4 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/11/20(金) 00:09:57.83 ID:xvJQdJzt0
~実はこれも名古屋飯?~
暁「例えば、甘い食べ物とかあればいいじゃない?」
響「急に何だい?」
暁「この街角やも、甘い料理を出せばお客さんがもっと増えると思うのよ!」
雷「もう甘味系ならあるじゃない。」
暁「そうじゃないわ。例えば甘いパスタとか!」フフン!
暁(どう?この素晴らしい発想!流石はレディーだわ!)
電「甘い…パスタ…?」
響「流石にそれはどうなんだい?」
雷「無くはないだろうけど…」
暁「あ…あれ?」
暁(なんか微妙な反応…)
5 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:10:26.41 ID:xvJQdJzt0
暁「おじさん、いいアイデアだとは思わない?!」
??「あるよ。」
暁「え?」
??「あるよ。」
暁「いっいつものおじさんじゃない!?」
??「…あるよ。」
暁「あるって…え?」
コトッ
暁・響・雷・電「…」
甘口抹茶小倉スパ
??「あるよ。」
ヒィエェーーーーーー!!!!
6 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:10:52.77 ID:xvJQdJzt0
ガバッ
暁「何よ!意外とありじゃない!」
響「…こんな真夜中にどうしたんだい?」ゴシゴシ
雷「…暁…うるさい。」ファー
電「なのですぅ~…」ウツラウツラ
暁「…あれ?」
7 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:11:23.21 ID:xvJQdJzt0
~とある釣り人のお話~
ザザーン…
ザザー…
釣り人「今日はさっぱりだなぁ…」
釣り人「お?」
??「…」
釣り人「なんだいおめぇ…親はどうした?」
??「…」フルフル
釣り人「…迷子か?」
??「…」フルフル
釣り人「?」
??「…」
8 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:11:57.67 ID:xvJQdJzt0
釣り人「…」
釣り人「ひょっとしてあれか?お使いかなんかか?」
??「…似タヨウナモノ。」
釣り人「ほう、言い回しがひっかるが…ここは危ないからおっちへおいき。」
??「ナンデ?」
釣り人「なんでって…見ての通り波も荒くなってきた。おじさんも切り上げて帰るから。お嬢ちゃんも帰りな。」
??「…」
釣り人「…聞いてた?」
??「…オマエ、ゼロ持ッテルカ?」
釣り人「お前って…目上の人に言う言葉じゃないぞ。親はなんて躾を…」
9 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:12:27.73 ID:xvJQdJzt0
??「持ッテイルカ聞イテイル。」
釣り人「ゼロ?…ノンアルコールのア○ヒゼロぐらいしかないぞ?」
??「?」
釣り人「だけど、こいつは子供には飲ませらんねぇんだ。大人のルールだからな…悪いな。」
釣り人「…ってあれ?居ない?」
釣り人「さっきまでそこに…」
釣り人「まさか波にのまれた!?」
ザッバァー!!
10 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:12:56.26 ID:xvJQdJzt0
釣り人「って事があってねぇ…」
店主「ああ、出ましたか。」
深海「何の話?」
釣り人・店主「妖怪『ゼロおいてけ』」
深海「妖怪?」
店主「そういう噂が広まり始めてるんだと。この間そこの中学校の生徒も見たって聞いたぞ。」
深海「へぇ~…」
11 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/20(金) 00:14:17.90 ID:xvJQdJzt0
店主「昔も流行ったもんなぁ…花子さんに紫鏡。」
釣り人「ああ、あったね。口裂け女に人面犬。懐かしいなぁ~。」
深海「へっへぇ~…」
釣り人「いやはや。この歳になって妖怪を見るだなんて…」
店主「目撃例多いですからね…あの堤防。」
釣り人「やっぱ場所変えようかな?」
店主「その方がいいかも。何かあってでは遅いですしね。」
深海「…くくりが花子さんと一緒って。時代だね、北方棲姫…」
店主「ところでそいつの言うゼロって…」
釣り人「さぁ?」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/20(金) 08:38:31.65 ID:TY4RAHuUo
サンマモラッタ…!デモカンムスニウバワレタ……
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/20(金) 08:51:17.32 ID:RSsDPknlO
おつ
あのパスタは温かいうちはましなんだけど、ぬるくなると絶望的な味なんだよな
41 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:42:42.54 ID:4D5LQa930
朝10時
カチャン
カチャカチャ
深海「こんな朝早くに何してんの?」
店主「おう、おはよう。」
深海「うん。おはよう…今日、土曜日だよ?」
店主「ああ、そうだな?」
深海「なんで厨房に立って準備してるの?」
店主「いやぁ、実はな…」
42 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:43:15.61 ID:4D5LQa930
ガララッ
??「おはようございます。」
店主「ああ、おはようございます。」
深海「?」
鳳翔「今日はよろしくお願いします。」
店主「いえ、こちらこそ。」
深海「は?なんで?」
店主「挨拶。」
深海「おっおはようございます!」
深海「で、なんで?」
店主「いやぁ…」
なぜ休店日である土曜の朝早くに厨房に立ち、鳳翔さんを迎え入れたか。
それは数日前にさかのぼる。
43 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:43:57.01 ID:4D5LQa930
店主「魚臭い?」
客「ああ、今日のサバの味噌煮やけに魚臭いんだよね。」
ある一人の常連客から出たちょっとしたクレーム。
その日に出していたサバの味噌煮が魚臭いというものだった。
サバは元々臭いの強い魚だ。だからある程度はと思ってはいたんだが…
深海「大丈夫?」
店主「ん?ああ…」
ピークが過ぎたころに作ってあった味噌煮を食べてみた。
確かに言われた通り魚の臭さが残っていた。
サバ自体はその日仕入れたものだから腐っているはずがない。
そうなると、自分の作りが甘かったという事になる。
いつもと作る工程は一緒だが…何が違ったんだろうか?
44 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:44:41.65 ID:4D5LQa930
いろんなサイトやレシピ本を見て見たが、やり方がそれぞれ違うのでどれが正しいのかが自分には全く分からない。
こうなったら一番親しい人間に聞くのが一番と思い…
店主「吹雪、悪いけど鳳翔さんと連絡取れないかな?」
吹雪「?」
ふと思いついたのが鳳翔さんだった。
艦娘ではあるものの、小料理屋も営んでいるのでサバの味噌煮などそういった料理には強いのでは?と踏んだのだ。
直接彼女の連絡を知らない俺は吹雪を介してアポを取った。
そしてその返事はすぐに来た。
で、今に至る訳。
土曜に指定してきたのは鳳翔さんの方。店の営業中だとやりづらいし、かといって朝早くや夜遅くと言うのも悪いからと気遣ってくれたのだ。
出来る女性っていうのは一味違うよねぇ。
45 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:45:16.29 ID:4D5LQa930
店主「っていう事。」
深海「まぁ、なんとなくそうなんだろうなとは思ってたけど…相談ぐらいはしてよね。」
店主「てっきり言ってたもんだと…」
深海「それ多すぎ!前も同じこと言ってたよね!」
店主「そうだっけ?」
深海「ほら!」
鳳翔「あのぉ…」
店主「はっ!」
深海「あっ…」
今日の主賓を無視してしまった…いけないいけない。
46 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:46:07.96 ID:4D5LQa930
店主「お忙しいとこ申し訳ありません。」
鳳翔「いいえ。そんな…まさか頼っていただけるなんて思っても居なかったので、とても嬉しいかったですよ。」
そういってもらえるとこっちも助かる。
鳳翔「では、さっそく。」
店主「サバです!さっき魚屋に走ってきましたよ。」
鳳翔「あら。今日はお店お休みですものね。なんだか申し訳ないです。」
店主「いえいえ。教えていただくのはこちらですし、用意するのは当たり前です。」
流石にそこはね。磯波ちゃんたちだって自分たちで用意してたわけだし。
47 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:46:33.94 ID:4D5LQa930
しかも失礼の無いようにしっかりとサバの選別も行ってきた。
もちろんサブちゃん(山吉さん)にも手伝ってもらった。
サブちゃん『なんか気合入ってますねぇ。』
店主『美人さんが来るからね。』
サブちゃん『おっ?』
あの最後の反応は何だったのだろうか?
まさかとは思うけど…変な噂が流れないように祈っておこう。
48 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:47:33.48 ID:4D5LQa930
鳳翔「良いサバですね。お高ったのでは?」
店主「いやいや、いつも贔屓にしているもんですから。多少は安く…」
あれ?そういえば変に気合入れながら値引いてたな…
とりあえず誤解を解いておくか?
深海「相手が美人だからって…デレデレしてないで、先に進めたら?日が暮れちゃうよ?」
店主「してないって。なんて失礼な子だよ。」
鳳翔「美人だなんて…」カァー…
店主「え?」
鳳翔「…あっあまり揶揄わないでくださいね?」
深海「はっはい。」
店主「…」
49 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:48:14.32 ID:4D5LQa930
あんまり鎮守府とかで言われたことないのかな?
深雪とかはあんまり言わなさそうだけど…
いつも来る軽空母組とかは言いそうだよな…酔った勢いで。
そのたびに頬を赤らめてるんだろうか?
難儀だ…
鳳翔「早速始めましょう。」
店主「え?はい。」
鳳翔「サバは三枚には?」
店主「ええ、できます。」
ザクッ
まぁ、料理の基本だからね。
でも、最初の頃は苦手だったな。
上手く下ろせないのはもちろん。内臓とか生のモノを触るのがダメだった。
魚はこっち見てくるし…今思えば慣れって残酷だな…
50 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:48:52.75 ID:4D5LQa930
店主「出来ましたよ?」フゥ
鳳翔「…」
店主「?どうしました?」
鳳翔「いえ…男の方が包丁を握ってる姿を生で見たのが初めてなものですから。」
店主「そうなんです?」
鳳翔「女性と違って男性の包丁さばきは豪快でいいですね。惚れ惚れしてしまいます。」
店主「そっそんな…」テレテレ
褒められるのは慣れてないからなぁ…
深海「はい!そこまで!」
店主「え?」
深海「鳳翔さん次は?」
51 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:49:26.16 ID:4D5LQa930
鳳翔「はい。では、このままでは大きいので2等分か3等分で切りましょうか。」
店主「こうですね。」
鳳翔「手際がいいですね。教え甲斐があります。」
店主「次は…」
鳳翔「ではお湯をかけて…」
早くしないとなぜか睨みを利かせてくるお嬢さんが居るから…
深海「…」ギロリ
何故…何故なんだ!
鳳翔「梅村さん?」
店主「はい。」
鳳翔「いいですか?」
店主「はい。」
監視役が怖いです…
52 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:49:57.73 ID:4D5LQa930
店主「まぁ、ここまではやってますね…」
今のところ教わったことは基本的にやっている。
鳳翔「ですと…もしかしたら生姜の量が違うかもしれませんね?」
店主「量ですか?」
鳳翔「その時は味噌煮をどれぐらいの量を?」
店主「え?ランチに出してたんで…結構な量ですね。ランチタイムで切れないように仕込んでいたんで。」
鳳翔「いつもランチで?」
店主「いえ。この間はたまたまです。たまには魚もいいかな?と肉ばかりだと飽きられそうだったので。」
鳳翔「となるといつもは…」
店主「少量ですね。いつもはそんなに出ないんで…」
そうか、いつもそんなに作らないからか…
やるもんじゃないな慣れない事。
53 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:50:32.63 ID:4D5LQa930
鳳翔「もしかしたら煮込みも甘かったのかもしれませんね。」
店主「ですね。あと鷹の爪も。」
深海「たぁ~かぁ~のぉ~つぅ~めぇ~…」
鳳翔「?」
深海「ごめんなさい。なんでもないです。」カァー…
恥ずかしいならやるなよ…
店主「じゃあ、生姜と煮込みさえ気を付ければいいんですね。」
よかった。問題は意外と簡単なものだった。
ただ、その簡単なものにも気づかない俺にも落ち度はある。
まだまだだな…
親父どころか爺ちゃんにも笑われてしまう。
いや、怒鳴られるか。
54 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:51:10.90 ID:4D5LQa930
鳳翔「そういえば。」
店主「なんです?」
鳳翔「味噌は何を使っているんです?」
店主「うちは信州味噌ですけど…」
鳳翔「なるほど。」
店主「へ?」
鳳翔「せっかくなんでこっちを使ってみませんか?」
店主「…へ?」
55 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:51:41.63 ID:4D5LQa930
~数日後のランチタイム~
足柄「そんなことがあったんですね。」
店主「ええ。」
足柄「でも、解決してよかったじゃないですか。」
足柄「ねぇ?」
??「そうクマねぇ…」
さっきから気になってたけど…この子誰だ?
