290 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:16:54.00 ID:wK7mix9c0
ガヤガヤ
最近、客が増えたような気がする。
いや、間違いなく増えた。
今の時刻12時半を越えた所。
以前ならこの時間は"ほぼほぼ100%"男性客だった。
だが今見ると、この狭い店の中に4人の女性が見える。
少ないだろうが、この店の割合を考えたら多いほうだ。
「がはははははっ!」
昼から酒を浴びるように飲む客がいる中、この4人と言う数は貴重。
しかも若いから…
291 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:17:28.67 ID:wK7mix9c0
「がはははははっ!」
このむさくるしい空気の中では一際"華"でしかない。
バイト「おやっさん、日替わり1つ入りまぁーす!」
店主「え?おう!」
いかんいかん、ボ~っとしてた。
今日の日替わり、豚のしょうが焼き。
あらかじめ仕込んであるのを焼くから楽でいい。
ガララッ
バイト「いらっしゃいませー!」
「2名です。」
バイト「ちょっと待ってください。席お空けしますねぇー。」
292 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:17:56.86 ID:wK7mix9c0
今日は入るな。天気がいいからか知らんが。
ん?
今新規で入った2名…また女性で…
こんな店に2人とも着物!?
親父とバトンタッチしてからは初めて見る客層だな…
しかも2人とも綺麗だ!
なんだなんだ?
最近、艦娘の利用が増えたから、それに合わせて女性客も増えたか?
あんな店でも女の子が通ってる。なら私たちも行けそう!とか何とか言って。
いやいや。自惚れるな自分!
これはただの偶然だ!
293 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:18:22.45 ID:wK7mix9c0
??「ここが吹雪さんたちが通うお店…」
??「飛鷹さんたちも通ってるみたいです…」
店主「はい、日替わりあがったよ!」
バイト「あいよー!」
今のあの二人から吹雪ってワードが聞こえたような…
あと、飛鷹ってワードも…
気のせいか?
バイト「おやっさん、刺身の盛り合わせ追加です!」
店主「あいよぉ!」
294 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:19:01.73 ID:wK7mix9c0
??「刺身の盛り合わせ…」
??「鳳翔さん?」
??「いえ、この店ではどんなものを出してるかと思って…」
??「研究熱心ですね。」
??「そういう間宮さんだって。さっきからデザートの方ばかり目が行ってますよ?」
??「いやはや、あの子たちが褒めるもんですから。ラインナップがどんなものかと…」
295 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:19:28.27 ID:wK7mix9c0
今、"鳳翔""間宮"って言ったか?
間宮って鎮守府内にある甘味処の?
鳳翔って同じく鎮守府内のあるっていう料理屋の?
…
え?!
気のせいだろう…
296 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:20:06.99 ID:wK7mix9c0
バイト「ありがとうございましたー!」
店主「ありがとうございやしたー!」
店主「刺し盛り上がったい。」
バイト「はい、刺し盛りぃ!」
鳳翔「…」ジィー
刺し盛りを目で追ってる!?
間宮「どうでした?」
鳳翔「よく見えませんでした…」ハァ
間宮「っ!そうだ。」
鳳翔「?」
間宮「すみません。」
バイト「はい?」
間宮「お手数なんですが…カウンター側に移動したいんですけど…いいですか?」
バイト「へ?ああ、いいですよ。ちょっと待っててくださいね。」
ガチャガチャッ
フキフキッ
バイト「どうぞ。」
間宮「ごめんなさい。行きましょ。」
鳳翔「ええ。」
297 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:20:35.67 ID:wK7mix9c0
え?
間宮「ここならよく見えるでしょ?」
鳳翔「ええ。」
なになに?なんなの今度は?
目の前に来たよ!?
いや、そもそもなんで緊張してんだ俺?
多分、同業者だって分かってるからだろうな…
298 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:21:38.83 ID:wK7mix9c0
間宮「その前に、何か決めないと…」
鳳翔「…メニューは壁に貼ってあるのしかないんですね。」
間宮「表に日替わりランチっていうのがありましたよ?」
鳳翔「でも、2人で同じものを頼んでは…」
間宮「ですので、私はそれに。」
鳳翔「そうですねぇ…」
鳳翔「…メンチカツ…爆弾メンチ?」
お?
鳳翔「爆弾?普通のメンチと比べて何が違うんでしょうか?」
店主「それは、通常のメンチカツより倍以上デカいものです。」
親父が開発して当店一押しのシールが貼ってある爆弾メンチ。
インパクトでモノを言わせた商品だ。
もちろん味も保証できるぞ!
299 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:22:18.67 ID:wK7mix9c0
鳳翔「あっありがとうございます。」
鳳翔「流石に食べきれるかどうか…」
間宮「だったら名古屋飯で攻めるのは?初雪さんが、ここのご主人は名古屋出身でそういうのも置いてあるって。」
鳳翔「名古屋飯…ですか?」
キョロキョロッ
鳳翔「あれですね…」
鳳翔「味噌カツとか…定番なものが多いですね…」
鳳翔「あら?あれは…?」
間宮「どれです?」
鳳翔「あの酢豚…"台湾風酢豚"?」
おお、あれに食いついてくれたか。
300 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:22:50.42 ID:wK7mix9c0
鳳翔「えっと…酢豚は酢豚であるんですね。」
まぁ、つまみに頼んでくれるお客さんもいるしね。
間宮「台湾風って何が台湾なんでしょうか?」
鳳翔「さぁ…でも、気になりますね…」
間宮「決まりました?」
鳳翔「はい。」
間宮「すみません。」
バイト「はぁーい。」
間宮「表にある日替わりランチと、あとこの台湾風酢豚?をください。」
バイト「ご飯とかは?」
鳳翔「そうですね…小さめのをください。」
バイト「はい、かしこまりました。日替わりと台湾風酢豚と小ライスですね。」
バイト「おやっさん、日替わりと台湾風酢豚、小ライス!」
店主「あいよ。」
301 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:23:17.69 ID:wK7mix9c0
なんだか変な視線を感じる中、調理を始める。
なんでこうなったんだ?
まず、間宮さんと思われる方の日替わりランチから。
今日は豚肉を使った基本的な料理。生姜焼きだ。
さっきも言ったが、これがランチに組み込まれた日は、たいがい出るので多めに仕込んでおく。
と言っても、自家製の生姜ダレに、ただ豚肉を突っ込んで漬けて置くだけだ。
あとは注文が入れば、一人前の量を取り出し焼く。
ただただそれだけ。
でも美味い!それがこの料理の一番のメリットだろう。
簡単、手早く、おいしい。
まさに三拍子そろった料理だ。
焼けたら千切りキャベツを添えた皿の上に盛り付け、いつも通りランチのごはん・漬物・味噌汁・小鉢(今日は冬瓜の冷やし餡かけ)を一緒に乗せて完成だ。
店主「はい、日替わりあがったよ。」
バイト「はぁーい。」
302 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:24:00.34 ID:wK7mix9c0
で、次。
恐らくだいたいの人が聞いた事のない料理だろう。"台湾風酢豚"。
名古屋飯に分類されるのかは定かではないが、一応名古屋…愛知でしかまだ見かけないので分類しておく。
では、一体何が"台湾風"なのか。
一般的に知られる酢豚を想像してほしい。
揚げた豚肉にトローリと粘りのある餡。具材はザックリ切った玉ねぎに、人参にピーマン。
高級中華レストランなんか行くと、ここへ"クワイ"や"パイナップル"なんかが加わったりする。
これが一般的なフォーマットだろう。
では、名古屋に流通しつつある"台湾風酢豚"は。
まず揚げた豚肉。ここは変わらない。
だが、ここからが一気に変わってくる。
まず、餡についてだが、この台湾風にはこの餡が"存在しない"。
代わりにあるのはタレだ!
みじん切りにしたニンニクとショウガ、小口に切ったネギ。
酢の効いたピリ辛ダレの中に刻んだ食材を投入し、揚げた豚肉にかけるだけ。
餡に絡めたり、パイナップルなんか入ってたりはしない。
言ってみれば"油淋鶏の豚肉版"だ。
303 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:24:26.93 ID:wK7mix9c0
実はこれがあるのは、名古屋人なら知らない人はいないであろう。名古屋にある有名な台湾料理店である「味○」だ。
名古屋飯でも代表的なあの"台湾ラーメン"を生み出したあの「○仙」だ。
メニューの表記では、ただ『酢豚』としか書いてないが、注文すると下記の方の酢豚が出てくる。
知らない人はだいたい度肝を抜かれる。そりゃイメージしてたのと違うんだから。
正直、最初は知る人ぞ知るメニューだったのだが、いつの間にか愛知中にある中華料理店がこれを真似しだし、通常の酢豚に加え"台湾風酢豚"と言う表記で出し始めたのだ。
で、なぜうちが出しているかと言うと、俺がこれ大好きで、愛知中の中華料理屋が堂々とやってるなら、俺も布教活動の一環でやってやる!とメニューに入れたのだ。
パクリではない。新たな名古屋飯として君臨させるための布教だ!
と言うより、普通の酢豚が苦手なだけなんだけどね…
とか何とか言っているうちに完成。
小ライスと一緒に。
店主「かおるちゃん。あがったよ。」
バイト「はぁーい。」
304 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:24:57.40 ID:wK7mix9c0
バイト「お待たせしました。日替わりランチです。」
間宮「ほぉ。」
バイト「でこっちが、台湾風酢豚と小ライスです。」
鳳翔「あら…?」
バイト「ではごゆっくりぃ~。」
間宮「ありがとうございます。」
鳳翔「…」
間宮「…酢豚頼みましたよね?」
鳳翔「…ええ。」
ほら、こうなる。
305 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:25:39.95 ID:wK7mix9c0
鳳翔「日替わりランチは?」
間宮「豚のしょうが焼き…ですね。ごく普通の…」
えぇ…そういう風に疑っちゃう?
鳳翔「そうですか…いただきます。」
パクッ
鳳翔「!?」
間宮「どうです?」
鳳翔「私が思い描いていた酢豚とはかけ離れていますが、これはこれで立派な料理です。」
鳳翔「通常の酢豚よりさっぱりしていて、ニンニクと唐辛子がいい感じに効いていておいしいです。」
やった。
306 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:26:14.31 ID:wK7mix9c0
間宮「少しいいですか?」
鳳翔「どうぞ。」
間宮「いただきます。」
パクッ
間宮「っ!これおいしい!」
鳳翔「でしょ?」
間宮「肉がカリッとしてます。いつも食べる酢豚じゃ、こうはいかないですよ。でも…酢豚と言われると…」
鳳翔「だから台湾風なんですね。」
間宮「なるほど。」
307 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:26:41.12 ID:wK7mix9c0
鳳翔「生姜焼きはどうです?」
間宮「あっまだでした。」
パクッ
間宮「味付けがしっかりしてますね。」
鳳翔「そうですね。生姜の風味がきちんと伝わってきます…ただ…」
間宮「味がいささか濃い目ですかね?」
鳳翔「やはり、店の客層を見るに男性客を焦点に絞ってるかもしれません。」
間宮「なるほど。」
なんだろう?
ここでプチ評論会が開催されてる…
なんか公開処刑されてる気分だ…
308 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:27:23.50 ID:wK7mix9c0
鳳翔「もう少し薄めなら、女性客にも受けるかもしれませんね。」
間宮「そうですね…」
パクッ
間宮「っ!」
鳳翔「?」
間宮「鳳翔さん!これ!これ食べて!」
鳳翔「?…これは冬瓜の煮物ですか?」
間宮「はい。これ、この味の濃い生姜焼きによく合いますよ!」
鳳翔「これは、冬瓜の良さをうまく引き出せてますね。」
間宮「冬瓜の良さですか?」
鳳翔「冬瓜の良い所はは薄味でサッパリした食感です。この味の濃い生姜焼きの付け合わせには持って来いかも。」
鳳翔「しかも今、ちょうど旬を迎えてますし。」
間宮「するとご主人はそれを狙って…」
鳳翔「ええ。」
なんか話がえらくおかしな方向に向かってるぞ?
この付け合わせは基本ルーレット感覚で適当に決めてるしな…
あとは入荷状態をみてだし…
昨日たまたま冬瓜を入荷して、昨日のウチに仕込んであっただけだし…
生姜焼きなんて今日の気分で適当だぜ?
309 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:28:03.20 ID:wK7mix9c0
間宮「そりゃあ、吹雪ちゃんたちも来ちゃいますよ。」
鳳翔「飛鷹さんたちも…」
店主「やっぱり。貴女方、鳳翔さんに間宮さんだろ?」
2人「!?」
いやいや、なぜバレたって感じで驚かないでよ…
そもそも隠す気なかったでしょ…あんな堂々と…
店主「すみません驚かしちゃって。会話の内容でもしかしてと思いまして。」
間宮「そうなんですか…」
鳳翔「すみません。なんだかお忍びみたいに…」
店主「いえいえ。」
忍べてない忍べてない。
店主「で、今日はどうして…」
鳳翔「視察みたいなものです。」
店主「視察…ですか?」
310 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:28:32.04 ID:wK7mix9c0
間宮「最近、吹雪さんたちがウチに全く来てくれなくて…」
鳳翔「ええ、私の所も飛鷹さんたちが来なくなってしまって…」
間宮「売上的には全く問題ないんですけど、艦娘もウチの鎮守府は多く居るので…」
鳳翔「でも、全く来なくなるっていうのは少し寂しくて…」
間宮「だから、どこで食べてるんだろうと、探りを入れてたんです。」
鳳翔「そしたら…」
間宮『あれは…吹雪さんたち。』
吹雪『今日も"街角や"?』
深雪『おう、おっちゃんに今日の演習の成果を自慢してやるんだ!』
間宮『…街角や。』
ガラッ
鳳翔『いらっしゃい。』
飛鷹『こんばんわ。鳳翔さん。』
鳳翔『あら、久しぶりじゃないですか。』
飛鷹『あのね、これ鳳翔さんへお土産です。』
鳳翔『お土産?』
鳳翔(どこか遠い所へ遠征でも行ったのでしょうか?)
鳳翔『?』
飛鷹『これね、私たちが最近よく行くお店の糠漬け。とってもおいしいんです。』
飛鷹『最近、来れてないからお詫びも込めて。』
鳳翔『…どこの?』
飛鷹『"街角や"っていう食堂です。』
鳳翔『そうですか。ありがとうございます。』
飛鷹『そんなに持たないと思うんで、お早目に。』
311 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:29:03.26 ID:wK7mix9c0
間宮「で。」
鳳翔「ここに来ました。」
店主「ああ…はい。」
吹雪たちはともかく…飛鷹さん!
それはダメだ…なんというかダメだ…
俺は知らぬ間に敵に塩どころか、毒を送ってたようなものじゃないか!
あっ敵って言っちゃった…
鳳翔「でも、私たちがここに来たのは、あなたに敵対するためじゃありません。」
店主「?」
間宮「このお店の魅力を知りたいんです。」
店主「魅力…ですか?」
鳳翔「私たちだって、料理を作る者としてある程度のプライドは持っています。」
間宮「やはり悔しい部分があるんです。」
鳳翔「だから、このお店の魅力を探って。」
間宮「参考にしたいんです。」
店主「参考…」
312 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:29:30.11 ID:wK7mix9c0
正直ありがたい申し出だとは思う。
何しろ、鎮守府の艦娘たちがこよなく愛する両者だ。
そんな二人に参考にしたいって言われれば、喜ばないわけがない。
少しヒヤリとはしたけど…
でも…
店主「なんで、ウチなんです?」
そう、他にも権蔵爺さんが営んでる団子屋や、寺本さんが営んでるケーキ屋だって、他にも艦娘が贔屓にしてる店はいくらでもある。
特に権蔵爺さんの店なんか、あの"大和"が贔屓にしてんだぞ?
さらには寺本さんのとこなんて、間宮さんが風邪引いた時、代わりにてんやわんやだったじゃないか。
うちを参考にする需要があるとは…
鳳翔「あの糠漬けです。」
店主「へ?」
ぬか…づけ…?
前に飛鷹さんの土産にと渡した…アレかい?
313 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:30:18.86 ID:wK7mix9c0
鳳翔「あの糠漬け、とても優しい味がしたので…」
間宮「そうです。そうそう。私も頂きましたけど、何というか、漬け具合もそうですし、すべてのバランスが良すぎたんです!」
アレが…かい?
