1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:10:25.47 ID:RGCnZMTH0
のび太の奇妙な冒険!前回までのあらすじは?
「小僧、現実を教えてやろう」
解き放たれる瞬獄殺!
「エビフライでゴンス!わっちの人生エビフライでゴンス!」
暗躍するCIAの影!
「真っ赤なコートは、この街に良く似合う」
鮮血に染まる宇都宮駅!
「ついに揃ったか…一子相伝の暗殺拳の使い手達」
明かされる、25年前の真相!
「さあ、ゲームを始めよう」
お菓子を食べた手でコントローラーを握る友人!
「だから、見てて下さい…俺の、変身!!」
熱く蘇る、古代文明の力!
「だけど、やっぱり思うんだ
しもつかれってアレ食べ物じゃないよね」
『のび太の奇妙な冒険』
※前回はありません
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:11:33.87 ID:RGCnZMTH0
骨川家
スネ「どうだい? これが、遺跡から発掘された石仮面さ!」
空調の効いた涼しい室内。
スネ夫は机上の仮面を指差すと、自慢気にそう言った。
ジャイ「すっげー! こんなのどうしたんだよスネ夫!?」
スネ「ふふん、パパの友達が発掘隊でね、出土品を貸してもらったのさ」
しず「でもこれ…なんだか不気味ね…」
出木「ずいぶん古いものみたいだけど、一体いつごろの物なんだい?」
スネ「さ、さあー? 僕もそこまでは…」
出来「そうなのかい?なんだか興味が湧いてきたなあ。早速家に帰って調
べてみよう!それじゃあね!」
スネ「おい、出木杉!? おーい!…もういっちゃったよ…」
その時、のび太がおもむろに立ち上がった。
のび「なんだよみんなしてこんな仮面くらい! い、いいか!僕は
もっとすっごい物を見つけてやるからな!」
ジャイ「ほほぉう?面白い。やってもらおうじゃねえの」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:13:50.01 ID:RGCnZMTH0
ジャイアンの不適な笑みに、のび太は早くも後悔を抱いた。
のび「あ…ああ! やってやるさ!」
ジャイ「へえー? よしのび太! もしも出来なかったらハッ
テン場で肉便器の刑だかんな!」
のび「上等だ! もし僕がすごい物見つけられたら!タイムマシン
で未来に行ってジャイアンたちの高校受験前日の夜にお前ら以外の家族皆
殺しにするからな!」
ジャイ「受けてたとうじゃねえの。ま、せいぜい頑張れよな!」
スネ「今のうちにアナルを開発しておいたほうが身のためだぞ!」
そう言ってジャイアンとスネ夫は派手に高笑いした。
のび「ちくしょう!サノバビッチ共め!」
捨て台詞を吐くと、のび太はスネ夫の家を飛び出した。
途端にのび太の体を夏の日射しが照らす。
のび「あっつい……」
アスファルトに立ち昇る陽炎を見て、のび太は嘆息した。
見上げる青空には分厚い入道雲が広がり、辺りには蝉時雨が降り注ぐ。
のび太は額の汗を拭うと、家路を走り出した。
のび「ドラえもぉーん!!」
(ここでドラえもんのうたが流れる)
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:14:55.79 ID:RGCnZMTH0
野比家
のび「ドラえもぉーん!」
くつろいでいたドラえもんがのび太に顔を向ける。
ドラ「まったく…今度は一体どうしたんだい?」
のび「それがさあ…」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:15:58.33 ID:RGCnZMTH0
ドラ「そりゃあ君も悪いよ」
のび「だってぇ……クソ、ジャイアンとスネ夫め!ギタギタにしてや
る!」
ドラ「暴力を暴力で解決するのかい? 今は21世紀だよ?
世紀末じゃないんだよ? 199X年は無事に過ぎたんだよ?」
のび「僕はあいつらが泣くまで殴るのをやめないつもりだよ!」
ドラ「いや、それにしてももう少し こう 何というか
手心というか……」
のび「痛くなければ覚えないだろ?もうこんなことしないって体に刻み込
まなくちゃ!」
ドラ「でも、君のアナル処女をこんな所で散らすわけにはいかないな。歴
史が大きく変わってしまう」
のび「え!?今なんて言ったの!?」
ドラ「よーし、そうと決まれば宝探しだ!ジャイアンたちをぎゃふんと言
わせるぞ!」
のび「いやちょっと待ってよ!歴史が変わるって何の話!?」
ドラ「よし、タイムマシンで過去に行ってから、とりよせバッグで何か探
してくるよ」
のび「ねえ!ドラえもーん!僕のアナルって歴史の何なのさ!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:16:52.77 ID:RGCnZMTH0
のび太がそう言うより先に、ドラえもんはタイムマシンでどこかに行って
しまった。
5分後
ドラ「あったよのび太くん!いいものが!」
のび「本当!?」
ドラえもんの手に握られていたのは、装飾のついた一本の矢だった。
のび「なぁに?これ。ただのボロっちい矢じゃないか」
ドラ「いいや、とりよせバッグで、最も価値があるものを取り寄せようと
したら、これが手に入ったんだ、何かすごいものに違いないよ!」
のび「そうなのかなぁ…ボロボロだし…」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:17:54.66 ID:RGCnZMTH0
ドラ「とにかく、これで肉便器にはならずに済むんじゃないかい?」
のび「あ!それで思いだしたけど僕のアナルって一体なんのこ」
ドラ「さーて!どら焼きでも買ってこようっと!」
のび「ドラえもん!答えてよ!ねえ!」
ドラ「のび太くんも食べるだろ?どら焼き」
のび「いや!だからアナルって何!?むしろアヌスって何!?」
携帯『ハートをみーがくっきゃない♪きーれいにみーがくっきゃない♪』
ドラ「おっと電話だ。のび太くん、それじゃまた後で」
のび「ドラえもん!ごまかさないでよ!」
ドラ「黙れ小僧!人間にワシの肉棒が鎮められるか!」
のび「!?」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:19:47.66 ID:RGCnZMTH0
翌日 学校
先生「剛田ー、出木杉ー…は休みか。野比ー、骨川ー…」
ジャイ「おいのび太、ちゃんとアナルは開発したか?ククッ」
のび「その必要はないよ。すっごいものを見つけたんだからね!」
ジャイ「へえー?面白い。見せてもらおうじゃないの?放課後はお前の家
に行くからな」
スネ「脱兎のごとく逃げるんじゃないぞ!」
のび「誰が脱兎のごとく逃げたりするもんか!」
先生「そこ、五月蝿いぞ!粉みじんにして順番に裏山にバラ撒いてやろう
か!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:22:04.09 ID:RGCnZMTH0
放課後
ジャイ「…矢?」
スネ「…矢、だね」
しず「…アロゥ?」
のび「そうさ!矢だよ!すごいだろ!」
ジャイ「のび太、こんなものがあの仮面よりすげえって?ただの矢じゃね
えか!掘るぞオラァ!」
のび「ただの矢じゃないやい!ほんとにすっごいんだぞ!」
のび太がそう言って矢を手に取ろうとした時、指先を矢で傷付けてしまっ
た。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:23:33.59 ID:RGCnZMTH0
のび「あ痛っ!」
ジャイ「なにやってんだよのび太…のび太?」
のび太が突然、畳に倒れ伏した。
のび「う…ああ…うあああぁあぁ…」
ジャイ「のび太!?おい!どうした!」
しず「のび太さん!」
スネ「ああ!ヤバい!のび太が超神水飲んだ悟空みたいになってる!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:26:26.66 ID:RGCnZMTH0
のび「う…あ…あぁ…」
ジャイ「おい!のび太!しっかりしろよ!もう肉便器になれなんて言わな
いから!」
しず「大丈夫!?のび太さん!」
のび「う…ん、大丈夫、みたいだ…」
スネ夫「まったく、脅かしやがって…」
ジャイ「本当に大丈夫か?何にせよ、今日はもう休んだほうがいいな。俺
たち、もう帰るからな」
のび「ジャイアン、劇場版でもないのにそんなに優しく…」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:27:29.47 ID:RGCnZMTH0
夜
ドラ「そんな事があったのかい」
のび「うん、でももう何ともないさ」
ドラ「心配だなぁ…ん?」
のび「なんだい?ドラえもん」
ドラ「いや、何か動物みたいな声がしたような気がしてさ」
のび「ええ?動物ゥ?」
のび太が窓を開けて外を見るも、表の道路には動物どころか人の子一人い
なかった。
のび「気のせいじゃあないの?」
ドラ「きっとそうだね、ごめんごめん」
ママ「のびちゃーん、スネ夫君から電話よー」
下階からママの声が響いた。
のび「スネ夫から?何だろ…はーい!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:30:54.97 ID:RGCnZMTH0
スネ「あ、もしもしのび太?」
のび「どうしたんだよスネ夫、いきなり」
スネ「そ、それが…石仮面が無くなったんだ!」
のび「ええ!?泥棒でも入ったのか?」
スネ「それが分からないんだ…荒らされた形跡もないし…のび太、何か知
らないか?」
のび「僕にそんな事訊かれてもわからないよ…」
スネ「だ、だよな…悪い、混乱しちゃって…じゃあな!悪かったな!」
のび「あ、おいスネ夫?切れてる…」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:33:58.86 ID:RGCnZMTH0
ドラ「石仮面が…無くなった?」
のび「そうなんだって…ドラえもん、明日、秘密道具で探してあげてよ」
ドラ「そうだね、それがいい…?」
のび「ドラえもん?」
ドラえもんの視線の先で、窓の外側に張り付く黒い影がのび太を凝視していた。
ドラ「野比のだんな窓から離れろーッ!!」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:35:32.50 ID:RGCnZMTH0
のび「えっ…?うわ、うわあああああ!!」
窓ガラスを突き破って襲い掛かった男の影に、のび太は押し倒された。
吸血鬼「UREEYYY!!」
ドラ「のび太くんッ!!なんだこいつは!?」
のび「うわぁぁあ!!」
吸血鬼「か…渇く…なんか知らねえがよォ…渇いて…」
ドラ「くっ…何かヤバいッ!道具だッ!早く道具をッ!!」
吸血鬼「渇いて…しょうがねえんだ…」
のび「ぐあっ!」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:39:31.31 ID:RGCnZMTH0
筋肉質の腕がのび太の肩に突き刺さった。
のび「う…うあああああっ!!…!?ち…血…が吸い取られるゥ!」
ドラ「お前が動きを止める時を待っていた!くらえ!空気砲だァ~~!ド
カン!!」
吸血鬼が大きくのけ反った。
ドラえもんは空気砲を連射し、
ドラ「ドカン!ドカン!ドカン!」
それをまともに喰らった吸血鬼は壁際へと追い詰められた。
仰向けになって暴れる吸血鬼の脚爪がドラえもんの腹を掠める。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:43:53.23 ID:RGCnZMTH0
ドラ「今だ!ショックスティック!」
体勢を崩した吸血鬼にドラえもんが踊りかかった。激しい電撃が迸り、
吸血鬼が倒れ込む。
巨大な象すら気絶させるショックスティックだ。並の人間が喰らったらひとたま
りも無いだろう。
ドラ「ふう…大丈夫かい?のび太くん」
のび「あ…ありがとう、でもこいつは一体…」
ドラ「ただの人間じゃあ無さそうだ…どれ、宇宙完全大百科端末器で調べ
てみるよ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:49:45.06 ID:RGCnZMTH0
ドラえもんはポケットに手を入れて道具を探し始めた。
のび「ほんとうに…なんなんだ…?」
のび太は畳に転がる男を一瞥した。顔は若い男のようで、全身の筋肉が異
常に盛り上がっている。そして何よりも目をひいたのは、口から生えた二
本の牙だった。
のび「ドラキュラだったりして…」
そんな想像をしてのび太が身震いした時、男の体がピクリと動いた。
のび「ッッ…!!ドラえもん!こいつッ!まだ生きてるぞォーーッ!!」
ドラ「何!?そんなバカな!ショックスティックを喰らわせて!そんなに
早く起き上がるはずは無ァァーいッ!!」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 00:51:51.24 ID:RGCnZMTH0
吸血鬼は今度はのび太には目もくれず、ドラえもんに襲い掛かかる。
ドラ「アタールガン!!」
素早く撃ち出された数発の弾丸は、軌道を変えて全てが吸血鬼の頭部に炸
裂した。
のび「なにそれファンネル!?」
体液を撒き散らして吸血鬼が崩れ落ちた。
22 :
誰もよんでないのかな:2010/06/26(土) 00:53:15.38 ID:RGCnZMTH0
ドラ「本当に死んだのか…?」
そう言ってドラえもんが吸血鬼の頭を踏みつけたが、反応はない。
のび「…大丈夫、みたいだね…」
ママ「ちょっと!さっきから何を騒いでるの!?」
のび「まずい!ママが来る!!」
ドラえもん「早く死体を隠せ!えーとえーと!ここでいいや!」
ドラえもんは死体をタイムマシンの異空間にぶち撒けた。
のび「ええー!?いいのそんなことして!?」
ドラ「かまへんかまへん、多分」
23 :
誰もよんでないのかな:2010/06/26(土) 00:56:31.59 ID:RGCnZMTH0
