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剣心「拙者の十字傷がなくなったでござる!」

2015/01/01 06:00 | CM(2) | その他 るろ剣 SS
1 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:47:43 ID:8MKrX.5g
神谷道場──

早朝、桶に入った水で顔を洗おうとする剣心。

剣心「ふぅ……」チャプ…

剣心「──ん?」

剣心「!」

剣心(な、ない……!)

剣心(十字傷がなくなっている……!?)



2 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:50:49 ID:8MKrX.5g
剣心(ない! たしかにない!)

剣心(清里殿……巴……。拙者があの二人を斬殺した時についた傷が……なくなった……)

剣心(二人とも……かたじけない……!)

剣心「おっと、こうしてはおられぬ」スクッ

剣心「拙者の十字傷は、もはや拙者だけの問題ではなかったのだからな」

剣心「さっそく薫殿や弥彦にも、このことを伝えねば……!」


3 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:53:20 ID:8MKrX.5g
まもなく薫が起きてきた。

剣心「薫殿!」

薫「?」

剣心「拙者の頬を見て欲しい!」

剣心「ほら、十字傷が消えたでござるよ!」

薫「…………?」

剣心「……どうしたでござるか?」

薫「あなた……誰?」


4 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:56:39 ID:8MKrX.5g
剣心「なにいってるでござるか? 拙者は緋村剣心でござるよ」

薫「そっちこそなにいってるのよ!」

薫「剣心はそんな顔してないわ!」

薫「さてはあなた、剣心の名を騙るニセモノね!? ──覚悟っ!」ブンッ

剣心「おろっ!?」

竹刀を振り回す薫に、剣心はなすすべなく逃げ出した。


5 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:00:27 ID:8MKrX.5g
剣心「──ふぅ、ひどい目にあった」

剣心「薫殿は、どうやらまだ寝ぼけていたようでござるな」

剣心(……お、あそこにいるのは弥彦)

剣心(こんな朝早くから稽古とは、感心感心……)

剣心「おぉい、弥彦」

弥彦「ん?」


6 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:05:03 ID:8MKrX.5g
剣心「こんな朝早くから稽古とは、はりきっているでござるな」

弥彦「!」

弥彦「誰だてめぇ!」サッ

竹刀を構える弥彦。

剣心「!?」

弥彦「物盗りか……!?」

剣心「弥彦、拙者は緋村剣心──」

弥彦「ウソつくんじゃねえ!」ブンッ

剣心「おろろっ!?」


7 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:08:12 ID:8MKrX.5g
道場の門まで逃げてきた剣心。

剣心「やれやれ、弥彦まで寝ぼけているとは──ん」

剣心(おお、あれは左之)

剣心(さては朝食をたかりに来たでござるな)

剣心「おはようでござる、左之」

左之助「ん? だれだ、おめぇ」

剣心「!?」


8 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:11:20 ID:8MKrX.5g
剣心「拙者でござるよ! 緋村剣心でござる!」

左之助「なにいってやがる。顔が全然違うじゃねぇかよ」

左之助「よりによってあの緋村剣心の名を騙るたぁ、ふてぇ野郎だ」

左之助「俺の拳でちったぁ反省しやがれ!」ブンッ

剣心「うわっと!」ババッ

左之助「やるな……。身のこなしだけは本人みてぇじゃねえか」

剣心「だから本人でござる!」

左之助「まだいうか! この野郎!」

剣心(ダメだ……話が通じない! ここは退散するしかないでござるな!)スタタタッ

左之助「あっ、待ちやがれ!」


9 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:16:40 ID:8MKrX.5g
町──

剣心「……どうやらもう追ってこないようでござるな」

剣心「それにしても、みんなどうしてしまったのか」

剣心「皆で示し合わせてふざけている、というわけでもなさそうだし」

剣心「なにかおかしな薬でも盛られたとしか……」

剣心(──まさか! 縁のように拙者に恨みを持つ者が)

剣心(神谷道場の井戸に……たとえば他人を認識できなくなる薬を混ぜた!?)

