1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:36:07.29 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ええ。私の大切な人の絵よ」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:37:26.66 ID:Ea4SaNlk0
まどっちに絵教えてもらって画風を受け継いでるほむら
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:42:14.92 ID:P/BNOVjY0
ほむら「よし。この絵はこんなところね」
ほむら「初めの内よりはだいぶマシになってきたかしら……」
ほむら「次はどんな構図にしましょう」
杏子「おっ、ほむらじゃん!」
ほむら「あら杏子」
杏子「何してんの?」
ほむら「絵を描いているのよ。ほら」
杏子「ふーん……。案外上手いじゃん」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:45:31.77 ID:P/BNOVjY0
杏子「で、モデルは誰なのこれ?」
ほむら「私の大切な人よ」
杏子「へーっ。ほむらがそんな言い方する相手なんて、どんな奴なんだろうな」
ほむら「貴女から見ればきっと普通の子よ」
杏子「ふーん……。まあさ、また今度機会があったらあたしにも会わせてくれよ」
ほむら「たぶん一度は会う機会があると思うわ」
杏子「んじゃ、その時を楽しみにしておくよ」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:48:40.30 ID:kQspsqrgO
改変後の話か
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:49:57.05 ID:P/BNOVjY0
マミ「また絵を描いているの?」
ほむら「ええ」
マミ「そんなに楽しいものなのかしら?」
ほむら「そう楽しくもないわ。でも他にやりたいこともないから」
マミ「そっか……」
マミ「あっ、さっき買ったんだけど、よかったらこれあげるわね」
ほむら「缶の紅茶?」
マミ「外で絵なんて描いていたら冷えるでしょう?」
ほむら「ありがとう……」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:54:26.42 ID:P/BNOVjY0
マミ「いつも同じ女の子を描いているのね」
ほむら「そうね」
マミ「どう? たまには私も絵のモデルにしてみたり?」
ほむら「遠慮しておくわ」
マミ「つれないんだから……」
ほむら「だって彼女を描かなければ意味が無いんだもの」
マミ「そう頑なに拒否されると……、逆に意地でも自分を描いて欲しくなっちゃうな」
ほむら「はいはい」
マミ「本当に、つれないわねー」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 00:56:09.82 ID:P/BNOVjY0
杏子「よっこいしょ、と」
ほむら「その画用紙と色鉛筆は……」
杏子「アンタを見てたらあたしもやってみたくなってさ」
杏子「隣、いいだろう?」
ほむら「構わないわよ」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:00:29.63 ID:P/BNOVjY0
杏子「ああああっ! 上手くいかねえー!!」
ほむら「確かにこれは酷いわね」
杏子「うっせえ!」
ほむら「さやかを、描いていたの?」
杏子「なんで疑問形なんだよ!? どっからどう見てもさやか……、でもないか、この画力だと」
ほむら「……心配ないわ」
杏子「へっ?」
ほむら「貴女がさやかのことを描きたいと思い続ける限り、きっとみるみる絵は上手くなる」
杏子「どうして分かるんだ?」
ほむら「強い気持ちは飲み込みの早さを変えるのよ」
杏子「まるで体験してきたみたいなレベルの言いきり方だなー」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:02:57.34 ID:P/BNOVjY0
それ以来、佐倉杏子は、よく私の隣に座っては、さやかの絵を描くようになった
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:04:17.65 ID:vLK3kKct0
マミさんは誰を書くのかな、うん?
