
ランサー「くそったれ!」
澪「……」
アーチャー「このフライパンだって、意外に強いんだから」バコン!
ランサー「ゴッ」
アーチャー「……あーあ。フライパン壊れちゃった。もうこれ、ただの凶器
だね」
ランサー「――殺してやる。受けろ、我が必殺の――」ズオ……
アーチャー「しまった。これはやばい」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:06:41.72 ID:golYm8qy0
唯「とー!」
セイバー「ちゃーーーーーく!!!!」
地面「バコオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」
ランサー「は?」
アーチャー「よっし。これで因果律狂った! さすが私の幸運!」
セイバー「――」
唯「ほら、セイバーちゃん。言ってよ。アレ、言ってよ」
セイバー「言いません」
唯「言ってくれたら、私の分のおかず半分あげるよ」
セイバー「正義の味方、セイバーさん参上!」
アーチャー「……」
ランサー「セイバー、もしかしてお前も俺が知らないセイバーなんじゃ……」
唯「セイバーちゃんカッコいい!」
セイバー「ありがとうございます。ユイ」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:09:29.23 ID:3ATrJwDG0
お、帰ってきてたか
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:11:34.24 ID:golYm8qy0
澪「唯!」
唯「澪ちゃん! お助けに来たよ!」
アーチャー「登場したまではいいから、もう帰っていいよ」
唯「ぶー! セイバーちゃん!」
セイバー「はい!」
アーチャー「ちょっと聞いてる? 邪魔なの。じゃ、ま」
セイバー「貴女がアーチャーですか」
アーチャー「そうよ。セイバーって、意外に小さいのね」
セイバー「貴女も対して変わらないでしょう」
アーチャー「……ま、そうね。セイバー、あの子供を連れて帰ってくれない?」
セイバー「あの子供というのは、私のマスターのことか」
アーチャー「やっぱりそうなんだ。セイバーって最良のサーヴァントっていう
のに、随分とまあ貧相なマスターね。うちのマスターはもうバインバインよ」
セイバー「マスターを愚弄するか。弓兵」ギリ
アーチャー「ありゃりゃ。冗談よ冗談。アンタを敵に回してもウマくないわよ」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:15:43.21 ID:golYm8qy0
セイバー「ユイ、敵はどちらですか?」
唯「青いほうだよ。ちょっとむかっとするけど、アーチャーは仲間」
セイバー「わかりました。たとえ人間的に欠陥があったとしても、味方は
味方です」
アーチャー「ミオー。やっぱりランサーしか狙っちゃダメ?」
澪「当たり前だ。それに、今のおまえはフライパンが武器じゃないか」
アーチャー「変形させれば、結構凶(わる)い武器になるのよ?」
澪「そんなことはどうでもいいから、ランサーだけだ」
ランサー「やっべえ……」
ランサー「二人がかりはきついな。しかも、相手はセイバーときたもんだ。
これは、逃げさせてもらうぜ!」ヒュン
アーチャー「ミオー。いい?」
澪「え? よくわからないけど、うん」
アーチャー「せいやっ」ヒュッ!
唯「フライパンを投げた!」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:20:09.76 ID:golYm8qy0
ランサー「は?」
フライパン「ギュルルルルルルルルル!!!」
ランサー「おいおい、どこの世界にクリモミ回転で飛んでくるフライパンが
あるんだよ!」スコン!
アーチャー「一応命中だけど、さっすがランサー」
セイバー「問題なく逃げていきますね」
澪「もしかして、これがアーチャーの宝具?」
アーチャー「そんなわけないでしょ。これは私自身のスキルみたいなものよ」
セイバー「投擲のスキルですか」
アーチャー「そんなところかな。どんな物体でも超高速で遠くまで投げられる
のよ。まっすぐオンリーだけど」
唯「役に立たない力だね。セイバーちゃんの方がよっぽどすごいよ」
アーチャー「なに?」
唯「べーだ」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:24:27.33 ID:golYm8qy0
セイバー「やめてください」
澪「アーチャーもいい加減にしろ……」
アーチャー「はいはい。このちんちくりんが引けばおとなしくしてるのよ」
唯「フンだ!」
澪「……それで、唯。考えてくれたか?」
唯「セイバーちゃん、澪ちゃんとアーチャーと協力するけど、いい?」
セイバー「いい作戦だとは思います。ユイは聖杯戦争について詳しくない。
それに、学校の友人なら、ユイもミオも信頼しあえるでしょう」
アーチャー「ワタシは無視?」
セイバー「アーチャーには令呪が効いていると見受けるが?」
アーチャー「素晴らしい。さすがは騎士(セイバー)のクラス」
セイバー「……私は、賛成です」
唯「だってさ! よろしくね、澪ちゃん!」
澪「あ、ああ!」
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:30:24.42 ID:golYm8qy0
――?――
キャスター「あらあら、セイバーとアーチャーが手を組んだのね」
キャスター「少し、困ったわね」
アサシン「なにがだ?」
キャスター「あらアサシン。山門は?」
アサシン「この屋敷の門は厳重だから、問題ないと言ったのはお主であろ
う? 拙者はお主の用心棒といったところだ」
キャスター「ああ、そうだったかしら」
アサシン「年増となると、耳が遠くなるのか?」
キャスター「アサシンのクラスは、魔力遮断するとどれくらいで消えるのかしら」
アサシン「勘弁してくれ。笑えない」
キャスター「……このアーチャーを、私は知らない」
アサシン「?」
キャスター「白髪の双刀を操る弓兵が、私の知っているアーチャーよ」
アサシン「ああ」
キャスター「じゃあ、このアーチャーはだれなの?」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:35:11.25 ID:golYm8qy0
――次の日の学校――
唯「澪ちゃーん」
澪「あ、唯。今日は早いな」
唯「セイバーちゃんって、朝が早いんだよー」
澪「そうなのか。真面目そうだもんな」
唯「アーチャーは?」
澪「一応、側にいるよ。もう令呪が使えないから、置いてくるわけにもいか
ないんだ」
唯「そうなんだー」
澪「……そういえば、憂ちゃんは大丈夫?」
唯「憂ならセイバーちゃんと仲良くやってるよ」
澪「そうじゃなくって、聖杯戦争のこと話したのか?」
唯「言ってないけど、セイバーちゃんが走るところは見られちゃってるよ」
澪「じゃあ、セイバーが人間じゃないことは知ってるのか」
唯「……でも、憂はいい子だよ」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:39:23.91 ID:golYm8qy0
澪「それは知ってるよ」
アーチャー『眠い……』
澪『寝てろ』
唯「澪ちゃんとアーチャーって、仲良いよね」
澪「そうかな? まあ、なんとなくやりやすい奴ではあるけど」
アーチャー「――」
唯「うーん。私はやりにくいかなー」
澪「なんでだ?」
唯「なんか、苦手なの」
澪「珍しいな。唯が人のことを苦手だなんて」
唯「私も。こんな人がいるなんて思わなかったよ」
澪「お、律が来た。それじゃあ、この話は終わりにしよう」
唯「うん。秘密だもんね」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:43:04.82 ID:golYm8qy0
律「おはよ、唯と巨乳」
唯「おっはー」
澪「ぶん殴るぞ!」ゴチン
律「殴ってるじゃん!」
紬「あらあら」
律「いててて。和ー、助けてー」
和「助けないけど」
律「ちくしょー!」
紬「なでなで」
律「むぎゅうマジ天使!」
紬「そんなことないわよ~」
唯「あははー」
姫子「おはよ、みんな」
律「うおっす!」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:45:33.03 ID:7C4Y8PrS0
ムギ→キャスター&アサシンって感じだな
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:45:39.04 ID:golYm8qy0
姫子「ホントに、律たちっていつも元気だよね」
律「元気なのが軽音部の持ち味だー!」
唯「イエイ!」
和「軽音部じゃないんですけれども……」
姫子「和も同じようなものだってー」
澪「姫子もずいぶんなことを言うな~」
紬「でも、和ちゃんが軽音部だったら、もっと楽しくなりそうよね」
和「そうかしら?」
唯「和ちゃーん!」がば
和「せめて脈絡をつけてから抱きつきなさい!」
姫子「あはは……」
アーチャー『……』
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:49:27.78 ID:golYm8qy0
――放課後、部活終わって――
唯「澪ちゃん」
澪「ん?」
唯「昨日ね、セイバーちゃんから面白いこと聞いたの」
澪「なんだそれ。怖い話以外だったら聞くぞ」
唯「あのね、マスターはサーヴァントの能力を視ることが出来るんだって」
澪「へえ。それはどういうふうにだ?」
唯「澪ちゃんもやってみればいいよ!」
澪「そうだな。アーチャー、どうして教えてくれなかったのかは不問にして
やる。ちょっと見せろ」
アーチャー「はいはい」
澪「えーっと」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 00:54:02.44 ID:golYm8qy0
アーチャー
真名 ?
女性 158センチ 50キロ
中立・中庸
筋力 D
耐久 C
敏捷 B
魔力 A
幸運 A
宝具 ?
対魔力 D
単独行動 C
千里眼 C
心眼(真) B
投擲 A
宝具
?
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:00:20.07 ID:golYm8qy0
澪「――のようだけど、セイバーはどうなんだ?」
唯「セイバーちゃんはすごいんだよー」
アーチャー「でもまあ、マスターが貴女じゃあねえ」
唯「……フン」
澪「拗ねるなよ。それで、セイバーの能力はどうだったんだ?」
唯「えへへー。聞いて驚かないでねー」
アーチャー「引っ張るな。面倒くさい」
澪「アーチャー!」
アーチャー「はいはい」
唯「それじゃあ、これがセイバーの能力だよ!」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:02:48.98 ID:golYm8qy0
セイバー
真名 ?
