1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:20:53.40 ID:VthfalXf0
※各国を女の子に擬人化したSSです
イギリス「説明なら淑女であるこの私一人で十分ですわ!」
フランス「えー。でも一人で説明って寂しくないん?」
ドイツ「寂しいやろ? ってわけで、うちも混ぜてーな」
フランス「じゃ多数決とりまーす! みんなで語ったほうがいいと思う人! はい!」
ドイツ「うちもー」
フランス「2対1であたしらの主張の勝利♪」
イギリス(EU離脱しようかしら…)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1486761653
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:21:33.25 ID:VthfalXf0
◆第一次世界大戦について話す理由
フランス「ってか、なんで今になって第一次世界大戦の話するん?」
イギリス「もうすぐ第一次世界大戦から終戦100周年記念ですから。再考するにはちょうどいい機会かと思いまして」
フランス「ふーん。ってか『第一次世界大戦』って文字数多くない?」
ドイツ「そうやね。次からは『World War Ⅰ』の略で、『WW1』って表記使っていこか」
フランス「賛成~」
イギリス「あの…私を差し置いて勝手に話進めないでくれます?」
フランス「えー別にいいじゃん」
ドイツ「せやせや」
イギリス(EU離脱まったなしですわ)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:22:02.37 ID:VthfalXf0
◆WW1の原因論
フランス「けどWW1の何を話すの?」
イギリス「そうですわね…。では、まずは原因から話し始めましょうか」
ドイツ「そういうことならメインゲストつれてきたで~」
オーストリア「え?」
セルビア「え?」
フランス「つれてくるのはっや!」
オーストリア「ええっと…なんで私たちここに召喚されたんです?」
ドイツ「そりゃ、リアちゃんらがWW1を始めた発端やからな」
リアちゃんとは、ドイツのオーストリアに対する呼称である。
セルビア「…そうだったわね。サラエボ事件で、あたしはオーストリアと激突したのよ!!」
※サラエボ事件とは、1914年6月28日にオーストリア皇太子夫妻がセルビア人青年により暗殺された事件である。
これをきっかけとして1ヵ月後の7月28日、オーストリアはセルビアに宣戦布告。WW1が始まった。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:22:50.98 ID:VthfalXfo
◆対立構図
ドイツ「当時うち、リアちゃんと同盟組んでてん。それに巻き込まれてうちも参戦することになったんや」
ロシア「で、あたいはというとセルビアと同盟組んでてよ!! その流れで参戦したってわけよ!!」
つまりオーストリア(ドイツ)VSセルビア(ロシア)の構図である。
イギリス「私とフランスはロシアと三国協商結んでたんで、その流れで私たちも参戦するはめになりましたわ」
そして先ほどの構図が、オーストリア(ドイツ)VSセルビア(ロシア&イギリス&フランス)となり世界戦争へと発展した。
フランス「ってかロシアいつのまにいたの?」
ロシア「ついさっき。ってかこんな面白そうな会議開いてんならあたいも呼んでくれよ!!
東の田舎者だからってバカにしてんのか!? あぁん!?」
そう言ってロシアはフランスの首に手刀を叩きこもうとする。
フランス「うひぃ!? ナポレオン遠征失敗の悪夢が!? 許して! 空母あげるから!」
ロシア「おし、それなら許してやる!! はははっ!!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:23:23.06 ID:VthfalXfo
◆ロシアとセルビアの関係
フランス「許してくれたのは嬉しいんだけど、なんかロシアのテンション高すぎない…?」
ロシア「そりゃおめー、極寒の地だとテンション上げてねぇと体が凍っちまうんだよぉ!!
絶えず足も動かしてねぇと凍るからコサックダンスが生まれたんだ!! 雪国事情知らねぇ奴は引っ込んでろ!!」
フランス「はい」(服従姿勢)
イギリス「ええっと…なんか話が脱線してますわよ?」
セルビア「ロシアお姉さま! ハイテンションキャラもいいけど、今はちゃんとWW1のことを話させて!」
ロシア「す、すまねぇな。妹分に怒られちまった」
ドイツ「ん? ロシアのことお姉さまって呼んでるんかセルビアは?」
セルビア「えぇ。だって同じスラヴ民族のよしみだし、大国で大先輩だし」
ロシア「おうよ。そういうわけで同盟結んでたってのもあるんだぜ」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:23:58.14 ID:VthfalXfo
◆ドイツとオーストリアの関係
オーストリア「そういうことなら…私たちも同じですわよね? ドイツお姉さま」
ドイツ「せやな。同じゲルマン民族やし、リアちゃんはうちにとっての妹みたいなもんやで」
フランス「だから二人は同盟を結んでたってのもあるみたいね」
イギリス「では!」
そう言ってイギリスが手をパンっと叩く。
イギリス「このへんで議長である私が原因についてまとめておきましょうか」
フランス(え、いつ議長になったの?)
イギリス「4年以上も戦争が長期化してしまった原因はドイツやロシアといった列強が巻き込まれたから。
けれど勃発自体の原因は、あくまでオーストリアとセルビアにある。そう結論づけてよろしいかしら?」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:24:30.40 ID:VthfalXfo
◆原因論1(オーストリアとセルビアの戦争責任論)
セルビア「それは…まあそうかもね」
オーストリア「はい。私たちの局地的対立が、こんな大戦争の火種になってしまったのは心が痛いです」
※この2か国が対立していた原因は、東欧地域におけるパン=ゲルマン主義とパン=スラヴ主義の衝突とも言われている。
特にゲルマン系のオーストリアが、1908年にセルビア人が多く住むボスニア=ヘルツェゴビナを併合したことが
セルビア民族主義(スラヴ主義)をおおいに刺激し、それが1914年のサラエボ事件につながったとされる。
ベルギー「ねぇ。ところでさ――」
ロシア「まぁ気にすんなよセルビア。起きちまったことはもうしょうがねーんだ」
セルビア「ロシアお姉さま…」
ベルギー「あのさ――」
ドイツ「リアちゃんもな。必要以上に気にしたらあかんよ?」
オーストリア「うん…」
ベルギー「」
フランス「ちょっと待って。いつのまにか会議に来てたベルギーが何か言おうとしてる」
イギリス「ベルギーさん? 何か言いたいことがあるのかしら?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:25:05.02 ID:VthfalXfo
◆原因論2(ドイツの戦争責任論)
ベルギー「なんかオーストリアとセルビアのせいってなってるけど。私はドイツに文句言いたいのよね」
オーストリア「え、お姉さまに??」
ドイツ「あぁ…その気持ちは分かるんよ? きっとWW1時に中立国だったにもかかわらず、うちに侵攻されたのが嫌だったんよな?」
ベルギー「それもあるけど違うわ! 私は今、原因論について言ってるの!」
フランス「え」
イギリス「戦争が長期化した原因じゃなく、あくまで勃発自体もドイツに責任があると? 興味深いわね。聞かせてもらおうかしら」
ベルギー「…シュリーフェン=プラン」
ドイツ「!?」
ベルギー「この計画、知らないとは言わせないわよ!」
※シュリーフェン=プランとは、ドイツの対フランス・ロシアの二正面作戦を想定した計画のことである。
その内容は、ロシアが総動員令を発動した際に、先にベルギーを侵略・通過してフランス軍を背後から叩き、
早期に対仏戦争に勝利した後、残りの戦力を対露戦争に全投入するというものであった。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:25:38.15 ID:VthfalXfo
◆ビスマルクの前と後で
オーストリア「そんな戦争計画があったんですかお姉さま?」
ドイツ「…認めるで。けど、それがなんでWW1の勃発に関してもうちの責任ってなるん?
