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【艦これ】吹雪「鎮守府近くの食堂へ」 1

2017/07/31 19:00 | CM(0) | 艦隊これくしょん SS
1 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:07:24.14 ID:T8oWrxEs0


客「ごちそうさん。」

店主「ありがとうございました!」


ここは街のはずれにある食堂「街角や」

この町では人通りの多いストリートに面した食堂だ。

食堂と言っても大衆食堂のようにでかいわけでもない。

店主である俺と、フリーターの女の子のふたりで何とか切り盛りできるような大きさ。

それこそ、こじんまりといった表現が似合う店構えだ。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440526043




2 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:08:06.25 ID:T8oWrxEs0

前の店主である俺の親父が、歳を理由に引退。

別にどこかに就職をするわけでもなく、ただ親父を手伝っていた俺は、そのまま引き継いだって形になった。

当の本人は、実家のある名古屋で隠居暮らし中だが…

こういう言い方はしているが、別段嫌ってわけではなかった。

引き継ぐ頃には常連のお客とは溜口交じりで会話するほどだったし、まともな職に就いていなかった俺にとっては朗報でしかなかったからだ。

ただ、引き継ぐ時に一番の問題もあった。




3 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:08:40.61 ID:T8oWrxEs0

それはメニューの数だ。

この店の壁には四方を囲むほどのメニューが貼りめぐらされている。

数は数えたことはないが、親父の話では200種類以上。

この店の初代店主である、俺の爺ちゃんが客の我が儘を聞いてきた結果だと親父は言っていた。

だが、俺は知っている。

ここまで増えたのは最終的には親父の所為だということを。

親父がこの店を引き継いだ時に、客の要望ではなく、自分でやりたいメニューを次々に増やしていった。

勿論売れない商品もあったらしいが、そういうのはすぐにメニューから消し、また新しいのを研究して追加する。

結果がこれだ。




4 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:11:09.43 ID:T8oWrxEs0

爺ちゃんの世代から倍以上に増やしやがって…

中には裏メニューとして確立したのまである始末だ。

おかげで、引き継いだ当初は…

客「おい兄ちゃん、シャハンメンな。」

店主「へ?」

壁を見渡してもそんなメニューはない。

急いでマニュアル(今までの商品の履歴&作り方)を引っ張り出して探し、なんとか作り上げて出した。

どうも以前には出していたらしいが、いつの間にか消えて裏メニューと化していたらしい。

それぐらいは伝えてほしかった…とあの時は親父に喝の電話を入れてやろうかと思ったぐらいだ。




5 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:11:49.37 ID:T8oWrxEs0

今ではそんなこともなく、だいたいの常連さんのメニュー(裏メニュー)も覚えた。

客「ごっそさん。」

店主「ありがとうございます。」

そんな、この店には様々な客が来る。

近くのオフィスに通うサラリーマンや、工場勤務のおっちゃん。

近くで工事があれば、その関係者。

老若男女問わず色々な客層が来る。

まぁ、これだけのメニューがあれば、何が喰いたいと決まってなくても、間違いないと思うらしい。

実際、食べたいものを決ってないまま来店して、30分以上も粘った客もいるぐらいだ。




6 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:12:16.56 ID:T8oWrxEs0

これだけメニューがあって、味は大丈夫なのかって?

勿論!うちの自慢はメニューの多さだけでなく味にだって自信はあるぜ。

一応それなりの雑誌と、TVの取材だって受けたことがある。

と言っても最近はさっぱりだけど。

さて、時間はそろそろ15時を回ろうというところ…

店主「お疲れさん、休憩行っておいで。」

バイト「はぁーい。」

店主「17時には戻っておいで。」

バイト「了解です!」ビシッ




7 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:12:47.21 ID:T8oWrxEs0

あの子が頑張ってくれるおかげで、この店は大助かりだ。

さて、ここからランチタイムが過ぎて暇な時間になる。

俗にいうアイドルタイムだ。

まぁ、普通ならここでいったん店を閉じて、夕方から仕切り直しと行きたいんだが…

そうも行かない。

何故かって?

それは…



ガラガラガラッ!



??「こんにちわ~!」



来た来た。




8 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:13:15.88 ID:T8oWrxEs0


??「あっちぃ~」

??「暑い…溶ける…」

??「溶けるって…流石にそれはオーバーじゃない?」

??「だって名前に"雪"ってついてるし…」

??「いや、そうだけど…」

店主「いらっしゃい。4人とも。」



それは、この4人の常連さんの為の様なものだからね。






9 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:13:42.85 ID:T8oWrxEs0

店主「ほれ、お水。」

??「サンキュー、おっちゃん!ングッングッ…プハーッ!おかわり!」

??「こら"深雪"、行儀悪いよ。」

深雪「良いんだって!せっかくくれたものは粗末には出来ねぇぜ?本当に"吹雪"は細かいなぁ…」

吹雪「こっ細か…"白雪"ちゃん!そんなことないよね!?」

白雪「細かいかどうかはともかく、もうちょっと女の子らしくしない?」

深雪「えぇ~、女の子らしくって言ってもさぁ~…じゃあ、その"初雪"はどうなんだよ?」

初雪「…暑い。」グデー…

白雪「ちょっと初雪!?本当に溶けそうな感じでダラけないの!!」






10 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:14:11.47 ID:T8oWrxEs0

この4人、『吹雪、白雪、初雪、深雪』はこの時間帯の、必ずと言っていいほどの常連さんだ。


ただ、この4人少し変わったお客さんで…


店主「なんだい、お前さんたち。やけにバテてるな?」

深雪「そりゃあバテもしますって。」

白雪「この炎天下の中だもんね。」

店主「ああ、今日は最高37度だっけか?」

吹雪「そうなんですぅ。お水のおかわり良いですか?」カランッ

店主「おう。」

初雪「…地獄。…こっちも。」グデー…

店主「あいよ。この暑さで出ずっぱりなら地獄で違いないな。」

吹雪「まぁ、確かに。」

深雪「流石にこの中で訓練はキツイぜ…」

吹雪「まぁ、それが私たちの仕事だし。」

深雪「"艦娘"もツラいぜ!」





11 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:14:50.03 ID:T8oWrxEs0

そう、この娘たちは店の面しているストリートの先にある海軍の施設、『鎮守府』からやってくる『艦娘』なのだ。

理屈はよくわからないが、昔の軍艦の記憶を持っていて、最近色んなところに出没している『深海棲艦』という謎の生物?と日々戦っているとか。

あんまりミリタリーに詳しくない俺には何のことかさっぱりだが、朝のニュースや朝刊を見る限りじゃ、あんまりいい状況ではないらしい。

ただ…


深雪「それにしても、神通先輩もおかしいよな!こんなに暑いのにもう一度最初から訓練しなおしとかよ。」

初雪「まさに地獄の鬼…」グデー…

吹雪「深雪、初雪!ちょっとそれ以上はまずいよ!」

白雪「そうだよ、それ以上言って神通先輩の耳にでも入ったら…」

吹雪「特別メニュー増やされるかもよ?」



深雪・初雪「それはヤダ!!」



吹雪「でしょ?」

白雪「初雪が生き返った。」

初雪「今のでもう無理…」ダラー…

白雪「ちょっ!初雪!?」




戦ってるって割には緊張感のない会話だな…





12 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:15:19.18 ID:T8oWrxEs0

今ではこの4人が常連としてきてるわけだが、昔はもっと違った艦娘も来ていたとか。

あんまり記憶がない。なんせ継いでから5年ぐらいしか経ってないし、店の手伝いだって当時やってたバイトの休みの時ぐらいしかやってなかったし。


さて、この店についてもう少し語っておくことがある。

それはウチのメニューには甘味系があるということ。

なんだそんな事?と思うかもしれないが、ウチの甘味系のメニューだけでも20品以上はあるということだ。

理由は簡単。

親父が大の甘い物好きだってことだ。

だから、アイスクリームやあんみつだけではなく。

パフェや団子と言った食堂にしては珍しいものまで置いてある。

で、なぜこのタイミングで語ったかというとだ。

基本それらの甘味は、この4人乃至、鎮守府から来た他の艦娘たちによく好まれるからだ。






13 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:15:55.11 ID:T8oWrxEs0


深雪「それより早く頼もうぜ。体が冷たいものを欲してるよ。」グデー…

吹雪「そうだね。」

深雪「ってわけで、おっちゃん!深雪さまは"クリームぜんざい"をご所望だよ!」

深雪「勿論バニラでね!」

吹雪「じゃあ、私は抹茶の方で一つ。」


『クリームぜんざい』、簡単に言えば餡子の上にソフトクリームを置いただけの簡単な甘味だ。

俺の親父が名古屋出身で、小さい頃名古屋に行くと、よくとあるラーメンチェーンに立ち寄った。

ラーメンはもちろんだが、デザートにとよく注文したもんだ。

正直これはそのパク…もとい、参考にした商品だ。

参考にした証拠に、うちではバニラのほかに、抹茶・バニラと抹茶のミックスの3種類から選べ、あとは白玉を4つほど添えて出している。

な、飽くまで参考だろ?

深雪「でもパクリだろ?」

店主「断じて違う。」






14 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:16:27.65 ID:T8oWrxEs0

白雪「じゃあ、私はいつものシャーベットで。」

吹雪「こう暑いとシャーベットもいいね。」

白雪「でしょ。」

店主「味はいつもの?」

白雪「はい。イチゴでお願いします。」

深雪「たまには別の頼んだら?」

白雪「いいの。イチゴが好きなんだから。」


一応、他にもグレープやマンゴー、メロンなんて言うのも取り揃えている。

どれも脂っこいものを食べた後にサッパリ出来るようなモノだ。





15 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:17:08.65 ID:T8oWrxEs0


初雪「…」ムゥ

白雪「初雪は?」

初雪「…」



初雪「…草団子。」


草団子と…



ん?



店主「あんなに暑いってダラけていたから、冷たいものかと思ったが…やけに渋いのを選んだな?」

初雪「今月お小遣いがピンチ…」

おや、何ともこの子の世代ではありがちな理由だな。

でもピンチったって、確かに草団子は百円台で出せる品だが、クリームぜんざいもシャーベットも二百円台で、あんまり変わらないと思うが…

初雪「お小遣いくれる日まで、この店に通うにはこうするしかない。」

店主「節約?」

初雪「うん。」



16 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:18:03.44 ID:T8oWrxEs0

白雪「また無駄遣いでもしたんでしょ?」

初雪「無駄ではない。」

店主「何買ったんだ?」

初雪「プラモ。」フンス

深雪「お前がか!?」

吹雪「初雪、作れたっけ?」

初雪「んーん、作れない。」

深雪「なのに買ったのかよ…いったい何買ったんだよ?」

初雪「私のプラモ。」

深雪「は?」

初雪「だから、私のプラモ。」

店主「自分のプラモってことか?」

店主「艦娘のプラモってあんのか?」

吹雪「いいえ、聞いたことも見たこともないです。」




17 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:18:44.80 ID:T8oWrxEs0

白雪「ひょっとして、駆逐艦 初雪のプラモってこと?」

初雪「うん。まさかあるとは思わなかった。」

店主「?」

吹雪「えーっと、たぶん"軍艦"のプラモデルです。」

店主「ああ。」

深雪「なるほどね。」

吹雪「でも作れないのに買っちゃあ…」

初雪「天龍先輩に渡した。」フンス

吹雪「天龍先輩に?」

白雪「なるほど…」

深雪「あの人、尖ってる割には面倒見良いからなぁ…」

初雪「というわけで草団子。」

店主「あいよ。じゃあ待ってな。」




18 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:19:14.92 ID:T8oWrxEs0

なるほど、自分のプラモを見つけて、テンション上がって、そのままお買い上げなのね。

まぁ、わからなくもないな。

俺も昔、この店が雑誌の取材を受けた時は同じ感覚で本屋に向かったもんな。

しかし、草団子とは渋いチョイス。

だが、お目が高い。

ここで出している団子は、いつも贔屓にしている団子屋の爺さんから仕入れている品だ。

その団子屋の団子は味もいいし値段も安いことから、年配の方がこぞって買いに行くほどのモノ。

不味いわけがない。

じゃあなんでウチで出してるかって?

まぁ、そこの爺さんがウチの爺さんと仲が良くて、昔やっていた定食のデザートにそこの団子を出していたんだ。

今はもうやってないが、仕入れているのはその名残。

正直、昔馴染みってのがあるから断りづらいってのもある。

まぁ、うまいからいいんだけど。




19 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:19:48.52 ID:T8oWrxEs0

店主「はい、クリームぜんざい、抹茶のクリームぜんざい。」

深雪「おっ来た来た。」

吹雪「やった。」

店主「あとイチゴのシャーベット。」

白雪「ありがとうございます。」

店主「で、草団子。」

初雪「ん。」

コトッ

初雪「ん?」

白雪「あれ?冷たい…緑茶?」

初雪「これ、頼んでない。」

店主「いいよ、今日はサービスだ。皆冷たいの頼んでいるのに一人だけ違うのっていうのもね。」

吹雪「よかったね、初雪。」

初雪「…ん、ありがと。」




20 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:20:31.81 ID:T8oWrxEs0

この緑茶、いつもは有料だけど。まぁ、たまにはね。

緑茶が有料?なんて思うかもしれないが、実際お金を取る店もある。

そういう所はだいたい茶葉に自信がある店だ。

ってことはウチも自信があるってこと。

この茶葉は、ウチの爺さんの知り合いであるお婆さんが営んでいるお茶屋さんのモノだ。

流石に最高級のモノとはいかないが、そこそこ上質のいいものを使っているから


初雪「っ!このお茶おいしい!」


な?

今は婆さんが亡くなって娘さんがやっているけど、腕は鈍ってないらしいな。

深雪「くぅ~この冷たさ、生き返るぜ!」

吹雪「おいひぃ~!」

白雪「はぁ~♪」

初雪「…」モグモグ

店主「そういやお前さんら、『間宮』ってとこにはいかなくなったのか?」

吹雪「ふぇ?いや、そういうわけではないんですけど…」

深雪「相変わらず混んでるしね。」





21 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:21:00.71 ID:T8oWrxEs0


『間宮』というのは鎮守府内で営業している甘味処の名前…らしい。

らしいというのは実際行ったことがないので未確認も込めてだ。

なんでも店の名前になっている間宮と伊良湖の2人の艦娘で切り盛りしているらしく、店自体も小さいので、すぐ混雑してしまうそうだ。

初めこの4人もそういった理由でこの店にたどり着いた口だ。

と言っても、話を聞く限りじゃウチだけではないらしい。

通りを挟んで向かい側にあるケーキ屋さんにもあふれた艦娘が立ち寄っていたり、先ほど話した団子屋にも出没するという。

偶には行く時もあるらしいが、やっぱり慣れたところが一番らしい。

鎮守府内にある店より行き慣れたってどういうことだ?

