※前編
http://invariant0.blog.2nt.com/blog-entry-131.html
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:13:44.71 ID:NNzMgtzt0
セイバー「……もう、こんな時間ですか」
憂「6時になっちゃいましたね」
唯「ごろごろー」
憂「そろそろ晩御飯の準備しないと――」
唯「今日のご飯はなぁに?」
憂「セイバーさん、何がいいですか?」
セイバー「カレーライスというものを食べてみたいです」
憂「りょーかーい」
唯「わーい! カレーだー!」
セイバー「ユイも、カレーライスが好きなのですか?」
唯「憂のカレー美味しいんだからね!」
セイバー「そうですか……。ミオ、遅いですね」
唯「そうだね。電話してみるね」
ケータイ「プルルルプルルルルル」
?『随分遅かったじゃない。この子なんてどうでもいいのかと、ほんの少し
ばかり心配しちゃったわよ』
351 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:16:56.72 ID:6TEzRAC50
やっぱりか
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:20:05.10 ID:NNzMgtzt0
唯「……誰?」
?『ランサーのマスターって言えばどうかしら。……尤も。貴女は私の
ことは知らないのかもしれないけれど、ね』
セイバー「……」
?『セイバーもいるのでしょう? だったら伝えておきなさい』
唯「……」
?『12時に桜の丘に来なさい。一秒でも遅れたら、この娘は殺す』
唯「――わかった。だから、それまで澪ちゃんにはなにもしないで」
?『当然よ。人質は生きているからこその人質なんだから。――それに、
令呪もなにもない、ただの小娘殺したって、意味なんてない』
?『とにかく、セイバーを連れて来なさいね。これで、聖杯戦争は
おしまいになるんだから――』
ケータイ「ツーツーツー」
唯「……セイバーちゃん。12時に桜の丘に行くよ。そうじゃなきゃ、澪ちゃん
が危ない」
セイバー「わかりましたマスター。ミオは、必ず私が助けます」
353 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:25:50.56 ID:NNzMgtzt0
――23時――
唯「それじゃあ、行ってくるね」
セイバー「ウイは安心して眠っていてください。朝までには、必ずミオを
取り返します」
憂「……いってらっしゃい。絶対に、帰ってきてね?」
唯「当たり前だよ。セイバーちゃんと私のコンビは最強なんだから」
セイバー「最強、ですか。フフ、良い響きですね」
唯「ここから桜の丘までは30分くらいだよ。セイバーちゃんは力を抑えて、
普通に歩いて行くからね」
セイバー「相手は三騎士のうちのランサーです。力は出来るだけセーブ
しておいたほうがいいですね」
ドア「ニコ」
唯「……澪ちゃん、待っててね」
354 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:33:27.69 ID:NNzMgtzt0
セイバー「ユイ」
唯「どうしたの? 神妙な顔しちゃってさ」
セイバー「……おかしいです」
唯「なにが? もしかして、髪寝ぐせってる?」
セイバー「いえ、そういう意味ではなくて。――聖杯戦争が、おかしいとは
思いませんか?」
唯「おかしいもなにも、私は聖杯戦争なんてのも初めてだし、二回目も
きっとないよ。だから、おかしいかどうかもわからない」
セイバー「――そうでしたね。でも、思い出してください。ランサーのマス
ターは、電話で最後なんと言いましたか?」
356 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:35:49.66 ID:NNzMgtzt0
唯「――これで、聖杯戦争は終わりって」
セイバー「それがオカシイのです」
唯「え?」
セイバー「いいですか? サーヴァントは本来7体。セイバー、ランサー、
アーチャー、ライダー、バーサーカー、アサシン、キャスターが基本的
なサーヴァントのクラスです」
唯「そう話してくれてたね」
セイバー「ええ。……では、私たちがライダーのサーヴァントと出会ってい
ないのは、一体なぜですか?」
唯「……あ」
セイバー「そうです。私たちはライダー以外のサーヴァント全員と出会った。
その中で、キャスター、アサシン、アーチャーはバーサーカーによって倒され
ました。そのバーサーカーも、おそらく魔力の消え方からして、アーチャー
と同士討ちになったのでしょう。ただ、それでも説明がいかないのです」
唯「そうだよね。ライダーの情報が、まったく入ってこなかったんだもん」
セイバー「つまり、この聖杯戦争は――」
唯「普通じゃない、ってこと?」
セイバー「少なくとも、私にはそう感じられます」
357 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:37:52.25 ID:iJpBvzHzO
しし
358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:39:42.55 ID:ckSICLqb0
し
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:41:39.88 ID:NNzMgtzt0
唯「きっと、ランサーが倒したんだよ」
セイバー「それならいいのですが……杞憂とは、どうしても思えません」
唯「例えば、セイバーちゃんはどれくらい魔力を感じ取れるの?」
セイバー「人間の魔力は不可能です。ただ、サーヴァントの尋常ならざる
ほどの魔力ならば、ある程度は感じ取れます」
唯「ライダーが、魔力を消してるっていう可能性は?」
セイバー「おそらく0でしょう。ライダーのクラスには、気配遮断も魔力遮断
のスキルもありませんから」
唯「……とにかく、澪ちゃんが先決だよ。ランサーとの戦いに集中しよう」
セイバー「ええ。了解しましたマスター」
唯「あそこが桜の丘だよ。桜の木がずらーっと並んでて、春はすごい
綺麗なんだよー」
セイバー「そうなのですか……。一度は、この国の桜を見てみたいもの
ですね」
唯「……」
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:47:58.01 ID:NNzMgtzt0
――桜の丘――
ランサー「おいおい、随分と早いじゃねえか」
セイバー「一秒も遅れるな、とのことだ。故に、文句のない時間に参上した」
ランサー「俺のところのマスターは面倒な女だねえ。こんな人質なんざ、
取るまでもねえのに」
唯「澪ちゃんを返して!」
ランサー「返すさ返すさ。もともと、俺はこの嬢ちゃんに用事も何もなかった
んだ。マスターの命令でね」
澪「唯! セイバー!!」
セイバー「ミオ、早くこちらへ!」
唯「ミオちゃん、少し下がるよ。セイバーちゃんが、今からランサーを倒す
からね」
澪「うん……」
ランサー「――ああ。そうだ。ちなみにこの一戦に関しては、俺に令呪が
かかっている」
セイバー「――」
ランサー「わざわざ令呪を使うなんて、信頼されてないと思うだろうが。ど
うやら、俺はセイバーを必ず殺せと命じられているらしい――」
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:54:11.70 ID:NNzMgtzt0
セイバー「ランサー、我が誇りにかけて、私は貴様を倒す!」バシュン!
ランサー「全く同じだ! 別に恨みもねえし怒りもねえ! ただ、俺はてめえ
を突き殺す!!」
唯「セイバーちゃん! 頑張って!」
セイバー「当然です!」ギン
ランサー「ほう、剣はもう隠さねえのか!」
セイバー「私の真名は、すでに知っているのでしょう?」
ランサー「無論だ。アーサー・ペンドラゴンだろ?」
セイバー「その通りだ。アイルランドの光の皇子。クーフーリンよ!」
ランサー「その名で呼んでくれるたぁ――嬉しいじゃねえか!」キン!!
セイバー「……そなたの槍技に肩を並べる英雄を、私は二人……否、
一人ほどしか知らない。右に出る者といえば、誰もいないだろう」
ランサー「そんなに褒めるなよ」
セイバー「だが、その槍を超えてこそ、無敗のアーサー王なのだ!」ダッ
364 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 21:58:33.12 ID:NNzMgtzt0
ランサー「ヘヘッ! こうも清々しく武術の比べあいをしたのは久しぶりだ
ぜ!」
セイバー「私もだ!」
ランサー「考えてもみれば、てめえと死合ったのは三回目だな」
セイバー「……二回目では、ないのか?」
ランサー「――ああ」
ランサー「そういうことなんだよな。納得というか、これで完全に帳じりが
あった感じだぜ」
セイバー「なにを言っているのかが、私にはわからない」
ランサー「……話してやりてえって気持ちもあるが。死合っている最中に
無駄話は無用だ」
セイバー「意見が合うなランサー。私も知りたいが、今はこの戦いが、な
によりも優先される」
ランサー「そうなんだよな。過去二回も、俺は自慢のゲイ・ボルグを避けられ
ちまってるんだよな」
セイバー「……」
ランサー「ならば、これしかあるまい」タンッ!!
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:09:41.26 ID:NNzMgtzt0
セイバー「……宝具、ですか」
ランサー「俺たちの戦いは、つまるところ宝具の競い合いだ! 最大火力
のぶつかり合いなんだよ!!」
セイバー「おっしゃる通りだ」
ランサー「いくぞセイバー!!!」
セイバー「ユイ、こちらも宝具を使います! ミオと一緒に頭を下げて!」
唯「りょーかい!!」
セイバー「――」シュウウウウウウウウン
セイバー「――――!!」パアアアアアアアアアアアア!!!
ランサー「突き穿つ(ゲイ)――――死棘の槍(ボルグ)――――――!!」
セイバー「約束された(エクス)―――勝利の剣(カリバー)―――――!!!」
澪「うわああああああああああああ!!!!!」
ランサー「――」にやり
セイバー「――」にやり
ランサー「てめえの、勝ちだ。諦めは悪い方なんだが、これはさすがに駄目だ」
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:09:59.80 ID:iJpBvzHzO
し
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:10:49.54 ID:NNzMgtzt0
セイバー「……宝具、ですか」
ランサー「俺たちの戦いは、つまるところ宝具の競い合いだ! 最大火力
のぶつかり合いなんだよ!!」
セイバー「おっしゃる通りだ」
ランサー「いくぞセイバー!!!」
セイバー「ユイ、こちらも宝具を使います! ミオと一緒に頭を下げて!」
唯「りょーかい!!」
セイバー「――」シュウウウウウウウウン
セイバー「――――!!」パアアアアアアアアアアアア!!!
ランサー「突き穿つ(ゲイ)――――死翔の槍(ボルグ)――――――!!」
セイバー「約束された(エクス)―――勝利の剣(カリバー)―――――!!!」
澪「うわああああああああああああ!!!!!」
ランサー「――」にやり
セイバー「――」にやり
ランサー「てめえの、勝ちだ。諦めは悪い方なんだが、これはさすがに駄目だ」
370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:17:02.87 ID:NNzMgtzt0
セイバー「――ハァ、ハァ!」ガクッ
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「一度宝具を使っただけだというのに、この消耗ですからね。私も、
少しは戦術を考える必要があるようだ」
澪「ごめんね、セイバー。私が誘拐された所為で……」
セイバー「ミオの所為ではありませんよ。ランサーとは、必ず戦わなければ
ならない運命でしたから」
唯「そうだよ。澪ちゃんは悪くないよ」
澪「――ありがとう」
セイバー「すいませんが、肩を貸してください。さすがに、歩いて帰るのは
厳しい」
?「その必要はないぞ。セイバー」
唯「!?」
セイバー「……その、声は――」
?「久しいな。我が花嫁となる、唯一の女よ」
372 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:22:31.34 ID:NNzMgtzt0
唯「セイバーちゃん、だれ?」
セイバー「……出来れば、いいや。絶対に会いたくない男です」
?「それは随分ではないか。我は、こんなにもお前を欲しているというのに」
澪「……この雰囲気」
セイバー「――アーチャー」
澪「!?」
黄金のアーチャー「どうした? セイバー」
セイバー「なにを、しにきた」
黄金のアーチャー「決まっているだろう。サーヴァントは全滅した。つまり、
聖杯は我が手に落ちるということだ」
セイバー「ライダーが残っている筈だが?」フラッ
黄金のアーチャー「アレは初めから存在もしていない。もとより、この聖杯
戦争は6体のサーヴァントでのみ始まっていたのだからな」
セイバー「……ならば、聖杯は私のものだ!」
黄金のアーチャー「そのお前は、我のものなのだよ。セイバー」
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:24:39.53 ID:iJpBvzHzO
しし
374 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:26:15.13 ID:NNzMgtzt0
セイバー「相も変わらず、癇に障る――!」
黄金のアーチャー「癇に障ろうとも、お前は我のものなのだから仕方がない」
澪「……アーチャー?」
黄金のアーチャー「どうした娘」
澪「お前は、だれだ……」
黄金のアーチャー「……フム」
唯「――」
黄金のアーチャー「本来ならば、人間如きに名を訊かれることすら逆鱗に
触れるのだが――今宵は満月、そのうえ、セイバーに再会できたことを
祝って、高々と名乗ろう! 聞き逃すなよ!」
セイバー「……」
黄金のアーチャー「我が名は『ギルガメッシュ』!! 人類最古の英雄王
よ!!」
セイバー「!?」
ギルガメッシュ「どうだ。この世全てを手に入れる男としては十分すぎる
器だろう」
唯「――」ギリッ
375 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:26:21.48 ID:p7rYgzqK0
さわちゃんですね。
376 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:33:44.92 ID:NNzMgtzt0
セイバー「ユイ?」
唯「……なんなの。英雄王なんて言ってるけど、セイバーちゃんとランサーの
戦いが終わるまで、隠れてた臆病者じゃん」
ギルガメッシュ「!?」
唯「アーチャーも、バーサーカーもキャスターもアサシンも、ランサーも、皆
戦って消えていったのに――この人だけは――!」
ギルガメッシュ「口が過ぎるぞ。女」
唯「うるさい! 臆病者くせに、セイバーちゃんはお前のものなんかじゃな
い!」
セイバー「――ユイ」
ギルガメッシュ「――」ギリッ
澪「唯!」
唯「おまえなんかよりも、ランサーたちの方が一億倍カッコいいよ!」
ギルガメッシュ「――死にたいようだな。女」ズオオオオ
セイバー「ユイ!」ガバァ!