有事に備えて防衛計画を練っとくのは、国家の政策としては当たり前のことやと思うんやけど」
ベルギー「そりゃWW1の直前に練ってるんならね。けど、実際はそうじゃないんでしょ?」
フランス「どういうこと?」
ベルギー「この計画自体、1890年からすでに存在してるの。WW1の起こる20年以上前によ。
ずいぶん長期的視野に立った壮大な計画だとは思わない?」
ドイツ「それは…ビスマルクはんが引退しよってな。そんで外交政策が変わったってだけの話やで」
※1890年にドイツ帝国宰相・ビスマルクが引退したことで、それまでのビスマルク体制(フランスを孤立させる)が
崩れかかっていたのが計画立案のきっかけである。味方であったはずのロシアとの再保障条約も更新が途切れてしまい、
そのため本格的にフランス・ロシアを仮想敵国とせざるをえない事情が、シュリーフェン=プランの作成に至らせた。
イギリス「それなら仕方ないんじゃないのかしら。良くも悪くもビスマルクって存在感でかかったもの」
フランス「うん。ドイツの事情も理解できるね」
ベルギー「話はまだ終わりじゃないよ」
10 :
◆RvEEElkvNQ :2017/02/11(土) 06:26:30.69 ID:VthfalXfo
◆予防戦争論
ベルギー「1890年以前から、すでにそういう計画があったとしたら?」
セルビア「…ん? シュリーフェン=プランが存在してるのは1890年からって言ったのはあんたじゃない」
ベルギー「そうよ。だから今から私が言おうとしてんのは、それとは別の似た計画」
オーストリア「別の似た計画?」
ベルギー「…予防戦争論」
ドイツ「!?」
ベルギー「知らないとは言わせないわ! これは1870年からずっとある考え方なのよ!」
※予防戦争論とは、1870年以降に成立した参謀総長モルトケによる戦争論である。
内容は、ドイツは地政学的にフランス・ロシアに囲まれており、将来的にいずれかの段階で
この2国を叩かないことには、ドイツは延々と仏露の脅威にさらされ続けるというもの。
つまり仏露との二正面作戦を想定したもので、後のシュリーフェン=プランとも類似性があった。
フランス「1870年って…ドイツ帝国成立の前年だよね」
イギリス「えぇ。そんな成立当初から持ってたとなると、
単なる一政策じゃなく、もはや国家の意志と見なされてもおかしくない部分はあるかしら」
11 :
◆RvEEElkvNQ :2017/02/11(土) 06:27:21.09 ID:VthfalXfo
◆戦争計画と3B政策の直結
イギリス「そういえば当時、私の3C政策とドイツの3B政策が衝突してたの思い出しましたわ」
※3C政策とは、ケープタウン(南アフリカ)、カイロ(エジプト)、カルカッタ(インド)を結んだ
イギリスの帝国主義政策である。一方、3B政策とは、ベルリン(ドイツ)、ビザンティウム(トルコ)、
バグダード(イラク)を結んだドイツの帝国主義政策。互いに中東地域にて勢力圏がぶつかるものであった。
オーストリア「お姉さまって中東進出に興味おありでしたよね。まさか…」
嫌な予感がして、けれどオーストリアは言葉を続けた。
オーストリア「中東だけでなく東欧も狙っていたのですか?
パン=ゲルマン主義の盟主を、私にとって代わることも考えていたんですか…?」
ドイツ「ま、待ってーな!? その言い方やと、うちが東欧の対立構図を誘発してリアちゃんを貶めたみたいやんか!?」
ベルギー「違うの?」
ドイツ「…ほ、本気で言っとんのか?」
ベルギー「あなたは考えたはず。仏露を叩ける良いタイミングはないか、そして3B政策で中東方面へ進出できないものか。
だったら、同じゲルマン系であるオーストリアが窮地に陥ってたのはあなたには都合が良かったのでは?
妹分を助けるという大義名分で、一気に仏露を叩けるだけでなく、どさくさに紛れて妹分の管轄地域に侵入して
オーストリアから東欧覇権を取り上げて、その上で中東進出することも目論んでたのでは? ねぇそうなんでしょ?」
ロシア「なんかベルギー、探偵みたいだな!? 推理ショーを拝めて最高だぜい!!」(ウォッカをガブガブ飲みながら)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:27:57.92 ID:VthfalXfo
◆陰謀論?
セルビア「お姉さま…さっきからやけにおとなしいと思ってたら、何してるの?」
ロシア「なーんか糞マジメな神妙な議論になってたからよ!
あたいが口を挟めるレベルじゃねーと思って寂しく一人酒してたんだ!!」
セルビア「だから自暴自棄になってウォッカを飲みまくってたと…」
ロシア「そうそう。ま、無言で酒だけ飲むのも一興だけどよ。そこのベルギーの嬢ちゃんが
推理ショーを披露してくれたから、興奮してつい声を荒げちまったんだ!!」
ベルギー「推理とか…そんなこと言われるのは心外なんだけど!? これはれっきとした事実確認じゃない!」
ロシア「…そっか? だってそれ、ほとんど陰謀論っぽいぞ? だったら推理じゃねーか」
オーストリア「あ…ロシアさんもそう思ってたんですか? 私もよく考えたらこの論はおかしい気がして…」
ドイツ「リアちゃん…! 信じてくれるんか!?」
オーストリア「さっきは疑ったりしてごめんなさいお姉さま。
けど冷静に考えたら、ベルギーさんの言ってることには無理があるって」
ベルギー「ちょ、ちょっと! 無理があるってどういうことよ!?」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:28:29.10 ID:VthfalXfo
◆ドイツをめぐる論争
オーストリア「だって、そんなに都合よくいくものなの? お姉さまが東欧の対立構図を誘発したって言うけど
あくまで当時の東欧に近かったのは私。いくらお姉さまとはいえ、変なことしてたらすぐ分かるわ」
ベルギー「変なことしてたじゃない! だってドイツって当時バルカン半島のブルガリアに支援して傀儡政権作ろうとしてたし
あんたの仇敵セルビアにだって…あんたがセルビアに豚肉関税で経済制裁してるとき、ドイツは裏からセルビアに援助してたのよ?
明らかに妹分の勢力圏に侵入して、あれやこれややろうとしてたじゃない!?」
オーストリア「話をすり替えないでねベルギーさん」
ベルギー「な…っ」
フランス(ねぇイギリス)
イギリス(な、なんですの?)
フランス(なんかあたしらが話に入る暇なくない?)
イギリス(…そうなのよね。さっきからタイミング伺ってるんだけどなかなか口を挟めないわ…)
オーストリア「そもそもブルガリアは私の勢力圏じゃないし、セルビアの件だって…セルビアを援助してたのは
ドイツお姉さまだけじゃなく、イギリスさんやフランスさんだってそうだった。というか普通に貿易してただけですよね」
ベルギー「うっ…」
オーストリア「ベルギーさん。あなた、お姉さまが何もかも裏から糸を引いてたって決めつけて考えてるから
お姉さまの行動一つ一つがWW1勃発を誘発するものにしか見えなくなってるんでなくて?」
ベルギー「……」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:29:11.27 ID:VthfalXfo
◆決着?
ベルギー「確かに…客観性を欠いていたかも。この論についてはもうちょっと煮詰めてくるわ…」
オーストリア「分かってくれたのならいいんです」
ドイツ「リアちゃん…うち嬉しいんよ…」
オーストリア「わ!? お姉さま!?」
突然オーストリアに抱きついてくるドイツ。
ドイツ「うちのこと…信じてくれてありがとなぁ…! こんな妹もってうちは幸せやで…」
オーストリア「く、苦しいですよお姉さま///」
フランス(ますますあたしらが入りづらい雰囲気なってるね)
イギリス(蚊帳の外って感じですわね)
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:29:40.55 ID:VthfalXfo
◆文献の紹介
◇WW1におけるドイツの戦争責任論については以下の文献を参考。
F.フィッシャー、村瀬興雄訳『世界強国への野望(英語版『第一次世界大戦におけるドイツの目的』)』、岩波書店、1967年
H.U.ヴェーラー、大野英二・肥前栄一訳『ドイツ帝国1871-1918年』、未来社、1983年
特に後者の書物は、近現代史論争において1980年代にセンセーションを巻き起こした。
ただ、あまりに上層エリートからによる操作性を強調しすぎるあまり、大衆からの自発的運動といった
下からの視点が欠落していたり、また、その後のナチスに見られた権力構造がWW1以前のドイツにもあったはずだ
という結論ありきの手法が批判されもし、90年代以降はこの説を大々的に信奉する学者も影を潜めた。
◇上記のヴェーラーの著書を批判した代表作としては以下の文献を参考。
R.J.エヴァンズ「「西ドイツ社会史派」批判の視点」、R.J.エヴァンズ編、望田幸男・若原憲和訳『ヴィルヘルム時代のドイツ』、晃洋書房、1988年
◇また、以下の2文献も重要。当時のドイツが単純な一枚岩体制ではなかったことを示している。
飯田芳弘『指導者なきドイツ帝国―ヴィルヘルム期ライヒ政治の変容と隘路―』、東京大学出版会、1999年
前田充洋「ヴィルヘルム二世治世下ドイツにおける海軍とクルップ社の関係」、『西洋史学』、248号、 2012年
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:30:23.25 ID:VthfalXfo
◆新たな問題提起
イギリス「静粛に! 議長である私がまとめますわ!」
ロシア「お前、議長だったのか」
イギリス「実はそうなんです。で、まとめますと――」
セルビア「結局、WW1はあたしらに原因があると」
オーストリア「そういうことなんですよね? 皆さん」
イギリス「まとめようと思ってたのに台詞とられた…」
フランス「イギリス、どんまい」
ポーランド「ちょっと待って!」
ドイツ「おぉ。ベルギーと入れ替わるようにして、また新入りが入ってきたやん」
イギリス「…ポーランドさん? 何か言いたいことがおありかしら?」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:30:51.17 ID:VthfalXfo
◆原因論3(ロシアの戦争責任論)
ポーランド「さっきからみんな、なんでロシアに対しては指摘しないのか不思議で不思議で」
ロシア「ん、なんだ? ようやくあたいの出番登場ってか!! 腕が鳴るぜ!!」
セルビア「い、いや、お姉さま。これは何か嫌な予感が…」
ポーランド「つまりロシアにも責任があるんじゃないかって言いたいの」
セルビア「やっぱりそんなこったろうと思った! 勝手なこと言ってんじゃないわよ!」
イギリス(あれ? この流れは…)
フランス(またあたしらが口を挟めなくなる系?)
