3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:15:39.94 ID:s3fF8/in0
ウィーン「……」
ガラッ
和奏「あれ? ウィーン? どうしたの、教室に一人で。考え事?」
ウィーン「……あぁ、和奏。うん、ちょっとね。和奏こそ、どうしたの?」
和奏「忘れ物取りに来たんだけど……。何かあったの?」
ウィーン「うん。白祭が終わって、みんなそれぞれ自分の夢を追っているよね」
和奏「そうだね」
ウィーン「それなのに、今の僕はまだ何も出来てない。例えば数年後、一体僕はどうなっているのか……どうしたいのか……」
和奏「……うーん。あ!」
ウィーン「?」
和奏「せっかくだし、合唱部のみんなに聞いてみよっか」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:18:18.96 ID:s3fF8/in0
ウィーン「え?」
和奏「受験勉強で忙しいかもだけど、たまに息抜きくらいは良いと思う」
ウィーン「迷惑じゃないかな?」
和奏「大丈夫だよ。ちょっと待っててね。すぐメールするから」
ウィーン「うん。ありがとう、和奏」
――――その後。
ガラッ!
来夏「おーっす! 和奏アンド、ゥウィーーン!」
ウィーン「やあ、来夏」
来夏「ちょうど今日が図書室に寄る日で良かったよー。普段ならとっくに帰ってたもん!」
和奏「紗羽と田中は?」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:21:08.18 ID:s3fF8/in0
来夏「さあ? 田中はバトミントンの練習するって、行ってたし。紗羽は先に帰っちゃってたし」
和奏「え、でも二人とも来るって連絡来たよ?」
来夏「そうなんだ。じゃー、待ってれば来るんじゃない?」
ワイワイガヤガヤ
ウィーン「あ、この話し声は、大智と紗羽だ!」
紗羽『大体、なんで制服に着替えたの? この後また練習なんでしょ?』
田中『……別に良いだろ。動いた後だったから、汗かいてたんだよ』
紗羽『ふーん。気にしなくていいのに』
田中『俺は……気にするんだよ。お前こそ、何であんなとこに居たんだよ。先に帰ってたろ』
紗羽『提出物あったから、学校出るのちょっと遅れたの。まさか、校門で田中と鉢合わせするとは思ってなかったけど』
ガラッ
紗羽「お待たせ、みんな」
田中「なんだ、もう揃ってんのか。遅れて悪いな」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:24:43.77 ID:s3fF8/in0
来夏「毎日顔は合わせてるのに、なんか久しぶりって感じするね」
和奏「こんな話、白祭の前もしたよね」
ウィーン「僕たち、いつも一緒だったから。ちょっとだけでも長く思えるよ」
来夏「ウィーンは泣かせることを言ってくれるねぇ……。さて、じゃ、和奏!」
和奏「うん。今日集まってもらったのはね、そのウィーンのことなの」
ウィーン「どうか、みんなの力を貸してほしいんだ」
紗羽「力って? 具体的には?」
ウィーン「果たして、数年後僕は一体何をしているのか。それを考えてほしい」
来夏「……つまりは、ウィーンの将来についてってこと?」
ウィーン「そうだね」
紗羽「ウィーンの将来ねえ……」
田中「お前、帰国子女だろ? 実家あっちなら、戻ってもいいんじゃねーか? 馴染みはドイツのがあるんじゃねーの?」
ウィーン「それは出来ないこともないけど……僕が生まれたこの日本で、今ここに来たならば、きっと意味があるはずなんだ!
だから、ここで何か、やりとげられることを探したい!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:28:03.78 ID:s3fF8/in0
来夏「熱血ぅー! よーし、そこまで本気なら、あたしも全力でサポートしてあげるよ!」
ウィーン「ありがとう来夏!」
来夏「じゃあ、まずウィーンのことをおさらいしよっか。黒板に、何でもいいから自己紹介してよ」
ウィーン「わかった!」
――――数分後
ウィーン「ガンガン今日もがーんばってー♪ ガンガン夢をまーもるんだー♪」
和奏「ウィーン」
ウィーン「なに?」
和奏「ドイツ語じゃ、私たちわかんないよ」
来夏(和奏がドイツ語だってわかったことに驚きだ!)
