1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:17:49.94 ID:OudKr2y1P
日直「皆の者、立ち上がれ!」
ざっ
日直「頭を垂れよ!」
ざっ
日直「己が『座』へと還れ!」
ざっ
日直「皆の者、よろしい」
日直「では、『断罪』を始めようではないか……くっくっく」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:20:15.27 ID:OudKr2y1P
A君「……」すっ
日直「Aよ、発言を許す」
A君「はっ」
A君「本日、私はたかし殿より暴言による辱めを受けました……」
日直「たかしよ、先ほどこの者が申したことは真実か?」
たかし「え……ちが……」
B君「……」すっ
日直「Bよ、なんだ?」
B君「はっ」
B君「僭越ながら、私めもその現場に居合わしておりました」
日直「真か!?」
日直「たかしよ、これで言い逃れはできまい」
たかし「あの……その……」
Cちゃん「たかしよ、己が罪深き存在と認めよ」
D君「然るべき断罪を」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:20:38.52 ID:fshYMq7XO
しゅくん!しゅくん!
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:22:03.20 ID:OudKr2y1P
ざわ………ざわざわ……
日直「皆の者静粛に!!」
日直「まずはたかしが犯した罪の深さを確かめようではないか」
日直「断罪はその後でも遅くはあるまい」
日直「Aよ、貴殿はたかしよりいかような辱めを受けたのか」
A君「はっ、たかし殿は私に対して『チビ』だと……」
Cちゃん「議長よ、既に断罪は決定的なものとなった」
Cちゃん「本人には如何し難い身体的特徴をあげつらい貶めるなど」
Cちゃん「人間として、いや理性ある一個の生命としてあるまじき行為である」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:23:12.07 ID:OudKr2y1P
たかし「だ、だってA君が俺のことデブだって!」
A君「場を弁えよたかし殿、いまはC殿の発言中だぞ!!」
日直「……Aよ、先ほどのたかしの証言は真か」
A君「そ、それは……」チラッ
B君「……」すっ
日直「Bよ、発言を許す」
B君「はっ」
B君「さきほどのたかし殿の証言は偽証であります」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:25:29.69 ID:OudKr2y1P
たかし「う、嘘だ!!」
D君「見苦しいぞたかし殿」
Cちゃん「虚言を弄し神聖なる裁きの庭を汚した罪……」
Cちゃん「断罪がどれほど深くなろうとも言い逃れはできまい」
たかし「よしお君信じてよ!」
たかし「先に俺のことデブっていったのはA君なんだよ!!」
日直「私は議長として、公平な審判機関たる存在としてこの場に居る」
日直「皆の意見を元に合理的な回答を出力するだけの私に、今は個人の意思など無い」
たかし「そんな……」
E君「……」すっ
ABCD「「「「ッ!?」」」」
A君(あのE殿が挙手を……)
Cちゃん(いったい何が始まるというのだ……!?)
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:27:27.86 ID:OudKr2y1P
日直「Eよ、発言を許可しよう」
E君「……これは関係のない話かも知れない、と先に前置きしておこう」
A君「……」ゴクリ
E君「今日の昼、A殿の給食のプリンがなくなっていた」
A君「ッ!?」
E君「代わりにB殿のプリンの数は2個に増えていた」
B君「くっ!」
E君「まあ、ただそれだけの話だよ」
日直「……AB両人、先ほどの証言は真か?」
A君(ここで下手な言い訳をしても逃げ切ることはできない……)
A君「はっ、真であります」
A君「しかし、それがどうしたと言うのでしょうか?」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:29:17.53 ID:OudKr2y1P
D君「A殿がB殿に給食のプリンを渡した……」
D君「そういうことで、いいのだろうね?」
B君「ああ、その通りだとも」
D君「問題は、なぜプリンという貴重品をA殿は手放したのか……そこに尽きる」
D君「そう、価値ある物をB殿に贈ることで、A殿は相当の利益を得たのではないかとね」
A君「Dッ!!貴様ッ!!」
D君「勘違いしないでもらおう、私は咎人が正しく刑に処されることを望んでいるのだ」
D君「先ほどはたかし殿が、そして今では貴君らがその槍玉に上がっているというだけのこと」
Cちゃん「理解せよ、既に断罪の対象の矛先は貴様らに向いているのだよ」
E君「……」ニヤリ
A君「クソ……貴様ら……ッ!!」
A君「議長!!」
A君「私めにもう一度、この濡れ衣を晴らすための証言の機会をッ!!」
日直「よろしい、発言を認めよう」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:31:58.25 ID:OudKr2y1P
A君「確かに私がB殿にプリンを譲渡した、それは確固たる事実として認めようではないか」
A君「しかし、貴君らはその理由についてなにか誤解を持っているようだ」
D君「誤解?」
D君「状況から見て、そのプリンは賄賂そのものではないか」
D君「B殿に自分に有利な証言をするように依頼する対価、そうとしか……」
A君「プリンにはそれほどの価値があるのか?」
D君「当たり前だろう、プリンなのだぞ?」
D君「月に1度出るか出ないか、その貴重品を投げ捨てておいて今更……」
A君「私はプリンが嫌いだ」
D君「ッ!?」
A君「理解できていないようだからもう一度言ってやろう」
A君「諸君、私はプリンが大嫌いだッ!!!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:34:04.26 ID:OudKr2y1P
ざわ………ざわざわ……
日直「皆の者静粛に!!」
D君「う、嘘だ……」
D君「プリンが嫌いな小学生などいるハズが」
A君「どうしてそう言い切れる?」
A君「貴公は私についてどれほどのことを知っているというのだ!」
D君「くっ!!」
A君「はっはっは、詰めが甘かったようだなDよ!!」
A君「私は嫌いなプリンを、たまたま目についたB殿に譲渡した」
A君「あの行為にはそれだけの理由しかないのだよ」
D君(プリンに価値を求めぬ以上、A殿がプリンを賄賂としたという推理は論破される)
D君(何か、A殿の証言を打ち崩す突破口は無いのか!?)
