1 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:34:15 ID:DrVDIwi2
─ 比古の小屋 ─
比古(久しぶりに山を下りてみたら──)
比古(世間はずいぶん血生臭いことになっていやがった)
比古(なんでも志々雄真実とかいう輩が暗躍しているから、らしいが……)
比古「…………」
比古(飛天御剣流は自由の剣ではあるが──)
比古(時代時代の苦難から人々を救う剣でもある)
比古(志々雄真実……放っておくわけにもいかんか)
2 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:35:50 ID:DrVDIwi2
比古「そうと決まれば、やるのは早い方がいい」パチン…
比古「とっとと志々雄とやらのアジトを探して、討伐するに限る」パチン…
バサァッ!
ドズゥンッ!
比古(この白外套(マント)とも、しばらくお別れだな)
比古「ちいと本気出して志々雄討伐するか」ザッ…
3 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:37:36 ID:DrVDIwi2
─ 町 ─
兵士A「今日からこの地域は志々雄様が統治する!」
兵士B「貴様ら住民は大人しく従え!」
兵士C「従わねば、処刑する!」
「ひいい……」 「なんなんだよ、こいつら……」 「だれか助けてくれェ!」
比古「オイオイ」
比古「いつから京都はてめーらみたいな無粋な輩のモンになったんだ?」ザッ
4 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:40:09 ID:DrVDIwi2
兵士A「貴様、何者だ!?」
比古「これから死ぬ輩に名乗っても、意味がねェよ」
ザシュッ! ザンッ! スバッ! ドシュッ!
兵士C「う、ぐぐぐ……」
比古「志々雄のアジトはどこだ? 死にたくなきゃ吐け」
兵士C「知るもの、か……!」ガリッ…
比古「舌を噛んだか……悪党ながら見上げた根性だ。一撃で楽にしてやる」
ザクッ! ドサッ……
比古(なかなか訓練されていやがる。手下どもを拷問にかけるのは下策かもしれんな)
5 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:42:05 ID:DrVDIwi2
─ 居酒屋 ─
比古「…………」グビッ
比古(志々雄のアジト、か……)
比古(近頃の血生臭い事件は、ほとんど京都を中心にした地域で発生している)
比古(ヤツが京都を拠点に置いてるってのはまちがいない)
比古(なおかつ、あれほど多くの兵を蓄えることができ)
比古(しかも、警察の捜査が届きにくい場所……となると限られてくる)
比古(比叡山あたりがクサイな。明日、探索に行ってみるか)グビッ
6 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:44:00 ID:DrVDIwi2
─ 比叡山 ─
比古「!」
比古(あの六連ねの鳥居がある祠(ほこら)……まちがいない)
比古(あれが志々雄真実のアジトだ。“びんご”ってやつだな)
比古(これも飛天御剣流の先読み能力の成せる芸当……いや)
比古(この俺の天才的頭脳の成せる芸当、か)フッ…
7 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:44:17 ID:pbp3556k
剣心「ふに~師匠のおかげでニート満喫できるでござる」
8 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:47:14 ID:DrVDIwi2
すると──
ズシン……
才槌「ひょ~ひょっひょっひょ!」
才槌「不二よ! また性懲りもなく、アリが一匹やってきおったぞ!」
才槌「叩き潰してやれい!」
不二「うおおおお……!」ズシン…
比古「なるほど、警察の手が及ばなかったのはこいつらが原因だったってわけか」
比古「重たい鎧に隠れたまんまじゃ──と忠告しときたいところだが」
比古「こんなところで時間をかけるわけにゃいかねェ」チャキッ
比古(飛天御剣流、九頭龍閃!!!)
ドドドドドドドドドッ!!!
9 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:49:11 ID:DrVDIwi2
─ アジト中枢部 ─
兵士D「申し上げます!」
兵士D「才槌様と不二様が、アジト入り口にて木っ端微塵に……!」
兵士D「さらに、侵入者は兵士たちを次々に……!」
方治「な、なんだと!?」
志々雄「ほぉう、面白ぇじゃねえか」
志々雄「やってきたのは、緋村抜刀斎か、あるいは斎藤一か……」
志々雄「予定より早めに十本刀を集結させてたのは正解だったな」
志々雄「方治、十本刀に侵入者の迎撃をさせろ」
方治「はっ!」
10 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:52:36 ID:DrVDIwi2
─ アジト内 ─
比古(しかし、このアジトは罠だらけだな……)ザッザッ…
比古(俺でなきゃ、とっくにお陀仏になっていただろう)ザッザッ…
比古「!」
張「おっと! こっから先は行かせへんで!」
鎌足「なかなかいい男だけど……志々雄様の邪魔をするなら、首をちぎっちゃうわよ」
夷腕坊「ぐふっ、ぐふふふふ……」
蝙也「この“飛翔”の蝙也の飛空発破に敵はない!」
比古「悪いが、てめえらと遊んでるヒマはねえ」
比古(飛天御剣流、九頭龍閃!!!)
ドドドドドドドドドドッ!
ドササササッ……
11 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:55:19 ID:DrVDIwi2
─ 衆合乃間 ─
安慈「我が“二重の極み”を受けてみよ!」
ガゴォンッ!
比古「たしかにすげェ破壊力だが……当たらなきゃ意味がねェよ」
バッ!
