625 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:30:00.29 ID:g6Wv5wPZ0
吹雪「ごちそうさまでした。」
深雪「また来るぜ。」
白雪「お邪魔しました。」
初雪「ごちそうさま。」
店主「おう、また来いよ。」
吹雪たちはすっかり常連だな。
しかし「また来いよ」とは俺も図々しくなったもんだ。
あれでも一応"お客様"なのにな。
さて、片づけますか。
626 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:30:31.21 ID:g6Wv5wPZ0
カチャカチャ
常連と言えば、最近一人増えたな。
足柄さんだっけ。なかなかの美人さんだ。
あれで吹雪たちと一緒の艦娘なんだから驚きだ。
一時期は那智って人と一緒に来てたけど…最近は一人だな。
那智さんのお口に合わなかったか?
それはそれで悲しいな。
足柄さんだけでも来てくれるなら御の字だ。
でも、今日は来なかったな…
毎日じゃないけど頻度は高いんだが…
ん?待てよ…今日は金曜日じゃないか!
ってことはいつもの連中が来るな…
627 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:31:28.01 ID:g6Wv5wPZ0
店主「あっ!」
しまった…糠漬け漬けてない…
というか昼のランチで出してて無くなったんだっけ…
元々は市販の浅漬けを出す予定だったのに…買い忘れてたんだよな…
今度からはしっかり買い足さなくては。
してどうする。
代わりは…
深海「休憩いただきました。」
店主「…おう。」
深海「なに、考え事?」
店主「少しな。」
628 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:32:47.89 ID:g6Wv5wPZ0
深海「今日、金曜日だよ?準備しなくていいの?」
店主「それだよ。糠漬けないじゃん?」
深海「ああ…で、お任せでどうするかって話?」
店主「そうそう。」
あの人たちいつもお任せだからな…
糠漬けはその一つだったのに…
困った。
店主「困った。」
深海「別に糠漬け以外でいいんじゃない?鳳翔さんにレシピ教えたんでしょ?」
店主「それがな…そのことを忘れてて、ついうっかり出してしまったんだ。そしたら…」
隼鷹『やっぱ、こっちはこっちでうまい!』
龍驤『ほんまほんま!』
店主「てな具合でな。」
629 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:33:35.19 ID:g6Wv5wPZ0
深海「まぁ、そうかもしれないけどさ。たまには他のも出してみたら?」
店主「例えば?」
深海「例えば?…私に聞く?」
店主「言い出しっぺじゃんか。」
深海「私が作れるとでも?」
店主「この間の海藻サラダはうまかった。」
深海「あれはワカメと大根合わせただけじゃん!ドレッシングだって市販の玉ねぎドレッシングかけただけだし…」
店主「出来るだけマシ。…それいってみるか。」
深海「ちょっと!」
店主「だめ?簡単だしさ。」
深海「…おやっさんがいいのなら。いいけど。」
630 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:34:17.40 ID:g6Wv5wPZ0
深海「…もうちょっと手を加えたものにしない?」
店主「例えば?」
深海「例えば…って同じ質問するなぁ!」
意地悪だったかな?
深海「だいたい、キュウリが余ってて困ったって言ってたでしょ!だったらそれ使ったら!」
店主「キュウリ…もろきゅうとか?」
深海「いいんじゃない?」
店主「浅漬け…塩キュウリ!」
深海「…早く準備しないと来ちゃうよ?」モォ
そうだった…
631 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:34:49.00 ID:g6Wv5wPZ0
で、来たのはいいんだけど。
隼鷹「それでよー。」
那智「それは傑作だな。」
龍驤「やろー。」
飛鷹「私たちはいつもウーロン茶なの。」
足柄「そうなの?飲めなかったっけ?」
千代田「飲んだら止める人がいなくなるし…」
千歳「えー、私たちそこまで節操なくないでしょ?」
飛鷹・千代田「どこが!」
足柄「あらあら。」
増えてる。
632 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:35:29.86 ID:g6Wv5wPZ0
いや、厳密には増えてるというか、別に常連になった人たちがプラスされているわけで…新しい客が増えているわけではない。
というか、何がなんでこうなってるんだ?
飛鷹「あっ店長さん。」
店主「えらく大賑わいだね。」
飛鷹「ごめんなさい。足柄さんたちとはそこ(入口)で偶然出会ったの。」
店主「へぇ。」
偶然ね。
いつもは昼頃(ピークを少し過ぎたぐらい)に来るんだけど…
夜とは珍しい。
いや、まだ珍しいと言えるほどの回数は来てないか。
深海「はい、生中3つ!ウーロン茶2つすぐ持ってくるね。」
隼鷹「いつも早いねぇ~。」
飛鷹「ありがとう。」
足柄「早い!」
那智「流石は常連だな。」
633 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:36:00.05 ID:g6Wv5wPZ0
千代田「流石は常連だな…じゃないわよ。あんたら注文は?」
足柄「あっそうそう。」
深海「はい、ウーロン茶2つ。」
千代田「ありがとう。」
那智「すまない。生中をくれるか?ふた…」
足柄「私も…ウーロン茶。」
那智「…なに?」
空母組「!?」
ザワッ
足柄「え?」
店主・深海「?」
なんだ?何が起こった?
空気が急に変わったんだが…
634 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:36:30.08 ID:g6Wv5wPZ0
那智「どうした?熱でもあるのか足柄よ。」
飛鷹「そうよ。遠慮する必要なんてないのに。」
隼鷹「金の心配なんかないだろ。」
足柄「なっ何言ってんのかしら。」ホホホ
空母組(あやしい。)
那智(あからさま過ぎるぞ…)
足柄(やっちゃったかな…)
いつもは飲むのだろうか?
まぁ、なんか理由があるんだろうし。下手に首を突っ込むのは失礼だな。
635 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:37:12.35 ID:g6Wv5wPZ0
隼鷹「まっまぁ、こっちは楽しく飲めたらいいや。」
龍驤「せっせやな。」
隼鷹「そうだ。この店では魔法の言葉を言うとどんどん料理が出てくるんだぜ。」
那智「ほう。」
足柄「それ気になる!」
飛鷹「ちょっと隼鷹。」
隼鷹「おっちゃん。」
店主「ん?」
隼鷹「…なんかない?」フッ
…なんでかっこつけて言うのかな?
飛鷹「なんで格好つけてんのよ…」
まぁ、そうなるね。
636 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:38:08.90 ID:g6Wv5wPZ0
店主「じゃあ、ちょっと待ってな。」
隼鷹「な?」
那智「あ…ああ。」
龍驤「まぁ、この呪文はうち等にしか使えへんけどなー。」
隼鷹・龍驤「あははははは!」
那智(これが使えるのはまだ先だな…)
足柄(これが使えたら私も…)
飛鷹「本当は失礼な事よ?」
隼鷹「寿司屋でもお任せがあるんだから良いだろー。」
千歳「…寿司屋かぁ。」
龍驤「どないしたん?」
637 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:38:36.25 ID:g6Wv5wPZ0
千歳「最近行ってないなぁって。」
千代田「怖くていけません!」
千歳「えぇ~。」
千代田「っていうかこの間出かけた時、街にある100円寿司に行ったばっかりじゃん!」
千歳「回らない…」
千代田「もっとダメ!」
龍驤「なぁ隼鷹。」
隼鷹「ん?」
龍驤「100円寿司って…寿司に入れていいんか?」ニギッテヘンヤン
隼鷹「…やめよう。それ以上は燃え広がるから。」ヨイガサメチマウ
639 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:39:20.46 ID:g6Wv5wPZ0
なんだか話が盛り上がっているが、俺は黙々と作ることに集中しよう。
さて、先ほど言った通り糠漬けは無し。
となると、その代わりとなるものを作らなきゃいけない。
あいにくキュウリが余っている。ならそれで一品。
キュウリをまな板に乗っけて右手に持つは"すりこぎ棒"。
そして叩く。するとキュウリはもちろん割れる。
だいたい一口大がいいかな?
それをビニールに入れて、ごま油・塩・白ごまも一緒に入れる。
そして軽く揉む。
で、完成。
簡単にできる"うましおキュウリ"だ。
…一応、叩き割るというひと手間を付けたぞ。かおるちゃん。
しかし、糠漬けの代わりとして喜んでくれるのだろうか…
そこが心配。
640 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:39:58.23 ID:g6Wv5wPZ0
店主「かおるちゃん。」
深海「はーい。…なるほど。こう来たか。」
店主「どうかな?」
深海「気にしすぎじゃない?」
店主「かな?」
深海「じゃあ、行ってきます。」
深海「お待たせしました~。」
隼鷹「来た来た。」
龍驤「待ってました!」
深海「うましおキュウリです。」
641 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:41:04.38 ID:g6Wv5wPZ0
隼鷹「あれ?糠漬けじゃない…」
深海「ごめんなさい。今日糠漬け切れちゃってて。」
飛鷹「そうなんだ。なら仕方ないよね。」
隼鷹「だな。」
千歳「これはこれでおいしそうだし。」
那智「肴にはもってこいだな。」
足柄(糠漬け…なるほど。)
千代田「おねぇ、取って。」トオイ…
千歳「はい。」
642 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:41:32.12 ID:g6Wv5wPZ0
龍驤「ごま油の香りが食欲を…」
足柄「ごま油の香り、私も好きよ。」
龍驤「やろー。うちもめっちゃ好きやねん。炒め物は基本使っちゃうさかい。」
足柄「分かる分かる。」
隼鷹「これうめぇ!」
那智「思った通り酒が進むな。」
飛鷹「この塩辛さならご飯もイケるわね。」
千歳「ご飯もイケるなら日本酒も。」
千代田「いい繋げ方したね…」
深海「…」チラッ
今のは確実に「でしょ?」っていうアイコンタクトだ。
ありがとう。こっちの杞憂だったようだな。
643 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:42:02.83 ID:g6Wv5wPZ0
なら、次も行きますかね。
とりあえず、あれだけじゃ間が持たなさそうだから"枝豆"を出して場をつないでおいて。
深海「枝豆です。」
那智「王道だな。」
足柄「シンプルイズベストってやつね。」
…今のうち!
644 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:43:17.57 ID:g6Wv5wPZ0
さて、お次の品だがいつもは鳥の唐揚げを出すのが流れ。
ただ、初っ端から違うものを出したので、どうせなら違うものを出そうと考えている。
酒に合うものなら鳥関係で名古屋飯にもある!
それが「手羽先」だ。
元々は出汁用の手羽先を唐揚げにして出したのが始まりだというこの手羽先(もっと詳しい話はググるように!)
名古屋に行くと、ほとんどの居酒屋がこの手羽先を出している。
一番有名なのは「風○坊」と「世界の○ちゃん」だろう。
前者は甘辛、後者はスパイシーを売りにしているので、お好みに合う店を選ぶのがいいだろう。
ちなみに俺のおすすめは「○仙」だったりする。
おいおい、あそこのおすすめは「台湾ラーメン」だろ?と思うかもしれないが、実は「味○」の昔のおすすめは手羽先。
台湾ラーメンはあとから話題になり今のおすすめとなった経緯がある。
あそこの手羽先は辛い。が癖になる辛さで、何よりも揚げずに煮込んであるので、やわらかくておいしい。
上記2点とは違った手羽先が味わえるのだ。
頼んで出てくるのも早いので、酒飲みにはおすすめ。
645 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:43:44.52 ID:g6Wv5wPZ0
高級路線で行くのであれば「鳥○本店」なんてどうだろうか?
あそこは全国でも名高い名古屋コーチンの専門店。
だから出てくる手羽先も名古屋コーチンの物。
ただ、愛知に住んでいる人ならわかると思うが○銀本店のある場所は錦3丁目(通称:錦三)にあるので、諭吉さんはしっかり握って来店するように。
間違っても野口さん一人だけ(もしくは夏目さん一人だけ)を連れて行かないように。
と独り言を言っていたら手羽先が揚がった。
あとは…市販されている甘辛の手羽先のタレを付けて(内緒だぞ)完成だ。
外はカリカリ、中はジューシー。
店主「手羽先あがったよ。」
深海「はぁーい。…唐揚げじゃないんだ。」
店主「偶にはな。」
深海「なるほど。行ってきます。」
646 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:44:10.56 ID:g6Wv5wPZ0
深海「お待たせしましたー。」
隼鷹「おお、今度は何だい!」
飛鷹「隼鷹、落ち着いて。」
隼鷹「分かってるって。」
千代田「…ほんとかな?」
深海「手羽先です。」
那智「ほう。」
足柄「名古屋飯で有名な奴よね?」
飛鷹「知らないの?ここのご主人、名古屋の人だからそういうの置いてるのよ?」
足柄「そうなんだ。」
647 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:44:42.50 ID:g6Wv5wPZ0
飛鷹「ほら。」ユビサシ
那智「?」
飛鷹「あそこの一角にあるメニューは全部名古屋飯よ。」
那智「私は味噌煮込みうどんときしめんぐらいしか知らなかったな。」
足柄「あら、よくお酒のお供に手羽先食べてたから知ってるかと思ったわ。」
那智「言葉の綾だ。それも知ってるさ。だが、知らないのも置いてあるな。」
足柄「ほんとね。」
隼鷹「早く食べないと無くなるぞ。」
千代田「"冷める"じゃなくて"無くなる"よ。すごい勢いで無くなってるから…」
千歳「おいしいし。」
龍驤「早い者勝ちや!」
那智「それはイカンな。」
足柄「私も食べる!」
648 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:45:09.98 ID:g6Wv5wPZ0
飛鷹「なんか食べ方なかったっけ?」
那智「ああ、私が知ってるのは手羽先の関節の端を折る方法だな。」
千歳「他にもあるのかしら?」
那智「あるみたいだが…私が知ってるのはそれだけだ。」ポキッ
足柄「そうやって折るのね。」
那智「貴様も知らないのか。てっきり知ってるものだと思ったぞ。」
足柄「なんでよ?」
那智「私が食べてるのを見てるだろ?」
足柄「食べてるのは知ってても、食べてるところは見てないわよ!」
隼鷹「まぁな。」
飛鷹「そこまではね。」
足柄「ん、おいしい!」
那智「これはいけるな。酒が進む。」
龍驤「深海ちゃん。レモンチューハイよろしく!」
深海「はーい!」
649 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:45:49.48 ID:g6Wv5wPZ0
龍驤「はぁ~飲んだ飲んだ。」
隼鷹「あっはっはっはっ!食った食ったみたいに言うんじゃねぇよ!」
足柄「ここおつまみ系も揃ってるのね。」
那智「この刺身の盛り合わせもなかなかのものだ。」
足柄「いつも行くところとどう?」
那智「あそこはあそこ。ここはここだ。そう比べるものではない。」
足柄「なるほど。」フフン
那智「?」
隼鷹「私らが来る理由わかったろ?」
那智「ああ。」
足柄「そうね。」
飛鷹「あなたは別の目的がありそうだけどね。」
足柄「へ?」
飛鷹「何でもないわよ。」
千歳「あら、ここに飲み目的以外に来てる人がいるんですか?」ヘラヘラ
千代田「はぁ…帰りが大変だ。」
650 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:46:16.67 ID:g6Wv5wPZ0
店主「ずいぶん出来上がってるな。」
隼鷹「おう!おかげさまでね!」
ご機嫌よさそうだ。ならそろそろ…
店主「締めにこんなのはどうだ?」
隼鷹「へ?」
龍驤「これは!」
飛鷹「…お粥?」
店主「最後に消化のいいものを食べてサッパリとな。」
隼鷹「おお!その心遣い身に染みるぜ…さすがだぜ!…おっちゃん愛してるぅーーー!!」ムチューーー!
