1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 22:53:19.15 ID:luDvXX7E0
── 4月初旬 765プロ事務所 ──
P「我那覇響さん……だったね」
響「うん! よろしくねプロデューサー!」
P「こちらこそよろしく」
響「自分のことは響でいいよ」
P「そうか? じゃあ早速だが、響」
響「なに?」
P「今度から君のプロデュースを担当させてもらうことになった」
響「ほんと? やっと自分にもプロデューサーがつくんだ」
P「大変なのはこれからだぞ?」
響「へっちゃらさー。自分、完璧だからな」
P「……」
響「ん? なんだ?」
P「背伸びしなくていい」
響「してないよ!」
P「完璧って言うには、あと10cmは早いな」ポンポン
響「頭ポンポンするなー!」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1381326798
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 22:55:34.64 ID:luDvXX7E0
うぅ、身長気にしてるのに……。
ちょっと前まで小学生だった亜美と真美よりちっちゃいし……。
そのうちやよいにも……。
響「うがー! やめやめ!」
貴音やあずささんぐらい……は無理かもしれないけど。
10cmぐらいは軽く伸びて、あのセクハラプロデューサーを見返してやるぞ!
春香「声が聞こえたけど、どうしたの響ちゃん?」
響「セクハラプロデューサーに宣戦布告!」
春香「あはは、セクハラって……」
響「言っていいことと悪いことがある!」
春香「ん~、たしかに言いにくいことを言う人だけど」
響「だけど?」
春香「それだけじゃないかなって……思う」
響「……よくわかんない」
春香「なんとなく、そう思うってだけだから」
響「ふ~ん……」
竜宮小町以外の9人は、みんなあのプロデューサーが担当するみたい。
ほんとにそんなことできるのかな?
ふふん、お手並み拝見だね。
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 22:57:22.35 ID:luDvXX7E0
── 4月中旬 765プロ事務所 ──
ガチャ
響「はいさーい!」
いぬ美「わん!」
雪歩「ひゃあぁぁぁぁ!?」
響「うわっ!? どうしたの雪歩?」
雪歩「い、犬……犬ぅ……」
響「う、うん。いぬ美は犬だけど……」
真「あはは、雪歩は犬が苦手なんだよ」
雪歩「笑い事じゃないよぉ……」
いぬ美「わんっ」
雪歩「ひいぃぃぃ!?」
響「いぬ美は噛んだりしないから大丈夫だよ?」
雪歩「そういう問題じゃなくて……」
P「おお? ずいぶん大きい犬だな」ナデナデ
いぬ美「くぅん」
P「よしよし、いい子だ。ほら、大丈夫だぞ雪歩」
雪歩「む、無理ですぅ……」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:00:57.95 ID:luDvXX7E0
響「プロデューサー、犬好きなの?」
P「動物はだいたい好きだよ」
響「そうなんだ。じゃあヘビとかも?」
P「ヘビはさすがに無理」
響「そ、そっか」
真「ヘビはボクも苦手だなぁ」
響「あはは、やっぱりそうだよね」
雪歩「犬より、まだヘビのほうがいいよぉ……」
へび香と……ワニ子のことは、もうしばらくみんなには黙っておいたほうがいいか。
それにしても、プロデューサー動物好きなんだ。
いぬ美も懐いてるし、悪い人じゃないのかな?
ううん! まだわからないけどね!
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:03:26.21 ID:luDvXX7E0
── 5月上旬 駅前 ──
響「あ! 春香、真、雪歩!」
春香「響ちゃん、遅いよー」
響「ごめん、みんなのゴハン作ってて……」
真「響って一人暮らしじゃなかったっけ?」
響「いぬ美の他にも家族がいるんだ」
春香「動物?」
響「うん」
春香「わぁ、見たい!」
真「ボクも!」
響「あはは、また今度ね」
雪歩「わ、私は遠慮するね」
響「雪歩じゃなくてもびっくりすると思うけど」
春香「?」
真「?」
響「そういえば千早は?」
春香「誘ってはみたんだけど……ほ、ほら! 千早ちゃん、シャイだから」
響「自分、話しかけようとすると睨まれるんだけど……」
春香「ほ、本人はそんなつもりないと思うよ、うん!」
真「千早は誤解されやすいからね」
雪歩「そうだよね……うん、私も頑張って話しかけてみよう」
真「雪歩もか!」
春香「あはは……」
響「その意気でいぬ美とも仲良くしてみない?」
雪歩「ごめん、それは無理だよ!」
響「なんで!?」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:05:59.38 ID:luDvXX7E0
今日は歳の近い、事務所の高校生組でお出かけ。
上京してから、同世代の友達と遊ぶ機会ってあんまりなかったから、集まるだけでもすごく楽しい!
千早も来てほしかったなぁ……。
自分、嫌われてないよね?
春香「それにしても、あれだね~」
響「あれ?」
春香「アイドルが4人もいるのに、誰にも気づいてもらえないね~」
響真雪「「「うっ」」」
真「ま、まだまだこれからだよ!」
雪歩「そ、そうだよね」
響「プロデューサーが、もっと仕事を取ってきてくれれば……」
春香「そんなこと言っちゃダメだよ。プロデューサーさん、あんなに頑張ってるんだから」
響「う、うん」
わかってるけど……あんまり仕事が無くて、レッスンばっかりやってるのも事実だし。
仕事がもらえないと、プロデューサーを見返してやることだってできないよ!
