1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:17:20.10 ID:YohLo3Xm0
あおい「まさか江夏投手を超えることができるなんて夢みたい」
みずき「あおいさん……」
あおい「8月ぐらいで調子を落としたから、もう無理かなって思ったときもあったけど。本当に諦めなくてよかった」
みずき「……」
あおい「よーし、次は金田投手を超えないとねっ。あと2000以上奪三振取らないといけないから、ちょっと苦しいかも」
あおい「でも、やってみせるよ。まだ引退まで8年もあるしね!」
みずき「あおいさん、もうやめましょう?」
あおい「ボクのマイライフはまだまだこれからだー」
<プレイボール!!
みずき(いつまで現実逃避するつもりなんですか、あおいさん……)
みずき(難易度が『ごくらく』で、しかも打者のレベルが『よわい』じゃ、全然自慢にならないですよ……!!)
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:24:35.51 ID:YohLo3Xm0
<ストラーイクッ!バッターアウトッ!!ゲームセット!!
あおい「よし。開幕戦は10奪三振。まずまずだね」
みずき「……」
あおい「みずきちゃん、どうかした?」
みずき「いえ、別に」
あおい「退屈なら、対戦でもする?」
みずき「いいんですか?」
あおい「もっちろん!!やろやろっ」
みずき「じゃあ、やります」
あおい「よーし。ボクは阪神にするね」
みずき「私は楽天でプレイします」
あおい「まけないぞー」
<プレイボール!!
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:29:23.60 ID:YohLo3Xm0
あおい「えいっ!」
みずき「……」ピッ
<カーンッ!!!
あおい「え……」
みずき「……」
あおい「まさか、先頭打者ホームランなんて……。油断しちゃった」
みずき「……」
あおい「次こそは。えいっ!」
みずき「……」ピッ
<カーンッ!!!
あおい「な……。二者連続……。でも、みずきちゃん、偶然は2回までだからね」
みずき「はい」
あおい「とうっ!」
<カーンッ!!!
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:34:59.12 ID:YohLo3Xm0
あおい「もう!どうして!?」
みずき「どうしてって言われても……」
あおい「ボクの回にならないじゃない!!」
みずき「あおいさん。いいですか?たまにはストライクゾーンを外すように投げないとですね……」
あおい「スキありっ!」
みずき「……!」
<カーンッ!!!
あおい「んもぉー!!!」ジタバタ
みずき「あおいさん……」
あおい「やめたっ!!」
みずき(相変わらず短気だなぁ……)
あおい「攻略本読むから、みずきちゃん好きにしてていいよ!」
みずき「はい」
あおい「どうして……。マイライフで403個も奪三振をとったボクが……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:35:38.99 ID:4ago5yPe0
みずきってこんな性格か?
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:40:44.43 ID:YohLo3Xm0
ピンポーン
あおい「ん?聖ちゃんかな?」
みずき「私が出てきます」
あおい「うん。ありがとう」
みずき(やっときてくれた)
ガチャ
聖「すまない。遅くなった」
みずき「おそい。何してたの?」
聖「お土産をどれにするか悩んでしまって。結局、いつもの和菓子にしたが」
みずき「ほら、早く入って。あおいさん、へそ曲げちゃって大変なんだから」
聖「またみずきが余計なことをして癇癪を起こしただけではないのか」
みずき「そんなわけないでしょ。遊んでただけ」
聖(あやしいな)
あおい「いらっしゃい。聖ちゃん」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:48:12.15 ID:YohLo3Xm0
みずき「んー、おいしい。聖はお菓子の見る目だけはあるからね」
聖「だけとはなんだ」
あおい「……」パクッ
聖「何をしていたのだ?」
あおい「いつものだよ」
聖「そうか。みずき、どうだ。一戦」
みずき「いや」
聖「む。何故だ」
みずき「聖、いつも卑怯な手を使ってくるし」
聖「卑怯……?」
みずき「4番でバントとか、スクイズとか」
聖「正しい戦略だが」
みずき「あんなスポーツマンシップに則ってないプレイされても、気分が悪くなるだけなんだよねー」
聖(負けるのが嫌なだけか)
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 13:54:54.26 ID:YohLo3Xm0
あおい「そーだ。聖ちゃん、見て見て。マイライフですごい記録が出たんだ」
聖「ほー。それは興味深い」
あおい「シーズン奪三振403。すごいと思わない?」
聖「うむ。素晴らしい成績だ」
みずき「(でも、難易度は『ごくらく』、打者レベルは『よわい』だからね)」
聖「(それでも飽きずによくやっていると思うが)」
あおい「何はなしてるの?」
みずき「いえ、なんでも」
聖「是非とも後学のためにプレイを拝見させてくれないか?」
あおい「うんっ!いいよっ!」
<プレイボール!!
あおい「えいっ!」
みずき「あおいさん、機嫌直ったかな」
聖「みずき。どのようにして不機嫌にさせた?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:01:04.84 ID:YohLo3Xm0
あおい「えーいっ!」
みずき「って感じで」
聖「みずき……」
みずき「なによ?私が悪いっていうの?」
聖「手加減を知らないのか。阪神というゲーム内で最強クラスのチームを選択しておきながら、楽天という下位クラスのチームに圧倒されたら誰だって気分を損ねる」
みずき「それはでも、あおいさんが弱いから」
聖「だからこそ、手を抜いてだな……」
<ゲームセット!!