剣心(突飛な発想ではあるが、絶対にありえないとはいえない……)

剣心(薬といえば、やはり恵殿でござるな)

剣心(恵殿のところに行ってみよう!)


10 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:19:44 ID:8MKrX.5g
小国診療所──

剣心「恵殿、おはようでござる」

恵「おはようございます」

恵「ところで、本日はどうされましたか?」

剣心(この反応! ま、まさか……!?)

剣心「恵殿! 拙者が分からないでござるか!?」

恵「え、ええ……だってあなたとお会いするのは初めて──」

剣心(こ、こんな! こんなっ……! 恵殿まで……!)

剣心「し、失礼するでござる!」スタタッ


11 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:22:36 ID:8MKrX.5g
自分の置かれている状況が、想像以上に深刻だと悟った剣心。

剣心(恵殿も、拙者が分からなかった……!)

剣心(いったいなにがどうなっているでござるか……!?)

剣心(あと……この町で拙者がよく訪れるところといえば……赤べこと警察署)

剣心(まずは、赤べこに行ってみよう……!)


12 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:26:49 ID:8MKrX.5g
赤べこ──

妙「拙者が誰に見えるか……って、申し訳ありません」

妙「お客さんとは今日初めてお会いしますし……」

燕「す、すみません……。分かりません……」

剣心「いや……こちらこそ妙な質問をしてしまってすまぬでござる」

剣心(予想はできていたが、やはり……)

剣心(二人とも、拙者のことが緋村剣心に見えていない!)

剣心(となると、あとは斎藤ぐらいだが……きっとダメでござろうな)


13 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:29:54 ID:8MKrX.5g
警察署──

たまたま外にいた斎藤に、こっそりと近づく剣心。

剣心「さ、斎藤……」

斎藤「?」

斎藤「…………」ジッ…

斎藤「なんだ、抜刀斎か。なんの用だ」

剣心「おろ!?」


14 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:32:23 ID:8MKrX.5g
剣心「斎藤! 拙者が緋村剣心だと分かるのか!?」

斎藤(一瞬戸惑ったがな……)

剣心「さすが、拙者の宿敵でござる! 新撰組三番隊組長でござる!」

斎藤「……なにかあったのか?」

剣心「じ、実は──」

剣心は朝から今までに起こったことを全て打ち明けた。


15 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:37:09 ID:8MKrX.5g
斎藤「フン……なるほどな」

斎藤「神谷の娘をはじめ、皆がお前をお前と認識できなくなったわけか」

剣心「なぜこうなってしまったか、思い当たる節はないか?」

斎藤「答えは一つしかあるまい」

剣心「なんでござるか?」

斎藤「ずばり、お前の十字傷がなくなったからだ」

斎藤「お前の最大の特徴といえる十字傷がなくなったことで」

斎藤「お前を知る人間はお前が“緋村剣心”だと分からなくなってしまったんだ」

剣心「ええっ!?」


16 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:42:18 ID:8MKrX.5g
剣心「そんな……それだけのことで!?」

斎藤「人間なんてもんは、意外と一部の特徴だけで他人を見分けているからな」

斎藤「その特徴が消えてしまえば、分からなくなることも十分ありえる」

斎藤「俺は池田屋事件の時、まだ一本傷だった頃のお前を見ていたから」

斎藤「かろうじてお前のことを見抜けたがな」

剣心(斎藤でもかろうじて、か……)

剣心(であれば、皆が分からなくなってしまうのも無理はないかもしれぬ……)


17 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:46:29 ID:8MKrX.5g
剣心「斎藤、拙者はどうすればいいでござるか?」