うん、見返してやりたいだけ。
感謝なんかしてないからね!
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:08:22.93 ID:luDvXX7E0
── 5月中旬 レッスン休憩中 ──
響「そ、それじゃいくよ、雪歩!」
雪歩「う、うん!」
響「千早!」
雪歩「千早ちゃん!」
千早「萩原さん、我那覇さん……なに?」
響「あのさ、千早は自分たちのこと嫌い?」
千早「え?」
雪歩「ひ、響ちゃん。それはいきなりすぎるよ」
響「そ、そっかな?」
千早「……」
響「あの……」
千早「別に嫌ってなんかいないわ」
響「ほんと?」
雪歩「私のことも……?」
千早「もちろん。二人とも嫌いになる理由なんかないし」
雪歩「えへへ、よかった」
響「じゃあさ、これからもっと仲良くしような!」
千早「え、ええ」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:11:10.71 ID:luDvXX7E0
P「お、ちょうどよかった。三人揃ってるな」
雪歩「ひぁ!?」
響「あ、プロデューサー」
響「……って、なんで自分の後ろに隠れてるの、雪歩?」
雪歩「急に声をかけられたからびっくりしちゃって……」
響「あ~……苦手なの犬だけじゃないんだっけ」
P「まあ、それはゆっくり慣れていけばいいさ」
雪歩「はい……」
千早「それで、なにか御用でしょうか?」
P「ああ、これから当面、この三人で組んで活動してもらうことになった」
響「ユニット?」
P「いや、正式にユニットとして活動するわけじゃない」
P「三人ともあくまでソロが主体だが、都合がつく限りスケジュールを合わせて活動してもらう」
響「ふ~ん、自分は構わないけど」
千早「決定事項ですか?」
P「そうだ。もちろん社長には報告してある」
千早「それなら、まあ……」
雪歩「私は……一人じゃないほうが気楽かも」
P「あ、暫定リーダーは雪歩な」
雪歩「ええぇ!? 無理ですよぉ!」
P「やる前から無理とか言わない」
雪歩「そんなぁ……」
千早「……」
響「リーダーって言ってもユニットじゃないんだし、なんくるないさー」
雪歩「ふぇぇ……」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:13:17.60 ID:luDvXX7E0
── 6月上旬 イベント会場控え室 ──
千早は思ってたほどとっつきにくくはないし、趣味は違うけど音楽の話とかは盛り上がる。
必要以上に干渉されるのは嫌がるけどね。
猫みたい、っていうと怒られそう。あはは。
雪歩はリーダーなんてタイプじゃないし、見ててかわいそうになることもあるけど……。
自分の欠点を自覚して克服しようと努力できるのは、素直にすごいと思う。
だからプロデューサーは、雪歩にリーダーを任せたのかな?
自分は……二人と一緒になにができるんだろ。
わかんないや。
こういうの、春香のほうが向いてると思うけど……。
あーもー、あのプロデューサーの考えることは、わからないことばっかりさー!
春香「響ちゃん、また難しい顔してる」
響「うぇ!? 春香、戻ってたんだ」
春香「うん、いま竜宮の出番」
響「そっか」
春香「悔しいけど、まだまだ竜宮にはかなわないよね」
響「春香でも悔しいって思うことがあるんだ?」
春香「どういう意味かな、それは?」
響「あはは、ごめんごめん」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:15:35.64 ID:luDvXX7E0
春香「ねえ、響ちゃん」
響「なに?」
春香「悩みがあるなら、プロデューサーさんに相談してみれば?」
響「なっ……別に悩みなんか」
春香「ふ~ん……」ジー
響「う……」
春香「響ちゃん、嘘つけないよね」
響「うぅ……」
自分って、そんなに顔に出てるのかな?
そんなつもりないんだけど……。
響「春香は、プロデューサーに相談したりするの?」
春香「うん、よく話を聞いてもらってるよ。自分じゃわからないこととか、よく見てくれてるし」
響「そうなんだ……」
春香「一緒に相談しに行ってあげようか?」
響「いいよ! 子供じゃないんだから」
春香「あはは、頑張ってね」
響「まだ相談するなんて決めてないってば!」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:18:14.49 ID:luDvXX7E0
── 6月下旬 765プロ事務所 ──
響「千早」
千早「……」
響「千早!」
千早「……なにかしら我那覇さん? 今、昨日買ったCDを聞いて……」
響「それは後でいいでしょ? 今日の打ち合わせをしないと」
千早「萩原さんと二人で決めてもらっていいわ。それに従うから」
響「そういう問題じゃなくて! もう、雪歩もなにか言ってよ!」
雪歩「う、うん。あのね、千早ちゃん……」
千早「なに?」
雪歩「あ、あの……」
響「雪歩ぉ……」
千早「なにもないなら邪魔しないでもらえるかしら?」
雪歩「……」
響「邪魔って……!」
千早「私は馴れ合いがしたくてアイドルをやってるわけじゃ……」
雪歩「千早ちゃん!」
響「!?」ビクッ
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:20:20.33 ID:luDvXX7E0
千早「な、なに萩原さん?」
雪歩「それやめて!」
千早「え?」
雪歩「萩原さんとか我那覇さんとか……私たちと同じように名前で呼んで」
千早「名前で?」
雪歩「うん、名前で」
響「そ、そうだよ。自分のこともいいかげん響って呼んでほしいぞ」
千早「そんなの、いまさら……」
雪歩「私は……アイドルとか事務所の仲間とか以前に、千早ちゃんのこと友達だと思ってる」
千早「萩原さん……」
響「雪歩……」
雪歩「千早ちゃんは?」
千早「……」
雪歩「千早ちゃんが私たちのこと友達だと思ってないなら、これ以上なにも言わない」