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:43:45.46 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「――」
セイバー「……ッ」
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「平気です。……ギルガメッシュの宝具は、あの幾本もの宝具で
す。武器庫から時空を超えて、この世全ての武器を召喚します」
澪「それって……」
セイバー「はい。私の聖剣はないにせよ、その原型もとなった宝具も、あの
武器庫には収められているでしょう」
ギルガメッシュ「……訂正するのならば今のうちだぞ女。今、キサマを
殺すとセイバーが消えてしまうからな」
唯「馬鹿! DV男! 変な髪型!!」
ギルガメッシュ「……残念だなセイバー。おまえの阿呆なマスターの所為
で、我とお前は暫しの別れを、再び経験することとなる」
セイバー「……ユイ、足を見せてください」
唯「――」
セイバー「この傷、ギルガメッシュの剣が掠ったのですね」
セイバー「――!」ギロ
379 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:46:09.37 ID:iJpBvzHzO
しししっ
380 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:48:19.69 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「そうだ。その目こそ、我がお前に魅了された要因よ」
セイバー「私は、お前を赦さない――」キイイイイイイイン
ギルガメッシュ「――解き放つ黄金の輝き、か」
唯「――セイバーちゃん……?」
澪「まずいぞ。セイバーのやつ、ふらふらじゃないか」
唯「あ」
澪「あんな状態で、エクスカリバーを使ったら――」
唯「そ、そんなの嫌だ! セイバーちゃん、止めて!」
セイバー「断ります。たとえマスターの命でも、この男はしてはならないこと
をした――!」
ギルガメッシュ「いいだろう。受けてやろうぞ。貴様の一撃をな」
セイバー「約束された(エクス)――――――」
唯(――そうだ)
唯「アルトリア!! 止めなさい―――――!!!!!!」キイイイイイン
セイバー「―――――!!!」ヒュウウウウウウン……
澪(そうだ。唯は使ってなかったんだ。絶対遵守の令呪を――)
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:51:21.21 ID:iJpBvzHzO
し
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:56:47.77 ID:NNzMgtzt0
セイバー「ユ、ユイ……」ドサッ
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「令呪を、使ったのですね」
唯「ごめんね。セイバーちゃんの意思を捻じ曲げるようなことをして。でも、
黙ってられなかったんだ」
セイバー「……しかし、今の状態では――」
ギルガメッシュ「フフフ――」
セイバー「?」
ギルガメッシュ「アーハッハッハハハッ!!!! 笑い殺す気か貴様ら!
セイバーの剣を止めたところで、殺されるのは変わらんのだぞ!!」
澪「その通りだ。セイバーの聖剣じゃなきゃ防げない。というレベルじゃな
い。もはや、私たちにとってしてみれば、あのサーヴァントの鼻息すら
致命傷になる」
唯「……なら、私が――」
セイバー「無茶を、言わないでください」
ギルガメッシュ「……よし決めたぞ。先刻の暴言は不問としよう」
唯「!?」
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 22:58:11.65 ID:iJpBvzHzO
しし
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:02:48.25 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「まもなく聖杯が降臨する。否、降臨させるのに丸一日は
かかる」
澪「……」
ギルガメッシュ「我が聖杯を手に入れる瞬間を見届けろ。そして、セイバー
が我がモノとなる瞬間に立ち会え」
唯「――」
セイバー「馬鹿なことを……」
ギルガメッシュ「馬鹿なことではない。自然の摂理、否。王の摂理だ」
唯「……わかった」
セイバー「!?」
唯「その条件、呑むよ。明日の同じ時間に、ここだね?」
ギルガメッシュ「ああ。必ず来い。でなければ、聖杯を使ってこの街を火の
海とする」
セイバー「……また、あの災厄を繰り返す気か。ギルガメッシュ」
ギルガメッシュ「あれを災厄? 違うな。アレは我が再び肉体を得た素晴ら
しき日だ。記念すべき日なのだぞ」
セイバー「妄言はいい。とにかく、見逃してもらえるのであれば、私たちは
帰るぞ」
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:06:56.50 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「フフ……」
セイバー「行きましょうミオ、ユイ」
唯「うん……」
澪「セイバー、肩掴まれ」
セイバー「――感謝します」
ギルガメッシュ「――ああ。そうだ」
唯「?」
ギルガメッシュ「バーサーカーを倒したのは、この我だ」
澪「――!」
ギルガメッシュ「貴様らが逃げ出したバーサーカーを、この我はいとも簡単
に打倒しているぞ」
澪「――は」
ギルガメッシュ「?」
澪「律はどうした!?」
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:28:32.95 ID:p00hPI+90
ギル様は唯に対して「雑種」だろjk
唯みたいなメスガキ、女として認識すらしめぇよ
ギル大好きなんでそこだけ気になった
支援
396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:44:45.32 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「リツ?」
澪「バーサーカーのマスターだ! お前がバーサーカーを倒したのなら――」
ギルガメッシュ「――はて、あの場にバーサーカー以外に誰かいたのか?」
澪「!?」
ギルガメッシュ「我が見たのは、神の子ヘラクレスのみ。それ以外には
目もくれぬわ」
澪「……」
ギルガメッシュ「おまえは、足元の蟻を逐一覚えているか?」
澪「――」
唯「ということは――」
ギルガメッシュ「我が殺ったのはバーサーカーのみ。そこに誰かがいたとし
ても、この英雄王が手を下すことはない者よ」
澪「……」ふらっ
セイバー「ミオ!」
澪「だ、大丈夫。気が抜けただけだ」
澪(よかった。……りっちゃん)
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:45:36.00 ID:w8HuNy2h0
クロスssでこんなに面白いのは初めてかも
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:50:21.60 ID:NNzMgtzt0
ギルガメッシュ「我との誓約。努々忘れぬようにな」
唯「――ええ」
澪(ユイが、本気で怒ってる……? こんなのを見るのは初めてだ)
セイバー「明日……」
唯「セイバーちゃんは、絶対に渡さないから」
ギルガメッシュ「それを決めるのは我だ。これは好機にしてチャンス、可能性
にして最後の抵抗。それを許したのだぞ。感謝するがいい」
唯「だれがするもんか」
ギルガメッシュ「その目……。なかなかいいぞ。そそられる」
唯「変態……」
ギルガメッシュ「勝手にほざくがいい。何れにせよ、明日には亡くなる命だ」
セイバー「……」
澪「……行こう。唯」
唯「うん。わかった」
セイバー(魔力不足が深刻だ。これは、なんとかならないものなのか)
399 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:50:26.67 ID:kmATslr60
さっきから気になってるんだが何でりっちゃん?
401 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:55:12.89 ID:NNzMgtzt0
――平沢宅――
唯「……」
澪「律が、無事でよかったよ」
唯「……」
澪「……セイバーも、明日には回復するよ」
唯「……」
澪「唯……」
唯「――の、せいだ」
澪「?」
唯「私の所為で、セイバーちゃんが苦しんでるよ……」ポロポロ
澪「!?」
唯「私が魔術師だったら、魔力をきちんとあげられたら、あんなことには
ならなかったのに……」
澪「そんなことはない! 唯だから、セイバーはここまで来れたんだ!」
唯「違う! 魔術師だったら! 魔力があったら――!」
澪「いい加減にしろ!」パン!
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 23:58:22.23 ID:NNzMgtzt0
唯「――」
澪「おまえは、戦えるんだ」
唯「あ」
澪「サーヴァントがいる。セイバーが側にいる」
澪「でも、私にはなにもない」
澪「魔術なんて使えない。アーチャーも消えてしまった」
澪「その私に、少しでも希望を見せてくれ」
澪「それができるのは、唯とセイバーしかいないんだから」
唯「――」
唯「ごめん……ね」
澪「大丈夫。私も、叩いちゃってごめんな」ぎゅっ
唯「……えへへ。澪ちゃんのお胸、ふかふかしてて気持ちがいいよ」
澪「一応、取り柄みたいなものだからな。――頼むぞ。唯」
唯「うん。明日は、部屋に籠ってセイバーちゃんとお話しするよ」
澪「そうしてやれ。そうして、やれ」なでなで
406 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:06:53.22 ID:JCsfQm+d0
――?――
?「――――――、―――、――――――」
?「……――――――――」
?「―――――――、―――――――――」
?「――――――――、――」
?「――?」
?「―――。―――、――――」
?「――――、――――――――――――――」
?「――――。―――――――――」
?「――」
?「―――。―――――――――――」
?「――――、――――――?」
?「!!」
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:09:21.97 ID:zVafX0V50
どうした
409 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:11:48.32 ID:JCsfQm+d0
?「―――。――――?」
?「――。―――――、―――――」
?「――――――――、―――――――」
?「――――、―――――?」
?「……――――」
?「――」
?「――」
?「――――――!!」
?「――――――――!!」
?「―――――――――」
?「―――――――――」
?「――――――――――!!!!」
?「――――――――――――――!!!」
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:20:33.55 ID:JCsfQm+d0
?「―――――――――――――――――」
?「――――!!!」
?「――――――――――――!!!!!」
?「―――――――!!!!!!」
?「――」
?「――――――――――!!!!!!」
?「―――――――――――――!!!!」
―――――――――――――
?「――――――!!」
?「――セイ、バー」
?「……」
?「――」
?「――セイバー……ありがとう。お前に、何度も助けられた」
セイバー「シ、ロウ――?」
413 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:24:20.88 ID:lFUG68Zu0
山岡?
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 00:45:51.57 ID:JCsfQm+d0
…
セイバー「!?」ガバっ!