あおい「やった!!8奪三振!!」
聖「流石だ」パチパチ
みずき「わー」パチパチ
あおい「この調子でもう一試合!」
聖「上手くなるように指導するのも格上の務めだ」
みずき「だって、私の話は聞いてくれないしぃ」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:08:49.78 ID:YohLo3Xm0
聖「よし。なら、私とみずきの対戦を見て学んでもらうというのはどうだ?」
みずき「聖のやらしいプレイじゃ参考にならないと思うけど」
聖「やらしいプレイとはなんだっ」
みずき「やらしいプレイはやらしいプレイよ。ノーアウトで走者がいたらまず送りバントとか、スケベ」
聖「スケベ!?」
みずき「聖は本当にそういうプレイが好みなんだよねぇ」
聖「おかしなことをいうなー!!いたって普通のプレイだ!!」
みずき「普通じゃないって、絶対」
聖「普通だー!!」
あおい「二人とも、何の話しているの?いやらしい話?」
みずき「あおいさんは気にせず続きをプレイしてください」
あおい「う、うん……」
聖「とにかく、みずき。少しでも上達するようにサポートすることが肝心だ」
みずき「えー。めんどっちぃなぁ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:14:37.17 ID:YohLo3Xm0
聖「みずきだって、強者が増えたほうが楽しいはずだ」
みずき「うーん、まぁねえ」
聖「では、やるぞ」
みずき「やってもいいけど、聖はきちんと負けてね」
聖「……はいはい」
みずき「あおいさーん」
あおい「なに?」
みずき「今から私と聖で対戦プレイしたいんですけど、いいですか?」
あおい「うん。いいよ。どうぞ」
聖「すまない」
みずき「よーし、私はオリックスにしようかな」
聖「私は広島で戦おう」
みずき「あおいさん、私たちのプレイよく見ててください」
あおい「うんっ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:24:29.34 ID:YohLo3Xm0
みずき「でりゃー!」
<カーンッ!!!!
聖「なーっ!!」
みずき「やったー」
聖「まて、みずき!!滅多打ちにしてもいいとは言ってないぞ!!」
みずき「え?なに?聞こえない」
聖「……そっちがその気なら、こちらも考えがある」
みずき「ここから逆転できるとでも?」
聖「見ていろ」
あおい(ふたりとも楽しそうだなぁ……)
あおい(でも、ボクはいつも二人にボロ負けするからつまらない……)
聖「必殺、スクイズだ」
みずき「あーっ!?」
聖「逆転だ」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:30:49.80 ID:YohLo3Xm0
あおい「ふたりともー?」
聖「とう」
みずき「またバント!?あ、はーい。なんですかー?」
あおい「夕飯作るけど、どうするー?」
みずき「帰ります!」
聖「もうこんな時間か。お暇しよう」
あおい「そう……」
みずき「また、遊びにきますから。それじゃあ」
聖「私のみずきのプレイを参考にしてほしい」
あおい「う、うん。色々ありがとう」
あおい(途中から観戦に飽きて、ずっと本を読んでたけど……)
みずき「お邪魔しましたー」
あおい「また来てね」
聖「うむ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:42:10.91 ID:YohLo3Xm0
<ゲームセット!!
あおい「よし。これで30勝」
あおい「この調子で行けば、40勝はいけそう」
あおい「……」
あおい(コンピューター相手なら余裕なのに……。どうやったら二人に勝てるようになるんだろう……)
あおい(ボクも二人と楽しいゲームがしたいのに……)
あおい「……そろそろ寝ようかな。明日もあるし」
あおい(攻略本だって何度も読んでるのに、打てないし打たれる)
あおい(ボクはもうダメなのかな……)
あおい「……」
あおい(明日中に40勝までもっていこう)
あおい「おやすみ」
あおい(誰かに相談してみようかな……)
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:45:38.86 ID:ng4qYEJu0
かわいい
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:50:09.90 ID:YohLo3Xm0
―翌日 学校―
あおい「うーん……」
はるか「悩み事?」
あおい「うん、ちょっとね。どうやったら上手くなるのか……」
はるか「野球ゲームのこと?」
あおい「はるか。誰か上手い人知ってたりする?」
はるか「ううん。ごめんなさい」
あおい「だよね……」
はるか「あ、でも、隣のクラスにいる矢部さんなら、知っているかもしれません」
あおい「矢部くん?誰それ?」
はるか「眼鏡をかけた人です。野球部で足が速くて、それでいてアニメとかゲームに精通しているとか」
あおい「はるか、詳しいね。知り合いなの?」
はるか「矢部さんのお友達とお話したことがあるので」
あおい「ふーん。とりあえず、会ってみようかな」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:51:25.86 ID:gJYhFMRP0
パワプロはあおいが一番可愛い
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:52:26.31 ID:UJI27vrd0
雅ちゃんな
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:55:20.63 ID:fTl90BXh0
聖ちゃんはもらっていく
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 14:57:20.41 ID:YohLo3Xm0
「それ、展開がチープすぎると思うんだけどなぁ」
矢部「そこはロボットアニメのお約束でやんす」
あおい「矢部くーん」
矢部「誰でやんすか?オイラの名前を呼ぶのは」
あおい「矢部くーん」
「あれ、隣のクラスの早川さんじゃないか」
矢部「早川さん……。まさか……!!」ダダダッ
あおい「ん?もしかして君が?」
矢部「はいでやんす!!矢部明雄とはオイラのことでやんす!!」
あおい「ふぅーん」
矢部(この感じ……もしかして……もしかして……!!)
