1 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:14:39.47 ID:PC/Bl/YDO
+クメルスン・アマーティ編+
ガヤガヤ…
アマーティ「ロレンスさん!」
ロレンス「…」モグモグ
ロレンス「…」ゴクン
ロレンス「なにか?」
ホロ「ぬしは緊張感の欠片もないの…」
ロレンス「お前に言われたくないな」
ホロ「なんじゃとー」バシ
ロレンス「いて」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1364872479
2 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:18:22.72 ID:CHAXqIqGo
ロレンス「ふむ」
ホロ「…何かや」
ロレンス「ずいぶんいろいろと頂戴したようだな?」ニヤニヤ
ホロ「…。まあの」フン
アマーティ「あ、あのー…私の話を聞いて頂きたいのですが…」
3 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:21:08.90 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「はあ…」モグモグ
アマーティ「ど、どうしました?」
ロレンス「いや…やはりクメルスンで魚取引を行うアマーティさんのことです」
ロレンス「羽振りがよく好況らしい。私のようなしがない行商人には眩しい限りです」
アマーティ「そ、そんな。とんでもない」テレ
ホロ「なにを照れておるんじゃたわけ」バシ
アマーティ「す、すいません」
ロレンス「こら。誰彼構わず叩くんじゃない」パシ
ホロ「いたっ!? ぬ、ぬしよ、わっちの頭を気安く叩くなと言っておろう!」
ギャーギャー
4 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:23:24.11 ID:CHAXqIqGo
ノーラ「…」クピクピ
ノーラ「(ぶどう酒がおいしいです)」ニヘラ
ロレンス「それで…私のような一介の行商人に、アマーティさんほどのお方が一体何の用でしょうか」
ホロ「!? わっちを無視するでない!」
アマーティ「ええと、ですね」ゴホン
5 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:26:35.36 ID:PC/Bl/YDO
アマーティ「ホロさんはロレンスさんに莫大な借金を抱えていると聞きました」
ロレンス「…。はあ」グビ
アマーティ「私も商人ですから正義漢というわけではありません。ですが」チラ
ホロ「くふ?」
アマーティ「このようなか弱い女性に助けを求められ手を差し伸べないほど、冷血なわけでもありません」
ロレンス「…はあそれで」パク
アマーティ「ホロさんの借金は私が肩代わりします。そしてその上で」
アマーティ「彼女に結婚を申し込みたいと思うのです!」
ロレンス「…」モグモグ
6 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:29:37.60 ID:CHAXqIqGo
ロレンス「ええと、林檎が十五個」
アマーティ「…え?」
ロレンス「それから小麦パンが五つ。上等な葡萄酒が皮袋四つ分。露店などでの飲食代は…まあ概算でお伝えすればよろしいですかね」
アマーティ「…そ、それだけ…ですか…?」
ロレンス「ええ。これだけです」モグモグ
ロレンス「いや私の財布にしてみれば莫大な借金と形容して差し支えのない飲食代ですよ。アマーティさんからすれば芥子粒ほどの金額かもしれませんが」ハハ
ホロ「…ぬ、ぬしよ一体何を…」ヒク
ロレンス「よかったな賢狼様。俺よりよほど気楽にねだれる相手が見つかったようだ」ニコ
7 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:34:08.58 ID:PC/Bl/YDO
アマーティ「…」ポカン
ロレンス「お幸せに」
ホロ「…」
ホロ「…の、のう。いくらなんでもわっちの扱いが軽すぎやしないかや…」
ロレンス「もともと借りを返すまでって話だったろう?」
ホロ「(それは言葉遊びというか、建前みたいなものじゃろうが!)」
ロレンス「それに」チラ
ノーラ「…」チビチビ
ノーラ「?」
ノーラ「えへ」ニコ
ロレンス「…」ニコ
ロレンス「旅の連れはノーラさんで間に合っている」
ホロ「…なぁ…」
8 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:36:05.66 ID:CHAXqIqGo
ホロ「(こ、この賢狼が…わっちが、こんな、どこにでもいるような羊飼いの小娘に劣っておるとでも言うのかや!)」
アマーティ「…」
アマーティ「よ、よろしいのですか、あの」
ロレンス「無論です。まさしくこいつに食われた多少の財産をアマーティさんに代わりに返済して頂けるのであれば、私には露ほどの異論もありません」
ホロ「…のう」
ロレンス「うん?」
ホロ「ぬしはそれ本気で言っておるのかや…?」