おいおい…
651 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:46:49.14 ID:g6Wv5wPZ0
足柄「っ!!」ギンッ!!
隼鷹「っ!?」ゾクッ
飛鷹「どうしたの?」
隼鷹「いや…変な寒気が…」
飛鷹「飲み過ぎ。」
隼鷹「…酒の飲み過ぎで寒気って。」
652 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:47:16.41 ID:g6Wv5wPZ0
那智「…おい」
足柄「さぁ、なんのことかしら?」
千代田「とにかくこれ食べて帰りましょ。明日も早いんだからさ。」
千歳「えぇ~。」
千代田「誰がおぶってくと思ってんのよぉ~!」
隼鷹「酔いが醒めた…なんで?」
飛鷹「逆に良かったじゃない。」
那智「…」
足柄「あっお粥おいしい。」~♪
653 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:47:51.23 ID:g6Wv5wPZ0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
たま~に品切れの商品がございます。ご了承ください。
654 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:48:22.45 ID:g6Wv5wPZ0
~飛鷹達の来店前~
龍驤「さぁ、今日も飲むで~。」
隼鷹「どっちが先に潰れるか競争しよう。」
飛鷹「やめてちょうだい…それで苦労するのこっちなんだから…」
千歳「私も参加で。」
千代田「いや、もっとやめて!おねぇは大人しく飲んで!」
千歳「え~。」
千代田「なんでもう…こんな姉を好きになったんだろう…」
飛鷹「難儀な事ね…」
655 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:48:54.50 ID:g6Wv5wPZ0
チョットヤメテッテ!
ホレタオトコノミセグライ、ドウドウトハイレバイイダロウ!
飛鷹「?」
隼鷹「先客か?珍しい。」
龍驤「隼鷹はん。それは主人に失礼やで…」
飛鷹「でも、珍しいのはあってるわよ。」
千歳「あの顔は確かに…」
千代田「足柄に…那智?」
656 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:49:30.45 ID:g6Wv5wPZ0
足柄「だから、心の準備が!」
那智「えーい、まどろっこしい!だから貴様は!」
足柄「そーよ!惚れた男の一人や二人捕まえられないのよ!悪かったわね!」
那智「今度もまた!」
飛鷹「あのー…」
足柄・那智「!?」
隼鷹「よう…どうした?ここで。」
龍驤「喧嘩か?お二人さん。」
千歳「もしかして、もう酔ってるとか?」
那智「いや、そういう訳では…」
足柄「そっそうそう。そういう訳じゃないのよ。」
657 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:50:12.47 ID:g6Wv5wPZ0
隼鷹「揉めてたように見えたけど?」
那智「気のせいだ!」
龍驤「へ?でも…」
足柄「気の所為よ!」ズイッ
龍驤「分かった分かった…近いって。」
千代田「じゃあ、もしかしてこれから?」
那智「ああ。そういえば貴様らも…」
隼鷹「そう、私らもこれから。」
飛鷹「なんだ。じゃあ、一緒に行きましょ。お客さんが多かったら店長さんも喜ぶだろうし。」
千代田「え?逆じゃない?飲兵衛増えるし。」
隼鷹「千代田ちゃんよぉ~。」
龍驤「それは一体どうゆうこったい?」アァ?
千代田「しまった!?」クチガスベッタ!
658 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/16(金) 23:50:46.47 ID:g6Wv5wPZ0
千歳「千代田が私の事をそういう風に見てるなんて…」ヨヨヨ…
千代田「ちょっおねぇ、話がややこしくなるから静かに…」
隼鷹「千代田ちゃんよ、話があるからこの店で一杯行ってこうや。」ガシッ
龍驤「せやせや。たんまりお話聞かせてもらいましょ。」ガシッ
千代田「元々の目的がここでしょ!」ズルズル…
千歳「今日はどのくらい飲もうかしら。」
那智「なんだ、貴様らもう酔ってるのか。」
飛鷹「ごめんね。あれで素面なんだ。」
足柄「あなた達大変ね。」
飛鷹「さぁ、行きましょ。止めないと迷惑掛かっちゃう…」
那智「そうだな。」
足柄「そうね。(今日は何食べよう。)」
飛鷹「…惚れた男か。店長さんにも春が来たのかな?」
隼鷹「なんか言ったか?」
飛鷹「いや。」
675 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 13:32:25.48 ID:Fr59kZ6hO
乙
今更だが鰹のたたきはにんにくのスライスを挟んで食べると最高よ
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/19(月) 12:53:50.65 ID:UF/ODtjko
乙
あ、店長さんいつもの醤油バターラーメン麺抜きで
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/20(火) 02:17:29.95 ID:A3ZuoKcCo
大将、カツカレーうどん定食ある?
699 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/23(金) 23:59:06.32 ID:ub/WcXcT0
磯波「…あの。」
磯風「…ふふん。」
店主「…うん?」
突然の来客。
わたくし、ただいま絶賛困惑中です。
いや、こういう仕事をしている以上、来客は当たり前なんだが…
この子達…目的が違うんだよね…
700 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/23(金) 23:59:57.32 ID:ub/WcXcT0
店主「で、なんだっけ?」
磯波「えっとですから…」
磯風「料理を教えてほしいと言っているのだ。」
店主「…うん?」
なんで?
ここは料理教室じゃないよ?
店主「うん。来た目的は理解したよ。でもな…」
磯風「料理を教えてほしい!」
強引だな…
701 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:00:24.70 ID:BbvBw/qt0
店主「そもそもなんでウチなんだ?見ての通り食堂…なんだけど。」
磯風「それは承知している。」
店主「だったら、料理教室とか…ああ、商店街に一軒あったね。連絡してみようか?」
その方がいいと思うんだけど…
磯風「いや結構。教えてほしいのは店主。あなただからな。」
いや、だからなんでよ?
店主「だからなんでウチなんだい?料理教室の方が教え方も上手だろうし…」
ちょっと待てよ?
店主「よく考えたら、そっちには鳳翔さんが居るだろ?だったら…」
磯風「むぅ…」
なんだ?急に難しい顔をして…
702 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:01:03.80 ID:BbvBw/qt0
磯波「磯風ちゃん。そんな無理言っちゃ悪いよ。」
磯風「しかし、お前の"姉"に勧められたんだぞ?」
磯波「そうだけど…」
ん?姉?
店主「磯波ちゃん…だっけ?お姉さんに勧められたって…どういうこと?」
磯波「私のお姉ちゃんが教えてもらうならココがいいって…言われて…」
えらい迷惑なお姉さんだな…
待てよ?…ってことは一度ここに来たことのある客か。
磯波「お姉ちゃんたち、ここの常連で面識があるって言ってたけど…」
磯風「だが門前払い状態だぞ?」
磯波「やっぱり鳳翔さんの方がいいよ。」
磯風「うぅ…む。」
703 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:01:48.62 ID:BbvBw/qt0
常連?
磯波ちゃんのお姉さんってここの常連?
しかも鳳翔さん?
…
磯波「…あの?」
店主「ん?」
磯波「なにか?」
磯風「女性をじろじろ見るとは感心しないが?」
店主「あっ悪い!疚しい理由は無いんだが…その制服見たことがあるなって…」
704 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:02:34.65 ID:BbvBw/qt0
磯波「制服?…ああ、多分ですけど"吹雪お姉ちゃん"達と一緒だからじゃないですか?」
店主「ああ。」
そうか。吹雪たちと一緒だからか。
だから多少の既視感が…
ん?吹雪お姉ちゃん?
店主「え?お姉ちゃんって…君、吹雪の妹さん?」
磯波「え?はい。」
店主「え?」チラッ
磯風「名前は磯波に似ているが、姉妹ではないぞ。」
ああ、そうなの…風と波の違いだけだからてっきり…
705 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:03:27.77 ID:BbvBw/qt0
店主「吹雪の妹って白雪たちだけじゃないんだ…」
知らなかった…
磯波「ああ、そうですよね。初対面ですし…」
磯波「それでは改めまして、吹雪型9番艦の磯波です。」
磯風「私は陽炎型の12番艦、磯風だ。よろしく。」
店主「ああ、よろしく…」
挨拶はいいんだが…
9番艦?12番艦?
多くね?
706 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:04:06.96 ID:BbvBw/qt0
店主「吹雪って姉妹多いんだ。」
磯波「一応24姉妹の長女です。」
店主「はぁ!?」
24って…
人間で考えたら…「お母さん頑張ったね」じゃすまされない数だな…
そこはやはり軍艦なんだろうか?
しかし、24人…吹雪よ、お前は立派なお姉ちゃんなんだなぁ。
磯風「陽炎型も19人だからな。」
それも凄いな…
707 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:04:59.75 ID:BbvBw/qt0
店主「でも、なんでいつも吹雪たちと一緒に居ないんだい?」
磯波「私、訳あって別の鎮守府に所属しているので、姉妹とは離ればなれなんです…」
店主「そうなんだ…」
訳あって…か。
こういう世界は色々あるんだろう。
店主「じゃあ、磯風ちゃんも?」
磯風「ああ。磯波と同じ鎮守府所属だ。今は遠征の途中でここに立ち寄ったという形だ。」
店主「へぇ。」
で、再会したのちにここへか…
吹雪、なんでウチに来させたんだ?
708 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:05:37.77 ID:BbvBw/qt0
店主「吹雪の奴、なんて言ってウチを紹介したんだよ?」
磯波「えっと…おいしい料理を作る優しいおじさんがいるって…紹介を…」
なんだそれ。
店主「そんな紹介を受けたんだ…」
磯波「久々にこっちに来たら色々変わってましたから…」アハハ…
まぁ、あっちに行って長かったんだろうな…
俺もこの子の事知らなかったからなぁ。
磯風「そんな身内話はどうでもいい!この磯風に料理を教えるのか教えないのか!」
ああ、すっかり忘れてた…
そうだった。最初の目的はそれだったね…
709 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:06:11.95 ID:BbvBw/qt0
店主「わかった。常連さんの頼みとあっては断る訳にはいかないな。」
磯風「おお、その答えを待っていたぞ!」
店主「っていうか。なんで料理を教えてほしいんだ?」
磯風「それは…そのぅ…」
磯波「磯風ちゃん料理下手なんです。」
磯風「なぁ!?磯波!そんな躊躇なく言うんじゃない!」
磯波「ああ、ゴメン。」
なるほどね。
店主「料理が下手って…別に100%作れないわけじゃないんだろう?」
磯波「いやぁ…」
磯風「うむぅ…」
店主「なに?」
どうしたの急に?
710 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:06:49.25 ID:BbvBw/qt0
磯波「なんというか…ね?」
磯風「いや…あれは事故だ…」
は?事故?
何したの?
磯風「じゃなければ…司令が腹痛を起こして1週間寝込むなんてありえない…そう、あれは事故だ!」
待て待て待て!
店主「それは料理うんぬんの前に衛生面の話では?」
食中毒とかその辺の話だと思うぞ?
磯風「いや。そこは大丈夫だ。」
磯波「ええ。その時は私もしっかり見てますし…」
店主「じゃあ、何が原因?」
711 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:07:17.53 ID:BbvBw/qt0
磯風「…」
磯風「…配合?」
店主「え?」
は…配合?
712 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:07:51.74 ID:BbvBw/qt0
店主「その時は何作ったの?」
磯風「そんな珍しいものではないぞ?」
磯波「カレーだったしね。」
カレー?配合?
