1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:35:28.39 ID:6Ujy1sFH0
ほむら宅―――
ほむら「お願いだから、あなたを私に守らせて」
まどか「・・・ほむらちゃん。ちょっと付き合ってもらっていいかな?」
/////////////////////
書き溜めているので、さほど時間をかけずに投下できると思います。
合いの手をひとつ、よろしくお願い致します。
ID:8HJoBBmn0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:39:33.44 ID:8HJoBBmn0
代理、ありがとうございます。
短編ぐらいの長さなので、お気軽にどうぞ
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:41:45.29 ID:8HJoBBmn0
雨が降る小道をまどかにつられて歩く。
随分歩いたようで、隣町まで来てしまっている。
まどか「あっ、ここだよ。ほむらちゃん」
ほむら「喫茶店?」
そこには、小さな喫茶店があった。
ほむら「えっと・・・」
ほむら(なんて読むのかしら・・・すい・・・)
まどか「ここのケーキね。すっごく美味しいんだよ。さっ、入ろ入ろ」グイッ
からんころ~ん
ほむら「あっ、まどか―――」
まどかは返事も聞かず、私の手を引いて喫茶店の中に入ってしまった。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:43:40.18 ID:8HJoBBmn0
店員「いらっしゃ―――あっまどかちゃん。いらっしゃい」
店員「あら、お友達?」
まどか「こんちには。友達のほむらちゃんです」
ほむら「あ、暁美ほむらです。はじめまして」ペコッ
店員「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」ニコッ
店員「運が良いわね。ちょうど一番良い席が空いてるわよ。今日のおすすめも二人分ね」
まどか「わー本当ですか。じゃあ、それと紅茶をお願いします」
まどか「やったよ、ほむらちゃん。ここのお店のおすすめケーキ、すっごく人気あってなかなか食べられないんだよ」
ほむら「そ、そうなの」
ほむら(まどか、一体何を・・・)
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:47:21.63 ID:8HJoBBmn0
店員「はい、どうぞ。今日のおすすめ『鈴鳴チーズケーキ』と紅茶セットね」
店員「ごゆっくりどうぞ」
随分と若々しく、それでいて大人の風格を持った店員さん、というのが第一印象だった。
まどか「ありがとうございます」
ほむら「ど、どうも」
まどか「さ、食べよ。ほんっとに美味しいんだよ。ここのケーキ」
ほむら「そうなの・・・」
そう言って、フォークをケーキに挿し、口に運ぶ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:49:27.21 ID:8HJoBBmn0
ほみゅゅぅうううん
思わず、頭の中に今まで経験したことのない擬音が流れる。
ほむら「おいしい!」
まどか「でしょ!でしょ!ここの喫茶店御夫婦でやっててね。さっきの店員さんがパティシエなの」
まどか「旦那さんもかっこよくてね。娘さんにも一度会ったんだけど、すんごく格好よくて美人!」
まどか「ここのケーキね。ショートケーキがすんごく美味しいの!」
まどか「ほむらちゃんも今度食べてみるといいよ!」
まどか「でもね。やっぱり『今日のおすすめ』!これが一番!」
まどか「学校帰りに寄るんだけど、もうその時間には売り切れちゃっていることも多いの!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:50:54.84 ID:8HJoBBmn0
いつもより饒舌なまどかに、ほむらは少々面食らう。
そして、心がぐらぐらと揺らぎ、熱いものが体の中から溢れ―――目に涙が浮かんだ。
あまりにも―――
あまりにも―――
出会った頃のまどかに、そっくりだったから。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:53:07.73 ID:8HJoBBmn0
まどか「ほ、ほむらちゃん、どうしたの!?」
ほむら「まどか・・・まどか、あなたはどうして笑っていられるの?」ポロッ
ほむら「友達がいなくなって、事情を知って慰めてくれる人もいない」
ほむら「なのに、何で、私みたいな得体の知れない転校生にこんなにもやさしく出来るの?」ポロッポロッ
まどか「ほむらちゃん・・・」
聞かずにはいられない。
言わずにはいられない。
ほむら「あなたはいつだってそう」
ほむら「自分が苦しくても、まず私の苦しみを取り除こうとする」
ほむら「自分がどんなに苦しくったって、まず私を助けようとする」
ほむら「前の世界も、その前の世界も、その前だって―――初めて会ったときだって!!」
まどか「・・・・・・」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:54:43.77 ID:8HJoBBmn0
まどか「・・・・・・」
ほむら「・・・・・・」
―――沈黙が流れる。
まどか「・・・紅茶、冷めちゃうよ」
ほむら「まどか、私は―――」
