1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 00:42:48.23 ID:/oRIMzU50
P「ほら」
ジャラ…
冬馬「これは……」
P「都内の○○ホテルのキーだ」
冬馬「ホテル、って……」
P「言いたいことはわかるな?」
冬馬「……」
冬馬「ああ……」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 00:44:59.93 ID:/oRIMzU50
その夜――都内某ホテルにて
ガチャ
冬馬「……」
P「やあ。随分はやかったな」
冬馬「ふんっ! 仕事がねーからな……」
P「そうかい」
冬馬「くそったれ……」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 00:49:12.23 ID:/oRIMzU50
カラン…
冬馬「酒くせぇ……」
P「冬馬も一杯どうだ?」
冬馬「俺はまだ未成年だ」
P「ふうん。最近の若者にしては、意外とちゃんとしてるんだな」
冬馬「ははっ! アイドルはイメージがすべてだからな。当然、だぜ!」
P「ま、そのアイドルもこんなことしてるって知られたら、ファンの皆からどう思うかわかったもんじゃないけどな」
冬馬「……」
P「ふふ……そんな顔をするなよ」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 00:57:45.51 ID:/oRIMzU50
冬馬「……あんたがこんなプロデューサーだったなんてな」
P「こんな、って?」
冬馬「言わなくてもわかんだろ? そうやって、おたくのところのアイドルも仕事を貰ってたってわけだ」
冬馬「表向きは綺麗な顔で笑顔振りまいてるが、その裏ではこんなことになってたんだな」
冬馬「黒井のオッサンの言ってたことは、あながち間違いじゃなかったみたいだぜ……けっ」
P「……ふふ。饒舌だな」カラン…
ゴク、ゴク
P「……冬馬」
冬馬「んだよッ!!」
P「お前、童貞だろ」
冬馬「!? ど、どど、童貞じゃねーよ!!!」
P「どっちでもいいけどな……。まぁ一言言っておくなら、あれだ」
冬馬「なんだってんだ……」
P「あの子達は一切、こういうことをしていないし、させてもいない」
冬馬「なんだと……!?」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 00:59:30.32 ID:RjjKz3W+0
なんだこれ……
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:05:57.83 ID:/oRIMzU50
P「あの子達がトップアイドルになれたのは、ひとえにあの子達の才能が、努力によって開花したからさ」
冬馬「……」
P「お前達ジュピターと違ってな」
冬馬「テメェ!」ガシッ
P「はは……そう熱くなるなよ」
冬馬「バカにするのもいい加減にしろ……! ホラ吹いてんじゃねえぞ!」ギリギリ…
P「……信じられないって言うのか?」
冬馬「当たり前だッ!!」
P「それじゃあ、ひとりひとりに聞いてみるといい。もしくは自分の力で確認すればいい。男性経験の有無をさ」
冬馬「……んなこと……」
P「まぁ、あの子達に手を出すっていうなら、こちらとしても当然それなりの対処はさせてもらうけどな」
冬馬「くそっ……!」
P「俺は765プロのプロデューサーだ。あの子達を守る義務があるし、みんな例外なく娘のように愛している」
冬馬「……っ」
P「……まあ、ゆっくりやろうじゃないか。夜は長い」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:06:09.64 ID:gZMo3Q2a0
…ゴクリ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:08:54.00 ID:dRb6SA/Y0
そうだな…夜はこれからだもんな…
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:11:58.62 ID:/DPnsZNX0
アーッ
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:15:13.40 ID:/oRIMzU50
冬馬「……フンッ」バッ
P「納得してくれたか?」
冬馬「べつに……めんどくさくなっただけだ」
P「へえ……ああそうだ。アルコールはNGだとしたって、ジュースならあるぞ」
冬馬「いらねぇよ……」
P「イチゴオレだってある」
冬馬「……なあ。さっきから、俺のことバカにしてんのか?」
P「そんなことはないさ。ただ単純な事実として、お前のことはよく知っているだけだ」
冬馬「な……!?」
P「好きだろ? イチゴオレ。……遠慮するなよ」
冬馬「……あんたって本当、何考えてるかわかんねーよ」
P「難しいことなんて、何も考えてないさ。どうしたらアイドルが喜んでくれるか、笑顔になるか……それだけだ」
冬馬「……」
P「……」
冬馬「…………一杯だけもらっておいてやる」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:22:05.56 ID:/oRIMzU50
P「それじゃあ、改めて……」
スッ
P「乾杯」
冬馬「……フン」
P「おや、つれないな」
冬馬「……」
ごく、ごくごく……
冬馬「……ぷは。……馴れ合いなんて、ゴメンだぜ」
P「あのとき――ああ、いつだったかな……」
冬馬「ああ?」
P「ああ、そうだ……俺がハリウッドに行く直前だ。冬馬、海でこんなこと言ってたじゃないか」
『俺たちに足りないものを教えてもらえた……そこんとこ、感謝してるから』
P「ってさ。つまり、仲間同士での……お前のような言い方をするなら、馴れ合いについて、理解してくれたんだろ?」
冬馬「……それとこれとは話がちげぇ」
P「違わないさ。すべてはこういう、ちょっとした触れあいから、絆は育まれていくんだ」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:29:58.96 ID:/oRIMzU50
P「さて……」ガタッ
冬馬「!」ビクッ
P「おいおい……そんなに縮こまるなよ。急に襲ってくるとでも思ったのか?」
冬馬「べ、べつに……そんなんじゃねーよ!」
P「氷が切れたから、取りにいくだけさ」
冬馬「……」
P「俺はまだ酔いも浅い。冬馬が付き合ってくれないなら、もうしばらくはひとりで飲んでるつもりだ」
冬馬「……んなことしてねぇで、もうさっさとヤって終わらせちまおうぜ」
P「これだから童貞は……」
冬馬「だ、だから! どどどど、童貞じゃねーよ!」
P「そう焦るな。こういうのはさ、ムードを大切にしたいんだよ」
冬馬「ムードもへったくれもねぇ……! 男同士じゃねえか!!」
P「それがどうした? それがわかってなお、お前はここにいるんだろ?」
冬馬「……」
P「先にシャワー浴びて来いよ。冬馬だって、汚いままじゃ嫌だろう?」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:39:50.82 ID:/oRIMzU50
――シャワールームにて
冬馬「……」
キュ、キュ……
ザァァー……
冬馬「……っ……」
冬馬(――黒井のオッサンに拾われて、961プロダクションに所属しアイドルアカデミー大賞に挑んだあの年から、二年が経った)
冬馬(俺、北斗、翔太で構成される最強のユニット、ジュピターは……負けた)
冬馬(あれだけ弱小だ、裏で卑怯なマネをしている小手先だけの事務所だ、と言われていた……765プロに負けたんだ)
冬馬(はんっ……何が最強だ。何がヒーローだ……!)