店主「…スパイスから作ったの?」
磯風「いや。」
磯波「ルーは市販されてるの使いましたから。」
となると問題は…
店主「具?」
生煮えとかそういうのじゃないか?だったら衛生面に引っかかるが…
磯波「具も問題ないかと…しっかり炒めてましたし、火も通ってましたし。」
磯風「うむ。良い匂いがしていたな。」
713 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:08:19.63 ID:BbvBw/qt0
じゃあ…
店主「…何したの?」
何があったよ…
磯風「別に何も問題は無かった。ルーも規定通り入れたし。具もきちんと火を通した。」
磯風「ちゃんと一瞬カレーが紫色になったぞ。」
店主「ダウト。」
714 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:08:48.00 ID:BbvBw/qt0
磯風「なんだ?」
店主「カレーが紫色になるって…」
磯風「何を言っている。一瞬だぞ?あとは普通のカレーの色だ。問題なかろう。」
店主「いや、一瞬たりともならないから!」
何入れたらそうなるんだよ…
磯風「磯波よ…こ奴、こんなこと言っているが?」
磯波「いや、ならないよ?っていうか初耳だよ…」
磯風「え?」
磯波「え?」
店主「…」
こんな子に教えるのか…大丈夫か?
715 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 00:09:14.62 ID:BbvBw/qt0
磯波「そのとき何入れたの?」
磯風「鍋の近くにあった子瓶だ。てっきり入れるものだと思ったが…」
磯波「それだよ原因…」
磯風「そうなのか?」
磯波「私が見ててもこれかぁ…」アチャー
乗り掛かった舟とはいえ…本当に大丈夫なんだろうか…
…不安だ
721 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:11:03.12 ID:BbvBw/qt0
店主「で、何を教えればいいんだ?」
磯波「塩焼きだ!」
店主「…は?」
磯波「塩焼きだ!」
店主「いや、わかった。」
いやいやいや、そうじゃないんだって!
塩焼き?魚のだよな?
そんなのカレー以上に簡単だぞ。
店主「ちなみに…それも失敗したのかい?」
まさかなぁ…
磯波「えっと…はい。」
まさかかぁ…
722 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:11:49.91 ID:BbvBw/qt0
磯風「なぜか爆発した。」
店主「爆発?!」
腹痛とか焦がしたとかそんなレベルじゃない!
店主「ガス漏れでもしてたのか?」
磯風「塩をまぶしたら爆発したんだ。おかしいだろう?」
店主「…うん。」
まぁ、それだけ聞いたら…ね?
磯風「青い缶に入った塩をまぶしたんだがな…」
磯波「あれ?青い缶?」
磯風「違うのか?」
磯波「塩は透明な瓶に入ってたよ?しかも分かりやすくラベルが貼ってあったと思うけど…」
磯風「…」
磯風「だそうだ。」
店主「うん。」
原因が分かってよかったね。
って言うかその青い缶の中身が気になるよ…
723 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:12:47.65 ID:BbvBw/qt0
店主「ちょっと待ってて…準備するから。」
塩焼きなら塩焼きに使う食材だけをまとめた方がいいだろう。
余計なものはすべて除外…
じゃないと不安でしょうがない…
店主「2人ともおいで。」
磯風「ほぅ、きれいな厨房だな。」
店主「そりゃあ、カウンターから見えるからね。多少はきれいにしておかないと。」
料理を作るところが汚かったらマズいしね。
724 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:13:30.43 ID:BbvBw/qt0
店主「本来は部外者を入れることは無いんだけど。まぁ、今回は特別だ。」
磯波「すみません。」
店主「乗り掛かった舟だ。」
店主「ところで…」
磯波「?」
店主「お前さんもやるのかい?話を聞いてたら、お前さんは出来そうな感じだったけど。」
磯波「私は飽くまで付き添いです。一応一通りは出来ますから。」
店主「そうか。」
ならこの磯風って子に教えればいいのか。
725 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:14:07.49 ID:BbvBw/qt0
店主「磯風ちゃん。」
磯風「うん?」
店主「これ着て。」
磯風「これは?」
店主「割烹着とバンダナ…三角巾ってやつだ。」
磯風「うむ。」
店主「それが終わったらそこで手を洗って…仕上げにアルコールもね。」
磯風「わかった。」
店主「磯波ちゃんも磯風ちゃんと一緒のものを着て手を洗って。厨房に入るからには衛生面をしっかりね。」
磯波「はい。」
お客さんでもそこは厳しく。
店主「爪ブラシも使ってよ?」
磯波「はい。…なんだか職場体験みたい。」
磯風「そうか?」
726 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:14:35.36 ID:BbvBw/qt0
店主「で、塩焼きだっけか。」
磯風「うむ。」
店主「なら今が旬な秋刀魚でいいか。今日も入ってきたし。」
磯風「その必要はない!」
店主「え?」
磯風「遠征途中で"とって"きたからな!」
ババン!
磯風「しかも二匹もだ!」
店主「えぇ…っと。」
遠征中って…ここの鎮守府に来る途中に釣ったの?
任務中にそんな余裕のあることしていいのかな…
…ん?とって?
727 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:15:11.76 ID:BbvBw/qt0
店主「とってきたの?釣ったんじゃなく?」
磯風「うむ。とってきたんだ!」
網かなんか使って…
磯波「相手の深海棲艦が持ってたんですよ。」
店主「…え?」
ひょっとして…
"とって"って"盗って"!?
奪ってきたの!?
店主「それ…大丈夫なの?」
磯風「そんなに言うなら見てみろ。」ズイッ
店主「う~…ん?」
728 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:15:50.24 ID:BbvBw/qt0
一般的に秋刀魚の見分け方は大きく分けて四つ。
まずは口の先端が黄色い事。
これは秋刀魚が泳いでいるときは口の先端が黄色いからだ。
死んで時間が経つとこの黄色がだんだん抜けていってしまう。
言ってみれば鮮度の時間経過が分かってしまうのだ。
それからするにこの秋刀魚はクリア…と。
そして次にお腹。
お腹に弾力があれば鮮度の言い証。
これはお腹には内臓が詰まっていて、時間が経過していくと内臓から悪くなっていくからだ。
悪くなった内臓は柔らかくなる。つまり鮮度が落ちている証拠になる。
と言って強く押しすぎてしまうのも身を悪くしてしまうので注意。
この秋刀魚のお腹は弾力がある。大丈夫。
三つ目は秋刀魚の目。
黒目の周りが透明なほど鮮度のいい秋刀魚。
赤くなってきているのは時間が経過した秋刀魚だ。
これもこの秋刀魚はクリアしているな。
で、最後。
秋刀魚を背から…つまり上から見た時に頭からお腹にかけてプックリしている秋刀魚は脂ののった秋刀魚。
簡単に言ってしまえば太っている秋刀魚ほど脂がのったものだということだ。
磯風ちゃんの持ってきた秋刀魚はすべてクリアしてるな…
鮮度は良い。
ただ…
磯風「?」
深海棲艦が持ってたって…その時点で大丈夫なのか?
この太ったお腹…実は火薬が詰まっていたりとかないよな?
実は秋刀魚型のホーミングミサイルですってことないよな?
…ないよな?
729 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:16:38.06 ID:BbvBw/qt0
店主「これ…大丈夫?」
磯風「大丈夫だ。しっかりその秋刀魚は検査を受けてる。」
磯波「一応、深海棲艦からのドロップなのでちゃんとした検査は必要なんですよ。」
店主「へぇ…」
そうなんだ。
まぁ、敵の持ち物ならそうだよな。
店主「なら…大丈夫か。」
磯風「さっそく調理だな!」
店主「ははっ気合十分だね。」
磯風「せっかく来たのだからな。しかも戦利品の調理だ。腕が鳴る!」
店主「だったら、おいしく仕上げなきゃな。」
といっても塩焼きだからな…そこまで難しくはない。
焼き加減さえ気を付ければ。
730 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:17:35.55 ID:BbvBw/qt0
磯風「まずは何をするんだ?」
店主「まずは秋刀魚のウロコ取りだ。」
磯風「ウロコ?」
店主「ああ、魚はみんな大体ついているよ。ただ、秋刀魚は水揚げされるときにほとんどのウロコが取れてしまうからね。確認程度でいいんだ。」
磯風「確認程度…」ジーッ
店主「ってそうか。これは深海棲艦から奪った奴だっけか…取れてるかわからないから包丁の刃先で軽くなでる様に削ぎ落していこうか。」
磯風「こうか?」ジャリジャリッ
店主「ああ、まだ付いてたね。」
磯風「これ、おもしろいな!」パァッ
店主「面白いのは分かったから包丁から目を離さない。」
磯風「うむ。」ジャリジャリッ
731 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:19:14.63 ID:BbvBw/qt0
店主「取れたなと思ったら水洗い。」
磯風「…」ジャーッ
店主「キッチンペーパーで水気を切って。」
磯風「おお、よく見る奴だな!」
磯波「そうなの?」
磯風「前に三分クッキングとやらでやっていたぞ!」
磯波「そうなんだ。」
店主「じゃあ、次は切れ込みを入れるぞ。」
磯風「切り込み?」
店主「切・れ・込・み。」
誰が特攻かけろと言った。
店主「焼き魚でよく見るだろ?×点みたいに切り付けて入った奴。」
732 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:19:55.71 ID:BbvBw/qt0
磯風「おお、あれか!あれを入れればいいんだな?」
磯波「そういえばなんで切れ込みを入れるんですかね?」
店主「まぁ、理由は色々あるけど…一番は火を通りやすくするためだね。切れ込みを入れることでそこからも火が通るようになるから。」
磯波「なるほど!」
店主「秋刀魚は細いから×点より一の字の方がいいかもな。」
磯風「一の字?」
店主「エラの先から一直線にしっぽの付け根ぐらいまで…スーッと。」
磯風「こうか?」スーッ
店主「そうそう。上手いじゃん。」
磯風「褒めてもなんも出ないぞ。」テレテレ
店主「照れるのはまだ早い。」
磯風「むぅ…」
磯波「意外と厳しい…」
733 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:20:47.67 ID:BbvBw/qt0
店主「それが終わったら塩を振る…」
磯風「よし!」ワシィッ
店主「待ったぁ!」ガシィッ
磯風「なんだ?」ムゥ…
店主「塩を振るって言っても…限度があるよ?」
塩を鷲掴みって…
磯波「磯風ちゃん…(爆発してよかったかも…)」
店主「鷲掴みにするんじゃなくて、摘まむ程度でいいんだ。」
磯風「塩焼きだぞ?」
店主「塩焼きだな。」
磯風「摘まむ程度じゃ塩焼きにはならんではないか!」クワッ
店主「ひょっとして"塩釜焼き"と勘違いしてる?」
磯風「なんだそれは?」
普通は知らないよな…
734 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:21:46.18 ID:BbvBw/qt0
店主「知らないなら良いよ…ただ、さっきの量をかけてしまうと塩辛くなって食べれなくなってしまうから。」
磯風「そうなのか。」
店主「…それもだし、君たちの司令が塩分過多で健康に甚大な被害が出るよ?」
磯風「それは困る!なら摘まむ程度にしよう!」パラパラッ
チョロイな。
店主「そうそう。」
磯風「うまい具合に振りかけたぞ。」フゥ
店主「なら"焼き"の工程に移るよ。」
磯風「おお、これで塩焼きになるんだな。」
店主「焦るな焦るな。ウチではこの専用グリルで焼きます。」
磯風「専用グリル?」
店主「ああ、ウチじゃあ焼き台を置くスペースがないからね。こうやってコンパクトな専用のグリルを置くんだ。」
磯波「へぇ。」
店主「焼き鳥とかも焼けるから重宝してるよ。」
磯風「ウチにはただのガスコンロのグリルしかない。こんな立派なのは…」
店主「それでいいよ。ガスコンロのグリルだってこの専用グリルだって変わりはしない。違うと言えばボタン一個でポンで自動か、スイッチ一つで調節しながら焼くかの違いだからな。」
磯波「だいぶ違うかと思いますけど…」
735 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:22:26.32 ID:BbvBw/qt0
磯風「これ自動なのか…」
店主「ボタン一つであとは火加減とか自動で調節しながら焼いてくれる。」
磯風「いいな…」
店主「でも自分で調節しながら焼くのも愛情がこもってるとは思うがね。」
磯風「そうか?ならそうするか!」
店主「ガスコンロのグリルなら焼く前に油をひいて3分ぐらい空焼するといい。そうすると魚がくっつかなくなるから。そのあと2匹を焼くなら中火で約9分ぐらいか…まぁ、その都度グリルを開けて空き加減を見る必要があるけど…」
磯風「それで完成か?」
店主「一先ずはね。」
磯風「一先ず?」
店主「薬味をつけなきゃ。秋刀魚はこの時期は脂がのってるからね。そのままでもいいけど出来れば大根おろしとかでサッパリといきたいじゃない?」
磯風「なるほど。」
店主「だから、秋刀魚を火にかけてる間に大根おろしとかの準備だ。スダチも用意しないと。」ピッ
736 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:23:02.18 ID:BbvBw/qt0
店主「大根を丸々一本用意してみた。」
磯風「そこまで用意できなかった…すまない。」
店主「別にそれぐらい構わないさ。」
店主「で、大根には大きく分けて三つに分けることができる。」
大根の葉っぱ側は辛みが弱く甘みのある部分。生で食べる場合、大根サラダとかはここの部分を使うといいかもしれない。大根おろしにしたら辛みの弱い大根おろしが出来るね。
で、逆に根っこの方。ここは辛みが強く、アクも強いので生は難しいかも。もちろん大根おろしにも合わない。どちらかと言うと漬物とか味噌汁とか、ちょっと手を加えたものが合うかも。
最後は三つに分けた真ん中。ここは甘味が強い部分で、生はもちろんなんでも合う部分だ。大根おろしもここの部分が一番いいかもしれない。(辛いのがいいなら葉っぱ側がおすすめ!)