まどか「このお店ね。マミさんに教えてもらったんだ」
ほむら「!!」
まどか「さやかちゃんも一緒に三人で初めて来たときも」
まどか「店員さんが優しく笑いかけてくれて、美味しいケーキと紅茶を出してくれて、三人で何てことない話をして」
まどか「その後も何度か一人で来たりもして、店員さんとおしゃべりして、マミさんの知らない一面も話してくれた」
ほむら「・・・・・・」
まどか「でもね、マミさん、あんなことになっちゃたでしょ?」
まどか「その後、ふらふらっと立ち寄ったの、ここに。一人で」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:56:19.06 ID:8HJoBBmn0
まどか「きっと、そのときの私はひどい顔をしていたと思う」
まどか「店員さんがどうしたのって訊ねてくれたけど、私は何も答えられなかった」
まどか「そしたらね、店員さん、それ以上は何も聞かないでケーキと紅茶を出してくれたの」
まどか「紅茶、ちょっと熱かったけど、美味しかった」
まどか「さやかちゃんのときもここに来た。もっともっとひどい顔だったと思う」
まどか「でも、店員さんはやっぱり黙ってるしかない私に、ケーキと熱い紅茶を出してくれた」
まどか「美味しかった」
まどか「不思議だよね、不謹慎だよね」
まどか「家に帰ってベッドに入ると、悲しくて、怖くて、辛くって、涙が止まらないのに―――」
このお店に来ると、笑っちゃう
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 00:59:26.00 ID:8HJoBBmn0
まどか「ついこの間会ったばっかりの人にでも優しく出来る」
まどか「ううん、あの人ならきっと初めて会ったばかりの人にでも、同じように手を差し伸べると思う」
ほむら「まどか・・・」
まどか「ほむらちゃんは、ずっと、ずっと、私の為に戦ってくれてたんだよね」
まどか「わたしがQBと契約しなくてもいいように。何回も、何回も」
まどかが、わたしの手を取った。
心が、気持ちが―――
まどか「この世界で私はほむらちゃんのこと、全然知らないけど」
まどか「それでも、私はほむらちゃんが大切だし、生きていて欲しい!」
まどか「どこにも行かないで、一緒にいて欲しい!」
ほむら「まどかぁ・・・ふっ、うぁ、ううぅうぅぅぁぁあああぁぁぁぁんんん」
―――振り切れる。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:00:32.98 ID:8HJoBBmn0
涙が止まらない。
止まらなくっていい。
まどかの声が、もっと聞きたい。
まどかの言葉を、もっともっと聴いていたい。
まどかと、ずっと一緒にいたい。
私もまどかと、ずっとずっと一緒にいたい。
そんな気持ちが―――
心から嬉しいから―――
涙なんて止まらなくっていい。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:03:24.90 ID:8HJoBBmn0
まどか「でもね、ほむらちゃんのお願い・・・ほむらちゃんに守ってもらう・・・」
まどか「お願いきいちゃうと、私に出来ることは何もなくなっちゃうね」
ほむら「ぅん」グスッ
まどか「・・・・・・」
ほむら「・・・・・・」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「はゃい!」ズズッ
まどか「ここのケーキ、もう一回食べに来よう」
まどか「学校なんてサボっちゃってさ、ここのおすすめケーキ食べに来よう」
まどか「約束!」スッ
そう言って、まどかは小指を差し出した。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:04:27.59 ID:8HJoBBmn0
ほむら「約束・・・」
まどか「そう、約束」
まどか「他の世界の私とも約束があるんでしょ?」
まどか「じゃあ、この世界の私とも約束して」
まどか「ここのおすすめケーキをもう一度、一緒に食べに来る、って」
ほむら「・・・うん!」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:05:18.43 ID:8HJoBBmn0
約束とは、お互いの「時間」をもらうこと。
約束を果たすまで、私の「時間」はまどかにあずけ、まどかの「時間」は私があずかる。
何度も何度も時間を巻き戻してきた私が、まどかからあずかっている「時間」はもうどれくらいになっているだろう。
契約なんて重たいものじゃない。
でも、それよりもっと大切なこと。
私の小指を、まどかと重ね合わせる。
ちょっとしか触れていないのに、まどかのあったかさがすごく伝わってくる。
また一つ、貸しができてしまった。
だけど、これでもう大丈夫。
この世界で、私は一人じゃない。
この約束を果たすまで―――私は、負けない。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:07:14.88 ID:8HJoBBmn0
まどか「それにね―――」
ほむら「?」
小指を重ね合わせたまま、まどかは続ける。
まどか「私たちは一人でなければ、二人ぼっちでもない」
まどか「ここの店員さんみたいに、きっと誰かが手を差し伸べてくれる」
まどか「きっと、あったかくて、やさしい誰かが手を貸してくれる」
まどか「それを忘れないで」
そう言って、まどかは微笑んだ。
