1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:41:12.63 ID:r9J6xFaC0
ええ、人の嗜好というものは実に複雑なものでございまして、それこそ十人いれば十人それぞれが全く異なる好悪の情を持っておりますな。
「俺はキュウリが食えねえんだ」
「何をゥ?俺の好物が食えねえってのか?」
「でもトマトは好きだね」
「トマト?あんなグジュグジュしたもん男の食うもんじゃねえぜ。俺は嫌いだね」
「あっ、犬がいるぜ?可愛いじゃねえか」
「へン、犬よか猫のほうがよっぽど可愛いや」
「おっ、しかも見ろよ、あの犬を連れてる女!い~い女じゃねえか、たまらねえ…」
「何を言ってやがんでえ。女なんかより横歩いてる男のほうが…」
ああ、いやいや…まあその、何ですな。食べ物から趣味、好きな本やら映画、あるいはどんなものが怖いか…好みは実に人それぞれ。
自分とぴったり全く同じものが好き、なんて人はまあ探しても見つかりますまい。だからこそ人付き合いてのは面白いんでございます。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:42:31.67 ID:r9J6xFaC0
好みといえば恋愛における好みも人それぞれでございますな。
顔がいい、家柄がいい、身体がいい、性格がいい、学歴がいいなどなど…特に顔や性格は実に細かなところまで好みが枝分かれしております。
最近よく使われるようになった言葉に「ツンデレ」というものがございますな。これを好むオタクの方はまことに多い。
これも性格を表す言葉の一つでございます。普段ツンツンして素っ気ないけれども実は…というギャップに萌えるのでございますな。
ところでこういった「ツンデレ」ですとか「天然ボケ」などが人気だと話題になると、それを真似てやろう、などと考えるお方が当然出てくるわけです。
「よぉ~っし!私もツンデレになって彼のハートをゲットよん☆」
てなもんでございますな。
ところがこれ、大抵の場合上手くいきません。何故かといえばやっているうちにボロが出てしまうからですな。
「ツンデレ」であれ「天然ボケ」であれ、狙ってそうなっているわけではない。自然なのでございます。だからこそ可愛いさが内からにじみ出る。
ところが狙ってしまうとどうしても不自然さが出てしまいます。ツンデレを好むような方でしたらその辺りには敏感ですからな、すぐに見透かされ、フラれてしまう。
下手な小細工を考えるより、自分の気持ちをそのままぶつけたほうが、相手には伝わりやすいものでございます。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:43:06.38 ID:6NpPhVx5O
饅頭怖いの略なんだろうが
下ネタにしか見えないな
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:44:16.99 ID:r9J6xFaC0
さて、ここで女子高生の日常に目を向けてみることに致しましょうか。
そういえば何年か前にある学者先生が「女子高生は『カワイイ』か『カワイクナイ』でしか物事を判断できない」などとおっしゃっておりましたな。
多分この先生は女子高生に「カワイクナイ」と言われたことがあるのだと思いますけれど…。
ま、そこまで極端なことはないでしょうが、女子高生というものは特に、好き嫌いに敏感なものではございましょうな。
ええ、とある女子高でございます。うら若い乙女たちがキャッキャウフフと部活動に励んでおるところ…。
梓「あれ?」
律「ん?どうした梓?」
梓「いえ、ちょっと…」
唯「なになに~?おせーてよあずにゃ~ん」
梓「いえ、さっき一瞬、窓の外を何かが落ちていったような…」
澪「鳥じゃないのか?」
梓「だと思うんですけど…人の生首のように見えた気が…」
澪「ひいあああああああっ!?」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:44:31.52 ID:p9wfUo930
たちぎれっ!
