HEADLINE

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- | CM(-) | スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

花陽「その柔らかな細腕で」

2014/11/27 14:15 | CM(0) | ラブライブ! SS
1 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:07:21.34 ID:Fuq4CkdS0
 しとしと、しとしと。雨が降って、降って、降って――

 白い部屋に、少女が一人。
 部屋と同じように白い服に身を包んで、ただただ静かにそこに居た。
 瞼を閉じて、何かを待つように。

 彼女――小泉花陽はスクールアイドルである。いや、「だった」と言うべきだろうか。
 友人に背中を押されて参加したスクールアイドルグループで、幾つもの壁を乗り越え、有終の美を飾り――だが。
 ほんの数カ月前に起こった凄惨な事故に巻き込まれ、結果としてもう二度と大地を踏みしめることが出来なくなった彼女は、壊れかけた心を携えて、この部屋で佇んでいる。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417010831



2 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2014/11/26(水) 23:07:52.51 ID:Fuq4CkdS0
 ガラリ。控えめな音をたてて扉が開いた。
 オレンジの髪を揺らしながら、活発そうな少女が部屋へ入る。
 星空凛。この部屋の主の親友だ。

「かーよちん! 今日も来たよーっ」
「凛ちゃん、いつもありがとねえ」


3 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:08:33.23 ID:Fuq4CkdS0
 その声音は明るい。

 だが、深い間柄である花陽にはわかってしまう。彼女は無理をしている。

 自分が重荷になっている。

 自己嫌悪が花陽の内心を駆けた。わたしが居なければ、そんな思いが膨れ上がる。

 いや、結局のところ、自分の死をもって自分が楽になりたいだけなのだ。

 嫌悪、嫌悪、嫌悪。自らに対するそれが、指数関数的に大きくなっていく。


4 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:09:14.36 ID:Fuq4CkdS0
「今日はね、新米のおにぎりを持ってきたんだよっ」

「わっ、ほんと!? 嬉しいっ」


 笑顔を作って、花陽は凛からおにぎりを受け取り、頬張る。

 好きなものを食べているはずなのに、味がしない。

 味を感じなくなったのはいつからだっただろうか。花陽はそう思いながら、言葉を紡ぐ。


「美味しいよ、凛ちゃん」

「そう? えへへ、良かった」


5 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:09:49.12 ID:Fuq4CkdS0
 精一杯の虚勢でそう返す。

 彼女の笑顔を壊してはいけない。/どうでもいい、楽になりたい。


『凛ね、かよちんの笑顔がすきなの!』


 いつかの記憶がフラッシュバックした。

 頭痛が花陽を襲う。なくなったはずの脚が痛む。

 悟られてはいけない。知られてはいけない。/悟ってほしい。知ってほしい。

 それでも笑顔を保って。



6 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:10:32.57 ID:Fuq4CkdS0



「ごめんね、凛ちゃん。なんだか眠くなっちゃった」

 そして、意識が、途絶えて――






7 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2014/11/26(水) 23:11:11.16 ID:Fuq4CkdS0



「ごめんね、凛ちゃん。なんだか眠くなっちゃった」


 そして、意識が、途絶えて――





8 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:11:48.79 ID:Fuq4CkdS0
―――



 わたしは、卑怯だ。



―――


9 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:12:23.51 ID:Fuq4CkdS0
―――



 「凛は、かよちんの為に生きている」。誇張ではなく、本人は本気でそう思っている。
 彼女の本気の願いであれば、どんな手段を用いても叶えようとするのは間違いないであろう。
 それが、例え彼女を傷つけてしまうものだとしても。



―――


10 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:13:11.05 ID:Fuq4CkdS0
「あ、かよちんおはよう」


 花陽の手を握った凛は、微笑んで言った。

 それに対して、花陽は顔に感情を感じさせない。


「かよちん、どうした――」

「ねえ、凛ちゃん」


 凛の言葉を遮って、花陽が言った。凛の内側から、嫌な予感が押し寄せる。



11 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:13:58.43 ID:Fuq4CkdS0
(だめ、だめっ!)