あおい「話があるんだけど、いい?」
矢部「もちのロンでやすん!!!!!」
あおい「元気いいね。流石、野球部」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:02:43.32 ID:YohLo3Xm0
矢部「で、でで、ご用件はなんでやややすか?」
あおい「ああ、えっと、その……。誰にも言わないって約束してくれる?」
矢部「勿論でやんす!!オイラの口は瓶の蓋ぐらいかたいでやんす!!!」
あおい(それ、あまり堅くないんじゃ……。まぁ、いいか)
あおい「君にお願いがあるんだ」
矢部「はいでやんす!!!!なんでもいってくださいでやんす!!!」
あおい「ボクに……」
矢部「おっけーでやんすぅー!!!!」ガシッ!!!
あおい「え?」
矢部「必ず、早川さん、いや、あおいちゃんを幸せにするでやんす」キリッ
あおい「……うん、ありがとう。よろしく」
矢部「うひょー!!!!」ダダダッ
あおい「あ……」
あおい「まだ、何も言ってないのに……」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:09:42.00 ID:YohLo3Xm0
―放課後 校庭―
矢部「うおぉぉぉぉ!!!!」ダダダダッ
「矢部くんがいつも以上に気合はいってるなぁ……」
矢部「今のオイラを何人も止める事はできないでやんすー!!!!」
「その原因はやっぱり……」
あおい(部活っていつ終わるんだろう……)
「あのー、早川さん」
あおい「なに?」
「矢部くんに何か用事でもあるの?」
あおい「お願いしたいことがあって、待ってるんだ」
「お願い?」
あおい「うん。今、すごく悩んでて……」
「はるかちゃんが言ってた、野球ゲームのことかな?」
あおい「知ってるの?もう、はるかったら……。口止めはしてなかったけど」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:14:37.39 ID:4ago5yPe0
このあおいたちは野球してないのか
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:17:03.45 ID:YohLo3Xm0
あおい「へぇー。そうなんだ」
「コツってほどじゃないけど、それだけでも全然違うと思うよ」
あおい「ありがとう。詳しいね」
「それほどでも」
あおい「それじゃあ、部活頑張って」
「ありがとう」
あおい(よーし、早速練習しなくちゃ)
矢部「うぉぉぉぉ!!!!でやんすぅぅ!!!!」
「矢部くん、矢部くん」
矢部「なんでやんすか!?」
「早川さん、先に帰るって」
矢部「え?」
「それだけ」
矢部「……恥ずかしくなったんでやんすね。なるほど、なるほど」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:20:33.87 ID:oMqHv/kJO
さーて暑くなってきたしパンツでも脱ごうかね
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:21:12.08 ID:YohLo3Xm0
―自宅―
あおい「変化球主体の投手が相手のとき、低めは全部見逃す……」
<プレイボール!!
あおい「……」
<ストラーイクッ!!!
あおい「……」ピクッ
<ストラーイクッ!!!
あおい「う……」
<ピッチャー投げました!
あおい「せいっ!!!」
<ストラーイクッ!!!バッターアウト!!!
あおい「もうっ!!!」
あおい「ねるっ!!!」
あおい(……うそつき……全然、勝てないよ……)
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:25:07.90 ID:q2gbKNP20
あおいちゃんは短気持ちだったね・・・
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:26:02.13 ID:fTl90BXh0
あおい「ボクのおこはまだ3段階も残してるよ」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:28:41.63 ID:YohLo3Xm0
―翌日 学校―
あおい「ふぅ……」
矢部「あおいちゃん」キリッ
あおい「ん?矢部くん。どうしかしたの?」
矢部「今日は部活が終わるまで待っててくれるでやんすか?」
あおい「いいけど、何かあるの?」
矢部「昨日できなかったことを今日するでやんす」
あおい「もういいよ。嘘の情報だったし」
矢部「なんのことでやんすか?オイラは知らないでやんす」
あおい「野球ゲームの攻略なんだけど」
矢部「野球ゲームでやんすか?」
あおい「うん。ぜんぜん、上達しないんだ、ボク。才能ないのかなぁ」
矢部「……」ニヤッ
あおい「どうしたの?」
矢部「あおいちゃん。昼休み、3階の空き教室で待ってるでやんす。そこで全てを教えてあげるでやんす」キリッ
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:35:02.78 ID:YohLo3Xm0
―昼休み―
あおい「はるかー、食堂いこっか」
はるか「はい」
あおい「今日は日替わり定食がオススメなんだよね」
はるか「あおいもそれにするの?」
あおい「うん。はるかはお弁当?」
はるか「はい。でも、日替わり定食も興味あります」
あおい「ああ、それならボクの少しあげるから、はるかのおかずちょーだい」
はるか「それいいですね」
あおい「よーし、はやく行こうっ」
―空き教室―
矢部「このポータブルで手取り足取り教えてあげるでやんすよ、あおいちゃん」
矢部「矢部くん、ちかいでやんす……なんて、感じになるでやんすね……」