女性 154センチ 42キロ
秩序・善
筋力 B
耐久 B
敏捷 C
魔力 A
幸運 A
宝具 A
対魔力 A
騎乗 B
直感 A
魔力解放 A
カリスマ B
宝具
風王結界(インビジブル・エア)
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:05:21.31 ID:golYm8qy0
澪「……」
アーチャー「こっち見ないでくれる?」
澪「いや、アーチャーさん?」
アーチャー「仕方ないだろ。セイバーのクラスなんだから」
唯「セイバーちゃんも、結構調子いいんだって!」
澪「……」
アーチャー「サーヴァントの力はマスターの魔力にも左右されるの。だか
ら、私だけの所為じゃあない」
唯「アーチャーに認めてもらったー」にやにや
アーチャー「はいはい」
澪「……セイバーと手を組んでよかったな。アーチャー」
アーチャー「戦えば絶対に負けないから」
唯「えへへー」
アーチャー「にやにやするな」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:09:18.95 ID:golYm8qy0
澪「それじゃあ、10時にセイバーを連れてうちに来てくれ」
唯「りょーかーい」
アーチャー「……」
澪「どうしたんだ? アーチャー」
アーチャー「これが、あのヒラサワユイの家?」
澪「そうだぞ。私の家より大きいだろ」
アーチャー「いや、それはどうでもいいよ」
澪「さて、私たちも帰るぞ」
アーチャー「はいはい」
澪「はいは一回」
アーチャー「はーい」
澪「伸ばさないの」
アーチャー「めんどー」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:14:52.11 ID:golYm8qy0
――夜――
唯「セイバーちゃん、可愛い!」
セイバー「やめてください。大切な徘徊だというのに」
唯「でもでも、よく似合ってるよ! 私が中学生のときに着てた服!」
セイバー「え?」
唯「セイバーちゃん可愛いー」ぎゅうううう
セイバー「や、やめてください……」
セイバー(あ、温かい……)
セイバー「とにかく、行きますよ!」
唯「うん!」
憂「……」
唯「憂、いってくるね」
憂「気をつけてね? お姉ちゃん、セイバーさん」
セイバー「ええ。ウイは安心して眠っていてください。必ず、ユイは守ります」
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:19:32.30 ID:golYm8qy0
唯「こんばんわー」
澪「時間ぴったりだな。セイバーのおかげか」
セイバー「そんなことはありません。ユイの自発的な行動です」
唯「私だって、やる気満々なんだから!」
澪「……他のマスターを、殺すことになるんだぞ?」
唯「なんで?」
澪「なんでって。そういうルールだからだよ」
唯「そうなの? セイバー」
セイバー「それが一番わかりやすいだけです。正確には、サーヴァントを
打倒することが目的です」
アーチャー「聖杯にはサーヴァントしか触れられない。なら、そのサーヴァ
ントが一人になればいいってことよ」
唯「だから、私はマスターを殺さないで聖杯を手に入れるよ!」
澪「――そうか。だったら、それが一番いい方法だな!」
セイバー「それでは、行きましょう」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:23:50.10 ID:golYm8qy0
…
唯「――なんか、ワクワクしない?」
澪「どうして? 物音もしないのに」
唯「それがだよ! なんか、自分と世界が離れちゃってる感じがワクワク
するんだよ!」
アーチャー「世界と自分が離れるねえ……」
澪「私は怖いだけだけどな」
唯「ぶー。セイバーちゃんは分かってくれるよね」
セイバー「別に、特には」
澪「それにしても、セイバー可愛いな。その服は唯のか?」
唯「そうだよー。可愛いでしょ」
アーチャー「まるでリカちゃん人形みたいだ」
セイバー「そこになおりなさい」
アーチャー「……!?」
セイバー「!?」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:27:08.77 ID:golYm8qy0
アーチャー「セイバー、感じた?」
セイバー「ええ。向こうですね」
澪「向こうは、港だな」
唯「いってみよう!」
セイバー「……少し急いだ方がいいですね。アーチャー」
アーチャー「はいはい。ミオ、しっかりつかまってて」
澪「へ?」
アーチャー「セイバー、遅れないでね!」
澪「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!」
セイバー「ユイ、私たちも行きます!」
唯「おっけー!」
セイバー「――!」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:29:40.06 ID:golYm8qy0
――港・廃工場――
澪「このあたりも、随分さびれちゃったな」
唯「昔は結構栄えてたみたいだけどね」
澪「……」
アーチャー「ミオ?」
澪「アーチャー、どうしてあんなに速く……」
アーチャー「いや、なんとなく」
澪「……」
セイバー「あの建物の中から、なにかとてつもない魔力を感じます」
唯「じゃあ、あそこに――」
アーチャー「サーヴァントがいる。それも、かなりヤバい奴だと思う」
澪「――」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 01:33:08.08 ID:golYm8qy0
ドア「ニ……」
セイバー「……暗い、ですね」
アーチャー「油断はしないでよね。セイバー」
セイバー「当然です。どんなときも油断は――!」
アーチャー「ミオ! 絶対にこっちに来ないで!」
澪「!?」
セイバー「ユイもです! この状況は、あなたたちにはあまりにも酷すぎる」
唯「……澪ちゃん。下がるよ」
澪「唯?」
唯「セイバーちゃんたちが気を利かせてくれてるんだもん。だったら、私たち
はそれに甘えてあげなきゃ」
澪「……ああ。アーチャー! セイバーも頼むぞー!」
アーチャー「はいはい。でも、ねえ」
セイバー「この死体の数。かなりの命を吸っていると見える」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 02:05:44.87 ID:golYm8qy0
アーチャー「ってことは?」
セイバー「私たちが出会っていないサーヴァントは、アサシン、キャスター、
ライダー、そして――」
アーチャー「バーサーカー」
セイバー「あの、黒い塊のようなモノが……」
男「う、うう……」
セイバー「息がある! アーチャー!」
?「■■■―――!!!」
男「おごっ」ブチャ
セイバー「!?」
アーチャー「案の定ね。これが狂戦士のクラスのサーヴァント」
セイバー「バーサーカー、ですか」
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 09:45:09.40 ID:golYm8qy0
バーサーカー「■■――!!」
アーチャー「これはまた、トンデモないサーヴァントに出会っちゃったね」
セイバー「ええ。今まで出会ったどのバーサーカーよりも強い魔力を持ってい
ます。単騎では、勝ち目は薄かった」
アーチャー「ああ、それじゃあ今なら勝てるかも?」
セイバー「低いことに変わりはありません。アーチャー、弓で援護してくれる
と助かるのですが」
アーチャー「家に忘れてきた」
セイバー「……」
アーチャー「そもそも私、弓とか使えないんだよ。アーチャーだから一応
持ってるけど、弓で放つよりも投げたほうが得意」
セイバー「……それで、投擲するものは持ってますか?」
アーチャー「そのへんに転がってるし、念のためミオの家から包丁持って
きた」
セイバー「かなり心許ないですね」
アーチャー「そう? 結構十分な武装だと思うけど」
セイバー「あなたがそう思うのであれば、信じるしかありません。
――いきます」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 09:52:06.99 ID:golYm8qy0
…
唯「ねえ、澪ちゃん」
澪「ん?」
唯「私たち、これでいいのかな」
澪「何の話?」
唯「セイバーちゃんとアーチャーのお手伝い、しなくてもいいのかなって」
澪「したくても出来ないよ。サーヴァントの戦いは、人間の及びのつかない
ところなんだ。マスターが死んだら、サーヴァントも負けっていルールで
ある以上、私たちは離れていたほうがいい」
唯「そうなのかな……」
澪「そうだよ。アーチャーたちも、そう思ったから私たちを置いて行ったんだ」
唯「うん……」
澪「だから、私たちは待っていよう。安心してさ」
倉庫「ドゴォ!!」
唯「始まったね」
澪「ああ」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:03:26.60 ID:golYm8qy0
…
セイバー「ただの斬撃では、ダメージも与えられない」
アーチャー「所謂、物理攻撃を無効化する宝具?」
セイバー「いいえ、バーサーカーのクラスに宝具は原則ありません。心が
狂っているのですから、操ることができない」
アーチャー「そうすると、あのサーヴァントのスキルかなにか?」
セイバー「そういうことになるでしょう。私の対魔力と同じで、一定以下の
ランクの攻撃を遮断する」
アーチャー「……それって、相性最悪じゃない?」
セイバー「こちらも宝具を使えば――」
アーチャー「いいの? 私だって、セイバーの敵になるかもしれないんだよ」
セイバー「……本当に、そうなのですか?」
アーチャー「可能性としては、0ではない。私がミオをなんらかの方法で
殺してしまえば、令呪の呪縛から解放される」
セイバー「貴女は――!」
アーチャー「義理人情に厚いのは、セイバーのクラスだけで十分。私は
裏切ってでも、叶えたいコトがあるの」
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:11:57.50 ID:golYm8qy0
セイバー「……余計な話だ。今はこの狂戦士を倒します」
アーチャー「どうぞ」
バーサーカー「■■■■――――――!!」
アーチャー「――あ」
セイバー「なんですか?」
アーチャー「……これ、相当まずいよ」
セイバー「?」
アーチャー「バーサーカーの側にいる子供? あれって――」
セイバー「え?」
アーチャー「さっきまで暗かったけど、月の光で見える。アーチャーのクラス
は目が良いから」
セイバー「……」
律「しまった。見つかっちまった」
アーチャー「ミオとヒラサワユイをおいてきて正解だったみたいね」
セイバー「彼女は?」
律「桜高軽音部部長、田井中律。そしてこれは私のサーヴァントの『ヘラクレス』さ」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:23:12.23 ID:golYm8qy0
アーチャー「――!」
セイバー「ヘラクレス!?」
律「そう。ゼウスの子供、ヘラクレス。知ってるでしょ?」
アーチャー「思った通り、押しも押されぬ最強の英霊じゃない。セイバー、
逃げることも視野に入れて戦うわよ」
セイバー「そうしましょう。さすがに、ヘラクレスが相手では、狂化したとは
いえ厳しい」
バーサーカー「――」
律「……セイバーとアーチャーのクラスか。なるほど、そこまで苦戦しない
相手だな。待てよ、バーサーカー」
セイバー「……貴女のような少女が、バーサーカーを手懐けられるとは
思いません。狂化したサーヴァントを律するには、毎度令呪が必要な
筈だ」
律「それを教える必要はない思うけど?」
アーチャー「尤(もっと)もね。――セイバー、マスターを殺すことはできない。
バーサーカーを倒すか、ここは逃げて戦略を立て直すかしないと」
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:30:57.99 ID:golYm8qy0
律「そうだぞー。私を殺すのなら、バーサーカーを倒したほうが早い」
セイバー「当然です。マスターは私に命じました。人を殺すな、と」
セイバー「その命に、答える。そこに令呪なんていらない――!」ヒュン
律「バーサーカー、捻り潰せ!」