翌日 学校
のび「…じゃあ、結局石仮面は見つからなかったの?」
スネ「ああ…。警察も来たんだけど…」
ジャイ「元気出せよ、そのうち見つかるだろ!」
のび太は、昨晩のことは皆には黙っておくことにした。
のび(また変な事に巻き込まれたらたまんないものなぁ…)
ジャイ「…び太、おいのび太、聞いてんのかよ?」
のび「あ、ごめん、聞いてなかったよ…なんだっけ?」
24 :
しまった、名前直すの忘れてヤンデレみたいになってる:2010/06/26(土) 00:58:28.26 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「なんだ聞いてなかったのか、じゃあいいや。…でもスネ夫、それ
じゃあ十次元と肝臓を繋ぐメタファーがニュートランスだからヴァンガー
ドオーバードブーストだって、ハーバードのホプキンス教授も言ってた
ろ?ユニバーサルメルカトル図法を使った茨城県内の研究所での実験でも
明らかだ」
スネ「いやいや、だけどフランクリンの哲学の時は例外でしょ。シュレ
ディンガーの最終定理を使えば、一番可愛いのは蒼星石ってことが証明で
きるよ」
のび「しずかちゃん、なんだか元気無いけどどうしたの?」
ジャイ「何を言っているんだ、この前の学界で脳科学の権威、チンポリ
オ・エルニーニョ博士が発表した論文では、ユークリッド非科学論が提唱
され、ゴーマニズム宣言が認められ、銀様が至高ってことが一般的にも広
く認知されたじゃないか」
しず「それが、出木杉さんが今日も休みなのよ…何かあったのかしら…」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:00:20.88 ID:RGCnZMTH0
スネ「でも、そうだからといってシュレディンガーの最終定理が間違って
いるってわけじゃないよ。アリストテレスだって言ってたろ?失う事から
全ては始まる。正気にては大業ならず。武士道とはシグルイなり。蒼星石
は俺の嫁…って。まあもっとも、蒼い子は僕の嫁だからそこはアリストテ
レスも間違えたみたいだけどね」
のび(なんだ出木杉かよ)
「ああ、そういえばそうだね。まあ、出来杉だって休むことくらいあるで
しょ」
先生「なぁーにを言っとるんだね君たちは!金糸雀之美、於薔薇乙女無不
勝也…漢文にもあるように金糸雀の可愛さは世界共通なのだよ!分かった
ら廊下に立っとれ!」
しず「でも心配だわ…。のび太さん、放課後、一緒にお見舞いに行かな
い?」
ジャイ「キム・シジャンとか誰得だよ」ボソッ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:03:42.41 ID:RGCnZMTH0
のび「ええー…まぁいいけどさ…」
先生「今ボソッと言ったのどこのどいつだァァ~ッ!!こぉ~ろぉ~
すぅぅぅ~!!」
しずか「じゃあ、今日の放課後にね!」
先生「俺達教師はな!そこら辺の教室やBBSで「ブッ殺す」「ブッ
殺す」って大口叩いて仲間と心を慰めあってるような小学生とはワケが違
うんだからな!「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動
は終わっているんだッ!」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:08:27.13 ID:pJIALpa90
みてるさ
28 :
>>:2010/06/26(土) 01:12:13.32 ID:RGCnZMTH0
放課後、出木杉邸前
のび「…人の気配がないね…」
しずかはチャイムを鳴らしたが、応答は無かった。
しずか「病院にでも行ってるのかしら…」
のび「きっとそうだよ!ねえ、早く帰ろうよ!」
その時、のび太の胸元から電子音が鳴り響いた。音を発しているのは糸な
し糸電話。昨晩の襲撃を受け、ドラえもんが念のためにと言って持たせた
ものだ。
のび「しめた!帰れるぞ!」
のび(もしもしドラえもん?)
しず「本音が出てるわよ、のび太さん」
ドラ「のび太くんかい!?大変なことが分かったんだ!今すぐ帰ってき
て!いいね!」
それだけ言うと、電話は一方的に切られてしまった。
29 :
>>27 ありがたい:2010/06/26(土) 01:13:22.16 ID:RGCnZMTH0
のび「あ、もしもし!?…しずかちゃん、そういう訳だから僕もう帰る
ね!じゃ!」
しず「あ、のび太さん!?ちょっと待っ…」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:14:09.09 ID:RGCnZMTH0
野比家
ドラ「のび太くん、事態は思ったより大変なことになってるみたいだ…ま
ずはこの映像を見ていただきたい。始めに紹介するのはこの男。一見普通
の男に見えるが、実はこの男、とんでもない力を秘めているのだ。」
ドラえもんがモニターの映像と共に解説する。
ドラ「そこで今夜は、イギリスのドキュメンタリー『人間をやめた者た
ち』より、皆さんを驚くべき超人の世界にご招待しよう」
のび「急にどうしたのさ?」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:14:16.07 ID:od4cWI6a0
俺もいるぜ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:15:21.49 ID:RGCnZMTH0
ドラ「まずはこの映像の中央にご注目いただきたい。」
のび「あ、これは昨日の!」
ドラ「なんの変哲もない男のように見える…。が、次の瞬間!パリィィー
ン!!なんと窓を突き破ってケビンに飛びかかったではないか!ケビンが
危ない!」
のび「ケビンって誰…僕かよ!」
ドラ「が、その時!ドラえもんが素早くマグナムをぶっ放した!!うー
む・・・しかしこの猫型ロボット、なんというナイスガイであろうか…だ
が!驚くのはまだ早い!なんと男がまた起き上がったではないか!」
ドラえもん「とにかく男をなんとかするのが第一だと思いました」
のび「何捏造してんだよ!動画まで編集して!」
34 :
ありがてえありがてえ:2010/06/26(土) 01:17:02.48 ID:RGCnZMTH0
ドラ「しかし、またもドラえもんによって倒された!しかし何故この男は
起き上がったのであろうか…この分野の権威、ソニックワゴン教授に話を
伺った」
のび「そうそう、それが知りたかったんだよ」
SW「こいつはくせぇーッ!ゲロ以下の臭いがプンプンするぜぇーッ!!」
ドラ「うーむ、まさか吸血鬼が実在していたとは…しかし、太陽には弱い
が、恐ろしい力だ…襲われたケビンは大丈夫なのだろうか?」
のび「ええ!?吸血鬼だって!?」
医者「一命は取り留めましたが、もう二度と歩けないかもしれません」
ドラ「三ヶ月後、そこには元気にサバンナを疾走するケビンの姿が!」
ケビン「あの時ドラえもんがいなかったら、今の僕はここにはいません、
本当に感謝しています」
のび「!?」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:18:46.59 ID:RGCnZMTH0
ドラ「うーむ、すごい、すごすぎるぞ吸血鬼…だが世界には、もっとすご
い超人がいた!!」
ドラ「一見帽子と髪の毛が一体化している以外はなんの変哲もない高校
生…だが次の瞬間!」
承り「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
ドラ「ん?と、隣のハンサム顔が何かに殴られたような…もう一度スロー
で見てみよう」
チェリー「レロレロレロレロレロレロレロレロ」
ドラ「うーむ、何が起きているのだろうか…。この分野に詳しい、J.P.
ポルポル博士にお話を伺った」
ポル「だからどこなめちまったか?なんてどーでもいいことじゃあねえか
よぉ~あえて言うなら…オホン!ベンk
吉良「手首ペロペロ!!」
ポル「誰だお前!!」
間田「あずにゃんペロペロ!!」
ポル「誰だお前!!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:20:22.19 ID:RGCnZMTH0
ドラ「うーむ、スタンドとは興味深い…。すごい、すごすぎるぞスタンド
使い!!」
のび「スタンド使いって…?」
のび「そんな人たちが…」
ドラ「スタンドはスタンド使いにしか見えない…。要するに自分の意思で
動かせる守護霊のようなものだね」
のび「でも、それと昨日の男と何の関係が?」
ドラ「そこでこの矢が出てくる」
のび「矢が…?」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:22:22.79 ID:RGCnZMTH0
ドラ「そう、スタンド使いには大きく分けて二種類が存在する。一つは生
まれつきスタンドを持っているもの。そしてもう一つが…、この矢に貫か
れてスタンドが使えるようになったものだ」
のび「なんだって!?」
ドラ「なぜこの矢でスタンドが使えるようになるのか…。詳しいことは分
からないが、この矢は隕石が墜落した場所の石から作られているらしい。
宇宙の未知のウイルスによる『進化』という説がある」
のび「このボロっちい矢に、そんなウイルスが…?」
ドラ「ああ…。そして、思い出した。のび太くん…。君は、あの矢で指を
傷付けていたねッ!?」
のび「!!…じゃ、じゃあもしかして!」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:28:29.93 ID:RGCnZMTH0
ドラ「ああ…。君もスタンド使いになっている可能性が高い」
のび「すっごーい!ねえねえ、どんなスタンドなの!?」
ドラ「僕が知ってるわけないじゃない。自分で出してみたらどうなんだ
い?」
のび「そっか!よぉーし…!出ろ!僕の『スタンド』ッ!!」
のび「……。」
ドラ「………。」
のび「…出ないよ…?」
ドラ「おかしいなぁ…そんなはずは…」
のび「やっぱり僕にスタンドなんかないんじゃない?」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:31:25.62 ID:w+W03+830
しずちゃん「キャー!のび太さんのカイゼルグレイモン!!」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:34:47.82 ID:RGCnZMTH0
ドラ「いや、矢に刺されたからには…って、そうだ!そんな事が問題じゃ
ない!」
のび「えっ?」
ドラ「昨日の男は吸血鬼だっただろう!吸血鬼はどうやって生まれるか、
知ってるかい?」
のび「いや、分からないよ」
ドラ「吸血鬼は…石仮面によって生まれるんだ!」
のび「なんだって!?」
ドラ「石仮面には、血液を浴びることで内蔵された骨針が飛び出す仕掛け
がある…!その骨針が頭に刺さることで、人間は吸血鬼になるんだ!」
のび「石仮面って、あのスネ夫が持ってたやつだよね!?」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:40:58.77 ID:RGCnZMTH0
ドラ「そう!石仮面が盗まれたというのも…石仮面の真の価値を知る人間
によるものと考えて、まず間違いないだろう」
のび「そんな!でも昨日の男は石仮面なんて持ってはいなかったッ!」
ドラ「あの男は混乱しているようだった…おおかた、『実験台』にでもさ
れたんだろう…持ち主は他にいる!」
のび「そんな…!じゃあ早く取り返さないと!」
ドラ「ああ、また犠牲者が出るだろう…。よし、…『どこかな窓』!探し
ものの現在位地を見ることが出来る!」
ウィーン…ガガガガ
のび「どこかの家の中…みたいだけど、暗くて良く見えないね」
ドラえもんは懐中電灯を取り出した。
ドラ「どうだ 明るくなったろう?」
暗い部屋の奥に、石の仮面がなんとか確認できた。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:41:53.51 ID:RGCnZMTH0
のび「あったよ、ドラえもん!」
ドラ「よし、『スモールライト』で小さくなって、窓の中に入るんだ。こ
の場所にワープできる」
のび「分かった、行こう!」
のび「…暗いね…」
元の大きさに戻ったのび太は呟いた。
昼間だというのにカーテンは閉め切られ、電気もついていない。
ドラ「待ってろ、今懐中電灯を…」
その時、暗闇の中から物音がした。
のび「誰だ!」
咄嗟に叫んだが、その後は物音ひとつしなかった。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:42:44.52 ID:RGCnZMTH0
ドラ「気のせいか…?」
ドラえもんが懐中電灯をつけた。
のび「ああッ!!無い!石仮面が無いッ!!」
確かに、置いてあったはずの場所から石仮面が消えていた。
ドラ「やっぱり今の物音は!」
のび「くそッ…!!仕方無い、この家がどこかだけでも確かめよう」
二人は玄関を見つけ、外に出た。既に景色は夕焼けに染まっていた。外か
ら見て分かったが、なかなかに大きな家のようだ。
表札を確認すると、そこには…
のび「出木杉…?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:44:03.87 ID:RGCnZMTH0
ドラ「ど、どういうことなんだ…?まさか、出木杉くんが襲われたの
か!?」
そう言われると、昨日の男には出木杉の面影があったような気がしてく
る。
のび「そんな…出木杉…」
ドラ「…こんなことで悲しんでいる暇はない…。もうすぐ夜だ。また誰か
襲われるかもしれない…。」
のび「『こんなこと』だとッ!?ドラえもん!貴様ァァーッ!!」
ドラ「……。」
のび「あいつは『いい奴』だったッ!勉強も運動も出来るが決してそれで
驕ることも!他人を見下すこともしなかったッ!!だけど!だけど出木杉
は死んでしまったッ!!それを『こんなこと』だとォーッ!?訂正しろ!
