1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 10:04:53.02 ID:uCkP6a7X0
グール「ぐわあああああ」
女騎士「グール...私の盾になって...」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 10:05:50.09 ID:DoS+VQxT0
どうした
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 10:19:38.18 ID:/GPnvL0g0
グール「ア…、アリガトウ…、女、…女騎士…」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 10:20:21.21 ID:m3Y78HtX0
グールちゃん…
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:27:47.55 ID:Yeduoqw40
団長「今日我が騎士団に配属されたグールだ。よろしくしてやってくれ」
グール「アー」
女騎士「ま、魔物ではないか! しかも特に醜悪な部類の……。何故このような物を神聖な騎士団に?」
団長「人手が足りなくてな。苦肉の策だ。おまえにはこのグールの教育係を務めてもらう」
女騎士「なっ!? い、嫌だ! 断る!」
団長「団長命令だ」
女騎士「う……」
団長「雑用を一通り覚えさせたら剣の使い方も教えてやってくれ。頼んだぞ」
女騎士「……くそっ、なんでわたしがこんな目に……」
グール「アー」
女騎士「寄るなっ! 臭い! 醜い!」
グール「アー……」シュン
女騎士「……騎士団のため、そして命令ならば仕方ない。びしびししごいてやるから覚悟しろよ」
グール「アー」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:29:19.30 ID:zfv1i2VvO
不覚にも
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:38:25.40 ID:Yeduoqw40
女騎士「まずは洗濯だついてこい!」 スタスタスタ…
グール「アー」ノロノロ
女騎士「遅い! 駆け足っ!」
グール「ア、アー」ペコペコ
女騎士「各部屋を回ってシーツと服を回収して……」
グール「アー」メモメモ
女騎士「こんなことでいちいちメモを取るな! 頭で覚えろ!」
グール「アー」ペコペコ
女騎士「よし、おまえはこっちを持て。わたしはこっちだ」
グール「アー」 ヒョイ
女騎士「……おまえ結構力あるな。魔物というだけはある」
グール「アー」テレテレ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:48:32.09 ID:Yeduoqw40
女騎士「たらいに水を張って、石鹸を用意して……」
女騎士「洗い方はこうだ」 ジャブジャブ
グール「アー」
女騎士「よし、やってみろ」
グール「アー」 ジャブジャブ
ジワァ…
女騎士「うおっ!? 水が一気に濁った!」
グール「アー……」
女騎士「そうか、肉が腐ってるから……ええい、これでは洗濯どころか料理も任せられんぞ」
グール「アー……」
女騎士「……風呂に入れば少しはましになるだろうか」
グール「アー?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:51:20.23 ID:vNOP22jx0
CV:サトウユキ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 11:55:37.26 ID:Yeduoqw40
女騎士「ほら、ここが風呂場だ。特別に沸かしてやったんだから感謝しろよ。しっかり洗ってこい」
グール「アー」
女騎士「ふぅ……先が思いやられるな」
グール「アー?」
女騎士「!? な、何も着ずに出てくるな馬鹿者!」
グール「ア、アー……?」
女騎士「タオルならここだ! そらっ!」 ベシッ
グール「アー……」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:01:59.35 ID:Yeduoqw40
グール「アー?」
女騎士「……うむ。あまり臭わなくなったな」
グール「アー」
女騎士「大分時間をつかってしまった。急ぐぞ」
グール「アー」
女騎士「洗濯!」
グール「アー」
女騎士「部屋の掃除!」
グール「アー」
女騎士「馬の餌やり!」
グール「アー」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:07:47.17 ID:Yeduoqw40
女騎士「よし、次は飯の用意だ」
グール「アー」
女騎士「こうやるんだ。よく見ておけ」 ズドッ