バーサーカー「――■■■!!」
アーチャー「セイバー! ちょっと待って!」
セイバー「!?」
アーチャー「ここは逃げるわよ! 戦略的撤退!!」
セイバー「どうしてですか!?」
アーチャー「簡単な話でしょ! このまま真っ向からぶつかり合ったところで、
負けるのはこっち。そうすれば、誰がマスターを守るの?」
セイバー「――」
アーチャー「相手はヘラクレス。セイバーの宝具が何かは知らないけれど、
簡単に勝たせてくれる相手じゃあない。ここは、逃げる」
律「それを許すとでも?」
アーチャー「許す必要はない。全力で逃げる――!」
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:39:22.93 ID:golYm8qy0
律「!?」
アーチャー「一瞬でいい! それだけで、逃げる隙になる!」
セイバー「アーチャー!」
律「バーサーカー、逃がすな!」
バーサーカー「■■■■■――――!!」
アーチャー「もう遅い。『すでに』ってやつよ」
バーサーカー「――――――!!!!」
セイバー「バーサーカーの四肢に鉄パイプが突き刺さっている……。まさ
か――」
アーチャー「投擲での遠距離攻撃こそ、私が弓兵(アーチャー)たる由縁。
……隙が出来た。一生懸命逃げるわよ」
セイバー「……感謝します。アーチャー」
アーチャー「いえいえ、今、貴女に消えられると困るのよ。色々とね」
律「くっ! 回復しろ! バーサーカー!」
バーサーカー「――――」
律「な……。バーサーカーの回復が一瞬遅れた? まさか、宝具なのか?」
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:44:01.40 ID:golYm8qy0
セイバー「ユイ!」
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「今すぐおぶさって! 逃げます!」
澪「アーチャー、なにがあったんだ!」
アーチャー「説明は後でするから! ヒラサワユイの家に!」
セイバー「承知!」
唯「ふわああああああああああああああああああああ!!!」
澪「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!」
律「――あれは……?」
バーサーカー「――――」
律「唯と、澪じゃないか」
律「おいおい、まさか私たちが殺しあうなんて……」
律「困ったなぁ――」
律「――でもまあ、いっか」
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 10:54:12.52 ID:golYm8qy0
――秋山宅――
澪「ママ、もう寝てるみたい」
セイバー「ママ?」
澪「お、おふくろ!」
アーチャー「それはそれでどうかと思うよ」
唯「……セイバーちゃん、それでどうだった?」
セイバー「――最悪のサーヴァントと出会いました」
アーチャー「バーサーカーのクラスね」
澪「バーサーカー?」
アーチャー「狂戦士っていうのかな。とにかく、こと戦闘に関しては私や
セイバーを軽く凌ぐわ」
唯「セイバーちゃんよりも強い……?」
セイバー「普通のバーサーカーならば打倒も出来ます。しかし、狂化させて
いる英霊はあの大英雄、ヘラクレスなのです」
澪「!?」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:00:14.74 ID:golYm8qy0
唯「ヘラクレスって、あの?」
アーチャー「ゼウス神の子供で、半神の英雄よ。はっきりいって、これ以上の
英雄は存在しないと言ってもいい」
セイバー「本来、バーサーカーのクラスはレベルの低い英霊を狂化させて、
戦闘力を増します。しかし、ヘラクレスを狂化させたとあれば、これはもう
戦闘に関しては手の着けようがない」
アーチャー「私、セイバー、それとランサーの3騎士でかかれば――或いは
ってくらいね」
澪「集めるか?」
アーチャー「無理ね。私たちはよくても、ランサーにはうまみがない。確実
に勝てるのならいいけど、可能性が出る程度ならランサーは協力しない」
セイバー「おそらく、これ以上味方を増やすのは難しいでしょう」
澪「そうか……。なら、どうすれば」
アーチャー「マスターの暗殺」
セイバー「アーチャー!!」
唯「それは駄目! マスターが誰かは知らないけど、殺すのは――」
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:05:02.11 ID:3ATrJwDG0
帰ってきてたか
ヘラクレスが出てくれて嬉しいww
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:14:40.62 ID:golYm8qy0
アーチャー「甘すぎ。サーヴァントを殺れないのなら、マスターしかないじゃな
い。それともなに? こっちからは殺さないけど、殺されるのはいいわけ?」
唯「違う! 殺すのも、殺されるのもやだ!」
アーチャー「それが甘いって言うの。大人になりなさい」
唯「――子供でいい」
アーチャー「え?」
唯「この状況で、殺したりしなきゃいけないのなら、私は一生大人でいい」
アーチャー「――」
セイバー「ユイは頑固ですよ。一度決めたら、その決心は揺るがない」
澪「アーチャー。バーサーカーを斃す方法を考えよう。マスターを殺すのに
は、私も反対だ」
アーチャー「……もう!」
セイバー「――バーサーカーを倒すのには、宝具が必要です」
唯「宝具って、ランサーの槍みたいな?」
セイバー「ええ。宝具とはサーヴァント固有の奥義。究極の一です」
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:19:19.74 ID:golYm8qy0
アーチャー「その宝具は英霊を英霊たらしめるシンボルみたいなもの。アイ
ルランドの光の皇子である、クーフーリンは、その赤い魔槍、ゲイ・ボルグ
をシンボルとしている」
セイバー「しかし、その宝具を発動するには真名を明かす必要がある。真名
が明らかになる、ということは弱点を晒すことになります」
澪「それはなんで?」
セイバー「クーフーリンは、生涯イヌを殺すことができませんし、カラドボルグ
に敗北しなければなりません」
唯「あ」
セイバー「わかりましたか? つまり、英霊の真名は、その者の伝説と弱点
を知られてしまうのです」
澪「だから、サーヴァントは真名と宝具を隠すのか」
アーチャー「本当なら、マスターには教えるものなんだけどね」
唯「じゃあ、セイバーちゃんの真名を教えてくれなかったのは――」
セイバー「ユイは魔術について知識が0だ。暗示などで、私の真名を他の
マスターに喋らされてしまう恐れがあったからです」
アーチャー「まあ、私も8割方そんな理由ね。ミオに真名教えないのは」
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:23:32.83 ID:golYm8qy0
澪「そうだったのか」
セイバー「真名とは弱点です。そして、バーサーカーのマスターは敢えてそれ
を私たちに告げた。その意味がわかりますか?」
唯「トンデモない自信があるってこと?」
アーチャー「ヘラクレスじゃあ、弱点もなにもあったもんじゃないけどね」
セイバー「ヘラクレスの弱点を突くことができないのですから、真名を明かし
たところで、こちらには絶望しかありませんからね」
澪「絶望って……どうすればいいんだ!」
アーチャー「とりあえず、バーサーカーは後回しね。サーヴァントが減って、
真名がバレても問題なくなったら、全力で叩きましょう。今はそれしかない」
唯「……うん」
アーチャー「どこかの誰がか甘いから、長期戦になるわよ。今回の聖杯戦
争」
セイバー「――ユイ、気にする必要はありません。貴女は正しい」
唯「うん、ありがと。セイバーちゃん」
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:28:12.27 ID:golYm8qy0
澪「泊っていかなくて大丈夫か?」
唯「うん。憂が心配するだろうからさ」
セイバー「ええ、ウイは私にとっても大事な人だ」
アーチャー「精々殺されないように気をつけて」
唯「……おやすみなさい。澪ちゃん」
澪「ああ、おやすみ」
ドア「ニコ」
唯「……ふう」
セイバー「どうしました?」
唯「なんか、いきなり色々ありすぎて疲れちゃったよ」
セイバー「ごめんなさい。巻き込んでしまって……」
唯「それはいいんだよ。私から巻き込まれたんだから」
セイバー「ですが――」
唯「セイバーちゃんは聖杯のことを考えてて。私は頑張るからさ」
セイバー「――はい。ありがとうございます」
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:35:19.38 ID:golYm8qy0
――田井中宅――
律「あー疲れたー」
ベッド「ぼすっ」
律「バーサーカーは家に置いとけないし、あそこに置いとくと勝手に足りない
魔力吸い上げるからなー」
?「――!! ―――!!! ―――!! ■■―――!!!」
律「……と」
律「バーサーカーが動いたか」
律「ったく、狂戦士のマスターは大変だな」
律「サーヴァントが指先一つ動かすだけで、全身に激痛が走って、狂った
ようにのたうち回る」
律「どっちが『狂』戦士かわからないじゃないか」
律「ハハ。まあ、どうでもいいか」
律「――なあ。聡」
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:40:47.94 ID:golYm8qy0
――次の日の朝――
憂「セイバーさん、今日もお留守番?」
唯「うん。セイバーちゃんって寝るのが仕事みたい」
憂(ニートが増えた……)
和「あ、唯と憂じゃない。おはよう」
唯「和ちゃーん!!」がば
和「よしなさい。朝から暑苦しい」
唯「えへへー」
憂「和ちゃん、今日は生徒会ないの?」
和「ええ。そろそろ引き継ぎだから、あまり忙しくないのよ」
憂「そうなんだー」
唯「和ちゃん、会長さんお疲れ様です!」
和「ありがとう。離れなさい」
唯「ぶー」
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 11:49:01.11 ID:golYm8qy0
――3-2――
澪『アーチャー』
アーチャー『なに? 眠いんだけど』
澪『バーサーカーのマスターって、誰なんだ?』
アーチャー『見てないと言っても信じないだろうから、正直に言うよ。教えら
れない』
澪『どうして』
アーチャー『教えるメリットがない。この情報を、他のマスターにタダでやる
意味もない。なんなら交換条件ね』
澪『暗示をかけられてコロっと言われるより、他のマスターやサーヴァントと
情報や戦力の交換で教えるってことか』
アーチャー『その通りよ』
風子「秋山さん、今日、日直だけど日誌お願いね」
澪「うん。わかったよ」
アーチャー『……人が増えてきたな。この話はおしまいだ』
澪『ああ』
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 12:00:02.64 ID:golYm8qy0
唯「ういー」
和「朝からだらけないの」ビシッ
唯「あうっ」
姫子「唯と和って、仲良いね。いつからの付き合いなの?」
唯「付き合いっていうのは、恋愛的な意味? それとも――」
和「幼稚園の頃から友達なのよ。それから、しばしば同じクラスになってね」
姫子「へえー。それじゃあ、腐れ縁ってやつ?」
和「そうね。そういうことになっちゃうのかな」
唯「ぶー」ごろごろ
姫子「あ、先生来た」
さわ子「それじゃあ出席とるわよー。秋山さん――」
姫子「……」
唯「あぅー」ごろごろ
姫子(可愛い……)
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 12:06:38.52 ID:golYm8qy0
――部活――
紬「――ということで、今日は私の家でパーティーがあるのー」
梓「それに私たちが招待されたんですよね」
律「なにその説明口調」
紬「美味しい料理もたくさん出るみたいよ」
律「行く! 行かせて!!」
唯「私も!」
澪「唯!?」
唯「?」
澪「……いいの?」
唯「ねえ、ムギちゃん。憂も連れてきていい?」
