1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/11/09(土) 02:06:56.99 ID:ocPA8r9C0
【ある日、事務所】
テレビ『沖縄では――「かなさんどー」という――』
小鳥「かなさんどー、か……いいなぁ……」
貴音「小鳥嬢、何を見ているのですか?」
小鳥「あ、貴音ちゃん。今ね、沖縄特集やってるのよ」
貴音「沖縄ですか。響の出身地ですね」
小鳥「ええ。海も綺麗だし、いつか行ってみたいわね」
貴音「そうですね。ところで、『かなさんど』がどうとか聞こえましたが――」
貴音「貰うと嬉しいような物なのですか?」
小鳥「貰う……?まあ、凄く嬉しいものだと思うけど……」
貴音「ふむ……そうですか」
ガチャッ
P「ただいま戻りました」
小鳥「おかえりなさい、プロデューサーさん。またすぐに出るんですか?」
P「ええ。時間がありませんから」
P「貴音。準備はできてるか?」
貴音「はい」
P「よし。では、行ってきます」
小鳥「はい。行ってらっしゃい」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1383930416
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:08:54.11 ID:ocPA8r9C0
【移動後、車内】
P「音無さんと何か話してたみたいだな。邪魔したか?」
貴音「いえ、お気になさらず。時間も迫っておりましたし」
P「そうか。ありがとう」
貴音「あの、プロデューサー。一つお尋ねしたい事が」
P「何だ?」
貴音「『かなさんど』なる物をご存知ですか?」
P「……いや、知らないな。すまない」
貴音「そうですか……」
P「何か大切な事なのか?」
貴音「その……先程、小鳥嬢と『かなさんど』について話しておりまして」
P「ふむ」
貴音「小鳥嬢曰く『貰うと凄く嬉しい物である』と……」
P「成程な。それで欲しくなったという訳か」
貴音「はい。沖縄の食べ物だと思うのですが……どうにも手掛かりに乏しく……」
貴音「プロデューサー、何か妙案はございませんか?」
P「んー……妙案かどうかは分からないけど、響に頼めばいいんじゃないか?」
貴音「響ですか?」
P「ああ。響って沖縄出身だし、料理も得意みたいだしさ」
P「きっと、貴音が頼めばすぐにしてくれると思うぞ」
貴音「そうですね……ご助言、感謝いたします」
P「どういたしまして……さて、着いたぞ。頑張ってこい」
貴音「はいっ!」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:09:21.75 ID:ocPA8r9C0
【後日、事務所】
響「ふんふんふ~ん♪」
貴音「響、少しよろしいですか?」
響「ん?どうしたの、貴音?」
貴音「実は、折り入って頼みがあるのです」
響「何?」
貴音「その……『かなさんど』が欲しいのです」
響「……は?」
貴音「どうか、わたくしに『かなさんど』を――」
響「ちょ、ちょっと待って!」
貴音「はい?」
響「え?本気で?本気で言ってるの?」
貴音「冗談に見えますか?」
響「うっ……全然見えないぞ……」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:09:48.79 ID:ocPA8r9C0
貴音「わたくしは真剣に『かなさんど』が欲しいのです」
響「えっと……あの……貴音?」
貴音「何ですか?」
響「貴音が本気なのは分かったぞ……でも――」
響「自分と貴音は女の子同士でしょ?だから……そういうのは駄目なんだ」
貴音「なんと!?まさかそのような事が……」
響「いや、驚くところじゃないよね?一般常識だよね?」
貴音「そうだったのですか……しかし、そこを何とかして頂けませんか?」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:10:31.23 ID:ocPA8r9C0
響「うーん……まあ、あげるかどうかは置いといて」
貴音「はい」
響「こういうのは段階が必要だと思うんだ」
貴音「段階……ですか?」
響「うん。最低でも……1年ぐらい?」
貴音「1年!?そんなに時間が掛かるものなのですか!?」
響「え?1年ぐらい普通じゃないか?」
貴音「はぁ……」
響「だって、長い時は5年とか6年とかもあるって聞くぞ」
貴音「そうなのですか……わたくしはてっきり、10分ぐらいで済むものかと思っておりました」
響「10分!?」
貴音「何かおかしいですか?」
