1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 18:38:50.44 ID:bthl9PcFO
SSを書こう
そう思ったのはいつだっただろうか
2年…いや、3年前?
ある日、
沢山投稿してあるSSを読みながら、
「自分も書こう!」と思ったことだけは覚えている
『新規スレ』というボタンを押して、
ドキドキしながらスレを立てたから
その頃の私はスラスラと文字を打ち、
ただ思いつく限り指を走らせた
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1417858730
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 18:56:44.03 ID:bthl9PcFO
読者の感想が書いてあるのを見た時はとても嬉しく、私はどんどんSSを書くのが好きになった
スレを立てては書き、
またスレを立てては書き
…そうしてSSを書き続けていたある日のこと、私はある存在を知った
『ss纏め掲示板』
様々な作者が書いたSSから
面白い物が載せられるという場所
ただただ日々SSを書いていた私は、そこに興味を持った
『私もそこに載ってみたい!』
ふと、そう思ったのだ
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 19:40:42.54 ID:bthl9PcFO
SSを書いている人はいっぱい居る
掲示板に載るのは難しいだろう
そう思ったが、
逆にそれが私を燃えさせた
『載ってみせるよ!』
私は早速スレを立て、指を走らせた
いつもより時間を書けて、丁寧に仕上げた
そうして、SSが出来上がり
私は纏め依頼所にそのSSを…
『よろしくお願いします!』
ドキドキしながら出したのだ
載るかなぁ載るかなぁ…
私は期待を胸に掲示板をチェックした
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 19:50:03.96 ID:bthl9PcFO
結果は…
『やった!載ったよ!』
私は歓喜に満ちながら、
載ったSSを確認した
コメントには
「面白かったよ!」
「また何か書いて欲しいな!」
と、読者からの声が寄せられていたのだ
私はますますSSが好きになった
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 20:17:17.43 ID:bthl9PcFO
掲示板には様々なSSが載っており、
なかには、大絶賛されているSSもあった
「感動した!」
「SSで泣いたのは初めてだよ」
「続編書いて〜!」
そのSSを私も読んだが、確かにとても面白かった
私が書いた物など比べ物にならないほど、「超大作」だった
そのSSの話が印象に残ったのだろう
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 20:17:50.50 ID:bthl9PcFO
『私もこんなの書いてみたいなぁ』
そんな気持ちが私の中に芽生えた
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 20:22:25.01 ID:bthl9PcFO
原稿用紙をめくっていた亜美が、
つまらなさそうに、机に置いた
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 20:39:55.65 ID:bthl9PcFO
「どうかな?」
亜美はため息をついて、首を振る
「うーん…つまらない」
つまらない?
頑張って書いたのに…
「展開が呆気ないというか…読んでいて飽きるというか…」
「……感動させようとしてるの丸分かりだよはるるん」
文の書き方が悪かったのかな
もうちょっと展開変えるべきだったかな
「ねぇ、文章は前より良くなってたよね?」
亜美は難しそうな顔をする
「うーん…前よりは良くなった気もするけど……あんまり」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:00:27.59 ID:bthl9PcFO
ぐっ……
私は拳を握りしめた
前見せた時とちっとも変わってない
前よりも文の書き方気を付けたのに
本も買って勉強したのに
…なんで!
「ねぇ…もう辞めようよ」
亜美が心配そうな顔で言う
「小説家じゃないし…無理だよはるるん」
「もっと本買って勉強する!文章上手くなってみせるよ、展開だってもっともっと考えて、今度こそ亜美を感動させるから!」
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:22:29.44 ID:bthl9PcFO
亜美はゆっくりと首を振った
「亜美…もう読みたくない」
「えっ…」
「もうはるるんが書くSS、見たくない」
亜美は鋭い目つきで私を見た
「はるるんは何でSS書いてるの? はるるんの文見てても、ちっとも面白くないよ!」
…いやだ!
感動したって言って欲しいもん!
亜美が面白かったって絶賛するまで辞めないよ!
私が言い返そうとすると、
亜美は悲しそうな顔をしていた
「はるるん…SS書いていて楽しい?」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:34:51.40 ID:bthl9PcFO
「亜美…はるるんのことが分かんないよ、何でそんなに必死になってまで感動させたいの? 純粋にSSを書きたいと思わないの?」
「何でって…!」
言いかけて、私は黙った
何で必死になってるの?
それが自分でも分からなかった
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:42:26.39 ID:bthl9PcFO
……え?
…うそ、うそうそ!
何で私SS書いてるの?
書きたくて書いてるんじゃなかったの?
SSが好きで書いてるんじゃなかったの?