意外だな…今まであの糠漬けを食べた客は何十人…いや、百人ぐらいいるのかな?…そんぐらい居るけど、こんな感想初めてだ。
店主「アレがですか?」
鳳翔「ええ。」
間宮「一体どう作ってるのか知りたいぐらいです。」
…そうか。
店主「作り方、多分その辺で作ってるのと変わらないと思いますけど…教えましょうか?」
鳳翔「え?」
間宮「いいんですか?」
店主「まぁ…」
隠す必要ないだろうし。
それに…
店主「もともとは婆ちゃんが趣味作ってたもんですから。それを爺ちゃんが商品化してそのまま受け継いでると言いますか。」
店主「こんな美人さんに教えるなら、婆ちゃんたちも喜ぶと思いますし。」
鳳翔「まぁ…」
間宮「美人だなんて。」
314 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:30:55.09 ID:wK7mix9c0
まぁ、最も。
そんなことを墓前で報告しようものなら、『そんなことより嫁作れ!』って一喝しに夢枕に立ちそうだけど…
店主「ちょっと待っててください。」
適当な紙…あった。
これに作り方…漬け時間だな。を書いて。
店主「一応これです。モノによって漬け時間変えてるぐらいですね。」
鳳翔「ありがとうございます。」
間宮「良かったですね。」
鳳翔「ええ。帰ったら早速。」
間宮「ですね。」
間宮「あとさっきの酢豚。真似してみようかな?」
鳳翔「台湾風のですか?」
間宮「はい。今日の私の夕食です。」
鳳翔「作るの簡単そうですしね。」
よしよし、このまま広まってくれたら、俺の努力も無駄じゃないってわけだ。
315 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:31:23.09 ID:wK7mix9c0
鳳翔「今日はごちそうさまでした。」
間宮「また来ますね。」
店主「はいお待ちしております。」
バイト「ありがとうございましたぁー!」
なんだろう。
良い人たちなんだけど…変な疲れがたまったな。
今度はお忍び感覚じゃなく、気楽に来てほしいものだ。
ガララッ
店主「いらっしゃい。」
吹雪・白雪・初雪・深雪「…」
バイト「どしたの?」
吹雪「なんで…」
深雪「鳳翔さんたちが…?」
白雪「…そもそも飛鷹さんもなんで覗いてたんだろう?」
初雪「…さぁ?」
…へ?
316 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:31:54.74 ID:wK7mix9c0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
マイナーな料理もご用意しております。ぜひお試しを。
317 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:32:31.61 ID:wK7mix9c0
~ちょっと前~
店の入口にて
飛鷹「…」コソッ
飛鷹(千代田に言われて気付いたけど…大丈夫かしら…)ドキドキ
飛鷹(まさかこんな早く行くことになろうとは…)ドキドキ
深雪「さぁ~て。今日は何を食べようかな?」
吹雪「どうせ、いつもと一緒でしょ。」
深雪「ムッ、ならいつもと違うのにする。」
白雪「そんなことで意地張らないでよ…」
初雪「あれ…?」
白雪「?…あれ?あれって…」
吹雪「飛鷹…さん?」
深雪「あっ本当だ。おーい。」
飛鷹「っ!?」ビクゥ!
318 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:33:03.10 ID:wK7mix9c0
飛鷹「へっ!?」
吹雪「どうかしたんですか?入口なんかで。」
飛鷹「なっ何でもないわ!あっあなた達は?」
深雪「今からここで甘味を食べようかかと…」
飛鷹「そう!ならごゆっくり~。」ソソクサ!
白雪「行っちゃった…」
初雪「怪しい…」
吹雪「こら、初雪。先輩を疑らないの。」
深雪「でも、怪しかったな。」
吹雪「…まぁ、そうだけど。」
深雪「中に誰かいるとか?」
吹雪「あっこら。」
ガララッ
鳳翔「あら、あなた達。」
間宮「こんにちわ。」
深雪「へ?」
吹雪「こんにちわ…」ポカーン
鳳翔「あなた達も今から?」
白雪「はっはい。」
間宮「じゃあ、ごゆっくり。」
初雪「え?…はい。」
深雪「…」
319 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/16(水) 00:33:29.53 ID:wK7mix9c0
ガララッ
店主「いらっしゃい。」
吹雪・白雪・初雪・深雪「…」
バイト「どしたの?」
吹雪「なんで…」
深雪「鳳翔さんたちが…?」
白雪「…そもそも、飛鷹さんもなんで覗いてたんだろう?」
初雪「…さぁ?」
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/16(水) 07:29:54.44 ID:i8lrX5x3O
ここ見るまで名古屋(で有名な)飯と言えば「味噌カツ」と「ひつまぶし」だけだと思ってた……
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/16(水) 07:46:59.37 ID:dzYyZWYOo
何言ってんだ!店主の嫁は深雪ちゃんに決まってんだろ!
憲兵「ドーモ」
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/16(水) 12:03:06.24 ID:0Y7b/ryh0
大和が何だ
駆逐艦が集まってくれば、ながもんも出入りするようになる!
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/16(水) 21:02:01.45 ID:ZrI5nmed0
名古屋にはまだまだご当地メニュー多いから、噂聞きつけた料理好きな艦娘がまだまだやって来るかも。
龍鳳とか浦風とか(料理を作るのが好き)
赤城さんとか加賀さんとか(料理を食べるのが好き)
比叡とか磯風とか(料理を魔改造するのが好き?)
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/18(金) 22:26:03.23 ID:TzOridqKO
飯テロなんかに屈したりはしない!!
………飯テロには勝てなかったよ…
335 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:35:55.35 ID:gbYO2DC50
台風が近づいてるせいか、9月に入ってから天気がすぐれない。
連日、雨、雨、雨。
雨が止んでも曇り。
おかげで洗濯物は乾かないし…
それに…
お客が来ない…
どっちかと言うと後者の方が死活問題だ。
はぁ、早く台風よ過ぎてくれ!
336 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:36:35.38 ID:gbYO2DC50
ガララッ
で、外に出てみればあいにくの雨。朝からこれだからな…
しかも、天気予報じゃ今週はずっと続くらしいが…
ん?
??「…」
女の子…雨宿りかな?
んー…今どき珍しい"おさげ髪"。黒い髪に輝く赤い髪飾り。
本当に今どき見ないなこういう子。
あっ、もしかして…
337 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:37:17.25 ID:gbYO2DC50
??「…あの。」
店主「へ?」
??「僕に何か用かい?」
あら、またガン見してたのかな?
北上の時から思ったが俺の癖か何かかね?
店主「いや、ごめん。そんなつもりは無かったんだが…」
??「ひょっとして、ここの店員さん?」
店主「まぁ、主人ってとこかな?」
??「そうなんだ。ごめんね。迷惑だったかな?」
店主「いや。雨宿りだろ?」
??「うん。急に降ってきちゃってね。」
店主「なら、迷惑なんてことはないさ。」
338 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:37:48.52 ID:gbYO2DC50
なんだろう…恐らく吹雪たちと一緒の艦娘だとは思うが…
今まであった子とは雰囲気が違うな。
子供っぽい外見とは裏腹に、大人の女性のように落ち着いている。
まぁ、今どきの大人でも、ここまでは落ち着いてないがな。恥ずかしいことに…
店主「なんなら、店の中に入ってくかい?」
??「え、いいの?」
店主「ああ、ちょうど中はすっからかんで貸し切りみたいな状態だからな。」
店主「もしあれなら、なんか食べてってもらうと助かるが…」
??「わかった。ありがとう。お邪魔するね。」
339 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:38:27.60 ID:gbYO2DC50
店内に入れたはいいが…
店主「びしょ濡れだな…」
??「うん。いきなり降ってきちゃったから…」
店主「待ってな。」
さて、今使えそうなバスタオルは…
ん~…使えるけど人様に出せるようなモノじゃないな…
かと言って、あとはまだ干してて乾いてないし…
新品出すか。お中元でもらった奴があったはずだ。
あったあった。これを…
ん?
『うん。いきなり降ってきちゃったから…』
あれ?雨って朝から降り続いてた気がするけど…
あの子…傘は…
340 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:39:22.87 ID:gbYO2DC50
店主「これで頭とか拭きな?」
??「え、いいのかい?新品みたいだけど…」
店主「良いも何も、そのままじゃ風邪をひくだろ?」
??「…それもそうだね。僕たちは体が資本だから。」
店主「やっぱ、お前さん、艦娘かい?」
??「え?よくわかったね。」
まぁね。もう慣れました。
店主「いやなに。常連で艦娘達が来るもんで、お前さんも雰囲気がそれっぽかったし。」
??「せっかく雨宿りついでに入れてくれたんだ。自己紹介をしないのも失礼だね。」
時雨「僕は"時雨"。よろしくね。」
店主「ああ、よろしく。」
341 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:39:56.79 ID:gbYO2DC50
店主「で、早速だが聞きたいことがある。」
時雨「なにかな?何でも聞いてよ。」
店主「お前さん…傘は?」
時雨「?」クビカシゲ
いやいやいやいや…
店主「急に降り出したって言ってたけど、朝から降り続いてたろ。」
時雨「っ!ああ、そういう…」
大丈夫か?この子…
時雨「持ってきてないよ。」
店主「はぁ?」
時雨「だから持ってきてない。」
時雨「僕は、雨が好きなんだ。」
助けてくれ、吹雪たち。
342 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:40:35.33 ID:gbYO2DC50
店主「ああ…うん?」
時雨「だから。」
店主「うん。雨が好きなんだろう?」
時雨「うん。」
店主「雨が好きだからって、傘を持たないのは違わないか?」
店主「ほら、風邪引いたら困るだろ?」
時雨「うん。だから雨宿りしたんだ。」
店主「うん?」
時雨「?」
助けてくれ、北上たち。
343 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:41:24.65 ID:gbYO2DC50
店主「ええ…っと…」
時雨「僕は雨が好きだ。肌で感じたいぐらいにね。」
時雨「最初、鎮守府を出た時はそこまで降ってなかったんだ。でも、ちょうどこの店の前を通るあたりで雨脚が強くなってね。」
時雨「参ったよ。」
店主「なら傘を持ちたまえよ。」
時雨「そうだったね。」エヘッ
変わったお客さんだ。
店主「まぁでも。」
時雨「?」
店主「俺も雨は嫌いじゃないな。」
時雨「本当かい?」
店主「ああ。俺のやってる職業っていうのは雨とは切っても切れない縁だからな。」
店主「雨が降らないと、農作物は育たないし、雨が降らないと飲み水もできない。」
店主「だから、嫌いではないな。降り過ぎは勘弁だけど。」
店主「それに、雨が降るとどうしてか安心して眠れるんだ。」
時雨「ご主人もかい?」
店主「ああ。」
時雨「僕もだよ。」
店主「そうか。」
時雨「一緒だね。」
店主「そうだな。」
最初は大人な雰囲気だなと思ったが、ふたを開けてみればなんだか変わった子だ。
こうやって見ると、あの4人はまともっていうか…普通なんだな…
344 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:42:30.38 ID:gbYO2DC50
時雨「ご主人。」
店主「ん?」
時雨「何か頼んでいいかな?」
店主「おう。もちろん。」
時雨「じゃあ…うーん。」
悩んでるな。初見殺しってこういうことを言うんだろうか…
時雨「ご主人。」
店主「ん?」
時雨「体が冷えてるからあったかいものが食べたい。」
そりゃあな…
店主「あったかいものか…お昼は食べたのかい?」
時雨「鎮守府を出る前に。出来れば甘いものがいいかな?」
店主「甘いモノ…」
と言っても…
あ…そうだ!
店主「なぁ、時雨ちゃん。」
時雨「ん?」
店主「ちょうど今、もう少し寒くなったら出そうとしてる商品があるんだが…よかったらモニターしてくれないか?」
時雨「モニター?」
店主「試食みたいなものさ。食べて感想を聞かせてほしいんだ。」
時雨「それを僕に。」
店主「ああ。もちろん、代金はいらないさ。」
345 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:43:16.53 ID:gbYO2DC50
丁度いいタイミングだ。
開発中なんて言ったら大げさかもしれないが、かき氷が終わっても流石にアイスだソフトだって冷たいのばかり売ってるわけにもいかない。
周りの競争に勝つには、それなりの季節商品を生み出さなければならない。
時雨「面白そうだね。僕でよかったら協力するよ。」ワァ!
店主「ありがとう。ちょっと待っててな。」
商談成立。
となればあとは作って感想をもらうだけだ。
今年から始めようとしているのはこれ『栗ぜんざい』だ。
今まで甘味は冷たいものばかりで、温かいものを置いてなかった。
理由は簡単、需要がないからだ。
以前まではリーマンや飲兵衛の憩いの場だったこの店。
甘味なんて、たま~にランチとかのデザート感覚で食べていく客しかいなかった。正直形だけ。それ以上派生させようなんて考えもしなかった。
だが、ここにきて一気に需要が発生した。
そう、吹雪たちだ。それに加え北上と大井のふたり。
最近はその子達のおかげなのか、艦娘らしきお客さんがちょこちょこ顔を見せるようになってきた。
だから今年は思い切って甘味のメニューを増やそうと思ったのだ。
その第一試作品が"栗ぜんざい"である。
346 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:43:56.35 ID:gbYO2DC50
涼しくなる秋を狙った商品で秋の三大味覚(俺の中での)一つである"栗"をふんだんに使ったぜんざいだ。
ただ、俺の本心から言うと生の栗を使用して、少し豪華さを出したいところだが、如何せんそこから仕込むのに時間がかかるのと、そうなると何から何までこだわらなくてはいけなくなってしまい、材料費の事、価格面の事で辞退するしかない。
それにもっと言ってしまえば、甘味の競合店が近くにはあるので、そこまでこだわっても太刀打ちは出来ないしね。
だってわざわざこんな食堂に食べには来ないでしょ?そこまでのモノを。
だからあえて、ウチでは出来合いの小豆缶と栗の甘露煮で作ることにした。ローコストで安価で売り出す。
艦娘たちのお財布にも優しい。
ただ、だからと言ってこだわっていないわけではない!
ぜんざいに入る"餅"。
これは権蔵さんが営んでいる"うさぎ屋"から仕入れたもの。
あの"大和"も御用達と言う代物だ!
…
なんだか、宮内庁御用達みたいなノリだな…
まぁ、いいや。
その餅を入れて栗ぜんざいは完成する。
これからの季節もってこいの逸品!
…になるはずだ。
347 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:44:50.90 ID:gbYO2DC50
店主「これなんだが…どうかな?」
時雨「これって"栗ぜんざい"だね。秋にピッタシじゃないか。」
店主「とりあえず食べてみてくれないか?感想はそれからでいいからさ。」
時雨「分かったよ。じゃあ、頂くね。」
パクッ
どうだ?
時雨「なんだかホッとするね。体が冷えてるからかもしれないけど、この暖かい小豆が体に染みわたっていくよ。」
時雨「あんまり甘くないんだね。」
店主「小豆は気を付けないとな。もともと甘いから砂糖はあまり入れてないんだよ。」
店主「甘さが足りないかい?」
時雨「ううん。とても僕好みだよ。」
時雨「ただ、これは僕の舌の話だからね。もっと甘いのが好きな子はどうだろう…」
そうだよな…
人それぞれなんて言葉もあるし…
店主「もう少し甘くしたらどうだろう?」
時雨「ふ~む…」
パクッ
時雨「僕は丁度良いんだけど…もう少しだけなら大丈夫じゃないかな?」
店主「そうか…」
348 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:45:34.17 ID:gbYO2DC50
もう少しだけか…こうなってくると時雨ちゃんだけじゃモニターは足らないか?
アイツらが居たら、もう少しデータがとれるかもしれないんだが…
ノビー…ン
店主「…楽しいか?」
時雨「ひょほおもひよふほひふへ(このお餅よく伸びるね)」
店主「そりゃあ、いい餅使ってるからな。」
時雨「ほうひへ(どうりで)」
店主「食べてからでいいぞ?」
たのむから、のどに詰まらせるなよ?