グール「ア……」
女騎士「材料を適当に切って……」 ドカッ バキッ
女騎士「後は鍋に入れて調味料を入れて……」 ドババババ
グール「……」
女騎士「わかったか? 同じ物を材料分作るだけだ。わたしは別に用があるから少し離れる」
グール「アー」
グール「……」 ペロッ
グール「……」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:21:01.58 ID:Yeduoqw40
グール「アー」 サクッ サクッ サクッ
グール「アーアー」 トプッ トプッ
グール「ア~」 ジュウウウウ…
グール「ア~ア~」 グツグツコトコト
グール「……」 ペロッ
グール「アー」
女騎士「戻ったぞ……む、もう作り終えたのか。中々手際がいいじゃないか」
グール「アー」
女騎士「飯の時間だぞ!」
団員「げ……今日の当番あいつかよ」
団員「……? いい匂いが……おかしいな、いつもはこんなことは……」
パクッ
団員「美味い!?」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:25:56.58 ID:Yeduoqw40
団員「今日の飯、本当におまえが作ったのか?」
女騎士「いや、作ったのは新入りのグールだ」
グール「アー」
団員「やけに美味いと思ったらそういうことか」
女騎士「わたしが教えた通りに作らせたからな。美味しいのは当然だろう」
団員「美味かったよ、ごちそうさま」
グール「アー」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:40:33.03 ID:Yeduoqw40
女騎士「騎士団は雑用だけでは勤まらん。いざというときのために剣を振れるようにならなくては」
グール「アー」
女騎士「剣はこの高さだ。足はこう……」
グール「アー」
女騎士「よし、素振り始め!」
グール「アー。アー」 ブンッ ブンッ
女騎士「違う! こうだ!」 ビュッ
グール「アー」 ブンッ
女騎士「こう!」 ビュッ
グール「アー」 ブンッ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:42:49.62 ID:Yeduoqw40
女騎士「素振り終わり!」ハァハァ
グール「アー……」ゼェゼェ
女騎士「だらしないぞ……この程度でへばってるんじゃない……」ハァハァ
グール「アー」
女騎士「う……もう動けるのか……? さすがアンデッド……」ハァハァ
グール「アー」
女騎士「きゅ、休憩もまた鍛錬だ……。初心者は特に無茶をしてはいけない……」ハァハァ
グール「アー」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:52:45.68 ID:Yeduoqw40
女騎士「ふぅ……底なしの体力につきあわせおって……」
女騎士「疲れた……今日はもう寝よう」
ガチャ
グール「アー……」ヌッ
女騎士「うおおおおおお!?」
グール「アー?」
女騎士「う、薄明かりの場所に現れるんじゃない! 心臓に悪いわ!」
グール「アー」ペコペコ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:55:12.48 ID:Yeduoqw40
女騎士「ど、どうした。何の用だ」
グール「アー……」
女騎士「夜トイレ行くの怖いって……わたしは教育係であって貴様のかーちゃんではない! 一人で行け!」
グール「アー……」スゴスゴ
女騎士「まったく……」
グール「アー」ヌッ
女騎士「ぬわっ! 今度はなんだ!」
グール「オヤ……スミ……」
女騎士「え……あ、ああ。おやすみ……」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 12:57:07.02 ID:nuksZrbp0
しゃべったああああああああああああああああ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 13:02:28.84 ID:VfTTWxde0
パンツ脱いでたけど
なかなか面白いじゃないか
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:04:56.50 ID:Yeduoqw40
アー…
女騎士「……ん……」ムニャ
アー…
女騎士「……ふあ……何……」
グール「アァー」
女騎士「うわあああああああ!?」
グール「アー!?」
女騎士「近い! 顔近い!」
グール「アー……」
女騎士「ふー……どうした? まだ起床時間ではないぞ」
グール「アー」
女騎士「団長が? わかった、すぐに行こう」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:15:04.56 ID:Yeduoqw40