セイバー「……ハァ、ハァ」
セイバー「……」
唯「すぴー」
澪「ん……」
セイバー「――」
唯「セイバー、ちゃあん……」
澪「セイバー……」
セイバー「――」
ドア「ニコ」
セイバー「――ここはどこですか? そして、あそこで眠っている子たちは
一体――」
セイバー「――誰なんだ?」
436 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 05:26:26.49 ID:3JaLyjKs0
ごめん
唯「変態……」
にちょっと興奮しちゃった
464 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 16:49:21.32 ID:JCsfQm+d0
憂「セイバーさん、おはようございます――」
セイバー「……」
憂「?」
セイバー「――ここは、どこですか?」
憂「え? セイバーさん?」
セイバー「貴女が、私の名を知っているということはそういうことなので
しょう。もう一度問います。ここはどこなのですか?」
憂「ここは、平沢家ですけど……なにかの遊びですか?」
セイバー「遊び……?」
憂「セイバー、さん?」
セイバー「――私がどうしてここにいるのかを、教えていただきたい」
憂「聖杯戦争のため、じゃないんですか?」
セイバー「やはりそうですか。しかし聖杯戦争のためなのなら、私はシロウ
に召喚された筈だ」
憂「シロウ?」
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 16:53:30.50 ID:JCsfQm+d0
セイバー「私のマスターの名前です。それはそうと、あなたと私の関係は
なんなのですか?」
憂「……」
セイバー「教えなさい。私は、どうしてここにいるのかを知るために」
憂「――」グスっ
セイバー「泣いていてはわからない。私はシロウの剣だ。シロウのもとへ
戻らなくてはならない」
憂「――」ポロポロ
唯「うい、おはよ……」
セイバー「!!」
唯「憂! どうしたの? どこか痛いの?」
憂「……」ぶんぶん
唯「セイバーちゃん、なにか知ってる?」
セイバー「貴女も私の名を知っている……。一体、どういうことなのですか」
唯「え?」
467 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:01:41.11 ID:JCsfQm+d0
セイバー「貴女の名前は?」
唯「平沢唯だけど、どうしたの?」
セイバー「それではユイ。ここに私がいるのは何故かを問いたいのですが」
唯「なに言ってるの? ウイ、泣いてるんだよ?」
セイバー「そんなことに興味はありません。今、私はそれ以上に焦燥して
いる」
唯「わけわかんないよ! どうしちゃったの!?」
セイバー「どうしたもなにもないのです。私の問いに答えてください」
憂「うう……」
唯「大丈夫だよ、憂。きっと、セイバーちゃんは寝ぼけてるだけなんだよ」
セイバー「私が寝ぼけている? 無礼な言動は慎みなさい!」
唯「だったらなんなの!? 憂を泣かせて、わけわからないこと言って、
今日はギルガメッシュと決戦なんだよ!?」
セイバー「ギルガメッシュ? 一体誰です、それは」
セイバー「……話がかみ合わないな。お互いに落ち着きましょう」
唯「……澪ちゃん、呼んでくる」
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:08:29.79 ID:JCsfQm+d0
…
澪「――それで、セイバーはなにも覚えてないのか?」
唯「うん……。私のことも、憂のことも忘れちゃったみたいなの」
澪「今までは何の問題もなかったのに……」
唯「それに――」
澪「ん?」
唯「なんだか、今のセイバーちゃん、怖いよ。昨日までのセイバーちゃんと
は全然違う。まるで、怒ってるみたい」
澪「……セイバーと話してみよう。いずれにせよ、今日はギルガメッシュと
戦わなきゃいけないんだ」
唯「そうだね……。行かなきゃ、この街が危ない」
澪「令呪は残ってるんだろ? 最悪の場合、それを二つ使ってでも言うこと
を聞かせよう」
唯「――」
澪「仕方ないんだ。もはや、時間をゆっくりとってやる場合でもないんだから」
469 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:14:22.30 ID:JCsfQm+d0
ドア「ガチャ」
唯「セイバーちゃん、おまたせ」
セイバー「――」
澪「おはよう、セイバー」
セイバー「貴女も、私を知っているのですね」
澪「一緒に戦ったんだから、当たり前だろ」
セイバー「解せませんね。私が最後に戦った記憶は、あの黒いアサシンとの
戦いだ」
唯「黒いアサシン? アサシンって、侍じゃないの?」
セイバー「アサシンは固定サーヴァントです。未だかつて、ハサン・サッ
バーハ以外にはありえません」
唯「で、でも――」
セイバー「それもどうでもいい。私にとって、貴女方は未知の人なのだから」
唯「う……」
澪「そ、そんな言い方はないだろう!」
470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:18:34.25 ID:cnfw+yk/0
し
471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:21:44.19 ID:JCsfQm+d0
セイバー「ですが、事実です」
澪「私たちは一緒に戦った仲間だろ! なのに……どうしてそんなふうに
言えるんだ……」
セイバー「……」
唯「セイバーちゃん……」
セイバー「夢を、見ました」
憂「?」
セイバー「サーヴァントは、基本的に夢を見ません。しかし、私はある夢を
見ました」
澪「……」
セイバー「その夢の中で、私は一人の少年と一人の女性と戦っていまし
た。やめたい、戦いたくない。それでも、私の手は剣を振るい、少年たち
は立ち向かってきたのです」
唯「――」
セイバー「それがシロウであり、ライダー。そして、私は――」
セイバー「――私は……あれ? 駄目だ、記憶が混濁している……」
唯「……わかったよ」
472 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:29:48.43 ID:JCsfQm+d0
唯「――セイバーちゃんは、記憶喪失なんだね」
セイバー「……そのようです」
唯「その夢には、きっと意味があるんだよ。私たちに出会う前の記憶かも
しれないし、その夢が、セイバーちゃんの記憶を混乱させてるのかもしれ
ない」
セイバー「――はい」
唯「でもね、セイバーちゃん」
唯「私たちと戦っていたのは本当だよ。ある日突然、セイバーちゃんが私
の隣で寝てて、それからはずっと一緒だったんだよ」
唯「信じてもらえないかもしれないけど、私がセイバーちゃんのマスターで、
澪ちゃんは、アーチャーのマスターだったんだよ」
セイバー「そ、それでは令呪が!」
唯「はい」スッ
セイバー「……本当に、令呪が」
唯「これを使うことは絶対にしたくない。だから――」
セイバー「だから?」
唯「これから、私はセイバーちゃんに一対一で戦うよ」
473 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:35:03.15 ID:JCsfQm+d0
澪「な、なに言ってるんだ!」
憂「そうだよ! お姉ちゃん!」
唯「もちろん、殺し合いじゃないよ。でも、真剣勝負には違いなく」
セイバー「……貴女が私のマスターなのであれば、私の力は知っている
筈では?」
唯「それももちろん。セイバーちゃんの強さは、私が一番よく知ってる。
だから、お父さんが昔使ってた竹刀で戦うの」
セイバー「論点がずれていると感じませんか?」
唯「全然そうは思わないよ」
セイバー「――いいでしょう。どちらにせよ、私はシロウのもとに帰らなけれ
ばならない。その方法を見つけるには、貴女の頑固さを知っておく必要が
あるようだ」
唯「憂、竹刀持ってきて」
憂「……」
唯「近くの公園でいいよね。セイバーちゃん」
セイバー「異存はありません」
475 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 17:59:09.55 ID:JCsfQm+d0
――公園――
セイバー「ここですか」
唯「うん」
憂「お姉ちゃん、セイバーさん。今からでも止められるよ。だから――」
唯「駄目だよ。もう止められないし、止めたくない。セイバーちゃんと私
の問題だもん」
澪「唯、頭に血がのぼってるんじゃないか? 落ちつけってば」
唯「私は至って冷静。私たちのこと忘れちゃったセイバーちゃんにおしおき
してあげるんだから」
セイバー「困りましたね。そのようなことを言われても仕方がない」
唯「……はい、セイバーちゃん」ポイッ
セイバー「――本当に、やるのですね」パシッ
唯「ルールはたった一つ。ギブアップするまで戦うってことだけ」
セイバー「……そうですか。いきます」
唯「――うん」
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:01:07.07 ID:vordepLyO
しし
478 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:08:27.79 ID:JCsfQm+d0
セイバー「――!」バシッ
セイバー「ていッ!」ビシッ!
セイバー「――――!!」ドシッ!
唯「――ん!」
澪「まずいぞ、憂ちゃん!」
憂「はい! お姉ちゃん!!」
唯「止めないで!」
澪「でもな唯!」
唯「一回だけでも、一回だけでも引っ叩かなきゃ。私は、『マスター』なんだから!!」
セイバー「その心意気はいいですが、認められない」バシッ
唯「いた!!」
澪「――あまりにも一方的だ。唯、剣道なんてやったことないだろ!」
唯「ん!」ブン!
セイバー「腰も入っていないし、全く評価できません。シロウは、その程度
ではなかった!!」
唯「他の――他のマスター(ひと)の話なんてしないでよ!!」
480 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:25:35.66 ID:JCsfQm+d0
セイバー「!?」
唯「セイバーちゃんのマスターは、私なの!」ブン!
唯「力になりたいって、伝えたときから――」ブン!
唯「ずっと、一緒に戦ってきたんだから!」ブン!
唯「――その私に――」
唯「昔の人の話なんて、聞かせないでよ!!」ブン!!
セイバー「……」
澪「うそ、だろ?」
憂「セイバーさんが、汗をかいてる……」
唯「ハァ……ハァ……」
セイバー「――ですが、私のマスターはエミヤシロウなのです。それは、決して変わらない」
唯「わから……ずや……」
セイバー「女性ゆえに、顔への攻撃は一切していませんが、それではわか
りにくいですか? 私の意思がどういうものなのかが」
唯「わからない。わかりたくもないよ」
481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:27:50.50 ID:JCsfQm+d0
唯「セイバーちゃんが、どうして聖杯を欲しがっているのかはわからない」
セイバー「教える気などない」
唯「いつか話してくれると思ったの!」
セイバー「話すことは、ない」
唯「――」
セイバー「ユイ、降参しなさい。このまま続ければ、どうなるかはわからない
わけがないでしょう?」
唯「……知らないもん!」バッ!
セイバー「砂かけ!? ――うっ!」
唯「セイバーちゃんの――馬鹿ああああああああああああああああ!!!!」スパン!!
482 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:35:07.58 ID:JCsfQm+d0
セイバー「――――!!」
澪「当たった!」タタタ
憂「お姉ちゃん!!」タタタ
唯「セイバーちゃんの、馬鹿……」
憂「そんな場合じゃないよ! 痛いでしょ!?」
唯「平気だもん。セイバーちゃんは、まだギブアップしてないんだから、離れてて」
セイバー「……砂かけとは、思いもよらぬ攻撃でした」
唯「卑怯だっていう?」
セイバー「いいえ。ルール無用なのですから、警戒しなかった私の落ち度だ」
セイバー「――しかし、そのあとの一撃。あれは評価したい」
唯「!!」
セイバー「――ああ。そうだ」
セイバー「その姿は、誰もが元気になる。諦めたくないと、そう思いたくなる」
セイバー「故に――私は貴女をマスターに選んだのだ。ユイ」
483 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:49:26.33 ID:JCsfQm+d0
唯「セイバー、ちゃん?」
セイバー「はい。セイバーです」
唯「……記憶、戻ったの?」
セイバー「あれだけの力で叩かれれば、いくらサーヴァントでも、なにかが
起こりますよ」
唯「本当に、戻ったの?」
セイバー「ご心配をおかけしました。ギルガメッシュとの決戦に備えなくて
はならなかったのに――」
唯「セイバーちゃああああああああああん!!!!」だきっ
セイバー「!?」
唯「よかったよぉおおおおおおおお!!!」ぎゅー
セイバー「……よしよし。あなたの直向きな強さを忘れるだなんて、どうか
していました」なでなで
唯「ううう……」
澪「よかったな。憂ちゃん」
憂「はい!」
セイバー「……お腹が、すいてしまいました」
485 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 18:55:18.24 ID:JCsfQm+d0
――平沢宅――
セイバー「――そういうわけで、私はここにいるようです」
唯「へー」
澪「黒い影に呑みこまれて、それが最後の記憶かー」
セイバー「夢のことは、どうやら関係のないことのようです」
唯「でもでも、夢の中でセイバーちゃんはシロウって人に殺されちゃったん
でしょ?」
セイバー「はい。短剣で胸を刺されました」
澪「ひゃわ!」
セイバー「?」
澪「そういう痛い話はいやなんだー!」
セイバー「今更何を言ってるのですか……。アーチャーは、かなり戦闘面
では苦労していたのですね」
澪「うう……」
セイバー「アーチャーといえば――私が知っているアーチャーと、こちらに来
て出会ったアーチャーは、まるで違っていたのですが……」
486 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:04:46.07 ID:JCsfQm+d0
唯「アサシンも違ってたんだよね?」もぐもぐ
セイバー「ですが、アレの場合はキャスターが使役していたイレギュラー
な存在です。サーヴァントが、正規のサーヴァントを召喚できる筈が
ありません。しかし、アーチャーは――」
澪「朝起きたら、椅子に座って漫画読んでたんだ。それがアーチャーとの
出会い」
セイバー「……私と唯の出会いと、少し似ていますね。私は向こうから来た
ので、当然、正規の召喚はされないでしょう。しかし、なぜアーチャーま
で……」
唯「向こうのアーチャーはどんな感じの人なの?」
セイバー「口を開けば皮肉ですね。人格的に優れているかというと、首を
かしげてしまいます」
唯「へー。それじゃあ、あのアーチャーに似てるね」もきゅきゅ
セイバー「本当に唯はアーチャーが苦手ですね」
唯「ふんだ」
澪「確かにアイツは、唯には特に厳しかったもんな。唯が苦手になるのも
わかるよ」
唯「憂ー、カレー美味しいよー」
487 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:17:26.53 ID:JCsfQm+d0
セイバー「そうですね。昨日は緊張状態にいたからか、味がよくわかりません
でしたからね」
唯「憂のカレーは世界一!」
憂「ありがと。お姉ちゃんっ」
唯「――今日で聖杯戦争が終わるんだよね」
セイバー「はい。今度こそはきちんと終わらせます」
澪「……ってことは、セイバーは――」
セイバー「――今日で、あなた達の前から消えることになります」
唯「そ、そんなの嫌だ!」
セイバー「私には、救うべき民がいる。唯たちには、わかってもらいたい」
澪「――」
唯「――聖杯を使って、ここにいてもらうのは出来る?」
セイバー「ギルガメッシュが出来たのですから、私にも可能でしょう。しかし、
先刻も申した通り、私には救わなければならない人たちがいます。その人
たちを、裏切るわけにはいかない」
唯「……」
セイバー「それが、王の責務なのです」
488 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:23:11.80 ID:JCsfQm+d0
…
唯「あのさ、セイバーちゃん」
セイバー「なんでしょう?」
唯「学校に、行かない?」
セイバー「?」
唯「今日で最後なんでしょ? だったら、セイバーちゃんには学校に来て
ほしい。いいよね、澪ちゃん」
澪「拒む理由がないよ。それと、私からも提案というかセイバーにプレゼン
トがあるんだ」
セイバー「プレゼント、ですか?」
唯「……なーる」
澪「わかったか? 唯」
唯「うん! それじゃあ、準備しなきゃね!」テキパキ!
セイバー「わ、私はまだ行くとは――」
唯「行くよねー?」だきっ
セイバー「……行きます」
491 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:34:44.60 ID:JCsfQm+d0
――桜高――
セイバー「前にも来ましたが、いい学校ですね」
唯「セイバーちゃんの制服ー」がばっ!