セルビア「あんた、散々祖国をロシアお姉さまに蹂躙されたからって、言って良いことと悪いことがあるわ!」
ポーランド「そうは言うけどさ、セルビア。あなた、実はロシアにけしかけられてたんじゃないの? 戦争起こせって」
オーストリア「そうだったんですか?」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:31:21.18 ID:VthfalXfo
◆南下政策
ロシア「そりゃー支援はしてたぞ? 同じスラヴ民族のよしみだしな!!」
セルビア「けど言ってしまえばそれだけ。別にあたしがお姉さまの尖兵になってたわけでもあるまいし」
イギリス「いや、信用できませんわ」
フランス(おお、このタイミングでイギリスが口を開いた)
セルビア「どういうことよ?」
イギリス「ロシアは18世紀以降、ずっと南下政策に勤しんでたもの。
それとずっと対峙してきた私が言うんだから間違いないですわ」
※南下政策とは、不凍港を獲得し、海洋進出しようとして南進するロシアの帝国主義政策である。
(民衆視点で言うならば、寒いのは嫌だから南の暖かい地方に行きたいということ)
そしてイギリスは世界のあらゆる場所でこれと対峙した。地中海をめぐるバルカン半島への進出、
イラン・アフガニスタンをめぐる中央アジアへの進出、中国をめぐる東アジアへの進出等。
ロシア「なるほど? つまりバルカン半島を手中に収めるために、あたいがセルビアをけしかけたってわけか?」
ポーランド「そうね。戦争起こったほうが都合いいでしょ?
セルビアの保護って大義名分のもとで、一気にロシア軍を派遣してバルカン半島制圧できそうだし」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:32:10.21 ID:VthfalXfo
◆革命要因
セルビア「なんというか、バカバカしくて聞いてられないわ」
ポーランド「…なんですって?」
セルビア「当時お姉さまがどういう状況にあったか理解しきれてないのね」
ドイツ「そういやWW1前後のロシアって革命が起きそうやったな」
ロシア「そうなんだよ!! あたいの国って無駄に国土がでかいだろ!?
だから万一革命起きたときの危険性考えて、一つの場所に軍隊を集中させるなんてできる情勢じゃなかったんだよ!!」
ポーランド「…?」
セルビア「考えてもみてよ。仮にバルカン半島制圧を目論んでリソースを南東方面に全部割いたとして、
それ以外の場所で革命が勃発したらどうすんの? サンクト=ペテルブルクとかニジニ=ノブゴロドとかさ。
鎮圧する軍隊いないし、遠くにいたら到着するのに時間かかるよね? ただでさえロシアお姉さまの国土って広いんだし。
戦争どころじゃないし国が滅亡しちゃうよ」
ロシア「ま、実際に1917年に革命起こって帝政ロシアは滅亡しちゃったんだけどな!!」
セルビア「笑いごとじゃないよお姉さま!!」
ロシア「そ、そうだな? すまねぇな…」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:32:38.17 ID:VthfalXfo
◆まさかの日本
イギリス「へぇ。じゃあ1914年7月28日にオーストリアがセルビアに宣戦布告したと同時に、
ロシアがすぐに総動員できた理由は何? やっぱりバルカン半島方面に待ち構えてたってことなんじゃないですの?」
ロシア「それは偶然だ!! ってか日本のせいだ!!」
フランス「ここでまさかの日本??」
ロシア「だって1904年の日露戦争で、あたい…極東で日本に敗北しちまったんだぞ!! まあ実質は引き分けだったけど、
そんとき糞なアメリカが訳分からん仲介役申し出やがってよぉ!! あれからもう極東に進出しづらくなっちまったんだよ!!」
ポーランド「…だから東はあきらめて、西のバルカン半島へリソースを割いていた…そういうこと?」
ロシア「そうだよこん畜生!!」
セルビア「これで分かったでしょ? ロシアお姉さまは広大ないろんな場所で、
常に国内要因(革命)や諸外国(日本やイギリス等)の動向に気を揉んでたの。
そんな状態で私をけしかけて、世界戦争をバルカン半島で引き起こしてやろうなんていう余裕があるわけないじゃない」
ポーランド「う…」
セルビア「陰謀論もたいがいにしてよね」
ベルギー「へえ~。国が小さいと侵略されやすくて大変だと思ってたけど、大きすぎてもそれはそれで大変なのねー」(他人事)
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:33:24.28 ID:VthfalXfo
◆コーヒーブレイク
イギリス「まとめますわ。つまりロシアをWW1の原因論に挙げるのは厳しいと」
セルビア「いや、何しれっとまとめてんの!? あんたもポーランドと一緒になってロシアお姉さまを口撃してたわよね!?」
イギリス「そ、そんなことよりお茶にしません? 議論してても疲れますし休息も必要ですわよ?」
セルビア「逃げたな! こいつ逃げやがった!?」
ロシア「別に怒んなくていいぞセルビア」
セルビア「お姉さま…許してあげるなんて寛大な心を持ってるのね。さすが国土が広いだけあって心も広い!」
ロシア「いや、単に酒以外の飲みたかったから。さっきから頭がいてーんだよぉ!!
水かお茶で体内のアルコール濃度下げねぇとやってらんねぇ!!」
セルビア「えぇ…」
ドイツ「なんていうか、ロシアってキャラがぶれんねんな」
オーストリア「面白い方ですよね」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:34:03.69 ID:VthfalXfo
◆水道水
イギリス「どうです? ダージリン、アッサム、セイロン…いろいろ取り揃えておりますわよ?」
ロシア「ミネラルウォーターをくれ!!!」
イギリス「じゃあ水道水を…」
セルビア「待ってよ! あんたのとこの水道水って硬水濃度高いんじゃないの!?」
イギリス「そんなこと言われても、ヨーロッパの水は大体こんな感じですし」
フランス「ですよねー」
オーストリア「じゃ、ここで私の出番ですね♪」
ドイツ「せやな」
ポーランド「…そういえばアルプスから水をひいてるから、オーストリアやスイスは水道水でも普通に飲めるんだっけ」
ベルギー「オーストリア(ウィーン)でカフェ文化が花開いたのも、そういう水道事情も関係ありそうだねぇ」
ロシア「うめぇ!! オーストリアの水道水うめぇ!!!!」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:34:42.86 ID:VthfalXfo
◆原点回帰
イギリス「…さて。休憩も終わったところで話し合いに戻りたいと思うのですが」
フランス「結局何がどうなったんだっけ?」
ロシア「もう忘れちまったなぁ」
ドイツ「…つまり話は振り出しに戻るっちゅーことやな?」
セルビア「WW1の原因はやっぱりあたしたちだと?」
オーストリア「そうなりますねぇ…」
ベルギー「ねぇ。そもそもの疑問なんだけど、
なんでオーストリアとセルビアってそんなに関係悪化しちゃったの?」
セルビア「そりゃ1908年にセルビア人の多いボスニア=ヘルツェゴビナを
オーストリアが勝手に併合しちゃったからよ!」
ベルギー「それは知ってるんだけどさ。
それだけで世界大戦になるとも考えにくいし、もっと前から伏線はあったんでしょ?」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:35:22.39 ID:VthfalXfo
◆新たなメンバー登場
オーストリア「はい…国内統治が…ちょっと…」
ハンガリー「それ説明するには当時のオーストリア=ハンガリー帝国の基礎構造を言わないとね!」
フランス「誰?」
ドイツ「急にわいてきよったな」
ハンガリー「扱いひど!? ほら、今は独立国だけど、昔はオーストリアの片割れだったハンガリーです!」
オーストリア「ハンガリーちゃん久しぶりですね。1918年に別れて以来…元気だった?」
ハンガリー「うん! 元気でやってるよ!」
フランス「片割れってどういう意味? 詳しく聞かせてほしいな」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:36:11.98 ID:VthfalXfo
◆複雑すぎるオーストリア=ハンガリー帝国
ハンガリー「うちら、1867年に親友になったんだよね」
オーストリア「うん♪」
フランス「どゆこと?」
オーストリア「つまりハンガリーちゃんを自分と対等な存在と認めて、合体することに決めたんです」
ハンガリー「だからこそのオーストリア=ハンガリー帝国って名前なわけ」
イギリス「…なんでくっついたんですの?」
オーストリア「それは…当時私って多民族国家だったからです。
ドイツ人以外にもハンガリー人(正式にはマジャール人)、チェコ人、スロヴァキア人、スロヴェニア人、
クロアチア人、セルビア人、ポーランド人、ウクライナ人、ルーマニア人…いろんな人がいて」
ベルギー「多すぎぃッ!!?」
オーストリア「はい。それで、私たちドイツ人の次に当時多かったのがハンガリー人だったから、
人口第1位と人口第2位で協力して国を治めようとしたんです」
ドイツ「…ちょっと気になったんやけど。その人口第1位のドイツ人と
人口第2位のハンガリー人を合わせたら、全人口の何%を占めたんや?」
オーストリア「40~50%の間くらいです」
フランス「!? 第1位と第2位合わせても過半数に届いてなかったん!?」
イギリス「やばいくらいの複合多民族国家だったのですね…」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:36:59.48 ID:VthfalXfo
◆少数民族への扱い
セルビア「今は人口比なんて関係ない!! 問題はオーストリアがドイツ人やハンガリー人以外の
少数民族…私たちセルビア人も含めて、そういう人たちを国内で弾圧し続けたから世界大戦に――」
ドイツ「せやろか? なら、証人つれてくるで」
チェコ「どうも。チェコ人です」
フランス「おぉ、当時オーストリアの支配下にいた人だ。西スラヴ人だね。扱いはどうだったの?」
チェコ「実際、最初の頃はイライラしたよ。自治権もろくにないわ不自由だわ」
セルビア「でしょ!? こんな国だから、あたしたちをはじめとしたスラブ民族に敵意を向けられ――」
チェコ「けど、それも本当最初だけの話。その後は小学校でもチェコ語が使えたり、
役所でも州の行政機関だとチェコ語で応対してくれたり、軍隊でも連隊内での会話には母語がOKだったり…」
セルビア「え…。な、何言ってんの!? だってチェコさ…言ってなかった?