冬馬(結局は、すべて黒井のおっさんの戯言。そして俺たちは……何も残せなかったじゃねえか……!)
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:42:41.90 ID:NgSvz57gO
なんだこれ面白いぞ
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:47:25.49 ID:/oRIMzU50
冬馬(……だが、あいつらの実力は確かに本物だった)
冬馬(そして、無名だったアイドル達をあそこまで育てあげたあの男……765のプロデューサー)
冬馬(俺は、俺なりに……評価していたんだ)
冬馬(だからしばらくして、俺は別の事務所でアイドルに復帰した)
冬馬(アイツがそうするといい、って言ってくれたから……しかし、現実はそう甘くはなかった)
冬馬(今の日本は、女のアイドルの時代。765プロ、876プロ……ほかにも、まだまだ沢山の事務所がある)
冬馬(俺は改めて……黒井社長のプロデュース、セールスの腕前に感服せざるを得なかった)
冬馬(……それでも、俺はかつて見た夢を忘れられず――そして、ついに今日……)
冬馬「……っ」
ポタッ ポタッ……
冬馬「くそっ……くそっ、くそっ……!」
冬馬「……俺は……俺はァ……!」
ポロポロ……
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:53:10.41 ID:Yu1bbFOw0
あまとう…
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 01:57:32.01 ID:/oRIMzU50
ガララッ
冬馬「……」
P「おお、冬馬……ふふ、綺麗になったか?」
冬馬「……てめぇはより一層汚くなってるけどな。さっきよりもっともっと酒くせぇ……」
P「まあそう言うなよ。その汚い俺にこれからお前は抱かれるんだぞ?」
冬馬「お、お前もシャワーを浴びろよっ! そのままヤるつもりかっ!?」
P「うん? 嫌だったか?」
冬馬「当たり前だ……! 誰が好き好んで、酒くせえおっさんとなんか……!」
P「おっさんと呼ばれる年でもないんだけどな……」
P「それに、程度の差はあれど――俺の体が綺麗だろうと汚かろうと、やることは変わらないだろ?」
冬馬「……っ」
P「やることも、得るものも、失うものも……結果で見れば、同じだ。違うか?」
冬馬「……うるせぇ」
P「ふふ……」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:01:00.42 ID:/oRIMzU50
P「まぁ……俺としても、相手に喜んでもらえる方がいいからな」
冬馬「喜ぶわけねぇだろうが……!」
P「いちいちつっかかる男だな、お前は」
冬馬「……」ギリッ
P「……わかったわかった。それじゃあ冬馬の言う通り、シャワーを浴びてくるよ」
冬馬「……あぁ、そうしてくれっ……!」
P「さて……」
スック
冬馬「……」
P「……」テクテク
ガシッ
冬馬「!?」
冬馬「……――!!?」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:04:56.97 ID:/oRIMzU50
バッ
冬馬「……ぷはぁ……!」
P「おっと……」
冬馬「て、てめぇ……い、いい、今、何しやがった!!?」
P「何って……キスだけど」
冬馬「……っ!!!」
P「なんだ、そんな顔して。これからやることを考えたら、キスくらいどうってことないだろ?」
冬馬「……もう、行けよ!! さっさと風呂場にいっちまえっ!!」
P「ああ、わかったわかった」
テクテク
冬馬「……」
冬馬「くそっ!!」ガンッ
冬馬「……くそっくそっくそくそ! な、なんなんだ……なんなんだアイツはよぉ!!」
冬馬「ファーストキッスは、酒の味かよ……!」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:13:44.83 ID:/oRIMzU50
冬馬「……」
ポスン
冬馬「ちくしょう……!」
ポロ…ポロ…
冬馬「……今思えば……あの頃は、楽しかった」
冬馬「翔太、北斗……あいつらは、いつも俺をバカにして、からかってきたが……」
冬馬「それでも、一本筋の通った……やるときはやる、そんな、付き合ってて気持ちの良い奴らだった」
冬馬「黒井社長だってそうだ……あのオッサンは、結果としては俺のことを騙していたことになるけど……」
冬馬「俺のことを可愛がってくれた、一流の実力を持つまで育てあげてくれた……」
冬馬「今の俺の歌やダンスの実力だって、黒井社長がいなければ、ここまでにはならなかったんだよな……」
冬馬「感謝してもしきれねぇ……」
冬馬「それが、今やこんな有様だ……へっ。思えば、遠くに来ちまったもんだぜ……」
ポロポロ……
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:20:01.46 ID:/oRIMzU50
冬馬(……もう、辞めちまうか……アイドルなんて)
冬馬(こんなことまでして、仕事をもらって……なんになるってんだ)
冬馬(こうやって得た仕事で、俺は……今でも応援してくれる数少ないファン達の前で、笑顔でいられるのか……?)