やたら語尾に特徴があるけど…
56 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:52:13.24 ID:4D5LQa930
??「何クマ?」
店主「初めまして…ですよね。」
??「うむ。妹たちがいつもお世話になってるクマ。」
店主「妹?」
やっぱりそうなのか。足柄さんが連れてきてたからそうなのでは?とは思ったが。
??「自己紹介がまだだったクマね。」
??「球磨は球磨型軽巡洋艦1番艦の"球磨"だクマ。よろしくだクマ。」
店主「…え?」
なんて?クマクマ言っててどれが名前だか…
57 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:53:02.62 ID:4D5LQa930
球磨「球磨は球磨だクマ!」
店主「熊?」
球磨「球ぅ磨ぁ!…ん?あってるクマ?」アレ?
足柄「えぇっと…読みはあってるかな?思い描いてる漢字が違うと思うけど。」アハハ…
なんだろう…似たようなやり取りをしたことがある…
電の時だっけ?
しかし熊だなんて…見た目に反して可愛らしい姿の艦娘に生まれ変わってるじゃないか。
でも…誰の姉だ?
球磨「?どうしたクマ?」
店主「ああ、すみません誰のご姉妹かと思って…」
何か常連っぽい言い回しだったし。
58 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:53:52.63 ID:4D5LQa930
球磨「見てわからないクマか?」
店主「…」
もしかして…ヒグマとかツキノワグマとかいう艦が居るのかな?
でも、そんな常連…
球磨「見てわからないクマかぁー。」ヤレヤレクマ
足柄「やぁね。あなた達全然似てないもの。分かりっこないわ。」
球磨「むぅ…みんなそう言うけど…似てないクマ?」
足柄「多摩はどうか分からないけど…」
タマ?猫?え?
足柄「北上に大井なんて全く似てないじゃない。」
店主「…!?」
深海「え?!」
59 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:54:40.15 ID:4D5LQa930
球磨「その反応。似てないクマね?」
ああ、あからさまな反応をしてしまったか…
思わずかおるちゃんも驚いてたし。
店主「いやぁ、あの2人の姉だなんて…」
何から何まで似てないと思うけど…
吹雪たちはまだ似てたぞ?磯波ちゃんと言い。
というか姉?むしろ妹…
球磨「いいクマいいクマ。慣れてるクマ。」
店主「ごめんなさい…」
いや、誰でも本音は漏れるぞ…
60 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:55:11.74 ID:4D5LQa930
球磨「それはどうでもいいけど…お腹が…」グギュルルルルル…
足柄「ああ、ごめん。」
球磨「本当は鎮守府の食堂でよかったものを…足柄がぁ…」
足柄「悪かったって!奢るから。ね?」
球磨「奢るとかどうでもいいクマ…早く何か食べたいクマぁ…」
足柄「すみません。表にあったランチ2つで!」
深海「おやっさん!ランチ2つ入るよ!」
店主「あいよ!」
球磨「早くするクマ…お腹と背中がぺったんこクマぁ…」
61 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:55:49.94 ID:4D5LQa930
これはいけない。お客様の大ピンチだ。
しかも今日は前のリベンジも含めたサバの味噌煮だ。
魚料理の中では定番料理の一つなのではないだろうか?知らない人は誰も居ないだろう。
この間の客の指摘も踏まえ、鳳翔さんにも手伝ってもらった自信作だ。
そのうえ今回のは少し趣向を凝らしている。
今までうちは信州味噌(合わせ)を主体に使っていたが、鳳翔さんのアドバイスもあり、あえて違う味噌を使ってみることした。
それが赤味噌…「八丁味噌」だ。
名古屋出身だから選んでくれたのだが…あっちに居た時は基本これだったからな。
こっちの人に受け入れられるか心配して今まで使ってはいなかったけど…
「あえて使ってみるのも手です」と鳳翔さんの後押しもあり使ってみることに。
だから今まで作ってきたものより明らかに色が濃い。そして、味も濃い!
だからサバ本来の独特な魚臭さが感じない。
男にはご飯の供として成り立つだろうけど…女性にはどうだろうか?そこが心配。
ちなみに今日の小鉢はメインが味が濃いのでキュウリの酢の物でサッパリと。
味噌汁も味噌が重なるといけないので、あさりのすまし汁にしてみました。
62 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:57:04.00 ID:4D5LQa930
深海「はい、お待ちどうさま。」
足柄「ありがとう。」
球磨「待ってたクマー!」ヴォォォォ!!
吠えた。
深海(吠えた。)
足柄「いただきます。」
球磨「っ!サバクマ!」
足柄「アンタ、表の看板見なかったの?」
球磨「見る気力もなかったクマ…つらかったクマ…」
足柄「はっ早く食べなさい!おいしいわよ!」
63 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:57:36.24 ID:4D5LQa930
球磨「言われなくても!サバは大好きクマ。でも鮭の方が大好物クマ!」
やっぱ熊じゃないか。
深海(熊だ…)
球磨「でもこの味噌煮色が濃い様に見えないクマ?」
足柄「そうね。いつも見るみそ煮と少し違う?」
球磨「でもお腹の減りには敵わないクマ!いただきます!」
パクッ
球磨「っ!?」
足柄「どうしたの?」
球磨「味が濃いクマ…」
足柄「え?」
あちゃ~…濃くし過ぎたかな?
俺はあれぐらいが丁度いいかと思ったんだが…
もう少し遠慮して使った方が…
64 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:58:26.08 ID:4D5LQa930
球磨「だから…ご飯が進むクマ!」パクパク
足柄「あら、本当ね。」モグモグ
あれ?そうでもなかった?
深海「一瞬ドキッてしたね。」
店主「ああ。」
また指摘を受けると思ってしまったじゃないか。
足柄「濃いは濃いけど、いやな濃さじゃないわ。」
球磨「クゥマァ~♪」
足柄「アンタ、いっつもお魚ばかりよね。」
球磨「魚は大好物!」
足柄「でもカレーまでシーフードにしてたら飽きない?」
球磨「飽きてたらもう食ってないクマ。このすまし汁もおいしいクマぁ!」
足柄「味噌汁じゃないのね…ああ、メインが味噌だからか。」
65 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:59:15.51 ID:4D5LQa930
球磨「酢の物あげるクマ。」
足柄「あら、いいの?」
球磨「酢の物系は苦手クマ…」
足柄「最近ウチの鎮守府、苦手を克服するの流行ってない?暁と言い…天龍と言い…」
球磨「クマ!?」
足柄「ねぇ~?」
球磨「クゥ~マァ~…」ダラダラ
足柄「…」ジィー
球磨「食べる…クマ。」
足柄「偉い偉い。」ナデナデ
66 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 03:59:49.67 ID:4D5LQa930
球磨「ナデナデするなクマ!ぬいぐるみじゃないクマ!」
足柄「あら、じゃあ…こっちのご褒美がいいかしら?」ヒョイッ
球磨「?…おお!味噌煮!…くれるクマ?」
足柄「私はもうお腹一杯だからあげるわ。」
球磨「ありがとうクマ!ナデナデよりこっちのご褒美の方がいいクマ!」
足柄「よしよし。」ナデナデ
球磨「だから撫でるなクマ!」
やっぱどう見ても妹向きだよな…この熊って子。
何はともあれ、鳳翔さんのおかげだな。
後日、件のお客さんも来て納得して帰られた。
鳳翔さんありがとう!
67 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 04:00:22.13 ID:4D5LQa930
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
日々精進してまいります。
68 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/28(土) 04:01:07.97 ID:4D5LQa930
総統『たぁ~かぁ~のぉ~つぅ~めぇ~』
吉田君『たぁ~かぁ~のぉ~つぅ~めぇ~』
深海「たぁ~かぁ~のぉ~つぅ~めぇ~」
店主「…」
かおるちゃんの好きなアニメは『秘密結社鷹の爪』
総統『んん!?吉田君!?』
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/01(火) 16:11:45.13 ID:k1TNv/nt0
>今までうちは信州味噌(合わせ)を主体に使っていたが、鳳翔さんのアドバイスもあり、あえて違う味噌を使ってみることした。
>それが赤味噌…「八丁味噌」だ。
>こっちの人に受け入れられるか心配して今まで使ってはいなかったけど…
つまり味噌汁も赤出汁じゃないのかな?
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/02(水) 23:50:05.68 ID:pPMq2OFyO
ぶっちゃけ赤出汁の味噌汁は好み別れるから食堂には向かないと思う
105 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:05:46.15 ID:VewpPN7b0
12月…もう年末です。
「師走」という言葉。俺は昔やってた某コンビニのCMで知ったな。結構昔のCM。
さて、そんな12月はイベント目白押し!クリスマスに大晦日!
と言っても、ウチはそこまで関係ないからなぁ…
クリスマスはハロウィンと一緒で毎年何か特別な事をやるって訳でもないし。
大晦日は店自体が休みだし。
まぁ、なんて言うかね…
106 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:06:24.98 ID:VewpPN7b0
??「だからお願いしますってぇ~!」
店主「お断り。」
まずは目の前の問題を片づけることに専念しよう。
??「最近この店にウチの鎮守府の艦娘達が出入りしてるのは分かってるんですよ?」
店主「うん。」
否定はしない。間違っちゃいないんだから。
??「だから取材をお願いしますよぉ~…」
店主「お断り。」
??「またかぁ~…」
この子、何でも新聞の記事に困っているからうちに来たらしいんだが…
107 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:06:51.26 ID:VewpPN7b0
??「だからお願いしますってぇ~!」
店主「お断り。」
まずは目の前の問題を片づけることに専念しよう。
??「最近この店にウチの鎮守府の艦娘達が出入りしてるのは分かってるんですよ?」
店主「うん。」
否定はしない。間違っちゃいないんだから。
??「だから取材をお願いしますよぉ~…」
店主「お断り。」
??「またかぁ~…」
この子、何でも新聞の記事に困っているからうちに来たらしいんだが…
108 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:07:28.16 ID:VewpPN7b0
店主「え~っと…青葉って言ったっけ?」
青葉「はい!青葉型一番艦の青葉です!」
元気がいいのは認めよう…
店主「悪いけど、ウチは取材お断り中なんだよ。」
青葉「なんでですか!せっかくいいお店なのに!噂で聞いてますよ?出てくる料理がどれも美味しくてリーズナブルだって。」
そう評価してくれるのはありがたいけど…
店主「まぁねぇ…うちは見ての通り2人で切盛りしてるからね。いきなり忙しくなると店が回らなくなる可能性が出るんだよ。」
昔はテレビの取材や雑誌の取材を遠慮なく受けていたが、それはまだ親父が現役だったし、それなりに従業員がいたからで…
今はかおるちゃんとの二人きりだし、下手に受けて店の評判を落としたくはないんだよね。
実際、今の売り上げでも生活には十分困らないし。
青葉「むむむ…」
いやぁ、そんな顔されてもねぇ…
109 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:08:27.61 ID:VewpPN7b0
青葉「だったら!イニシャルだけでも!」
い?
店主「イニシャル?」
青葉「街角やの名前は出さずに食堂Mって感じで載せても…」
店主「他の情報載せるんじゃ変わらなくない?」
青葉「むむむむむ…」
…仕方ない
店主「新聞に何か載せるかで困ってるんだろ?」
青葉「はい…前一回載せて評判だったグルメレポートを載せようと思ったんですよ…」
店主「だったら、商店街にあるラーメン屋を紹介しようか?」
青葉「ラーメン屋?」
店主「ラーメン屋。そこの主人が俺の学生時代の後輩でね。俺もよく様子を見に行きがてらにそこに行くんだよ。」
青葉「…後輩。」
店主「なんなら今連絡して聞いてあげようか?あいつもなんか取材が来ないかなって言ってたし。」
青葉「本当ですか?」
店主「ああ。」
悪い条件ではないとは思うけど…
110 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:08:54.96 ID:VewpPN7b0
青葉「では是非!」
店主「なら今連絡を…ああ、ちなみに。」
青葉「?」
店主「そいつから余計なことを聞き出すんじゃないぞ?」ニッコリ
青葉「…はい。」
一応、釘は刺しておこう。
111 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:09:32.15 ID:VewpPN7b0
~閉店後~
店主「ってなことがあってな。」
深海「青葉さんか…吹雪ちゃんたちから聞いた事あるな。」
店主「なんて?」
深海「鎮守府内で週一で発行してる新聞があるらしいんだけど、その新聞を作ってるんだってさ。」
店主「会報みたいなもんか?」
深海「たぶんね。実物は見たことないけど、吹雪ちゃんたちの話を聞いてるにその方が近いかな?」
店主「そうか…まぁ、従業員が揃っていたら受けてたんだがな…」
深海「そういや、従業員増やさないの?」
店主「昔ほど、お客さんの出入りが多くないからな…」
112 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:10:20.34 ID:VewpPN7b0
親父の代の時は今の倍近くは入っていた。
ランチタイムもディナータイムももっとバタバタしていた記憶がある。
ただ、その時の客層っていうのは基本的に親父目当てっていうのがほとんどだった。
年齢層の高い男性客がメインで、前日やその日にあった嫌な事を愚痴りに来ていて、夜なんかは食堂ではなく居酒屋状態だった…今思えば親父も聞き上手だったからな。
親父が現役を引退してからは、その辺のお客さんも一緒に居なくなっていた。
まぁ、引退前夜なんて周りから苦情が来るほどドンチャン騒ぎしてたからな。
深海「どうしたの?」
店主「いやぁ、前まで来ていたお客さんはどこに行っちまったんだろうな…と思ってさ。」
深海「…そうだね。」
店主「…2人じゃキツイかい?」
深海「…ううん、大丈夫だよ。信ちゃんとだったら。」
店主「…久しぶりにその呼び方したな。」
深海「たまには…ね?」
店主「なんだよ。」
深海「えへへ…」
変な奴…
113 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:11:00.85 ID:VewpPN7b0
~次の日の朝~
サブ「おはようございます!」
店主「ああ、いつもありがとうございます。」
サブ「いえいえ、こちらこそ。」
今日もいつもの魚の配達、ご苦労様です。
サブ「実は今日、面白い魚を持ってきたんですよ。」
店主「面白い魚?」
サブ「これです!」
店主「?」
おもむろにその面白い魚とやらを見せつけてきたけど…
なんだコイツ?見たことのない魚だな…
体はメタリックに輝いていて、姿形はやや不細工…
わからん!