矢部「あおいちゃん……あおいちゃん……ぐふふ……」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:42:25.05 ID:YohLo3Xm0
―食堂―
あおい「そうだ、はるか。勝手にボクの悩み事話したでしょ」
はるか「言ってはダメだったのですか?」
あおい「ダメってわけじゃないけど、女の子が野球ゲームで悩んでるとか、恥ずかしいし……」
はるか「ごめんなさい」
あおい「ああ、ううん。別にいいよ。あの子も誰かに喋ったりはしなさそうだったし」
はるか「はい。あの方は信頼に足る人物ですから」
あおい「でも、冗談じゃなくて、結構深刻なんだよ」
はるか「どうしてですか?」
あおい「リトルリーグでの後輩と最近、遊ぶようになったって前に話したよね?」
はるか「聖さんとみずきさんですよね」
あおい「そうそう。二人も野球ゲーム好きだから、家で遊ぶってなったら三人で野球ゲームをすることになるんだけど、ボクはいつもボロ負けしちゃって」
はるか「あおい、負けず嫌いだから」
あおい「うん。負けたらどうしても機嫌悪くなっちゃって、みずきちゃんたちに気を使わせるんだ。だから、せめて試合になるぐらいには上手くなりたんだけど……」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:49:36.25 ID:YohLo3Xm0
―廊下―
あおい「どうにかして上手くなりたい」
はるか「そうですね……」
「はるかちゃん、早川さん」
はるか「どうも」
あおい「また会ったね。って、ちょっと」
「どうかしたの?」
あおい「ぜんぜん、勝てなかったけど。どうなってるの?」
「ええ?でも、相手の四球が多くなって、塁に出る確率は上がるはずなんだけど」
あおい「そんなことなかったよ!!」
「そんな……」
はるか「あおい、あまり困らせないほうが……」
あおい「これってボクが下手くそってことなの?」
「うーん……。ねえ、早川さん。もし良かったらなんだけど今度、遊べる?この3人で」
あおい「遊ぶって……」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:55:01.57 ID:YohLo3Xm0
―放課後―
矢部「……」
「矢部くん、どうかしたの?」
矢部「あおいちゃんは見た目とは裏腹に中々、初心でやんす」
「そうなの?」
矢部「もう少し抑え目に誘ったほうがいいでやんす。直接的すぎたでやんすよ」
「ふーん」
あおい「はるかも絶対に来てね」
はるか「勿論」
あおい「男子の家になんて、あがったことないんだから……」
はるか「大丈夫ですよ。あの人の部屋は清潔ですから」
あおい「そういう心配はしてないんだけど」
はるか「では、どんな心配を?」
あおい「それは……えーと……まぁ、色々?」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 15:59:50.78 ID:YohLo3Xm0
―別の日―
「いらっしゃーい」
はるか「お邪魔します」
あおい「おじゃま、します」
「どーぞ。汚いところだけど」
はるか「そんなことありません」
あおい「うん。男の子の部屋ってもっと汚いと思ってたけど、意外と綺麗なんだ」
「二人が来るから一応、掃除はね」
あおい「あ、この棚に並んでるのって……」
「うん。全シリーズ集めてるから」
あおい「すごい。最新版まである。これ欲しいんだけど、お小遣いが足りなくて……」
「やってみる?あおいちゃんのプレイも見てみたいし」
あおい「いいの!?やろっやろっ」
はるか「もう、あおいったら……」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:06:50.57 ID:YohLo3Xm0
<ストラーイクッ!!!バッターアウトッ!!!
あおい「もう!!!やめたっ!!」
「まだ、一回表が終わっただけじゃないか」
はるか「あおい。すぐ諦めてどうするの」
あおい「でも、かすりもしないよ?」
「あおいちゃんってせっかち?」
あおい「なんですって?」
「いや、ボール球に対してもぶんぶん振るから。しかも強振で」
あおい「ホームランうちたいから」
はるか「でも、強振だとミートカーソルが小さくて当たり難いですよ」
「もしかして、当たったとしても殆ど引っ張り気味じゃない?」
あおい「何で知ってるの?」
「やっぱり……。あおいちゃん、待つことも大事だよ」
あおい「でも、待ってたらストライクとられちゃうよ?それでいいの?」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:13:55.68 ID:YohLo3Xm0
はるか「失投を待って……。ここっ」
<カーンッ!!!
あおい「……!!!」
はるか「待てばこういうチャンスも巡ってきますから」
あおい「そ、そうなんだ」
「はるかちゃん、最近上手になったよね。マイライフも『ごくあく』で6割60本達成したし」
あおい「えぇー!?」
はるか「あれは、貴方の教え方がお上手でしたから……」
「そんなことないよ。はるかちゃんの才能だよ」
はるか「そんな……うれしい……」
あおい「も、もしかして、はるかってボクより、上手いの?」
はるか「対戦、してみます?」
あおい「……う、うん」
「なら10点コールドの設定しておこうか」
あおい「なんのために!?」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:18:44.65 ID:YohLo3Xm0
<カーンッ!!!
あおい「……」
<カーンッ!!!
あおい「……っ」
<カーンッ!!!
あおい「……」プルプル
<カーンッ!!!