冬馬「……」
冬馬「……今なら、逃げられる、よな……」
スック
テクテク
冬馬「……」
スッ ガチャ……
冬馬(このドアノブをまわして、この暗い部屋から出て……)
冬馬(もう俺は、普通の男の子に戻るんだ……)
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:27:25.66 ID:/oRIMzU50
冬馬「……」
ドクン…… ドクン……
――――――――――――――
みんなー! ありがとうー!
――――――――――――――
冬馬「……っ」
――――――――――――――――――――――――――――――――
今日は俺達のステージにみんなが駆けつけてくれて、本当に嬉しいぜ!
精一杯歌うから、最後まで目を離さず付き合ってくれよな!
ワァァァ……! キャーキャー!
――――――――――――――――――――――――――――――――
冬馬「やめろ……やめろ……!」
冬馬「今更あの時のことを思い出して、なんになる……!」
冬馬「大体、あの頃の俺は……ファンの女共なんか、これっぽっちも大切に思っていなかっただろ……!」
冬馬「すべては、ファンを喜ばせるためのパフォーマンスだった……だから、だからもう……」
冬馬「やめてくれぇ……!!」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:36:12.43 ID:/oRIMzU50
ガララッ
P「……おや」
冬馬「……」
P「逃げなかったんだな。そうなることも考えていたけど」
冬馬「……っ……。そんな、臆病者じゃないぜ」
P「……ふっ、ふふ……」
冬馬「何がおかしいってんだ……!?」
P「いや……冬馬の今の顔がさ……」
冬馬「てめぇっ、またバカにしてんのか!?」
ガタッ
P「違う、違うって。……良い顔をしてる、って思ったんだよ」
冬馬「はぁ……?」
P「アイドルの顔をしている。ファンのことを大切に思っている、立派なアイドルの顔だ……」
冬馬「……っ」
P「俺くらいの経験を積むと、そのことが表情でわかるのさ。それが嬉しくて、ついな……ふふ」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 02:48:23.75 ID:+WL69Fxj0
支援するしかないピヨ
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:02:16.39 ID:/oRIMzU50
P「それじゃあ……」
冬馬「……」
冬馬「……――ぷは」
P「もう、キスは嫌がらないのか?」
冬馬「……んなこと、どうでもいいだろ」
P「唇、ちゃんとケアしてるみたいだな。アイドルとして見た目にも気を遣っているようだ」
冬馬「うるせぇ、余計なおs……――!?」
ちゅる、ちゅる、つぷぷ……
冬馬「――! ……――!」
冬馬(い、いきなり……くそっ)
冬馬(くそっくそっちくしょう……何も考えられねぇ……!)
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:05:46.90 ID:/oRIMzU50
P「……良い唇だ。もっと舐めたくなるよ」
冬馬「……あ、あ、あ……」
P「もっと、もっと味わらせてくれ。唇も、舌も……お前のすべてを」
冬馬「し、舌……?」
P「ああ」
……――じゅる、じゅるうるる
冬馬「……!!!!」
ずぬり……
冬馬「……っ!」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:09:22.40 ID:/oRIMzU50
ちゅぷ、ちゅぷぷ……
P「……息が苦しいんだったら、鼻で呼吸すればいいんだぞ」
冬馬「……あ、あ……」
P「さて。続きだ……」
冬馬「……っ」
じゅるり じゅるるん
冬馬(――酒くせぇ)
冬馬(それに、ザラザラして気持ちわりぃ)
冬馬(こいつの舌、なんでこんなに伸びるんだ? 俺の口の中で、暴れているみたいだ……)
冬馬(ああ――吐き気がする)
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:14:53.95 ID:dRb6SA/Y0
さあ!夜の帳は下りたままだ!
私にもっと人の深淵を覗かせてくれピヨ!
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:15:27.60 ID:/oRIMzU50
冬馬(どうして……)
冬馬(どうしてどうしてどうして)
冬馬(こんなことになっちまったんだ)
冬馬(あのとき、あのフェスで負けたから?)
冬馬(こいつが俺に、ホテルの鍵を渡したから?)
