4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 00:50:34.55 ID:n7mOaUqZO
打ち止め「サー!イエッサー!ってミサカはミサカは斜め40度で敬礼!」ビッ
一方通行「……はァ、だりィ」
黄泉川「こぉらぁあ!ナンバー3何やってるじゃん!」ブン
バチコーン!
一方通行「い、いでェェッ!?なにしやがる!」
黄泉川「返事はどうした返事は。気合いが全く感じられないじゃん」
打ち止め「そうだよ、何事もまずは形からだよ、ってミサカはミサカは教えて上げる」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 00:50:58.61 ID:8R91cPscO
スネーク「………」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:00:30.13 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「その通りじゃん、ナンバー2。それに比べてコイツときたら…」
一方通行「うっせェよ。つーか何だよナンバーって」
打ち止め「私達のコードネームに決まってるじゃない、ってミサカはミサカはミッションに置いての必要性を感じる」
一方通行「知るかよンなの…。朝っぱらから何するかと思えばクソガキのごっこ遊びですかァ」
黄泉川「勘違いして貰っては困るじゃん。私達はお前の為にやっているといって過言じゃないんだぞ」
一方通行「俺の為だァ?どういう事だ」
打ち止め「あなたは能力が無きゃただのモヤシっ子でしょ、ってミサカはミサカは肌をプニプニしてみる」サッ
一方通行「止めろ、うッとォしい」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:12:33.99 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「そこでだ、能力が使えなくなった時を想定し。CQCの基本を覚えてもらうじゃん」
打ち止め「もらうじゃん!ってミサカはミサカはじゃんじゃん!」
一方通行「しーきゅーしィ?なンだそりゃ」
黄泉川「ナイフや打撃武器、紐などありあわせの道具を利用した技術に重点を置いた近接格闘術じゃん」
一方通行「近接格闘ねェ…」
黄泉川「ん?なんか不満そうじゃん」
一方通行「ンな面倒なもン覚えるより、そのまま銃を撃った方が速ェだろ」
打ち止め「これだから素人は困るんだよ、ってミサカはミサカはドヤ顔で勝ち誇ってみる」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:36:55.97 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「狭い路地裏や、リロードがジャムった時など銃は意外と使用が制限されるじゃん」
一方通行「…まァ、そう言われればな」
打ち止め「そんな時に役に立つのがこのCQCなんだよ、ってミサカはミサカはお値打ち価格」
黄泉川「百聞は一見にしかずじゃん。とりあえず掛かって来るじゃん」
一方通行「能力が無くても俺は一応男なンだぜ?」
黄泉川「そんな物CQCの前には関係ないじゃん。四の五の言わずさっさと掛かってこい」
一方通行「ったくしゃァねェな、怪我しても知らねェぞ」ダッ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:46:58.76 ID:n7mOaUqZO
一方通行「だァァァアァッ!」ガッ
黄泉川「突出した手首を掴み、この勢いを利用するじゃん!」ガッシ
一方通行「なッ!?しまった!」
打ち止め「決まったよ!このまま地面に叩き付けて、ミサカはミサカはクルクル星が回る様をほくそ笑む!」
一方通行「……ッて。あンどうしたンだ?動き止まってねェか」グイッ
黄泉川「お、お前はどこを掴んでるじゃん……」ピクピク
一方通行「あン?…どこって。…そういや何だこの柔らけェのは」モニュモニュ
黄泉川「どぅりゃぁぁぁぁぁあっじゃぁぁん!!」ブォン!
ベッチコーンッ!
一方通行「とらぶるッッ!」ドサッ
黄泉川「ゆ、油断も隙も無いじゃん!」
打ち止め「あれ。何で黄泉川は顔が赤いの?ってミサカはミサカは質問してみる」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:52:08.62 ID:qiQpEOeuP
俺の支援に常識は通用しねえ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:01:38.68 ID:n7mOaUqZO
一方通行「いッてェな!少しは手加減しろよ!」
黄泉川「う、うるさいじゃん…!誰が手加減すると言った」
一方通行「ンだよそりゃァ。怪我したらどうしてくれンだ」
黄泉川「つ、次はちゃんと手加減するから、ブツブツ文句言わないじゃん」
一方通行「ンだよ?まだやンのか」
打ち止め「当たり前だよ、ってミサカはミサカはジャンプして応援してみる」ピョンピョン
一方通行「ッたく。そンじゃ行くぜ!」ダッ
黄泉川「望む所じゃん!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:11:07.38 ID:n7mOaUqZO
一方通行「さっきの反省を踏まえて、次ァ姿勢を落として!」グイッ
黄泉川「甘いじゃん!そんなもの全てCQCのパターンに入ってるじゃん!」バッ
一方通行「そうはいかねェ!ここで再び体勢を変えて」グッ
モニュン
黄泉川「ひぁんっ!」ピクッ
一方通行「あ…、なンだ。また動きが止まってンぞ?」モニュモニュ
黄泉川「だから…。さっきからお前は…」ガシッ
一方通行「あン…?」
黄泉川「どこを掴んでるじゃぁぁぁぁぁンッ!!」メキャァ!
ドベッシャァァアン!!
一方通行「どっ…らぶるっ!」ドッシャーン!
黄泉川「ハ、…ハァ…。ハァ……」
打ち止め「空中で関節を決めて地面へ投げっ放し…、ミサカはミサカはCQCの恐ろしさを再確認したかも…」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:14:00.79 ID:84ftTE380
キャミィクイックコンビネーションだったわ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:04:14.95 ID:qiQpEOeuP
もっとがんばるじゃん!
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 07:05:07.72 ID:Q7AqLg870
ナンバー1は番外個体か
打ち止めにはCQCインストールされてそうだがな
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 19:22:20.04 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「貴様はさっきから、なんでそこばっかり掴むじゃん!?」
打ち止め「確かに出っ張てるから仕方ないかも、ってミサカはミサカは一応擁護してあげてもいいよ」
黄泉川「そ、それはだな…!というより聞いてるのか、ナンバー3」クルッ
一方通行「だから……手加減し……」ピクピク
打ち止め「ありゃりゃ、これは完全に気絶してるみたい、ってミサカはミサカは棒で突っ突く」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 19:39:32.78 ID:n7mOaUqZO
御坂「…という訳で、このビッグウェーブに乗るっきゃ無いって訳よ!」
上条「なぁ御坂?」
御坂「分かってくれたの!?」グイッ
上条「どう考えても、駅前スーパーの特売まで手が回らねぇ…。ここは二手に分かれるぞ」
御坂「なんの話をしてるのよ!私の話聞いてたの」バリバリ…
上条「おい、電撃は止めろって!何の話だよ」
御坂「だからこれよ、このチラシ。黙って刮目しなさい!」ビッ
上条「ホビーショップ…?これがどうしたんだよ」
御坂「ほら、右隅のココよ。ココ」サッ
上条「学園都市生存死闘大会…?なんだよコレ」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 19:48:06.29 ID:n7mOaUqZO
御坂「その名の通り、学園都市全体を使ったサバイバルゲームって訳よ!」
上条「学園都市全体?えらく大掛かりだな…」
御坂「支給されるエアガンは新商品ばっかりだからね、デモンストレーションを兼ねてるんでしょ」
上条「…それと俺の何が関係あるんだよ」
御坂「おお有りよ。参加者は三人一組。この意味が分かるかしら?」
上条「さぁ?さっぱりですけど…」
御坂「つ、つまりね…。わ、私とアンタが組めば向かう所敵無しだと思わない…?」
上条「…げ、ヤベェ。タイムセール始まっちまうぜ。悪いビリビリその話はまた後でな!」ダッ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 19:54:15.02 ID:n7mOaUqZO
御坂「か、勘違いしないでよ。別にアンタと組みたいからとか、そんなんじゃ無いんだから!」クルッ
黒子「……お姉様。何を一人でブツブツ言ってらしますの?」
御坂「……………あれ?」
黒子「何ですの、そのチラシは?どれどれ」ヒョイ
御坂「あ・ん・の・野・郎ぅぅぅう……」ジジジジジ!
黒子「ち゛ょ!?おねざば!やべでぐだざいまし!?で、電撃がもれてましよっ!」ビビビッ!
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:06:17.12 ID:n7mOaUqZO
一方通行「……ん。痛たたたァ!いつの間に帰ってきたんだァ」ムクリ
一方通行「ったく黄泉川の野郎。思いっきり地面に叩き付けやがって…」
一方通行「けど…、コイツがCQCか。確かにスゲェ威力だ。コイツさえマスター出来りゃ能力無しで三下を地に平伏す事も…」
シャァァァァァァー…
一方通行「クソガキのヤツァ風呂入ってンのかよ…。汗だくだし俺も入るか」スタスタ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:17:50.40 ID:n7mOaUqZO
打ち止め「だからなんで、さっきから黄泉川の心拍数が多いの?ってミサカはミサカは質疑応答」
黄泉川「そ、それはアレじゃん!私は怒ってるじゃん…」
打ち止め「怒ってるってなんでかな?ってミサカはミサカはぷりてぃに首を傾げてみる」
黄泉川「あ、あんなに一方通行が情けないとは思わなかったじゃん!」
打ち止め「それで顔を真っ赤にして怒ってるんだね、ってミサカはミサカはガッテンボタン」
黄泉川「ほ、ほら!分かったらさっさと頭を洗うじゃん」グイッ
打ち止め「待って待って!まだシャンプーハットがまだだよ、ってミサカはミサカはノーサンキュー!」ジタバタ
ガラガラ
一方通行「ンだよ、ンな事言ってるからテメェはクソガキなンだよ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:18:55.99 ID:qiQpEOeuP
さすが一通さんだ
なんともないぜ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:34:25.80 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「……ふぇ、……ふ…ふぇ」
一方通行「おう、黄泉川ァ。丁度良い、俺ァやるぜ」
打ち止め「やるって何を?、ってミサカはミサカは湯気で前が良く見えない中聞いてみる」
一方通行「CQCに決まってンだろ。そして上条を直接俺の手で」
ガッシ
黄泉川「お前はぁ……」クルッ
一方通行「あン…?なンだよこのタオルは」
黄泉川「どこのォ!」グリン
ギュルルルッ!
一方通行「こっ…みっくすっで!?」
黄泉川「ツンツン頭じゃぁぁぁあぁンっ!!」ブォン
ビッタァァァァン!!
一方通行「しゅぅ!セイっ!!」ガッシャーン!
打ち止め「こんな所でも鍛練を忘れないんだね、ってミサカはミサカはタオルを縄の様に使い、地面に叩き落とすも、頭は打たないように配慮する様に、CQCに対し神々しさすら感じるの!」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:40:29.53 ID:khtt7Y2eO
いいじゃん
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 20:51:50.18 ID:n7mOaUqZO
=上条宅室内=
ドゥン! ドゥン!
姫神「…不味いわね。こちらの位置を完全に把握されている」カチャ
インデックス「秋沙、今だけでいい。私を軍曹として認めるんだよ…。ここで生き残る為にも!」カチャ
姫神「分かったわ。おじさま」
ダッダッダッ!
御坂妹「それで隠れたつもりですか?、とミサカは冷めた瞳で見つめます」サッ
姫神「くっ!…ここは貴方だけでも逃げて」サッ
ドゥン!ドゥン!
インデックス「はぅぅ!えいちきゅーえいちきゅー!至急応援を頼むんだよ」
『…にゃ?にゃぁにゃん?にゃん…』
インデックス「ちょっとスフィンクス!?にゅうにゃあだけじゃ分からないんだよ!!」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:01:20.16 ID:n7mOaUqZO
御坂妹「どうやらここでアナタ達はgameoverですね、とミサカは額に照準を合わせます」サッ
インデックス「ま、まだ何だよ!この小麦粉で作った特製スモークグレードを!」ビュン!
バッシャーーン!
御坂妹「くっ!窮鼠猫を噛むですか、とミサカは己の爪の甘さを後悔します」バッ
インデックス「もらったんだよぉぉぉおっ!」カチャ
ドゥン!
御坂妹「まだ。まだ終わらんよ、とミサカは足元のテーブルを蹴り上げて銃弾を防ぎます」ダンッ!
チュインッ!
インデックス「し、しまった!?」ヒュン
ガチャリ…
上条「はっくしょ…ッ痛てぇぇえぇぇ!?」バッチーン!
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:10:00.48 ID:n7mOaUqZO
コロコロ…
上条「な、なんだこりゃ?…弾か」ヒョイ
インデックス「あ、あらー…当麻。お帰りなさいなんだよ。クシャミだなんて誰かが噂してたのかもー?」コソコソ
上条「話を逸らそうとするんじゃねーよ。家に入るなり、顔面を撃たれるとはどういう了見ですかぁ、インデックスさん…」
御坂妹「心配は無用です、とミサカはBB弾と言って樹脂製プラスチックで出来た安全な物だと教えてあげます」
上条「安全だろうが何だろうが、額に当たれば痛いんだよ!つかなんでお前がウチにいるんだ、御坂妹!」ビッ
インデックス「違うよ当麻。彼女はウチのチームのナンバー3なんだよ!」
上条「ナンバー…スリー?」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:18:50.36 ID:Jrf0wCkCO
ふむ
支援
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:20:15.80 ID:n7mOaUqZO
御坂妹「今週末に行われる、学園都市生存死闘大会でのコードネームです、とミサカは貴方に懇切丁寧に内容を説明…」
上条「あーぁ、ストップ。それはお前のお姉様に懇切丁寧に聞いたから」
インデックス「そして、私がチームリーダーのナンバー1なんだよ、って私は胸を張ってみる!」
上条「胸を張ってみるのは、この壊滅になった室内を掃除してからにしてくれないかぁ…!リーダーさんよ」グイグイ
インデックス「はふぅ…!わ、わかっはかは、はなひてほひいんだほ!」ジタバタ
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:31:57.99 ID:n7mOaUqZO
御坂妹「それで、後片付けを開始しましょうか、とミサカはサバゲーにおけるマナーを実行に移します」サッ
インデックス「分かったんだよ!さ、秋沙も早く」
上条「………秋沙?姫神がどうしたんだよ」
姫神「…………え?」
上条「…………あ」
姫神「……ずっとそこに居た。…つもり」
上条「あーぁ…うん。し、知ってたよ!上条さん最初から知ってたぜ!!」ビッ
姫神「…いい。気を遣われると……。余計に悲しくなるから」フラフラ
上条「ちょ、姫神さーん…?」
御坂妹「はいはい、掃除の邪魔ですよー、とミサカはハタキを顔に擦り付けます」パタパタ
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 21:55:22.79 ID:n7mOaUqZO
=ゲーセン=
御坂「…という訳で。このビッグウェーブに……、乗るっきゃ無いって…訳よ」ガチャガチャ
一方通行「なンだよ、その空気の抜けた風船みてェな喋り方はァ?全然ビッグさが伝わってこねェンですけど」ガチャガチャ
御坂「う、うるさいわね!?もうアンタでもいいわよ、一緒に出場してよ」ガチャガチャ
一方通行「ハッ…冗談?俺はンな暇じゃねェンだよ」ガチャ
御坂「こんなトコでストフォーやってるアンタが言っても、説得力の欠片も無いんだけどー」ガチャリ
一方通行「うっせェよ。ほっとけ」ガチャ
ガヤガヤ
佐天「ほらほら初春!次はドン、ドン、カッだよ!」
初春「ちょ、ちょっと待って下さいよぉ!えっと…、ドンで…」オロオロ
黒子「あら、この程度でギブアップですの?ならば大人しく、わたくしの太鼓さばきを御覧なさいなっ!」ドンドンドコッ!
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 22:08:03.08 ID:n7mOaUqZO
御坂「それじゃ、この勝負で私が勝ったら参加しなさいよ!」
一方通行「しつけェな…、分かったよ。ンじゃさっさと片付けっか」カチャ
御坂「ふん!そんな余裕、私のキャミィで直ぐにぶち壊してやるわよ!」ガチャチャ!
