1 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:14:57.984 ID:UrvE9e4k0.net
―海岸―
浦島太郎「位置について!」
亀「……」サッ
アキレス「……」サッ
浦島太郎「よーい、ドン!」
亀「はああっ!」ダダダッ
アキレス「うおおおおおっ!」ダダダッ
アキレス(くっ……速い!)
4 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:18:03.428 ID:UrvE9e4k0.net
亀「だああああっ!」タタタタタッ
アキレス「ダメだっ……追いつけない……!」タタタタタッ
浦島太郎「ゴォール!」
浦島太郎「一着、亀! 二着、アキレス!」
アキレス「く、くそっ……」ハァハァ…
亀「……」
5 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:20:42.935 ID:UrvE9e4k0.net
乙姫「亀、相変わらず見事な走りじゃったぞ」パチパチパチ…
亀「乙姫様、来てらっしゃったのですか」
乙姫「うむ、近頃は地上と交流することも多くなってのう」
乙姫「せがむので、水槽に入れてタイとヒラメも連れてきとるぞ」
タイ「さすが亀さんタイ!」
ヒラメ「ヒヒヒ、いい走りっぷりでしたよ」
浦島太郎「その節は、若返らせてもらってありがとうございます」
乙姫「あれだけ開けるな、といったのに何をやっとるのじゃ、おぬしは」
浦島太郎「人間は開けるなといわれると開けたくなり、押すなといわれると押したくなる生き物なので」
乙姫「人間とは分からぬ……」
乙姫「アキレスとやらも、人間にしては速いのう。素晴らしかったぞ」
アキレス「……どうも」
9 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:23:22.951 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス「……くそっ! あれだけトレーニングしているのに!」
アキレス「なぜだ……なぜ私は亀に追いつけんのだッ!」
亀「……アキレスよ」
アキレス「!」
亀「お前は一体、なんのために走っているのだ?」
アキレス「知れたことよ! 自分のためだ!」
アキレス「私が世界一速いということを、全世界に知らしめるためだ!」
亀「……」
10 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:23:54.179 ID:lxFX0UHL0.net
ゼノスのパラドックスか
12 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:26:06.107 ID:UrvE9e4k0.net
亀「それじゃあ、我には勝てないな」
アキレス「な、なんだと!?」
アキレス「じゃあどうすればいいというんだ!」
亀「自分のため以外に走る、ということを知ることだ」
アキレス(自分のため以外に……!?)
アキレス(下らん! しょせん徒競走というのは脚力を競う行為!)
アキレス(自分のため以外に走ったって、足かせになるだけ! 速くなるわけがない!)
13 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:27:46.310 ID:2yxrNJXJr.net
亀さん渋すぎ
14 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:29:54.458 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「オーッホッホッホッホ! なかなかいい海岸じゃない」
ウサギ「ええ、こりゃあいい穴場ですぜ!」
亀「……ん、彼らは?」
浦島太郎「月からやって来てる『ムーン・コーポレーション』とかいう企業の奴らさ」
浦島太郎「帝の寵愛を得たのをいいことに、えらく荒稼ぎしてるらしい」
乙姫「いけ好かん奴らじゃのう……」
15 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:33:41.137 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「そこの亀さん。ここの責任者はだぁれ?」
亀「……我だが」
かぐや姫「あらそう。じゃ、さっそくだけど、ここの海岸はウチに売却してもらうわ」
亀「――なんだと?」
亀「購入して、どうするつもりだ?」
かぐや姫「決まってるでしょ。大型リゾート地を建設するのよ!」
かぐや姫「海岸は全部コンクリートで埋め立てて、ホテルを一杯建てて、人工島を造って……」
かぐや姫「こんな素晴らしい場所を、自然のままにしてちゃ勿体ないもの」
亀「……あまりいい使い道とはいえないな」
浦島太郎「ふざけるな! ここはみんなの遊び場だ! 自然のままにしとくべきだ!」
乙姫「そうじゃそうじゃ! なんの権利があってそんなことを!」
17 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:37:09.382 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「すでに帝から許可はもらってるのよ。これが許可証ね」