349 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:46:21.49 ID:gbYO2DC50
時雨「んぐっ…このお餅もおいしいよ。」
店主「だろうな。老舗の団子屋の餅だから悪くないだろ?」
時雨「老舗…もしかして、うさぎ屋かな?」
店主「よくわかったな。」
時雨「大和たちがよく行ってるから。」
時雨「それにお土産によく貰うし。」
店主「そういや、おたくの提督さんも言ってたな。」
意外な所で繋がってるもんだな…
うちも何か持って帰れるものがあればいいんだが…
時雨「提督に会ったことあるの?」
店主「会ったというほどではないよ。前の説明会の時に見たっていう表現がいいかな?」
時雨「へぇ~。」
350 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:46:51.16 ID:gbYO2DC50
店主「そうだ。これ今ちょっと砂糖足したんだが…どうかな?」
時雨「いつの間に…」
店主「慣れれば話しながらでも作業は出来るさ。」
時雨「職人技だね!」キラキラ
そこまでのもんじゃないとは思うが…
時雨「うん。甘味は少し強くなったけど、おいしいよ。」
店主「くどくない?」
時雨「うん。」
店主「そうか。よかった。」
あとはあの4人に食べさせて…
ガララッ
店主「いらっしゃい。」
吹雪「う~…」
店主「ってどうした!?ずぶ濡れになって!」
351 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:47:26.82 ID:gbYO2DC50
深雪「ったく災難だぜ。」
時雨「何があったんだい?」
白雪「あれ?時雨ちゃん。」
初雪「珍しい。」
時雨「雨宿りついでかな?」
店主「ちょっと待ってろ!」
全く、呑気に話してる場合じゃないって…
世話の焼ける子たちだ。
店主「ほら、人数分あったからこれで体拭け。」
吹雪「これ新品じゃ…」
店主「気にするな。早く、じゃないと風邪ひくぞ。」
初雪「っくし!」
店主「ほら見ろ。」
時雨「一体何がったんだい?」
吹雪「こっちに来る途中で…っくしゅん!」
深雪「トラックに水かけられたんだよ…へくしっ!」
白雪「信号が赤に変わりそうでスピード出してたからね…っくしゅ!」
ああ…いるよな…
特に作業系のトラックとか。
352 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:48:22.22 ID:gbYO2DC50
吹雪「…あれ?」
店主「?…どうした?」
吹雪「"夕立ちゃん"は?」
深雪「あれ?さっきまでそこに居たぜ?」
店主「夕立?」
艦娘の名前かな?
なんだか時雨と言い、今日の日にピッタシな名前だな。
時雨「夕立と一緒だったの?」
吹雪「うん。一緒に水被ったから…」
白雪「多分あのときじゃない?水被ってこの店に駆け込もうって言ったとき。」
初雪「その時置いてきちゃったんだ…」
吹雪「この店の場所知ってるの私たちだけだもんね…」
白雪「悪いことしちゃったね…」
店主「まずいな…こんな天気だ、ずぶ濡れのままじゃ本当に風邪をひいちまうな。」
353 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:48:56.27 ID:gbYO2DC50
深雪「なら探して…」
グイッ
深雪「おうっ!?」
店主「まったく。自分の姿をよく見ろ。」
時雨「ずぶ濡れだね。」
深雪「でもさ…」
店主「あいにくこの天気でね、お客さんも全く来ない。そしてこの中で体が濡れてないのは俺だけだ。」
時雨「…え?」
店主「俺が探してくる。悪いが甘いものはその後でいいな?」
吹雪「でも…」
店主「お客さんに無理はさせれないだろ?」
354 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:49:35.94 ID:gbYO2DC50
店主「かおるちゃ~ん!」
バイト「なぁ~にぃ~?」
店主「悪い、ちょっと用事で外に出る。留守番お願いできるかい?」
バイト「急だね。」
店主「人探しだ。」
バイト「っ!分かったよ。店はどうする?」
店主「とりあえず緊急だ。張り紙でも貼っといて?」
バイト「了解。気を付けて。」
店主「ああ。じゃあ、お前さんらも大人しく…」
時雨「僕も行くよ。」
店主「まだ、濡れてるだろ?」
時雨「でも、夕立の姿見たことないでしょ?」
店主「まぁ…そうだね。」
時雨「僕は知ってるよ?姉妹だからね。」
店主「…分かったよ。」
店主「ただし、傘は持てよ?」
時雨「うん。」
355 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:50:09.72 ID:gbYO2DC50
吹雪から聞いた別れたであろう場所に着いたが…居ない。
聞いたところによると、夕立って子は大分おてんばらしいからジッとしてるのは苦手だとみる。
ならまだ近くに居るのか?
時雨「こっちにもいないね。」
店主「そうか。」
吹雪たちの話では、夕立って子とあったのは偶然だと言っていた。
店主「どっか行く予定でもあったのかな?」
時雨「う~…ん。」
店主「心当たりは?」
時雨「あると言えば…」
店主「と言うと?」
時雨「僕を追ってきたのかも?」
店主「ん?」
どういうことだ?
356 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:50:46.59 ID:gbYO2DC50
時雨「僕は今日何も予定がなかったんだけど、夕立は午前中に別の鎮守府との公式演習があって…」
時雨「いつもは一緒なんだけど、今日は偶には一人で出歩くのもいいなと思って外出許可をもらったんだよ。」
店主「なるほどね。」
いつも一緒に居るなら、急に一人になれば寂しいもんな。
時雨「こうなるなら、待っておけばよかったよ。」
運命のいたずらか、水を被らなければ会えたのにな…
店主「とにかく場所を移そう。」
居ないと個を探し回ってもらちが明かない。
電ちゃんの時みたいに武田君を頼るのもありだったけど…前回と今回では状況が違うからな…
さて、そうなると…
??「あれ?街角やさんのご主人じゃないですか。」
あれ?
店主「武田君!?」
357 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:51:20.64 ID:gbYO2DC50
武田「はい、武田です…驚かせちゃいました?」
運命のいたずらここでも発生。
いや、運命の神様がほほ笑んだか?
噂をすればなんとやらだな…心の中だけど。
雨が降ってるから合羽で巡回ですか。いやはや、ご苦労様です。
店主「ちょうど良い所に…」
ん?
店主「…この子は?」
よく見ると武田君の隣に女の子?
武田「さっきそこで迷子になってたんで…」
??「迷子じゃないっぽい!人探し!」
ん?人探し?
358 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:51:47.95 ID:gbYO2DC50
時雨「あ!」
店主「?」
時雨「夕立!」
え?
夕立「時雨っぽい!」
時雨「ぽいじゃなくて正真正銘の僕だよ!」
あっさり見つかった…
え?
武田「?」
この前もそうだけど…
アンタ近いうち昇進するんじゃね?
359 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:52:20.05 ID:gbYO2DC50
夕立「どこ行ってたの?!」
時雨「ごめんごめん。ちょっと暇だったから偶にはと思って…」
なんつうか…じゃれつき方が犬っぽいな…あの子。
なんだか尻尾を振ってる様に見えるよ…
時雨「このご主人のお店にお邪魔してたんだ。」
夕立「ご主人?」
時雨「うん。とってもおいしいぜんざいをもらったよ。」
夕立「ぜんざい…」ジュルリ
凄く自分に忠実だな…本当に犬みたいだ。
店主「武田さん。今回も助かりましたよ。」
武田「お役に立てたようで何よりです。」
本当にお世話になってます。
360 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:52:59.18 ID:gbYO2DC50
さて。
店主「夕立ちゃんだっけ?」
夕立「?」
店主「水被ったって聞いたけど…」
夕立「そうなの…ずぶ濡れぇ~」
店主「今、吹雪たちも店で服乾かしてるから、よかったらおいでよ。」
夕立「吹雪ちゃん…」
ん?
夕立「置いてかれたぁ~!」ワァー!
あらら。
そういや置いてったって言ってたもんな。
店主「ウチの店に居るから。お話しするといい。」
夕立「…うん。」
時雨「まだ、ぜんざいあるかな?」
店主「一応、あいつ等の分も含めてもあるはずだぞ。」
時雨「だって。」
夕立「行く。」
モニターが増えた。
361 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:53:26.26 ID:gbYO2DC50
ガララッ
店主「ただい…って!」
深雪「ん?」
吹雪「お帰りなさい。」
白雪「見つかりましたか?」
初雪「後ろに居る。」
バイト「お帰りおやっさん。」
店主「ああ…」
なんでもう食べてんの?
362 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:54:01.33 ID:gbYO2DC50
バイト「どうせならあったかいの食べさせた方がいいでしょ?ずぶ濡れだったし。」
店主「まぁ…な。」
バイト「それに、この子達に食べさせるためだったんでしょ?」
店主「はぁ…流石だな。」
ウチのエースには敵いませんよ。
店主「さて、夕立ちゃん。まずは…」
夕立「もぉー!」
吹雪「本当にごめん。」
夕立「ごめんで済むなら警察はいらないんだよ!」
軽く警察沙汰になったからなぁ…
店主「時雨ちゃん、これで拭いてやって。」
時雨「うん。」
363 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:54:42.06 ID:gbYO2DC50
その間に。
バイト「そうだ。あと2杯分残ってるし、あの子にもう一杯あげたら?」
店主「…いいのか?」
バイト「私の分?いいよ。風邪引かないようにあったかいの食べてもらおうよ。」
店主「分かった。」
店主「ほい、今後出す予定の新メニュー"栗ぜんざい"だ。」
夕立「ほぉ~!」
時雨「あれ?」ボクノブン?
店主「また雨に濡れたからな。」
時雨「ありがとう!」
夕立「ほほほもひひょふほひふっほい!(このお餅よく伸びるっぽい!)」
時雨「夕立!?」
店主「はははっ!姉妹だな。」
時雨「っもう…」カァ…
364 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:55:13.96 ID:gbYO2DC50
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
新規商品、開発中です。
365 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/20(日) 00:55:43.30 ID:gbYO2DC50
北上「…」
大井「…」
『諸事情により一時閉店中』
北上「…まじ?」
※後日謝りました。
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/20(日) 01:13:17.98 ID:7TxcjeaAO
間宮「またお客さん取りやがって」クワッ
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/20(日) 14:30:31.37 ID:HGAxnmO8O
主人公より顔の広い時雨
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/24(木) 12:53:36.27 ID:GWeMKBaX0
へ、閉店中だと!?
くっ!
ここの餃子定食が食えないのか!
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/25(金) 21:20:40.85 ID:8psOcJxO0
389 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:01:49.67 ID:v6nHJhJ30
ピピピッピピピッピピピッ
バンッ
店主「…うぅ」
朝か…
朝10時。
いつもの日に比べて遅めの起床。
理由は一つ、今日が土曜日だからだ。
前も言ったが土日は休店日。
ゆっくり目に起きても問題はない。
じゃあ、もっと長く寝ていてもいいじゃないかと思うだろうが…そうもいかない。
休みには休みの日にしかできない事がたくさんある。
390 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:02:29.38 ID:v6nHJhJ30
例えば掃除。
この店は2人体制のため、開店前の掃き掃除は出来てるんだが…閉店時の厨房の片づけが雑になってしまいがちだ。
もちろん時間をかければ綺麗には出来るが、そうなると寝る時間が少なくなってしまい体調管理が難しくなる。
だから、こういった日にまとめてやるのが一番だ。
ああ、今日はそれをやろう。
コンロまわりとかフードの油汚れが目立ってきたからな…
となれば。
バンッ
店主「ほら、かおるちゃん起きて。」
深海「んん…」
いつも店を手伝ってくれているバイトの『深海 かおる』。
実はこの子とは訳あって同居している。
先に言っておくが、疚しい気持ちは全くないぞ。
391 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:03:00.84 ID:v6nHJhJ30
店主「朝だぞ。」ユサユサ
深海「今日土曜じゃない…」
店主「店の掃除手伝ってよ。」
深海「…一人でやってよ。」
店主「バイト代弾むよ?」
深海「…2倍」
店主「!」
足元見やがって…
店主「1.5で…」
深海「…しょうがないな。」ガバッ
商談成立。
深海「お小遣いのために頑張りますよ。」
この子との間柄、どちらかと言えば親子に近いかも…
店主「朝ご飯はテーブルの上に置いてあるから。」
深海「ふぁい…」ファァ…
でっかい欠伸…
無理もないか、昨日も忙しかったからね。
392 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:03:41.33 ID:v6nHJhJ30
深海「…トーストとスクランブルエッグ…ハムか…」
今日の朝食はベーカリーこむぎやで買った食パンとスクランブルエッグ・焼いたハム。
かなり無難なチョイスだが、この組み合わせは急いでる朝とかにはもってこいだ。
何故なら…
深海「…んしょ。いただきます。」
バクッ
全部トーストの上に乗せれば一気に食えるから。
深海「…」モグモグ
ゴクン
深海「でさ、今日はどこ掃除するの?」
店主「コンロにフード。油汚れが目立ってきたからさ。」
深海「ん。」
まだ寝ぼけてんのか?あっさりした返事だ…
393 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:04:18.49 ID:v6nHJhJ30
深海「重曹ってあるの?」
店主「あったかな?…無かったら苛性ソーダでもいいんだけど。」
深海「それ、前の掃除のとき切らしてなかった?」
店主「あれ?」
そうだったっけ?
店主「高圧洗浄機だけじゃ落ちないか?」
深海「ある程度はね。」
ってことはある程度は落ちない…
店主「先に薬屋寄ってこようかな?」
深海「私準備してるから買って来たら?」
店主「そうだな。」
やれやれ、せっかくやろうとした時に…
今度からはしっかり確認しておこう。
394 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:05:03.16 ID:v6nHJhJ30
店主「じゃあ、行ってきます。」
深海「いってらっしゃい!」
さてと…苛性ソーダ欲しいけど、最近は色々あって手に入りにくいんだよな…
仕方ない。今日は重曹と洗剤で手を打つか。
別に悪い組み合わせじゃないし。
それに保健所が見回りに来る時期でもないし。
さっさと買って帰ろう。じゃないとかおるちゃんが怒るし。
??「おはようございます。」
ん?
店主「これは岡崎さん。おはようございます。」
今俺に声をかけてきたのは岡崎さんだ。
喫茶いかりやのマスターだ。
395 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:05:43.68 ID:v6nHJhJ30
岡崎「お出かけですか?」
レレレのレー。
なんて言ったらさすがに失礼だろう。
店主「ええ。薬局に洗剤と重曹を買いに。」
岡崎「ああ、ひょっとして油汚れを落としますね。」
店主「そうなんです。今日店が休みなんで。」
岡崎「そうですか。休みなのに大変だ。」
店主「油まみれは必須です。」
っといけない、談笑してる場合じゃないや。
店主「それじゃ、若いのが待ってるんで。」
岡崎「これはすみません。お忙しいのに。」
店主「いえいえ。」
396 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:06:14.26 ID:v6nHJhJ30
岡崎「そうだ。」
店主「?」
岡崎「もしよろしければ、掃除が終わった後ウチに寄りませんか?おいしいコーヒー入れますよ。」
ピクッ
店主「それもいいですね。じゃあ、お言葉に甘えて。」
岡崎「それでは、お待ちしております。」
ああ、とんでもないセールストークだ。
コーヒーで誘惑をかけてくるなんて…やっぱあの人には敵わん。
今までも何回こういうことがあったか。
しかも歳を取るにつれ、喫茶店で飲むコーヒーの魅力に取りつかれていく…
よし、掃除は午前中までだ。
そして午後の予定は決まりだな!
急いで買って始めよう!