その顔はまるで、女神のようだった。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:09:35.50 ID:8HJoBBmn0
ワルプルギスの夜、襲来―――
QB「これで良かったと思っているのかい?」
まどか「・・・・・・」
QB「まったく、ワルプルギスの夜に一人で勝つだなんて、無茶もいいところだよ」
QB「暁美ほむら一人じゃ、勝ち目はないよ」
まどか「ほむらちゃんは約束したもん。必ず帰ってくるって」
QB「そんな約束でワルプルギスの夜に勝てるわけがないだろう?」
QB「第一、今まで約束を果たせなかったから暁美ほむらは時間を繰り返し、今ここにいるんじゃないのかい?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:10:33.17 ID:1Z9kyAmq0
まだ杏子が生きてる
まだ戦術的撤退するには早い
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:11:45.72 ID:fgbujAHu0
日本中の魔法少女集めろって感じだよな
25 :
>>23 杏子は死んでます :2011/06/19(日) 01:12:00.99 ID:8HJoBBmn0
まどか「それでも、ほむらちゃんは言った。負けないって」
QB「ふー、感情を持たない僕たちにはわかりかねるよ」
QB「約束や想いが、運命を覆す力を持つなんてね」
まどか「・・・・・・」
まどか「何度言っても無駄だよQB」
まどか「私はほむらちゃんを信じる。ここで待ち続ける」
まどか「私の為に戦ってくれてる、ほむらちゃんを」
まどか「約束どおり、ワルプルギスの夜を倒して!」
まどか「きっと、帰ってくる!」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:13:23.07 ID:8HJoBBmn0
QB「―――君は何か勘違いをしているようだね」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:15:11.88 ID:8HJoBBmn0
まどか「・・・どういうこと?」
QB「何度も言うように、暁美ほむら一人でワルプルギスの夜に挑んだって、勝機はない」
QB「だけどね。引き分けぐらいなら有り得たんだよ」
まどか「・・・それって、どういう―――」
QB「暁美ほむらが玉砕覚悟で向かっていれば、相打ちぐらいには持ち込めたってことだよ」
QB「いくら強いといっても、魔女であることには変わりないしね」
QB「だけど、この世界の君との約束によって、暁美ほむらは「勝つ」ことを目的とした」
まどか「・・・・・・QB、それって」
QB「わかったかい、まどか?」
QB「よくて相打ちの相手に「必ず帰る」なんて条件を付けて勝てるわけがないじゃないか」
QB「君との約束が、暁美ほむらの「敗北」を絶対のものにしたのさ」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:16:52.83 ID:8HJoBBmn0
まどか「う、嘘!嘘よ!そんなことない!」
まどか「ほむらちゃんは負けない!」
まどか「きっと私との約束を果たして、帰ってくる!」
QB「別に僕の言うことを信じる必要はないよ」
QB「ただ、僕から言えることは、君なら間違いなくワルプルギスの夜に勝てるってことさ」
QB「暁美ほむらを救い、二人でのんびり暮らすなんてことも夢じゃない」
まどか「そ、それこそ嘘よ!」
まどか「私がそんなすごい魔法少女になって最悪の魔女を倒せるんなら」
まどか「そんな幸せな未来が待っているなら」
まどか「ほむらちゃんが、あんなにボロボロになって何度も戦う理由がないじゃない!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:18:57.61 ID:8HJoBBmn0
QB「以前の時間軸で、君がどれほどの魔力を持っていたのかはわからない」
QB「だけど何度も言うように、今の君ならワルプルギスの夜に勝てる」
QB「もしかしたらこの時間世界が、暁美ほむらを因果の円輪から解き放つ、最初で最後のチャンスなのかもしれないね」
まどか「!!」
QB「次の時間軸に行ってしまうにしても、魔女になるにしても、自ら命を絶つにしても」
QB「彼女が彼女としてここに帰ってくることはないよ」
QB「君が迎えにいってあげない限りはね」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:22:22.87 ID:8HJoBBmn0
戦場―――
ほむら「今度こそ、決着をつけてやる」
自分の持てる力を全て出す。
幾多の世界で戦った。
アイツの手は知り尽くしている。
アイツに勝たなきゃ、世界は救われない。
私が勝たなきゃ、まどかは救われない。
まどかの為にも、私は負けない。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:23:31.14 ID:8HJoBBmn0
だが―――
それでも、敵は強大だった。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:24:46.51 ID:8HJoBBmn0
ほむら「ぐぅぅうぅぅ」
また、だ。
どれだけ策を練っても、また、こうしてアイツに負ける。
何で?