亀「ぐ……!」
乙姫「なんじゃと……?」
ザワザワ……
タイ「とんでもないことになっタイ!」
ヒラメ「ヒ~ヒヒ、こりゃ困った。リゾート地なんかになったらボクらも遊べなくなっちゃう」
浦島太郎「子供たちだって、ここで遊べなくなってしまう!」
18 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:40:21.731 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「だけど、私も鬼じゃない。チャンスをあげるわ」
かぐや姫「実は私の隣にいるウサギ、メチャクチャ足が速いの」
かぐや姫「もし、ウサギにかけっこで勝てたら……この話は白紙にしてあげてもいいわ」
ウサギ「ここで一番速いのはオメーなんだろ? 勝負しようぜ」ピョンピョン
亀「……」
亀(このウサギ……かなり速いな。おそらくは我と互角……)
亀「よかろう」
ウサギ「決まったな。勝負は一週間後だ」
かぐや姫「もしかけっこで負けたら、いさぎよくここを売り渡すのよ! 分かったわね!」
亀「約束は守る」
20 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:44:28.566 ID:UrvE9e4k0.net
ワイワイ…… ガヤガヤ……
浦島太郎「亀……大丈夫か?」
亀「案ずるな。必ず勝つ」
乙姫「フフフ、かぐや姫とやらもバカなマネをしたものじゃ。亀にかけっこを挑むとは!」
浦島太郎「きっとウサギをスプリンターとして宣伝したいっていう狙いもあるんでしょうね」
タイ「だけど、亀さんがかけっこで負けるなんてありえんタイ!」
ヒラメ「ヒヒヒ、亀さんは世界最速だもんねえ」
亀「アキレス、特訓に付き合ってくれるか」
アキレス「……ああ」
21 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:46:48.569 ID:6CakYQLSa.net
亀さんすげえな
22 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:47:46.195 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
アキレス「……くそっ! やはり追いつけない! 勝てない……!」
アキレス「なぜだ! なぜなんだぁ……!」
亀「……アキレスよ」
亀「もし壁を越えたくば……メロス殿に会いに行くといい」
アキレス「メロス……?」
亀「メロス殿は元々ある村で暮らしていたが、妹さんが結婚したのを機に村を出て」
亀「今はこの近くで一人暮らしをしているらしい」
亀「これが地図だ」
アキレス(私はすでに限界までトレーニングをしているのだ!)
アキレス(今さら誰かに会っただけで、どうにかなるわけない……)
アキレス(なるわけないが……騙されたと思って訪ねてみるか)
23 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:48:29.991 ID:5hkpAQipr.net
メロスww
24 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:49:05.262 ID:lxFX0UHL0.net
夢の共演
25 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:52:14.348 ID:UrvE9e4k0.net
―メロスの家―
アキレス「……あなたがメロスか」
メロス「うむ」
アキレス「私は世界一速い男を目指しているのだが、どうしても亀に勝てない」
アキレス「すると亀から、壁を越えたいのならあなたに会え、と忠告された」
アキレス「あなたは一体何をしたというのだ?」
メロス「……少し長い話になるが、聞いてもらえるかな」
26 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:55:44.322 ID:UrvE9e4k0.net
メロス「――というわけだ」
メロス「以来、ディオニス王は名君となり、妹と友もそれぞれ元気にやっている」
メロス「それから私は見聞を広めるため旅に出て、今はここで暮らしている」
アキレス「……!」
アキレス(バカな……妹のために、友のために、走り続けただと!?)
アキレス(私だったら友のことなど見捨てている)
アキレス(このメロスを信じていたセリヌンティウスとやらも阿呆だ!)
アキレス(必ず戻ってくるから人質になってくれ、などといわれて信じる奴があるか!)
アキレス(まったくもって理解できんッ!)
27 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 21:58:23.097 ID:UrvE9e4k0.net
メロス「私は友のため、と思うことで人ならぬ速度で走ることができたのだ」
アキレス「……ふん、信じられんな」
アキレス「走る速さというのは、いかに足を鍛えるか、足を動かすか、にかかっている!」
アキレス「誰かのために、と思っただけで速く走れるようになるなら苦労せんわ!」
アキレス「私はこれからもずっと、自分のためだけに走り続けてやる!」
メロス「私は激怒した」
バキィッ!
