9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:02:45.90 ID:0UMCOBfm0
傭兵「…なんであんたが殿部隊にいる?」
女騎士「…上からの命令だ。追撃部隊を迎え撃てと」
傭兵「…」
女騎士「…」
傭兵「何か…上に言ったな?」
女騎士「…」
傭兵「そうでなくちゃアンタが残る理由は無いよな。殿は最低限の働きができればいい」
女騎士「…」
傭兵「いなくなったら国の存亡に関わるような人物は普通、残されない。殿はつまり捨て駒だからな」
女騎士「…」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:13:05.73 ID:0UMCOBfm0
傭兵「律儀なもんだねアンタ。命令に従ってくたばるってのかい」
女騎士「退却する味方を安全に逃がすには、こういう役も必要だ」
傭兵「もったいないねえ。べっぴんなのによ」
女騎士「…」キッ
傭兵「おっと。……言っておくが、周りをあてにすんなよ。
退却する隊は王国騎士を中心とした軍団だろうが、殿部隊は金目当てに集まった傭兵中心だ。
少数の精鋭騎士も混ざってるようだが、大部分は危険に晒されればすぐに逃げ出す烏合の衆。
あんたみたいな真面目さんはバカをみるぜ」
女騎士「貴様も逃げるのか」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:20:52.23 ID:0UMCOBfm0
傭兵「俺は傭兵だ。戦争屋は生きてなんぼなんだよ。金のため、そして戦うために」
女騎士「金のために人を殺すのか!」グッ
傭兵「ああ?人を殺すために俺たちを雇っているんだろうが?」
女騎士「…!!」
傭兵「だがな、そうだよ。戦場での二足三文が他人の命より重いんだ。そういう奴なんだよ俺たちは」
女騎士「…どうしようもないな」
傭兵「そうだな。どうしようもねえ。世の中ってのはどうしようもねえな」
:
:
:
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:33:39.78 ID:0UMCOBfm0
数時間後
女騎士「…まだいたのか?」
傭兵「次のゲンバ見つけるまでの食料諸々準備して逃げないといけないだろうが」
女騎士「貴様、正直に言い過ぎだぞ。密告でもされれば極刑だ」
傭兵「アンタはそんなことせんだろ。でなけりゃ上層部に傭兵を連れて退却しろとか言わねえ」
女騎士「なっ」
傭兵「バカだねー。我が身優先の上層部どもが言うことそんな提案を聞くわけがないのに」
女騎士「フン。誰に聞いた」
傭兵「みんな知ってるよ。クク、円卓蹴り飛ばして上官に腹パンしたんだろ?」
女騎士「パ、パンチじゃない」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:38:27.57 ID:0UMCOBfm0
訂正
「言うこと」はいらん
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:42:59.16 ID:a3lPBAKZ0
ちゅっちゅ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:43:26.25 ID:0UMCOBfm0
傭兵「同じさ。コブシが届いたら殴っていたろうが」
女騎士「う…ん、そうかもしれないが」
傭兵「変わりもんだなアンタ」
女騎士「貴様もだ」
傭兵「奇遇だな。ああ、この馬もらうぞ」ヒヒーン
女騎士「好きにしろ。馬も逃げれた方がいいだろうからな。それから万一のために薬箱も持って行け。今なら備蓄テントに見張りはいない」
傭兵「随分と気前がいいな」
女騎士「条件付きだ。もし戦場から逃げ出せた者に会ったら、手当てしてやってほしい」
傭兵「…オーケー、契約成立だ。それじゃ俺は行く」スタスタ…
女騎士「…」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 00:54:15.92 ID:0UMCOBfm0
備蓄テント
傭兵「意外と薬はたくさん残されているな。持ち出せなかっただけじゃなさそうだ」ガサゴソ・・・
傭兵「殿軍の裏切り防止のつもりかい、上のバカども」
傭兵「怪我を負ったら戦どころか、退却すらできねえっつうの」
傭兵「これとこれと…これも必要だな。ん?」
傭兵「これも少し持っていくか。痛みで眠れなくては回復が遅くなるからな…」
傭兵「さて、こんなものか。早いところ陣から離れねえと―――」
女騎士『どうしようもないな』
傭兵「…」
傭兵「…」
傭兵「…」