一方通行「行くぜェ…。懐に潜り込んで昇龍ゥ」ガチャ
御坂「ふふふっ!思う壺ね。ここでキャミィクイックコンビネーション!通称CQCを食らいなさい!」ガチャチャ!
一方通行「……CQCだァ?」ピクッ
RYU・WIN
御坂「って!あぁぁぁぁあぁ!?昇龍拳って言ったじゃない!なんで真空波動拳うってるのよ!」
一方通行「ンなミエミエの当て身、食らうわきゃねェだろ」ガタッ
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 22:19:10.74 ID:n7mOaUqZO
御坂「あ、コラ!勝ち逃げする気!?」
一方通行「言ったろゥが、俺ァ暇じゃねェンだよ。……ったくどいつもコイツもCQCだァ」スタスタ
ガヤガヤ
佐天「うわ、凄いね白井さん。これまで全部パーフェクトだよ!」
黒子「あ、それ♪ほいさ♪黒子に掛かればお茶の子さいさいですのよー」ドン、シュン!ドドン、シュン!
初春「出ましたね、白井さんのテレポートバチ叩き!?無駄の無い動きでフチを叩いてますよっ!」
黒子「おーっほっほ!わたくしを常盤台の和田ドンラーと知っての狼藉で…」
グイッ!
佐天「あ、あれ……?」
初春「あーぁ!折角パーフェクトだったのにぃ…」
黒子「ちょっと何しますのよお姉様ぁ!?離して下さいましよ!」ジタバタ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 22:27:33.29 ID:n7mOaUqZO
御坂「さぁ、行くわよ黒子!」ズルズル
黒子「ど、どこに行きますのよ、まだ門限には時間がありますのよ?」
御坂「今からアンタにサバゲーの基本をみっちり叩き込むのよ」ギロリ
黒子「さ、鯖解ー…?なんの話ですの…」
御坂「なんとしても出場して、乱戦のどさくさに紛れてアイツとトラブってやるんだから!」グイッ!
黒子「わ、訳が分かりませんのよ!いいから取り敢えず離して下さいましよー」
ズルズル
佐天「どうしたんだろうね御坂さん。随分血相変えてたけど…?」
初春「うーん、何でしょうね?……よっ、はっ!」ドドカッ!
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 22:52:27.25 ID:n7mOaUqZO
=屋台=
小萌「おじさんユッケをお願いしますよー。…いゃあ、今日のカラオケは盛り上がりましたねぇ」グビグビ
鉄装「ホントですね!まさか銀河の妖精の称号が取れるとは思わなかったですよー」グビグビ
黄泉川「………はぁ」
鉄装「あっれぇ?今日は珍しく進んで無いじゃないですか。どうしたんですか」
黄泉川「別に…、何も無いじゃん」
鉄装「はっはーん?分かりましたよ!私分かっちゃいましたよ!」ビッ!
黄泉川「…な、何がじゃん?」ピクッ
鉄装「カラオケ置いてかれたからヘコんでるんでしょ?大丈夫ですよー、また今度私の歌声聞かせてあげますからぁ!」
黄泉川「…金柑の妖精だがなんだか知らないが。お前は少し悪酔いしすぎじゃん!」ブンッ
鉄装「はふぅ!」べシン
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:02:55.03 ID:n7mOaUqZO
鉄装「痛たたたぁ…。それじゃ、何か他に原因があるんですか?」サスサス
黄泉川「べ、別にお前には関係無いじゃん…!」
小萌「おやおや?そんな事は無いのですよ」
鉄装「ん?どういう事ですか」
小萌「こうやって同じ盃を飲み交わす仲じゃないですか。隠し事は無粋だと思いますよー」
黄泉川「そ、それは……」
鉄装「そうですよ!水臭いじゃないですか。何だって相談して下さいよ」
黄泉川「わ、笑わないと約束するじゃん…?」
鉄装「勿論ですよ、アンチスキルの名に掛けてもいいですよ!」
小萌「さぁ、さぁ早く言うのですよー」
黄泉川「わ、私が。あれだ…、その。こ、恋をしたと言ったらどうするじゃん」モジモジ
鉄装・小萌「…………………」ピクッ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:16:19.91 ID:n7mOaUqZO
黄泉川「そ、それが、しかも自分の教え子程の年齢だったら…。二人はどう思うじゃん!」
鉄装「ぷっっ!!ちょっ、ちょっと待って下さ」
ガチッ
小萌「ふんっ!」ギュルン!
ボキィン!
鉄装「しーきゅーしっ!!」ドサッ
黄泉川「……うん?どうしたじゃん鉄装。白目を剥いて」
小萌「し、真剣に相談の解答を考えてる所なのですよー。ねぇ?」
鉄装「ひゃ…ひゃい…」ピクピク
黄泉川「…で、どう思うじゃん」
小萌「そ、そうですねぇ。綺麗事を言うのは簡単ですけども、私は教師ですしねー。どうしても世間体と言う物を考えてしまうのです」
鉄装「世間体…ですか?」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:26:48.02 ID:n7mOaUqZO
小萌「私達の年齢のレディだと、本人同士が良くても、周りの壁というものがどうしても立ちはだかりますからね」
黄泉川「や、やはりそうなのか…」
小萌「それを乗り越えてでも成し遂げたいと言うのなら何も言いません。でも、冷静に考えて下さいね。その場の勢いに流されるとロクな事になりませんから」
黄泉川「冷静に…じゃん」
鉄装「ど、どう思ってるんですか…?」
黄泉川「分からないじゃん…。アイツとはずっと母子の関係だと思っていたし。それが崩れ掛けている今、頭の中がゴチャゴチャじゃん…」グッ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:38:59.05 ID:n7mOaUqZO
小萌「ならば、焦る必要は無いですよー。選択肢は幾らでもありますから」
鉄装「選択肢…ですか?」
小萌「一夏の想い出として胸の奥にしまって置くのも、また大人の選択肢なのですよ」
黄泉川「想い出として胸に…。そうじゃんよ…、最初から無理な話だったんだ」
バンッ!
鉄装「ちょっと待って下さいよ!!本当にそれで良いんですか!」グイッ
黄泉川「な、なんじゃん鉄装?いきなり…」
鉄装「本当にそれで、納得してるんですか!?私にはそうは思えません!」
黄泉川「…お前に、何が分かるじゃん」
鉄装「分かりますよ!ずっと一緒にやって来たじゃないですか!…そしてずっと言って来たじゃないですか!」
黄泉川「な…何をじゃん?」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:47:51.82 ID:n7mOaUqZO
鉄装「自分で自分の限界を越える事に意味があるって!諦めたらそこで試合終了だって!」バンッ
黄泉川「て、鉄装…。お前」
小萌「おやおや、随分と熱血教師ですねぇ。ま、勿論、そう言う選択肢もあるのですよ」
黄泉川「お前達の気持ちは分かったじゃん。でも…まだダメじゃん…」
鉄装「何をそんなに躊躇してるんですか!?らしくないですよ!」
黄泉川「私はただのアンチスキル…、相手はこの学園都市の一位。立場が違い過ぎるじゃん…」
鉄装「はっはーん。そんな簡単な事で悩んでたんですか?」
黄泉川「簡単じゃないじゃん…!」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 23:53:25.91 ID:n7mOaUqZO
鉄装「答えは簡単ですよ。こっちも学園都市で一位になってやれば良いんです!」ビッ
小萌「それはさっきのカラオケに置いてあったチラシですか…?」
黄泉川「学園都市生存死闘大会…?」ペラッ
鉄装「お誂え向きに、この場に居る人数も三人……。なら、このビッグウェーブに乗るっきゃ無いって訳ですよ!!」ビッシィ!
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 00:06:42.41 ID:2hmIAmkYO
=黄泉川宅=
一方通行「ただいまァ……」ガチャリ
打ち止め「お帰りー、随分遅かったね、ってミサカはミサカはゲームをしながら応えるの」
一方通行「あン?飯まだじゃねェか。黄泉川はどこ行ってンだよ」
打ち止め「いつもの面子と呑みに行くって言ったきりだよ、ってミサカはミサカは知らんぷり」
一方通行「はァ…?何時まで呑んでやがンだアイツ」
ピロロロロ…
打ち止め「ケータイ鳴ってるよ、ってミサカはミサカは着信メロディ」
一方通行「あァ…、アイツからかよ」サッ
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 00:26:51.78 ID:2hmIAmkYO
一方通行「もしもしィ?お前何やってンだよ。クソガキ一人残して危ねェだろ」
『……………………』
一方通行「…あン?何か言えよ」
『悪ぃじゃん…一方通行。私は当分そっちに帰れない理由が出来たじゃん…』
一方通行「はァ?何言ってンだァ。理由って何だよ」
『そ、それは今は言えないじゃん…。でも、全てが終わった時は、私はお前に』
一方通行「お、俺になンだよ…」
『……………………』
ブチッ
一方通行「おい、コラ!切るんじゃねェよ」サッ
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 00:49:06.23 ID:2hmIAmkYO
打ち止め「えぇ!?黄泉川が家出したの?、ってミサカはミサカは今後の食生活と家事云々の心配と、所持金や貯蓄関係等の金銭方面にも不安が否めないの!」グイッ
一方通行「あァ、うッせェな!どうせ酔ってんだろ?酔いが醒めたら帰ってくンよ」
打ち止め「うーん…。それは無いと思うよ、ってミサカはミサカは訴えてみる」
一方通行「なンで分かるンだよ?」
打ち止め「だって黄泉川は言ってたんだもん、ってミサカはミサカは朝のアナタの様子を思い出してみる」
一方通行「朝の様子だァ…?」
打ち止め「CQCもロクに使いこなせないアナタに、きっと黄泉川は愛想付かして出て言ったんだよ!ってミサカはミサカは子供110番!」
一方通行「なンだと……」ピクッ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 00:49:57.39 ID:s6SX1Zrb0
黄泉川「大河?河つながリじゃん」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 00:58:21.62 ID:2hmIAmkYO
一方通行「上等じゃねェか…。CQCだァ、望む所じゃねェか」ギュ
打ち止め「急にどうしたの、ってミサカはミサカは下から顔を覗き込んで見る」
一方通行「クソガキ…、テメェ朝に言ってたよな。俺に付き合ってるだけで、自分には必要ねェって」
打ち止め「そうだね、だって私には既にテスタメントでそう言う類はインストールされてるもん、ってミサカはミサカは誇らしげ」
一方通行「オーケイ。なら話は速ェ。テメェが俺にCQCの基本を教えろ」
打ち止め「それは簡単だけど、でも何でいきなりってミサカはミサカは疑問符がプカプカ」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:05:58.31 ID:2hmIAmkYO
一方通行「黄泉川が俺に失望したってンなら、教えてやンよ。俺の底力ってェヤツをな…」
打ち止め「でも黄泉川がどこに居るか分からないんだよ、ってミサカはミサカは根本的な問題に直面する!」
一方通行「そいつァ、テメェのお姉様から教えてもらったよ…」
打ち止め「お姉様から?、ってミサカはミサカはそれって何かのかなって問いてみる」
一方通行「学園都市生存死闘大会。コイツをCQCで勝ち残りゃ嫌でもアイツの目に入るってェ訳だ!」
打ち止め「なるほど!それなら学園都市ネット大々的に生中継されるから大丈夫だよ!、ってミサカはミサカは豆知識」
一方通行「へっ…、CQCは無敵だって事を学園都市のヤツラ全員に身を持って教えてやンよ!」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:07:51.01 ID:4j06u4wCO
④
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:20:08.46 ID:2hmIAmkYO
=常盤台寮=
御坂「寮監様、御坂美琴、白井黒子の両名ただいま帰宅しました!」ビッ
黒子「で、ですの…」
寮監「あぁ…。どうした、そんなにかしこまって?」
御坂「実は…、寮監様を寮監と見込んで、頼みがあるのです」
寮監「ほぅ…?この私に頼み事だと」ピクッ
黒子「ま、…不味いですわよお姉様?寮監にぶっ飛ばされますわよ…」ボソボソ
御坂「私達に生と死の漣極、サバイバルゲームでの活路をご教示願いたいのであります!」ビッ
寮監「サバイバルゲームだと…?」
黒子「ち、違いますのよぉ、寮監…!これは深い訳がありまして。やはりお嬢と言う物は、お琴や生け花等が…」
寮監「……ダメだな」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:22:54.82 ID:JZBzoI760
困った時の寮館頼み
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:31:52.35 ID:2hmIAmkYO
寮監「……ダメだな」
黒子「そ、そうですわよねぇ…!わたくしも寮監に同意ですのよ!」
御坂「……………………」
寮監「私は実戦経験しか無い…。ヤるかヤられるか、死と紙一重でのみ見出だせる活路と技術…。それでも良いかな?」ニヤリ
御坂「サー、イエッサー!有り難う御座います寮監様。御坂、白井両名、喜んで御指導御鞭撻、賜りたい所存であります!」ビッ
黒子「ちょ、ちょっと待って下さいまし!両名って何ですの!黒子はお嬢ですのよ、そんなの無理ですの」
御坂「はいはい、四の五の言わずに野戦服に着替えるわよー」ズルズル
黒子「だから、引っ張っらないで下さいましよ!」ジタバタ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 01:36:02.66 ID:FyWMDU5i0
ほう……
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 02:18:20.50 ID:pFIRrtIKP
ほう
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 02:23:05.12 ID:ni9u2tt10
美琴、寮監、黒子
誰にも止められないだろこのチームw
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 02:37:05.56 ID:65hGuRH7P
黄泉川先生のスイカと打ち止めが「届かない~ってミサカはミサカはじたばたしてみる」ところを眺めて萌えるスレかと
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 11:30:06.35 ID:kTJzOTH80
そういや芳川どうした?
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 14:36:46.69 ID:pFIRrtIKP
芳川は俺の隣で寝てる
と思ったけどおばさんニートなんていらないです
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 19:23:25.15 ID:2hmIAmkYO
保守どもどもですー
芳川さん完全に忘れてたな
取り敢えずPCに変えます
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 19:31:48.93 ID:BpcX6xEq0
=公園= 大会3日前
打ち止め「それじゃ、今からCQCの基本を教えるよ、ってミサカはミサカはピンと背筋を伸ばして、腕の運動」ブンブン
一方通行「ふァ……。ねみィ…」
打ち止め「こぉらぁあ!ナンバー3何やってるの!、ってミサカはミサカは竹刀を思い切り振り上げ、アナタの頭に力の限り振り下ろすの!」ブォン
バチコーーン!
一方通行「い、いでェエェッ!?なにしやがる!」
打ち止め「昨日の今日で、その体たらくはどういう事だってばよ、ってミサカはミサカは準備体操の重要さを徹底追求!」
一方通行「別にテメェが相手なら、ンな気合いれねェでもいいだろうが…」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 19:41:39.09 ID:BpcX6xEq0
打ち止め「まだそんな事言ってるの?だったら掛かってきなさい!、ってミサカはミサカは構えてみる」
一方通行「しやァねェな…。んじゃ、いくぜェ、怪我しても恨むなよっ」ダッ
ビュン!
