1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:09:10.12 ID:6O4joy9w0
女神「それとも銀の斧ですか?」
男「お弁当です」
女神「もしかして・・・あれかな?胴の斧とかいっちゃう?」
男「お弁当」
女神「・・・・・・」
男「・・・・・・」
男「食べたんですね?」
女神「いや・・・」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:11:34.07 ID:6O4joy9w0
男「お弁当は?」
女神「そんなものおちてきませんでしたよ」
男「口の周りに食べカスがついてますよ」
女神「・・・!!」ゴシゴシ
男「嘘ですよ」
女神「・・・」
男「・・・食べたんですよね?」
女神「・・・」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:14:29.32 ID:6O4joy9w0
男「ちなみに、何が美味しかったですか?」
女神「からあげです」
男「卵焼きはどうでしたか」
女神「最高です。甘くてフワフワしておいしかったです」
男「そうですか」
女神「はい!」
女神「タコの赤いウィンナーのアレもおいしかったです」
男「いや、僕はお腹が空いてるんですけどね」
女神「・・・」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:16:40.31 ID:z6uSvAit0
かわいいな
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:17:37.34 ID:6O4joy9w0
男「まぁ、どうせ湖に落とした時点で諦めてましたけどね」
女神「すいません」
男「いいですよ。今日は昼飯抜きということで」
男「僕は薪取りの仕事に戻りますから」
女神「あ・・・あの・・・」
男「はい」
女神「あなたは、毎日この森で仕事をしているんですよね」
男「そうですね」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:19:58.46 ID:6O4joy9w0
女神「また明日もきますか?」
男「はい、おそらく」
女神「・・・」
男「・・・」
女神「お弁当、すごくおいしかったです」
男「はい」
女神「本当においしかったです」
女神「この湖の精霊になってから、人間の食べ物なんて食べてきませんでしたから」
男「・・・」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:22:45.87 ID:6O4joy9w0
女神「・・・」
男「・・・食べたいんですか?」
女神「・・・」
男「お弁当が」
女神 モジモジ...
男(・・・)
男「貧乏な僕にとっては、貴重な一食なんです」
女神「はい・・・」
男
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:23:06.65 ID:JtwmdZoa0
明らかに女神が弁当催促するという。。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:24:11.63 ID:s9aN9THAO
なんか牧場物語思い出した
続けて
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:26:06.78 ID:6O4joy9w0
男「・・・まぁ、また手をすべらせてしまうかもしれませんけどね」
女神「ほんとですか!」
男「さぁ・・・」
女神「・・・」
男「じゃあ、僕は仕事があるので、これで」
女神「はい。それではさようなら。人間よ・・・」ブクブク
男(沈んでった・・・)
木こりの男は、薪割りをして家に帰りました。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:28:29.86 ID:cJyXNxsN0
つづけたまへ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:28:35.31 ID:6O4joy9w0
翌日
男 キョロキョロ
男 ミ□ ポチャン
男(・・・)
数十分後
ズゴゴゴゴ
女神「貴方が落としたのは、金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?」ビチャビチャ
男「お弁当です」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:32:43.08 ID:6O4joy9w0
男「また食べてましたよね」
女神「・・・」
男「すぐ出て来ないのは食べてたからですよね。ちょっと一服くらいの間をとってますよね」
女神「はい」
男「どうでしたか」
女神「すごく・・・おいしいです」
女神「お肉の入ったおにぎり・・・よかった・・・ポテトサラダも最高でした!」
男「そうですか」
女神「あ・・・」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:35:28.47 ID:6O4joy9w0
女神「ごめんなさい・・・貴方のごはんを」
男「いや・・・今日は、予備のお弁当を持ってきてるんです」
男「力仕事ですから、すぐにお腹が減りますから」
女神「そうなんですか!」
男「一食失った事には変わりありませんけどね」
女神「・・・」
男「・・・」
男「じゃあ・・・とりあえず僕は仕事に」
女神「それではさようなら・・・人間よ・・・」ブクブク
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:37:08.73 ID:6O4joy9w0
