HEADLINE

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- | CM(-) | スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

魔王「頼んだぞ、勇者!」 【前編】

2014/03/25 00:30 | CM(0) | 創作・魔王勇者系 SS
1 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 22:50:26 ID:JD3Usf4Q


魔王城

魔勇者「お任せ下さい! 必ずや、遂行してみせます!」

魔王「うむ、期待しておるぞ」

魔王「私は、この人類との終わりの見えない戦いに、終止符を打ちたい」

魔王「無益で、無意味な争いを止め、共に手を取り合うのだ」

魔王「彼らとなら、それが出来る。私は、そう信じている」

魔勇者「素晴らしきお考えです」



2 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 22:53:26 ID:JD3Usf4Q
魔王「……お前には、危険な役目を負わせることになってしまった。すまない」

魔勇者「魔王様は、ご自分の責任を果たされたまで。気に病むことはありません」

魔王「…………」

魔王「……勇者よ」

魔勇者「はっ」

魔王「……後悔、していないか」


3 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 22:56:09 ID:JD3Usf4Q
魔王「……私と、その、幼馴染であるばかりに、お前には、迷惑をかけてきた。今回の人選も、それが加味されていないといえば嘘になる」

魔勇者「……魔王様」

魔王「今更、どうこうすることもできないのは、私が一番良く分かっている。しかし……」

魔勇者「魔王様!」

魔王「!」

魔勇者「失礼ながら、玉座に昇る許可を頂きたく思います」

魔王「……良いだろう、許可する」


4 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 22:58:23 ID:JD3Usf4Q


魔王「……久しいな。私が、魔王の地位を継いでから、お前とこうして向かい合う機会はめっきり減った」

魔勇者「そうですね、魔王様」

魔王「して、何だ?」

魔勇者「魔王様……いや、魔王」

魔勇者「今度の任務は、これまでとは違う。無事に帰って来れるかどうか、正直あんまり自信がない」

魔王「………」

魔勇者「だから、旅立つ前にこれだけ言っておきたい」

魔勇者「僕は、魔王の幼馴染で、本当に良かった」

魔王「!」

魔勇者「後悔なんて、するわけない。俺は、いつまでも魔王の友達だ」


5 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:01:16 ID:JD3Usf4Q

魔王「勇者……」

魔王「…………」

魔勇者「……玉座に昇る許可を頂いたこと、身に余る光栄だと思っています」

魔勇者「では、行って参ります」ニコ

魔王「! ……ま、待て」ギュ

魔勇者「魔王様、服を掴まれては……」

魔王「お、お前の任務は、人類の長、王と謁見し、同盟関係を築くに値するかどうかを見極めること。そうだな?」

魔勇者「はっ。私は、道中発生する事象についてその全権限を、魔王様より委譲されております」

魔王「……それだけでも、充分に過酷なことは理解している。しかし、私は、お前にもう一つ任務を課そうと思う」

魔勇者「は。何なりと」

魔王「うむ。……第百三十四代魔王の名において、貴様に命ずる」



魔王「生きて帰れ」


6 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:03:05 ID:JD3Usf4Q



城下町

魔勇者「ふぃー。やっぱり魔王城ってのは肩が凝るなぁ」

魔勇者「……さて、と」

魔勇者「うーん。やることは色々あるけど、何から始めようかな」

魔勇者「んー」

魔勇者「……まぁ、まずは仲間集めかな」


7 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:06:56 ID:JD3Usf4Q


酒場

ワイワイガヤガヤ

店主「らっしゃい」

魔勇者「えっと、ブラッドビール一つ」

店主「あいよ。他に、ご注文は?」

魔勇者「名簿を頼む。腕の立つ奴がいるんだ」

店主「……遠出かい?」

魔勇者「まぁ、そんなとこ。あんまり聞かないでくれ」

店主「金は?」

魔勇者「見合う実力があるなら、金に糸目はつけないよ」


8 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:09:16 ID:JD3Usf4Q

店主「…………」

店主「わかった、今持ってくる」

店主「……ただ、お客さん」

魔勇者「?」

店主「名簿ってのは、分厚くてな。酒一杯じゃ、保たないんじゃないかね」

魔勇者「…………」

魔勇者「わかったよ。じゃあ、オオガラスのステーキも頼む」

店主「あいよ、ちょっと待ってな」


9 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:12:02 ID:JD3Usf4Q





魔勇者「うーん……」ゴクゴク

魔勇者「………」ペラ

魔勇者「ふーん……」ムシャムシャ

魔勇者「……」ペラ

魔勇者「ゴブリン、ミノタウロス、ワーウルフに……」

魔勇者「サキュバス、バンパイア、セイレーンと……」

魔勇者「さすがに人型が多いな」


10 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:14:49 ID:JD3Usf4Q

魔勇者「……高ランクだから、もっと魔族がいるかと思ったんだけど、そうでもないんだ」

店主「今は、境界付近が稼ぎ時でね。ここに登録してた魔族は、軍に雇われて、皆そっちにいってるよ」

魔勇者「あ、そうなんだ。タイミング逃しちゃった感じか」

魔勇者(うまく食わされちゃったな。ま、良いけど)ペラ

魔勇者「うーん……何でだろ。どれもピンと来ないな~」

魔勇者「デュラハンね~……」ペラ


11 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:17:05 ID:JD3Usf4Q


?「…………」ゴク

?「ど、どうしたの? な、何か気になること?」モグ

?「ん、何となく、だが……」クンクン

?「金の、匂いがするんだよな」

?「か、金の、匂い……?」

?「そ、そんなことまでわかるんだね。お、お姉ちゃん」

?「…………」

?「お、お姉ちゃん?」

?「……行ってみるか」ガタ

?「! ……ま、待って、お姉ちゃん!」タタ


12 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:20:44 ID:JD3Usf4Q

魔勇者「んー……」ペラ

ゴンッ

客1「痛って! おい! 気をつけ……」

?「おっと、わりい」

ガンッ

客2「何やってんだ、このだぼす……け……」

?「し、失礼いたしたました!」

?「わりい。狭いところはどうも慣れなくてよ」

?「お、お姉ちゃん!」

ザワザワ……


13 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:23:07 ID:JD3Usf4Q

?「はいはいちょっと失礼するよ、お兄さん」ガンッ

?「おっと。おやっさん、ちょっと椅子どけるよ」

店主「おいおい……ちゃんと元に戻せよ?」

?「わかってる」

魔勇者「…………」ペラ

?「…………」

店主「…………」

?「……その、お兄さん?」トントン

魔勇者「ん? え、僕?」

?「そうそう、あんた」


14 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:26:20 ID:JD3Usf4Q

魔勇者「えっと……何か用?」

魔勇者(ふーん、綺麗な人)

?「それ、名簿だろ。護衛でも探してんのかい」

魔勇者「んー、まあ、そんなところだけど……」チラ

魔勇者(腕に火傷の跡。かなり大きいな)

魔勇者(ところどころ古い傷跡もあるし、この人……)

?「……見てくれは合格、か?」ニヤ

魔勇者「! ……すまない、結構な金がかかっているから」

?「良いって、種族柄、そういう視線には慣れてる」


15 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:28:15 ID:JD3Usf4Q

魔勇者「種族柄? そういや、君、種族は?」

魔勇者「見た感じ、魔族っぽくはないけど」

?「…………」パチクリ

魔勇者「え、何? 変なこと言ってる?」

?「……ぷっ、あはははは!」

?「ははは! その目、本気で分かってないんだね」

魔勇者「???」


16 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:30:10 ID:JD3Usf4Q

?「ふー……、ふふっ、あんた、最高だよ」

?「ほら、カウンターの下、見てみな」

魔勇者「……!」

魔勇者(この人……)

魔勇者「……確かに、これは、僕の不注意だったかな」

?「ふふっ、あたしにも分かる。あんたには護衛が必要だよ」

魔勇者「ぐぅの音も出ないな、はは」

?「そこでだ、お兄さん。あんた、あたしを雇っちゃくれないか」

魔勇者「僕が、君を?」

魔勇者(やっぱり、戦えるんだこの人)


17 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:31:20 ID:JD3Usf4Q

?「おう、こう見えても、腕には結構自信あるんだぜ?」

?「ランクは低いが、名簿にも載ってる」

魔勇者「ふーん?」

魔勇者(困ったな、名簿以外に判断要素が無い)