店主「だから今回は真ん中を使う。」
磯波「甘みの強い部分ですか。」
店主「癖のない部分だからどんな人にでも馴染みやすいからね。じゃあ、皮剥いて。」
737 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:24:02.85 ID:BbvBw/qt0
磯風「これもよく見る奴だな。桂剥きと言うんだっけか?」
店主「いや、桂剥きとまではいかないよ。皮だけだから。」
磯風「そうか。」
ガリッ
磯風「むっ。」
ザクゥ
磯風「むむっ。」
店主「力入れ過ぎ。もっと力を抜いて。」
危ないなぁ…
見てるこっちはハラハラするよ…
磯風「抜いているつもりなのだがな…」ムゥ…
磯波「…」ハラハラ…
738 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:24:35.34 ID:BbvBw/qt0
磯風「…こんなものか?」
店主「そんな…感じかな?(えらい凸凹になったな…)」
店主「じゃあ、今度はそのおろし金で下ろしてみようか。」
磯風「下ろしたものはこのボウルに入れればいいんだな?」
店主「そうそう。手まで下ろすなよ?」
磯風「この磯風がそんなヘマをするはずがない!馬鹿にするな。」
店主「ごめんごめん。」
ジャリジャリジャリ…
磯風「なかなか地味だな…」
店主「そんなもんだって。」
739 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:25:19.39 ID:BbvBw/qt0
磯風「…2人前ならこれぐらいでいいんじゃないか?」
店主「まぁ、そうだな。」
磯風「なら完成…」
店主「絞らなきゃ水っぽいよ。」
磯風「…忘れてた。」
店主「このザルを使うといい。」
磯風「ザル?」
店主「このザルで軽く絞るんだ。こうやって手の裏を使って…軽くね。」
磯風「ほぉ。」
店主「あんまり絞り過ぎるとカラカラになってしまうからね。摘まんだ時に軽く水が滴るぐらいがちょうどいいよ。」
磯風「こんな感じか?」
店主「ちょうどいいね。あとはスダチを…これをこう半分に切って。」
磯風「これでいいのか?」
店主「うん。」
磯風「簡単だな。」
740 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:26:22.04 ID:BbvBw/qt0
ピピピッ ピピピッ
店主「秋刀魚も丁度焼きあがったみたいだ。」
ジュ~…
磯風「おお、いい焼き加減じゃないか。」
磯波「おいしそう。」
店主「こいつを皿に盛り付けて。」
磯風「…こうか?」
店主「そう。で、さっき作った大根おろしとスダチを皿の端にのせて…」
磯風「完成か!」
磯波「やったね。磯風ちゃん!」
磯風「うん。」
店主「じゃあ、熱いうちに食べちゃいな。」
磯風「いいのか?」
店主「いいもなにも、お前さんらの秋刀魚だろ?」
磯波「だったら店長さんも…」
店主「悪いが俺は夜の準備があるんだ。2人で食べちゃいな。」
磯風「すまないな。」
店主「気にしなさんな。」
磯風「では。」
磯波「いただきます!」
741 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:27:04.64 ID:BbvBw/qt0
磯風「うむっ!」
磯波「塩加減がちょうどいいよ!やったね、磯風ちゃん!」
磯風「この磯風が本気を出せばこのぐらい。」フフンッ
磯波「なら、これからも本気を出してね♪鷲掴みした時はどうなるかと思ったから。」
磯風「うっうむ…」
何気にこの子腹黒いのか?
店主「そういえば。」
磯風「?」
店主「名前は似てても姉妹じゃないんだろ?にしては仲がいいな。まぁ、いいことに越したことは無いんだろうが…」
磯波「私があっちの鎮守府に異動した時、最初に仲良くしてくれたのが磯風ちゃんなんです。着いた時にすぐ声もかけてくれましたし。」
磯風「ああ、この磯風に名前が似ていたからな。どんな奴かと思ってな。そしたらいつの間にか仲良くなっていた。」
店主「なるほど。」
なかなかいい奴なんだな。
店主「今度は料理を教わりにじゃなく。食べに来てくれよ?」
磯風「もちろんだ。」
磯波「はい。姉妹ともどもよろしくお願いします。」ニコッ
742 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:27:39.02 ID:BbvBw/qt0
店主「ってことがあってな。」
吹雪「ちゃんと磯波来たんだ。」
深雪「アイツも吹雪の言うことは聞くからな。」
白雪「深雪の言うこと聞いてもねぇ…」
深雪「どういうことだそれは?」
初雪「まんまの意味じゃない?」
深雪「なんだとぉ!?」
吹雪「こら深雪!」
743 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:28:32.18 ID:BbvBw/qt0
店主「しかし、そんなに姉妹が多いのか。知らなかったぞ。」
24人だもんなぁ…
吹雪「陽炎型も多いんですよ?」
店主「聞いたよ19人だっけか?」
吹雪「鎮守府で不知火ちゃんに会いましたよね?」
店主「ああ。あの厳しそうな子だよな?」
吹雪「あの子、磯風ちゃんのお姉ちゃんです。」
店主「…」
あの子がか?
なんか似てる要素が見つからないが…
磯波ちゃんは吹雪の妹って言われれば納得だったんだがな。
744 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:29:03.16 ID:BbvBw/qt0
吹雪「なんか失礼な事を思ってません?」
店主「いやぁ、磯波ちゃんは吹雪に似たいい子だってな。」
吹雪「でしょ!やっぱりそう思いますよね!あの子本当にいい子なんですよ~。」
深雪「アイツの事になると本当に変わるな…」
白雪「そうだね。まぁ、いい子なのは変わりないし。」
初雪「あと、電にも甘い。」
店主「電?」
なんで電が出てくるんだ?
初雪「電は一番末っ子。」
店主「…は?」
745 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:29:32.69 ID:BbvBw/qt0
白雪「あれ?この間話しませんでしたっけ?」
店主「何を?」
深雪「電の奴、あれでも私たちの妹になるんだぜ?」
え?…つまり…
吹雪「私にとっては24番目の妹です。」
店主「…まじかよ。」
あの4姉妹まで繋がってたんかい!
746 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:30:02.10 ID:BbvBw/qt0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
食材の持ち込みは基本お断りです。
747 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/24(土) 01:30:32.17 ID:BbvBw/qt0
~◇◇鎮守府 執務室~
バァン!
提督「こら、静かに開けなさい…」
磯風「この磯風、司令の為に秋刀魚を焼いてきたぞ!」
提督「ほぉ。…今回は爆発しなかったんだな?」
磯風「あれは不慮の事故だ。」
提督「…で、これを食べてお腹が痛くなることは…無い?」
磯風「…あれも不慮の事故だ。」
提督「不慮…ねぇ…見た目は普通だが…」
磯風「さぁ、早く!」
提督「うっうむ…」モグ
提督「っ!」
提督「こっこれは…!?」
磯風「どうだ?」フフン
提督「…なんだこの秋刀魚…塩焼きと言うか…」
磯風「?」
提督「…甘い。」
磯風「…え?」
磯波「磯風ちゃんがさっきかけてたの…ザラメだ!!」キヅイテヨ!
795 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/31(土) 01:03:01.81 ID:vZ1GpH/k0
腹が減りましたオムライスください
797 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:50:50.85 ID:9TTfeyyS0
ピピピッピピピッ
バシッ
店主「んん…?」
10月31日…土曜日…
今日は休店日か…
予定は無し…なら…もう少しだけ…
バァン!
深海「トリック オア トリート!」
798 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:51:18.88 ID:9TTfeyyS0
店主「んあ?」
なにぃ?
深海「トリック オア トリート!」ユサユサ
店主「もう少し寝かせてくれ…」モゾモゾ
深海「トリック オア トリィートォ…」ユサユサ
店主「…」
深海「トリック オア トリィートォー!」ユサユサ
ガバァッ!
ああ…もう!
799 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:51:48.78 ID:9TTfeyyS0
店主「一体何だってんだよ。」シャコシャコシャコ
深海「トリック オア トリート。」
店主「いや、それは分かったから…」シャコシャコシャコ
深海「トリック オア トリート!」
店主「…」シャコシャコシャコ
それしか言えんのか。
ガラガラガラガラ…ペッ
店主「…ん?」カオヲフキフキ…
10月31日…
ああ、そうか。
今日は「ハロウィン」だ。
それでか。
800 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:52:38.10 ID:9TTfeyyS0
いや、待て待て。
ハロウィンって行事は知っていたが、ウチでそれを実行したことなんて一度もなかったぞ。
じゃあ、なんで今回はあんなにはしゃいでいるんだ?
深海「トリック オア トリート?」
店主「分かった分かった。ハロウィンだろ?」
深海「…」ウンウン
店主「でも、何もやるなんて決めてないだろ?」
深海「…」ウン!
店主「いや、そんな力強く頷かれても…」
ホントなんなんだよ…
801 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:53:13.39 ID:9TTfeyyS0
深海「いつも思うんだけどさ…」
店主「あん?」
深海「なんでウチはハロウィンやらないの?!」
店主「…え?」
深海「だって他の店見てみなよ!寺本さんとこだって柿本さんとこだってみんなやってるじゃん。」
店主「いや、まぁ…」
っていうかその2店舗しかやってるとこ知らんぞ?
深海「今年から権蔵さんの所もやるみたいだし。」
店主「え?」
それは初耳。
団子屋で何やるつもりなんだろう?
深海「商店街なんかそれ一色だよ!キャンペーンだってやってるし!」
店主「商店街のは集客目的だからな…一丸となってやることだし…」
深海「うちはやらなくていいの?!このままじゃ波に乗り遅れるよ!」
えらい喰いついてくるな…
802 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:53:53.07 ID:9TTfeyyS0
店主「ハロウィンやりたいの?」
深海「やりたいというか…やっぱり、他がやっててっていうのは…ちょっとね。」
なるほどね。
他はしっかり試行錯誤やってるのにウチは全くって…軽い嫉妬みたいなものかな?
深海「別にその…お菓子が欲しいとかじゃなくて、偶にはさ…感謝祭の時もそうだったけど、イベントに乗っかるのも手だと思ってさ。」
店主「なるほど。」
それなら納得だ。
店主「その被り物は手作り?」
803 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:55:23.36 ID:9TTfeyyS0
深海「あ、気付いた?そう私の手作り。」
さっきとは違ってすっごい嬉しそう。
気付いてほしかったんだな。そのかぼちゃの帽子。
ハロウィンらしく「ジャック・オ・ランタン」の帽子だ。
しかし…
店主「よく出来てるな。まるで本物みたいだ。」
触ってみても本物そっくり…
っていうか
店主「ちょっと待て、これ本物のカボチャじゃ…」
掘った所を触っても生っぽいし…
深海「凄いでしょ!」
店主「いや…」
凄いも何も…
店主「髪にかぼちゃの黄色いの付いてる…」
深海「…え?」
804 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:56:01.01 ID:9TTfeyyS0
深海「…」
店主「朝風呂もたまには良いだろ?」
深海「シャワーだけ…」
店主「そっか。」
そりゃあな。生のカボチャ被ったらそうなるわ…
せめて何かカバーみたいなものを付けていたら良かったのに。
でも、それだけ気合を入れてやってみたかったんだろう。
店主「今年はあいにく土曜で出来ないが…来年のハロウィンは月曜日だ。」
深海「っ!じゃあ…」
店主「来年…なんかやってみるか?」
深海「ほんとう!?」
店主「ああ。だが、来年だぞ?」
深海「うん!」
ハロウィンってこういう行事じゃないって聞くけど…
まぁ、ここは日本だし深く考えるのは辞めようか。
805 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:56:35.57 ID:9TTfeyyS0
深海「じゃあ、着替えて。」
店主「ああ、そろそろ着替えようかと…」
深海「すぐ出かけるよ!」
店主「…は?」
待て待て待て!
店主「どこに!?」
深海「どこって…そりゃあ決まってるでしょ。」
深海「敵情視察!」
店主「敵情視察!?」
言っとくが、寺本さんも柿本さんも敵じゃないからな!商売"仲間"だからな!
806 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:57:18.24 ID:9TTfeyyS0
店主「…」
とまぁ、着替えて外に出たのは良いが。意識してみると街の至る所にハロウィンの施しがある。
俺がガキの頃はこんなんじゃなかったよな。
どっちかと言うと、物好きな大人が子供を巻き込んでやるようなイベントだった。
今じゃ当たり前か…
それにしてもだ。
店主「あの行列は何?」
通りを挟んだ向こう側、すごい行列が出来ている。
客層を見るに女性が大半のように見えるけど…
行列の先は…?
店主「寺本さんのとこか!」
あそこの入口に続いている。
何かやっているんだろうか?
いや、多分ハロウィン関係なんだろうが…
807 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:58:14.14 ID:9TTfeyyS0
深海「なに、知らないの?」
店主「何が?」
深海「寺本さんのところ、ハロウィンになるとその日一日限定で"ケーキバイキング"をやるんだよ。」
なぬ!?
店主「それは初耳だな。」
深海「長年住んでて気づかないって…チラシだって入ってるのに…」
悪かったな。
あいにく見るのは新聞だけで、チラシは全く見ない人間なんだ。
それに、店がある日は店に集中してるし、休みは休みで基本は店の掃除かダラダラしてるから…ハロウィンの日に外に出るだなんてガキの頃以来だろ。
っていうか新しい記憶で見つからん。
店主「しかし、あそこ従業員少ないだろ…作るのも寺本さん一人だけだし…」
深海「…奥さん、この日だけ戻ってくるんだって。」
店主「え!?」
たしか、あの二人って別居中だったよな…
仲がいいんだか悪いんだか…
深海「世の中分からない事ばかり。」
店主「それは俺も同意だ。」
マジでわからん。結婚してないからかな?