あおい「はるかぁー!!!」ガバッ
はるか「きゃっ!!」
あおい「ボクをいじめてたのしいのっ!?」
はるか「そ、そういうわけじゃ……」
あおい「これでもシーズン奪三振数は403なのにっ!!!」
はるか「ごめんなさい。あおいのボール、打ち易くて……」
あおい「もぉー!!!なんでボクばっかりぃー!!!」ジタバタ
「あおいちゃん……」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:23:20.60 ID:LbyFzjuc0
弱いよりパワフルのほうが奪三振増える不思議
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:26:33.04 ID:YohLo3Xm0
はるか「落ち着きましたか?」
あおい「うん」
「とりあえず、練習モードで研究してみるといいよ」
あおい「もういい」
はるか「え……」
あおい「ボク、このゲーム向いてないみたいだから」
「そんなこと……」
あおい「分かってたんだ。サクセスだって初心者のお守りがないとエンディングなんて絶対に見れないし……」
あおい「マイライフでも投手レベルを『よわい』にしても、スローボールに全然タイミング合わなくて三振しちゃうし……」
はるか「そこまで……」
あおい「いい機会かも。ゲームは卒業しようかな」
はるか「でも、みずきさんや聖さんと遊ぶとき困りますよ?」
あおい「何もテレビゲームしかやることがないってわけじゃないし、他にもできることはあるから」
はるか「あおい……」
あおい「難易度は最低にしておいて、ミートカーソルは常にロックオン。それでシーズン9割300本っていうありえない成績を見ながら、ニヤニヤしているだけでいいんだ、ボクは」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:34:38.46 ID:YohLo3Xm0
あおい「今日はありがとう。ごめんね、色々とアドバイスしてくれたのに身に付けられなかった」
はるか「待って、あおい。本当にこのままでいいのですか?」
あおい「そんなこと言われても、これがボクの限界なんだと思うよ」
はるか「あおい!」
あおい「どんどん三振が取れるからいつの間にかボクは勘違いしちゃってたんだ。ボクは凄い投手なんだ。特別なんだって」
あおい「でも、そんなのはこうして誰かと対戦すればすぐにわかる。自己満足の成績にぬか喜びしていただけ……」
「……」
あおい「それじゃあ、お邪魔しました。二人の時間を邪魔しちゃって――」
「待ってくれ!!あおいちゃん!!」
あおい「なに?」
「あおいちゃん。本当にそう思ってる?」
あおい「……」
「ここで諦めて、キミは納得できるの!?」
あおい「それは……」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:44:09.19 ID:YohLo3Xm0
「確かに向き不向きはあると思う。努力だけじゃ届かないものだってある。限界だって必ずある」
あおい「だから、このゲームはボクにとって不向きだし、いくら努力したって上手くならない」
「そんなことない!!」
あおい「どうしてそんなことが言えるの!?」
「あおいちゃん。マイライフの『よわい』っていう打者レベルで、プレイしていたんだよね」
あおい「うん。ボク、下手くそだから」
「知ってる?打者レベルが『よわい』だと、どんなコースに対しても振って来るから三振を取るのが難しいんだ」
あおい「……え」
「なのにあおいちゃんはシーズン403奪三振を記録したんでしょ?十分凄いことだよ」
あおい「そんなこと……」
「自分では気づいてないだけで、あおいちゃんはそれだけの才能を秘めているってことだ!!」
あおい「ボクに才能が……?」
「不向きだから、努力しても無駄だから、ここが限界だからってすぐに諦めてちゃ、先には進めない。俺だって最初から上手かったわけじゃない」
「始めたときは負け続ける毎日だったよ。それでも勝ちたいから来る日も来る日も練習したんだ」
あおい「……」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:50:34.01 ID:YohLo3Xm0
「だから、続けよう。俺が教えてあげるから!一緒に上手くなろう!!」
あおい「……」
はるか「あおい……。負けず嫌いなあなたがこんなところで止まるはずないって、私は信じてます」
あおい「……ふふっ。たかが、ゲームでなんでそこまで必死になってるの?おかしい」
「あ、そ、そうだね。ごめん」
あおい「でも、キミの言うとおりだね。まずは練習しないと。諦めるのはそのあとでもできるんだし」
「あおいちゃん……!」
あおい「それに諦めるなんてボクらしくなかった。やるなら一番を狙わないとね!!」
「その意気だ!!」
あおい「ありがとう。よかったら、これからも教えて欲しいな」
「もちろん!!」
あおい(ふふっ。はるかが認めただけのことはあるなぁ……)
「じゃあ、早速特訓だ!!」
あおい「うんっ!!」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 16:58:39.50 ID:YohLo3Xm0
あおい「――よし!」
<カーンッ!!!
はるか「あっ……」
<サヨナラホームラーン!!!
あおい「やった……」
「やったね、あおいちゃん!!!」
あおい「ありがとう!これもキミのおかげだよ!!」
はるか「あおい」
あおい「はるかもありがとう。こんな遅くまで付き合ってくれて。もう日付変わっちゃったし……」
はるか「ううん。元気になったのなら、それでいいんです」
あおい「はるか……」
「あおいちゃん。これ、携帯ゲームを貸してあげるよ。返すのはいつでもいいから」
あおい「本体ごと?いいの?」
「どこでもそれで練習するといいよ。それでもうあおいちゃんは誰にも負けない」
あおい「……うん。ボク、やる。とことんね」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:06:22.64 ID:YohLo3Xm0
―翌日 学校―
あおい「よっ……ほっ……」
矢部「あおいちゃん」キリッ
あおい「……え?」
矢部「今日は――」
あおい「ごめん、矢部くん。少し待ってて。今、最終回だから」
矢部「最終回って……。それは……!!!」
あおい「よしっ。勝った。で、何?」
矢部「あおいちゃん、もしかしてオイラのために買ってくれたでやんすか?」
あおい「あ、これ?これはねー」
矢部「そこまでオイラのことを……。分かったでやんす。今日の昼休み、対戦するでやんす」
あおい「対戦って……。矢部くん、持ってるの?ボクが言うのは間違ってるけど、ゲームは学校に持ってきたらダメなのに」
矢部「かたいことはいいっこなしでやんす。あおいちゃんに対戦しながらレクチャーしてあげるでやんすよ」
あおい「いいの?ありがとうっ。丁度、対戦がしたいなーって思ってたんだ」
矢部(ぐふふ……これでできるオイラをアピールすれば、あおいちゃんは未来永劫、オイラの嫁に……!!)
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:11:47.41 ID:YohLo3Xm0
―昼休み 空き教室―
あおい「やっ」
<カーンッ!!!
矢部「……」
あおい「とぅっ」
<カーンッ!!!
矢部「……っ」
あおい「ほっ」
<カーンッ!!!
