2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 22:39:33.85 ID:UZC4L4JZ0
北上「なんか可愛い花咲いてるねー」
大井「そうね、もちろん北上さんの方がずっと可愛いけど♪」
今日は大井っちと庭園でデート。
ベンチに座り手も取り合って、まるで恋人みたい。
だけど私はそういうのに無頓着で、全く意識してないふりをする。
大井っちの手、柔らかくて温かいなぁ。
北上「あは、くすぐったいってば」
大井「もう、いたずらな蝶ね♪」
そう言いながらも、内心は蝶に嫉妬してるんだろうなぁ。
私にはわかるよ。だって大井っち、すごくわかりやすい。
あ、でも今度は蝶が大井っちの髪に留まった。
北上「おー、大井っちも可愛いよ」
大井「北上さん///」
こういう時は褒める言葉を忘れない。
照れて、顔を赤らめる大井っちを見られるからね。
大井っちは女の子らしいから、花とか蝶とかがすごく似合う。
本当に可愛いなぁ、大井っち。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 22:40:46.24 ID:UZC4L4JZ0
霧島「さぁこの甘い恋の香りに引き寄せられなさい、島風さん!」
大井「あの…さっきから何か?」
霧島「お気になさらず」
ああもう、さっきから無視してたのに。
空気の読めない戦艦だなぁ。
大井「行きましょう、北上さん」
大井っちに手を引かれ、場所を移動する。
もうしばらくデートを続けよっか、大井っち。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 22:41:35.32 ID:UZC4L4JZ0
今日は鎮守府で大きな編成変えがあり、私と大井っち新しく第五遊撃部隊に配属された。
ちょっと早めに部屋について、いつも通り二人でおしゃべり。
大井「ここにお花を置いて、この壁に私の北上さんの写真を貼って、それで…♪ 」
北上「いいんじゃないー?」
目を輝かせてこの部屋の内装を考える大井っち、相変わらず可愛いなぁ。
そのキラキラした目には、どんな部屋が浮かんでるんだろう。
その瞳の中の私は、どんな顔をしてるんだろう。
気にはなるけど、私は私らしく、興味なさげにゆるゆると返事を返す。
北上「でも、また大井っちと一緒になれるなんて思ってもいなかったよ」
大井「何があっても私と北上さんは離れなれない運命なのよ!」
運命なんて、大井っちは乙女だなぁ。
本当はそんなの提督の裁量次第なんだけど、黙っておいた方がいいね。
吹雪「あのー…」
あぁもう。さっきから見てるあの駆逐艦、ウザいなぁ。
もちろん私はそんな素振りは見せないし、顔にも出さないいんだけど。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 22:42:32.68 ID:UZC4L4JZ0
大井「部屋を間違えたみたいね。ちょっと案内してくるわ」
だってほら、そんなことしなくても大井っちが追い出してくれるから。
大井っちは二人きりの時間を邪魔されると、相手を排除しようとする。
大井っちの中で、大切なのは私だけなんだよね。
愛されてるなぁ、さすが私。
まぁでも、さすがに新しい部隊の仲間を邪険にするわけにもいかないか。
名前くらいは覚えておこう。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 22:43:39.37 ID:UZC4L4JZ0
新しい部隊での挨拶を済ませ、今は旗艦を誰にするかでもめている。
私としては面倒だし、さっさと決めてほしいんだけど。
大井「貴女のような甲板娘にやらせるくらいなら、私が旗艦をやったほうがマシよ!」
北上「大井っちが?嫌だな、旗艦だと標的にされることも多いだろうし」
大井「北上さん!私のことをそこまで…!」
さらりと言ってみるけど、本当は計算して狙った上で台詞を言っている。
だってほら、私の言葉で大井っちは涙を流すくらい感動してくれてる。
やっぱり大井っちは可愛いなぁ。
結局あの後の戦いぶりで、旗艦をあの駆逐艦にしたんだよね。
まぁあの指示は良かったし、私も文句はない。
なんたって大井っちと同じ部隊になれたんだし。
えへへ。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:44:57.55 ID:UZC4L4JZ0
鎮守府の恒例行事、カレー大会の日。
鎮守府全体で盛り上がる大きなイベントだけど、私たちは抜け出して屋上デート。
大井「どっちかって言うと私、肉じゃが派なんだよね」
そんなことを、軽くぼやくように伝えてみる。
実は知ってるんだけどね、大井っちが最近は肉じゃがの練習をしているの。
大井っちの料理はどれも美味しいし、カレーも本当は好物。
だけど大井っちのカレーが美味しいってのは前に言ったことあるし、
肉じゃがは私が知らないはずのレパートリーだもんね。
大井「まあ!私の得意料理じゃないですか!」
北上「そうなん?そんじゃ今度、大井っちの肉じゃが食べてみたいな」
私が食べたいって言ったら大井っち、この後もっと練習するんだろうなぁ。
私のために必死にね。
えへへ。私ってば、愛されてる。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:46:11.03 ID:UZC4L4JZ0
トラック島基地かぁ。
まさか海で遊べるなんて、思ってもみなかったよ。
あそこではしゃいでる暁型の子達なんていいねぇ、無邪気で微笑ましくて。
響ちゃんは少し冷めてるように見えるけど、それでも中身は純粋で可愛いお子様だ。
内面を隠し、わざと飄々と振る舞う私なんかと違ってね。
私は多分、可愛い女の子を見るのが好きなんだろうなぁ。
私に恋する瞳の大井っち、すごく可愛いもん。
目がハートってやつ?