ロレンス「? うん」
ホロ「そ、そうかや…」シュン
9 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:38:32.98 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「御者台には二人くらいがちょうどいい。わびしい行商人の財布としてもな。そう言うことだ」
ガタン
ロレンス「ではわれわれは失礼します。請求はまた後日」
ロレンス「ノーラさん、行きましょうか」
ノーラ「あ、はい」ガタン
ノーラ「あの、ホロさん
ホロ「ん?」
ノーラ「どうかお幸せに」ニコ
ホロ「…」イラ
スタスタ
10 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:39:22.09 ID:CHAXqIqGo
アマーティ「…あ、あの。ホロさん」
ホロ「…」
アマーティ「事が全部済みましたら、正式に、ホロさんに結婚を――」
ホロ「そんなものいらぬ」
アマーティ「…、え?」
ガタッ
アマーティ「ホ、ホロさん?」
11 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:42:20.20 ID:PC/Bl/YDO
スタスタ
ホロ「…」
ホロ「あの、…この、くそ! なんなんじゃ一体!」
ホロ「わっちがこれほどまでにこけにされたのは、は、初めてでありんす!」
ホロ「…」
ホロ「(こけにされたというか袖にされたというか…)」
ホロ「…はっ」ブンブン
ホロ「あ、ありえん。そんなことありんせん!」
ホロ「わっちをこんな風にぞんざいに扱おうなど、…」
ピタ
ホロ「…。そうじゃ」
12 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 12:43:23.02 ID:CHAXqIqGo
ホロ「故郷の…仲間ぐらいのものでありんす」
+クメルスン・アマーティ編・完+
13 :
◆5elc53sAMI :2013/04/02(火) 12:45:33.57 ID:PC/Bl/YDO
今さらですが
ノーラ「羊飼いと行商人と、狼」
という作品の続編、という形になります。
続き、+レノス・エーブ編+を今日の夜投下予定です。
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/02(火) 13:51:09.97 ID:sWdDV99Yo
エーブだ珍しい
乙
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/02(火) 15:18:39.50 ID:Lyf6LOpB0
18 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 18:54:37.12 ID:PC/Bl/YDO
+レノス・エーブ編+
エーブ「どうだ。あんたオレに金を貸さないか。なに」グイ
エーブ「あんたの連れをボラン家の名を冠して質草に出せばいいだけさ」フー
ロレンス「…それはできません。あの方は…」
エーブ「商売上の協力関係と聞いたぜ。なら構わないだろう?」
エーブ「本人もそばで小僧のように素直に頷いているじゃないか」
ロレンス「本人?」
ホロ「…」コクコク
ロレンス「…」
ホロ「…」コクコクコクコ
ロレンス「おい」ガシ
ホロ「んむ?」
19 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 18:56:09.50 ID:r2xYrzfEo
ロレンス「なぜお前がここにいる」
ホロ「くふ?」
ロレンス「くふじゃないが」
エーブ「? どうかしたか」
ロレンス「あ、いえ」
20 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 18:58:07.81 ID:PC/Bl/YDO
ホロ「安心して話に乗るとよい」コソ
ロレンス「どうしてそう言える」
ホロ「詳しくはあとで話そう。じゃがわっちにはあの女狐が何を企んでおるか知れておる」
ロレンス「…ほお」
ホロ「ぬしはわっちを利用する気でおればよい。何の心配もありんせん」
ロレンス「俺がお前の思惑に納得できたらな」スッ
ホロ「くふ」
ロレンス「分かりました。エーブさんそのお話乗らせて頂きます」
エーブ「そいつは何より」フゥ
21 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:01:20.50 ID:r2xYrzfEo
・
・
・
ロレンス「それでなんだって?」
ホロ「んむ! 聞いて驚くがよい――」
ロレンス「待った」コツ
ホロ「ふぎゅ」
ホロ「い、痛い? 急に、た、叩かないでくりゃれ?」オロオロ
ロレンス「静かに」
22 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:03:41.43 ID:PC/Bl/YDO
ノーラ「…くぅ」スヤスヤ
ロレンス「ノーラさんはもう眠っているからな。起こしてはだめだ」