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:05:49.08 ID:P/BNOVjY0
マミ「今日はケーキを差し入れに持ってきたわよ!」
ほむら「ケーキって野外で食べるものかしら……」
マミ「いいのよそんなのは。美味しいものはどこで食べても美味しいの!」
ほむら「もぐもぐ」
マミ「って、私が喋ってる間にもう食べてるじゃない! あんなこと言ってた癖に!」
ほむら「美味しいケーキね」
マミ「そう……。ありがとう」
ほむら「ねえ。マミはやりたいことってある?」
マミ「やりたいこと?」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:11:23.37 ID:P/BNOVjY0
マミ「私は魔獣を退治することで、なるべく多くの人を助けたいな」
ほむら「魔法少女としてやりたいことではなく、巴マミとしてやりたいことはないの?」
マミ「へっ? ……そう言われてみると、うーん」
ほむら「……」
マミ「やりたいことは沢山ある気がするのだけれど、咄嗟には思いつかないわね」
ほむら「そう」
マミ「ああ、でも1つだけ、楽しみなことはあるわ」
ほむら「どんなこと?」
マミ「秘密よ」
ほむら「なら、それが何かは分からないけれど――――」
ほむら「やりたいことはやれる内にやっておいた方がいいわよ」
ほむら「私は気付くのが遅すぎて、本当にやりたいことをできなくなってしまったから」
マミ「……」
ほむら「絵なんて、所詮は代替手段の出来損ないに過ぎないのよ……」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:12:17.40 ID:P/BNOVjY0
それ以来、巴マミは、よく自作のお菓子を持ってきては、私に味の感想を尋ねるようになった
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:16:46.69 ID:P/BNOVjY0
杏子「どうだほむら!」
ほむら「最初を思えば上達したわね」
杏子「だろ!」
ほむら「でも私と比べるとまだまだだわ」
杏子「ぐっ……」
ほむら「ねえ、杏子」
杏子「ん?」
ほむら「私達こんなことしてて、意味、あるのかな……」
杏子「いきなり随分な質問だね、おい」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:23:52.29 ID:P/BNOVjY0
ほむら「私達がこんなことをしても、描かれた少女は何も得ない」
杏子「そりゃそうだ」
ほむら「こんな自己満足を続ける意味あるのかなって、最近ちょっと考えることがあるんだ」
杏子「……意味、あるじゃん」
ほむら「えっ?」
杏子「自己満足だって1つの立派な理由だよ」
ほむら「……」
杏子「あたし、さやかのこと忘れたくないんだ。忘れたくないから、絵を描いてる」
杏子「こんなことして誰が喜ぶでもないし、描いても描かなくても世界はちっとも変わらないけどさ」
杏子「忘れたくないって気持ちは少しだけ満たされる」
杏子「それでいいじゃん」
ほむら「……そうね。貴女の言う通りかもしれないわ」
ほむら「それにしても、自己満足を正当化するだなんて、まったく貴女らしい論理展開ね」
杏子「どういう意味だよ!」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:25:10.99 ID:P/BNOVjY0
それから3日後、杏子は、魔獣との戦いで命を落とした
私の隣は永遠の空席になった
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:27:09.57 ID:+waBrTq80
あんあん……
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:29:03.61 ID:P/BNOVjY0
ほむら「絵を描いているのよ。ほら」
ほむら「ええそう、モデルは私の大切な人よ」
ほむら「……それから」
ほむら「仕方が無いから、貴女と、貴女の大切な人ものことも描いてあげているわ」
ほむら「忘れたくなかったんだよね、美樹さやかのこと」
ほむら「私がちゃんと覚えていてあげるから……」
ほむら「もちろん主役はまどかだけど、貴女とさやかも、絵のどこかに必ず入れてあげるから」
ほむら「だからゆっくり休んでね、杏子」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:32:48.06 ID:P/BNOVjY0
マミ「最近、美樹さんや佐倉さんのことも描くようになったのね」
ほむら「ええ。心境の変化があったのよ」
マミ「そうなんだ……」
マミ「あっ、今日の差し入れはチョコタルトよ!」
ほむら「もういただいているわ。もぐもぐ」
マミ「遠慮が無いわね……」
ほむら「ほろ苦くて甘すぎない、思い切り私好みの味ね」
マミ「本当!?」
ほむら「ええ。とても美味しいわ」
マミ「よかった!」
ほむら「……ねえ、マミ」
マミ「うん?」
ほむら「次の絵のモデルになってみない?」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:41:29.96 ID:P/BNOVjY0
ほむら「あまり動かないでね。かきかき……」