響「いや……確かに貴音ならできるかもしれないけど、それは流石に……」
響「あのさ。貴音はもっと自分を大切にした方がいいと思うぞ?」
貴音「はぁ……ありがとうございます?」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:11:00.49 ID:ocPA8r9C0
響「とにかく、そんなに簡単にあげられるものじゃないんだ。分かった?」
貴音「ふむ……『かなさんど』とは、かくも奥深いものだったのですね」
貴音「しかし、わたくしは今すぐに欲しいのです……いけませんか?」
響「うぐっ……う、上目遣いしても駄目だぞ!」
貴音「そこを何とか!何とかお願いします!」
響「そう言われても……ねぇ、本当に自分じゃないと駄目なの?」
貴音「と、言いますと?」
響「だからさ。その辺の人……例えば、プロデューサーとかにお願いすれば――」
貴音「プロデューサーに相談しましたところ、『響に頼め』と助言を頂きましたが」
響「何で!?」
貴音「『何で』と言われましても……わたくしも響以外には考えられませんし……」
響「……そんなに自分がいいのか?」
貴音「ええ。響でなければ駄目なのです」
響「そうか……それはその……ありがとう?」
貴音「どういたしまして……?」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:11:28.26 ID:ocPA8r9C0
響「うーん……結局、貴音の意思は変わらないんだよね?」
貴音「はい」
響「じゃあ、その……妥協案というか、次善の策というか――」
響「自分も心の準備ができないと、その……難しいから……ね?」
貴音「はぁ……」
響「だから、その……貴音にも協力して欲しいんだけど……駄目かな?」
貴音「響がそれでいいと言うのなら、わたくしは構いませんよ」
響「そっか……ありがと」
貴音「して、わたくしは何をすればよいのでしょう?」
響「えっと……どうしよう?」
貴音「わたくしに訊かれても困るのですが」
響「だって、自分もこういうの初めてだし……正直よく分かんないって言うか……」
貴音「ふむ……」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:12:34.47 ID:ocPA8r9C0
響「逆にさ。貴音は何かやりたい事ってあるのか?」
貴音「わたくしですか?」
響「何でも……は駄目だけど、やりたい事があるなら――」
貴音「そうですね……では、味見で構いませんか?」
響「味見!?貴音はそんな軽い気持ちだったのか!?」
貴音「はて?何かおかしかったでしょうか?」
響「いや、おかしいでしょ!それとも何!?貴音はいつも味見してるのか!?」
貴音「ええ……こう、ひょいっと――」
響「ひょいっと!?そういうの疎いんじゃなかったの!?」
貴音「疎い……?何の事ですか?」
響「何の事って……あ、味見なんて不純だぞ!」
貴音「響の言い分ももっともです。やめなければと思ってはいるのですが――」
貴音「どうにもつまみ食いの衝動が押さえられず……先日は春香に怒られてしまいました」
響「春香ああぁぁぁ!?」
貴音「真、甘露でした」
響「ちょっと待って!友達の感想とか聞きたくないんだけど!?」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:13:25.21 ID:ocPA8r9C0
貴音「無論、響の物も楽しみにしていますよ?」
響「うぇっ!?えっと、その……は、恥ずかしいぞ……」
貴音「そう畏まる必要はありません。もっと自信を持ってください」
響「自信を持てって……自分、そういうの分からないし……」
貴音「そうなのですか?春香は自信満々でしたが」
響「はい?」
貴音「何を驚いているのですか?春香からは何度も貰っているではありませんか」
響「え?本当に?冗談とかじゃなくて?」
貴音「冗談ではありませんよ。ほら、いつも言っているでしょう?『食べてください』と」
響「ああぁぁぁ……春香のイメージが……あの明るい春香がそんなのって……」
貴音「まあ……響の言う通り、少し控える事にいたしましょう」
響「そうするといいぞ……あんまり頻繁にすると、春香も大変だろうし……」
響「あっ!これはあくまで想像だからな!?自分はそういうの知らないし!」
貴音「いえ、響の心配も分かります。ここ最近は機会が多く、春香も『ちょっと疲れる』と言っていました」
響「だからリアルな話はやめて!」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:14:14.50 ID:ocPA8r9C0