冬馬(……違う……)
冬馬(これは、俺のせいだ)
冬馬(いや……それも、正確には違う。俺のせい、っていう言い方は違う)
冬馬(これは……)
冬馬(俺が、いつの間にか、また夢を見てしまったからなんだ)
冬馬(あの頃みたいに、ファンの皆の前に立てると思って……熱くなっちまったからなんだ)
冬馬(だから、こうなったことはすべて――)
冬馬(この俺自身が、望んだことなんだ)
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:17:33.25 ID:9EBht+qMO
天井の染みを数えるだけの簡単なお仕事
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:22:25.76 ID:/oRIMzU50
P「……冬馬。ベッドに来い」
冬馬「……ああ」
P「初めてだろ? 優しくしてやるからな」
冬馬「……ああ」
P「……冬馬?」
冬馬「んだよ……さっきからベラベラと……」
P「いや……」
冬馬「さっさとヤっちまおうぜ。はやく帰りてぇし」
P「へえ……随分、素直になったな?」
冬馬「ははっ! 当然、だろ?」
冬馬「俺はアイドルだからな」
冬馬「これは、アイドルとしてもっと輝くために必要な……俺なりの、営業なんだ」
冬馬「それになにより……」
冬馬「すべて――俺が望んだことなんだからよ」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:27:04.38 ID:/oRIMzU50
―――
――
―
P「……ふぅ」
冬馬「……はぁっ、はぁ……」
P「ありがとう、満足させてもらったよ。初物を味わえるなんて、ついてたな」
冬馬「クッソ野郎が……!」
P「はは、また元気を取り戻したみたいだな」
冬馬「……もう……帰っていいんだろ?」
P「ああ。シャワー浴びて行ったらどうだ?」
冬馬「……いらねぇ。さっさと寝たいんだ」
P「そうかい」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:33:21.76 ID:/oRIMzU50
P「あ、でもその前に……」
冬馬「……なんだよ、まだなんかあるってのか?」
P「連絡先を教えてくれ。今日会ったのはたまたまだったからな」
冬馬「は? んなもん、教えるわけねぇだろうが!」
P「おいおい、忘れたのか? これから仕事、するんだろ」
冬馬「……」
P「これからお前に斡旋する仕事は、俺自身が企画に大きく携わってるんだよ」
P「事務所にはいどうぞ、って連絡してそれで終わりじゃないんだ。冬馬とも連絡を取り合う必要がある」
冬馬「……それだけだろうな」
P「もちろん。仕事上の連絡、ただそれだけにしか使わない」
冬馬「……」
P「ま、冬馬が俺と個人的な連絡を取り合いたいなら、また話は別だけどな」
冬馬「……クソ野郎。んなこと、望むわけないだろうが……」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:37:30.49 ID:/oRIMzU50
――ホテルの外にて
ブォォ……
冬馬「ううぅ……さみぃ。もう冬も本番だな……」
ズキッ
冬馬「……痛っ。くそ……」
冬馬「あの野郎……太すぎるんだよ……」
冬馬(……だりぃな。もう……体が重すぎる)
冬馬(いつもなら電車で帰るとこだが……タクシー、使っちまうか)
冬馬(これから仕事も入ってくるようだしな……)
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:42:14.00 ID:/oRIMzU50
――天ヶ瀬家
ガチャ
冬馬「……ただいま」
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬(……もう、寝ちまおう)
冬馬(日課のフィギュア撮影も……それをブログにアップするのも……)
冬馬(今日は中止だ……もう、疲れた)
冬馬(疲れた疲れた疲れすぎた……)
冬馬(腰も、ケツの穴も、腕の筋肉も……全部、ズタボロだ)
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:49:04.12 ID:/oRIMzU50
ポスンッ
冬馬「……」
……―― ぐちゅ ぐちゅちゅ ――……
冬馬「……――!!」
冬馬「……う、うぅ……!」
ポロポロ……
冬馬「あぁあああアアアぁああ――――」
冬馬(黙っていると、あの音が耳に蘇ってきてしまうから……俺は、大声で泣いた)
冬馬(それでも、泣き声が近所迷惑になるから)
冬馬(空気に触れていると、あの顔が思い出されてしまうから)
冬馬(俺は、布団を全身に包んで顔まで隠し……引き裂けそうなくらいに、強く枕を抱きしめて)
冬馬(そして――眠りについた)
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 03:56:02.61 ID:/oRIMzU50
――数週間後
ピピピ
冬馬「……あ? メール……?」
ピッ
冬馬「……!」
冬馬(アイツからそのメールが来たのは、あれから数週間が経過したあとだった)
冬馬(待ちに待った、この報せ……そうだ、仕事の話だ)
冬馬(そのとき俺はローソンでバイトの休憩中だったが……)
冬馬(名誉店長に頼み込んで、少しばかりあがりを早くしてもらい……アイツに連絡を取った)
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:04:41.11 ID:/oRIMzU50
冬馬(アイツの話によると、こうだ)
冬馬(二週間後。CMの仕事。大手食品メーカーとのタイアップ……)
冬馬(あまりその業界には詳しくない俺でも、毎日テレビで目にするくらいの、大手企業……)
冬馬(今俺が所属している事務所では考えられないくらいの……久しぶりの、大きな仕事だった)
冬馬(――内心、疑っていたんだ)
冬馬(本当に仕事を斡旋してくれるのか?)