マミ「絵を描いて欲しいとは確かに以前言ったけれど、どうしてまた突然?」
ほむら「したいことはできる内にしておきたいのよ」
マミ「……そうね。いつまでこうしていられるかは、分からないものね」
ほむら「……」
マミ「……」
ほむら「マミ」
マミ「ええ」
ほむら「今度はショートケーキが食べたいわ」
マミ「あら。リクエストだなんて珍しい」
ほむら「その次はシュークリーム、そのまた次はモンブラン、更に次は―――」
マミ「ちょっとちょっと! 本当にどうしたの!?」
ほむら「……」
マミ「暁美さん……?」
ほむら「マミは、いなくならないで……」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:47:33.31 ID:P/BNOVjY0
マミ「じゃあ、こうしましょう」
ほむら「……?」
マミ「スケジュール帳を買ってきて、1年先まで差し入れの予定を立てちゃうの」
ほむら「1年分の予定……」
マミ「5年先まででも、10年先まででもいい」
マミ「こうやって予定を立てれば、お互い約束を破るわけにはいかないものね」
マミ「これで意地でも死ねなくなるわ」
ほむら「……そうね」
マミ「さ、そうと決まればさっそくスケジュール帳を買いにいきましょう!」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:47:57.08 ID:5MOM2Gpi0
なんて悲しい展開
このままいくとほむほむが独りボッチになってしまう・・・
救いはあるのですか
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:49:35.67 ID:P/BNOVjY0
それから1週間後、マミは、魔獣との戦いで命を落とした
以来、美味しい差し入れがもらえることは二度となかった
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:51:20.68 ID:ni1HmYOUO
やだなにこの鬱SS
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:54:46.05 ID:P/BNOVjY0
ほむら「今日はロールケーキの日よ、マミ」
ほむら「コンビニで買ってきたわ」
ほむら「もぐもぐもぐ」
ほむら「マミのつくったものの方が何倍も美味しかったわね」
ほむら「絵もにぎやかになってきたんだよ」
ほむら「まどかがいて、さやかがいて、杏子がいて、マミがいる」
ほむら「マミは独りぼっちなんかじゃないよ」
ほむら「だから寂しくなんてない、孤独なんかでもない」
ほむら「……貴女の楽しみにしていたことって、けっきょく何だったのかしら」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:57:07.73 ID:ni1HmYOUO
なんでSSで泣きそうになってんだ俺
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 01:59:57.51 ID:Pgx4ikGx0
くっ……
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:00:32.83 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」
ほむら「かきかきかき」
ゆま「何してるの?」
ほむら「……」
ゆま「なーにーしーてーるーのー?」
ほむら「……絵を描いているのよ」
ゆま「絵? ああっ、キョーコだ!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:01:35.51 ID:P/BNOVjY0
ほむら(そういえば彼女は、キョーコの弟子のような存在だったわね)
ほむら「その絵はあげるからどこかへ行ってちょうだい」
ゆま「ねえ、キョーコのこと知ってるの!?」
ほむら「お願い……、どこかへ行って……」
ゆま「うー……、分かった」
ゆま「絵、ありがとう。またくるね!」
ほむら「……」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:04:19.70 ID:P/BNOVjY0
それ以来、千歳ゆまは、よく私の後ろに座っては、私に話しかけてくるようになった
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:05:39.31 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」
ゆま「ふんふん」
ほむら「かきかきかき」
ゆま「おねえちゃん、上手だねー!」
ほむら「かきかきかき」
ゆま「ねえー! ねえったらー!」
ほむら「かきかきかき」
ゆま「ううー」
ほむら「……ねえ、ゆま」
ゆま「あれ? お姉ちゃんどうしてゆまの名前知ってるの?」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:11:52.62 ID:P/BNOVjY0
ほむら「……杏子から、聞いたのよ」
ゆま「あ、そうなんだ! キョーコはわたしのことなんて言ってた!?」
ほむら「妹のようだって、言っていたと思うわ」
ゆま「えへへ、そっかー。キョーコがお姉ちゃんかー」
ほむら「貴女は……、人と仲良くなるのが、怖くないの?」