憂「お姉ちゃん、しわになっちゃうよー」
澪「でも、すごく似合ってるよ。セイバー」
セイバー「あ、ありがとうございます。私は、男として生きてきましたから、
このような少女の衣服を纏った経験が極端に少ないのです……。本当
に、似合っているのでしょうか?」
唯「似合ってるなんていうレベルじゃないよ。学校のマドンナ確実だね!」
澪「ファンクラブもすぐに出来るだろうな」
唯「澪ちゃんにはファンクラブがあるんだよー」
セイバー「ファンクラブ!? つまり親衛隊ですか! それは素晴らしいで
す!」
澪「セイバー、意味曲解してないか!?」
憂「音楽準備室に到着です。ささ、セイバーさん」
493 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:40:41.96 ID:JCsfQm+d0
セイバー「?」
ドア「ギギギ」
梓「セイバーさん!! いらっしゃい!!」
紬「さぁさ、ここに座ってください!」
セイバー「アズサ! ツムギ!!」
唯「えへへー。それに――」
律「セイバー、久しぶり……かな?」
セイバー「リツ!」
律「……私を見て、笑ってくれてありがと。私、あんなにひどいことしたのにさ」
セイバー「マスターである貴女に罪は在りません。貴女のような優しい女性
が修羅の道を往ったのにも、理由があってのことでしょう?」
律「――セイバー」
唯「さあ! りっちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、澪ちゃん! 準備して!」
澪「おう!!」がさごそ
494 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:46:21.91 ID:JCsfQm+d0
憂「セイバーさん、見ていてくださいね。お姉ちゃんたちが、普段学校で
なにをしているのかを」
セイバー「はい……」
憂「どうしました?」
セイバー「いえ、少しスカートが短いのが気になりまして……」
憂「セイバーさんの脚、キレーですね」
セイバー「からかわないでください。このように短いスカートでは、その……
見えてしまうのではないですか?」
憂「うーん。気を使ってれば見えませんよ。階段上がるときは抑えてます
しね」
セイバー「むむ。現代の女子高生も、戦っているのですね」
憂「そうですよー。規則ギリギリの短さにするのは大変なんですから」
セイバー「意外ですね。ウイが規則に反しようとするなんて。てっきり、優等生
だと思ってました」
憂「反してるわけじゃないですよ。それに、優等生って自分では言いにくいの
であとで梓ちゃんにでも訊いてください」
セイバー「そうします」
唯「レディースエーンドレディース! 今日はHTTのライブに来てくれてありがとー!!」
495 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:51:10.16 ID:I/hrcsbi0
sienn
496 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:52:07.01 ID:JCsfQm+d0
憂「わーい!」
セイバー「……」
唯「セイバーちゃんに、一度も私がギター弾いてるところ見せられなかった
からね! 今日はいっくぜー!!」ギュインギュイン!!
澪「セイバー、聞いてほしいんだ。私たちの演奏を」
セイバー「――ええ。是非、聞かせてほしい」
唯「初めてセイバーちゃんと会った日にお風呂で、一発で見抜いてくれた
んだよね。私が、毎日練習してることを――」
梓「この教室では、あまり練習してませんけど、唯先輩は毎日家で練習
してるんです」
紬「私たちだってそう。今の、この時間を無駄にしないために――」
律「毎日頑張ってるんだ!!」
唯「それじゃあいっくよー!! ふわふわ時間!」
律「1・2・3・4!!」カンカンカンカン!!
498 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 19:59:56.07 ID:JCsfQm+d0
セイバー(――ああ。そうか)
セイバー(この顔だ)
セイバー(楽しそうで、真剣で、まっすぐで)
セイバー(そんな表情を、貴女はしている)
セイバー(それが、どうしようもなく綺麗だ)
セイバー(まるで、朝日のように)
セイバー(まるで、美しい花のように)
セイバー(だから――私は貴女を信頼しているのだ)
セイバー(その顔は、嘘という淀みを見せない)
セイバー(いつも正直で、いつも清らかで)
セイバー(いつまでも――私は貴女にそうあってほしい)
セイバー(その笑顔を守るために、私はこの街を守る――!)
唯「せんきゅーせんきゅー!!」
憂「お姉ちゃあああああああああああああん!!!」パチパチパチ!!
セイバー「素晴らしい。実にすばらしい演奏でした」パチパチ
501 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 20:05:19.26 ID:JCsfQm+d0
…
唯「どうだった? 私たちの演奏」
セイバー「その質問はすでに8回目ですよ。何度聞いても、素晴らしかったで
す」
唯「えへへー。やったね澪ちゃん!」
澪「うん。セイバーに褒められると、すごく自信になるよ」
憂「このままプロになっちゃいますか?」
セイバー「十分可能だと思いますよ。唯たちの音楽には、なによりも楽しさ
が感じられました」
唯「ありがとー」ぎゅっ
セイバー「ですから! いちいち抱きつかないでください!」
憂「私もー」ぎゅっ
澪「わ、私もっ」ぎゅっ
セイバー「……まったく、仕方ないですね」
502 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 20:10:31.97 ID:JCsfQm+d0
――そして、夜――
セイバー「……」
唯「憂、いってくるね」
澪「今日は、このまま帰るからね。お世話になったよ」
憂「はい……」
セイバー「ウイ、貴女は強い女性だ。しかし、時には甘えなさい。ユイに、
ミオに、誰でもいいです。弱さを見せられる相手を、見つけてください」
憂「……はい!」
セイバー「それでは、今までありがとうございました。料理、とても美味しか
ったですよ」
唯「――」
澪「――憂ちゃん、泣いてもいいんだよ?」
憂「……いいえ。私は、セイバーさんを笑った顔でお見送りしたいです」ニコっ
セイバー「――ウイ。いってきます」
憂「いってらっしゃい」
517 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 21:24:06.87 ID:efa2x2vqO
Fateの桜ルートは極力PC版からやるのをオススメしたい、エロはともかく表現的な問題で
532 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:12:45.76 ID:JCsfQm+d0
セイバー「――」とことこ
唯「――」すたすた
澪「――」とてとて
セイバー(言葉なんていらない)
唯(作戦もない)
澪(ただただ、セイバーの力をぶつけるだけ)
セイバー(私が及ばないのなら敗北する)
唯(それでも、私たちは信じてる)
澪(セイバーの強さを)
セイバー(故に――)
唯(だから――)
澪(そういうことだから――)
セイバー唯澪(私たちは、なにも話さない――)
535 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:18:52.96 ID:JCsfQm+d0
――桜の丘――
ギルガメッシュ「時間ちょうどの到着とは、この我を待たせるなよ」
セイバー「ギルガメッシュ――!」
ギルガメッシュ「フフ、聖杯はこうして降臨した。故に、これから我たちは
殺し合うわけだ。我はいいのだぞ? お前を殺すことでしか屈服できない
のであれば、構わんのだ」
唯「セイバーちゃんは死なないよ。私たちがいるもの」
澪「そうだぞ。私たちが、セイバーを見守る」
セイバー「――ありがとうございます」
ギルガメッシュ「美しい友情だなセイバーよ。今、どのような気持ちなのだ?」
セイバー「心の奥から、充実感がある。――今だかつてないほどの、安心感
までもある。国を滅ぼした貴様では、一生、永遠をかけても得られないもの
だ!」
ギルガメッシュ「この我に、手に入らないものなどない。それが聖杯であっても
だ」
セイバー「聖杯――。――――!!」
セイバー「サクラ――?」
536 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:24:00.21 ID:JCsfQm+d0
桜「――」
セイバー「なぜだ!? なぜサクラが聖杯に――」
ギルガメッシュ「知れたことよ。これこそ聖杯なのだ」
唯「あの人、知り合いなの?」
セイバー「シロウの、大切な人です。まさか、あのサクラが聖杯だった
なんて――」
澪「人間が、聖杯?」
ギルガメッシュ「我にも深淵は知りかねるが、人間の中に聖杯が隠されて
いたらしいのだ。聖杯の欠片が埋め込まれた娘が、サーヴァントの魂を
吸って降臨した」
セイバー「サクラ――」
桜「――」
ギルガメッシュ「さあ、この聖杯を知っているのならば尚更取り返すしか
あるまい。――全力で来いよセイバー。死にたくなければ、聖剣を抜け」
セイバー「――言われずともそうする。いくぞ! 英雄王!!」
ギルガメッシュ「来い! 騎士王!!」
538 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:30:28.60 ID:JCsfQm+d0
――?――
凛「まったく、ホントにデタラメね。アンタ」
桜「姉さんだって。本当だったら、その変な剣を振る前に死んじゃうのに」
凛「お生憎様。これはシロウとイリヤで作った宝石剣。アンタも名前くらいは
知ってるでしょ?」
桜「……また、姉さんは先輩をとっちゃうんだ」
凛「被害妄想もいい加減にしなさいよ」
桜「うるさいうるさい!! 姉さんなんか! 私をひとりぼっちにしちゃう姉さん
なんか――死んじゃえ!!!」ズオオオオ
凛「――だから、効かないの!!」パアアア
桜「死んじゃえ! 死んじゃえ!! 死ね! 死ね!!」
凛「トンデモない恨みと憎しみね。これはちょっとやばいかも……」
士郎「遠……坂……」
ライダー「リン!!」
凛「は?」
539 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:33:17.24 ID:JCsfQm+d0
士郎「加勢に来たぞ。桜は――」
凛「馬鹿!」
士郎「……?」
凛「ライダーも止めなさいよ! 士郎ったら、もうとっくに身体なんて――」
士郎「――ああ。もう、心臓なんて止まっちまってるだろう」
ライダー「私は、サクラを助けたい」
凛「――!」
士郎「俺もライダーと同じだ……。だから、たとえこの身体が消えちまって
も、サクラは助ける」
凛「あなた達、馬鹿を超えてるわ!」
桜「先――輩――?」
士郎「久しぶりだな桜。随分と変わっちまったな。お互いにさ」
桜「――その身体!」
士郎「こんなのはどうだっていい。重要なのは、お前を助けることだけだ」
540 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:38:43.25 ID:JCsfQm+d0
桜「――先輩は、どうしてっ!?」
士郎「だから、お前を助けるためだって言ってるじゃないか。肺だって、もう
動いてないんだから、あまりしゃべらせないでくれ」
凛「……」
桜「馬鹿です。先輩は――」
士郎「何度も言われたし、これから先も言われるだろうな」
桜「もう、私は戻れないのに……」
士郎「――」
桜「憎しみでしか動けない。もう、誰も信じてあげられないんです……。そん
な私が、先輩に愛してもらえる筈が、ないです」
士郎「――」
桜「私なんて、誰にも愛されないんです!」ズオオオオオオオオオ
凛「多っ! 士郎は下がってなさい! ライダーもよ! あれはサーヴァント
には天敵中の天敵なんだから!」
士郎「――」すたすた
凛「馬鹿!」
士郎「――ああ。俺は、お前なんて愛してないよ」
541 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:44:20.18 ID:JCsfQm+d0
桜「――!」
士郎「だってそうだろう? いつまでもウジウジしてる女なんか、俺は好きに
なんてなれない」
桜「……」
士郎「いつまでも、自分が可哀想可哀想って、世界で一番自分が不幸だっ
て言ってないで、さっさと前を向け。上の見ろ」
士郎「だから、今の桜は嫌いだ」
桜「―――――――――――!!!!!!」
士郎「大嫌いだ」
桜「―――――――――――――――――!!!」
士郎「……」
桜「……じゃえ」
ライダー「――!」
桜「みんな! みんな死んでしまええええええええええええええええええ
ええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
凛「ちょっと待ってよ! 洞窟が崩れ出した! 士郎!」
士郎「――よし、これでオーケーだ。遠坂、あとは頼む」
542 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 22:54:00.35 ID:JCsfQm+d0
――桜の丘――
セイバー「――!」ズザアア!!
ギルガメッシュ「ほう、やはり魔力不足か?」
セイバー「……ユイ!」
唯「うん! 打って! 勝負に出るよ!」
澪「いけ!!」
セイバー「わかりました!」キイイイイイイイ
ギルガメッシュ「宝具か――!」
セイバー「これは! この輝きは――」キイイイイイイイイイイイン
ギルガメッシュ「――なら、我も抜こうか。原典なしの唯一剣を――」
セイバー「私たちの、輝きだああああああああああああああ!!!!」
セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)―――――――!!」
ギルガメッシュ「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)―――――!!」
543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:01:32.47 ID:JCsfQm+d0
唯「セイバーちゃん!」
澪「セイバー!!」
セイバー「あああああああああああああああ!!!!」
ギルガメッシュ「どうした!? この程度か! 最強にして最高の聖剣
は――――!!」
セイバー「もっと! もっと!! もっと!!!」
ギルガメッシュ「――?」
セイバー(これで終わってもいい。どの道消えるのなら、ここで終わって
しまえ――!)
ギルガメッシュ「――なるほど、決死か」
セイバー「ああああああああああああああああ!!!!!!」
ギルガメッシュ「――だが残念だな。それでもまだ及ばないとは」
セイバー「――――!!!!」ゴアッ!