まぁ、俺としては嬉しいけど。

勿論、売上げ的に。やましい気持ちなんてありませんよ。





22 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:21:28.61 ID:T8oWrxEs0


白雪「それに今は少し行きづらいというか…」

店主「なんでさ?」

初雪「ピリピリしてるから。」

店主「なんだ?お前ら、何かしでかしたのか?」

吹雪「いやいや、ピリピリしてるのは間宮さんたちではなくて…」

初雪「艦娘の方。」

店主「?」

深雪「大規模作戦がそろそろ近いからね。」

吹雪「ちょっ!?深雪!」ギョッ

深雪「あっ!?」

4人「…」ジーッ

店主「!」





23 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:21:55.09 ID:T8oWrxEs0

見つめられても…

いわゆるトップシークレットだった訳か。

深雪らしいミスだな。

かくいう俺も無意識とはいえ、誘導したみたいなもんだしな。


店主「大丈夫だ。なんも聞いてない。」


ホッ

まさにそんな声が聞こえそうなほどの安堵の表情。

店主「それに俺はそこまで"そういう事"に詳しくないからな。聞いたところで、なんのこっちゃ?って感じだな。」

深雪「だと思ったぜ。」

店主「おい…」


小生意気な口ききやがって…





24 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:22:58.69 ID:T8oWrxEs0

吹雪「もぉー…本当に深雪は口が軽いんだからぁ…」

深雪「へへ、悪い悪い。次は大丈夫。」

吹雪「本当?」


しかし、大規模作戦か…やっぱりこの子達も立派な艦娘なんだな。

ここではこうやって笑ってるけど…


店主「なぁ。」

吹雪「はい?」

店主「その作戦にはお前さんらも出るのか?」

吹雪「えっと…」

店主「あー…無理はしなくていいぞ。ただ、常連さんが行くとなるとこっちも覚悟は必要だからな。」

白雪「それぐらいなら良いんじゃない?」

吹雪「そう…かな?」

初雪「私たちは選ばれてない。」

店主「そうなのか?」

初雪「うん。」

深雪「参加したかったけど、練度がなぁ…」

店主「そうか…」




25 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:23:26.36 ID:T8oWrxEs0


大規模と付くぐらいだから、大そうな作戦なんだろう…

この4人は少し残念といった感じだが、それとは逆に安心している自分が居る。

常連となった以上は情が移るってもんだからな…



店主「やっぱ参加したいのか?」

深雪「まぁ…ね。」

吹雪「深雪は太平洋戦争を経験することなく沈んじゃったから。」

店主「へ?そうなの?」

深雪「そうそう、だから参加したいか?って聞かれると、やっぱ参加したいよね。」

店主「お前さんらも?」

吹雪「はい、それに私たちまだ実践そのものの経験がないんです。」

白雪「遠征自体もなくて…」

初雪「ん。」ズズー

店主「あらら…」





26 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:24:01.68 ID:T8oWrxEs0


そら選ばれんはな…

でも、やっぱ出たいもんなのか。

そりゃ、なりは少女の格好してても中身は軍艦みたいなもんなんだろうし。

戦場に出て何ぼなんだろうか。

ただ、こっちから見てればただの女の子…こうやってワイワイしてるのが一番なんじゃないか?と思うけど…



店主「まぁ、いつかは行けるようになるだろ。」

吹雪「はい、そのために猛特訓です!」

吹雪「練度を上げて、まずは初遠征です!」

深雪・初雪「えー、まじでー」

白雪「神通先輩が聞いたらどう思うだろうね。」

深雪・初雪「おっす!気合い入れて頑張ります!」

吹雪「うふふ。」

白雪「よろしい♪」





27 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:25:03.44 ID:T8oWrxEs0


店主「…」

4人は頼んだ甘味を綺麗に平らげ帰って行った。

日が暮れ始め、外からは夕日がさしている。

そんな夕日が照らす店の入口を見つめ、ふと思う。

アイツらが練度というものを上げ、その大規模作戦に参加できる日が来てしまい。

もし、そのままこの店に来なくなってしまったら…

彼女たちもあれで軍人だ。いつかは来てしまうかもしれない未来…





28 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:25:49.52 ID:T8oWrxEs0

バイト「休憩上がりましたー。」

バイト「って何黄昏てるんですか?」

店主「なぁに、人間たまには黄昏もするさ。」

バイト「なにそれ?」

店主「大人になれば分かる。」

バイト「あの、私も一応大人なんですけど…」

店主「歳を食えばわかる。」

バイト「はぁ、左様ですか。」


でも、もしその時が来て無事に帰ってきたら…この店貸し切って盛大に祝ってやるか。

まぁ、その時が来れば…だが。


店主「さ、夜の準備だ。」

バイト「アイアイサー。」

店主「なんだ?やけに機嫌良いな?」

店主「なんかあったか?」

バイト「実はですねー♪」ニッコニコ




夜は近所の親父どもが酔いに来るから、大変だ。






29 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/26(水) 03:26:19.51 ID:T8oWrxEs0



ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

艦娘さんたちのご来店も大歓迎。








30 ◆MyIMarvEFy8D :2015/08/26(水) 03:27:22.69 ID:T8oWrxEs0
今日はここまで。

戦闘シーンは一切なしの方向で。



50 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:12:28.97 ID:lKeNFmHq0


今日も15時を越えた所でいつものお嬢さん方が来店。

なのはいいが…

深雪「…いたた」スリスリ

深雪の奴がいつも頼むクリームぜんざいを頬張りながら、必要以上に自分の頭をスリスリと撫でてやがる。

しかも思いのほか元気がない。

…何かあるな?

店主「なんだお前さん、ソフトクリームで頭痛めるようになったのか?」

深雪「違うよ!」

店主「じゃあ、どうした?」

深雪「…ぶつかった。」

店主「なに?」

深雪「演習中にぶつかった!」

店主「ほぉ…」

なんだ…と思ったらさすがに失礼か。

でも、正直ぶつかって頭を打ったなら普通の事なのでは?

前も練度がどうとか言ってたし…




51 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:13:16.82 ID:lKeNFmHq0

深雪「まさか、生まれ変わっても"アイツ"とぶつかるなんて…」

深雪「くぅ~!悔しい!」ガッガッガッ!

店主「おいおい。」

そんなにがっついたら。

深雪「くぅ~…」キィーー・・・ン

言わんこっちゃない…

店主「そこまで重要な演習だったのか?えらく落ち込んでるが。」

吹雪「いえ、そこまで大事ではなかったんですが…」

白雪「ぶつかった相手がね…」

なんだ?まさか、鎮守府で最も尖った奴にぶつかったのか?




52 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:13:46.67 ID:lKeNFmHq0

初雪「…"いなずま"だしね」


店主「!?」


店主「稲妻…だと!」


もう名前からして尖ってるじゃねぇか!


稲妻『おうおう、いてぇじゃねぇか。』アァン?

稲妻『この落とし前、どうしてくれんだ?コラァ!』

深雪『ひぃ~…ごめんなさいぃ~!』ガタガタ


ああ、こりゃ落ち込むわ。訓練後に校舎裏な?なんて言われた時にゃあ。




53 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:14:16.62 ID:lKeNFmHq0

しかし

店主「稲妻…いかしてんな。」

白雪「何がです?」

店主「名前がよ。」

店主「なんかこう…ツッパってるっていうかさ。」

店主「そいつ、スカジャンとか似合うだろ。な?」


4人「…」ジーッ


店主「ん?」

なんか間違ったこと言ったか?俺。




54 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:15:17.75 ID:lKeNFmHq0

店主「なんだよ。」

吹雪「スカジャンはどうか知りませんが…」エーットォ…

白雪「ツッパってはいないかと…」

深雪「たぶん、なんか勘違いしてねぇか?おっちゃん。」

店主「え。」

…してるのか?してるのか!?

深雪「紙と書くものある?」

店主「あるぞ。」

店主「ほれ?」

深雪「貸して。」

そして深雪の奴が紙にデカデカと



「電」




と書いて見せてきた。

その一字だけならA4のコピー紙なんて渡すんじゃなかった…




55 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:16:11.30 ID:lKeNFmHq0

深雪「読んでみ?」

店主「は?」

深雪「だから読んでみてって。」

店主「これをか?」

流石に馬鹿にし過ぎじゃないか?

吹雪「…」

あの真面目な吹雪まで静観してやがる…なんだってんだ?




56 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:16:49.56 ID:lKeNFmHq0

店主「…でん」

深雪「ん?」

店主「だから、"でん"。電力("でん"りょく)電車("でん"しゃ)の"でん"だろ?」

深雪「それだけ?」

それだけって…

え?他に読み方あるか?





いや、知らねぇぞ!?

"でん"以外に用途あったっけ?

深雪「プフーッ!」

深雪「おっちゃんだっせぇー!もう一つの読み方も知らねぇの?」

店主「…」カチンッ

ケタケタ笑いやがって…




57 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:17:49.68 ID:lKeNFmHq0

しかし、悔しい!本当にわからん!

吹雪「あっあの…」

店主「ん?」

吹雪「それで"いなずま"って読むんです。」

店主「…」

マジでか!?それは知らなんだ!

っていうか話の流れでそうだわな。稲妻の話をしてたんだし。

しかし…小学校の頃、そんな読み方で習ったっけ?

覚えてねぇわ。

つか深雪の奴まだ笑ってやがる…今に見てろ…



58 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:18:19.38 ID:lKeNFmHq0

店主「そうか。じゃあ、ぶつかったのはこっちの字の"いなずま"なのね?」

吹雪「そうです。」

そうなるとイメージわかないな…

稲妻なら


稲妻『おうおう!』パラリラパラリラ!!ブォンブォーン!!


今更だが俺のイメージ偏ってねぇか?

歳だなぁ…

白雪「急に黄昏ちゃった…」

深雪「ショックだったんじゃね?」プクク

店主「ああ、すまん。ちょっと自分のイメージが偏り過ぎててな。」

店主「あと深雪だけ割増料金な。」

深雪「なんで!?」




59 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:19:09.78 ID:lKeNFmHq0

店主「で?なんで、その子とぶつかってコイツは落ち込んでるんだ?」

吹雪「ああ、それはですね…」

白雪「前に深雪は太平洋戦争前に沈んじゃって参加できなかったって言いましたよね?」

店主「ああ。言ったな。」

初雪「…その原因。」ズズー

店主「は?」

深雪「ああ、演習中に電とぶつかって沈んじゃったんだ。」

店主「そうなのか!」

深雪「なんと言うか、艦の時代の記憶がアイツとぶつかった時にフラッシュバックしちゃって…」

店主「トラウマになってるのか…」




60 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:20:19.32 ID:lKeNFmHq0

深雪「実践じゃなくて演習でっていうのが笑えるだろ?」

店主「トラウマに実践もくそもないと思うがな?」

深雪「へ?」

店主「トラウマなんて心の病気だからな。どこでなろうと笑えるもんじゃねぇよ。」

店主「それに、沈んだってことは、死んだと同然なんだろ?ならトラウマになるのは当然だろ。」

っていうことはあれか?深雪のほかにもトラウマがある奴はいるってことか…

軽はずみな発言はよしておくか。




61 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:21:13.38 ID:lKeNFmHq0

店主「まぁでもよかったじゃねぇか。今回はぶつかって頭ぶっただけだろ?」

深雪「まぁね。」スリスリ

店主「まだ痛いのか?」

深雪「うん。」スリスリ

店主「あんまやると酷くなるぞ?どれ待ってろ。」

深雪「うん?」

こういう時は冷やすが一番。

店主「ほれ。」

深雪「袋?」

店主「中身は氷だ。それで患部をよく冷やせ。」




62 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:21:56.78 ID:lKeNFmHq0

店主「というか、鎮守府にも治療するとこぐらいあるだろ?」

吹雪「言ったんですけどね…」

白雪「早くここに来たい!って、わがまま言って。」

深雪「だって、こう落ち込んだ時は好物を食べてリフレッシュだろ?」

店主「はぁ、俺としては嬉しいがな。店は逃げないから、今度からは治療してから来いよ。」

店主「一応は国を背負ってんだからよ。」

深雪「そう言われるとな…」

初雪「…言われてやんの。」クスッ

深雪「初雪、なんか言ったか?」

初雪「いんや。」プイッ

無鉄砲そうに見えて、素直に聞くとこは聞きやがる。

まぁ、そこが憎めないとこと言えば憎めない。

それが深雪の良い所だ。




63 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:22:50.36 ID:lKeNFmHq0





でだ、さっきから入口の所を小さい影が行ったり来たりと見えている。

なんと言うか挙動不審にもほどがあるぞ?

ウチの入口は磨りガラスだからどんな姿かは分かりずらい。

ただ、あっちも同じらしい。

小さい体をこれでもかと伸ばし見ようとしてる。

ごめんな、磨りガラスで。

中が気になるのか…

するとこいつ等の…

っ!

ひょっとして…






64 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:23:26.66 ID:lKeNFmHq0


深雪「ん?どこ行くの?」

店主「お客さんを出迎えにだ。」

吹雪「出迎え?」



ガララッ



店主「いらっしゃい。」






??「はわわっ!?」








65 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:24:14.94 ID:lKeNFmHq0


深雪「!?」

吹雪「電ちゃん?」

白雪「出迎えって…?」

店主「いやなに。影が見えたもんだからね。頻りに中を気にしてたようだし、ひょっとしたらと思ってね。」

初雪「なるほど。」

電「あっあの…」

吹雪「どうしたの?」

電「あの、さっきの事…演習でのこと謝ろうと…」

白雪「ぶつかったこと?」

初雪「あれ?謝ってもらったって聞いたけど?」

電「え?まだなのです。」




66 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:24:44.29 ID:lKeNFmHq0

吹雪「深雪?」ギロッ

深雪「まっ待てって、吹雪。私は被害者だぜ?」

初雪「被害者?」

深雪「いや、じゃなくて…ほら、そういうの性に合わないっていうかさ。」

白雪「それでもちゃんと話ぐらいは聞かないと。」

深雪「いや、でも…おっちゃん!」

何故助けを求める?

店主「まぁ、なんだ。とりあえずは素直に受け取ったらどうだ?同じ職場なんだ。遺恨が残るようなことはしたくないだろ?」

深雪「…」

店主「なんか嫌な事でもあるのか?」

深雪「ほら、さっきトラウマの話したじゃん?」

店主「ぶつかって沈没の話か?」

深雪「うん。それ、電の奴も気にしてると思ってさ…生まれ変わってもぶつかったって…」

深雪「だから…その…」



67 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:25:29.48 ID:lKeNFmHq0

吹雪「だったら余計に謝ってもらわなきゃ!」

深雪「え?」

白雪「そうだね、気にしてると思うならここはしっかり受け取ってあげないと。」

深雪「…でもさ。」

初雪「深雪。逃げるのはダメ。」

深雪「はい。」

深雪「い、電。その…」

電「あの、さっきは本当にごめんなさいなのです。」

電「一度だけでなく2度までも…」

深雪「ああ、いや。気にしなくてもいいぜ。今回は頭ぶっただけだし。」

深雪「電は大丈夫だったか?痛かったろ?」

電「電はすぐに治療を受けたので大丈夫なのです。」

深雪「そっか。なんか、逃げるようなことして悪かったな。」

電「こうやって謝れたのでよかったのです。」

深雪もこの不器用なとこが直ればもっと良くなるんだが…




68 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:26:06.74 ID:lKeNFmHq0

初雪「というか、ぶつかった時、深雪自身周りが見えてなかったんじゃ…」

深雪「え?」

むしろその線の方が濃厚なんじゃないか?