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:45:19.35 ID:r9J6xFaC0
梓「あっ!すみません澪先輩!別におどかすつもりは…」
律「唯!確認するぞ!空飛ぶ生首!」
唯「了解しましたりっちゃん隊長!」
紬「あっ!私も~!」
梓「先輩方!?わ、わざわざそんな…」
紬「こっちには何もいません!」
律「こっちもだ…そっちはどうだ、平沢隊員!」
唯「残念ながら…あっ!」
律「どうした!?」
唯「あの雲、チョココロネみたいな形してます!」
律「よし!帰還するぞ!」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:46:23.01 ID:r9J6xFaC0
律「ざ~んねん、何にもなかった~」
梓「すみません、私が変なこと言ったせいで…」
律「んにゃ、気にするな。それより…」
澪「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」ガタガタガタガタ
梓「み、澪先輩!大丈夫ですから!な、何もいませんでした!私の気のせいでしたから!」
澪「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」ガタガタガタガタ
唯「…どうしようか、これ」
紬「…お茶にしましょうか?」
律「…だな」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:48:24.48 ID:r9J6xFaC0
紬「少しは落ち着いた?澪ちゃん」
澪「う、うん…ごめんな、みんな」
梓「そ、そんな!むしろ謝るのは私です!すみませんでした!」
律「梓が謝ることじゃないだろ~?きっかけは確かに梓だけどさ、原因は澪の異常な怖がりにあるっ!」
唯「澪ちゃん、ほんとに怖がりだもんね~」
澪「うう…だって…」
律「…幽霊が出たっ!」
澪「はうっ!?」
唯「おっ!血が止まらない!」
澪「ひいっ!?」
紬「澪ちゃん、虫がいるわ!」
澪「ふあっ!?」
梓「…孤独!」
澪「へえっ!?」
澪「ほぉぉぅ…」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:50:14.31 ID:r9J6xFaC0
梓「…この怖がり方…もう見事ですね」
律「具体的に言わなくてもこれだもんなあ」
澪「ひ、ひどいぞみんなぁ…」
紬「ごめんね澪ちゃん、つい…」
唯「ねえ澪ちゃん、澪ちゃんが一番怖いものってなに?」
澪「い、一番怖いもの…?」
唯「うん!幽霊とかおばけとか…色んなものの中で一番怖いもの!気になるよ~」
梓「確かに、ザ・怖がりさんのベスト・オブ・怖いものって、ちょっと興味ありますね」
澪「ザ・怖がりさん…」
梓「あっ!?す、すみませんでした!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:53:48.39 ID:r9J6xFaC0
律「いい機会だからさ、教えろよ、澪~!」
紬「私も聞きたい!」
澪「………やだ」
唯「え~」
律「連れないですなあ秋山さんよぉ」
澪「だ、だって一番怖いものを教えたら、お前絶対用意してくるだろ!?」
唯「おおっ!なるほど!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:55:43.71 ID:r9J6xFaC0
律「だはははははは!しない、しないって!信用しろよこの幼馴染を!」
澪「信用できるか!」
紬「じゃあ、りっちゃんも一番怖いものを教えるというのはどう?それなら対等じゃないかな?どう?澪ちゃん」
律「え~?」
澪「う、うん…それなら、まあ…いいけど」
唯「澪ちゃんの腹はできたよ!さありっちゃん!あなたはどうなのよ!」
律「よおしわかった!ただし、私と澪だけってのも不公平だ!お前ら全員にも教えてもらうぜ!」
梓「私たちもですか!?」
紬「怖いもの暴露大会ね!楽しそう~♪」
唯「ん~…私が怖いもの…何だろ?……おぉぅ!?」
梓「何か思いついたんですか?」
唯「へっ!?えへへ~、ないしょだよ~」
梓「?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:57:17.47 ID:r9J6xFaC0
律「さてと、じゃあまずは誰から行く?」
澪「最初は律から行けよ。律が言った後じゃないと私は言わないからな」
律「ンモー、本当に信用ないんだから。幼馴染は若干切ない思いをしているよ?」
紬「それじゃあ最初はりっちゃん!張り切ってどうぞ~♪」
律「んー…あのさ、私あんまり怖いものが思い浮かばないんだよな。だからさ、怖いことでもいいか?」
梓「ものではなくて、ことですか。どうしますか澪先輩?」
澪「まあ、いいんじゃないか?いざとなったらその怖いことをしてやればいいんだし」
律「だーかーらー、いざという時なんか来ないっての!んじゃ、私が一番怖いことで!」
唯「おー!」パチパチパチパチ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 19:59:14.05 ID:r9J6xFaC0
律「えっと…爪をな?」
唯「爪?」
律「うん。爪をペンチか何かで、こう…ベリッ、と。うあああああああ!!」
澪「うわああああああああああああああ!!」