女神「ぶくぶく・・・」
男「・・・」
男 スタスタ
それから男は、毎日お弁当を湖におっことしつづけました。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:41:24.93 ID:6O4joy9w0
ズゴゴゴゴ
女神「あなたが落としたのは
男「お弁当です」
女神「はい。一口カツと、シューマイが絶品でした」
男「もはや悪びれる様子も皆無になりましたね」
女神「すいません・・・」
男「いえ、落とした僕が悪いんですけどね」
女神「ですよね!」
男「まぁ、十分気をつければ絶対に落としませんけどね」
女神「すいません」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:44:55.11 ID:6O4joy9w0
女神「あ、あの」
男「はい」
女神「このあいだの、カレー味の肉団子、美味しかったです」
男「そうですか」
女神「はい」
男「・・・」
女神「・・・」
男「・・・まぁ、またお弁当に入ってるかもしれません」
女神「やったー!」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:47:38.61 ID:6O4joy9w0
女神「あ・・・」
男「?」
女神「美味しいお弁当ですが・・・もしかしてお嫁さんとかが、つくってるんですか?」
男「ああ」
男「いえ、独り身ですから。自分でつくってますよ」
女神「・・・そうなんですか!料理うまいですね!」
男「ありがとうございます」
女神「すごいです、男さん・・・!いや人間よ・・・」
男「神っぽい威厳はとうに失われていますからそういうのいいですよ」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:51:40.44 ID:6O4joy9w0
男「そういえば以前、この湖の精霊になったといってましたが」
女神「はい」
男「もとは、精霊じゃなかったんですか?」
女神「はい、もとは人間でした」
男「そうなんですか。どうして、精霊に?」
女神「・・・身投げ、したんです。この湖に」
男「!」
女神「人間の頃の悲恋を嘆いて・・・この湖に命を落としました」
男「・・・」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:54:41.82 ID:6O4joy9w0
女神「そのままなら彷徨える魂になるはずでしたが」
女神「私の心が清らかな事を他の神に買われて、この湖の守り神にしてもらったのです」
男「自分で清らかとかいっちゃいますか」
女神「メガ純粋ですよ!」
男「そうですか」
女神「・・・」
女神「男さんは・・・人間の頃に愛していた男性に、似ている様な気がします」
男「そうですか」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:55:47.37 ID:cJyXNxsN0
お弁当がおいしい所が似てるんですね
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:56:56.65 ID:A//hbH3vO
精霊&薪割りで、西洋ファンタジーな絵ヅラが浮かぶが、
弁当の内容がおにぎりとかシューマイでそのギャップがたまらん
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 01:57:58.60 ID:6O4joy9w0
女神「・・・でも、身投げの事はもう別にいいんです」
女神「そういう俗世とは切り離された神聖な存在に昇華しましたから!」
男「食欲に関しては俗心を捨て切れていないようですが」
女神「・・・」
男「・・・」
男「・・・また、明日来ます。じゃあ、これで」
女神「おお、人間よ、人間よ・・・」ブクブク
男
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:03:04.73 ID:6O4joy9w0
それから男は、毎日お弁当を湖におとしました。
来る日も来る日も、おいしいお弁当を。
男と女神は、いつも顔を合わせました。
そしてわりかし淡白な会話をしたあと、
男は森へ。
女神は湖へかえってゆくのでした。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:03:57.66 ID:6O4joy9w0
数日後
ズゴゴゴゴ
女神「貴方が落としたのは、お弁当ですね・・・」
男「はい」
女神「あ・・・あれはなんですか!なにかトロッとしたの!」
男「多分かにクリームコロッケだと思います」
女神「ああ、もう幸せです。最高の美味しさです!」
男「よかったですね」
女神「はい・・・良い、良いです」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:04:37.77 ID:Wq8MGluH0
完全に胃袋を握られてる
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:06:18.74 ID:98OkD4h90
クリームコロッケ手作りかよ……
男ハイスペック過ぎだろ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:06:43.62 ID:6O4joy9w0
女神「おお・・・人間よ・・・私は明日が楽しみです・・・」
男「だからそういうのいいですよ」
女神「そういえば、木こりの仕事はどうですか?調子は」
男「まったく稼げませんね」
女神「そうですか・・・」
男「なので、木こりの仕事はやめることにしました」
女神
女神「え」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:08:52.91 ID:qtzU3xOg0