吹雪「そういえば暁ちゃんたちは?」

電「あっ!」

白雪「もしかして?」

電「深雪さんたちを追いかけて来ちゃったので…」

吹雪「置いてきちゃったんだ…」

電「はわわぁ~…」

この子、意外に抜けてるのかもしれないな…

というか、俺のイメージしてた"稲妻"とはかけ離れてるな…

稲妻『ヒャッハー!』ブォンブォーン!!パラリラパラリラ!!

そのままお帰りください。





69 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:27:42.18 ID:lKeNFmHq0

電「探してくるのです!」

店主「待った。ここで大人しく待ってな。」

電「でも…」

店主「入れ違いになるかもしれない。その方が手間になるぞ?」

電「うぅ…」

店主「電ちゃんはこの時間何か食べたかい?」

電「まだ何も食べてないのです…間宮さんもいっぱいだったし…」

ということは、この辺の店に行く途中だったのか…

店主「ちょっと待ってな。」

店主「深雪。」

深雪「?」

店主「この子の連れの特徴を教えてくれ。」

深雪「特徴?いいけど…」

やはり姉妹か…似た容姿の子が3人。

よし、聞いた特徴を"あの人"に教えてと。





70 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:28:12.29 ID:lKeNFmHq0



コトッ

電「?」

店主「これでも食べて待ってな?」

電「っ!アイスクリームなのです!」

なんだか知らんが、すっげぇキラキラしてる…

ウチで扱っているデザート類の一つで、定番中の定番『アイスクリーム』だ。

よく冷やした銀の皿の上に、大きめのディッシャーで掬ったアイス、それにこれまた定番のウエハースを添えたものだ。

電「でも、頼んでないのです…」

店主「今日はサービスだ。ただ待つのも退屈だろう?」

電「ホントなのですか!?ありがとうなのです!」




71 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:29:05.73 ID:lKeNFmHq0

深雪「いいなぁ…」

店主「この子は初だからな。これからも贔屓にしてもらうためのサービスだ。」

店主「だから常連のお前は払えよ?」

深雪「ケチ。」

店主「何とでも言え。」

深雪「…ロリコン」ボソッ

店主「ほう、お前さんはどうもこの俺に喧嘩を売りたいらしいな。」グリグリ…

深雪「いたたたたたっ!?ちょっわたしお客さん!神様だよ!?」

店主「それは神様に失礼だ。」グリグリ…

深雪「ひどい!っていうかぶつかった所を重点的にグリグリするなぁ~!」




72 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:29:34.13 ID:lKeNFmHq0

吹雪「ところで誰に連絡したんですか?」

店主「ん?」

店主「ああ、適任の人が近くに居るからね。」

白雪「適任?」

店主「うん。」パッ

深雪「ふにゃ~…」

初雪「ワン、トゥー、スリー、…」

店主「まぁ、お前さんらがこの国の海を守っているなら、その人はこの地域の治安を守ってる人…かな?」

吹雪・白雪「?」




73 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:30:07.10 ID:lKeNFmHq0





ガララッ!




??「いぃ~なぁ~ずぅ~まぁ~…」




電「っ!?」




電「暁ちゃん!」

暁「探したわよ!」

電「ごめんなさいなのです…」

雷「もう、心配したんだから!」

響「でも、無事で安心したよ。」

おお、これは小っちゃいのがぞろぞろと…

電「でも、よくここが分かったね?」

暁「それは…」




74 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:30:45.07 ID:lKeNFmHq0



??「どーも、毎度お世話になっております。」

店主「いえいえ、世話をかけたのはこちらの方ですよ。忙しいのにすみません。」

白雪「その方は?」

店主「ああ、この人は。」

武田「この近くの交番に勤務している武田と申します。」

吹雪「交番ってことは…」

初雪「お巡りさん?」

武田「はい。」

深雪「初めて見たかも…」

え?そうなの?

一応は国家関連つながりなのに不思議なもんだ。

まぁ、海軍がお世話になることなんてあんまりないだろうし…




75 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:31:19.81 ID:lKeNFmHq0

白雪「適任ってそういう。」

店主「だろ?」

この地域を守るポリスメン。お巡りさん。

歳は20代前半って言ってたか?まだまだ若くてエネルギッシュな人だ。

見た目もいいから近所のおばさんのえじ…ゴホンッ 注目の的だ。

交番が近いことから、昼時には何度か顔を見せに来るぐらいか。

本当にお世話になってます。



暁「ありがとう。お礼はしっかり言えるし。」エッヘン

響「ハラショー。さすがは暁。しっかりレディーを演じてるよ。」

暁「演じてない。レディーなの!」

響「お巡りさん。ありがとう。」

雷「お礼を言うじゃない!」

武田「はいはい。また道が分からなかったら、遠慮なく発出所によってね。」

3人「はぁーい。」

武田「それじゃ、失礼します。」

店主「すみません。ありがとうございました。」

たとえ相手が艦娘だろうと扱いはお手の物だな。

…というか気づいて無いような気もするが。




76 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:32:01.67 ID:lKeNFmHq0

暁「で、電。なんで呑気にアイスクリームなんて食べているのかしら?」

電「これはここの店長さんがくれたのです。」

雷「頼んだんじゃなくて?」

電「はい。」

響「なんて太っ腹なんだ。」

3人「…」ジィーッ

まぁ、なるわな。

店主「座って待ってな。今持ってくるから。」

暁「なんだか悪いことしちゃったかな?」

深雪「なんだぁ?今更罪悪感か?」

暁「そっそんなことないし!」




77 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:32:29.81 ID:lKeNFmHq0

響「ところで4人は何でここに?」

吹雪「私たちはこの時間いつもここに来てるから。」

雷「間宮さんじゃなくって?」

白雪「混んでるでしょ?だから、毎回外出許可を取ってね。」

初雪「司令官、士気の為なら仕方ないって、いつも許可くれるし。」

電「そうなのですか。」

深雪「お前らも今度こっちにこいよ。間宮さんほどじゃないが、うまいの食えるぜ。」

暁「えー…でもぉ…」

店主「こらこら、無理強いはするなって。」

店主「ほい、お待ちどうさん。」

暁「わぁ~…」

響「ハラショー。」

雷「電、こんなおいしそうなのを食べたの!?」

電「はい。」

暁「いただきます!」




78 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:32:59.99 ID:lKeNFmHq0


電ちゃんといい、本当にキラキラしてんな…

白雪「シャーベットもいいけど…アイスもいいかも。」

深雪「いやぁ、クリームぜんざいにはかなわんよ。」

響「クリームぜんざい?」

吹雪「餡子の上にソフトクリームが乗ってるの。」

深雪「シンプルだけどこれがうめぇの何のって。」

響「暁、ここは何度も通うべき店だよ。」

暁「わっわかってたし!」

雷「なら、決まりね。」

電「アイスもおいしかったけど、他のも気になるのです。」





79 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:33:29.22 ID:lKeNFmHq0








艦娘's「ごちそうさまでした!」

店主「またご利用お待ちしております。」


なんと言うか、今日は騒がしかったな…

でも悪い騒がしさではなかった。

昼のピークとは違った騒がしさ…悪くない。

しかも、お客さんが増えた。自営業である以上、これは喜ばしいことだ。

贔屓にしてくれるお客さんが居るからこそ、この店も成り立つしね。

『お客様は神様だ。』

最初はこの言葉を馬鹿にしてたけど…今じゃ言い得て妙だもんな。

お客様は神様だ。

さて、今日はあとどんな神様がいらっしゃることやら。



ガララッ



店主「いらっしゃいませ!」







80 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/08/29(土) 03:34:00.37 ID:lKeNFmHq0





ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

新規のお客様も大歓迎です。









85 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/29(土) 04:55:49.62 ID:75hLvDgFO

まいったなぁ来月からかぁ……
すみません、煮込み雑炊をひとつください。



87 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/29(土) 08:33:15.14 ID:sD8wGS/sO
すいません、モーニングと小倉トーストお願いします



93 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:23:13.21 ID:5WZfYlZN0


8月も終わりに差し掛かろうとしている…

夏も終わりか…

なんだろうね、冬は終わっても寂しくないのに、夏が終わると寂しくなるこの感じ。

同じ"季節"なのに、妙な関係だ。

さて、時間は15時になりそうだ。そろそろ来るな。







94 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:23:39.09 ID:5WZfYlZN0


ガヤガヤ


ガヤガヤ



おかしい…



「すみませぇーん」


店主「はい、ただいま!」




おかしすぎる…




「こっちも注文お願いしまぁーす!」


店主「少々お待ちを!」


何故忙しい?!





95 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:24:08.68 ID:5WZfYlZN0


いや、喜ばしいことだし、忙しいと言っても昼のピークよりかは来ていない。何とか一人で回しきれる量だ。

だが、いつものこの時間で比べると倍以上に忙しい!

というか客層が全員女性で、しかも全員が制服を着用…今日出校日か?

いや、全員制服バラバラだ。しかも近所の学校のモノではない。

となると、この子らは…





96 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:24:47.07 ID:5WZfYlZN0


ガララッ


「あっちゃー、やっぱ混んでるかぁ」


やっぱ?


店主「あ。」

深雪「こんちわー!」ニシシッ

吹雪「こっこんにちわ。」

あの4人がご来店だ。

店主「悪い、適当に座ってくれ。すぐに水とおしぼり持ってくる。」

白雪「あ、ゆっくりでいいですよ。」

初雪「…うん。」

なんだ?バツが悪そうにして…

やはりそうか…さっきも深雪が"やっぱ"って言ってた辺りから察すると

「いいですかぁー?」

店主「はい、ただいま!」

この子ら、全員艦娘か!




97 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:25:16.31 ID:5WZfYlZN0

しかし、なぜこんなに?

今までにこんな事があっただろうか?

記憶がない…

電ちゃんたちが広めた?

いや、流石に広まり過ぎだ。

あとで吹雪たちに聞いてみるか。

店主「はい、お待たせしました。クリームぜんざいです。」

「おお!これがクリームぜんざいかぁ!」

「姉さん少し静かに。」

「那珂ちゃんはかき氷のイチゴ!」





98 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:25:42.01 ID:5WZfYlZN0


深雪「え?かき氷?」

吹雪「どうかした?」

深雪「かき氷なんてあったっけ?」

初雪「深雪、あそこ。」

深雪「あ。あんなところにあったのか…メニュー。」

白雪「気が付かなかった?」

深雪「メニュー多すぎて…」

吹雪「だね。」

深雪(っていうか神通先輩いるのか…)

初雪(目を合わせないように…)





99 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:26:12.23 ID:5WZfYlZN0



ふぅ…

何とか落ち着いたな…

店主「待たせたね。」

吹雪「良いんですよ。」

白雪「仕方ないです今日は。」

店主「なぁ、あれ全員艦娘だろ?」

店主「どうしたんだ?今まで見なかった顔まで来てたし。」

吹雪「あぁ、それは…」

初雪「間宮さん、風邪ひいた…」

店主「へ?」

深雪「間宮さんが風邪ひいて寝込んでるんだよ。」

吹雪「一緒に働いてる伊良湖さんも間宮さんの看病で"間宮"の営業が出来なくて。」

白雪「だから司令官が、このままでは私たちの士気にも関わるって、全員に外出許可をくれたんです。」

凄い太っ腹な司令官だな。




100 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:26:48.10 ID:5WZfYlZN0

吹雪「勿論、一部の艦娘は残ってますよ?留守中を襲われたら困るって。」

深雪「でも、それも自主的にだぜ?司令官は行って来いって言ってるのにさ。」

初雪「司令官、信頼なさすぎ。」クスッ

逆だ逆!

信頼が厚い証拠だ!

しかし、そんな理由なのか。

最初は電ちゃんたちの口コミ効果では?とは思ったが…

いや、一部はそうだろう。だがその他は…

艦娘と言えど、やはり人なのね…風邪とは。

いや、待てよ?そうなると…




101 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:27:23.65 ID:5WZfYlZN0

ガラッ

深雪「何見てんだ?」

店主「向かいのケーキ屋さん…」

やっぱり、いつも以上にごった返している…

こっちもいつも以上とはいえ、あっちも比例して客が多いな。

悔しいが、形だけで置いている甘味では敵わんか。

店主「なぁ、やっぱあそこの客も…」

白雪「はい…艦娘です。」

そんなバツが悪そうに言わなくてもいいんだぞ?

深雪「そういや、鈴谷先輩と熊野先輩ってあそこの常連だよな?」

初雪「そう…あそこのケーキは上品でおいしいって言ってた。」

深雪「行ってみたいんだけどさぁ。あたしらじゃ似合わないんだよなぁ…あの雰囲気。」

吹雪「そっそんなことないよ!…たぶん…」

初雪「無理はいけない。」

この子ら、面白いほど自分たちの容姿を下に見てないか?

気にせず行ってみればいいのに…

まぁ、あっちに居ついても困るから、あえて言わないけど。




102 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:27:57.99 ID:5WZfYlZN0

店主「さて、落ち着いたところで注文を聞こうか?」

吹雪「いつものでいいですよ。ね?」

白雪「そうだね。」

初雪「ん。」

常連さんの注文は楽でいい!

だいたいが決まっているから聞き取る時間も短いし!

深雪「いや、待った!」

って!?

店主「どうした?」

深雪「今日はあれにする!」ビシッ

あれ?

コイツの指先にあるのは…かき氷?

店主「かき氷か?」

深雪「うん。今年まだ食べてないから!」

そうなのか。

まぁ、そろそろ9月だし終わろうかと思ってたからね。




103 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:28:35.09 ID:5WZfYlZN0

店主「そうか…わかった。シロップは?」

深雪「定番のイチゴも捨てがたい…でももう一つの定番メロン…いや、ここはさっぱりレモンか?」

なんだよ決まってたんじゃないのか?

深雪「う~ん…宇治もなぁ…どうするか…」

悩んでるなぁ…まぁ、いつもの注文じゃない時ってだいたいこうなるよな。

俺も行きつけの定食屋で、いつもは当り障りのない"豚のしょうが焼き定食"だったのを、一度だけ変えようとして悩みに悩んだことがあったっけ。

20分ぐらい悩んだけど、結局いつものになったんだっけ。

学生の時の話か…懐かしいな…

深雪「メロンだ!」

ようやく決めたか。

店主「メロンな。練乳は?」

深雪「私、メロンに練乳はかけない派なんだ。」

店主「ほぉ。」

コイツなりのこだわりか。




104 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:29:25.88 ID:5WZfYlZN0

深雪「でも。」

店主「?」

深雪「トッピングってできない?」

店主「と言うと?」

深雪「あのメニュー表には、練乳しかないじゃん?」

店主「だな。」

深雪「でもメロンにはかけたくない。」

店主「おう。」

深雪「でも、メロンでもかけたいものがあるんだ。」

上目遣いと来たか。

店主「出来ることならやってやるぞ?」

深雪「やりぃ!」パチンッ

指を鳴らすほどの上機嫌。

一体何をかけるつもりだ?