オーストリアの支配下が嫌だから独立するんだって。そういう諸民族の反乱もWW1の原因に――」
チェコ「は? そっちこそ何言ってるの? 確かに自治権がほしいとは言ったけど、
独立を望んだことはないんだけど…あったとしても大戦の本当に末期くらいの話だよ」
フランス「話聞いてると、オーストリアってそれなりに寛容ではあったのね」
※WW1末期にいたるまで、オーストリア=ハンガリー帝国の中で
独立を志向した民族運動はほとんど存在しなかった。以下の英語文献はそれを指摘している。
Z.A.B.Zeman,The Breakup of the Habsburg Empire 1914-1918,Oxford Univ.Press,London,1961
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:37:49.38 ID:VthfalXfo
◆ドイツという怪物の下で
ドイツ「さすがうちの自慢の妹っ! リアちゃんは優しいからね~」
ポーランド「そうですよね。ドイツがひどいからますますリアちゃんとこは居心地よかったのよね」
ドイツ「え…?」
突然自分に矛先が向いたことに驚くドイツ。
ポーランド「忘れたとは言わせない。当時ポーランド人が支配下に置かれてたのはオーストリアだけじゃない。
ドイツだってそうだった。けどこっちはカトリック弾圧とかいう名目で植民者たちに土地取られたりでひどかったわ…ッ!!」
ドイツ「ま、まぁ…そんなこともあったねんな?」
オーストリア「え…。お姉さま、そんなことやってらしたんですの…?」
ドイツ「待って! 他の人には嫌われてもリアちゃんにだけは嫌われたくないッ!!」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:38:33.15 ID:VthfalXfo
◆ロシアという怪物の下で
ロシア「おうおう!! どうやら姉と妹じゃ、ずいぶん少数民族への対応も違ったみたいだな!?」
ウクライナ「うっさい! ロシアだって糞くらえよッ!」
ロシア「!?」
イギリス(また突然新入りが増えましたわ…)
ウクライナ「ロシア領での暮らしがひどくて生きていけなかったくらいだし…ッ!!」
ポーランド「私だってそう。天災や飢饉が発生してもロシア政府は何もしてくれないし、
それと比べたらオーストリア領のがはるかによかった」
チェコ「…そういえば当時のポーランドって国土がロシア領、ドイツ領、オーストリア領に分割されてて
めっちゃ複雑な状況だったっけ。3つの国の統治の仕方を見て、それぞれ比較できたのね」
※当時、ポーランド、ウクライナ、チェコ、スロヴァキアといった国々は
西はドイツ、東はロシアという軍事大国に囲まれていた。そしてこのとき、ちょうどその中間に位置していたのが
オーストリア=ハンガリーであった。仮に少数民族が独立したところですぐに隣のドイツやロシアに潰されてしまう…
ならばその緩衝地帯としてのオーストリア=ハンガリーに敢えて身を置くのも、当時としては一つの選択肢だった。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:39:17.55 ID:VthfalXfo
◆文献の紹介 その2
◇オーストリア=ハンガリー帝国(ハプスブルク帝国)の通史については以下の文献を参考。
A.J.P.テイラー、倉田稔訳『ハプスブルク帝国 1809-1918』、筑摩書房、1987年
G.シュタットミューラー、丹後杏一訳『ハプスブルク帝国史―中世から1918年まで』、刀水書房、1989年
◇特に、以下の文献は同国の多民族統治をメインに扱っている。
大津留厚「バルカン戦争と戦時動員法の成立―オーストリア1912」、『東欧史研究』、14巻、1991年
大津留厚『ハプスブルクの実験―多文化共生を目指して』、春風社、2007年
野村真理「恩讐の彼方―東ガリツィアのポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人」、『近代ヨーロッパの探求10 民族』、ミネルヴァ書房、2003年
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:40:04.08 ID:VthfalXfo
◆なぜオーストリア=ハンガリー帝国は滅んだのか
セルビア「そんなのおかしいわ!!」
ポーランド「まだセルビアは抗議するつもり?」
セルビア「だって本当に居心地がよかったなら、なんでオーストリア=ハンガリー帝国は
WW1の後にすぐ解体しちゃったの? 本当に良い国だったら解体しないはずよね!?」
ドイツ「そりゃ戦争に負けたからやで。うちもWW1に負けて滅んで、ワイマール共和国なったし」
ロシア「あたいも、負けたわけではないにしろWW1の最中に起こったロシア革命で帝政滅んだしな!!!」
セルビア「…つまり内因ではなく、戦争という外因で無理やり滅ぼされたと?」
アメリカ「そうだねHAHAHA。そもそも私が民族自決原則なんて唱えたから、オーストリアは解体したんだし♪」
ロシア「また突然の新入りかよ」
フランス「いやいやいや!? 今回は新入りといっても超大国だよこれ!?!」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:40:54.48 ID:VthfalXfo
◆民族自決という米英仏の思惑
アメリカ「多民族国家は時代にもうそぐわないって、当時の大統領であるウィルソンが言ったのね♪」
オーストリア(それをまさに多民族国家のアメリカが言っちゃうんだから驚きですよねぇ…)
アメリカ「チェコ人はチェコ人だけの国。ポーランド人はポーランド人だけの国って感じにね。
だって他民族に支配されるなんておかしいでしょ? だから自分たちだけの国作っていいよ~♪って」
ロシア「本当ヘドが出るぜ!! この糞アメリカ、偽善者ぶりやがってよぉ!!
そうやって本当の狙いは、自分たちの傀儡国家…という名の防波堤を中欧・東欧に作ることで
あたいやドイツのことを監視したかっただけだろーがよ!?」
ドイツ「ついでに言えばイギリスやフランスもアメリカと同じ思惑だったはずやんな。そうやろ?」
イギリス「な、なんのことでしょう?」
フランス「知らんよ? アメリカが全部やったことであたしは知らんよ?」
ロシア「けっ!! とぼけやがってッ!!」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:41:46.14 ID:VthfalXfo
◆そのときオーストリアは
セルビア「話をごまかさないで! 今は民族自決のことはどうでもいいの!」
ポーランド「まだ何か言いたいことあるの? セルビアも粘るねぇ」
セルビア「どんな理由があったって、1914年7月28日に私に宣戦布告してきたのはオーストリアでしょ!?