たかし「……ねえ、A君」
A君「なんだ、罪に塗れた男たかしよ」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:35:02.50 ID:OudKr2y1P
たかし「どうしてA君はプリンが嫌いなの?」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:37:10.12 ID:OudKr2y1P
A君「そ、それは……」
D君「そうだ、嫌いならそれ相応の理由があるハズだ」
D君「答えてもらうぞA殿!」
A君(ちいっ、あのデブこの期に及んで切り返してきやがったか)
A君(だが俺の立証は完璧だ、このまま押し通せば疑惑は晴れる!)
A君「私はあの牛乳の風味が嫌いなのだよ」
A君「私はそもそも牛乳が好きではないのでね」
たかし「それは違うよ!」
A君「なっ!?」
たかし「だって、A君はいつも余った牛乳の取り合いのじゃんけんに参加してるじゃないか!」
A君「そ、それは……」
たかし「俺もいつもじゃんけんしてるから覚えてるよ!」
A君(しまった、食い意地の張ったたかしの食に対する記憶だけは正確!)
A君(この場の誰も、偽証だとも思わないハズだっ!!)
13 :
忍法帖【Lv=28,xxxPT】(1+0:15) :2014/02/05(水) 18:37:47.93 ID:Gvz7K/hW0
おもしろい
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:39:05.75 ID:OudKr2y1P
A君「……たしかに牛乳単体は飲める」
A君「だがプリンとして加工された時のあの甘さ、あれはいただけない」
A君「甘ったるい牛乳など飲めたものではないからな」
A君「そんな風味のデザートなど食するに値しない、それだけの話だよ」
たかし「異議ありッ!!」
たかし「先週の火曜日、お米のムースの争奪戦にA君は参加していました!!」
たかし「クリーミーさと甘さが苦手なら、どうしてお米のムースに手をだしたんだ!」
A君「米と牛乳は違う、別物だ!」
たかし「じゃあ一ヶ月前の水曜日のババロアは?」
A君「な、何を……」
たかし「ババロアの材料はゼラチン、砂糖、卵、生クリーム」
たかし「プリンの材料と基本的には同じなんだよ!」
たかし「ババロアの争奪戦には参加する癖に、プリンは嫌いなの?」
たかし「ババロアとプリンの間に、いったいどれだけの差があるっていうのさ!!」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:41:02.33 ID:OudKr2y1P
A君「ぐ、ぐぐっ」
A君「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」バタリッ
E君「たかしの給食に対する拘り、それを甘く見たのが貴様の敗因だったな」
たかし「E君ありがとう、君のおかげで助かったよ」
E君「気にするな、俺はああいう奸計を巡らす輩が嫌いなだけだからな」
E君「恩着せがましいのも嫌いだから、俺に対しては何も言わなくていい」
たかし「E君……」
日直「判決は自ずと出たようだな」
日直「Aは暴言の断罪としてたかしに皆の前で謝罪すること」
日直「またAB両人は神聖なる法廷を汚した咎により、3日間の教室掃除当番を命じる」
日直「加えてたかしよ、最初にAが申した暴言の件だが」
たかし「はい……ついカッとなって言い返してしまいました」
日直「よろしい、ではその断罪としてたかしも皆の前でAに謝罪すること」
日直「判決は以上だ」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:42:42.10 ID:OudKr2y1P
たかし「A君、チビっていってごめんなさい!」
A君「たかし君……デブっていってごめんなさい」
B君「くっ、どうして私まで巻き込まれて掃除当番なのだ」
A君「貴様はプリン食っただろう、私などプリンの食わせ損だぞ……」
日直「では無事この件は解決したということで」
日直「他に議題が無ければ本日の『落日の円卓会議』はこれにて閉廷するが……」
Cちゃん「……」さっ
日直「Cよ、発言を許す」
Cちゃん「はっ」
Cちゃん「卒業式に向けての歌の練習の成果が芳しくありません」
Cちゃん「その件について……」
Cちゃん「クラスの男子全員を、ここに告発しますッ!!」
ABDEたかし「「「「「「ッ!?」」」」」」
おわり
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:46:53.43 ID:EA49sEzT0
( ;∀;)イイハナシダナー
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:49:49.13 ID:wZfKJFdI0
もっと書いてもいいのよ?
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/05(水) 18:51:58.67 ID:WY/bn8PDO
中々面白かったぞ
転載元
日直「さあ、『落日の円卓会議』の始まりだ……!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1391591869/
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