斎藤「さぁな」

斎藤「なんだったら、もう一度十字傷をつけてみたらどうだ」

剣心「なら……宿敵のよしみで十字傷をつけてはくれぬか」

斎藤「なにが宿敵のよしみだ。阿呆が。自分でやれ」

剣心「しかし、自分でやるのはなかなか難し──」

斎藤「知るか」

結局、警察署を追い出されてしまった。


18 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:50:18 ID:8MKrX.5g
剣心(このままではまずい)

剣心(とにかくもう一度神谷道場に戻って──)

剣心「!」

剣心「あの大男はたしか……かつて神谷道場を乗っ取ろうとした……比留間伍兵衛!」


伍兵衛(ちくしょう、こないだの用心棒をしくじって)

伍兵衛(顔面に十字傷がついちまった……)

伍兵衛(俺はなんてついてねぇんだ!)

比留間伍兵衛は左之助の故郷から東京に戻り、相変わらず用心棒稼業を続けていた。


19 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:55:42 ID:8MKrX.5g
神谷道場──

薫「あら、剣心じゃない!」

弥彦「どこ行ってたんだよ。朝から姿が見えないから心配したぜ!」

伍兵衛「え?」

薫「どうしたの? 早く入りなさいよ!」グイッ

弥彦「俺に稽古をつけてくれよ!」グイッ

伍兵衛「え? え? え?」

半ば拉致されるように、神谷道場に連れていかれる伍兵衛。


剣心(そ、そんな……! 十字傷があるというだけで……!?)

剣心(かつてニセ抜刀斎を演じていたあの男が、本当に拙者になってしまった……!)

剣心(これでもう、拙者に帰る場所はなくなった……)ガクッ


20 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:59:01 ID:8MKrX.5g
落人群──

剣心(気がついたら、ここに来てしまっていた……)

剣心(かつて、拙者はここで拙者が犯した人斬りの罪に対する答えを見出したが)

剣心(これは……また答えを見出せ、ということなのだろうか……)

剣心(あるいは今度こそ、もう元には戻れぬ、ということなのだろうか……)

剣心「…………」キョロキョロ

剣心(白梅香を持っていたあのご老人は……もういないようでござるな)

剣心「!」ハッ

ここで剣心は驚くべき人物を発見した。


21 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:03:41 ID:.vt7rrzU
剣心「え、縁!?」

縁「?」

縁「…………」ジッ…

縁「抜刀斎か……」

剣心(縁も十字傷でない頃の拙者を知っているから、見抜けるのか……)

剣心「なぜおぬしがこんなところに……!?」

縁「貴様との戦いの後──俺は京都をさまよっていた」

縁「そして、やっと……姉さんの笑顔を取り戻すことができた」

縁「それからというもの……ずっと当てもなく放浪を続けている……」

縁「もはや、俺に“人誅”の意志はない……」

剣心「!」

剣心「そうでござるか……」

縁「…………」


22 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:07:00 ID:.vt7rrzU
縁が突如声を荒げる。

縁「なぜこんなところに、はこちらのセリフだ!」

剣心「!」

縁「貴様は剣と心を賭して、戦いの人生を完遂するんじゃなかったのか!?」

縁「なのになぜ、こんなところで独り無様にうずくまっている!?」

縁「あの誓いは破棄したということなのか!?」

剣心「い、いやちがう! ちがうでござる!」

縁「じゃあなぜこんなところにいる!? 答えろ!」

剣心「は、話せば長くなるが──」

剣心は全てを打ち明けた。


23 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:09:49 ID:.vt7rrzU
縁「そういうことか……」

縁(俺が一瞬、抜刀斎のことが分からなかったのはそういうことだったのか……)

剣心「頼む! 拙者の頬に十字傷をつけて欲しいでござる!」

縁「…………」

縁「いいだろう」

剣心「おおっ!」

縁「ただし、おそらく俺では勢い余って貴様を殺してしまうだろう」

縁「まだ完全に貴様を許したわけではないからな」

縁「だから……ここは姉さんに頼むしかあるまい」

剣心「え?」


24 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:13:35 ID:.vt7rrzU
剣心「巴に頼むというのは、いったいどういうことでござるか?」