矢部「あ、あおいちゃん……ちょっと待ってほしいでやんす」
あおい「どうしたの?」
矢部「ミートカーソルをロックオン設定にしてるでやんすか?」
あおい「してないよ?」
矢部「でも、変化球に合わせてミートカーソルが流れるように動いて……」
あおい「してないってば。ボク、友達と対戦するときはロックオンにしないって決めてるから」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:18:04.38 ID:YohLo3Xm0
矢部(では、あおいちゃんの実力が……。これほどまでやりこんでるでやんすか……!?)
あおい「どうしたの?終わる?」
矢部「い、いや!!まだ一回表も終わってないでやすんから、続行でやんす!!」
あおい「そうこなくっちゃ」
矢部(よし。少し卑怯でやんすが、サクセスで作ったチート投手を投入でやんす)
あおい「ピッチャー交代するの?」
矢部「これだけ打たれたら、リアルのほうでも交代するでやんすよ」
あおい「一回表3失点でマウンド譲る投手はあまりみないけど」
矢部「さー、いくでやんす」
あおい「このヤーベンってどこのチームにいるの?」
矢部「し、知らないでやんすか?横浜DeNAの二軍にいるでやんす」
あおい「そうなんだ」
矢部(あおいちゃん、ごめんでやんす。でも、負けられない戦いがそこにあるでやんす!!!)
矢部「くらえ!!!ヴァ――」
<カーンッ!!!
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:25:46.57 ID:YohLo3Xm0
あおい「矢部くん?」
矢部「……なんでやんすか?」
あおい「まだ、やる?2回表だけど」
矢部「いや、ここから70点も取り返すことは余裕でやんすが、昼休みが終わってしまうでやんすから……」
あおい「そう。よかった。続けるって言われたらどうしようかと思っちゃった」
矢部「……」
あおい「今日はありがとう、矢部くん。いっぱい手加減してくれて。今度は本気で対戦しようねっ」
矢部「……うぅぅ……」
あおい「矢部くん?どうしたの?」
矢部「オイラの……おいらのぉぉ……プライドがぁぁぁ……!!!!」
あおい「えぇ!?どうしちゃったの!?」オロオロ
矢部「オイラにもう構うなでやんす!!!」
あおい「矢部くん……」
矢部「優しくされるだけ、惨めでやんす……。もう、終わりでやんすよ、オイラたち。さよなら……早川さん……」
あおい「あ、うん。またね」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:36:34.33 ID:4NxnWC9L0
ほのぼの
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:36:49.54 ID:oya2Huir0
矢部ェ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:39:03.10 ID:YohLo3Xm0
あおい(矢部くん、泣いてたけど……。あれは悔し涙……?)
あおい(全然、手ごたえがないから手加減してくれてるのかと思ったけど、もしかして矢部くんは本気で……?)
あおい(でも、あれが全力だったのならボクにレクチャーしてあげるなんて言えない筈だし)
あおい「……もしかして、ボクが強くなった……」
はるか「あおい。どこに行ってたのですか?」
あおい「え。あ、ちょっと」
はるか「……ポケットにあるのはなんですか?」
あおい「ちょっと待って、はるか!!」
はるか「――学校に持ってきていいものではありませんよ?」
あおい「どこでも練習できるから……」
はるか「もし、先生に見つかって没収されたらどうするんですか?」
あおい「はぁい」
はるか「今後、持ってこないようにしてください」
あおい「わかったよ。もう持ってこない。それはそうと、はるか。今日、暇なら遊ぼうよ」
はるか「ええ、いいですよ」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:46:10.71 ID:YohLo3Xm0
―別の日 自宅―
あおい(よし。今日のために練習してきた。みずきちゃんや聖ちゃんと対等に戦うために。ボクは……!!)
ピンポーン
あおい「きたっ。はーい」
ガチャ
みずき「あおいさん、こんにちはーっ」
あおい「いらっしゃい、みずきちゃん。あがってあがって」
みずき「でも、どうしたんですか?どうしても野球ゲームがしたいなんて」
あおい「見て見て。また大記録を作ったんだよ。ほら」
みずき「シーズン奪三振数が403……?前回と一緒じゃないですかー」
あおい「ううん。もっとよく見て。違ってるところがあるから」
みずき「え……?」
あおい「ほら、ここ」
みずき「……!」
みずき(難易度が『ごくあく』になってる……!!!)
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:52:39.82 ID:YohLo3Xm0
あおい「さ、対戦しよっか、みずきちゃん」
みずき「……あおいさん。えーと、あれですか、改造コードとかいう」
あおい「してないよ。そんなこと」
みずき「いや、でも、たった1週間ちょっとで、この数字はおかしいというか」
あおい「がんばって練習したんだ」
みずき「どんな練習を……」
あおい「その成果をみずきちゃんと聖ちゃんに見て欲しくて」
みずき(ああ、いや。でも、元々あおいさんは投手が得意だったしなぁ。打つほうはまだまだ素人レベルかもしれない)
みずき(勝てる……!!)
みずき「分かりました。対戦しましょう」
あおい「うんっ。それじゃあ、私はロッテで」
みずき「では……今日は中日にしておきます」
あおい「よーし、まけないぞー」
みずき「こっちだって、負けませんよ」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 17:57:26.54 ID:YohLo3Xm0
みずき「クレッセントム――」
あおい「えいっ」
<カーンッ!!
みずき「……あれ?」
あおい「やったー、せんせーてーん」
みずき「ちょっと調子が悪いみたいですね。まだ、肩が温まってないのかも」
あおい「そうなの?」
みずき「では、気を取り直して……やっ」
あおい「せいっ」
<カーンッ!!!