響「あのさ、貴音。自分が言うのも何だけど、そういうのはもっと時間を掛けるべきだと思うんだ」
響「だから、その……そんな軽い気持ちでするのは、駄目なんじゃないかなって」
貴音「しかし、手間を掛ければいいという訳でもないでしょう?」
響「手間!?貴音は面倒臭いとか思ってるのか!?」
貴音「わたくしとて、たまには面倒に思う事もありますよ」
響「そうなのか……それはその……春香にも?」
貴音「いえ。春香の場合、準備は全て彼女がしてくださいますので――」
貴音「わたくしは頂くだけですね」
響「爛れてるぞ!」
貴音「あの……別に怪我はしていないのですが」
響「そりゃ貴音はしてないよ!?してるのは春香!」
響「もう犬に噛まれた云々ってレベルじゃなくなってきたぞ……」
貴音「犬が噛むのは遊びみたいなものでは?」
響「遊びなの!?自分、そんなの絶対に嫌だからね!?」
貴音「はぁ……分かりました」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:15:09.79 ID:ocPA8r9C0
響「この際だから確認しとくけどさ」
貴音「何でしょうか」
響「……春香だけなの?」
貴音「と言うと?」
響「だからさ。貴音が貰ったのは、その……春香だけなのかなって……」
貴音「いえ、美希からもですね」
響「美希もなの!?」
貴音「何か驚く事が?」
響「いや……もう春香で慣れたけどさ……でも、そうか……美希もなのか……」
響「……参考までに訊きたいんだけど、美希ってどうなの?」
貴音「どう、とは?」
響「その……美希もすぐなの?」
貴音「そうですね……美希は守りが堅いと言いますか――」
貴音「すんなりくれる事は少ないですね」
響「そうなんだ……美希って意外としっかりしてるんだな……」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:15:54.92 ID:ocPA8r9C0
貴音「しかしですね」
響「ん?」
貴音「わたくしが『欲しい』と言うと、渋々ながらくれるのです」
響「美希いいぃぃぃ!押しに弱いにも程があるぞ!?」
貴音「とはいえ、やはり抵抗があるのでしょうね」
貴音「頂く時には、美希はいつも涙目になってしまうのです」
響「でも、結局は貰うんだよね?」
貴音「当然です」
響「鬼畜すぎるぞ……」
貴音「それにしても、あれは真に美味でした……」
貴音「柔らかなようでいて、絶妙な弾力が素晴らしく――」
響「だから生々しい話はやめてってば!」
貴音「はぁ……響が嫌と言うのならやめますが」
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:16:28.38 ID:ocPA8r9C0
響「あのさ。一応はっきりさせておきたいんだけど」
貴音「何をです?」
響「……本当に自分がいいの?春香とか美希も居るんでしょ?」
貴音「心配ありませんよ。今は響が適任なのです」
響「今は!?じゃあ、終わったら……その、どうするの?」
貴音「仕事に行きますが?」
響「ねぇ何なの!?自分は貴音の何なの!?」
貴音「落ち着いてください」
響「落ち着ける訳ないでしょ!?自分は真剣なのに、貴音はそんな軽い気持ちだったなんて……」
響「うぅ……どうせすぐに飽きちゃうんだ……そしたら捨てられるんだ……」
貴音「響」
響「ぐすっ……何?」
貴音「わたくしは決して捨てたりしません」
響「……本当?」
貴音「ええ。全て残さず頂きます」
響「それはそれで怖いぞ!?」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:17:52.25 ID:ocPA8r9C0
響「……ねぇ、貴音」
貴音「どうしました?」
響「貴音はさ。自分の事……好き?」
貴音「勿論です」
響「自分じゃないと駄目?」
貴音「ええ。響以外には考えられません」
響「そ、そっか……ありがと」
貴音「どういたしまして」
貴音「して、いつ『かなさんど』は頂けるのでしょうか?」
響「それは……もうちょっと待って欲しいぞ」
貴音「分かりました」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:18:18.58 ID:ocPA8r9C0
響「……あのさ、貴音」
貴音「はい?」
響「自分、過去の事は気にしないから……」
響「だから、貴音も自分だけにして欲しいんだ。駄目かな……?」
貴音「ふむ……響が趣向を凝らしてくれるのなら、わたくしは一向に構いませんが」