アキレス「ぶげっ!」
28 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:02:26.977 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス「な、なにをするか!」
メロス「実は君が来ることは、前もって亀から知らされていた。見どころのある男だと」
メロス「だが、亀の目は曇っていたようだ」
メロス「断言しよう。君では一生亀には勝てん」
アキレス「くっ……!」
アキレス「結局あんたも説教するだけか。とんだ時間の無駄だったよ」
アキレス「帰らせてもらう!」
バタンッ!
メロス「……」
30 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:05:32.048 ID:UrvE9e4k0.net
―海岸―
アキレス(案の定、なにも得られるものはなかったな……)
アキレス(いや、それどころかパンチをもらってしまった。思い切り殴りやがって……)ジンジン
アキレス「……ん?」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
アキレス(みんな集まって……どうしたっていうんだ?)
31 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:10:21.490 ID:UrvE9e4k0.net
亀「ぐううっ……!」
浦島太郎「大丈夫か!?」
乙姫「動いてはならぬ! じっとしているのじゃ!」
アキレス「何があったんだ!?」
浦島太郎「実は亀が、トレーニング中に足をくじいちゃって……!」
アキレス(足を……!)
浦島太郎「こりゃウサギとのかけっこは諦めた方がいい!」
亀「いや……我は走る! 走らせてくれ!」
乙姫「骨が折れてるかもしれぬのじゃぞ!」
亀「これぐらいどうってことはないッ!」
アキレス(足をケガしたというのに、なんて気迫だ……!)
アキレス(これが亀やメロスにはあって、私にはないものだというのか……?)
ドクンッ…
32 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:13:23.886 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス(足をくじいた亀が、かけっこでウサギに勝てるとは思えない)
アキレス(それどころか、あの状態の亀をかけっこに出場させてしまったら……)
アキレス(亀は再起不能になるかもしれない)
アキレス(海岸も『ムーン・コーポレーション』の連中に奪われてしまう)
アキレス(ならば――)
アキレス「亀よ」
亀「ん……?」
アキレス「お前の代わりに、私を走らせてくれないか」
亀「!」
33 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:15:03.578 ID:1yF2Uvvzr.net
アキレス、覚醒っ・・・!
34 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:18:15.588 ID:UrvE9e4k0.net
亀「いいのか……?」
アキレス「いいのか、はこちらのセリフだ」
アキレス「みんな、私がこの海岸の運命を背負っていいのか?」
乙姫「……もちろんじゃ!」
浦島太郎「もし負けたとしても、恨みはしないよ!」
タイ「かまわんタイ!」
ヒラメ「ヒヒヒ、ケガしてる亀さん走らすわけにはいかないしね」
アキレス「みんな……!」
アキレス(あのウサギはおそらく亀と同じぐらい速い……勝算の薄いかけっこだ)
アキレス(なのになぜだ……なぜこうも心が燃えたぎってるのだろう)
アキレス(これがメロスのいっていた、他人のために走る、ということなのか)
アキレス(負けられないッ!)
35 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:22:31.828 ID:UrvE9e4k0.net
かけっこ当日――
―海岸―
かぐや姫「オーッホッホッホ! とうとう待ちに待ったこの日が来たわ!」
かぐや姫「ウサギ、あの亀にあなたのスピードを思い知らせてやりなさい! いいわね!」
ウサギ「はいっ!」
亀「……そのことなのだが」
亀「実は我は、このとおり足を骨折してしまい、代走を頼むことになった」
ウサギ「代走ゥ?」
亀「代走を務めるのは……彼だ」
アキレス「アキレスと申す。よろしく頼む」
ウサギ「……へえ」
36 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:26:11.700 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ「プッ……ハッハッハッハッハ!」
ウサギ「こいつ如きがオレの相手をするってか! こりゃおもしれぇ!」
ウサギ「――って、ナメてんじゃねえぞ!!!」
ウサギ「一週間かけて、そっちのデータは調べたが……」
ウサギ「亀に及ばねえてめえが、オレに勝てるわけねーだろ!」
ウサギ「アキレス如きに勝ったって、なんの自慢にもならねーよ! 呆れちまうぜ!」
亀「ナメているのはそちらだ。今のアキレスは……一味違う」
ウサギ「……ッ!」
ウサギ「いいだろう……ぶっちぎりで勝利して、この海岸はオレと姫様がいただくッ!」
アキレス「渡すものか!」
アキレス(海岸や竜宮城のみんなには今まで世話になってきた……無様なかけっこは出来ない!)