魔勇者(魔王に貰った資金も無限じゃないしなぁ……)

?「なんなら、金はあたしの働きを見てからってんでも良い」

?「食いもんと、どこかに寄るばあいはその宿賃。それだけ保証してくれるんなら、目的地まであんたを送り届けてやる。必ずな」


18 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:32:44 ID:JD3Usf4Q

魔勇者「………」

魔勇者(実力に裏付けされた自信、かな)

?「……どうだ?」

魔勇者(お試し期間か。まぁ、それなら……)

魔勇者「わかった。とりあえず、次の目的地まで頼むよ。そこで、本決めだ」

?「了解だ。まかせてくれ、しっかり守ってやる」

魔勇者「期待してるよ」


19 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:34:02 ID:JD3Usf4Q

?「そういや、自己紹介がまだだったな」

?「あたしの名前は、蜘蛛女。んで、こっちが……」

魔勇者「ん? こっち?」

蜘蛛女「相棒のスライム娘だ。よろしくな」

スライム娘「あ、あの、あ、ありがとうございます」

スライム娘「精一杯、が、頑張りますので、よ、よろしくお願いします!」

魔勇者「…………」

魔勇者「……よ、よろしく」


20 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/26(水) 23:51:26 ID:uPIn.das
これは新しいな
期待


22 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:15:56 ID:5K/wRPc2


城下町

魔勇者(ま、まさか、二人だったとは……)

魔勇者(まあ、食費くらいなら、何とかなるけどさ)

魔勇者(……それにしても、不注意が過ぎるな。気を付けないと)

魔勇者「……さて」

蜘蛛女「んで、どこに向かうんだ?」

魔勇者「んー、まずは、青の街まで行こうと思ってる」

蜘蛛女「青の街、か。了解だ」


23 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:17:28 ID:5K/wRPc2

魔勇者(それにしても……)

スライム娘「………」ジィ

魔勇者「………」チラ

スライム娘「!?」ビク

魔勇者(人型のスライムなんて、初めて見た)

魔勇者(地面が透けて見えてるぞ)

蜘蛛女「……どうした?」スッ

魔勇者「いや、少し珍しいな、と思っただけだよ」

魔勇者(庇った、のか?)

魔勇者「すまない。他意はないんだ」


24 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:19:12 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……ま、そう思うのも無理ないか」

蜘蛛女「スライムってのは、長く生き続けると、こいつみたいに形を変える奴が現れるんだ」

蜘蛛女「所詮、低級の魔物だからな。長生きする奴なんて、そうそういない。形が変わるまで生きる奴なんて、それこそ稀だ」

魔勇者「へぇ、そうなのか」

魔勇者(……魔王は、知ってるのかな)

蜘蛛女「だから、多少、警戒心が強いんだ。悪いな」


25 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:20:25 ID:5K/wRPc2

スライム娘「……っ」コソ

スライム娘「あ、あの……その、ご、ごめんなさい……」

魔勇者「こちらこそ、済まない。……青の街まで、頼めるかな」

スライム娘「も、もちら、もちろんです!」

蜘蛛女「あたしが保証する。こいつは、役に立つ」

魔勇者「……その言葉が、信頼に足るかどうか。しっかり見定めさせてもらうよ」

蜘蛛女「上等だ。必ず認めさせてやるよ」

スライム娘「や、やるよ!」

魔勇者(……この二人、ただの相棒ってわけじゃなさそうだな)


26 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:22:39 ID:5K/wRPc2




街道

蜘蛛女「さぁて、行くか!」

スライム娘「お、おー……」

魔勇者「はいはい、僕達が行くのはこっちだよ」

蜘蛛女「こっち……って、何でだよ! わざわざ、寂れた道行くことないだろうが!」

スライム娘「あ、青の街、なら、街道をいくのが、あ、安全……」

魔勇者「それは、わかってるよ」

蜘蛛女「だったら、何で……」

魔勇者「安全だったら、君たちの実力が分からないだろ?」

蜘蛛女「!」

蜘蛛女「……ふん、まあ良いさ」

魔勇者「じゃあ、行こうか」


27 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:23:44 ID:5K/wRPc2




蜘蛛女「……で、結局こうなるのか」

スライム娘「………っ」ガクガク

魔勇者「いやあ、魔王城の権威ってのも、案外弱いね」

魔勇者「街道から少し外れただけでこうなるんだから」

???1「………」

???2「………」

???3「………」

???4~6「………」


28 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:24:35 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「ちっ」

蜘蛛女(こいつら、隙が無さ過ぎる。只の盗賊じゃねぇな)

蜘蛛女(この人数差じゃ、下手に動けねぇ。……かといって、このままじゃ)

蜘蛛女「……くそがっ!」ブン

???1~6「!」ジリ

蜘蛛女「来るなら来い! 全員まとめて、この槍の餌食にしてやるよ!」


29 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:26:15 ID:5K/wRPc2

???2~6「………」チラ

???1「………」スッ

蜘蛛女「!」

???1「……そいつを渡せ。そうすれば、命は助けてやる」

蜘蛛女(こいつを?)チラ

魔勇者「………」

蜘蛛女「……呑めない、といったら?」

???1「女子供とて、容赦はしない」チャキ

???2~6「………」チャキ


30 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:27:56 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……くっ」

蜘蛛女(短刀か……リーチはこっちの勝ち)

スライム娘「お、お姉ちゃん……」

蜘蛛女「……ふん。おい、奴さん、ああ言ってるが?」

魔勇者「……君たちが、決めれば良い」

魔勇者「僕は、その意見を尊重するよ」

蜘蛛女「………わかった」


31 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:28:42 ID:5K/wRPc2

???1「……話は、決まったか?」

蜘蛛女「ああ。……スライム娘!」

スライム娘「! わ、わかった!」

???1「……」コク

???2~6「っ」ダッ

蜘蛛女(向かってくるのは、三人か!)


32 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:29:59 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「うおらっ!」ブン

???2~4「!」ザっ

蜘蛛女「逃すか!」ブン

蜘蛛女(……! 捉えた!)ニイッ

???2・4「!」

???3「……ぐっ」グサ


33 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:31:23 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「少し熱いが……」ガキン

???3「ぐあぁっ」ガパッ

キィィィィィン

魔勇者(! 槍の先から魔方陣が展開された!?)

蜘蛛女「我慢しろよっ!」ブン

???3「」ズルッ

???2・4「ぐっ」ドサ

蜘蛛女「まとめて死になっ!」

ズガン!

魔勇者「!」

魔勇者(人間爆弾かよ……)


34 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:32:35 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女(残りは!)

???5「シッ!」ヒュン

蜘蛛女「くっそ!」キン

???6「っ」タッ

蜘蛛女「なっ!?」

蜘蛛女(こいつは囮か!)ガギギ


35 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:34:04 ID:5K/wRPc2

???5「っ!」ググ

蜘蛛女(圧してくるのか……!)

蜘蛛女「このっ……!」

蜘蛛女(間に合わねぇ……!)

蜘蛛女「スライム娘ぇっ!」

スライム娘「ひ、ひゃい!」


36 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:35:53 ID:5K/wRPc2

???6「」ダッ

スライム娘「ひ、ひぃっ」

スライム娘(ま、まけちゃだめ!)