女騎士「盗賊団……?」
団長「ああ、近頃被害が続出している。ついては我々で街と街道の警護に当たることになった。
今日はおまえとグールが任に就け」
女騎士「あのグールは入団したばかりだぞ。命の危険がある仕事に就かせるのは……」
団長「……」
女騎士「……いや、既に死んでいるようなものだが、それでも荷が重いのは確かだ」
団長「仕方ないんだよ。他は誰も手が空いてないんだ。何かあればすぐに駆けつけるから……」
女騎士「何かあってからでは遅いだろう。まったく……」ブツブツ
グール「アー?」
女騎士「なんでもない。外出の用意をしておけ」
グール「アー」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:23:20.55 ID:Yeduoqw40
町長「わざわざご足労いただいてすみません」
女騎士「いえ、これも騎士の仕事ですので」
町長「……ところで、そちらの方は……」
グール「アー」
女騎士「我が騎士団所属のグールです」
町長「グ、グールですか」
女騎士「人は襲いませんのでご安心を」
グール「アー」
町長「な、なんでしょうか」
女騎士「『よろしく』と申しております」
町長「は、はは……ユニークな方ですね……」
グール「アー」テレテレ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:38:48.05 ID:C11d9c170
グールかわいいなおい女騎士そこ替われ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:40:57.14 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」
グール「アー」キョロキョロ
ざわざわ ひそひそ
女騎士「巡回では異常を見落とさないよう気をつけるのと同時に、市井の人に不安を与えないようにしなくてはならない」
グール「アー?」
女騎士「あまり気を張り詰めるなということだ。表情ももっと柔らかくしろ」
グール「アー」ニコォ
ひぃっ ざわざわ…
女騎士「むむむ……」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:48:21.72 ID:Yeduoqw40
こつん
グール「ア?」
女騎士「む?」
子ども1「街から出てけー! 化け物ー!」 ブンッ
子ども2「正義の投石をくらえー!」 ブンッ
こん こん
グール「アー……アー……」
女騎士「こぉら悪童どもっ! 街を守ろうという者に何をするか!」
子ども1「おばさんが怒ったー!」
子ども2「逃げろー!」
女騎士「誰がおばさんだっ! ……ったく……」
グール「アー……」シュン
女騎士「そう落ち込むな。子どもは色々とストレートなんだ」
グール「アー」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 14:58:54.84 ID:Yeduoqw40
女騎士「異常なし。交代の者が来たら報告して終わりだ」
グール「アー!」
女騎士「どうした? ……あれは……!」
盗賊団「ヒャッハー!」
女騎士「件の盗賊か!」
グール「アー? アー?」オロオロ
女騎士「落ち着け! おまえは騎士団へ伝令。急げ」
グール「アー?」
女騎士「わたしはここでやつらの相手だ」
グール「アー」
女騎士「あの人数ならしばらくはなんとかできる。だからおまえは急いで騎士団を、と言ってるんだ」
グール「アー……」
女騎士「行ったか……よし」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 15:12:38.92 ID:Yeduoqw40
盗賊「うりゃぁ!」 ブンッ
女騎士「むんっ!」 ギンッ
女騎士「はぁっ!」 ズバッ
盗賊1「ぐぎゃっ!」
盗賊2「頭! こいつかなり使うぜ! どうする!?」
頭「慌てんじゃねえ。数人で一斉に斬りかかれ!」
盗賊3「ふへへ」
盗賊4「ぐひひ」
女騎士「卑怯な……」
頭「やれ!」
女騎士「くっ……くそっ」 ギンッ ギギンッ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 15:14:49.97 ID:Yeduoqw40
盗賊5「すきありぃ!」
女騎士「しまっ……」
ズバッ
グール「アー……」ヨロッ
女騎士「おまえ……!」
盗賊5「な、なんだこいつ」
女騎士「おのれっ!」 ズバッ
盗賊5「ぎゃっ」
ドドドドド…
盗賊6「か、頭! 騎士団だ!」
頭「くそっ、ずらかるぞてめえら!」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 15:20:14.62 ID:Yeduoqw40
団長「無事かっ!?」
女騎士「わたしは……おいっ、生きてるか!?」
グール「アー……」