深雪「でだ。深雪様はメロンのカキ氷の上に、ソフトクリームを所望する!」

めっちゃ目ぇ輝かせてる…

店主「ソフトクリームでいいのか?」

あんだけ溜めたからもっとエグいのが来るかと身構えたぞ。

深雪「だってさ、ここそういう甘味に対する色気ってないじゃん?」

色気?なんだそりゃ?

深雪「今街ではやってるスイーツなんかも、トッピングで自分好みにアレンジしたりできるんだよ?」

深雪「今どきの女の子のハートを掴むなら、トッピングは外せないよ!」

店主「…」

深雪「?どしたの?おっちゃん。」

店主「いや。」




105 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:30:05.52 ID:5WZfYlZN0

まさかコイツからこんなヒントを貰うとは…

いや、コイツも常連なんだからこういう意見を貰うのはありがたい事なんだ。

ただ、まともな意見過ぎてびっくりしたぞ。

店主「今年はあと数日で終わりだからな…来年再開するときに考えてみるよ。」

店主「その時はまた意見くれよ?」

深雪「勿論!」

店主「じゃあ、注文は以上で…」

初雪「ちょっと待った!」

今度は何?

店主「どうした?」

初雪「私も注文変える。」

店主「どうした?また草団子か?」

初雪「違う。私は"クリームコーラ"に変える。」

クリームコーラに?

店主「ひょっとして、深雪のソフトクリームに触発されたな?」

初雪「うん。」

店主「分かった。2人は注文の変更ないな?」

吹雪「はい。」

白雪「私も大丈夫です。」

店主「じゃ、ちょっと待ってな。」



106 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:30:32.71 ID:5WZfYlZN0

さて、じゃあ一番簡単な"クリームコーラ"からだ.

ぱっと聞くと"?"ってなるだろうが、この店には"コーラフロート"と"クリームコーラ"の2種類がある。

前者はアイスクリームをのせたもの。

後者はソフトクリームをのせたものだ。

大きな違いはそこだけ。

何故その2種類になったかというと、親父の代の時に常連さんでコーラフロートの上をソフトクリームに代えてくれって人が居たそうだ。

その時に、これは商品として行ける!と思ったらしく2つに分けたんだと言っていた。

ちなみにうちじゃ、コーラ以外にもメロンソーダやオレンジジュースなんかにものせている。

ちなみにうちの扱っているジュースのメーカーは"コカ"だ



店主「お待ち。」

初雪「おぉ…山みたい。」キラキラ






107 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:31:21.94 ID:5WZfYlZN0

さてお次は、かき氷だ。

「ザ・夏の風物詩」と言っても過言でもない"かき氷"。

うちでは7月のはじめから8月の終わりまでという短いスパンでやっている。

理由は9月になると一気に売り上げが落ちるから。だそうだ。

これについては爺ちゃんも親父も言っていたな。

実際9月になって涼しくなってくると、海沿いなもんだから気温も一気に低くなる。

だから、かき氷も売れないって感じらしい。

8月もあと少しで終わり…深雪、滑り込みセーフだったな。

ちなみにウチのかき氷はうちで製氷した氷を自動の機械で削る。

残念だが、ウチで天然氷を買うなんて贅沢なことはできない。

やってはみたいんだけどね。

シロップはイチゴ・メロン・レモン・宇治の4種類。

特別オリジナルなんてものはない。

追加料金を払えば練乳仕様に。

ただ、今日はお得意様のワガママでソフトクリームのトッピング。

でも、そのワガママも時には良いインスピレーションになる。





108 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:31:56.49 ID:5WZfYlZN0


店主「ほい、お待ち。」

深雪「もう間違いないでしょ!」

吹雪「わぁ~…」

白雪「なんか迫力ある…」


緑色になった氷の粒の山の上にそびえたつソフトクリームの山。

山の上に山見た目凄いな。インパクトがある!

これは商品化待ったなしだな。

つうか、ソフトクリームって経費食う分ドンドン出さないと、元取れないからな…

機械のリースだけでも結構行くしね…

来年は必ず商品化だな。


さて、あとはお馴染みのクリームぜんざいに、イチゴのシャーベットだ。



店主「お待ち。」

吹雪・白雪「ありがとうございます!」





109 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:32:56.60 ID:5WZfYlZN0




??「ソフトクリームねぇ…通な食べ方じゃん?駆逐艦たち。」




吹雪「!?」

深雪「ゲッ…その声は…」

店主「?」

??「やっほ。」

白雪「北上先輩?」

初雪「…大井先輩まで。」

大井「北上さんが居るところに大井ありよ。」

それって金魚のフンみたいにくっついてるって解釈でいいのか?

っていうかこの子達、今まで見なかった2人だ。

忙しくて気付かなかった…。



110 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:33:26.77 ID:5WZfYlZN0

先輩と言ってるんだから4人にとって目上の子たちかね?

見た目そんなに変わらなそうな…


へそ出しルック!?


大井「ちょっと!どこ見てんのよアンタ!」

店主「へ?」

大井「今、北上さんのおへそ見てたでしょ!」

店主「いや…そんな…」

やばい!俺そんなガン見してたのか!?

北上「大井っちやめなよ。せっかくおいしい甘味をいただいたんだからさ。」

大井「でも!」ガルルルルッ

北上「ステイッ!」

大井「北上さんがそういうのなら…」

この2人どういう関係なんだ…?




111 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:34:05.37 ID:5WZfYlZN0

店主「いや、すまん下心はなかったんだ。」

お腹冷えないのかね?

北上「いいよぉ~。こういう格好してる私たちも悪いんだし。」

達ってことは…この大井って子も…

あっ本当だ。

大井「ムッ!」ジロッ

しまった。また視線が…

ホント、冷えないのかね?

そういや、さっき深雪の奴ボソッと"ゲッ"って…

苦手なのか?

北上「ところで駆逐艦。いいの食ってるじゃん。」

深雪「そっそうっすか?」

ああ、このからみ方が苦手なのね。




112 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:34:40.51 ID:5WZfYlZN0

北上「でも、かき氷にソフトクリームトッピングって…メニューにあったっけ?」

大井「いえ、あったのは練乳だけですが…」

初雪「常連の特権。」フンス

北上「常連?」

大井「あなた達、ここによく来るの?」

吹雪「ほぼ毎日。」エヘヘ

大井「ほぼって…」

北上「え?ってことは間宮はいかないの?」

白雪「たまぁ~にです。」

大井「間宮さんが聞いたら泣きそうな答えね。」

北上「病み上がりには聞かせられないね。」




113 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:35:23.94 ID:5WZfYlZN0

初雪「でも、間宮にはないのがあるから。」

北上「たとえば?」

初雪「甘味以外にもスナック類もある。」

北上「スナック?ポテチとか?」

初雪「ううん。フライドポテト・アメリカンドック・チキンナゲット。」

大井「ああ、ホットスナック的な。」

白雪「ここに来たらなんでも食べれるって感じで。」

いや、あの…それ初めて聞いたけど?

たまに頼んでたのはそういうことか…

まぁ、甘味処にはないよな…そういうの…

吹雪「やっぱ甘いものばっかっていうのも…」

北上「分かる分かる。たまにしょっぱいのを食べたくなるよね。」

チラッ

ん?なんかこっち見たぞ?




114 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:35:55.25 ID:5WZfYlZN0

北上「どっこいせ。」

大井「北上さん?」

北上「せっかくだし、フライドポテト頂戴?」

大井「え?!さっき食べたばっか…」

北上「今度はしょっぱいのを食べたくなったんだよ。」

大井「え?えええええ!?」

北上「良いでしょ?」

店主「じゃあ、揚げてくるから待ってて。」

北上「は~い♪」





115 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:36:27.23 ID:5WZfYlZN0


フライドポテト。ホットスナックの代表格。

ファーストフード店じゃサイドメニューとして君臨してるけど、

ウチじゃあ、ビールのお供として君臨してる。

枝豆に次いで2番目に人気だ。

揚げ時間もそんなにかからないから、提供時間が短くすむし、コスパも悪くない。

縁の下の力持ちとはコイツみたいなことを言うんじゃないだろうか?

当然若い子にも人気。

実際、吹雪たちもたまに頼んでるし。





116 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:37:05.14 ID:5WZfYlZN0


店主「ほい、お待ち。」

北上「待ってました!」

カリッ

北上「揚げたて最高!」

大井「そんな油っこいモノ…」

北上「ほら大井っち。あーん。」

大井「え!?」

ん?あの大井って子、急に固まったぞ?

どうした?

大井「喜んで!」パクッ

ええ!?

なんだ?どうした?今の一瞬の間でどういう心変りが…

この子…ちょっと、こわ…面白いな。




117 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:37:42.68 ID:5WZfYlZN0

深雪「驚いた?いつもあんな感じだよ」ボソッ

店主「そうなのか?」ボソッ

深雪「あの二人姉妹なんだけどさ、妹の大井先輩が姉の北上先輩にゾッコンなんだよ。」ボソッ

店主「北上って子大変だな。」ボソッ

深雪「それがうまく扱うんだよ。」ボソッ

店主「ほぅ。」



大井「そこで何こそこそしてるんですか?」



店主・深雪「いえ、何も。」



北上「ほら、あーん。」

大井「ああ、北上さんにあ~んだなんて…」



大井「私幸せすぎ!」パクゥ!


本当にゾッコンだ…

というより仲のいい姉妹?仲の"良すぎる"…だな。





118 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:38:11.10 ID:5WZfYlZN0


北上「ところでさ。」

店主「ん?」

北上「もし私たちも常連になったら、ワガママ聞いてくれる?」

店主「そりゃあ、まぁ。」

今日みたいに良いヒントを貰う可能性も高いしね。

北上「そっか。」ニコッ





119 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:38:40.67 ID:5WZfYlZN0



店主「ありがとうございました。」

北上「バイバーイ。」フリフリ

ふぅ、流石に疲れた。

まだ夜の飲兵衛どもを相手しないといけないとか…

気が滅入るな…

いっその事17時で閉めるか?

いや、そうなったら大炎上だ。

火に油ならぬ火にアルコール。

バイト「休憩上がりましたぁ。」

バイト「って、洗物多っ!?」

店主「ああ、悪い。アイドル混んでな。」

バイト「じゃあ、ちゃっちゃと洗いますか!」

店主「俺も手伝うよ。」

しかし、トッピングか…

常連さんっていうのはまさに神様だな。

今日でまた増えそうだし。

来年、いろいろ試してやってみるか。







120 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:39:10.56 ID:5WZfYlZN0









ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

ある程度のワガママなら聞きますよ。











123 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:41:45.74 ID:5WZfYlZN0


朝8時。

11時の開店に向け仕込み開始。

料理に使うソースやら出汁やら、そういうのが中心だ。

そしてこの時間になると決まってある来訪者がやってくる。

と言っても、もちろん客ではない。


??「おはようございますー!」


店の裏口から元気な挨拶。

来た来た。

店主「おはようございます。サブちゃん。」

サブ「いつもご利用ありがとうございます。」





124 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:42:14.56 ID:5WZfYlZN0


この方は近くで魚屋さんを営んでいる、山吉さんだ。

いつもこの店で使う鮮魚や干物を仕入れてくれている。

鮮魚は主に酒の肴の刺身やカルパッチョ、干物はランチなんかに使っている。

ちなみに"サブちゃん"なんて呼んでいるが、この人の名前は敏夫で"サブ"なんて付かない。

サザエさんに出てくる三河屋の三郎に雰囲気がそっくりだから"サブちゃん"。

親父の代からの愛称だ。





125 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:42:55.39 ID:5WZfYlZN0

今日届けてくれたのは、マグロにタイにイカに…

おや?

店主「この発泡スチロールの箱は?」

見慣れないモノが置いてあるな。

サブ「あっこれっすか?良いのが入ったんでぜひと思って!」

いいの?

よく見たら側面に


店主「秋刀魚…サンマか!」


俺の中の「三大秋の味覚」その一つである秋刀魚。

早い頃では初夏にはもう入っているイメージだ。





126 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:44:23.34 ID:5WZfYlZN0


店主「新秋刀魚かい?」

サブ「ええ、脂も乗っていて塩焼きはもちろん、新鮮なんで刺身も行けますよ!」

店主「刺身か…」

最近じゃスーパーでもよく見かけるようになったが、秋刀魚の刺身は絶品だ。

同じ光物のアジやイワシと違い、脂がのって甘みもある。

一度食べたらやめられない!

店主「いいね…」

サブ「もしあれなら持って帰りますけど?」

たまに掘り出し物があると、こうやって注文してないものでも持ってきてくれることがある。

でも、サブちゃんも分かっているから無駄なものは持ってこない。

店主「いや、貰うよ。」

この一言とともに商談成立。

そして、同時に今日の日替わりランチも決まった。






127 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:44:59.91 ID:5WZfYlZN0




午前11時開店。

今日も一日が始まる。

仕込みの時から始まってはいるんだけど、やっぱ開店から気合が入る。

といっても…今日はあいにくの雨。

いつもは開店と同時に入ってくるお客さんもいるんだけど…

今日は、売上行かないかな?







11時半を過ぎても客入りはまばらだ。

雨の影響は大きい。

これが雪になるとさらに大きくなる。

そういう時は仕方なしに早めに店をたたんでしまう。

バイト「日替わり入りまーす!」

店主「あいよ!」

ただ、今日は言った秋刀魚を入れた日替わりランチは上々だ。

ちなみにうちではランチタイム(開店から15時まで)の間だけ日替わりランチというのをやっている。

その日の入荷状況や冷蔵庫事情を踏まえてメニューを決めたりするが、

今日は早速旬に巡り合えた秋刀魚だ。

9月の開始ともに、とてもいいスタートを切れたと思う。


ジュ~


立ち上る煙が何ともたまらない。

しかし、さっきから塩焼きばっかだな。せっかく新鮮なものなんだから刺身を頼んでほしいんだが…






128 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:45:28.92 ID:5WZfYlZN0




ガララッ


バイト「いらっしゃいませぇ!」


12時を越えた所だ。

さっきよりかは客が埋まっているが満席とはいかないな…


「やっほ。」


ん?

北上「やぁやぁ。」

店主「お?」

北上って言ったっけこの子。




ちょっと待てよ?





129 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:46:01.09 ID:5WZfYlZN0

店主「こんな時間にどうしたんだ?」

いつもなら訓練なり演習なりあるんじゃ?

それに…私服って?