傭兵「変な女だ」ザッ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:00:56.76 ID:0UMCOBfm0
女騎士「…」カチャ…カチャ
女騎士「フゥ…」
女騎士「あの男…逃げたんだろうか」
傭兵「これからだ!」ヒョコ
女騎士「わあっ!?」ビクッ
傭兵「ははは。こんなところで一人寂しく食事かい?」
女騎士「考え事をするためだ。寂しくは無い」
傭兵「そうかい」
女騎士「貴様こそ何のつもりだ。まだ逃げなかったのか」
傭兵「温かい飯を食ってから逃げようと思ってな。どうせならべっぴんと一緒に」ニカ
女騎士「…フン」プイッ
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:13:24.05 ID:0UMCOBfm0
傭兵「今回の戦に従軍したときによう」
女騎士「?」
傭兵「やけに強い女がいると思ったんだよなあ」
女騎士「…」
傭兵「しかも、やたらべっぴんでよ。髪をなびかせて戦う姿なんざ、戦女神かと思ったね」
女騎士「なんのつもり…」
傭兵「性格はちっとキツイんだけどな!でも、傷ついた兵士達を心配そうな目で見舞ってるんだよ」
女騎士「…」
傭兵「いつも強気なのに、たまに不安そうな顔を見せるんだよ。泣きそうなのを我慢してるんだな、あれは」
女騎士「…」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:15:08.40 ID:wEvnYOMv0
いいね
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:18:56.64 ID:0UMCOBfm0
傭兵「今回同盟軍が裏切った時は、真っ先に王国に帰さなくちゃいけねえと感じてた」
女騎士「…」
傭兵「それが、主力が退却した殿軍に残っているんだもの、驚いたよ」
女騎士「…」
傭兵「正義感が強くてなあ。でもきっとどこかで無理してるんじゃねえかと思うんだ」
女騎士「…」グッ
傭兵「俺はなあ…それが、その」
女騎士「……な…に……?」
傭兵「その、心配で…なあ」
女騎士「…」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:21:11.16 ID:a3lPBAKZ0
ぺろぺろ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:26:10.13 ID:0UMCOBfm0
女騎士「…父さんはね」
傭兵「ん?」
女騎士「騎士団の団長だった。真っ直ぐな人だった」
傭兵「…」
女騎士「強くて優しくて、大好きだった。憧れてた」
傭兵「…おう」
女騎士「女だからって弱くありたくなかった。たくさん戦って、強くなった」
傭兵「おう」
女騎士「やがて騎士団長になった。父さんみたいに、みんなを守るために」
傭兵「おう」
女騎士「そして気づいたんだ。何もできないことに。何も守れない自分に」
傭兵「…」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:33:58.64 ID:0UMCOBfm0
女騎士「…今回だって…そうだ。いくら強くなったって…」ギュウ
傭兵「…」
女騎士「私は結局…何も守れないんだ…」グスッ
傭兵「ちょ…」
女騎士「…うぅ…見るなぁ…」ポロポロ
傭兵「…あー…」オロオロ
女騎士「……えっぐ……」グシュ…
傭兵「……………違う!」
女騎士「…?」グス
傭兵「アンタはきちんと守っている。あんたの国を、俺たちを」
女騎士「なにを…」
傭兵「気づいていないようだが!アンタの普段の行いは皆に勇気を与えている!」
女騎士「…?」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:43:33.95 ID:0UMCOBfm0
傭兵「勇敢に戦う姿が。健気に見舞う姿が。恐れずに進言する姿が。優しく接する姿が。
あんたの存在は!人々に勇気を与え鼓舞し!結束を促して!国を守っているんだ!
ここでだって、陣幕の向こうの兵士たちは。アンタを信じて戦おうとしている」
女騎士「わ…わたしは。そんなものじゃない。違う…ごめん…ごめんなさい…うぅ」グス
傭兵「違わない」
女騎士「違うぅ…ダメなんだ…私…何も…」グスッ
傭兵「違わない!!………そうだろうお前達ッッ!!」
???「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
女騎士「hぇ…?」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:50:35.92 ID:0UMCOBfm0
バリバリ…ドシドシドシ!!!