オーストリアの当時の指導部が戦争を決意さえしなければ、WW1も起こらなかったってことじゃない!」
オーストリア「それについては…まさにその通りだと思います」
ロシア「冷静そうなオーストリアにしては珍しいよなぁ。よっぽど頭に血が上ったのか? おぉん?」
ドイツ「そりゃ皇太子夫妻が暗殺されたんやで? 怒る理由としては十分やろ」
オーストリア「……」
ドイツ「なぁ。リアちゃん」
オーストリア「! は、はい。なんでしょう??」
ドイツ「相手に遠慮するのもええけど。言うべきときは言わなあかんよ?」
オーストリア「お姉さま…」
少し考え、そしてオーストリアは口を開く。
オーストリア「…分かりました」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:42:35.38 ID:VthfalXfo
◆大セルビア民族主義
オーストリア「あのとき私は…1912年のバルカン戦争以降、
なるべくなら戦争を回避しようと、常にバルカン諸国と交渉してました」
セルビア「え…?」
ポーランド「そうだったんだ。でも結局うまくいかなかったと?」
オーストリア「はい…ルーマニアさんやブルガリアさんが予想外の動きを見せて、翻弄されて…」
イギリス「分かりますわー。当時のバルカン半島ってめちゃくちゃでしたもの」
フランス「うん。バルカン諸国がまとまったかと思えば決裂したり、互いに戦争ふっかけたり…」
セルビア「……っ」
ウクライナ「お? もしかしてセルビアにもその覚えがあるってか?」
ベルギー「覚えがあるも何も、その頃って領土拡張を狙った大セルビア民族主義が過熱してたものねぇ」
ロシア「で、結局はセルビアが一人勝ち状態になったんだったか!? すげーよなおい!!」
セルビア「……」
ロシア「おいおい、褒めてやってんのに反応なしかよ。どうしたんだセルビア?」
セルビア「あたし…知らなかった」
フランス「ん?」
セルビア「実際はオーストリアが戦争回避に奔走してたなんて…」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:43:19.74 ID:VthfalXfo
◆バルカン半島はヨーロッパの火薬庫
◇1912年~14年にかけてのヨーロッパ諸国間の交渉過程については以下の文献を参考。
馬場優『オーストリア=ハンガリーとバルカン戦争―第一次世界大戦への道』、法政大学出版局、2006年
この文献は、いかにして短いスパンでバルカン諸国や列強にオーストリア=ハンガリーが翻弄され、
そのたびに外交政策の変更を迫られたかを如実に語っている。
また、サラエボ事件の直前まで戦争回避に努めようとしたのはオーストリア=ハンガリーだけでなく、
ドイツ、ロシア、イギリスといった列強にもそういった見解を持った上で行動していた政府関係者の姿を確認できる。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:44:13.47 ID:VthfalXfo
◆バルカン半島はヨーロッパの火薬庫 その2
◇さらに、当時のバルカン半島がいかに多言語・多宗教・多民族に富んだ社会だったかは以下の文献を参考。
佐原徹哉『近代バルカン都市社会史―多元主義空間における宗教とエスニシティ』、刀水書房、2003年
セルビア、ギリシア、モンテネグロ、マケドニア、ブルガリア、ルーマニア、アルバニアetc…
そんな宗教・言語・民族意識の多層社会であるバルカン半島にて何か事件(戦争)が起こったら――
それがどういう影響をもたらすのか? どの程度まで影響を及ぼすのか? どこまで連鎖するのか?
それはオーストリア=ハンガリーにもドイツにもロシアにも、誰にも正確には予想がつかなかったし、
近接する国々は常に安全保障上の危機にさらされていたといっても過言ではなかった。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:45:00.12 ID:VthfalXfo
◆そのときセルビアは
セルビア「あのときあたしは…ブルガリアから領土奪って拡大したり、
アドリア海やアルバニアに進出しようとした。冒険主義みたいなところがあったのは認める。
そのことが、もしかしたらかなりの危機感をオーストリアに与えちゃってたのかもしれないわね…」
オーストリア「いや…いいんです。結局は1914年にあなたに宣戦布告したのは私。究極的な原因は…私にある」
セルビア「でもさ。あんただって長期の大戦争を企図してたわけじゃなかったのよね?
あたしとの戦争も、あくまで短期の局地戦を想定してのことだった…そうなのよね?」
オーストリア「…はい」
イギリス(ま、戦争の長期化に関しては大体ドイツとロシアのせいですわねー)
他人事のように思っていたイギリスであった。
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:45:45.81 ID:VthfalXfo
◆a series of intermeshing dynamics
◇WW1に関する以下の英語文献がある。
Christopher Clark,The Sleepwalkers;how Europe went to war in 1914,London,2012
この文献の中で、Clarkは「WW1勃発において、その責任を特定の国家や集団に負わせることはできない」とし、
「ヨーロッパ各国首脳の意志決定を引き起こしたのは、a series of intermeshing dynamics(錯綜したダイナミクスの連鎖)」
であると指摘している。
つまり、誰かが裏から糸を引いてWW1を誘発したというよりは、誰もが訳が分からないまま、
気づけばWW1という長期の世界戦争に引きずり込まれていたという見方が、ここでは示されている。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:46:33.86 ID:VthfalXfo
◆部屋に入れない
そんな会議の様子を遠方から眺めていた一人の女性がいた。
イタリア「……」
イタリア「よし、逃げよう」
そして会議に混ざることなく、あっけなく逃走を決意するイタリアだった。
イタリア(だって、私が混ざると余計ややこしいことになりそうだもんね~。帰ってパスタ食べよっ)
トルコ「待つんやよ」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:47:23.44 ID:VthfalXfo
◆突然のトルコ
イタリア「ぬわー!? いつのまに背後に!?」
トルコ「何かあったらすぐヘタレて逃げようとする。だからイタリアは戦争に弱いんやよ~」
イタリア「うっさい! 1911年のイタリア=トルコ戦争で私に敗北したあんたに言われたくないわ!」
トルコ「だってあのときのうち、青年トルコ革命で混乱中やったし、何より――」
イタリア「…何より?」
トルコ「人類史上初の飛行機による空爆をうちにしたやろ? そら卑怯やわぁ…」
イタリア「ふん! それも戦術の一環ってやつよ! イタリアだって本気出せば強いのよ! …たぶん」
トルコ「ってか気づいとる? この戦争のせいで、一気にバルカン半島情勢が不穏になったの」
イタリア「……」
トルコ「ま、その自覚があるからさっき逃げようとしたんやろうけど」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:48:14.86 ID:VthfalXfo
◆イタリアの地味な責任
そもそも、なぜ1912年以降、バルカン半島情勢は一気に緊迫化し出したのか。
それは前年の1911年に勃発したイタリア=トルコ戦争を無視して語ることはできない。
◇イタリア=トルコ戦争
当時、青年トルコ革命で混乱中だったオスマン帝国(トルコ)を見て
好機と感じたイタリアはオスマン帝国領だった北アフリカのリビアへと攻め込んだ。
結果、リビアの支配権を奪い取り、イタリアは勝利した。
◇新たな戦争の火種に
当時のバルカン半島は近世以降、以前としてオスマン帝国の勢力圏にあった。
ゆえにイタリア=トルコ戦争の結果を見て、セルビアやブルガリアをはじめとしたバルカン諸国は思ったのである。
「イタリアに敗れるくらい弱体化した今のオスマン帝国ならば、自分たちでも勝てるのでは?」と。
そういう認識も手伝ってバルカン諸国が一斉にオスマン帝国へと襲いかかった。
世にいう1912年に勃発したバルカン戦争であった。
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:49:04.69 ID:VthfalXfo
◆トルコのリアル事情
イタリア「と、とにかく私は帰るの! 邪魔しないでよね!」
トルコ「まあ別に無理に止めはせんけど」
イタリア「…っていうか。あんたこそ会議に参加してないじゃない。
もしかして私と同じく、ずっと遠くから見てたんじゃない?」
トルコ「そうやよ」
イタリア「何か理由でもあるの?」
トルコ「だってうち、イスラムやし…」
イタリア「あぁ…」(察し)
トルコ「20世紀に入ってうち頑張ったんよ? アラビア文字廃止してアルファベット導入したり
イスラム法じゃなく世俗法を導入したり…これでもかってくらい西洋文明取り入れて近代化して…
そこまでしたら認めてくれるかも思うたのに、結局EUには入れてくれへんかった…」
イタリア「まぁ…EUってキリスト教文化を共通項としてまとまってるとこあるからね…。どんまいどんまい」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:49:52.12 ID:VthfalXfo
◆イタリアのリアル事情
トルコ「そういうわけで、あの中に入るのが場違いな感じして、遠くから見てたんよ」
イタリア「ふーん。じゃあ一緒に帰る?」
トルコ「それもええなぁ」
イタリア「…実を言うとさ。私もちょっと、さっきの理由とは違った意味で居づらくて」
トルコ「そうなん?」
イタリア「うん。なんつーか、今イタリアって経済やばくて…
ギリシアやスペインと一緒にEUのお荷物組にされてんだよね。そういうわけで、
ドイツやフランスが私に緊縮財政策をやれって…そんな恫喝のごとく声がもう何度も何度も――」
トルコ「…えっと、もっと分かりやすく言ってくれへん?」
イタリア「つまり!! なんか肩身が狭いのよぉぉぉっ!!」(涙)
トルコ「だ、大丈夫!? ハンカチあげるから、これで涙ふき?」
イタリア「う…う…っ、あ、ありがとぉ…っ」
思いもよらぬところで仲が深まったイタリアとトルコであった。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:50:41.29 ID:VthfalXfo
◆円満END...?
ロシア「もうやめようぜ!!!!!!」
場面は戻る。オーストリアとセルビアがしんみり話していたところ、
ロシアのドでかい絶叫が響き渡った。
ロシア「こんな不毛な議論もうやめねぇか!? 誰のせいとか言ってもキリがねぇ!!!