冬馬(もしそうなったとしても、変な仕事だったり、チャチな仕事なんじゃないかって)
冬馬(しかし……アイツの口ぶりからすると、どうやら嘘ではなかったようだ)
ピッ……
冬馬「……」
冬馬「……ははっ……はは、はは……!」
冬馬「マジかよ……ほ、本当に……本当に、仕事が入ってきやがった」
冬馬「スゲェ……やっぱアイツ、スゲェよ……!」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:14:56.21 ID:/oRIMzU50
――二週間後 都内某所にて
P「久しぶり、冬馬」
冬馬「おう!」
P「はは、元気そうじゃないか」
冬馬「トーゼン! アイドルは笑顔がすべて、だからな!」
P「いいぞ、その調子だ! 今日一日は俺がお前のプロデューサーということになるが、よろしく頼むな」
冬馬「へっ! しかたねーから、我慢してやるぜ」
冬馬(この件について、俺の事務所には、コイツから話をしてくれていたらしい)
冬馬(事務所内では当初は当然、騒然となったが……)
冬馬(社長も、同僚も……しばらくすると、ごく当たり前のように振舞ってくれるようになった)
冬馬(――正直、俺としても、コイツとは二度と顔を合わせたくないと思っていたけれど)
冬馬(そこは、俺だってプロだ。仕事は仕事、割り切ってみせる)
冬馬(これから、俺が再びあの舞台に立てると思えば、これくらいのこと――どうってことはないぜ)
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:23:58.01 ID:/oRIMzU50
―――
――
―
P「お疲れ、冬馬」
冬馬「ああ」
P「驚いたよ、ばっちりじゃないか。俺の指示なんて、ほとんど必要なかったな」
冬馬「はは! 俺だって、これまでただ遊んできたわけじゃないぜ。仕事さえ入ってくれば、これくらいはな!」
P「きっと良いCMになるし、話題も呼ぶだろう。なんたって、あの天ヶ瀬冬馬がブーメランパンツ穿いてイチゴババロアを」
冬馬「だぁー! そ、それについては触れるんじゃねぇっ!」
P「あはは……」
冬馬(CM撮影は、滞りなく終わった)
冬馬(俺も久しぶりの仕事で、張り切っていたんだろう。舞い上がっていたんだろう)
冬馬(あの夜のことなんて、頭からすっぽりと抜けて――いつの間にか、コイツと普通に、言葉を交わすようになっていたんだ)
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:30:30.79 ID:/oRIMzU50
P「……ま、何はともあれ……これで本当に、終わりってことで」
冬馬「そうだな。世話になったよ」
P「いいさ。俺だって、相応の対価はお前に貰ったしな」
冬馬「……」
P「……このCMが話題になれば、冬馬の名前も、冬馬の事務所の名前も売れるだろう」
P「これからはきっと、多くの仕事が入ってくるようになるさ。そうすればいつかまた、ステージに立てる日も来る。頑張れよ」
冬馬「……ああ」
P「それじゃあ」
冬馬「……なあ!」
P「ん?」
冬馬「……っ!」
ゾクリ……
P「どうした、冬馬……」
冬馬「……いや、なんでもねぇ」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:33:38.86 ID:cnm965f90
いちごいちえいちごもよう
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:36:49.41 ID:/oRIMzU50
冬馬「……」
冬馬「俺はいま……」
冬馬「俺はいま、アイツに何をしようとしたんだ……?」
冬馬「……何を、頼もうとしたんだ……?」
冬馬「もう……これっきり、だっていうのに……」
冬馬(なあ、と呼びかけて……振り返ったときの、アイツのあの顔……)
冬馬(なんというか、俺の心をすべて見通しているかのようで……恐ろしかった)
冬馬(――いや、違う)
冬馬(俺が本当に恐怖したのは……そこじゃない)
冬馬(あの目は……)
冬馬(今のアイツの目は……あの夜のアイツみたいだった……)
冬馬(だから俺は、思い出してしまったんだ。暴れまわる獣のような……)
冬馬(俺のことを深く貫いた、あの男のモノを――)
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 04:57:46.60 ID:GtMJ7IqU0
ピヨちゃんなんてもん書いてんのよ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:00:17.60 ID:GKIt+e7g0
関係ないけど小鳥さんはテイルズとか萌えの入ったRPGより
アサクリとかダクソみたいな硬派なやつやってそう
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:00:24.73 ID:/oRIMzU50
――数ヵ月後 都内スタジオにて
スタッフ「おつかれさまでーす」
冬馬「お疲れ様っす! ありがとうございました、またお願いしますっ!」
冬馬「さて、と……」
冬馬「今日は何を食うかな。少し贅沢して、ロイヤルホストでも……」
冬馬「――いや、ダメだダメだ。まだまだ安定してないんだから、節約しねぇとな!」
冬馬「武器屋から新作フィギュアも出るっていうし……ったく、財布が軽くなっちまうぜ」
冬馬(あれから約二ヶ月……)
冬馬(アイツの言っていたとおり、俺の事務所にはそれまででは考えられないくらい、多くの仕事の依頼がきた)
冬馬(すべて、俺に対するオファー……それを出来るだけ、俺は拾っていっていた)
冬馬(とはいえ、まだ安心してはいけない。どれもが小さい仕事だ。765や876には、到底及ばない……)
冬馬(これからもがんばらねぇとな!)
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:07:13.96 ID:/oRIMzU50
ピロピロピロン
イラッシャーセー
冬馬「さて……豚丼豚丼……」
冬馬「ははっ! トーゼン、大盛りだぜっ!」ピッ
冬馬「って……よく考えたら」
冬馬(金がねぇ……しまった、金をおろすのを忘れてたんだ)
冬馬(大盛りどころか、並盛りも買えねぇじゃねーか!)