響「趣向!?わ、分かった……頑張ってみる……」
貴音「ありがとうございます」
響「でね?もう過ぎた事を言っても仕方ないから……」
響「こっ、これからの事を考えたいんだ!貴音と一緒に!」
貴音「響が言うのなら、その通りにしましょう」
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:19:21.71 ID:ocPA8r9C0
響「それで、その……貴音はもう待てないんだよね?」
貴音「はい。叶うのならば、今ここでお願いしたいぐらいです」
響「ここって……事務所で!?」
貴音「何か問題が?」
響「いやあるでしょ!?誰かに見られたらどうするの!?」
貴音「わたくしは気にしませんが」
響「自分が気にするの!」
響「と、とにかく!後で自分の家に来て貰うって事で……どうかな?」
貴音「分かりました」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:20:07.56 ID:ocPA8r9C0
響「それで、自分の家に来てからの話だけど」
貴音「はい」
響「えっと……こういうのは作法が大事、だと思う」
貴音「作法ですか?」
響「うん。その……するにしても、順序とか色々あるって聞くし……」
貴音「成程。では、最初になぷきんを――」
響「いやいやいや!そんなの使わないぞ!?」
貴音「そうですか?万が一に備える必要はあるかと思いますが」
響「万が一って何!?貴音はどういう状況を想定してるの!?何かを零す前提なの!?」
貴音「いえ、そのような勿体ない事はいたしませんが」
響「……じゃあどうするの?」
貴音「全て口に入るように――」
響「そっ……そんなの汚いから駄目だぞ!」
貴音「そうでしたか……勉強になります」
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:20:34.18 ID:ocPA8r9C0
響「話を進めるけど……いい?」
貴音「はい」
響「じゃあ、まずは自分がベッドに寝転ぶから……」
貴音「え?椅子ではなく?」
響「こういうのはベッドでするの!」
貴音「はぁ……斬新ですね」
響「別に斬新でも何でもないと思うんだけど……貴音はどんなのを想像してたの?」
貴音「それは、こう……向かい合わせで行うものかと」
響「椅子に座って?」
貴音「無論です」
響「そんなの恥ずかしいから駄目!」
貴音「恥ずかしい……?そうでしょうか?」
響「そうなの!」
貴音「どうにも釈然としませんが……分かりました」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:21:18.71 ID:ocPA8r9C0
響「ていうか、さっきからちょっとおかしくない?」
貴音「何がでしょう?」
響「だって、微妙に会話が噛み合ってないというか……」
貴音「作法の話ですよね?」
響「そうだけど……何か違う気がする」
貴音「要領を得ませんね……もっと具体的に教えて頂けませんか?」
響「そ、そんなの自分には絶対無理だぞ!」
貴音「はぁ……無理と言うのなら、仕方ありませんね」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:21:51.46 ID:ocPA8r9C0
響「……話を続けるぞ」
貴音「どうぞ」
響「自分がベッドに入った後だけど……」
貴音「はい」
響「……いきなりは駄目だからね?」
貴音「心得ております」
響「……そうなの?」
貴音「勿論です。こう、外側から順番に――」
響「なんかねちっこいぞ!?」
貴音「至って普通かと思いますが」
響「本当に……?」
貴音「ええ、恐らくは」
貴音「ただ、春香や美希の時は素手でしたが」
響「ちょっと待って?自分の時は道具を使うつもりなの?」
貴音「それが当たり前では?」
響「自分初めてなんだぞ!?道具なんて嫌だからね!?」
貴音「ふむ……では、素手で?」
響「う、うん……そっちでお願い」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:23:39.12 ID:ocPA8r9C0
貴音「しかし、困りましたね……」
響「何が?」
貴音「いえ……美希から貰った際、手がべたべたになった事を思い出しまして」
響「べたべたって何!?何をしたらそんな事になるの!?」
貴音「特別な事は何もしていないのですが……」
響「そ、そうなんだ……美希って敏感なんだな……」
貴音「とにかく、汁が飛び散るのではないかと心配なのです」