梓「ひゃっ!?澪先輩!?」
律「あああ怖い怖い怖い怖い」
澪「痛いのヤダぁ…」
律「あー、やべえゾクゾクする…」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:00:35.97 ID:r9J6xFaC0
唯「りっちゃんは爪を剥がされるのが怖いんだね」
梓「何かトラウマでもあるんですか?昔、実際に剥がれたとか」
律「いや、私自身はまだだ。多分昔読んだ漫画の影響だと思うんだけどな。拷問で、一枚ずつ…べきっ、べきっ、と」
梓「うわ…痛そ」
律「ああ、言ってて心臓ドキドキしてきた」
紬「でも、確かに爪が剥がれるのは怖いね」
律「だろ?私がドラムを選んだのも、ギターやベースだと指で弦を弾く時に誤って爪が…」
澪「やめろぉ~!!」
律「ま、まあ私の発表はこんなところでいいか?うわー、鳥肌立っちゃった…見ろよこれ」
唯「触らせて触らせて~!うおぉ、ボツボツ…」
紬「私にも~♪」
律「いやん!そんなところ触らんといてぇ!」
梓「…何やってるんですかまったく。……わ、私もちょっとだけ…」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:03:21.66 ID:r9J6xFaC0
紬「はい、じゃあこれでりっちゃんの怖いものごと発表は終了!いいよね、澪ちゃん?」
澪「…うん。今度律が何かしたら爪を剥がしてやることにするよ」
律「ま、真面目な良い子になるからそれだけは…」
紬「それじゃあ次は、満を持して澪ちゃん!どうぞー!」
澪「わ、私か…」
梓「頑張ってください!」パチパチパチ
唯「いよっ!ザ・怖がりさん!」パチパチパチ
澪「その呼び方はやめろぉ!」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:05:02.12 ID:r9J6xFaC0
澪「えっと…わ、私が一番怖いものは…」
律「ふんふんふん!」
澪「…カ…カメムシ!…です!」
律「おぉー……何というか…」
唯「割と普通だね、ザ・怖がりさん」
律「…だな」
澪「ふ、普通って何だよ!?本当に怖いんだぞ!?それとも何か!?お前たちが驚くようなものをわざわざ選んで言えばよかったのか!?これはそういう会なのか!?」
梓「澪先輩!?お、落ち着いて下さい!謝って!謝って下さいそこの二人!」
唯「ご、ごめんね澪ちゃん!ごめんね!」
律「わ、悪かったから落ち着けって、澪!」
澪「あ…うん…私こそごめんな、取り乱しちゃったみたいだ」
紬「うふふふふ~♪」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:06:42.24 ID:r9J6xFaC0
唯「でも、確かにカメムシは嫌だね~。見た目は割とかわいいんだけど」
律「臭いがな~。しかもあいつ知らないうちに部屋の中に忍び込んでるからな」
梓「優しく雑誌かなんかに乗せて窓から捨てますよね」
律「そうそう!温かい時期は洗濯物にくっついたまま取り込んじゃったりしてさ~」
梓「たたんでる時にびっくりするんですよね」
紬「でも、カメムシが一番怖いというのは意外だよね。何かあったの?」
澪「うん…できれば思い出したくない恥ずかしい記憶が…」
律「この際だから喋っちゃえよ、澪!」
澪「いいけど…他言無用だからな!?ここにいるみんなだけの秘密だからな!?」
唯「はいよっ!」
梓「わかりました、誰にも言いません!」
律「言わないと思います!」
澪「言ったら剥がすからな」
律「はうっ!」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:09:13.21 ID:r9J6xFaC0
澪「小学生の頃にな、ママがお好み焼きを買ってきてくれたんだ」
梓「ママ…」
澪「お母さん!」
唯「お祭のおみやげ?」
澪「あ、ううん。そうじゃなくて、スーパーのレストランコーナーみたいなところで売ってるやつ」
梓「あ、ありますね。フライドポテトとかたい焼きとか売ってるんですよね」
紬「や、焼きそばは!?焼きそばは売ってるの!?」
梓「う、売ってる…と思います」
紬「行きたい!今度行こう!?今度連れてって!!ね、澪ちゃん、梓ちゃん!!」
律「おかしなところで食いついたな…。澪、続き」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:11:09.38 ID:r9J6xFaC0
澪「あ、うん。それで、お母さんと一緒に家でお好み焼きを食べたんだ…」
唯「ふん、ふん」
澪「半分くらい食べ終わってて、残り半分に取り掛かったんだけど…か、噛んだ瞬間にプチッて食感と変な味が…」
梓「まさか」
澪「へ、変な味だなあと…お、思って…は、吐き出し…」
律「もういい澪!皆まで言うなっ!」
澪「り…律ぅ~!」がばっ
律「よしよし…大丈夫、大丈夫だからな…!」
唯「……私たちは澪ちゃんの古傷を開いてしまったみたいだね、あずにゃん…」
梓「好奇心とは…罪なものですね…」
紬「あらあら~♪」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:13:37.30 ID:r9J6xFaC0
澪「はぁ、はぁ…えっと、これで私の発表はお終いだ」
唯「頑張ったねえ、澪ちゃん!」パチパチパチ
澪「さあ、次は誰だ!?唯かむぎかそれとも梓か!?」