唯「セイバーちゃん!」
セイバー「――」
唯「セイバー、ちゃん?」
544 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:05:44.37 ID:JCsfQm+d0
セイバー「ユイ……ごめんなさい。私では、英雄王に――」
唯「……」ぎゅっ
セイバー「ユイ……、血がつきますよ……」
唯「どうだっていいよ。セイバーちゃん……」
澪「セイバー」ぎゅっ
セイバー「ミオ……」
唯「もう、頑張ってなんて言わない。セイバーちゃん、今までありがとう」
セイバー「……」
澪「私たちは、絶対にセイバーを忘れないよ。だから、私もありがとう」
セイバー「――ああ。温かい。本当に、あなた達は温かい」
ギルガメッシュ「ククク……アーハッハッハッハ!!! 本当に、貴様ら雑種
にしては面白い!! あまりにも滑稽だぞ!!」
唯「!」
545 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:08:36.73 ID:JCsfQm+d0
ギルガメッシュ「あまりにも無意味! 無価値! 笑いが堪えられんわ!!」
唯「――!」タッタッタ
ギルガメッシュ「どうした雑種。我になにか?」
唯「――えい!」パン!
ギルガメッシュ「――!」
澪「唯!」
唯「無意味じゃない! 無価値でもない! セイバーちゃんが勝てないの
なら、今度は私が相手だ!!」
ギルガメッシュ「――殺すぞ」ズオオオオ
澪「武器庫の宝具――逃げろ! 唯!!」
唯「――!!」
ギルガメッシュ「――死ね」
?「うわあああああああああああああああああああああ!!!!」
ギルガメッシュ「!?」
546 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:13:19.65 ID:JCsfQm+d0
士郎「……いてて」
ライダー「――」
凛「なにしてんのよ士郎! 桜を怒らせてどうするのよ!!」
士郎「いや、言いたいことだけ言ったんだけどさ。あとは遠坂がなんとか
してくれるもんかと」
凛「まったく……。ゼルレッチで無理矢理時空移動したけど、ゼルレッチが
壊れちゃったわよ」
ライダー「そんなことより士郎。身体が――」
士郎「――あ」
凛「な、治ってる……?」
ライダー「時空を超えたことが、なにか関係してるのでしょうか」
セイバー「――シ、シロウ?」
士郎「――え?」
唯「ふぇ?」
547 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:14:24.61 ID:SSewi8pP0
正義の味方キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
548 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:18:21.50 ID:BEVRNnEI0
なんと
549 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:18:32.52 ID:JCsfQm+d0
凛「セイバーじゃない!!」
セイバー「リン……」
ライダー「傷だらけですね。セイバーのクラスとあろうものが情けない」
士郎「――セイバー」
セイバー「シロウ、会いたかった」
士郎「――」
唯「あの……」
士郎「ん? きみは――」
唯「私は平沢唯です。セイバーのマスターやってます」でヘヘ
澪「私は秋山澪です。アーチャーの元マスターです」
凛「アーチャー!?」
澪「は、はい!」
凛「……一体どうなってるのよ。ここは」
ライダー「それは、あの男が知ってそうですね」
ギルガメッシュ「この我を無視するとはいい度胸だ。貴様ら、生かしてはおけんな」
550 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:23:32.91 ID:JCsfQm+d0
士郎「無視なんてしてない。……アンタは誰だ?」
ギルガメッシュ「我が名はギルガメッシュ。雑種に名を名乗るのは、本当に
癇に障る」
士郎「そうか。だったら、ギルガメッシュよ。俺がお前を倒す」
ライダー「士郎?」
澪「え?」
士郎「どうした?」
凛「士郎。アンタもしかして――」
凛(こんなのあり得ない――! この魔力量、まるでサーヴァントじゃない!)
ギルガメッシュ「お前が? 我を? 寝言は寝ていうものだぞ?」
士郎「寝言でも妄言でもない。今なら、俺はお前を倒せる」
ライダー「……なるほど、そういうことですか」
凛「アーチャーの左腕は、どうにも都合のいいプレゼントをしてくれたみたい
ね」
551 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:26:53.61 ID:JCsfQm+d0
セイバー「リン、治療をお願いできますか?」
凛「それはいいけど……。今の貴女じゃあ、回復はかなり遅くなるわよ?」
唯「どうしてですか?」
凛「貴女がセイバーのマスターよね。貴女はどこの魔術師さん?」
唯「えと、魔術師じゃないんですよ」
凛「はい?」
唯「一般人です。パンピーです」
凛「……道理でセイバーの魔力が変だと思ったのよ。よっぽどご飯が美味し
かったのね」
セイバー「はい」
凛「はいじゃないの」
唯「……」
ライダー「セイバーを治療する時間なら、私が稼ぎます」
ギルガメッシュ「ほう。それは面白い。サーヴァント戦は、実に面白い」
553 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:31:28.61 ID:wr7vTn15O
所々ついていけないのが歯痒い
554 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:33:51.63 ID:JCsfQm+d0
ライダー「士郎は手を出さないでください。あの、聖杯となっているサクラを
救うのは、貴方しかいないのですから」ヒュッ
唯「――あの、貴方がエミヤシロウさんですか?」
士郎「ああ。俺が衛宮士郎だ」
唯「頼みたいことがあるんです」
士郎「?」
唯「セイバーのマスターを、代わってくれませんか?」
セイバー「!?」
澪「唯!」
士郎「……なんでさ」
唯「私は、魔力なんてありません。でも、衛宮さんなら――」
士郎「――セイバー」
セイバー「私のマスターはシロウでした。しかし、今のマスターはユイしか
いない!」
555 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:37:20.90 ID:28o+WDeS0
_ _ _ _
+ + | | | | | | | | +
| | Π| | | | Π| | +
/ ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄l ̄ ̄ ̄ ̄l +
/ ̄ ̄ ̄ ̄ /三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i、 ̄ ̄ ̄ i、
/ ̄ ̄ ̄ ̄ _/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄', ̄ ̄ ̄ ̄l
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄',三二二ニl +
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/三三三三// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
古代都市ワクテカ (B.C.8000年頃)
556 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:39:01.93 ID:JCsfQm+d0
凛「大きな声を出さないの。傷が痛むでしょ?」
澪「――唯、セイバーの言うとおりだ。お前は昼間、セイバーに何を言ったん
だ?」
唯「……それでも、自分を覆すことになるけど、それでもセイバーちゃんが
いなくなるよりはいい!」
士郎「……セイバー」
セイバー「断ります。こればかりは、私はユイの命令でも聞けない!」
凛「代わるのなら、私よりも士郎の方がいいわ。もはや士郎の魔力量は
サーヴァント並みだもの」
士郎「……アイツのお陰か」
凛「アーチャーの左腕が完全に同化するなんて、時空間移動には不思議
が伴うわね」
澪「アーチャー?」
凛「あ、貴女はこっちではアーチャーのマスターだったんだっけ。私もよ。
大変だったでしょ」
澪「はい。私の下着がぶかぶかだとか、注文が多い奴でした」
凛「はい?」
澪「えっ?」
557 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:45:46.84 ID:JCsfQm+d0
ライダー「……少し、きついですね」
ギルガメッシュ「ほう、我が宝具の雨を避けきるか。さすがはライダーだ」
ライダー「お褒めに与り光栄ですよ英雄王。少し、本気を出します」
ギルガメッシュ「減らず口を叩くなよ堕落神」
ライダー「自己封印・暗黒神殿(ブレーカー・ゴルゴーン)」キュイン
ギルガメッシュ「石化の魔眼か――!」
ライダー「その金にものを言わせた防具がなければ、石になってましたね」
ギルガメッシュ「フン!」
ライダー「……本気を、出したらどうです?」
ギルガメッシュ「貴様にエアを抜く価値などない! 慢心してこその王よ!」
ライダー「その油断は、自らを殺しますよ――」
ライダー「―――――――!!!」キュイイイン
ギルガメッシュ「!?」
ライダー「本気を出さなくとも、私は出すますよ?」
ライダー「騎英の手綱(ベルレ・フォーン)―――――――!!!」
558 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/22(火) 23:56:55.47 ID:JmPtSVaJO
熱い!
561 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:00:38.94 ID:/oqNrqD10
ギルガメッシュ「――!!」
ライダー「これで、終わりです!!」
ギルガメッシュ「速いな。確かに世界最速の宝具だ」
ライダー「――――!!」
ギルガメッシュ「だが、それ故に直線的だ」
ライダー「いっけえええええええええええ!!!!」
ギルガメッシュ「――なら、もう的を外すこともないな」
ギルガメッシュ「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)――――」
ライダー「!?」
ギルガメッシュ「勝負を急いだな、メデューサ。お前の速さは、我には
関係ない」
ライダー「あ」
ギルガメッシュ「―――――フフフ」ビシュっ!!
562 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:04:44.45 ID:/oqNrqD10
凛「ライダーが危ないわね……」
士郎「セイバー!」
セイバー「駄目です。私には、もうユイしかいない!」
唯「――」
澪「唯?」
唯「セイバーちゃん。ごめんね?」
セイバー「ユ、ユイ……?」
唯「セイバー、マスターを衛宮さんに鞍替えしなさい」キュイイイン
セイバー「――あ」
凛「令呪!? まだ残してたの?」
澪「はい……」
セイバー「――嫌だ!」バリン!
凛「嘘! セイバーの対魔力は、令呪にも抗うの!?」
セイバー「――!!」
唯「じゃあ、もうひとつを使って命令するよ。鞍替えしなさい。アルトリア」
563 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:09:07.72 ID:/oqNrqD10
セイバー「……!!」
士郎「いくぞ、セイバー」
セイバー「……」
士郎「聖杯の寄る辺に従い、この意。この理に従うのなら、我が命運を預けよ
う」
セイバー「……セイバーの、名に懸けて誓う――そなたをマスターとして、
マスターとして認めよう……。シロウ……」
唯「――」
澪「唯、よくがんばったよ」
唯「澪ちゃん……」
セイバー「……」
凛「セイバー、治療するわよ」
セイバー「……」
士郎「平沢さん、セイバー。ごめんな――」
唯「――いいえ」
565 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:09:47.32 ID:m4ZhBso1O
ごめん。
セイバーって、ジャンヌダルクじゃないの?
567 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:13:46.41 ID:/oqNrqD10
セイバー「――」
凛「これでオーケー。それじゃあ、いってきなさい!」
セイバー「――はい。シロウ、貴方も」
士郎「もちろんだ。まさか、セイバーに加勢を頼まれるなんて思わなかった
よ」
凛「ライダー! 早く来なさい! 宝石を全部使ってでも、戦力を戻すわよ!」
ライダー「は、はい!」
唯「……」
澪「唯、ここはこの人たちに任せよう」
唯「……うん」
セイバー「ユイ、ミオ。――見ていてくださいね」
唯「……うん!」
568 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:18:36.08 ID:/oqNrqD10
ギルガメッシュ「セイバーよ。まだ我に立ち向かうか」
セイバー「もう、私はお前には負けない」
士郎「……ああ。俺たちは絶対に負けないぞ」
ギルガメッシュ「――面白い。実に面白いぞ。ここまで胸が高鳴ったのは、
実に数万年ぶりやも知れぬ。――さあ来い人間! この我を楽しませて
みろ!!」
士郎「いくぞセイバー!」
セイバー「おう!」
ライダー「凛、早く!」
凛「ったく! アンタも治りが早すぎ! どんだけ桜からの供給がすごいの
よ!」
ライダー「聖杯になってますからね。魔力が、止めどなく溢れてきます」
凛「……もう。ゼルレッチさえあれば、私も参戦するっていうのに」
唯「いけー! セイバー!!」
澪「負けるなー!!」
569 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:20:57.55 ID:PVMfOgswO
ライダーが居なかったのはそういうわけか
アーチャーはイリヤに取り込まれてたから違う人物なのかな?
570 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:24:00.22 ID:/oqNrqD10
ギルガメッシュ「王の(ゲート・オブ)――」
士郎「I am the bone of my sword.(我が骨子は捻じれ、穿つ)」
士郎「偽・螺旋剣(カラドボルグ)!!」
ギルガメッシュ「な――!」
セイバー「ハァ!!」ザン!!
ギルガメッシュ「――――ッ!」
士郎「投影・完了(トレース・オフ)!!」
ギルガメッシュ「――このッ!」ブン!