「私、もう疲れちゃった」


 声は出ない。花陽の声が、凛の心を包んで蝕んでいく。

 二人の間で育まれてきたものが、今は呪いとなって牙を剥く。


12 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:14:47.11 ID:Fuq4CkdS0
「凛ちゃん、終わらせて?」

「――っ!」


 困ったような、曖昧な笑顔で花陽は言った。

 それは、花陽の心からの望み。一時の気の迷いではない決断。

 長い長い時間が育てた凛の花陽に対する依存ともいうべき感情が、その本心を拒否することを許さない。


13 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:15:28.73 ID:Fuq4CkdS0
 ――終わらせてしまいたくない。そんな思考とは裏腹に、腕は花陽の首へと吸い寄せられていく。


「本当に、いいの?」

「うん」


 凛の表情が歪む。涙が花陽に落ちた。



14 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:16:06.44 ID:Fuq4CkdS0
「えぐっ、かよちん……ひっく……」


 ぽろぽろ、ぽろぽろ。大粒の涙がこぼれ、徐々に徐々に腕に込められる力は強くなる。


――ありがとう、凛ちゃん。
――ごめんね


 声にならない声が漏れて、視界がかすんで――



15 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:16:45.94 ID:Fuq4CkdS0
 しとしと、しとしと。雨は未だ止まない。
 しとしと、しとしと。降って、降って、降って――

END


16 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:18:26.54 ID:Fuq4CkdS0
あとがき
自分でも何がしたかったのかわからない
凛ちゃんはかよちんのお願いは断れなさそうと思ったらこんなのが出来てしまった
付き合っていただきありがとうございました


18 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 01:19:29.84 ID:XtEeCTRwO

寝たきりってことか


19 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/27(木) 03:07:55.44 ID:vgGfOo78O
にゃー…



20 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/27(木) 13:59:58.12 ID:sqDLZ9n8o
にゃあ・・・


転載元

花陽「その柔らかな細腕で」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417010831/






ピュアニーモキャラクターシリーズ №85 ラブライブ!  小泉花陽
アゾンインターナショナル (2015-02-28)
売り上げランキング: 26,690

関連記事
2014/11/27 14:15 | CM(0) | ラブライブ! SS
    コメント一覧
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

インバリアントへようこそ
インバリアント -SSまとめサイト-
管理人:こばりあんと



  • About
  • 記事一覧
  • Twitter
  • まとめ依頼
  • ランダム SS
カテゴリ
アーカイブス

2018年 02月 (25)
2018年 01月 (7)
2017年 12月 (3)
2017年 11月 (22)
2017年 10月 (11)
2017年 09月 (2)
2017年 08月 (161)
2017年 07月 (180)
2017年 06月 (139)
2017年 05月 (311)
2017年 04月 (157)
2016年 02月 (1)
2015年 12月 (1)
2015年 05月 (261)
2015年 04月 (295)
2015年 03月 (305)
2015年 02月 (259)
2015年 01月 (283)
2014年 12月 (275)
2014年 11月 (287)
2014年 10月 (285)
2014年 09月 (262)
2014年 08月 (264)
2014年 07月 (262)
2014年 06月 (223)
2014年 05月 (218)
2014年 04月 (209)
2014年 03月 (185)
2014年 02月 (172)
2014年 01月 (191)
2013年 12月 (184)
2013年 11月 (183)
2013年 10月 (180)
2013年 09月 (153)
2013年 08月 (141)
2013年 07月 (154)
2013年 06月 (146)
2013年 05月 (152)
2013年 04月 (148)
2013年 03月 (130)
2013年 02月 (111)
2013年 01月 (123)
2012年 12月 (127)
2012年 11月 (120)
2012年 10月 (127)
2012年 09月 (117)
2012年 08月 (120)
2012年 07月 (122)
2012年 06月 (116)
2012年 05月 (122)
2012年 04月 (121)
2012年 03月 (123)
2012年 02月 (116)
2012年 01月 (122)
2011年 12月 (118)
2011年 11月 (113)
2011年 10月 (119)
2011年 09月 (110)
2011年 08月 (118)
2011年 07月 (118)
2011年 06月 (118)
2011年 05月 (123)
2011年 04月 (124)
2011年 03月 (117)
2011年 02月 (95)
2011年 01月 (109)
2010年 12月 (119)
2010年 11月 (110)
2010年 10月 (120)
2010年 09月 (74)
2010年 08月 (87)
2010年 07月 (113)
2010年 06月 (72)
2010年 05月 (67)
2010年 04月 (3)

SS検索
Ads
最新記事
Ads2
人気SSランキング