紗羽(って顔を来夏がしてる)
田中(それを読めた沖田がすげえよ)
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:32:26.31 ID:s3fF8/in0
ウィーン「あぁ、ごめん。みんなには、日本語じゃないといけないかったね」
紗羽「もういいよ。わたしが書いてあげるから、言ってって」
ウィーン「お願いね、紗羽。じゃあまず……」
――――。
ウィーン「というぐらいかな」
来夏「前田敦博、身長175センチ体重65キロ。体力測定はBランク。学力は第二言語のみA、他はB。
趣味はガンバレンジャーを見ること。ヤンへ手紙を書くこと。
特技は小物作りとガンバライジャー全話、全台詞を言える。
家はお爺ちゃんの別荘に父親と住んでいる。読書も好き。日本も大好き。合唱部のみんなももちろん! ……か」
和奏「ウィーンの本名、すっかり忘れてた」
紗羽「わたしもー。ウィーンはウィーンって感じだもんね!」
田中「ひでえな、お前ら……」
ウィーン「実は僕、ウィーンに居た頃は、ニホンって呼ばれてたんだ」
来夏「うわっ、複雑ー」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:35:35.67 ID:s3fF8/in0
ウィーン「でも、ニックネームの付け方が同じだから、少し嬉しかったんだ」
紗羽「名づけた甲斐があったね」
和奏「紗羽だったっけ、つけたの?」
田中「で、宮本。こっからどうすんだ?」
来夏「うーん……そうだねー……」
紗羽「趣味を活かすとか?」
来夏「ガンバレンジャーから、どうやって将来を見出すってゆーの!?」
田中「スーツアクターとか?」
和奏「スーツアクター?」
田中「なんとかライダーとか、ガンバライジャーとかやってる、アクション担当の人だよ」
和奏「? あれって、俳優さんがやってるんじゃないの? ウィーン、俳優を目指すってこと?」
来夏「えっ」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:39:46.32 ID:s3fF8/in0
田中(俳優本人とスーツの中の人が同じだと、本気で信じてるのか……って坂井も!?)
紗羽「……あ、でもウィーンのスタイルならいけるかもね。ショウテンジャーやった時も似合ってたし」
ウィーン「……やってみたいんだけど。あの日、ケガをしちゃったよね。
それを、家族にすっごく怒られてさ。だから、ちょっと……。あまり心配かけたくないんだ。やりたいんだけど……本当は」
来夏「危険が伴うのはダメか……まー、ウィーンはお坊ちゃまだもんなー」
和奏「ご家族は大事にしないとね」
田中「お前、スポーツは?」
ウィーン「大智みたいに、特に何かを続けてたわけじゃないから……」
和奏「でも、ストーカー……じゃなかった、おじさんから追っかけるの助けてくれたり」
紗羽「ひったくり犯を追い詰めたり」
来夏「……でも、それでどうするの?」
田中「今からスプリンターやランナーになるのは、難しいんじゃないか。出来ても、相当遅咲きだぜ」
紗羽「若さが命な業界で、今から新しく始めるのは、ちょーっと遅すぎるかも」
和奏「紗羽が言うと重みが違うね」
ウィーン「僕も、プロの世界がそんなにかんたんじゃないことぐらい、わかってるよ」
和奏「うーん……じゃあ……」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:43:19.13 ID:s3fF8/in0
<ピンポンパーン♪ 5時になります。校舎内に残っている生徒は速やかに下校してください。繰り返します……
来夏「続きは明日にしよっか」
ウィーン「ごめんね、みんな」
和奏「気にしなくていいよ」
紗羽「好きでやってることだもん」
田中「なんか考えておくからさ、お前も自分で考えてみろよ」
ウィーン「うん。ありがとう」
来夏「じゃ、帰りますか!」
――――次の日、授業中で。
先生「えー、つまり現在のフランスでPACS法というものが成立されており、これにより異性間ならず同性間でも……」
ウィーン(結局、一晩考えてみても思いつかなかったな……)
ツンツン
ウィーン「?」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:47:39.91 ID:s3fF8/in0
スッ
ウィーン(これは……手紙? 合唱部……極秘……ごくひ文? なんだろ?) カサカサッ
『【ウィーンの輝ける未来!】 発案:コナッチーネ ←~はずかしーwww ←なんだとー?