縁「俺は姉さんと対話をするうち、この世とあの世を繋ぐ理(ことわり)を理解した」

剣心「え……?」

縁「そしてついに、この世とあの世の狭間で、死者と干渉し合う術を編み出した」

剣心「ええ……?」

剣心(なんだかとんでもないことに……)

縁「その術で、俺から姉さんに頼み、貴様の新しい十字傷をつけてもらうことにする」

剣心「わ、分かったでござる」

縁「…………」

目をつぶり、念じる縁。


25 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:16:49 ID:.vt7rrzU
……

……

縁「……姉さん」

巴『あら、どうしたの?』

縁「実は抜刀斎の十字傷が消えてしまったんだ」

巴『まぁ、それはよかった……。わざわざ報告しに来てくれたの? ありがとう』

縁「だが、そのせいで最大の外見的特徴がなくなってしまい」

縁「周囲の人間が抜刀斎を抜刀斎と認識できなくなったらしいんだ」

巴『あら……』

縁「というわけで、もう一度十字傷をつけてあげてくれないか」

巴『分かったわ』


26 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:19:22 ID:.vt7rrzU
巴『だけど、あの十字傷は私一人でつけたわけじゃないの』

縁「そうか! 姉さんの婚約者!」

巴『ええ、だから呼んでくるわね』

縁「ありがとう、姉さん」


剣心(さっきから縁が必死になにやら念じているが……)

剣心(本当に対話をしているのだろうか……?)


27 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:22:02 ID:.vt7rrzU
清里『君は巴の弟の……ずいぶん大きくなったね』

縁「死んでからも働いてもらうことになってしまって悪いが」

縁「アンタに協力して欲しいことがある」

清里『ぼくにできることなら、喜んで協力するよ』

……

……


28 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:25:44 ID:.vt7rrzU
縁「よし、二人に協力してもらうことに成功した」

縁「今度は貴様が、あの二人のいる場所に行け」

剣心「それはまさか……死ねということでござるか!?」

縁「そうではない」

縁「貴様もここで生き地獄を味わっていた時、見えたはずだ」

縁「この世とあの世の狭間をな。二人はそこで貴様を待っている」

剣心(そういえば……志々雄が迎えに来たことがあった……)

縁「あの時の感覚を思い出せば、二人のもとにたどり着くことができるはずだ」

剣心「ずいぶん“あばうと”な説明でござるが、承知した!」


29 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:28:05 ID:r8ULtWjg
あれ面白いぞこれ


30 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:29:15 ID:.vt7rrzU
剣心(えぇ~と、薫殿が死んだと思い込んだ時のあの気持ちを思い出すでござる!)

剣心「…………」グッ…

……

……

……

やがて、剣心は彼岸花が生い茂る場所に到着した。

剣心「ここは……」

剣心(志々雄が迎えに来た時とは全然ちがう……。穏やかな場所でござる……)

巴『お久しぶりです、あなた』

剣心「巴……!」


31 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:34:13 ID:.vt7rrzU
清里『こんにちは』

剣心「あなたは……清里殿!?」

剣心「せ、拙者はこれから幸せになろうとしていたあなたを──」

清里『よしましょう、緋村さん』スッ…

清里『あなたに全く恨みがないとはいいませんが』

清里『我々はともにあの狂に満ちた“幕末”を戦った仲──』

清里『今さら、あなたになにかをいうつもりはありません』

清里『どうか、あなたはあなたの人生を歩んで下さい』

剣心「かたじけない……」

巴『ところで、十字傷を再びつければいいんでしたよね?』

剣心「あっ、そうでござる! ぜひお願いする!」


32 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:37:19 ID:.vt7rrzU
刀を構える清里。

清里『じゃあまずぼくから……せいっ!』ブンッ

ザシュッ!