女騎士「陣幕の向こうで…聞いていたのか!?…ヒック」
傭兵A「いででで!押すんじゃねえ!」
傭兵B「姉ちゃん!あんたがいなけりゃ逃げてたぜ俺!」
騎士A「キザ傭兵野郎!」
騎士B「我々一同、あなたが団長だからついて来たのです」
騎士C「そうです。殿軍に残ったのも団長がいたから。上層部の命令なんぞ知ったことではありません」
女騎士A「…そういうことですから。あなたは立派に、皆を守っているんですよ」
女騎士「………!!!」ポロポロ
傭兵「な?だから安心しろ。そして生きて、帰ろうぜ」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 01:59:24.85 ID:0UMCOBfm0
ハハハハハハハ………!!!
傭兵「ほらよ、あんたのぶん。酒じゃあねえが。しかし、いろんな場所で殿軍を見て来たが…戦前にこんなに騒ぐのは始めてだ」
女騎士「そうかもしれないな。戦前に宴になるとは」
傭兵「不安は消えたか?」
女騎士「完全ではないけれど…楽になったよ。ありがとう」
傭兵「俺は礼を受け取れねえ。これから逃げるしな」
女騎士「フフ。でも、受け取ってほしいんだ。そして、生きていてほしい」
傭兵「そうか」
女騎士「お守りなんか渡せればいいんだろうがな」
傭兵「いいって。立場が逆だろ、普通」
女騎士「…」
傭兵「…」
女騎士「…これは…お守りの代わりに…」
傭兵「あ?」
チュッ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:03:59.05 ID:0UMCOBfm0
傭兵「なっ」
女騎士「ふふ。……忘れないでね…」
傭兵「……アンタもな。今のは報酬としてもらっとく」
女騎士「へ…?」クラ
傭兵「…悪いな」
女騎士「フラフラ…する…?」
傭兵「アンタは必要とされている。国に帰って、生きて、人々を守ってくれ…」
女騎士「あ……貴様…細工を……」パタリ
傭兵「……」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:10:49.82 ID:0UMCOBfm0
傭兵「よし。頼むぞ黒王。このお嬢さんを安全に送り届けてくれ」
黒王「ブルルル……」ヒヒーン
騎士A「キザ野郎」
騎士B「黙れ騎士A。申し訳ありません。このようなことをお頼みして」
騎士C「目覚めたら、恨まれるでしょうか…」
傭兵A「それでも仕方ねえ。この人を守るのが俺たちの仕事。民を守るのがこの人の仕事だ」
傭兵B「べっぴんさんは国の宝だ。大切にしねえとな」
女騎士A「団長、ご無事で」
傭兵「……行け!黒王!」
黒王「ぶるあああああああああ!!!!」ドドドドドド
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:20:06.11 ID:0UMCOBfm0
傭兵C「隊長一人だけずるいっすよ。別れ際にキスされたでしょう」
騎士A「このキザ野郎!!!」
騎士D「うらやま私刑」ガスッ
傭兵「いてっ!」
騎士C「まあ今回は仕方ないですかねー」
女騎士A「ふふ。生きて帰れば皆さんにもご褒美があるかもしれませんよ」
傭兵B「おっ そうだな。なんとしても生き残らねえと」
ダダダッ
敵兵確認!距離三千!
騎士G「来ましたか」
傭兵A「では隊長…そろそろ」
傭兵「ああ……」
傭兵「迎え撃つぞ」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:21:26.07 ID:0UMCOBfm0
依頼完遂
任務完了
睡眠開始
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:23:34.21 ID:XFoHOXEu0
はいおやすみ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:24:25.89 ID:0UMCOBfm0
駄文に付き合って夜更かしどんな気持ち?wwww
ねえねえ今どんな気持ち?wwwwwww
読んでくれた奴がいたなら本当にありがとう
ごめんな
せめて今から良い夢見てくれ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:25:26.28 ID:GH9El+F60
一番イいいところ切りやがって・・・
おやすみ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:26:25.23 ID:n6nhQDF3O
乙!
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:29:25.89 ID:a3lPBAKZ0
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 02:30:15.06 ID:wEvnYOMv0
こういう終わりも悪くない
乙
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/09/18(火) 03:36:04.28 ID:BRnKuL8wO
いいSSだった
転載元
女騎士「ね、眠気が……貴様、食事に薬を……くっ……」傭兵「……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347893715/
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やり直し。
そういえばそうとも読んだっけ、と。
わ た し で し た
は?
は?
何でここでやめんの?
ねえ何でここでやめんの?
まじめな話二次創作なら別としても、こういうただのパクリSSって価値無いと思うが
なんだこのスレ