114 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:11:44.00 ID:VewpPN7b0
店主「なんです?こいつは…」
サブ「やっぱりわかんないです?」
ニッコニコ笑顔…完全にしてやったりな顔だ…
サブ「こいつは"ハシキンメ"っていう深海魚ですよ!」
店主「深海魚!?」
深海魚…そんな珍しいのを持ってくるなんて…
ああ、だから面白い魚か。
店主「珍しいですね。」
サブ「でしょ。」
店主「まぁ…」
そりゃ、ぜんぜん深海魚なんてお目にかからないし。
115 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:12:31.50 ID:VewpPN7b0
店主「でも…どう調理すればいいか…」
サブ「こいつは新鮮なんで、刺身でも行けますが…金目の仲間なんで煮つけが一番ですね!」
店主「ほう…ああ、そうか金目も深海に居るんでしたっけ。」
そう考えると珍しくもないか…
サブ「そうそう、でもコイツの方が安価だよ。今日は小さいサイズのが多く取れたっていうんで、安く手に入ったんですよ。」
店主「そうなの?」
サブ「どうです?」
正直まだランチのメインが決まっていない…
なら
店主「買った。」
サブ「毎度あり!」
これでめでたくメインが決まった。
しかし、深海か…最近は深海棲艦の侵攻も収まってきてるとは言ってたけど…
116 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:13:12.47 ID:VewpPN7b0
~お昼時~
今日も客入りは上々な滑り出し。
ただ、ランチは少し避けられ気味…
まぁ、聞いた事のない魚だし仕方ないか。
中には金目の仲間って聞いたら頼んでくれる人もいるけど…
深海「野菜炒め入るよ。」
店主「あいよ。」
まぁ、こんな感じ。
結局、各々自分の好きなものに避けてる感じだよ。
珍しいから売れるってもんでもないからなぁ~…
深海「次はエビフライね。」
店主「えびふりゃー。」
深海「…え?」キョトン
店主「いや、なんでも。」
名古屋出身だから一応ね…
117 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:13:58.63 ID:VewpPN7b0
ガララッ
店主「いらっしゃいませ~!」
??「む?満席か?」
深海「あっお一人様ですか?ちょっと待ってください。いま空けますから。」
??「ああ、すまない。」
満席?そこまで埋まってたか。
調理に集中してると、そこまで確認が…
…え?
??「…」
女性で一人で来るのはいいけど…
着てるモノがサラシって…一応上からは羽織ってはいるけど…
それでも胸元丸見え。
118 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:14:43.18 ID:VewpPN7b0
だから見て見ろって
「…おお。」
サラリーマンのおっさんどもが鼻の下伸ばしてやがる。
あんなの俺の爺さんが見たらめちゃくちゃ起こるだろうな…親父は喜ぶだろうけど。
深海「おやっさん…」
店主「んあ?」
深海「見過ぎ!」
店主「…見てない見てない。」ブンブン
苦しい言い訳だ。
見るなって方が無理な話だもんよ。
しかし、見るからにワイルドな女性だ。
もうほとんど男に近いか?
119 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:15:35.26 ID:VewpPN7b0
??「すまない。」
深海「はい。」
??「とりあえず生を貰えるか?」
深海「はぁーい。」
昼から一杯か。やはりワイルド。見るからに強そうだし。
深海「お待ちどうさま。」
??「ありがとう。」
店主「野菜炒めあがるよ。あと、エビフライも。」
深海「はぁーい。」
??「?」
深海「どうしました?」
??「メニューは…?」
深海「ごめんなさい。うちは壁に貼ってあるんですよ。」
??「おお、あれか。」
120 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:16:26.98 ID:VewpPN7b0
ガララッ
店主「いらっしゃいませ!」
深海「いらっしゃい!」
中年「よぉ、儲かってるかい?」
店主「それ、毎回聞きますね。」
中年「いやぁ、ははは。」
このちょっと小太りな中年男性は近くの小さな会社を営む社長さん。
昔から贔屓にしてくれてる上客だ。
水道工事の会社だっけかな?
中年「表にあったランチ…ハシキンメっていうのは何だい?」
店主「なんでも金目の仲間で深海魚らしいんです。」
中年「ほう、深海魚。…でも、金目の仲間なら煮つけもうまいんじゃないか?」
店主「ええ、味は保証しますよ。」
中年「ならそれ貰おうか。」
店主「ありがとうございます。」
121 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:17:15.61 ID:VewpPN7b0
??「なら、私もそれを貰おうか。」
店主「え?」
中年「おや?」
??「ん?」
中年「なんだ武蔵ちゃんじゃないか!」
??「おお、そういうあなたは。」
え?知り合い?しかも"ちゃん"って…
中年「最近、見なかったけどまた任務かなんかかい?」
??「いや、そういう訳ではないんだけどな…演習とかであちこち回っていたよ。」
中年「そうなのかぁ~。」
店主「えっと…」
中年「あれ、この子のこと店主知らないの?」
??「無理もない。初めて来たからな。」
122 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:17:55.43 ID:VewpPN7b0
中年「そうなんだ。いや、ほら。"武蔵"だよ。」
店主「宮本?」
??「なかなか面白い冗談だ。」
店主「ええ…」
いや、いきなり武蔵って言われれば…俺の中では宮本…
でも、任務だ演習だって言ってたってことは艦娘か?
ん、待てよ?艦娘で武蔵?…どこかで・・・
中年「大和ちゃんの妹の武蔵ちゃんだよ。」
店主「え?大和?」
??「そうだ。」
武蔵「挨拶が遅れた。大和型 2番艦 戦艦"武蔵"だ。よろしく。」
店主「え?」
え?
ええええええええええ!?
123 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:18:44.10 ID:VewpPN7b0
ポカッ
深海「衝撃なのはわかるけど手を動かしてね。今のふたりはランチ二つだよ。」
店主「…喜んで。」
何も叩くことないじゃないか…
しかし、まさか妹さんの方が来店とは驚いた。
今度は是非お姉さんも一緒に!
じゃなかった急いで注文の品を作らねば。
正直な話を言うと自分はあまり魚には詳しくない。
旬なものは分かっても、これがどう言う生態を持った魚のかはイマイチわからなかったりする。
コイツもそうだ。『ハシキンメ』。
手元にあるのは精々15㎝ぐらいか?大きいのだと30センチぐらいだとか。
調べてみると、水深150m~700mの所に生息してるとか。この大きさなのになかなかタフな野郎だ。
しかもこいつが獲れたのは愛知県。
料理自体は名古屋飯とは何ら関係ない調理法なのに、なんだか変な気分だ。
俺もこの魚は初めて。サブちゃん曰く刺身でも行けるってもんだから試しに食べてみたら、なかなかどうして。
コリコリとした食感、甘みもあって旨みも強い。流石は金目のお仲間、隅にはおけない。
刺身でもいいか?とは思ったが、こう寒くなってくると冷たいものより温かいもの。
そうなると煮つけの方がいいだろうと思い決行!
ちなみに味付けは濃いほうがいいらしい。
一匹当たりの大きさがそれほど大きくないので、一人前一匹の大盤振る舞い。
これが金目なら間違いなく赤字だ。
ハシキンメの煮つけをメインに添え、ご飯に汁物の味噌汁、そして漬物、本日の小鉢である卯の花を付ければ。
124 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:19:35.66 ID:VewpPN7b0
店主「ランチあがったよ。」
深海「はいお待ちどうさまです!」
中年「ほう。」
武蔵「? 見たことのない魚だな。」
中年「だな。あんまりこっちの方では見かけんな。」
店主「深海魚なんで、あんまりこっちの方には出回ってこないらしいです。」
中年「そうなんだ。」
武蔵「深海魚か…」
中年「どうした?」
武蔵「いや…最近私の元の姿が海底で見つかったからな。」
中年「そう言えばそうだったな。なんだい、成仏でもするかい?」
武蔵「馬鹿言え、深海棲艦を根こそぎ討伐するまではこの武蔵、あの世になんぞ行かないさ。」
125 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:20:24.37 ID:VewpPN7b0
中年「だからって無理すんなよ。」パクッ
中年「おっ、うまいねこれ。」
店主「でしょ。」
武蔵「ほう、煮つけの仕方もうまいんだろうが…魚自体もうまいんじゃないか?」
中年「流石は金目の仲間ってか?」
武蔵「…ふむ。味噌汁もいけるな。こう寒くなったら、やはり温かいものが進む。」
それはその格好の所為では?といったら失礼かな?
中年「ところで今日は大和の姉ちゃんはどうしたんだ?」
武蔵「大和ならいつもの所だよ。」
中年「何だい珍しい。姉妹別々だなんて…喧嘩でもしたか?」
武蔵「いや、この店のことが青葉の新聞に…」
店主「はぁ!?」
武蔵「!」ビクッ
126 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:21:25.48 ID:VewpPN7b0
中年「おうおう、今度はこっちがどうしたい?」
あんの野郎…載せるなって言ったのにぃ…
店主「…」ゴゴゴゴゴゴ…
中年「なんだか燃えてんな…」
武蔵「…なんだか知らんがこれは燃えてるのではなく、負のオーラというものではないか?」
中年「さしずめ無断で載せられたとみるべきかな?」
武蔵「とりあえずイニシャル表記だったがな…記事自体はラーメン屋のモノだったが…」
中年「良くここが分かったな?」
武蔵「駆逐艦たちが話してるのを小耳に挟んでな。興味が湧いたから来てみたんだ。」
中年「するってぇとあれかい?偵察みたいなもの?」
武蔵「言ってみればな。大和に毒味はさせんさ。」フフッ
中年「それ本人の前で言うなよ?」
武蔵「言わないさ。気に入った味を毒味とは言わないからな。」
中年「それは良かった。」
127 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:22:01.44 ID:VewpPN7b0
武蔵「今度は大和も連れて来よう。」フフッ
店主「…」ゴゴゴゴゴゴ…
深海「…注文通して良い?」
店主「…どうぞ。」
128 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/12(土) 03:22:31.12 ID:VewpPN7b0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
たまに珍しいメニューも置いています
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/12(土) 11:34:25.26 ID:Rqmp+hiVO
乙腹減った提訴
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/12(土) 18:09:26.48 ID:X1oZSxF9O
ハシキンメか……知多の方の市場で買えるなら食べてみたいな
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/14(月) 01:33:23.02 ID:9zYczQlcO
魚の煮付け食いたくなってきた
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/26(土) 00:38:07.96 ID:clnjPEPs0
深海「ふふふーん、ふふふーん」
鼻歌なんて歌ってえらいご機嫌だな。
深海「お、おやっさん。見て見て」
店主「…おお」
店の入口にクリスマスツリー…きれいに飾り付けがされているな。
流石は女の子ってところか。
って
店主「ツリーなんてうちにあったか?」
今までクリスマスの日にそんなもの飾った覚えもないし…あったとしてもこんないい奴…
深海「奮発しちゃった!」
え?
店主「買ったの!?」
深海「うん!」
いやはや、この子の行動力には脱帽…
158 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:38:46.09 ID:clnjPEPs0
深海「だってこの店さ、ハロウィンの時みたいにクリスマスにイベントとかしないでしょ?しかもなんも飾り付けもしないし」
店主「まぁね」
祝ったりしないからな。
深海「でもさ、周りの店は小さいながらにやってたりするんだよ?隣の花屋さんや寺本さんの所はともかく、権蔵さんの所や交差点の手前の文房具屋とか、ツリーまではいかないけどちょっとした飾りつけぐらいはやってるんだよ?」
店主「そうなんだ…」
そんなことリサーチしたことないからな…
というか、そういうとこしっかり見てるんだな。
年頃の女の子だね。
深海「なに年頃の娘を見るお父さんのような眼差しを向けてんのさ」
なにそれ
深海「まぁいいや。で、今年は何やるの?」
店主「へ?」
深海「クリスマス!」
店主「そんなこと…」
なんもやんない…
159 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:39:19.77 ID:clnjPEPs0
深海「まさかここまで用意しておいてやらないってことは無いよね?」
店主「!?」
まさかこの子、そのためにツリーを!?