ドラえもんッ!!」
そこまで言ってのび太は、ドラえもんが何かに耐えるような表情で掌を握
り締めているのに気付いた。
のび「…ドラえ…もん…」
ドラ「のび太くん…急ごう。スネ夫たちにこのことを知らせるんだ」
そう言ったドラえもんの眼には、とてもロボットとは思えない、強い決意
の色が浮かんでいた。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:44:40.90 ID:RGCnZMTH0
スネ「…まだ信じられないよ…。あの石仮面にそんな力が…」
ジャイ「出木杉が…そんなこと……てめぇッ!嘘を言ってるんじゃねぇ
えーッ!!」
ジャイアンがのび太の襟首を掴み上げた。
のび「うぐっ…ま、まだそうと決まったわけじゃ…ないよ…っ」
ジャイ「…ッッ…すまねぇ、つい興奮しちまって…」
のび「いや…いいんだ…僕だって最初は…いいや今だって…ッ」
しず「出木杉さんが…そんなの…嘘ッ!嘘だわッ!!」
そう叫ぶやいなや、しずかは外へと飛び出していってしまった。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:45:35.75 ID:RGCnZMTH0
のび「ああッ!しずかちゃんッ!!」
ドラ「まずい!もう外は夜だってのに!のび太くん!空気砲を持っていっ
て!しずかちゃんを追うんだ!」
のび「分かった!!」
のび太はしずかの後を追って飛び出した。
ドラ「ジャイアン、スネ夫、どこでもドアを通って今日はもう帰ってく
れ。また襲われたら守り切れる自信がない」
ジャイ「なんだよ!そんな奴ら俺がひとひねりしてやるっての!」
ドラ「…頼むよ」
ジャイ「…ドラえもん……。分かったよ。スネ夫、帰ろうぜ」
スネ「う、うん…。そうだね。ドラえもん、それじゃ」
ドラ「うん…二人とも、気をつけてね…」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:46:28.34 ID:RGCnZMTH0
のび「はぁっ…はぁっ…よ、よく考えたら…しずかちゃんのほうが足は速
いんじゃないか…ぜー、はー…」
しかしのび太が顔を上げると、道の先にしずかの姿があった。
のび「あっ…!おーい!しずかちゃん!」
しず「……のび太さん…私…ごめんなさい…!」
のび「しずかちゃん…いいんだよ。さあ、ここは危ないよ。戻ろう」
「その必要は無いよ、のび太くん」
暗闇から声が響いた。
のび「!?」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:47:10.60 ID:RGCnZMTH0
のび太は最初、それが誰の声だか分からなかった。暗闇で姿が見えないの
もあるが、何より今ののび太の精神状態では、素早い判断は不可能に近
かった。
しかし、気付いた。のび太のクラスに、自分を『のび太くん』と呼ぶのは
たった一人しかいない。
のび「…出木杉……?」
しず「出木杉さんなの!?」
出木「ああ、しずかちゃんの家と君の家じゃあ逆方向だろ?僕が送るよ、
しずかちゃん」
のび「出木杉…!良かった、家にもいないから何があったのかと!」
出木「え?あっはは、いやだなあ。ちょっと病院に行ってただけさ」
のび「でも、ダメだ!今日は危ない奴がうろついてるんだよ!僕の家から
どこでもドアで送るから!」
出木「変な奴?」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:47:43.48 ID:RGCnZMTH0
のび「ああ!詳しいことは後で説明するけど、吸血鬼みたいな怪物が!」
出木「え…吸血鬼?」
のび「そうなんだ!だから早く…!早く来て!」
出木「…なーんだ、もうそこまでバレちゃってるのか」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:48:19.75 ID:RGCnZMTH0
のび「……え…?」
出木「あー、そうだよね。僕の家に入ってきた時、仮面がどうとか喋って
たもんね?」
のび「出木杉…何を言って…?」
出木「こういうことだよ」
そう言うと出木杉は、肩に下げたバッグから石の仮面を取り出した。
のび太は、しばらく出木杉と石仮面という二つの取り合わせが理解でき
ず、呆然とした。
のび「な…んで、お前がそれを……?」
出木「んー、盗んで来たんだよ。スネ夫くんの家からね。念のため浮浪者
で試してみたんだけど、どうやら本物みたいだね。」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:48:36.04 ID:4G/Y13H00
なかなか
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:49:07.47 ID:RGCnZMTH0
のび「なんで……なんでそんな事をしたんだ!!」
出木「何故だと!!」
突然の出木杉の激昂に、のび太は気圧された。
出木「お前のせいだよ…のび太…」
のび「え…?僕の……?」
出木「僕は勉強が出来る。運動も、趣味も、何をやったって!!お前なん
か!お前なんかより!ずっとずっとずっとずっと!!上手く出来るんだ
よッッ!!」
のび「………ッ」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:49:41.83 ID:RGCnZMTH0
出木「なのに!なのになのになのになのに!!」
出木「何でだあ……?」
出木「何でいつもお前の周りばかり!友達もッ!冒険もッ!その上……」
出木「しずかくんも…」
のび太の背後で、しずかがビクリとからだを震わせた。
出木「分からないよ……僕は屑みたいなクラスメイトも表面は見下さない
で接してきた…馬鹿な教師にも媚びを売って……僕は…俺は……何でだよ
何でだよ何でだよ何でだよォォッ!!」
出木杉の感情が爆発する。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:50:52.92 ID:RGCnZMTH0
のび「出木杉……」
出木「だからさぁ?」
出木「だから…もう…やめにしようと思ってさ…」
出木杉が懐からナイフを取り出した。
のび「出木杉駄目だ!死ぬなんて!!」
出木「死ぃぃぬぅぅう?ふぇふはひひふへはは!!馬鹿かい?のび太く
ん?」
のび「え…?」
出木「もうさぁ…こんな世界嫌なんだよ……腐り切ってる……人間なん
て…クソ喰らえなんだよ……」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:52:03.36 ID:RGCnZMTH0
出木「だからね……」
出木杉は石仮面を被り、
出木「僕は人間をやめるよ……のび太くん……」
ナイフを自らの首に突き立てた。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:52:46.89 ID:RGCnZMTH0
のび「出木杉!!…うわっ!!」
石仮面から眩い光が迸り、のび太はおもわず顔を覆った。
しず「出木杉さん!!」
のび「う……出木杉……?」
のび太が目を開けると、路上に倒れる出木杉の姿が飛び込んできた。
息をしている気配は無い。
のび「出木杉……」
しず「出木杉さん!!出木杉さぁぁん!!」
のび「しずかちゃん!!」
泣き叫んで出木杉の死体に駆け寄るしずかを、のび太はなんとか制する。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:54:16.26 ID:RGCnZMTH0
のび「しずかちゃん!!落ち着いて!ひとまず家に戻ろう!」
しず「嫌ぁ!!出木杉さぁぁん!!」
出木「しずかくんは優しいなぁ。まだ僕のことを心配してくれるのか
い?」
しず「出木杉さん!!」
のび「出木杉ッ……!!」
石仮面を被って起き上がった。それがどんなことを示しているのか、のび
太は瞬時に理解した。
のび「しずかちゃん……逃げるんだ」
しず「何で!出木杉さんが生きてたのよ!?」
しずかは最早まともな思考力を失っている。のび太は激しい焦りを感じた。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:54:59.41 ID:RGCnZMTH0
出木「ハァ……なんて良い気分なんだ…これが、人間からの解放……今の
僕なら何だって出来る…そうだな…メインディッシュは後に取っておくも
の…まずはやっぱり…」
出木杉が邪悪に嗤う。
出木「しずかくんかな」
しずかの笑みが消えた。
しず「あ……なんで…出木杉さん……」
のび「走れ!!」
その叫びで我に帰ったのか、しずかが走りだす。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:55:45.11 ID:RGCnZMTH0
出木「逃がすとでも思ってるのかい?」
のび「待て!出木杉!!」
しずかを追おうとした出木杉を、のび太が止めた。
のび「行かせるとでも……思ってるのかよ……?」
両者はしばらく睨み合った。
出木杉は嘆息して、
出木「やれやれ……人間の君に僕が止められるとでも?」
のび太は不敵に笑んで、
のび「止めてみせるさ」
出木杉の額に青筋が浮かぶ。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 01:57:00.22 ID:RGCnZMTH0
出木「…気が変わった……やっぱり殺すのはお前からだ……。お前の!そういう態
度が気に喰わねえんだよォォーーッ!!」
出木杉の鋭い手刀が繰り出された。のび太はその動きを追うことすら出来
ない。
時間稼ぎは十分に出来た。後はしずかが無事に逃げ延びてくれるのを祈る
だけだった。
のび太は最後に意味のあることを成し遂げ、満ち足りた気持ちだった。だ
が。
それでもまだ、諦めてはいなかった。
出木「何ッ!?」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:00:31.10 ID:RGCnZMTH0
出木杉の手刀が、何かに弾かれた。
のび太が目を見開く。
何が起こったのか?のび太はそれを感覚で理解していた。
赤黒く華奢な体に不釣り合いな巨大な銀の腕を持つそれは、
のび「僕の……スタンド…!!」
出木「クソッ…!なんだ!?何が起きてる!のび太貴様!この暗闇の中で
何が見えているッ!?」
のび「それは言えない…。でも、僕だけのものだ…。」
出木「意味の分からない事をゴチャゴチャとッ!なんだかわからんがくらえッ!!」
のび「くッ!ガードしろ!」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:01:28.13 ID:RGCnZMTH0
スタンドの腕のガードで、出木杉の攻撃は阻まれた。
のび「凄い…!本当に思った通りに動くのか!」
出木「クソッ…なんだ!?さっきから見えない何かに邪魔されやが
る……!」
のび「今度はこっちの番だ!いけッ!」
のび太のスタンドが出木杉に殴り掛かる。スタンドの見えない出木杉に
は防御することも、避けることも出来ない。
出木「ぐあッ!……?なんだ?フン、なんだか知らんが攻撃力はそこまで
強くないようだな…常人より少し強い程度か…」
のび「そんな……!?ほとんど効いてない!」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:03:16.06 ID:RGCnZMTH0
出木「こんな傷、この俺に取っては屁でもないわ!くだらない手品もこ
こまでだッ!今度こそ死ねいッ!!野比のび太ッ!!」
のび「!!」
スタンドのガードが間に合わない。出木杉の拳がのび太の眼前に迫ったそ
の時、
肉の潰れるような嫌な音を立て、出木杉の腕がひん曲がった。
出木「ぐぉあッ!!」
出木杉の腕が、絞られた雑巾のような形でグシャグシャになっている。
出木「なんだ…?一体何が起きている……!?のび太!貴様!」
のび「これは…僕のスタンド能力か……!?でも一体これは……」
その時、のび太のスタンドが、いきなり地面の石を殴りつけた。
のび「何だ!?いきなり勝手に…ハッ!」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:04:26.13 ID:RGCnZMTH0
スタンドに殴られた石を見ると、殴られて数秒が経っているというのに、
まだ回転を続けてきた。いや、それどころか、段々と回転の勢いが増して
いるようだ。
のび「これはもしかして…『殴ったものに回転を加える』能力かッ!?そ
れを伝えるために…?」
それを聞いて、のび太のスタンドが微かに頷いたようだった。
どうやらスタンドにも意思というものがあるようだ。
出木「この出木杉の目の前で余所見とはずいぶんと余裕だなァ?」
気が付くと、出木杉がすぐ側まで近付いてきていた。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:05:36.65 ID:RGCnZMTH0
のび「ハッ!しまった!行け!」
襲い掛かった出木杉の胸に、カウンターの形でスタンドの拳が入った。
出木「ごふっ…!」
肺が潰され、息が詰まる出木杉。
のび「今だ……!くらえッ!!『バック・オン・マイフィート』ッ!!」
出木杉の胸から背中にかけてが文字通り『回転』し、骨の折れる音が響いた。肉が潰れ、骨が折れ、尚も回転は止まらない。
出木「ぐおあああぁああーーッ!!」
回転による破壊で、出木杉の片腕がちぎれ落ちる。
出木「馬鹿な……こんなことがァァァーーッ!!」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:06:11.14 ID:Pys08RtZ0
このスタンドを得にしてくれよ
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:07:18.09 ID:RGCnZMTH0
血液を撒き散らして出木杉が跳び退った。この時出木杉が見せた跳躍は、
訓練によって到達しうる領域を明らかに凌ぐものであった。
出木「ハァッ…ハァッ……何故だ…何故この僕が…この俺が人間如きにぃ
……ッ」
出木杉の体は既に再生を始めていた。吹き飛んだ肉片が、折れた骨と骨
が、元の形に戻って行く。
その恐ろしい再生速度に、のび太は唖然とした。
出木「フゥッ……クク…何をやったかは知らんがこの程度の再生、造作も
無い……」
のび「くっ……!」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:11:39.33 ID:RGCnZMTH0
出木「…そうか!ドラえもんだな!?あのロボットの道具だろう!何故こ
んな簡単なことに今まで気付けなかったんだ!」