梓「澪先輩がノり出した!?」
澪「当たり前だ!こうなった以上、ここからは私も楽しませてもらうぞ!」
律「…澪から何かが落ちたな」
梓「あ、じゃあ、次は私が行きます」
唯「おっ!あずにゃん待ってました!」
梓「あんまり面白くないとは思いますが…」
律「そんなこと気にすんなって。そもそも面白がる企画でもないんだしさ」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:15:50.38 ID:r9J6xFaC0
梓「あ、はい。えっと…私が怖いものは軽トラックです」
紬「毛糸ラック…?」
唯「あの白いやつ?」
梓「はい。後ろに荷物をたくさん積めるあれです」
紬「…?」
律「こういう車だよ、むぎ」サラサラサラ
紬「あっ、これなら知ってる!これ軽トラックっていうのね!」
澪「軽トラともいうな」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:17:48.67 ID:r9J6xFaC0
唯「何で軽トラが怖いの?」
梓「はい…まだ幼稚園生のころだったと思うんですけど、軽トラに撥ねられそうになったことがあるんです」
律「それは嫌な思い出だな~」
唯「だっ、大丈夫!?あずにゃんどこか怪我してない!?きゅ、救急車!」
澪「幼稚園のころだって」
梓「それに、撥ねられそうになっただけで、撥ねられてはいないんです。ギリギリ目の前で停まったので…」
唯「はぅ…よかったねえ、あずにゃ~ん!」
梓「はい。でも、その時のトラウマですかね、今でも走ってる軽トラを見ると一瞬身体が硬直しちゃうんですよね」
唯「わかったよ!もし私があずにゃんを撥ねる時は軽トラ以外で撥ねるよ!だから心配しないでね、あずにゃん!」
梓「…撥ねること前提ですか」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:20:29.58 ID:r9J6xFaC0
律「私も昔、車にぶつかったことがあるけど痛かったな~」
梓「えっ!?大丈夫だったんですか!?」
澪「お前は単に停めてあった車に自分からぶつかったってだけだろ」
梓「なーんだ」
律「だっははは!やんちゃだったもので!」
梓「えーと、私もこれで終わりです。次は…」
ガチャッ
和「ちょっといいかしら?」
唯「あっ!和ちゃん!」
律「スペシャルゲスト登場~!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:25:10.66 ID:r9J6xFaC0
和「えっ?何?スペシャルゲストって何なの?」
唯「ほら、和ちゃん座って座って~!」
紬「お茶を淹れるから待っててね~♪」
和「ちょ、ちょっと!?何なのよ、唯!?」
唯「今ね、みんながこの世で一番怖いものを発表しあってるんだよ~」
和「怖いものを発表?」
律「澪はカメムシが一番怖いとか、梓は軽トラが怖いとか!」
和「…ああ、なるほどね。そういうこと。で、私にも発表をしろ、と」
澪「飲み込みが早いな、和は。ちなみに怖いことでもいいぞ。律は爪を剥がされることが怖いんだそうだ」
和「怖いもの、怖いこと…そうね…」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:29:58.80 ID:r9J6xFaC0
律「美人生徒会長、真鍋和さんの怖いものとはっ!!」
唯「ものとはっ!!」
和「ああ、そうだわ。私の怖いものは…」
律「ふんふん」
和「会議の席でしっかりと通告しているにもかかわらず」
律「おっ?」
和「他の部の部長はたいてい遅くとも提出期限の前日までには提出しているにもかかわらず」
律「んん…?」
和「ただ一人だけ何度も何度も口酸っぱく注意しているのにいつまでたっても書類の提出期限を守らない、ある部活の部長さんが怖いなあ」にこにこ
律「えーと、どゆこと…?」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:30:55.76 ID:r9J6xFaC0
和「ねえ、律。活動報告書の提出っていつまでだったっけ?」にこにこ
律「ええと…きょ、今日までだった…かな?」
和「いいえ、先週の金曜よ」にこにこ
澪「律、お前…」
和「ねえ、律?」にこにこ
律「は、はい…」
和「…爪を剥がしてあげましょうか?」にこにこ
唯「りっちゃん、この和ちゃんは恐いほうの和ちゃんだよ」
律「あ、あわわわわ…」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:33:39.72 ID:r9J6xFaC0
唯「というわけで、りっちゃんが泣きながら書類を書いている間に」
律「うえええん!ごーめーんーなーさーいー!ごーめーんーなーさーいー!」
唯「和ちゃんが本当に怖いと思うものを、どうぞっ!」
和「私が一番怖いものか…」
梓「和先輩が怖いものって、ちょっと想像つかないですね」
和「ううん、強いて言うなら…」
唯「うん!なになに~?」
和「…ザリガニ」
澪「あ~」
梓「あぁ…なるほど」
紬「あらあら~♪」
和「あの光景だけは忘れられないわ…」
唯「?」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:37:58.96 ID:r9J6xFaC0
律「和も帰ったことだし、次行くか…」