紬「もちろんいいわよ。和ちゃんも招待してあるもの」
梓「でも、パーティ用の服なんて……」
紬「もちろん、私が用意するわ!」
律「変な服用意しないでくれよー」
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 12:11:24.47 ID:golYm8qy0
紬「え? 駄目なの?」
律「逆にどうして良いのか」
アーチャー『いいの? ミオ』
澪『大丈夫だろ。お前もいるし』
アーチャー『過度の期待は身を滅ぼすよ』
澪『照れてるの?』
アーチャー『……馬鹿』
唯「楽しみー」
梓(唯先輩のドレス……)
律「梓ー、何想像してんだー?」
梓「な、なんでもないです!!」パカっ
律「いって! このやろー」ぐりぐりー
梓「にゃー!」
唯「りっちゃんとあずにゃんなかよしー」
アーチャー『……ま、いいか。たまにはこういうのも』
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 12:16:45.27 ID:golYm8qy0
――琴吹邸――
唯「ふわぁ~」
和「……想像をはるかに超える大きさね」
呼び鈴「じゃららーじゃららあーん」
憂「呼び鈴がオーケストラ!」
セイバー「豪華絢爛ですね」
唯「だねー」
憂和「!?」
セイバー「どうしました? ノドカ、ウイ」
和「だれ!?」
セイバー「私はセイバー。ユイの家にお世話になっている留学生です」
憂「どうして連れてきたの?」ひそひそ
唯「豪華な料理って聞いた途端……」ひそひそ
和「そう。よろしくね、セイバーさん」
憂「適応した!」
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:16:07.05 ID:golYm8qy0
紬「いらっしゃい!」トコトコ
セイバー「……」
紬「?」
唯「えと……ムギちゃん?」
紬「綺麗な人……。唯ちゃんのお友達?」
セイバー「はい。私はセイバー。ユイの家でお世話になっている留学生で
す」
紬「そうなんだぁ! いらっしゃい!」
和「セイバーさんって、日本語うまいわよね」
セイバー「祖母が日本贔屓だったもので」
憂(高校生って、なんだかすごい! って、私も高校生か)
唯「ムギちゃん、セイバーちゃんの分の服もある?」
紬「もちろん。セイバーさん綺麗だから、どんな服でも似合うわよ」
セイバー「そのような――」
唯「さあ、行こうじゃないかー」
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:22:54.63 ID:golYm8qy0
…
紬「はい、これでおっけーよ」
セイバー「こ、このような動きずらい服装は――」
唯「可愛いー!」ぎゅっ
和「本当ね。やっぱり似合いすぎよ」
澪「お、唯たちも来てたのか――って、え!?」
セイバー「おや、ミオじゃありませんか。こんばんは」
律「澪、知り合い?」
澪「昨日唯の家に行ったときに会ったんだよ。セイバーも来てたのかー」
セイバー「はい。ユイが誘ってくれました。ツムギは本当に素晴らしい人物
です」
紬「照れちゃうわー」
律「……おい、梓」
梓「なんですか?」
律「相変わらず、胸がないな」
梓「むー」
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:25:25.68 ID:golYm8qy0
律「しょげるなむくれるなよー」
梓「律先輩だって大して変わらないじゃないですか」
律「私はいいんだよ」
梓「どうしてですか?」
律「イケメンだから!」
梓「自分で言いますか。それ」
律「駄目なのか?」
梓「いえ、文句はありますが反論はありませんから」
律「へっへー」
澪『アーチャー』
アーチャー『まさかセイバーも来るなんて、少し驚いたよ』
アーチャー(これで完全にバーサーカーのマスターがセイバーのマスターを
把握したな)
澪「律、ごちゃごちゃ言ってると置いて行かれるぞ」
律「おっと、ごめんごめん」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:28:41.73 ID:golYm8qy0
紬「ここがパーティ会場よ。とりあえず、私の側にいてくれれば間違いはない
から」
和「わかったわ。唯と律ははぐれない様にね」
セイバー「ご安心を。ユイは私が監視します」
唯「ぶー」
紬「それじゃあ、開けるね」
扉「ギイイイ」
律「でっかい扉だなあ」
メイド「紬お嬢様!」
紬「この子たちが、私のお友達よ」
メイド「!?」
セイバー「!?」
執事「紬お嬢様とご友人の方ですか――」
セイバー「!?」
執事「!?」
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:33:04.55 ID:LWS14ofW0
期待
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:33:50.20 ID:golYm8qy0
アーチャー『なに? この屋敷は人間じゃないのをメイドや執事にしてるわ
け?』
澪『え?』
アーチャー『あのメイドと執事、揃ってサーヴァントよ。キャスターとアサシン
ってところでしょう』
澪「え!?」
律「どうした澪ー」
澪「いや、会場が余りにも大きかったもので、声が出た」
セイバー「……」
メイド(キャスター)「どうぞ、お飲物を」
セイバー「……私は必要ない」
紬「?」
セイバー(ツムギは気が付いていない? この従者がサーヴァントだという
ことに――)
執事(アサシン)「こちらの美しい方に、酒の類は禁止とのことだ」
メイド(キャスター)「そ、そう。紬お嬢様のご友人ですからね」
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:36:37.01 ID:golYm8qy0
セイバー「……申し訳ないが、話しがある」
紬「?」
セイバー「申し訳ないがツムギ。このお二人は、どうやら私の知り合いのよう
だ」
梓「そうなんですか?」
メイド(キャスター)「……はい。そのようで」
セイバー「……」
アーチャー(キャスターの顔が引きつってる。猫かぶりがそんなに大変?)
執事(アサシン)「どうぞ」
律「りんごジュースうまー」
アーチャー(アサシンの方は、随分と手慣れてる。これは――)
セイバー「ユイ、失礼します」
唯「う、うん」
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:43:20.72 ID:golYm8qy0
…
セイバー「これは、どういうことです?」
キャスター「別に。話すことでもないわ」
セイバー「……ここで戦いたくはない。ユイの友人を巻き込みたくはない」
アサシン「それはお前次第でもあるのだぞ。セイバー。お前がここでもめ事
を起こすのであれば――こちら側に拒む理由はない」
キャスター「わかった? セイバー。貴女には効いてないかもしれないけど、
この屋敷全体が私の結界みたいなものなのよ?」
セイバー「!?」
キャスター「もちろん、この屋敷全員を殺す。なんていうことは、マスターが
許さなかったけれどね」
セイバー「どういった結界かを問うて、答えるか?」
キャスター「答えるわけないじゃない。一つ安心させてあげるとしたら、今の
時点で、害はないわよ」
アサシン「ここで結界を使用していたとしたら、お前のマスターたちはこの
部屋に入る前に死んでいる」
セイバー「……争う理由は?」
キャスター「今はないわ。精々パーティを楽しみなさい。セイバー」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:48:01.00 ID:golYm8qy0
…
セイバー「ただいま帰りました」
唯「おかえり、どうだった?」
セイバー「……」
梓「?」
セイバー「楽しくやっているみたいです。友人として安心しました」
紬「そう? よかったわー」
澪『……アーチャー』
アーチャー『もちろん嘘だよ。しかし、セイバーの表情が明るいところを見る
と、どうやら最悪の状態ではないということね』
律「にくうまー」
アサシン「おやおや、口の周りについていますよ」
律「……」ふきふき
アサシン(この娘から……僅かに魔力の匂いがする。これは一体……)
律「ありがと。お兄さん」
アサシン(女狐に報告しなければならぬか)
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 15:53:51.66 ID:golYm8qy0
セイバー「ユイ、あとで話が」ひそひそ
唯「うん」
梓「ゆいせんぱーい!」だきっ
唯「うわ!」
セイバー「アズサ……未成年だというのに、お酒を飲んでますね?」
梓「ゆいせんぱいかわいいー!」
唯「ちょっと待ってあずにゃん! くるしいよー」
梓「離れませんー」
和「梓ちゃんって、実は唯のこと……」
憂「!?」
澪「まさか、な」
紬「タマリマセンワー」
さわ子「まったく、見てるのが私じゃなかったら退学よ退学」
律「うわあああああああああ!! さわちゃんいつから!?」
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:01:14.93 ID:golYm8qy0
さわ子「いつからって、あなたたちが来る前からよ」
律「気付かなかったー」
さわ子「私はこの場に相応しい女だからよ」
和「さっきからセレブな男を見つけては声かけてる人がなにを……」
さわ子「それは触れないのー!」
セイバー「ユイ、この方は?」
唯「山中さわ子先生。担任で顧問の先生なんだよー」
セイバー「そうですか。サワコ、私はセイバー。ユイの家でお世話になってい
る留学生です」
さわ子「あら綺麗な子。色んな衣装着せたくなるわね」
セイバー「衣装? あなたは衣服を作れるのですか?」
さわ子「自慢じゃないけど、得意な方よ」
律「ジャンルはアレだけどな」
セイバー「……ユイは、良い人たちに囲まれているのですね」
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:10:03.97 ID:golYm8qy0
唯「……そろそろ帰ろうか。もう11時だもん」
澪「それもそうだな。夜道は危険だから、梓は特に気をつけろよ」
梓「それは私がー、小さいからですかー?」
澪「酔ってるからだ。ふらふらじゃないか」
律「私が送っていくよ。ほら、掴まれ梓」
梓「ゆいせんぱいがいいー」
憂「……」じー
梓「……律先輩でいいです」
律「それじゃあ行くよ。ありがとな、ムギ」
紬「ううん。また明日ね」
セイバー「綺麗な服を貸していただいてありがとうございました。彼女たち
にもよろしく伝えてください」
紬「ええ。斎藤、皆さんを玄関までお見送りして」
斎藤「承知しました」
セイバー「……」
斎藤「後ほど、お話がありますので平沢様とご一緒に裏に来てください」
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:16:53.60 ID:golYm8qy0
…
唯「セイバーちゃん、どうしたの?」
セイバー「あの執事、只者ではなかった。もしかすると、戦闘になるかもし
れません」
唯「う、うん!」
斎藤「時間を取らせてしまって、申し訳ありません。セイバー様。平沢様」
唯「ムギちゃんの――」
斎藤「執事の斎藤でございます。以後、お見知り置きを」
セイバー「ただの挨拶だけではあるまい。私たちだけを呼び出したというこ
とは、大体察しがつく」
斎藤「さすがは最良のサーヴァント、セイバー。その直感は神が如しと訊き
ますが、まさしくその通りでございます」
キャスター「パーティは終わって、私たちが戦わない理由はなくなったわ」
アサシン「左様。存分に死合おうじゃないか」
セイバー「……ユイ、アーチャーとミオを呼びましょう」
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:21:21.58 ID:golYm8qy0
唯「わかった」
キャスター「それは出来ないわよ。だって、もうこの屋敷は出られないし入れ
ないもの」
セイバー「先刻の結界か」
キャスター「そうよ。アーチャーがいたことも気がついてたけれど、正体が
知れてる貴女から殺った方が効率いいもの」
セイバー「――なぜ、私の真名を知っている」
キャスター「……さあ。教える理由がないもの」