ナデナデ
ノーラ「…えっへへ…」スヤスヤ
ホロ「…」ジンジン
ホロ「う、うむ。分かったでありんす」コク
23 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:08:01.93 ID:r2xYrzfEo
・
・
・
ロレンス「なるほど。つまりエーブは俺を無知のまま盾にしてずいぶん無謀な取引を行うつもりでいたわけだ」
ロレンス「ありがとう。聞けてよかった。そんな取引に乗るわけにはいかない」
ホロ「え。な、なぜじゃ?」
ナデナデ
ノーラ「…」
ロレンス「俺が抱えているのは一人分の命ではないからな」
ホロ「…」
ロレンス「それに無関係のお前まで巻き込むわけにはいかない」
ホロ「…」
ホロ「そ、そうかや」パタパタ
24 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:12:10.77 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「なあ」
ホロ「んむ?」ニコ
ロレンス「…」
ロレンス「それだけの情報を集めるとなると相当な労力が必要だったはずだ。いや知恵も。エーブにまったく嗅ぎつかれることなくお前はやってのけたんだからな」
ホロ「んむ! わっちは賢狼じゃからな!」フンス
ロレンス「ない胸を張ってもみっともないだけだぞ」
ホロ「なっ」
25 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:16:11.21 ID:r2xYrzfEo
ホロ「そ、その小娘よりはあるじゃろ!」
ロレンス「どうしてノーラさんが出て来るんだ」
ホロ「…っ、う、うるさい! 知らぬ!」
ロレンス「(理不尽な)」
ロレンス「まあどんな手段を使ったかはあえて聞こうとは思わないが…」
ホロ「賢明じゃな」
ロレンス「だがどうして? なぜ俺のためにそこまでした」
ロレンス「それに――まず失敗がないとは言えお前が自分の身を賭ける理由は何もないだろう」
ホロ「…そうじゃのー…」
26 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:19:37.17 ID:PC/Bl/YDO
ホロ「実はわっちにもよく分からぬ」
ロレンス「…」
ホロ「ただの」
ロレンス「ただ?」
ホロ「むかついたから」
ロレンス「…?」
27 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:21:46.22 ID:r2xYrzfEo
ホロ「のうぬしよ」
ロレンス「おう」
ホロ「ぬしはどうしたらわっちを――」
ロレンス「…」
ホロ「…」
ホロ「何でもありんせん」フイ
ロレンス「なんだよ」
ホロ「何でもないと言っておる!」
28 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:25:12.36 ID:PC/Bl/YDO
バサ
ホロ「まあ…とにかくそういうことでありんす」
ホロ「取引を反故にするなら早い方がよい。五十人会議の結果が公布されてしまえばあの女もどんな手を使って来るか」
ロレンス「あの人相手だと、もう十分言い出すのがおそろいいくらいに足を突っ込んでしまった気もするがな」
ホロ「違いない」クス
29 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:30:54.74 ID:r2xYrzfEo
・
・
・
エーブ「ふうん。俺の見込み違いだったか」
ロレンス「挑発には乗りませんよ」
エーブ「…なああんた本当にそれでも商人か」
ロレンス「どうでしょう。しかし一部の、自殺志願者と変わらない――」
ロレンス「向こう見ずな商人気取りの方よりは。幾分かは商人らしいと思っています」
エーブ「…はっ」
30 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:34:46.23 ID:PC/Bl/YDO
エーブ「まいいさ。分かった。無理強いはしない。いやできないと言った方がいいか」
エーブ「どうやってそこまで嗅ぎつけられたか不思議で仕方ないぜ」
ロレンス「(それは私もです)」
ロレンス「それで…これからどうするんです」
エーブ「さあ。お前の知ったことではないだろうさ」
ロレンス「まさか単身で動くつもりではないでしょうね」
エーブ「無理は承知さ」
ロレンス「死にますよ」
エーブ「ああ。かもしれない」
31 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:38:47.50 ID:r2xYrzfEo
ロレンス「やめてください」
エーブ「…。なんだと?」
ロレンス「だって死ぬかもしれない」
エーブ「さっきも聞いた。お前がなぜ俺をとめる」
ロレンス「目の前で死のうとしている人間がいてとめない人はいません」
エーブ「だったら商人は人間じゃないな」
ロレンス「だったら私は商人でなくていい」
エーブ「…は?」