ゆま「えっ?」
ほむら「私は怖いわ……。私と仲の良かった人は、皆いなくなってしまった」
ほむら「寂しくて、辛くて……、もう同じ悲しみを味わうのは、とても怖くて……」
ゆま「……うん、分かるよ。ゆまもキョーコがいなくなっちゃって、たくさん泣いたもん」
ゆま「でもでもでもね! キョーコとあって、たくさん楽しいこともあったの!」
ゆま「だからわたし、キョーコと会えてよかった!」
ほむら「……」
ゆま「お姉ちゃんはキョーコと会わない方がよかったと思うの?」
ほむら「!!」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:17:57.10 ID:P/BNOVjY0
ほむら「私ね、私……」
ほむら「会えてよかったよぉ……」
ゆま「うん」
ほむら「杏子と、さやかと、マミと……、まどかと、会えてよかった……」
ほむら「うっ、ぐすっ、うぅぅ……」
ほむら「会わない方がよかったなんて……、思えない、よ……」
59 :
忍法帖【Lv=39,xxxPT】 :2011/11/28(月) 02:18:29.22 ID:9FT6V3dt0
このSSって・・・
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:18:58.19 ID:P/BNOVjY0
ゆま「よしよし」
ゆま「えへへへっ。キョーコがね、ゆまが泣いてると、よくこうして頭を――――」
ほむら「……」ギュウッ
ゆま「お姉……、ちゃん……?」
ほむら「ほむらっていうの……、私……」
ゆま「……」
ほむら「だから今度からほむらって呼んで、ゆま……」
ゆま「……うんっ! ほむら!」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:21:53.39 ID:P/BNOVjY0
それから、私はゆまと共に魔獣を狩るようになった
絵を描く時も、いつも傍にべったり、彼女を置くようになった
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:23:08.26 ID:+waBrTq80
ゆまゆま
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:24:10.77 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」
ゆま「キョーコでしょー、マミでしょー、さやかでしょー」
ほむら「かきかきかき」
ゆま「それでこれがマドカー!」
ほむら「ふふっ。すっかり覚えちゃったね」
ゆま「えへへ。ゆま凄い?」
ほむら「うん、凄い凄い。よしよし」
ゆま「わーい!」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:28:38.97 ID:P/BNOVjY0
ほむら「さあ、お待ちかねのおやつの時間よ」
ゆま「やったー!」
ほむら「今日はチョコケーキ」
ゆま「またコンビニ?」
ほむら「贅沢言っちゃ駄目よ」
ゆま「はーい。……えへへ」
ほむら「どうしたの?」
ゆま「うんとね、怒られてるのに怖くないから、嬉しくなったの」
ほむら(ああ……。そういえば、いつだか杏子が言ったいたっけ)
ほむら(どうもアイツは親から虐待を受けていたようだ、って)
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:33:22.82 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ゆま」
ゆま「うん!」
ほむら「家族に……、なろっか」
ゆま「……」ポカーン
ゆま「えっ……? 家族……?」
ほむら「うん、私達家族になろうよ。それでずっとずっと、一緒に暮らすの」
ゆま「いいの!?」
ほむら「ゆまさえよければ、私は」
ゆま「わーい!! 家族! 家族! ほむらとかぞくー!」
ほむら「よろしくね、ゆま」
ゆま「うん!!」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:39:56.59 ID:P/BNOVjY0
ほむら「そうだ。せっかくだし今度家族旅行でもしてみない?」
ゆま「かぞく……、りょこう……?」
ほむら「そうよ。家族で一緒に、遊びに行くの」
ほむら「遊園地とか、動物園とか、温泉とか、どこでもいいわ」
ゆま「それじゃあね。わたしは、ホッカイドーに行ってみたい!」
ほむら「北海道?」
ゆま「うん! キョーコが、あそこは美味しいものが沢山あるって言ってたから!」
ほむら「そう、杏子が……。それなら家族旅行第一弾は北海道で決まりね」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:43:05.87 ID:P/BNOVjY0
家族旅行の前日、私は、魔獣の攻撃により全身を10に分断された
しかし私は死ななかった
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:46:02.30 ID:KZnnhB5AO
もうやめたげてよぉ・・・
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:47:47.66 ID:P/BNOVjY0
ほむら(あ、れ……?)