スライム娘「すう……」

???6「っ」ヒュン

スライム娘(うしろはだめ、まえにだけ……まえに!)ボコボコ

魔勇者「!」

魔勇者(スライム娘の体の表面が……)

魔勇者(……まるで沸騰してるみたいだ)


37 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:38:50 ID:5K/wRPc2

スライム娘「はあっ!!」

ヒュヒュヒュヒュン

グサグサ グサグサ

???6「ガっ……」プラーン

魔勇者「……」

魔勇者(片や、人間爆弾。片や、自分の体で相手を串刺しか……)

魔勇者(この二人、結構えぐいな……)


38 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:41:28 ID:5K/wRPc2

???5「!」

蜘蛛女「へっ、油断したな!」ブン

???5「くっ」グラ

蜘蛛女「これで!」ブン

???5「」ドサ


39 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:42:57 ID:5K/wRPc2

スライム娘「姉さん!」

蜘蛛女「おう、良くやったな、スライム娘」ナデナデ

スライム娘「で、でも、お姉ちゃん、怪我して……」

蜘蛛女「死んでないんだから、大したことねぇよ」

蜘蛛女(……自分で付けた傷なら、そりゃ気づくか)

蜘蛛女「それより、ちゃんと血を抜いとけ。さっきので大分混ざっただろ」

スライム娘「う、うん、わかった」

蜘蛛女「その間に、あたしは、もう一仕事するか」ギロ

???1「!」ジリ


40 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 21:45:51 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「気づいてないとでも、思ったか?」

???1「……」

蜘蛛女「………」スッ

???1「……!」

蜘蛛女「……ここは、おとなしく退いちゃくれないか?」

蜘蛛女「あたしたちも、好んで殺り合いたいわけじゃねぇんだ」

???1「……」

蜘蛛女(……どうだ)


41 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:05:45 ID:5K/wRPc2

魔勇者「いや、それは困る」

蜘蛛女「なっ」

魔勇者「悪いけど、生かして帰すわけにはいかないんだ」

蜘蛛女「な、何で……」

???1「っ」ダッ

蜘蛛女「あっ!」

蜘蛛女(逃げやがった……)


42 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:07:26 ID:5K/wRPc2

魔勇者「君たちの実力は、充分見せてもらった」

魔勇者「だから、お返しに、僕の実力も見せておくよ」チャキ

蜘蛛女(あれは、東洋の……何てったっけ)

蜘蛛女(ってか、剣なんかでどうすんだよ。もうあんな遠くにいるぞ)

魔勇者「僕の後ろにいてくれ」グッ

蜘蛛女「あ、あぁ」チラ

スライム娘「っ」コク


43 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:10:41 ID:5K/wRPc2

魔勇者「ふー……ッ」

     シン

魔勇者「……」キン

蜘蛛女「……」

スライム娘「……?」

蜘蛛女「……!」

蜘蛛女(待て待て! こいつ、今剣を納めたのか!?)

蜘蛛女(いつ抜いたんだ? 何をしたんだ?)


44 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:12:57 ID:5K/wRPc2


???1「」

ズル  ベチャ


蜘蛛女「!」

蜘蛛女(胴体から、真っ二つだと)

魔勇者「っと、これで良し」

スライム娘「………」ガクガク

蜘蛛女(こいつ……)


45 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:15:33 ID:5K/wRPc2

魔勇者「じゃあ、行こうか」

蜘蛛女「……ちょっと待て」

蜘蛛女「お前、何のためにあたしたちを雇った」

魔勇者「それは、護衛が必要だったからだよ」

蜘蛛女「馬鹿言え」

魔勇者「本当のことなんだけどなー」

蜘蛛女「ふん、納得できねぇな」


46 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:18:31 ID:5K/wRPc2

魔勇者「うーん……」

魔勇者(青の街までは、納得するしないの問題じゃないんだけど)

魔勇者(まあ、実力は見れたし、バラしても問題はない、か)

魔勇者「……納得できれば、良いんだよね?」

蜘蛛女「……ああ」

魔勇者「僕が、仲間を必要としたのは、それほどの場所に出向くからだよ」

蜘蛛女「場所?」

魔勇者「ああ……僕は、境界を越える」


47 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:21:36 ID:5K/wRPc2



???

〝???1「」〟

〝 ズル  ベチャ 〟

?「馬鹿な……っ! 魔王軍の精鋭部隊が、こうも容易く!」

?「………落ち着け。まだ手はある」

?「問題は、魔勇者に同行していた者達だ。……あやつら、一体何者なのだ?」

?「あれほどの手練が、城下町に残っていたとは……」

ガチャ

?「!!」


48 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:23:43 ID:5K/wRPc2

魔王「おや。これは、これは」

?「ま、魔王様……」

魔王「大臣、貴様、一体ここで何をしている?」

大臣「な、何と言われましても……」

大臣「ここは、私の屋敷でございます。そして、私は今日、お暇を頂いております故……」

魔王「とやかく言われる筋合いはない、と?」

大臣「失礼ながら」

魔王「ふむ……」

大臣「………」ゴク


49 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:26:24 ID:5K/wRPc2

魔王「……大臣、私は、ある噂を耳にしてな」

大臣「……噂、でございますか?」

魔王「ああ、その噂というのはだな、大臣」

魔王「有力者たちが、貴様の屋敷で〝宴〟を開く、というものなのだが……」

大臣「!」

魔王「中には、我が国の政に大きな影響力を持つ者もいると聞いてな。ならば、私が出向かぬわけにもいかぬだろう?」

大臣「そ、それは……」


50 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:28:12 ID:5K/wRPc2

魔王「ところで、大臣」

大臣「は、はっ」

魔王「客の到着が〝遅れている〟とは思わぬか?」ニヤ

大臣「っ!」

大臣「魔王、貴様……っ!」

魔王「思いのほか、早く化けの皮がはがれたな」

魔王「何か、弁明はあるか?」


51 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:29:58 ID:5K/wRPc2

大臣「はっ、弁明だと? そんな必要がどこにある!」

大臣「私は、お前を魔王だと認めてはおらん!」

大臣「先代魔王の娘でさえなければ、お前なぞ……!」

魔王「ほう?」

大臣「っ……!」

大臣「ふん、その憎たらしい余裕もここまでだ!」パチン

ヴン ヴン ヴン

?1~12「……」


52 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:33:05 ID:5K/wRPc2


魔王「これは……」

大臣「〝我々〟の私兵だ」

魔王「私兵?」

大臣「打倒魔王の元に集まった者たちだ。あらゆるところからな」

大臣「中には、魔王軍の精鋭部隊からやってきた者もいる」

魔王「………」

大臣「皆、お前のひ弱な考えに、魔王としての資質を疑っているんだ」


53 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:34:29 ID:5K/wRPc2

魔王「第一教義、か?」

大臣「よく分かっているじゃないか」

大臣「『強き者に従え』 ……強さのみが、我々の優劣を決める」

魔王「ふん、古臭い考えだ」

大臣「そう思っているのはお前だけだ」

大臣「こうして囲まれているのが、何よりの証拠!」

大臣「さあ、どうする? 魔王よ」

大臣「私としても、出来れば手荒な真似はしたくないのだが?」ニヤ


54 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:36:07 ID:5K/wRPc2

魔王「………」

魔王「……はぁ…」

大臣「諦めがついたか?」

魔王「……お前の手腕を買っていたところもあったのだがな」

魔王「所詮は、その程度か」

大臣「何ぃ……っ!」ギリ

魔王「良いぞ、かかって来い」

魔王「貴様らに、どちらが正義かを教えてやる」


55 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:37:43 ID:5K/wRPc2




ドタドタ バタン

?「魔王様っ!?」

魔王「遅かったな、側近」

側近「お一人で向かわれたと聞き、急ぎ救援をと」

側近「屋敷は既に制圧しましたが……」

?1~6「」

 大「」

           臣

側近「……親衛隊は必要ありませんでしたね」


56 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:40:07 ID:5K/wRPc2

魔王「あの部隊は極秘だ。今後、私の命なしに動かすな」

側近「出過ぎた真似を、以後、心に刻みます」

魔王「だが、お前に何も言わず出てきてしまったのは、私の落ち度か」

側近「………」

魔王「ふん、無言か。まあ、いい」

魔王「鳥娘を喚べ。奴が言うには、私の妨げとなる者たちは至るところにいるらしい」

魔王「魔王城は守りが固い。今狙うなら、勇者だろう」

側近「了解いたしました」


57 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:41:19 ID:5K/wRPc2

側近「……魔王様」

魔王「ん?」

側近「あれらの処遇は、いかがいたしましょう」

?7~12「……」ザッ

側近「膝をついていますが、あれは、何です?」


58 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:42:36 ID:5K/wRPc2

魔王「あぁ、あれは……そうだな、親衛隊に入れておけ」

側近「は!? ……あ、いえ、先ほどまで敵対していましたよね?」

魔王「奴らは、第一教義に忠実だ。そして、私の強さを見た」

側近「……なるほど」

魔王「それに、親衛隊なら、こいつらをしっかり仕上げてくれるだろう」ニヤ

魔王「後は……ここの後処理か。手配しておいてくれ」

側近「はっ」

側近「魔王城にお戻りになられますか?」

魔王「うむ」

側近「では、参りましょう」


59 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:44:50 ID:5K/wRPc2



青の街 

宿屋

ガチャ

宿主「いらっしゃい」

魔勇者「部屋はあるかな?」

宿主「人数は? 一人かい?」

魔勇者「三人なんだけど、できるだけ広い部屋がいいんだ」

宿主「広い部屋、ねぇ……うちは、四人部屋が一番大きいよ」


60 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:45:46 ID:5K/wRPc2

魔勇者「う~ん……ここ以外に、魔物用の水浴び場がある場所ってある?」

宿主「あまり聞かないね。ほら、ここの領主様は、綺麗好きだから」

魔勇者「……? ごめん、話が見えない」

宿主「まあ、綺麗好きというか、潔癖症かね、あれは」

宿主「……お嫌いなんだよ、魔物が」

魔勇者「ふーん……」

魔勇者(彼女たち……大丈夫か?)