後ろの人「……」ジー
冬馬「あっ、すっ、すんません……今どきますんで……」
冬馬(カッコわりぃ……これがアイドルの姿かよ)
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:13:44.65 ID:/oRIMzU50
ブォォー……
冬馬「……なんてこった、マジかよ」
冬馬「食い物がねぇ……美味い棒くらいしか買えねぇ……金をおろすにも、この時間じゃコンビニしかないときた」
冬馬「コンビニじゃ手数料もかかっちまうし……」
冬馬「……」
ぐ~
冬馬「八方塞がりだ……!」
ブロロロ……キキッ
ガチャ……
??「……冬馬! ははっ、やっぱり冬馬じゃないか!」
冬馬「え……あ、お、お前はっ!?」
北斗「久しぶりだな! 俺のこと覚えてるか? ほら、一緒にアイドルやってた、伊集院北斗だよ!」
冬馬「ほ、北斗……!」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:22:42.31 ID:/oRIMzU50
―――
――
―
北斗「……なるほど。そういうことがあったんだね」
冬馬「ああっ! モグモグ……しかし、わりぃな。飯奢ってもらっちまってよ」
北斗「ああ、いいんだよ。久しぶりに再会した親友が腹を空かして倒れそうになってるのを、見過ごせるわけないだろ?」
冬馬「し、親友だぁ!?」
北斗「おや? 違ったかな。少なくとも俺は、ジュピターでの活動は悪くなかったんだけど」
冬馬「……」
北斗「冬馬? どうした?」
冬馬「……いや。なんでもねぇ……」
冬馬(最近の俺は、昔のことをよく思い出す。961プロでジュピターをやっていた頃のことだ)
冬馬(だから――北斗のこの一言が、正直に言って、嬉しかったんだ)
冬馬(ああ、こいつも……俺と同じ気持ちだったんだ、と思って)
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:29:57.03 ID:/oRIMzU50
冬馬「でも、いいのか? 車に乗ってたあの女……今ひとりだろ」
北斗「ああ、彼女? 彼女はね、そういうプレイが好きなんだよ」
冬馬「……プレイ?」
北斗「ほっとかれるってやつ。そして俺は、君を放っておけなかった。だからこれはさ、ウィンウィンの関係なんだ」
冬馬「な、何言ってるかわかんねぇが……まあ、サンキューな」
北斗「……それにしても冬馬、最近すごいじゃないか」
冬馬「何がだよ」
北斗「CMだよ。テレビで見たときは驚いた。まだアイドル、続けてたんだな」
冬馬「……まぁな。そういうお前は、今何やってんだ?」
北斗「俺? 俺はね……毎晩、可愛い女の子とお酒を飲んで楽しくお喋りするだけの、簡単で素敵なお仕事をしているよ」
冬馬「……それって、ホストってやつじゃねえか」
北斗「まぁ、そうともいうね。元のサヤに戻った、って感じかな?」
冬馬「はは……お前らしいな」
北斗「天職さ。ま、もちろん、アイドルも悪くなかったけどね」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:38:48.97 ID:/oRIMzU50
冬馬「翔太は今何やってるか知ってるか?」
北斗「さあ? まあでも、元気でやってるみたいだよ」
冬馬「連絡は?」
北斗「取ってない。だけど、こういう仕事をしてると、どうしても噂話は耳に入るからね」
冬馬「ホストクラブで噂されるようなことやってんのかよ、アイツ……」
北斗「はは! ま、昔からヤンチャだったからな。高校生になって、より拍車がかかったみたいだ」
冬馬「……楽しんでやってるんだな」
北斗「ああ。俺も、翔太も……当然、君もね」
冬馬「……」
冬馬(俺も、か……)
冬馬(こいつらの前で堂々と胸張っていられるほど、今の俺は……)
冬馬(昔のように……輝いているのだろうか)
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:42:43.73 ID:/oRIMzU50
北斗「さて、これからどうする?」
冬馬「どうって言われても、家に帰るだけだぜ」
北斗「もし時間があれば、俺の家に来ないか? 実は彼女がさ、たまには複数で、って言うのをやってみたいらしいんだよ」
冬馬「複数? ってーと、つまり……」
冬馬「……」
冬馬「はぁぁああああああ!!!?」
北斗「冬馬、まわりのお客さんが見てるよ」
冬馬「す、すまねぇ……」
北斗「気に入らなかったかな?」
冬馬「いやっおまっ……そ、そそ、そんなことできるわけねぇだろうが!」
北斗「……なあ、冬馬。もしかして、なんだけどさ」
冬馬「んだよ……行かねぇぞ、お前んちは」
北斗「まだ、女性経験はないのかい? チェリーってやつ?」
冬馬「なっ……!」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:47:41.42 ID:/oRIMzU50
冬馬「どっどどど、童貞じゃねぇよ!」
北斗「ははっ! 図星みたいだね!」
冬馬「だからっ……!」
……―― ぐちゅ ぐちゅちゅ ――……
冬馬「……――っ!!」
冬馬(また、あのときの光景が……)
冬馬「……」
ドクン、ドクン……
北斗「……どうした? 気にさわったなら、ごめんよ」
冬馬「いや……、そういうわけじゃねえんだけど」
北斗「……」
冬馬「……とにかく俺は、もう帰る。飯、ごっそさん。助かったぜ」
北斗「ああ……」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:54:57.32 ID:/oRIMzU50
北斗「冬馬」
冬馬「あん?」
北斗「……さっき言ったこと、忘れないでくれよ」
冬馬「さっきって……」
北斗「親友が困っているのは、見過ごせない。何かあったら、俺は相談に乗るからな」
冬馬「……へっ! ありがとよ。でもそんな心配は必要ねーぜ!」
北斗「そうか……」
冬馬「ああ。なんたって俺は……自分で望んで、今の場所に立ってるんだからよ」
北斗「……君は、昔からそうだね」
冬馬「何がだよ」
北斗「ひとりで抱え込みすぎているんだ。少しはまわりにも助けを求めたって、バチは当たらないよ」
冬馬「……ははっ。大丈夫だっつってんだろ? お前こそ、人の心配するより、胃の心配しとけよ」
北斗「あははっ! たしかに、そうかもね」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:57:43.38 ID:EAgCLZFD0
朝から濃厚なホモスレとはたまげたなあ・・・
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 05:58:53.07 ID:qobBbQmA0