北上「今日はオフなの。つまりお休み。」

店主「そうなのか。」

ほぉ、艦娘と言えど休みは大切か。

ん?なら吹雪たちもあるんじゃ…

アイツらが休みのとこ見たことないぞ?

まぁ、あとで聞いてみるか。来るだろうし。

北上「あっそうそう。今日あの駆逐艦たちは来ないよ。」

駆逐艦?ああ、吹雪たちの事…

店主「なんで?」

なんかあったのか?





130 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:46:43.56 ID:5WZfYlZN0

北上「今日は大井っちが連れ添いで遠征に行ってるから。」

店主「遠征?あいつらが?」

北上「うん。初遠征って言ってたかな?と言っても近くの鎮守府にお使いに行くみたいな感じだから、そんな重要でもないけどね。」

店主「いやいや、行けるだけマシだろ?」

ついにか!

やったじゃないか。お使い程度とはいえ初の任務じゃないか!

アイツら喜んでるだろうなぁ。

ん?

店主「大井っち連れ添い?」

北上「うん。だから大井っちも居ないの。」

店主「そうか…」

哀れ大井っち!





131 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:47:09.76 ID:5WZfYlZN0

北上「で、私はここでランチ。」

北上「鎮守府の食堂でもよかったんだけど、一人で食べるくらいなら、思い切って外出許可とって外で食べようと思ってね。」

店主「だから来たと。」

北上「そうそう。常連さんにもならなきゃね。」

いやはや、ありがとうございます。

店主「じゃあ、注文決まったらホール担当のあの子を呼んでくれ。」

北上「あいよ。」

北上「ふ~ん♪ふふ~ん♪」

鼻歌…休みで機嫌がいいんだな。




132 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:47:45.31 ID:5WZfYlZN0

北上「ふふ~ん♪…ん?」

客「…モグモグ」

チラッ

客「…モグモグ」

北上「うん?」

北上「…」ジーッ

壁に貼ってあるメニューガン見…

どうした?




133 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:48:15.59 ID:5WZfYlZN0

北上「ねぇ。お姉さん。」

バイト「はいはい。ご注文お決まりで?」

北上「お客さん、秋刀魚食べてるけど、メニューにないよね?」

バイト「あれは今日の日替わりランチですよ。」

北上「日替わりランチ?」

店主「外のブラックボード見なかったのか?」

北上「気付かなかった。」

ムムッ、それはイカンな。

置き場所変えるか?




134 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:48:43.36 ID:5WZfYlZN0

店主「うちはランチタイム限定で日替わりランチをやってるんだ。」

バイト「で、今日は秋刀魚でやってるんです。」

北上「へぇ。」

店主「良い秋刀魚が入ったからそれにしてみるかい?」

北上「うん。ちょっと気になったし食べてみる。」

バイト「じゃあ、塩焼きと刺身、どっちにします。」

北上「塩焼きと刺身…」ウーン…

北上「…え!?」

バイト「?…どうしました?」

北上「刺身?秋刀魚刺身でいけるの?!」




135 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:49:10.56 ID:5WZfYlZN0

店主「新鮮なうちは刺身で行けるよ。」

北上「そうなの?」

店主「そう。よくスーパーで売ってる塩焼き用のは、冷凍保存された奴を解凍した奴だからね。刺身にするには危険なんだ。」

北上「へぇ…ウチの食堂じゃあ塩焼きしか出ないから…新鮮じゃないんだね。」

店主「脂はのってると思うがな。」

バイト「で、どっちにします。」

北上「そりゃあ刺身でしょ!塩焼きもいいけど、この場合は初体験優先で!」

バイト「はい!日替わり刺身で!」

店主「あいよ。」

北上「楽しみかも…」





136 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:49:39.59 ID:5WZfYlZN0



秋刀魚の刺身はいたって簡単だ。

頭を切り落とした後、内臓を取り出し三枚におろす。

包丁の背を使えば皮も簡単に剥がせてしまう。

そして切り付けてお皿に頭、骨を使ってお造り風に盛り付ければ完成だ。

あとは、ご飯に漬物・味噌汁、ちょっとした小鉢(今日はひじきの煮つけ)をのせれば日替わりランチの完成。






137 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:50:42.73 ID:5WZfYlZN0



バイト「お待たせしましたぁ。日替わりランチです。」

北上「おぉ!お昼からお造りとは贅沢だねぇ。」

店主「こういうのは見た目のインパクトが大事だからな。」

北上「そうだね。私もインパクトにやられてるよぉ。」

バイト「あと醤油はこれをお使いください。」

北上「ん?これは…」

バイト「たまり醤油です。」

北上「たまり?こいくちうすくちじゃなくて?」

店主「ああ、愛知を中心とした中部地区に広まっている醤油でな、ほとんど大豆で出来た醤油なんだよ。」

バイト「かなり濃い目の醤油なんで、刺身にはもってこいなんですよ。」

北上「へぇ…じゃあ、さっそく。」





138 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:51:08.55 ID:5WZfYlZN0

北上「薬味がワサビじゃなくて、ネギと生姜なのもいいね。」パクッ

北上「…」モグモグ

北上「!」

なんか驚いた顔してるけど…

北上「初めて食べたけどおいしい!」

北上「なんかほかの魚より甘みがあるね。脂ものってるし…癖になりそうだよ。」

北上「それにこの醤油も、刺身にピッタリ!」

店主「うまみ成分がかなり入ってるって聞いたからな。」

北上「そうなんだ。」

北上「なんだか吹雪たちや大井っちに悪いなぁ…」

北上「これ、またやる?」

店主「入荷次第だな。」

北上「そっか…」

パクッ

北上「男ならご飯が進む!ってガツガツいくんだろうなぁ。」ハムハム

気に入ってもらえて良かったよ。

サブちゃんに頼んでおこうか。




139 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:51:45.57 ID:5WZfYlZN0



ガララッ



バイト「いらっしゃい。」

爺1「おう、姉ちゃん。表にあったが今日は秋刀魚が入ってるって?」

バイト「はい。新秋刀魚ですよ。」

爺2「じゃあ、刺身にできるんじゃねぇかい?」

バイト「はい!」

爺1「じゃあ、それの単品で…ビール二つね。もちろん中でな。」

爺2「バッカおめぇ。刺身にゃ日本酒じゃねぇと。」

爺1「馬鹿はおめぇだ。食前酒だよ。食前酒。」

爺2「おっマジで俺が馬鹿だったな。」

爺1・2「がははっ!」

うるせぇのが来た。

しかし、珍しいな。いつもは夜なのに…さては、雨降ってるから店じまいが早いと踏んだな?





140 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:52:12.50 ID:5WZfYlZN0


北上「…モグモグ」ジィー

店主「悪いな、うるさくなって。」

北上「いや。活気があっていいじゃん。」

北上「むしろこういう所でご飯食べるの良いよね。ウチ女の子ばっかだから…」

そういうもんなのか。

バイト「おやっさん。刺身!」

店主「おう。」

流石旬だねぇ。秋刀魚がよく売れる。

塩焼きをレギュラーに加えようかね?

北上「…」ズズッ

北上「味噌汁…日本の味だよね。」

店主「ふふっ…だな。」

そんな日本の味をまた啜って、彼女は一息つく。

偶にはこんな日もいいか。








141 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/01(火) 00:52:42.11 ID:5WZfYlZN0






ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

旬な食材取り揃えています。









149 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/01(火) 01:44:15.75 ID:50RpL4iAO

秋刀魚の話をこの時間に読むのは酷だな…
ハラ減ったww



150 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/01(火) 06:21:38.62 ID:lvgzlyE50
バイトは夕張あたりが隠れてしてるのかと思った。



151 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/01(火) 06:24:30.08 ID:5RWS1buzo

かき氷+ソフトクリームが郷愁を誘いすぎる



161 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:36:26.63 ID:qgJ4aOlh0

9月に入って少し涼しくなったか?

いや、どちらかと言えば雨が続いていたからだろう。

本来なら残暑が厳しい日。

はてさて、沖の方はどうなんだろうか?

まだ雨が続いているから時化てないだろうか?



アイツら4人は大丈夫なのか?







162 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:36:54.80 ID:qgJ4aOlh0


あの4人が遠征に行ったと聞かされて3日目。

お使い程度と言われて2日間かかるのは、果たしてお使いと言えるのだろうか?

まぁ、あの世界の事は分からないからあまり口出しは出来ないが…

初めてのお使い2日間スペシャル…

なぜかそんなフレーズが頭をよぎった。

つうか北上さんよ。2日間かかるならそう言っておくれ。

お使い程度なんて言うから、1日で終わるかと思ったのに。

北上『ごめんごめん、2日間だったこと忘れてたわ。』

それが昨日の彼女の答えだった。

アイツら来なかったから心配したぞ…。






163 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:37:28.04 ID:qgJ4aOlh0



しかし、雨でお客さんが全く来ない…

厳密には来ているが、いつもとはいかないな。

ここ数日の雨。まるで梅雨がまた始まったみたいだ。

天気予報じゃ、近づいている台風の影響だと言っていたが…

そういや、台風か。直撃コースだって言ってたな。

バイト「おやっさん。日替わり入るよ。」

店主「あいよ。」

その日の営業はどうするか…


ガララッ


バイト「いらっしゃい!」





164 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:37:53.93 ID:qgJ4aOlh0


「うわっやっぱ昼はすごい人!」


ん?この声は…

店主「おお、やっと戻ってきたか!」

吹雪「はい!」

深雪「深雪様達の帰還だぜ!」

白雪「なんだか久しぶりな感じ。」

初雪「数日間来なかっただけなのに。」

遠征、予定通り終わったみたいだな。

ん?そういや何故この時間?

もしかして…





165 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:38:36.16 ID:qgJ4aOlh0

店主「休みか?」

吹雪「はい、司令官が遠征成功したご褒美にって。」

深雪「ついでに丸1日の外出許可までくれたぜ!」

店主「ほぉ。よかったな。」

白雪「はい!」

私服だから、だと思ったよ。

初雪「でも、部屋でジッとしてたかった…」

吹雪「もぉ~初雪。またそういうこと言って。」

白雪「おいしいご飯食べれなくても知らないよ?」

初雪「それは困る!」

"おいしいご飯"か…ありがたい一言だ。




166 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:39:06.95 ID:qgJ4aOlh0

店主「注文決まったらあの子に言ってくれ。」

バイト「遠慮なく言ってね。」

吹雪「じゃあ、深海(ふかみ)さん。」

バイト「なに?」

吹雪「今日の日替わりって何ですか?」

白雪「そういえば、店の前に置いてあったブラックボードに書いてあったね。」

バイト「今日は"アジフライ"だよ。」

吹雪「アジフライか…」

白雪「私、それにしようかな?」

吹雪「白雪それにする?じゃあ私も!」

バイト「日替わり二つ入ります!」

店主「あいよ。」




167 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:39:35.33 ID:qgJ4aOlh0

深雪「う~ん…」

白雪「まだ悩んでるの?」

深雪「メニューが多すぎるんだよ…」

すまんな、それが売りでもあるから。

深雪「よし!」

ん?急に目をつぶりやがったぞ?

深雪「あれにする!」ユビサシッ!

バイト「…どれ?」

ははん、さてはコイツ。

決めきれないから、目隠しして決める算段だな?

コイツらしいなぁ…

で、何を指したんだろ?




168 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:40:07.06 ID:qgJ4aOlh0

バイト「…オム…ライスかな?」

多分そうだな…遠くから指し過ぎだ。

深雪「オムライスか。」

白雪「結構無難だね。」モッタイブッタワリニハ

深雪「あとサラダもつけて。」

バイト「サラダね。…何にする?」

深雪「何があったっけ?」

バイト「グリーンにツナ・コーン・わかめ…あとポテト。」

深雪「どれがおすすめ?」

バイト「スタンダードにグリーンでいいんじゃない?」

深雪「じゃ、それ。」




169 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:40:41.16 ID:qgJ4aOlh0

バイト「じゃあ、最後に初雪ちゃんね。」

初雪「ふふん。」ニヤッ

バイト「っ!」

吹雪「何あのドヤ顔!?」

初雪「私は来る前から決めていた!」

初雪「今までただ甘味を食いに来ていたわけではないのだよ。」フフン

バイト「そっそうですか。」

深雪「で、その注文とやらは…一体!」ゴクッ

白雪「…」アレナニ?

吹雪「…」ヤラセテオイタラ?




170 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:41:09.12 ID:qgJ4aOlh0

初雪「おじさんは名古屋出身!なら名古屋飯で攻めるのが吉!」

ん?

初雪「"あんかけスパ"でお願いします!」カッ!

深雪「おお!」





深雪「知らね。」

初雪「そう。」




171 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:41:38.94 ID:qgJ4aOlh0

白雪「あんかけスパって…?」

吹雪「私も知らない。スパっていうぐらいだから、スパゲッティなんだろうけど…」

店主「お前さん、よく知ってるな。」

初雪「テレビで見た。」

やけにさっぱり返すようになったな。

さっきまでの威勢はどうした?

初雪「おじさん早く作って…燃料切れ。」

今のでか!?

店主「あいよ。じゃ、待ってな。」

じゃ、お得意さんに失礼が無いよう作るかね。




172 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:42:09.86 ID:qgJ4aOlh0


まずは吹雪たちの注文であるアジフライ。

今日の日替わりランチのメインを飾る逸品だ。

アジフライって聞くと、開きにしたアジにパン粉がかかり冷凍になったものが一般的で、スーパーなんかによく売っている主婦の強い味方だ。




うん、それです。

ウチで使ってるのもまさにそれ。業務用の奴を使ってます。

いつもなら。





173 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:42:42.89 ID:qgJ4aOlh0


だが、今日は違う。

今日のはしっかり朝まで生きていた新鮮で大振りなアジを使ったものだ。

もちろん仕入れたのは、お得意様の山吉さん。サブちゃんだ。

開きにして大きいのをかぶりつく!というのも悪くはないが、流石にお客さんが喰いづらいものを提供するわけにもいかない。

というわけで、インパクトより食べやすくておいしいアジフライにするべく、三枚におろし、さらに切り付け一口サイズにしてみた。

その方が揚ムラも少なくなって、中が生だとかそんな心配もない。

生でもいいんだけどね、でも今日はフライだから。

そしてそのフライをメインに、いつものご飯に味噌汁、漬物。そして今日の小鉢のサラダだ。

男性だけでなく女性にも喜ばれる"はず"だ!