女騎士「見た目では重傷かどうかまるでわからん! 痛むのか? 治療は必要か?」
グール「アー……」
女騎士「そうか……よかった……」
団長「二人ともよくやった。討伐は他の者に任せて、ゆっくり休んでくれ」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 15:33:01.99 ID:Yeduoqw40
女騎士「何故あんな真似を……」
グール「アー」
女騎士「わたしを庇うなど十年早い! そういうのは自分の身も守れるほど熟練してからするものだ!」
グール「アー……」
女騎士「……まぁ、危なかったのは確かだし、一応礼は言っておく……」
グール「アー」
女騎士「今日はもう休め。雑用は気にしなくていい」
グール「アー」
女騎士「そうだ、後で秘伝の回復料理を作って食べさせてやるよ」
グール「アー!?」
女騎士「なんだ? 遠慮するな。怪我人は素直に甘えるものだ」
グール「アー……」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:13:36.76 ID:Yeduoqw40
グール「アー!」
女騎士「もう全快したのか。やはりわたしの料理が効いたんだな」
グール「……」
町長「先日は本当にありがとうございました。これは町の者があなた方へ、と」
グール「アー……」
女騎士「……そうか、人から礼を受け取るのは初めてか」
グール「アー」 ビュッ
女騎士「うっ」 ビタッ
グール「アー。アー」ワーイ
女騎士「……やっと一本取れたとていい気になるなよ。今のは油断だ。次から本気だ……」ゴゴゴゴゴ
グール「アー……」ガクガクブルブル
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:22:17.05 ID:wRt6sdAB0
これはいい
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:24:34.48 ID:Yeduoqw40
グール「アー」 ジャブジャブ
団員「洗濯ごくろうさん。今日の飯当番おまえか?」
グール「アー……」
女騎士「今日の当番はわたしだが」
団員「そうか。……そうか……」
女騎士「?」
団員「なぁ、こっそり味調えといてくれよ」ヒソヒソ
グール「アー」ヒソヒソ
女騎士「何をこそこそしている!」
団長「急場しのぎのつもりだったんだが、馴染んでしまったなぁ……」
団長「ま、いいか」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:39:35.94 ID:Yeduoqw40
グール「アー」
女騎士「ん……そうだな、最近暇だな」
グール「アー」
女騎士「しかし騎士が暇ということは、それだけ平和だということだ。喜ぶべきことだな」
グール「アー」
女騎士「だが平和に慣れて勘を鈍らせてはいけない。よし、一つ稽古を……ん?」
わいわいがやがや
女騎士「騒がしいな……なんだ?」
グール「アー?」
女騎士「山火事?」
団員「今季はかなり乾燥していたからな。かなりの規模になりそうだ」
女騎士「いつも通り、治まるまで待てばいいだけの話ではないのか? 何故こうも騒いで……」
団員「それが……町の子どもが山に入って戻ってこないらしい」
女騎士「なんだと?」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:43:41.74 ID:Yeduoqw40
グール「アー?」
女騎士「仕事だ。子どもが入った山で火事が起きている。町民と協力して捜索にあたる」
グール「アー」
女騎士「? いやいや、おまえは留守番だ」
グール「アー?」
女騎士「アンデッドは火に弱いだろうが。切られても平気だろうと、火に巻かれては本当に死んでしまう」
グール「アー……」
女騎士「おとなしく待っていろ。いいな?」
グール「アー」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 16:52:47.82 ID:Yeduoqw40
グール「……」ソワソワ
グール「アー?」
団長「落ち着け。大丈夫だ。やつもひよっこではない。自分の能力以上の無茶はしないさ」
グール「アー……」
団員「伝令!」
団長「どうした」
グール「……」
団長「姿が確認できないだと……? 追加の人員を……」
グール「アー」ダッ
団長「!? おいっ」
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:01:20.11 ID:Yeduoqw40
メラメラ… パチパチ…
子ども1「熱いよぉ! 痛いよぉ……」
女騎士「めそめそするんじゃない! 男だろう!」
子ども1「うう……」
女騎士「いい子だ」
女騎士(しかし倒れた木に器用に挟まれたものだな。体が下敷きにならなかっただけ運がいいか)