打ち止め「甘い甘い、ってミサカはミサカはアナタの突き出された拳の軌道をゆっくり見据る。
そして、紙一重で回避すると、迂闊に伸びきった右腕の袖を掴む。そのまま勢いを利用し、流れるような動作で彼の体勢を崩し、地面に叩きつけた」
一方通行「ぐっ…は!」
打ち止め「どう?これで良く分かったでしょ、ってミサカはミサカはドヤ顔で見下すようにアナタの顔を覗き込んでみる」ヒョイ
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 19:49:24.02 ID:BpcX6xEq0
一方通行「だから…、手加減しろってンだろうがクソガキ…」
打ち止め「油断してるほうが悪いんだよ、ってミサカはミサカはうさぎとカメの如し」
一方通行「はァ…自信なくしちまうぜ。黄泉川ならともかく、テメェみたいなチビにここまでやられるたァ」
打ち止め「それはあんまり関係ないよ、ってミサカはミサカは一応励ましてみる」
一方通行「あン?どういうこったァ」
打ち止め「CQCに大きいも小さいも関係ないもの。CQC戦術にはそんな物を全て補う戦法があるの、ってミサカはミサカは再びCQCの素晴らしさを誇示してあげる!」
一方通行「なるほどねェ。ンなもん、一朝一夕でマスターできンのかよ…」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 19:57:29.40 ID:BpcX6xEq0
打ち止め「そんな簡単に諦めていいの!?ってミサカはミサカはアナタの鼻に指を突きつけてみる!」ビッ
一方通行「な、なンだよ…?」
打ち止め「そんな調子じゃ一生掛かっても黄泉川は帰ってこないよ。それでもいいの?ってミサカはミサカは切実に訴えてみる」
一方通行「いいわけねェよ…、ンなモンいいわけねェだろうが。俺はアイツにもう一度会わなきゃなんねェ」
打ち止め「うん、そうだね、ってミサカはミサかは優しく微笑むの」
一方通行「会って思いっきりCQCで地面にブン投げてやらァ! 打ち止め、俺はやるぜ。残り三日でCQCを全て身体に叩き込んでくれ!」
打ち止め「ふふ…、その言葉が聞きたかったの、ってミサカはミサカはトランプゲーム」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:20:44.63 ID:BpcX6xEq0
立ち並ぶビルの階下に広がる地下駐車場の一角。そこへ向かうエレベータの中で垣根帝督はガラスの向こうに目を向けていた。
彼が向かうのは地下だ。勿論、そこにはただ深い闇のみが広がる虚空である。
しかし、彼の目にはその場にさも何かが存在しているかのように、ぼんやりと見つめ続けていた。
「随分と遅かったのね。交渉に手間取っていたのかしら?」
開かれたドアの向こうから声を掛けたのは、ドレスの少女。彼はその言葉に目で応えると、ゆっくり歩を進める。
垣根「理想と現実ってやつには食い違いが出来ちまうもんさ。…ま、コイツはしっかり受け取ってきたがな」
彼は右手に掴んでいたアタッシュケースを、器用に片手でロックを外し中身を取り出した。
その手には蛍光灯に照らされ、黒く光る拳銃が握られていた。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:32:09.69 ID:BpcX6xEq0
「へぇ、中々いい感じで仕上がったんじゃないの?もっとも素人目だけどもね」
垣根「上でバカ騒ぎしている連中のお陰だ。お前も礼を言っておくんだな」
そう呟きニヤリと口角を上げると、手にした銃口をゆっくりと前方に向け、引き金に手を掛ける。
放たれた銃弾は乾いた音を響かせ、勢い良く飛び出す。地上と何一つ変わらない風景…。
ただ一つ違うのは、撃ち出された銃弾は、その先にあった車のフロントガラスを突き破り、そのまま後方の壁に突き刺さった事だった。
「性能も上々みたいね。見た目は玩具と変わらないのに」
垣根「だがコイツも、理想の歯車の一つに過ぎねぇ…。鋼歯車のな」
握られた拳銃を見つめながら、彼は誰に言うでもなく静かに呟いた。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:40:04.13 ID:BpcX6xEq0
=常盤台中学= 大会2日前
湾内「おはようございます、婚后さん。本日もご機嫌麗しゅうございます」
婚后「あら、湾内さんに泡浮さんではありませんか。珍しいですわね、こちらでお会いするなんて」
泡浮「御坂さんの様子を見に来ていたもので…。今日もお休みのようですね」
婚后「あら、そうでしたの? ということは白井さんもですか」
湾内「はい。少々心配になりまして」
婚后「ふむ。アレは風邪を引かないと申しましても。私も少~々退屈しておりましたのよ。そうですわ、連絡をとってみましょうか」サッ
泡浮「連絡ですか?」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:46:16.43 ID:BpcX6xEq0
婚后「白井黒子…白井黒子、っと」ピポパ
湾内「もしお休みなっている最中でしたらご迷惑にならないでしょうかね…?」
プロロロンロッ♪
婚后「それなら心配ありませんわよ。きっと私からのお電話なら泣いて喜びましてよ。おーほっほほ!」
『……サー、イエッサー。こちらブラックですの』ボソボソ
婚后「はぁ…?何を言ってますよ。白井さん」
黒子『婚后光子ですの? ちょっとこんな時に無線を送らないで下さいましよ…! 感づかれたらどうしますの』
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:53:37.48 ID:BpcX6xEq0
婚后「む、無線って何ですのよ…? それで今何をしてらっしゃいますの」
黒子『サーマルゴーグルで周辺を警戒しながら、匍匐全身で目的地に向かっている所に決まってますのよ』ゴソゴソ
婚后「ほ、ほふく…? ますます意味が分かりませんのよ…」
ガダガダダッ……
黒子『は! ダンボールが…、ダンボールがこっちに向かってきますの!?』ビクッ
婚后「ダンボール…って、あの庶民の方々が荷物を詰めるアレですの?」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 20:56:57.16 ID:BpcX6xEq0
黒子『タ、タイガー!? 中にいましたのねっ!コードネームタイ』
ブチッ…
婚后「ちょっと、白井さんー。どうしましたのよー?」
湾内「どうでしたか、白井さんの様子は」
婚后「どうもこうも…、タイガーがどうとか」
泡浮「大河ですか?そのようなお知り合いがいるのでしょうか」
婚后「さぁ?私に言われても分かりませんわよ…」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:08:26.80 ID:ni9u2tt10
絹旗はまだか!
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:14:08.62 ID:BpcX6xEq0
=河川敷=
御坂妹「さて、残り日数まで僅かとなった事ですし、本腰を入れて訓練を開始しましょう、とミサカは指先で銃をクルクルと回して見ます」
インデックス「いえす、さー!ナンバー3!なんだよ」ビッ
姫神「イエス。サー…」ヒョイ
上条「ふむ…、今日は駅前よりもジャスコの方面が生鮮食品が安いのか」ペラペラ
インデックス「ちょっと当麻ー!返事はどうしたの!」グイッ!
上条「こ、こら!耳元で怒鳴るな。…俺はついてきただけだろうが。お前らだけで遊んでろよ」
御坂妹「その認識は大変甘く、耳を引っ張りながら懇々と諭してやりたい気分にミサカは浸ります」
上条「な、なにがだよ?」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:20:28.04 ID:BpcX6xEq0
インデックス「そうだよ当麻。サバゲーは遊びでやってるんじゃないんだよ!」
御坂妹「その怠慢な気持ちが怪我や、周辺の事故に繋がります、とミサカは反面教師気味にアナタを見つめます」
上条「…へいへい。俺が悪るーございましたよ」
御坂妹「というわけで、気を取り直して紅白戦を開始します、とミサカは実践に勝る経験はありませんと主張します」
インデックス「安心してね、当麻! 前線は私に任して、当麻はバックアップでいいから」カチャリ
上条「バックアップ…?って俺もやらなきゃいけねぇのかよ!」
インデックス「当然に決まってるじゃない。2対2じゃないとバランスが取れないじゃない!」
上条「いや…今日はジャスコで牛乳の安売りが」
サッ
御坂妹「そのような物は戦場には不要です、とミサカは手に持ったチラシを没収します」バッ
上条「あ、こら御坂妹!」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:31:54.58 ID:BpcX6xEq0
上条「ったく仕方ねぇな…。こうなったら…」
インデックス「さぁいくよ当麻。聞いてるの?ねぇ!」
上条「あぁ、聞いてるって」
インデックス「本当?大丈夫なの当麻、心配じゃない?」
上条「あぁ、バックアップするから大丈夫だよ」
インデックス「任せるんだよ。私前線だから、後ろは分からないんだよ!」
上条「そうだね。わからないね」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:33:32.07 ID:BpcX6xEq0
インデックス「うん!だから当麻頑張るんだよ!」
上条「あぁ、頑張ろうね」
インデックス「いくよ!後方は任せるんだよ!いいね、当麻!」
上条「うん。突撃してていいよ」
インデックス「よーしー、今日こそ私が生き残るんだよー!いっくよぉー!」ダッダッダッダッ
………………………
上条「さて…、ジャスコいくか…」クルッ
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:38:46.43 ID:BpcX6xEq0
=駅前ホビーショップ前=
絹旗「いやぁ、やっぱり駅前まで来るもんですねぇ。超商品が豊富ですよ!」ホクホク
フレンダ「結局、装備を整えるなら都市部って訳よ」
絹旗「でも、肝心の銃が選べないって言うのは超残念ですよね」
滝壺「しかたないよきぬはた。その銃が目的なんだから」
フレンダ「心配しないでも、最新の高性能モデルを貸してもらえるって訳よ」
絹旗「う~む。でもそれじゃ、他もチームも超同じって事ですよねぇ」
滝壺「武器によるハンデを無くすのを兼ねているのかもね」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:45:35.87 ID:BpcX6xEq0
フレンダ「だからこそ私達は、防具とサポート用品で周りに差を付けるって訳よ」
絹旗「ま、その分お値段も超お高くなっちゃいましたけどね…」
滝壺「…しばらくは節約生活だね」
フレンダ「ノン・ノン・ノン。その辺りも抜かりは無いって訳よ」サッ
絹旗「何ですか、そのカードは?」
フレンダ「麦野クレジットカードって訳よ。こっそり拝借させてもらったわ」
滝壺「な、なんと…」ピクッ
絹旗「おほぅ! って事はさっきのお会計は超全部カードで!」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:46:31.72 ID:IzgdJ9/z0
それは…フレ ンダになるフラグでは
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:50:53.09 ID:BpcX6xEq0
フレンダ「結局デキル女はカードで支払いって訳よ」
絹旗「ひゃっほーぅ!フレンダ超大好きです!んじゃ次はカラオケ行きましょうよ」グイッ
滝壺「待って、先に荷物を置きに帰らないと」
絹旗「サー、イエッサー!超了解です」ビシッ
フレンダ「ま、常盤台のお嬢様に負けない位私達もリッチって訳よ」
滝壺「常盤台…?」
フレンダ「さっき、店内に居たのよ。額にゴーグル付けた気合の入ったお嬢様がね」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 21:55:45.13 ID:BpcX6xEq0
絹旗「ゴーグル…って、あの超短髪の人ですか?」
フレンダ「あれ? 何で絹旗が知ってる訳よ。ゴーグルコーナーまでアンタ来てたの?」
絹旗「いえー、私が見たのはプラモデルコーナーでしたよ」
滝壺「私もみたよ。スーパードルフィーコーナで」
フレンダ「うん? 一体どういう訳よ」
絹旗「色々と超歩き回ってたんでしょうかね?」
フレンダ「すぐに会計済まして出ていったと思ったんだけど…」
絹旗「はてはて、不思議な事があるもんですねぇ」スタスタ
ドンッ!
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:00:40.77 ID:BpcX6xEq0
「おっと…!」バラバラ
ゴロゴロ…
絹旗「あ! ご、ごめんなさい。超前見てなかったです」
フレンダ「何やってる訳よアンタは。ほら、早く拾うよ」ヒョイ
「あら、有難うね。わざわざ」
滝壺「…随分たくさんあるんだね」ヒョイ
絹旗「これだけあったら大変ですよねー。私が手伝ってあげますよ!」
「ふふ、それはどうも。気持ちだけ受け取っておくわ」グイッ
絹旗「いいですよ遠慮しなくても。私の能力を使えば猫の手を捻る様な物ですから!」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:01:32.51 ID:ni9u2tt10
さすがレベル5
麦野以外には変装を見破られてないのか
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:05:11.62 ID:BpcX6xEq0
「遠慮じゃなくてね。…ほら、すぐそこだから」
絹旗「ん? そこって、あのビルは確かネットカフェじゃ…」
「それじゃ急いでいるからそろそろ失礼するわ。有難うね」スタスタ
フレンダ「ちょっとー、絹旗何やってる訳。早く帰るわよ」
滝壺「早くしないと遊ぶ時間無くなるよ」
絹旗「あ、はぁい! 超ちょっと待って下さいよ!」ダッ
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:13:32.29 ID:BpcX6xEq0
=駅前ジャスコ付近=
一方通行「痛…ッ。あの野郎、手加減無しでぶっ飛ばしやがって」
上条「ん? お前こんなトコで何やってんだよ、アクセラ……レーター?」
一方通行「あン? なンで後半が疑問系なンだよ」
上条「いや、そんなボコボコな顔になってるから一瞬誰かと思って」
一方通行「うるせェ。放っとけよ」
上条「お前がそこまでやられるなんて、珍しいじゃねぇか。一体誰にやられたんだよ」
一方通行「……だから放っとけって言ってンだろ。今の俺は機嫌が悪ィ…」
ピロロロロロッ♪
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:18:08.87 ID:BpcX6xEq0
上条「うん? 電話鳴ってるぜ」
一方通行「な!? まさか黄泉川の野郎か」バッ
ピッ
『………………』
一方通行「オイ!テメェ、今何処にいンだよ!」
『あら?すごい剣幕じゃない。そんなに心配してくれてたのかしら』
一方通行「あァ………。芳川かァ…?」
『何、その思いっきりどうでも良さそうな返事は? もしかして私の存在忘れてたのかしら』
一方通行「うっせェ、こっちはそれどころじゃねェんだよ」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:24:18.40 ID:BpcX6xEq0
芳川『彼女が家を出て行った…? 珍しい事もあるものね』
一方通行「って訳だからさっさと帰ってきやがれ」
芳川『うーん、残念だけどそれは出来ない相談かしら』
一方通行「あァ?なんでだよ訳を言いやがれ」
芳川『ネットカフェでドカベンプロ野球編を読破してたって言ったら?』
一方通行「……切るぞォ」サッ
芳川『待ちなさいよ、相変わらず冗談の通じない子ね。…もっとも、ネットカフェに居るって言うのは本当だけれども』
一方通行「ンなトコで何やってンだ。ネットくらいウチでも出来るだろうが」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:27:42.53 ID:zG7/LCHu0
美琴とアイテムは戦ったことあるよ
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:34:45.95 ID:BpcX6xEq0
>>131 あら、そうだったのか。超電磁砲で麦野と戦ってたのは知ってたけど、アイテム全員だったのね
芳川『ハッキングには多少自信はあるのだけど、万が一と言う事もあるでしょう。居候の身で、迷惑を掛ける訳にはいかないのよ』
一方通行「あァ…、テメェ一体何を」
芳川『学園都市生存死闘大会…。アナタはその名を知っているかしら』
一方通行「…あァ、嫌って程な。玩具会社の新商品お披露目パーティだろう」
芳川『表向きにはそうなっているわね』
一方通行「…そいつは、どういうこったァ」
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:44:51.14 ID:BpcX6xEq0
芳川『たかだがモデルガンの広告だけで、学園都市の大多数を舞台にしてこんな大掛かりな事をするかしら』
一方通行「何が言いてェんだ。テメェは」
芳川『実戦状況における、様々な能力者による武器の使用データ。これは大変貴重なものだと思わない』
一方通行「まさか…」
芳川『そう。そのデータを流用し、本物の火気開発に回す事が真の目的だったとしたら?』
一方通行「学園都市の連中が、丸々利用されちまうって訳かよ。穏やかな話じゃねェよな」
芳川『そこで、アナタにミッションを頼みにこうして電話したって訳。オーケー?』
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:50:29.99 ID:BpcX6xEq0
一方通行「ひとつ質問だァ…?」
芳川『あら、何かしら?』
一方通行「そンなもン暴露しちまえば、目立っちまうよなァ」
芳川『まぁ、それはそうかもね。アナタとしては具合が悪いかしら』
一方通行「そいつァ、この大会で優勝するって事より、遥かに目立っちまう事だよなァ?」
芳川『何を言ってるのかしら…? それは勿論比較にならないくらいね』
一方通行「オーケイ。そのミッション確かに引き受けたぜ…!」グッ
芳川『おや、随分素直なのね…。まあいいわ、それじゃ詳しい計画はデータで送るわね』
ピッ
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 22:55:12.56 ID:BpcX6xEq0
上条「さてと…、そんじゃ俺は地下売り場にっと」サッ
一方通行「おい、待て上条…」カチャ
上条「うん? なんだよ、早くしないと牛乳が売り切れ…」
ガチャリ
一方通行「そこを動くンじゃねェ。じっとしてろォ」
上条「あ、あのー。その拳銃はなんの冗談でしょうか、一方通行さぁん…」ダラダラ
一方通行「勿論テメェも超電磁砲に聞いてるよな。明後日のバカ騒ぎをなァ」
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 23:00:09.72 ID:BpcX6xEq0
上条「あぁ、あのインデックス達の…。それなら俺は関係ねぇって!」
一方通行「だからと言って、テメェが出場しねェとは限らねェ…」
上条「な、何が言いたいんだよ…?」
一方通行「もしテメェと超電磁砲が組む可能性があるかもしれねェって事だ」
上条「だ、だから…それがどうしたんだよ」
一方通行「その可能性を今のうちに全て取っ払っておきてェんだよ」
上条「は、はぁ!? ふざけんなよ、玩具メーカのお遊びに何マジになってんだ!」
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 23:06:34.02 ID:BpcX6xEq0
一方通行「少なくとも俺にとっては、遊びじゃねェンだよ。俺はアイツに…黄泉川に」カチャ
上条「お、おい!待て待て、話せば分かるって」バッ
ドゥン!