少なくとも、勃発原因を誰か特定の一人のせいにできるもんじゃねぇって、もうみんな分かってんだろ!!?」
イギリス「そう…ですわね。いろいろ議論して分かりました」
フランス「よし。じゃあいっそWW1は無かったことにして、みんなでパーっと飲みにいっちゃう?」
チェコ「いや、それはそれで極端すぎない!?」
ベルギー「そうだよねぇ…」ゴゴゴゴゴ
ポーランド「なかったことにはできないよねぇ…?」ビキビキ
ドイツ(あ、あれ? なんか嫌な予感がするんやけど…)
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:51:50.10 ID:VthfalXfo
◆大戦中の責任論 ―ドイツの場合―
ベルギー「勃発を特定の誰かのせいにできないことと、大戦中に好き勝手されたことは全くの別問題だよね…?」
ドイツ「えっと…中立だったのに侵攻されたこといまだに怒ってる…んかな?」
ベルギー「とぼけてんの? それだけならまだしも、どさくさに紛れて10万人以上のベルギー人に強制労働させたよね?」
ロシア「おいおいおい!! マジかよ!? WW2のときも各国に狼藉働いたって言うが、そんときと同じじゃねーか!!!」
ポーランド「そうだよね。ナチスの戦争行為はドイツ史における特殊現象だったって説もあるらしいけど、
よく調べてみたら結構近いことWW1のときもしてんだよね。むしろWW2はその経験が引き継がれただけなんじゃないの」
チェコ「なんとか言えや! オラ、ドイツさんよぉ!!」
オーストリア「お姉さまが裏で…そんなことを…っ」
ドイツ「待って!! 他の人はうちを嫌ってもリアちゃんだけは嫌わんといてぇ…っ」
※戦時経済下の労働者として、ドイツへ強制連行された58,000人のベルギー労働者がいたこと。
そして、それとは別の62,000人のベルギー市民が西部戦線の裏で労働を強いられた事実を、以下のドイツ語文献は指摘している。
Jens Thiel,'Menschenbassin Belgien':Anwerbung,Deportation und Zwangsarbeit im Ersten Weltkrieg,Essen,2007
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:52:43.58 ID:VthfalXfo
◆大戦中の責任論 ―ロシアの場合―
ウクライナ「ってかロシアも人のこと言えねぇんだよ!! 下手したらもっと、いや、数倍も悪質だよッ!!」
セルビア「何言ってんの!? ロシアお姉さまを責めないで!」
ポーランド「いや、それは無理。だってWW1のどさくさに紛れて私らロシアにボコボコにされてさ。
ロシア国内・国外含めて発生した難民と、強制連行された人合わせて600万人超えてるし」
フランス「600万!? なんだって!?」
イギリス「いくらなんでも多すぎですわ…」
セルビア「それは本当なのロシアお姉さま!? 本当だったらさすがにドン引きというか…」
ロシア「い、いや、そんな記憶は…ないようなあったような…? そうそう、ウォッカで酔ってたから覚えてない!」
ウクライナ「最低ー」
ポーランド「ソ連時代の強制連行や粛清がひどかったって言うけど、今思えばあれは共産主義云々の問題じゃなくて
そもそもロシアっていう国家自体がそんな特徴持ってたのかなぁって考えさせられるよね」
ウクライナ「うん。帝政ロシアの時点でもうこれだし」
※このWW1におけるロシアの国内・国外含めての狼藉については、以下の二つの英語文献が指摘している。
Peter Gatrell,A whole empire walking:refugees in Russia during World War Ⅰ,Bloomington,IN,1999
Eric Lohr,Nationalizing the Russian empire:the campaign against enemy alies during Warld War Ⅰ,Cambridge,MA,and London,2003
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:53:47.48 ID:VthfalXfo
◆文献の紹介 その3
WW1やロシア革命前後にかけて、東欧諸民族が被支配者として
どのようにドイツやロシア(ソ連)に扱われていたのかについて論じた文献を紹介。
◇東欧諸民族全般
青木節也「少数民族の歴史と現在」、『ロシア史研究』、29巻、1979年
◇ポーランド関連
山本健児「20世紀初頭におけるルール地域鉱工業都市のポーランド人」、『経済志林』、65巻1号、1997年
松家仁『統制経済と食糧問題―第一次大戦期におけるポズナン市食糧政策』、成文社、2001年
今野元『マックス・ヴェーバーとポーランド問題―ヴィルヘルム期ドイツ・ナショナリズム研究序説』、東京大学出版会、2003年
川名隆史「ロシア革命期のポーランド―政治・社会状況概観(1917-1918)」、『東欧史研究』、8巻、1985年
早坂真理『革命独裁の史的研究―ロシア革命運動の裏面史としてのポーランド問題』、多賀出版、1999年
◇ウクライナ関連
中井和夫『ソヴィエト民族政策史』、御茶の水書房、1988年
光吉淑江「ウクライナの民族運動とヴォロディミル・ヴィンニチェンコ」、『ロシア史研究』、54巻、1994年
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:54:36.68 ID:VthfalXfo
◆ ドイツとロシア
ロシア「あたいはもう帰るッ!! こんな会議来るんじゃなかったぜ!!
やっぱ東の田舎者は奥地に引っ込んどくに限るなおい!!!」
ドイツ「自分で自分のこと田舎者って言うんかロシアは…」
ロシア「お、ドイツ。お前も一緒に帰るか?」
ドイツ「何言うてんねん。うちをシベリア送りにする気?」
ロシア「そうは言ってねぇ!! ただお前WW2のとき言ってたろ!? ロシアや北極海はゲルマン民族の生存圏だってよ!!」
ドイツ「いや…それ実行したらまた独ソ戦の二の舞やで? ってか、うちはもう戦争には疲れたんや…そんなことはもうせんよ…」
ロシア「そっかぁ。ま、あたいも誰かを殴りたいって気分でもねぇしな。飲むか?」
ドイツ「そういうことなら、うちのほうは黒ビール持っていくで。朝まで飲み明かそうや」
ロシア「いいねぇ!! 酒好きはこうでなくっちゃーなぁ!!!!」
なぜか友情を育むドイツとロシアであった。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:55:26.45 ID:VthfalXfo
◆会議終了...?
イギリス「なんというか今回の会議はいろいろ収穫がありましたわ」
フランス「? WW1の勃発責任を特定の誰かに押しつけることはできないってこと?」
イギリス「それもですけど、改めて分かりましたの。ドイツとロシアの野蛮さが」
フランス「あー、うん。いろいろやらかしてるの分かったからね」
イギリス「まったく…仮にも過去、帝国主義国家として同じく肩を並べてた者同士として恥ずかしい限りですわ」
そのときだった。
アイルランド「失礼します…」
インド「どうも…」
イラン「……」
パレスチナ「……ッ!!」
イギリス「あら? もう会議は終わりましたわよ4人とも。
…えっと、中東組の二人がにらんでて何か怖いのですが…」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:56:32.48 ID:VthfalXfo
◆嘘をつかれたの私だッ!!
アイルランド「イギリスに嘘をつかれたの私だッ!!」
インド「同じく!!」
パレスチナ「同じく…ッ!!」
イギリス「あ、あの!? なんで急に怒ってらっしゃるんでしょうか…?」
イラン「自分の胸に手を当ててよく考えてみなよ…イギリスさん…ッ」
アイルランド「なんか自分だけはドイツやロシアと違って善良なふうに装ってるけどさぁ…」
インド「そういうところが頭くるんだよねぇ……」
パレスチナ「そうだよ…ッ!!」
フランス(なんかよく分かんないけど、あたしは逃げといたほうがいいのかなこれ)
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:57:43.26 ID:VthfalXfo
◆大戦中の責任論Final ―イギリスの場合―
アイルランド「自治を約束するって言ってくれたのに嘘ついたわね!?」
イギリス「!? あ、あれは…WW1が始まっちゃったから! それさえなければすぐに自治権あげるつもりだったのよ!」
インド「独立させてくれるって言うからイギリス軍としてドイツ軍とも戦ったのに…戦死者も出たのに…
結局WW1後は、独立どころか逆にローラット法で弾圧される始末だし…ッ!!」
イギリス「それはあれよ! WW1で私疲れちゃったから! 独立を認める心理的・経済的余裕もなかったのよ!」
イラン「WW1の最中は中立を貫いてたのに…
なんでか突如としてイギリス軍がやってきて、あたしの国を占領しちゃったんだけど…?」
イギリス「そ、それは…ドイツ側についたっていうオスマン帝国がイランにちょっかいかけないために
私が守ってあげようと思って軍隊派遣したのよ! むしろ感謝しなさいよね!」
パレスチナ「フサイン=マクマホン協定でアラブ人国家の樹立を約束してくれるって言ったのに…っ!!
まさか同時期にユダヤ人やフランス・ロシアにも領土の保有を認めてたなんて!!