何で勝てないの?
私の想いは、そんなに大それたものなの?
まどかと一緒にいたい。
たった、たったそれだけなのに。
負けるわけにはいかない。
これ以上、まどかとの約束を破るわけにはいかない。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:26:37.21 ID:8HJoBBmn0
だけど、どうしたらいいの?
どうやったら、アイツに勝てるの?
魔力も切れた。
武器もいくつか残すだけ。
時間を巻き戻すことを考える。
だけど、これ以上時間を巻き戻せば、まどかが背負う因果は更に膨大なものになる。
どうやっても、まどかが不幸になってしまう。
どうやっても、まどかが悲しむ顔しか浮かばない。
ああ、あのとき、あんな願い事をしなければよかった。
まどかと一緒にいたいなんて、願わなければよかった。
あのとき―――まどかは笑って逝ったのに。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:29:49.00 ID:8HJoBBmn0
ほむら「ごめん、ごめんね。まどか」
ほむら「私があのとき、あんなわがまま言ったから」
ほむら「あなたと一緒にいたいなんて、わがまま願ったから」
もうこれ以上、やり直すなんて出来ない。
私のせいで、まどかを苦しませたくない。
絶望が拡がっていくのがわかる。
まどかに、これ以上迷惑をかけないように。
ガチャリ
ピストルをソウルジェムに当てる。
ほむら「約束、守れなくてごめんね」
涙を流す間もなく―――引き金をひいた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:29:49.32 ID:4eMRj4F2O
支援
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:31:57.42 ID:8HJoBBmn0
ほむら「・・・・・・」
ほむら「・・・・・・?」
弾丸は発射された。
でも、私は死んでいない。
おそるおそる目を開ける。
ほむら「!」
そこにいたのは、
銃口を空に向けたのは、
ピストルを持つ私の腕を握り締めているのは、
鹿目まどかではなく―――
「こ~ら、友達との約束は、ちゃんと守らなくちゃダメだよ~」
白い、天使のような女性だった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:33:07.34 ID:8HJoBBmn0
QB「本当に、行かなくていいのかい?最後の別れになるだろうに」
まどか「ううん、私は信じてる。ほむらちゃんは帰ってくる」
まどか「それにね。私の方こそ約束したもん」
まどか「ほむらちゃんを信じて待つ、って」
まどか「ほむらちゃんに守られる私でいる、って」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:36:21.42 ID:8HJoBBmn0
?「わっ、ひどい怪我。痕が残ったら大変」
ほむら「あ、あなたは」
どこかで見たような、だけど初めて会う人だった。
今までのどの世界でも、こんな展開はなかった。
ほむら(何が、どうなってるの・・・)
混乱する私に、その女性はクスリと微笑んで私の頭を撫でた。
?「よく頑張ったね。辛かったでしょう。ここからは私に任せて」
その手は、とてもあたたかくて、やさしかった。
?「ちょっと待っててね。すぐに終わらせるから」
そう言って彼女は私の前に立ち、左手に持った杖をかざした。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:38:01.02 ID:8HJoBBmn0
キィィィィン
桜色の陣が彼女の周りに展開する。
キンキンキンキン
杖の先端に四方八方から光が集まる。
そのエネルギーの大きさは、もはや常人では計り知ることも出来ない。
だが―――
人はその力が、必ず自分を守ってくれると知っている。
その力を振るう英雄が、必ず自分を助けてくれると知っている。
幾多の苦難を乗り越え、能力と評価と人望を兼ね備えたエース・オブ・エース。
時空管理局武装隊・戦技教導官
高町なのは一等空尉
その人であった。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:38:41.61 ID:fgbujAHu0
魔法少女じゃない人きちゃったよ
魔王きちゃったよ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:38:56.96 ID:QgQGtd0f0
は?