剣心「ぐおおっ!?」

清里『すっ、すみません! あの時、緋村さんと戦った時の必死さがよみがえって……!』

剣心「い、いや……これぐらい深い方がいいでござる」ボタボタ…


33 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:40:05 ID:.vt7rrzU
巴『次は私ですね』

巴『では……』

ドシュッ!

剣心「ぐああっ!」

剣心(刃物に慣れてないせいか、清里殿より斬り方が雑でござる!)ボタボタ…

巴『あっ、ごめんなさい……』

清里『だ、大丈夫ですか!?』

剣心「いや……これでいい……。これでいいのでござる」


34 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:44:04 ID:.vt7rrzU
巴『あっ……』スゥ…

巴『そろそろ……時間のようです……』スゥゥ…

清里『さようなら……』スゥゥ…

剣心「二人も……どうか……」

……

……

……

剣心「!」ハッ

縁「戻ったか」


35 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:48:08 ID:.vt7rrzU
この世とあの世の狭間から戻った、剣心の左頬には──

縁「十字傷ができている……どうやら成功したようだな」

縁「これでもう、貴様の知人が貴様のことを分からなくなるということはあるまい」

剣心「ありがとう……縁」

縁「貴様に礼をいわれる筋合いはない」

剣心「……そうでござるな」

剣心「達者でな、縁。もし気が向いたら、神谷道場に遊びに来て欲しい」

縁「ふん……」

縁に別れを告げると、剣心は落人群をあとにした。


36 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:53:29 ID:.vt7rrzU
神谷道場──

弥彦「薫、こいつ本当に剣心かよ? 腕力だけで、技のキレは全然へっぽこだぜ!」

薫「そうよねぇ。だけど……十字傷あるし……」

弥彦「だよな……。こいつが剣心だよなぁ……」

伍兵衛(最悪だ……!)

伍兵衛(メシはマズイし、この弥彦ってガキはずいぶん腕を上げてるし……)

伍兵衛(もうこんなところにいたくない……! 誰か助けて……!)


37 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:57:21 ID:.vt7rrzU
伍兵衛に疑いの目を持ち始めた二人のもとに、左之助がやってきた。

左之助「おい、剣心が帰ってきたぜ!」

左之助「赤髪で背が低い……なにより十字傷がある! ありゃまちがいなく剣心だ!」

弥彦「マジかよ!?」

薫「ってことは、この人は……!?」

伍兵衛(よく分からねぇが、逃げる好機!)ダダダダダッ

薫「あっ、逃げた!」

弥彦「どうやらあいつはニセ剣心だったみてぇだな」


38 ◆LlMKd/JEiM :2014/12/30(火) 01:01:45 ID:.vt7rrzU
道場の門で、剣心を出迎える薫たち。

薫「剣心!」

弥彦「今度は本物の剣心だ! よ~し、稽古つけてくれよ!」

左之助「ったく、どこ行ってやがったんでぇ」

左之助「ま、オメーもたまには一人になりたい時ぐらいあるだろうけどな」ニッ

薫「お帰りなさい、剣心」


剣心「…………」ニコッ

剣心「ただいまでござる」





~ 完 ~


39 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 01:10:21 ID:On7BwpBk



40 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 01:16:53 ID:cUsZbsgg
許された証拠より認知されなくなった方が重要なのか


41 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 02:33:54 ID:1wPyEi/g

雰囲気が出ててよかった


42 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 09:07:41 ID:czHnMhIc
面白かったでござるよ


43 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 10:08:18 ID:Z41LQOvE
ホンマ巴さんは天使やでぇ


転載元

剣心「拙者の十字傷がなくなったでござる!」

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1419860863/







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2015/01/01 06:00 | CM(2) | その他 るろ剣 SS
    コメント一覧
  1. 774@いんばりあん [ 2015/01/01 10:34 ]
  2. イイハナシダナー
  3. 名無しの剣士 [ 2015/08/29 19:03 ]
  4. 左之助「どこ行ってたんでー」あれほど言ったの色付きの文字剣心だと承知しなかったのどこの誰だ
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