響「……」
千早「私は……」
雪歩「うん」
千早「言わなきゃダメ……かしら?」
雪歩「ダメだよ!」
響「ダメ!」
千早「うぅ……わかったわ」
雪歩「……」ジー
響「……」ジー
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:24:02.07 ID:luDvXX7E0
千早「もちろん友達だと思ってる。はぎ……雪歩も響も」
響「うん! 自分たち友達だよね!」
ガバッ
千早「きゃっ!? がな……響」
雪歩「ふぁぁ……よかったぁ……」
ヘナヘナ…
響「ど、どうしたの雪歩?」
雪歩「偉そうなこと言っておいて、友達じゃないって言われたらどうしようかって……」
千早「……」
響「……」
雪歩「穴掘って埋まりたいぃ……」
響「ふぅ……これがなければ、リーダーとしてかっこよかったのに」
千早「ふふっ、そうね。このほうが雪歩らしいけど」
雪歩「二人ともひどいよぉ!」
でも、やっぱり雪歩はすごいなぁ。
いつもは頼りないのに、いざとなるとしっかり自分たちのリーダーだもんね。
本当に強いと思う。
そろそろ、いぬ美とも仲良くなってほしいけど……。
自分は……どうなのかな。
雪歩を見てると、プロデューサーが最初に「背伸び」って言ったのも、なんとなくわかる。
負けを認めるみたいで悔しいけど……ううん、春香も言ってたしね!
プロデューサーと話してみよう、うん。
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:27:55.04 ID:luDvXX7E0
── 翌日 765プロ事務所 ──
響「プロデューサー、今いいかな」
P「ああ、構わないけどなんだ?」
響「プロデューサーには、自分が背伸びしてるように見えるんだよね?」
P「ん? ああ、そんなこと言ったっけな」
響「それって、なにか足りないものがあるってこと?」
P「あ~……」
響「あ! 今、身長って思ったでしょ!」
P「オモッテナイヨー」
響「棒読みだし!」
P「気にしすぎだって」
響「ふんっ! プロデューサーなんかに相談するんじゃなかった!」
P「まあまあ、そう言うな。話ぐらいはしていってもいいだろ?」
響「……イジワルしない?」
P「シナイヨー」
響「信用できないんだけど……」
P「ははは……で、なんだ?」
響「うん……」
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:30:19.57 ID:luDvXX7E0
千早と雪歩は、なんでグループで活動させたのか、今ならわかる。
雪歩がリーダーを任されたことも。
確実に良い方向に結果が出てるからね。
でも、自分はわからない。
三人の中でなにができるのか。なにをすべきなのか。
千早と雪歩のように、自分もなにか成長できてるのか……。
実感できることがなにもない。
自分だけ取り残されてるみたいで、少しだけ……不安。
いや、ほんとに少しだけ。少しだけだよ。
P「そうか……話はわかった」
響「うん」
P「最初はな、響じゃなくて春香を入れるつもりだったんだ」
響「でも、それだと雪歩より春香のほうがリーダーっぽくなるよね?」
P「だろうな。結局、俺も含めて春香に頼りっきりになるだけだ」
響「それはわかるけど……」
P「けど?」
響「自分、春香より頼りないってこと?」
P「少し違うな。響にしかできないことに期待したんだ」
響「自分にしか、できない……?」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:32:14.37 ID:luDvXX7E0
響「それが聞きたいんだけど」
P「教えない」
響「なんで!?」
P「もっと悩んで、自分で答えを出さないとな」
響「もう、やっぱりイジワルだ!」
P「ははっ、じゃあ意地悪ついでに」
響「?」
P「響がいてくれてよかったよ。ありがとな」
響「え? えぇ!?」
P「これからも頼むぞ」
響「う、うん……わかった」
やっぱり自分のことはよくわからない。
プロデューサーの言ったこと、いつかわかるのかな。
プロデューサーのことは、もっとわからない。
でも、自分たちのことをちゃんと考えてくれてるのだけは、なんとなくわかった。
どんな人なのか、もっといっぱい知りたいな……。
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:36:11.61 ID:luDvXX7E0
── 7月中旬 ダンスレッスン ──
響「ここで……タタンターン!」
タタンターン
響「……でしょ?」
真「違うって。タンタターン!」
タンタターン
真「……だよ」
響「それだと右足のステップがおかしい!」
真「そっちこそ左足がずれてる!」
ひびまこ「「ぐぬぬ……!」」
雪歩「ふ、二人とも落ち着いて?」
響「雪歩はどう思う!?」
真「ボクのほうが合ってるよね!?」
雪歩「いや、あの……私には速すぎてわから」
真「ボクたち親友だよね!?」
響「雪歩は自分たちのリーダーでしょ!?」
雪歩「えぇ!?」
響「親友だとなんなの!?」
真「そっちこそ、リーダーだったらなんだよ!?」
ひびまこ「「ぐぬぬぬぬ……!」」
雪歩「そ、それとこれとは……」
ひびまこ「「どっち!?」」
雪歩「ふぇぇ!?」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:39:09.07 ID:luDvXX7E0
P「お、モテモテだな雪歩」
雪歩「え?」
響「あ、プロデューサー」
真「プロデューサー、お疲れ様です」
P「ん、お疲れさん。真と響、ちょっといいか?」
真「はい?」
響「なに?」
雪歩「はぅぅ、助かったぁ……」
雪歩、プロデューサーが近くにいても平気みたい。
ちょっと前までは自分の後ろに隠れたりしてたのに。
いつのまにそんな……。
ふ、ふ~ん! 自分にはイジワルなのに、他の娘には違うんだ!