深海「ね~♪」
店主「…やられた」
今更ツリーを返品してこいとは言えないし…
店主「今年だけだぞ?」
深海「よし!」
てなことで今年のクリスマスは特別メニューを出すことに決まった。
深海「うしし。何しようかね信ちゃん」
あの喜びよう…ほんとこの行動力は恐ろしいわ…
160 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:39:51.53 ID:clnjPEPs0
とまぁ、決まったのはいいけど何にするか…
店が閉店した後、俺は爺ちゃんたちが残したレシピノートを引っ張り出し、自分の部屋で睨めっこを続けている。
今までやってなかった分、こういう時何をしたらいいかわからない。
クリスマスだからね、洋食系がいいだろう。
流石に生姜焼きとか、野菜炒めとか、そんなものをメインに持っていくわけにもいかないだろう。
洋食がいいからと言ってオムライスとかステーキと言うのも…チキンステーキは良いのか?
でもやっぱそこはフライドかローストだよな。唐揚げ…はないか。
店主「う~ん…」
やるのは24・25の2日間。
例年だとその2日間は客入りがどうしようもないくらいに少ない。
やはりチキンとかオードブルとかケーキとか、そっちの方ばかりにお客さんが行くから、ウチみたいな店にはほとんどお客さんは寄り付かない。
じゃあ、ウチでもやれば良いじゃないかと思うだろうがその日のためだけに特別な材料を調達するのはリスクが大きすぎる。
では店を閉めればいいのではと思うだろうが…祝日じゃないからね。土日だったら開けなくて済むんだけど…
だから、今回やると言ってもウチでもとから扱っている材料でロスにならない程度のメニューを出す必要がある。
個人店は少しのロスでも大打撃になりかねないから。
さて、どうしたものか…
何かいいものは…
161 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:40:36.02 ID:clnjPEPs0
トントンッ
店主「?」
深海「まだ起きてるの?」
店主「もう寝るけど…どうした?」
深海「…今年も暮れも帰るんだよね?」
店主「ああ、その予定」
深海「じゃあ、そろそろ告知張り出さないといけないんじゃない?」
店主「ああ、そうだな…明日やるか」
深海「アイドルタイムに手伝うよ」
店主「お前さんの方が字綺麗だもんな」
深海「ふふん。女子力高いからね!」
胸張っていうことかよ。
深海「んじゃ、おやすみ」
店主「おう、お休み」
パタンッ
今年も帰るのか…
162 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:41:36.19 ID:clnjPEPs0
~翌日 アイドルタイム~
深雪「…」ジーッ
深海「…」キュッキュッキューッ
電「…」ジーッ
店主「…」
この子達は一体何を見てるんだ?
深海「おやっさん、31~何日まで休む?」
店主「来年のカレンダーどこ行ったっけ?」
深海「えぇ?新聞屋からもらったのどこやったの?」
店主「かおるちゃんが前どっか置いたよね…」
深海「私はおやっさんに直接渡したはずだけど?」
マジで?
163 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:42:15.80 ID:clnjPEPs0
店主「あれ?」
深海「だかられほど…」
えぇ~っとぉ…
店主「あぁ、思い出したレジの下の引き出しだ」
深海「しっかりしてよね」
深雪「…おっちゃん、アルツ」
店主「それ以上言ってみろ」
流石に怒るぞ。
電「年末年始はお休みなのですか?」
深海「うん。創業当時からお休みだよ」
深雪「いいなぁ、私らなんて年末年始も休まず営業だぜ?」
深海「じゃないと誰が守るのよ」
深雪「私も休みたいぜ。深海の奴らも年末年始ぐらい休まねぇかな…なぁ、電」
電「それぐらい平和になってほしいものです」
深雪「だよなぁ…」
164 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:42:57.32 ID:clnjPEPs0
店主「なんだ、来年は三が日が土日と重なるのか…」
もう少しずれたらあっちで色々できるのにな…
深雪「贅沢言うな!」
店主「急になんだぁ??」
深雪「私らは年中無休で働いてんだぞ!」
深雪「ほら、電も」ボソボソ
電「え?えぇ…」
こらこら、巻き込んでやるな
深海「どうすんの?」
店主「仕方がない、31から3日までだな…キリがいいし」
深海「あいよ~」キュッキュキュキューッ
電「字がきれいです」
深海「ふふっありがと」
165 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:44:35.84 ID:clnjPEPs0
店主「今更だが、珍しい面子だな」
深雪「へ?」
店主「いやほら、前ぶつかったとかで色々言ってたじゃん?」
まぁ、今まででも見たことないコンビだし。
深雪「ああ、さっき終わった任務で一緒の艦隊だったからね。…な?」
電「なのです。終わった後に何か食べに行こうって話になって…」
深海「出来た」
店主「なるほど」
深雪「だからなんか食べさせてぇ~…お腹ぺこぺこぉ…」
電「はっはわわ!?」
深海「シャンとしなさいよ。電ちゃん困ってるじゃん…」
深雪「…ムリ」
電「どっどうしましょう!?」
店主「ほっといても死なないとは思うけど…」
電「なのです?!」
この子の慌てようは周りを巻き込むなぁ…
166 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:45:20.74 ID:clnjPEPs0
店主「何食べるんだ?」
深雪「ナポリタンください!」キリッ
お前、今死にそうになってたじゃないか…
電「はわわ!?」
お前さんも驚きすぎ…
店主「今作るから待ってな」
深雪「イエーイ!」
店主「電ちゃんは?」
電「なんかサンドイッチ的なものは無いですか?」
店主「サンドイッチ?…あるよ」
電「じゃあ、それでお願いします」
店主「あいよ」
深雪「…ところでさ」
深海「なに?」
深雪「年末年始の休みはいつもどうしてるのさ?」
深海「ああ、いつも長い連休に入るとおやっさんの実家に行くんだよ」
深雪「おっちゃんの?」
深海「うん」
167 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:45:59.22 ID:clnjPEPs0
電「って事は名古屋ですか?」
深海「そうだね」
深雪「いいなぁ」
電「名古屋の方には軍港がないので行くことがないのです…」
深海「そうだね、海軍ないもんね」
深雪「名古屋ってどんなとこ?」
深海「う~ん…どんなとこって改めて聞かれると…」
深海(いつも当たり前のように行ってるからな…そんなこと考えたこともない…)
深海「逆にどんなとこだと思う?」
深雪「…この間テレビで見た」
深海「?」
深雪「駅が馬鹿でかい!」
深海「ああ、一応ギ○ス認定だっけあれ」
電「そうなのですか?」
深海「みたいだよ。世界一大きな駅だって」
電「見て見たいのです!」
深雪「私もテレビじゃなくて実物を見たいな」
168 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:47:10.31 ID:clnjPEPs0
深海「あとは?」
深雪「あとは味噌じゃない?」
電「なんでですか?」
深雪「味噌カツ、味噌煮込み、味噌おでん…なんでも味噌使ってるイメージ…ってネットの掲示板で」
深海「まぁ、確かに多いけね…」
深雪「あと"つけてみそかけてみそ"!」
深海「何で知ってるのさ…」
深雪「みのさんの番組でやってた!」
深海(最近のネットやテレビの影響デカいなぁ…)
電「つけてみそかけてみそ?」
店主「これのことだよ」コトッ
電「はわっ!」
深雪「そうそうそれそれ!」
169 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:47:48.19 ID:clnjPEPs0
電「なんなのです?これ…」
店主「それをおでんや豆腐にかけたりつけたりして食べるんだ」
電「へぇ~…」
深雪「でも、それをご飯上にビューッてかけて食べて…」
店主「あれは一部の人間だけだ。全員ではないよ」
深海(見てたんだ…)
店主「炒め物に使ったりもするな。野菜炒めに使ったりすると回鍋肉みたいになるし」
電「へぇ~」
店主「ほれ、ナポリタンお待ち」
深雪「うぉ~、待ってました!」
ジューッ
深雪「へ?」
170 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:48:32.14 ID:clnjPEPs0
電「ナポリタンが鉄板の上にのってるのです!」
深雪「あれ?」
電「しかも溶き卵が敷いてあります」
深雪「どういうこと?」
店主「ウチのナポリタンは名古屋式だ」
電「名古屋式?」
店主「名古屋じゃナポリタンは熱した鉄板の上に溶き卵を敷いて、その上にナポリタンを乗せるんだよ」
深海「名古屋じゃそれを"鉄板イタリアン"っていうの」
深雪「へぇ…最初何が出てきたのかわからなかった…」
店主「名古屋の喫茶店じゃ当たり前のように出てくるぞ」
深雪「この辺じゃ見かけないよな…いただきます!」ズルッ
深雪「う~ん…味は普通だけど、こうやって出てくるだけで、ちょっとグレードがあがった気分だね」モグモグ
店主「だろ?」
深雪「得した気分?悪くないよ」
171 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:49:29.18 ID:clnjPEPs0
電「…」
深海「あっちが良かった?」
電「違うのです。同じメニューでも場所によって違ってたりするんだなって」
店主「それはあるな。はいサンドイッチだ」
電「ありがとうなのです」
深雪「それは普通なんだ」
電「ハムに卵にツナ」
店主「そりゃあな。別に珍しいもんばっか置いてるわけじゃない」
深雪「ふーん」
店主「それにサンドイッチはウチのメニューにない」
深雪「は?」
電「え?」
深雪「そうなの?」
深海「うん。元々置いてないよ。だから、電ちゃんが頼んだ時によく受け入れたなと思って。」
電「なんで?」
店主「常連だからな、少しぐらいサービスが良いほうが受けもいいだろ?」
172 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:50:08.69 ID:clnjPEPs0
深雪「なんだそれ?じゃあ私も今度何か作ってよ」
店主「その日の気分と材料があればな」
深雪「その日の気分って…なんだか聞いてもらえない気がする…」
店主「磯波ちゃんぐらい大人しく良い子にしてればな」
深雪「…ムリ」
深海「そこは努力しなよ!」
店主「ただ…」
深雪「うん?」
店主「クリスマス限定のきっかけになるかと思ったんだが…」
深雪「クリスマス?」
深海「うん。私の我が儘でね。いつもはやってないから悩んじゃって」
電「…」
店主「なんかいいアイデア無いかな?」
深雪「急に聞かれても…なぁ、電?」
173 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:50:52.65 ID:clnjPEPs0
電「協力するのです!」
深雪「は?」
電「暁ちゃんの苦手克服を手伝ってくれたお礼です。電もお手伝いします!」
深雪「手伝うって…」
電「勿論アイデアの話ですけど」
深雪「そりゃまぁ…」
深海「で、何かあるの?」
電「…ないのですぅ」
店主「まぁ、無理すんな」
深海「そうそう。あの時だってこっちの気まぐれがあったし。ね?」
店主「まぁな」
電「うぅ」
深雪「だったら、また鳳翔さんに手伝ってもらったら?」モグモグ
店主「鳳翔さんに?」
深雪「だってこの間手伝ってもらったんだろ?」
店主「ああ…だが…」
深海「また手伝ってもらうのもね」
店主「だよな」
174 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:51:24.55 ID:clnjPEPs0
深雪「そういうとこは遠慮するんだ」
店主「仕方ないだろ。この間だってこっちの不手際で…」
深雪「まぁ、でも…鳳翔さんは洋食ってイメージでもないもんな…どっちかというと」
電「お母さんの味」
深雪「そうそう、加賀さんが鳳翔さんの作った肉じゃがはおいしいって言ってたし、どっちかと言うとそっちのイメージだな」
店主「ほう」
まぁ、そういうイメージがあるのは確かだな。
サバの味噌煮の時も…
ん?肉じゃが?
店主「…」
深雪「どったの?急に黙っちゃって…」
深海「おやっさん?」
店主「2人とも!」
深雪・電「?」
店主「ありがとう!」
深雪・電「!?」
深海「ちょちょっどういうこと?」
良いきっかけを貰った。
やっぱり常連っていうのは大事だな。
175 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:52:15.64 ID:clnjPEPs0
~クリスマス当日 昼時~
龍驤「んで、なんでウチまで連れてきたん?」
深雪「だって気になるじゃんか。肉じゃがで何を思いついたか」
龍驤「いや、だからなんでウチを連れてきたんって…全く答えになってへんやん。せっかくの休暇だってのに…」
深雪「…」
龍驤「なに?人の顔ジッと見て…」
深雪「暇やろ?」
龍驤「よぉーし分かった!お前には先輩ってもんがどういうもんかシッカリ教えたるわ!」ゴゴゴゴゴゴ…
深雪「じゃあ、予定あったの?」
龍驤「…」
深雪「せっかく誘ってあげた後輩を敬わなきゃね」
龍驤「…ムカッ!」
グギギギギギギッ!
