2 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:27:32.61 ID:BIcuJp9d0
5
鳳翔「……提督のお子さんですか?」
???「ああ。今日一日相手をしてくれないか」
鳳翔「私が、ですか?」
???「お前なら適任だろ?」
鳳翔「分かりました」
鳳翔「初めまして。私は鳳翔といいます」
「ほーしょー?」
鳳翔「はい」
「ほーしょー!あそぼー!」
鳳翔「ふふっ、そうですね。何をして遊びましょうか………」
3 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:28:51.33 ID:BIcuJp9d0
15
「…………………」
「…………鳳翔さん」
鳳翔「…………はい」
「…………父の最期は、どうでしたか?」
鳳翔「………ご自身が囮となって、私達を逃がしてくださいました。立派な、司令官でした。」
「…………そうですか」
鳳翔「すみません、私達が不甲斐ないばかりに………」
「…………父は最高の部下達を持ったと常々自慢していました。あの父が自慢するような部下を責めることなんて出来ませんよ」
「………それに、辛いのはお互い様でしょうから…………」
鳳翔「……………ありがとう、ございます」
4 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:30:30.09 ID:BIcuJp9d0
25
「今日からこの鎮守府に着任する―――です。よろしくお願いします」
鳳翔「存じていますよ」ニコッ
「はははっ、そうですね」
鳳翔「……もうあなたが上官なのですから、敬語じゃなくてもいいんですよ?」
「いえ、鳳翔さんには昔からお世話になっていますから」
鳳翔「……それじゃあ、私が年寄みたいじゃないですか」ムスッ
「え。いえ、そんなつもりは………」
鳳翔「分かっています。少しからかっただけですよ♪」
「……………意地悪ですね」
鳳翔「さて、なんのことでしょう?」ニコッ
「ははっ」
鳳翔「ふふっ」
「鳳翔さん」
鳳翔「はい」
「これからも、よろしくお願いします」
鳳翔「はい」ニコッ
5 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:32:02.12 ID:BIcuJp9d0
35
「鳳翔さ――――」
鳳翔「………今は二人きりですよ」
「…………ほ、鳳翔」
鳳翔「全く……そろそろ慣れてくださいよ」
「つい昔の癖で………」
鳳翔「もう夫婦なんですからねっ!」
「はい……すみません………」
鳳翔「しっかりしてくださいよ?」
「は――――じゃないな。分かってるよ。鳳翔」
鳳翔「合格です、あなた♪」
「………照れるな」
鳳翔「何回も呼べば慣れますよ」
「そういうものか?」
鳳翔「はい」
6 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:33:15.00 ID:BIcuJp9d0
「じゃあ………鳳翔」
鳳翔「はい」
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「…………これ何回続ければいいんだ?」
鳳翔「私の気が済むまで、です」ニコッ
「…………その笑顔には敵わないな」
7 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:34:07.77 ID:BIcuJp9d0
45
鳳翔「私を解体してください」
「何を言ってるんだ」
鳳翔「………このままあなただけが老いていくのを見たくないんです」
「………………出来ない」
鳳翔「何故ですか!?」
「………………艦娘は解体すると、本来の年齢に戻るんだ」
鳳翔「……………私が解体されたら、死ぬ………と?」
「ああ………………」
鳳翔「そう………ですか……………」
「だから」
鳳翔「………?」
8 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:34:52.92 ID:BIcuJp9d0
「だから、今のうちにやれることをしよう」
「色々な場所に行って、色々な物を見て、色々な事を聞いて、色々な思い出を作ろう」
「いつまでも互いが忘れないように。いつかまた巡り会えるように」
鳳翔「………………はい」
「鳳翔」
鳳翔「………………はい」ポロポロ
「お前には泣いてる顔は合わないな。笑ってくれ」
鳳翔「………はいっ」ニコッ
9 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:35:42.28 ID:BIcuJp9d0
55
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「次の休みはどこに行こうか?」
鳳翔「ふふっ、元帥が休みのことばかり考えていていいんですか?」
「む。それは、旅行の本を持ちながら言う言葉か?」
鳳翔「ふふっ、私達同罪ですね」
「ああ、そうだな。同罪だ」
10 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:36:26.40 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「それで、どこへ行きます?」
「鳳翔の行きたいところへ」
鳳翔「毎回それじゃないですか」
「俺は鳳翔がいれば、どこでも楽しめるからな」
鳳翔「それは私もですよ」
「そうか」
鳳翔「はい」
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「俺達は似たもの同士だな」
鳳翔「似たもの同士ですね」
11 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:37:14.53 ID:BIcuJp9d0
65
鳳翔「海軍を辞めるんですね」
「もう歳だからな」
鳳翔「あなたがそれを言ったら、私はどうなるんですか」
「鳳翔ももうお婆さんだな」
鳳翔「……そこは、『若いまま』って言うべきですよ」
「そうか?」
鳳翔「はい」
「じゃあ、鳳翔はいつまでも若いままだな」
鳳翔「じゃあってなんですか」ムスッ
「駄目か?」
鳳翔「駄目ですね」
12 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:38:42.68 ID:BIcuJp9d0
「………嫌いになったか?」
鳳翔「いいえ」
「そうか」
鳳翔「はい」
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「…………いつまでも、こんな老いぼれに付き合わなくてもいいんだぞ?」
鳳翔「あら。私の中では、あなたはまだ子供のままですよ」ニコッ
「……………そうか」
鳳翔「はい」
「やはり、その笑顔には敵わない」
鳳翔「そうですか?」
「ああ」
13 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:39:19.49 ID:BIcuJp9d0
75
「鳳翔」
鳳翔「あら?まだ、朝ごはんは出来てないですよ?」
「ああ、偶には手伝おうと思ってな」
鳳翔「珍しいですね」
「そうか?」
鳳翔「はい」
「………さすがの手際だな」
鳳翔「何十年もやってきましたから」
14 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:40:09.36 ID:BIcuJp9d0
「………鳳翔」
鳳翔「はい」
「すまなかった」
鳳翔「どうしたんですか?」
「もっと手伝えば良かったな」
鳳翔「そうですか?」
「ああ。いつも食べるだけだからな」
鳳翔「あなたはご飯を美味しく食べてくれればいいんですよ」
「そうか?」
鳳翔「はい」
「鳳翔の作るものは何でも美味しいから、楽な仕事だな」