別にどうでもいいけどね!
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:41:35.07 ID:luDvXX7E0
真「なにむくれてるの、響?」
響「別にっ!」
真「?」
響「それより、プロデューサーなんの話し?」
P「ああ、真と響にオファーが来てる」
真「仕事ですか?」
響「え? どんな仕事?」
P「テレビだ」
ひびまこ「「おお!?」」
P「二人のダンスパフォーマンスが買われたみたいでな」
P「バラエティ番組内のダンスコーナーでレギュラーをもらえた」
響「ほ、ほんとに!?」
真「やった! すごいや!」
雪歩「おめでとう、真ちゃん、響ちゃん!」
ひびまこ「「ありがとう、雪歩!」」
P「二人だけじゃない、これからみんな忙しくなるぞ」
雪歩「は、はい!」
響「うん!」
真「望むところです!」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:43:01.19 ID:luDvXX7E0
最近みんなランクも上がって、着実に仕事は増えてきてはいたけど……。
へへっ、やっと竜宮に負けないぐらい大きな仕事をもらえた!
よしっ! もっともっと頑張るぞ!
真「それじゃ、響!」
響「うん、ケリを付けよう!」
雪歩「え?」
真「どっちのステップがいいか、雪歩に決めてもらう!」
響「絶対にどっちかに決めてね!」
雪歩「えぇ!?」
P「ははっ、責任重大だな雪歩」
雪歩「プロデューサーが決めてくださいぃ!」
P「じゃ、あとは任せた」
スタスタ
雪歩「ほ、ほんとに行っちゃうんですか!?」
ひびまこ「「雪歩!」」
雪歩「うわぁぁぁぁん!」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:45:12.06 ID:luDvXX7E0
── 数日後 765プロ事務所 ──
雪歩「え?」
千早「……」
響「自分たち、解散?」
P「ユニットじゃないんだから、解散とは言わないな」
響「でも、もうグループでの活動はしないって……」
P「まず、単純にスケジュール調整の問題がある」
P「三人ともランクが上がって、今後も仕事は増える見込みだ」
響「たしかに、最近は忙しくなったけど……」
雪歩「うん……」
P「中には、個々のステップアップのために絶対に外せない仕事もある」
P「三人のスケジュールを合わせようとするとな、そういう仕事を諦めることになりかねないんだ」
千早「なるほど……」
雪歩「……」
P「三人とも、ソロでの活動メインが当初からの方針だしな」
P「今のお前たちなら、もう大丈夫だろう」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:47:02.52 ID:luDvXX7E0
千早「自分ではわかりません。いえ、プロデューサーの判断は信じますが……」
雪歩「わ、私も急に一人でなんて、自信が……」
響「大丈夫さー!」
千早「え?」
雪歩「響ちゃん?」
響「自分が一番近くで二人を見てきたからわかるよ! 大丈夫!」
千早「……」
雪歩「……」
響「ね?」
千早「なにが大丈夫なのか、よくわからないわ響」
雪歩「ふふっ、響ちゃんらしいね」
響「うん……ん?」
千早「まあ、響がそういうのなら、きっと大丈夫ね」
雪歩「そうだね」
響「う、うん」
千早「でも……響こそ、一人で大丈夫?」
響「じ、自分は最初から一人で平気だったし!」
雪歩「ほんとかなぁ? 響ちゃんが一番寂しがりだと思うけど」
響「雪歩に言われたくないぞ!」
P「あはは」
響「笑うなー!」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:49:01.60 ID:luDvXX7E0
───
──
─
P「千早と雪歩は?」
響「帰ったよー」
P「そうか、響はまだ帰らないのか?」
響「うん、ちょっと話ししてもいい?」
P「ああ、なんだ?」
響「プロデューサーが言ってた、自分にしかできないこと……」
P「……」
響「自分、ちゃんとできたかな?」
P「わからないか?」
響「うん……」
P「今の千早と雪歩を見て、どう思う?」
響「変わったと思う。たぶん、いい方向に」
P「そうだな。それは二人が自分を変えようとしたからだ」
響「うん」
P「そのきっかけを作って、それがいい方向に向かったのは響のおかげだよ」
響「え? ほんとに?」
P「ああ、自信を持っていい」
響「そっか、へへっ」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:51:20.35 ID:luDvXX7E0
P「二人だけじゃなく、響も成長したしな」
響「そうかな?」
P「今の響なら、もう背伸びする必要もない」
プロデューサーが最初に言ってたこと……。
こう思うのはなんか悔しいけど……どうしてかな、すごく嬉しい!
プロデューサーの言葉って、ほんと不思議だ。
少しだけ、信頼してもいいかも……。
P「これから忙しくなるぞ。覚悟は出来てるな?」
響「自分完璧だから、なんくるないさー!」
P「お、久しぶりに聞いたな、それ」
響「そう?」
P「あとは身長だけだな」
響「うがっ!? このイジワル!」
前言撤回! やっぱり信用できない!