女騎士「くっ……」 グッ
女騎士「……わたしの力では動かせんな。人を連れてすぐに戻ってくる。それまで待っていろ」
子ども1「やだぁ! 怖いよ!」
女騎士(一人残すのは危険すぎるが……しかし他にどうすることも……)
アー
女騎士「む?」
グール「アー」
女騎士「な……」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:06:10.18 ID:Yeduoqw40
グール「アー」
女騎士「ばかっ」 ぽかっ
グール「アー」
女騎士「助けに来たじゃないだろう! 言いつけを忘れたのか!」
グール「アー……」
女騎士「……だが実際助かった。約束を破った咎は今ので終わりにしてやる。手伝ってくれ」
グール「アー」
グググ… ズズン…
子ども1「うわぁぁぁん」
女騎士「よしよし、もう大丈夫だ」
グール「アー」
女騎士「ああ、急いで出よう」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:17:32.06 ID:Yeduoqw40
子ども1「母ちゃぁぁぁん」
母親1「このばか、心配かけて……!」 ギュッ
女騎士「ふぅ……危なかったな。いよいよ火の勢いも頂点に達するようだし……」
グール「アー」
母親2「あのっ」
女騎士「はい?」
母親2「うちの子……見かけませんでした? さっきからっ、どこにも……」
女騎士「え……」
ゴオオオオオオオ…
女騎士「まさか……」
グール「……アァァァァァァァ!」ダッ
女騎士「ま、待て! 今からでは……くそっ」ダッ
町民「だ、だめです! この火の中入ったりしたら死んじまいますよ!」 ガシッ
女騎士「放してくれ! 放せっ!」
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:25:11.40 ID:Yeduoqw40
グール「アァー!? アァー!」キョロキョロ
グール「アー……」
うわーん
グール「ア?」
子ども2「うわぁぁぁぁぁぁぁん」
グール「アー」ホッ
子ども2「うわっ! 化け物!」
グール「アー」 ヒョイ
子ども2「やめろ! 下ろせ! 下ろせぇ!」
グール「……」テクテク
子ども2「友だちが……山の中にいるって聞いたから……おれが助けようと思って……」グスッ
子ども2「でもおれが迷子になっちゃって……うう、母ちゃん……」
グール「アー……」 ぽんぽん
子ども2「……」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:33:29.36 ID:Yeduoqw40
子ども2「あ、あそこ! 出口……!」
グール「アー」
バチバチ…メキッ
グール「ア?」
メキメキメキメキ…
子ども2「う、うわっ、木っ、こっちに倒れ……」
グール「アー!」 ブンッ
子ども2「うわあああああああ」
ズズーン…
子ども2「いてて……あっ、おい化け物! 大丈夫かよ!?」
グール「アー」
子ども2「こっち来れるか!?」
グール「アー……」
子ども2「お、大人呼んでくる! それまでがんばれよ!」
グール「アー」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:40:15.22 ID:Yeduoqw40
グール「アー……」
ゴオオオオオオ…
グール「アー、アツッ、アツッ!」
グール「……アー」テクテク
グール「アー……」
ゴオオオ…
グール(イキドマリ……)
ゴオオオ…
グール(コッチモ……ドッチモ……)
グール「アー……」ペタン
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:44:24.69 ID:Yeduoqw40
女騎士「こっちかっ!?」
子ども2「うん! 早く……」
子ども2「あ……」
ゴオオオオオオオ…
女騎士「……」
子ども2(こんなの、入れるわけ……)
ゴオオオオオオオ…
グール「アー」
ゴオオオオオオオ…
バキバキ… メキメキ…
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 17:59:42.23 ID:Yeduoqw40
団長「……子どもは軽い怪我をしてるが無事……そうか」
団長「火が治まったら再び捜索隊を組むぞ」
団長「……町民から志願者が? そうか、ありがたいな」
団長「……」
女騎士「……」
団員「おう、おつかれ」
女騎士「……」
団員(今日も何も見つからなかったのか……。もう何日も探し続けて……)
団員「……あまり自分を責めてやるなよ」
女騎士「ああ……すまない」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:16:24.12 ID:Yeduoqw40
団長「捜索を打ち切る……?」