808 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:58:51.42 ID:9TTfeyyS0
深海「それはそうと、アレ。見たことある顔じゃない?」
店主「んん?」
アレって…アレか。
店主「吹雪たちか…」
深海「だよね。」
いつも常連として来てくれるあの子たちも、流石にうちが休みとなれば他に行ってしまうか。
それはそれで複雑。
仕方ないけど…
深海「まぁ、ケーキバイキングと聞けば女の子は黙っちゃいないよね。」
店主「そういや、どんな風にやってるんだろ?」
あそこ食べるスペースはあっても、店自体が狭いからな…
オーダータイプ?それともセルフタイプかな?
それにハロウィンだし、限定のケーキとか出してそう。
結構気になる。
でも…
店主「並んでるなぁ…」
あんまり並ぶのは好きじゃないんだよなぁ…
809 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 02:59:31.48 ID:9TTfeyyS0
深海「ほら、だから早く。」
店主「いやぁ、ほら。敵情視察なんだろ?だったら先に食べ放題って不味くないか?」
深海「そうかな?」
店主「後にしないか?」
深海「えぇ~!今日の目的に8割がこれなのに!」
なんとなくそうだと思ったよ。
素直でよろしい。
深海「それに一日限定だよ?明日には終わってるんだよ?これ逃したら来年まで持ち越しだよ!」グイグイ
深雪「そうだそうだ!」グイグイ
店主「お前らなぁ…」
二人して服の袖を引っ張るな。
ん?二人?
810 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:00:02.14 ID:9TTfeyyS0
店主「え?」
深雪「ん?」
店主「いつの間に!?」
深海「あら。」
深雪「えへへ~。いやぁ、並んだのはいいけどさ、なかなか前に進まなくて退屈してたんだよ。そしたらおっちゃんたちが見えたから退屈しのぎに遊びに来たんだ。」
遊びにって…
店主「そうなのな…それより、今日は訓練とかいいのか?」
深雪「昨日の遠征が大成功を収めたから今日は非番になったんだよ。」
深海「やったじゃん!」
深雪「えへへへ。」
ここ最近来てなかったのはそのためか。
深海「ねぇ、さっきから気になったことがあるんだけどさ。」
深雪「?」
深海「さっきから吹雪ちゃんと仲良く話してる…あのお姉さんは誰?」
深雪「ああ、あの人?」
本当だ。全然気づかなかった。
よく気付くなぁ…
811 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:01:09.33 ID:9TTfeyyS0
深雪「あの人は金剛先輩だよ。」
深海「金剛?ああ、戦艦の…」
店主「…ダレ?」
深雪「金剛型一番艦の金剛先輩。ウチのエースの一人で提督の愛人?」
店主「愛…人?」
なんだよそれ…愛人って…
提督さん…そんなお盛んな人には見えなかったがな…
吹雪「っ!」
あ、吹雪がこっちに気付いた。
深雪「こっち来いだって。」
手振ってるもんな。
吹雪「こんにちは。」
店主「おう、遠征大成功なんだって?」
吹雪「はい。だからみんなでケーキのご褒美です!」
初雪「楽しみ。」ムフフ
白雪「でも列が動かなくって。」
金剛「フブキ。この方は誰デース?」
吹雪「ああ、この人は前に言ってた街角やの…」
金剛「OH!フブキ達の愛してやまないデザートを出す店デスね!」
店主「どうも。」
812 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:01:50.35 ID:9TTfeyyS0
金剛「英国で産まれた帰国子女の金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」
店主「英国?帰国子女?」
??「お姉さまは英国生まれの戦艦なんです。」
店主「オタクは?」
比叡「失礼しました。金剛お姉さまの妹分、金剛型2番艦、比叡です。気合い入れて!」
??「気合い入れて自己紹介しなくていいです…比叡姉さま。」
比叡「霧島ぁ~…」
霧島「ご紹介遅れました。4番艦の霧島です。」
榛名「私は3番艦の榛名です。」
店主「よろしく…」
なかなかの美人姉妹。
足柄さんたちといい勝負なんじゃなかろうか?
…ん?
店主「あれ?他の皆さんは独特の訛りがないですね?」
榛名「へ?」
比叡「訛り?」
霧島「ああ、英国生まれなのは金剛姉さまだけですから。」
店主「そうなの?」
813 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:02:39.06 ID:9TTfeyyS0
吹雪「結構いるんですよ。同じ姉妹なのに生まれた所が違うっていうの。」
深雪「私たちだって吹雪と初雪は京都の舞鶴だし、私と白雪は同じ神奈川でも生まれた場所は違うし。」
店主「なんか複雑だな。」
初雪「型番が一緒なら生まれた場所が違っても姉妹…」
白雪「です。」
金剛「つまり私たちも、生まれた国が違っても同じ姉妹なのデース!」
比叡「お姉さま!」
深海「それもすごい話だね…」
金剛「それに…」
吹雪「?」
金剛「たとえ型番が違っても私にしてみれば吹雪も妹みたいなものネ!」
吹雪「へ?」
金剛「ヨーシヨシヨシヨシ!」ギュー!グリグリグリ!
吹雪「わわっ金剛先輩!?」クックルシィ
金剛「こっちの妹達もしっかり働いてくれるネ!」
吹雪「あっありがとう…ございます。」テレテレ
比叡「おっお姉さま…私と言うものがありながらっ!」キィー!
霧島「比叡姉さま、金剛姉さまのプレゼントのハンカチ…ちぎれちゃいますよ?」
榛名「あはは…」
何というか賑やかな姉妹だ。
814 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:03:19.60 ID:9TTfeyyS0
店主「今からケーキ食べるんだろ?」
深雪「おう、年に一度しかやらないっていうから楽しみだぜ!」
吹雪「あれ?食べていかないんです?」
店主「まだ見て回りたいとこがあるからな。」
深海「え?!」
店主「時間があったらまた来るよ。」
深海「えっちょっ!」
深雪「ならしょうがないな。」
金剛「そういう事なら仕方無いネー。」
店主「おう、お前さんらもゆっくり食べて行けよ。」
つっても俺の店じゃないけど。
金剛「Have a nice day!機会があれば食べに行くネー。」
店主「ああ、待ってるよ。」
深海「そんなぁ~…」
815 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:03:49.87 ID:9TTfeyyS0
店主「…」
深海「…」ムスー
そんなに食べたきゃ食べてこればよかったのに…
でも、これを言ったら更にご機嫌が斜めになってしまう。
しかし…商店街に向かうにつれて飾り付けがそれっぽくなっていくな。
カボチャはもちろん、コウモリや魔女、お化けの飾りつけもチラホラ。
ここまで加熱してきてるのか…ハロウィン。
店主「おっ。」
ベーカリーこむぎや。
柿本さんがやっているパン屋さんだ。
寺本さんのとことはいかないが、それでもお客さんが賑わっているな。
土曜日って事もあるんだろうが。
店主「なぁ、あそこに寄ろうと思うんだが…」
深海「…」ムスー
店主「好きなもん買ってあげるよ?」
深海「っ!…」ムスー
今…絶対揺らいだよね?
店主「要らないなら、別のとこに…」
深海「いる!」スタスタスタ
素直にいいなよ…
816 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:04:29.70 ID:9TTfeyyS0
カランカランッ
柿本「いらっしゃいませ。と、おやおや。」
店主「どうも、おじゃまします。」
ここのパンには店としても個人としても、いつもお世話になっている。
フランスで修業したってだけはあって、本場仕込みのパンが身近に食べられるというのはなかなか嬉しい事だ。
柿本「今日はお休みで?」
店主「ええ。暇だったものでついフラッと。」
深海「…」ツーン
柿本「喧嘩でも?」ボソッ
店主「ええ…まぁ…そんなところ?」ボソッ
喧嘩…ではないんだけどね。
817 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:05:15.22 ID:9TTfeyyS0
イネス「どうせ、機嫌を損ねることでもしたんでしょ?」
店主「どうも、イネスさん。」
いやはや、女っていうのはどうしてこう鋭いのかね?
この方はイネスさん。
柿本さんのフランス人のお嫁さん。
結構気の強い女性。柿本さんいわく鬼嫁…ってこの間の会合で言ってたけど…
柿本「よくわかるねイネス。」
イネス「男は鈍感が多すぎ。もっと女に気を使わなきゃ!」
ごめんなさい。
日本語が流暢なのはこっちに居る期間が長いから。
まだ深海棲艦の魔の手が伸びる前の頃からこっちにいるらしい。
一時期は母国に帰れなくて悲しい思いをしてたっていうけど。
818 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:05:53.04 ID:9TTfeyyS0
イネス「不知火。今日限定のパンプキンアンパン。食べない?」
不知火「パンプキンアンパン?」
イネス「小倉餡じゃなくてカボチャ餡なの。どう?」
不知火「ハロウィンらしくって良いですね。…姉妹の分も一緒に3つください。」
彼女ら艦娘のおかげで今はちょこちょこ国に帰ることが出来るように…
店主「あれ?君は…」
不知火「っ!」
店主「ああ、驚かせちゃったかい?ごめんごめん。」
不知火「あなたは…確か説明会の時に…」
一瞬覚えてるの俺だけかと思ったけど、しっかり覚えててくれてた。
店主「あの時は案内助かったよ。」
不知火「いえ、それが仕事でしたので。」
あれ?イネスさんと話してた時はもう少し柔らかかったかと思うんだけど…
イネス「カレーパンももうすぐ出来るから。」
不知火「あ、はい。」パァ
ほら!今のは見過ごさなかったぞ!
819 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:06:27.04 ID:9TTfeyyS0
不知火「あの…」
店主「へ?」
不知火「不知火に何か落ち度でも?」ゴゴゴゴ…
店主「いっいえ…」
本当に駆逐艦?本当に磯風ちゃんのお姉ちゃん?
イネス「不知火をいじめちゃだめよ?」
店主「いえいえ、滅相もない!」
ヤバイ、怖いのが二人もいる!
早くここから。
ツンツン
お!
店主「かおるちゃん、決まったかい?」
ドチャア…
深海「こんだけお願い。」ニッコリ
店主「…」
お盆の上にどんだけ乗せてるねん!?
下敷きになってるパン潰れてない?大丈夫?
ってよく見たら固いパンを下にしてる…やるなこの娘…
深海「お願い。」ニッコリ
店主「…はい。」
怖い女がここにもいた…
820 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:07:07.21 ID:9TTfeyyS0
店主「買って満足かい?」
深海「うん!」
こむぎやでパンを買った後は商店街を一通り見て回った。
なんつうか、ハロウィンのイメージってカボチャしかないのかね?
カボチャのコロッケ半額とか、カボチャのグラタン、カボチャのパスタ、カボチャプリン、極めつけはラーメン屋のカボチャのポタージュラーメン。
何でもかんでもカボチャカボチャって…いい加減見飽きたよ。
かぼちゃの煮物なんてのもあったけど、あれは年中見てるなって思ってたら横に赤字で「ハロウィンセール半額!!」の文字。
ちゃっかりだもんなぁ~。あれで売れるかは疑問だが。
さて、最後は
店主「うさぎやか。」
深海「カボチャの団子でも売ってるのかな?」
店主「さぁねぇ。」
見当もつかない。
821 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:08:08.22 ID:9TTfeyyS0
店主「こんにちは。」
深海「こんちは~。」
権蔵「おおう、街角やの。よく来たな。」
店主「よく来たって…」
店すぐそこですから。
権蔵「なんだい?冷やかしかい?」
店主「いやいや、なんでもハロウィンに因んだ商品を売ってるって小耳に挟んだもんですから。」
権蔵「おお、なかなかいい耳してるな。待ってろ。」
店主「はい。」
深海「見せてくれるのかな?」
店主「さぁ?」
しかし、何が出てくるんだ?
黄色い団子?それとも黄色い餡子の入った大福?
分からないな…
822 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:08:40.95 ID:9TTfeyyS0
ん?