ほむら(私、もう駄目だと、思ったのに……)
ほむら(身体がばらばらに……、ばらばら……)
ほむら「っ!? まさか、ゆまが!?」
ゆま「よかった……。ほむら、気がついた……」
ゆま「ゆまの魔法はね……、ケガを、治す魔法だから……」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 02:52:52.33 ID:P/BNOVjY0
ほむら(全身にレーザーで貫かれたような穴がある……)
ほむら(私をっ! 私を治癒しながら、魔獣と戦ったから!)
ほむら「どうしてこんな無茶をしたの!?」
ゆま「だって、家族だもん……」
ほむら「っ……!!」
ゆま「えへへ……、ゆま、役に立てた、かな……」
ほむら「……うん。ゆまのおかげで、助かったよ」
ゆま「じゃあ、いいこいいこ……、してくれる?」
ほむら「うんっ! うんっ! いくらだってするよ!」
ゆま「ふふっ。ほむらのよしよし、気持ちいいから好き……」
ほむら「いくらだってなでるから、いかないでよ、ゆまぁ……!」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:01:46.39 ID:P/BNOVjY0
ゆま「ホッカイドー……、行きたかったなぁ」
ほむら「行けるわよぉ……」
ゆま「でもっ、……ね、ほむら……」
ほむら「どうしたの?」
ゆま「本……とう、は……、ゆま、ね……」
ほむら「ちゃんと聞いてるからね」
ゆま「ホッカイドー……、よりも……」
ほむら「うんうん」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:03:31.41 ID:P/BNOVjY0
ゆま「ねえ……、だっこ、して」
ほむら「えっ……? 分かったわ、だっこね!」
ゆま「……」
ほむら「ちょっとゆま!? ゆま!?」
ゆま「……ほむ、ら? どこ……?」
ほむら「ここにいるよ。私はちゃんとここにいるからね」
ゆま「よかっ、た……」
ほむら「ゆま……」
ゆま「ホッカイ……ド……、より、も……」
ほむら「うん」
ゆま「ゆまはここが一番、好き……」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:04:52.69 ID:P/BNOVjY0
「ほむらのそばが、一番好き」
そう言ってほほ笑んで、ゆまは消滅した
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:09:25.19 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ねえ、ゆま。ここが北海道だよ」
ほむら「1人だと寒くって、凍えちゃう」
ほむら「2人ならぎゅって手を繋いで暖めあえたのにね……」
ほむら「一緒に……、行きたかった、なぁ……」
ほむら「……うっ、ううっ」
ほむら「誰か、助けて……」
ほむら「助けてまどかぁ……」
ほむら「助けてよぉ……」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:13:17.77 ID:P/BNOVjY0
―――その時
天から桃色の光が、私の目の前へと降り注いだ
それは涙が出るほどあたたかくて、懐かしくて、愛おしくて、
「よく、頑張ったね」
ぽたぽたと雪の上に涙が零れおちた
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:16:34.93 ID:P/BNOVjY0
ほむら「まど、か……?」
まどか「うん。そうだよ、ほむらちゃん」
ほむら「まどかあああっ! 私、私ねっ、私……!」
まどか「大丈夫。全部見てたよ」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「頑張ってくれてありがとう、ほむらちゃん」
ほむら「私は……、私……」
まどか「でも、もういいの。一緒に行こう。ねっ?」
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:19:12.05 ID:P/BNOVjY0
まどかから差し出される、救いの手
握りしめたかった
そうして、辛いことがたくさんあったこの世界から、逃げ出したかった
まどかのいる温かい場所へ行きたかった
でも、私は……、
「まどか、私はこの世界が好き」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:22:15.92 ID:P/BNOVjY0
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「昔の私はこの世界のことが好きじゃなかった」
ほむら「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だと思った」
ほむら「まどかが守ろうとした世界だから……」
ほむら「それだけの理由で、私はこの世界を守ろうとした」
ほむら「でも、ね……」
ほむら「ここでは素敵な出会いが沢山あったの」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:25:46.71 ID:P/BNOVjY0
『アンタを見てたらあたしもやってみたくなってさ』
ほむら「杏子と一緒に絵を描くの、とっても楽しかったんだよ」
ほむら「あの子ったら最初はとっても絵が下手で……」
ほむら「でも、だんだん上達していくのを見るのが、なんだか微笑ましくて」
ほむら「不器用だけどいい子だった」
ほむら「さやかと、今頃仲良くやってるといいな」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:28:58.90 ID:P/BNOVjY0