61 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:47:58 ID:5K/wRPc2

宿主「ここだって、お触れのおかげで建ったようなもんだからねぇ」

魔勇者「ふむ……その、四人部屋なんだけど、寝具を一つどかしてもらえたりするかな」

宿主「え! いや、まぁ、できないことは無いけど……」

魔勇者「じゃ、頼むよ。その分の金は払うからさ」チャリ

宿主「……部屋は、この廊下の先だよ。寝具は後で取りにいくから」

魔勇者「わかった。あ、後、水浴び場は?」

宿主「裏にある。いつでもどうぞ」

魔勇者「ありがとう」


62 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:49:24 ID:5K/wRPc2

ガチャ

魔勇者「部屋取れたよ。四人部屋だって」

魔勇者「どうにか入れるように工夫してもらうから」

宿主「?」

魔勇者「水浴び場は裏手だって」

宿主「………」

魔勇者「荷物はどうするの。ほら、入った入った」


63 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:51:40 ID:5K/wRPc2

ガチャ

蜘蛛女「………」

スライム娘「………」オドオド

宿主「」

魔勇者「廊下の先だっていうから、先行ってて」

スライム娘「……」コク

スライム娘「い、行こう、お姉ちゃん」

蜘蛛女「……おう」


64 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:52:28 ID:5K/wRPc2


宿主「あ、ありゃ、一体……」

魔勇者「まあ、見れば分かると思うけど、そういうことだから、急ぎでお願いね」

宿主「あ、あぁ」


65 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:54:00 ID:5K/wRPc2

ガチャ

スライム娘「………」

蜘蛛女「………」

スライム娘「お、思ってたよりも広いね」

蜘蛛女「……そうだな」

スライム娘「これなら、か、家具を少し動かせば、お姉ちゃんでもへ、平気かもね?」

蜘蛛女「………」

スライム娘「お、お姉ちゃん?」


66 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:55:34 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……ちょっとすっきりしてくる」

スライム娘「な、なら、私も……」

蜘蛛女「……わりぃ、少し、一人にしてくれるか?」

スライム娘「あ……う、うん。わかった」

ガチャ バタン

スライム娘「……お姉ちゃん」


67 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 22:58:00 ID:5K/wRPc2



チャポン バシャ

ポタ ポタ

蜘蛛女「………」

〝魔勇者「僕は境界を越える」〟

蜘蛛女「……っ」

〝魔勇者「目的は、人類との和平だよ」〟


68 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:00:17 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女(……和平、だと……っ)ギリ

〝「……おかーさん! ……おとーさん!」〟

〝「……あ………あツ、い……よ…ォ…」〟

蜘蛛女「……ふざ……けんなっ!!」

ガサッ

蜘蛛女「!」


69 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:02:06 ID:5K/wRPc2

魔勇者「あらら、マズいところに来ちゃったかな」

蜘蛛女「……何だ、覗きか?」

魔勇者「はは、僕は何も見てないよ」

魔勇者「……その全身の火傷の痕はどうしたのか、なんてこれっぽっちも思ってないよ」

蜘蛛女「見てんじゃねーか、変態勇者が」


70 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:05:00 ID:5K/wRPc2

魔勇者「……人類への憎悪は、それが原因?」

蜘蛛女「お前に……」

魔勇者「関係あるでしょ」

魔勇者「もう決めちゃったから。僕は、生半可な理由で君たちを手放すつもりはないよ」

蜘蛛女「……チッ」


71 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:06:39 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……これは、スライム娘を助けたときにできたもんだ」

魔勇者「へぇ」

蜘蛛女「あたしの……いや、あたしたちの集落は、境界の近くにあったんだ」

蜘蛛女「ひっそりと暮らしたい奴らの寄り合い所帯さ。あたしや、スライム娘は、人目を引くからな」

蜘蛛女「境界の近くなら、魔族、魔物はまず寄り付かない。必要以上に騒がなければ、人類に気づかれることもない」

蜘蛛女「のどかで、良い毎日だったよ。あたしは好きだった」

魔勇者「………」


72 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:08:37 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「でも、無くなっちまった。……奪われたんだ」

蜘蛛女「スライム娘に気づいたのは、ただの偶然だった」

蜘蛛女「必死で逃げていたはずなのに、あいつの声だけ、不思議とはっきり聞こえてよ」

蜘蛛女「燃えて、今にも崩れそうな家の近くで、鳴いてた」

蜘蛛女「熱にあてられて、もう人型を保てなくなってたんだ」

蜘蛛女「手の平ぐらいの大きさになって、両親を探して、鳴いてた」


73 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:10:55 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「思わず手を伸ばしてたよ。あいつも必死だった。訳も分からず飛びついたんだ」

蜘蛛女「意思をもった熱湯を浴びたようなもんだ。痛みに気づいた時には、もう手遅れだった」

蜘蛛女「逃げないわけにもいかないからな。……がむしゃらになって逃げてくうちに、いつのまにかあたしたちだけになってた」

蜘蛛女「そっからあとは、本当に関係の無い話だ」


74 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:14:59 ID:5K/wRPc2

魔勇者「……うん。大体分かった」

蜘蛛女「……あたしは、善人ってわけじゃない。死体を見たことも、一度や二度じゃない」

蜘蛛女「だから、邪魔はしない。でも、協力もできない」

魔勇者「………」

蜘蛛女「……悪いな」

魔勇者「いや、無理強いはできないからね」

魔勇者「もうお金払っちゃったから、今日はここに泊まっていってよ」

魔勇者「もうそろそろ、部屋の片付けも終わってるだろうし」

蜘蛛女「わかった。恩に着る」


75 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:18:48 ID:5K/wRPc2



大通り

魔勇者「うーん……やっぱり、そう上手くはいかないか」

魔勇者「ま、ここで探すか」

魔勇者「えっと、酒場は……っと」

?「もし、魔勇者様でいらっしゃいますか」

魔勇者「……いや、人違いじゃない?」


76 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:23:06 ID:5K/wRPc2

?「では、魔勇者様に、青の城においで下さるようお伝え願えますか」

魔勇者「城……って、あの真ん中のでっかいやつ?」

?「ええ、この街の統治者、青の女王様の居城でございます」

魔勇者「女王……へぇ、なるほどね」

?「お伝えいただけますか」

魔勇者「わかった。必ず伝えておくよ」

?「ありがとうございます。お待ちしております」


77 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:24:51 ID:5K/wRPc2




宿屋

スライム娘「………」

蜘蛛女「………」

スライム娘「………」

スライム娘「……か、片付け、上手くいって、よ、良かったね。お姉ちゃん」

蜘蛛女「………あぁ」


78 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:27:01 ID:5K/wRPc2

スライム娘「………」

スライム娘「………」すぅ はぁ

スライム娘「あ、あの、お姉ちゃん。あ、あの人と、どんな話をしたの?」

蜘蛛女「………」

スライム娘「あの、その、い、嫌なら、別に良いんだけど」

蜘蛛女「………」

スライム娘「お、お姉ちゃん?」


79 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:29:58 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……お前は、どう思った?」