梓「短時間でずいぶん憔悴しましたね…」
律「あー、怖いものがひとつ増えたー」
澪「で、次はどっちだ?唯?それともむぎか?」
唯「あ、お願い!私は最後がいいんだけど…」
梓「順番が大切なんですか?」
澪「じゃあ…むぎ、いいか?」
紬「あ…うん、ただ、発表の前に…ひとつ謝っておきたいの」
梓「謝る?」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:42:32.56 ID:vhX+fi0BO
明烏やってほしい
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:44:19.67 ID:r9J6xFaC0
紬「私、みんなの発表を聞きながら色々考えたんだけど、怖いものもこともあまり思いつかなくて…。
それでね、やっとひとつだけ見つかったんだけど、もしかするとそれは主旨に合っていないかもしれなくて」
澪「それで謝りたい、か」
紬「うん…。もしかすると私、すごく変なことを言ってしまうかもしれないの」
律「なあんだ、そんなことか!まったくむぎは心配性だな~」
唯「むぎちゃん、気にしないで言っていいんだよ?私たち、少しくらいおかしくても気にしないよ!ね、あずにゃん?」
梓「そうですよむぎ先輩!私たちが唯先輩の奇行をいちいち気にしないのがいい証拠です!」
唯「そりゃないぜあずにゃん…」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:46:53.42 ID:r9J6xFaC0
紬「ふふふっ。…うん、わかった。みんなありがとう…えっと、私もりっちゃんと同じで、怖いことなんだけど…」
律「おっ!そっちパターンか~」
紬「わ、私が一番怖いことは…」
唯「怖いことはっ!?」
紬「み、みんなと心が離ればなれになること…心が通い合わなくなってしまうこと。…それが一番怖いの」
梓「むぎ先輩…」
澪「むぎ…」
紬「ご、ごめんなさい!わかってるの、怖いっていうのはそういうことじゃないって、わかってるんだけど…」
律「…あーあ、むぎは幸せ者だなー、うらやましい。一生そんな怖い目に合わないでいいんだもんな」
紬「え…?」
律「だってさ、私たちの心が離ればなれになることなんて、あるわけないだろ?」
澪「…だな」
唯「うん!」
梓「ですね」
紬「みんな…!うん!そうね、私は幸せ者だね!すごく、すごく幸せ者だよね!うふふふっ♪」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:47:46.59 ID:r9J6xFaC0
律「よし、それじゃあ最後は」
唯「はいっ!はあいっ!私です!」
律「…何でそんなにテンションが高いんだ?」
唯「聞いて驚け皆の衆!」
梓「今までで一番のどや顔ですね…」
澪「じゃあラスト、唯!」
紬「唯ちゃんの怖いものって何かしら~?」パチパチパチ
唯「はい!それでは、私の一番怖いものは…!」
唯「あずにゃんです!!」
梓「へ?」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:51:23.98 ID:r9J6xFaC0
唯「だってあずにゃんてば、いつも『練習しろー!』とかガミガミ怒ってて怖いし」
澪「ちょ、ちょっと唯…」
唯「抱きついたら『やめてくださいー!』って怒って怖いし」
律「おい唯…それは」
唯「そういえば入部したての頃だって、まるで鬼のように怒ってたよね~。やる気があるんですかー!って怒鳴ってさ。あのあずにゃんの怒りっぷりはトラウマものだよ~」
紬「…」
唯「そんなこんなで私が一番怖いものは、実はあずにゃんなのです!もしあずにゃんに抱き付かれたりしたら、恐怖のあまり気絶してしまうかも…」
唯「ああ、あずにゃん怖いあずにゃん怖いと言っていたら本当に体調が悪くなってきたかも…少しソファで寝ようかな~?」
律「おい唯!いい加減に…?」
紬「あ、梓ちゃん?」
梓「…かそれ」
唯「へっ?」
梓「…何ですかそれ!!ふざけないでください!!」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:54:33.12 ID:r9J6xFaC0
唯「あ、あずにゃん?」
梓「さっきから黙って聞いていたら、嬉しそうに好き勝手なことべらべら並べ立てて!!
私が怒るのは、元はといえば全部唯先輩が悪いからじゃないですか!!
練習しないのも、私の気持ちを無視して抱きついてくるのも、やる気がないのも、全部責任は唯先輩にあるんじゃないですか!!
百歩譲って、私を怖いと思うのは唯先輩の勝手だとしても…それを人前で、本人を目の前にして言うだなんて!!信じられない!!」
澪「お、落ち着け梓、な?」
梓「訂正します!私が本当に怖いのは、軽トラなんかじゃありません!唯先輩です!
あんなことを悪びれもせずに堂々と言える、唯先輩の心が…私は何よりも怖いです!!」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:56:36.29 ID:r9J6xFaC0
唯「あぅ、あの、そ、その…違う、違うの、あずにゃん…」
梓「…わかりました。私がいると、唯先輩は体調を崩してしまうんですよね。私は有害なんですよね。
私、もう帰ります。お疲れ様でした!!お世話になりました!!」
ダッ、ガチャッ、バタン!!