37 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:27:47.690 ID:W74dDTapr.net
ウサギこえー
38 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:30:20.118 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「コースを説明するわ」
かぐや姫「この海岸をスタートして、森を抜けて、あの山の頂上がゴールよ」
かぐや姫「なお、スタート後、ギャラリーの皆さんはみんなゴール地点へ送らせてもらうわ」
かぐや姫「みんなにウサギ勝利の瞬間を見てもらうためにね!」
ウサギ「へっへっへ、さすが姫様……準備がいい」
かぐや姫「それじゃ両者、位置について!」
ウサギ「……」サッ
アキレス「……」サッ
39 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:33:32.132 ID:UrvE9e4k0.net
かぐや姫「よーい……ドン!!!」
ウサギ「オラァァァァァ!!!」ドヒュンッ!
アキレス「うおおおっ!」ドヒュンッ!
ズドドドドドドドドド…
浦島太郎「どっちも速っ!」
乙姫「スタートは互角じゃ!」
亀(行けっ、アキレス……! お前のポテンシャルは決して我に劣らない!)
40 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:36:25.051 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ「なにぃぃぃぃぃ!?」タタタタタッ
アキレス「ぬうううう!」タタタタタッ
ウサギ(バカな……こいつ、オレと五分だと!?)
ウサギ(これまでのデータじゃ、オレの敵じゃなかったはずなのに!)
ウサギ(たった一週間で一体なにがあった!?)
アキレス(みんなのために……走るッ!)
ドドドドドドドドドドド…
41 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:39:20.543 ID:UrvE9e4k0.net
―森―
ドドドドドドドドドドド…
アキレス「くっ……!」
ウサギ「……」ニヤ…
ウサギ(だんだん差が開いてきた!)
ウサギ(やはり地力ではオレのが上だ! このまま引き離してやる!)
アキレス「うおおおお……!」
42 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:43:25.663 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス(亀、乙姫、浦島、タイ、ヒラメ……)
アキレス(私は勝つ!)
「ゆけい、アキレスッ! 仲間のために!」
アキレス(今の声ッ!?)
アキレス(……ありがとう、力をもらった!)
ウサギ「クソがっ……引き離せねえ……!」
ドドドドドドドドドドド…
メロス「いい顔になったな……アキレス」
43 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:44:56.771 ID:ZbKaaCGwr.net
熱いねえ
44 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:46:36.971 ID:UrvE9e4k0.net
―山―
タイ「そろそろ二人が見えてくる頃タイ……」
ヒラメ「海岸を出るところまでは全くの横並びだったけど……」
浦島太郎「おっ、二人が見えてきたぞ!」
乙姫「トップはどっちじゃ!?」
亀「……アキレスだ」
かぐや姫「なんですってええええええええ!!?」
45 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:50:26.727 ID:UrvE9e4k0.net
ドドドドドドドドドドド…
アキレス(息が苦しい……!)
アキレス(だがいける! ペースを落としたり、転んだりしない限り、私が勝てる!)
ウサギ(くそっ……!)
ウサギ(このままじゃ負けちまう! 姫様の開発プロジェクトが台無しになっちまう!)
ウサギ(こうなったら……秘密兵器を使うしかねえ!)
46 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:55:03.198 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ(足に仕込んだ火薬……こいつを炸裂させれば)
ウサギ(驚異的なロケットダッシュをすることができ、アキレスを抜き去れる!)
ウサギ(本来使いたくなかった仕込みだが……姫様のためだ! 手段を選んでいられねえ!)
ウサギ「いくぜ!」シュボッ…
パァンッ!!!
ウサギ「うおおおおおおおおおおお!」ドヒュゥゥゥゥンッ
ギュオオオオオオオオオオッ!
アキレス「な、なんだと!?(まずい、抜かれてしまう!)」
47 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 22:58:25.598 ID:UrvE9e4k0.net
ギュオオオオオオオオオオッ!