スライム娘「! ……ど、どうって?」

蜘蛛女「あいつの、人類と和平を結ぶって話」

スライム娘「………その」

スライム娘「………」

スライム娘「わ、私は、わ、悪くないかなって、思った」

蜘蛛女「……何でだ?」

蜘蛛女「どうしたら、あいつらを許せるんだよ。あたしたちから、家族も、帰る場所も奪った奴らを、どうしたら……!」


80 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:33:18 ID:5K/wRPc2

スライム娘「ゆ、許すとか、許さないとかじゃ、なくて」

スライム娘「こ、これ以上、わ、私たちみたいな目に合う人たちが、い、いなくなれば、良いなって」

蜘蛛女「!」

スライム娘「で、でも、お姉ちゃんが決めたことなら、わ、私は、別に……」

蜘蛛女「……」

スッ

蜘蛛女 「……」ナデナデ

スライム娘「ふぇ……?」


81 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:36:09 ID:5K/wRPc2

蜘蛛女「……やさしいな、お前は」

スライム娘「そ、そうかな?」

蜘蛛女「あぁ、流石、あたしの妹だ」クス

スライム娘「……えへへ」

蜘蛛女「……良し、決めた! あたしは、あいつに協力する!」

スライム娘「え、い、良いの?」

蜘蛛女「おう! あいつが帰ってきたら、頼んでみる」

スライム娘「だ、大丈夫かな」

蜘蛛女「頭を下げるさ。あいつも、このまま帰ってこないなんてことはないだろう」

スライム娘「そ、そうだね」


82 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:39:11 ID:5K/wRPc2


コンコン

蜘蛛女「ん?」

宿主「あの、お客様、今、よろしいですか?」

ガチャ

蜘蛛女「あぁ、何だ……!?」

ガスッ

蜘蛛女「かはっ……」

スライム娘「お姉ちゃん!?」


83 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:43:32 ID:5K/wRPc2

???「動くな」

スライム娘「!」ビク

???「我々は、この街の治安維持を任されている第十五憲兵団だ」

蜘蛛女「憲兵……だぁ?」

???「……ふむ、間違いないな」カサ

蜘蛛女「ふざけんな、あたしたちは何も……」

ドゴッ

蜘蛛女「ぐっ……」


84 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/27(木) 23:50:22 ID:5K/wRPc2

???「黙れ、汚らしい魔物風情が。半身だからといって、調子に乗るな」

蜘蛛女「何だと……っ!」

バキッ

蜘蛛女「……っ!」

スライム娘「止めてっ!」

???「黙れ、と言ったんだ」

スライム娘「……っ」

???「……ふん。まあ、いい。お前らには、後でゆっくり、礼儀を教えてやる」

蜘蛛女(どうする? とりあえず、こいつらは敵。 しかし、数が多過ぎる)

蜘蛛女(くそっ、油断した、か)

???「お前たちを、国家反逆罪で逮捕する」


85 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/28(金) 03:34:46 ID:X2nLYkb6
反逆も何も国民じゃないんじゃ


86 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/28(金) 04:01:07 ID:LuMRh6/c
取り敢えずの拘束理由ってやつだろう
魔物の国という意味での国家反逆罪かもしれんし


87 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/28(金) 23:58:57 ID:5dBE596E