おやおや
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:09:52.42 ID:6O4joy9w0
女神「や、やめる・・・?」
男「はい」
女神「・・・そ、そうなると、この森にくることは・・・」
男「・・・」
女神「・・・」
女神「や、やめてどうするんですか・・・」
女神「最近は再就職とか厳しいし・・・そう簡単に仕事変えるとか溜めた方がいいのでは・・・」
男「そういう現実的な話はちょっとSSにはやめたほうが」
女神「・・・・・・」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:11:23.19 ID:6O4joy9w0
女神「そう、なんですか・・・」
男「はい」
女神「・・・」
男
女神「・・・これから、何をするつもりなんですか」
男「はい。料理屋をやろうかと」
女神「料理屋・・・?」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:14:48.46 ID:6O4joy9w0
男「昔から、木こりは向いてないと思っていました。華奢だし」
男「家業をついでみたものの、どうもしっくりきませんでした」
男「それより好きな事がありました」
女神「それが・・・料理・・・」
男「はい」
男「でも、村や町では料理なんて女のする仕事・・・と割り切られています」
男「いくらか自信もありませんでしたけが」
男「でもある日、僕のつくったものを美味しいといってくれる人が現れて」
男「いや、人じゃなかったかな」
女神
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:14:50.71 ID:qtzU3xOg0
女神のいる料理店とか素敵やん
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:17:38.31 ID:6O4joy9w0
男「あなたに、おいしいといってもらえて、自信がつきました」
男「自分を信じて、料理人になろうと思います」
女神「・・・そうですか」
男「・・・」
女神「・・・」
男「ところで・・・店を出す場所なんですが」
男「この湖畔の、すぐそばにしようかと」
女神
女神「えっ」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:20:20.68 ID:6O4joy9w0
男「他の人に湖に女神が出ると言ってみたものの、誰も信用しませんでしたが」
男「女神の出る湖の店、なんて集客効果抜群だと思うんです」
女神「え。えっ人間よ、人間よ・・・」
男「どう思います?」
女神
女神「・・・――――――いいと思います!!」
男「・・・そう、ですかね」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:23:59.21 ID:6O4joy9w0
男「なので、今日はこの辺りにお店をつくるために」
男「木こりとしての、最後の木材取りの仕事に来ました」
女神「そう、そうなんですか!」
男「ええ」
女神「・・・おおお、人間よよ!!」ポロポロ
男「ははは・・・」
女神は泣きました。涙の粒が湖に落ちて、またそれが湖の一部となりました。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:28:53.49 ID:6O4joy9w0
それから森に、一つのお店が出来ました。
お客が窓から料理をひとつ落とすと、女神が現れるという事で。
女神の湖の店は、大繁盛しました。
お客は奇跡を目の当たりして、なおかつ素晴らしい料理に舌鼓をうって、満足してかえっていきます。
そして、おいしい料理を食べ続けた女神は、少しばかりふくよかになりましたが。
それでも湖と、その店の守り神として。
人々と、そして店の主人に深く愛され続ける事になりました。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:30:22.27 ID:6O4joy9w0
ズゴゴゴゴゴ
女神「おお、人間よ人間よ・・・」
男「やぁ。今日の料理は?」
女神「――――――最高です!!」
めでたし
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:30:45.51 ID:rVa1+XZ90
乙乙
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:31:07.26 ID:6O4joy9w0
てきとうすぎてごめんなさい
しょうどうにかられてやってしまいました
おわりです
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:31:32.35 ID:eq18J1Vl0
そして乙
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:31:39.29 ID:BvmvTSX90
ちょっと湖に弁当投げてくる
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/07/11(水) 02:32:35.75 ID:qtzU3xOg0
おつー
転載元
女神「貴方が落としたのは金の斧ですか?それとも」男「お弁当です」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341936550/
藤井 恵
日本文芸社
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