御坂妹「…くっ!」ダッ
上条「…へ? お、お前御坂妹かよ!?」クルッ
一方通行「だから言ってンだよ。動くンじゃねェってな」
御坂妹「邪魔をしないで欲しいです、とミサカはミサカは上条当麻を仕留め損なった事に不満をしまします」ダッ
上条「はは…、ここまで追ってきたって訳ね…」
一方通行「残念だったな。もっともコイツは上条当麻じゃねェ…」
御坂妹「どういう事でしょうか?、とミサカはアナタの視力と頭を心配します」
一方通行「そいつは簡単、コイツはナンバー1。俺達のチームのリーダーってこったァ!」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 23:14:49.95 ID:BpcX6xEq0
上条「ってコラ待てよオイ! だから俺は…」
一方通行「だから言っただろうがァ。可能性は全部取っ払っておきてェんだよ」
御坂妹「…つまり、敵に回る可能性があるならば、味方に取り込んでおく…という訳ですか、とミサカは首を傾げます」
上条「あのぉ…、私めに拒否権はあるんでせうか?」
一方通行「ねェに決まってンだろうがァ」
上条「百歩譲って、リーダーってどういう事だよ!俺はサバゲーなんて全然知らねぇんだぞ!」グイッ
御坂妹「譲るんですか…、とミサカはアナタのお人よし加減をさらに再認識します」
一方通行「頭がやられたら終わりなンだよ。だったら、一番防御力の高けェヤツにすンのは当然だろうが」
上条「はは…は。様は囮って訳ね。ふ、不幸だ…」ガクッ
御坂妹「ドンマイ、ドンマイと、ミサカは新たな脅威に警戒しつつ、背中を撫でてあげます」サスサス
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 23:18:54.06 ID:BpcX6xEq0
ドゥン! ドゥン!
インデックス「ちょ、ちょっと待つんだよ秋沙! 当麻は、当麻はどうしたのー!」ダッダッダッ
姫神「ふふふふ…。これが狩る側なのね。…クセになりそう」カチャリ
ドゥン! ドゥン! ドゥン!
インデックス「はぅぅぅう!えいちきゅーえいちきゅー!バックアップはどうしたのかな!?」
『…にゃーん?にゃぁにゃん?にゃんにゃ』
インデックス「だからスフィンクス!?にゅうにゃあだけじゃ分からないって言ってるんだよぉ!!」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/29(金) 23:29:44.83 ID:AWbN1KxB0
スフィンクスかわゆい
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:11:35.05 ID:N4nJpmJH0
ドギャァァン!
鉄装「くっ、グレネードですか…!」バッ
小萌「一人で突出しすぎですよ! 一旦下がってくださいー」
鉄装「ここはフォーメーション『ダイアモンドクレバス』で行きましょう!分かりましたか」カチャ
黄泉川「わ、わかったじゃん…」
鉄装「そんないつまでも弱気でどうするんですか。約束したじゃないですか、必ず彼に想いを伝えるって!」
黄泉川「それは確かにそうだが…」
小萌「早く、回り込んで下さいー! 先生、アサルトシュラウド撃っちゃいますよー」ダッ
鉄装「了解です。なら、フォーメーション『トライアングラー』に変更を…!」
黄泉川「あ、あの一つ聞いてもいいか?」
鉄装「はい? なんですか」
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:16:52.15 ID:N4nJpmJH0
=駅前ネットカフェ=
黄泉川「こんなゲームで、本当に当日勝てるのかじゃん?…外で模擬訓練をした方がいいんじゃ」
小萌「ふふふ、ところがどっこい。最近のゲームの進歩は凄いのですよー」カチカチ
鉄装「そうですよねー。もうリアル過ぎて現実と区別つかないですよ」ガチャ
小萌「これだけ実弾の飛び交う戦場を体験しておけば、サバイバルゲームなど恐れるに足らないのですよ」カチカチ
鉄装「対戦相手もネット上で山ほどいますからね」カチカチ
黄泉川「そ、そういうものなのかじゃん…?」
小萌「ですですよー。先生の言うとおりにすれば間違いないのです」
黄泉川「…私達全員教師じゃん」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:34:00.17 ID:N4nJpmJH0
一方通行「で、様は俺達が優勝すりゃいいって事だろ」
芳川『簡単に言ってくれるわね…。そこも結構大変じゃないのかしら』
一方通行「問題ねェよ。強力な助っ人を引き入れたンでな」
芳川『へぇ、それは何よりだわ』
一方通行「ンで続きはどうした」
芳川『その後は本社の中に案内されるから、そこで今送ったデータをネットワーク上に流して頂戴』
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:36:04.64 ID:N4nJpmJH0
一方通行「へェ。ウイルスってヤツか?」
芳川『人聞きが悪いわね。使いようによっては、腫瘍を取り除くワクチンにもなるって訳よ』
一方通行「まァ、そういう事にしといてやるよ」
芳川『その後の処理は全て私に任せ…』
一方通行「ン? どうしたァ」
芳川『いや、ちょっと隣でゲームをしてる人たちの声がうるさくってね』
一方通行「ゲームねェ。…ったく暢気なもンだぜ」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:45:50.24 ID:N4nJpmJH0
=アイテム隠れ家=
麦野「はーい、正座ー。あんた達全員そこのリノリウムの床に正座よー」ズガンッ!
絹旗「あ、あのー…、足をテーブルの上に置くのは超ちょっとお行儀が悪いですよぉ」ダラダラ
麦野「あァん? 何、二回ぶち死にたいのっかな」ギロリ
絹旗「と、とんでもないですよ!超とんでもないですよ!」
フレンダ「そ、それで、結局どういう訳よ。大会は明後日なんだけど」
絹旗「そうですよ! もう必要なもの超買っちゃんですからー」
麦野「ふぅん。随分たくさんあるけど、アンタ達そんなにお小遣いに余裕あったかな?」
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 00:53:03.42 ID:N4nJpmJH0
絹旗「あーぁ、それなら麦野のクレジット…」
ガバッ!
麦野「何してるの滝壺? 絹旗が喋れないんだけど」
滝壺「……何でもない。ちょう何でもないよ」ダラダラ
フレンダ「へ、ヘソクリな訳よ! 結局ヘソクリな訳よ!」
麦野「まぁ別にいいけどさ。アンタ達前も仕事ほったらかしにして遊びに行ってたよね。後で私、電話で凄いネチネチ言われたんだけどさ」
絹旗「ち、違いますよー! あれはフレンダが麦野の携帯を超着信拒否してるからですよ」
フレンダ「結局人のせいにする訳!? 滝壺が、着信拒否してるから!」
滝壺「違うよ。きぬはたが、アドレス帳から消去してるから」
ズッガン!
麦野「はーい。いいからさっさとその口閉じなァ。三下どもォ」
絹旗「さ…。さーいえっさぁー……」
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 19:36:32.99 ID:N4nJpmJH0
=上条宅室内= 大会前日
ドゥン! ドゥン!
打ち止め「もしかして、私が狙われてるかも!、ってミサカはミサカはテーブルの下に緊急回避!」バッ
姫神「…悪く思わないで。まずは頭を潰しておきたいの」カチャリ
一方通行「ったく、世話の掛かる…っ!」ブン
ブォォッォオオオン!
インデックス「な!風圧だけでBB弾を全て弾き飛ばすだなんて」
御坂妹「落ち着いてください。いくらレベル5と言えども、サバイバルゲームの上では私達の方が有利です、とミサカは冷静に分析します」
インデックス「そ…、そうだよね。私達はあれだけ特訓を重ねてきたんだもん。神様は見ててくれてるかも!」グッ
ガチャリ!
上条「だぁぁああ! ストップ! お前ら全員ストップだ!!」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 19:47:12.95 ID:N4nJpmJH0
御坂妹「はい、何でしょうか?、とミサカは無粋なアナタにもチームワークの重要性を小一時間説いて上げたい気分に駆られます」
上条「チームワークの前に、世間一般常識を説いてやりてぇよ! だから、何で俺ん家でドンパチやってんだよ!?」ビッ
インデックス「だって、もう外は暗いんだもん」
打ち止め「間違って通行人にでも当たったら危ないよ、ってミサカはミサカは安全第一」
上条「俺の私物に思いっきり当たってるんだよ! いいからお前ら四人、さっさと掃除しろ」
姫神「………四人?」
上条「…………あ」
姫神「……ずっとそこに居た。…つもり」
上条「あーぁ…うん。し、知ってたよ!なんかもう知ってたぜ!!」ビッ
姫神「…もういい。気を遣われると……。余計に悲しくなるから」フラフラ
上条「ちょ、姫神さーん…?」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 19:58:11.53 ID:N4nJpmJH0
寮監『これにて全てのトレーニングミッションを終了する』
御坂・黒子『サー、イエッサー(ですの)!』ビッ
寮監『しかし、お前達はただこの二日を生き延びたに過ぎない。その意味は分かるか?』
黒子『……まだ私達は強くなっていない、ということですの?』
寮監『逆だ白井。お前達は私のシゴキに生き延びただけ。…それはすなわち、二日前までとは比べ物にならない程肉体、精神ともに強くなっていると言う事だ』
御坂『はっ! 有難きお言葉であります、寮監様』ビッ
婚后「………なんですのコレは」
湾内「あら、婚后さん。何をしてらしますの?」
婚后「いえ、また白井さんの携帯に電話を掛けたのですが。スピーカーから珍妙な声が…」
『サー、イエッサー(ですの)!』ビッ
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:08:38.34 ID:N4nJpmJH0
絹旗「ふぃ…、なんかと超逃げ出せましたね!」
フレンダ「伊達に大会出場しようとしてないって訳よ。アレくらいの縄抜け朝飯前ね」
滝壺「でも、これがバレたらこんどこそ危ういよ?」
フレンダ「結局あのままでも、麦野クレカの件がバレてぶち殺され確定って訳よ」
絹旗「だったら、この超ビッグウェーブに乗るっきゃ無いって訳ですよ!」グッ
フレンダ「なんとしても優良して、賞金で穴を埋めるって訳よ!」
滝壺「……だったら、最初から麦野クレカ使わなきゃ良かったんじゃ?」
絹旗・フレンダ「それが出来れば最初っから『アイテム』やってない(って訳)(です)よ!」
滝壺「瞬間、瞬間に生きてるんだね」
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:19:09.98 ID:N4nJpmJH0
=上条宅= 大会当日
インデックス「絆創膏に傷薬…。それにお水とお弁当。これで準備完了なんだよ」グイッ
上条「おい、インデックス、早くしねぇと遅れちまうぞ」
インデックス「…あ、うん。あのね、当麻、ちょっといいかな」ヒョイ
上条「ん? なんだよ、こんな時になって買い忘れか」
インデックス「そうじゃないよ。…ただ、私は当麻に謝らないといけないんだよ」ペコリ
上条「お、おい何だよ急にさ…」
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:26:39.45 ID:N4nJpmJH0
インデックス「ここ数日、訓練に巻き込んだり色々当麻に迷惑かけちゃったから…。だから謝っておきたいんだよ」
上条「…ったく。何を言い出すかと思えば、そんなつまんねぇ事かよ」ポン
インデックス「そ、それじゃあ怒ってないのかな?」
上条「そりゃ少しは怒ってたけど。…それ以上に俺はお前が楽しそうにサバゲーしてる姿を見てるだけで満足なんだよ」
インデックス「と、当麻!ありがとうなんだよ!」グイッ
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:30:15.32 ID:N4nJpmJH0
上条「第一、そんなに改められるとコッチが調子狂っちまうっての」
インデックス「ふふふ…、これで私の気持ちの整理が付いたからいいんだよ」
上条「整理? なんだよそりゃ」
インデックス「決まってるじゃない、戦場に入れば当麻と私達は敵同士なんだよ。これで心置きなく戦えるんだよ!」
上条「はは…、そーいう事ね。上条さん納得ですよ」ガクッ
インデックス「よーし、思う存分、特訓の成果を見せてやるんだよ!」
上条「やれやれ。嬉しそうな顔やがって」
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:40:09.77 ID:N4nJpmJH0
=学園都市生存死闘大会 会場=
ガヤガヤ
上条「いたいた、一方通行。…それにしてもすげぇ人数だな」
一方通行「やっと到着かよ。怖気づいて逃げ出したのかと思ったぜ」
上条「お前が言うなっての! ここまで巻き込まれた以上、最後まで付きやってやるぜ」
一方通行「へっ…、上等ゥ」
打ち止め「わぁ、試合前から息ぴったりだね!、ってミサカはミサカは一致団結」
上条「んで。受付でもらった、このチョーカー見たいなヤツはどうするんだ?」
打ち止め「それなら今から実行委員長が教えてくれるから問題ないよ、ってミサカはミサカは前方注目」サッ
上条「実行委員長?」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:49:36.24 ID:N4nJpmJH0
初春『皆さんーおはようございますー。実行委員長のジャッジメント初春飾利です。今日一日よろしくお願いしますねー』
佐天「う、初春? 見かけないと思ったらあんなトコで何やってるのさ…」
初春『参加者の皆さんに配られた首輪にはそれぞれのIDが振り分けてあります。エリア外に近づくと警告音が鳴りますんで注意してくださいね』
絹旗「ふむふむ。超発信機って所ですね」
滝壺「ばくはつするのかな…?」
初春『ヒット宣言は必要ありません、学園都市全域に仕掛けられた監視カメラで逐一チェックしていますので。失格になったプレイヤーは判別するために、こちらでチョーカーの色を変えさせて頂きます』
インデックス「ズルは出来ないって訳だね」
御坂妹「そのような発想は弱者の考えることですよ、とミサカは有り余る余裕を発揮します」
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 20:56:53.50 ID:0dCfhgH6P
絹旗最強説
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 21:00:24.56 ID:N4nJpmJH0
初春『それじゃあ、インカムの指示に従って楽しく撃ち合って下さいねー。もし逆らえば個人情報ぶっこぬいて、学園都市中にばら撒きますよー』
ピィーーーーー!
フレンダ「それじゃ行くよ! 絹旗、滝壺」ダッ!