女騎士「ああ。いつまでもかかずらっているわけにもいくまい。みんなよく探してくれた。これ以上はもう無意味だ」
団長「そうか……そうだな」
女騎士「立派な墓を作ってもらえてよかったな」
女騎士「……」
女騎士「悪たれ小僧どもが毎日聞きにくるんだよ。おまえが見つかったかって」
女騎士「団員たちの士気が下がった。おまえの飯が食いたいんだそうだ」
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:18:43.50 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」
女騎士「次は美男として生まれてこいよ。グールじゃ、かっこつけても様にならんだろう」
女騎士「まぁ、グールのまま戻ってきてくれても……別に……それはそれで……」
女騎士「……うぅ……」
女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……」
女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
グール「ア、アー……」
女騎士「うぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
グール「アー……」 スッ
女騎士「あ……ハンカチ、ありがと……」
ブビィィィィィィィィッ
女騎士「ふぅ……」
女騎士「うわあああああああ!?」
グール「アー!?」ビクッ
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:29:06.12 ID:Yeduoqw40
女騎士「な、なんで? どうして……」
グール「アー」
女騎士「深く穴を掘って土の中に埋まってた!? 窒息は……あ、酸素いらないのか……」
グール「アー」
女騎士「で、でも何日も探したのに! 火が治まって大分経つのになんでずっと埋まってたんだ!」
グール「アー……」
女騎士「久しぶりの土の中が心地よくて、ずっと寝てた……?」
グール「アー……」
女騎士「ごめんなさい……じゃないだろぉ! どれだけ心配したと思ってるんだ!」
グール「アー……」
女騎士「……ごめんなさいはもういいよ。他に言うことがあるだろう」
グール「アー? ……ア」
グール「タダイマ」
女騎士「おかえりっ」
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:36:48.46 ID:Yeduoqw40
女騎士「……」
グール「アー?」
女騎士「……墓、どうしよう。こんなに立派な物作ってもらっておいて、取っ払ってしまうのは……」
グール「アー」
女騎士「え? 寝床にする……あ、そう……」
グール「アー」
女騎士「ごきげんだな……ああ、そうだ。今日はわたしが飯の当番だった」
グール「ア、アー!?」
女騎士「ちょうどいい。英雄の帰還祝いに、腕によりをかけてやるよ」
グール「アー……」
女騎士「もう一日寝てればよかった……どういう意味だ?」
グール「アー」
おわり
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:39:05.13 ID:7EhZqTxfO
おつ
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:39:23.48 ID:QxbLE8I50
おつ
追加エピソードきぼん
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:40:18.65 ID:W/AuiEf60
おつ
素直に面白かった
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:44:08.35 ID:2cPkIL0Qi
無駄がなくて素晴らしい
乙
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:45:28.44 ID:Kz2196w/0
乙
死んだらこうなりたい
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 18:46:11.62 ID:bApqMsRhI
良い具合に短くて、ほっこりできて、良いSSだった
乙
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 19:02:13.03 ID:sWHlDJA/0
乙!
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/11/04(金) 19:17:51.56 ID:gDhMxX3nO
乙! 面白かったわ
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