アサシン「キャスター。ここは拙者が」
キャスター「好きになさい。ただし、やるなら三人で」
アサシン「一対一を許しては?」
斎藤「なりません。勝率は、上がられるだけ上げるべきです」
アサシン「……左様か」
セイバー「……まずいですね」
唯「セイバーちゃん……」
セイバー「もし、私の真名を本当に知っているのなら、宝具を使います。いいですか?」
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:29:49.63 ID:golYm8qy0
唯「……うん。セイバーちゃんに任せるよ」
セイバー「感謝、します」
アサシン「姓は佐々木、名は小次郎。知っての通り無名の剣士だ」
キャスター「名を名乗る必要はあるの?」
アサシン「名乗ったところでどうということでもあるまい。むしろ、これが
我々武士の習わしだ」
斎藤「キャスター、強化を」
キャスター「――ええ」
セイバー「――来るか!」
アサシン「ああいくさ。不本意ではあるが一対三だ。これをどのようにして
覆す?」
斎藤「私にも目的がありますので、失礼します」
セイバー「――ハアアアアアアアアアアア!!!!」ビュオン
唯「え? 風?」
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:35:47.55 ID:golYm8qy0
キャスター「セイバーを中心に、突風が吹いてる――」
アサシン「これが、セイバーの宝具か」
セイバー「真名を知っているのならいい。それならそれで、私本来の戦い
方をするまでだ」
唯「セイバーちゃん?」
セイバー「ごめんなさい、ユイ。もしかすると、魔力を使いきってしまうかも
しれません」
唯「……なら、私がおぶって帰るから、平気だよ」
セイバー「ありがとうございます」
アサシン「これは、形勢が変わるやもしれぬぞ」
キャスター「ここは私の陣地なのよ? あの英雄の宝具くらい、受け止められ
る筈」
アサシン「そうは言っても、相手は最強の聖剣だ。無傷では済まんだろう」
セイバー「いきます――」
キャスター「――ごめんなさいね。アルトリア。その光を食らうわけにもいか
ないわ」
セイバー「!?」
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 16:41:06.88 ID:golYm8qy0
――ビル屋上――
アーチャー「あちゃー。セイバーったら、宝具使ってる」
澪「仕方ないだろ。私たちが介入できないんだから」
アーチャー「それはそうだけど、これで私にもセイバーの正体分かっちゃった
わ」
澪「誰?」
アーチャー「アーサー王。といえば日本人でも知ってるわよね」
澪「アーサー王って、イングランドの?」
アーチャー「そう。エクスカリバーの人よ」
澪「でも、アーサー王は王様だろ? セイバーは女の子じゃないか」
アーチャー「だから、アーサー王は女の子だったのよ。私だって信じられな
いわ」
澪「性別を偽ってたってことなのか」
アーチャー「そうみたいね。道理で女の子らしいことが苦手なわけよ」
澪「――ランサーやバーサーカーのマスターは見たかな」
アーチャー「わからない。少なくともキャスターたちにはバレてしまった。
セイバーがアーサー王で、エクスカリバーの所有者だということがね」
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:08:04.08 ID:golYm8qy0
…
セイバー「ハァ……ハァ……」
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「申し訳ありません。まさか、瞬間移動だなんて……」
唯「そんなのいいよ。大丈夫?」
セイバー「風王結界を解いただけで、ここまで疲労するとは思いませんで
した。魔力が不足していたわけではないのに――」
唯「肩掴まって、結界も解けたみたいだよ」
セイバー「そのようです。どうやら、キャスターたちは確認のために、私に
宝具を使わせたようです」
唯「……アルトリア」
セイバー「アーサー王と呼ばれた、この私の真名を確認したかったのでしょ
う」
唯「セイバーって名前よりもずっとずっと可愛いよ」
セイバー「その名前は捨てました。私はセイバー。貴女の剣です」
唯「……」
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:14:07.35 ID:golYm8qy0
――次の日・夜――
セイバー「申し訳ありません」
唯「なにが?」
セイバー「私の魔力が回復しないために、見回りが出来なくなって」
唯「あはは。そんなのいいよ。アル……セイバーちゃんのためだもん」
セイバー「ですが……」
唯「いいったらいいの。セイバーちゃんは私を守るために、魔力を使って
くれた。だったら、半人前以下の私はセイバーちゃんに付き合うの」
憂「おねえちゃーん。ごはんできたよー」
唯「ご飯だって、セイバーちゃん。今は食べよ」
セイバー「――はい。貴女は、私が今まで出会ったどんな人間よりも温かい」
唯「なんか照れちゃうな~」
セイバー「本心からですよ。ここまでサーヴァントを気遣うマスターはいない」
唯「うーん。セイバーちゃん可愛いから、他の人も優しくするよ」
セイバー「……前のマスターは、そうではなかったものですから。嬉しいのです」
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:17:25.12 ID:golYm8qy0
セイバー「――やはりウイの料理は素晴らしいです」
憂「えへへ、ありがとうございます」
セイバー「笑った顔が、本当にユイに似ていますね」
唯「そりゃあ姉妹だからねー」
セイバー「しかし、性格はまるで違いますね」
唯「ぶー」
憂「お姉ちゃんはゴロゴロの天才だよっ」
唯「わーい。ありがとーういー」
セイバー(褒めているのだろうか)
セイバー「それにしても美味しいです。この煮物は特に」
憂「あ。それはお隣のおばあちゃんからいただいたものなんですよ。お口に
合ったようでしたら、よかったです」
セイバー「そうなのですか。まさに日本の味ですね。醤油万歳」
唯「あははー。セイバーちゃんってご飯のときは面白いね!」
セイバー「ムム」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:22:20.56 ID:golYm8qy0
唯「セイバーちゃーん」
セイバー「なんでしょうか」
唯「セイバーちゃんの笑顔。私も好きだよ」
セイバー「なにを唐突に! 脈絡というものがありません!」
憂「私も好きー」
セイバー「ウイまで!」
唯「――だからさ、セイバーちゃんが笑っていられるように、私も頑張る」
セイバー「ユイ……」
憂「お姉ちゃん、セイバーさん。おかわりは?」
唯「いただきます!」
セイバー「ええ、いただきます。大盛りを所望します」
憂「りょーかーい」トテトテ
セイバー「……私も、ユイとウイの笑顔を守りたい」
セイバー「いいえ、出来れば。誰の泣き顔も見たくない」
セイバー(今度こそは、絶対に――)
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:27:20.25 ID:golYm8qy0
――秋山宅――
アーチャー「ひまー」
澪「漫画でも読んでれば?」
アーチャー「ミオんちの漫画は読みつくしたー。たまには少年漫画も
買いなさいよー」
澪「いやだよ。私は甘い恋の物語が好きなんだ」
アーチャー「キー」
澪「勉強の邪魔はしないでくれよ」
アーチャー「……外でも見るわ。千里眼で遠くまで見てる」
澪「便利だな」
アーチャー「便利よー。ミオも欲しい? 訓練すればある程度までは――あ、
あそこの新婚さんキスしてる」
澪「目が良いのは便利だけど、そういう出刃亀はよくないだろ」
アーチャー「暇なんだもの」
澪「はいはい」
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:33:59.92 ID:golYm8qy0
アーチャー「そういえば、ミオって好きな人いるの?」
澪「!?」
アーチャー「花も恥じらう女子高生なんだから、好きな人くらいいるでしょ?」
澪「うう……」
アーチャー「もしかして、もう彼氏いた?」
澪「いるわけないだろ!」
アーチャー「おお! びっくりした」
澪「……」
アーチャー「なんか、ごめんね。気分害しちゃったみたいで」
澪「……よ」
アーチャー「え?」
澪「好きな人、いるよ……」
アーチャー「そっか。誰?」
澪「……律」
アーチャー「あー。あの元気のいい子かー。うん、問題ないよ。大丈夫」
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:40:16.93 ID:golYm8qy0
澪「?」
アーチャー「お似合いだよ。ミオとリツは」
澪「あり、がと……」グスっ
アーチャー「泣かないの。大丈夫だから。ね?」
澪「うん……」
アーチャー(しっかし、まずいなぁ。バーサーカーのマスターがミオの好き
な人か……ホントに困った)
澪「……」
アーチャー「……あれ? 寝てる?」
澪「すー」
アーチャー「このままじゃあ風邪ひくよ。よいしょっと」
澪「……」
アーチャー「ホントに可愛いんだから。私のマスターは」
アーチャー「おやすみ。澪」ちゅっ
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:47:03.71 ID:golYm8qy0
――次の日・3-2――
律「みおー!」
澪「り、律! おはよ!」
律「おはよう。それでさ、今日は部活なしだから梓にメールしといてくれな
い?」
澪「ああ。それくらいならいいけど。どうしたんだ?」
律「ちょっと家の用事があってさ」
澪「わかった。それじゃあ梓に伝えておくよ」
紬「……どうしたの?」
律「ムギか。今日は部活なし! おっけー?」
紬「ちょうどよかった! 今日は私もお出かけしなきゃいけなかったの!」
律「そうだったのか! ならちょうどよかったな」
澪「唯にも言っておかなきゃな」
唯「私はここにいるけどね」
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:57:49.41 ID:golYm8qy0
澪「いつからいたんだよ」
唯「最初っからいたよ! だってここ、私の席だよ!?」
律「いけね」
和「ついついね」
唯「いじめだー。ムギちゃーん!」
紬「よしよし」なでなで
律「まあいいや。今日は部活なし! いいな!」
唯「うぅ~。セイバーちゃんに言いつけてやるー」
律「うう。それは勘弁。セイバーって、委員長タイプじゃん」
和「そうね。実に話しやすいわ」
唯「可愛いしねー」
アーチャー『サーヴァントを自慢する奴、初めて見た』
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:07:34.85 ID:golYm8qy0
――放課後――
唯「りっちゃん、澪ちゃん! じゃあねー」
律「おー!」
澪(私の幸せな時間が始まったー)
アーチャー(ミオが浮ついている……)
澪「りーつー」
律「なんだよ。気色悪い」
澪「!?」
律「いや、悪い意味で言ったんじゃないからね。いつもの澪じゃないなって」
澪「いつもの私……」
律「こらー律ー! みたいな感じだよ」
アーチャー『やっぱり、そう見られてるみたいね』
澪「そんなに暴力振るってるかな。私って」
律「わりとね。でもまあ、澪はそれでいいんだよ」
律「私の隣で、ずっと笑っててくれよ」
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:11:24.14 ID:golYm8qy0
澪「今のって、愛の告白だったりする?」
律「ちげーし」
澪「へー」
律「ちげーし!」
澪「りっちゃーん」
律「やめーい!」
アーチャー(リツは、ミオがマスターだって気がついてるのかな。どうなんだ
ろう)
律「みおー!」
澪「は、はい!」
律「大好きだぞー!!」
澪「ひゃ、ひゃい!!」
梓「……」
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:23:09.96 ID:kOt0m49j0
少し読んだけど、ヒラサワと唯の戦いってやる予定??