深雪「ちょっ!こんなとこでコブラツイストは!」イタタタタタッ
龍驤「先輩おちょくるのも大概にしとき!」
深雪「ごっごめんなさい!まっマフラーが首にしまっ!」
176 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:52:51.25 ID:clnjPEPs0
時雨「ところで…」
龍驤「んあ?」
深雪「?」
時雨「僕も同じ理由かな?」
深雪「暇だろ?」
時雨「暇だけど別にボッチって訳じゃ…」シクシク
龍驤「…!」グギギギギギギッ!
深雪「だからっコブラツイスト止めっ!」イタタタタタッ!
177 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:53:24.18 ID:clnjPEPs0
龍驤「今度またつまらんことで呼んだらしばくからな」
深雪「しばいてから言うなよ…」イテテッ
龍驤「あん?」
深雪「先輩すんません!」コノトーリ!
龍驤「まぁええわ。行くのあのおっちゃんのとこやろ?今回は堪忍したるさかい」
深雪「ほんまおおきに!」
時雨「僕もあそこだったらいいかな」
深雪「時雨もすまん!」
時雨「別にいいよ」
龍驤「しっかし、あのおっちゃん。顔に似合わずクリスマスメニューって」
時雨「顔は関係ないよ」ハハハ…
深雪「まぁ、どんなメニューを出してるかはこの扉を開ければ!」
ガララッ
深雪「たのもー!」
店主「いらっしゃい。うちは道場か何かか?」
178 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:54:12.15 ID:clnjPEPs0
時雨「あれ?思ったより空いてる?」
店主「もうひとピーク越えたからな」
深海「好きなとこ座って…って龍驤さん」
店主「こんな昼に珍しい」
龍驤「まっまぁ、なんや…その…」
深雪「暇そうだったから連れてきたんだよ」
龍驤「あっ深雪!」
深海「あ~、そうなんだ…ゆっくりしってってください」
龍驤「仕方ないやろ!うちに姉妹なんておらんのだから!」
店主「もしかして時雨ちゃんも?」
時雨「うん。姉妹全員任務に行っちゃったから」
深雪「クリスマスなのに大変だよね」
店主「つまりコイツの被害者って訳か」
深雪「は?なに?被害者って」
龍驤・時雨「まぁ、そんなとこ」
深海「なぁ~るほど」
深雪「…へ?」
コイツ悪気ないってのがな…
179 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:54:42.19 ID:clnjPEPs0
深雪「まぁ、いいや。とりあえずクリスマス限定メニューっていうのを!」
龍驤「せやな、コイツに巻き込まれたついでや」
時雨「うん。僕も気になるし」
深海「って事は3つ?」
深雪「おう!」
深海「じゃあ、少しお待ちを。おやっさん、クリームシチュー3つね」
店主「あいよ」
深雪「くりーむしちゅー?」
180 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:55:11.59 ID:clnjPEPs0
深雪の奴が素っ頓狂な声を上げてるが、ひとまずスルーだ。
深雪たちの"肉じゃが"からヒントを貰い、今年のクリスマス料理として出すことにしたクリームシチュー。
ほとんどの人はシチューをスープ料理と思っている人がいると思うが、正式には煮込み料理として扱うのが正しい。
味噌汁よりもモツ煮や牛の煮込みの方が近い料理だ。
線引き自体は明白ではないけど、具材が大きくて、とろみのついた濃厚な煮込み料理をシチューと呼ぶらしい。
日本でなじみ深いのはクリームとビーフだろう。
ウチでも昔はビーフの方を出していたらしいが、コストの問題でいつの間にか出さなくなってしまった。
今でも常連から何度も出さないのかと催促されたことはあるが、手間のことも考えてやんわりと断っている。
やりたいんだけどね。その方が目玉もできるわけだし。
ちなみに今日…というか前日から出しているクリームの方は今回が初めてだ。
で、なぜ深雪たちの"肉じゃが"発言からクリームシチューになったかだが…
諸説はあるが、肉じゃがのルーツがビーフシチューと言うのをトリビア的な番組で見たことがあって、それから今回のシチューを作るきっかけになった。
ただ、この説も矛盾な箇所があるらしく、詳しいことは先生に聞くことをお勧めする。
それもあってか、最初はビーフシチューを作る気だったんだけど…せっかくクリスマスなんだしと思いクリームシチューに変更。
最初はこれでいいのか不安だったけど、これが思いのほか好評でこっちが驚いた。
よくよく考えたらビーフシチューを出すとこはあっても、クリームシチューを出すとこって結構少ないんだよね。
最近だとビーフも少ないけど。
深雪「あれ?出るのが遅い…大きな鍋とかで作り置きじゃないの?」
店主「ひと手間ぐらいはくれよ」
そのまま出すっていうのも味気ないだろ?
今日はクリスマスだ。だからシチューも特別だ。
深めのお皿にシチューを注ぎ込んだらパイ生地を載せてオーブンで焼く。
店主「かおるちゃん、出来たから持ってって」
深海「はーい!」
181 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:55:55.72 ID:clnjPEPs0
深海「はい、お待ちどうさまです。器熱いから気を付けて」
深雪「!」
龍驤「これは…」
時雨「思ってたのと違う」
店主「いわゆるパイシチューってやつさ」
深雪「…これはどうやって食べるの?」
深海「スプーンで上のパイ生地を崩しながら食べるんだよ」
深雪「こう?」ザクッ
深海「そうそう」
龍驤「こう寒いとこういうのがええな」
時雨「うん。温まるよ」
深雪「で、なんで肉じゃががシチューに?」
時雨「多分、ビーフシチューを作ろうとしたら肉じゃがになっちゃった…っていうあの都市伝説からじゃない?」
店主「都市伝説?」
時雨「うん。あの時代にはもうビーフシチューが色んな店にあったらしいから、その話はあり得ないらしいよ」
店主「…」
そうなのか…それは知らなかった…
182 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:56:34.79 ID:clnjPEPs0
深雪「まぁでも、その御蔭でこのメニューを思いついたってだけでよかったんじゃないか?」
店主「まぁ…」
そうなんだけどね。
龍驤「偶にはこういうのもええな。いつも酒を煽りに来てるだけやから…新鮮やね」
深海「どっちかと言うとこっちのセリフだね」
龍驤「ちょっなんでや?!」
時雨「お昼にも顔出したら話が変わるんじゃないかな?」
龍驤「うぅ…」
時雨「でもこうやってパイ生地をかけて焼くだけで、全く違う料理に見えるね」
龍驤「せやな」
深雪「あれ?この会話どこかで・・・」
店主「まぁ、なんにせよゆっくり食べていきな」
深雪「どこだっけ?」
183 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:57:03.93 ID:clnjPEPs0
時雨「…あっ雪!」
龍驤「ほんまや!」
深雪「うわっマジじゃん。どうりで寒いわけだ…」
深海「そういえば天気予報でいってたね」
店主「ホワイトクリスマス…にはなりそうもないか?」
深海「この雪質じゃあね」
深雪「ホワイト…クリスマス?…あぁーーー!!」
店主「!?」
時雨「どうしたのさ?」
深雪「だからビーフじゃなくてクリームなのか!」
深雪「やるじゃんおっちゃん!」
龍驤「あぁ、そういうことかいな。おっちゃんも洒落たことするなぁ~」
時雨「でもそういうセンス嫌いじゃないよ」
深海「気付いてもらってよかったね」ニヤニヤ
店主「…」コホンッ
まぁ、滑らなくて良かったよ。
雪なだけに。
184 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:57:30.95 ID:clnjPEPs0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
メリークリスマス。
185 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2015/12/26(土) 00:58:05.38 ID:clnjPEPs0
隼鷹「ほら手が止まってるぜ、足柄」
足柄「あっありがとう」
千歳「生おかわりお願いしまぁ~す!」
千代田「千歳ねぇ飲み過ぎ」
千歳「酒は別腹。ねぇ~足柄さん」
足柄「そっそうね」
飛鷹「ごめんなさいね。巻き込んじゃって」
足柄「別に構わないわよ。予定…空いてたし」
千代田「まさか龍驤の奴が断るだなんて…」
隼鷹「ホントだよな。まさか昼に来ちまうとか…」
足柄「そうねぇ~…」
店主「はい、刺身の盛り合わせお待ち」
隼鷹「気前いいねぇ!」
千歳「愛してるぅ~」
隼鷹「ほら足柄も」
足柄「えっえぇ!?」
店主「はははっ、じゃあごゆっくり」
千歳「もう、タイミング悪い」
隼鷹「そうだぞぉ」
足柄「あっはは…」
足柄(寂しくはないけど…)
足柄(こんなクリスマスはヤダ)
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/30(水) 04:45:52.16 ID:wHaitVSTo
乙
肉じゃがビーフシチュー起源説についての描写に海軍史警察もニッコリ
あ、舞鶴は悔い改めてください
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/23(土) 12:50:11.80 ID:s5Gb2mJoo
赤城「行きたい」
217 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:37:35.56 ID:OLTE1vyH0
皆さん、明けましておめでとうございます。
1月も半ばが大分過ぎてしまった今日この頃ですが…いかがお過ごしでしょうか。
自分たちですか?
自分たちは色々です。年末年始は短いながらも実家に帰って親族関係に挨拶したり…
親父の世話なり、爺ちゃん婆ちゃんの墓参り。そして、は「お年玉ちょうだいよ!」
店主「は?」
深雪「聞いた言葉の如くだよ!」
急に何を…
店主「お前、今正月に見えるか?」
深雪「正月に会えなかったから今貰いたいんだ!」
店主「いやいや、正月過ぎたら期限オーバーだって」
久々に来店したと思ったらコイツは…
218 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:38:30.61 ID:OLTE1vyH0
吹雪「ダメだって深雪」
深雪「吹雪はそれでいいのか?!私たちは鎮守府側から支給された3千円だけなんだぞ!」
吹雪「お給料貰ってるんだから、それで十分だよ!」
深雪「同じ年頃の子はウン万円ってもらってるってテレビでやってたぞ!」ウガー!