私といるときの大井っちは幸せそうで、それを見たくて私はいつも一緒にいるんだ。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:47:04.81 ID:UZC4L4JZ0
大井っちが私以外には態度がキツいというのは、鎮守府のほぼ誰もが知ってると思う。
そして私が他の艦と会話をしないのは、大井っちが追い払ってるから。
皆はそう思ってるかもしれないけど、実は違うんだ。
正直なところを言うと、私も大井っち以外の艦には興味がない。
だってほら、私が大井っち以外と話してるところなんて滅多に見た事がないでしょ?
大井っちが他の艦を遠ざけようと威圧する時ですら、何も言わずに眺めてるだけの私がさ。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:48:07.50 ID:UZC4L4JZ0
今日は工廠でお互いの装備の点検。
北上「撃ってないから、特に問題ないと思うけど」
大井「だからこそ普段の整備が重要なのよ」
そう言って私の魚雷の点検を進める大井っち。
装備に不備がないよう真剣に、丁寧に一つづつ確認をしてくれる。
私の脚の魚雷を見つめる、そのうっとりした顔も可愛いなぁ。
北上「じゃあ大井っちのも調整してあげるよ」
大井「え?き、北上さんが?///」
北上「さ、脚出して」
大井「ち、ちょっと待ってください///」
赤くなってる大井っちは、相変わらず可愛い。
さっきから駆逐艦二人が見てるけど、関係ない。
調整にかこつけて、その綺麗な足に軽く手を触れてみたりしてね。
ふふん。
ドキドキしちゃって、可愛いなぁ。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:49:10.17 ID:UZC4L4JZ0
告白して付き合えば良いじゃんって、そう思う時もたまにある。
だけどなんというかな、私の言葉で大井っちが私の思う通りに動くのがいいんだよね。
天然な振りをして、狙った言葉で大井っちを振り回すのが。
大井っちを自分に依存させて、大井っちの中の全てが私になる。
それってすごく素敵で、ゾクゾクすると思わない?
……私の方こそ、この関係に依存してるのかもしれないけどね。
周りからは大井っちが私を連れ回してるように見えるけど、
実は大井っちを振り回しているのは私の方。
さすが私、スーパー北上さまだ。
告白して付き合あってイチャイチャするのも良いかもしれないけど、
今の関係も楽しくて好きなんだよねえ。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:50:25.18 ID:UZC4L4JZ0
長門秘書艦から、MIを攻略するとの通達がきた。
でもなんだろう、その日から嫌な予感がずっとしてるんだ。
この作戦は今までにないくらい苦しく、厳しい戦いになるだろうって。
こういう日々が続くと、つい考えちゃうんだ。
私たち艦娘って、何のために存在しているんだろうって。
本当はこんな装備を使わなくてもいい世の中になればいいのに。
大井っちと二人でずっと仲良く過ごしていられる、そんな世界ならいいのになって。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:51:34.13 ID:UZC4L4JZ0
MI攻略の具体的な指示が出た。
長門秘書艦が発表した編成では、私と大井っちは別々の艦隊。
大井っちと離れるなんて、いつ以来だろう。
大井「北上さん!今回の作戦、あろうことか!」
北上「あーうん、別々の艦隊になっちゃったねー」
作戦上仕方ないのかもしれないけど、長門秘書艦の編成は愚策としか言いようがない。
大井っち以上に頼りになるパートナーはこの鎮守府にいないし、
私達ほどうまく連携を取れるコンビもそういない。
でも私達は命令には逆らえないし、変更は不可能だろう。
北上「楽しみだよねー。久しぶりに、どっちが沢山倒すか競争しよっか」
大井「え…あ、はい…」
北上「そんじゃお互い、頑張ろーねー」
いつものように飄々と大井っちの言葉をかわす。
これがいつもの私だからね。
ま、精一杯頑張りますか。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:52:35.47 ID:UZC4L4JZ0
嫌な予感って当たるものだね。
大井っち達が連れてくるはずの大和さんとは合流できず、私達の部隊は先にMIに向けて出撃。
飛行場姫に先制攻撃を仕掛けたのまでは良いけど、後ろから敵艦載機に襲われた。
空母の先輩方もボロボロだし、この数相手はかなりキツい。
北上「右任せるよ、大井っち!」
北上「……?」
北上「…そっか。そうだったね」
そう思っていると、目の前には避けられない攻撃が。
……こんなとこで沈むなんて、運がなかったかな。
ズガアアァァァアアン!