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:30:25.21 ID:golYm8qy0
――夜・?――
バーサーカー「■■■――!!」
キャスター「バーサーカー! アサシンはどこに――」
律「あの侍だったら、もう消えちまったよ」
キャスター「!?」
律「バーサーカー。やっちまっていいぞ」
バーサーカー「■■■■■―――――――!!!!」
キャスター「そ、そんな……。斎藤――!」
斎藤「……ここまででしょう。キャスター」
キャスター「そんな――私は、戻らなきゃ――」
ぐしゃ
バーサーカー「■■■――――――!!!!」
律「おっと忘れてた。キャスターはまだ殺すなよー。防音の結界は維持して
おかないと」
律「――さあて、来いよ唯。セイバーとバーサーカーを戦わせようぜ」
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:36:39.90 ID:golYm8qy0
…
セイバー「ユイ、アサシンが消えました」
唯「わかるの?」
セイバー「この街には、魔力が殆ど感じられない。その中で、魔力が大きい
ものは自ずと限られます」
唯「あ、それで大きな魔力がなくなったんだ」
セイバー「はい。相手は恐らくバーサーカーでしょう」
唯「……ちょっと待って」
セイバー「はい」
唯「アサシンって、あの侍さんだよね。佐々木小次郎っていう」
セイバー「そうですね。小次郎とは、一度戦ってみたかった」
唯「ってことは、ムギちゃんが危ない!!」
セイバー「い、今スグにミオとアーチャーを! ツムギの家に向かいます!」
唯「うん!」
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:41:18.85 ID:golYm8qy0
――琴吹邸前――
澪「唯!」
唯「澪ちゃん!」
セイバー「ツムギは無事ですか!?」
アーチャー「ツムギなら無事よ。ただ、従者のほうは……」
澪「……入れるか? アーチャー」
アーチャー「もちろん可能。防音の結界は張ってあるけど、別に問題は
ないわ」
セイバー「キャスターの魔力はかなり弱まってますね」
アーチャー「バーサーカーに半死半生にされてるわね。あの狂戦士に、
よくもまあそこまで器用なことさせられるわ」
セイバー「ええ」
アーチャー「!?」
澪「アーチャー?」
アーチャー「ミオも入ってきて。この結界、魔力も遮断されてる」
セイバー「マスターとサーヴァントが離れると、魔力の供給が止まるというこ
とですか。ユイ、行きましょう」
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:46:39.91 ID:golYm8qy0
床「カツーンカツーン」
澪「まったく人気がないな」
アーチャー「……どうやら、この建物に人間は一人しかいないみたいね」
唯「一人?」
アーチャー「バーサーカーのマスターに決まってるじゃない」
唯「うう……」
セイバー「私のマスターをいじめないでくれますか?」
アーチャー「はいはい。言っとくけど、足手まといにはならないでよね」
唯「わかってるよ」
セイバー「――アーチャー」
アーチャー「いるわね。近いわ」
唯「バーサーカー……」
セイバー「あのパーティ会場から、大きな魔力が一つ。微弱な魔力が一つ
あります。おそらく、あそこに」
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:55:08.41 ID:golYm8qy0
律「――来たか」
アーチャー「罠かどうかは知らないけど、かかってやったよ」
セイバー「ここからは、そうはいきませんが」
律「罠ってわけじゃあないんだけどね」
バーサーカー「――■■■!!」
唯「……え?」
澪「うそ……」
律「唯、それとやっぱり、澪だったのか」
澪「――り、つ?」
律「律だよ。まごうことなく、田井中律。バーサーカーのマスターだ」
唯「あ、ああ……」
セイバー「ユイ、気をしっかり保ってください」
アーチャー「ミオも、この部屋から一歩でも出たら、魔力供給がなくなる」
澪「――」
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:01:10.77 ID:golYm8qy0
律「いくぞバーサーカー。もしかすると、今日で終わるかもしれない。だから、
聖杯戦争は今日で終わらせる」
セイバー「……」
唯「りっちゃんが……」
律「唯ぃ。悪いけど、私は手加減できないんだ。必要とあれば、残念だけど
唯でも殺す。そして、今が必要な時だ」
唯「りっちゃん……」
澪「律! やめてくれ! 殺し合いなんだぞこれは!」
律「だったら澪が殺されてくれ! 私は、もう一歩も引けないんだ!」
律「殺れ! バーサーカー!!」
バーサーカー「―――――――――――――――!!!!!!!」
アーチャー「ぐっ!!」
澪「アーチャー!!」
セイバー(どういうことなんだ。バーサーカーのパワーが上がっている!?)
律「食え! 食え! 喰え! 喰らっちまえ!!」
アーチャー「そういう、ことね」
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:06:57.25 ID:golYm8qy0
澪「どういうことなんだ? バーサーカーの力が上がってるなんて」
セイバー「命を、生命力を吸収しています。おそらくキャスターやアサシンの
魔力も」
唯「そんなことって――」
セイバー「今まで以上の力を手にしたことで、マスターに負担が重くなった
のでしょう。そして、リツは正規のマスターではない」
律「バーサーカー!!!」
アーチャー「あちゃー。ミオんちから持ってきた万年筆じゃあきついなー」
セイバー「当たり前です! なにを考えているのですか!」
アーチャー「仕方ないじゃない。ワタシには、あなたみたいな立派な宝具
はないんだから」
セイバー「……一体、貴女は何者なんですか」
アーチャー「私にもよくわかんない。ただ、ちょっと変えてもらいたい未来が
あるのよ」
セイバー「そのために、聖杯を?」
アーチャー「実現可能かはわからないけどね」
唯「……」
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:09:19.94 ID:JwR99wrj0
しえんだよ!!
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:14:02.45 ID:golYm8qy0
バーサーカー「――――■■■!!!」
アーチャー「はい、セイバーに質問。私は今、なにを考えているでしょ
う!」ギィン
セイバー「わかりません!」カン!