青の城

ギイッ

?「女王様、魔勇者様がおいでになりました」

「そう。すぐに通してちょうだい」

?「畏まりました。……魔勇者様、こちらへ」

カツ カツ

魔勇者「ご拝謁を賜り、光栄です。女王様」

青の女王「ふむ、そなたが勇者か」

魔勇者「はっ」


88 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 00:00:39 ID:8B1DYERs

青の女王「……思ったより、地味ね。危うく、見逃してしまうところだったわ」

魔勇者「まぁ、その、それが狙いだった、と申しましょうか」

青の女王「ふーん……あ、私、堅苦しいの苦手なの。だから、気は使わないわ」

魔勇者「はっ」

青の女王「ま、あなたがどうしようと、あなたの自由だけど」

魔勇者「わかりました」


89 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 00:05:04 ID:8B1DYERs

青の女王「……で、勇者様は、その名に似合わず、こそこそ何をしようとしているのかしら?」

魔勇者「……失礼ながら、その質問にはお答えできません」

青の女王「あら、どうして?」

魔勇者「魔王様より厳命されておりますので」

青の女王「……へぇ」


90 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 00:07:39 ID:8B1DYERs

魔勇者「そもそも、この作戦は、私が勇者であることも含めて、全てが極秘のはず」

魔勇者「私の存在を理解した上で、ここに呼び出すということは、何もかも理解しておられるのでは?」

青の女王「ま、そうなんだけど。一応、言質取っておかないといけないのよ」

青の女王「できれば、あなたから言って欲しかったんだけど」

青の女王「まあ、良いわ。単刀直入に聞く、そして命じるわ」

青の女王「人類との和平、即刻止めてほしいのよ」


91 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:38:00 ID:8B1DYERs

魔勇者「……それは、出来かねます」

青の女王「魔王様から命じられているから?」

魔勇者「ご理解感謝します」

青の女王「……ったく、魔王、魔王、魔王って」

青の女王「何か、ムカつくわね。あなた」


92 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:40:16 ID:8B1DYERs

魔勇者「…………」

青の女王「はぁ……和平、ね。世間知らずのお嬢様が考えそうなこと」

青の女王「あぁ、あなたも、同類だったわね」

魔勇者「…………」


93 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:41:53 ID:8B1DYERs

青の女王「私たちが、どうやって生きてきたのか。あなたは考えたことがある?」

青の女王「皆が、何をして、日々の糧を得ているのか。考えたことがある?」

青の女王「答えは、戦争、よ。今も、昔も、私たちは、争うことで何とか生き残ってきたの」

青の女王「争いが、あらゆる需要を生む。そして、それに応えることで私たちは、発展をみたのよ」

青の女王「いい? 私たちに必要なのは、戦争なの。そこには、勝利も、敗北も無い。あってはならないのよ!」

青の女王「その点、人類って奴らは素晴らしいわ! ひ弱で、非力! それなのに繁殖力だけは、魔物並みだもの」

青の女王「しっかり管理すれば、私たちは、いつまでもこの戦争を続けることができる! 理想的な戦争をね!」


94 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:43:59 ID:8B1DYERs

魔勇者「…………」

青の女王「……あなたにもう一度チャンスをあげる。だから、私の言葉に、だまって頷きなさいな」

青の女王「人類との和平、諦めなさい」

魔勇者「…………」


95 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:45:51 ID:8B1DYERs

魔勇者「……女王様、お気づきかとは思いますが。あなたの発言は、魔王様に対する反逆に捉えられかねません」

青の女王「ふふっ……反逆? その言葉が力を持つには、魔王が、この国の意思の体現者である必要があるわ」

青の女王「今の魔王にそんな力がある? 誰があんな箱入り娘を認めるというの? 形だけの世襲なんて甘い考えは、この国じゃ通用しないのよ」

青の女王「今、この場において、反逆者は、あなたなの」

青の女王「憲兵!」

ダッダッダッダッダッ

憲兵1~22「………」


96 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:47:17 ID:8B1DYERs

魔勇者「……女王様、これは一体何の真似ですか?」

青の女王「知らないの? 反逆罪は、重罪なのよ?」

魔勇者「なるほど、口封じですか」

青の女王「いいえ、罪人を捕えようとしてるのよ」

青の女王「あ、そうそう、仲間がいるのはわかっているわ。薄汚い半身魔族が二匹」

魔勇者「!」


97 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:49:31 ID:8B1DYERs

青の女王「あなたは、もしかしたら、と思っていたけど、無駄だったようね」

魔勇者「彼女たちは関係ない! ただの雇われだ!」

青の女王「あら、そうだったの」

魔勇者「っ! 彼女たちは!?」

青の女王「さぁね。殺せ、とは命じてあるけど」

青の女王「殺し方まで、指定してないから」

魔勇者「……てめぇ……」

青の女王「あらあら、乱暴ね。何なら、あなたも殺して上げましょうか?」

魔勇者「やってみろよ……」

青の女王「……フン、殺せ」


98 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:51:30 ID:8B1DYERs


「はい、そこまでー。どっちも動かないよーに」

魔勇者「!?」

青の女王「誰だ!」

ヴン

「どもー、魔王軍特務部隊のものでーす」

青の女王「特務、部隊? 聞いたことがないわ」

青の女王「でも、この城の魔法障壁を破ってくるってことは、実力はあるようね」

「えっ、障壁? そんなものあったんだー?」


99 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:53:38 ID:8B1DYERs

「まー、いいや。わかったら、無駄な抵抗は……」

青の女王「たかだか一匹のくせに、調子にのらないで」

青の女王「憲兵! そいつも殺せ。逃がすな」

「……ハァ。しょうがないな。……全員しゅーごー!」

ヴン ヴン ヴン ヴン……

?1~22「………」

憲兵1~22「!」

青の女王「なっ!?」


100 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:57:09 ID:8B1DYERs

「だから、動くなって言ったの。この場所は、既に我々の支配下にあるのよ」

青の女王「! ど、どこにいった!? あの女は!?」

「あれー、わからないかなー」

ヴン

「ここよ。あなたの、後ろー」

青の女王「ひっ」

「はい、あなたも動かないでね?」


101 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 22:59:26 ID:8B1DYERs




「ふいー、目標確保っと。大丈夫ですかー、勇者さま」

魔勇者「えっと、君……もしかして、鳥娘?」

鳥娘「わ! 覚えててくれたんですねー!」

魔勇者「背中の翼でね。相変わらず、綺麗だ」

鳥娘「えへへ、ありがとうございます」

鳥娘「でも、今は任務中なので、『隊長』でお願いします」


102 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:02:06 ID:8B1DYERs

魔勇者「隊長?」

鳥娘「はい! 魔王軍特務部隊の隊長ですー」フンス

魔勇者「特務部隊って……すごいな。エリートじゃないか」

鳥娘「……あれから、私なりに考えたんです。どうしたら、勇者さまと魔王さまのお役に立てるのか」

魔勇者「そ、それで、特務部隊に?」

鳥娘「親衛隊を別にすれば、一番魔王さまの近くにいられますから」


103 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:03:58 ID:8B1DYERs

鳥娘「本当は、親衛隊に入りたかったんですけど、ほら、私……」

魔勇者「…………」スッ

鳥娘「!」ナデラレ

魔勇者「……そっか、頑張ったんだね」

鳥娘「……はいっ」

魔勇者「…………」

鳥娘「? どうしたんですか?」


104 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:07:14 ID:8B1DYERs

魔勇者「ごめん、色々と聞きたいことはあるんだけど」

魔勇者「人の形をしたスライムと、半人半蜘蛛の女の人を知らないかな?」

魔勇者「短い間だったけど、ここまで、僕を守ってくれた。大事な仲間なんだ」

魔勇者「最後に見たのは、街の入り口にある宿屋なんだけど」

魔勇者「どこにいるのか知りたいんだ」

鳥娘「……勇者さま」


105 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:09:46 ID:8B1DYERs

鳥娘「……ふふ、だそうですよー?」

魔勇者「……え?」

ギィッ

蜘蛛女「……よ、よお」

スライム娘「……っ」

魔勇者「二人とも……」


106 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:12:08 ID:8B1DYERs

鳥娘「魔王様から、勇者様とそのお仲間を守るように仰せつかっておりましたので」

蜘蛛女「正直、助かったよ。さすがにヤバかったからな」

魔勇者「……ありがとう、鳥娘」

鳥娘「いえいえー、お礼なら、魔王様に。魔王様、勇者様が心配で、城下町を出るまで、こっそり監視させてたんですから」

魔勇者「ふふ、そっか。見られてたのか」

鳥娘「……」クス


107 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:15:47 ID:8B1DYERs

蜘蛛女「……で、これから、どうすんだ? 勇者さんよ」

魔勇者「まぁ、まずは仲間探しかな。目的はまだ果たせてないし」

蜘蛛女「おいおい、仲間ならもういるじゃねーか。なぁ?」

スライム娘「…………っ!」コクコク

スライム娘「ふ、二人で、話し合った」

スライム娘「わ、私たち、あなたの旅に、同行する」

スライム娘「……も、もちろん、あなたが良ければ、だけど」


108 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:17:24 ID:8B1DYERs

魔勇者「……ありがとう。こちらこそよろしくお願いするよ」

蜘蛛女「よっし、決まりだな!」

鳥娘「仲直り、ですねー。よかったです」

鳥娘「私は、ここの後始末をしなければならないので」

魔勇者「わかった。本当にありがとう」


109 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/01(土) 23:19:13 ID:8B1DYERs