397 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:06:52.52 ID:v6nHJhJ30
店主「よし!」
深海「ピッカピカ!」
洗剤と重曹を買ってきて早速作業を開始。
重曹と洗剤で油を浮かし、高圧洗浄機で落としていく。
すげぇ快感になりそうなぐらい綺麗に落ちていった。
いやぁ、この洗浄機買っておいて正解だな。
これで抜き打ちで保健所が来ても安心だ。
来ることはないだろうけど。
さて、ちょうどお昼の時間か…
店主「かおるちゃん。お昼どうする?」
深海「私今日街へ買い物に行く予定なんで、適当に食べてくる。」
店主「そうなの?」
深海「夕飯までには帰ってくるんで。」
店主「そうか…」
398 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:07:21.67 ID:v6nHJhJ30
となるとだ…
家で一人で食べるのもありだが、せっかくの休みだし外に食べに行くのもありだな。
あいにく予定は…
喫茶飯ってのもありだな。
予定を繰り上げてお昼ご飯を"いかりや"で食べよう。
店主「気を付けて行って来いよ?」
深海「だいぶ間が空いたけど…大丈夫?」
店主「大丈夫大丈夫。うん。」
399 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:08:13.38 ID:v6nHJhJ30
カランカランッ
岡崎「いらっしゃいませ。」
ああ、扉を開けた瞬間コーヒー豆のいい匂いが…まさに喫茶店って香りだ。
そしてマスターである岡崎さんの落ち着いた雰囲気。
たまらない。
岡崎「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください。」
水とおしぼりを置いて一礼して下がる。接客の基本がしっかりとなされている。
俺とは大違いだ…
って俺は何を評価してるんだ。そんな良い身分でもないのに…
しかし、朝から重労働をしてか、このソファーがゆったり感が相まって、まずはゆっくりしたくなる…
400 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:08:40.74 ID:v6nHJhJ30
ただ水だけでっていうのは悪いから…
え~っと…
外は涼しいしホットで行くか。
なら…
岡崎「お決まりで?」
店主「!?」
いつの間に?!
岡崎「すみません、他にお客様がいらっしゃらなかったので。」
言われてみれば。
店主「珍しいですね。」
岡崎「夕方が本番です。」
店主「…なるほど。」
喫茶店でご飯と言うのも乙なものだが、近所のおばちゃま方は基本駄弁りにしか喫茶店を利用しないからなぁ。
俺からしたら勿体ない使い方だ。
401 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:09:07.21 ID:v6nHJhJ30
店主「とりあえず、ブレンドのホットで。」
岡崎「かしこまりました。」
ここに来ると必ずこれを注文する。
どんなブレンドかは俺も詳しく知らないが、程よい酸味と苦さがたまらないんだ。
岡崎「…」
サイフォン式か…
難しいっていうけど、岡崎さん簡単にやってるからな…言われても分からない。
でも、好きな人はこの淹れ方が一番だっていうし、それもあんのかな?
どっちにしろ、おいしいコーヒーが飲めればそれでいい。
俺は小さな食堂の経営者。
コーヒーの淹れ方にケチはつけれませんよ。
岡崎「お待たせしました。ブレンドのホットです。」
店主「ありがとうございます。」
ズズッ
この一口で目が覚める良い苦み。
さて、食べるものはもう少し後でいいだろう。
ここはゆっくりと…
402 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:09:49.82 ID:v6nHJhJ30
カランカラン
岡崎「いらっしゃいませ。」
お客さんか。
??「あれ?」
ん?
??「街角やのご主人!」
この声…
店主「瑞鶴ちゃんか。」
瑞鶴「こんにちわ。」
??「こら、瑞鶴。邪魔しちゃダメじゃない。」
店主「翔鶴さんもこんにちわ。」
翔鶴「こんにちわ。すみません、邪魔しちゃって。」
店主「いえいえ、そんな。」
瑞鶴「そうそう。暇そうにしてたから声かけてあげたのよ。」
翔鶴「だからっていきなり声をかけるのはダメよ?」
瑞鶴「はぁ~い。」
流石に姉には敵わんか。
403 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:10:32.37 ID:v6nHJhJ30
この2人は"翔鶴さん"に"瑞鶴ちゃん"。
ここの鎮守府に配属されている唯一の正規空母らしい。
元々は別の鎮守府に居たらしいが、瑞鶴ちゃんが正規空母の先輩とケンカしたらしく(あっちが喧嘩を吹っかけてきた:瑞鶴談)ここに異動してきたという経緯がある。(翔鶴談)
その先輩とは事あるごとに喧嘩していたので上の人(おそらくあっちの提督)も困り果てていたようだ。
瑞鶴「あっマスター。私いつものカフェオレで。」
翔鶴「私はブレンドで。」
岡崎「かしこまりました。」
それにしても、この時間に2人に合うのは珍しいな…
休み…って割には服装はいつものだし。
瑞鶴「女性をじろじろ見るのはいただけないと思うけど?」
店主「悪い。」
まただ…
最近これが自分の癖だというのを実感して、直そうとはしてるが…
直らないのは男としての性か…
404 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:11:07.21 ID:v6nHJhJ30
…って
店主「なぜ瑞鶴ちゃんは同じ席に?」
瑞鶴「だめ?」
店主「ダメじゃないけど…」
まぁ、一人優雅な時間はつぶれてしまうがな。
翔鶴「ほら、瑞鶴。」
瑞鶴「せっかく久しぶりに会うのに…」
店主「翔鶴さんもよかったらこちらに。」
翔鶴「でも…」
店主「せっかくなんで。」
翔鶴「なら…」
瑞鶴「色目使う気?」
店主「お前さんね…」ハァ…
癖を直さねば…
405 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:12:04.60 ID:v6nHJhJ30
店主「ところで、こんな時間に会うのは珍しいね。」
瑞鶴「うん。ちょっとね。」
翔鶴「午後に長距離の移動があるので…」
ん?あんまりいい顔してないな。
瑞鶴「あんまり気が進まないの…なんせアイツに遭わなきゃいけないから…」
字から読み取れるほど嫌な事なのか…
恐らくさっき言ってた先輩の事なんだろうなぁ…
店主「演習のため?」
翔鶴「もあります。」
…これ以上はやめとくか。
岡崎「お待たせいたしました。カフェオレです。」
瑞鶴「来た来た。」
岡崎「ブレンドです。」
翔鶴「ありがとうございます。」
瑞鶴「砂糖♪砂糖♪」
またザラザラとコーヒーシュガーを一杯入れちゃって…
406 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:13:46.51 ID:v6nHJhJ30
店主「毎度お思うけど、瑞鶴ちゃんは苦いの苦手?」
瑞鶴「うぐっ。」
あっ図星。
分かりやすいなぁ。
瑞鶴「だって、ミルクと砂糖入れなきゃただの苦い汁じゃん。」
翔鶴「だったら無理しなくてもジュースとかも置いてあるんだし。」
瑞鶴「みんな飲んでるのに一人だけって…」
変な所で見栄張るなぁ…
まぁでも、俺もガキの頃は無理だったからな。高校の時も飲んでたが、あれは飲めるようになったというよりは…粋がってたからな…味うんぬんよりもカッコよさ。
だからノーカン。
本格的に飲みだしたのは…大学の後半ぐらいからか。
あの時は卒論とかに追われてて眠気覚ましに飲み続けてたら美味しさが分かってきたって感じだ。
しかし、苦い汁とは…初期のドラゴンボールの悟空もそんな表現してたっけか。
言いえて妙だよな。
407 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:14:34.66 ID:v6nHJhJ30
店主「でも、女性がそこまで苦いのをこだわって飲まなくてもいいんじゃないか?」
瑞鶴「え?」
店主「よく街で見かける若い子がブラックで飲んでるとこあんまり見ないからさ。」
瑞鶴「そうなの?」
店主「ス○バとかだと基本コーヒーでも甘いのしか飲んでないんじゃないか?」
店主「だから、瑞鶴ちゃんも変にこだわらなくても自分の飲みたい奴を飲んだ方が体も喜ぶぞ。」
瑞鶴「…そうかな?」
翔鶴「そうよ。別におかしくないもの。」
瑞鶴「そっか。」エヘヘ
店主「それにここのフルーツ系のジュースは生ジュースだから、飲んで損はないと思うし。」
瑞鶴「ああ、メニューに書いてあったね…今思えばなんだかおしゃれっぽい!」
瑞鶴「今度はそれ頼むよ!」
翔鶴「そうね。」クスッ
解決したようで何よりだ。
408 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:15:26.96 ID:v6nHJhJ30
瑞鶴「ところでさ。」
店主「?」
瑞鶴「前から気になってたことがあんだけど…」
瑞鶴「なんで私は"ちゃん"呼びで翔鶴ねぇは"さん"呼びなの?」
店主「なんでって…そりゃあ…」
子供っぽいから!…なんて言ったらどうなるか…
言葉を変えて"若い"からなんて言ったら翔鶴さんに傷を与えかねない…
…どうする?
店主「…」
瑞鶴「?」
店主「…瑞鶴さん。」
瑞鶴「へ!?」
店主「瑞鶴さん。」
瑞鶴「なっなに?」
店主「どう?」
瑞鶴「きゅっ急に何!?」
店主「いや、呼ばれてどうかな?って」
瑞鶴「…なんつうか余所余所しいっていうか。」
店主「だろ?うーん…なんて言えばいいのかね。"ちゃん"の方が親しみが湧きやすい…のかな?」
瑞鶴「親しみ?」
店主「そう。瑞鶴ちゃんとは友達だから"ちゃん"。翔鶴さんはそのお姉さんだから"さん"。」
瑞鶴「なるほど。」
409 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:16:02.96 ID:v6nHJhJ30
瑞鶴「でも友達って…」
店主「だって…ウチに来ないじゃん。」
瑞鶴「うっ」
店主「店に来たら考えてやるよ。」
瑞鶴「言ったわね。」
翔鶴「最近、ご主人のお店が鎮守府でも噂になることがあるんですよ?」
店主「そうなんです?」
初耳だぞ?
吹雪たちなんも言わんしな。
翔鶴「ええ。影響もあってか最近では隼鷹さんたちが、鳳翔さんの所であの糠漬けが食べれるって騒いでましたし。」
店主「…へぇ。」
その割には金曜日に来て糠漬け食べてるけど。
と言うか出してくれてるんだ。
410 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:17:03.91 ID:v6nHJhJ30
瑞鶴「影響と言えばあれもそうじゃない?秋刀魚。」
翔鶴「秋刀魚?」
瑞鶴「刺身刺身。」
翔鶴「ああ。」
店主「?」
瑞鶴「いやね。この間ウチの食堂でね、秋刀魚の刺身が出たの。」
瑞鶴「なんでかな?って思ったら…」
翔鶴「北上さんが直談判したみたいで。」
瑞鶴「そそ。その甲斐あってか一日数量限定で出たんだよね。」
翔鶴「食堂のおばさんも困ってましたからね。」
瑞鶴「『北上の嬢ちゃんが出せ出せ!って毎日喧しかったから出した』って。」
ある意味嫌がらせじゃないか…
店主「そんなことがあったのか…」
瑞鶴「最近は深雪が言いふらしてるわね。あの店のオムライスおいしかったとか。」
翔鶴「吹雪ちゃんも乗せられてアジフライおいしかった!って言ってましたね。」
嬉しいような恥ずかしいような…
411 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:17:53.66 ID:v6nHJhJ30
瑞鶴「あと、今度の感謝祭に街角やに選ばれたってえらく騒いでたわ。」
翔鶴「大淀さんに叱られてわね。」クスクスッ
店主「深雪だな…」
瑞鶴「正解!よくわかったわね。」
あいつ…
店主「知っての通り常連だからね。」
瑞鶴「やっぱ常連になると分かるんだ、そういうのも。」ニシシッ
店主「あそこまで通ってもらうと、家族みたいなもんだからな…」
瑞鶴「へぇ。」
岡崎「お待たせしました。シフォンケーキでございます。」
瑞鶴「待ってました!…ってあれ?まだ頼んで…」
岡崎「いつも頼まれますからね。」
翔鶴「…あら。」
瑞鶴「ありがとうございます。」
店主「…」
最後に見せた俺に対する視線…
どう見ても対抗心含んでました…
412 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:18:25.35 ID:v6nHJhJ30
店主「ごちそうさまでした。」
岡崎「またいらしてください。」
瑞鶴「じゃあ、私たち行くね。」
店主「おう、気をつけてな。」
翔鶴「失礼します。」
しかし、同じ姉妹でもあそこまで性格が違うとは。
やっぱ"ちゃん"と"さん"で区別したくなるよ。
さて…
グゥー…
店主「っ!」
しまった!
彼女たちとの会話に夢中になって食べ損ねた!
今更戻ってっていうのも間抜けだし。
413 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:19:09.94 ID:v6nHJhJ30
??「お、おっちゃんじゃん!」
店主「ん?」
深雪「こんなところで何してんだ?」
吹雪「こんにちわ。」
白雪「珍しいですね。」
初雪「…ん。」
そうか、今日は土曜で俺は休みでもこいつ等は違うからな。
店主「いや、実はな…」
待てよ?ってことは今から何か食べるって事か…
深雪「そうだ、今日土曜じゃん。」
吹雪「忘れてた。休みだぁー。」
店主「だったら、何か食べに行くか?」
白雪「え?」
店主「実は俺もまだ何も食べてない。」
腹の中はコーヒー一杯分だけ。
初雪「そうなの?」
店主「だから、たまには一緒にどうだ?」
深雪「おごりなら良いぜ?」
店主「いいぞ。」
深雪「だよなー…」
4人「え?」
414 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:19:41.61 ID:v6nHJhJ30
店主「いいぞ。何が食べたい?」
深雪「…」ワナワナ…
初雪「…いっ今なんと?」ワナワナ…
店主「奢るって言ってるんだ。早くしないと置いてくぞ。」
深雪「聞き間違いじゃない!やったぁーーー!」ガシッ
店主「おい、しがみつくな歩きづらいだろ!」
初雪「お供します!」ガシィッ
店主「初雪お前もか!」
吹雪「…」
白雪「…」
吹雪・白雪「…」ウン
ダキッ
店主「ちょっ!?4人はさすがに!」
415 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:20:15.41 ID:v6nHJhJ30
吹雪「どこに連れてってくれるんですか?」
白雪「私パフェ食べたいです!」
深雪「ここはもっと豪華にだ。」
初雪「いや、それよりも…」
店主「とにかく、離れてくれぇーーーーーー!!」
416 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:20:42.69 ID:v6nHJhJ30
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
申し訳ありませんが土日は休店日です。
またのお越しお待ちしております。
417 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/26(土) 00:21:21.05 ID:v6nHJhJ30
深海「…」ジーッ
店主「…あっかおるちゃん、良い所に。助けてくれ!」グググッ
4人「きゃっきゃっ!」ギューッ
深海「…」ピポパッ
深海「…あっ、武田さん?」
店主「え?」
何故に!?
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/26(土) 09:49:29.58 ID:Aiu+SjBH0
こんな時間帯に見るんじゃなかったぜ、腹減っちまった…店主、今日のオススメは?
432 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/27(日) 00:56:39.84 ID:dimDhe+AO
パスタがあるってことは、台湾まぜそばもあるんかい?
あるならウチの爺1と食べに行くわww
433 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/28(月) 10:21:24.74 ID:495Dgzbv0
おつおつ。
なんかもう艦娘出てこなくても世界観出来上がってて面白いね。
とりま餃子定食……休みかー!
437 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:28:32.15 ID:35ePluAv0
9月もそろそろ終わり。
10月に入ってあと3か月もしたら年末を迎えてしまう。早いもんだ。
しかし、10月か…いい加減"感謝祭"に何を出すか決めないとな…
寺本さんや権蔵さんの所はもうだいぶ決まってるみたいだし…
困ったな…
そろそろアイツらと相談しないとな…
こういうこと初めてだし…
ガララッ
店主「いらっしゃいませ。」
吹雪「…」
438 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:29:14.91 ID:35ePluAv0
吹雪か。
丁度良い。今度の感謝祭のメニューを吹雪たちと…
吹雪「…」
ん?深雪たちは…どうした?一向に来ないが…
吹雪「…」
ひょっとして…
店主「珍しいな。一人か?」
吹雪「え!?」
いや、驚かなくても…
店主「深雪たちはどうした?」
吹雪「深雪…さん?」
深雪…さん?
"さん"!?
店主「おい…そんな」
他人行儀みたいな言い回し…
439 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:29:42.37 ID:35ePluAv0
吹雪「あの…」
吹雪「どこかでお会いしましたっけ?」
店主「…」
吹雪「…」
この子は一体何を言ってるんだ?
440 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:30:19.87 ID:35ePluAv0
いやいやいや、今までさんざん毎日のように4人乃至6人や8人で遊びに来ていたじゃないか!
ましてやうちの常連さんだぞ?!
吹雪「?」
めっちゃ困った顔してる…
いや、するなって!
こっちがしたいよ!
吹雪「えっと…」
まてまてまて。
ひょっとして、俺はこの子を怒らせるようなことをしたか?