↑ウィーンてだれ? ←前田くんのことらしいよ ←前田くんって? ←ウィーンのことだってば!!!!!!
・歌を活かして音大へ! ←和奏じゃないんだから 「さわ♪」 い
・親父さんの家業を継ぐ ←勝ち組 い
・バイリンガルとして世界へ! ←かっこいー! 「あきこ」 か ←汚い字(笑)これ田中?
↑勝手に読むなよ ら ↑うるせー!
・フツーに大学行けば? ↑いいじゃん 面白だったし 早 ↑
↑今から? ウィーンって勉強してんのか? 補修はしてたよ。 く届けろよ. └言わなきゃわから
ウィーンはどう思う? 返事してねー! ないのにね 』
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:50:20.76 ID:/cABSVKq0
↑ウィーンてだれ? ←前田くんのことらしいよ ←前田くんって? ←ウィーンのことだってば!!!!!!
永久ループワロタww
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:53:50.14 ID:s3fF8/in0
ウィーン(……そういえば、大智に聞いたことがある。日本の学生は、授業中に手紙で会話をするって!) ハッ!
ツンツン スッ
ウィーン(また? 今度は、表紙が白紙だけど……これはみんなで読んでるものなのかな?) スッ カサカサ
『誰かしりとりしよー。眠くなってきたからさ。じゃ、スタート♪
りんご→ゴりラ→落花生→マンホール ↓バカ発見!
↑なんで「ま」なの←え、おちはな、なまって人じゃないの
ルーマニア→アニマル→ルーマニア←ループきんし! →しりとり→りんご→ごりら→落花生
↑ 無限ループって怖くね?
仕切り直ししようぜ。 └続けんなよ ↑
ペルシャ→ヤンキース→スミレ→レイトン教授→ユニー ― ┌→G・エクスペリエンス!
→ニコラス・ケイジ→ジンギスカン→ンジャメナ→ナス ─ レイクエムがないぞ! このマンモーニが!
→ストイコビッチ→チリ ↑ ↑ オタク
↑ 「ン」でも続くの!? ←終わりがないのが終わりだ キモイ
└ん?ちょっと待って。誰か、ここ縦に音読してみ?女子にお願いしたいな ←死ね! ↓犯人必死すぎ
↑これ書いたの誰? ←田中 ←ちがう! ←田中にしては字が綺麗すぎ ←じゃあ/×/××? 』
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 21:59:19.43 ID:s3fF8/in0
先生「前田、何を熱心に読んでいるんだ?」
ウィーン「え?」
来夏(あちゃー、見つかっちゃった……)
紗羽(一番前の席だもんねぇ)
和奏(あ、今の内に黒板写さないと……)
田中(手紙の書き方、読み方も付けたのに……って、宮本の椅子下に落ちてるし……! ホッチキスまで外すか普通!?)
先生「そんなに熱心なら、是非ともみんなに聞かせてあげなさい」
ウィーン「え?」
先生「ほら起立して、その紙切れを読み上げなさい」
来夏(え、それはマズイ!)