32 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:40:37.37 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「エーブさんもどうです?」
ロレンス「旅に連れがいると人は変わります。どうやら私は羊にでもなってしまったようです」
エーブ「…」
エーブ「くっく。あははは。笑わせるなよ」
エーブ「はーあ。やはり俺の目が狂っていたってことか」
ロレンス「残念ながら、そうみたいですね」
33 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:44:46.58 ID:r2xYrzfEo
・
・
・
パシ
ロレンス「では行きましょうか。次の町へ」
ノーラ「はい!」ニコ
ホロ「んむ!」ニッコー
ロレンス「…」
ホロ「?」ニッコー
ロレンス「だから何でお前がいるんだ」
ホロ「なんでじゃろか?」
ロレンス「…いや俺は知らないが」
ホロ「まあまあ」
ロレンス「…」ハア
34 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:47:38.50 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「いいけどお前は荷台に行け。前にも言った通り御者台は二人がちょうどいい」
ホロ「…そうは言っても」
ホロ「荷台には先客がいんす」
ロレンス「…先客?」
35 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:50:28.87 ID:r2xYrzfEo
エーブ「…」チビチビ
ロレンス「…」
エーブ「お、そろそろ出発か?」
ロレンス「エーブさん…どうしてあなたがここに」
エーブ「いちゃ悪いか?」
ロレンス「当たり前でしょう」
エーブ「つれねぇなあ」
36 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:53:49.58 ID:PC/Bl/YDO
エーブ「旅には連れを持てとありがたいご宣託を授けたのはお前じゃないか」
ロレンス「…」ハア
エーブ「はは。一言下りてくださいって言ってくれれば下りるんだがな」
ロレンス「…」
ロレンス「…人の悪い…」
エーブ「あんたの人が良すぎるだけさ」
37 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 19:57:20.13 ID:r2xYrzfEo
エーブ「よっと」
エーブ「まあ何でもない気まぐれだと思ってくれ。別に商売をやめるつもりもない。一時休業ってところだな」
ロレンス「…はあ」
エーブ「ま、とはいえ」
スス
エーブ「俺は狼だからな。安らかなひと時のために空腹を満たすくらいの労は、いとわないが」アーン
ロレンス「…食べてもおいしくないですよ」
エーブ「何事にも好みってもんがあるだろう?」
ノーラ「あ、あのー」
38 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 20:00:46.67 ID:PC/Bl/YDO
ギュ
ノーラ「こ、この方は、私の、…その、お人…ですからね」
エーブ「…ふん。あんたは羊飼いだったか…」
エーブ「羊飼いなら羊飼いらしく、狼から逃げおおせてみればいい」
ノーラ「分かりました」ニコ
エーブ「(自信満々だなおい)」
ロレンス「…」
ロレンス「(…前にもこんなことあったなー…)」キリキリ
39 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 20:04:16.24 ID:r2xYrzfEo
ホロ「…」
ホロ「わっちは蚊帳の外じゃなー…」
ホロ「…賢狼…なんじゃけどなー…」
40 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 20:10:02.23 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「…じゃあそろそろ出します」
ノーラ「はい」
エーブ「ああ」
ホロ「い、いいかや! 日が昇り切ってからはどちらかわっちとロレンスの隣を交代するのじゃからな!」
ギャーギャー
ロレンス「…」
ロレンス「(本格的に行商は廃業かな…)」ハア
+レノス・エーブ編・完+
41 :
◆5elc53sAMI :2013/04/02(火) 20:11:13.76 ID:r2xYrzfEo
以上、+レノス・エーブ編+でした。
最後にもう一編投下予定です。
おそらく零時前後になるかと思います。
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/02(火) 20:30:01.62 ID:FXBxwPcco
この空気いいわー
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/02(火) 21:32:09.30 ID:baSnw+PT0
乙でござる!