さっきも「深雪"さん"」って…
ははぁ~ん。
さては深雪の奴が何かしでかしたな?
それで怒って深雪の奴をさん付け呼ばわり…
じゃあ、俺に対する他人行儀は何だ?
思い出せ俺。
店主「…」
吹雪「えっと…なにか?」
いや、全く思い出せない。
441 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:31:29.11 ID:35ePluAv0
店主「とりあえず座ってくれ。」
吹雪「はぁ…」
本当に何かしたか?
あれは深雪に対してだし…あの事は初雪…
吹雪と白雪はまじめだからな…揶揄い様がないんだよなぁ…
ダメだ!わからん!
店主「とりあえず、注文を聞こうか?」
まぁ、注文はいつも通りだろ。
吹雪「ごめんなさい。少しメニューを見ていいですか?」
店主「え?おう。」
い つ も 通 り じゃ な い !
442 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:32:07.25 ID:35ePluAv0
いや待て。落ち着くんだ俺!
もしかしたらいつもの注文とは別なものを…今日"たまたま"頼んでみたいだけなのかもしれん!
いいか、"たまたま"だぞ"たまたま"。
なんで俺こんな動揺してるんだ?
吹雪「…あの」
店主「決まったかい?」
吹雪「はい。カレーをください。」
店主「カレー?」
吹雪「あれ?ありませんか?」
店主「いや…あるよ?」
吹雪「?」
店主「?」
この時間にカレー?
443 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:32:56.14 ID:35ePluAv0
いや、悪い事じゃない。
むしろ食べてくれるのはこっちとしては嬉しいことだし…
でも、お前さん…
いつもこの時間は甘味じゃないのかい?
店主「用意してくるけど…珍しいなこんな時間に。」
店主「昼食べてないのか?」
吹雪「えっと…はい。演習で時間がずれたので…」
店主「…そうか。」
まぁ、そういうこともあるわな。
ってことは深雪たちもその関係で遅れてるのか…
そうなると、なぜ吹雪だけ来てるんだ?
しかも、やけに余所余所しく…
444 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:33:27.33 ID:35ePluAv0
吹雪「あの…」
店主「どうした?」
吹雪「あの、誰かと勘違いしてないですか?」
店主「…」
なぁに訳わかんねぇこと言ってんだぁ?この子はよぉ…
店主「誰かとって…お前さん、吹雪だろ?」
吹雪「え?はい。」
店主「…」
吹雪「…?」
445 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:34:13.68 ID:35ePluAv0
なんか悪いもんでも食ったか?
それとも演習中に頭でも打ったか?
もぉ…変に会話が成立してねぇぞ…
店主「とにかく作るから待ってな。」
吹雪「はい。お願いします。」
どうも調子が狂う…
さて食堂の定番中の定番で、なぜか日本国民のおふくろの味の一つにもなっている"カレー"
もちろんウチでも人気を誇るメニューの一つだ。
その店その店でスパイスの配合を変えていたり、トッピングが違っていたりと色々あるカレーだが、ウチではカレー(ビーフ)かカツカレー(ロースかチキン)の主に2種類だ。
どちらもカレーの中では定番だろう。
446 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:35:00.34 ID:35ePluAv0
ウチで使っているスパイスのレシピに関しては俺は全く知らない。
と言うのも、毎日毎日わざわざ仕込みで作っているわけではないからだ。
ただ、その辺の業務用のカレーを使っているわけではなく、ウチの爺ちゃんの代から契約しているとある会社に頼み、無くなってきたら発注をかけるって仕組みにしている。
スパイスに関しては、そこに爺ちゃんがスパイスのレシピを登録してあって、発注をかけると随時レシピをもとに作って送ってくるシステムになっている。
如何せん2人しか従業員がいないから開店前の仕込みをある程度簡略化する必要がある。
もちろん出来合いのも使ってたりするが、こだわりたい所はこだわりたい。
そんなワガママを現実のしたのがウチのカレーである。
パウチされたルーをお湯で温めご飯の上にかけるのではなく、今では珍しくなりつつある『グレイビーボート(またはソースポッド)』。
ごく一般の家庭で見られる光景だが、味は全くと言っていいほど違う。
ウチで使っているのはスパイシーさを押し出したもの。
普通の店とは違い辛めなのが特徴だ。
もちろんコクもあるが、だいたい食べた人は辛いという感想を口にしてくれる。
これは爺ちゃんの趣味が反映されている。
『辛くなくちゃカレーじゃない』
どういう訳かこれをモットウに作ったのがこの一品だ。
だから、人によってはこの辛さが病みつきになり常連となった客もいる。
で、カレーは老若男女問わず人気のメニューだ。
もちろん辛いのが苦手なお客さんもいる。
そういうお客さんにはヨーグルト(無糖)を添えたりする。
少しでも辛さを抑えるための配慮だ。
447 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:35:44.81 ID:35ePluAv0
店主「カレーお待ちどうさん。」
吹雪「うわぁ!」
目を輝かせてる。
この子そんなにカレーが好きなのかね?
吹雪「このヨーグルトは?」
店主「ああ、ウチのカレーは少し辛めだからそれを入れて辛さを調節してくれ。」
吹雪「へぇ。」
物珍しそうに眺めてるな。
あんまり見ないサービスだからな。
吹雪「じゃあ、せっかくだからそのまま。」
吹雪「っ!」
吹雪「~~~っ!」
悶絶うちながら水飲んでるよ…
辛いのがやっぱダメかぁ。
そこまで辛くないはずなんだが…まぁ、いいや。
448 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:36:22.46 ID:35ePluAv0
吹雪「ヨーグルトかけて…」
吹雪「…もうちょっとかけよう。」
店主「もしあれならヨーグルト追加するから言ってくれ。」
吹雪「ありがとうございます。」
吹雪「…あ、今度は丁度いいや。」
お口に合う辛さになったのかスプーンが進んでるな。
しかし…
さっきからやっぱどこか余所余所しい…
いつもと違って俺自身も初対面の人と会った感覚になってしまう。
この子…実は吹雪じゃないとか?
いや、吹雪って言ってたしな…
店主「?」
この子がこの店に入ってきた時から、少し違和感があるんだが…
なんだか頭がこんがらがってきたぞ。
449 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:37:07.33 ID:35ePluAv0
ガララッ
店主「いらっしゃい。」
??「やっと見つけたっぽい。」
??「探したよ吹雪ちゃん。」
ぽい?
店主「あれ?夕立ちゃん…だっけ?」
夕立「ぽい?」
だよな?
髪の色と言い、あの寝癖みたいな跳ねっ返りのある独特の髪型。
時雨ちゃんの姉妹の夕立ちゃん…だよな?
で、もう一人は…誰だ?
夕立「…ぽい?」
吹雪「…夕立ちゃん知り合い?」
夕立「初対面っぽい。」
店主「えぇ!?」
この間、栗ぜんざい平をらげておいしいって評価を下してたじゃないですか!
450 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:37:36.81 ID:35ePluAv0
夕立「睦月ちゃんは知ってる?」
睦月「ええ?しっ知らないかな?」
それは俺もです。
うん?睦月っていうのか。
たまに吹雪たちの話題から『睦月型』って言葉を聞くが、この子が一番のお姉ちゃんか。
っていうか待ってくれ。
なんだ?今日の面子は。
吹雪・夕立・睦月?
白雪と深雪と初雪はどうした?
451 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:38:08.25 ID:35ePluAv0
店主「なぁ、いつもの3人はどうしたんだ?」
吹雪「?3人?」
店主「白雪・深雪・初雪だよ。」
睦月「いや、ウチには居ませんが…」
店主「はぁ!?」
いやいやいや、待ってくれ待ってくれ。
昨日来たぞ?昨日その3人引き連れて(深雪が引き連れていたようなもんだが)来ていたぞ?
いつものクリームぜんざいと初雪が新商品の栗ぜんざい食べてたけど…
食 べ て た ぞ !
452 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:39:01.36 ID:35ePluAv0
吹雪「えっとぉ…」
店主「ん?」
吹雪「やっぱ間違ってますよ。ご主人。」
店主「へ?」
何を間違ってるっていうんだ?
店主「だって、夕立ちゃんはこの間栗ぜんざい食べてたよな?」
夕立「食べてないっぽい。」
店主「え!?」
何を言ってるんだ?
店主「睦月ちゃんは初対面だよね?」
睦月「へ?はっはい!」
ほら見ろ、あってる…じゃない。そんなことを確認してどうする!元々知らないんだから当たり前じゃないか!
じゃあ
店主「吹雪…昨日は…」
吹雪「来てないです。」
453 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:39:31.83 ID:35ePluAv0
あれぇ~!?
じゃあ…
このこたちは…
吹雪?「…」
夕立?「…」
睦月?「…?」
ダレ…
454 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:40:28.03 ID:35ePluAv0
ガララッ
「いやぁ、やっぱ大負けだわぁ!」
「流石練度の差だね。」
「やっぱ同じ駆逐艦で同型でも先輩クラスになると。」
「…違う。」
え?
深雪「おう、おっちゃん。…どったの?」
店主「…」パクパクッ
なんで…
初雪「金魚のマネ?」
白雪「違うんじゃ…」シツレイダヨ
なんで…
455 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:40:56.81 ID:35ePluAv0
吹雪「?」
店主「なんで吹雪が二人いるのぉ!!!!!!!!!??????????」
吹雪「?」
吹雪?「?」
456 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:41:42.08 ID:35ePluAv0
店主「…よくわかんないんだが。」
吹雪「えっとだからもう一度言いますと、私たちが生まれるのは"建造"と言う海軍独自のシステムなんです。」
吹雪?「詳しくは言えませんが、その建造システムを動かすにあたり、よく艦娘が被って出てくるんです。」
店主「ガシャポンでよくあるアレな感じ?」
深雪「そうそう。」
夕立「よくわかりやすく言えばそうっぽい。」
店主「…」
吹雪「で、私は○○鎮守府所属の吹雪。」
吹雪改「で、私が△△鎮守府所属の吹雪改です。」
店主「改?」
吹雪改「私は特別な改装を受けてるんですよ。」
ああ、なるほど。それで違和感の正体に気付いたよ。
吹雪「?」
服装が違うんだ。
457 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:42:16.50 ID:35ePluAv0
深雪「そんな舐めるような視線で吹雪を見るなよな。変た…」
ドカンッ!
深雪(大破)「…」シュー…
初雪「口は禍の元。」
夕立「ゲンコツ…すごい音がしたっぽい…」ガクブル…
しかし…
別の鎮守府にも同じ艦娘が居るだなんて知らなかったよ…
そうなるとちょっと待て
店主「なぁ、大和って子も他の鎮守府に居るのか?」
睦月「あのお方は貴重な存在ですから、2人もいないですよ。」
そうなんだ。
ガシャポンで言うシークレット的な?
…あんまこういう表現はあれか。失礼だな。
458 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:42:53.36 ID:35ePluAv0
白雪「でも、ウチの鎮守府にも他の鎮守府にも加賀さんが居るわよね?」
店主「?」
深雪「ああ、瑞鶴さんの話か?不仲の件で異動って話。」
え?
白雪「そうそう。あっちの加賀さんとは仲悪かったのに、こっちの加賀さんとはすごく仲がいいんだよね。」
吹雪「そうそう、瑞鶴さんも言ってたよ。いろいろ気にかけてくれて助かるって。」
睦月「鎮守府によって性格違う子いっぱいいるからね。」
深雪「そういう睦月もそうだもんな。うちにいる睦月なんて夜中に『にゃしぃ!にゃしぃ!』って騒ぎ過ぎて、近所から猫がうるさいって鎮守府にクレームが来たぐらいでさ。」ニシシ
睦月「そっそうなの!?」ッテイウカ、ネコ!?
吹雪「悲しいことに…」
睦月「帰る前に注意しなきゃ!」
夕立「夕立は夕立は?」
深雪「時雨にべったり甘えん坊。」
夕立「なんだか微妙…っぽい。」ムー…
吹雪改「そういう吹雪ちゃんは?」
吹雪「え?」
深雪「真面目だけど。」
初雪「…空回り。」
吹雪「ちょっふたりともぉ!」モォー
深雪「姉貴が怒ったぞ!」
初雪「戦略的撤退!」
店主「こら、店内で暴れるな。」
459 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:43:24.31 ID:35ePluAv0
なんつうか、鎮守府の俺の知らない内情を見た気がする。
店主「すまなかった。常連の吹雪ちゃんだとばっかり思ってて。」
吹雪改「いえ、勘違いだなんて誰にでもありますし。それに、同じ艦娘が何人もいるだなんて一般の方には知られていませんし。」
そうなんだよなぁ。おそらく勉強したところでもわからなかっただろうし。
吹雪改「あと、カレー凄くおいしかったです。また食べに来ていいですか?」
店主「もちろん。」
吹雪改「やった。」ニコッ
同じ笑顔なんだけど、別人だと思うと不思議だ。
店主「なんかお前さんの方が大人っぽいな。」
吹雪改「そんな。」
店主「ご謙遜しなさんなって。」
吹雪改「えへへ…」
やっぱり変わらん。
…艦娘。
不思議な存在だ。
460 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:43:53.55 ID:35ePluAv0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
遠方からいらしたお客さんも大歓迎です。
461 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/02(金) 23:44:26.44 ID:35ePluAv0
睦月「なんだか楽しかったね。」
夕立「向こうの吹雪ちゃんたちも強かったっぽい。」
睦月「そうだね。まだ伸びしろもあるみたいだし。」
睦月「吹雪ちゃんはどう?」
吹雪改「…」
睦月「吹雪ちゃん?」
吹雪改「…ふふ」
睦月・夕立「?」
吹雪改「うふふふふ…こっちの赤城さんも素敵だったなぁ~」デヘヘヘ…
睦月・夕立「まぁ~た始まった(っぽい)。」
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/02(金) 23:55:05.64 ID:qd+unXXXo
おつ
一瞬、鬱展開かと思ったけどそんなことなかった
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/03(土) 01:55:10.47 ID:Ot3WwFthO
長門に激辛カレー食わせるのか
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/03(土) 10:41:52.18 ID:RQUh5Puw0
乙。吹雪にはヒヤッとさせられたぜ。
それはともかく待ちに待った開店だい!店主、餃子定食大盛り、いや、二人前で頼むッ!
477 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/04(日) 01:54:54.25 ID:jia1d0zn0
ガチャガチャッ
コンセントはここ…電源つけて…
店主「よしっ!」
レジの設置終わり!