店主「ランチあがったよ。」

バイト「はーい。」




174 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:43:26.38 ID:qgJ4aOlh0


で次は深雪の注文した"オムライス"。

洋食の王様と言ってもいいほどのド定番な逸品。

うちでも昼時には立て続けに注文が入る時があるぐらい、人気の商品だ。

最近だと、チキンライスの上に半熟のオムレツをのせて。食べる直前にオムレツを切ってチキンライスを包む。

なんて洒落たものがあるが、うちはいたってシンプルなオムライスだ。

卵でチキンライスを包み、ソースはこれも定番デミグラス。

これでいいんだよこれで。余計なひと手間はいらない。

これぞオムライス。

あとは別に注文のあったグリーンサラダを付けて。


店主「オムライスあがったよ。」

バイト「あいよー。」





175 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:44:11.99 ID:qgJ4aOlh0


さ、お次。

まさか初雪が頼むとは思わなかった"あんかけスパ"だ。

味噌煮込み、台湾ラーメン等、あんかけスパも"名古屋飯"に分類される麺料理だ。

元々は"名古屋人に合うトマトソース"を目指し開発していたモノらしいが…ソースの作り方と言い、パスタのゆで方と言い、ちょっと独特な観点を持っているから、こっちの方で受けるか心配だった。

まずパスタ料理で最も重要な麺。

一般的なパスタは1.6mmのモノを使うが、コイツには何と2.2mmとかなり太めのモノを使う。

もちろんゆで時間はかかるが、ゆで上げた後がさらに独特で…

ゆで上げたものを一度ラードを引いたフライパンで炒めるのだ。

別にソースで炒めるとかそういうのでもない。ただ、ラードで炒める。




176 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:44:40.64 ID:qgJ4aOlh0

そして、その炒め終わった麺にソースをたっぷりとかけるのだが、このソースもまた…

トマトベースで出来たこのソース。食べるとかなりスパイシー。

何故か。それはこのソースにたっぷりとコショウが入っているから。

一振り二振りの世界ではない。大さじとかそういう世界だ。

うちは少量で仕込むからその程度だが、専門店になるとボウル一杯とかそういうレベルになる。

見ていてくしゃみが出そうだ。

だが、その量がまた良いんだ。

食べる度にコショウが効いて食欲をそそるから、飽きが来ない。

しかも、ラードで一旦に炒めてあるから餡が余計な絡まり方もしないし。




177 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:45:09.18 ID:qgJ4aOlh0

ちなみにこの"あんかけスパ"、トッピングがかなりある。

野菜だったり、肉だったり、フライだったり。

その組み合わせも選べたりするし、ボリュームもあるから名古屋じゃ女性より男性の客の方が多かったりする。

うちは専門店じゃないから、トッピングを選ぶことなんてできない。申し訳ないけどね。

全部"ミラカン"で統一。

ミラカンっていうのは"ミラネーズ"と"カントリー"を合わせて略したもの。

ミラネーズはベーコンやウインナーなどを炒めた肉系のトッピング。カントリーは玉ねぎやマッシュルームなどを炒めた野菜系のトッピング。

それらをバランスよく合わせ炒めたのがミラカンだ。

あんかけスパで基本的なトッピングだ。


店主「あんかけスパあがり。」

バイト「はいよ。」





178 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:46:07.07 ID:qgJ4aOlh0


バイト「お待たせしましたー。」

バイト「日替わりランチです。」

吹雪「おお!」

白雪「ボリュームが…」

バイト「オムライスとグリーンサラダ。」

バイト「お好みのドレッシングでお召し上がりください。」

深雪「…サラダ要らなかったかな。」

バイト「で、これが"あんかけスパ"です。」

初雪「おお、これが。」




179 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:46:36.91 ID:qgJ4aOlh0

白雪「なんか重そうじゃない?」

初雪「これはそういうもん。」

白雪「そうなんだ。」

初雪「これはソーセージにベーコン、玉ねぎ、マッシュルーム…ミラカンだね。」

深雪「ミラカン?」

初雪「この具の事。あんかけスパの基本的なトッピング。」

深雪「へぇ。」

本当にテレビだけか?

店主「良く知ってるな。」

初雪「ん。食べたくて調べた。」

店主「そうか。」

そこまでして食べたかったのかよ…

まぁ、嬉しいっちゃ嬉しいが。




180 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:47:06.90 ID:qgJ4aOlh0


吹雪「それじゃ。」

4人「いただきます。」


吹雪「おお、こんなジューシーなアジフライ初めて!」

白雪「ウチの食堂のなんかパサついてるんだよね。」

吹雪「うん。冷凍だからじゃない?」

白雪「フライに味噌汁ってなんだかミスマッチだけど。」

吹雪「日本を噛みしめてます。」

白雪「なにそれ。」プッ





181 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:47:52.87 ID:qgJ4aOlh0


店主「どうだ?」

深雪「どうだってただのオムライス。」

店主「オマエな…」

もっとなんかあるだろ…

深雪「でも…」

店主「ん?」

深雪「それがいい!」

お?

店主「お前も分かるか?」

深雪「うん、この洋食食べてますって感じがいいね。代わり映えのないオムライスって感じがたまらない!」

深雪「サラダサラダ…ドレッシングどっちにしようか…」

サラダに出すドレッシングは2種類。

和風かフレンチだ。

深雪「ここは無難に和風かな?」

深雪「油っこいモノを食べている途中に食べるサラダは格別!」




182 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:48:32.22 ID:qgJ4aOlh0


初雪「…」チュルン

店主「どうだ初めての味は?」

初雪「思ったよりスパイシー。」

店主「そりゃあ、コショウがたんまり入っているからな。」

初雪「でも、悪くない。」

初雪「…」

初雪「…水。」

バイト「はいはい。」

辛かったか。

初雪「ただ、食べきれるか…」

店主「無理は禁物だぞ。これから遊びに行くんだろ?」」

初雪「ん。」

腹膨れすぎて動けないってなったら、そりゃああんまりだって話だしな。




183 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:49:53.90 ID:qgJ4aOlh0

店主「今日はどっか行くのか?」

吹雪「一応、町の方へ行こうかと。」

店主「買い物か?」

吹雪「はい!秋物を少し…」エヘヘ

自分へのご褒美か。

せっかく成功したんだしな。

ここは俺からも…






184 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:50:35.34 ID:qgJ4aOlh0


吹雪「ごちそうさまです。」

白雪「でも、本当にいいんですか?半額なんて…」

店主「ああ、初任務成功のお祝いだ。なんもなしっていうのは常連さんに申し訳ないしな。」

店主「まぁ、こんな事しかできないけど。」

深雪「いやいや、太っ腹だよ。ほんとは全部奢りでもよかったけど。」

店主「なら、お前は割引なしな。」

深雪「うそうそ、冗談だって!」

初雪「…口は禍の元。」

深雪「あってめ、あとで覚えてろ!」

初雪「…」プイッ

吹雪「もぉ、こんなとこで暴れないの。」




185 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:51:54.85 ID:qgJ4aOlh0

白雪「それじゃあ、ごちそうさまです。」

深雪「また来るぜ。」

初雪「また来る。」

店主「ありがとうございました。」

バイト「ありがとうございました~。またね~。」バイバーイ

ふぅ~。

アイツら、いつ来てもにぎやかだな。

バイト「そうっすね。」

おっと声に出てたか。

店主「しかし、この時間に来たってことはアイドル暇になるな。」

流石に1日に2回は来ないだろ。

バイト「何言ってるんですか。最近増えたでしょ?」

おっ

店主「そうだったな。」

忘れてた。

ってことは、まだまだ賑やかな1日は続きそうだ。




186 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/05(土) 00:52:25.40 ID:qgJ4aOlh0





ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

入荷状況によって多少メニューが代わります。









191 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 01:46:17.26 ID:Y87X6YMio
ただのアジフライでも旨いやつはほんと旨いもんな
乙です



193 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 05:35:39.99 ID:IgCoDqbRo
マスター、過労で倒れるんじゃないか



200 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:15:25.70 ID:2KAUzHkq0

吹雪「ご馳走様でしたー。」

店主「ありがとうございましたー。」

深雪「いやぁ食った食ったぁ。」

初雪「…下品。」

白雪「それに、クリームぜんざい食べただけじゃない…」



さて、あの4人は帰ったと…






201 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:15:54.65 ID:2KAUzHkq0


バイト「休憩上がりましたー。」

店主「おう、お帰り。」

もう17時か。北上ちゃんたちは今日は来なかったな。

吹雪の話だと、あの子たちは前線組で、よく遠征にも駆り出されるって言ってたし…

前線?

あっ!

店主「今日は金曜日か。」

バイト「? そうですよ。」

店主「あいつらが来る。」

バイト「はっ!」

バイト「おやっさん!」

店主「おう。」

ヤバイ。

早く準備をせねば。





202 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:16:21.35 ID:2KAUzHkq0


金曜日。

よく"花の金曜日"なんて言われることがある。

土日休業の企業に勤める人間にとって、金曜日は夜飲み歩く格好の1日だ。

それはこの近辺でも同じで、近所の居酒屋は親父たちの溜まり場になる。

正直うちも例外ではないが、そういった専門の所に比べたらまだまだだ。

たまに店から漏れた人たちが利用するぐらいで、基本的に常連さんも酒を煽りに来た近所の爺いが中心だ。

いつもなら…

だが、毎週金曜日は決まって来る常連が居る。

その人たちも、最初は漏れた口だったが、いつしか毎度の如く来るようになってしまった。

若いゆえに酔い方もパワフル。

でも、酒は単価が高いから売り上げの貢献度もパワフル。毎度助かってたりする。

準備をしていたらいつの間にか19時。

さて、そろそろ…





203 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:17:02.85 ID:2KAUzHkq0



ガララッ


??「こんばんわー!」

??「おばんですー!」

??「ちょっと2人とも。」

??「なんだよ飛鷹。」

飛鷹「騒がしくしないの。お客さんが居たらどうするの。」

隼鷹「居ないじゃん。」

飛鷹「居たらどうすんのって話!」

隼鷹「そんな細かいこと気にすんなって。なぁ、龍驤。」

龍驤「せやせや。飛鷹は少し固いんとちゃうか?」

隼鷹「最近腹回りは柔らかいのにな。」

龍驤・隼鷹「あはははははっ!」

飛鷹「あなたたち…」プルプル




204 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:17:37.99 ID:2KAUzHkq0

店主「いらっしゃい。」

飛鷹「あっ店長さん。今日もお世話になります。」

店主「良いってことよ。それが商売だし。」

隼鷹「男の前だとコロッと表情変えて。」

龍驤「ほんま…恐ろしい女や。」

飛鷹「ふんっ!」

ゴチンッ×2

隼鷹「…調子に乗って」ジンジン

龍驤「えらいすんません…」ジンジン




205 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:18:07.99 ID:2KAUzHkq0

店主「まぁまぁ。ところで、あとの2人は?」

飛鷹「後で合流します。作業が残ってるみたいなんで。」

店主「そうか。じゃあ待ってて。今お水を…」

バイト「はい、生中2つお持ちしましたぁ!」ドンッ

隼鷹「さっすが深海ちゃん!」

龍驤「わかってんなぁ!」

店主「え?」

バイト「常連の注文は把握済みですぜ。おやっさん。」フフン

バイト「あっ飛鷹さんにはウーロン茶ね。」

飛鷹「ありがとう。」

店主「おっおう。」




206 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:18:41.78 ID:2KAUzHkq0


やれやれ。

さて、この3人がさっき言ってた金曜の夜限定のお客さんだ。

いつもは5人なんだが…2人は遅れてくるそうだ。

ちなみにこの3人+2人も艦娘で、吹雪たち(駆逐艦)とは違いこの方たちは空母(軽空母)で大人な艦娘だ。

だからお酒はもちろん飲め…

龍驤「かぁー!やっぱたまらんなぁ。仕事の後の一杯は!」

飲める…はず。

龍驤「…なんやおっちゃん。今ものすごぉーく失礼なこと思ってへんかった?」

店主「…いや。」

龍驤「ならええ。」ニコッ ゴクゴク

龍驤「かぁーっ!」

あんさん、ほんまに大人なんか?




207 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:19:17.32 ID:2KAUzHkq0

まぁ、いいや。一応大人らしいから。

ただ、見た目がな…

以前も、ちょうど見回りに来た武田君(お巡りさん)に見つかって。


武田『ちょっと君!何飲んでるの!?』

龍驤『へっ!?』


ってことがっあったっけ。

あの時は本当に大変だった。

武田君を説得するのに時間はかかるわ、龍驤ちゃんはすこぶる機嫌が悪くなるわで…

まぁ、最後は何とかなったけどね。




208 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:19:59.28 ID:2KAUzHkq0

隼鷹「おっちゃん。」

店主「ん?」

隼鷹「なんかない?」

飛鷹「ちょっと隼鷹。」

店主「じゃあ、適当に見繕って持ってくるよ。」

隼鷹「ありがとぉ~。愛してるぅ~。」

飛鷹「もう。いつもすみません。」

店主「いいよいいよ。座ってなって。」

…いつもこんな感じだ。

ただ、俺としてはこの方がありがたい。

何故って?

そりゃあ、言い方悪いかもしれないが在庫の処分にはもってこいだからだよ。

寿司屋のお任せみたいなもんだ。

とはいってもそこまでひどい扱いはしない。

あの人たちの好みは十分知ってるしね。そこが常連の強みだ。

さて…

店主「よっこいせ。」

いい具合に漬かってるかな?

糠漬け。




209 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:20:34.05 ID:2KAUzHkq0


店主「ほい。まずは糠漬けからなんてどうだい?」

隼鷹「おほほ!来た来た。」

龍驤「ここのは漬かり具合が丁度ええねん。」

飛鷹「もうがっつかない。」

隼鷹「いいじゃねぇか。」

龍驤「せや。飛鷹もここのは好きやろ。」

飛鷹「まぁね。」パクッ

ポリポリ

飛鷹「ただ、私も飲みたくなるのよね…これ食べると。」

隼鷹「なら飲めばいいのに。」

飛鷹「じゃあ、誰があんた達を止めるのよ…」ハァ…




210 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:21:13.23 ID:2KAUzHkq0

だいたい手始めにこの糠漬けを出すと喜んでくれる。

婆ちゃんが得意で爺ちゃんが真似したのがこの店で出すきっかけだっけ。

モノは3種類。

きゅうり、ナス、大根と基本的なものだ。

ただ、たまに入荷次第で山芋とかもある。

さて、食べているうちに次だ。

とその前にコイツも出しとこう。

店主「かおるちゃん。悪いこれ持ってって。」

バイト「枝豆?OK!」

つまみの定番"枝豆"。

言うことなし!

次!




211 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:21:57.39 ID:2KAUzHkq0



ガララッ



??「ごめんなさい。遅くなっちゃった。」

??「千歳ねぇがもたついてるから…」

龍驤「二人とも遅いで!」

隼鷹「早く早く始まった所だからよ。」

千歳「本当?じゃあ間に合ったのかな?」

飛鷹「千代田もここ座って。」

千代田「ありがとう。」




212 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:22:29.47 ID:2KAUzHkq0

隼鷹「深海ちゃん。生4つ追加で。」

千代田「いやいや、私も飛鷹と同じでいいわ。」

隼鷹「ちっ」

千歳「千代田ったら。」

龍驤「つれへんなぁ。」

千代田「当たり前でしょ…」

飛鷹「2人でも大変なんだから。」

バイト「じゃあ、生と一緒にこれも置いておきますね。」

コトッ

隼鷹「おお、枝豆。」

千歳「王道じゃない。」

バイト「はい、ウーロン茶。」

千代田「ありがとう。」





213 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:22:57.19 ID:2KAUzHkq0


これで5人そろったか。

丁度いいタイミングで揚げだしたな。

今あげているのは"鳥のから揚げ"。

これもつまみの中では定番のモノだろう。

いつも贔屓にさせてもらっているお肉屋さんから取り寄せている鳥のモモ肉を、ニンニクの効いた自家製ダレに付け込んだもの。

それに衣をつけてあげている。

さっきから定番ばかりだって?