ウィーン「…………はい……わかりました」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:02:52.14 ID:s3fF8/in0
田中「先生!」
先生「ん? なんだ、田中」
田中「先生は、社会科教師ですよね?」
先生「もちろんだが」
田中「そんな先生が、ウィーンを社会的に抹殺するつもりですか?」
先生「は?」
キーンコーンカーンキーン♪
先生「おっと、ちょうど終わりか。助かったな、前田」
ウィーン「いえ。」
田中「……はー、よかった……」
――――放課後。
田中「いやー、それにしても危なかったな」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:05:19.14 ID:s3fF8/in0
ウィーン「何が?」
田中「手紙のことだよ」
ウィーン「あぁ。確かに、みんなの秘密を教えてしまうのはよくないよね」
田中「え、そういうことじゃないんだけど」
ウィーン「? どういうこと?」
来夏「そうそう、どういうことなのー田中?」
田中「へ?」
紗羽「普通は、手紙書いてたことがバレちゃうから、困るもんだよねー」
和奏「なにか、内容で困ることでもあったの?」
田中(……まずい)
来夏「もう教室はあたし達だけだし、言っちゃいなよ」
紗羽「隠すことないってー」
田中「……うるさい! 早くしないとまた下校時刻になるだろ!」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:07:31.97 ID:s3fF8/in0
来夏「ちぇー。ま、いっか。田中だし」
紗羽「良かったね、セクハラされなくて」
和奏「え? どういうこと?」
田中「お前ら、誘導尋問までしておいて……」
ウィーン「今日も黒板に書いていけばいいかな?」
来夏「あー、ま、大体わかるからいいよ。書く時間が勿体ないし!」
紗羽「じゃ、誰が何を考えてきたか発表しよっか!」
田中「んじゃ俺から。俺は、やっぱ普通に大学に行くのが無難だと思った」
来夏「これだから、最近の草食系男子は……! 夢ってもんがないの!?」
田中「なっ!?」
紗羽「来夏が言う?」
和奏「普通の大学に進学希望だもんね」
来夏「まーまー。あたしは、これ! 声優!」
ウィーン「せい……ゆう?」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:10:17.74 ID:JN8F5d+40
say……you?
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:10:36.61 ID:s3fF8/in0
来夏「ウィーンにもわかるように言うと……あ、敵の声とか当ててる人! ウィーン良い声だから、きっと似合うよ!」
ウィーン「え? どういうこと?」
和奏「そうだよ、何言ってるの、来夏。言ってることがよくわからないんだけど……声と役は違うの?」
来夏「うわ~お……」
紗羽「天然と天然……恐ろしい破壊力!」
田中「いや、だから。敵役のスーツでやってる人と、声をやってる人は違ったりするから」
来夏「田中、黙って」
紗羽「無神経」
田中「説明しようとしただけだろ!?」
ウィーン「?」
来夏「うーん、ま、夢を崩すわけにはいかないか……じゃ、声優は却下で」
紗羽「わたしは、モデルとかいいんじゃないかなって思って。スタイル良いから」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:14:11.81 ID:s3fF8/in0
田中「……確かに」
来夏「なんで紗羽の方見て言うの?」
和奏「変態」
紗羽「さいてー。セクハラ!」
来夏「色情魔!」
和奏「しきじょうま?」
田中「し、視線の途中に沖田が居ただけだろ!? なんでそうなるんだよ! ウィーンにちゃんと言ったじゃねーか!」
和奏「ねえ紗羽、しきじょうまって?」
紗羽「……で、ウィーン、実際どう?」
和奏「紗羽?」
紗羽「辞書引くといいよ。田中にさせたら?」
田中「ふ、ふざけんな!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:16:53.52 ID:s3fF8/in0
来夏「はいはい。ウィーン、どう?」
ウィーン「うーん、良いと思うけど……どうすればなれるのかな?」
来夏「街でスカウトとか?」
紗羽「この辺りじゃ難しいかな?」
和奏「確実性もないしね」
来夏「あたし達若者に、そんな悠長な時間はありません! じゃ、却下!」
田中「坂井は?」
和奏「私も、進学を考えたんだけどね。今から勉強だと、厳しいかもだから」ゴソゴソ
和奏「これ」 パサッ
来夏「入試案内? これがどうしたの?」
和奏「ここ見て、一芸入試ってのがあるでしょ」ペラッ