滝壺「いくって何処に?」
絹旗「今は、合図がなるまで超戦闘行為は禁止の時間です!」
フレンダ「今のうちに、出来るだけ有利な位置を確保するって訳よ」
滝壺「なるほど、わかったよ」
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 21:10:03.77 ID:N4nJpmJH0
上条「さてと…、それじゃ俺達はどういう作戦で行くんだ? 無策って訳じゃねぇんだろ」
打ち止め「もちのロンだよ、ってミサカはミサカはネットワークで妹達の108の戦術パターンを横から頂戴したの!」ペラッ
上条「御坂妹のか?だったら安心だぜ。どうすりゃいい」
打ち止め「やっぱりココは専守防衛がいいと思うの、ってミサカはミサカはスニーキング」
上条「後手に回るって事か?」
打ち止め「これだけ能力者がいるんだもん。どんな手を仕掛けてくるか分からないしね。
ここは、出来るだけ目立たないように隠れるのが一番なの、ってミサカはミサカはこっそりコソコソ」
上条「そうだな…。いくら幻想殺しったって、多角面から同時攻撃されちゃ防ぎきれねぇし」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 21:19:28.26 ID:N4nJpmJH0
打ち止め「数が減ってきた所で、孤立したチームを各個撃破って言うのが理想かな?ってミサカはミサカはコマンダー気分」
上条「了解だぜ。聞いたな一方通行、まずは隠れる場所を…」
一方通行「あァ…、聞いてンぜ。そいつァいい作戦だぜ……。テメェらにはな」
上条「……は?」
初春『それじゃ、戦闘開始ですー! 怪我の無いよう頑張りましょうー!』
ピィイイーーーー!
打ち止め「ちょ、ちょっと何言ってるの!って、ミサカはミサカはその首に掛かった手は何なのか聞きたい!」
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 21:42:46.54 ID:N4nJpmJH0
実行委員長、初春飾利の合図と共に、学園都市全域に爆風と熱波が巻き起こる。
その全てはエアガンではなく、各々の能力によるものである。多数の力が混ぜ合わさる様子は、さも小規模な戦場だった。
そんな地上の戦乱とは隔離されたビルの屋上。そこに二人の人物が佇んでいた。
「どうやら始まったようね。さっそく起動させるのかしら? 貴方の言う歯車とやらを」
垣根「いや、まだ早ぇな。出来るだけ関係無いやつは巻き込みたくねぇんでな」
「そんな事を言っても、遅かれ早かれ同じ事じゃないの?」
垣根「そうでもないさ。サバイバルゲームだろうが何だろうが、結局最後に生き延びるのは強者だ」
「なるほどね。貴方の目当てのレベル5が一箇所に集うって訳?」
垣根「そこで学園都市全ての人間に見せつけてやるよ。鋼歯車の有用性をな」
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 21:55:59.91 ID:N4nJpmJH0
固法「どうかしら初春さん? 御坂さん達は生き残ってるかな」
固法は手に持ったコーヒーカップを差し出すが、初春飾利はモニターから目を離さず器用に受け取る。
彼女の瞳は前方に映し出されたモニターに向けて、縦横無尽に動き回っていた。
初春「あはは…。生き残ってるってもんじゃないですけどね…。この短時間でもう撃破数二桁突破ですよ」
固法「ふ、二桁?まさに一騎当千ってヤツね…」
多少困惑の表情を浮かべ、固法はカップを啜る。その間も初春は休むことなく手元のキーボードを動かしモニターを眺め続けた。
その耳に、ガチャリとドアノブを回す音が聞こえてくる。
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:02:51.11 ID:N4nJpmJH0
佐天「おぉ、居た居た初春ー。…げ、何その画面、一人で全部これ確認してんの?」
戦闘開始から一時たりとも目を離さずにいた初春だったが。後ろから聞こえてきた能天気な声に思わず振り向いてしまう。
初春「さ、佐天さん!? 何やってるんですか、ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ」
佐天「いやー、道に迷ってたら初春の後姿を見つけたからさ。付いて来ちゃった」
固法「これはどうやら、セキュリティに問題ありそうな建物のようねぇ」
佐天「それより、初春達は何やってるのさ。これもジャッジメントの仕事ってやつ?」
固法「公平を期すためってね。私達二人が派遣されたわけよ」
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:10:19.17 ID:N4nJpmJH0
初春「悪いんですけど、今日は佐天さんの相手は出来ないですよ。こっちで手一杯なんですから」
少しの不機嫌さを相手に伝えると、初春は再びモニターに釘付けになる。次々と移り変わる何十という監視カメラの映像。
それを確認し、不正や事故を見つけるのが彼女の役目である。
佐天「それじゃ、ここが一番の特等席って訳だね。どれどれ、我らの御坂さんはどうなってるのかな」
覗き込むように首を伸ばし、彼女は目まぐるしく眼球を動かし、御坂の姿を確認しようとする。
初春「あそこですよ、あそこ。42番モニターです」
初春の言葉通りに、視線を動かす。そこにはエアガンを構えた少年を取り囲むように、御坂達三人が佇んでいた。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:14:15.96 ID:ekTTIygv0
初春の微妙な黒さが楽しい
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:18:25.04 ID:N4nJpmJH0
…と、同時にその姿がブレる。捕食に入ったんですよ、と初春が補足する。
そして、彼女が瞬きをした瞬間…。その場には全てを食い尽くされた哀れな生贄の姿があった。
初春「はい。チーム№36は失格っと…」
佐天「…は? ちょっと待って初春。今何が起こったのさ!」
初春「三方向から同時に敵兵のありとあらゆる間接を外したんですよ。…見えてなかったんですか?」
佐天「いや、いや、普通見えないって! こりゃあの人達が優勝で間違いないんじゃないの…?」
初春「そんな事もないですよ?」
野生の獣に恐れおののく佐天を横目に、初春は表情一つ変えず事も無げに応える。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:24:31.69 ID:N4nJpmJH0
佐天「何?あの野生の猛獣を超えるのが居るっていうの?」
初春「そうですねぇ、例えばチーム№56『アイテム』ですかね」
初春は人差し指で一つのモニターを指差す。
佐天「あの子達? なんだか私達とあんまり歳が変わらないみたいだけど」
初春「基本的な戦術立ち回りは何より、相手がどれほど退避行動を取ろうと、必ずその位置を捉えて仕留めるんですよ」
固法「まるでレーダーでも持っているみたいね」
初春「そうですね…・。この乱戦時に置いて、相手の動きが分かるって言うのはかなりのアドバンテージですね」
佐天「ほぇー。人は見かけによらないんだね」
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:31:58.59 ID:N4nJpmJH0
初春「でも、一つだけ気になる事があるんですよね」
首を傾げながら、初春は彼女達が映ったモニターを拡大していく。
佐天「気になる事って?」
初春「三人とも、しきりに携帯電話を気にしているみたいなんですよ」
固法「それで互いに連絡を取っているのかしら?」
初春「でも、通話ボタンは押してないみたいですし…。音声には全員が携帯に向かって『ムギノガー』と叫んでますね」
佐天「うーむ、私が見るにその追尾能力の発動条件ってヤツかもしれないね!」
初春「ふむふむ、なるほど。佐天さんにしては頭が回りますねぇー」
佐天「いやぁ、褒められたら照れるってば。んでんでって、他に面白いチームは無いの?」
さらに佐天はモニターに食い入る。先程までならば注意をする初春なのだが、失格したチームが増え余裕が出来たのだろうか、彼女はリクエストに応えようと瞳を動かす。
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:43:36.57 ID:N4nJpmJH0
佐天「あ、あの人講習ん時にいた先生だ」
初春「チーム№43ですか? 能力者ではなくアンチスキルでの参加という点では面白いんですけど…。所詮は無能力者ですからねぇ。
堅実に身を隠し、漁夫の利を狙う作戦らしくて」
佐天「へー。まぁ無能力者が正面からぶつかっても結果は見えてるもんね。見ててもツマンナイかな」
初春「数字だけなら面白いチームがありますけどね」
佐天「数字ってどういう事?」
初春が指す先に表示されているスコア表に、佐天は目を向ける。
そこにはまるでストップウォッチのボタンを押しっぱなしにしたかの様に、数字が増えていく様が映し出されていた。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:50:40.55 ID:N4nJpmJH0
壊れてるの?と、問いかける佐天に、初春も口調を変えず伝える。
初春「見ての通りですよ。さっきからその調子で、他チームをほとんどを壊滅しちゃってるんですよね」
佐天「えぇ、ウソ!? どれよ、どこに映ってるのその人!」
初春「だから、数字だけなら面白いんですよ。
どうやってるのか分かりませんけど…。地上も空中も関係なしに、縦横無尽に飛び回られちゃ、後を追うだけで精一杯ですよ」
佐天「やっぱり学園都市は広いんだねぇ。これじゃいくら御坂さんがレベル5だからってウカウカしてられないかもね」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 22:51:40.27 ID:ekTTIygv0
さるよけ
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:02:54.33 ID:N4nJpmJH0
さてと…、と呟くと初春はコーヒーをゆっくりと啜りながら、手元にあった市販のクッキーに手を伸ばす。
佐天「あれ、ティータイムだなんて随分余裕じゃない? 画面監視しなくてもいいの」
初春「そうですねぇ…、トーナメントで言うなら今は準決勝って所ですかね。もう生き残ってる参加者は一桁になりましたよ」
佐天「え…? もうそんなに減っちゃったの」
さらにもう一枚クッキーを頬張り初春は応える。勿論その間もモニターを見つめる事は止めていない。
初春「ま、いくら人数が多くても個人の質が違いすぎますからね。
レベル5や4クラスが存在する以上、並大抵の能力者じゃ居ても居なくても同じですよ」
佐天「結局世の中レベルって訳? 世知辛いなぁ」
頬を膨らませながらそっぽを向く佐天を横目に、初春は楽しそうに前方に目を向ける。
初春「さて、上位陣の戦闘も各々佳境に入ってるみたいですね」
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:19:41.11 ID:N4nJpmJH0
フレンダ「ちょっと、滝壺。一体どうなってる訳よ! アンタの言う方向と反対側から襲ってきたわよ、あのゴーグル女!」
フレンダは身を深く伏せ、額に浮かぶ汗を拭う。彼女の問いに滝壺はぼんやりと前方を見据えながら応える。
滝壺「私の能力は絶対だよ。例え地中に潜ったとしても、追尾は途切れない」
絹旗「だ、だったらどう言う事なんですか!? 超残像? それとも超質量をもった残像ですか!」
絹旗は、震える手でデザートイーグルタイプのエアガンの底を摘み、カードリッジを交換する。
フレンダ「それに、あの修道服の子供よ。突然消えたり、現れたり…。あのチームはどうなってる訳」
装填を完了すると、フレンダはゆっくり物陰から覗き込み辺りを見渡す。
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:31:35.70 ID:N4nJpmJH0
絹旗「あのプラモデル売り場にいた人がこんなに強かったなんて…、超ノーマークでした」
フレンダ「どう、滝壺? アイツはどれくらいの距離にいるって訳」
滝壺「300…。ダストボックスの影…。辺りを伺ってる」
滝壺の情報が耳に入るや否や、フレンダは物陰から勢い良く飛び出す。
仲間の存在が気に掛からないことも無いが、今までで判断した戦闘能力では、ゴーグルの女が一番突出している。
フレンダ「なら、一気に頭を潰すって訳よ!」
そう叫ぶと、200、100と瞬く間に距離を詰める。そして、大きくM60機関銃タイプを振りかぶり、障害物ごと獲物を撃ち抜こうとする。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:41:18.09 ID:N4nJpmJH0
絹旗「フレンダ、超危ないですっ!」
その声がインカムから耳に響いたと同時に、背中に何かがぶつかったのであろうか。激しい衝撃が走り、彼女は前のめりに倒れる。
急いで顔を上げたその瞳に映ったのは、側面からブローニングシナジーを構え絹旗に狙いを定める女の姿であった。
フレンダ「そ、そんな!? いつの間に移動したって訳!」
「まずは一人、随分手こずりましたがここで仕留めさせて頂きます、とミサカは躊躇無くその引き金を引きます」
その銃口から放たれた数十発のBB弾は、絹旗の横腹に突き刺さり、横方に吹き飛ばされる。
絹旗「ぐっ…!?」
滝壺「き、きぬはた…」
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:49:50.39 ID:N4nJpmJH0
『はいはいー、お疲れ様でした。フィールドから出て、速やかにセーフティゾーンへ移動して下さいねー』
インカム越しから聞こえてくる、極めて業務的な言葉に絹旗は舌を突き出しながら渋々と従う。
『あっはは。いやぁ、残念だったよね! 思いっきり撃たれたけど怪我とか大丈夫なの』
『ちょ、ちょっと佐天さん! マイクを取らないで下さいよ!』
突如現れたもう一つの能天気な声に、絹旗は少し首をかしげながらも。能力があるんで、と素っ気無く呟く。
絹旗「あーぁ、それにしてもまさか私が超一番のりで脱落だなんてぇ…。ショットガンは超反則ですよー」
自分の頭をかきむしりながら愚痴る絹旗だったが、その手がピタリと動きを止める。
絹旗「あれ…。そういえばあの人、コロコロ超武器が変わってた様な…。そういう能力なのかな」
『どうしたんですか? ちゃちゃっと移動してくださいよ』
絹旗「わ、わかってますよ。超せかさないで下さいよ!」
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/30(土) 23:57:04.78 ID:N4nJpmJH0
先程の戦闘地点から、数メートル離れた路地裏。そこにフレンダと滝壺の二人は身を潜めていた。
滝壺「ゴメン、ふれんだ。私のせいできぬはたが…」
フレンダ「いや、謝るのこっちって訳よ。アンタの情報は正しかったわ」
滝壺「正しい…? でもあの人は側面から」
フレンダ「もっと早くに気づくべきだったって訳よ。ホビーショップで滝壺もあのゴーグルの女を見たって言ったわよね」
滝壺「そうだよ。…それがどうしたの?」
フレンダ「あれは超スピードで店内を移動してたとか、そんなチャチなもんじゃあ無かったって訳よ」
滝壺「だったら、きぬはたの言ってた質量のある残像?」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:06:26.01 ID:N4nJpmJH0
フレンダはゆっくりと首を左右に振ると、再びM60を構える。
フレンダ「大方、そっくりな姉妹って所な訳!? そこよっ!」
そのまま、引き金を手を引き薄暗い前方に発射する。放たれたBB弾は虚空の闇を切り裂き、フレンダの耳に衝撃音を返した。
滝壺「当たった…?でも、何に」
フレンダ「何って決まってるでしょ、あのゴーグルの女よ」
目を凝らした滝壺の視線の先に、ベレッタを構えた女の姿があった。
御坂妹「とうとう、バレやがりましたか、とミサカはここまでの己の健闘を自分で称えます」
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:07:11.37 ID:vlggdCQC0
なんと
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:12:56.44 ID:dxBUEdQx0
フレンダ「大方双子…、いやホビーショップの時を考えると三つ子って所な訳?」
御坂妹「プライバシー保護の観念からノーコメントです、とミサカは吐き捨てます」
滝壺「別人だったんだ?どうりで捉えられない訳だね」
御坂妹「貴方達の追尾能力は脅威的ですが…。それに頼り過ぎなので足元をすくわれるのです、とミサカは老婆心ながら忠告してあげます」
フレンダ「余計なお世話よ。老婆なら麦野一人で間に合ってるって訳…」
そう呟くと、フレンダは鳴り響く携帯電話のディスプレイを眺めながら、深くため息を付いた。
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:16:11.46 ID:kSAeOuyJP
ビームババアwwwwwwwwwww
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:31:40.67 ID:dxBUEdQx0
インカムを通じて御坂妹のリタイヤは、インデックスら二人の耳にも届いていた。
姫神「どうやら№3がやられたようね…」
インデックス「フフフ…ヤツは私達三本柱の中でも最弱なんだよ!」
姫神「チームの恥さらしめ。三本柱になれたのも不思議なくらいよ…」
二人はポーチから取り出した弁当を頬張りながら、不適に微笑んだ。…、と同時に首をうなだれ、小さくため息を付く。
姫神「止めましょうか。虚しくなるだけ…」
インデックス「だよね…。いつも狩られる側の私達が二人居たって、勝てるわけないんだよ」
姫神「とりあえずここに隠れてましょう。安全そうだし」
二本目のタコさんウインナーを咥えながら、姫神は前方に大きく足を伸ばした。
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 00:44:43.04 ID:dxBUEdQx0
初春「うーん、まさか替え玉を用意するなんて発想は無かったですね」
モニターの前で腕を組み、初春は一人でクッキーを頬張りながら唸っていた。
固法「首のチョーカーを見れば分かったんじゃないかしら?あれは一人に一つしか配ってなかったじゃない」
初春「そう言われればそうだったんですけど。…これは初春飾利、一生の不覚ですよ」
佐天「ゴーグルで顔が見えないけど、この短髪はきっと悪そうな顔してそうだね!」
しかめっ面の初春の背後から、佐天は首を縦に振りながら何度もうなずく。
初春「ですねぇ…。個人的にはあんまり付き合いたくない短髪さんですよ」
意気投合する二人を横目に、固法美偉だけは映し出されたゴーグルの女を、首を傾げながら凝視していた。
固法「うーん?何か見覚えがあるような。…無いような」
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 01:08:29.85 ID:dxBUEdQx0
黒子「びゃっくしょいんっ!……な、なんでわたくしがクシャミを…」
鼻を啜りながら、黒子はテレポートを繰り返し学園都市上空から地上を見渡す。その耳には実行委員長からの忠告が途切れ々に届いていた。
初春『…と、いう訳なんで。白井さんも相手のチョーカーに気をつけて下さいね』
黒子「気をつけてと言われましても…。替え玉などそうそう用意出来る物ではないと思いますがね」
初春『ま、この私に二度目の失敗は無いと思うんですけどね』
黒子「ボリボリと租借音を垂れ流していては説得力がありませんのよ。実行委員長様?」
その言葉に、初春は慌ててコーヒーカップを咥える。そしてそのまま、口の中のクッキーを勢い良く流し込んだ。