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:39:30.00 ID:8HJoBBmn0
ほむら「あ、あ、あ、あ・・・」
何が起きているのか、わからない。
何が起こるのか、わからない。
でも―――
きっとこの人は―――
きっとこの力は―――
なのは「悪い夢は、さっさと終わりにしてしまおう」
なのは「スターライト―――」
魔法を使う者であれば惚れ惚れするような―――
魔法を使う者であれば恐れおののくような―――
全てを救う至高の一撃が、一寸の躊躇なく放たれた。
なのは「―――ブレイカァー!!!!!!」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:40:37.33 ID:8HJoBBmn0
QB「まさか、そんな・・・」
QB「この宇宙に、こんな力が存在するなんて・・・」
QB「いや、おかしい、さすがにこれはない、納得がいかない」
QB「この次元で、こんなにも魔力エネルギーが集約するなんて」
QB「ましてや、ソレが明らかに人為的に行使されるなんて」
QB「一体、何がどうなって―――」
まどか「別に不思議でも何でもないんだよ、QB」
QB「!」
QB「どういう意味だい、まどか?」
うろたえるQBに、
まどかはさも当然のように言い放った。
まどか「頑張る人の努力が報われた」
まどか「ただ、それだけのことだよ」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:42:56.80 ID:8HJoBBmn0
翌日―――
まどか「ふ~ん。それでその女の人はどこかに行っちゃったんだ」
ほむら「ええ。怪我の手当てをしてくれた後―――」
なのは「色々聞きたいことはあると思うし、私からも聞きたいことはあるんだけど・・・」
突然の出来事に頭が付いていかない私の口に、そっと指を当て―――
なのは「それよりも大事なことがあるよね」
にこっ、と笑った。
その言葉を聞いて、居ても立ってもいられなくなった私はまどかの元へ向かった。
そしてまどかの顔を見た途端、体から力が抜けて気を失ってしまった。
近いうちにまた会えるから、と言って見送ってくれたあの人は、一体何者だったのだろうか?
まどかのことも知っていたようだったけれど・・・
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:44:09.98 ID:8HJoBBmn0
まどか「でも、ほむらちゃんが無事に帰ってきてくれて良かった」
まどか「さやかちゃんとマミさんのことは残念だけどね」
そう。
ワルプルギスの夜を倒しても、
美樹さやかは帰ってこない。
巴マミは帰ってこない。
佐倉杏子は帰ってこない。
そして―――
私もいつか、彼女たちと同じように―――
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:45:48.51 ID:8HJoBBmn0
まどか「でもね、マミさんもさやかちゃんも、魔法少女になってよかった、って言ってると思う」
まどか「三人でケーキを食べながら話してたんだけどね」
まどか「マミさん、命を救ってくれた魔法に感謝してる、って言ってた」
ほむら「・・・・・・」
まどか「二人っきりのとき、さやかちゃんも言ってた」
まどか「恭介の手を治してくれた魔法に「ありがとう」って言える、って」
ほむら「・・・そう」
まどか「今日、仁美ちゃんが言ってたんだけどね」
まどか「今度、上条くんがさやかちゃんのお墓の前で、一曲弾いてくれるんだって」
ほむら「・・・そうなの」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:47:15.96 ID:8HJoBBmn0
まどか「それにね、ほむらちゃんも大丈夫だと思うよ」
ほむら「?」
まどか「ほむらちゃんはこうやって約束を守って、今ここにいるんだもん」
まどか「今まで頑張ってきたほむらちゃんが、報われたこの世界」
まどか「きっと、その女の人みたいに、あったかくてやさしい誰かが手を差し伸べてくれる」
まどか「私だって、ずっとほむらちゃんの味方だよ」
まどか「ほむらちゃんと、ずっと一緒にいたい」
まどか「だからさ、ほむらちゃんも信じよう、言い返そう」
まどか「希望を抱くのが間違いだなんて、そんな世界、違うって」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:48:09.97 ID:8HJoBBmn0
ああ、
やっぱりまどかは強いなぁ
こんなまどかと、一緒にいられる世界を望んだから
こんなまどかと、一緒にいられる希望を抱いたから