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:52:28.96 ID:luDvXX7E0
── 7月下旬 765プロ事務所 ──
ガチャ
響「はいさーい!」
いぬ美「わん!」
P「お、またいぬ美が一緒か」
響「うん、今日は定期検診があったから」
P「そうか。でも困ったな」
響「?」
真美「ひびきん、今日はいつもよりモフモフだね~」ナデナデ
いぬ美「くぅん」
響「そっちはいぬ美!」
亜美「いぬ美、ちょっとちっちゃくなった?」ナデナデ
響「自分、いぬ美じゃないぞー! って、頭撫でるなー!」
P「お~い、二人ともそのぐらいにしとけー」
あみまみ「「はーい」」
響「もっとちゃんと注意してよ!」
P「それは律子の仕事」
律子「プロデューサー殿も一緒に、三人まとめて説教してあげましょうか?」
P「それは亜美と真美の仕事だ。俺は今からミーティング」
亜美「うあっ!? ずっこいよ兄ちゃん!」
真美「真美たちを売る気か! この裏切り者ー!」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:54:15.23 ID:luDvXX7E0
P「あーあー聞こえなーい。さて、ちょっといいか響」
響「あ、うん。さっきの困ったって、なにが?」
P「今日の現場は、いぬ美を連れていけなくてな」
響「そうなの? 今から帰って、また事務所に戻ってきてで間に合うかな?」
P「そこまで余裕はないな」
響「そっか、どうしよ……」
小鳥「響ちゃんが戻ってくるまで、事務所で面倒見てますよ」
響「いいの?」
小鳥「いぬ美ちゃんなら、お利口さんだから大丈夫よね~?」
いぬ美「わんわんっ」
響「ありがとう、ぴよ子!」
P「助かります、音無さん」
小鳥「いえいえ」
P「事務所のことは頼んだぞ、いぬ美」ナデナデ
いぬ美「わんっ」
P「雪歩は、あまり驚かさないでやってくれよ」ナデナデ
いぬ美「くぅん」
P「人間の言葉がわかってるみたいだなぁ」
響「プロデューサーの言ってることは、たぶんわかってるよ」
P「ほんとか?」
いぬ美「わんわんっ」
いぬ美だけじゃないよ。ハム蔵だってねこ吉だって、みんなそう。
心が通い会えると信じられるかどうか……それだけ。
プロデューサーは自分ではわかってないかもしれないけど、それができる人なんだ。
ちょっと……嬉しいかも。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:55:43.65 ID:luDvXX7E0
── 移動中 社用車車内 ──
響「ねえ、プロデューサー」
P「なんだ?」
響「今度……自分の家族に会ってくれる?」
P「は? プロポーズか?」
響「えぇ!? そうじゃなくて、ハム蔵とかいぬ美たちのことだよ!」
P「ははは、わかってるって」
響「もう、なんでそんなイジワルなんだ」
P「可愛い子はからかいたくなる性分なんだよ」
響「ふ~ん……って、ええぇ!?」
P「いいね、そのわかりやすいリアクション。テレビ映えする」
響「そうやって、すぐごまかす!」
P「今度の休みにでも会わせてくれるか?」
響「え? あ……うん。びっくりすると思うけど……」
P「響の家族だろ? だったら大丈夫だ」
響「うん!」
へへっ、仲良くなってくれるといいな。
あれ? ってことは、プロデューサーうちに来る?
うわっ、急に照れくさくなってきたぞ……えへへ///
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:57:05.09 ID:luDvXX7E0
── 後日 ペットショップ ──
P「おおう……」
響「ね、びっくりしたでしょ」
今日、自分はオフ。プロデューサーは半日だけお休みをもらえたって。
せっかくだから、一日一緒にいたかったな……
なんて思ってないよ!? 思ってないからね!
いつもお世話になってるペットショップにみんなを連れてきて、そこでプロデューサーと対面。
一人暮らしのアイドルの部屋には、絶対に行けないって言い張ってた。
自分にはすぐにイジワルするのに、そういうところは真面目なんだもん……。
お料理なに作ってあげようかとか、色々考えてたのに……。
P「ヘビは予想してたけど、ワニはさすがに想定外だった……」
響「ワニ子は噛み付いたりしないから大丈夫だよ」
P「噛み付かれたら最期だな、ははっ……」
響「大丈夫だってば」
店員「私たちでも、ワニ子ちゃんに慣れるのは苦労しましたから」
P「慣れるものなんですね」
ワニ子は、顔はおっかないけど優しい子だからね。
プロデューサーが悪い人だったら、噛み付かれるかもしれないけど。
それにしても……自分のことほったらかして、店員のお姉さんとばっかり話してない?
なんかデレデレしてるし!
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:58:09.19 ID:luDvXX7E0
店員「あら? 響ちゃん、やきもち?」
響「ちがっ! そんなわけ……」
P「?」
響「うぅ……///」
ちょっと時間はかかったけど、みんなプロデューサーと仲良くなれたみたい。
店員のお姉さんともね!
店員「また来てくださいね」
P「ええ、ぜひ」
響「むっ」
P「なんだ?」
響「なんでもない! ふんっ!」プイッ
店員「ふふっ」
P「?」
もうプロデューサーなんか知らない!