店先で女性が茶を飲みながら団子を食べてる。
そういや、ここイートインもできるんだっけ。
しかし、あの女性…今どき珍しく日傘を差しながらなんて…まるで大和撫子だな。
今どき珍しく?はて…何か忘れているような…
??「おじいさん、おばあさん。ごちそうさまです。」
米「はぁい。またいらしておいで。」
??「はい。」
行っちゃった。見るからに美人だ…最近よく見るな美人さん。
権蔵「おお、待たせたな。」
店主「いえ。」
権蔵「これがウチのハロウィン限定商品だ。」
なんか、おじいさんの口からハロウィンって聞くの新鮮だな…
823 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:09:29.73 ID:9TTfeyyS0
しかし、これ…
店主「大福…?」
深海「にしちゃあ、形がいびつじゃない?」
だよな。まんじゅうっぽいし、お餅っぽいし…なんか中に入っているのか、その形に周りの皮の形も合わさっている。
店主「…これは?」
権蔵「食べてみぃ。」
なら、お言葉に甘えて。
パクッ
モグッ
店主「っ!これ、中に入ってるのカボチャだ!」
深海「それと餡子も!」
権蔵「それは"いきなり団子"だよ。」
店主「いきなり団子?」
聞いた事のない名だ。
権蔵「難題お前さん知らないのかい。まぁ、無理もないか。これは九州の熊本にある郷土菓子だ。」
深海「熊本…」
権蔵「元々、このいきなり団子はサツマイモを使うんだが、今はハロウィンってこともあってカボチャを使ったんだ。」
店主「へぇ~。」
なかなか考えたもんだな。
824 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:10:18.96 ID:9TTfeyyS0
しかし、カボチャか。
さっきはああ言ってたが、使い勝手の良い食材だよな。
元々が甘いから料理として使うのもよし、お菓子として使うのもよし。
オールマイティだ。
権蔵「うまかったかい?」
店主「ええ。」
深海「素材の味をうまく生かしたって感じ。」
権蔵「そうか。そりゃいい意見を聞いた。だとよ、進!」
店主「へ?」
権蔵「これを考えたのは倅の進なんだよ。」
ああ、息子さんが。
権蔵「少しは若い風も入れんとな。」ガハハッ
この人もこの人で色々考えてるんだな…
825 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:11:06.80 ID:9TTfeyyS0
店主「ただいまぁ~」
深海「ただいまぁ!」
ああ、疲れた…外を出歩くのも久々だからな。
店主「しかし、よかったのか?」
深海「ん?」
店主「ケーキだよ。」
深海「パン買ってもらったし良いよ。」
店主「そっか。」
しかし、こうやって回ってみると収穫が色々あった。
基本はカボチャ。
そしてそれを使ったアレンジ料理。
これだったら来年ウチでもやってみるのもありかな…
いや、さっき散々言ったけど…まぁ、商売だし…
それに…
あの子も楽しみにしてたしな。
深海「~♪」
頑張ってみるかな。
826 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/10/31(土) 03:11:41.08 ID:9TTfeyyS0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
来年のハロウィンは限定メニューを出す予定です。
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/31(土) 11:06:35.97 ID:t/1geN0bo
かぼちゃ餡美味いよね、小豆使わないあんこはどれも好きだわ
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/31(土) 14:14:23.91 ID:AMquoHN/0
いきなり団子は諸説あるとか聞くけど、作り置きしておいて(もしくはすぐに作れるから?)急な来客などで出していたから、いきなりの客に出す団子、みたいのが由来と聞いたな。
840 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/31(土) 21:02:48.24 ID:+OoHCXXAO
日傘の謎の女性の正体は……
大和撫子に仮装した足柄だなww
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/01(日) 22:08:03.24 ID:i/F8npEd0
そいえば、最近のかぼちゃってまだ柔らかい方らしいね。
昔は包丁が折れたりして、学校とかによくある紙を一気に何枚も切るヤツで斬ってたって近所の農家のジッチャンが言ってた。
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/02(月) 11:26:10.00 ID:mXPi5xKyO
道の駅とかで売ってるすぐなカボチャとかいういびつなカボチャ
煮物とかにするとトロトロで美味しいんじゃ~
個体差激しくて普通のカボチャみたいな味のやつもある不思議
848 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/02(月) 20:01:37.17 ID:0L+DYOfOo
カボチャとかピーマンって昔は中に種がみっしりぎっしり詰まってた覚えがあるなあ。
よく親の手伝いで種取るのが何か楽しかった記憶。
今のはホント中身すっかすかやね。
851 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:35:53.02 ID:AwPoL15l0
ある日の街角家の食卓
サァ、ココデオカザキニパスガマワル!
店主「おお」
ウッタ!
アァー、ポストノミギニズレマシタネ…
店主「ああ…」
オカザキィ…
深海「焦ったかなぁ…」
店主「いい線行ってたのにな…」
深海「クラブではいい成績残してるんだから、代表でも出すでしょ。」
店主「だといいけど。」モグ
店主「この冷凍ハンバーグ良いな。」
深海「自分で作るのとどう?」
店主「そりゃあ手作り…」
アット、コレハキケンダゾ!
店主「!」
深海「!」
852 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:36:23.99 ID:AwPoL15l0
ハヤメニトメタイデスネェ
店主「これ相手の10番じゃね?」
深海「たしかヨーロッパの強豪クラブに所属って…」
ココダイジデスヨ、ココ
店主「おお…」
深海「一人で持ってくか…」
コノセンシュ、コジンギニハテイヒョウガアリマス!ヨウチュウイデス!
コノアイダモ、コレデテンヲイレテマスカラネ!
深海「すごくね?」
店主「伊達じゃないってやつかな…」
853 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:37:18.37 ID:AwPoL15l0
ココデナガトモノディフェンス!
ヨクヤッタヨクヤッタ!
店主「相手、この選手一人に頼り過ぎじゃないか?」
深海「一人しかいないからじゃない?海外行ってるの。」
店主「一時期の日本に似てるな…」
深海「今じゃほとんど海外クラブだもんね。」
サァ、ココデカガワニボールガワタル!
ホンダ、ムトウ、マタカガワ!
店主「おっ?」
ソシテ…
深海「おっ!」
ココデオカザキ!!!
ウッタ!
ハイッタァーーーー!!
ヨーシヨシヨシ!ハハハ
店主「おおおおおおお!!」ガタッ
深海「やったああああ!!」ガタッ
854 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:37:48.90 ID:AwPoL15l0
ゼンハン20プン、ニッポンセンセイ!1-0!
店主「いやぁ、今のいいな。」
深海「パスワークが良かったね。」
店主「思わず見入ってしまった。」
深海「おかず冷めちゃった…」
店主「ああ、本当だ…温めなおそうか…」
深海「そうだね。」
855 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:38:33.20 ID:AwPoL15l0
その同時刻の吹雪姉妹
ココデオカザキ!!!
ウッタ!
ハイッタァーーーー!!
深雪「いいいやったああああああ!!」
白雪「深雪うるさいよ。」
深雪「何言ってるんだ。日本が先制だぞ!」
吹雪「見たらわかるよ。」
深雪「なんだよぉ、みんな冷めてんな。」
初雪「…時間。」
深雪「へ?」
初雪「夜の11時越えてる。」
深雪「だからどうした?」
初雪「あんまりうるさいと…」
深雪「ああ、神通先輩に怒られるのか…」
吹雪「それもあるけど。」
白雪「もっとめんどくさいのが…」
深雪「?」
856 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:39:05.82 ID:AwPoL15l0
ドドドドドドドド…
バァン!
川内「なんだか騒がしいね!ひょっとして夜戦?!」
吹雪「いいえ、違いますし夜戦はうちではありません。」
川内「え?そうなの?ならどこかな?やせ~~~ん!」
バタンッ
ダダダダダダダダダ…
857 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:39:35.53 ID:AwPoL15l0
吹雪「ね?」
深雪「うん…っていうか吹雪、意外に慣れてたな。」
吹雪「川内先輩にはああ言うといいんだって。駆逐艦の間じゃ有名だよ。」
白雪「なんだか、何かの都市伝説に対する対処法みたい…」
初雪「七不思議みたいなもんだし…」
白雪「間違っても本人の前で言っちゃだめだよ?」
アァー!
深雪「!」
キメラレテシマッタァ!
深雪「なにぃ!?」
イッシュンノユダンデシタネェ…
深雪「何やってんだよディフェンダー!」
吹雪「ああ、だから静かにしないと…」
ドドドドドドドド…
吹雪「ほらぁ…」
858 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:40:09.20 ID:AwPoL15l0
喫茶いかりやにて
瑞鶴「ごちそうさま。」
翔鶴「また来ますね。」
岡崎「ええ、お待ちしております。」
岡崎「…」フゥ
カランカランッ
岡崎「いらっしゃいませ。」
…
岡崎「…」
岡崎「?」
岡崎「おかしいな…」イマハイッテキタヨウナ…
859 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:41:00.06 ID:AwPoL15l0
??「…」キョロキョロ
岡崎「おや?」
??「…居ない…わね?」
岡崎「どうかなされましたかな?」
??「うきゃわ!?」
岡崎「大丈夫ですか?暁さん。」
暁「きゅっ急に声をかけないでよね!」
岡崎「いえ、大分怪しい動きをなされていたモノでしたので…」
暁「うっ…あっ怪しくなんてないわ。レディーとしての嗜みの一つだもの!」
岡崎(店の様子を挙動不審にうかがうことが?)
岡崎「誰かと約束でも?」
暁「いいえ。一人よ。」
岡崎「そうでしたか。ではお好きなお席へ。」
860 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:41:31.98 ID:AwPoL15l0
暁「カウンターへ…」
暁「…」タカイ…
岡崎「背が届かないのでは?」
暁「…ソファーでいいわ。」グスン
岡崎「はい。」
岡崎「ご注文は後程?」
暁「いっいつもの奴を…」
岡崎「またですか?」
暁「…うん。」
岡崎「でも、いつも苦い思いをして…」
暁「あれを越えなきゃ…一人前のレディーとは言えないわ!」
岡崎「…そうですか。かしこまりました。」
暁「お願いします。」
861 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:42:00.59 ID:AwPoL15l0
岡崎「お待たせしました。オリジナルブレンドです。」
暁「…」ゴクッ
岡崎「ちなみに聞きますが、アイスじゃなくて?」
暁「結構よ。」
岡崎「ミルクと砂糖は?」
暁「結構よ。」
岡崎「本当にブラックで?」
暁「結構よ!私はレディーよ、やれば出来るわ!」
岡崎「左様ですか。では、ごゆっくり。」
暁「…」オソルオソル…
暁「あちっ!」
暁「うぅ…苦い…」
暁「やっぱミル…ううんダメダメ!雷達に笑われちゃう!」
岡崎「…」
862 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:42:43.86 ID:AwPoL15l0
暁「うぅ…やっぱり苦い…今日もダメなのかなぁ…」
岡崎「どうかなされましたか?」
暁「なんでもない…」
岡崎「なぜそんなにブラックに執着するんですか?」
暁「なぜって…これが飲めなきゃレディーになれないじゃない。」
岡崎「なぜそうお思いに?」
暁「だって、ブラックを飲むってことは大人な証拠じゃない。」
岡崎「大人だってブラックが苦手な人は居ますよ。」
暁「え?…そうなの?」
岡崎「ええ。ここに来る常連さんでもそういう方を見かけます。」
暁「…」
863 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:43:12.92 ID:AwPoL15l0
岡崎「それに、そんなに焦らなくてもいいじゃないですか。」
暁「焦っては…」
岡崎「ゆっくり優雅に落ち着いて…それが立派なレディですよ?暁さん。」
コトッ
暁「あ、ミルクと砂糖…」
岡崎「ごゆっくり。」
暁「…ありがとう。」
岡崎「ふふっ、どういたしまして。」
岡崎「…っ!おや?」
雷・響・電「…」シィーッ!
岡崎「ふふっ、おやおや。」
暁「ふーっふーっ…」ズズッ
暁「おいしい!」パァッ
864 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:44:09.77 ID:AwPoL15l0
商店街のラーメン屋にて…
店長「いらっしゃいませー!!」
店員ズ「いらっしゃいませー!!」
客「豚骨…」
店員「はい!豚骨一丁!」
店長・店員ズ「はい!豚骨一丁!ありがとうございます!!」
客「…(こういうノリあんまり好きじゃないけど…おいしいからなぁ…)」
ガララッ
店長「いらっしゃいませー!!」
店員ズ「いらっしゃいませー!!」
??「醤油…"空母盛り"で…」
店員「くっ空母盛り!?」
店員2「まっまさか!?」
客(空母盛り?…そんなメニューないけど?)
店員2「店長!」
店長「待ってたぜ…加賀さん!」
加賀「お邪魔しています。」
865 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:44:38.87 ID:AwPoL15l0
店長「待ってな。今作るから。」
加賀「お願いします。」
客(…空母盛り…どれぐらいの量が出るんだろうか?)
しばらくして…
店長「空母盛り通ります!」
店員「ちょっと失礼します!」
ドンッ
店長「空母盛りお待ち!」
客「…」
客(どんぶりバカデカいし、面とスープもナミナミ…これ人間の食う量じゃ…)
加賀「…おいしそうです。」ジュルッ
客「え?(食うの!?)」
加賀「…何か?」
客「…いえ。(なかなかの美人さんなのに…)」
加賀「いただきます。」
パキッ
ズルズル…
866 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:45:29.90 ID:AwPoL15l0
加賀「?」ピタッ
店長「どうしたい?」
加賀「量、多くなりました?」
店長「ああ、5玉ほど。」
加賀「なぜ?」
店長「そりゃあ決まってる…」
店長「あなたの限界が見たいから!」
店長「…」ムフーッ
加賀「…」
客「…」
客(勝負でもしてんのか?!)
867 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:46:00.41 ID:AwPoL15l0
加賀「…」
加賀「気分が高揚します。」
客「ええ!?」
加賀「何か?」
客「いっいやぁ…なんでも…」
客(5玉増えたって…見るからにそれ以上は…)
加賀「…」ズルズル
客「…」
客(こっちの食欲が…)
またしばらくして
加賀「ごちそうさまでした。」
客(食っちゃった…完食しちゃった…スープまで飲み干して…)
868 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:46:45.81 ID:AwPoL15l0
店長「くぅ~、20玉でもダメかぁ…」
客「はぁっ!?」
店長「何か?」
客「いや…なんでも………お会計、お願いします。」
店長「ありがとうございます!」
客(まぁ、うまいからいいか。)
加賀「なんだか甘いものが…帰りはあそこに寄りましょうか。」
客「まだ食うの?!」
加賀「何か?」
ガララッ
店長「いらっしゃい!」
店主「よぉ、儲かってる?」
店長「先輩!」
869 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:48:03.98 ID:AwPoL15l0
うさぎ屋にて
大和「ありがとうございます。」
米「ゆっくりしておいで。」
武蔵「いつもすまないな。」
米「それが商売だからね。いいんだよぉ。」
加賀「あら、二人とも今日は早いのね。」
武蔵「おお、加賀か。」
加賀「お米さん。私みたらし二本で。」
米「座って待っててね。今持ってくるから。」
加賀「で、今日は演習で遠くに行ってたはずじゃ?」
大和「それなんですが…」
武蔵「あちらの提督の急病でな、延期になった。」
加賀「あら、それは残念ね。」
武蔵「だな。せっかくひと暴れ出来ると思ったのに…たるんでいる!」
大和「もう、武蔵ったら。その御蔭でここのお団子に早くありつけたっていうのに。」
武蔵「それは違いない。」ムグッ
870 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:48:47.75 ID:AwPoL15l0
米「はいはい、お待ちどうね。お茶も置いておくから。」
加賀「ありがとうございます。」ニコッ
武蔵「…」
加賀「なに?」モグッ
武蔵「なぜその笑顔をもっと振りまかない?」
加賀「笑顔なんてそうそう見せるモノでもないわ。」
武蔵「大和をみてみろ。いつも笑顔だぞ?」
大和「ちょっと武蔵!」
武蔵「瑞鶴たちも、前の鎮守府に居た加賀より優しいが、表情が読めないと困惑していたぞ。」
加賀「その様子を見るのが楽しいじゃない。」
武蔵「…は?」
大和「…へ?」
871 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:49:17.31 ID:AwPoL15l0
加賀「なに?」
武蔵「いや、なに?じゃなくて…」
大和「もしかして…それが目的でわざと?」
加賀「だとしたら?」
武蔵「お前ほどのへそ曲がりは見たことない…」ハァッ
加賀「でも、あの子たちの困ってる表情…いけるわよ。」ズイッ
武蔵「近い近い!顔が近い!」
大和「加賀さん…」
加賀「まぁ、別に危害を加えてないのだからいいじゃない。」
武蔵「まぁ、そうだが。」
加賀「それに…笑顔を自分で作るより、作ってもらった方が楽ですし。」
872 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:50:08.23 ID:AwPoL15l0
武蔵「…加賀よ…その結果があの仮装か?」
加賀「…なんの事かしら?」
大和「瑞鶴さん、あの写真を青葉さんからもらったって…」
加賀「…」
加賀「はぁ!?」
武蔵「うおっ!」ビクッ
加賀「その話は本当!?」
大和「え?ええ…」
加賀「お米さん、代金置いておきます!」
米「え?」
加賀「あおばああああああああああああ!!」ダダダダダダダダダダダダダダダダッ!