みずき「あおいさん!!!」ガタッ
あおい「な、なに?」
みずき「ロックオンはやめてください!!!」
あおい「してないけど!?」
みずき「でも、カーソルの挙動がおかしいですよ!!!」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:02:31.17 ID:YohLo3Xm0
あおい「みずきちゃんまで……」
みずき「この変化球をジャストミートできるなんて……普通は……!!」
あおい「……」
<カーンッ!!!
みずき「……」プルプル
あおい「みずきちゃん……?」
みずき「絶対にチートコードを使ってる!!そうじゃないと説明がつかない!!!」
あおい「……」
みずき「だって、少し前までどこに投げてもバットを振ってた短気なあおいさんが、こんな操作ができるようになるなんて、おかしい!!」
あおい「み、みずきちゃん、だから、ボクはみんなとちゃんとゲームができるようにいっぱい練習して……」
みずき「おかしい、おかしい!!」ジタバタ!!
あおい「……」
ピンポーン
あおい「は、はーい」
みずき「くやしい、くやしいっ!!!」ジタバタ!!
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:03:24.90 ID:q2gbKNP20
どっちも短気持ちとな
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:08:48.66 ID:ZqAlrelv0
三日月で子猫なブログ(小声
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:09:45.11 ID:YohLo3Xm0
聖「――多少、打たれただけでこんなことになったのか」
あおい「うん……」
みずき「私が打たれるなんて、ありえないっ!!!」
聖「みずき。先輩が困っている。ベッドから出て来い」
みずき「聖!!!」
聖「な、なんだ?」
みずき「私の仇をとりなさい!!命令っ!!!」
聖「みずき……」
あおい「聖ちゃん、どうする?」
聖「とりあえず、対戦しよう」
あおい「わざと負けたほうがいい?」
聖「いや。正々堂々と戦う。わざと負けてもらっては私の矜持に傷がつく」
あおい「わかった。正々堂々だね」
聖「ああ!」
みずき「聖!!絶対勝ちなさいよ!!!」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:17:52.09 ID:YohLo3Xm0
<カーンッ!!!!
聖「なーっ!?!」
あおい「……」
聖「……うむ。参りました」
あおい「えへへ」
みずき「どうして降参してるのよ!!まだ4回じゃない!!」
聖「どこに投げても打たれるし、ゾーンの外は一切振ってこない!!どうやって勝てというのだ!!!」
みずき「聖の配球が悪いんじゃない!?」
聖「なに?聞き捨てならないな。私の配球は完璧だ」
みずき「聖のサイン通りに投げたら、ホームラン打たれたこと数え切れないぐらいあるしー」
聖「なっ……。それはみずきが私のサインになかなか首を振らなかったからだろ!!というか、いつの話を持ち出してきている!!」
みずき「事実は事実でしょ!!」
聖「みずき……!!!」
あおい「あの……」オロオロ
あおい(まさか、こんなことになるなんて……どうしたら……)
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:27:19.67 ID:YohLo3Xm0
あおい「は、白状するよ!!ごめん、二人とも!!」
みずき「え?」
聖「白状するって……?」
あおい「実は、みずきちゃんの言ったとおり、チートコードってやつを使ってたの……」
聖「……」
あおい「ごめん!いつもボクばっかりが負けるのが悔しくて!!」
聖「それは……」
みずき「なんだー。やっぱり、そうでしたかぁー」
あおい「うん。ちょっとやりすぎちゃったみたいだね、ごめんごめん。リセットボタン押したら、チートコードの効果は無くなるはずだから」ピッ
みずき「あおいさん、そんなことしないでくださいよー。あー、びっくりしたぁ」
あおい「あははは……」
みずき「次は正々堂々と対戦しましょうね、あおいさん」
あおい「うん。やっぱり、ゲームと言えどスポーツマンシップは大事だしね」
聖「……」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:34:17.58 ID:YohLo3Xm0
<ストラーイクッ!!バッターアウトッ!!
みずき「やったー」
あおい「あー、まけちゃったぁ。やっぱり、みずきちゃんには敵わないよ」
聖「……」
あおい「聖ちゃん、どうかした?」
聖「すまない」
あおい「え……?何が?」
聖「いや、なんでもない。それより、お土産にきんつばを買ってきた。そろそろおやつにしないか?」
みずき「そーだね。小腹もすいてきたし」
あおい「お茶、いれてくるよ」
聖「私も手伝おう」
みずき「よろしくぅー」
聖「貴方が納得しているのならそれでいいが、よかったのか?」
あおい「負けるのは悔しいけど、楽しくないのはもっと嫌だからね」
聖「そうか」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:44:41.44 ID:YohLo3Xm0
あおい「おまたせ、みずきちゃん」
みずき「いえ、待ってません」
聖「さて、食べようか」
みずき「これ、いつもの店のやつ?」
聖「いや。今日は店を変えた。いつも同じでは先輩の舌を飽きさせてしまうからな」
あおい「別に来るたびにお土産持ってくる必要なんてないんだよ?」
聖「私が好きでやっていることだ。気にしないで欲しい」
あおい「それなら、いいんだけど」
みずき「そうですよ、あおいさん。聖は甘いものを食べる口実が欲しいだけですからね」
聖「おい、みずき」
あおい「そうなんだ」
聖「誤解だ。私はそんな……」
みずき「わかりやすいなー」
あおい(これでいい)
あおい(ボクが勝つことでみんなが楽しめないなら、喜んで負ける。練習に付き合ってもらったはるかには悪いけど、可愛い後輩たちが不機嫌になるほうが困るしね)
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 18:51:52.30 ID:YohLo3Xm0
みずき「――では、お邪魔しました」
あおい「夕飯、ごちそうするけど」
聖「い、いや、大丈夫だ」
あおい「そう……」
みずき「あおいさん、また来ますね!!」
あおい「うん。いつでも来てくれていいから」
聖「それでは」
あおい「またねー」
バタンッ
みずき「……」
聖「どうした、みずき?」
みずき「聖、私の家に来て」
聖「……分かった」
みずき「このままあおいさんの勝ち逃げなんて絶対に許さない……!!」
聖(先輩。次に会うときは真剣勝負をしよう。必ず)
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:02:32.04 ID:YohLo3Xm0
<ストラーイクッ!!バッターアウト!!ゲームセット!!!