ライダー「やはりあなたは、石化の魔眼の影響を受けますね」
ギルガメッシュ「クソッ!」
セイバー「――英雄王おおおおおおおおおお!!」
ギルガメッシュ「セイバアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
士郎「――アーチャーのイメージが、今理解(わか)ったぞ。セイバー」
士郎「――投影・開始(トレース・オン)」
571 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:28:36.44 ID:/oqNrqD10
唯「――すごい」
澪「あのギルガメッシュを圧倒してるぞ」
凛「まあ、当然よ。サーヴァント3体と戦ってるようなものなんだから」
澪「3体?」
凛「士郎の身体。あれは一度死んでるのよ」
唯「!?」
凛「正確には、止まってしまったっていえばいいのかな。とにかく、今の士郎
の身体は、サーヴァントのものと同化した、人ならざるものなの」
澪「……アーチャーですか」
凛「そう。話を聞く限り、こっちのアーチャーと向こうのアーチャーは全く
違うみたいね。……あの子が関係してるんだろうけど」
唯「桜さん、ですか」
凛「ええ。あの子が取りこんできたサーヴァントが、こっちでまた聖杯戦争
をしてた。……恐らく、この世全ての悪(アンリマユ)が保険をかけたんで
しょうね。私たち側のアンリマユが死んでも、問題がないように」
唯「その結果が、私たちの聖杯戦争……」
凛「そう。でも、それももう終わりよ――」
572 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:30:49.03 ID:A6RDPq6E0
④
573 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:38:58.74 ID:/oqNrqD10
セイバー「シロウ――」
士郎「そうだ。これは、おまえの鞘だろ」
セイバー「決して帰ることのないと思っていた。その鞘……」
士郎「……真名は」
セイバー「全て遠き理想郷(アヴァロン)です」
士郎「オーケー。十分だ。いくぞ、セイバー、ライダー」
ライダー「ええ。望むところです」
セイバー「――はい!」
ギルガメッシュ「殺す! 殺す殺す殺す! 殺してやるぞ! 貴様らァ!!」
セイバー「きます!」
ギルガメッシュ「死ねェ!! 天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」
士郎「いってこい! セイバー!!」
セイバー「はい! 全て遠き理想郷(アヴァロン)!!」
ライダー「……石化の魔眼で、ギルガメッシュのパロメータは下がってますが、関係ありませんね」
574 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:43:36.14 ID:/oqNrqD10
ギルガメッシュ「王の――」
セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)――――――!!!」
ギルガメッシュ「――――――――――!!!!」
唯「やった!」
凛「決まった!」
澪「直撃だ!」
ギルガメッシュ「貴様ァ!」
ライダー「往生際が悪いですよ。――騎英の手綱(ベルレ・フォーン)!!」
士郎「まったくだ。是、射殺す百頭(ナインライブスブレイドワークス)」
ギルガメッシュ「!!!!」
ギルガメッシュ「死ぬのか! この我が! 英雄王である、この我が――!」
セイバー「だれしもが、死を迎えねばならないのです。それを知れ――!」
ギルガメッシュ「ああ。我は不死を好んだが、不死は我を好まなかったようだ」
ギルガメッシュ「まるで、貴様のようだな。セイバーよ」シュウウウウン……
唯「……消えちゃった」
575 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:50:01.54 ID:vduoofKFO
本家始まる前に終わりそうだにゃん
576 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 00:50:29.78 ID:/oqNrqD10
澪「ってことは?」
凛「ええ!」
士郎「勝ったのか……?」へたり
ライダー「ええ」
セイバー「ユイ! ミオ! やりました!! 私たちの勝利です!!」
唯「やったああああああああああああああああ!!!!」ガバっ
澪「セイバアアアアアアアア!!!」がばっ
凛「あらあら……」
士郎「……と、俺たちはまだやることが残ってたな」
ライダー「はい。サクラを、救出します」
凛「また暴れたらどうする?」
ライダー「そのときはそのときです」
士郎「ライダーがらしくないな。サクラを信じよう。セイバー」
セイバー「……はい」
579 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:00:13.35 ID:/oqNrqD10
士郎「そういえば、令呪を一度しか使ってなかったな」
セイバー「シロウは、そうだったかもしれません」
士郎「それじゃあ、二回目だ。セイバー、聖杯を破壊して桜を助けろ」キュイイイン
セイバー「――了解しました」
士郎「お前が聖杯を手に入れたいのは分かってる。でも、俺は桜の味方に
なるって決めちまった。だから、俺はお前の願いも一緒に打ち砕く」
セイバー「仕方ありませんよ。私も、それがいいと思いますから」
セイバー「こんな歪んだものを、私は望んでいたのでは、ないのですから」
凛「……」
セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)―――――――!!!」
聖杯「―――――――――」グシャリ……
580 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:01:56.24 ID:/oqNrqD10
士郎「桜、起きろー」
桜「――ん」
士郎「おはよう。随分と遅いお目覚めじゃないか」
桜「先――輩――?」
ライダー「サクラ」
桜「ライダー……」
凛「どーも」
桜「姉さん――」
士郎「心配掛けさせやがって、帰ったら炊事はやらせないぞ」
桜「――」
士郎「どうした? 変な顔して――あ! 遠坂! なんか布ないか!?
大きめなやつ!」
桜「――フフっ」
士郎「?」
桜「私を、赦してくれるんですか? 先輩」
士郎「――ああ。当たり前だ。桜」
581 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:06:15.94 ID:/oqNrqD10
セイバー「これで、聖杯戦争は終わりました」
唯「聖杯、なくなっちゃったね」
セイバー「まったくです。……しかし、これでいいのですよ」
澪「よかったの?」
セイバー「私が望んでいた聖杯は、あんなものではなかったのですから」
唯「……そっか」
セイバー唯「――あの」
唯「――セイバーから言ってよ」
セイバー「ユイからどうぞ」
唯「じゃあ、言うね。……聖杯がなくなっちゃって、セイバーちゃんは消えちゃ
うの?」
セイバー「わかりません。ただ、聖杯だったサクラはここにいますから、どう
なのでしょう」
唯「それで、セイバーちゃんは?」
セイバー「はい。――私は、一度ここの櫻が見たいです」
唯「うん。見れれば、いいね」
582 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:09:23.65 ID:/oqNrqD10
epilogue
唯「今日はお花見です!」
憂「誰に話してるの? お姉ちゃん」
唯「わかんない」
紬「はい。唯ちゃん、お弁当」
梓「わ、私も作ってきました!」
律「お! 気が利くなー」
和「空気読みなさいよ……」
聡「そうだぞ、姉ちゃん」
澪「聡、食べられるか?」
聡「大丈夫大丈夫。もう殆ど回復したからさ」
桜「私のお弁当もどうぞー」
凛「へえ、桜の料理なんて久しぶりじゃないの」
唯「ホントだー。いつも士郎くんだもんね。お料理担当は」
584 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:13:00.44 ID:/oqNrqD10
士郎「当然だ。俺たちは居候で、桜は病み上がりなんだからな」
憂「私も、士郎くんとお料理作るの楽しいよ!」
桜「え?」
憂「ご、ごめんなさい。そういうわけじゃないから、安心して?」
凛「それにしてもびっくりよ! あんたたちが年上だったなんて!」
澪「ハハ……」
ライダー「見た目に惑わされるのは、魔術師としてどうなのですか? リン」
凛「仕方ないじゃない! 魔術師はなめられちゃいけないの!」
桜「自分を正当化しないでください」
凛「手厳しいわね、我が妹ながら」
紬「それにしても、驚いたわ」
梓「そうですよ! いきなり唯先輩の家に4人も!」
唯「お父さんたちもびっくりしてたよー」
律「当たり前だー!」
585 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:16:36.28 ID:/oqNrqD10
ライダー「……それは、リンの責任です」
凛「どうして!?」
士郎「そうだぞ遠坂。みんなに謝れ」
凛「はい!?」
桜「姉さんが宝石剣壊したから、帰れなくなっちゃったんですよ?」
凛「そうだけど、それ私の責任じゃないわよ!? セイバーが聖杯こわした
のも一つの原因じゃない!」
澪「そうじゃなきゃ、桜ちゃんは聖杯のままだろー」
凛「そうだけど……。ていうか、なんだって私は一般人にも魔術の話をして
るんだか……」
聡「桜さん、この唐揚げ美味しいです」
桜「え? それ、先輩のだよ?」
聡「やべ!」
士郎「いいっていいって、好きなだけ食べなさい食べ盛りくん」
聡「あ、あざーっす!」
586 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:19:18.68 ID:/oqNrqD10
和「まさか、この街がそんなに大変なことになってたなんてね」
唯「大変だったんだよー」すりすり
和「この体勢についてはどうでもいいから、おいおい話しなさいよ?」
ライダー「できれば、この話は闇に葬りたいのですが……」
唯「和ちゃんはいいのー。ライダーちゃんったら、お堅いよー」
ライダー「ライダーちゃん!?」
士郎「……死ぬほど似合わないな」
ライダー「士郎、なにか?」すっ
士郎「魔眼はやめて!」どかっ
士郎「あ、すいま……」
さわ子「あ?」ぎろ
士郎「こっちにもメデューサいたー!!」
587 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:23:10.32 ID:/oqNrqD10
凛「せんせー! 私たちが帰れなくなった当事者がなにも言わずにもぐもぐ
と料理食べてまーす」
セイバー「失礼。櫻と料理に夢中になっていました」
唯「セイバーちゃんったら、話より団子?」
セイバー「そのようです」
憂「セイバーさん。ちらし寿司、美味しいですか?」
セイバー「はい。実に美味しいです」
唯「もぐもぐ――」
唯「ういー、おかわりー」
セイバー「私にもお願いします」
憂「はいはい」
――その日は、桜の丘で二つの約束が叶った日だった。
長いようで短い、戦争のおしまいを祝うかのように――
櫻は、咲き乱れていた。
FIN
588 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:24:11.94 ID:/oqNrqD10
終わった。
終わった。
589 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:25:06.65 ID:gAIengeV0
乙!
593 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:25:34.98 ID:aIRbAlpi0
乙
595 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:25:53.24 ID:haSNNyHl0
おつかれさん
596 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:25:55.51 ID:ikRhAYAe0
乙
なかなかよかった
597 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:25:56.16 ID:3/FjEdZq0
感 動 し た ! ! ありが㌧(*^ω^)ノ
599 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:27:43.10 ID:tpqU+uuFO
乙!
面白かった!
600 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:28:06.73 ID:xoC8MxjAO
乙ですわ
両親のバレンシア旅行が何かの伏線だと思ったのは俺だけでいい
603 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:30:04.94 ID:/oqNrqD10
もしよかったら、アーチャーの話と律の話を番外編で書く?
考えられる余地として残したけれど、自分的にもわかりにくかった。
604 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:31:12.10 ID:Voz7XoYvO
読みたい!
606 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:31:31.70 ID:e7kHNsoW0
唯アチャ子は丸投げか
セイバールートと桜ルートの折衷みたいなもんだから仕方ないか
607 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:31:32.48 ID:EJrdsmOq0
それもお願い
俺もまったくわからんかった
608 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:39:20.15 ID:/oqNrqD10
それじゃあ書くことにする。
夕方以降になってしまうけれど。
611 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 01:52:28.20 ID:3/FjEdZq0
よろ♪
612 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 02:15:57.08 ID:OjmfexklO
楽しみだほ
615 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 03:32:33.20 ID:n+5zrBbKO
律の聖杯の目的が聡絡みだったけど聡はどうなってたんだ?
あとランサーのマスターの正体は?
616 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 03:58:59.90 ID:OrDxdQ6z0
>>615
聡がどうしてたかは読めばわかる範囲じゃないか
これからまた書くらしいから詳しくは言わないが
653 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:11:37.48 ID:/oqNrqD10
ただいま。
遅くなって申し訳ない。
聡のこと
アーチャーのこと
どちらを先に書く?