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 23:59:18.37 ID:luDvXX7E0
── 8月上旬 ライブ会場控え室 ──
変な感じ……。
あれからプロデューサーと一緒にいると、変に意識してうまくしゃべれない。
どうしちゃったんだろ、自分……。
春香「はぁ……」
響「あれ、どうしたの春香?」
春香「あ、響ちゃん……」
響「すぐに出番でしょ? なんか元気ないよ?」
春香「響ちゃん……最近プロデューサーさんと仲良くなったよね?」
響「べ、別にそんなことないけど」
春香「そう? 最初の頃と全然違うよ」
まわりからは、そう見えるんだ……。
ご、誤解されないように気を付けないと!
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:00:58.32 ID:tsMpn7d70
響「それで、プロデューサーがなに?」
春香「うん。私、やっぱり……」
響「やっぱり?」
春香「……」
響「……」
春香「ごめん、やっぱりなんでもない!」
響「そ、そう……」
そっか……わかっちゃった。
春香、プロデューサーのこと……。
響「よ、よくわからないけど応援するよ!」
春香「え?」
響「春香は友達だもんね!」
春香「うん……ありがとう、響ちゃん」
春香は大切な友達。
だから……これでいいんだ。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:02:24.80 ID:tsMpn7d70
── 翌日 テレビ局楽屋 ──
真「今まで気づいてなかったの?」
響「え?」
雪歩「響ちゃん、それはさすがに……」
響「えぇ?」
真「千早も気づいてたよね?」
千早「ええ、それはまあ……」
響「ええぇ!?」
千早まで春香の気持ちに気づいてたの!?
自分、そんなに鈍いってことは……な、ないよね?
響「とにかく、みんなで春香のこと応援してあげようよ!」
真「う~ん……」
雪歩「……」
響「ね?」
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:03:39.43 ID:tsMpn7d70
千早「それは、他人が口出しする問題じゃないと思うわ」
響「え?」
千早「春香が悲しむようなことには、もちろんなってもらいたくないけど……」
響「だから……」
真「ボクたちはアイドルだよ。簡単な問題じゃない」
雪歩「うん、私もそう思う」
真「もう、誰も顔も知らなかった頃とは違うしね」
響「それは……」
雪歩「私たちは、いつでも春香ちゃんを支えられるように、見守るしかないよ……ね?」
響「う、うん……」
自分たちはアイドル、か。
恋愛なんてしちゃいけない……んだよね、うん……。
真「それに、響だってさ……」
千早「……真」
真「あ……ごめん、これも大きなお世話だね」
響「?」
言いかけてやめられると気になるんだけど……。
自分だって、なに?
言われるようなこと、自分は別になにも……。
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:05:35.85 ID:tsMpn7d70
── 8月中旬 765プロ事務所 ──
響「プロデューサーは……」
P「ん?」
響「好きな人いる?」
P「いるけど?」
響「ふ~ん、やっぱりいな……いるんだ!?」
P「そんな驚くようなことか?」
響「え、いや……それって恋人?」
P「違うよ」
響「そ、そっか」ホッ
あれ? 自分安心してる?
う、うん! 春香のためだからね!
響「あ、もしかしてペットショップのお姉さん!?」
P「一度会ったきりだぞ……」
響「それじゃ……自分の知ってる人?」
P「ん~……まあ、そうとも言えるかな」
響「知ってる人なんだ?」
P「さぁね」
響「ケチ!」
知ってる人なら、春香の可能性はあるよね。
他の誰かってこともあるけど……。
たとえばその、じ…………な、なに考えてんのさ自分!
そんなこと、あるわけないよ……。
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:07:01.21 ID:tsMpn7d70
── 9月中旬 ライブツアー初日 ──
響「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」
ウオォォォォォォ…!
真「今日はボクたちが最高のステージを用意したから……」
雪歩「みんなも最後まで応援お願いします!」
ウオォォォォォォ…!
春香「……」
響「は、春香」
春香「え……あっ、それじゃいくよ! START!!」
春香……気持ちがここにないみたい。
アイドルとして、ステージの上では絶対にやっちゃいけないこと。
でも……17歳の女の子が、ただ誰かを好きになっただけなのに……。
それって、そんなに悪いことかな?
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:08:18.27 ID:tsMpn7d70
春香「~~♪」
響「~~~~♪」
こんな春香、たぶん自分たちの誰も知らない。
いつも自分たちを引っ張ってくれた春香が……一人だけ取り残されてる。
隣にいるのに、手も声も届かないぐらい……。
はるひび「「~~~♪」」
ごめんね、春香。
自分、春香に嘘をついてる。
嘘って……え? なにを?