紬「梓ちゃん!!」
律「…あっちゃー、おい唯、どうするんだ?梓本気で怒って帰っちゃったぞ?」
澪「謝ったほうがいいぞ。今回は…唯が悪いよ」
唯「………ぅ」
紬「唯ちゃん?」
唯「うええええええええん!!あずにゃあああああん!!あずにゃあああああああん!!」
律「あー、泣き出しちゃった」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 20:59:20.25 ID:r9J6xFaC0
唯「ごめんねええええええ!!あずにゃああああああああん!!うあああああああああん!!」
澪「唯が梓が怖いなんて言うからだぞ?たとえ本心でもああいうことは胸の中にしまっておくものなんだ」
唯「ぢがうのおおおおおお!!あずにゃんこわぐないのおおおおおおおおおお!!」
律「今更訂正したってなあ…」
唯「ぢがうのおおお!!あずにゃ、あずにゃん、かわいいがらあああああ、がわいいがらごわいっでいっだのおおおおおおお!!」
紬「…可愛いから怖いって言った?どういうこと、唯ちゃん?」
唯「ひぐっ、み、みおぢゃんが、いっ、りっちゃん、こわいもの、ひぐっひぐっ」
律「はあ?おい唯、ちゃんと、落ち着いてちゃんと話せ、な?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:01:57.42 ID:r9J6xFaC0
唯「ひうっ、みおちゃんが、こわいものおしえたら、りっちゃん、よういする、って、ひぐっ」
澪「私が怖いもの教えたら律が用意する?」
律「何だそりゃ…?」
紬「…そうか。わかったわ、唯ちゃんの考えたこと!」
澪「本当かむぎ!?」
紬「うん、おそらくだけど…間違いないと思う。あのね、最初に澪ちゃんが一番怖いものって何?って話になったでしょう?
それで、澪ちゃんは自分だけが教えるのを嫌がったじゃない?りっちゃんがその怖いものを用意するに決まってるから、って」
律「ああ、そうだっけか」
澪「そうか、今唯が言ったのはそのことか。…でも、何で?」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:03:34.12 ID:r9J6xFaC0
紬「多分、唯ちゃんはそのやりとりを聞いてこう考えたの。
『怖いものを教えたら、相手は怖がらせようと思ってその怖いものをたくさん用意する。
ということは、本当は好きなものを怖いものだ、と偽って教えたなら、その実は好きなものをたくさん用意してもらえるんじゃないか』
って。違うかな、唯ちゃん?」
唯「ひぐっ、ひぐっ、そ、そう…むぎちゃん…言う、とおり…ひぐっ」
澪「なるほど…それで唯は梓を怖いって言ったわけか。梓のことが怖いと言えば、唯を怖がらせるために梓がベタベタしてくる、とでも思ったんだな」
律「そういや梓に抱きつかれたら気絶しちゃうかも~、とか言ってたなあ…。唯にしては珍しく頭を使ったか」
澪「…それにしたってお粗末な計画だ」
律「どーう考えても成功しないよな…」
唯「ひぐっ、ひぐっ、ひぐっ、あずにゃん…、ひぐっ」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:06:20.28 ID:r9J6xFaC0
律「まあ、唯の考えたことはわかったとして…問題は梓だな」
澪「梓、お世話になりました、って言ってたよな…それってつまり…」
紬「まさか、退部!?」
唯「ふえええええええええええええん!!あずにゃんやめちゃやだああああああああ!!」
律「お、落ち着け唯!多分梓も、あの場の勢いで言っちゃったんだ!本当は辞める気なんかないって!」
唯「ひぐっ、ほ、ほんとぉ?よかったぁ…ひぐっ」
澪「でもそれはそれとして、梓にはちゃんと謝らないと。傷ついてるぞ、きっと」
唯「あやまる!あずにゃんにごめんなさいするぅ!!」
律「ま、ネタは上がってるんだしな。私たちがちゃんと説明すれば梓もわかってくれるだろ」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:08:57.66 ID:r9J6xFaC0
澪「私、梓に連絡してみるから。唯は顔洗って、少し気持ちを落ち着かせておくといいよ」
唯「う、うん…ありがとぉ…」
紬「私、お手伝いするね」
プルルルル…プルルルル…
澪「…駄目だ、出ないよ」
律「…私もだ。こりゃ梓のやつ本格的にヘソを曲げてるな」
唯「ふえぇ…どうしよう…」
律「直接、家に謝りに行くか?電話やメールよりそのほうがいいだろ?」
唯「う、うん!あずにゃんに、ちゃんと、面と向かって謝る!」
澪「じゃあ、決まりだな。急ごう」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:10:40.91 ID:r9J6xFaC0
紬「ところで梓ちゃんのお家、どこだかわかる?」
律「あ…」
唯「私、行ったことない…」
澪「私もないぞ?」
律「誰かに聞くか…憂ちゃんなら知ってるんじゃないか?」
唯「うん!憂ならあずにゃんの家に遊びに行ったことある!た、多分家にいるから、聞いてみるね!」
プルルルル…
憂『もしもしお姉ちゃん?どうしたの?』
唯「あ、うい?あ、あのね、あずにゃんの…」
憂『あれ?お姉ちゃん鼻声だよ?風邪でも引いたの?』