正直こういうのは自分のセンスも問われるからね。

お客さん相手だと下手なことはできないだろ?

そろそろかな?揚げ過ぎるとと硬くなるし。

油をよく切って…レモンを添えて


店主「次はこれをよろしく。」

バイト「はいはーい。」





214 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:23:47.65 ID:2KAUzHkq0


バイト「お次は鳥のから揚げでーす。」

龍驤「王道のオンパレードやな!」

千歳「彦○呂のマネ?」

龍驤「なんでやねん!」

隼鷹「レモンどうする?」

千代田「いつもかけてるのに聞く必要ある?」

隼鷹「だわな。」

飛鷹「私たちはそうでもないけど、よく"かける"か"かけない"かで揉めてるじゃない?」

千歳「あれどうしてですかね?」

千代田「ただ単にレモンが嫌いとか?」

龍驤「えらい単純な理由やな。」

千代田「適当よ今の。」

龍驤「でもその辺デリケートやで、あんま突っ込まんほうがよろしくない?」

千歳「せやな。」フフッ

千代田(ひょっとしてスイッチ入ってきた?)




215 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:24:43.24 ID:2KAUzHkq0

隼鷹「深海ちゃん。レモンチューハイ頂戴。」

千歳「あっ私も!」

バイト「はいはーい。」

龍驤「ウチはグレープフルーツで。」

バイト「…ジュース?」

龍驤「その流れでそんなわけあるかい!チューハイや!」

バイト「冗談ですよ。」クスクスッ

飛鷹「ゴメン深海さん、私ウーロン茶追加で。」

バイト「ありがとうございます。」







216 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:25:10.03 ID:2KAUzHkq0


バイト「ひぃ~忙しい忙しい。」

店主「頑張ってるな。」

バイト「でしょ。」

バイト「?」

バイト「今度は何作ってるんです?」

店主「ん?…タタキ。」





217 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:25:38.07 ID:2KAUzHkq0


そろそろ魚を出してもいいんじゃないかと思って、今日の朝届いたカツオをタタキにしようかと思っている。

コイツも作り方はいたって簡単だ。

ウロコを落として5枚に下ろしたカツオを皮付きのまま串にさす。

そして皮を中心に表面だけ炙る。

ただ、残念なのは、本場の高知では藁を使って炙るのだが、うちじゃそんな事を出来るスペースがないため、コンロの火を使うしかない。

だから、ウチで出すのは"なんちゃって"。

炙り終わったら、そのまま氷水で冷やす。

よく水気をきって、切り付けたら大皿へ盛り、上から薬味をどっさり!たれもドボドボと!

ちなみに薬味は生姜とネギ、たれはポン酢とすごくシンプルに。

味を馴染ませるために手で叩いて完成。

この馴染ませるために叩く。この行為から"タタキ"と付いたそうな。

本当は冷蔵庫で1時間ぐらい寝かせるのがベストなんだが…

待ってはくれないだろう…

皿は冷えてるの使ってるし。出しちゃえ。


店主「かおるちゃん、ちょっと重いけど、これお願い。」

バイト「これ、絶対喜びますよ。」

店主「だから出す。」

当然。




218 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:26:18.19 ID:2KAUzHkq0


バイト「ちょっと置けるかな?」

飛鷹「ちょっと待って。いま空けるから。」

千代田「ちょっと隼鷹、糠漬けの皿どかして空いてるんだから。」

隼鷹「おう、すまん。」

龍驤「この皿も下げてええで。」

千歳「これで置けるはずよ?」

バイト「よいっしょっと。」

ゴトッ

龍驤「おお、こりゃまた。」

隼鷹「豪華なモンを。」

千歳「一週間のご褒美にはもってこいね。」

千代田「タタキね…カツオの。」

飛鷹「久しぶりに食べるかも。」




219 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:26:51.51 ID:2KAUzHkq0

店主「良いのが入ったからね。丸一匹分使ったよ。」

隼鷹「マジで!?流石はおっちゃん!」

龍驤「これだからここは止められへんのや!」

丁度今のカツオは戻りカツオだから旬。

だから、精一杯旬を味わってくれよ。

隼鷹「いただきまぁーす!」

龍驤「久方ぶりやね。」

千歳「凄い脂がのってる!」

千代田「炙ってるのに全然落ちてない。」

飛鷹「今の時期って"戻り"だっけ?」

千代田「だからか。」




220 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:27:30.03 ID:2KAUzHkq0

隼鷹「むっこれは!」

バッ

隼鷹「腹身みぃーっけ!」

龍驤「あっズルい!」

千歳「ここにもあった。」

龍驤「え?ちょっと残しといて。」

千代田「そんな取り合わなくても。」

龍驤「いや、これは戦いや!腹身なんてとくに…」

千代田「あっ腹身の部分。」

龍驤「うそん。」

飛鷹「言ってる暇あるなら食べたら?ほら。」

龍驤「あっおおきに。」




221 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:28:13.56 ID:2KAUzHkq0

千歳「お酒無くなっちゃった。」

バイト「追加します?」

千歳「せっかくタタキが来たんだから、日本酒でお願いするわ。」

バイト「日本酒ですか。」

店主「おっ、だったらお前さんにピッタシなのがあるぞ。」

千歳「え?」

店主「待ってな。」

このタイミングを待ってたぞ。

せっかく仕入れたんだ、出さないわけにはいかない!

店主「ほれ。」

千歳「!」

千代田「千歳鶴?」

隼鷹「おおっ、千歳の名前が入ってるじゃん!」

龍驤「ええなぁ~。」

飛鷹「良かったじゃん。」




222 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:28:45.18 ID:2KAUzHkq0

千歳「これどうしたんですか?」

店主「いやぁ、酒屋さんにお酒の相談した時にな、常連さんに艦娘の子たちが居るんで、名前が入った奴ないかって聞いたらこれが出てきたんだ。」

千代田「へぇ~。」

千歳「これ開けても?」

店主「じゃないと仕入れた意味がないじゃないか。」

千歳「ならお言葉に甘えて。」

隼鷹「いいなぁ~。」

千歳「私ひとりじゃ飲みきれないわ。皆で飲みましょう。」

隼鷹「イヤッハー!流石だぜ!」

龍驤「同じ軽空母として誇らしいわ。」

千歳「やだ、少し大げさじゃない?」

隼鷹「大げさなもんか!」

龍驤「せや、さぁはようはよう!」




223 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:29:14.52 ID:2KAUzHkq0

飛鷹「はぁ、今日も帰りは大変ね。」

千代田「いつもの事じゃない。」

飛鷹「よく言うわ。あなた千歳だけじゃない連れてくの。」

飛鷹「私はこの2匹を連れてくのよ。」

千代田「慣れたでしょ?」

飛鷹「悔しいことにね。」クッ

隼鷹・龍驤・千歳「くぅ~…」

千代田「おねぇ。あんまり羽目外しちゃだめよ?」

千歳「わかってますってぇ~」ケラケラ

千代田「明日起こすの大変だ。」

飛鷹「そうね。」




224 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:29:47.66 ID:2KAUzHkq0

飛鷹「そうだ。忘れないうちに。」

飛鷹「おじさん。」

店主「ん?」

飛鷹「頼みたいことがあるんですけど。」

店主「頼みたいこと?」

なんだろう。





225 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:30:15.08 ID:2KAUzHkq0




ガララッ


爺1「おっ、やっぱ今日もいたか!」

爺2「やってるな嬢ちゃんたち。」

隼鷹「おおっ!爺さんその1その2!」

爺1「その1、その2って…」

爺2「俺らにも名前あるって先週言わんかったか?」

龍驤「先々週もいうとったな。」

千歳「その前の週も。」

隼鷹「つかいっつも言ってる?」

爺2「だったらええ加減覚えろよ!」


爺含めた飲兵衛's「がははははははっ!」





226 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:31:09.30 ID:2KAUzHkq0


爺1「おう、姉ちゃん。キンキンに冷えたの2つな。」

バイト「あいよ!」

爺2「ん?良いの食べてるな。」

飛鷹「今日入荷してるんですって。」

爺1「勿論あるよな?」

店主「勿論あります。」

爺1「なら2人前と…枝豆な。」

爺2「それも2人前。」

バイト「タタキに枝豆2人前ね。」ゴトッ

バイト「おやっさん!」

店主「聞こえてた。」

やれやれ。

この騒ぎはまだ続きそうだ。








227 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:31:45.50 ID:2KAUzHkq0







ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

お酒のお供もご用意しています。












228 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:32:47.08 ID:2KAUzHkq0








隼鷹「はぁ~飲んだ飲んだぁ~…」フラフラ…

飛鷹「ちょっと、まっすぐ歩きなさい!」

飛鷹「あんたも!」

龍驤「お月さんがグルグル回ってるでぇ~」フラフラ…ナハハ

飛鷹「千代田助けてよぉ!」

千代田「無理!」

千歳「…zzz」スースー…

飛鷹「おんぶしてるんだっけ…」

隼鷹「なら隼鷹様もおんぶしろぉ~」

龍驤「うちもぉ~」

飛鷹「そんなことしたら、私陸で沈んじゃうわよ!」

千代田「陸で沈むって…」




229 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:33:16.39 ID:2KAUzHkq0

千代田「そういや飛鷹。」

飛鷹「なに?…ちょっ!?まっすぐ歩いて!」

龍驤「あい~…」

飛鷹「もう…で、なに?」

千代田「さっき何お持ち帰りしてたの?」

飛鷹「ああ、糠漬けをね。」

千代田「そんなに気に入ったんだ。」

飛鷹「気に入ったことは気に入ったけど…これは私用じゃないわ。」

千代田「へ?」

飛鷹「鳳翔さんへのお土産。」

千代田「え!?」




230 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:33:44.32 ID:2KAUzHkq0

飛鷹「ほら、今のところずっとあそこに入り浸ってるでしょ?」

千代田「そ…うだね…」

飛鷹「だから、そのお詫びみたいなもの。」

千代田「お詫びはいらないんじゃ…」

飛鷹「なんで?」

千代田「なんでって貴女…」

飛鷹「ここの糠漬けおいしいし、絶対喜んでくれるわよ。」キラキラ

千代田「おいしいのは認めるけど…」

千代田「まぁ、貴女が良いなら良いんじゃない…?」モウ、トメナイ

飛鷹「? 変な千代田?」

千代田「…」




231 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/06(日) 00:34:12.41 ID:2KAUzHkq0






千代田(最近、私たち鳳翔さんの所に行かないから…私たちを見る目が明らかにおかしいんだよね…)

千代田(あんなもの渡したら…)

千代田(ごめん、おじさん!)





店主「ぶぇっくしょい!」

バイト「うわぁ…おっさん臭い…」

店主「うるせぇな…」

なんだ、今の悪寒…










233 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/06(日) 00:55:42.54 ID:TlDytG7AO
「これを食べて勉強しろってことですね」ニコニコ



236 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/06(日) 03:10:07.88 ID:qY74U8tAO
乙です ご飯のお供で糠漬け食べたい!!



240 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/08(火) 23:57:34.44 ID:9EYDgfI1o
出前はやってないんで?



241 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/10(木) 14:59:59.22 ID:cvXO+pQAO
これは良いスレだ



246 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:33:20.53 ID:I0nKimoM0

今日は日曜日だ。

ウチの店では土日祝と、長期的な休み(お盆・年末年始)は休店日としている。

理由はいろいろある。

まずは市場が休みで食材の入手が困難な事。

うちは個人でやってるから、大型チェーンのようにまとめて入荷して管理。なんてことができないからね。

もう一つは、休日になるとお客の流れが悪くなるから。

人通りが多いと言えど、それは平日、営業いわゆる外回りの人が行きかっているからで、休日になるとパッタリと少なくなるからだ。

当然この店に足を運ぶ客も少なくなるからで、そんな状況で営業しても火の車だ。

そしてこれが一番重要!

俺の体調管理。

毎度言ってると思うけど、この店は俺とバイトのかおるちゃん2人で切り盛りしてるから、毎日のように営業していると体力が持たない。

ならもっとバイトを増やせばいいと思うだろうが、人件費を増やしたら増やしたで新たな問題(人件費・経費等々)も起こる。

だから今は現状維持に努めるしかない。

以上から当店は今日お休み。

なんだけど…




247 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:33:48.31 ID:I0nKimoM0



俺は今、鎮守府の入口に来ている…



理由は、この鎮守府から送られてきた"鎮守府ふれあい感謝祭"の説明会案内だ。

いつもは催し物の説明とかが書かれていただけで、別段鎮守府に赴くなんてことはなかった。

もちろん説明会なんてのもなかった。

ちなみにこの"鎮守府ふれあい感謝祭"はいわゆる鎮守府の一般開放の日だ。

毎年、10月始め頃にこの一般開放を行っているのだが…

説明会なんて、クレームでも出たのかね?





248 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:34:33.57 ID:I0nKimoM0




??「おや、街角やの。」

店主「え?」

店主「ああ、権蔵(ごんぞう)さん。」

権蔵「あんたも来たのかい?」

店主「流石に呼ばれたら…」

この権蔵さんと言う方は、以前紹介した初雪が食べた団子を卸してくれている団子屋"うさぎ屋"のご主人だ。

店主「あんた"も"ってことは…」

権蔵「ああ、ウチにもこの案内が来てたよ。」

地元に人全員に配ったのか?




249 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:35:08.47 ID:I0nKimoM0

??「おや、やはり呼ばれてましたか。」

店主「あっ」

権蔵「おやおや、寺本さんまで。」

寺本「いやはや、今日は一体どういう集まりなんでしょうか?」

この寺本と言う人は、ウチの向かいにあるケーキ屋"テラモト洋菓子店"のオーナーだ。

店は向かいだけどあまり会うことはない。なんでだろう?

寺本「先ほど、あちらの方で岡崎さんと柿本さんに会いましたよ。」

店主「その2人にもですか?」

ちなみに岡崎さんは"喫茶いかりや"のオーナーで、柿本さんは"ベーカリーこむぎや"のオーナーだ。

岡崎さんの店はたまにコーヒーをいただきに行って、柿本さんの所は自分の朝食用のパンをよく買いに行っている。

どれも顔なじみの店だ。




250 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:35:52.50 ID:I0nKimoM0

ってちょっと待て。

店主「飲食ばかり?」

寺本「ですね。岡崎さんからは坂本酒店の旦那さんにも会ったって。」

権蔵「私は真田さんとこの娘さんにあったね。」

寺本「ああ、お茶屋さんの。」

店主「みんなここへ?」

寺本「言ってましたね。」

…飲食ばかり集めてどうするってんだ?