ある意味、現在のパレスチナ問題の起源になっちゃったんだけど…どうしてくれるの…?」
イギリス「え、ええっとねー…それは私、ロシアやフランスに恫喝されてて! 仕方なく約束せざるをえなかったのよ…」
フランス「いや、何しれっと嘘ついてんの!? あたしを巻き込まないでくれるかな!?」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:58:31.72 ID:VthfalXfo
◆イギリスの真意
アイルランド「先送りがしたかっただけでしょ? 北アイルランドのこともあったし」
インド「本当は独立させるつもりなんてなかったんだよね?
ってか独立条件をエサとして、インド兵をイギリス軍として派遣してドイツ軍と戦わせたかっただけだよね?」
パレスチナ「本当は独立させるつもりなんてなかったんでしょ…?
当時敵だったオスマン帝国を攪乱するためだけに、アラブ人を利用したかっただけなんでしょ…?」
イラン「単に大戦のどさくさに紛れて、中東方面を押さえておきたかっただけだよね…?」
フランス(あっちゃー。見事にイギリスの真意見抜かれてんじゃん。終わったねイギリス)
イギリス「み、みなさん! ここはお茶でも飲んで落ち着いたらいかがかしら?
例えばこのダージリンやアッサムティーを――」
インド「それ私んとこで原産してる茶なんだけど。植民地から収奪して飲んだお茶は…
さぞかしおいしかったでしょうね? 宗主国様…?」ゴゴゴゴゴ
イギリス(やばいですわ!? 逆に植民地感情を刺激してしまった!?)
イラン「ってか今更お茶なんかで、あたしらを懐柔できるとでも思ってんの?」ビキビキ
パレスチナ「旧植民地の無念思い知れぇぇぇッ!!!!」
もうどうしようもなくなったのでイギリスは全力疾走で逃げることにしたのだった。
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 06:59:17.10 ID:VthfalXfo
◆今も続く北アイルランド問題
◇WW1の裏で
約束されたアイルランド自治がWW1勃発で延期になったことで、不信を抱いたアイルランド人が
大戦の最中の1916年にイースター蜂起を起こす。実質的な独立は1937年まで待たねばならなかった。
◇アイルランド全土の独立は達成できず
重要なのは、このとき独立できたのはあくまで南アイルランドだけであって、
北アイルランドはイギリス領のまま取り残されることとなった。
北部は元来、アイルランドでも造船業を中心として工業が発展していた。
そのため、イギリス本国から移り住んだ人々が多く、
本国との連合を支持する勢力が強かったことが取り残された原因であった。
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:00:01.61 ID:VthfalXfo
◆文献の紹介 その4
WW1前後におけるイギリスと諸地域を論じた文献を紹介。
※アラビアのロレンスに関する文献には、イギリスの「偽善」ぶりを
身をもって体験した人物の生々しい証言が収められている。
◇中東関連
T.E.ロレンス、柏倉俊三訳『知恵の七柱』、平凡社東洋文庫、1971年
藤井正博「第一次大戦におけるイギリスの戦争政策と『東方』の石油」、『神戸山手女子短期大学紀要』、38巻、1985年
◇インド関連
桑島昭「インド・ナショナリズム」、柴田三千雄他編『シリーズ世界史への問い10 国家と革命』、岩波書店、1991年
長崎暢子『現代アジアの肖像8 ガンディー:反近代の実験』、岩波書店、1996年
◇アイルランド関連
堀越智編『アイルランドナショナリズムの歴史的研究』、論創社、1981年
◇WW1前後を主題としているわけではないが、北アイルランド問題を扱った文献。
堀越智『北アイルランド紛争の歴史』、論創社、1996年
P.アーサー、K.ジェフェリー、門倉俊雄訳『北アイルランド現代史―紛争から平和へ』、彩流社、2004年
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:01:09.60 ID:VthfalXfo
◆フランスの植民地主義
イギリス「…ここまで逃げれば大丈夫でしょうか…」
フランス「ちょ、ちょっと!? 手を引っ張ったりして、なんであたしまで巻き込むのさ!?」
イギリス「だって不公平ではありませんか! まだ今日、あなただけ
一度も痛い目を見ていませんわ…同じ帝国主義国だったのに…なのに…っ」
フランス「だから道づれにと? イギリスってナチュラルに性格悪いよねぇ…」
イギリス「おだまりなさい! あなただって何かよからぬことをWW1のときやってたんではないですか!?」
フランス「そりゃまぁ…当時植民地にしてた北アフリカ、西アフリカ、マダガスカル等から
現地兵士をWW1のために徴用したりはしたけども…」
マダガスカル「呼ばれた気がして」
イギリス「ちょうどいいところに! 元宗主国に一言申してあげなさい!!」
フランス「登場するタイミングよすぎない!? なんでここにいるの??」
マダガスカル「偶然ヨーロッパを旅行してまして」
フランス「そっかぁ。偶然なら仕方ない」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:02:04.75 ID:VthfalXfo
◆人種主義と共和主義のジレンマ
マダガスカル「正直言うと、私ら黒人兵士を徴兵する際に問題はありました。
まず強制的だし、軍隊内における昇進にしても人種差別的なところもありました」
イギリス「まぁ! フランスはなんてひどいことを!!」
フランス(あんたがそれ言う!?)
マダガスカル「けれども。確かに軍人は差別的な人多かったですけど、
フランスの一般市民のみなさんは平等に迎えてくれる人が多くて。そこは嬉しかったです」
イギリス「…え? そ、そうだったのですか??」
フランス「だって、一応あたしの国家って共和政でしょ? 共和主義ってのは
みんなを平等に扱わないといけないからね。そこに関しては理解ある市民もいたってわけ」
イギリス「あれはてっきり建前だとばかり…」
マダガスカル「私たち黒人との結婚や、宗教の儀式実践についても許可してくれたりしたんです」
フランス「うん。まあもちろん、人種主義でそれに拒否感覚えてた人もいたのは事実。いろんな人がいたのよ」
イギリス「…なるほど。いわば人種主義と共和主義の板挟みにあったというわけですわね」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:03:04.00 ID:VthfalXfo
◆WW1に関するアジア・アフリカ研究について
WW1といえばヨーロッパが主戦場となったこともあって、メインはヨーロッパである。
しかし一方で、イギリスやフランスがアジア・アフリカに持っていた広大な植民地から
大量の現地兵士を徴兵して動員したことも事実で、そういった意味で
確かに第一次世界大戦というのは、世界中を巻き込んだ文字通りの“世界大戦”だったのである。
◇以下の英語文献は、WW1時のアフリカ現地兵に対するフランスの態度を文化史的に考察したもの。
R.S.Fogarty,Race and war in France:colonial subjects in the France army,1914-1918,Baltimore,MD,2008
ヨーロッパ本土ではなく、アジア・アフリカについて書かれたWW1の文献はまだまだ少ないので
Fogartyのこの著作は非常に貴重で、画期的なものであることは間違いない。
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:04:21.64 ID:VthfalXfo
◆追手
インド「見つけたッ!!」
アイルランド「逃さないんだからッ!!」
パレスチナ「……ッ!!!」
イギリス「ひぃ!? あの方たち、まだ追ってきてたんですの!!?」
フランス「というかさ。こんなに悠長に話してたら、そりゃーそろそろ追いつかれるよね」
イギリス「ってわけで逃げますわよフランス!!」
フランス「ちょ!? だからなんであたしを巻き込み、いててて! 手引っ張らないでよ!!」
マダガスカル「よく分かんないけど、逃げるの頑張ってくださいね」
フランス「そこは止めてほしかったな! ってわけだから、またねマダガスカル!」
マダガスカル「はい。また落ち着いたときにでも」
そしてマダガスカルの視界から全力疾走で去っていくイギリスとフランスなのであった。
インド「イギリス待て!! …って、あ、マダガスカルさんじゃないですか」
マダガスカル「どうもです」
インド「インド洋貿易ではお世話になってます」
マダガスカル「いえいえ」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:05:00.73 ID:VthfalXfo
◆そもそもの発端
イギリス「…ここまで逃げればいい加減大丈夫でしょうか…」
フランス「なんというか。巻き込むのもこれで最後にしてほしいよマジで」
イギリス「何を言うのです? そもそも今日のことは全てあなたが発端ではないですか」
フランス「は? はぁ!? 全部あたしのせいって、それどういう理屈!!?」
イギリス「冒頭で…。あなたがやったことを思い出しなさい!!」
フランス「冒頭…?」
回想突入
フランス『じゃ多数決とりまーす! みんなで語ったほうがいいと思う人! はい!』
ドイツ『うちもー』
フランス『2対1であたしらの主張の勝利♪』
……
イギリス「思い出しました?」
フランス「え、えっとぉ…つまりみんなで語らなかったら自分が袋叩きにされることもなかった…と?」
イギリス「そうですわッ!! このバカフランス!!!」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:05:34.56 ID:VthfalXfo
◆イギリスとフランス
フランス「ちょ!? バカはひどくない!?