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 01:19:32.87 ID:dxBUEdQx0
インカム越しからでも伝わる数回に渡り咽る音。
それと同時に、背後からであろうか、能天気な笑い声が聞こえてくると、黒子は意地悪く微笑みながら口を開く。
黒子「それで。随分と余裕ですけど、ちゃんとお仕事はこなしていますの?」
初春『ほぼ大詰めですからね。私でなくとも十分に監視できる段階に入ってますよ』
黒子「ほほぅ…。ならばこっそり、相手の位置と能力を教えてもらってもよろしいですのよ」
初春『個人情報ぶっこぬいて、白井さんの赤裸々な秘密をばら撒いて良いんならどうぞ?』
黒子「はふ…!じょ、冗談ですのよ。冗談。用が済んだのなら通信を切って下さいな」
実行委員長のお花畑の秘密を掴むことを密かに心に誓うと、黒子は再び宙を舞った。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 01:33:37.40 ID:dxBUEdQx0
上条当麻は、ビルの外側に設置された螺旋階段をただひたすらに駆け上がっている。
人数が少なくなったら、分散して索敵する方が得策かも。…とコマンダーの指示に従った彼は、この見晴らしの良い建物を選んだのだ。
上条「ったく、…ミスチョイスもいい所だぜ…。見晴らしが良いって事はその分高度があるって事じゃねぇか…!」
通信の切れているインカムに向かって、彼は延々と愚痴をこぼしながら脚を動かす。
その口の動きが余計に体力を消耗させているのだが…、そんな事はまったく意に介さず、数分かけて上条は全ての階段を上り詰めた。
妙な達成感と、それ以上の動悸と息切れに見舞われ、しばらくの間その場で呼吸を整える。
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 01:57:18.08 ID:dxBUEdQx0
「君は生き残りの一人かな…?」
思わぬ場所で声を掛けられた上条は、以前元に収まらない呼吸にリズムに焦りを感じながら、身をこわばらせる。
上条「ど、どうも、すいませんね。先客がいたなんて知らなかったんで…」
一回…、二回と唾を飲み込む上条とは対象的に、目の前の少年は背を向けたまま地上を眺め続けていた。
その様子に不気味さを感じながらも、敵対心の無さに少し安堵する。
「で…、こんな所で? 何をしているのかな」
上条「あぁー…。しいて言や半分任務で、半分サボリって所か」
もっとも、今の自分の体調を考慮すると、サボリたい気持ちが破竹の勢いで快進撃だとつけ咥える。
「なるほど。だったら暫くはここに居ると良い。…下は危ないからね」
こちらに振り向き、少年は微笑む。
しかし、どことなく表情どおりの印象が脳に伝わってこない事に、上条は懸念を抱いていた。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 02:21:18.61 ID:dxBUEdQx0
火薬の弾ける乾いた音が、空を切り裂いた。…と同時に白井黒子の身体が後方に吹き飛ばされる。
黒子「ぐっ…! ほ、本物の実弾…。貴方一体どういうつもりですの…」
じわりと広がる痛覚に必死に抵抗しつつ、黒子は必死に状況を整理する。
上空を索敵していた所で、目の前の少女を見つけた。その首にはチョーカーは巻かれていなかった。
初春の忠告を思い出し、所持の有無を確認しようとした。そこで、一瞬彼女の意識が吹き飛ぶ。
己の右肩から広がった紅の液体を眺めながら、黒子は身をこわばらせる。
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 02:31:01.61 ID:dxBUEdQx0
だがそんな様子を意に介さず、ドレスの少女はゆっくり歩を進め、再び銃口の先を見定める。
「簡単な事よ、その頭を撃ち抜くつもりだったの。流石にここまで生き残るだけあって一筋縄ではいかないのね」
黒子は恐れた。
エアガンでは無く実弾であった事。
一瞬の迷いも無く、身体を撃ち抜かれた事。
しかし、そのどれよりも恐怖に慄いたのは。『寮監の洗礼』を耐え抜いた自分がこうもアッサリと傷を負った。という事実であった。
黒子「やはり修行が足りませんわね。これでは、お姉様…いえ。『コードネームタイガー』に会わせる顔がありませんの」
彼女は素早く制服を結び止血をする。そして、ゆっくりと目を閉じた。今、白井黒子は己に宿る野生を再び目覚めさせようとした。
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 09:35:07.44 ID:0GdW5+bN0
>>218
CV 石田彰
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 14:17:19.61 ID:dxBUEdQx0
訝しげな表情でその様子を眺めていた心理定規。しかし、一息深呼吸を付くと、再び元の余裕の浮かんだ笑みに変化していく。
心理定規「何をするつもりかは分からないけど、問題は無いわね。白井黒子…、貴方は勿論の事、超電磁砲の能力も全て把握しているのよ」
黒子「……超電磁砲。どうやら事前に情報収集はお済のようですわね…」
その言葉に、わずかに動いた黒子のコメカミを見据え彼女は言葉を続ける。
心理定規「そういう事。いくらレベル5だろうと、体力を消耗し弱りきっている所ならば容易く仕留められると思わない?」
黒子「その為に、上位能力者がぶつかり合うこの大会を利用したと…?」
心理定規「さぁ…、それはどうかしらね。そんな事をして私の得になるんだったらね」
黒子「…ぐっ! ふざけないで下さいまし」
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 14:28:35.87 ID:dxBUEdQx0
黒子は激昂しかけた己の精神に抑制を掛ける。このまま会話を続けていても有益情報を得ることは出来ないだろう…、と彼女は思考を切り替えた。
黒子「ただ、一つだけ教えてくださいまし…」
心理定規「何かしら? 聞くだけ無駄だと思うけれどもね」
黒子「貴方が把握しているわたくし達のデータ…。それは恐らく一ヶ月程前ではありませんの? この数の能力者ですもの、そう頻繁に更新されるとは思いませんわ」
心理定規「……それが何か?」
人差し指で自分の前髪を弄りながら、心理定規つまらなさそうに呟く。しかし、その反対に白井は口元に不適な笑みを浮かべた。
黒子「残念でしたわね。机上の計算だけで分かるものではありませんのよ……、わたくし達常盤台寮生は」
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 14:40:22.96 ID:dxBUEdQx0
心理定規「どうせならもう少し上手なハッタリをかましてくれないかしら?心理戦ならば」
開きかけた口を彼女は途中で噤む。そして、頭で考えるよりも先に、銃口を前方に向けた。
黒子「一つ言っておきますわ。この状態になると少し凶暴性が増しますの…」
何故ならば、心理定規は垣間見てしまったからである。彼女瞳の奥に宿る、野生の本能を。
再び目を見開いた白井黒子の姿を。
心理定規「ぐ…、ハ、ハッタリよ!?」
しかし、その言葉とは裏腹に、心理定規は指先は迷うことなく引き金を引く。
それは理性ではなく本能…。彼女の生存本能が無意識にそうさせたのだ。
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 14:47:02.58 ID:3DQuOfRZ0
おのれ魔術師!
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 14:52:16.95 ID:dxBUEdQx0
銃口から放たれた弾丸は黒子に向かって速度を速める。
だが、黒子はテレポートを使うまでも無いと言わんばかりに、表情一つ変えず身体を少し右に傾けた。
心理定規「…なっ! あの距離を紙一重で…!」
そして、彼女は重心を低く落とし、両脚に力を入れた。続けて、全身をバネの様に弾ませ、その身体は前方の空中を駆ける。
黒子「ですのォォオォォッ!!」
心理定規にその獣の咆哮が耳に伝わった時…、黒子の姿は彼女の目前にまで迫っていた。
咄嗟に身をかがめた彼女の頭上に、激しい衝撃音とコンクリートの破片であろう残骸がパラパラと舞い落ちる。
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 15:04:52.79 ID:dxBUEdQx0
白井黒子の突き出した虎狼の一撃。それは心理定規の背後を抉り抜き、コンクリート壁の一部を手に掴んでいた。
もし、あのまま直撃を受けていれば彼女の顔面の肉は8割方持っていかれたであろう。
心理定規「あ、貴方の能力は空間移動じゃ…。まさか突然変異…、いやそれとも多才能力!」
黒子「そのような大層な物ではありませんわ。精神が肉体を凌駕すれば」
心理定規「な、…何を言っているの貴方は…!?」
黒子「だから言いましたの。常盤台寮生は計算では図りきれないと。…寮監のシゴキの中では、この程度初歩ですのよ」
右肩の流血も意に介さず、彼女は細い腕で手に掴んだ欠片を粉末状に砕いていく。
その様子に、心理定規は一言も発することが出来ず、ただその様子を眺めていた。
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 15:16:14.94 ID:ftuZcje/0
面白いじゃん
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 15:27:43.01 ID:dxBUEdQx0
一方通行「さて…、大体片付いたみてェだな」
しばらくの間、ビルからビルへと飛び回っていた一方通行は、身を隠す障害物を見つけると地上に降り立った。
そして、首のチョーカーに手を掛けスイッチを切り替えた後、インカムでの通信を開始する。
だが、その耳に届いた声は、彼が予想していた反応とは違い脳震盪を起こしそうな程に騒がしい物であった。
打ち止め「だから、なんでアナタは人の言う事を聞かないのっ!?、ってミサカはミサカは軍曹気分!」
一方通行「うっせェな。ンなチマチマした作戦俺には向いてねェんだよ」
打ち止め「それじゃあ聞くけど、能力の使用時間は残りどれくらいなの。ってミサカはミサカはバッテリーチェック」
暫くの間頭上に広がる青空を眺めた後に、彼がその問いに答える。
その反応は、今度こそ彼の予想通り。…又しても脳震盪を起こしそうな程に騒がしい物であった。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 15:47:29.27 ID:dxBUEdQx0
心理定規は迷路のように張り巡らされた路地裏を走り、黒子との距離を一定に保っていた。
そして、タイミングを見はからうと、クルリと踝を返し、前方に向かって叫んだ。
心理定規「迷っては居られない…。能力を使わせてもらうわよっ!」
けん制の意もあったのだが、黒子は眉一つ動かさず、静かに捕食の体勢に入ろうとしている。
黒子「…やってみなさいな」
ゾクリと、背筋凍るような感覚に苛まれるが、彼女は精神を集中させ能力を発動させる。
設定距離は、彼女の親しい人間。初春飾利のレベルにまで設定した。
一歩、二歩と歩みを進めていた黒子の脚が、途端にピタリと止まる。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 15:57:13.13 ID:dxBUEdQx0
心理定規「ふ…ふふっ。どうやら混乱しているようね、これが私の能力、メジャーハ…」
黒子「ですのォォオオォォ!!」
背筋を伸ばし、人差し指を軽く突き出しながらポーズを決めようとしていた瞬間。
激しい衝撃音と共に、彼女の頭上30cmに黒子の右手が深々と突き刺さった。
心理定規「……あ、…あれ?」
黒子「オカシイですわね…。今のならば確実にお花畑を抉り取れましたのに」
ブツブツと呟きながら、黒子は空いた左手を彼女の頭上に振り上げる。
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:10:01.05 ID:dxBUEdQx0
心理定規「し、失敗…!?、それじゃ、距離修正。設定値を佐天涙子っ…。これならど」
黒子「でぇすのォォオォォ!!」
軽々と外壁を吹き飛ばし次は、彼女の頭部右15cmに黒子の左手が深々と突き刺さった。
黒子「オカシイですわね…。確かに能天気なお間抜け声が聞こえたと思いましたのに…」
心理定規「ちょ、ちょっと、いい加減にしなさいよ!? アンタ自分の友達なんだと思ってるのよ」
黒子「あら。可笑しな質問をなさいますわね。……貴方はタイガーやジャガーが群れると思っていますの?」
心理定規「……は?」
野生の猛獣白井黒子は、ニヤリと犬歯を覗かせながらそう呟いた。
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:24:28.95 ID:dxBUEdQx0
上条「何の音だ…? エアガンの大会だから、銃声って訳でも無いだろうけど。誰かの能力か…」
屋上の床にへたり込んでいた彼の耳に入ってきたのは、空を切り裂く破裂音。
その正体を確かめようと上条は重い腰を上げ、手すりの方まで歩いていく。
「おや…、もう休憩は済んだのかい?」
相も変わらず虚空を眺め続ける男に、訝しげな表情のまま上条は先程の音に付いて尋ねる。
「あぁ、狼煙だよ。それはね…」
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:33:25.33 ID:dxBUEdQx0
上条「狼煙だぁ…? げ、もしかして隠れてる間に試合が終わっちまったのかよ」
薄っすら額に冷や汗を流す上条を横目に、男は懐から小さな電子端末を取り出す。
「違うな。終わりでは無く始まり…。俺の鋼歯車が動きだす、始まりの狼煙ってやつさ」
上条「メタル…ギア?」
上条が呟いたその刹那。目前に立ち並ぶビル程度の背丈はあろう『モノ』が、…突如前方に出現した。
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:34:42.92 ID:6uuRG9U/O
巨根だな
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:47:10.28 ID:dxBUEdQx0
佐天「ちょ、ちょっと!? どうなってるのさ初春? もしかして、大会の余興ってやつ?」
初春「頼むから、静かにして下さいよ!……対戦車用ミサイルに、6連装小型ミサイル。それに両腕部の機銃。何なんですかこの化け物は」
初春は、口を動かすのも煩わしいと言った感じで佐天をあしらうと、凄まじいスピードで数々のデータバンクにアクセスをしていく。
佐天「ま、待ってよ…。それじゃ今あの場所じゃ、本当にアレが暴れまわってるっていうの!? そんな映画みたいな」
固法「スキルアウトが持ち出すレベルを遥かに超えているわね…。軍事兵器とでも言うの」
鳴り響く携帯のメロディに、初春は片手で瞬時に通話をスピーカーモードに切り替えると、勢い良く机に叩きつけた。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 16:55:20.20 ID:dxBUEdQx0
黒子『アンチスキルは今まで何をしていましたの!? 何故、このような規格外の兵器を開発している事が分かりませんの!」
初春「学園都市も一枚岩じゃないんです…。アンチスキルやジャッジメント嫌っているの研究者は山程います。
彼らが調査に行けば、その人達ががガードしてしまうんですよ!」
狭い室内に、二人の怒号が響き合う。佐天はどうにかこの場を眺めようと思案しながら、モニターから黒子の姿を探した。
だが、いくら視線を動かそうと彼女は一向に黒子の姿は見つけられない。その怒鳴り声ばかりがスピーカーから聞こえてくるのだ。
佐天「あれ…?白井さん今どこにいるの」
ポツリと佐天が呟くと、黒子は「はい?」と反射的に応える。だが、その瞬間携帯電話の通話が途絶えてしまう。
初春「固法先輩、回線を全チャンネルに繋げて下さい! 全ての生徒を安全な場所まで誘導します」
初春の言葉に固法はうなずくと、素早く目の前のキーボードに手を伸ばした。
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 17:07:47.29 ID:dxBUEdQx0
心理定規は黒子の腕を背中に捻り、身体を拘束していた。
黒子「くっ…、悪あがきをしますのね! まだ負けをみとめませんの」
心理定規「ふふ…。私がただ闇雲に逃げていたと思っているの」
黒子「なんですと…?」
心理定規「全て監視カメラの死角を選んでたって訳。気づかなかったかしら」
黒子「何が言いたいんですの…」
心理定規「つまり、この携帯電話が無ければ貴方の助けは誰一人としてこないって訳よ」
息が届きそうな程に黒子の耳元に口を近づけ、彼女はで静かに呟く。
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 17:17:03.83 ID:dxBUEdQx0
黒子「それは同じ事でしてよ…。まだわたくしの力を理解しておりませんようね」
黒子には絶対の自身がある。再び野獣の本能を呼び覚ませば。この状況を覆すことは猫の手を捻るよりも簡単である。
だが、心理定規は不適な笑みを浮かべ、黒子に告げる。
心理定規「えぇ、この身をもって理解させてもらったわ。…貴方が『誰によって』ここまで強力な力を手に入れたかをね」
その言葉に、黒子は額に薄っすら汗を浮かべる。
黒子「ま、まさかアナタは…」
心理定規「関係無いとは思ったけど、一応距離値を調べておいて良かったわ。…やはり机上の計算というのも大切なものね」
黒子「ぐっ! ですのォ…」
拳に力を込め、黒子は精神を切り替えようとした、その瞬間。彼女の全身に激しい悪寒が走った。
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 17:30:23.54 ID:dxBUEdQx0
「ここに居れば恐らくは安全だと思うよ。高レベルをターゲットに設定してあるからね」
呆然とその場に佇む上条に一言告げると、男はゆっくりと階段へと歩を進める。
上条「おい、待てよテメェ…。その装置をそこに置いていけ」
男は上条の言葉に、その脚をを止めるが振り返ろうとはしない。
「どうしてかな…? 言っただろう、ここに居れば安全だって」
その声はこの戦場に置いては不気味なほど穏やかに感じる。だが上条は己の感情を剥き出しにし、相手に向かって吼える。
上条「関係ねぇよ…。だからどうだって言うんだ。俺達の足元にはまだ沢山の人が居るんだぞ!」
「言っただろう…。『出来るだけ』巻き込みたくは無い。多少の犠牲は理想の実現には必要なんだよ」
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 17:40:28.89 ID:dxBUEdQx0
男の背中を見据える上条の耳に、インカムから慌しい声が聞こえてくる。
初春『チーム№62のカミジョーさん、聞こえますか!? 怪我などはしていませんか!』
それは運営委員長からの通信であった。上条は視線を外す事無く一言返事を返す。
初春『今から安全な退路を算出しますんで、指示に従ってください!』
上条「あぁ、頼む。全員必ず無事に避難させてやってくれ…。俺にはまだやる事が残ってるんでな」
初春『…は? 何を言ってるんですか、あの化け物を見てないんですか!』
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 17:58:46.56 ID:dxBUEdQx0
上条「特等席でしっかり見させてもらったさ。コイツはちょっと、この場には無粋すぎるぜ」
初春『……な!』
「だったら?……だったらどうするって言うんだい」
背を向けたままの男に向かって、上条はゆっくりと右手を突き出した。
そして、両目を見開き、周囲の空気が震えんばかりに叫ぶ。
上条「決まってんだろうが! テメェが自分の都合でこの大会を滅茶苦茶にするってんなら…。アイツから笑顔を奪うってんなら!