…私はその時気がついた
いつの間にか、「好き」という気持ちが無くなっていた
私は目の前の原稿用紙を見て、床に手をついた
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:55:39.29 ID:bthl9PcFO
なんで……
いつからこうなってしまったのか
ただ書きたくて書いていた
書くのが好きで、書いていた
それが、なんでこんなことになってしまったんだろう
私は自分が書いたSSを手に取った
『………』
あぁ、ここの語尾変えた方がいいかな
ここはもう少し展開長くしないと、
次の展開がインパクト出ないかな…
私はSSを置いた
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:58:52.55 ID:PeB6utTDO
春香ェ…
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 21:59:19.84 ID:bthl9PcFO
SSを読んでも、
細かい文のことばかりが頭をよぎる
いつの間にか、
SSを書く楽しさを忘れてしまった
「…ごめんね、亜美」
「もう書くの辞めるね」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:00:01.40 ID:bthl9PcFO
完
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:02:49.72 ID:zWs4FrfRo
終わってしまったのか……乙
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:08:01.45 ID:OBaDQt9ro
この春香原稿用紙派だったのか……
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:17:44.83 ID:Q7a1QSL1o
SS書いてる人にはあり得ることだよな……乙。
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2014/12/06(土) 22:20:49.17 ID:HZVK+Y7n0
まだ、ここからでしょ!? 春香さんが復活するんでしょ!? スレタイ回収してないでしょ!?
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:21:34.25 ID:Rd3u5lJTO
書き過ぎれば書きすぎただけ嫌悪感になるのか
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:32:48.39 ID:bthl9PcFO
「ふんっ小娘が何を言うかと思えば、とんだ甘ったれで笑止」
……?
聞き覚えのある声だった
「…えっ」
亜美の驚く声が聞こえてくる
私はそっと顔を上げた
「あなたは…く…961プロの」
「天海春香と言ったな、お前、SSを舐めてるのか?」
急に何を言い出すんですか
私は声を震わせた
「SSなんか…書きたくない!」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:57:36.95 ID:bthl9PcFO
「プロならともかく、貴様のような素人が、真面目に書いた所で下手な文しか書けんのは当然のこと…だが、な」
「修正箇所が目につくならそこを直せばいいだけだ、それをやらずに、たかが数回ダメだっただけで辞めるとは…」
社長も現れて、強く訴えてくる
「そうだ!天海君!!キミの悩んでいることは、SSを書けば誰にでもあることなんだ!キミは今壁にぶつかってるだけなのだよ!」
プロデューサーさんも天井から降りて来て、ガッツポーズを見せる
「何度ダメだっていいじゃないか!少しずつ良くしていけばいいんだ!書きたい展開を、一度でもいいから完璧に描いてみろ!」
ガシャン!っとガラスが割れる音がした
振り返ると、小鳥さんが窓枠にしゃがんで立っていた
「書く理由なんて何だっていいじゃない!自分が納得するまで書いてみなさい!」
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [sage ]:2014/12/06(土) 23:02:11.49 ID:aNCgcBXa0
お前らどんだけSS書いてんだよ
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:20:36.38 ID:bthl9PcFO
「納得いくSSが書けた時に、新しい楽しさが見つかるんじゃないかしら」
コーヒーを入れながら、
律子さんがつぶやいた
一口飲むと、私に目を移す
「どう…春香、もう一度…書きたいと思わない?」
「私は…」
くっ…
また、やり直し?
最初から構成を修正していかなくちゃいけないのかな
ははっ…
でも…でも…
……
もう一度だけ、頑張ってみようかな
「もう一度…書きたい!」
「よし、じゃあ早速練り直しだ!」
プロデューサーさんが私の手を引く
その場に座っていた私は、また立ち上がった
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:21:32.06 ID:0jnvobWlo
熱い…展開…!!
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:25:48.43 ID:+TzVvV0DO
律子「早く仕事して下さいね♪
(満面の笑顔)」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:26:31.71 ID:bthl9PcFO
立ち止まることは、誰にでもある
先が見えずに嫌になることもある
悩んで悩んで
少しずつ、答えが見つかっていくのだろう
私は力強く、足を踏み出した
まだしばらく、SSを書くのは続きそうだ
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:31:24.46 ID:bthl9PcFO
完
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:33:11.57 ID:X6zZN9Fc0
自分で解決しててわろた
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2014/12/06(土) 23:33:26.03 ID:HZVK+Y7n0
第二部スタート
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/08(月) 13:25:30.05 ID:7k8JkuwNo
劇場版まったなし
転載元
春香「SSなんか…書きたくない!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417858730/ 西谷 史
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