深雪「こっちも終わったぜ!」
初雪「こっちも。」
店主「ありがとう2人とも。」
478 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:55:24.49 ID:jia1d0zn0
今日は10月第1日曜日。
いつもは休店日なのだが、今日は違う。
何故なら、鎮守府の一般開放日"鎮守府ふれあい感謝祭"当日だからである。
以前の説明会にもあった通り、今日は特別露店のみの営業だ。
遠くからもお客さんがみえる予定なので、売り上げは望める。
その分心強い味方もいる。
いつもは常連としてきている吹雪たち4姉妹だ。
感謝祭の開催時間は朝の11時から夜の9時まで。
だから、4人には申し訳ないが朝早くから仕込み等を手伝ってもらうことになった。
もちろんタダと言うわけではない。
鎮守府からは飽くまでボランティアとは言われたが、流石に何もなしではかわいそうと簡単ではあるが朝食は用意した。
479 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:55:55.65 ID:jia1d0zn0
吹雪「まずはフライドポテト揚がりましたよ!」
白雪「フランクフルトもです。」
店主「ありがとう。こっちで預かるよ。」
さて、今回のメニューだがぎりぎりまで本当に決まらなかった。
『フライドポテト』『フランクフルト』など、簡単なホットスナックは早々に決まったが、目玉となるようなものが決まらなかった。
もちろん吹雪たちにも意見を聞いた。
最初は海軍主催のイベントだからカレーがいいのでは?と言う意見が出た。
俺も最初は乗り気だったが、後に商店街にあるカレーショップやベーカリーこむぎやなど、数件のお店がカレーに関する商品を売り出すことが分かり断念。
それに主催である鎮守府でも海軍直伝カレーを無料で配ることから、間違いなく目玉にはなりえない。
そこで一からやり直しだったが、白雪の一言が救ってくれた。
白雪「せっかくだから名古屋飯で攻めましょう!」
初雪もそれに同意していた。
ただ、そこからが大変だった。
480 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:56:32.05 ID:jia1d0zn0
名古屋飯と言っても屋台で売れるようなものがあったか?と
基本名古屋の祭りでも定番の焼きそばやたこ焼きとかしか見たことなかったし。
しかも10月で涼しい時期となると、冷めたものはお客さんも受け付けないだろう。
そうなってくると温かいものとなる。
温かいもの。
そこで声を上げたのが初雪だった。
初雪「味噌おでんは?」
悪くない選択だが、お伝も数件のお店がやると決まっていたので競争率は上がってしまう。
ある意味これは勝負みたいなものだ。
皆売り上げを上げるためにあの手この手で攻めてくる。
居酒屋がおでんやってたら勝てっこないよな…
だがいい線はいっていた。
そうなってくると、似たようなもので探すしかない。
名古屋飯の特徴があり温まるもの。
4人とかおるちゃんとで話し合い決まったもの。
それが
481 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:57:33.76 ID:jia1d0zn0
深海「メイン、出来上がったよ!」
店主「よし、じゃあこっちにもらうよ。」
深海「落とさないでよ?」
店主「流石に落とさんよ。」
ゆっくりゆっくりと外に設営したコンロに置く。
店主「よし。」
深雪「へぇ。」
初雪「これが噂に聞いた"どて煮"。」
482 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:58:35.73 ID:jia1d0zn0
そう、今回選んだのは"どて煮"だ。
名古屋名物になっているが、発祥自体は諸説ある。
味噌カツのもとにもなったもので、串カツをこれにつけて食べたのが始まりだと言われている。
牛すじ・こんにゃく・大根を八丁味噌ベースのスープで長時間煮込んだもの。
味がしみこんでこれがまたおいしいんだ。
七味なんかかけても行ける。
名古屋の酒飲みたちのお供と言ってもいいだろう。
店によっては牛すじではなく豚のモツを使ったりもするけど、好き嫌いがあるので今回は牛すじで。
ちなみに、このどて煮をご飯にかけたものをどて飯またはどて丼なんて言う。
けど、今日売るのは飽くまで"どて煮"。
受けるかどうかはともかく、ウチの目玉としては上々だろう。
深雪「本当に見た目が土手とかにある泥っぽいな。」
店主「そういうこと言うなよ。」
吹雪「でも味見したらおいしかったよ。」
深雪「食べたの?!」
白雪「だから味見だって…」
まぁ、こっちの方ではモツ煮の方がなじみ深いだろうな。
483 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:59:16.21 ID:jia1d0zn0
店主「しかし、お前ら。」
4人「?」
店主「いつもと着てるもの変わらないんだな。」
せっかくの祭りなんだから、少しはおしゃれしてくるかと思ったが…
吹雪「一応ボランティアだし、この格好の方がいいかなって…」エヘヘ…
初雪「…浴衣きたいけど、持ってないし…」
なるほど。
店主「浴衣着たいのか?」
深雪「着たいよ。…けどさ。」
白雪「初雪も言ってましたが、持ってないですから…」
店主「よし!」
深海「まかせて!」
4人「え?」
484 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 01:59:45.01 ID:jia1d0zn0
深海「これでよし!」
吹雪「あっあの…」アセアセ
深雪「いっいいのかな?」テレテレ
初雪「…おお。」
店主「サイズはあってるか?」
白雪「あってますけど…」
吹雪「いいんですか?この浴衣…借りちゃっても。」
店主「だから着せたんだ。」
深海「せっかくの祭りなんだからって、私の着ていた古い奴を押し入れから引っ張り出してきたんだよ。」
店主「しかし、こんなに買ってたんだな。」
深海「今年も買ったからね!」フンス
店主「え!?また買ったの?どおりで見たことない着てると思ったよ…」
485 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:00:12.54 ID:jia1d0zn0
深雪「似合ってるかな?」テレテレ
深海「そんなことない似合ってるよ。」
深雪「本当?」
店主「ふむ、馬子にも衣裳…だな。」
深雪「…それ意味知ってて言ってるだろ。」
店主「もちろん。」
深雪「ムッカー!」
店主「おっおい、艦娘が一般人相手に手を出しちゃあ不味いんじゃないか?」グググッ
深雪「だからって、その一般人が艦娘に手を出して良いって訳じゃあないからな?」グググッ
深海「何やってんの?」ハァ
吹雪「もぉ、子供みたいなことしないで。」
初雪「今日は楽しくなるね…」フフッ
白雪「…そうだね。」アタマイタイ
486 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:00:43.04 ID:jia1d0zn0
パンッパパンッ
店主「始まったな。」
事前にもらっていた資料通り始まりの合図が鳴った。
深雪「よっしゃ売るぞ!」
吹雪「なんだろう、すごくドキドキする。」
白雪「私も私も。」
初雪「…私も。」
白雪「だったらもっと表情に出さなきゃ。」ミエナイヨ?
深海「なんだか張り切ってるね。」
店主「そりゃそうだ。いつもはああ見えて戦場に立ってるんだ。商売とはいえ、彼女たちにとっては立派な息抜きだ。」
深海「本当に提督さんってやり手だね。」
それは同意。
487 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:01:32.83 ID:jia1d0zn0
深雪「いらっしゃい!」
おっもう客か。始まりと同時とは幸先良いな。
深雪「フランクフルトとジュースと…あれ?」ポチポチ
吹雪「もう、レジは私がやるから。」
深雪「面目ない…」
深雪の奴…仕方ない接客オンリーに回すか。
あの元気は売りにできるからな。
昼前とはいえお客さんの入り方が徐々に良くなってきたな。
そろそろ追加の分を作るとするかね。
ただ、売れるのはホットスナック系とドリンク類ばかりだけど…
488 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:01:59.33 ID:jia1d0zn0
初雪「あっ焼きトウモロコシ…」
白雪「ホントだ。おいしそう…」
ふふっ
店主「もう少し我慢してくれよ。今は昼時でお客さんの出入りが激しい時間帯だ。」
店主「1、2時間したら客の流れも緩くなると思う、そうしたら交代で休憩を回すから。」
4人「本当!?」
店主「ああ。さすがにボランティアとはいえ、働き詰めとはいかんだろうに。」
4人「やった!」
店主「じゃあ、かおるちゃん厨房入るからフォローよろしくね。」
深海「まっかせて!」グッ!
商品追加の為に作っていきますか。
489 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:02:38.44 ID:jia1d0zn0
吹雪「いらっしゃいませ~。」
深雪「いらっしゃ~い。」
白雪「おまたせしました。」
初雪「ん…どうぞ。」
深海「…慣れるの早いね君達。」
吹雪「そっそうですか?」
深海「うん。艦娘やめてうちに来たら?」
白雪「それはちょっと…」
深海「冗談だって。簡単には辞められないの知ってるし。」
吹雪「もぉ~。」
深海「あっお客さん。」
深雪「いらっしゃい。お客さん、なんにしやす?」
??「そんな八百屋みたいな接客しないの。」
白雪「ああっ!瑞鶴先輩!」
吹雪「翔鶴さんも!」
翔鶴「こんにちわ。」
490 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:03:17.65 ID:jia1d0zn0
瑞鶴「吹雪たちは街角やのお手伝いなんだ。」
吹雪「はいっ!」
白雪「お二人はお手伝いの方は?」
瑞鶴「一応、喫茶いかりやのお手伝いなんだけど。」
翔鶴「まだ混みそうもないからって、先に休憩をいただきました。」
初雪「いいなぁ~。」
深雪「なぁ。」
白雪「ちょっと二人とも。」
翔鶴「ところで、ご主人は?」
深雪「厨房だよ。呼びます?」
翔鶴「いえ、お邪魔するのも悪いから。」
瑞鶴「ええええ~呼ぼうよぉ~。せっかくお客としてきたのにぃ~。」
翔鶴「瑞鶴。」
瑞鶴「ちぇっ。」
491 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:04:25.15 ID:jia1d0zn0
翔鶴「でも顔を見せて置いて何も買わずっていうのも悪いから。」
瑞鶴「おっ何か買う?」
翔鶴「ええ。」
吹雪「ありがとうございます。」
深雪「なんにしやす?」
瑞鶴「アンタ、そのフレーズ気に入ってるの…?」
翔鶴「あら?これは…」
吹雪「どて煮っていうらしいです。」
白雪「名古屋飯の一つだって言ってました。」
瑞鶴「入ってるのは肉?」
初雪「…牛すじ。」
瑞鶴「へぇ~…名古屋飯ってこの辺じゃ食べるとこ無いし、試しに買っていかない?」
翔鶴「良いわよ。ただ、服は汚さないように。」
瑞鶴「翔鶴ねぇ…私そこまで子供じゃないよ?」
翔鶴「じゃあ、一つください。」
瑞鶴「翔鶴ねぇは?」
翔鶴「まだお腹減ってないから。瑞鶴のを少し貰うわ。」
深雪「お待ちどうさん!」
吹雪「これお釣りです。」
翔鶴「ありがとう。」
瑞鶴「じゃあ、頑張ってね。」
白雪「はいっ!」
初雪「ん…」
492 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:04:53.37 ID:jia1d0zn0
深海「あの人たちも艦娘?」
吹雪「はい。正規空母の先輩方です。」
深雪「瑞鶴先輩は正規空母の中でも一番とっつきやすいかな?」
吹雪「翔鶴さんはあの美貌ですから鎮守府内外でも人気上位なんですよ。」
深海「へぇ~。」
店主「今、翔鶴さんたちの声が聞こえたんだが…」ハイ、コレツイカ
深海「うん。どて煮買ってったよ?」モライマス
深海「知り合い?」
店主「いかりやの常連だからさ。俺も二人も。」
深海「ふぅ~ん。」
493 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:05:36.87 ID:jia1d0zn0
「お姉ちゃんバイバーイ。」
吹雪「バイバーイ。ありがとねぇ~。」
深雪「さっきより落ち着いてきたかな?」
初雪「落ち着いてきてる。だから!」
店主「オイオイ焦るなって。」
深海「で、どういう風に回す?」
店主「そうだなぁ…」
初雪と深雪が行きたがってるな…だったらこの2人を先に…
いや待て。
この二人を先に行かせて吹雪と白雪が残るのは良い。
だが、交代した後は初雪の深雪…
店主「先に白雪と初雪が行って来い。」
白雪「え?」
深雪「なっ!?」
初雪「白雪、行こう!」
白雪「うん。」
494 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:06:05.41 ID:jia1d0zn0
深雪「なんでだよおっちゃん!なんで白雪が先なんだ!?」
深海「むしろ無難な判断だよ。」
吹雪「うん。」
深雪「え?なんで他は納得してるんだ!?」
いや、そうしないと…ねぇ?
店主「だから焦るなって。1時間の休憩なんだ。すぐに交代出来るさ。」
深雪「う~。」
吹雪「もし疲れてるんだったら、厨房の椅子借りたら?」
深雪「いい。別に疲れてるわけじゃない。」
やっぱ出店を回りたいのか。
気持ちはわかるぞ深雪。
店主「出店は逃げないさ。ゆっくり待て。」
深雪「ん。」
495 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:06:40.71 ID:jia1d0zn0
1時間後
昼時が過ぎてゆったりしだしたとはいえ…
吹雪「ありがとうございました。」
深海「500円のお釣りです。」
深雪「いらっしゃいませ~。」
お客さんが途切れることはない。
うちでもここまで途切れずに来たのは初めての事じゃないか?
正直、これも艦娘効果なのかもしれない。
普段はこんな間近で見れることなんてないからな。
「見て見てあの子浴衣着てるよ。」
「あの子も艦娘だよね?かわいい!」
「写真良いですか?」
吹雪「え?わっ私でよければ…」
このやり取りも何回あったか。
俺は毎回のように見てるから感覚が鈍っているのかも。
496 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:07:14.28 ID:jia1d0zn0
まぁでも。大和辺りなら同じ感覚かもな…なんせ戦艦大和だ。
ミリタリーに詳しくない俺でもわかるぐらいの戦艦大和。
うさぎ屋の前を意識しながら通ったりもするが、見たことは未だにない。
最近俺は彼女の事をUMA扱いしだしているぐらいだ…
白雪「戻りました。」
初雪「ただいま。」
店主「おう、お帰り。」
吹雪「お帰り。どうだった?」
白雪「どこも賑やかだったよ。大成功じゃないかな?この企画。」
初雪「中でもうさぎ屋がすごく混んでた。」
なに?
497 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:08:00.75 ID:jia1d0zn0
深雪「なんでさ?」
白雪「あそこみたらし団子を売ってたんだけど、売り子が大和さんに武蔵さんだったんだよ。」
吹雪・深雪「あぁ…」
吹雪「なら仕方ないよね。大和さんは元々人気が高いけど、武蔵さんは元の戦艦が見つかったばっかだし。」
トントン
店主「ん?」
初雪「元気出して。」
初雪さんや。
それは一体何に対する慰めだ?
そうか…権蔵さん、お二人を借りれたんだ。
そういう情報は一切入ってこなかったからな。
ってことはあれか?今行けば…
…まぁ、店置いていけるはずもなしに…
ここは潔くあきらめよう。
498 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:08:28.50 ID:jia1d0zn0
店主「おう。今度は吹雪と深雪だな。行って来い。」
吹雪「はい。」
深雪「やったー!」
初雪「行ってきます。」
ガシッ
白雪「あなたは行ったばっかでしょ?」ニッコリ
深海「お仕事してね?」ニッコリ
初雪「…はい。」
やれやれ…
499 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:09:06.38 ID:jia1d0zn0
さらに1時間後
店主「ありがとうございます。」
深海「おやっさん。そろそろポテト切れそう。」
店主「ん?おう。」
そろそろ夕方に差し掛かるころ。
暗くなれば鎮守府の方でさらに催し物が増える予定みたいなので、お客さんの出入りも激しくなってくるだろう。
そういや…
店主「仮装の演習ってもう終わったのか?」
白雪「まだやってると思いますよ?」
店主「そうか。」
だからお客さんがまばらなのか。
しかし、どて煮売れないな。
ちょいちょいは売れてるけど…売り切れは難しいか?
やはり場所が名古屋じゃないっていうのは痛いか…
来年はもっと粘るべきだな。
店主「追加の分を作ってくるよ。」
深海「お願い。」
500 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:09:43.03 ID:jia1d0zn0
吹雪「ただいま戻りました。」
深海「おかえりぃ~…って!」
深雪「にへへ。」
深海「…また堪能してきたね。」
初雪「ヨーヨー釣りしてきたんだ。」
白雪「それに仮○ライダーのお面って…」
深雪「祭りってこういうのが定番だろ?」ニシシッ
白雪「まぁね。」
初雪「…で、吹雪は何でにやけてるの?」
吹雪「へっ!?」
吹雪「にやけてた…?」
初雪「うん。」
深雪「あー…会っちまったからな。先輩姉妹に。」
白雪・初雪「あー…」
深海「?」
501 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:10:09.86 ID:jia1d0zn0
吹雪「みんなしてそんな反応して…いいじゃん憧れなんだから!」プクーッ
深雪「でも面白かったぞ?ガッチガチに固まってて。」
吹雪「だって…」
深海「どゆこと?」
白雪「吹雪、戦艦の扶桑山城姉妹に憧れてるんです。」
深海「へぇ~…駆逐艦が戦艦に。」
吹雪「深海さんまで…いいじゃないですか!」モォー!