響「飛びっ――!?自分そんな事ないからね!?普通だからね!?」
貴音「そうなのですか?」
響「うん……いや、比べた事ないけど……そう思いたいぞ」
貴音「やはり道具を使った方が――」
響「いや道具を使った方が飛び散るよね!?絶対そうだよね!?」
貴音「響……わたくしとて、道具の扱いには慣れているのですよ」
響「慣れてるの!?」
貴音「はい。安心してください」
響「余計不安になったぞ……」
貴音「まあ、響が嫌と言うのなら素手にいたしますが」
響「ありがと……」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:24:49.60 ID:ocPA8r9C0
貴音「それで、次はどうするのですか?」
響「どうって……その――」
響「か、解散……とか?」
貴音「はぁ……解散ですか」
響「うん……」
貴音「その後は何もないのですか?」
響「え?うーん……ない、と思うけど……」
貴音「ふむ……何もないのでしたら、わたくしはでざぁとを頂きに春香のところへ――」
響「……何で」
貴音「はい?」
響「何でっ……何でそんな事するんだよぉ……!うわぁぁぁん!」
貴音「響!?どうして泣くのですか!?」
響「たっ、貴音が悪いんでしょ!?どうせ自分の事なんて嫌いなんだ!」
貴音「違います!響を嫌いになるなど――」
響「じゃあ……ひぐっ……何で春香に……うああぁぁぁっ……!」
貴音「わ、分かりました。春香に会うのはやめます。それでいいですか?」
響「ぐすっ……うん……一応、許してあげる……」
貴音「あ、ありがとうございます……」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:25:58.01 ID:ocPA8r9C0
貴音「……落ち着きましたか?」
響「うん……泣いちゃってごめん」
貴音「いえ、気にしておりませんよ」
響「……あの」
貴音「何ですか?」
響「今度のオフ……重なってたよね?」
貴音「ええ。その筈です」
響「じゃあ、その……待ってるから」
貴音「はい。楽しみにしています」
響「……うん」
響「でもさ……貴音も、もう一度よく考えてみて欲しいんだ」
貴音「と言うと?」
響「一時の気の迷いで言ってるなら……考え直した方がいいって思うから」
響「だから――」
貴音「響」
響「……何?」
貴音「わたくしは、響がよいのです」
響「……分かった。じゃあ、今日は帰るね」
貴音「ええ。お気をつけて」
響「うん……またね、貴音」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:26:29.30 ID:ocPA8r9C0
【休日、響宅】
ピンポーン
響「貴音、来たんだ……」
響「どうしよう……緊張するぞ……」
貴音『もし……響?』
響「い、今開けるから!」
ガチャッ
貴音「こんにちは」
響「……いらっしゃい。こっちに来て」
貴音「はい。それにしても……」
響「何?」
貴音「いえ、随分と薄着なのだな……と思いまして」
響「バカ……貴音の所為でしょ……」
貴音「響?」
響「な、何でもないっ!」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:27:06.44 ID:ocPA8r9C0
【響の自室】
響「……どうぞ」
貴音「お邪魔します」
響「…………」
貴音「……あの、響?」
響「――えっ?あ、うん……なあに?」
貴音「その、いつになったら――」
響「貴音」
貴音「は、はい」
響「すうぅぅぅ……はあぁぁぁ……」
響「かっ――」
貴音「か?」
響「かなさんどぉぉぉっ……!」
貴音「……え?」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:28:03.75 ID:ocPA8r9C0
響「……はぁ……はぁっ……!」
貴音「響、あの」
響「はぁっ……な、何?」
貴音「『かなさんど』はどこにあるのでしょう?」
響「へ?」
貴音「響の意気込みは伝わってきました。して、件の『かなさんど』は一体どこに――」
響「え?待って?ちょっと待って?」
響「ねぇ貴音。貴音は『かなさんどー』を何だと思ってるの?」
貴音「沖縄の名物料理では?」
響「違うよ!?」
貴音「はて……では、一体何なのでしょうか?」
響「『かなさんどー』は『愛してる』って意味の言葉だぞ!」
貴音「なんと……そういう意味があったのですね。わたくしはてっきり、さんどいっちのような物かと」
響「って事はまさか、この前の話って――」