のび「………ああ、その通りだ……。良く分かったな…出木杉……。」
出木「やはりそうか!あはははは!大体!君のような人間が僕を出し抜こ
うなんてのがおかしいんだよ!お前一人じゃ俺に敵いはしねぇんだ
よッ!!」
のび「…今からでも、元の体に戻る気はないか?ドラえもんならきっと…」
出木「そんなことがあるわけないだろうが!クヘヘハ!」
のび「それなら僕が君を止める」
出木「…ふざけるな野比のび太……お前程度が!この出木杉英才に敵うもの
かァァーーッ!!!」
無防備なのび太に、出木杉の全力の拳が繰り出される。
のび「たしかに、僕のスタンドじゃあ君のパワーに敵わない……。だけ
ど」
出木「!」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:12:42.51 ID:RGCnZMTH0
のび太の掌の上で、アスファルトの欠片が風を巻き起こして激しく回転し
ていた。
力を溜め続けたそれは、強力なエネルギーを秘めている。
のび「勝つのは……僕の方だ」
チャージしてきた回転のエネルギーが一気に解放され、弾丸のようなス
ピードのアスファルト片が、出木杉の胸に大穴を穿った。
出木「ごぶぉッ!!」
胸の風穴から鮮血が噴き出すのと同時に、出木杉の口からも血の塊がこぼ
れた。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:14:07.23 ID:RGCnZMTH0
出木「ご…ごの程度の傷なんが……」
出木杉はそう言ったが、先程までと比べて、体の再生速度は明らかに遅く
なっていた。
出木「な……何故だ……!?…そうか…!血だ…!血が足りないの
か……!!」
のび「どうやら無敵の再生力もそこまでみたいだね…」
出木「ぐっ………」
のび「もう一度だけ言おう。おとなしくするんだ。ドラえもんのタイムふろしきなら、あるいは
元の体に戻れるかもしれない」
出木「人間に戻るだと!?ふざけるな!そんな気など微塵も無い!!」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:15:15.59 ID:RGCnZMTH0
のび「……。残念だよ…出木杉。君のことを……殺さなくちゃ、ならない
なんて」
出木「殺すゥ?今、殺すと言ったのか?この俺を?お前が?こいつは面白
いジョークだなぁ?」
のび「出木杉…。もう君に再生力は残っていない。自分でも分かっている
んだろう?」
のび「君を野放しにするわけにはいかない。僕が、ここでカタをつけ
る。」
出木「クク……。屈辱だ…こんなクズにこの俺が煮え湯を飲まされるとは
な……だがこの出木杉英才、大事を前にして小事に拘る男では無い!残さ
れたもうひとつの選択肢…。それは…『逃げる』!」
そう言い終わるかどうかというところで、出木杉は踵を返し、脇目も振ら
ず逃げ出した。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:16:13.30 ID:RGCnZMTH0
のび「しまった!ま…待てェッ!!」
まさかプライドの高い出木杉がそんな事をするはずが無い。のび太はそう
思い込んでいた。しかしそれは大きな間違いだった。
出木杉は、目的の為には手段を選ばない男であったのだ。
のび「くそッ……出木杉ィィィーーーッ!!」
のび太の叫びが、夜の街に虚しく響いた。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:16:35.50 ID:kYwQAiNf0
>>1
起きたら読むからがんばってくれ
79 :
>>78 がんばってみます:2010/06/26(土) 02:18:47.32 ID:RGCnZMTH0
翌日
ママ「のび太ー、早くしないと学校に遅れるわよー?」
のび「うん、今行くよ」
のび太はコピーロボットの鼻を押した。小さな人形のようだったロボット
が、のび太の姿に変わって行く。
コピー「じゃあ、いってくるよ」
のび「うん、頼んだ」
コピーを見送ったのび太は襖を閉め、座ってドラえもんと向かい合った。
ドラ「…出木杉の行方は一向に分からないままだ…このまま出木杉を放っ
ておいたら大惨事になる」
のび「うん…。早く、僕たちの手でなんとかしなきゃね…」
ドラ「その通りだよ。一刻も早く情報をかき集めないとね。……さて、実
は、君の話と、タイムテレビの映像で、君のスタンドを僕なりに分析して
みたんだ」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:19:35.59 ID:RGCnZMTH0
のび「ほんと!?教えて教えて!」
ドラ「まずはこちらの映像をご覧いただきたい。何が映っているかお分か
r」
のび「いやそういうのはいいから」
ドラ「ええー?どうしてもダメ?」
のび「普通の説明でいいから…。なんで君はそんなふつに説明したがるん
だい?」
ドラ「僕なりの愛だよ」
のび「そんな汚いものいらないよ」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:20:27.17 ID:RGCnZMTH0
ドラ「……さて、スタンドには主に大きく分けて三種類が存在するんだ」
ドラ「まずは近距離パワー型。射程が短い分、パワーやスピードに優れた
スタンドが多いね。でも、射程の短い分、本体の負傷の危険性も高い」
ドラ「次に、遠隔操作型。射程が長いかわりに、パワーやスピードは近距
離型に劣る。でもその分、精密動作も可能で、本体の危険性も少ない」
ドラ「最後に、自動操縦型。射程がかなり長いうえに、距離に関係なく大
きなパワーを発揮できる。さらには、スタンドのダメージは本体にフィー
ドバックしないんだ。でも、自動操縦だから大雑把な動きしか出来ない
上、スタンドの様子も本体には分からない。…って僕らの味方Wikipedia
が言ってたよ」
のび「なるほど…。よく分からないということが分かったよ。それで、僕
のスタンドはどのタイプなの?」
ドラ「君のスタンドは恐らく近距離型だと思う。射程は5メートル
くらいだね。」
のび「ふぅん…。」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:21:51.40 ID:RGCnZMTH0
ドラ「能力は、君が言ってた通り、『ものに回転を加える』で合っている
と思う。そして、回転のエネルギーは対象の内側に蓄積されるようだね」
のび「へー」
ドラ(こいつ絶対分かってないな…)
その時突然、部屋の中央にフラフープのような輪が出現した。
のび「うわっ!な、なんだ!?」
ドラ「ジャイアンたちだよ。昨日、ストレートフープを渡しておいたん
だ」
※ストレートフープは、目的地に繋がる通り抜けフープのような道具です
ドラえもんの言葉通り、フープからはジャイアンとスネ夫が現れた。
ジャイ「おう、邪魔するぜ」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 02:22:55.39 ID:RGCnZMTH0
スネ「どうだい、その後何か進展はあった?」
のび「…………。」
ドラ「…のび太くん、僕から説明するよ」
ジャイ「?」
ジャイ「……。」
スネ「……う、嘘だろ?それ……」
ドラ「残念だけど……今喋ったことは全て紛れも無い真実だ……僕も信じ
たくはないけど……」
ジャイ「てめェッ!ドラえもん!ホラ吹いてんじゃあねェぞッ!!」
ジャイアンがドラえもんに掴みかかる。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 03:00:23.18 ID:RGCnZMTH0
のび「ジャイアン!」
スネ「やめろよジャイアン!」
ジャイ「出木杉が……そんなことするわけ……」
ジャイ「……。」
ジャイ「すまねぇドラえもん、このジャイアン様ともあろうものが取り乱
しちまった」
ドラ「いいんだよ、気にしないで」
ドラえもんは少し咳き込んだ。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 03:01:06.08 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「でもよぉ~…やっぱりにわかには信じられないぜ…。あの出木杉
が、だぜ?あいつ、『ムシも殺せません』って顔してるのによォ~」
ドラ「僕もそう思う…。でも、もう起こってしまった事なんだ。今は、と
にかくこれからの事を考えるべきだ」
ジャイ「そうだな……」
のび「……」
部屋に訪れた長い沈黙の後、ジャイアンが不意に口を開いた。
ジャイ「なぁ、ドラえもん……。一つだけ、頼みがある……」
ドラ「…なんだい?」
ジャイ「俺にも……その『矢』を刺しちゃあくれないか……?」
ドラ「……!!」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 03:02:40.95 ID:RGCnZMTH0
駄文ですがどなたか保守していただけるとありがたいです
さるさん喰らった
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 04:41:32.76 ID:GQjInskQ0
荒木節でもないし、藤子調でもないし、独特のノリだな
92 :
保守ありがとうございました:2010/06/26(土) 07:05:41.06 ID:RGCnZMTH0
ドラ「……!!」
ジャイ「俺も…俺も、スタンド使いになる」
ドラ「…スタンド使いになれば、元の生活には戻れない…… のび
太くんには黙っていたことだけど、スタンド使いには一つの大原則がある
んだ……」
ジャイ「原則…?」
ドラ「『スタンド使いは引かれあう』…スタンド使いになった以上、戦う
『運命』からは逃れられない」
のび「……!」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:06:51.75 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「『スタンド使いは引かれあう』……」
そう呟いて、ジャイアンはしばらく黙っていたが、
ジャイ「…なんだ、そんなことかよ」
ドラ「…ジャイアン?」
ジャイ「思ったより簡単なことじゃねぇか。戦うことが『運命』なら、ぶ
ん殴って黙らせりゃいいだけじゃねえか。敵も、運命も」
そう言うと、ジャイアンはドラえもんの手から矢を取り上げ、自分の腕に
突き立てた。
ジャイ「ぐおッ……!」
のび「……ッ!!ジャイアン!」
ジャイアンは大きく体を震わせたが、
ジャイ「ふー……大丈夫みたいだ……」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:08:30.99 ID:RGCnZMTH0
スネ「良かった…」
のび「ジャイアン、これが見えるかい?」
のび太はスタンドを出現させた。
ジャイ「……!すげえな……!」
のび「いや、ジャイアン、君も出せるはずだよ、スタンドを」
ジャイ「おう、そうだな。…………。」
ジャイ「えー……どうやって出すんだ?」
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:09:20.53 ID:RGCnZMTH0
のび「どうやってって……うーん……」
のび「ヤバい!みたいな?」
ジャイ「ヤバい?」
のび「いや、うーん、こう、死ぬッ!みたいな…」
ジャイ「死ぬッ!……?」
のび「ンギモッヂイイ!!みたいな」
ジャイ「良く分かんねえな……」
のび「ごめん……。」
のび「でも、スタンドが見えるってことは…君もスタンドが使えるはずな
んだけどなー」
ジャイ「うーん……」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:12:08.32 ID:RGCnZMTH0
会話に入れないスネ夫は1人で缶コーヒーを飲んでいる。
既にいくつかの空き缶が畳に転がっていた。
スネ「…それでさ、出木杉は見つかったの?」
ドラ「いや、スパイ衛星を1ダース総動員して探してるんだけ
ど…」
ドラえもんはモニターに目をやる。
ドラ「まだ見つからないね…」
スネ「そうか…」
ドラ「もしも……もしも、夜までに見つけられなかったら……」
ドラ「この月見台の町は、終わりだ」
のび「………」
ジャイ「何か、出来る事はねえのかよ!?ジッとなんてしてらんねェ!」
ドラ「今は情報を集めることしか…吸血鬼は、夜にしか行動できないし」
のび「…そういえば、しずかちゃんはどうしてるかな……」
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:22:32.52 ID:RGCnZMTH0
午後
のび「……時間が!時間がないッ!」
スネ「ヤバいヤバいヤバいやヴァイ」
ジャイ「ドラえもんッ!まだ見つかんねーのかよ!?」
ドラ「今探してるって!慌ててもしょうがないだろ!落ち着いて!」
ジャイ「…しょうがねえ、探しに行くぜ俺は!ここで待ってるよりはマシ
だ!」
ジャイアンは階段を駆け降りて、外に出ていった。
のび「あ、待って、僕も行くよ!」
のび太がジャイアンを追おうとした時、ジャイアンが血相を変えて駆け
戻って来た。
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:25:51.15 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「た…大変だ!外!外見ろ!!」
ジャイアンに促されて外を見ると、太陽は隠れ、空は厚い雲に覆われてい
た。
のび「なんで今まで誰も気がつかなかったんだ!これじゃあ日没までに三
時間もかからないぞ!!」
スネ「なんてこった……」
ジャイ「のび太、スネ夫、無駄かもしれねえが、とにかく出木杉を探しに
行くぞ!」
ジャイアンの言葉で、二人も家を飛び出した。
ドラ「ダメだこの状況……はやくなんとかしないと……!」
のび「見つかった!?」
スネ「駄目だ、やっぱり家にはいない!」
ジャイ「裏山にもいないぜ…」
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:36:03.17 ID:RGCnZMTH0
既に辺りは暗くなりはじめていた。
あと30分もすれば、夜の帳が下りるだろう。
ジャイ「…とりあえず 戻ろう。夜になったら、取り返しがつかな
くなる」
ジャイ「…その前に、なんとかドラえもんの道具で対策を打とう」
三人がのび太の家に着くころには、既に夕日が町を染めていた。
ドラ「いくら探しても見つからない…これだけ探しても見つからないって
事は、きっとかなり遠くに逃げてるんだ…」