??「あらあら。何を騒いでるのかしら?」
吹雪「へ?」
502 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:10:38.10 ID:jia1d0zn0
深雪「足柄の姉(あね)さん!」
足柄「あんまりむくれてるとモテないわよ?」
??「それは貴様も一緒なのでは?足柄。」
足柄「ちょっ那智ったら。」
那智「何も嘘は言ってないだろ。前も合コンで…」
足柄「あー!あー!聞こえなぁーい!」
??「そんな子供みたいな真似をしないの。」
??「妙高姉さんの言う通りですよ。」
足柄「妙高姉さんに羽黒までぇ…」グスン
初雪「…四姉妹勢ぞろい。」
503 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:11:13.97 ID:jia1d0zn0
深海「流石は感謝祭…いろんな艦娘さんをみかけるな…」
白雪「あれ?演習終わったんですか?」
深雪「そうじゃん。姉さんたちどうだったんだ?」
那智「まぁ…」
足柄「あれは卑怯よね…」
吹雪「?」
妙高「相手は一航戦と二航戦の正規空母チームだったんだけど…ね。」
羽黒「まさか…」
足柄「そう…まさか…」
足柄「加賀さんが"くいだおれ太郎"のコスプレしてくるなんて…」
吹雪・深雪・白雪・初雪「…えぇ」
504 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:11:48.90 ID:jia1d0zn0
足柄「あんなの勝てるわけないじゃない!」
那智「くっ。」
深雪「たしかに…勝てない…」
吹雪「見たかったような…」
白雪「でも見たら失礼なような…」
初雪「…誇りはどこ行った。」
深海「私も正規空母の加賀って聞いた事あるからわかるけど…イメージと全然…」
足柄「そう!だからこのお遊び演習にまさか誇りを捨ててくるとは!」
吹雪「えっと…赤城さんとかはどうしてたんですか?」
妙高「いつもの格好よ…」
那智「しかも無表情…」
足柄「その中加賀さんだけがその格好…」
深雪(すっげぇシュール…)
505 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:12:50.84 ID:jia1d0zn0
羽黒「まさか正規空母が笑いで仕掛けてくるなんて…」
深雪「ウチの加賀さん、他の鎮守府に居る加賀さんと比べて変わってるって聞いてるけど…」
吹雪「罰ゲームで無理やりさせられたって信じたい。」
足柄「私たちもよ…」
妙高「しかも、爆撃じゃなくてただ泥を落としてくるだけだったし…」
足柄「私のドレスが台無しよ!いやがらせか!」ギャース!
吹雪たち「お疲れ様です…」
足柄「それはそうと、何売ってるの?」
吹雪「ちょっとしたホットスナックと。」
白雪「どて煮です。」
足柄「どて煮?」
那智「これは牛すじを赤みそか何かで煮込んだ料理か?」
深雪「ここの店主がさ名古屋出身で。名古屋じゃ普通に売ってるんだってさ。」
妙高「なら名古屋飯の分類なのね。」
那智「ならば八丁味噌か。」
506 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:13:23.61 ID:jia1d0zn0
羽黒「ちょっと味が濃そう…」
深海「見た目ほどじゃないですよ。お姉さんたちお酒飲みそうだし、肴にはピッタシですよ。」
那智「ほぉ、ちょうどいい。これを買って花火を見ようじゃないか。」
足柄「缶ビールとかも売ってるし。いいわね。」
妙高「羽黒はどうする?」
羽黒「私はお酒飲まないですし。そこのフランクフルトとフライドポテトで。」
足柄「ポテト…ないわよ?」
羽黒「え?」
深海「ああ、待っててください。今揚げてるので。」
深海「おやっさーーーん!!」
店主「どうした?」
足柄「っ!?!?」ドキューーーン!!
507 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:14:03.75 ID:jia1d0zn0
深海「ちょうどいいタイミングで持ってきてくれたね。」
店主「そうなのか?」
吹雪「羽黒さんも喜んでましたし。」
白雪「でも…」
吹雪「白雪?」
白雪「足柄さん、急に黙っちゃったし…それに歩くときフラフラだったから…大丈夫かな?」
深雪「ああ…あれは大丈夫。」
白雪「なんで?」
吹雪「そうだよ。さっき泥当てられたって言ってたし…風邪でも引いたかもしれないよ?」
何の話をしてるんだか知らんが、そんな急には風邪ひかないだろ?
508 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:14:30.98 ID:jia1d0zn0
深雪「いや、だって…」ミミカセ
吹雪「なに?」
白雪「?」
深雪「足柄の姉さんのタイプってさ…」
吹雪「あっ!」
深雪「だろ?」
白雪「そうだね…」
店主「?」
初雪「ドンピシャ。」
なんだ急に。
人の顔見だして。
深雪「よっ罪作りなおっちゃん!」ヒューヒュー
店主「はぁ?」
だからなんだってんだ…?
509 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:15:03.79 ID:jia1d0zn0
夜の9時。
感謝祭は何事もなく、無事花火まで終えた。
感謝祭が終了と同時に用意したものをすべて片付けた。
あとは閑散としたいつものストリート。
なんだか寂しさが残る。
深雪「ふぃ~、疲れたぁ。」
吹雪「ねぇ。」
白雪「でも楽しかったぁ~。」
初雪「うん。来年もやりたいかも。」
吹雪「でも、深雪と初雪の場合は祭りを楽しみたいだけだよね。」
深雪「それでもいいじゃないか!」
吹雪「まぁね。」
深雪「なんだそれ?」
510 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:15:31.71 ID:jia1d0zn0
深海「みんな、今日はごくろうさま。」
店主「今日はよく頑張ってくれた。ボランティアとはいえ、ありがとうな。」
吹雪「そんな、私たちの方こそお礼を言うべきですよ。」
白雪「そうです。こんな楽しいことに誘ってくれたんですから。」
初雪「ん…誘ってくれなかったらこんな経験できなかった。」
深雪「そうそう。また鎮守府で寂しく過ごしてたとこだぜ。」
そう言ってくれると本当に助かる。
店主「来年も頼むかもな。」
深雪「そん時は。」
4人「お世話になります。」
店主「こちらこそ。」
511 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:16:18.58 ID:jia1d0zn0
深海「っ!温め終わったかな?」
店主「よし。じゃあ、最後に夕飯にでもするか。」
吹雪「え?」
店主「お前たちも食ってくよな?」
深雪「もちろん!」
と言っても残りものだがな。
今回は初めての祭りでの出店だから勝手がわからずどんどん追加してしまった。
ゆえにこれだけ残ってしまった。
フライドポテトにフランクフルトと言ったホットスナックに、どて煮。
目玉と思って出したどて煮が結構残ってしまった。
これは時間に教訓として残しておくべきだな。
作り過ぎない、もうちょっと受けのいいものを出す。
来年チャンスがあるなら被りを気にせず"おでん"かな?
さて、このどて煮。このまま出してもいいが…ここは一工夫。
炊いたご飯の上に乗っけて"どて丼"。
深雪「うわっご飯の上にのってきたぞ。」
白雪「こんなアレンジもあるんですね。」
初雪「名古屋飯…侮れん。」
吹雪「それじゃ。」
いただきます。
512 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:16:48.84 ID:jia1d0zn0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
感謝祭への初出店。無事終わりました。
513 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/04(日) 02:17:15.81 ID:jia1d0zn0
ヒュルルルルル…
ドォーーーーン!!
ヒュルルルルル…
那智「どうした?大人しくして。」
足柄「…」
ドォーーーーン!!
足柄「那智…。」
ヒュルルルルル…
那智「…ん?」
足柄「私、次の"春"に向けて頑張るわ。」
ドォーーーーン!!
那智「は?」
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 17:41:50.13 ID:TYLlsCEEo
足柄さんが味噌カツを許せるかどうか
それが問題な気がする
537 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/05(月) 00:03:00.61 ID:RKiB4pcM0
~テラモト洋菓子店~
カランカランッ
店員「いらっしゃいませ。」
熊野「2名ですわ。」フフン
鈴谷「そんなドヤって入らなくても…」
店員「はい。いつもご利用ありがとうございます。」
店員「では、ご自由にお座りください。」
鈴谷「はぁ~い。」
鈴谷「んしょ…で、今日は何にする?」
熊野「いつもので。」
鈴谷「いつものね…それつまんなくない?」
熊野「そうですか?」
鈴谷「せっかくいっぱいあるんだからさ。もっとイッパイ色んなの食べようよ。おじさんも一生懸命作ってんだからさ。」
熊野「…それもそうですわね。」
鈴谷「そうだよ。いつもショートケーキって…悪くないよ?でも…ねぇ?」
熊野「なんですの?」
鈴谷「いや、なんも。」ニヤニヤ
熊野「悪意ある笑み…分かりましたそこまで言うのなら。」テッテッテッ
鈴谷(よし、これでようやく別のが食える。いつもショートケーキと交換って鈴谷的には損してる様にしか思えないし。)
鈴谷「おいしいんだけどね。」
538 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/05(月) 00:03:29.31 ID:RKiB4pcM0
熊野「ムムムッ!これもいいですわ。」
鈴谷「…」
熊野「ああ、このチーズケーキもそそられる!」
鈴谷「…」
熊野「ほっ!?洋ナシのタルト!…しかもラフランス!?いいですわね!」
鈴谷「…」
熊野「…チョコレートも…」
鈴谷「いや、どこまで悩んでんのさ!」
熊野「だってぇ…全部おいしそうなんですもの…」ウェェェ
鈴谷「そうかもしれないけどさ…ほら、お姉さん困ってるじゃん。」
店員「え?そんなことないですよ?」アセアセ
熊野「こうなるからいつもショートケーキに絞っていたのに…鈴谷が意地悪言うから…」グスン
鈴谷「そうだったの!?初耳だよ!?」
熊野「言ってませんもの!」
鈴谷「…うん。」
鈴谷「分かった分かった。ショートケーキにしよう!ね?」
熊野「…ダメですの」
鈴谷「へ?」
熊野「もう見てしまったからにはショートケーキには戻れませんの!」
鈴谷「えぇ…」
鈴谷(鈴谷…ひょっとして面倒くさいことしちゃった?)トホホ
539 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/05(月) 00:04:24.96 ID:RKiB4pcM0
寺本「なんだか騒がしいな。」
店員「実は…」カクカクシカジカ
寺本「…なるほど」シカクイムーブネ
寺本「だったら、今できたばっかりの試作品があるんだが…どうだい?」
熊野「え!」キラキラ
鈴谷「ナイス寺本さん!」
鈴谷「で、これは?」
寺本「レモンタルトだよ。」
熊野「レモンタルト…」
鈴谷「この上にのってるの…これオレンジじゃなくてレモン?」
寺本「そう。タルト生地にレモンクリームをたっぷりとのせて、その上からレモンのスライスをのせたんだ。」
寺本「ちなみにレモンは秋が旬。いまがピッタリなんだ。」
鈴谷「そうなの?知らなかった。」
熊野「上にのってるレモン、酸っぱくないんですか?」
寺本「大丈夫。レモンはハチミツ漬けにしてあるから甘くなってるよ。」
鈴谷「へぇ~」パクッ
鈴谷「うまい!甘いんだけどレモンの酸味がほのかに香って…これいいよ!」
熊野「がっつかないでください。もう少しお上品に…」モウ
鈴谷「ほぉら、熊野も早く!」
熊野「鈴谷ったら。」パクッ
熊野「っ!」
鈴谷「でしょ。」
熊野「…偶には迷ってみるもんですわね。」
寺本「だからってあの騒ぎは勘弁しておくれ。」タハハ
鈴谷「だよねぇ~。」
熊野「…」カァー…
鈴谷「おっ赤くなった。ショートケーキの上にのせたらおいしいかな?」
熊野「鈴谷っ!」
寺本「…」ヤレヤレ
540 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/05(月) 00:04:54.09 ID:RKiB4pcM0
カランカランッ
「Good afternoon!」
「お姉さまお静かに!」
「今日は何を食べようかな…榛名は?」
「比叡姉さまはお決まりで?」
寺本(おや?もっと騒がしくなるかな。)
寺本・店員「いらっしゃいませ。」
542 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/05(月) 00:06:42.90 ID:RKiB4pcM0
①:店舗名
②:業種
③:従業員(容姿や性格・その他)
④:常連の艦娘(常連:高い頻度で来る 準常連:低い頻度で来る常連)
⑤:看板メニュー
と言うような感じで分けていきます。
①街角や
②食堂
③ 店主
小さな食堂「街角や」を運営するご主人。生まれは名古屋、育ちはこっち。
性格は温厚でお人好しな面がある。
学生時代はヒョロッとした体格だったが、父親からこの街角屋を引き継ぎ一人で厨房を回すことになり体が引き締まり、かなり筋肉質な体つきに(ガチムチではない)。
たまに何かしらスポーツ歴があるのではと質問されるが、全くそんな経歴は無い。(けど観戦は好き)
ちなみに本名は「梅村 信二」。あんまり本名で呼ばれることはない(基本"街角や"とか"おっちゃん"とか)。歳は30後半である
深海 かおる
街角やで働くフリーターの女の子。
出生地や年齢は不明。知っているのは店主のみ?
苗字や名前から深海棲艦なのではと噂が立つことがあるが、一切の事は不明。
性格は基本サバサバしているが、仕事は真面目。
流行やファッションに敏感。そのためお金が貯まることがない。
吹雪たちにとってはアネキ的存在。
④ 常連:吹雪・白雪・初雪・深雪・北上・大井・隼鷹・飛鷹・龍驤・千代田・千歳
準常連:暁・響・雷・電・時雨・夕立(鳳翔・間宮は自分のお店が忙しいので顔を見せることがない。)
⑤名古屋飯系
543 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/05(月) 00:07:11.16 ID:RKiB4pcM0
①テラモト洋菓子店
②ケーキ等洋菓子販売
③ 寺本 和也
テラモト洋菓子店のオーナー。
俳優の「谷原 章介」に似ている笑顔の素敵なナイスミドル。
故におばさま方には大人気。
だが艦娘にはケーキと紅茶が大人気。
言いたいことはズバッという性格。そこも人気の理由。
寺本 摩耶
テラモト洋菓子店で働く女性。
実はオーナーの娘さん。彼氏募集中。
④ 常連:鈴谷・熊野・金剛・比叡・榛名・霧島
準常連:高翌雄・愛宕・摩耶・鳥海
⑤季節のフルーツを使ったタルト
544 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/05(月) 00:07:39.72 ID:RKiB4pcM0
①うさぎ屋
②団子・餅の製造販売
③渡部 権蔵
100年以上の歴史ある老舗団子屋の3代目ご主人。
御年70を超える街の相談役でもある。
長生きしている分、意見も古かったりするがそこに大きなヒントが隠されていたりするので、周りからの相談が絶えないという。
性格は温厚そのもの。人当たりが良く、誰にも格差無く対応できる。
歳もあってかそろそろ引退か?と噂されるが、本人にその意思なし。むしろ墓場に行くまでやり通す気でいる。
その間に4代目の育成にあたっている。
渡部 米
権蔵の妻でありよき理解者。
長年連れ添っているためか旦那の考えていることが丸わかり。
うさぎ屋では旦那のサポートをしている。(主に売り場。)
若い頃は美人で有名だった。
渡部 進
4代目。絶賛修行中。
④ 常連:大和・武蔵・赤城・加賀・長門・陸奥
準常連:鳳翔・間宮・扶桑・山城
⑤みたらし団子・豆大福
545 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/05(月) 00:08:14.66 ID:RKiB4pcM0
①喫茶いかりや
②喫茶店
③ 岡崎 次郎
喫茶いかりやのマスター。白髪交じりの初老。
男手一つでこの店を切り盛りしてきた。
奥さんは10年前に他界。
この店の名前は奥さんがつけたので思い入れがある。
性格は喫茶店のマスターらしく冷静。と見せかけて実は熱い性格。
ちょっとしたことで張り合いだす始末。
本人はそのことを気にはしてるがすでに諦め気味。
④ 常連:翔鶴・瑞鶴
準常連:??