鳥娘「いえいえー。……あ、そうだ。っと、これ。持っていって下さい」

魔勇者「これは? 丸い石……?」

鳥娘「跳躍魔法の起点となる魔法石です。周囲の魔力を少しずつ吸収して、〝出口〟の起点になりますー」

鳥娘「起動していただければ、いつでも、どこでも、駆けつけますから!」

鳥娘「あ、でも、起動するときは、距離を離して起動して下さいねー。空間の狭間に呑み込まれて帰って来れなくなりますから」

魔勇者「わかった」

鳥娘「……勇者様、どうかご無事で」

魔勇者「うん。……魔王を、頼む」

鳥娘「はい」


110 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:00:35 ID:3Eo.M0oc




鳥娘「ふー……じゃあ、こっちの処理を始めよっか」

青の女王「……ふん」

青の女王「私を連れて、無事にこの街を出られると思っているの?」

鳥娘「まぁ……それなりに」

鳥娘「あ、そうそう。あなたに聞かなきゃいけないことがあったんだった」

鳥娘「彼ら、何か知ってる?」

憲兵1~22「……」


111 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:04:39 ID:3Eo.M0oc

青の女王「何か、とは?」

鳥娘「魔王様への謀反に関して」

青の女王「それを教えたとして、何の得があるの?」

鳥娘「んー……彼らは生き存える、くらいかな。少しの間だけど」

青の女王「話にならないわね。それで私が協力すると思った?」

鳥娘「だよねー」

鳥娘「ま、いっかー。見たところ、あなたが一番深く噛んでそうだし」

鳥娘「消しちゃって」

特務兵1~22 コク

スラァ

ザシュ


112 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:07:55 ID:3Eo.M0oc




青の女王「……私が言えたことじゃないけれど、惨いことするわね」

鳥娘「私たちは、魔王様の影だから」

青の女王「下々の者には、高みの者の影は見えないってわけ」

鳥娘「そーいうこと」

青の女王「意外ね、もっとお子様かと思っていたわ」

鳥娘「あなたたちがどう思おうと、彼女は、魔王なの。わかったー?」


113 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:14:27 ID:3Eo.M0oc

青の女王「その言い方は、不快極まりないけれど、私にぺらぺら話しちゃっていいわけ?」

鳥娘「まー、多少の差こそあれ、あなたもああなるし」

青の女王「あらあら、怖い、怖いわぁ」

青の女王「その認識が甘いのよ」

青の女王「あなたの主にあなたたちを隠してたように、こっちにだって隠し玉があるのよ」

鳥娘「へー」

青の女王「っ……その余裕がどこまで保つか、見物だわ」


114 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:16:31 ID:3Eo.M0oc

鳥娘「……」

鳥娘「まー、じゃ、いきますか」グッ

青の女王「ちょっと、顔は止めてよ? 結構自慢なんだから」

鳥娘「……ふんっ」

グシャッ

青の女王「……え?」


115 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:19:22 ID:3Eo.M0oc

鳥娘「あ、そうそう。言い忘れたけれど」グッ

鳥娘「もうあなたの体とは、お別れだから」ググッ

青の女王「な……ん……」

鳥娘「あなたに隠し玉があるなら、私には、奥の手があるの」

ズボッ

青の女王「……かはっ」

鳥娘「捕まっても逃げられる」

鳥娘「その認識が甘いんだよ」


116 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:22:38 ID:3Eo.M0oc


鳥娘「よっと……〝容れ物〟ちょうだい」

特務兵1 サッ

鳥娘「サンキュー。……これを入れて、封をして……っと」

鳥娘「よーし、吸魂術、かーんせーい!」

特務兵1~22 パチパチ

鳥娘「どうも、どうも」テレ

鳥娘「んじゃー、撤収しますか」

特務兵1~22 コク

ヴン ヴン ヴン ヴン……


117 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:27:17 ID:3Eo.M0oc




宿屋

魔勇者「こんなもんかな」

蜘蛛女「おう、準備終わったか?」

魔勇者「うん、待たせてごめん」

スライム娘「ぜ、全然! わ、私たちも今終わった」

魔勇者「そっか、それなら良かった」

魔勇者「じゃあ、行こうか」

蜘蛛女「おう!」

スライム娘「うん!」

ガチャ バタン


118 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:30:21 ID:3Eo.M0oc




魔王城

側近「……ご報告が御座います、魔王様」

魔王「何だ?」

側近「先日、境界南部防衛大隊において、前線部隊が壊滅しました」

魔王「!」

側近「幸い、前線部隊の報によって、防衛大隊は増援を派遣。前線にはほとんど変化ありません」

魔王「……そうか」


119 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:34:59 ID:3Eo.M0oc

魔王「何があった。激戦区ではないとはいえ、慢心が過ぎるぞ」

側近「それが……」

魔王「?」

側近「慢心が原因であることは否めません。しかし、生き残った兵士たちからの証言によれば……」

魔王「何だ、珍しく歯切れが悪いな」

側近「申し訳ありません。しかし、私にもにわかに信じ難く」

魔王「信じ難い?」


120 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:40:56 ID:3Eo.M0oc

側近「はっ。彼らの証言によると、部隊を壊滅させたのは、わずか四人の人類だ、と」

魔王「何? 四人?」

側近「はっ」

側近「加えて、その内の一人は、勇者と名乗ったとか」


121 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 20:42:50 ID:3Eo.M0oc

魔王「! ……ついに、来たか」

魔王「境界南部に援軍を送れ。境界の全部隊にも警戒しろと伝えろ」

側近「はっ」

魔王「親衛隊に、城の防備を固めさせろ」

魔王「特務部隊に、その四人についての情報を集めるよう言え」

側近「委細承知」

スタスタスタ バタン

魔王「……」

魔王「間に合ってくれよ」ボソ

魔王(魔勇者……)ギュッ


123 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 21:34:49 ID:3Eo.M0oc






境界北部 

霧の森

蜘蛛女「本当に、ここにあるのか? 聞いたことないぞ」

魔勇者「あるはずだよ」

魔勇者「というか、無かったら、僕たちは、命がけで戦線を越えなきゃならなくなる」

蜘蛛女「三人じゃ、無謀にもほどがあるっつーの」

スライム娘「で、でも、転送装置なんて、本当にあるの?」

蜘蛛女「んなもんあったら、真っ先にぶっ壊すけどな、あたしなら」


124 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 22:04:24 ID:3Eo.M0oc

魔勇者「うん。この戦争が始まってすぐにほとんどが壊されたみたいだよ」

魔勇者「でも、ここのは、この森が、魔族、魔物でさえ迷ってしまうからって、破壊されずに残ってるみたいなんだ」

蜘蛛女「人類が来ても……ってことか」

魔勇者「そういうこと」

蜘蛛女「しかし、こっち側にその装置があるのは、わからなくもないが……」

蜘蛛女「なんで向こう側に、そんな装置があるんだ?」

魔勇者「交流があったんだよ、昔は」


125 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 22:11:23 ID:3Eo.M0oc

魔勇者「だから、魔王は、人類と和平を結べるって、確信してるんだ」

スライム娘「……」

蜘蛛女「……そんな時代もあったんだな」

魔勇者「ずっと、ずっと昔の話だけどね」

スライム娘「ま、またそうなれると良いね」

蜘蛛女「……そうだな」

魔勇者「そうするためにも、今は前に進もう」

スライム娘「……うん!」


126 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 22:16:06 ID:3Eo.M0oc


パキッ

魔勇者「!」チラ

蜘蛛女「……」コク

スライム娘「……?」

魔勇者「誰だ!」

スライム娘「!」

魔勇者「大人しく姿をあらわせ! そうすれば、命は助ける!」

魔勇者「出てきてもらえないのなら、この一帯全てを刈り取るしかなくなる!」


127 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 23:33:37 ID:3Eo.M0oc

シーン……

魔勇者「……仕方ないか」チャキ

?「待って! 今、出て行くから!」

ガサッ

?「そ、そのご、ごめんなさい。話し声が聞こえたものだから」

魔勇者「!」

魔勇者(子供? ……!)

魔勇者「君は誰だ? どこから来た?」スチャ

スライム娘「ゆ、勇者さん!?」


128 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 23:35:05 ID:3Eo.M0oc

蜘蛛女「お前、何やってんだ! 相手は子供だぞ!」

魔勇者「この森は、人智の及ばない迷いの森だよ?」

魔勇者「そんな場所に、どうして健康そのものの子供がいるのさ?」

魔勇者「……しかも、人類の」

蜘蛛女「!」

スライム娘「じ、人類……?」


129 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 23:36:05 ID:3Eo.M0oc

魔勇者「さ、答えてよ」

子供?「そ、そんなこと言われても……」

子供?「僕、生まれてからずっとここに住んでるし」

魔勇者「ずっと……?」

魔勇者(どういうこと……?)

蜘蛛女「おい、どうなってんだ。あたしたちは、まだ境界を越えてないはずだろ?」

魔勇者「そのはず、だけど……」


130 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 23:39:03 ID:3Eo.M0oc

子供?「って、そうじゃなかった」

子供?「僕……ううん、僕たちを助けて!」

魔勇者「助け……?」

魔勇者(この子……何を企んでいるんだ……?)

蜘蛛女「なあ」

魔勇者「何?」

蜘蛛女「とりあえず、武器をから手を離そうぜ? な?」

魔勇者「……」

蜘蛛女「何にせよ、話は聞いておくべきじゃないか?」

魔勇者「……わかった」


131 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/02(日) 23:41:43 ID:3Eo.M0oc



子供?「こっちだよ、こっち!」

蜘蛛女「ったく、こういう森は狭くて歩きにくいな」

魔勇者「自分が言ったんだから文句言わない」

蜘蛛女「わぁーってるよ」

スライム娘「あ、あの子、迷いがない」

魔勇者「……」

魔勇者(確かに……。何か目印でもあるのか?)

子供?「早く、早く!」

蜘蛛女「おい、こら、待てって!」


133 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:38:00 ID:6Vo4lH96



???

蜘蛛女「な、何だよ、これ……」

スライム娘「……」

魔勇者「……」


134 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:40:14 ID:6Vo4lH96


男1「ふーっ。 おーい、薪はこれくらいで良いのか?」

蜥蜴女「うん、それぐらいで大丈夫。いつもありがとう」

男1「良いってことよ。お互い様だろ」


135 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:43:02 ID:6Vo4lH96


老女「すまないね」

スケルトン「……」カラカラ

老女「いつも手伝ってもらっているのに、何のお礼も出来ない」

スケルトン「……」カラカラ

老女「そうかい、そうかい」


136 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:44:58 ID:6Vo4lH96


男2「また壊れちまったんだが……直してもらえるかね」

ドワーフ「またか……力を入れすぎるなといつも言っとろうに」

男2「す、すまん、すまん」

ドワーフ「まったく……貸せ!」

ドワーフ「ふむ……これなら、少し打ち直せば良いだろう」

男2「本当か!」

ドワーフ「二、三日したらまた来てくれ」

男2「わかった」


137 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:50:38 ID:6Vo4lH96


魔勇者「人類と魔物が……共存してる?」

スライム娘「ど。どういうこと……?」

子供?「ど、どうしたの? 何だか怖い顔してるよ?」

魔勇者「……ここは、いつからこうなったの?」

子供?「いつから……って、さっきも言ったじゃん」

子供?「生まれてからずっとだよ?」


138 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:52:20 ID:6Vo4lH96



魔勇者「……」

魔勇者(一体、何がどうなって……)

?「おや、あなた方は?」

スライム娘「!」

?「ここに辿り着いたということは、あなた方も平穏を求めておられるのですね?」

蜘蛛女「ま、まあ、その、そうだよ。なあ?」チラ

魔勇者「……あ、えっと、そうだよ」

スライム娘「……」コク


139 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 22:55:20 ID:6Vo4lH96

?「おぉ! それは、素晴らしい! どうぞくつろいで下さい」

?「少々おかしな場所に思えるかもしれませんが……」

?「ここの人々……魔のもの、人類は、皆、互いに助け合って生きています」

?「皆、心優しい者ばかりですから、ご安心を」


140 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 23:03:16 ID:6Vo4lH96

魔勇者「……ここのことを教えてもらってもいいかな」

?「ああ、これは失礼しました」

?「ここは、平穏を望む者たちの小さな楽園、霧の女王が見守る霧の集落でございます」

?「そして、私は、未熟ながらこの集落のまとめ役のようなものをしております。集落長と申します」

魔勇者「……僕は、魔勇者。彼女たちは、蜘蛛女とスライム娘。僕の仲間だよ」

集落長「これはこれは、よろしくお願いします」ペコリ

蜘蛛女「お、おう」

スライム娘「お姉ちゃん! ……よ、よろしくお願いします」ペコリ


141 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 23:06:30 ID:6Vo4lH96

「集落長! またお客だ! こっちへ来てくれないか」

集落長「おや、まあ、何と珍しい。すみません、ご案内できたら良かったのですが……」

魔勇者「気にしないで、自分たちで勝手に見て回るから」

集落長「そうですか。では……」

魔勇者「……」


142 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 23:08:35 ID:6Vo4lH96

子供?「……面白いよね、あの人」

スライム娘「お。面白い?」

子供?「あの人が言ってた〝霧の女王〟なんて、ホントはいないんだよ」

蜘蛛女「そりゃ、どういう……」

子供?「あの人、この森で迷子になって、疲れて動けなくなったとき、助けてもらったんだってさ」

子供?「綺麗な、綺麗な女の人に」

スライム娘「お、女の人……」

子供?「そう。皆、その話を知ってる。でも、その女の人を見たことはないんだ」


143 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/03(月) 23:12:19 ID:6Vo4lH96