654 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:12:39.43 ID:3WlvHXll0
聡ェ…
655 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:15:39.92 ID:ZjJS89yo0
アーチャーの方が気になる
657 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:21:12.13 ID:GVwhYkZA0
>>653
お帰り。短い方からやったほうがスレが綺麗じゃないかな。
658 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:30:50.01 ID:/oqNrqD10
そろそろ再開する。
聡のことから始める。
659 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:34:31.65 ID:/oqNrqD10
――琴吹邸・ホール――
律「……キャスターとアサシンを倒して、もう引き返せなくなったな」
律「なあバーサーカー。お前の所為なんだからな。私が戦わなければなら
なくなったのは」
律「――唯とも、戦うことになったのはさ」
律(一週間前の、あの日だ)
律(私が、お前と出会ったのは)
律(アイツの、残酷すぎる運命が始まったのは――)
律「聡……。お前は――」
バーサーカー「――――」
律「……」
律「もうすぐ、セイバーと唯がやってくるな」
律「アーチャーは来るだろうか」
律「……澪とは、戦いたくないな」
律「――いや、唯とも戦いたくない。ホントは、戦いなんて嫌いなんだ」
律「……怖いよ。聡……」
661 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:40:05.67 ID:/oqNrqD10
――律の回想――
聡「なー! ねーちゃーん!」ごろごろ
律「どうした? 私の部屋でゴロゴロしやがって」
聡「ひまー」
律「私も暇だが、この暇を有意義に無駄にしたいんだ。漫画なら貸してや
るから、さっさと出て行きなさい」
聡「姉ちゃんと遊びたーい」
律「中学生にもなって姉ちゃんと遊びたいだなんて、いくらなんでも子供
すぎないか?」
聡「いいじゃんいいじゃん。姉弟なんだから、仲良ししようぜ。唯さんたち
みたいにさ」
律「憂ちゃんみたいになりたいのなら家事をやりたまえ」
聡「ちぇー。休日に家にいてさ、姉ちゃん彼氏とかいないのかよ」
律「そんなもんは、いませんっと」ごちん
聡「このタイミングで暴力!?」
律「中学生のくせに、やらしいこと考えるからだぞ。しかも実の姉で」
聡「世界一面倒な冤罪キター!」
664 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:45:41.99 ID:/oqNrqD10
律「ほら、中学生は自分の部屋で秘め事でもしてなさい」
聡「直接的な表現じゃないだけ、まだ姉ちゃんに乙女心があるから安心した
よ」
律「――ば、馬鹿!」スパン
聡「いたっ! ジャンプで殴るな!」
律「うるせえ! ハンターハンターが休載してるジャンプなんか必要ない!」
聡「FF14が出るんだから仕方ないだろ!」
律「……よし、私の機嫌をとるため、ここは弟自らがアイスを買ってきなさい」
聡「これはまた脈絡がないな。姉ちゃんのそういうところ、ダイスキでござ
います」
律「そんな棒読みじゃあ機嫌良くならないぞー」
聡「でも、まあいいや。何がいい?」
律「モナカー」
聡「ん。それじゃあいってくるよ」
665 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:52:26.75 ID:/oqNrqD10
律「……」
律「確かに、暇だな」
律「――」ごろっ
律「今週のナルトはよくわかんねー」
律「やっぱ、いぬまるだしだよな。今のジャンプはこれを柱にするべきなん
だよ」
律「……ププッ」
律「――保健室がバトル展開かー。まあ、仕方ないよな」
律「めだかとロックオンはそろそろ打ち切られろよ……」
律「……」パタン
律「ひまー」
律「澪に電話しよっかなー」
律「でも、取り立てて話すこともないしなー」
律「……聡のやつ、遅いなー」
律「とはいっても、出て行ってまだ5分くらいか。まあ、そんなもんだよな」
律「……なにしよっかな」
666 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:56:07.12 ID:iRXHKgyo0
s
667 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 20:58:25.58 ID:/oqNrqD10
律「……」
テレビ「ちゃうねん。それはな、深い話やねん。わかるか上地」
テレビ「はい! 僕も松坂の球――」ブツン
律「――つまんねー」
律「聡ー、さっさと帰ってこーい」
聡「そう言われるのを待っていた!」
律「うわ!」
聡「……というのは冗談で。ほい、アイス買ってきた」
律「さんきゅー」
聡「ちなみに俺はガリガリくん」
律「随分とやっすいの買ってきたなー」
聡「ガリガリくんは攻守最強だぞ。当たりがでたらもう一本だしな」
律「それもそうだな」
聡「……姉ちゃんって、可愛いよな」
律「は?」
669 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:04:23.24 ID:/oqNrqD10
聡「いやだから、姉ちゃんは可愛いなって思ったの」
律「わけがわからない」
聡「同じクラスに、まあそれなりに可愛い子がいるんだけどさ。その子が、体
育だったかの時間で、姉ちゃんみたいに前髪をカチューシャで止めてたん
だ。そうしたら、びっくりした」
律「なんで?」
聡「……かなり、アレになったんだよ」
律「ああ……」
聡「それを見て思ったんだ。姉ちゃんって、よくもまあそんな髪型でも可愛いよなって」
律「そんな髪型っておまえー」ぐりぐり
聡「いたたたたた! 褒めてるのに! 褒めているのに!!」
律「……私、可愛いか?」
聡「弟が言うのはどうかとは思うけど、可愛いよ。澪姉にも負けないくらいにさ」
律「――ばーか」
聡「とまあ、そういう褒めも入れたところで、釣りしに行かない?」
律「……最初っから、それが目的だっただろ」
670 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:09:35.07 ID:/oqNrqD10
――港――
聡「それにしても、姉ちゃんって穴場探すのうまいよなー」
律「目の付けどころがシャープだからな」
聡「この港だって、誰も人いないもんな」
律「昔はけっこう栄えてたらしいぞ。産業まつりとかもやってたしな」
聡「あー。なんか覚えてるかも」
律「おまえ、迷子になってびえんびえん泣いてたんだぞー」
聡「うう……」
律「私のこと見つけたら、おねえちゃーん! って言って走り寄ってきてさ。
可愛かったなー」ぷにぷに
聡「ほっぺ触るな!」
律「あれー? 顔が赤くなってるぞー?」
聡「――フン!」
律「可愛い弟め」
聡「さっさと釣ろうよ。まったくもう……」
671 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:11:22.72 ID:faqz395+O
俺もりっちゃんみたいな姉ちゃん居たら今頃ニートじゃなかったはず
672 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:17:08.50 ID:/oqNrqD10
聡「ほら、姉ちゃんの釣り竿」
律「さんきゅっ! 餌までつけてくれて申し訳ないねー」
聡「一応男だからさ。そらっ!」ちゃぽん
律「さっすが! たくましい!」ちゃぽん
673 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:17:52.48 ID:/oqNrqD10
聡「……いい天気だなぁ」
律「本当だな。いい天気だ」
律「こういう日に、大好きな姉ちゃんと釣りなんて幸せだなぁ」
聡「セリフの順番的に俺が言ったみたいになるだろ! ただでさえ名前が
漢字一文字同士でわかりにくいんだから!」
律「てへっ!」
聡「なんだそのむかつく笑顔!」
律「な! 姉を敬えー!」
聡「敬えるか、こんな姉」
律「へー」
聡「あっさりと引き下がるね」
律「いや、そんなこと言うなら唯たちに聡のアノ写真見せちゃおうかなって」
聡「申し訳ないです」
674 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:22:29.82 ID:/oqNrqD10
律「まさか、あの聡くんがあんなことしてるなんてなー」
聡「お願いだから、やめてください」
律「部活でもエースで、もはや学校内に知らぬものはいないであろう田井中
聡が、あーんなことするなんてなー」
聡「頼むから、唯さんたちに見せるのだけは勘弁して」
律「あははー! 冗談だよー!」
聡「それはよかった……」ハァ
律「……釣れないなぁ」
聡「姉ちゃんがうるさいからだよ」
律「飽きてきたなー」
聡「弟との会話を楽しめ。そんなんだからモテないんだぞ」
律「いや、一応モテるぞ」
聡「マジ!?」
律「……女にだけど」
聡「あー。なるほどね。……ちょっとジュース買ってくるよ」すくっ
675 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:31:54.91 ID:/oqNrqD10
律「あれ? このへんコンビニあったっけ?」
聡「あそこの倉庫前に自販機があるんだよ。姉ちゃんはなに飲む?」
律「そうだったっけ? まあいいや。私はコーラ」
聡「おっけ」
律「チョイ待ち……ほら」
聡「あれ? 300円?」
律「さっきアイスおごってもらっただろ? そのお返しだよ」
聡「へえ、ありがとう」
律「もっと感謝の意を前面に押し出せよ。姉ちゃんのほっぺにならキスして
いいんだぞ?」
聡「澪姉に怒られるから、そういうのはいいって」
律「そこでどうして澪が出てくるんだよー」
聡「さーて、どうしてかなっと」すたこらさっさ
律「なんだよあいつー」
律「――しまった。また暇になってしまった」
676 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:40:14.39 ID:/oqNrqD10
律「――」
律「あ、釣れた」ちゃぽん
律「まだ小さいな。よし、お前は海に帰りなさい」
律「おっきくなったら、また釣られに来いよー」
律「……」
律「餌、くっつけるの難しいな」
律「父さんに教わったけど、聡みたいにいかないな……」
律「うーん……」
律「私、こういう細かい作業苦手なんだよなー」
律「悪く言えば大雑把。よくいえば豪快?」
律「――聡のやつ、遅いな」
律「自販がある倉庫って、あそこだよな」トコトコ
律「……」
律「あれ? 聡のやつ、いないぞ」
677 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 21:55:27.19 ID:/oqNrqD10
律「聡? さとしー」
律「……?」
?「―――――――」
律「え? はい?」
律「なに、この馬鹿でかい塊……」
?「―――――――――!!!!!!!」
律「!?」
律「……まさかこれ、イキモノ?」
聡「――」
律「聡!」
聡「……あ」
律「あれ、一体なんだよ! どうしてこんなところに――え?」
聡「――ね、ちゃ」
律「お、お前……お前……顔が……」
律「うわああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああ!!!!!!!!」
678 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:06:52.91 ID:/oqNrqD10
――回想終わって――
律(聡は、バーサーカーに触れて瞬間に契約、全ての生命力を奪われた)
律(でも――お前にだけ負担を負わせない)
律(だから、私は戦う。聖杯戦争のことなら、偽臣の書に書いてあったからな)
律(全身が令呪に覆われた聡は、バーサーカーの動き一つ一つに激痛
が走る)
律(頑張ってきたが、もう限界だ。今日の朝日を見ることなく、聡は死ぬだろう)
律(だから――)
律「今日で全てを終わらせるぞ。聡」
律(聖杯で、おまえを回復させてやる。部活ができるようにしてやる)
律「だから、たとえ唯と澪が相手でも――私は勝つ」
律「そうだろう? バーサーカーよ」
~了~
682 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:22:23.32 ID:faqz395+O
聡がバーサーカーになった訳ではなかったのか
バーサーカーがギルガメッシュって人に殺されたから聡はギリギリ助かったの?
683 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:29:01.84 ID:/oqNrqD10
そろそろ再開しようと思う。
>>682
そう。
聡が助かる方法は二つ。
朝日が昇る前にバーサーカーが死ぬか、律が聖杯を手に入れること。
後者は確実に回復するが、前者では障害が残ってしまい、聡はスポーツ
を断念せざるを得なくなってしまった。エピローグで澪が聡に食べられる
か聞いたのはそのため。
685 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:40:47.51 ID:/oqNrqD10
Why did she arrive there?
――琴吹邸・ホール――
唯「――来たよ」
アーチャー「遅いわよ。もう少しで、ミオを殺してしまうところだった」
セイバー「アーチャー! ミオはどこか答えなさい!」
アーチャー「この先にあるワイン庫にいるわよ。一応、今のところは無事」
唯「……澪ちゃんを返して」
アーチャー「それは出来ないね」
唯「どうして!?」
アーチャー「ヒラサワユイ。貴女を殺すからよ」
ランサー「随分なことを言うじゃねえかアーチャー。俺とセイバーの姿が見え
ねえとは言わせねえぞ」
アーチャー「――単独行動の限界が過ぎ、魔力が枯渇しかかってるワタシ
相手に、あなたたちが戦う?」
セイバー「当然です。ユイが、貴様と戦うことは――」
唯「私が戦う」
セイバーランサー「!?」
686 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:46:51.04 ID:/oqNrqD10
唯「私が、アーチャーと戦う。それで、澪ちゃんは返してくれるんでしょ?」
アーチャー「そうね。貴女と戦ってる間は、セイバーとランサーが空いちゃう
もの。そうしたら、ミオを助けるのも楽チンね」
唯「――セイバーちゃん、ランサー。そういうことだから、いい?」
セイバー「了解しました。しかし、こちらにも条件があります」
ランサー「同じく。無条件ではやらせられねえな」
唯「?」
セイバー「私たちはここで見守ります。ユイが、アーチャーに命を脅かされる
ことがあろうことなら」
ランサー「俺たちが加勢する。だが、それまでは手は出さねえ。これでいいか?」
唯「……うん。それならいいよ」
アーチャー「これはまたきついなー。どっちにしても、私はもうここで終わり
ってことじゃない」
セイバー「当然でしょう。本来なら、すでに貴女を切り伏して、ミオの救出
に向かっている」
アーチャー「――それもそうか。それじゃあ、ヒラサワユイ。決着をつけま
しょうか」
唯「――うん」
689 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:53:51.54 ID:/oqNrqD10
アーチャー「――ワタシの真名は、知ってるわよね」かつん
唯「……唯、でしょ?」
アーチャー「そう。ワタシの名は真鍋唯。出来れば、この名前は名乗りたくな
かったけれど、ワタシという存在は、すでに平沢唯としてではなく真鍋唯と
しての記号が正しい」かつん
唯「――和ちゃんと、一緒になったの?」
アーチャー「それも正解。和は、私にとってかけがえのない人だった」かつん
唯「私だってそうだよ。でも、私が守りたい人は和ちゃんじゃなくて――」
アーチャー「ミオなんでしょう。そんなこと、とうの昔に気が付いていた。だか
ら、ワタシは貴女と戦う」かつん
唯「澪ちゃんを助ける。そして、守る。そのための障害になるのなら、私は、
たとえサーヴァントであっても倒す」
アーチャー「とぼけた顔をしていても、本質的には変わらないわね」かつん
唯「だって、同じ唯だもん」
アーチャー「それもそうか」かつん
アーチャー「それじゃあ、始めようか。どちらの唯が正しいのかを、ここで決め
てしまおう」カツンッ!