大和「言っちゃ悪かったかしら?」
武蔵「いや、いいんじゃないか?こちらは何も悪くないんだし…そもそも…」
武蔵「恥ずかしいならやるなよ…」
873 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/06(金) 23:51:00.91 ID:AwPoL15l0
そんなこの町の日常…
たまにはいかが?
879 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/07(土) 08:54:37.86 ID:UHgkBZv10
20玉入るどんぶりが想像できねえ……加賀さんマジパネェ……。
デートに誘うときは一杯お金もってかないと……街角や店主!、安くてうまくて量のあるもんを頼む!
883 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/07(土) 20:25:54.05 ID:7UiXaft20
おススメ新メニュー!!
『クリームぜんざい(バケツ)』
『栗ぜんざい(風呂桶)』
『空母盛り』始めました!!
884 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/08(日) 00:00:52.98 ID:gVNJl4s10
最強名古屋メシこと甘口いちごスパの前にはただの大食いは返り討ちにあうのです
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/11(水) 06:21:44.31 ID:4Kz74Oi30
>暁「ふーっふーっ…」ズズッ
>
>暁「おいしい!」パァッ
ああもう天使か
899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/11(水) 07:55:10.41 ID:TINGwRshO
今日は鮭とチーズとポッキー&プリッツの日だから加賀さんにいっぱい食べさせてあげたい……まだ持ってないけど。
903 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/12(木) 19:02:09.17 ID:RkJAPP670
すいません
豚玉うどん葱チーズ下さい
912 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:27:30.04 ID:0h5T8rGg0
ハロウィンも終わり、この町にも静寂の時が訪れた。
年末まではこのまま静かになるのかな?
街は…
この店はそうもいかないらしい。
なんせ、もう…
吹雪「よしよし…」ナデナデ
暁「…うぅ」グスッ
波乱の予感しかしない!
913 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:28:03.59 ID:0h5T8rGg0
と言うか珍しい組み合わせだな。
吹雪型の長女と暁型の長女と言う組み合わせ。
特型駆逐艦と言う枠では暁にとっては吹雪はお姉ちゃんなんだよな?
ふふん、俺も多少は勉強したぞ?どうだ!
…じゃねぇよ。
店主「珍しい組み合わせだな。妹たちは?」
吹雪「私の妹たちは訓練中です。」
店主「お前さんは大丈夫なのか?」
吹雪「ええ。最近は姉妹一緒ってことが少ないですから。」
店主「そうなの?」
914 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:28:37.63 ID:0h5T8rGg0
吹雪「はい。最近は姉妹でと言うより、私たち一人一人をしっかり評価してくれて戦力として扱ってくれるんです。」
店主「へぇ~」
大分成長したじゃないか。
吹雪「だから私は別行動なんです。任務も別の人と組むことがあるんですよ。今みたいに。」
暁「…ひっぐ。」
うーん…その本人は今ベソかいてんだが…
店主「どうしたんだ?それ。」
吹雪「それって…ちょっと訳がありまして…」
店主「訳?」
吹雪「ですんで、少し協力してもらえないでしょうか?」
店主「協力…?」
おいおい、まさかまた料理を教えてくれってんじゃないだろうな?
勘弁してくれよ。
915 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:29:13.22 ID:0h5T8rGg0
店主「もう教えないぞ?」
吹雪「いや、そうじゃないですよ。」
ならよし。
吹雪「あれ?でも似たようなことなのかな?」
なんですと?
店主「まぁいい。事の次第を話してみなさい。」
その方が早い。
吹雪「凄く簡単な事なんですが…暁ちゃん、ピーマンが苦手で…」
店主「ピーマン?」
吹雪「はい。ピーマンです。」
ああ、子供が大っ嫌いな食べ物不動の一位『ピーマン』ね。
916 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:29:47.32 ID:0h5T8rGg0
店主「して、そのピーマンが暁が泣いているのにどう関係してるんだ?」
吹雪「実は…私たちの先輩に"天龍"って人がいるんですが…」
店主「プロレスラーの?」
もう引退してるけど…
吹雪「言うと思った!艦娘です!しかも引退してるじゃないですか!」
そういう事知ってるんだ。意外。
吹雪「もぉ~、話をそらさないでください。」
店主「悪い悪い。で、その先輩がどうしたんだ?」
吹雪「さっき鎮守府の食堂でピザが出たんです。」
店主「ひょっとしてミックスピザか?」
吹雪「はい。…ってよくわかりましたね?」
店主「ピザでピーマンと来たら相場はね。」
吹雪「そうなんですか?」
店主「続けて。」
吹雪「で、暁ちゃんがそのピザのピーマンをよけてたら…」
天龍『だっせぇーな暁。ピーマン嫌いなのか?』
吹雪「って、大声で…」
917 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:30:23.16 ID:0h5T8rGg0
暁「うああああああああああ!!」ビェーーー!!
店主「うおっ!?」
吹雪「あーよしよし。」ナデナデ
暁「…うぅ。」グスンッ
店主「要するに弄られたわけだ…」
吹雪「暁ちゃん、知っての通りプライドが…」
なるほどね…
しかし、どっちもどっちだな。
天龍って名前だし少しは男気あふれたやつかと思ったら…まんまやってることがガキって…
店主「はぁ…で、なにを協力すればいいの?」
吹雪「暁ちゃんのピーマン嫌いを克服させてください!」
店主「…克服?」
暁「…おじさん…お願いします!」グスッ
珍しく素直…言っちゃ失礼か?
要するに克服して馬鹿にされないようにするのが目的か。
単純だが一番効率がいい。
918 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:31:14.08 ID:0h5T8rGg0
店主「わかった。協力しよう。」
吹雪「本当ですか?」
店主「ああ。」
吹雪「やったね。暁ちゃん。」
暁「うん…ありがとう。」
まぁ、料理教えてくれよかマシかな?
うちは食堂だし、作って出すって部分では申し分ない。
ただ…単純で一番効率がいい分、道は険しいな…
なんせ嫌いなものを好きにさせなければならない。
言葉では単純だが、嫌いなものをそう易々と好きになってくれるはずもない。
それは俺も一番知っている。
俺だってガキの頃はピーマン嫌いだったし…それに伴ってパプリカとかしし唐もダメだった。
もうピーマンっぽいって理由でね。
今では食えるようになったが…その理由がいまいち…
何故かって?そりゃあ、大人になって食えるようになった…なんて理由としてはパンチがないだろ?
しばらく食ってなくて久しぶりに食ったら食えましたぁ~…なんて、艦娘の子に言ってプラスになるかって話だ。
そうなってくると、無理やりでも食わせてピーマンの良さを伝えねばなるまい。
919 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:34:38.87 ID:0h5T8rGg0
ピーマンの良さ…問題はここ。
悪い部分はいくらでも見つかる。
まずは独特のにおい。
ピーマン臭さと言うのかな?食べるときにどうしてもあの香りがダメな子もいるだろう。
そしてピーマンの代名詞でもある苦さ。
子供にとっては一番始めに食べる苦い食べ物なのではないだろうか。(沖縄とかその辺の人は知らないが)そのためか子供の心に大きな傷跡を残してズルズルと大人まで引きずる人も少なくはない。
言ってしまえばこの二点をどうにかすればいい話だ。
ただ、どうにかするって言ったって…どうするよ…
店主「…」
暁「…」ポカーン
吹雪「あれ?」
920 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:35:07.63 ID:0h5T8rGg0
店主「ん?」
吹雪「急に黙っちゃったんで…」
店主「ああ、悪い考え事だ。克服の件だが、とりあえず時間が欲しい。次来店できそうな日があったら教えてほしいんだが…」
暁「…次はぁ…2日後?明日は大事な演習があるから無理…」
店主「わかった。ならそれまでに何とかしよう。」
暁「わかったわ。ありがとうおじさん。」
店主「嫌いなものを克服しようとするその精神が気に入っただけさ。」
吹雪「じゃあ、2日後にまた連れてきますね。」
暁「いいわよ。暁一人で来れるし!」
吹雪「私も来たいからだよ。」
さて、今日の夜にでも少し調べてみるか。
921 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:35:37.62 ID:0h5T8rGg0
~夜 自室~
カタタッ
店主「うーむ…」
閉店して片付け終えて、夕飯を食べて風呂を入り…
そして今はパソコンと睨めっこ。
「ピーマン 克服」だけで検索をかけてみても意外とレシピが公開されている。
それだけピーマン嫌いに悩むママさんたちが多いという事だろう。
しかし…レシピはあるが本当にこれで克服は出来るんだろうか?
レシピだけ多くても克服の有無の方が知りたいな…
でも、こうやって見ていると…使えそうなものが一杯…
いいのかな?使って…
問題になるのかな?アレンジとか…
いかんいかん!今は暁の克服が最優先だ!
922 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:36:05.62 ID:0h5T8rGg0
カチッ
店主「ん?」
ピーマンは切り方によって香りの強さが変わる…
店主「ほう…」
ピーマンの苦みは過熱しただけでは消えないが、油に溶ける性質がある…
店主「ほう!」
深海「…まだ寝ないの?」
923 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:36:48.36 ID:0h5T8rGg0
店主「おお、悪い。起こしたか?」
深海「んーん。トイレ行こうと思ったら部屋の明かりがついてたから…もう2時だよ?」
店主「おう、もう寝るよ…すまんな。」
深海「ん。」
ピシャッ
なるほど…ピーマンってそういう食材なのか…なら、"アレ"を作ってみるか。
924 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:37:34.11 ID:0h5T8rGg0
~翌日 ピーク過ぎ~
深雪「…で、なんでこの深雪様が呼ばれたの…?」
店主「パッと見でピーマン嫌いそうだし。」
深雪「はぁ!?」
深海「好きなの?」
深雪「好きか嫌いかで言ったら…嫌いです。」
店主「な?」
深雪「いやいや!じゃあ、おっちゃんは好きなの?!」
店主「好きか嫌いかで聞かれたら…大して好きでも嫌いでもない。」
深雪「そういう優柔不断な物言いがモテない理由…」
店主「…そんな深雪には特別にピーマンマシマシだ。」
ドンッ
深雪「うわぁ!?マジでピーマンの比率が多いじゃねぇか!!」
925 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:38:06.78 ID:0h5T8rGg0
深雪「…ってすぐ出てきたけど、元々作ってた?」
店主「タイミングを見てな。」
深雪「これ…そのまんまアイツに出すの?」
店主「そのつもり。」
深雪「うわぁ…アイツ、とんでもねぇ人に頼ったな…鬼だぜ…」
店主「克服の道は長く険しいぞ。」
深雪「こんなん、長く食ったら発狂するぞ…」
店主「いいから早く食えよ。」
深雪「お客に対する態度じゃない…」
926 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:38:42.80 ID:0h5T8rGg0
深海「冷めちゃうよ?」
深雪「それはごもっとも…いただきます。…うぅ、そんなに好きじゃねぇのに…」
初雪「…ガンバ。」
深雪「おめぇ、自分が巻き込まれないようにって、わざと口数減らしやがって…」
初雪「冷める冷める。」
深雪「覚えてろぉ…」
パクッ
深雪「…」モグ…
店主「どうだ?」
927 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:39:32.91 ID:0h5T8rGg0
深雪「ピーマンらしさが気にならない…」
深海「苦味は?」
深雪「あると言えばあるけど…無理にでも気にしなきゃ気付かないかな…」
店主「香りは?」
深雪「それは気にならないな。この中華風の味付けが濃いのもあるだろうけど…」
初雪「おいしい?」
深雪「おう、おいしいぞ。」
深海「やったね!」
店主「ああ。だが、問題は暁本人に食わせる時だ…」
初雪「大丈夫でしょ。ここの料理全部おいしいし。」
初雪「だからめでたしめでたし。早く帰ろう。」
928 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:40:04.60 ID:0h5T8rGg0
ガシッ
初雪「えっ?」
深雪「何勝手にまとめて帰ろうとしてるんだ?」
初雪「え?えっ?」
深雪「お・ま・え・も…食え!」ガバッ!