唯「ううん、ちがうの、ちょっと泣いてたから…」
憂『泣いた!?な、何で!?何、何があったの!?』
唯「あぅ…えーっと、あの…あのね………澪ちゃんパス!」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:12:29.04 ID:r9J6xFaC0
澪「へっ!?おい唯!?まったくもう…もしもし憂ちゃん?澪ですけど」
憂『澪さん!?澪さんがお姉ちゃんを泣かせたんですか!?よくも!!』
澪「いや、そうじゃなくて…はあ、一から説明するか」
澪「…とまあ、そういうわけなんだ」
憂『なるほど……それは梓ちゃんも怒りますよね…まったくお姉ちゃんったら…』
澪「うん、それで梓に直接謝りに行きたいんだけど、梓の家がどこにあるか、誰も知らなくて」
憂『わかりました!じゃあ私が道案内します。ちょっとわかりにくいところだから…』
澪「ありがとう、助かるよ。じゃあ、正門で待ってるから」
ピッ
澪「憂ちゃん、今から来てくれるってさ」
紬「忙しい時間帯なのに…ありがたいね」
律「駄目な姉を持つと、できた妹は苦労をするもんだな」
唯「えへへへへ~、面目ない」
律「笑ってる暇があったら謝罪の言葉でも考えてなさい!」
唯「はうぅ…」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:16:34.99 ID:r9J6xFaC0
憂「お姉ちゃ~ん!みなさ~ん!」
唯「あっ!うい来たよ!うい~!」
憂「こらっ!!お姉ちゃん!!」
唯「ふえっ!?」
憂「嘘をついて梓ちゃんを傷つけたって本当!?」
唯「あ…う、うん…本当だよ」
憂「そういうことしちゃ駄目だよって言ったよね!?忘れちゃったの!?」
唯「ご、ごめんなさい…」
憂「もう…次にこんなことしたら、許さないからね!?」
唯「はい、もうしません…ごめんなさい…」
憂「…うん、わかればよし!じゃあ行きましょう、みなさん!」
澪「保母さんみたいな妹だ…」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:20:00.56 ID:r9J6xFaC0
憂「着きました、ここです!」
唯「あずにゃん帰ってるかなあ…」
律「とりあえず呼び鈴鳴らしてみるか」
ピンポーン
律「………………」
ガチャ
梓「はい、どちらさ…」
バタン
律「…帰ってるみたいだな」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:24:23.81 ID:r9J6xFaC0
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
律「駄目だ、出てこないぞ」
憂「電話にも出てくれないです…」
唯「あずにゃんまだ怒ってるんだ…どうしよぉ…」
紬「だからこそ、こうして謝りに来たんでしょう?元気を出して、唯ちゃん!」
ガチャッ
律「あっ!おい、鍵かかってないぞ!」
澪「梓、慌てて引っ込んだから、鍵をかけ忘れたんだな」
律「どうする?入っちゃうか?」
唯「か、勝手に入って大丈夫かなあ?」
澪「ううん、でも別に、悪いことしに来たわけじゃないしな」
紬「今、お家には梓ちゃん以外はいないみたいだしね…」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:28:40.77 ID:wf2LKAahO
しえn
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:30:37.12 ID:r9J6xFaC0
律「憂ちゃん、梓の部屋はわかるよな?」
憂「はい!何回か入ってるから…」
律「おーし、じゃあ思い切って入っちゃおうぜ!唯、心の準備、しておけよ!」
唯「う、うん!あずにゃんに、ちゃんとごめんなさいをするんだ…!」
律「おじゃましまーす…どなたか、いらっしゃいませんかー?桜高の軽音部の者でーす」
律「…やっぱり梓以外はいないみたいだな」
澪「お邪魔しまーす!梓ー、聞こえてるかー!?入るぞー!?」
紬「反応ないね…」
律「まあいいさ、ほら、遠慮しないで入った入った!」
澪「お前が言うセリフじゃないだろ!」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:31:49.07 ID:r9J6xFaC0
憂「えっと、ここですね、梓ちゃんのお部屋」
澪「唯、準備はいいか?」
唯「う、うん…大丈夫…」
澪「よし、じゃあ…」
コンコンコン
澪「梓?聞こえてるか?私だ、澪だ」
律「…無反応だな。おーい梓ー?唯が謝りたいって言ってるんだ!だから、開けてくれないかー?」
梓「………開いてます」
律「…開いてるって」
紬「つまり、入ってもいいってことね!」
律「だな。梓ー、入るぞー?」
ガチャ
唯「あずにゃん…」ごくっ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:34:18.22 ID:r9J6xFaC0
梓「………」
律「お、おーっす梓!どうだ調子は?」
梓「…こんなに大勢で家まで押しかけてきて…しかも何で勝手に入ってきてるんですか?」
澪「それは…申し訳ないと思うよ。でもな、唯がどうしても梓に謝りたいって言うんでな」