そのふざけた理想をぶち壊すッ!」
「こんだけ言っても分かんねぇなら、仕様が無ぇよなぁ…! んのクソガキがァァァアァッ!!」
刹那、上条がぶつけた感情を、全て飲み込む程の殺意が跳ね返ってくる。それは白き翼へと形を具現化させ、彼へと襲い掛かってきた。
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 18:11:44.23 ID:dxBUEdQx0
黒子は一人懸命に闘っていた。相手は敵兵でもなく、心理定規でも無い。己に宿る、感情とである。
心理定規「ふふ。どうやら効果はてきめんみたいね。そんなに、恐ろしかったのかしら?貴方の寮監様は」
黒子「ぐ…、動け…動いてくださいまし…」
震える両手に力込めるが、想いも空しく、その手はダランと糸の切れたマリオネットの様に垂れ下がっていた。
心理定規「随分と拍子抜けな幕引きだけど…。仕方ないわよね」
彼女はニヤリと口角を上げると、その手に持った銃を黒子のコメカミへと移動させる。
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 18:23:51.80 ID:dxBUEdQx0
そして、引き金を引こうとしたその瞬間。彼女手元で何の前触れも無く、爆発を起こった。
心理定規「がっ…!? ぼ、暴発…!」
慌てて押させていた左手をゆっくりと離し確認をする。だが、その様子に彼女は疑問を覚えた。
銃と近接していた黒子の頭には火傷どころから、髪の毛一本すら焦げていないのである。
まるで最初から演算をし、爆発起こしたかの様に…。
御坂「どこどいつかぁ知らないけど…。ウチのブラックにそこまでしてくれて、五体満足で帰ると思ってんじゃ無いでしょうね!」
その凛とした声と共に、周囲に電流の渦を巻き起こる。心理定規は慌ててその方向に視線を定める。
そこにはチーム№34コードネームタイガー。御坂美琴が、髪の毛全体の逆立たせながら佇んでいた。
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 18:39:57.04 ID:dxBUEdQx0
心理定規「…あいつも精神が肉体を凌駕しているとでもいうの」
黒子「どうやら、貴方の方がチェックメイトの様ですわね。投降して下さいまし」
だが、彼女はその顔に浮かべた笑みを崩さず、黒子の問いかけに応える。
心理定規「確かに、私でもあの状態の超電磁砲を相手に勝てるとは思ってないわね…」
二人の会話を前に、御坂は悠然と制服のポケットからコインを取り出す。
黒子「ならば…」
心理定規「でも、この状況なら他の選択もあるわね…。貴方を盾にすれば、ここから逃げ切る事をは可能だと思わない?」
そう言い放つと、心理定規は黒子の手を更に強く掴み、御坂の方向へ大きく突き出す。
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 18:48:56.02 ID:dxBUEdQx0
しかし、黒子は動揺する素振りを見せず、淡々とそれに応える。
黒子「分かっていませんわね。その様な事をしても無駄ですのよ。怪我をする前に大人しく…」
心理定規「分かっていないのは貴方の方よ…。私の能力を忘れたのかしら?」
黒子「…な!?」
そこで、黒子の表情が僅かに曇った。そんな彼女達の様子を、御坂は鋭い目で見据えながら、しっかりとコインを構える。
心理定規「確かに超電磁砲は、貴方が人質にされればどの様な方法を使ってでも助け出そうとするでしょう…。
でも、それが貴方ではなく、地面を徘徊する一匹の虫けらだったとしたらどうするかしら?」
黒子は口を噤み、視線を伏せる。…だが、心理定規はさも嬉しそうな表情で続ける。
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 19:03:56.50 ID:dxBUEdQx0
心理定規「いくら貴方を盾にした所で、超電磁砲を前に私も無傷ではいられないでしょうね…。
でも、己の手によって傷ついた貴方を見て、彼女は動揺する。その一瞬を付かせてもらうわ」
そう言った瞬間、御坂の動きが僅か一瞬止まる。その様子に、彼女は満足そうな笑みを浮かべた。
心理定規「さぁ、撃ってきなさい。その無敵の超電磁砲ってやつをね!」
彼女が叫ぶと同時に、御坂はニヤリと口角を上げるとコインを上空へ弾いた。
そして、大きく息を吸い彼女達に向かって吼える。
御坂「黒子ぉおおぉッ! 舌噛まない様にしときなさいよぉおッ!!」」
その咆哮と同時に、前方に一筋の閃光が走る。…だが、閃光が撃ち抜いたのは、白井黒子でも無く、心理定規でも無い。
それは、彼女達の頭上に存在した貯水タンクであった。
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 19:15:20.27 ID:dxBUEdQx0
予想外の出来事に、心理定規の思考が一瞬真っ白になる。
その瞳には、大量の水しぶきを弾きながら、一匹の獣が颯爽と宙に舞っていた。
御坂「確かに、アンタの言う通り超電磁砲は無敵…」
御坂は、自分のサマーセーターに水分が含んだ事を確認すると、勢い良く引き千切った。
そして、その切れ端を鞭の様に扱い、心理定規の腕に叩きつける。
心理定規「ぐっ……!」
呆気に取られていた彼女は、その痛みに黒子を掴んでいた力を緩めてしまう。
御坂はその隙を見逃さす、黒子の身体を掴み、横方向へ突き飛ばす。
御坂「でもね……」
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 19:32:38.80 ID:dxBUEdQx0
心理定規は生存本能からの訴えで我に返る。
脳内が慌しく警鐘を鳴らしている。ここままでは己は目の前のタイガーに、よってその身の全てを食い尽くされてしまうと。
だから動く、生き残る為に。だから足掻く、捕食されない為に。
…しかし、全ては遅すぎた。
まるで、獣が牙を突き立てるが如く。己の頬に彼女の拳が喰い込んで行く。
「寮監仕込みの…」
まるで、獣が肉を貪るかの如く。己の肉が彼女の拳に引き裂かれて行く。
「CQCは……」
獣はこの時点で勝利を確信する。だが、己の骨が彼女の拳に粉砕されて行く。
「 『絶対』 無敵なのよぉぉぉおおおぉおおッ!!」
野生の神獣御坂美琴は犬歯を剥き出し、空高く勝利の雄叫びを上げた。
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 19:39:11.85 ID:kSAeOuyJP
こえーよ
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 19:55:49.39 ID:dxBUEdQx0
御坂「…ふぅ、アンタにしては随分と手こずったみたいね。大丈夫、黒子?」
黒子「お、お姉さまぁ! やっぱりお姉さまは私のマイエンジェルですの!」
黒子は勢い良く御坂の胸に抱きつく。御坂はその身体を優しく受け止めると、ゆっくり黒子の頭を撫でた。
心理定規「ふ、…ふふ。完敗だわ。…その麗しき姉妹愛の前に私の能力は敗れたって訳ね…」
軽い脳震盪を起こしながら、心理定規は自嘲気味に呟いた。
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 20:06:28.92 ID:dxBUEdQx0
黒子「ノン・ノン・ノン。だから言いましたでしょう。アナタは分かっていないと」
心理定規「ど、どういう事よ…?」
黒子「お姉様のわたくしの設定距離値は、大体ホッチキスと同じ位ですもの。
虫けらと同等など喜んでお受けしますわよ」
心理定規「……………は?」
御坂「早く手当てしないと。さぁこっち来なさい」
黒子「あぁ、わたくしのお姉さまがこんなに優しい訳がありませんのよぉ!」
心理定規「ア、アンタね!? 無機物と同じ扱い受けてて、何でそこまで慕えるのよ!」
黒子「簡単な事ですわ。…恋は盲目でしてよ」
軽くウインクする白井を最後に、心理定規は最大限に納得出来ない表情で意識を失った。
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 20:44:46.96 ID:dxBUEdQx0
黒子「…で、そちらの方はどうなっていますの初春?」
初春『大方参加者の避難は終了しましたよ。久しぶりに肩がこりそうですよ…』
御坂「って事は、残りはあのフザケタガラクタをぶっ壊せば終わりって事か」
初春『ですね。出来れば急いで上げて下さい。何人かの参加者は私の指示を無視して足止めに向かってますから』
御坂「うーん…、何となくアイツも参加してる気がするわね」
御坂はポリポリと頭を掻きながら呟く。
初春『もしかして、カミジョーさんですか?』
御坂「……な、なんで初春さんが知ってるのよ」!?