初雪「!!!???」ムグッ
店主「おいしいんだろ?ならなんでそんな罰みたいに扱うんだよ!」
まぁ、この分なら大丈夫かな…この分じゃ…
929 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:40:53.94 ID:0h5T8rGg0
~さらに翌日 ピーク過ぎ~
いよいよ決戦の日だ…
と変に気合を入れるのは良そう。
素性はどうあれ、相手は子供。ダメだったら次の手を考えればいい。
ガララッ
暁「…こんにちは。」
店主「おう、待ってたぜ。」
やはり苦手なものを食べるってこともあってか、少々元気がない。
多分俺がこの子ぐらいの時に同じ境遇なら反応も同じだろう。
と、あれ?
店主「吹雪は?」
暁「吹雪ちゃんは急な任務で今日来れないって…」
店主「ふむ…そうか。」
930 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:41:46.06 ID:0h5T8rGg0
いざとなったら吹雪にフォローを…と思ったが今日はそれが出来ないのか…
となるとこの勝負…もとい、この克服厳しいものになるかもな…
暁「…おじさん?」
店主「ああ、悪い。じゃあ、今から作るからちょっと持ってな。」
暁「うっうん。」
緊張してるのかね?
コトッ
暁「へ?」
店主「これでも飲んで待ってな。」
暁「オレンジジュース…ふっふん、暁はレディーなんだからコーヒーとか紅茶の方が良かったけど…まぁ、これしかないなら我慢してあげるわ!」
店主「コーヒーはあるけどね。」
暁「こっこれでいいわよ…勿体無いから!」
よし、いつもの調子に戻ったな。
では、作業に取り掛かるか。
931 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:42:33.46 ID:0h5T8rGg0
今回作る克服料理…昨日も作ったが、『チンジャオロース』だ。
漢字では『青椒肉絲』こう。
中華料理の中ではかなりポピュラーなものになるだろう。と言ってもよく頼まれるかは知らないが。
簡単に言ってしまえばピーマンと豚肉の炒め物だ。
何故、今回の克服料理に選んだか…それは前々日に見たサイトにヒントが隠されていたからだ。
ピーマンがなぜ嫌われるかは、前にも語ったが主に2つ『臭い・苦味』だ。
まず匂いだが、これはピーマンに含まれる『トキピラジン』と言う成分が原因だ。
だがこれは血液をサラサラにして脳梗塞や心筋梗塞を予防する効果があるので悪い成分ではなく、人間には必要不可欠なものだ。
この『トキピラジン』と言う成分は、ピーマンの細胞に入っており、細胞が壊れることで成分が外に出てにおいを発するというメカニズムになっているという。
ならその細胞を壊さなければ、臭いを抑えることができるのである。
ピーマンの細胞はヘタからお知りにかけてタテに並んでいるので、それに沿って包丁をタテに入れ、細切りにする。そうするとなるべく細胞を壊さず、香りをなるべく外に出さず切ることが可能なのだ。
そしてお次に苦味。
ピーマンの苦みは加熱しただけでは消えない。ただ、油に溶ける性質があるというので一度油通しにする。
そうすることでピーマンの苦味を油に溶かし抑えることが出来るという。
932 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:43:08.04 ID:0h5T8rGg0
『ピーマンの細切りに油』…俺はこの二つのワードで即座にチンジャオロースを思い出した。
チンジャオロースならピーマンを細切りし油通しした後も炒めるので苦味も臭いもかなり抑えられると思ったのだ。
今回用意した主な材料は『ピーマン』と『豚肉(ロース)』の2つ。
本来ならタケノコなども入れた方が食感とかも付け加えられいいのだが、如何せん今回は克服。
暁にも頑張ってもらいましょう。
まずは細切りにして下味をつけた豚肉を炒め火を通す。
次にタテに細切り。それを油通ししたピーマンを入れて炒める。
ピーマンはもう火が通ってる状態なので温まったと思ったらオイスターソースやガラスープで作った合わせダレを絡める。
で、完成。
克服用チンジャオロースだ。
本当はネギとかタケノコとか入れたいけどね…今回は心を鬼にして!
933 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:44:14.21 ID:0h5T8rGg0
店主「お待ちどうさん。」
暁「げっ!」
表情が一気に固まる。
そりゃあ目の前に嫌いなものをドンと置かれたらなぁ…
つっても分量はピーマン一個分。
別に罰でも何でもない。ピーマンが本当はおいしいという事を知ってもらえればそれで充分。
そう思うことが大事なのだ。そうすれば次のステップ次のステップと行ける。
暁「…」オソルオソル
店主「暁…その箸、豚肉しか掴んでないぞ?」
暁「うっ」
むしろ豚肉も少なめで細目なんだが…器用だな。
暁「…」オソルオソル
店主「今度は何も掴んでないぞ?」
暁「っ!」
いやいや、気付いてたろ…
934 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:44:44.10 ID:0h5T8rGg0
暁「…」オソルオソル
掴んではいるが…ピーマン一本…本当に器用だ…
暁「…」パクッ
目を瞑りながらって…まぁ、分かるけど…
暁「…」モグモグ
暁「…」モグモグ
暁「…」ゴクッ
店主「どうだ。」
暁「味…分かんない。」
そりゃそうだ。細切りの一本だけ食べても味は分からんて。
店主「もう、ガツッと行っちゃえって。」
935 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:45:43.94 ID:0h5T8rGg0
暁「…こう?」
店主「もっと。」
暁「…こう?」
店主「いや、もっと。」
暁「……こう?」
店主「いやいや、聞くたびに一本づつしか増えてないじゃねぇか…」
本当に器用だなこの子…
店主「もう、まとめてこう、ガッ!と。」ガバッ
暁「あっ…」
そんな絶望の眼差し向けられても…精々15本ぐらいなのですが…
936 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:46:21.33 ID:0h5T8rGg0
店主「ほら、アーン。」
暁「へっ!?」
店主「なんだ?」
暁「なっなななななな!」
店主「な?」
暁「ひっ一人で食べられるわよ!」
店主「…そうか?」
暁「そうよ!」
店主「ならこの量をしっかり食えよ?このまま渡すからな?」
暁「…うん。」
本当はマナー悪いけど…
店主「いいか?逃げていたら、いつまでたっても克服できないからな?」
暁「わかってるし…」
937 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:47:27.49 ID:0h5T8rGg0
店主「よし、じゃあ…」
暁「はむっ!」モグッ!
おお、行ったな…
暁「…」モグモグ
暁「…」モグモグ
暁「…」ゴクンッ
暁「…」
店主「どうした?」
暁「…れる。」
店主「?」
938 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:48:03.06 ID:0h5T8rGg0
暁「これなら…食べれる。」
暁「おいしかった…食べれる!」
店主「…そうか。」ホォ…
良かった。その感想を待っていたんだ。
暁「これなら…天龍にも馬鹿に…されない!」モグモグ
店主「おいおい、口に頬張りながら喋るな。」
まったく。困ったレディだ。
ん?
雷・響・電「シィー…」
…いつの間に。
939 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:48:35.98 ID:0h5T8rGg0
~それから数日後~
暁「で、暁が今度は天龍を馬鹿にしてあげたの!」
店主「ほぉ~…」
暁「最高に気持ちよかったわ!」
店主「ほぉ~…」
どうやらあの後ピーマンを見事に…ではなくミックスピザに乗った輪切りのピーマンを天龍とやらの前で食べて見せたらしい。
相手は相当悔しがっていたとか。
暁「ふふん!」ドヤァ!
で、このご満悦。
いつものレディに戻って、めでたしめでたし。
のは、いいんだけどさぁ…
天龍「なぁ、頼むよ!今度は俺の苦手も手伝ってくれよぉ!じゃないと龍田のヤローに…」
店主「…」
なしてこうなった?
940 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:49:16.32 ID:0h5T8rGg0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
大好きなものでも苦手なものでもご遠慮なく!
941 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:49:53.43 ID:0h5T8rGg0
~鎮守府 食堂~
暁「見てなさいよ天龍!」
天龍「ああ、しっかり見てやるよ!」
暁「あ~…ん!」パクッ
天龍「…」
暁「…」モグモグ
天龍「…」
暁「…」ゴクンッ
暁「あ~おいしかった!」
天龍「なっ…」
暁「ね、食べれたでしょ?暁だってレディーなんだからやれば出来るわ!」ドヤァ!
天龍「ちっ約束だ謝ってやるよ。」
天龍「…すまなかった。」ボソッ
暁「ん~?」
天龍「すまなかった!これでいいだろ?」
暁「んふふふふふ。」ニヤニヤ
942 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:50:21.55 ID:0h5T8rGg0
雷「やったわね暁!」
電「やったのです!」
響「ハラショー!」
龍田「あらあら。」
天龍「あ~、胸糞悪い。帰るぞ龍田。」
龍田「あら~、よかったの?天龍ちゃん。」
天龍「あ?」
龍田「だってぇ~…」
龍田「駆逐艦の子に先を越されちゃったわよ?」
暁「え?」
天龍「」
943 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:50:55.35 ID:0h5T8rGg0
龍田「ね~?」
天龍「ばっ馬鹿を言うなよ龍田。俺に苦手なんて…」
龍田「…ニンジン。」ボソッ
天龍「ひっ!」
雷「天龍、もしかして…」
天龍「だっ誰があんなものを苦手だって?!」
龍田「だってぇ、いつもステーキとか頼むと付け合わせのニンジンに手を付けないじゃない?」
天龍「あれはだって…彩の飾りだろ?食わなくたって…」
龍田「同じ付け合わせのポテトとコーンは食べるのに?」
天龍「うっ」
龍田「あれも含めて付け合わせよ?天龍ちゃん。」
944 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:51:32.72 ID:0h5T8rGg0
暁「ふふふふ…」
天龍「なんだよ…暁…」
暁「暁だって食べられるニンジンを、天龍が食べられないですってぇ?」ニヤニヤ
天龍「なぁ!こいつ調子に乗りやがってぇ…そういうお前だって輪切り一個じゃねぇか!」
暁「チンジャオロースだって食べれるよぉ?」ニヤニヤ
天龍「ぐぬぬ…」
龍田「天龍ちゃんサラダに入ってる千切りのニンジンも綺麗に取っちゃうもんねぇ?」
天龍「いや、それは…」
響「天龍…」
電「なのです…」
945 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/13(金) 23:51:36.93 ID:YNHU2OO9o
天ちゃんwwwwww
946 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:52:04.24 ID:0h5T8rGg0
龍田「そうねぇ、姉が小さい子をいじめたわけだし…少しぐらい罰も必要ねぇ…」
天龍「なに言って…」
龍田「克服するまで…一緒に寝てやらないわよ?」
天龍「…」
雷「大丈夫!"街角や"があるじゃない!」
947 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/13(金) 23:53:05.45 ID:0h5T8rGg0
タツタァァァァァァァァァァ!!
蒼龍「なんだか騒がしい…」
飛龍「天龍たちね。あいつも何だかんだでガキなんだから。」
加賀「そういうものでもないですよ二人とも。苦手なものぐらい誰にだってあります。」ズズッ
飛龍「いや、騒がしいって話であって苦手の話は…」
蒼龍「飛龍は何か苦手あったっけ?」
飛龍「私は何もないわよ。じゃないと多門丸に叱られちゃうし。」
赤城「あら、加賀さん。ピラフに乗ってたグリーンピースが残ってますよ?」
加賀「…」
赤城「加賀さん?」
加賀「これはただの飾りであって食べ物ではないわ。」キッパリ
飛龍「グリーンピースを全否定!?」
蒼龍「加賀さんパネェ!!」
972 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/14(土) 23:45:17.94 ID:gnRntxM+0
~ある日の昼時~
久しぶりに近くの交番に勤めている武田君がやってきた。
武田「そうそう、この間下着泥を捕まえたんですよ。」
店主「それはお手柄じゃないですか。」
武田「いやぁ…」
店主「どうかされたんです?」
武田「見つけた時に逃げられてしまいまして…」
店主「あらら。」
武田「で、全速力で追いかけたんですがね。相手の足が速くて。」
店主「ほう。」
武田「2丁目の角を相手が曲がった時にですね、丁度何かにぶつかったらしく転んだんですよ。」
店主「ぶつかった?あの辺りにぶつかるようなモノなんて…」
武田「それが…たまたま歩いてた女性にぶつかったんです。」
店主「女性!」
武田「ええ、女性です。」
973 :
◆MyIMarvEFy8D [saga]:2015/11/14(土) 23:45:44.52 ID:gnRntxM+0
武田「で、私が怪我はないですか?って尋ねたんですけど。」
??『私は大丈夫だ。それよりそこの男が伸びているんだが…そっちは大丈夫なのか?』
武田「見てみると、追いかけてた男が本当に目を回してたんですよ。」
店主「ぶつかっただけなんですよね?」
武田「はい。ぶつかっただけです。」
店主「凄いですね。女性なのに男にぶつかって怪我をしないどころか、相手が失神してしまうなんて。」
武田「でしょ?まぁ、体つきから何かスポーツ関係をしていたんでしょうね。ガッチリしてましたから。」
店主「じゃあ、ぶつかった時に弾き飛ばされて頭でも打ったんですかね。」
武田「たぶん…一応、協力に当たるんじゃないかと思って名前を聞いたんですが…『日向』と一言だけ。」
武田「お礼を言いたかったんですがね…」
店主「またいつか会えますよ。その時言えばいいじゃないですか。
武田「そうですね。」
北上(…なにしてんのさ)
大井(日向さん…)
975 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/14(土) 23:54:42.84 ID:n0RS5ijTO
乙です
976 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/15(日) 01:25:55.59 ID:EQM1XC0HO
おつ
転載元
【艦これ】吹雪「鎮守府近くの食堂へ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440526043/
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サンマやマグロにも鱗はありますよ。
サンマの場合、水揚げの時にほとんど剥がれますが。