45 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:13:26.38 ID:PC/Bl/YDO
+旅の途中+
ガラガラ…
エーブ「よっと」
ロレンス「エーブさん。どうかしましたか?」
エーブ「ん? ああ、いや」
エーブ「暇だろうと思ってな。俺が話相手になってやるよ」
ノーラ「…くぅ」zz…
ロレンス「はは。それはどうも」ナデナデ
ノーラ「えへへ…」スヤスヤ
46 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:16:22.36 ID:QkM2tW3Yo
ロレンス「ホロの奴はどうしていますか?」
エーブ「荷台の方で眠りこけてるよ」
エーブ「(でなきゃ俺がこうしてすんなり御者台の方へは来れないさ)」カジ
ロレンス「…それは?」
エーブ「おっと心配しないでくれ。あんたの荷をつまみ食いしているわけじゃない。自分で持って来た干し肉だ」モグ
エーブ「お前もどうだ?」クイ
ロレンス「…えっと」
エーブ「ほら。噛み千切ればいいだろ」クイクイ
ロレンス「…」
パク
47 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:20:27.26 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「…」モグモグ
ロレンス「まあ、一緒に旅をするわけですから…」
ロレンス「食糧については、一言断って頂ければ構いません。ご自由に」
エーブ「ほお、そうかい」
エーブ「…くく。あんたはつくづく甘いな」
ロレンス「…自覚はあります」
ロレンス「ですがエーブさんのことを信じてもいます」
エーブ「あん?」
48 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:25:09.93 ID:QkM2tW3Yo
ロレンス「もしかすると私よりも旅慣れているでしょう?」
ロレンス「そんな方がどっかの誰かのように…」
ロレンス「無遠慮に食料を食べ散らかすとは考え難いですからね」
エーブ「…まあな」グビ
エーブ「…」フン
エーブ「どうだ。ぶどう酒もあるぜ」
チャポン
ロレンス「頂きます」
49 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:29:00.48 ID:PC/Bl/YDO
ロレンス「…」グイ
エーブ「…それにしても」モグ
ロレンス「ええ」
エーブ「こんなに妙な旅は初めてだ。今までの経験からするととても旅をしているとは思えない」
ロレンス「…同感です」
エーブ「そうなのか?」
ロレンス「…一応、一番当惑しているのは私だと自覚しているんですが…」
エーブ「…。くくっ。あっはは」
エーブ「そうだったか。てっきりいつもこうなのかと」
ロレンス「…人聞きの悪い…偶然ですよ」
50 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:33:49.38 ID:QkM2tW3Yo
エーブ「じゃあ」チラ
ノーラ「…」スヤスヤ
エーブ「そいつとも別に長いわけではないのか」
ロレンス「ええ。リュビンハイゲンからですから」
エーブ「ふぅん…」グイ
ロレンス「…」
ガラガラ…
51 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:38:04.44 ID:PC/Bl/YDO
チャポン…
エーブ「ならまだ付け入る隙はあるわけだ」フー
ロレンス「え?」
スス
エーブ「なあロレンス」
ロレンス「…なんです?」チカイ
エーブ「俺はまだ何もかも諦めたわけじゃない」
エーブ「商売だって狩りだって、いや何事においても遠回りが必要なときはある。だろう?」
ロレンス「え、ええ」
52 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:43:37.17 ID:QkM2tW3Yo
エーブ「俺はお前と商売をすることこそが黄金の道への最短経路だと信じている」
ロレンス「…ずいぶんと、買って頂けているようですね」
エーブ「まあな」
エーブ「だから覚悟しておけ」クイ
ロレンス「?」
エーブ「…」プハ
エーブ「俺はお前を羊にさせたままではおかないぜ。俺と同じ狼にきっと戻してやる」
ロレンス「…ええ。分かりました」
ロレンス「私はまだ羊でいることを心地よいと思っていますからね。頑張って逃げてみようと思います」
エーブ「それでいい…これは」
53 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:46:21.81 ID:PC/Bl/YDO
エーブ「狼より愛を込めて」
エーブ「羊たるお前へ、狼たる私からの宣戦布告だ」
54 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:49:33.53 ID:QkM2tW3Yo
ロレンス「…え?」
ロレンス「エ、エーブさん、今なんと…」
エーブ「くく。戯言と言え聞き洩らすとは商人失格だな」
フイ