ならこっちだって悪口言ってやる! やーい、この淑女(笑)!! 淑女(笑)!!」
イギリス「な!? 淑女に(笑)をつけるなんて侮辱もいいところですわ!!」
フランス「そんなこと言われても。あたし淑女じゃないからよく分かんな~い」
イギリス「許しませんわ!! 決めました、EUは離脱することにします」
フランス「…え?」
イギリス「そもそも冒頭の多数決の時点で嫌気がさしてたんです。
集団でよってたかって決め事を押しつける…もううんざりなんですよ私はッ!!」
フランス「ちょ、待って、EU離脱って本気で言ってんの!? それは勘弁して!!!
今EUが財政やばいの知ってるっしょ!? 金融立国のあんたに今抜けられんのは困るのよぉ!!」
イギリス「知ったこっちゃありませんわ!!」
パレスチナ(…追いついたのはいいけど、なんか…険悪すぎて話しかけづらい件について…)
アイルランド(そう? むしろ仲良いんじゃない? 友達同士じゃないとあんなに軽口叩けないと思うし)
イラン(え、あれって軽口なの??)
とまぁ、仲が良いのか悪いのかよく分からない二人なのであった。
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:06:11.16 ID:VthfalXfo
◆オーストリアとセルビア
例の会議から数日が経過した、とある日のこと。
セルビア「こんにちは、オーストリア」
オーストリア「あ、セルビアさん。こんにちは」
セルビア「うん。…そ、そのさ。突然って思われるかもだけど…」
そう言ってモジモジしつつも、セルビアは口を開く。
セルビア「あんたのこと…リアちゃんって呼んでいいかな? みんなそう呼んでるし…」
オーストリア「え…!? か、構いませんけど、どうされたんです??」
セルビア「なんというか…この前みんなと腰を据えて100年前のこと話してみてさ。
あんたのことがよく分かったっていうか。だから、これからはもっと仲良くしたいなって…」
オーストリア「…そういうことなら! 私も呼び方変えてみますね。…セっちゃん!」
セルビア「!? あ、あぁ…セルビアだからセっちゃんね。こそばゆいけど…
まあいいんじゃないの。そうだ、今から豚肉料理作ろうと思ってんだけど、よかったら来ない?」
オーストリア「いいですね。なら、私はオーストリアワインでも持っていきましょうか♪」
セルビア「あ、それ一回飲んでみたかったんだ。豚肉に辛口の白ワインって合いそうだし♪」
そういうわけで、少しずつではあるけれど仲良くなるオーストリアとセルビアであった。
Fin
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:06:54.67 ID:VthfalXfo
◆今までに挙がった文献のまとめ
◇ドイツ関連
F.フィッシャー、村瀬興雄訳『世界強国への野望(英語版『第一次世界大戦におけるドイツの目的』)』、岩波書店、1967年
H.U.ヴェーラー、大野英二・肥前栄一訳『ドイツ帝国1871-1918年』、未来社、1983年
R.J.エヴァンズ「「西ドイツ社会史派」批判の視点」、R.J.エヴァンズ編、望田幸男・若原憲和訳『ヴィルヘルム時代のドイツ』、晃洋書房、1988年
飯田芳弘『指導者なきドイツ帝国―ヴィルヘルム期ライヒ政治の変容と隘路―』、東京大学出版会、1999年
前田充洋「ヴィルヘルム二世治世下ドイツにおける海軍とクルップ社の関係」、『西洋史学』、248号、 2012年
◇オーストリア=ハンガリー関連
A.J.P.テイラー、倉田稔訳『ハプスブルク帝国 1809-1918』、筑摩書房、1987年
G.シュタットミューラー、丹後杏一訳『ハプスブルク帝国史―中世から1918年まで』、刀水書房、1989年
大津留厚「バルカン戦争と戦時動員法の成立―オーストリア1912」、『東欧史研究』、14巻、1991年
大津留厚『ハプスブルクの実験―多文化共生を目指して』、春風社、2007年
野村真理「恩讐の彼方―東ガリツィアのポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人」、『近代ヨーロッパの探求10 民族』、ミネルヴァ書房、2003年
馬場優『オーストリア=ハンガリーとバルカン戦争―第一次世界大戦への道』、法政大学出版局、2006年
◇イギリス関連
T.E.ロレンス、柏倉俊三訳『知恵の七柱』、平凡社東洋文庫、1971年
藤井正博「第一次大戦におけるイギリスの戦争政策と『東方』の石油」、『神戸山手女子短期大学紀要』、38巻、1985年
桑島昭「インド・ナショナリズム」、柴田三千雄他編『シリーズ世界史への問い10 国家と革命』、岩波書店、1991年
長崎暢子『現代アジアの肖像8 ガンディー:反近代の実験』、岩波書店、1996年
堀越智編『アイルランドナショナリズムの歴史的研究』、論創社、1981年
堀越智『北アイルランド紛争の歴史』、論創社、1996年
P.アーサー、K.ジェフェリー、門倉俊雄訳『北アイルランド現代史―紛争から平和へ』、彩流社、2004年
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:07:29.25 ID:VthfalXfo
◆今までに挙がった文献のまとめ その2
◇東欧諸民族全般
青木節也「少数民族の歴史と現在」、『ロシア史研究』、29巻、1979年
佐原徹哉『近代バルカン都市社会史―多元主義空間における宗教とエスニシティ』、刀水書房、2003年
◇ポーランド関連
山本健児「20世紀初頭におけるルール地域鉱工業都市のポーランド人」、『経済志林』、65巻1号、1997年
松家仁『統制経済と食糧問題―第一次大戦期におけるポズナン市食糧政策』、成文社、2001年
今野元『マックス・ヴェーバーとポーランド問題―ヴィルヘルム期ドイツ・ナショナリズム研究序説』、東京大学出版会、2003年
川名隆史「ロシア革命期のポーランド―政治・社会状況概観(1917-1918)」、『東欧史研究』、8巻、1985年
早坂真理『革命独裁の史的研究―ロシア革命運動の裏面史としてのポーランド問題』、多賀出版、1999年
◇ウクライナ関連
中井和夫『ソヴィエト民族政策史』、御茶の水書房、1988年
光吉淑江「ウクライナの民族運動とヴォロディミル・ヴィンニチェンコ」、『ロシア史研究』、54巻、1994年
◇外国語文献
Z.A.B.Zeman,The Breakup of the Habsburg Empire 1914-1918,Oxford Univ.Press,London,1961
Christopher Clark,The Sleepwalkers;how Europe went to war in 1914,London,2012
Jens Thiel,'Menschenbassin Belgien':Anwerbung,Deportation und Zwangsarbeit im Ersten Weltkrieg,Essen,2007
Peter Gatrell,A whole empire walking:refugees in Russia during World War Ⅰ,Bloomington,IN,1999
Eric Lohr,Nationalizing the Russian empire:the campaign against enemy alies during Warld War Ⅰ,Cambridge,MA,and London,2003
R.S.Fogarty,Race and war in France:colonial subjects in the France army,1914-1918,Baltimore,MD,2008
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:08:23.76 ID:VthfalXfo
◆おわりに
Heather Jones,As the centenary approaches:the regeneration of First World War historiography,
The Historical Journal,vol.56,no.3,2013
『The Historical Journal』とは、英ケンブリッジ大学出版の史学雑誌です。
外国の近現代史に関する代表雑誌といえばこれなので、特に参考にさせていただきました。
文学部、特に外国史を専門とする学科やコースが設置してある大学の図書館には、
必ずといっていいほど置かれているメジャーな雑誌だと思います。
外国語文献も含め、なるべく最近のWW1研究の動向を反映させようとSSを書いたつもりですが、
見識が不足していたり、いろいろ見にくかったり、至らない点は多くあったと思います。
申し訳ありません。それでもSSを最後まで見てくれた方には本当に感謝してます。
長くなりましたがこのへんで終わりにしたいと思います。
ここまで見ていただき、ありがとうございました。
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:10:25.86 ID:PNPSyJPXo
当時のイギリス ドイツ ロシア皇帝が従兄弟だと言うことについて語るさまをみたい
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/11(土) 07:12:24.22 ID:BxUmUvh9O
まだ本編どころか触りの部分なんですが
早よ血と汗と泥に塗れて砲弾と黒煙の戦場を生き抜く一兵卒の話しはよう
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/12(日) 00:15:35.74 ID:e+cVIHAnP
乙
多民族国家は本当に大変なんだね・・・(某合衆国を見つつ)
ヨーロッパから見たら日本・韓国・中国・香港もこんな感じなんだろうか
シャーロックホームズの映画で、犯人が「ドイツは地獄に落ちろー!」って叫んでたの思い出した
転載元
イギリス「第一次世界大戦を」フランス「語っちゃうよ~」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486761653/
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