鳳翔「あなたのために作るから、美味しくなるんです」
「食べるだけで美味しくなるなら、一緒に作ればもっと美味しくなるな」
鳳翔「………そうですね」
「ああ」
15 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:40:46.06 ID:BIcuJp9d0
85
16 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:41:18.68 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「いるか?」
鳳翔「はい」
17 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:41:48.05 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「手を、握ってくれないか」
鳳翔「はい」
18 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:42:17.98 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「ここに、いるか?」
鳳翔「はい」
19 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:42:49.32 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「今まで、ありがとう」
鳳翔「はい」
20 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:43:16.43 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
「笑って、いるか?」
鳳翔「はい」
21 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:43:55.59 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
22 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:44:29.21 ID:BIcuJp9d0
「鳳翔」
鳳翔「はい」
23 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:45:05.10 ID:BIcuJp9d0
「鳳、翔」
鳳翔「はい」
24 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:46:02.77 ID:BIcuJp9d0
「鳳………翔………………」
鳳翔「はい」
25 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:46:37.55 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「はい」
26 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:47:06.81 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「はい」
27 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:47:45.53 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「私は、ここにいます」
28 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:48:31.04 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「何度でも、返事をします」
29 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:49:04.69 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「だから、何度でも呼んでください」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/22(日) 23:49:07.21 ID:d1iGlrYS0
(´;ω;`)ブワッ
31 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:49:41.25 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「名前を、呼んでください………」
32 :
◆i9QjiD6PFk [saga]:2015/03/22(日) 23:50:12.31 ID:BIcuJp9d0
鳳翔「名前を呼んでください」
完
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/22(日) 23:55:09.15 ID:fU+pTzPyO
こういう行間の取り方良いなあと思った。
乙
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 00:00:51.56 ID:FD6pSW3xo
間の使い方が上手だな…
最初左上の数字が何かわからなかったが、読んでいくうちにわかった…
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 00:04:50.30 ID:vSiUtD4z0
こういう話に弱いんだよ…
泣けた
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 00:09:18.68 ID:g5d7C13lo
人間だけが歳を取っていくなら当然こういう事もあるよな
色々考えさせられたわ
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 00:48:36.05 ID:0R1Vx5xio
。・゜・(/Д`)・゜・。ウワアアアア
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 00:52:04.73 ID:FycKUKbqo
25で勘付いてしまって、やばいこれ死んでまうって思った瞬間もう一気に目頭が熱くなった
あぁ……DQ7だかのロボットエピソード思い出す
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 01:51:09.42 ID:FOGjOyjW0
おれもこんな人生を送りたかった
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 01:59:09.64 ID:iiwhCTXgO
誰かが側にいてくれることは幸せだな。独りぼっちは辛いよ。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 02:14:14.96 ID:2yRov+ijo
いたかも知れない鳳翔と提督の子孫に、私が愛した人はこんなだったんだよって伝えながら見守っていってほしいものだ
転載元
鳳翔「名前を呼んでください」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427034412/ KADOKAWA / 富士見書房 (2015-03-20)
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