貴音「ええ。響に『かなさんど』を作って頂きたいと思いまして」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:28:35.37 ID:ocPA8r9C0
響「それじゃあ、あの時『10分ぐらいで済む』って言ってたのは……」
貴音「はい。さんどいっちならばその程度の時間で完成するのではと」
響「つまみ食いがどうこうって言うのは……」
貴音「春香のくっきぃの事ですね」
響「べたべたしたって言うのも……」
貴音「おにぎりの話ですね」
響「ナプキンが云々って言ってたのは……」
貴音「てぇぶるまなぁの話でしょう?」
響「いや言ったよ!?確かに作法の話って言ったけども!」
響「じゃあ何?外側から道具でって言うのは、ナイフとフォークの話で……」
響「汁が飛び散るっていうのは――」
貴音「そぉすたっぷりかと思いましたので」
響「ややこしいぞ!」
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:29:33.25 ID:ocPA8r9C0
響「うぅ……自分はなんて勘違いを……」
貴音「ところで、お尋ねしたい事があるのですが」
響「……何?」
貴音「先日言っていた、『自分だけにして欲しい』とは一体……?」
響「そ、それは――」
貴音「それと『べっどに入ってする』と言っていましたが、何をするのでしょう?」
響「し、知らないっ!自分、知らないからな!」
貴音「しかし、響が――」
響「……帰って」
貴音「え、でも……まだ何も頂いておりませんが……」
響「いいから早く!ほら!」
ガチャッ!
貴音「ちょっ……あの、響!?」
響「もう貴音なんて知らない!大っ嫌い!」
バタン!
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:30:17.30 ID:ocPA8r9C0
貴音「…………」
プルルルル
貴音「あ、電話……」
ピッ
P『あ、もしもし貴音?』
貴音「プロデューサー……」
P『響の料理は美味しかったか?』
貴音「いえ、その……」
P『どうした?声が沈んでるが――』
貴音「……嫌われました」
P『は?』
貴音「愛が欲しいと言ったら、嫌われてしまいましたっ……!うあぁぁぁっ……!」
――END――
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [saga]:2013/11/09(土) 02:32:20.82 ID:ocPA8r9C0
以上で完結となります。お楽しみ頂ければ幸いです。
何となく『かなさんどー』を見たら思いついたので書いてみました。
ちょっとオチが弱い気もしますが、そこはご容赦を。
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 03:43:40.67 ID:+H8eOfdDO
この二人はほのぼの系で癒される好き
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 03:56:11.78 ID:gXepTUgUo
おつん
イチゴババロア貰ったのか…
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 04:10:42.09 ID:XVd3MvIko
貴音と結婚するわ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 05:14:24.36 ID:LYgWhfryo
乙。
涙目になりながらも押し切られて苺ババロア分ける美希かわいい
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 08:15:45.40 ID:cW24hYhX0
響チョロインww
面白かった乙ー
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2013/11/09(土) 10:32:51.81 ID:irhnP1Nt0
貴音…
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/09(土) 11:13:27.49 ID:+t3p20Xpo
乙
乙か?
転載元
貴音「『かなさんど』が欲しいのです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383930416/
ファット・カンパニー (2014-01-31)
売り上げランキング: 1,366
- 関連記事
-