なにも嘘なんて……ううん。
春香「……」
響「……」
そっか、やっぱり自分も……。
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:09:51.24 ID:tsMpn7d70
── ライブ終了後 控え室 ──
P「みんな、お疲れさま」
一同「「「お疲れさまでしたー!」」」
P「充分に練習できる時間のない中、よくやってくれた……と言いたいところだが」
一同「「「……」」」
P「今日の出来はどうしたんだ、春香。今までで最低のパフォーマンスだったぞ」
春香「はい……」
響「ちょっ、そんな言いかた……!」
P「響、お前もだ」
響「え?」
P「途中から意識が散漫になってたな。自覚は?」
響「……うん、あるけど」
P「だったら、次からは最後まで集中するんだ」
響「……はい」
P「春香は、今のままなら次のステージには出せない」
一同「「「!」」」ザワ…
雪歩「そ、そんなに厳しくしなくても……」
響「そうだよ!」
P「せっかく楽しみに来てくれたファンを失望させてもか?」
雪歩「……!」
響「それは……」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:11:23.45 ID:tsMpn7d70
春香「雪歩、響ちゃん、ありがとう……。でも、悪いのは私だから」
響「……」
春香「次までには、必ず気持ちを切り替えます」
春香「アイドルとして、これ以上ファンの期待を裏切るようなことはしません」
春香「だから、みんなと一緒にステージに立たせてください! お願いします!」
P「……」
一同「「「……」」」
P「わかった、信じるよ」
春香「ありがとうございます!」
P「ただし、一人で抱え込まずに、必ず誰かに相談すること」
P「俺に話しにくいことなら、律子でも音無さんでもな」
春香「はい! あの……」
P「なんだ?」
春香「いま聞いてもらっていいですか?」
P「ここでか?」
春香「はい、今ここで」
響「春香、なに言って……」
春香「大丈夫だよ、響ちゃん」
響「え……」
P「わかった、聞くよ。なんだ?」
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:12:36.79 ID:tsMpn7d70
春香「私は、プロデューサーさんが好きです!」
響「!」
一同「「「!」」」
春香「返事を……聞かせてください」
P「……」
春香「……」
一同「「「……」」」ゴクッ
P「すまないが、春香の気持ちを受け入れることはできない」
春香「はい……」
響「あ……」
一同「「「……」」」
春香「えへへ、わかってました! ありがとうございました!」ペコッ
P「いや……」
響「春香……」
たぶん、誰も悪くない……。
ただ切なくて、もどかしくて……悲しいだけ。
自分たちが……アイドルが恋をするって、そういうこと……。
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:14:01.13 ID:tsMpn7d70
── 翌日 屋上 ──
春香「わぁ~! 風が気持ちいいね!」
響「うん……」
春香「もう、響ちゃんがそんな顔しててどうするの?」
響「だって……」
たしかに、これじゃどっちが失恋したのかわからないけど……。
響「春香……無理してない?」
春香「全然! すっきりしちゃった!」
春香「ほんと言うと、ふられるのわかってたし」
響「だからって、そんな簡単に割り切れるものなの?」
春香「割り切らなきゃいけないから、あそこで告白したんだよ」
なんで、春香はそんなに強いの?
自分だったら、春香と同じようになんて……できない。
春香「響ちゃんも、そろそろ素直にならないとね」
響「へ? なにが?」
春香「ごまかさなくてもいいよ。私の恋敵なのに」
響「こ、恋敵!?」
春香「あ、私は脱落しちゃったか。あはは」
響「べ、別にそんなことないし! なに言って……」
春香「みんな気づいてるよ?」
響「ぅえぇぇ!?」
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:15:33.98 ID:tsMpn7d70
春香「ふっふっふ~」
響「いや、それは……」
春香「言い訳は聞きません!」
響「えぇ~……」
わかってるよ、自分だって!
自分が誰を好きかぐらいはね!
響「でも、春香だってまだ……」
春香「うん、まだ好きだよ」
響「ほら……」
春香「そんなの関係ないけどね」
響「え?」
春香「響ちゃんが私を応援するって言ってくれたのは、ウソ?」
響「違うよ! あれは本当に……」
春香「わかってる、私もそうだもん」
響「あ……」
春香「響ちゃんは、大切な友達だから応援したい。それだけ!」
響「春香……」
春香「うん?」
響「ありがと……」
春香「うん! 私の分も頑張ってね!」
響「そう言われると、ちょっと複雑だけど……」
春香「あはは」
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:17:05.55 ID:tsMpn7d70
響「春香は強いなー」
春香「強くないよ。強がってないと心が折れちゃうもん」
響「そっか……」
春香「うん……」
響「……」
春香「……ひぅっ……ぅ……ぁ」ポロポロ
悲しくないわけないよね……。
とても大切な想いだったんだから……。
こういうときは、思い切り泣いちゃったほうがいい。
誰のためでもない、自分自身のために。
響「春香……」
春香「ん……?」ポロポロ
響「自分も一緒に……ひぐっ、泣いていいかな?」グスッ
春香「へへっ……響ちゃんの、泣き虫……」ポロポロ
響「う、うっさい……ぅぁ……」ポロポロ
二人で一緒に泣いて、自分たち強くなろう。
これからなにがあっても、どんなことにも負けないように。
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:18:41.24 ID:tsMpn7d70
── 10月10日 バースデーパーティ終了後 ──
17歳の誕生日。
今日、プロデューサーに告白する。
この想いを押し込めたままアイドルを続けるなんて、自分にはできないから。
春香みたく、みんなの前でできればかっこよかったんだけど……。
やっぱり無理。
自分は春香ほど強くないからね。背伸びしてもしょうがない。
そうだよね、プロデューサー……。
響「プロデューサー、今いい?」
P「おう、17歳の誕生日おめでとう」
響「うん、ありがと……」
P「どうした?」
響「うん……」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:20:19.79 ID:tsMpn7d70
響「プロデューサーは、春香から告白されて心が動かなかった?」
P「ん? そうだな……」
響「春香ってほら……可愛いし、すごくいい子だし」
P「たしかにな」
響「アイドルとプロデューサーだからダメ?」
P「いや、それを考えなくても断ったよ」
響「なんで?」
P「前に響が聞いただろ? 好きな人いるのかって」
響「えっ……あ」
それは思い出したくなかったかも……。
自分の気持ちを受けて入れててもらえるかもなんて、ほんの少しでも……
まったく期待してなかったわけじゃないけど。
でも、やっぱり無理だよね、うん!