唯「違うの!違うんだよ、あずにゃん!!ごめんね!!お願いだからやめないで!!軽音部をやめないで!!」
梓「…何が違うんですか?唯先輩は私のことをガミガミうるさくてうざったい後輩だと思っているんでしょう?」
唯「ちが、違うんだよ!そうじゃないの!誤解!誤解なの!」
澪「あのな梓、唯が梓を怖いって言ったのは、何というか…梓の気を引こうと思ったからなんだよ」
梓「…何ですかそれ。全然意味がわからないです」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:38:18.30 ID:r9J6xFaC0
紬「つまりね、相手が嫌がることをわざとしようとする人っているでしょう?澪ちゃんに対するりっちゃんみたいな」
梓「…はい」
紬「唯ちゃんはそれを逆手に取ろうとしたのよ。梓ちゃんを怖いって言えば、梓ちゃんが唯ちゃんを怖がらせようとして積極的にスキンシップを取ってくれるんじゃないか、って。
唯ちゃんは梓ちゃんのことが大好きだから…そういうことをしてしまったのよ」
梓「…わかりました。何となくですけど」
唯「よ、よかったぁ~!だからねあずにゃん」
梓「でも、やっぱり駄目です。例えそうだとしても、やっぱり私は傷ついたんです」
唯「ごめんね!ごめんねあずにゃん!あ、あの、どうしたら許してくれるかなあ!?どうしたら戻ってきてくれる!?」
梓「…これからは真面目にしっかり練習してくれますか?」
唯「する!するよ!」
梓「…急に抱きついたり、やたらとベタベタするのを控えてくれますか?」
唯「うん!が、我慢するよ!」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:39:45.16 ID:r9J6xFaC0
梓「…唯先輩のぶんのおやつを半分くれますか?」
紬「…?」
唯「あげる!半分と言わず全部あげるから!だから…」
梓「…約束ですよ?」
唯「うん!約束!約束するから…戻ってきてよぉ…!」
梓「…わかりました!そこまで言うのなら、唯先輩のこと、許してあげるです!」
唯「あずにゃん…よ、よかったぁ~!ごめんね、ごめんねあずにゃん!」
梓「その代わり、約束はちゃんと守ってくださいよ?」
唯「うん!うん!」
澪「ふう…一件落着だな」
律「だな!」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:42:39.09 ID:r9J6xFaC0
紬「………ねえ、梓ちゃん」
律「ん?どしたむぎ?」
紬「あなたもしかして…全部見透かしていたんじゃない?」
澪「…え?」
梓「あぁ…やっぱりバレちゃいましたか。さすがむぎ先輩、鋭いです」
紬「やっぱり!何だかおかしいなあ、って思ったのよ、最後の辺りで!」
律「ど、どういうことだ!?バレたって何だ!?」
紬「梓ちゃんは唯ちゃんが自分を騙そうとしてることに気付いていて、逆に唯ちゃんを騙し返していたってことよ」
唯「そ、そうなの!?」
澪「つまり…今までのは全部演技だったってことなのか!?」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 21:44:10.05 ID:r9J6xFaC0
梓「まあその…はい、その通りです。唯先輩の言動に…何となくですけど違和感を覚えてはいたんです。
で、あの発表があって。いくら唯先輩でもこんなことを本気で言うわけないよね、って思ったら…ピンと来たんですよね。たまたまなんですけど。
それで、何となく狙いがわかったので、逆にやりこめてあげようかなって思って」
律「はあー…そりゃまた何というか…」
澪「梓、すごいなお前…」
梓「すみません、先輩方にはずいぶんご迷惑をかけてしまって…」
唯「うぅー、ひどいよあずにゃ~ん!」
梓「元はといえば唯先輩が私を騙そうとしたからですよ!私だって本当にちょっと傷ついたんだし。それより約束、ちゃんと守ってくださいね!」
唯「むうう、し・て・や・ら・れ・たあ~!」
梓「ふふふっ!……ん?」
憂「…梓ちゃん…お姉ちゃんを騙して…しかも泣かせたんだね…?」
梓「ひっ!?う、憂…!?あ、いや、その、あのね?」
憂「…そういえば梓ちゃんが一番怖いものって…なあに?」
梓「し、姉妹愛が怖い…!」
お後がよろしいようで
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 22:03:09.69 ID:EJwWpMvkO
最後の最後で憂選手を使ったか。乙ー
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 23:14:17.85 ID:voZAAABaO
読むほ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 23:21:43.23 ID:+g7UUNR6O
乙。面白かった
ノブヨが語ってると妄想して読み返してみるわ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11/16(火) 23:53:00.67 ID:B0q9vujm0
きれいにまとまったな
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