吹雪「ウン万円って…だからって5万とか6万は貰ってないよ!」
深雪「それでもやっぱり憧れるじゃん!だから頂戴って!」
吹雪「だからダメだって!それに相手はお店の人だよ?下手したら軽い強盗行為だよ!」
はははっ新年早々から騒がしい奴らだ。
まぁ軽い強盗行為は面白いたとえだな。
??「ちょっと!」
深雪・吹雪「!?」
??「店で騒ぐなら出てってもらうわよ!」
深雪「え?」
吹雪「あれ?この子…」
店主「あー…」
219 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:39:00.88 ID:OLTE1vyH0
そうそう、今月からこの店に新しい従業員が加わりました。
名前を…
店主「まぁまぁ、落ち着いてよ霞ちゃん」
霞「ふんっ!」
『霞』って言います。
"元"艦娘の子です。
221 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:39:48.97 ID:OLTE1vyH0
店主「ありがとうございましたー」
吹雪「あの」
霞「ん?」
吹雪「ごめんなさい。騒がしくして」
霞「別にいいわ。私も大きな声出してごめんなさい」
吹雪「そんな。騒がしくしたのはうちの妹ですし」
店主「その妹、どんどん先に行っちゃったぞ」
吹雪「え!?じゃっじゃあ、また来ます!」マッテェー
霞「吹雪型っていうのはどこ行ってもああなのね」ハァ
店主「しかし、あそこまできつく叱ることは無いんじゃない?」
霞「そこんところしっかりしないと、艦娘としてのメリハリがつかないわ」
店主「まぁねぇ…」
俺としてはそういうのを忘れて来店してもらいたいんだが…
222 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:40:27.39 ID:OLTE1vyH0
霞「…」ハァ
店主「…やっぱ、艦娘が羨ましいかい?」
霞「…っ。そんなことないわ…しっかり受け入れたもの…こんなことになったのも、私自身の所為だし…」
店主「…そっか…休憩行っておいで」
霞「…わかった」
店主「…」フゥ
あれは、どうもまだ受け入れては無いな。
それもそうだよな。この子を受け入れて数週間。そりゃあな…
223 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:41:10.86 ID:OLTE1vyH0
年明けのオープン初日。
この日はまだ休みの会社があったらしく、店は予想以上の賑わいを見せた。
売り上げも今月一番に輝くであろう金額。その代わり、俺とかおるちゃんはヘトヘトになっていた。
店主「こんなんだったら、もう少しずらしておくべきだったな…」
深海「しっかりリサーチしないからだよ…」
店主「とりあえずもう閉めよう。まだ30分ほど早いけど、もう来なさそうだし」
正直材料も少なくなっているし。
深海「うん、暖簾下ろしてくるね」
そんな時だった。
ガララッ
??「すみません。まだやっていますか?」
一人の客。声からするに女性客のようだ。
深海「すみません。今日はもう…」
??「閉店…ですか?」
深海「はい…」
ナイスだかおるちゃん。申し訳なさそうに言うのも一つのテクニックだ。
224 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:41:44.36 ID:OLTE1vyH0
??「…なら、好都合です」
店主「はぁ?」
??「あっここのご主人ですね?」
店主「え?ええ…」
あれ?この人…
??「○○鎮守府からやってきた"大淀"と申します」
ああ、あの説明会の時に居た…
店主「すみません今日の営業は…」
大淀「あっ今日は食べに来たというわけではないんです」
店主「はい?」
大淀「ちょっとお話がございまして…」
店主「話…ですか」
大淀「はい」ニコッ
めっちゃ笑顔だ…
225 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:42:21.21 ID:OLTE1vyH0
深海「お茶です。どうぞ」
大淀「ありがとうございます」
店主「で、お話とは?」
大淀「単刀直入で言います。艦娘を引き取っていただけませんか?」
店主「…は?」
何を言い出すんだこの人は…
店主「俺に海軍の人間になれと?」
大淀「ああっすみません。話を端折り過ぎましたね。別にそういう話ではなくてですね」
ペラッ
大淀「ここに資料があるんですけど…」
店主「解体後支援?…かっ解体?」
表紙にえらく物騒な言葉があるな…
226 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:43:03.13 ID:OLTE1vyH0
店主「あっあの、解体って…」
大淀「ご主人は艦娘の事をどれぐらいご理解されてますか?」
店主「軍艦の記憶を持って生まれた、人に似て非なる存在。そして深海棲艦に対する人類最後の希望…としか」
見た目は人間でも生まれた経緯とかは人のそれとはまったく違う。
生まれてきた時も姿形はあの成長した時の姿のままだとか…不思議な存在だ。
大淀「その認識で大丈夫です」
大淀「彼女たちは深海棲艦を倒すためにこの世に生を受けたと言っても過言ではありません」
普段の日常の姿しか見てない俺にとっては過酷な話だ。
大淀「人類最後の希望…と言っても無敵と言うわけではありません。もちろん私たちにも"死"と言うものが訪れます」
店主「っ!」
大淀「戦闘によって沈んだ艦娘は轟沈と処理されます」
それが艦娘の死…二度と地上には戻ってこれないのか…
227 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:43:36.65 ID:OLTE1vyH0
大淀「ただ、そういった中には命からがら戻ってくる艦娘も居ます。艤装の状態、艦娘の身体状況によっては再び戦列に復帰することはできますが…」
大淀「艤装の修復不可能、身体に異常が出来てしまい戦列に復帰できなかった場合には、最悪"解体"と言う処分が下されます」
店主「…」
この流れ不味くないか?
このままの流れだと解体って…
[描写自主規制]
完全にスプラッタ的な!
それに何の支援をすればいいんだよ!?
まさか艦娘の肉を…
大淀「あの…話聞いてます?」
店主「はい!」
たまに鎮守府の黒いうわさを聞くが…まさか本当に?
228 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:44:13.62 ID:OLTE1vyH0
大淀「…」
店主「…」ソワソワ
大淀「…解体は艦娘をバラすと言う意味ではありませんよ?」
店主「え?」
大淀「解体と言うのは、艦娘を"人間の状態にする"という処理のことです」
店主「…人間の状態?」
大淀「艦娘…私たちは言わば兵器です。人間の姿をしていても、歳をとらなかったりと全く違う部分があります」
大淀「解体と言うのは、そういった呪縛めいたものを取り払い、普通の人間として世に放つことを言います」
店主「…ほぅ」
大淀「艦娘に親族と言うものが存在しません。解体後すぐに世に放っても路頭に迷うのが関の山です」
大淀「そういった事態をなくすために用意されたのが、この制度なのです」
店主「解体後支援…ですか?」
まぁ、勝手に生み出しといて後はホポイッじゃ可哀想だもんな。
229 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:45:06.19 ID:OLTE1vyH0
大淀「はい。解体された艦娘を養子に出したり、あとは社会人として世に送り出したりと、様々な方法で支援しています」
大淀「中には、戦績の良かった艦娘などは解体後も教導官として鎮守府に置いたりとかもしてますが…」
店主「そちらの鎮守府にも?」
大淀「はい、4名ほど」
ほう、なかなかシッカリしてんだな。
…待てよ?
店主「だから、艦娘を引き取ってほしいと?」
大淀「はい」
急に言われてもな…
大淀「実は去年の暮れごろ、それについての説明会をしたんですけど…街角やさんだけ来られてなかったので…」
え?
店主「いや、招待状みたいなの貰ってないんですが…」
大淀「ちゃんとこの商店街全部に送ったはずなんですが…」
店主「え?」
230 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:45:48.67 ID:OLTE1vyH0
深海「おやっさん」チョイチョイ
店主「ん?」
深海「これじゃない?」
店主「え?」
説明会のご案内…これだ!
店主「どこにあった?」
深海「あそこ…郵便物整理せずにごちゃごちゃに置いたでしょ」
店主「あ」
しまった…そういうことか…
暮れ忙しくて確認せずに全部あそこに入れてたな…
店主「…申し訳ない」
大淀「いえいえ、私たちも突然だったので…」
面目ない…
231 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:46:48.96 ID:OLTE1vyH0
店主「っていうか、いつもこんなのやってましたっけ?」
大淀「いつもって訳ではないんです…鎮守府を順番に回ってると言いますか…」
なるほど。
店主「でも、なんでウチに?」
ウチの商店街ならみんな優しい(お人好し)だからすぐに引き取ってくれると思うんだが…
大淀「何人かの艦娘は引き取っていただいたんですが…最後の一人だけがどうしても引き取り手が見つからなくて…」
店主「それはまた…」
大淀「ですので、説明会の時にいらっしゃらなかった街角やさんにお話をと…」
お人好しどもが引き取らないって、それはそれで気になるな。
店主「その子どんな子なんです?」
大淀「えっと、その資料の方に…」
店主「…」
この子か…えらいブスッとした顔で写真に撮られてるな…
名前は霞…駆逐艦の子か…
見たところ皆が拒否しそうな感じではなさそうだけど…
232 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:47:25.61 ID:OLTE1vyH0
店主「愛想悪かったりします?」
大淀「そこなんです…」
店主「へ?」
大淀「その子、愛想が悪くて第一印象が最悪だったんです…」
店主「…」
あちゃー…
店主「だからか…」
ここに住んでる人の大半は商売人だからな…愛想悪かったら引き取らんわな…
店主「うちも商売してるんで愛想悪いのは…」
大淀「お願いです!もう街角やさんしかいないんです!」
店主「ええ!?」
大淀「…実は、今回来たのは説明会にいらっしゃらなかったのもそうなんですが…」
店主「?」
233 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:48:00.47 ID:OLTE1vyH0
大淀「提督からの薦めもありまして…」
店主「提督ってあの?」
大淀「はい」
店主「??」
なんで?あんまりウチと関わりないだろ?
昔はうちの爺ちゃんを贔屓にしてた関係者も居たけど…
今は大して…
いや、待てよ?
店主「…」チラッ
深海「?」
"前例"が居るからか?それなら話の筋は通る。
だけど、この子とはタイプが違うし…
出会い方も…
234 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:48:32.10 ID:OLTE1vyH0
深海「おやっさん…」
店主「ん?」
深海「ウチで引き取らない?」
店主「え?」
深海「流石にかわいそうじゃない?このまま引き取らなくて路頭に迷わせるよりかは…」
大淀「路頭に迷うことはありません。ただ、次は別の鎮守府を通してとなるので…盥回しみたいになるかと…」
深海「ほら!」
店主「しかしな…」
ペットを飼うのとは違うからここは慎重に…
深海「それにさ…」
深海「私が拾われて、この子が拾われないって言うのもなんか…」
店主「…」
235 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:49:14.15 ID:OLTE1vyH0
あの一言はズルいわな…
まぁ、結果的にうちで引き取ることになったけど。
手続きとかも全部鎮守府側がやってくれたし助かった。
しかし…
客「え~っと…」
霞「男ならさっさと決める!だらしないったら!」
客「え?!」ビクッ
飲兵衛「いやぁ、かわいい子が入ったねぇ~」ナデナデ
霞「子ども扱いしないでよね!鬱陶しいから!」パシッ
飲兵衛「…え?」
サラリーマン1「あのクソ上司、マジ勘弁ならねぇ…」
サラリーマン2「あれはねぇわな。理不尽にもほどがある。なら、お前がやってみろってな」
サラリーマン1「な、そう思うよな!」
霞「ぐちぐちぐちぐち女々しいっったら!そんなんだから舐められるのよ!」オミズドンッ
サラリーマン1「え?あ…ごめんなさい…」
とまぁ、こんな感じ。
今のところ苦情は出てないけど…毎日冷や冷やしてるよ…
しっかり注意はしてるんだけどねぇ…
236 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:50:15.41 ID:OLTE1vyH0
店主「霞ちゃん?もうちょっとお客さんに対する態度を和らげれないかな?…あれじゃお客さんが…」
霞「なに?不満な訳?」
店主「そりゃあ…」
霞「アンタもハッキリしないわね…そんなに嫌だったら私を追い出したら?いつでも出てってやるわ」
店主「追い出すって…」
霞「…ふんっ!」
店主「あっちょっ!」
扱い方が分からない。
今までああいうタイプとかかわったことないしな…
誰かに相談してみようかしら…
237 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:50:44.02 ID:OLTE1vyH0
なんて悠長なこと言ってたら、ついに事件が起きた…
中年「んだとこのガキ!?」
霞「何よやる気!」
この間、武蔵さんと楽しく食事していた水道会社の社長さん。
なんだか仕事がうまく行かないとぼやいた瞬間、霞ちゃんがいつもの調子で食いついたんだ。
そうしたらこの有様…
元々社長も喧嘩っ早い事で有名で、近所の居酒屋からは出禁を喰らってるって噂を耳にしたことがある。
それであの霞ちゃん…最悪の掛け算だ…
中年「ガキのくせに大人の事情に口出しやがって…」
霞「そのガキに正論言われて腹立てちゃって、恥ずかしくないのかしら?」
中年「なっ!?」
店主「霞ちゃん!」
霞「そんなんだから相手にも舐められるのよ!」
中年「調子に乗りやがって…不愉快だ帰る!」
店主「お客様!?」
中年「よくこんなガキを雇ったな!言葉使いもそうだが、客に対する態度じゃない!釣りはいらん!」バンッ
店主「お待ちください、お客様!」
ザワザワ…
深海「ごっごめんなさい。お騒がせしました」
霞「…」
238 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:51:16.87 ID:OLTE1vyH0
~その夜~
店主「…」
霞「…」
店主「どうしてあんなことをしたんだ?」
霞「なに?説教するつもり?」
店主「当然だ。あの方はうちの常連だったんだぞ。しかも、二度と来ないとまで言われた…」
霞「ならよかったじゃない」
店主「霞ちゃん!」
霞「なによ…」
店主「いいかい?お客様に対してより良い接客、サービスを行って満足していただく。その対価として俺たちはお金を貰ってるんだ。」
店主「そしてそれで生計を立てている」
霞「…」
店主「俺たちがお客様を不愉快にさせるなんて、絶対的タブーなんだ。少しでも評判が落ちてしまえばそこまで。最悪店をたたむしかない」
店主「鎮守府の時だってそうだったんじゃないか?」
霞「…っ」
店主「敵を倒さなければ上からじゃなく周りからも、住民からも苦情が来る」
店主「平和を維持することで信頼を維持してたんじゃないのかい?」
店主「君だって、吹雪たちと一緒で大好きな提督を慕いながら平和を…」
239 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:51:46.01 ID:OLTE1vyH0
霞「知ったような口を利かないで!」
店主「…え?」
深海「霞ちゃん?」
霞「接客?サービス?私も落ちぶれたものね…」
霞「いい?私は朝潮型の駆逐艦、霞よ!本来は戦うために生まれてきたの!戦うことに誇りを持ってきたの!」
霞「こんなママゴトやるために生まれてきたわけじゃないの!」
店主「…」
霞「そんなに私のことが気に入らなければ今すぐ追い出せばいい!」
霞「解体で人間に戻して引き取られる?良い迷惑よ!解体を受けた時点で私は…霞は死んだわ。そのまま殺してくれた方がましよ」
霞「いや、もういっその事あの時に一緒に殺してくれればよかったのよ!ほんっとあいつ等も役に立たないわ!やるならもっと徹底的にやってほしかったものよ!」
霞「もう、うんざりだわ…どうして私がこんな事しなきゃいけないのよ…」
霞「どうしてこんなことにならなきゃいけないのよ…」
深海「霞…ちゃん?」
240 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:52:18.47 ID:OLTE1vyH0
霞「お客様?ぐちぐちぐちぐち女々しく蔭でしか文句の言えない男どもの世話をどうしてしなきゃいけないのよ…」
霞「要らない情けまでかけられて…」
深海「要らない情けって…それはいくら何でも…」
霞「だってそうじゃない。そもそもここに来たのだって私が余ってたから可哀想。だからでしょ?」
霞「そんな理由で選ばれる身にもなってよ」
霞「そもそも気に入らないのよ」
霞「なんでこの私が深海棲艦なんかと一緒に…」
パァンッ!