『ああ、でも1つだけ、楽しみなことはあるわ』
ほむら「今なら……、マミのやりたかったこと、分かるような気がする」
ほむら「それはきっと、いつの間にか私にとっても楽しみになっていたこと」
ほむら「マミのお菓子、大好きだった」
ほむら「でもそれ以上に……、マミとお話しするのが、好きだった」
ほむら「今でも大切な先輩。会えてよかった」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:31:25.68 ID:P/BNOVjY0
『何してるの?』
ほむら「ゆまには……、最初は冷たく当たっちゃったっけ」
ほむら「でも、あの子が気がつかせてくれた」
ほむら「人との出会いって、素敵なものなんだって」
ほむら「撫でられたり、教えられたり、どっちがお姉さんか分からなくなっちゃうね」
ほむら「大切な、家族」
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:38:10.09 ID:P/BNOVjY0
ほむら「だからね、まどか」
まどか「うん」
ほむら「もう本当に戦えなくなるその時まで、私はこの、素敵な世界を守りたい」
ほむら「私の意思で、守りたいの」
まどか「……尊敬、しちゃうな」
ほむら「えっ……?」
まどか「わたしは……、本当は少し、後悔してた」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:41:48.50 ID:P/BNOVjY0
まどか「最初から結果は予想できていた筈なのに……」
まどか「世界を改変しても、それで不幸が無くなるわけじゃなくって」
まどか「自分のやっていることに意味があるのか、だんだん分からなくなりそうで」
ほむら「まどか……」
まどか「でもねっ!」
まどか「こんなに素敵な、尊敬できるほむらちゃんに、知っていてもらえるなら……」
まどか「わたしも、もう少し頑張れそう!」
ほむら「そう言ってもらえると、凄く……、嬉しい」
ほむら「大好きなまどかの力になれるなんて、凄く凄く、嬉しいよ……」
まどか「わたしはずっとほむらちゃんに支えられていたんだよ」
ほむら「まどかぁ……、私もだよ」
ほむら「私も、まどかとの出会いがあったからこそ……」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:42:15.16 ID:P/BNOVjY0
まどか「それじゃあ、またいつか、会おうね」
ほむら「ええ。そうしたら今度は一緒に絵でも描きましょう」
まどか「そうだね……。ふふっ、楽しみだな」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:49:32.60 ID:P/BNOVjY0
――――
「何をしているんですか?」
新米らしき魔法少女が問う
「絵を描いているのよ」
私はそう答える
キャンパスの中には、数え切れないほどの、人
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:50:41.31 ID:P/BNOVjY0
あれから、何度も何度も出会いを繰り返し、同じだけの数の別れを経験した
その度に笑ったり、泣いたり、傷ついたりを繰り返して
キャンパスの中の魔法少女は、日に日に増えるばかりで
「素敵な絵ですね……」
「貴女も一緒に描いてみる?」
「えっ!? で、できるかなあ、私に……」
「できるわよ」
「それなら……」
だけどやはり出会いというものは、どれもかけがえがない
だから今日も私は、キャンパスに筆を走らせる
大好きなこの世界を、形にする
おわり
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:52:02.28 ID:dyeJWXEE0
乙乙!!
素晴らしかった!
久々に良いSSが読めた!
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:52:30.00 ID:50mnIxaSP
乙
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:52:59.97 ID:1AXwPVvD0
乙
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:54:52.74 ID:ni1HmYOUO
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 03:57:20.71 ID:j9JxfRse0
おつー
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 04:01:13.71 ID:EQMlsug10
乙っちまどまど
>>1ちゃんペロペロチュッチュ
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 04:24:52.09 ID:P52X7CHZO
うわああああ乙
辛いけどいい話だった
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 04:40:02.96 ID:Sj4K1il40
なんとなく落としたくない
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 04:56:31.93 ID:utVQjvUm0
ほむ!
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/28(月) 05:07:04.23 ID:ayazd+Ky0
ほもつ
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