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:54:58.53 ID:UZC4L4JZ0
―を―――てく―――――
……なんだろう、遠くから声が聞こえる。
体はひどく重く、ひどく痛む。
―起き―――きた――さん
大井っち?
……ああ。私、まだ沈んでなかったんだ。
大井「目を開けてください!北上さん!」
北上「大井……っち……」
大井「北上さん!」
目を開けると、目の前には泣きじゃくる大井っちの顔が見えた。
私は大井っちの膝の上に頭を乗っけて、海面にかろうじて浮いている状態だ。
空はまだ暗雲が立ち込め、ここが戦闘海域の中であることを示している。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:56:12.42 ID:UZC4L4JZ0
北上「敵機は……作戦はどうなったの……?」
大井「そ、それが…」
大井っちの話を聞くと、この作戦は失敗したらしい。
敵艦載機の攻撃で主力部隊は大打撃を受け、空母の先輩方は全滅。
大井っちの部隊は遅れて大和さんを連れてくるも、空母を失った私達にもはや勝ち目はない。
まだ沈んでいない艦を連れ、全艦隊が撤退しているとのことだ。
大井「私たちも帰りましょう、北上さん!帰って早く入渠しないと!」
北上「うん……けど、私はもうダメだよ……大井っち……」
ああもう、こんな弱々しい台詞は私らしくないなぁ。
でもしょうがないんだよ、大井っち。
体も動かないし、こうして海面に浮かぶだけで精一杯なんだ。
本当は一緒に帰って、まだまだ大井っちと一緒にいたい。
大井っちと一緒に見たいものも、一緒に行きたいところも沢山ある。
だけど、もう私に残された時間はない。
沈むのを待つだけの私を、最後に見つけてくれたのが大井っちで本当に良かった。
大好きな大井っちの腕の中で沈むことができるんだからね。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:57:09.55 ID:UZC4L4JZ0
北上「大好き、だったよ……大井っち…」
北上「来世でも一緒だと、いいな……」
そういえば「大好き」なんて言ったのは初めてかな。
普段の私の態度からすると、愛の告白じゃなくて親愛の意味にしか聞こえないかもね。
でも本当はずっと大好きで、ずっと愛していたよ。大井っち。
大井「駄目です北上さん!生きて帰りましょう!帰ってまた二人で……!」
大井「お願い、沈まないで!私を置いていかないで、北上さん!!」
私が沈んだあとの大井っちはどうするんだろう。
私の後を追って、海の底までついてきてくれるのかな。
それとも、私の分まで強く生きてくれるのかな。
どちらにせよ、大井っちは最後まで私に振り回されっぱなしの人生になるよね。
えへへ、さすが私。
沈む時まで、うまく大井っちを振り回すことができた。
……やっぱりキスくらい、しとけばよかったかな。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:58:06.87 ID:UZC4L4JZ0
北上「さよなら……おおい…っち……」
大井「北上さああぁぁぁああん!」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 22:59:06.17 ID:UZC4L4JZ0
--後の復興の時代。
あるいは、遥か遠くの別の世界の話。
???「また会えたね、『おおい』っち」
???「ええ、『きたかみ』さん♪」
もしも神様なんていうものがいるなら、感謝しなくちゃね。
こうしてまた大井っちと会えるなんて。
同じ時代の、同じ場所に生まれ変わらせてくれるなんて。
おおい「いすず型護衛艦4番艦、『おおい』よ」
きたかみ「同じく、いすず型護衛艦の3番艦『きたかみ』だよー。よろしくね、提督」
姿が変わっても可愛いね、大井っち。
今度はずっと一緒にいられるといいな。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/22(日) 23:03:05.48 ID:UZC4L4JZ0
以上です。
アニメの11話から先の展開を知らないからこそ思いついたようなものなので、12話放送前に投稿しました。
アニメの方はハッピーエンドになるのかなぁ。
見てくれた方はありがとうございます。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/22(日) 23:22:43.73 ID:zWghz6bR0
乙
共依存っていいよね
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/22(日) 23:28:28.57 ID:fU+pTzPyO
乙
アニメだと北上って、大井が吹雪に
当たり散らしてても何も言わないからなぁ。
内心が読めないぶん、こういうのもアリな気がする
転載元
北上「私は私らしく、飄々と」
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