690 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 22:58:57.54 ID:/oqNrqD10
唯「――セイバーちゃん」
セイバー「はい」
唯「剣、貸してくれない?」
セイバー「断る理由はありませんよ。私は貴女の剣なのですから、私の剣
も、等しく貴女のものだ」
唯「……ありがとう」
セイバー「これで、私が手を出すことはできなくなりました」
ランサー「俺の槍を奪ってでも助太刀に入るかい?」
セイバー「まさか。貴方の魔槍は、貴方にしか扱えませんよ」
ランサー「それもそうか」
唯「――思ったより、軽いんだね」
アーチャー「それは妖精が鍛ったものだからよ。持った者の、力によって
その形状すらも変化させる」
唯「詳しいんだね」
アーチャー「無駄話よ。――ギー太、ちょっと荒く扱うけど、我慢してね」
691 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:04:32.94 ID:/oqNrqD10
唯「ギー太――まだ、持ってたんだ」
アーチャー「これは私が一番楽しいと感じた瞬間の思い出の象徴。ワタシは、
生涯このギターしか使わなかった」
唯「ムギちゃんが聞いたら、きっと驚いて喜ぶよ」
アーチャー「興味がない。それよりも、切りかかってきなさい。カウンターとる
から」
唯「――!」ブン
アーチャー「まるで素人ね。間合いも剣の握りも全て0点よ」
唯「うるさい!」ブン
セイバー「……駄目だ。あれでは、いくら魔力が僅かしかないとはいえ、
アーチャーには触れられない」
唯「――!!」ブンブン!
アーチャー「どこを見ているの?」
唯「――アーチャー!」
アーチャー「少し静かにしなさい」ガン!
692 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:08:59.10 ID:/oqNrqD10
唯「ん!」ぐらり
アーチャー「やっぱり、ギー太で殴ると効くでしょう? レスポールは重いから
ね。よくもまあ、こんな代物を選んだものよ」
唯「ギー太で、ギー太をそんなふうに使わないでよ!」ブン
アーチャー「――だったら、これはなんのためにあるのよ!」ガン!
唯「――痛っ!」
アーチャー「私にとって、もうギターなんてものは意味がない! 戦いの道具
に使えるのであれば、このギターはもうそれしか価値がない!」
唯「違う! ギターは楽器なの! 人を傷つけるものじゃない!」
アーチャー「なら――他者を傷つけないために、自分を傷つけていいの!?」
唯「――!」
アーチャー「私には、かつてのヒラサワユイには夢があった!」ガン
唯「あ――!」
アーチャー「武道館でライブをして、アーティストになってお金を稼いで、
憂に楽をさせたい! そう思った!」
セイバー「……」
693 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:16:04.98 ID:/oqNrqD10
唯「ハァ……ハァ……」
アーチャー「そうよ。私には才能があった。だから、澪ちゃんやりっちゃんたち
をおいて、あっさりプロになれたし、CDも飛ぶように売れた」
唯「――」
アーチャー「そのために何をしたか。どこかの社長と寝たり、そういった汚い
ことなんて一つもせず、ただ愚直なまでに鍛錬した!」
ランサー「――」
アーチャー「置いてきてしまった仲間たちのため。蔑ろにしてきた妹のため
に、私は孤独に震えながらも、それに耐えてきた」
アーチャー「得るものはいくつもあった。カネなんて、使っても使っても次の
日にはその10倍の額が振り込まれる。そんな、夢のようでいて幻のような
生活の中で、私は結局一つのことしか知らなかった!」
唯「……歌うことと、弾くこと」
アーチャー「そうよ。それしか知らなかった私は、まるで子供のよう
に――否、未だ子供だったのよ。あの時の私は――」
セイバー「ユイ……」
アーチャー「そうして、武道館での夢が叶ったの。それでも、私の心の中は、
変わらずに空っぽのままだった」
695 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:24:01.65 ID:/oqNrqD10
セイバー「――」
唯「夢が叶ったのに、空っぽ――?」
アーチャー「私にとって、夢は軽音部のみんなと武道館のステージに立つ
ことだった。それを、たった一人でしか果たせなかった私は、何も得ること
もなく、そのライブを終えた」
アーチャー「終わっても、なにも感じなかった」
アーチャー「こんなにも、こんなにも意味のないものだったのかと、恐ろしさ
すら感じたよ」
唯「……そんなこと」
アーチャー「そんなことがあったのよ。それでも、夢を叶えても私が出来るこ
となんて、一つしかなかった。だから――私は歌い続けた」
アーチャー「歌い続けると、誰もが私を見てくれた」
アーチャー「ギターを弾いているだけで、誰しもが私を好きでいてくれた」
アーチャー「――永く、本当に永く孤独だった」
アーチャー「でも、私にも転機があった。27歳の春のことだ」
アーチャー「イギリスでの公演で、私は街で和と再会したの」
696 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:25:38.43 ID:oKnVJSlj0
><
698 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:33:30.20 ID:/oqNrqD10
唯「――和ちゃんと……」
アーチャー「何も変わっていなかった。あの時の、私の世話をしてくれたあの
頃と、なにも変わってくれないでいた」
唯「……」
アーチャー「私たちが、再びその関係を修復するのに時間は要らなかった」
セイバー「ノドカ……」
アーチャー「ずっと、共にあろうと誓ったのは、再会して一年後のことよ」
唯「――私が……和ちゃんと……」
アーチャー「毎日のように愛し合った。毎日のように、私たちは――」
唯「――」
アーチャー「しかし、そのころには私は世界的なアーティストになっていた。
知らぬ間に、気が付いたらだ」
唯「……」
アーチャー「ヒラサワユイ。世間は、私たちを見てどう感じると思う?」
700 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:42:36.26 ID:/oqNrqD10
唯「幼馴染同士が、恋人になってよかったねって……祝福してくれ――」
アーチャー「ちがう!! 世間は、マスコミは私たちを異常者として祀り上げ
た! 同性愛者、それは世界的なアーティストであっても、侮蔑の対象でしか
なかったのよ!!」
唯「――!」
アーチャー「毎日のように流れていた私の歌は、一部の国では発禁ものと
なり、どの国に行っても誰かに後ろ指を指される始末だ。私は、そんなも
のは望んでなどいなかった!」
唯「うそ……」
アーチャー「それでも、私は歌い続けた。それしか知らなかったし、なにより
もこれからは和を守ってあげるという在り方を選んだから!」ガン!
アーチャー「辛かったなどというレベルではなかった。スタッフの目は軽蔑。
私の同類の人間からは、肉体の関係を迫られた! それは、決して一度や
二度ではない!」
アーチャー「それでも私は笑うしかなかった。和に、心配をかけたくなかった
から……」ギン
唯「――んん……!」ギギギ
アーチャー「歌ってさえいれば、私を見てくれていた。私は、今の自分を忘れ
ることができた」
アーチャー「でもね――和には、そんなものはなかったのよ」
701 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/23(水) 23:51:03.62 ID:lEas8MB+P
流石に無理がある
703 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:01:42.21 ID:d12VvGQV0
アーチャー「……和は、パパラッチのクルマに撥ねられて……」
唯「!?」ギン!
アーチャー「和がいなくなって、私はまた一人になってしまった」ガン!
唯「……!」
アーチャー「――本当なら、それで終わりなんだろうけど。私には、やっぱり
歌うことしかできなかった」
セイバー「ユイ、アーチャー……」
アーチャー「世間は、私を悲運のヒロインとして扱った。それを利用しようと、
多くの団体や組織が、私にすり寄ってきた」
アーチャー「全てが真っ当なものではなかった! 怪しいものもあったし、中
には宗教さえも、私を利用した!」ギン!
唯「――!」
アーチャー「でもね、そんなことなんてどうでもよかった! 私は私を生まない
ために、私を犠牲にしてもいいと思った!」
唯「……ん!」
アーチャー「それで赦してもらおうなんて思っていたわけではない。ただ私
は――私が知りうる限りの世界では、誰にも涙してほしくなかっただけ……」
705 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:08:01.14 ID:d12VvGQV0
アーチャー「……」
唯「だから――自分が可哀想だって言いたいの?」
アーチャー「その通りよ! 私は不幸よ! あんな目にあっても、それでも
笑っていられる人間なんていない!」ギン!
唯「私は笑っていてみせる!」ギン!
アーチャー「――!」
唯「だって、私は一人じゃないもん! 澪ちゃんだって、りっちゃんだって、
ムギちゃんもあずにゃんも――憂も和ちゃんもセイバーちゃんもランサーも、
皆がいるもん!!」
アーチャー「皆が、私から離れていった! 最終的には、世間は私を忘れ、
誰も私を見てなどくれなくなった!」
唯「壁を作らないでよ! 構ってほしいから歌ってたくせに!」
アーチャー「違う!」
唯「そうだよ! 結局、アーチャーは逃げてただけなんだ!」
707 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:11:34.05 ID:d12VvGQV0
アーチャー「……貴女と、私では存在が違う」
唯「当たり前だよ」
アーチャー「生きてきた世界も違う」
唯「――それが、違うということなんだから」
アーチャー「……合点がいった。やはり、和のために殺しておくべきね」
唯「……私は、澪ちゃんと一緒に生きる」
アーチャー「なら、ミオのために貴女を殺す」
唯「――お互いに、譲れないんだね」
アーチャー「それが、違うっていうことなんでしょう?」
唯「うん。……セイバーちゃん、見ててね」
セイバー「もちろんです。マスター」
唯「―――――――――――!!!!」ダッ
アーチャー「―――――――――――――!!!!」ダッ
708 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:14:03.05 ID:d12VvGQV0
唯「――――私の勝ちだね。アーチャー」
アーチャー「ええ。やっぱり、ワタシと貴女は違う人間だよ」
709 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:18:31.70 ID:d12VvGQV0
――――
澪「――ねえ、アーチャー」
アーチャー「なぁに? 正直、もう魔力なんて0以下なんだけど」
澪「それはそうだろ。私を裏切ったんだから」
アーチャー「それは、軽くごめん」
澪「謝る気ないだろ」
アーチャー「ないかも。……後悔は、してないしね」
澪「まったく。変わらないな、唯はさ」
アーチャー「――いつから、知ってた?」
澪「わからないよ。気が付いたら、アーチャーが唯にしか見えなくなってた」
アーチャー「フフ。それって、ただの恋じゃない」
澪「そうかな。――そうかもしれないな」
アーチャー「――私を、頼んだよ」
澪「あの可愛い唯が、お前みたいにならないように頑張るよ」
アーチャー「――澪ちゃん」
710 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:21:52.37 ID:gYlrA5c+O
サヨナラあーちゃん
711 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:24:20.08 ID:d12VvGQV0
澪「なんだ? 足元、もう消えてるじゃないか」
アーチャー「――私に伝えておいてね。澪ちゃんを悲しませたら、今度こそ、
私は殺しに行くよって」
澪「――それじゃあ、これが最後の別れだな」
アーチャー「そうなると思う」
澪「さようなら、アーチャー。お前との時間は、多分、人生の宝になると思う」
アーチャー「これからも、私と過ごす時間だよ」
澪「唯とお前は、違うよ」
アーチャー「まったくだね。ちょっと、唯に嫉妬しちゃうよ」
澪「……うん」
アーチャー「じゃあ、また会おうね」
澪「いいや、これで最後だよ。絶対にな」
アーチャー「――うん」
これが一人の英霊の物語。
これが、一人の女の物語。
これからが、二人の物語。
~了~
714 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:29:16.42 ID:afPhLpTy0
面白かったよ、乙
715 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:30:04.86 ID:eV1IzCc6O
乙。
717 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:33:12.24 ID:sxQTn72t0
おっつん
720 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:40:39.77 ID:QByQD1CP0
乙
721 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:40:56.47 ID:K7uifN//0
最後のエピと本編ってつながってんの?
722 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:44:55.67 ID:irHbeKs40
Fate本編のこのシーン思い出して泣いた
またプレイしたくなってきたけど初プレイほどの爆発的な超感動は味わえないんだろうなと思うと
723 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:47:12.57 ID:ZDvTzEqZO
>>721
別ルートじゃね?
大体本編じゃ、澪は律ラブだったじゃん?
724 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:49:53.87 ID:KKnDi3ynO
ホロウみたいな後日談書いてくれー
725 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 00:52:01.26 ID:oJuUZ0GTO
乙。面白かった
726 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 01:02:46.39 ID:+JRY72H60
おつ
730 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/24(木) 01:38:00.91 ID:K7uifN//0
>>723
あーそんな感じなのか。
fateでも別ルートでこんな話があるのね。
面白かったよ!お疲れ。これからも頑張って
サントラ タイナカサチ
ジェネオン・ユニバーサル (2010-04-28)
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やっぱクロス系はどっちの作品も知ってるとにやけるほどおもしろいな・・・w
クロスのssで両方元ネタ知ってるのあんまりないからこりゃ貴重だ。