部屋には、コピーロボットも帰って来ていた。
ジャイ「どうすりゃいいんだよ!間に合わなかったじゃねえか!日没まで
あと10分もない!」
ジャイアンは頭を抱えた。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:37:30.38 ID:RGCnZMTH0
ドラ「…のび太くん、君の意見を聞こう」
のび「…出木杉は執念深い性格だ。また僕を狙ってくるはず…」
のび太は目を見開き、
のび「…しずかちゃんは!?」
ドラ「しまった!!」
出木杉にばかり気を取られ、しずかのことまで誰一人として来が回らな
かった。
ドラ「なんて馬鹿だ!ありえない!五人もいたんだぞ!誰も気付かなかっ
たなんて!」
ドラえもんがどこでもドアを取り出そうとした時、
スネ「あ」
窓ガラスが粉砕された。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 07:43:06.90 ID:RGCnZMTH0
ゾンビ「VENOAAAAAAAA!!!」
飛び込んで来たのは一体のゾンビだった。飛び込んだままのエネルギーで
ドラえもんに突っ込み、
ドラ「がはッ!!」
ドラえもんの腹を切り裂いた。
ジャイ「二階から!?」
のび「しまった!『バック・オン・マイフィートッ』!!」
のび太のスタンドの攻撃は、ゾンビを体液を撒き散らして絶命せしめた。
スネ「ドラえもん!」
のび「大丈夫!?ドラえもん!!」
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:11:34.23 ID:RGCnZMTH0
ドラえもんは上体を起こし、
ドラ「うん……大丈夫みたいだ。傷は浅いし、内部までは届いてない」
のび「良かった…」
ジャイ「いや…そうでもねえみてぇだ…」
スネ「え?」
ジャイアンの視線の先には、真っ二つに切り裂かれたポケットがあった。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:23:32.62 ID:RGCnZMTH0
のび「ああッ!!」
スネ「こ、これじゃあ…道具が使えない!」
ジャイ「スペアポケットは!?スペアポケットがあるだろう!」
ドラ「残念だけど……」
ドラ「……今壊れたのが、スペアポケットさ…のび太くんには言わなかっ
たけど、この前、初めて吸血鬼に襲われた時…四次元ポケットも壊れされ
てしまって…」
のび「そんな……」
状況は最悪に等しかった。
頼みの綱のポケットは破壊され、残ったのはポケットから出されていた数
個の道具のみ。そして何より、夜が訪れたのだ。
ジャイ「クソッ…!出木杉の野郎、最初からこれを狙ってたってのか
よ!」
ドラ「いくら吸血鬼が強かろうと、ポケットがあれば負けることはな
い……そう考えていた昼間が、僕達にもあった。だけど、もう道具には頼
れなくなった…」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:33:43.04 ID:RGCnZMTH0
ドラ「出木杉がゾンビを増やし始めたとしても、まだ宵の口だ!今のうち
なら、なんとかなるかもしれない!」
ドラえもんはそう言うと、これを、と言ってのび太に小箱を差し出した。
のび「なんだい、これ?」
のび太が蓋を開けた。その中に入っていたのは。
のび「拳銃……!」
鈍く光る銃身に、のび太は気圧された。
ドラ「念の為だよ。渡しておこう。だけど…」
ドラ「いいかいのび太くん、引き金を引くとき、絶対に躊躇しちゃダメ
だ。戦いっていうのは、迷いを持った方から死ぬんだ。いいね?」
のび「う、うん……。分かったよ」
拳銃を見つめるのび太に、ドラえもんは、シャアも迷いを捨てられなかっ
たから負けたんだと付け足した。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:43:12.39 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「とにかく!」
ジャイアンは急かすように言って、立ち上がった。
ジャイ「とにかく!これからどうするかだろ!」
ドラ「物資だ。今の僕らには、それが一番足りない……」
ドラえもんはジャイアンに向き直り、
ドラ「ジャイアン、悪いけど……君の店で使えそうなものを持って来てく
れないかな。頼む」
ジャイ「おう、まかせとけ!」
部屋を飛び出そうとするジャイアンにドラえもんは、一人じゃ危ないと声
をかけたが、ジャイアンは平気だと言って走っていってしまった。
スネ「…あ!しずかちゃんは!?」
スネ夫が声を上げる。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:44:10.66 ID:WqD9B0zAO
追いついた
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:46:46.60 ID:RGCnZMTH0
ドラ「そうだ!二人とも、迎えに行こう!」
スネ「ジャイアンはどうするのさ?」
ドラ「僕たち二人は表に見張りに立っていよう。そうすればジャイアンも
分かるはずさ」
のび「とにかく急ごう!早く!」
のび「しずかちゃん!」
しずかはベッドに座って項垂れていた。
しず「あ……のび太さん……」
顔を上げたしずかは、たった一日で随分とやつれて見えた。
のび「ここは危ないんだ!とにかく早く……!」
その時、外からのび太の名を呼ぶ声が響いた。
のび太が窓から身を乗り出すと、ゾンビの群れに囲まれる二人の姿が見え
た。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:52:16.54 ID:RGCnZMTH0
のび「ドラえもん!!スネ夫!!」
スネ「オオゥ…マミィ……」
ドラ「落ち着くんだスネ夫!何故か流暢になってるぞ!」
とは言え、ドラえもんも冷静ではいられなかった。自分達を取り囲むゾン
ビの数は、ゆうに10体はいるだろう。
ドラ「出木杉の奴……もうこんなに手下を増やしていたのか……!!」
じりじりと距離を詰めてくるゾンビの群れ。万事休すと思われたが、
「『バック・オン・マイフィートッ』!!」
一体のゾンビの体が捩りあげられ、数メートル上に吹き飛んだ。
二人が振り返ると、そこには壁に片手をついたのび太が立っていた。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:53:39.66 ID:RGCnZMTH0
ドラ「のび太くん!」
のび「こ…こんなにいるのか……!」
のび太は一瞬唖然とし、
のび「いくら僕でもこの数は……」
苦々しく唇を噛み締めた。
ゾンビたちは、のび太を敵と判断したのか、そちらを向いて唸りを上げ
た。
のび「二人とも、下がってて!一斉に来られたら流石に無理だ!」
のび太がゾンビを全滅させるのが早いか、ゾンビがのび太に一斉に襲い掛
かるのが早いか。戦いの焦点はそこだった。
のび太は恐ろしいほどの集中力で全く隙を見せず、ゾンビはなかなか攻撃
に移れないでいた。
堪え切れずに襲い掛かった二匹を、のび太は的確に倒し、残りはそれを見
て怯んだ。
戦況は、膠着状態にあった。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:54:16.36 ID:RGCnZMTH0
ドラ「くそッ……!見てるだけしか出来ないなんて……!!」
ゾンビたちが少しずつ距離を詰め、のび太に迫った。
のび「く……!」
のび太の額に嫌な汗が浮かぶ。
その時、唐突に暗闇が光で照らされ、その場にいた誰もが目を庇った。
スネ「なんだ!?」
エンジン音が轟き、白いワゴン車がゾンビ達に突っ込んできた。
呆気に取られる面々の耳に、聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「お前ら!早く乗れ!早く!はやーーく!!」
ドラ「ジャイアン!!」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 08:56:54.07 ID:k5HtphNt0
ほほう
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:01:53.10 ID:RGCnZMTH0
ドラえもんとスネ夫は、急いで車内に転がり込んだ。
のび「くらえッ!」
のび太はスタンドで玄関のしずかを抱き上げ、ワゴンに乗せてから自分も
飛び込んだ。
ドアを急いで閉め、タイヤの擦れる音と共にワゴンは急発進した。
誰もいない夜の町をワゴン車が走る。
ジャイ「通りかかったらお前らが襲われてんだもんよ、びっくりしたぜ、
まったく」
ジャイアンがからからと笑う。
車内には食料やらロープなどの品物やらが雑多に詰め込まれ、まるで貧乏
大学生の部屋のような窮屈さだったが、助けて貰った手前、誰も文句など
言えなかった。
スネ「ジャイアン、なんで運転なんてできるのさ?」
ジャイ「なあに、見よう見まねでここまで来たが、男の運転にはブレーキ
なんざ必要ねえ!ごーいんぐまいうぇい!ってヤツだ!」
ジャイアンが頼れるようで全く頼れない事を言い、結局運転はドラえもん
が変わることとなった。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:08:47.33 ID:RGCnZMTH0
のび「これから…どうするのさ?ドラえもん…」
ドラ「とりあえず、見つけ次第ゾンビを倒そう。そして、根幹にいる出木
杉を叩く!」
その言葉に、しずかが体を震わせる。
のび「しずかちゃん……」
スネ「しずかちゃん、しょうがないんだよ。もう出木杉は…」
しず「解ってる!」
しずかが声を荒げる。
しず「解ってるわよ!もうそれしか…道は無いんだって!でも……それで
も……!それでも私は……!」
しずかは俯き、そして咽ぶように泣き始めた。
車内に重い空気が流れた。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:11:40.33 ID:J2sD4mTXO
見てるからね
120 :
>>119 ありがとう:2010/06/26(土) 09:14:39.16 ID:RGCnZMTH0
やれやれ、始まった…
僕は心中で毒突いた。これだから女ってのは嫌なんだ。
大体、本当は僕は連れて行く時点で反対だったんだ。
重い空気がそうさせるのか、流れる景色がやけにゆっくりと見える。
僕がそんな事を考えているとのび太の奴が大あくびをして、
のび「なんだか眠くなってきちゃった…ねえ、ちょっと寝ててもいい?」
ふざけた事を言う奴だ。僕は憤慨して、皮肉の一つでも垂れてやろうと
思ったが、こんな状況でも眠れるのび太を見て、そんな気も何処かへと失
せてしまった。
ドラ「ダメだ……と言いたいとこだけど、仮眠は大切だし、寝ててもいい
よ。のび太くんは主戦力、スタンド使いだしね」
そう、スタンド。まさに超能力と言っても差し支えはないだろう。人間を
超えた、超常の力だ。
正直なところ半信半疑だったけど、目の前でその力を見せ付けられ、僕も
信じざるを得なくなった。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:17:51.28 ID:RGCnZMTH0
…だけど、信じることと興味は別の話だ。
僕はそんなもの、これっぽっちも欲しくない。僕はゆくゆくはパパの後を
継ぎ、そして社長になる。
そんな力なんて無用の長物だ。
この呆れかえるほど平和な国では、そんなものは必要ない。
それが僕の考えだった。
しかし、自分でも気付いていた。
心の何処かで、誰よりもそれを手にすることを望んでいることを。
…そう、渇望といってもいいほどに。
敷かれたレールからの、退屈な日常からの脱却。そして、破壊。
欲しい。
欲しい。
ああ、何を捨ててでも!
色鮮やかで甘美な誘惑を、僕は必死に抑えていた。
相反する、ふたつの思いの中で。
妙に静かになったと思ったら、泣き疲れたのか、しずかちゃんは眠ってい
た。やれやれ、人騒がせな奴だ。
ジャイ「…俺も仮眠を取らせてもらうとするか」
おいおい、ジャイアンまで。一体なんなんだこいつらは。このおねむちゃ
んどもめ!
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:19:10.58 ID:WqD9B0zAO
ジャイアンのスタンドが気になる
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:20:29.52 ID:RGCnZMTH0
昼間にコーヒーをがぶ飲みしたおかげか、僕は一向に眠くはならなかっ
た。
実質ドラえもんと二人という状況に軽い気まずさを感じた僕は、狸寝入り
を決め込んだ。
僕が心地良いノンレム睡眠に誘われそうになった時、車体が揺れた。
慌てて目を開くと、運転席のドラえもんが今にも眠りそうに、うつらうつ
らと舟を漕いでいた。
スネ「バッ…起きろ!ドラえもん!!」
ドラえもんはビクリと目を覚ましたが、
ドラ「ふぁ…大丈夫…大丈夫ぅぁ……」
どう見てもダメです。本当にありがとうございました。僕は「とりあえず
ブレーキ!」と言ってとりあえずワゴンを路肩に停めさせた。
スネ「やれやれ、なんなんだ一体…」
昨晩ほとんど寝ていない事を考えると、当然といったら当然なのかもしれ
ない。
僕は外に出て、見張りの役を買って出た。もっとも、僕しかいないのだ
が。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:38:32.29 ID:RGCnZMTH0
スネ「不用心にもほどがある…」
僕がぶちぶち呟いていると、道のずっと向こうにこちらに歩いてくる人影
が見えた。
静かな夜だからだろうか、やけに足音が大きく聞こえる。
危ないから家に入っていろと警告しても、子供の僕では説得力は皆無に等
しいだろう。
さてどうしたものかと思案していると、人影が僕の数メートル先で足を止
めた。
スネ「えーとですね。今はー…えーと…」
僕が口ごもっていると、更に近付いて来た人影の姿が外灯に照らしだされ
た。どうやら男のようだ。
その姿に、僕は見覚えがあった。いつもラーメンを食べているパーマの
人…
確か……
スネ「あ、確か……小池さん?」
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:39:27.38 ID:RGCnZMTH0
小池「なんだね!まだ動いてる奴がいたのか!」
小池さんは驚いたような顔で僕を見た。
その言葉の意味が分かりかねて、僕は彼の顔を見る。
…!? あれはなんだろう……。額の真ん中で何か気持ち悪い物が
動いてる…何かの病気だろうか?