霞「…」
店主「…」
深海「…!」
241 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:52:53.53 ID:OLTE1vyH0
霞「…なによ」
店主「俺や仕事のことについて言うには構わない。でも、かおるちゃんのことを悪く言うのはどんなことがあっても許さない」
店主「かおるちゃんに謝りなさい」
霞「何よ…本当のこと言ったまでじゃない」
店主「…謝りなさい」
霞「…そう…わかったわ」
ガラララッ!
深海「霞ちゃん!」
深海「おやっさん、何も叩くこと…」
店主「…」プルプル…
深海「…私は気にしてないから…外は寒いし、あの子風邪引いちゃうよ」
店主「…」プルプル…
深海「…おやっさん」
店主「…ちゃった」
深海「え?」
店主「つい…叩いちゃった」
深海「え」
242 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:53:28.46 ID:OLTE1vyH0
店主「手は出さないって決めてたのに…」ドンヨリ
深海「怒りで震えてたわけじゃないのね…良かったのか良くないのか」
店主「かおるちゃんの事をああ言ったもんだから…つい」
深海「大丈夫、私は気にしてないから。それよりも早く探さなきゃ。雪が降ってはいないとはいえ、寒いし」
店主「どんな顔で会えば…」
深海「そんな事見つけてからでいいじゃん!早く行こう!」
店主「うっうん」
深海「おやっさん、商店街探して。私、海の方を探してくるから」
店主「気をつけろよ」
深海「大丈夫だって」
243 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:54:10.13 ID:OLTE1vyH0
深海「寒いなぁ…早く探して帰って、温かいご飯を食べてと温かいお風呂に浸かりたい…」ハァー
深海「しっかし、どこ行ったのかな?」
深海(でも、さすがは元艦娘だね、私の事をこの数週間で見抜くなんて…)
深海「まだ艦娘としてのプライドがあったから、海に居ると思ったんだけど…流石に寒くていないかな?」
ビュオッ!
深海「~~~っ!」
深海「さっむ!流石に安直すぎたかな?商店街探そうかな…」
深海「ん?あの防波堤に居るのは…」
霞「…」
深海(居たぁ!でも…本人かな?鎮守府の子じゃないよね?)
霞「っ!」
深海「寒くない?」
霞「何よ?わざわざ追いかけてきた訳」
深海「うん」
霞「それも可哀想だからとか?」
深海「それもあるかな」
霞「…そう」
244 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:54:47.24 ID:OLTE1vyH0
深海「隣良い?」
霞「勝手にしたら」
深海「じゃ、勝手にする」ヨイショ
霞「…」
深海「…」
霞「…」
深海「…」
霞「…寒くないの?」
深海「寒いよ。そっちは?」ガクブルガクブル
霞「だらしない」
深海「…」ガクブルガクブル
霞「おじさんはどうしたの?」
深海「商店街探してる」
霞「…そう」
245 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:55:38.64 ID:OLTE1vyH0
深海「…霞ちゃんはさ…接客嫌い?」
霞「…」
霞「…嫌いではない」
深海「あら意外」
霞「悪態ばかりついてるからかしら?」
深海「まぁね。それにさっきも否定してたし」
霞「…」
深海「…人…人間嫌い?」
霞「…嫌い」
深海「…そうなの?そっちも意外」
霞「…艦娘で、人を守ってたから?」
深海「うん」
霞「…あんたはどうなのよ?」
深海「…私は好きだよ」
霞「その方が意外」
深海「そうかな?」
霞「…深海棲艦のくせに」
深海「そんなルールは無いし、今の私は人間だよ。今のあなたと一緒」
246 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:56:33.28 ID:OLTE1vyH0
霞「私は…」
深海「元艦娘」
霞「ふふっ…容赦ないわね」
深海「今笑った」
霞「私だって笑いはするもの…でも今のは呆れ笑い」
深海「ええ!呆れ!?」
霞「だって、まさか自分が人間になって元深海棲艦と仲良しごっこするだなんて思っても居なかったし」
深海「ごっこって……霞ちゃんは私の事嫌い?」
霞「…好き嫌い判断できるほど付き合い長くないし」
深海「それもそっか…ねぇ、なんで人間嫌いなの?」
霞「私の資料にかいてなかった?」
深海「私は詳しくは見てないし…おやっさんが見てたけど、そこまでは書いてなかったような…」
霞「そう……私は元々××鎮守府に所属していたの」
深海「…」
霞「そこで私は…不甲斐ない上司の秘書艦をしていたわ」
247 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:57:00.38 ID:OLTE1vyH0
霞「また書類を書き間違えてるわよ!」
提督「え?」
霞「しかも、この綴じてある資料も別のだし…もぉ!」
提督「ああ、すまん。こっちと一緒だったな」
霞「しっかりしなさいよ」
提督「面目ない…」ハハハ
××鎮守府の司令官はとても気さくな人だった。
誰とでも階級関係なしにフランクに話して、艦娘に対しても気配りをよくしていて、少しでも傷つけばすぐに帰艦命令を出す。そんな人だった。
だからウチに居た艦娘は全員、あの人の事を慕っていた。周りの人からは"アマちゃん"なんて言われてたけど、そんなこと私たちは何とも思わなかった。
最初あった時は外れくじ引いたかも…なんて思ったけど…実力もあったし、私自身も気づかないうちに認めていたのかもしれない…
本当ならこれで私も平和にこの鎮守府で暮らせてたのかもしれない。
あの人たちさえいなければ…
248 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:57:32.76 ID:OLTE1vyH0
バァン!
??「ヘェーイ!テイトクゥー!」
??「バニン…ラァーーーブ!!」
提督「オイオイ…金剛!」
霞「金剛さん、今は執務…」
金剛「ヘェ~~イ、カスミィ~…ワタシとテートクのラブタイムを邪魔するつもりですかぁ~…?」
霞「うっ…」
深海「金剛四姉妹?」
霞「…そう」
深海「でも、その4姉妹はどこの鎮守府行っても提督LOVEで有名じゃない?比叡さんはそんなことないだろうけど…」
霞「そこの鎮守府は違ったの…金剛姉妹の長女金剛は、あそこでは裏の権力者なんて言われてて、あの人に盾突いたり嫌われた人は何かしらの応酬があるって言われてたの」
深海「うわぁ…」
霞「他の3人は姉のために情報を流したり、裏で工作したりと陰険な事をするって言われてて…」
深海「比叡さんもそうなの?…あの人のイメージじゃ考えられないけど…」
霞「他の鎮守府じゃ司令官に対してそこまで好意を抱いて無いみたいだけど、うちは違った。あそこじゃ姉である金剛が絶対なの。だから、必然的に司令官に対して好意を抱かなきゃいけないのよ」
深海「ひぇ~…」
霞「実際、それで消された艦娘は何人もいる…私も含めてね」
深海「含めてって…じゃあ!」
霞「話…進めるわ」
249 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:58:04.28 ID:OLTE1vyH0
ある日、鎮守府に大本営から連絡が来たの
霞「私に二段階改装の許可?」
提督「ああ、おそらく君とおんなじ子が所属してる鎮守府すべてにこの連絡が行き渡っていると思うよ」
霞「そう…まぁ、ありがたいわね」
提督「もっと有り難がれよな…相変わらず愛想の悪い」
霞「これで精一杯なのよ。だって強くなれるってことは…」
提督「君にしては珍しく後半聞こえなかったけど?」
霞「とにかくうれしい!これでいいでしょ!」
提督「おっおう、そうだな。とにかく、その時になればまた連絡する。だから…」
霞「分かったわ」
バタンッ
霞「…」
霞「これで強くなれる…みんなを守れる…」
霞「そして司令官にも…ふふっ」
このとき私は少し浮かれていた。
念願の改二の許可。
大切な仲間を守れる。そして…いつの間にか大切と思えるようになっていたあの人も…
金剛「…」
250 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:58:53.52 ID:OLTE1vyH0
数日後、鎮守府に出撃命令が下される。
提督「近海の警備にあたっていた時雨たちから、こちらに向かって敵の一隊が向かってるとのこと」
提督「敵の数は少ないとのことだが、金剛。悪いがお前も一緒に行ってくれ。早めに倒すに越したことは無い」
金剛「オッケーネー!」
提督「霞も」
霞「了解したわ」
金剛「サァー、カスミ!フォローミー、ネ!」
霞「はい…っ!」
金剛「」ニヤリ
今思えば、あの気味の悪い笑みがすべてを物語っていたのかもしれない。
251 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:59:32.84 ID:OLTE1vyH0
霞「あなたと一緒に出撃なんて久々ね」
朝潮「そうですね。なんねんぶりですかね」
霞「いつまでたっても余所余所しいのね。姉妹なのに」
金剛「もうすぐ敵のいる海域ネ!」
青葉「気を引き締めていきましょう!」
霞「ええ」
霞(妙ね…変な胸騒ぎがする…あの笑みを見て変に勘ぐってるのかしら…)
金剛「どうしたネー?」
霞「いっいや、なんでも…」
金剛「暗い顔はノー。もっと笑顔でいなきゃ」
霞「これから戦おうっていうのにですか?」
金剛「ダメです?」
霞「トリガーハッピーではないので…」
252 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 00:59:59.95 ID:OLTE1vyH0
青葉「もうすぐ時雨たちと合流です」
朝潮「おかしいですね…もうすぐ見えてもいいはずなのに」
青葉「まさか!」
金剛「警戒するネ!」
霞「…」
霞(なんだろう…静かすぎる…戦闘が終わっていたとしても…)
朝潮「霞、気を緩めないでね」
霞「分かってるわ」
ズァッ!
霞「っ!」
ズドォンッ!
霞「!!!!??」
253 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:00:32.09 ID:OLTE1vyH0
霞「けほっけほっ!ぎょっ魚雷!?どこから!」
霞「…っ!」
霞(あの岩陰に居るのって…)
時雨「…」
霞「時雨じゃない!」
霞「金剛さん!」
ジャキッ
霞「え?」
金剛「使えない駆逐艦ネ…一発で仕留めろって言ったのに…」
霞「金剛さ…何を?」
金剛「まだわからない?」
霞「え?」
金剛「正直邪魔なんだよネー…お前」
霞「何を…」
254 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:01:07.47 ID:OLTE1vyH0
金剛「最近提督と仲良くなりすぎなんだよネー…私の前でもイチャイチャしちゃって」
霞「そんな、私はそんな事!」
金剛「改二」
霞「なっ…それは大本営が…」
金剛「そう、二段階改装の連絡をしたのは大本営。でも提督からその話を受け入れたのはカスミ…お前じゃん」
霞「…」
金剛「調子に乗り過ぎ。たかが駆逐艦の分際で」
霞「そっそんな妬み話、帰ってからでいいじゃない!まだ敵のいる海域よ、警戒をしなきゃ!」
金剛「敵?あー、それまだ信じちゃったのネ…しぐれー!」
時雨「はいっ!」ビクッ
金剛「敵居る?」
時雨「…えっと」
金剛「いるか聞いてんの」
時雨「…ごめん霞…あれは嘘なんだ」
霞「…え?」
255 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:01:37.31 ID:OLTE1vyH0
金剛「そういう事。お前を連れだすために、わざと嘘の連絡をさせたの」
霞「…そっそんな事の為に!」
金剛「そう、そんな事のためにわざわざ」
霞「うっ」ゾクッ
金剛「だから、さっさと終わらせましょう。時雨!」
時雨「!」ビクッ
金剛「今度は外すなよ?」
時雨「っ!ごめん!」
バシュ!
霞「くっそーーーーーー!」
ドンッ!
ズドォンッ!
霞「アンタ…こんなことしてタダで済むと思ってんの!?」
金剛「普通なら済まないネ」
霞「だったら…」
256 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:02:18.74 ID:OLTE1vyH0
金剛「でも、ここまで来たのだから最後までやらせてもらうよ!」
ジャキッ
ドォンッ!
霞「きゃっ!」
金剛「本当にしぶとい駆逐艦ネ。やはりそれも司令官の愛によるもの?」
霞「馬鹿言ってんじゃ…」
金剛「許せないネ」
霞「許せないのはこっちのセリフよ!」
ジャキッ
金剛「駆逐艦が戦艦を?」
霞「馬鹿にして!」
金剛「魚雷撃てばいいのに…ああ、さっきので壊れたんだ」
霞「くぅの…こんごぉーーーーー!!」
ドォォン!!