初春「一番最初に私の忠告を無視した人ですものー。私意外と根に持ちますから」
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 20:55:21.23 ID:dxBUEdQx0
『…て、事だからチャッチャとレールガンでぶっ飛ばして来て下さいね。これ以上初春が忙しくなると、ドンドン機嫌が悪くなるよ』
辟易した口調の愚痴を真摯に受け止めると、黒子はインカムの通信を切る。
御坂「さてと、それじゃ佐天さんの為にも急ぎましょうか。黒子テレポートをお願い」
だが手を伸ばした、御坂を遮り、黒子は再びインカムに口をつける。
黒子は待って下さいのと、ジェスチャーで表す。
御坂「今度は誰だったの?」
黒子「寮監からでしたのよ。生徒の避難が完了したので、残りのゴミを片付けてくると一言」
御坂「ゴミ…?あの巨大なガラクタの事かしら」
黒子「さぁ、黒子に言われても分かりませんのよ」
二人は暫しの間その場で、首をかしげていた。
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 21:34:22.42 ID:dxBUEdQx0
黒子達が現場に到着した時、そこには異様な光景が繰り広げられていた。
二足歩行の巨大な戦車を相手にしていたのは、レベル5でも無ければ能力者でも無い。
携帯対戦車火器。その一つで互角以上に戦い抜くアンチスキル+教師であった。
小萌「はいはいー。次は水流カッターが来るんで回避して下さいね」
鉄装「了解ですー。んじゃカウンターでRPGぶち込んじゃいますね!」
その動きは恐ろしく正確で、どちらが機械は分からない程であった。
鉄装「何だか手ごたえ無いですよねぇ。これ難易度EASY位なんでしょうか?」
小萌「いやはや。そう感じるのも全部ネカフェでの特訓のおかげなのですよー」
月詠小萌は懐から自前のガスガン、西瓜割りを目標に向けて振りかざす。
その弾丸は、その名の通り水圧カッターを覆う装甲をいとも簡単に突き破った。
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:04:53.08 ID:dxBUEdQx0
上条「くそ…、多角面から同時攻撃されちゃ防ぎきれねぇって言ってたろうが!」
上条は、目の前に迫る翼を右手で薙ぎ払う。だが、舞い落ちる羽に紛れ、再び新たな翼が突き出される。
その攻撃を必死に身体を捻り回避しようとするが、鋭く研ぎ澄まされた先端は肩に突きささった。
垣根「分かったろう? いくらテメェが粋がろうが、この程度だ。
理想を現実にする為に力が必要だ、テメェ如き三下にぶち壊される程度のチャチィ理想じゃねぇんだよ!」
上条「な、何が理想だよ…。どんなメルヘン妄想してるか分かんねぇけどな…。そんだけの力を持ちながら、何故他人を巻き込む…!」
垣根「この学園都市に取引を持ちかける為に、英知を結集させ創り上げた、鋼歯車の力。
だが、力は他社が認めてこそ意味がある。だから、そいつを実証しなきゃいけねぇんだよ」
上条「その為に、この場を利用したって言うのか…」
垣根「御誂え向きだろう? 確率的にレベルの高ぇヤツのみが残るタイミングを見計らってやったんだ。
無能力者どもの被害も一番少ない。これ以上何を望むってんだ?」
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:22:38.67 ID:dxBUEdQx0
垣根は幻想殺しによって消滅した翼を修復し、悠然と立ちすくむ。
上条は全身にベトベトと纏わり付く血を拭いながら、再び拳を構える。
上条「テメェが、どんな崇高な理想を掲げてるかは分かんねぇ…。もしかしたらそれが正しいのかもしれねぇ。
でもな、お前がそれを望む様に、俺がだって望むんだよ!」
六枚の翼が舞い上がり、再び上条の身体に先端を向けた。だが、彼は意に介せず垣根の目を見据える。
垣根「テメェ如し低レベルの能力者が何を望むってんだろうねぇ。良かったらご教授いただきてぇもんだ」
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:30:09.97 ID:dxBUEdQx0
上条「アイツは今日という日の為に必死に特訓してたんだよ。…俺に引け目を感じながらも、それ以上に楽しみにしてたんだよ。
アイツが笑顔で今日一日終われる事を…、俺は望んでるんだよッ!」
両脚に力を入れ、上条は地を駆ける。振り上げた拳に想いを込め。振り上げる。
垣根「上等ぅ! ならば俺がその望みってヤツを完膚なきまでにぶち壊してやるよォオォォッ!!」
垣根は両手を広げ、全ての翼を振り下ろす。その翼の一つ一つが死神の鎌の如く上条に振り下ろされた。
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:33:43.20 ID:6hRp8APb0
やべぇ
おもすれぇ
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:47:32.96 ID:dxBUEdQx0
地面のコンクリートを深く抉り、辺りに舞い散った瓦礫の粉塵の中で垣根は眉を潜める。
上条の拳、垣根の翼。そのどちらものが互いの身体を突き破ろうとぶつかり合ったはずだ。
しかし、その威力は互いの目前で完全に消え去っていた。
何故なら、常盤台寮監が拳と翼を片手で受け止めていたからだ。
上条は目を丸くして、自分の手を掴む人物を見つめる。
寮監「少年、気持ちは分かるが私に任せてくれないか」
上条「…え? えーと…」
困惑する上条を横目に、垣根は上空に舞い再び翼を棚引かせ狙い定める。
垣根「誰だか知らねぇがなぁァアア! 俺の邪魔をするヤツは例え無能力者でも容赦しねぇんだよ!」
垣根は咆哮と共に、再びその翼を地に振り下ろした。
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 22:55:20.24 ID:dxBUEdQx0
その翼一枚々が一撃必殺の威力を持つ。それが全てが寮監の身体に突き刺さった。
垣根「へっ! 脅かしやがって。所詮テメェら無能力者が束になろうと、絶対的な力の前には嬲り殺されるしかねぇんだよォオ!!」
垣根は続けて、上条の身体を切り裂こうと翼を動かす。上条は右手を突き出し構える。
上条「くそっ!?」
垣根「無駄だって言ってんだがよおお! もう遊びは終わりだ。その右腕から切り裂いてやるよォオォ!」
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:02:10.93 ID:dxBUEdQx0
上条「……うん?」
垣根は上空に浮かんだまま姿勢で動きを止めていた。その額には薄っすらと冷や汗が浮かぶ。
垣根「ぬ…抜けねぇ…。どうなってんだよ、こいつァァ!!?」
半狂乱気味に身体を左右に捻るが、一向に翼はピクリとも動かなかった。
上条「あ、あの。もしかしてこれって…」
上条はゆっくり寮監に近づくと、翼が差し込まれた一箇所を覗き込む。
寮監「あぁ。少し肉に刺さったようだが問題は無い」
未元物質の全ては、寮監の皮膚を切り裂く程度にしか有効では無かったのだ…、と上条は理解する。
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:09:23.78 ID:kSAeOuyJP
なん
だと
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:09:47.39 ID:6uuRG9U/O
寮監に常識は通用しねえ
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:14:28.72 ID:dxBUEdQx0
垣根「ふざけるんじゃねォおおおおおお! 俺はレベル5なんだよォオォ、テメェら無能力者とは違う!
この学園都市の第二位に君臨する、垣根帝督なんだよォオオオオ!!」
垣根は一度能力を解除し、再びその背中から未元物質を出現させる。
だが、寮監は表情一つ変えず、地面を蹴り右手を振り上げながら垣根に飛び掛る。
寮監「それがどうした…。私は寮監だ」
その拳は、垣根の身体を繭の様に包んだ六枚の羽根全てを突き破った。
だが、その威力は垣根の頭部を撃ち抜く直前に、鼻先で止められた。
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:28:13.61 ID:dxBUEdQx0
寮監「どうだ…、まだ続けるか?」
垣根「は……はは……。ぁ…そうだよ、こいつ夢なんだよ…・。目ぇが覚めた時、そんときぁ俺は学園都市第二位なんだよ…」
虚空をボンヤリと見つめたまま、呆然と立ちすくむ垣根。その身体にゆっくりと寮監は近づき口を開く。
寮監「良い事を教えてやろう…。私はまだ変身をあと二回残している。この意味が分かるか?」
…その言葉が最後のトドメとなり、垣根の戦意と野望は深い絶望という深海に飲み込まれていった。
膝から地面に崩れ落ちる垣根帝督を気の毒そうに見つめながら、上条当麻は
上条「敵ながら不幸なヤツ…」
と、ポツリと呟いた。
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:41:31.36 ID:dxBUEdQx0
=ゲームセンター= 大会2日後
御坂「あぁーったくもぅ! ムカツク!ムカツク!トラブル!」ドンドン、カッカッ!
佐天「あはは…、まだ荒れてるんだ御坂さん…」
黒子「怒りたいのは黒子の方ですの…。精神が凌駕していても、解ければそのツケが肉体に一気に回ってくるなんて聞いてませんのよ」
初春「でも、外傷は大分防げてたんじゃないですか?」
黒子「まぁ、お陰で日常生活には問題ありませんが…。折角わたくしのバチさばきをお見せしようと思いましたのに」
佐天「んで、結局アレは何だったのさ? あのデッカイロボット」
初春「あー。あれはですねぇ。メタルギアRAYって言う二足歩行型戦車の名称ですよ」
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:47:45.98 ID:dxBUEdQx0
黒子「メタルギア…?そもそも二足歩行型戦車自体初耳ですのね…」
佐天「あー、なんか私聞いたことあるかも」
黒子「嘘おっしゃいましよ? 何故佐天さんがトップシークレットの軍事秘密を知ってますの」
初春「いえー、別に嘘じゃないと思いますよ」
黒子「…はい?」
初春「だってゲームにでてくる架空のロボットですからね」
佐天「あ、そうそう! ゲームだよゲーム。少し前にクラスで流行ってたんだよねぇ」
黒子「いやいやいや。待って下さいましよ。わたくし達は実際に見たではありませんのよ!」
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/31(日) 23:59:20.76 ID:dxBUEdQx0
初春「だから、自分で作っちゃったんですよ。何の目的か知りませんけど、とんだメルヘン野郎ですよ」
佐天「そいや、いま思うと、行動パターンまでゲームそっくりだったような気がするね」
黒子「…と言う事はあの珍妙な光景は。その事実とゲーム脳が混ぜ合わさった結果だったのですね…」
佐天「うーん、そのメルヘン君も凄いんだか、バカなんだか分かんないね」
黒子「模倣とはいえあれだけの物を造り上げれるんですのよ? ジャッジメントにとっては十分危険人物ですわよ」
初春「ま、それなら当分の間は大丈夫と思いますけど」
黒子「うん? どういう事ですの」
初春「開会宣言の時言ったじゃないですか。もし逆らえばどうなるか」
佐天「そういえば何か言ってたっけ…?」
必死に思い出そうと首を捻る二人を横目に、初春はただニコニコと妖艶な笑みを浮かべていた。
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:06:23.15 ID:BCso7DYp0
=公園=
一方通行「サー!イエッサー!」ビッ
打ち止め「ねぇ、だからあの時何があったの?何で二人とも傷だらけなの?ってミサカはミサカはねっとりじっくりその辺りを」
黄泉川「こぉらぁあ!ナンバー2何やってるじゃん!」ブン
バチコーン!
打ち止め「い、いたぁぃぃッ!?なにするのってミサカはミサカは児童虐待!」
黄泉川「へ、返事はどうした返事は。気合いが全く感じられないじゃん」
一方通行「そ、そうだぜェ…クソチビ」
打ち止め「だから何でその事を聞くと赤くなるの!?ってミサカはミサカはディレクターズカット!」
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:17:21.17 ID:BCso7DYp0
=屋台=
芳川「それじゃ、私達のミッション成功を祝って乾杯ー」サッ
小萌「おじさん塩ユッケをお願いしますよー。…いゃあ、先日のメタルギア戦は盛り上がりましたねぇ」グビグビ
鉄装「ホントですね!まさかオタコンさんまで現れるとは思わなかったですよー」グビグビ
芳川「勿論本名は違うわよ。ま、でも重火器の転用のデータがフェイクであっちが本命だったとはね」
小萌「お陰で先生達は貴重な体験ができて大満足なのですよ」
鉄装「よーし。それじゃ、今日は駅前のネカフェでミッション開始しましょうか!」
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:23:46.64 ID:BCso7DYp0
=アイテム隠れ家 玄関=
浜面「…何、お前らまだ吊るされてるの?」
絹旗「フレンダが超逃げ出そうとするからいけないんですよー!」
フレンダ「一番乗りで失格になったクセに偉そうなこと言われたくないって訳よ! それなら滝壺だって」
滝壺「違うよ。全然違うよ。きぬはたが…」
浜面「あぁ、もう付き合ってらんねぇや…。んじゃ俺行くわ」
滝壺「まって…はまずら」ジーっ……
浜面「な、なんだよ…?」
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:29:40.61 ID:BCso7DYp0
滝壺「…これを解いて欲しいの」
浜面「え…?い、いや…でも俺が後で麦野に…!」
滝壺「…お願い」
フレンダ「こうやって、滝壺をけしかければチョロイもんって訳よ」ボソボソ
絹旗「男ってヤツぁ、超簡単なんですね!」ボソボソ
浜面「うるせぇよ!聞こえてるっつーの。…つかお前ら麦野にあれだけやられて、まだ懲りてないのかよ」
絹旗・フレンダ「それが出来れば最初っから『アイテム』やってない(って訳)(です)よ!」ビッ
滝壺「瞬間、瞬間に生きてるんだよ」
浜面「……へぇ」
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:47:30.38 ID:BCso7DYp0
=スクール隠れ家=
心理定規「な、何よこれ! アドレスを変えた瞬間に不幸のメールって!?
…なんで私がコミケで買ったものまで詳細に書いてあるのよ!」ガチャリ
バッターン!
心理定規「ちょっと、垣根! どうなってるのよ、プライバシーの侵…」
シーン……
心理定規「冷蔵庫ん中に隠れてるんじゃないわよ!」バタン
坦根「テ、テメェェエ、何で分かりやがったんだよォ!? お、俺に近づくんじゃねぇええ!」
心理定規「中身全部外に出してりゃ分かるに決まってるでしょ」
坦根「今度は何を暴きやがんだぁ。小学校の文集かァ!? お菓子のお家で金柑の妖精さんと戯れるのが悪ぃのかァ!
理解してんだよォォオオ!」
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:52:20.67 ID:BCso7DYp0
=駅前=
インデックス「ごめんね当麻。私のせいでまた怪我させちゃって…」
上条「気にすんな。もうとっくに慣れてるってば。傷も大分ふさがってきたしな」
インデックス「でも、お陰で秋沙と二人で生存賞もらえて大満足なんだよ!」ニコッ
上条「あぁ…、だったお前が気に病むことはもう何もねぇよ」ポン
インデックス「ありがとうなんだよ、当麻!」
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 00:56:55.85 ID:BCso7DYp0
上条「しかしまぁ、あれだけドンパチやってて良く最後まで残れたな」
インデックス「うーん。私も良く分からないんだけど。秋沙の近くに居ると、追っ手がみんなどこかに行っちゃったかも!」
上条「…うん。姫神の近く…?」
インデックス「相手が『神の不在証明な訳!?』って叫んでたかも…」
上条「なんだそりゃ…?ますます分かんねぇ…」
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 01:07:01.73 ID:hfUM1rZ0P
おい!黄泉川通行に何があったんだよ!!!!
メルヘン文集ばらすぞ!!
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 01:07:16.05 ID:BCso7DYp0
インデックス「それより、ゲームセンターで特訓が出来るって本当なのかな!?」
上条「あぁ、ガンシューティングが何台か置いてあったからな。…だから、もう室内でサバゲーはしないように」
インデックス「分かったんだよ。特訓が出来るなら何処でもいいんだから!」
上条「やれやれ、最初っからこうすりゃ良かったんだよ」サッ
ウィーーン……
御坂「っがぁああ! あれだけやってTOLOVEゼロってどう言う事よ!!」ドンドッ!ドン、カッカッガッ!
黒子「ちょっとお姉さまぁ。そんなに強くバチを叩くと太鼓が壊れてしまいますのよ」ユサユサ
御坂「ほっといて頂戴よ! それもこれもアイツが私の誘いを…」
上条「………………」クルッ
インデックス「ちょっと、当麻? どうして180度回れ右するのかな」グイッ
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 01:08:19.47 ID:0htVuYzz0
メレオロンか
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 01:42:04.12 ID:BCso7DYp0
佐天「ありゃりゃ、御坂さん走って行っちゃったね」
初春「あー! それじゃ私が太鼓の続きを。……よっ、はっ!」ドドカッ!
黒子「はぁ……。『恋は盲目』と言う事で宜しいのでしょうかねぇ」
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 02:01:54.60 ID:BCso7DYp0
上条「もうサバゲーごっこは勘弁してくれよ!…えーっと大河だっけ?」
御坂「タイガーよッ! つか終わったんだから、もうその名で呼ぶなぁ!」ジジジ…!
上条「コラ電撃は止めろって、傷口が開いちまうだろ!?」
御坂「そんなの、望むところよ! こうなったら無理やりでも開かせて、トラブル看病に持ち込んでやるわ!」バッ
上条「だから、TOLOVEはそんな黒い事しねぇよッ!?」
インデックス「ちょっと当麻ー、特訓はどうなったのかなぁー!」
三者三様。それぞれの想いを胸に、今日も学園都市の一角でトラブルの嵐が巻き起こるのであった。
寮監「ほう、…タイガー相手にこれだけの回避運動。やはりあの少年は見所があるな…」
=おしまい=
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 02:13:42.47 ID:BCso7DYp0
おわたー。最初は黄泉川通行を目指していたはずなのに何故こんな事に
最後のほうはグダり過ぎたんで、色々とカット…。寮監様が書けたのでいいかな
んでは保守と支援ありがとうでした~
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 04:28:07.68 ID:hH/RpaP+O
乙
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 06:37:03.91 ID:DOTh/73l0
乙
上条さんが寮監に鍛えられたら無敵じゃね…?
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 07:50:02.19 ID:BGnixF7m0
おもしろかった
乙
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 07:56:31.65 ID:uxdAIZEGO
面白かったぞ
乙
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 11:27:27.36 ID:FC6ystl90
黄泉川先生ェ…
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 11:47:12.84 ID:gYP7Zb9GO
女共カッケー
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 12:29:33.55 ID:VuCtG5tG0
面白かったよ!!
乙
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 13:02:16.51 ID:mlUfgwKs0
結局黄泉川と一方通行はどうなったんだ……?
最後1レスしか触れられていないが。
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/01(月) 13:45:41.46 ID:oEpAoB1/0
乙!
ハッピーエンドでよかった
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