スネ「……? まだそんなに遅くも無いと思いますけど……?」
小池「む、微かにコーヒーの香りが……それでか!まったく!そんなもの
飲んでないで…」
小池「ラーメンを食えッ!」
突然、小池さんがスタンドを発現させ、その体からガスのようなものが噴
出された。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:40:22.90 ID:RGCnZMTH0
スネ「うわっ!」
…なんだ?突然、動きが鈍く…
小池「君には用は無い。そこで大人しくしていたまえ」
意識が霞む。
心臓の鼓動がやけに大きく聞こえ……
聞こえ……
聞こえ………!?
なんだこれは。鼓動の音が大きい。いや、大きすぎる。
鼓膜が、割れそうだ……!
スネ「ぐおぁッ……!?」
僕は耳を押さえてうずくまった。
小池「さて、あの車かね?ドラえもんがいるのは?」
そう言って小池はワゴンに歩きだした。直感的に理解する。こいつは敵
だ……!
耳の痛みは、いつの間にか治まっていた。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:41:41.95 ID:lkEi0awqP
小池さんwwwwwパネェwwwwww
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:44:39.03 ID:WqD9B0zAO
小池ってだれだっけ?
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 09:44:57.07 ID:RGCnZMTH0
スネ「ま……待てッ!!」
小池「………」
小池が歩みを止め、ゆっくりと振り返った。
小池「まだ…抵抗するのか?用があるのはドラえもんだけなんだが……」
小池が嘆息し、僕は睨みつけた。
スネ「ドラえもんが目的か。何の為かは知らないがそうはさせるか
よ……」
小池「あくまで抗うか。ならば……」
小池がスタンドを出現させる。そして、
小池「致し方ないッ!!」
スタンドが僕に殴りかかる!
スネ「うわあぁああッ!!」
132 :
小池さんはいつもラーメン食ってるモジャモジャの人です:2010/06/26(土) 09:47:01.01 ID:RGCnZMTH0
違和感を覚えるべきだった。
足音が、声が、そして鼓動の音が、やけに大きく聞こえたこと。
流れる景色が緩慢に動き、離れた小池の額も、僕にははっきりと見えたこと。
そして何より。
僕には小池のスタンドが『見えていたこと』。
小池「………!!」
僕は反射的に目を瞑っていた。
…しかし、予想していた衝撃は訪れなかった。
恐る恐る目を開けると、小池のスタンドの腕は、空中で『何か』によって
阻まれていた。
それを受け止めていたのは、紛れもない。
全身に走る黒のライン。
そこに表示される、見たこともない記号の数々。
そして僕の頭には、その体に接続されたヘッドフォンのような物が装着さ
れていた。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:03:58.97 ID:RGCnZMTH0
その時、僕の頭に先ほどまでの事が閃光のように蘇った。
不自然な眠りにつく仲間たち。
なのに何故僕だけが起きていられる?
そして小池の言葉……
コーヒー?…カフェイン?
そうか…!
スネ「……睡眠だな?」
小池の眉がピクリと動いた。
スネ「お前のスタンド……相手を眠らせることが出来るんだな?違う
か?」
小池「……御名答。確かに我が『カインド・オブ・マジック』の能力は相
手を眠りへと誘うことだ…」
小池「だが、分かったからといって何になる?睡眠は動物の本能だ…それ
も最も原子的な。それにお前は抗うことなど出来るのか?少量のカフェイ
ン程度で!」
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:10:01.39 ID:RGCnZMTH0
確かにその通りだ。どんどん眠気は強さを増している。このままではまず
い。
まだ自分のスタンドの能力も分かってないのに!
ジーザス!無宗教ながら僕は神に祈った。
スネ「どうすれば……!」
僕がそう呟いた時、頭の中に声が響いた。
《オイオイ、モウ殺ラレソウジャネーカ!ウハwwwナサケナス
wwww》
場違いに能天気な声だ。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:21:27.54 ID:RGCnZMTH0
スネ「だ……誰だ!?」
小池「小池ですけど?」
スネ「いやそうじゃなくて!」
《マダ ワカンネェノカヨ? オレダヨ オレ!オ前サ
ンノ 目ノ前ニイル!》
僕は慌てて前を見る。
スネ「……小池!?」
小池「小池ですけど!?」
スネ「いやそうじゃなくて!」
《ニッブイナア~! コノ声ハ! アンタノツケテル
ヘッドフォンカラ聴コエテンダヨ!情弱乙www》
つまり……
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:29:45.35 ID:RGCnZMTH0
スネ「僕のスタンド…なのか?」
小池「小池ですけど!?」
スネ「いやそうじゃなくて!」
目の前のスタンドが顔だけをこちらに向ける。
《ヨウヤク分カッタカ! ソノ通リ!ヨロシクナ!ダンナ!》
ーそんなのはいいから早くお前の能力とかを教えろよ!
心中で叫ぶ。
《マッタク、ダンナハツレナイネェ~。セッカクナンダカラ モッ
トココロノキャッチボールヲダネェ!》
ー五月蝿い!早くしろ!
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:33:53.40 ID:RGCnZMTH0
《ヒドイナァ~。コレダカラユトリハ。マ、トニカク、ダンナノピンチハ オレノピンチ
デモアルカラナ!眠インダロ?ジャア、ホラ》
スネ「……?何も変わらないじゃないか」
小池「……おい、何をしている?」
その何気ない小池の声が、僕の耳には飛行機が真上を飛んで行くような轟
音に聴こえた。
スネ「ッ!!」
反射的に耳を押さえる。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:42:59.17 ID:RGCnZMTH0
ー何すんだよ!鼓膜が破れるだろ!
《マァマァ、オチツケヨ。ソイツハ感覚ダケダッテ》
間隔だけとはどういうことであろうか。
先程の轟音で少しは眠気が飛んだ頭で考える。
小池「~!なんなんだ!もういい!これだからラーメンを食わない奴
は!」
業を煮やしたように、小池のスタンドが襲い掛かってくる。
ーヤバい!おい、防御しろよ!
《マァマァ、モチツケヨ。オット、コイツハモウ死語カネ?相手ヲ見テミ
ロヨ》
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 10:49:10.43 ID:RGCnZMTH0
相変わらず訳の分からない事を言うスタンドに腹が立ったが、その言葉の
意味はすぐに分かった。
相手のパンチがひどくゆっくりに見えるのだ。
蝿の止まるような、とはこういう事をいうのだろうか。
一体、何が起こっている?
《サテ、ジャアチョットオ仕置キダナ。英語デ言ウトパニッシュメント?
アレ?違ッタッケ?》
そう言いながら、僕のスタンドが相手の拳を受け流しつつ、軽いパンチを
胸に浴びせた。
小池「あっぐ……ぎゃあぁああぁーッ!!」
派手に痛がる小池の様子に、僕は違和感を覚えた。
さっきのパンチ……そんなに重かっただろうか?
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:01:33.87 ID:RGCnZMTH0
《マダワカンネェノカヨ?ショウガネェ、教エテヤンヨ。イイカイ、オレ
ノ能力ハ、感覚ヤラ神経ヤラヲ鋭敏ニデキルンダヨ》
…そういうことか。
僕は眠い頭ながら理解した。
轟音のように聴こえた声は聴覚を鋭敏に。
スローモーションのように見えたパンチは、動体視力を鋭敏に。
そして痛みに転げ回る小池は、小池の痛覚を鋭敏にしたのか。
ーもしかして、強いんじゃないか?お前。
《アタリメーダロ?オレナンダカラヨwww》
何の理由にもなっていないその言葉が、何故だか今は頼もしかった。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:09:49.30 ID:gSuqAreCP
しずかがビッチすぎてムカつく
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:10:43.08 ID:RGCnZMTH0
ーお前、名前は?
《オレノ名前カイ?OK、一度シカ言ワネーカラ耳ノ穴カッポジッテ
ヨク聴ケヨ?ダンナ》
小池「糞がッ!眠れッ!『カインド・オブ・マジック』!!」
スネ「『オーディオ・スレイブ』ッ!!」
スタンドの腕が交差し、クロスカウンターの形となる。
続く二撃目、拳を放ちながら上体を器用に反らし、相手の攻撃を避ける。
常人離れした動体視力のなせる技だ。
そして、カウンターの形で拳を鳩尾に叩き込んだ。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:13:54.57 ID:gSuqAreCP
スネオのスタンドは生まれつきか
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:16:36.08 ID:RGCnZMTH0
小池「ごッ…ぶぁ……!」
息を詰まらせる小池。
小池「糞がァァーーーッ!!」
小池が絶叫し、今までとは比べ物にならない量の睡眠ガスが噴出される。
スネ「うおッ……!」
視界が白く染まる。
聴覚を、視覚を、嗅覚を。全てを限界まで引き出しても、眠気は治まらな
い。
それはまさに、意識を刈り取る睡魔だった。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:22:26.78 ID:gSuqAreCP
ここまで出てきたスタンドは
原作にも出てくるスタンド?
オリジナル?
151 :
>>150 一応オリジナルです:2010/06/26(土) 11:24:41.78 ID:RGCnZMTH0
《オイ、ダンナ!シッカリシロヨ!起キロ!オイッタラ!!》
スネ「……あぐ……」
それだけ呻いて、僕は意識を手放した。
小池「……フン。落ちたか」
腸が煮えくりかえる思いだが、今は出木杉様のために目的を果たさなくて
はならない。
私は地に伏す小僧を一瞥し、それからワゴン車に足を向けた。
起きているのは誰もいないようだ。
私は車内にドラえもんの姿を捜した。…いた。ハンドルに凭れ掛かって
眠っている。
運転席のドアを開き、言われた通りに矢を捜す。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:36:03.76 ID:RGCnZMTH0
小池「あった……!こいつか!」
私は矢を手に取り、決められていた合図である口笛を吹いた。
すると間も無く、どこからともなく脚部が発達したゾンビが現れた。私は
彼に矢を渡し、彼は風の如く走り去った。
これで私の任務は一段落だ。
車内には無防備な子供達が眠っているが、手を出すなとの命令だった。
私がラーメンでも食べようとその場を去ろうとした時、
「待てよ」
声が聴こえた。
私が振り返ると、そこには確かに眠らせたはずのあの小僧が立っていた。
小池「馬鹿な!!何故起きていられる!?」
私は思わずたじろいだ。
その時気付いた。
目の前の小僧の体に、何本もの鉛筆やペンが深々と突き刺さっていること
に。
スネ「『オーディオ・スレイブ』……自分の痛覚を極限まで鋭くした……眠気な
んて掻き消えたさ…」
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:41:05.50 ID:WqD9B0zAO
スネ夫かっけえ 痛そう
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:45:06.84 ID:RGCnZMTH0
小池「……! 糞がァァァーッ!!『カインド・オブ…」
スネ「効かねェんだよッ!!」
私の顔に鉄拳が めり こ ん
で
「《 果 テ ロ》」
私の意識は、闇に沈んでいった。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:46:29.17 ID:RGCnZMTH0
スネ「はぁっ……! はぁっ……!」
僕は荒い呼吸を繰り返す。
全身が焼けるように痛い。気が狂ってしまいそうだ。
僕は能力を解除して、刺さっているペンや鉛筆を抜いた。傷口から血が溢
れる。
スネ「痛ってぇ……」
僕は呻いた。
《大丈夫カイ ダンナ?》
スネ「大丈夫な訳ないだろ…」
《違ェネエwwwソレデドウダイ?》
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 11:48:53.80 ID:RGCnZMTH0
スネ「あん?何がだよ」
《勝利ノ美酒ッテ奴ハ》
スネ「あぁ、そうだな……」
僕は薄く笑って、
「最高だよ」
そしてまた、意識を手放した。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:00:07.89 ID:RGCnZMTH0
その夜、その後は何事もなく、のび太たちは無事に夜を超える事が出来た。
だが朝になり、数十人の行方不明者が明らかになった事で、町にはいつもと違
う、不穏な空気が漂っていた。
ドラ「問題なのは!」
翌日の土曜日、のび太の部屋にはいつものメンバーが集まっていた。
ドラ「今、一番問題なのは、矢が盗まれたことだ」
のび「十中八九、出木杉の仕業だろうね」
スネ「……で、どうするのさ?」
ドラ「……多分、出木杉は矢を使って、手当たり次第に仲間のスタンド使いを増
やしている…」
のび「…でもさ、仲間にしたからって、大人が出木杉の言うことなんて聞くのか
な?」
のび太が訊ねた。
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:10:02.83 ID:RGCnZMTH0
ドラ「聞くんだよ…」
ドラ「出木杉は、肉の芽という自分の細胞の一部を脳に埋め込んで、人間を洗脳
することが出来るんだ」
スネ「なにそれきもい」
ドラ「だから、昼間だからって油断は出来ないんだ」
ジャイ「ルール無用の残ぎゃくファイトだな…一体俺たちはいつ寝ればいいんだ
よ!!」
スネ「えっ、心配するのはそこでいいの?」
ドラ「そして気になるのは…」
ドラ「出木杉がスタンドを手に入れたかどうかってことだ。…あいつは矢を使っ
たのか?」
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:12:33.49 ID:RGCnZMTH0
のび「まあ、多分誰だって試すよね」
ジャイ「だよな。憧れだよな」
のび「謎の美少女にいきなり契約しなさいって言われるのに次ぐ速さでするよ
ね」
スネ「いやー、僕はやんなかったけどね」
のび「スネ夫はただビビっただけだろ?」
スネ「んだとコラァ!」
ドラ「まあのび太くんのも事故だよね。さて、これからどうしようか」
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:13:44.03 ID:RGCnZMTH0
スネ「どうしようって言っても…」
これまでの状況を見ても、完全に防戦一方であった。
のび「完全に受け身でしか行動できないよね」
スネ「対応者のままじゃ駄目だよ。もっと漆黒の殺意燃やさないと」
ドラ「まあ、あれだ。敵が来るまで……」
ドラ「ストⅡでもやろうぜ!!」
ジャイ「面白え!俺のはどーけんで全員吹き飛ばしてやらぁ!」
しずか「ヨォガッフレェイム」
しずか「ヨォガッフレェイム」
しずか「ヨォガッフレェイム」
しずか「ヨガファイアー」
しずか「ヨォガッフレェイム」
ジャイ「クッソがァァァアー!!」
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:23:26.65 ID:RGCnZMTH0
スネ「まぁまぁ落ち着いてジャイアン。今度は僕とやろうよ」
ジャイ「クッソー…じゃあ今度はザンギエフで行くぜ」
スネ「じゃあ僕ガイル」
ジャイ「クッソがァァァアアーーー!!!」
そう叫んでジャイアンはのび太の家を飛び出していってしまった。
ドラ「あ、ちょっとジャイアン!?」
のび「心配無いって。きっとお腹が空いたら帰ってくるよ」
ドラ「そんな、君じゃあるまいし…」
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 12:58:53.67 ID:HqP8CWlY0
敵スタンドの応用の効かなさと、
主人公勢の応用の幅の広さは如何にもジョジョだな
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:03:13.99 ID:RGCnZMTH0
のび「ヴァンディット!リヴォルバー!」
のび「ガァンフレイム!ガァンフレイム!」
のび「グランドヴァイパー!」
SLASH!!