あおい「……簡単にクリアできるようになっちゃった」
あおい「サクセスもマイライフも……」
あおい「……」
あおい「なんだろう。これだけ上達しちゃったら、達成感がないというか……」
あおい「少し下手ぐらいが丁度よかったかもしれない」
あおい「んー。しばらくゲーム断ちしよっと」
あおい(1週間ぐらいやらなかったら腕も鈍るだろうしね)
あおい「よーしっ!決定!!がんばって、へたくそになろー」
あおい「簡単すぎるってつまならいしね、うん」
あおい(でも、下手すぎるのも辛いけど……)
あおい(ゲームみたいに男の子に負けないぐらいもっと上手くなれていたら、ボクやみずきちゃんも高校野球を……)
あおい「……寝よう」
あおい「おやすみ」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:11:49.94 ID:YohLo3Xm0
―翌日 学校―
あおい「……いい天気」
矢部「早川さん」
あおい「矢部くん。名前で呼んでくれていいよ?」
矢部「リベンジでやんす!!」バーンッ
あおい「リベンジ?」
矢部「そうでやんす!!そして、これは男のケジメでもあるでやんす!!!」
あおい「ごめん。ボク、ゲームは持ってきてないし、あれは借り物だったからもう外で対戦はできないんだ」
矢部「やんす……?そんなぁ……」
あおい「そ、そんなに対戦したいならボクの家に来る?」
矢部「は、早川さんの家に……!?」
あおい「うん。今度の日曜日にでも。ボクの後輩も来るけど、それでもよかったら」
矢部「後輩って、女の子でやんすか?」
あおい「うん。やっぱり、嫌?」
矢部「……いくでやんす」ニヤッ
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:18:27.69 ID:YohLo3Xm0
―日曜日―
矢部「……」
聖「六道聖だ。矢部先輩と呼んだほうがいいだろうか?」
矢部「よろしくでやんす」
みずき「どーも。あおいさんの愛弟子、橘みずきでーす」
矢部「どうもでやんす」
あおい「ごめんね、二人とも。矢部くんがどうしてもって言うから」
聖「矢部先輩もゲームの実力が相当だと聞いたが」
矢部「まぁ。オイラに勝てるやつはこの町内では早川さんだけでやんす」
みずき「あおいさんと互角……」
聖「ほう……。楽しめそうだ」
あおい「それじゃあ、4人いるしリーグモードで遊ぶ?」
みずき「さんせーでーす」
聖「異論はない」
矢部(ぐふふ……。ここで真矢部となったオイラの実力を見せ付ければ、あおいちゃんだけでなく、聖ちゃんとみずきちゃんまで、オイラの虜になるでやんすね……!!)
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:26:56.77 ID:YohLo3Xm0
<ノーヒットノーラン達成ー!!!
矢部「……」
あおい「あはは。ごめん。ノーヒットノーランになっちゃったね」
聖「矢部先輩……」
みずき「全敗じゃん。あおいさん、この人まるで相手にならないですけど?口だけですか?」
聖「みずきっ!失礼だぞ!真実はときとして心を抉る」
あおい「矢部くん、手加減してくれたから――」
矢部「かえるでやんすぅー!!!!」ダダダダッ
あおい「やべくーん!」
矢部「オイラはもうあおいちゃんの彼氏にはふさわしくないでやんすぅー!!!!」
聖「なぁー!?」
みずき「あおいさん、マジですか?」
あおい「ないない!!どうして矢部くんなんかと!!」
矢部「女の子は強すぎるでやんすぅー!!!!」
あおい「こらー!!勝手なこというなぁー!!!」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:33:55.86 ID:YohLo3Xm0
あおい「全くもう……」
聖「驚いたぞ。だが、これでいつもの三人に戻ったな」
みずき「そーだね」
聖「いつまでこうしていられるか分からないが、私は今を楽しみたい」
みずき「急にどうしたの?」
聖「いや、先輩に恋人が出来てしまったら、こうして日曜日に会うことは難しくなるだろうと思った。矢部先輩の発言で」
あおい「聖ちゃん」
聖「無論、みずき……はできるかどうかわからないが」
みずき「なんですって……?」
聖「その性格が直らない限り、難しいだろうな」
みずき「私のダーリンはきちんと現れる!!」
聖「財力と権力で買うのか?」
あおい「はいはい。おやつ食べたらもう一回、やろっか。矢部くんは帰ったから、今度はいつも通り3人でね」
みずき・聖「「おー」」
END
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:37:39.28 ID:JL1PgPzai
おつ
久しぶりにサクセスしてくるか
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:37:53.23 ID:gJYhFMRP0
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/06/12(水) 19:41:42.01 ID:oya2Huir0
乙
おもしろかった
転載元
あおい「見て見て!シーズン奪三振数403だよ!」みずき「……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371010640/
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検討してみます。
「俺達の戦いはこれからだ」で終わらせていいから
テーマ的に、あおいちゃんとみずきちゃんが戦わないといかんだろ。
でもそうするとみずきが拗ねるからあおいは適度に負けるようになったってことでしょ
というよりPS3から顰蹙査定減ってる気がする