子供?「あの人が言うには、その人に憧れて、一目会いたくて、お礼と恩返しがしたくて、ここに住むことにしたんだって」

子供?「そんな人いやしないのに……馬鹿、だよね」ウツムキ

魔勇者「……?」

魔勇者(この子……)

『止めて下さい! あなた方のような人々はこの場所に相応しく無い!』

蜘蛛女「! ……この声は、集落長!?」

スライム娘「な、何かあったみたい」


146 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:33:42 ID:jiNLKU0Y


人狼1「おらぁっ!」バキッ

集落長「ぐあっ」

人狼2「はははっ! 人類! この劣等種族が!」

人狼3「放っておけば、害虫のように増えやがって」

人狼3「こりゃあ、駆除、しねぇとなぁ?」


147 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:36:19 ID:jiNLKU0Y

集落長「や、止めて下さい……」

人狼1「あぁ? まだ息があるのか、こいつ」

集落長「わ、私たちは、ただ静かに暮らしたいだけなんです」

集落長「どうか、どうか、放っておいて下さ……」

人狼1「うるせぇ、死ね」ブン

キン

魔勇者「まあ、待ちなよ」


148 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:39:25 ID:jiNLKU0Y

人狼1「あ?」

ブシュ

人狼1「あぁぁぁぁぁ! 腕がぁぁぁぁぁぁ!」

魔勇者「待てって、言ったのに」

人狼1「て、てめぇ……何しやがった!」

魔勇者「何って、その腕見れば分かるでしょ」


149 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:41:43 ID:jiNLKU0Y

人狼2「馬鹿を言え! その距離からその剣が届く訳が無い!」

魔勇者「……まぁ、そうかもね」

人狼3「!」

人狼3(あの野郎、まったく血の匂いがしねぇ……)

人狼3(だってのに、何でこんなに気圧されるんだ……!)

人狼2「ふざけおって! 魔族だからとて、容赦はせん!」ダッ

人狼3「! 待て!」


150 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:44:40 ID:jiNLKU0Y

人狼2「うぉらっ!」ブン

ガキン

人狼2「なっ!?」

魔勇者「……フッ!」ブン

メキメキっ

人狼2「かはっ……」アトズサリ

人狼2「お、お前……それは、一体……」フラッ

ドサッ


151 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:47:15 ID:jiNLKU0Y

魔勇者「……」

人狼3「くっ……」チラ

人狼1「ぐぅっ」

人狼2「……ひゅー……ひゅー……」

人狼3(チッ……馬鹿が……っ)

人狼3「おい、ずらかるぞ!」グイ

人狼2「ぐあつ」

人狼1「くっそ……」ダッ

人狼3「……てめぇら、ぜってー殺す」ダッ


152 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:51:25 ID:jiNLKU0Y




魔勇者「……ふー、危なかった」

魔勇者「集落長、大丈夫ですか?」

集落長「げほっ、げほっ……え、えぇ、助かりました」

魔勇者「ごめんなさい。ここに争いを持ち込んでしまった」

集落長「い、いえ、あなた方に、非はありませんよ……うっ、ごほっ」

魔勇者「!」

魔勇者「誰か! 集落長に手当てを!」

蜥蜴女「は、はいっ!」

男1「おう、担架持ってくる!」


153 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:54:00 ID:jiNLKU0Y



子供?「集落長、大丈夫かな……」

魔勇者「しばらく動けないだろうけど、命に別状はないはずだよ」

子供?「そっか……良かった」

魔勇者「じゃあ、僕たちはもう行くよ」

子供?「え? な、何で?」


154 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:56:16 ID:jiNLKU0Y

魔勇者「ここに、部外者である僕たちが、争いを持ち込んだからだよ」

子供?「それは違うの!!」

魔勇者「うわっ!?」

子供?「あ、ご、ごめんなさい」

魔勇者「だ、大丈夫。でも、一体どうしたの?」

子供?「い、いや、でも、さっきのことは、あなたたちのせいじゃないのは本当だから……」

子供?「……」


155 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:57:39 ID:jiNLKU0Y

魔勇者「?」

子供?「……僕、あいつらの居場所、知ってるんだ」

魔勇者「!」

魔勇者「じゃあ、助けてほしいって言ったのは……」

子供?「……」コク


156 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/03/04(火) 22:58:51 ID:jiNLKU0Y

子供?「……あなたたちにとって、僕たち人類は、憎むべき対象なのかもしれない」

子供?「僕たちなんて、殺されてしまえばいいと思っているかもしれない」

子供?「身勝手なのは、わかってる。 あなたたちに僕たちを助ける義理なんてないことも」

子供?「でも、僕は、あそこで平和を話してたあなたたちに、お願いしたい」

子供?「あいつらを、殺して……」


転載元

魔王「頼んだぞ、勇者!」

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1393422626






はたらく魔王さま! (5) (電撃コミックス)
柊暁生
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

関連記事
2014/03/25 00:30 | CM(0) | 創作・魔王勇者系 SS
    コメント一覧
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

インバリアントへようこそ
インバリアント -SSまとめサイト-
管理人:こばりあんと



  • About
  • 記事一覧
  • Twitter
  • まとめ依頼
  • ランダム SS
カテゴリ
アーカイブス

2018年 02月 (25)
2018年 01月 (7)
2017年 12月 (3)
2017年 11月 (22)
2017年 10月 (11)
2017年 09月 (2)
2017年 08月 (161)
2017年 07月 (180)
2017年 06月 (139)
2017年 05月 (311)
2017年 04月 (157)
2016年 02月 (1)
2015年 12月 (1)
2015年 05月 (261)
2015年 04月 (295)
2015年 03月 (305)
2015年 02月 (259)
2015年 01月 (283)
2014年 12月 (275)
2014年 11月 (287)
2014年 10月 (285)
2014年 09月 (262)
2014年 08月 (264)
2014年 07月 (262)
2014年 06月 (223)
2014年 05月 (218)
2014年 04月 (209)
2014年 03月 (185)
2014年 02月 (172)
2014年 01月 (191)
2013年 12月 (184)
2013年 11月 (183)
2013年 10月 (180)
2013年 09月 (153)
2013年 08月 (141)
2013年 07月 (154)
2013年 06月 (146)
2013年 05月 (152)
2013年 04月 (148)
2013年 03月 (130)
2013年 02月 (111)
2013年 01月 (123)
2012年 12月 (127)
2012年 11月 (120)
2012年 10月 (127)
2012年 09月 (117)
2012年 08月 (120)
2012年 07月 (122)
2012年 06月 (116)
2012年 05月 (122)
2012年 04月 (121)
2012年 03月 (123)
2012年 02月 (116)
2012年 01月 (122)
2011年 12月 (118)
2011年 11月 (113)
2011年 10月 (119)
2011年 09月 (110)
2011年 08月 (118)
2011年 07月 (118)
2011年 06月 (118)
2011年 05月 (123)
2011年 04月 (124)
2011年 03月 (117)
2011年 02月 (95)
2011年 01月 (109)
2010年 12月 (119)
2010年 11月 (110)
2010年 10月 (120)
2010年 09月 (74)
2010年 08月 (87)
2010年 07月 (113)
2010年 06月 (72)
2010年 05月 (67)
2010年 04月 (3)

SS検索
Ads
最新記事
Ads2
人気SSランキング