YOU WIN!!
のび「やった勝ったー!」
ドラ「ぬわーーーーっ!!僕のブリジットが!!」
ドラ「…あー、やっぱあれだわ。パッドだと技出ねーし」
のび「いや、君はもっぱら家庭版しかやらないじゃないか」
ドラ「つーかアレだし。さっき僕、エントリープラグ断線したから途中から活動
限界だったし」
のび「そんなもん最初から付いてねーだろ!!」
ドラ「もう一回!今度はこのゲームで!」
のび「…もう、しょうがないなぁ……」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:07:26.27 ID:RGCnZMTH0
のび「ここですか?」
のび「ここですか?」
のび「神罰です!」
のび「神罰です!」
のび「遅いですね!」
のび「お別れです!!」
ドラ「うわらば!!て…テメーッ!許さねえッ!リアルファイトだ!!」
のび「面白え!かかってこい!」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:08:10.53 ID:j2ef13ID0
つーかなんで結局のび太の家が拠点なんだよwwwwwww
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:09:40.58 ID:RGCnZMTH0
ブチャアァァッ
バグシャァァアッ
ドラ「いいパンチしてるぜッ!この野郎ッ!」
のび「かかってきやがれッ!」
ドガァァッ
ガシィィィンッ
キャオラッッ!!
ドラ「行くぞオレの方が!!最強だということを証明してくれる!」
のび「確かみてみろ!」
バシィィインッ
がちょっ
だばだばだばだばだばだばだばだば
轟亜ァァァァッッ
スネ「……ジャイアン、ホントに大丈夫かなぁ?」
殴り合う二人を横目に、スネ夫はポツリと呟いた。
175 :
>>173 凄み:2010/06/26(土) 13:11:36.04 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「あっちぃ……」
勢いで飛び出してきたものの、外は相変もわらず暑苦しい。
そこらじゅうで鳴く蝉の声を聞いていると、余計に暑くなってくるような気がし
て、俺はムカついた。
ジャイ「ファック!! おっといっけね、母国語出ちゃった」
八つ当たりに近くのゴミバケツを蹴り飛ばした。独りでボケても余計に寂しくな
るだけということを知った剛田武11歳の夏であった。
ジャイ「さて、このまま戻っても癪にさわるから……」
俺はしばらくその辺をぶらつくことにした。
スタンド使いがうろついていると言っても、こんな真っ昼間からは襲ってこない
だろう。甘い考えかもしれないが。
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:19:42.92 ID:j2ef13ID0
あま~い!
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:23:09.26 ID:RGCnZMTH0
俺は自販機でコーラを買い、渇ききった喉に流し込んだ。
ジャイ「美味すぎる!」
俺は一気にコーラを飲み干した。炭酸の刺激と共に全身に水分が染み渡る。よう
な気がする。
その刺激で胃が目を覚ましたのか、急に腹が空いてきた。
俺は駄菓子を買い食いして空腹を紛らわせようとしたが、そんなものではちっと
も足りなかった。
腹の虫がソロからアンサンブルに変わり俺は、
ジャイ「…うん、もう昼だしな。しょうがないよな」
のび太の家に帰ることにした。
その途中で俺は、見覚えのある人に出会った。
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:28:13.18 ID:RGCnZMTH0
「剛田くんじゃないか。こんなところでどうした?」
ジャイ「あ……先生!」
この暑いのに律儀にスーツを着て道に立っていたのは、俺の担任の先生だった。
先生「こんなところでうろついてないで、早く家に戻りなさい。昨日、何人も行
方不明者が出てるらしい」
ジャイ「あ…、はい、そうですね。…あれ?」
先生の口には、煙草が咥えられていた。
ジャイ「先生、煙草吸うんですか?」
先生「……おっと、しまったな。辞めたはずなのに……吹かしてるだけだが」
先生は煙草を足で踏み消すと、「無意識に買ってしまうというのは困り物だな」
と言って苦笑いした。
先生「まあとにかく、すぐにでも帰りなさい。何かと危ないからな。……ところ
で剛田くん、昨日は何かあったのかね?」
ジャイ「え」
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:29:20.15 ID:j2ef13ID0
そういや先生はショタだったっけ
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:30:37.49 ID:RGCnZMTH0
昨日の学校はコピーロボットに任せたので、さっぱり分からない。コピーと記憶
を共有するのを忘れていた。
…何かあったのか?
ジャイ「いや、その、べ、別に?」
先生「そうか。どこかいつもと雰囲気が違ったような気がしてな。気のせいだ
な。すまん。野比くんと骨川くんもそんな気がしたしなぁ」
…なんてこった。本人の人格をそのままコピーするコピーロボットに違和感を覚
えたっていうのか?
だとしたら、この人には天分の教師の才能があるのかもしれない。
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:38:00.04 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「そ、そうですか。きっと気のせいですよ……暑いですからね、最近」
先生「そうだな。いやはや、まったく年は取りたくないものだ」
ジャイ「それじゃ先生、俺はこの辺で」
先生「ああ、気を付けたまえよ」
ジャイ「先生も気を付けて。それじゃ」
俺が歩く途中でなんとなく振り返ってみると、先生は新しい煙草にマッチの火を
近付けていた。本当に禁煙する気があるのだろうか?
ともかく、腹の虫が魂のルフランを奏でだしたので、俺は足早にのび太の家を目
指した。
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 13:57:11.96 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「またお邪魔しまーす」
スネ「やあジャイアン、随分と早かったね」
二階に上がると、部屋の外にいたスネ夫がニヤニヤと俺を見てきた。
ウザかったので首元を横から思い切りチョップしたら「モルスァ」みたいなこと
言いながらすごい勢いで飛んで行った。
ジャイ「ほら、土産だ」
俺はスネ夫にパンパンに膨らんだビニール袋を押し付けた。
スネ「なんだい、これ……うわぁ! 酢だこさん太郎ばっかりこんなに!」
ジャイ「フフ、俺を見くびるなよ? 下の方には蒲焼きさん太郎、そして中段には
焼き肉さん太郎が入っている」
スネ「なんでさん太郎で統一しちゃったの!?」
ジャイ「男の浪漫よ」
そう言って俺は襖を開いた。後ろからはスネ夫が「いや意味分かんないし」と言
うのが聞こえてきた。
部屋の中では、まだのび太とドラえもんがコントローラーを握っていた。レース
ゲームのようだ。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 14:12:47.68 ID:RGCnZMTH0
のび「くお~!! ぶつかるー!!」
ドラ「ここでアクセル全開、インド人を右に!!」
ジャイ「………」
俺は黙ってコンセントを抜いた。
のび「アッー!」
ドラ「はははばばばわ!! なッ! 何をするだァーーッ ゆるさんッ!」
ジャイ「うるせぇ! お前らよく考えなくてもゲームなんてやってる場合じゃねえ
だろ!」
のび「だって出木杉は見つかんないし! やる事ないじゃん!」
しず「そうよね。暇よね」
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 14:23:17.75 ID:I7Yfb39V0
なんという良スレ
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 14:28:13.55 ID:RGCnZMTH0
ジャイ「……。もういい。それより何か食うもんはねえか?腹の虫が第九を奏で
てんだ」
のび「なんだ、本当にお腹が空いて帰ってきたの?」
のび太が大笑いしたので、俺は酢だこさん太郎を思いっきり口に突っ込んでやっ
た。のび太は静かに涙を流していた。
ドラ「そう言ってもグルメテーブルかけは無いしなぁ……」
スネ「しょうがない、買い出しにでも行く?」
ジャイ「そうすっか。おいのび太、お前来い」
のび「フガモゴゴフガーガ!?」
ジャイ「護衛だよ、護衛。お前のスタンドはスネ夫より戦闘向きだろうが」
のび「フンモッフフゴギガガギゴ!」
ジャイ「うるせぇ、とっとと行くぞ」
スネ「ていうかなんで会話できてんの…?」
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 14:44:24.21 ID:RGCnZMTH0
のび「ただいまー」
ジャイ「おう、買ってきたぜ」
スネ「遅いよ二人とも!何時間かかってるんだよ!」
ジャイ「いやー、悪い悪い。途中で腹が減ったから食ってきた。ローストビー
フ」
ドラ「僕たちを待たせといて自分たちはローストビーフ!?ていうか昼飯にロー
ストビーフってどうなんだい……」
スネ「それで、何買ってきたのさ?」
スネ夫はビニール袋を逆さまにして中身をぶちまけた。
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 14:49:17.83 ID:RGCnZMTH0
スネ「缶詰?これはコンビーフ……これは…コンビーフ。これも…コンビー
フ…」
ドラ「コンビーフばっかやないかい!」
ジャイ「あまり俺を見くびらないほうがいい。下段にはスパム、そして中段には
ランチョンミートの缶詰が入っている」
スネ「なんで似たようなもんばっかり!?」
ドラ「……のび太くんは何を買ってきたんだい?」
のび「僕はねー、シーチキンとシュールストレミングとコンビーフとタラバガニ
の缶詰だよ」
ドラ「おい!一個ヤバいもん入ってんぞ!!」
スネ「つーかお前までコンビーフかよ!!」
しずか「まず昼ごはんに缶詰ばっかりって何なの!?」
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:04:16.43 ID:RGCnZMTH0
ドラ「……とにかく食べよう。無いよりはマシだよ…缶切り持ってくるね」
そう言ってドラえもんは下階に降りていった。
スネ「のび太とジャイアンは食べないの?」
ジャイ「いや、俺たちはローストビーフとラーメンと麻婆豆腐食ったからいい
や」
スネ「なにガッツリ食ってんだ!二回死ね!!」
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:11:21.00 ID:RGCnZMTH0
その後、のび太がシュールストレミングを派手にぶち撒け、部屋を掃除するのに
三時間を要した。
ジャイ「…おい、バカなことやってる間にもう夕方じゃねえか!」
のび「大変だ…どうしよう!なんでこんなことに!!」
ジャイ「全面的にお前のせいだろうが!」
ドラ「そんな事言ってる場合じゃないよ。とにかく、ワゴンに乗り込もう」
結局、昼間は一件もスパイ衛星による発見は無かった。
ドラ「…何もないっていうのが逆に不気味だな……」
のび「? ドラえもん、何か言った?」
ドラ「…いや、なんでもないよ」
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:24:53.26 ID:RGCnZMTH0
のび太たちは、ワゴンの中で待機を続けていた。
ドラ「……なあ、のび太くん」
のび「なんだい、ドラえもん?」
ドラ「僕にも……僕にも、スタンドは使えるのかな?」
のび「えっ!?それ、どういうこと!?」
ドラ「Example(例えばの話だよ)」
のび「うーん…分かんないなぁ……それに…」
ドラ「それに……なんだい?」
のび「……。いや、なんでもないよ」
のび太は言葉を濁した。
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:32:26.20 ID:RGCnZMTH0
ドラ「いや、いいんだ。のび太くんの言おうとした事は分かってる。『ドラえも
んはロボットだし』…だろ?」
のび「……ッ」
のび太は狼狽した。
ドラえもんが続ける。
ドラ「スタンドを形成するのは、精神力だ。人間である君には、もちろん有るだ
ろう。いや、誰だって持っている」
ドラえもんは視線を落とし、
ドラ「…僕はどうだ?」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:36:39.77 ID:RGCnZMTH0
ドラ「僕はロボットだ。僕の中に在るのは人工知能であって、人間の脳じゃな
い。僕はその人工知能で考え、行動している」
ドラ「……だとしたら」
ドラえもんはのび太に顔を向けた。
ドラ「だとしたら、僕が君と泣いて、怒って、笑うこの気持ちは、全て人工知能
によるものなのか?全部、計算で仕組まれたものなのか?」
ドラ「僕の心は………偽物なのか?」
のび「ドラえもん……」