⑤オリジナルブレンドコーヒー・パンケーキ
546 :
◆MyIMarvEFy8D :2015/10/05(月) 00:08:45.62 ID:RKiB4pcM0
①ベーカリーこむぎや
②パン製造販売
③ 柿本 英二
ベーカリーこむぎやのオーナー。
約5年間フランスで修業を積んだ苦労人。奥さんとはそこで知り合った。
とにかく気の利くいい人。たまにおまけをし過ぎて奥さんに怒鳴られるは日常茶飯事で、ある種この店の風景になりつつある。
奥さんの尻にひかれ気味だが「世界で一番愛してる」と豪語するほど仲は良い。
イネス・柿本
ベーカリーこむぎやのオーナー英二の奥さん。フランス人。金髪碧眼美人。
オーナーが修行していたお店の娘さん。オーナーの方が一目惚れし帰国する際にプロポーズ→ゴールイン。
性格は負けず嫌いで曲がったことが大嫌い。そしてお人好し過ぎるのもダメ。
なので、おまけしすぎる旦那に一喝する場面も。
でもこちらも「世界で一番愛してる」と豪語するほど仲は良い。
ちなみに駆逐艦の陽炎型3人とは意気が合うらしく(特に不知火)よく店先で話し込んだりしている。
④ 常連:陽炎・不知火・黒潮
準常連:扶桑・山城・時雨・夕立・比叡
⑤一日数量限定の特製カレーパン・本場仕込みのフランスパン
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/05(月) 20:54:47.82 ID:vAJnFkgso
うさぎ屋の常連面子の戦闘力が半端ねえ・・
567 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:25:37.87 ID:vjTIUOpZ0
海軍開催の"鎮守府ふれあい感謝祭"も無事に終え。
この通りもいつもの日常に戻っていた。
アレが成功かどうか俺にはわからないが。
来年あれば是非やりたいと思う。
疲れはしたが楽しかったからね。
ただ、このことが影響したかはわからないが、明けたこの平日は少し忙しい日が続いている。
見慣れたお客さんから、初めて見るお客さんまで様々だ。
深海「いらっしゃいませ。」
「3名なんだけど…」
深海「今奥の席お空けしますんで、少々お待ちください。」
かおるちゃんも感謝祭の日はあの4人に対してお姉さんぶってたけど、今じゃ頼れるお仕事モードだ。
568 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:26:08.32 ID:vjTIUOpZ0
深海「おやっさん。日替わりとカレーとかつ丼ね。」
店主「あいよ。」
感謝祭もいいけど俺はこっちのが合ってるのかもな。
深海「いらっしゃいませ。」
深海「ってあれ?」
店主「ん?」
どうした?かおるちゃん。
足柄「どうも。」オホホ
那智「すまない。邪魔をする。」
569 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:26:42.27 ID:vjTIUOpZ0
深海「えっと…感謝祭の時に来てくれたお姉さん方ですよね?」
店主「?」
深海「ほら、吹雪ちゃんの先輩艦娘。」
店主「ああ。」
そうだそうだ。そういえば来ていたな。
店主「いらっしゃいませ。」
足柄「ええ。来ちゃいました。」オホホ
那智「…」
深海「今片付けて空けますんで。」
那智「2人で切り盛りしてるのか。」
足柄「そうね。前来た時も2人じゃなかった?」
深海「どうぞ。」
足柄「できればカウンターが…」
那智「わがまま言うな。行くぞ。」
570 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:27:09.19 ID:vjTIUOpZ0
なんつうか。あの那智って人凄い厳しそうな方だな。
見るからに武人と言う言葉が似合いそうだ。
それに比べて足柄って人も、まさに大人と言う言葉が似合う女性だ。
暁ちゃんが目標にしてそうだ。
前に来た鳳翔さんや間宮さんとはまた違った魅力のある方たち。
総じて美人だし。
ああいう人を嫁にして墓前に立ったら婆ちゃんたちも喜ぶだろうか…
…俺は仕事中に何を寝ぼけたこと言ってるんだ。
深海「おやっさん。鼻の下伸びてるよ?」ジトー…
店主「それは無い。」
俺はそういう人間じゃない。
そう思いたい。
571 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:27:54.69 ID:vjTIUOpZ0
足柄「前来たとき何頼んだっけ?」
那智「貴様はどこ行ってもカツだろう。前もカツカレー食べてたじゃないか。」
足柄「ああ、そうそう。ここのカレースパイシーですごく私好みだったわね。…それにしようかしら?」
那智「たまには別のを食べたらどうだ?」
足柄「いやよ。戦闘にも恋にも勝ちたいんだから。」
那智「そう欲張るから…」
足柄「なに?」
那智「…何でもない。」ハァ…
足柄「じゃあ、アンタはどうすんの?」
那智「私は…表にあった日替わりにしようか。」
足柄「アンタだって前回と同じじゃない。」
那智「中身が違うからいいんだ。」
572 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:28:25.60 ID:vjTIUOpZ0
足柄「今日なんだった?」
那智「見てないのか…」
足柄「へ?」
那智「惚れた男の店ぐらいしっかり見ろよ…」
足柄「うっ…」
那智「ハンバーグだそうだ。目玉焼きが乗ってる書いていたな。」
足柄「へぇ~…かつ丼ある。」
那智「おい、少しカツから離れたらどうだ?」
足柄「えぇ~…」
那智「ゲン担ぎに捕らわれずに少しは自分の好きなままに選んでみろ。」
足柄「じゃあ…」
足柄「…」
足柄「…メニュー多っ!?」
那智「今頃気付いたのか?」
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/10(土) 01:28:44.96 ID:vJa6Y/Zmo
ほほぉ、 初見は好反応……
574 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:28:56.50 ID:vjTIUOpZ0
足柄「前回着た時メニューなんて見なかったし。」
那智「なっ適当だったのか!?」
足柄「カツカレーがないお店なんてお店じゃないわ!」
那智「良かったな置いてあって…」
足柄「もしかしたら恋のキューピッドになるかもね…」
那智「貴様…それでいいのか?」カツカレーダゾ?
575 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:29:35.62 ID:vjTIUOpZ0
店主「…」
声が大きいから会話が聞こえてくる。
何の話してんだろうか?
恋のキューピッド?でもその前はカツカレーって言ってたし…
とりあえず、誰かと恋してるんだろうか?
まぁ、美人さんだし。食いつく男はごまんといるだろう。
店主「はい日替わりのハンバーグあがったよ。」
深海「あいよ~。」
576 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:30:20.81 ID:vjTIUOpZ0
足柄「早く決めなきゃ!」
那智「そうだぞ。」
足柄「カツ以外カツ以外。」
那智「決め方が間違ってないか?それじゃあ決まらないぞ。」
足柄「カツ以外なんてウチの食堂以外で食べたことないのよ!」
那智「そうだったな。貴様の外食は100%カツだったからな。」
足柄「今思えばありえないわ…」
那智「ならあの秋のオリジナルメニューっていうのはどうだ?」
足柄「…どれ?」
那智「あの赤い色紙でおすすめとある奴だ。」
足柄「豚肉とエリンギのチーズホイル焼き?」
那智「カツではないが豚肉は使っているし、何よりも秋らしい洒落たものじゃないか?」
足柄「そうね。」
577 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:30:53.73 ID:vjTIUOpZ0
那智「なら決まりだな。すまない、注文をお願いできるか?」
深海「はーい!お決まりで?」
那智「私は日替わりランチで。」
足柄「私はあの秋のおすすめ"豚肉とエリンギのチーズホイル焼き"で。」
深海「パンかライスお付けできますが?」
那智「パンも付けれるのか?」
深海「ええ。残ったチーズとソースをパンにつけて食べたらおいしいんですよ?」
足柄「…パンで。」
深海「はい。ではお待ちください。」
578 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:31:26.10 ID:vjTIUOpZ0
深海「おやっさん。日替わりとチーズホイル。」
店主「あいよ!」
日替わりとチーズホイルか。
チーズホイル焼きに関しては最近売り始めたばかりで、俺にとっては初のオリジナルメニューだ。
爺ちゃんや親父もちょいちょい出してはいたが、俺の代になってからはこれが初めてだ。
まずは日替わりのハンバーグからだ。
最近では業務用のスーパーとかで冷凍になったハンバーグをチラチラと見かける。
一種類ではなく数多くのメニューがラインナップされていて、意外と目を引いてしまう。
それだけ日本人にとっては「ハンバーグ=ご馳走」なのかもしれない。
うちでもハンバーグは常時置いている。
やっぱ冷凍も悪くないが手作りが一番だろう。
今日出しているのは俺の手作りだ。
579 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:31:56.94 ID:vjTIUOpZ0
レシピは昔から変わらない豚肉と牛肉5:5の割合。
その方がジューシーで歯ごたえのあるハンバーグが出来る。
この間行った店で100%ビーフのハンバーグを出していたけど、俺の口には合わなかった。
あれだったら寧ろステーキを頼んだ方が良かったのかもしれない。
逆に豚肉100%だと物足りないだろう。
だから俺は5:5のハンバーグが好きなのかもしれない。
昔からこのハンバーグを食べていたからかもしれないが。
ソースはデミグラス。そして目玉焼きをのせて、付け合わせは皮付きフライドポテトに茹でたニンジンとコーンだ。
いつもランチには小鉢を付けるが、今回は付け合わせがあるので無し。
それに味噌汁とライスを付けて完成だ。
580 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:32:38.25 ID:vjTIUOpZ0
で、お次は俺の初オリジナルの"豚肉とエリンギのチーズホイル焼き"だ。
ホイル焼きと聞くとなぜか鮭を思い出してしまう。
もっと好きな人はハンバーグだろう。某人気ファミリーレストランがおすすめに置いてるほどだから。
ホイル焼きは一見難しそうに見えて、実は簡単な料理だ。
アルミホイルの中に具材とソースを入れてフライパンの上にのせて蒸し焼きにする。
具材は基本何でもいいが、キノコなど水分を含んだ具材を入れると、そこから水が出てうまい具合に蒸し焼きにできるだろう。
さて、今回は豚肉にエリンギと言う組み合わせ。
先ほども言ったがきのこ類は水分を含んでいるので蒸し焼きにするにはもってこい。
さらに旬と来たもんだ。
581 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:33:18.53 ID:vjTIUOpZ0
そしてもっと言うとエリンギは元々、イタリアやフランスと言った地中海周辺のキノコ。
それを初めて日本で人工的に栽培を行ったのが愛知県にある愛知林業センターなのである。
先に言っておくがこれは飽くまで豆知識の話であり、愛知だから使っているとかそういう事情は一切ない。
偶然偶然。
で、そのエリンギと豚肉…今回はロース肉を使用する。
ロース肉はあらかじめ火を通しておく。短時間で蒸すにはそうしないと…生って訳にもいかないからね。
それをアルミホイルに乗せてトマトソースをかけて、上からチーズをこんもり乗せ少しそれっぽくバジルをかけてみる。
そして、アルミホイルを包みフライパンで蒸し焼きに。
もしかしたらウチで出してる商品で一番楽かもしれない…
できたらアルミホイルはそのままに皿に盛り付ける。
誰かが言ってたな。お客さん自身が開けるのも演出の一つだって。
で付け合わせにさっきのハンバーグと一緒の皮付きポテトとかのせれば完成。
あとはセットのパン…商店街で唯一のパン屋さん「ベーカリーこむぎや」のバケットをオーブンで焼き。
店主「あがったよ。」
深海「はーい。」
582 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:34:00.44 ID:vjTIUOpZ0
深海「お待たせしました。日替わりランチです。」
那智「うむ。」
深海「こっちがホイル焼きです。こっちはセットのバケットです。」
足柄「はーい。」
深海「ではごゆっくり。」
那智「前も来たときに思ったが、なかなかどうして。」
足柄「ホイル焼きは…うわっ!チーズトロトロ!」
那智「そちらもいい塩梅だな。チーズがそそられる。」
足柄「バジルの香りかしら?まさに洋風のホイル焼きね。」
那智「ホイル焼きは元々"洋"ではないのか?」
足柄「和風の食材が多いから"和"じゃないの?」
那智「ハンバーグのを見たことあるが?」
足柄「…細かいこと気にしちゃだめじゃない?冷めちゃうわよ。」
那智「それもそうだ。いただきます。」
足柄「いただきます。」
583 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:34:41.81 ID:vjTIUOpZ0
那智「うむっ!このデミグラスもいいが、ハンバーグのジューシー加減も格別だな。」
足柄「豪快に食べるわね。」
那智「女々しい食い方は私には合わんだろ?」
足柄「女々しいって…」
那智「そっちはどうなんだ?」
足柄「おいしいわよ。チーズがうまい具合にソースと具に絡んでいい感じにマッチしてるわ。」
足柄「それに、このセットのバケットにのせてもおいしい。良い組み合わせよ。」
那智「酒の肴にも行けそうだな。」
足柄「ワイン辺りいけるんじゃない?そういえば隼鷹達が来てるって言ってたわね。」
那智「ほう。」
足柄「今度は夜来てみる?」
那智「隼鷹達に混ざってみるか…偶には空母組とっていうのも悪くないな。」
足柄「でしょ!来ましょう来ましょう!」
那智「…貴様は別目的だろ?」
足柄「一部は一緒なんだからいいじゃない!」
那智「やれやれ、困った妹だ。」
足柄「…今日付いて来てくれたことは感謝するわ。」
那智「次回からは一人でこれそうか?」
足柄「何とか。」
那智「ふふっ。」
584 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:35:13.63 ID:vjTIUOpZ0
なんだか喜んでもらってるみたいだ。よかった。
ガララッ
店主「いらっしゃい!」
??「ういーっす…って、珍しいお客さんがいるね。」
足柄「?」
那智「ああ、北上か。」
北上「どうも。」
那智「私服だな。」
北上「今日はお休み。」
足柄「大井ちゃんは?」
北上「また遠征。あっそうそう、吹雪たちも一緒だよ。」
店主「そうなのか?」
アイツらも仕事が増えてきたな。
585 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:35:53.08 ID:vjTIUOpZ0
足柄「あなたもよくここに?」
北上「うん。大井っちとも来るけどね。」
那智「常連か。」
北上「お姉さん。カウンターいい?一個空いてるけど。」
深海「どうぞ。」
足柄「あぁ…」
那智「諦めろ。冷めるぞ。」
足柄「うぅ…」
586 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:37:00.40 ID:vjTIUOpZ0
北上「おじさん。今日のおすすめは何?」
店主「一応日替わりはハンバーグだけど…」
北上「昨日のお昼がそれだった。もっと別のは?」
店主「別の?」
難しい質問だな。
今日は秋刀魚入ってないし…
足柄「だったらこれにしたら?」
北上「何それ?」
足柄「あれ。」ユビサシ
北上「…豚肉とエリンギのチーズホイル焼き?」
北上「…おじさん?」
店主「ああ、この間始めたおすすめメニューだ。試してみるかい?」
北上「新メニューってやつだね。いいねぇ~しびれるねぇ~。じゃ、それ一つ。」
店主「セットでパン付けれるけど?」
北上「お願い。」
店主「あいよ。」
足柄「…」
那智「どうした?」
足柄「私…ここの常連になるわ!」
那智「…ほう。」
足柄「まずは地を固める!そして…」
那智「間違っても艤装は出すなよ?」
足柄「出さないわよ!」
587 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:37:28.48 ID:vjTIUOpZ0
北上「…」フゥーン…
店主「どうした?」
北上「いや、モテる大人はつらいなぁ…と思って。」ニシシ
店主「なんだお前さん、モテてるのか?」オトナ?
北上「私じゃ…私は大井っちにモテてるよ。」ヘヘヘ
店主「ああ、なるほど。確かにつらいな。」
北上「それ大井っちに言ったらどうなるか?」
店主「っ!?いや、そういう意味で言ったんじゃないぞ?!」
北上「知ってるからあえて言う。」ニシシ
店主「意地悪な軽巡だな。お前さんは。」ヤレヤレ
北上「それはお互い様だよ。」
北上「先はまだ長そうだよ?先・輩♪」フフン
588 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:38:18.66 ID:vjTIUOpZ0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
旬な食材取り揃えております。
589 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/10(土) 01:38:52.54 ID:vjTIUOpZ0
店主「ありがとうございます。じゃあ、気を付けてな。」
北上「うん。…あっそうそう。」
店主「ん?」
北上「餓えた狼には気をつけなよ?」
北上「じゃあね♪」ニシシ
店主「…」
店主「…はぁ?」
狼って…何言ってんだアイツ?
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/10(土) 05:40:31.67 ID:MshA9kon0
お嫁に行かせたい艦娘No.1の足柄さんを応援したい
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/11(日) 14:58:25.23 ID:oQQajRAhO
サンマとかいう飯テロにおける破壊力トップレベルの品はやめろよ?絶対にやめろよ!?
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/11(日) 16:03:16.29 ID:PfNa9tEq0
ここのスレに触発されて、昨日の晩飯はあんかけスパにしてみた!
ちょっと辛かったけど普通にうまかった!名古屋行く機会あったら、是非本場の味を食べてみたい!
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/14(水) 12:32:12.83 ID:dww6zpdfO
いきなりだけどカレーと味噌汁って合うんだな、美味いわ(昼食
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/14(水) 17:18:36.72 ID:3fjOgNJdo
自宅近くの大衆食堂もカレーに味噌汁つけてくるなあ。
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