それならそれで、自分の気持ちにけじめをつけないと!
今よりもっと強くなって、前に進むために。
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:21:33.65 ID:tsMpn7d70
響「プロデューサー!」
P「なんだ?」
響「自分はプロデューサーが好き!」
P「おう、俺も響が好きだぞ」
響「……」
P「……」
響「へ?」
P「告白だろ? その返事だ」
響「そ、そっか、自分のこと好きなんだ……」
響「……って、好きぃ!?」
P「いちいちいいリアクションするなぁ、響は」
じ、自分はもちろん告白のつもりで言った。好きって。
プロデューサーは、その返事で……好きって。
響「プロデューサーが言ってた好きな人って……」
P「もちろん響のことだ」
響「そ、そうだったんだ……あはは///」
な、なんかもう、どうしていいのかわからない。
抱きついたりしちゃって……いいのかな?
で、でもここ事務所だし……。
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:23:09.44 ID:tsMpn7d70
P「わかってるとは思うが……」
響「え?」
P「響がアイドルである以上、俺は担当プロデューサー以上にはなれない」
響「あ……」
P「これだけは、な」
響「うん……でも」
P「ん?」
響「もし、自分がアイドルをやめたら……」
P「やめたいのか?」
響「やめたくないよ! 今はまだ……やめたくない」
P「俺も、響がIAを制覇するまではやめさせるつもりはない」
響「IAを……」
P「それまでは、今までどおりアイドルとプロデューサーだ」
響「……」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:25:27.89 ID:tsMpn7d70
響「ひとつだけ……いいかな?」
P「なんだ?」
響「普通の女の子に戻れるまで、自分のこと好きでいてくれる?」
P「もちろん」
響「絶対に?」
P「絶対に」
響「うん! 自分もプロデューサーのことずっと好きだよ!」
P「ああ、俺もだ」
響「あは……///」
ガチャ
春香「えへへ、響ちゃんおめでとう!」
響「は、春香!? それにみんなも?」
P「お前たち、盗み聞きか?」
真「そうです! しっかり聞いちゃいましたよ~」
響「うぁ!?」
P「マジか……」
雪歩「こ、これはもう責任を取らないと」
響「責任!?」
P「おいおい……」
千早「私たちの友達を泣かせたりしたら、許しませんよ?」
響「千早……」
P「もちろんだ。絶対幸せにする」
響「は……」
一同「「「おおー!」」」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:26:44.11 ID:tsMpn7d70
P「……」
響「あはは……も、もうプロデューサー! みんなの前でそんなこと///」
P「みんなの前だから嘘はつけないだろ」
響「うん……///」
一同「「「……」」」
春香「ちょっと早くもノロケですよ、ノロケ……」ヒソヒソ
真「これはもう、邪魔者は退散するしかありませんなぁ……」ヒソヒソ
響「なにヒソヒソ話してるの?」
春香「なんでもないよー」
真「へへっ、お幸せに!」
響「う、うん」
雪歩「おめでと、響ちゃん!」
響「あ、ありがと」
千早「響なら大丈夫よ」
響「うん!」
春香「プロデューサーさん」
P「なんだ?」
春香「響ちゃんのこと、よろしくお願いします」ペコッ
P「ああ、任せろ」
響「春香……」
春香「響ちゃん」
響「なに?」
春香「IA制覇だけは、響ちゃんにだって譲らないよ?」
響「自分だって負けないさー!」
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:27:58.11 ID:tsMpn7d70
── エピローグ ──
あれから一年半。
自分たちの後輩アイドルも増え、765プロも少しだけ様変わりした。
自分と同期の仲間たちの何人かは、一足先に違う道に進んでいる。
これからもアイドルを続けるみんな。引退したみんな。
選んだ道はそれぞれだ。
自分、我那覇響は高校の卒業と同時にアイドルを引退した。
アイドルとしてやり残したことは、本当になにもない。
同じ時間を過ごした仲間たちが、みんなそうだったように……
とても誇らしくて、ええと……ああもう、こういうの上手く言えない!
とにかく最高の2年間だったさー!
うん、これだけは完璧だったって断言できる!
でも、もし……
もし、ひとつだけ心残りがあるとすれば──
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:29:20.00 ID:tsMpn7d70
響「なんで16歳から1cmも身長が伸びないんだー!」
P「1cmもか」
響「1cmもだよ! 悪かったね!」
P「縮んでないだけよかったじゃないか」
響「全然フォローになってないよ!」
P「ははっ、まだまだ10cm早いままだな」
響「うぐっ……どうせ、もう伸びないよ!」
P「そうか~」
響「……ちっちゃくちゃダメ?」
P「ま、急に大きくなったら、誰だかわからなくなるだろうしな」
響「ふーんだ! そうやってイジワルばっかりするのは照れ隠しなんでしょ?」
P「響が可愛いからな」
響「う……///」
P「んん?」
響「うるさい、このイジワル!///」
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 00:31:12.47 ID:tsMpn7d70
P「こんな奴は嫌いか?」
響「ううん、大好き!」
おわり
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 01:14:52.57 ID:vBysH+F30
乙
響かわいい
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 08:17:24.57 ID:+w2DhMODo
わた春香さんは本当にいい女ですね!
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/10(木) 13:21:08.45 ID:7Jwcl1Jyo
乙したー
HAPPY BIRTHDAY 響!!
転載元
響「身長あと10cm伸びなかったけど」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1381326798/
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