こんな朝からなんてものを・・・ふぅ
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:00:08.26 ID:/oRIMzU50
冬馬「まあ、そのうち……飲みにでも行こうぜ」
北斗「おや? まだ未成年じゃなかったか?」
冬馬「ついこないだ、ひとりで二十歳の誕生日を迎えたんだよ……」
北斗「はは……そいつは野暮なことを聞いちゃったね」
冬馬「それじゃあ、またな」
北斗「ああ。連絡待ってるよ。飲みに行くのも楽しみにしてる」
冬馬「……ああ」
北斗「それじゃあ、また再会できるその日まで……チャオ☆」
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:05:44.59 ID:0XVOuvkI0
真面目なホモSSなど始めて見たわ
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:10:22.78 ID:/oRIMzU50
――天ヶ瀬家
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬(北斗、翔太……)
冬馬(あんなことがあったから、今日は余計に、はっきりと思い出しちまうな)
冬馬「……っ」
冬馬(もう、昔のことだ……今の俺は、今の俺)
冬馬(961プロの天ヶ瀬冬馬でも、ジュピターのリーダーの天ヶ瀬冬馬でもない)
冬馬(ただの……本当に弱小な事務所の、天ヶ瀬冬馬なんだ)
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:17:13.93 ID:/oRIMzU50
パシャ パシャ……
冬馬「セイバー……ああ、セイバー」
パシャ パシャパシャ
冬馬「お前は今日も凛々しく美しいな……」
冬馬「ウフフ……こうしてお前を撮っているときが、一番心安らぐぜ……」
冬馬「余計なことなんて、何も――」
……―― 挿入れる(いれる)ぞ、冬馬 ――……
冬馬「……――っ!」
……―― 仕事が入った。あの食品メーカーのCMで ――……
冬馬「……くそっ」
冬馬「……さっさとブログにアップして、寝ちまおう……」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:26:20.32 ID:/oRIMzU50
冬馬(……俺は……)
冬馬(俺……もっと、がんばらないと……)
冬馬(あいつらに、今度会った時は……堂々と、胸をはっていられるように……)
冬馬(トップアイドルの天ヶ瀬冬馬だぜ、って言えるように……)
冬馬(――仕事)
冬馬(そうだ……もっと、仕事が欲しい)
冬馬(今みたいな、小さい仕事じゃダメだ。もちろん、そういう積み重ねも必要だけど――)
冬馬(……このペースではもう、来年のアイドルアカデミー大賞にも、アイドルアルティメイトにも、間に合わない)
冬馬(もっとだ)
冬馬(もっと大きな仕事をしないと……あの頃の、俺のような)
冬馬(今の765プロがやっているような……大きな仕事が……)
冬馬(……でも俺は、そのために……どうしたらいいんだろう――)
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:34:54.37 ID:/oRIMzU50
――数日後 冬馬の所属する事務所にて
冬馬「……なんでだよっ! 社長!」
バンッ
冬馬「だから、俺の言う通りにすれば……」
冬馬「待てっ……い、いや、待ってくださいっ! 話を聞いてくださいっ! 話を……あ……」
冬馬(……くそう)
冬馬(くそっくそっ……なんでだ、なんで、俺の意見を聞いてくれない!)
冬馬(金がかかるのはわかってる。でも……そうでもしないと、これ以上大きくは……!)
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:41:23.87 ID:/oRIMzU50
ひそ、ひそ……
冬馬「……」ギロリ
……
冬馬「……フンッ」
冬馬(社長室から出てきた俺のことを、他のアイドル達が指さし、噂している)
冬馬(……わかっていた。わかっていたんだ)
冬馬(あの一件以来、俺だけに多くの仕事が入ってくるようになった……)
冬馬(嫉妬、非難……そんなことが、俺の見ていないところでずっと行われていることを、俺はちゃんと知っていた)
冬馬(……そして)
冬馬(俺にあんな大きな仕事が急に入ってきたことについて、あらぬ噂が立っていることも、俺はちゃんと知っていた)
冬馬(……ま、本当のことだし、めんどーだから……否定もしねぇけど)
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 06:52:01.03 ID:/oRIMzU50
冬馬(正直に言って、薄々限界を感じていた)
冬馬(仕事が入ってくるようになったと言っても、それは細々としたものばかり)
冬馬(まともだと言える仕事の数を時間当たりで曲線にしたら、その傾きはもう、ほぼ水平になっている)
冬馬(セルフプロデュースの限界……)
冬馬(この事務所には、まともなプロデューサーがいない)
冬馬(というか、俺はここに所属して、改めて黒井社長や765のプロデューサー達の能力を思い知らされていた)
冬馬(ここにいるプロデューサーにプロデュースを頼むくらいなら、俺が自分で、自分の足で仕事を取ってくる)
冬馬(それがいいと思っていたんだ)
冬馬(聞けば876プロのアイドル達も、そのようにして――セルフプロデュースで、トップアイドルになったらしい)
冬馬(だから、俺に出来ないはずはないと……あの頃の俺は、そう思っていた)
冬馬(しかし――)
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:05:25.25 ID:/oRIMzU50
冬馬「……もう、潮時か」
冬馬「……」
冬馬(居心地の悪い事務所)
冬馬(無能なプロデューサー。無能な社長)
冬馬(何もかも、灰色のフィルターがかかったように見える)
冬馬(――俺は……随分と変わってしまった)
冬馬(あの頃の俺は、ただひたすらに、ひたむきに努力していて……)
冬馬(そして、あの時アイツらに負けたあとだって……)
冬馬(仲間との団結……。そういうのも、悪くないんじゃないかって、そう思っていた)
冬馬(それなのに……今の俺はなんだ?)
冬馬(全部を全部、まわりのせいにしている。そうだ、自覚しているんだ、こんなことは)
冬馬(だからこそもう……引き返せない。取り戻すんだ、あの頃の俺を)
冬馬(たとえ、どんな手段を使ってでも……!!)