エーブ「そろそろ賢狼さまに席を譲ってやる。ま、これからしばらくよろしくな」ヒラヒラ
ロレンス「…え、ええ」
55 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:53:47.43 ID:PC/Bl/YDO
ギシ
ホロ「…む?」
エーブ「…」
ホロ「…むぅ…くあ。あふ」ムク
ホロ「そろそろわっちの番かや…?」
エーブ「あ、ああ。好きにしろ」
ホロ「…」
ホロ「くふ」
エーブ「何だよ」
ホロ「耳まで真っ赤じゃな。人の耳は分かり易くてよいのー」パタパタ
エーブ「…っ!」バッ
ホロ「もう遅いでありんす」クスクス
56 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/02(火) 23:57:21.72 ID:QkM2tW3Yo
ノーラ「…んぅ」
ロレンス「おや、目が覚めましたか?」
ノーラ「…」ポーッ
ノーラ「はい。おはようございます」ゴシゴシ
ノーラ「ごめんなさい。お膝をお借りして…でも、とても心地良かったです」
ロレンス「ノーラさんがゆっくりお休みできたのなら何よりです」
ノーラ「あ、ありがとうございます」//
57 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/03(水) 00:01:32.48 ID:l6aI0RnDO
ガタ
ホロ「のうぬしよ聞いてくりゃれ! エーブの奴がの」
エーブ「おいこら野良狼。余計なことを言うんじゃねえ」ガッ
ホロ「の!? き、きさま、この賢狼に何たる口を」
エーブ「知るかそんなこと。いいから獣は黙って寝てろ」
ホロ「つ、次にロレンスの横に座るのはわっちの番じゃし!」
ガタガタ
ヒヒーン
ロレンス「…何でもいいからもう少し静かにしてくれ」
58 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/03(水) 00:06:00.50 ID:Jqrsk6Djo
ポス
ロレンス「…なんだよ」
ホロ「くふふー。さっきまでノーラはこうしてもらっておったじゃろ? わっちにもせんと不公平じゃ」
ロレンス「…」ハア
ロレンス「まあ何でもいい。勝手にしてくれ」
エーブ「おい。俺はそんなことしてもらっていないぞ」
ホロ「くふ。してもらいたいのかや?」
エーブ「…」
ロレンス「そうなんですか?」ナデナデ
エーブ「…い、いや…」
59 :
◆5elc53sAMI [saga]:2013/04/03(水) 00:10:00.36 ID:l6aI0RnDO
ノーラ「あ、あの、ロレンスさん。私のことも…」
ホロ「おぬしはさっきまで十分甘やかしてもらっておったじゃろ!」
ノーラ「せ、正式にロレンスさんと旅をともにしているのは私です!」
ホロ「何じゃとー」
エーブ「お、おいおい、俺も、忘れてもらっては困る、ぞ…」
ワイワイ
ロレンス「…はあー…」
ロレンス「(…胃が痛い…)」
+おしまい+
60 :
◆5elc53sAMI :2013/04/03(水) 00:10:37.98 ID:Jqrsk6Djo
「旅の途中」聞きながら書いてたら死にたくなって来た。謎のノスタルジー。
以上、エーブ「狼より愛を込めて」でした。
前作
ノーラ「羊飼いと行商人と、狼」と合わせてお楽しみ頂けると幸いです。
そのうち続編を書こうとは思いますが次は誰が旅の仲間になるんですかね。
そろそろお馬さんもきつくないですか。
では、ありがとうございました。
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/03(水) 00:25:25.21 ID:BUSNHTfno
乙
こんな賑やかな荷馬車もいいな
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/03(水) 00:34:43.38 ID:EFTyrZh30
乙
美女3人連れで行商か
エーブさんが男の振りをしないとロレンスの信用が地に墜ちるな
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/03(水) 00:39:03.48 ID:wfr9NcPO0
乙でござる!乙でござる!
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/03(水) 20:57:49.89 ID:o3Z0eDdM0
読みたかったものを書いてくれてありがとう
ここではノーラがメインヒロインなのか。
賑やかで楽しくて、ちょっとやそっとの困難もなんのそのな旅になりそうだが、
ロレンスが胃潰瘍になるのも時間の問題だな。だが爆発しろ
転載元
エーブ「狼より愛を込めて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364872479/
小梅 けいと 支倉 凍砂
アスキー・メディアワークス (2012-02-27)
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一日に二つも狼と香辛料ssが読めるとはなんたる贅沢