金剛「っ!」
257 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:04:03.09 ID:OLTE1vyH0
霞「もう一発!」
ガキューンッ!
霞「うあっ!」
朝潮「…」
霞「朝潮…アンタ…」
朝潮「…ごめん霞」
ジャキッ
霞「なんで…」
金剛「全部カスミ、お前自身の所為ネ。お前が調子に乗って提督をたぶらかすから」
霞「ちがっ…私は…」
提督『朝潮…聞こえるか…』
霞「司令官!」
提督『朝潮、みんなの通信がつながらない…一体何があった!』
霞(こいつら…こんな仕掛けまで…)
金剛「…」コクッ
朝潮「…」
朝潮「霞が…霞が反旗を翻しました」
258 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:04:48.31 ID:OLTE1vyH0
霞「はぁ!?」
提督『なんだって!?…そんな馬鹿な…』
朝潮「事実です…現に今」
霞「…何言って」
金剛「仕上げといきますかね」
??「何もここまでしなくてもよろしかったのでは?」
??「そうそう、駆逐艦クラスならいつものように」
金剛「霧島、比叡。そうもいかないネ。コイツは一応提督のお気に入りの一つ。影でコソコソしてると気付かれるネ」
霧島「だからここで一気に?」
金剛「そういう事ね」
霞「なんでこいつ等まで…」
比叡「こいつ等って…まだ生意気な口が叩けるんだ」
金剛「榛名は?」
霧島「鎮守府で動いています」
金剛「ならさっさと片付けるネ」
259 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:05:32.84 ID:OLTE1vyH0
霞「あんた達…まさか司令官をだまして、時雨と一緒に…」
霧島「お利口だこと、そう本来警戒任務に当たる子らと変わったの」
比叡「あいつ等じゃ不安だったからね」
時雨「…」
霞「あんた達ぃ…」ギリィ
金剛「良い目をしてるネ…本当、歪めたくなっちゃうネ!」
金剛「比叡、霧島!再起不能になるまで痛めつけなさい!飽くまで殺したらダメね!」
比叡・霧島「了解です!」
霞「っ!」
そこから先の記憶がないの…覚えていることと言ったら鼓膜を突き破りそうなくらいの爆撃音と…激痛くらい…
目を覚ましたら、もうすでに医務室のベッドの上だった。
260 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:06:18.55 ID:OLTE1vyH0
霞「っ!」ガバッ!
霞「…私」
提督「…」
霞「はっ司令官!」
提督「霞…」
霞「私」
提督「どうして!」
霞「え」
提督「どうして…裏切る真似をしたんだ…」
霞「え」
提督「金剛から聞いた…お前、俺に付け入ってこの鎮守府を乗っ取るつもりでいたんだってな」
霞「何言って…そんな事!」
提督「俺はお前を信じて…」ポロポロ
霞「待って話を聞いて…私は騙されて…」
パサッ
霞「え?」
261 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:06:48.05 ID:OLTE1vyH0
提督「これがすべての証拠だ…」
そこに出されたのは、身に覚えのない資材の無断使用の記録と、"私がやった"という出撃記録の改ざん。
そして極めつけは数枚の写真。
そこに写っていたのは私が金剛たちを撃っていたモノだった。
霞「…青葉」
提督「悪いが、改二の話は無かったことにする…」
霞「司令官!」
提督「処分の内容は後日言い渡す」
バタンッ
霞「…」
それから数日後、解体処分を言い渡されたわ。
262 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:08:25.15 ID:OLTE1vyH0
霞「…」
深海「…」
霞「で、今に至る」
深海「なんだか許せない…」
霞「もう人間になってしまった以上…鎮守府だって海軍だって聞き入れてくれない」
霞「あの時アイツが殺すなって言ったのはこういうことだって…今むざむざと理解してるわ」
深海「…」
霞「いやでしょ。こんな奴が店に居るなんて」
深海「え?」
霞「私はね、人間が嫌いって言ったけど艦娘も嫌いなの!自分が艦娘だったことにすら嫌気がさしてきたわ!」
霞「いっその事そのまま水底に沈ませてくれればよかったのよ…」
深海「…」
霞「どうして生きてるのよ…私…」
263 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:09:01.14 ID:OLTE1vyH0
深海「そんな軽々しく死にたいとか言っちゃだめだよ」
霞「…」
深海「私はほら、馬鹿な方だからうまくは言えないけど…生きてるからこそ良いこともあるんだよ」
霞「それ…慰めてるつもり?」
深海「一応」
霞「じゃあ、良い事って?」
深海「私たちに会えた!」フンス
霞「…」
深海「あれ?」
霞「馬鹿にしてるでしょ」
深海「そんなことは無いよ?!」
霞「そんな下手な慰め聞いた事ないわよ…」
深海「…」アレレー?
264 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:09:48.50 ID:OLTE1vyH0
深海「でもね」
霞「?」
深海「おやっさん、霞ちゃん叩いた事後悔してたんだよ」
霞「なんでよ…」
深海「元々叩くつもりなんてこれっぽっちも思ってなかったんだって。霞ちゃんが艦娘だったことを諦めきれてないことも気づいてたし、そろそろ爆発するっていうのも気づいてた」
霞「…」
深海「だからそうなった時は、しっかり目を見て注意する!手は出さない!って決めてたんだって」
深海「でも私の事を言ったから思わず手を出したって…」
霞「アマちゃんね」
深海「でしょ!そうなの!おやっさんは、これでもかってアマちゃんなの!すぐ客にサービスしちゃうんだよ!それでその日の売り上げが下がって私たちの生活カツカツなったり…」
霞「ざまぁないわね」
深海「だからね、接客に一生懸命なんだよね。安くするけど、次にまた来てもらいたいって思いがあるから。ウチにくるお客さんはそういう事知ってるから、だからあんな小さなお店でもやっていけるんだよ」
霞「信頼されてるんだ」
深海「されてるかは分からないけど…常連はいっぱいいるね」
265 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:10:33.61 ID:OLTE1vyH0
霞「じゃあ、私はその信頼に傷つけたから…いらないよね」
深海「…本当は」
霞「?」
深海「本当は助けてほしいんだよね?」
霞「っ!馬鹿何言ってんのよ!そんなはず」
深海「うそ」
霞「嘘じゃない!私は一人でやっていけるし、あんた達の助けなんか…」
深海「だったら、どうして話してくれたの?」
霞「…え?」
深海「一人でやっていける…助けなんか要らない…ならどうしてさっき話してくれたの?」
霞「それはあんたが興味持ってたから…」
深海「本当に助けの要らない人はそんな話しない」
霞「…」
深海「不安なんだよね?裏切られて…信じてもらえなくて…私に話した時も疑心暗鬼だったんじゃない?」
霞「そんなこと…」
深海「強がらなくたっていい。艦娘でも人間でも、深海棲艦だってそう。誰にだってそういう気持ちにはなるよ」
266 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:11:14.92 ID:OLTE1vyH0
スッ
霞「っ!なにして!」
深海「大丈夫。落ち着いて…」
霞「急に抱き着いて落ち着ける訳…」
深海「これだけは言っておく…私たちは絶対に裏切らない」
霞「っ」
深海「私だって同じような目に遭ってるし…同じ境遇の子に対してそんなことはしないよ」
霞「…そんな安い同情なんかに」
深海「同情なんかしてない…私は貴方の事信じるから。おやっさん含め絶対に裏切らない」
霞「…」
深海「だから霞ちゃんも私たちの事を信じて…」
霞「…の」
深海「?」
霞「…本当に信じていいの?」
深海「勿論」
霞「…」
霞「くぅ…」ポロポロ
267 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:11:59.40 ID:OLTE1vyH0
店主「そういう経緯があったのか…」
隼鷹「こんなところに隠れて盗み聞きって不味くない?」
店主「いやぁ、だって入るタイミング無かったし」
隼鷹「まぁね。茶化してはいる訳にもいかないもんな」
店主「茶化すって…ああ、そうだ缶コーヒー飲む?人探しに付き合ってくれたお礼」
隼鷹「まぁ、必死に何探してるんだろうと思ったら。新しい従業員とは恐れ入ったよ。私が夜遅くまで飲んでて助かったねぇ」
店主「まぁね」
隼鷹「ってこれ冷めてるじゃん」
店主「あの二人に渡そうと思ったんだよ…俺も冷めたの飲むから御相子だろ?」
隼鷹「とんだ報酬だよ」ゴクッ
店主「でも、あんな事って起こるもん?」
隼鷹「場所によるんじゃない?まぁ、大本営にバレたらヤバイかもだけど」
店主「だよなぁ…」
隼鷹「しかし、××鎮守府か…」
店主「どしたの?」
隼鷹「今度の演習相手がそこだったような…提督に話してメンバー変えてもらおうかな」
店主「なんで?」
隼鷹「いやぁね」
隼鷹「聞いてたらムカっ腹立ってきたからさ…」
268 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:13:25.50 ID:OLTE1vyH0
霞「あんなこと言って…ごめんなさい」
店主「今度からはお客様に対する言葉遣いちゃんとしてくれよ?」
霞「…善処します」
店主「し・て・く・れ・よ?」
霞「…はい」
深海「まぁ、何はともあれ。解決したってことで」
店主「まぁね。霞ちゃん、体冷えてるだろ?先風呂入っておいで。それからご飯にしよう」
霞「先…いいの?」
深海「いいよいいよ。何なら一緒に入るかい?」
店主「お前さんはこっちの手伝いしろって」
深海「はぁ~い…ああ、でも…おやっさんがお風呂覗かないよう見張っとかないとね!」
店主「馬鹿言ってないで手伝え!」
霞「ふふっ…改めてみるとバカばっかり…」
269 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:13:59.58 ID:OLTE1vyH0
~数日後~
霞「この間は、申し訳ありませんでした!」
中年「いやいや、こちらこそ悪かったよ…仕事で色々ごたごたがあったから…つい怒鳴っちまって」
霞「いや、でも…」
中年「そっちもなんかあったんだろ?あの時と目の輝きが違うからな」
霞「うっ」
中年「図星だな」ガハハハハッ
店主「その件は大変申し訳ありませんでした」
中年「いや、いいんだよ。この新人さん大事に育ててやりな」
店主「はい」
霞「…」
基本的に"もう来ない"って言った客は本当に来ない場合が多い。
ただ、この人の場合はすぐに頭に血が上るタイプなのかは分からないが、こうやってまた店に来てくれた。
嬉しい限りだ。
彼女もこれを糧にして働いてくれればいいんだが…
270 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:14:51.21 ID:OLTE1vyH0
客「え~っとぉ…」
霞「さっさと決める!」
客「え?じゃっじゃあこのランチでお願いします!」
霞「おじさん、ランチはいります!」
店主「はーい!」
霞「さっさと決めないと待つことになるでしょうに。自分が一番損するのよ?」
客「はい…」
サラリーマン1「いやぁ、取引先の社長がさぁ…」
サラリーマン2「あぁ、あそこの社長はそうらしいね」
霞「また女々しく愚痴の言い合い?」
サラリーマン1「ああ、霞ちゃん聞いてよぉ」
霞「だらしない声出さない!先に注文!」
サラリーマン1「俺、オムライス」
サラリーマン2「俺、生姜焼きとライスで」
サラリーマン1「でさぁ」
霞「待って注文通すから。おじさん、オムライスと生姜・ライスで!」
店主「あいよ!」
霞「で?」
サラリーマン1「取引先の社長がさぁ…」アアデモナイコウデモナイ
霞「そんなもんガツンと言っちゃえばいいのよ!」
サラリーマン2「それが出来たら…」
客1「霞ちゃーん」
霞「はーい、待ってなさいって!」
客2「霞ちゃんこっちも!」
霞「ハーイ…ってちょっとはかおるの事も呼びなさいよ…なんで私ばっかり!」
271 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:15:21.92 ID:OLTE1vyH0
最近、霞ちゃん目当てのお客さんが増えている。
最初は子供目当てのお客さんかと思ったけどそうでもない。
客3「いやぁ~、なんかあの子と話すと懐かしい気分になれるんだよなぁ…なんだろう?」
客4「そうそう、あのぉ…なんつうかほら…」
客5「母親に言われる感じ?」
客's「それだ!」
なんつうか新しい客層をつかめたらしい…
嬉しいのやら嬉しくないのやら…
深海「結果オーライでいいんじゃない?」
店主「そうだな」
深くは考えないでおこう。
客「霞ちゃーん!」
霞「はいはい、待ちなさいったら!かおるぅ、お願いだからあっちの注文聞きに行ってぇ!」
272 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/01/24(日) 01:15:53.18 ID:OLTE1vyH0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
今更ながら、あけましておめでとうございます。
今年も新しいメンバー共々よろしくお願いします。
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/24(日) 01:16:30.22 ID:vaVslNuYo
乙!
…これがバブみか…
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/24(日) 10:22:21.59 ID:Qf7Ql1u9o
通わなきゃ(使命感
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店長ならまだしも店員でこれはねーよ