まぁ、ここで悩んでも仕方ない。

とりあえず中へ。

店主「行きますか?」

寺本「ですね。」

権蔵「初めてだなぁ。」

貴方が初めてなら俺はもっと初めてだよ。




251 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:36:29.63 ID:I0nKimoM0

警備員「すみません。説明会にご参加の方ですね?」

店主「はい。」

警備員「お手数ですが、案内状を…」

店主「どうぞ。」

警備員「…えぇ~っと…664…あった。ありがとうございます。」

ああ、案内状にあるシリアル番号を調べてたのか。

警備員「あと手荷物検査のご協力お願いします。」

店主「あっはい。」

厳重だな。

警備員「すみません。この携帯なんですけど一度あずからせていただいてもよろしいですか?」

店主「え?」

警備員「もちろんお帰りの際にお返ししますので。」

店主「はぁ。」

情報漏えい対策かな?




252 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:37:05.46 ID:I0nKimoM0

寺本「流石に厳重ですね。」

店主「ですね。」

寺本「あとあそこ。凄い眼光でにらみつけてますよ。」

??「…」ギラッ

おおう…女の子なのにすごい睨み効かせてんな…

やっぱ艦娘なのかな?

背丈的に駆逐艦?いや、龍驤の事もあるし…



龍驤「っくしゅん。」

隼鷹「風邪か?」

龍驤「ウチの噂やろ。絶望美女のウチに敵わんっていう。」

隼鷹「…」

龍驤「なんか言うて…スルーが一番つらいから…」






253 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:37:42.42 ID:I0nKimoM0

権蔵「いやぁ、待たせましたね。」

店主「いえいえ。」

寺本「セキュリティの為ですよ。」

警備員「じゃあ、"不知火"さん。お願いします。」

不知火「了解です。では、会議室までご案内します。」

寺本「ああ、お願いします。」

不知火「くれぐれも。」クワッ

不知火「不審な行動はお控えください。」

3人「…はい。」

なんだこの子!?怖すぎ!







254 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:38:14.96 ID:I0nKimoM0


う~む…

会議室と言うのがどの辺か知らないけど…

たぶん、今通っているところは一般人が通っても大丈夫なところなんだろうな…

つうか、俺が見てもなんなのかが分からん。

「あれ、おっちゃんじゃん。」

「え?」

ん?この声…

店主「おっ。」

深雪「珍しいね。こんなところで。」

吹雪「本当ですね。」

おお。なんという。

こういう初めての場所で見知った顔を見つけた時の安心感。

吹雪・深雪、グッジョブ!




255 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:38:48.77 ID:I0nKimoM0

不知火「…」ギロリッ

吹雪「!」ハッ

深雪・吹雪「…」ビシィッ

あれ?

不知火「見知った顔が居て嬉しくなるのは分かりますが、場所を弁える様に。」

吹雪「失礼しました!」

深雪「失礼しました!」

あれれぇ~…

俺にとって唯一の安息のひと時が…

しかし、深雪のああいう姿初めて見たな。

やっぱ軍属なのか…




256 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:39:34.69 ID:I0nKimoM0

不知火「もうすぐ着きます。」

店主「あのぅ…つまらない質問かもしれませんが…」

不知火「答えれる範囲で。」

店主「オタクって駆逐艦なの?」

不知火「は?」

店主「いやぁ、そういうの疎くって。見た目、吹雪ちゃんたちと変わらないなと思ってさ。」

不知火「ええ。不知火は駆逐艦です。陽炎型の2番艦です。」

店主「へぇ。」

2番艦ってことは、吹雪みたいに姉妹が居るのか…

つうか、やっぱ駆逐艦なのか。

同じ艦種なのにこの違いって…

深雪よ…少しは爪の垢を煎じてもらえ。




257 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:40:16.24 ID:I0nKimoM0



深雪「ぶぇっくしょん!」

吹雪「静かにしないと、また怒られるよ。」

深雪「生理現象にまで文句言われても…」



不知火「着きました。」

寺本「ありがとう。」

不知火「説明会が始まるまでは中で待機していてください。」

不知火「万が一、トイレ等で部屋に出る場合は、不知火たちが外で待機しているので声をかけてください。」

3人「…はい。」

まさかとは思うが、用を足したいとき、トイレの中までは付いてこないよな?

男としては羞恥だぜ?一部はそうでもないだろうが…

中を見るとやっぱ人揃ってるな。

さっき言ってた人に加えて、商店街で店を構えてる人がほとんどだ。

よく見ると呉服店の店主まで居やがる…

本当に何するつもりだ?




258 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:40:51.07 ID:I0nKimoM0

寺本「多いですね。」

店主「ええ。その分会議室がデカい。」

下手すると大学の大講義室よりでかいんじゃ…

権蔵「しっかし、なにをするのかね?」

寺本「招集…とか?」

店主「流石にないでしょ。手紙赤くなかったですし。」

寺本「ですよね。」



ガチャッ



??「みなさん、お揃いでしょうか?」

ん?

??「このたびはお忙しい所をお集まりいただいて、誠にありがとうございます。」

??「これより、わが鎮守府が10月に行う鎮守府ふれあい感謝祭の説明会を行いたいと思います。」

大淀「進行はこの大淀が務めさせていただきます。」




259 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:41:23.23 ID:I0nKimoM0

で、説明会が始まった。

最初は挨拶から始まり、この"鎮守府ふれあい感謝祭"をなぜ行うようになったかをざっくりと説明していた。

まぁ、周りの住民の皆さんと強い絆を結び、この鎮守府をもっと知ってもらいたい。そういう狙いがあるそうだ。

でも、だいたいの一般開放がそうなんじゃ…でもこれ言ったら多分怒られるんだろうな…

大淀「そして今年も鎮守府ふれあい感謝祭を行います。」

大淀「ただ、今年はもっと趣向を凝らしたいと思うのです。」

趣向を凝らしたい?

大淀「今まで、この鎮守府ふれあい感謝祭はわが鎮守府のメンバーのみがやっておりました。」

大淀「近辺の住民の皆々様方、遠路はるばる来られた方もいらっしゃいました。」

大淀「ただ、このやり方だと、この鎮守府だけが盛り上がり、地元の方には何も利益がないように思えたのです。」

大淀「提督はこのままではダメだと判断し、今年はもっと大きな規模でやりたいとおっしゃいました。」

寺本「大きな規模と言うのは?」

大淀「この町全体です。」

この町!?




260 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:42:00.25 ID:I0nKimoM0

権蔵「つまり、我々の協力も必要ってことかい?」

大淀「はい。勝手な事だとは分かっています。ですが、我々としてももっと地域に密着したいのです。」

店主「十分密着してると思うけど…」

寺本「そうですよね。」

岡崎「でも、具体的に話してもらわないと…」

岡崎さんの言う通り。

ただ協力してって言われても…

大淀「すみません。お手元の資料をご覧ください。」

ペラッ

ん?

店主「艦娘のボランティア?」

大淀「はい。地域密着として一番は艦娘・鎮守府主体のイベントではなく、この地域主体のイベントにするということです。」

大淀「つまり、我々が保有する艦娘を無償で1日だけ皆様のお手伝いをさせていただきます。」

それって…




261 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:43:36.38 ID:I0nKimoM0

寺本「それっていうのは、たとえば感謝祭当日に露店とかをやった時、艦娘がボランティアで手伝ってくれたりするってことですか?」

大淀「はい。」

ほぉ。要は吹雪たちが俺たちの商売の手伝いをするのか…

権蔵「じゃあ、うちに来ているあの嬢ちゃんたちも手伝ってくれるわけかい?」

大淀「はい。もちろん露店等で稼いでいただいたものは、そのまま皆様のモノになります。」

そうか無償だからバイト代も…

柿本「それだったら、問題ないのでは?」

岡崎「そうですね。」

真田「そうですね。いつもお世話になってるんですから。」

坂田「おおっ、そうなるとその日の酒の売り上げがうんと上がるな。」

皆盛り上がってきたな。

これは全会一致ってことになるのかな?




262 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:44:06.69 ID:I0nKimoM0

待てよ。

店主「あの。」

大淀「はい。」

店主「その、来てくれる艦娘はこちらで選べたり出来るんですか?」

大淀「と言いますと?」

店主「いやぁほら。初めての子相手だとギクシャクしたら可哀想だなって。」

店主「慣れた方がいいでしょ?」

大淀「ああ、大丈夫です。」

大淀「ただ、こちらの演目の事もありますので、選べるのは限られた艦娘になります。」

そうだよな…

吹雪たちは大丈夫かな?

北上は…主力組っぽいし、ちょっと無理そうかな?




263 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:45:01.98 ID:I0nKimoM0

権蔵「じゃあ、大和ちゃんと武蔵ちゃんは貸してくんねぇのか?」


シー…ン


うわっ騒めいてた会議室が一瞬で静かに…

っていうか…

え?今なんて言った。

大和!?

あの大和だよね!?

いるの!?

権蔵「ダメかい?」

大淀「あの二人は…」






??「別に構わないと思うぞ。」





大淀「っ!?」




264 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:45:46.13 ID:I0nKimoM0

大淀「提督!」

提督「大和と武蔵の件は大丈夫です。喜んでお貸ししましょう。」

大淀「でも!」

提督「あの二人は、いつも感謝祭の時は室内待機だったからな。」

提督「艤装だって付けないんだ。資材の減りを気にすることもない。」

提督「あいつらだって羽を伸ばしたいさ。」

提督「それに、いつもおいしい団子。ありがとうございます。」

権蔵「いやいや、それしか能がないからね。」



いろいろ驚きの展開しかないよ…

大和もびっくりだけど、この人が提督か…

なかなかの色男じゃないか。艦娘に人気があるんだろうな。




265 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:46:17.57 ID:I0nKimoM0


??「司令官。」

提督「叢雲か。」

叢雲「時間よ。」

提督「うむ。」

提督「突然の乱入失礼しました。」


忙しい方なんだろうな。

大淀「失礼いたしました。」ゴホンッ

大淀「では、今から書類を渡します。」

大淀「この書類に派遣してほしい艦娘の名前を記入して、後日提出してください。」

ん?ご丁寧に派遣できる艦娘のリストまであるのか。

ああ、やっぱ北上と大井は無理か。

じゃあ、いつもの4人を借りるか。



しかし、鎮守府も思い切ったことをするね。








266 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:46:46.94 ID:I0nKimoM0




数日後


店主「ってなことがあってな。」

吹雪「聞きました。でも、私たちは楽しみです。」

深雪「そうそう、いつもと違う事をやるってテンション上がるよな。」

白雪「確かに。でも、北上先輩と大井先輩が…」

初雪「すっごい落ち込んでた…」

店主「だろうなぁ…」

リストに載ってないんじゃ仕方ない。

他にやることがあるんだろうけど。

店主「で、鎮守府じゃ何やるんだ?」

吹雪「仮装演習大会です。」

店主「…」

店主「…は?」




267 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:47:22.53 ID:I0nKimoM0

白雪「ですから。仮装演習大会です。」

なにそれ。

店主「何するんだ…それ?」

深雪「みんな各々、コスプレしたりして、演習をするんだよ。」

初雪「かいつまんで言ったらそんな感じ。」

吹雪「でも、人気なんですよ?」

そうなのか!

店主「仮装大会プラス演習って感じなのか。」

深雪「そうそう。」

吹雪「演習って言っても本気じゃないですからね。」




268 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:47:59.95 ID:I0nKimoM0

白雪「去年なんて小学生姿の龍驤さんがハリセンもって、OL姿の黒潮ちゃんを追いかけてたって言ってたし。」

吹雪「そうそう。あと夕張さんが、水を撃つ砲台を積み過ぎて沈みそうになったり。」

白雪「そうそうそう。相手チームが必至に助けてるんだけど、仲間がなぜか助けず相手チームにピコハンの雨アラレで。」

初雪「そのあと、相手チームの摩耶さんがブチ切れて無双してた。」

楽しそうだな…

吹雪「やりたかったけど…」

白雪「ほとんど前線組とベテラン組だったしね。」

深雪「おいおい、暗くなるなよ。」

初雪「今年は出番あるから。」

店主「そうだ。俺はお前たちを選んだしな。」

吹雪「本当ですか!?」

店主「ああ。当日はよろしく頼むな。」

白雪「やった。」




269 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:48:33.54 ID:I0nKimoM0

深雪「なぁ、何やるんだ?」

店主「そうだな…もうその頃は涼しくなってるだろうし、ホットスナックとドリンクかな。」

深雪「フライドポテト?」

初雪「フライドチキン?」

店主「その辺は…まだ考えてないけど…」

よっぽど嬉しいんだろうな。

吹雪「北上先輩にまた睨まれちゃうね。」

白雪「本当だね。」

まぁ、何やるかはゆっくり考えればいいさ。






270 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:48:59.60 ID:I0nKimoM0






ここは食堂「街角や」。

ランチもディナーもぜひここで。

時と場合により土日でも開店することがあります。










271 ◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/09/12(土) 01:49:30.33 ID:I0nKimoM0



店主「でさ。」

4人「?」

店主「大和っているの?」

吹雪「はい。」

そうなのかぁ…

権蔵さんのとこ、売上良いんだろうな…

宣伝効果大!






273 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/12(土) 02:11:25.28 ID:sjZsCYBAO
「小学生姿の龍驤」
ん?仮装してるか?



274 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/12(土) 02:22:50.00 ID:nfmhHgtc0
朝潮型軽空母 実在していたとは…



275 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/12(土) 02:32:22.01 ID:kcIdu+k5O
食堂だけじゃなくて他の店も艦娘と交流あるっぽいのが凄い和む



286 ◆MyIMarvEFy8D :2015/09/15(火) 14:19:08.19 ID:PoDhQOjm0
ぬいぬい人気だね。

ちょっとおまけ投下。

本編は夜中に






~ベーカリーこむぎや~

カランカランッ

柿本「いらっしゃいませ。」

不知火「…」

柿本「おや、不知火ちゃん。」

不知火「いっいつものを…」

柿本「はい少々お待ちを。」



柿本「はい、いつものカレーパン。」

不知火「あ…ありがとうございます。」テレテレ

柿本「そんな緊張しなさんなって。前、鎮守府であった時みたいに…」

不知火「あれは、艦娘としての不知火です…今は違います。」

柿本「そう?にしても、いつもカレーパンだね?」

柿本「海軍ってカレーのイメージあるけど、食べないの?」

不知火「食べますよ。」

柿本「飽きない?」

不知火「全然違いますから…」

不知火「…ここのは、やさしいカレーです。」ボソッ

柿本「?…なんだって?」

不知火「っ!お代ここに置いておきます!」ダッ

柿本「あっ一個おまけで多く入れといたから…ってもう居ないし。」






不知火「…ふふ。」ニッコリ





288 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/15(火) 22:11:58.12 ID:de2B6vDXO
ぬいぬい誑し込むとは柿本め…

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