アーチャー「あなたたちは逃げなさいってこと!」
セイバー「アーチャー!?」
アーチャー「このバーサーカーには絶対に勝てない。だから、私が――」
セイバー「犠牲になる、というのですか?」
アーチャー「ふぅ……」スタっ
澪「アーチャー?」
アーチャー「ミオ、令呪は残しておきなさいね」
澪「アー……チャー?」
アーチャー「心配しないの。あなたの恋人は、絶対に殺さないから」
澪「でも、魔力が――」
アーチャー「単独行動のスキルで、一日くらいは平気なのよ。だから、行きな
さい」
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:19:45.77 ID:golYm8qy0
セイバー「ユイ、ミオ。逃げますよ」
唯「セイバーでも、勝てないの?」
セイバー「はい。勝てません」
澪「アーチャー?」
アーチャー「ああ。そうだそうだ。セイバーに聞いとかなきゃいけないことが」
セイバー「なんですか?」
アーチャー「さっき足止めするって言ったけどさ。別段、アレを倒してしまって
も、構わないんでしょ?」
セイバー「――」
澪「倒しちゃってよ」
セイバー「ミオ?」
澪「りっちゃんが苦しんでる。その元凶を、倒して帰ってきなさい!」
アーチャー「――うん。令呪が効いてる効いてる。期待にお応えします。
マスター」
セイバー「さあ、二人とも私に掴まって」
アーチャー「せいやっ」ヒュッ! ガラガラガラー
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:21:31.07 ID:fJBwVVZvO
おもろい
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:24:05.74 ID:golYm8qy0
セイバー「天井に穴が空きましたね。いきますよ――!」
アーチャー「ヒラサワユイ!」
唯「!?」
アーチャー「なにがなんでも、大切だと思った人間を守り抜きなさい!」
唯「……」
アーチャー「それが――甘ったれの貴女がこれから心に刻むことよ!」
唯「――わかった!」
律「……いいの? 一人でさ」
アーチャー「良いに決まってるじゃない」
律「瞬殺して、すぐにセイバーを殺しに行くから」
アーチャー「そうはいかないって。ミオがいなくなって、ようやく本気で、
残虐ファイトできるんだからさ」キュイイイン
律「!?」
アーチャー「――この宝具に見覚えある? そう、『ギー太』だよ」
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:31:13.22 ID:golYm8qy0
律「うそだろ。おい」
アーチャー「うそではないよ。りっちゃん」
律「ゆ、唯。平沢唯なのか?」
アーチャー「そうだよ。ワタシは唯」
律「……英霊になったのか」
アーチャー「色々あってね。どうしてもやり直したいことがあるのよ」
律「訊いてやりたいところだけど、そういうわけにもいかないんだ。親友を
殺すのは気が引けるが、いけ、バーサーカー」
アーチャー「それじゃあ、私だって初めから全開でいくよ」
アーチャー「この私、英雄になりきれなかった『真鍋唯』が!」
バーサーカー「――――――!!!」
アーチャー「来なよ狂戦士。あなたのハートじゃあ、私は絶対に揺るがない!」
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:37:19.38 ID:golYm8qy0
バーサーカー「――――――!!!?」
アーチャー「あれ? ヘラクレスの時代には音楽ってなかったっけ?」
律「それが音楽――?」
アーチャー「あれれ、違ったかな。一応生前はこれでご飯食べたんだけど」
律「不快音? ……いや、違うな。わからないぞ。これは一体――」
アーチャー「さあ? 私にもよくわからないよ。いつからか、私の音楽は
音楽ではなくなったんだから!!」
バーサーカー「―――――――――!!!!!!」
律「なに足止めてんだ!! バーサーカー!」
アーチャー「動けないよ。私の音楽はそれくらいファンキーなの」
律「なに、したんだ?」
アーチャー「別にー。ぺらぺらと自分の能力語るほど、私は馬鹿じゃない
もの」
律「大人になったってことかよ」
アーチャー「悲しいけどね」
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:44:20.42 ID:golYm8qy0
律「バーサーカー!!!!」
バーサーカー「■■■!!!!」
アーチャー「しまった!」
アーチャー「いたたた……。でもまあ、ギー太は無事だから平気だね」
バーサーカー「――――――――!!!」
アーチャー「やっぱりやりにくいなぁ。防御できない音っていう概念が
いけないね。うん」
アーチャー「幻聴圧音(トレーニング・ワン)」
アーチャー「―――――――!!!!」
バーサーカー「!!!!!??????」
律「?」
アーチャー「解説すると、私の声を一点集中でバーサーカーに飛ばしたの。
もう、バーサーカーはりっちゃんの命令を耳で聞くことはないよ」
律「――」
アーチャー「耳を、というよりも三半器官を狂わせたから、バランス感覚も
失った。これで、戦闘面で私が有利になったわ」
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 20:47:55.69 ID:golYm8qy0
律「バーサーカー!」
アーチャー「だから、聞こえないの。三半規管が壊れたサーヴァントを
倒すのなんて――」
バーサーカー「―――――――■■■!!!!」
アーチャー「ほうら簡単。グミャグミャの視界では、私が投げた石くれも
避けられないね」
アーチャー「……勝っちゃった」
バーサーカー「――」
律「よし」
バーサーカー「―――――――!!!!!!」
アーチャー「うわ!!」
律「バーサーカーは死なないんだ! むしろ、もうお前の声の攻撃は
通用しないぞ!!」
アーチャー「それは困った。トレーニング・ワンは結構な切り札だったのに」
アーチャー「――でも、まあいいや。何度でも蘇るなら、その度に殺しちゃう
んだから」
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:08:47.40 ID:golYm8qy0
バーサーカー「―――――!!」
アーチャー「りっちゃんも焦ってきたね。でもまあ、私だって結構強いんだ
からね」シュタッ
律「飛んだ!?」
アーチャー「――いい? 私は何度だってバーサーカーを倒すよ」
バーサーカー「■■■■■―――――!!」ブオン
アーチャー「は?」ゴシュ
アーチャー「痛ったあ……」
アーチャー「でも、まあ攻撃は成功かな」
アーチャー「触れるためにある指先(チューニング・ツー)」
バーサーカー「■■■――――――!?!??」
律「バーサーカーの目が――!」
アーチャー「世界で一番器用で、力のある指先で突っついたんだもの。そ
りゃあ、目くらい潰せるよ」
アーチャー「嫌な感触だよねー」
アーチャー(そうは言ったけど、バーサーカーはまだ倒れないんだ。これは、
耐久戦になったら勝てないね)
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:15:11.11 ID:golYm8qy0
アーチャー(私はバーサーカーを、少なくとも二回は殺している)
アーチャー「それでも、ねえ」
律「急げ! 急いで殺すんだ! バーサーカー!!」
律(なんなんだコイツ! 唯のくせに、どうして宝具級の技をこんなに
持ってるんだよ!)
アーチャー「……よし、この石にしよう」
バーサーカー「■■―――!!」
アーチャー「投げ飛ばす三角(オクターブ・スリー)」ヒュッ
律「!?」
アーチャー「今までの投擲とは段違いでしょ? これこそ、私が弓兵に
カテゴライズする由来となった宝具よ。ただ単に投げるだけだけど、
渾身の魔力を込めてある。防御一切無視、ダメージ固定の技」
バーサーカー「!!!!!!!!!!!」
アーチャー「吼えないでよ。うるさいから」
バーサーカー「■■!!!!」ブン!
アーチャー「うわ!」
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:22:07.72 ID:VyJPkh7dO
追い付き支援
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:26:41.45 ID:golYm8qy0
律「いいぞバーサーカー!」
アーチャー(掠めただけで、左肩が壊れちゃったみたい。困ったなぁ、どん
どん生き返るスピードが上がってきてるみたい)
アーチャー(普通のサーヴァントなら、とっくに勝ってるっていうのに!)
アーチャー「!」
照明「ガシャン」
律「――あれ?」
律「唯は、どこにいったんだ?」
律「バーサーカー! 注意しろ! 私を狙ってくる!」
アーチャー「四糸切断(オクターブ・フォー)」
律「!?」
バーサーカー「■■■!!!」
アーチャー「ギー太の弦が切れなくってよかった。……これで4回目だね」
バーサーカー「……」
律「この暗がりで、確実にバーサーカーを殺してる……」
律「バーサーカーが、防御の体勢をとるなんて……ありえない」
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:30:37.47 ID:1ksCNtz6O
しし
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:31:53.71 ID:golYm8qy0
アーチャー「あと、どれくらい命が残ってる? ヘラクレス」
バーサーカー「……」
アーチャー「来なよ。カウンターとるからさ」
バーサーカー「……」
律「なにやってるんだバーサーカー! さっさとそのとれかけの腕と足
くっつけろ!」
アーチャー(……澪ちゃんは、逃げ切れたかな)
バーサーカー「ルオオオオオオオオオオオオ!!!!」
キャスター「……」
バーサーカー「■■■――――!!」
律「まずい! キャスターを食うな! 結界が――」
アーチャー「……まだ、強くなるのね」
律「バーサーカー!」
バーサーカー「――」
アーチャー「別に音なんて気にしてないさ。これでベストコンディションなんで
しょ? それなら、私はそれ以上の強さで以て貴方を死に至らしめる」
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:40:52.10 ID:golYm8qy0
律(なんでだ)
律(なんで、怯えない)
律(なんで、怖がらない)
律(勝てると思ってるのか? キャスターの魔力を取りこんだバーサーカー
を、倒せると本気で思っているとでもいうのか?)
律「――諦めてくれよ……。いい加減さぁ」
アーチャー「諦めて、引き返すほどの常識と勇気さえあれば、私はここに
いなかったのかもしれないわね――」
律「!!」
アーチャー「和を喪ったあの日から、私は巻き戻すまでは死んでも消えて
も、どうあったって諦めない! 命を、心を、この身体を!!」
アーチャー「ヘラクレス、あなたの命がいくつあるのかは知らない。けれど、
これで全て吹き飛ばす――!」
バーサーカー「―――■■■!!」ブン
アーチャー「くっ! ……背骨も、もうダメみたいね」
アーチャー「……澪ちゃん、もしかしたら駄目かもしれない。でも、諦めない!」
アーチャー「――H・T・T(放課後ティータイム)」
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:48:06.21 ID:golYm8qy0
…
澪「!!」
唯「澪ちゃん?」
澪「アーチャーが……アーチャーが……」
セイバー「……令呪が、消えましたか」
澪「……」こくり
唯「アーチャー……」
澪「アイツ、結局自分のことなにも教えてくれなかった!」
澪「仲間だったのに!」
澪「友達、だったのに――」
セイバー「……アーチャーの無念は、私が必ず討ちます。ミオも、協力
してください。それと――」
澪「!」
セイバー「貴女のように、サーヴァントのために泣いてくれる人がいること
を、私は誇りに思います。どうか、今はアーチャーのために泣いてあげて
ください」なでなで
澪「う……うわああああああああああああああ!!!!!」
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:50:49.24 ID:1ksCNtz6O
ししゃも
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 22:51:58.72 ID:yKPXTtV6P
支援
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 23:00:49.19 ID:golYm8qy0
…
律「な、なんだっていうんだよ。アイツ」
律「殺していきやがった……」
律「12あるヘラクレスの命。その半分以上の7回も――」
律「……くそ! ヘラクレス! さっさとしろ! セイバーを殺しに行くぞ!!」
?「セイバー、とほざいたか。下郎」
律「!?」
?「セイバーを殺す? 否、そのような真似は断じて出来ん」
律「え?」
?「――なぜなら、アレは我(オレ)のものだからだ」
?「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」