安慈「き、消え……ッ!」
比古(飛天御剣流、龍槌閃!!!)
ザンッ!!!
安慈「つ、つばき……み、みん……な……」ドサッ…
比古「お前のいう“救世”じゃ、だれも救えねェよ。お前自身すらもな」
12 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:57:21 ID:DrVDIwi2
─ 叫喚乃間 ─
宇水「貴様の技や筋力がどれだけ優れていようと、私の“心眼”の前には無意味!」
比古(コイツ……どうやら耳でこちらの動きを読んでるらしいな)
比古「なら、ハナシは早え」
比古(飛天御剣流、龍鳴閃!!!)ジャキンッ
キィィィィン……
宇水「!?」
宇水「うぎゃああああああっ! 耳が、耳がぁぁぁっ!」
比古(飛天御剣流、龍翔閃!!!)
ドシュッ!!!
宇水「ぐはぁぁぁっ……!」ドチャッ…
比古「龍鳴閃を使わずとも勝てたが、たまには使ってやらねェと技が錆びちまうからな」
13 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 01:59:46 ID:DrVDIwi2
─ 無間乃間 ─
宗次郎「あなたは強いみたいだから、いきなり本気でいきますよ」トーントーン…
比古「俺もな」
比古(飛天御剣流、九頭龍閃!!!)ドドドドドドドドドッ
比古(──かわされた!?)
宗次郎「これでおしまいで──」ヒュッ
ベキィッ!!!
宗次郎「がはっ……! 鞘での、二撃目……!?」メキベキボキバキ…
比古「たしかにお前は速い。俺より──いや、飛天御剣流よりもな」
比古「だが、飛天御剣流は速ければ破れるほど、安くはない」
宗次郎「ぼ、ぼくの……完敗、で、す……」
ザシュッ!
14 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:01:31 ID:RTQKOMkE
流石師匠…容赦ないw
15 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:02:54 ID:DrVDIwi2
─ 大灼熱の間 ─
方治「十本刀が、手傷一つ負わせられず壊滅だと……!?」
由美「ウソよ……こんなの……!」
志々雄「フッ……世の中にゃまだまだ強え奴が潜んでるってことか」
志々雄「アンタ、いったい何者だ?」
比古「新津覚之信……いや、比古清十郎」
志々雄「なるほど、聞いたことがある」
志々雄「飛天御剣流の継承者は代々“比古清十郎”の名を受け継ぐ、と」
方治「飛天御剣流! ──ということはこの男、まさか!?」
志々雄「俺の先輩の、師匠……ってとこだろうよ。どうりで強いわけだ」
方治「緋村抜刀斎の……師……!」ゴクッ…
比古「アイツはもう俺の弟子でもなんでもねーがな。ケンカ別れしちまったし」
比古「さてと、とっとと始めようぜ」
志々雄「こんなに血が沸き立つのは久々……いや生まれて初めてかもしれねェな」
16 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:05:45 ID:DrVDIwi2
志々雄「シャアアアアアアアアッ!」ボワァッ
比古「飛天御剣流奥義──」
比古(天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!!!)
ザンッ!!!
志々雄「アアアアアアアアッ!?」ボワァァァッ
ボワァァァァ……
シュゥゥゥゥ……
由美「いやぁぁぁぁぁっ!」
方治「な、なにが起きた!? 斬られた志々雄様が、燃え尽きてしまわれた……!」
比古「天翔龍閃による摩擦熱に加え──」
比古「ヤツの火傷による異常体質、さらには刀に付着していた脂、が原因ってところか」
比古「悪鬼は燃え尽き、地獄に旅立ったようだな」
17 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:08:04 ID:DrVDIwi2
方治「志々雄様がいなくては、もはや“国盗り”はここまで……!」
方治「私も愛銃をもって、あなたのお供をいたします」スッ…
バンッ!
由美「私も……今、おそばに参りますわ」スッ…
グサッ!
比古(自害したか……大した忠臣どもだ)
比古(志々雄真実……もしかしたら、本当に日本を盗れる器だったのかもしれねェな)
こうして、比古清十郎の戦いは終わった──
18 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:11:15 ID:DrVDIwi2
その後──
─ 神谷道場 ─
剣心「斎藤……十年ぶりでござるな」
斎藤「ああ」
剣心「いったい何用でござるか?」
斎藤「志々雄が京都で暗躍を始めた」
剣心「!」
斎藤「──のだが、謎の剣客によって討伐されたらしい。 ──以上だ」
斎藤「人斬りをやめ、流浪人となったキサマにもはや興味はないが」
斎藤「“後輩”の末路ぐらいは伝えておこうと思ってな」ザッ…
剣心「…………」
剣心(京都で、志々雄ほどの男を討伐できる剣客……まさか……!?)ハッ
剣心(いや……あの人がそんなことをするわけがない、な……)
おわり
19 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:16:14 ID:dHhSFEOE
乙
やっぱ師匠強いわ
20 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 02:19:04 ID:pbp3556k
乙
22 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 03:26:56 ID:j8VgZnmA
乙!
23 :
以下、名無しが深夜にお送りします :2015/04/08(水) 08:13:03 ID:wcBREUnQ
乙、
割りとマジでこんな感じだよね
転載元
比古清十郎「ちいと本気出して志々雄討伐するか」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1428424455/ 黒碕 薫
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やっぱ暴れさせたらダメだわ