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:11:56.43 ID:/oRIMzU50
P「……へえ」
冬馬「……」
P「久しぶりに連絡してきたと思ったら……再会の挨拶もなしに、いきなりそれか」
冬馬「……いいだろ、んなことは」
P「ははっ。まぁ……お前らしいな。それで、なんだっけ……」
P「仕事が欲しいって?」
冬馬「……ああ」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:14:13.76 ID:4y1b43ny0
枕営業とはたまげたなぁ…
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:15:09.43 ID:/oRIMzU50
冬馬「何がなんでも、大きい仕事がしてぇんだ」
P「……そうか。それじゃあ……」
P「ほら」
ジャラ…
冬馬「……ホテルの、鍵……」
P「言いたいことはわかるな?」
冬馬「……」
冬馬「ああ……」
冬馬「わかってる。わかってるんだ、んなことは」
冬馬「だからよ、さっさとイこうぜ、プロデューサー」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:19:42.12 ID:/oRIMzU50
――顔も見えないほど暗い部屋の中にて
「……なあ」
「ん?」
「俺はさ……トップアイドルになりてぇんだ」
「……そうか」
「あんたなら、きっと出来るって思ってる。だから俺を……プロデュースしてくんねえか」
「お前なら、自分の力でもなれるさ」
「……ダメなんだよ、あんたじゃなきゃ」
「……」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:21:50.29 ID:4y1b43ny0
依存関係ですねこれは…
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:21:57.74 ID:/oRIMzU50
「……お前、変わったな」
「んなこと、とっくに自覚してるぜ」
「……まぁ、そこまで惚れ込まれてるなら……俺としても、やぶさかではない」
「それじゃあ……」
「でもすべては、お前次第だ」
「……」
「どんなことでもする、何がなんでもする、って、言ったよな?」
「……ああ」
「ははっ……そうか、そうか」
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:26:19.84 ID:/oRIMzU50
「それじゃあ、俺のこと……もっと、楽しませてくれるか?」
「トーゼンだぜ。あんた、いつも言ってるもんな」
「ん? いつもって?」
「プロデューサーは、アイドルの一番のファンでなければならないってさ」
「……そうだな」
「俺のこと、もっと夢中にさせてみせる。だからよ……」
「……」
「俺に、もっと仕事をくれ。もっともっと、大きな仕事を……」
「……ああ。いいとも」
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:30:04.04 ID:/oRIMzU50
「だがその前に、だ……」
「わかってる。もう一回、だろ?」
「もう一回どころじゃないぞ」
「……」
「何度でも、何度でも……俺とお前が、尽き果てるまで」
「……そうだな」
――そうだ。
俺は、何度でも……何度でも……体が朽ちるまで
このギルティを……重ねていく。
終
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:33:08.04 ID:GtMJ7IqU0
Pがこんなになったのは春香達にいろいろ酷いことされたからだと妄想してる
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:34:05.82 ID:1ZVEXEBM0
全員食って飽きたから男に走ったのかもしれぬ
まあ乙
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:34:45.89 ID:/oRIMzU50
終わりです。読んでくれた方ありがとう
Pも言ってたけど765の皆は健全なアイドル活動しかしてないからね
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:35:19.24 ID:UkdImEKU0
乙
┌(┌^.o^)┐ピヨォ…
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:38:10.54 ID:PNPWRS0lO
Pがアイドル達に欲情しなかったのはやはりホモだったからか
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:45:38.81 ID:9AM3MtcD0
ギルティ……
乙をはじめよう
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:47:07.31 ID:JwzaUlTf0
\\ > ゛ く
\ >- |/_|ハ ) く ホ す
\レ'|/--‐一──|/ヽ::::::::::::::く れ モ ま
'| j@~ :::::゚},!:::::::::::::::::ヽ っ 以 な
`ヽ、 |_______゚'} :_:::_:::ノ て 外 い
|__,,..‐ ャー--_ニゞレ'|/,rく ば は
``''ー- ゝ、'l  ゙̄´彑,ヾ レ'! ,ヘ.) よ 帰
゙ソ """"´` 〉 L_ ! っ
/ ‐-‐- , /| て r
≡=- 〈´ ,,.._ 二二 't-'゙ | ,へ ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、 ; l \|レ'\|ヽヽr、⌒ヽ'
゙、`--─゙ /! \|、
_,,、- ゙、 ー'' / ; `、
-''"_,,、-''" ゙、 /;;' ,' / 、\
-''" / `ー─''ぐ;;;;' ,' ノ ヽ `ヽ、
// / ヾ_、=ニ゙、、,,_
/// // ,、-'´
// // / /
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:48:28.90 ID:/oRIMzU50
>>103 涼「おちんちんをしゃぶれば新曲を作ってくれるんですね?」
ってSSなら俺です。他の涼ちんの枕は書いたことないな
いつもホモ書いてるわけじゃないよ。
健全なものばかり。今日はたまたま
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 07:50:27.94 ID:9uVrVNru0
乙、これは良いホモ
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 08:16:21.37 ID:Uv5v1jq50
やはりたまたまか
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 08:28:29.04 ID:ECxdvHgt0
たまたま…たまたま…
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/10/16(火) 08:29:11.35 ID:hGHOU86D0
エロ描写ないとか…まぁ乙
転載元
P「仕事が欲しいって? それじゃあ……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350315768/
日本コロムビア (2012-11-28)
売り上げランキング: 22
- 関連記事
-
正にガチホモss
……で、涼ちんと武田さんのSSはどこなのかな?
焼き払って、どうぞ
いや、そこそこ面白かったよ? 面白かったけども!