紗羽「へー、そんなのあるんだ」
和奏「学業以外でも、なにかできれば大学入れるみたい。それなら、出来そうじゃないかな、って」
田中「でも、何を?」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:19:03.87 ID:s3fF8/in0
来夏「ウィーンの特技……小物づくりと……」
田中「ガンバライジャー全話暗記か」
紗羽「普通に考えたら、凄いよね。小物づくりはそれでいいけど、暗記の方がオンリーワンっぽさはあるかも」
和奏「私も、どれだけ好きなドラマでも全部はちょっと無理……」
来夏「じゃあ、あたし面接官やるね。ちょっとやってみせてよ」
ウィーン「うん、わかった。一話からでいいかな」
紗羽「わたしたちも、面接官やろっか」
和奏「うん」
田中「じゃ、俺は合ってるかどうかのチェックするわ。沖田、スマホ貸してくれよ」
紗羽「なんで?」
田中「俺のケータイじゃユーチューブ見れないし。答え合わせも必要だろ」
紗羽「良いけど、変なことしないでよ? はい」
田中「し、しねーよ!」
来夏「焦っちゃって。何するつもりだったの?」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:21:46.24 ID:/cABSVKq0
この田中・・・できるぞ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:22:36.60 ID:s3fF8/in0
田中「うるせえチビ! なんもしねーって!」
来夏「何照れてんの。おっかしー」プークスクス
ウィーン「……よし、準備は出来たよ。始めていいかな」
和奏「うん、お願い」
――――数十分後。
ウィーン「良いかグリーン! これは俺たちみんなの力を合わせなければ、使うことのできない」
来夏「ストップ、すとーっぷ!」
ウィーン「え? なんで?」
田中「こっからが良いところなのに。セリフも動作も、一つだって間違いなかったぜ?」
来夏「良く考えてよみんな、面接だよ。面接。一話丸々なんて、ぜーったい無理!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:26:34.53 ID:s3fF8/in0
和奏「じゃ、どうするの?」
来夏「一番見せ場のところだけでいいよ。それをいかにコンパクトに、そしてかっこよくまとめるか! それをあたし達で、見極めて考えよう!」
田中「なんか趣旨から外れてないか。というか、最初からそうしとけばよかったじゃねえか……」
和奏「ウィーン、それでいい?」
ウィーン「よろしくお願いします」
紗羽「どのシーンがいいの?」ヒョイッ
田中「ッ!」
来夏「どしたの、田中」
田中「な、何でもない」(沖田の顔がすぐ横に……)
紗羽「やっぱり変身してから、戦闘シーンかな?」
和奏「ポーズはレッドだけでいいんじゃない?」
田中「えと……あと、ガンバライジャーは必殺技もあるからな。それでいいと思う」
来夏「じゃあ、そこを上手く凝縮して、やってみよう! 制限時間は5分で!」
ウィーン「うん、わかった!」
紗羽「ストップウォッチ使おっか。ちょっと田中、触るよ」 グイッ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:29:15.75 ID:s3fF8/in0
田中「えぁ!? あ、ああ。」(あ、当たってる当たってる!)
紗羽「えっと、ここだっけな……あ、あったあった。はい、おっけー。ここ押したらスタートだから、後お願いね」
田中「お、おう。任せとけ」
紗羽「? 顔赤いよ。暖房、そんな効いてるかな?」
田中「いや、大丈夫だから、もう!」 ドキドキ
紗羽「?」
来夏「準備できたー? よーし、それじゃウィーンなりに一回まとめたのをやってみよう!」
ウィーン「わかった! じゃあ、まず……」
――――
――
―。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:33:09.62 ID:s3fF8/in0
――――次の日。
<ガンバ、レェッド!
<うーん。ちょっと、長すぎかな。
<けど変身までの口上は削れないぞ。カッコつかねえ。
<えー?
<ごめん、紗羽。そこは僕も譲れない!
<ええー?
<それじゃ、その後を短くようよ。
<ウィーン、もう一回変身までやってみて。
<わかった!
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:35:23.64 ID:s3fF8/in0
――――また次の日
<くらええええ!! ドカッ!
<ひゃあ!? う、ウィーン、本当に飛んできたら危ないじゃん!
<大丈夫、来夏? 面接官は敵じゃないんだよ、ウィーン
<ご、ごめん。怪我はない?