バーサーカー「!?」
?「ほう、数多ある命とは、さすがは神の子ヘラクレスよ」
?「それでも、この我には敵わんよ」
律「……あ」
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 23:03:53.47 ID:3ATrJwDG0
遂にギル様来たか
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 01:44:37.62 ID:SzDG1KiA0
Fateはアニメしか見てねーから展開が読めそうで読めない
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:40:20.31 ID:NNzMgtzt0
――次の日――
セイバー「――」むくっ
唯「すーすー」
澪「んん……」
セイバー「あどけない寝顔だ。私は、この子たちを戦いに巻き込んでしまっ
た。……聖杯戦争とは、あまりにも非道なものだ」
セイバー「――それでも」
セイバー「それでも、私は彼女たちを巻き込んでしまったのだ。ならば、
私にはこの子たちを守る義務がある」
唯「――ぅ」
セイバー「……ユイ」
唯「……ん?」
セイバー「起きましたか。それでは、朝食にしましょう。ウイが待っている」
唯「……澪ちゃんは?」
セイバー「よく眠っています。――今日は、とにかく寝かせておいてあげまし
ょう」
唯「うん……」
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:45:41.11 ID:NNzMgtzt0
憂「おはよう、お姉ちゃん。セイバーさん」
セイバー「おはようございます。今日の朝食は?」
憂「今日はお休みだから、ちょっと頑張っちゃってみましたー!」
セイバー「ほう、それは素晴らしい。……うん、良い香りだ」
憂「お姉ちゃんも座って座って。澪さんは、まだ寝てる?」
唯「うん。まだぐっすり眠ってるよ」
セイバー「今週は色々と忙しかったですからね。今日は、よく寝かせてあげ
たほうがいいでしょう。……ところでウイ」
憂「はい?」
セイバー「ユイとウイは、姉妹なのですよね?」
唯「そうだよー。私がお姉さんなの!」
セイバー「そのわりには、ウイの方が肉体の発達がいいですね」じー
憂「ど、どこ見てるんですか!」
唯「うう……。少しだけ気にしてるのにー」
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:52:53.10 ID:NNzMgtzt0
憂「セイバーさんは綺麗ですよね。華奢な身体が、守ってあげたくなります」
セイバー「それは素直に喜んでいいのでしょうか」
憂「喜んでほしいですねー。私が男の子だったら、セイバーさんのこと好きに
なっちゃいますよ」
セイバー「フフ。ありがとうございます」
唯「おいしー」もぐもぐ
セイバー「ユイも、ウイに負けないくらいに美しい女性ですよ」
唯「――」もぐもぐ
憂「あ、お姉ちゃん照れてるー」
唯「照れてないもん!」
セイバー「ただ――」
憂「?」
セイバー「日本女性の美しさを、最も色濃く感じるのはミオですね。彼女は、
間違いなく美しい」
唯「――じゃあ、澪ちゃんのサーヴァントになっちゃえばいいじゃん」
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:57:08.64 ID:NNzMgtzt0
セイバー「ユイ?」
唯「ふんだ」
セイバー「あ、あの。そのようなつもりで言ったのでは断じて――」
唯「つーん」もぐもぐ
セイバー「ユイが一番です! ユイは仔犬のような愛らしさがある!」
唯「――」もぐもぐもぐ
憂「……」
セイバー「ユイ……」
憂「フフ」
セイバー「ウイ、どうしたのですか?」
憂「いいえ。お姉ちゃん、意地悪しないの。セイバーさん困ってるじゃない」
唯「……えへっ」
セイバー「ユイ!」
唯「あわてるセイバーちゃん、可愛かったよー。これはお返しお返し!」
セイバー「……まったく、困った人だ」
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:59:58.38 ID:/qqZmQRKO
にやにや
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:02:23.03 ID:959n24Mj0
ほしゅほしゅ
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:06:37.63 ID:NNzMgtzt0
澪「……おはよ」
憂「おはようございます。澪さんもご飯食べますか?」
澪「うん。いただこうかな」
セイバー「私の隣が空いています。どうぞ」
澪「うん……」
憂「どうぞ」ことっ
澪「――いただきます」
セイバー「……」
唯「……ねえ、澪ちゃん」
澪「――アーチャーのことは、もういいよ。それより、これからどうするかだ」
セイバー「……ミオ、貴女は強い人だ。悲しみをバネにして、より大きな
活力にしている。そうそう出来ることではない」
澪「そんなことないよ。強くなんて、ない」
憂「……」
セイバー「ウイにも、話しておきたいことがあります。私が、なにをしていた
のかを」
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:14:38.24 ID:NNzMgtzt0
…
憂「……そうだったんですか。お姉ちゃんたちは、そんなことを――」
セイバー「早く伝えておくべきだとは思ったのですが、本当に申し訳ありません」ぺこり
憂「命の、危険があるんですよね」
セイバー「はい。最悪の場合は命を失います」
憂「――お姉ちゃん、澪さん」
唯澪「?」
憂「――頑張ってね。絶対に、セイバーさんを守ってあげてね」
唯「え?」
セイバー「ウイ、お言葉ですが私が彼女たちを守る立場です。私こそが、
貴女に約束しなければならない」
憂「でも、セイバーさん苦しそうですよ。一人で二人を守るのは大変です。
だから、お姉ちゃんと澪さんも、セイバーさんを守ってあげるくらいの気持ち
がないと、その聖杯戦争には勝てませんよ。……仲間って、そういうもの
ですから」
セイバー「――貴女は、本当に底が知れない。わかりました。サーヴァント
セイバーは、ユイとミオを守る代わりに、守られましょう」
唯「任せてよ!」
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:24:35.93 ID:NNzMgtzt0
澪「……ふう。ごちそうさま、憂ちゃん。すごく美味しかったよ」
憂「それはよかったです。セイバーさんと澪さんに褒められると、なんだか
自信が付きますよ」
唯「ういー」
憂「ういだよー」
唯「私は毎日褒めてるじゃんー」
憂「お姉ちゃんは何食べても美味しい美味しいって言って食べるじゃない。
だから、お母さんとかに食べてもらって感想もらった方がいいの」
セイバー「……そういえば、ユイとウイの両親は?」
唯「あれ? 今はどこにいるんだっけ?」
憂「スペインのバレンシアだよ。うちの両親、仕事とか旅行とかで、よく海外
に行くんですよ。おかげで私の家事スキルがどんどん上がっていってます」
セイバー「そうだったのですか」
セイバー(家事スキル……)
セイバー「ユイ、ウイのデータは見れませんか? 料理のレパートリーを
知りたい」
唯「見れないよ……」
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:34:32.80 ID:NNzMgtzt0
テレビ「――大地に咲く一輪の花! キュアブロッサム!!」
テレビ「海風に揺れる一輪の花! キュアマリン!!」
テレビ「ハートキャッチプリキュア!!」きゅりん!
セイバー「……」じー
唯「セイ……と」
澪「セイバーはどうしたんだ? あんなに熱心に見て」
唯「セイバーちゃんって、こういう正義の味方系の番組が好きみたいなんだ
よ。昼間にやってる水戸黄門の再放送も、欠かさずチェックしてるみたい」
澪「変わってるな……」
唯「でも、女の子向けのアニメ見てるセイバーちゃんって可愛くない?」
澪「――ああ。本当に可愛い。妹みたいになでなでしたくなるな」
唯「だよね! セイバーちゃんって委員長タイプだけど、華奢だから、妹
にしたいよ!」
憂「――へー」
唯「!?」
セイバー「ユイ、キュアマリンの宝具はどこに売っているのですか!?」
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:38:06.26 ID:iJpBvzHzO
しし
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:41:09.74 ID:NNzMgtzt0
唯「ふんふーん」ポチポチ
澪「誰にメールしてるんだ? まさか、彼氏じゃないだろうな!」
唯「なななな、違うよ! 彼氏なんていないよ! いたこともないよ!」
セイバー「ユイに恋人がいたとは知りませんでした! ここはドラゴンボール
の視聴を取り止めて、ユイの馴れ初めを聞くことにします!」
唯「セイバーちゃん私の話聞いてた!?」
セイバー「現代日本の女子高生は進んでいると聞きます。昼のワイドショー
という番組では、常日頃から若者への憂いが――」
澪「セイバーが興奮している……」
セイバー「とにかくです! 恋人がいるのならば、疾く、その話を聞かせて
ください!」
唯「いや、だからね」
セイバー「もしかして、悪い男なのですか? その恋人は」
唯(可愛い画像探してただけで、どうしてこうなるの?)
憂「――」にこにこ
唯(憂は怖いし……)
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:46:54.96 ID:NNzMgtzt0
澪「そういえば、アーチャーが言ってたな」
唯「アーチャーが何を?」
澪「サーヴァントって、能力だけでなくて性格もマスターに影響される
んだってさ」
唯「へぇー。そうなんだ」
澪「だから、セイバーが少しくだけてきたのも、唯の影響なのかも」
唯「私、あんなにだらけてる!?」
憂「だらけてるよー」
唯「ういー」
憂「ういだよー」
澪「憂ちゃんは意地悪しないの。……私は、畏まったセイバーも好きだけ
ど、見た目通りの、少しくだけたセイバーも好きだな」
唯「もちろん、私だってそうだよ。マスターだもん!」
セイバー「ウイ、ワンピースが終わってしまいました。そろそろ昼食の
準備をおねがいします」
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:50:31.94 ID:iJpBvzHzO
ししし
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:53:22.27 ID:NNzMgtzt0
憂「お昼はソーメンだよー」ごとっ
澪「涼しげでいいな!」
唯「私、このミカンが好きなんだよねー」ひょいぱく
セイバー「ユイ、お行儀が悪いですよ。食事とは、自身と他者を見直す時間
でもあるのですから」
憂「そうだよ、お姉ちゃん」
唯「うう……」
澪「はは。ホント、どっちが姉かわからないな」
唯「私がお姉さんだもん。いただきまーす」
憂「はいはい。セイバーさんも、たくさん食べてくださいね」
セイバー「はい。話には聞いていましたけれど、このソーメンという食べ物
は非常に涼をとるのに向いている。これがあれば、我が軍はもっと長く
戦えたことでしょう」
澪「アーサー王の時代って、食べ物はどんな感じだったの?」
セイバー「…………………………………」」
憂「?」
セイバー「……………………………雑でした」
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 19:02:00.84 ID:NNzMgtzt0
唯「澪ちゃーん」ごろごろー
澪「ん? どうしたんだ。唯」
唯「今日はパトロール行かないの?」
澪「セイバーに聞いてみなよ。なんだかんだで、リーダーはセイバーなんだ
から」
唯「だってー、セイバーちゃん憂とゲームしてるんだもん」
澪「そうだったのか。意外だな、セイバーがゲームだなんて」
唯「私も意外だなって思ってたんだよ。しかも、けっこうハマってるんだよ」
澪「さらに意外だ。なんのゲームやってるんだ?」
唯「ぷよぷよとかマリオカートとか、結構色んなジャンルのゲームしてるよ」
澪「……よし、うちにコントローラーが二つあるから取ってくるよ」
唯「4人でやるの?」
澪「うん。もう私はマスターじゃないから、他のサーヴァントに狙われること
もないしな。すぐ行ってすぐ帰ってくるよ」
唯「いってらっしゃーい」
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 19:06:57.07 ID:NNzMgtzt0
唯「澪ちゃん、コントローラー取りに行ったよー」
セイバー「……」
憂「……」
唯「な、なにしてるの?」
憂「……」タタン
セイバー「……」タタタタン
ゲーム「KO!!」
憂「ふぅ」
セイバー「目押し失敗しました。ウイ、もう一度」
憂「おっけーです」
唯「あ、スパ4してるんだ。セイバーちゃんって、なんでもできるんだねー」
セイバー「……」タタン
唯「……澪ちゃん、まだかなー」ごろごろー
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