ドラえもんは顔を背けた。
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:42:15.30 ID:oC+jTfYU0
22世紀だと人間の脳とかは全て調べ終えててドラえもんも人間とまったく同じ脳とかそんな設定なかったっけ
202 :
>>201 それでもあくまで作り物ってことでひとつ:2010/06/26(土) 15:44:32.21 ID:RGCnZMTH0
ドラ「……ごめん、気にしないでくれ。…飲み物、買ってくるよ。ジュースでい
いね?」
そう言って、ドラえもんは車内から出ていってしまった。
のび「………」
しず「のび太さん……」
しずかが心配そうに呟く。
のび太はそれを聞こえないふりをして、暗鬱とした気分を紛らわせようと、眠り
へと落ちていった。
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 15:52:19.28 ID:RGCnZMTH0
「おちんちんランドはじまるよー!」
のび「わぁい!」
のび太は色とりどりの様々なおちんちんの咲き乱れる園内で遊び回っていた。
おちんちんジェットコースターや、おちんちんコーヒーカップ。
おちんちん観覧車に、おちんちんスプラッシュマウンテン。
めくるめくおちんちんワールドに翻弄され、のび太の脳内麻薬の分泌は、過去最
高量であった。
のび「ウビュビュオェェwwwww」
?「ぃやーあ、楽しんでもらってるようだねーぇ」
のび太は突然、濃い顔をしたタラコ唇の男に声をかけられた。
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:05:41.21 ID:RGCnZMTH0
のび「おじさん、だぁれ?」
?「おいおい、おじさんは失礼じゃないかぁい?僕はまだ27歳だよぉ?」
のび「ええッ!?」
目の前の特徴的な喋り方の男は、どう見てもそんなに若いとは思えなかった。
?「おっと、紹介が遅れたねぇ。僕はアナゴ。このおちんちんランドの園長をし
てる」
のび「えっ!?ここの園長さん!?」
アナゴ「いやーあ、君があんまりにも楽しそうなんでねぇ。ついつい声をかけて
しまったという訳だよぉ」
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:26:21.18 ID:RGCnZMTH0
のび「そうだったんですか!」
のび太は目を輝かせた。
アナゴ「さあ、一緒に楽しもうじゃないか!」
のび「はい!」
それから二人は、一晩中おちんちんランドで一緒に遊んだ。
おちんちーんゴーランドに乗り、おちんちんゲームコーナーで遊んだ。
名物のショタアイスを食べ、頭に双子葉類の芽がついたおちんちんランドのマス
コットを池に突き落としたりもした。
ネリリし、キルルし、ハララしていると、いつの間にか辺りは暗くなっていた。
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:27:21.40 ID:XDI3w2Os0
谷川俊太郎さんは関係ないだろ
訴訟
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:31:04.93 ID:RGCnZMTH0
二人はおちんちん橋の欄干に立っていた。
のび「はー、楽しかった!」
アナゴ「それは何よりだよぉ」
アナゴが笑う。
のび「ずっと遊んでいたいくらいだよ!」
アナゴ「ふふ、残念ながら、そういうわけにもいかないからねぇ」
二人の間に、心地良い沈黙が流れた。
アナゴが口を開く。
アナゴ「……最近ね、ときどき思うんだ。僕は今、なんでこの職についているの
かなって」
のび太はアナゴを見たが、丁度影になっていてどんな顔をしているかは分からな
かった。
213 :
>>211に微妙にネタを先読みされたお:2010/06/26(土) 16:32:45.07 ID:RGCnZMTH0
アナゴ「…本当は、テーマパークの経営なんて、どうでもいいのかもしれない」
アナゴ「結果として今、こういう立場にあるけど…最初はただおちんちんが好き
で、そのことをみんなに広めようとしただけなんだ」
夜空におちんちん花火が打ち上がり、アナゴの寂しげな横顔を照らし出した。
それは止むことはなく、何度も、何度も打ち上がり空に一瞬輝き、そして散って
いく。
アナゴ「僕は、ただみんなにおちんちんを広めようとしただけなんだ……それな
のに…」
のび「……アナゴさん?」
アナゴ「…あと数時間足らずで、谷川俊太郎率いるおまんまん連合軍がここに攻
め込んでくる。その前に君は逃げるんだ」
のび「ええっ!?」
アナゴ「相手は強い。連合軍にはあの年増園やUSJ(※1)も加わっている…」
のび「アナゴさん…アナゴさんが何を言ってるのかわからないよ!」
※1・・・ユニバーサルスジ教ジャパンの意。詳しくは図26を参照。
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:40:49.96 ID:RGCnZMTH0
いつの間にか、花火は止んでいた。
アナゴ「…本当、どうしてこんなことになっちゃったんだろうねぇ…」
アナゴ「おちんちんランドがどうなるのか…今回ばかりは分からない…。でもこ
れだけは君に覚えて、いや、憶えていてほしいんだ」
アナゴが暗闇の中でのび太を向く。
その時、最後の一発なのか、特大の花火が打ち上げられた。
照らされたアナゴの顔は、寂しげながらも、確かに笑っていた。
アナゴ「君が――
しずか「…さん? のび太さん?」
しずか「のび太さん!」
しずかに揺さぶられ、のび太は目を覚ました。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 16:47:13.58 ID:RGCnZMTH0
のび「……!……夢…だったのか…?」
しずか「のび太さん!町の真ん中にゾンビが現れたのよ!起きて!」
車内にはスパイ衛星の警告音が鳴り響いている。
車の外からは、スネ夫とジャイアンの呼ぶ声が聞こえてきた。
のび「う、うん…すぐ行くよ」
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:05:32.16 ID:RGCnZMTH0
のび太、スネ夫、ジャイアンの三人は夜道を走っていた。
ジャイ「急げ!早く!」
のび「ま、待ってよジャイアン、速すぎ…」
その時急にジャイアンが足を止め、のび太はぶつかってしまった。
のび「わ、何?」
ジャイアンの視線の先には、こちらに歩いてくる男の姿があった。
三人に緊張が走る。
近付いてきた男の、その顔は。
のび「あ……あ……」
のび「アナゴさん……!」
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:18:56.42 ID:RGCnZMTH0
擦れ違おうとしていた男が、のび太に顔を向ける。
「おやぁ?誰だい、坊やは?知り合いだったかな?」
のび「…いえ、ごめんなさい。人違いでした……」
「あれ、そうなの?」
ジャイ「おいのび太、行くぞ!」
のび「あ、うん!」
ジャイアンの言葉に押されて、のび太は走り出し、男と擦れ違う。
その時、男は一言、何かを呟いた。
のび「!」
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:28:39.12 ID:RGCnZMTH0
一瞬のことだったが、聞き逃しはしなかった。
のび太は思わず振り向く。
男も振り向き、腕を前に突き出して親指を上げる、所謂サムズアップのポーズを
取っていた。
微笑んで、のび太が取っていたのもまたサムズアップの姿であった。
涙は流さなかったが、無言の男の歌があった。奇妙な友情があった――。
のび太はまた走り出した。
男の言葉を、胸に刻みながら。
アナゴ「君がその心を忘れないかぎり、おちんちんランドはいつもそこにあっ
て、そしていつでも君のことを待っているよ」
走り出したのび太を見て、アナゴもまた微笑んでいた。夜空を見て、アナゴはま
た歩き始める。
どこに向かうのか、自分でも分からないままに。
ただひとつ、アナゴの眼には、確かな希望(※2)が宿っていたのだった。
※2・・・おちんちん的な意味で
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:46:57.39 ID:RGCnZMTH0
次回予告
立ちふさがる悲しき運命に、覚醒するジャイアンの異能!
ヒトに作られし蒼い機械のうたかたの夢!
胎動するエヴァ8号機とそのパイロット!
崩壊する日本経済!限界を呟く藤岡弘!
アニメで町おこしを目論む過疎の町とそれに命を懸けた町長の運命は!
次回、のび太の奇妙な冒険『男は声を振り絞って自らをガキ大将と呼んだ』
さーて、サブタイトル:おちんちんランドとか深夜のテンションに身を任せた結果がこれだよ
をお楽しみに!
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:48:02.13 ID:k0yperYj0
え?おわり?
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:50:05.31 ID:08I9yCN50
-‐―――-、 ミ゙;, ::.. .:: `ヾ゙ヽ
\ ゙:, ヾ::' ..:::::.. ミ ',
: す |ミ ミ___゙ヾ\..::::::::::... ミ:iヽ`i
: |ミミ/ ̄ ̄`ヽ;;_ゞ-ー―--、iノ i___
: ぎ ..|ミ/ : _,,-‐ ヾ彡 _,- \〃 `ヽ
: |li .:: /_.-―、ヽ;,ヾ /_... 、 ゙, ,ヘ /
: る .ノi:l:::.. i:::::::::ノノ:iノノ i i!ソ::::::ヽノ / ..:!::/
、 ヘ_|ヽヘ..:::::`ー'-''"" /i:彡`ー''" .i!..:::::iiノ
ヽ`ーr―'/ノ^ヽ、ヘ ヾ、_ /ミミ、;;" _ハ彡_/
ゝ..-‐" ソく ⌒ヽ\`:::ー-'"、ヾ,ソ,こ..::-'" ___
゙゙'":::::::....., ゙r-‐r..-_ニー=,,ノ_ソ /7i! / \
u::::::::/ ゞ:::;゙゙-"r'_..- =,f-'/ r' \
゙::| '" / u ...::i:.,' __.ノ |
:::| i , ...:::"`i ./ : あ に あ /
i:. u :::| U ゚ .゙V .: っ も ま /
:i :i 。 u _..-―‐__.-'ゝ..: け : .り |
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:::::..:\ -‐‐''"゙"ノ i .さ .|
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..:::::::::. `ー-- ' `ー――‐‐'
228 :
1しゃーぷ 戦慄!生春巻き灼熱地獄:2010/06/26(土) 17:51:13.53 ID:RGCnZMTH0
えー、今回のぶんは一応ここまでなんですが、一応トリつけておくので機会があればまた見ていただきたいです。
保守と支援、本当にありがとうございました。
229 :
1 ◆5DG9i25LHXt4 :2010/06/26(土) 17:53:02.40 ID:RGCnZMTH0
トリップつけるのみすったお
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:53:33.09 ID:oC+jTfYU0
乗っ取りでもいいから続きを誰か書いてくれないかなぁ
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 17:53:56.36 ID:p6N4OJNU0
まあ12時間以上投下続けてりゃ疲れるわ。
また来てくれ。
233 :
1 ◆5DG9i25LHXt4 :2010/06/26(土) 17:56:53.86 ID:RGCnZMTH0
>>230 続きはかくつもりなんですが、ちょっと遅くなるかもしれませんー
234 :
1 ◆5DG9i25LHXt4 :2010/06/26(土) 18:22:29.32 ID:RGCnZMTH0
あ、もし人がいたら質問なんですが
この後ジョジョキャラを出したほうがいい?出さないほうがいい?
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 18:28:34.41 ID:8YNW7VpkO
ここまで来たら出さない方がいい
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 18:40:53.30 ID:Y+5d7S320
「伝説のあの人」くらいのポジまでだな
237 :
◆5DG9i25LHXt4 :2010/06/26(土) 19:02:25.03 ID:RGCnZMTHI
わかりました!
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 19:34:03.40 ID:zuN2BZWhP
乙!楽しかった
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/26(土) 20:14:04.52 ID:k5HtphNt0
乙
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