<まったくもー。……うん。大丈夫だから。早く戻って。
<お前、跳躍力も凄いもんな。気をつけろよ。
<わかった!
<ストップウォッチオッケーだぜ。
<はい、じゃーテイク2! 3、2、1、スタート!
<これは、悪と戦う正義のヒーローの物語……
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:37:58.68 ID:s3fF8/in0
――――そして試験前日
ウィーン「熱血ヒーロー! ガンバ、ライジャー!!」 ビシィッ!
和奏・来夏・紗羽・田中「「「「おおー!」」」」 パチパチパチパチ
ウィーン「どうだった?」
田中「ミスもなし、時間ばっちり。打ち合わせ通り。完璧だな」
ウィーン「本当!?」
来夏「これだけやれば、絶対合格するよ!」
紗羽「頑張れ、ウィーン!」
和奏「明日はみんなで応援に行くから」
ウィーン「ありがとう! みんな! 頑張るよ!」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:40:34.20 ID:s3fF8/in0
――――試験後。
田中「……」
紗羽「……」
和奏「……」
来夏「……」
ウィーン「はぁ……」
紗羽「何で落ち込んでんの?」ヒソヒソ
和奏「上手くできなかったんじゃない?」ヒソヒソ
来夏「田中、ちょっと励ましておいでよ」ヒソヒソ
田中「わかった。ちょっと待ってろ」
来夏「おっ、男らしー」ヒソヒソ
紗羽「いつもそうしてればいいのにね」ヒソヒソ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:44:06.68 ID:s3fF8/in0
田中「ウィーン、どうしたんだ?」
ウィーン「僕は……レッド失格だ。みんなの期待に応えられないようじゃ。ダメだ。全然」
田中「どうしてだ? 試験、上手くいかなかったのか?」
ウィーン「緊張しないように、と考えれば考えるほど緊張しちゃって……いつもはそんなことないんだけど……」
田中「気負い過ぎたのか……ま、良いんじゃねえか」
ウィーン「え?」
田中「ガンバレッドだって、確か、何回か失敗したことあるだろ。けど、何度だって立ち上がってくれた」
田中「お前だって、そうだろ。ガンバレッド……いや、西之端ヒーローショウテンジャー、ニクレッド!」
ウィーン「……そっか。そうだね。ここで僕は立ち止まらない。まだ、次はある!」
田中「おう、応援してるぜ!」 スッ
ウィーン「ありがとう、大智。いや、しらすホワイト!」 ガシィッ!
来夏「青春だなー」シミジミ
紗羽「男の友情……熱いねー」
和奏「結局、何を失敗したんだろう?」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:47:48.75 ID:s3fF8/in0
――――しかし、数週間後。
来夏「あれだけ熱い握手まで交わしておいて」
紗羽「無事合格なんて、拍子抜けしちゃうよね」
和奏「ウィーン、何をやっちゃったの?」
ウィーン「それが、ついついドイツ語で台詞を言っちゃったんだ。驚いた顔してたから、ダメだと思ったんだけど……」
田中「全部?」
ウィーン「全部」
来夏「……」
紗羽「……」
田中「……」
和奏「あ、この大学、外国人募集枠もあったんだ」
おしまい
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:48:16.76 ID:/cABSVKq0
面白かった乙!
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:49:33.29 ID:JN8F5d+40
ヤン君とのロマンスがない……!?
乙
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:50:51.90 ID:s3fF8/in0
以上です。
30日のイベントに行かれる方、台風がせまっておりますのでお気を付け下さい。行きたかった。
ウィーンとヤン君とのロマンスはいい加減ワンパターンだったので今回は自粛しました。
次も書くかはわかりませんが、あったらどうなるかは私にもわかりません。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 22:52:30.95 ID:1xneSlUc0
乙乙
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/28(金) 23:01:44.43 ID:jNcjKL6uO
乙
転載元
ウィーン「数年後について考えたり、相談したり」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348834296/
ポニーキャニオン (2012-10-03)
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てっきり苗字は明かされてないんだと思ってた