ウサギ「!!?」
ウサギ(進行方向に切り株が!?)
ウサギ(やべえ! このスピードであれにぶつかったら死ぬ!!!)
ウサギ(避けらんねえ……!)
48 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:02:49.174 ID:NkEPhsGg0.net
まちぼうけキター
49 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:02:49.869 ID:UrvE9e4k0.net
アキレス(ウサギが切り株にぶつかる!?)
アキレス(やった! もしぶつかれば、ウサギは間違いなくリタイア……私の勝ちは確定する!)
アキレス(だけど……)
アキレス(だけど……ッ!)
アキレス(本当にそれでいいのか? ウサギを見捨てていいのか?)
アキレス(亀、メロス……もしお前たちだったら、こうするはずだよなァ!)
ウサギ(姫様……すんません……)ギュオオオオオッ
ドゴォンッ!!!
50 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:05:43.960 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ「う……?」
アキレス「ぐっ……」ブチッ
ウサギ「お前……自分のふくらはぎをクッションにすることで、オレを守ったのか……!」
アキレス「……」
ウサギ「へ、へへ……バカなヤツだ」
ウサギ「オレはほぼ無傷だが、お前は右足のアキレス腱をやっちまったらしいな」
ウサギ「これでオレの勝利は確定したわけだァァァ!!!」
アキレス(みんな……すまん……)
51 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:09:20.700 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ「あーあ……つまんねえ」
ウサギ「勝つって確信したとたん、油断して眠くなってきちまった」
ウサギ「昼寝でもすっかなぁ~」ゴロン…
アキレス「ウサギ……!?」
ウサギ「……行けよ」
アキレス「……ありがとう」ヒョコッヒョコッ
ウサギ(……ふん、イカサマして、命助けられて、挙げ句勝ちまでもらうほど、落ちちゃいねえや)
52 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:10:58.315 ID:ZbKaaCGwr.net
これはいい昼寝
53 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:11:58.292 ID:4PELvstO0.net
昔話のうさぎも勝たせとうとして昼寝していたのかもしれない
54 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:13:24.187 ID:UrvE9e4k0.net
ワァァァ…… ワァァァ……
アキレス「あと……少し……!」ヒョコヒョコッ
亀「アキレス!」
乙姫「ようやった! ようやったぞ!」
浦島太郎「今、アキレスが一着でゴールだぁぁぁ!」
かぐや姫「……ふふっ」
ワアァァァァァ……!
55 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:16:23.790 ID:UrvE9e4k0.net
ウサギ「……」
かぐや姫「……」
ウサギ「姫様……すんません」
かぐや姫「なにを謝るの? あなたが無事でなによりだわ」
かぐや姫「それに勝利よりも貴い敗北ってものを見せてもらったわ」
ウサギ「姫様……!」
かぐや姫「一から出直しね、私たち」
ウサギ「はいっ!」
56 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:20:32.317 ID:UrvE9e4k0.net
乙姫「アキレス、見事な走りっぷりじゃった! わらわは感動したぞ!」
浦島太郎「こんなすごいかけっこを見られるなんて思わなかったよ!」
タイ「竜宮城の医者なら、切れたアキレス腱をくっつけられるタイ!」
ヒラメ「ヒヒヒ、かっこよかったよ~」
アキレス「ありがとう、みんな」
アキレス「みんなのために走れて……私もとても幸せだよ!」
亀(アキレス……お前はついに我に追いつき――)
亀(いや……追い越してくれたのかもしれないな)ニコッ
―おわり―
57 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:23:07.101 ID:ZbKaaCGwr.net
乙
面白かった
58 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:27:46.761 ID:lxFX0UHL0.net
乙
素晴らしい
59 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:34:41.775 ID:Ki1/JB3M0.net
国も時代も飛び越えた名作
62 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:52:15.935 ID:NKJnn8jD0.net
乙 名作だった
63 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:52:46.709 ID:hzgPVMr30.net
登場人物が皆かっけえ
64 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/03/27(月) 23:57:53.401 ID:IRm+e33QK.net
いろんな話がスマートに繋がりすぎててワロタ
転載元
アキレス「なぜだ……なぜ私は亀に追いつけんのだッ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490616897/
- 関連記事
-