私は魔法少女になったのだ。
ほむら「ええ、私も―――」
まどかと一緒にいたい。
笑ってそう言える。
何度だって、そう言える。
何時までだって、言い張れる。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:51:06.48 ID:8HJoBBmn0
まどか「ふふっ」
ほむら「?」
まどか「やっぱりほむらちゃんは、笑った方がかわいいね」
ほむら「なっ!」ボンッ
まどか「あらら、真っ赤に照れたほむらちゃんも捨てがたいな」
ほむら「あの・・・まどか・・・」
まどか「あっ、着いたよ。ほむらちゃん。見て見て。お店の前にボードが出てる」
いつの間にか、喫茶店の前。
火照る頭で、まどかと約束したときのことを思い出す。
―――
―――あれ?
―――そう言えばあの店員さん、どこかで会ったことあるような・・・
まどか「さ~て、今日のおすすめは―――」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:51:46.64 ID:8HJoBBmn0
桃子「それで、結局無事に済んだのね?」
喫茶店で一組の似た者親子がカウンター越しに話す。
桃子「かなり深刻そうだったけど、すぐに片付くようなことだったの?」
なのは「・・・どうもあの子の体は普通じゃないみたいなんだけどね」
シャーリー『映像解析の結果から、彼女の魂は別のところに移されているようです』
シャーリー『ですが、魂の在り処がハッキリしているのであれば、既存の技術の転用で何とかなると思います』
シャーリー『闇の書に取り込まれたフェイトさんが、自力で脱出した例もありますし』
なのは「だって」
なのは「あの子みたいな女の子がこの世界には、まだまだたくさんいるみたい」
なのは「だけどクロノ君も急いで対応するようにって、本部に掛け合ってくれてる」
なのは「フェイトちゃんやはやてちゃん、ユーノ君たちも色々調べてくれてる」
なのは「希望はきっとある」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:53:35.45 ID:8HJoBBmn0
桃子「そう、それなら一安心ね」
桃子「ありがとう、なのは。お疲れ様」
桃子「常連さんがいつまでも暗いままじゃ、悲しいものね」
なのは「悪い夢は早く終わりにしてあげないとね」
桃子「ええ、本当に」
桃子「・・・さてそれじゃあ、出来る女のなのはさんにご褒美!」
桃子「今日の自信作、おすすめケーキをご馳走しちゃおっかな~」
なのは「わ~!本当?何?何?」
桃子「ふっふっふ。今日のおすすめはね―――」
からんころ~ん
桃子「あっ、いらっしゃい」
なのは「いらっしゃいませ~」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 01:54:45.46 ID:8HJoBBmn0
そこは海鳴市藤見町、高町士郎桃子夫妻が経営する喫茶店・翠屋。
因果も希望も結びつける、美味しいケーキが自慢です。
さて、今日のおすすめは何でしょう?
おわり
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 02:01:24.76 ID:4eMRj4F2O
乙
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 02:07:06.27 ID:PBnFAe1u0
クロスかよ 乙
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 02:07:47.23 ID:HBxSJkJd0
おつ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 02:12:10.68 ID:8HJoBBmn0
なのはさん急に出して、ふざけんなですよねぇ
一応、ヒントっぽいものは最初の方に2、3散りばめていたつもりです。
とはいえ、なのはを詳しく知らない方には知るかボケェですよねぇ
ひとつ本編に入れ忘れましたが、翠屋は「みどりや」です。
ほむほむが言ってるような「すいや」とは読みません。
・・・読めねぇよ。
とにかくも、ここまで読んで頂いてありがとうございました。
>>24にはビビりました。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/06/19(日) 02:40:31.25 ID:RIdwzcyM0
乙
結局、ほむらちゃんの努力は意味もなかったね
なのはさん流石です
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なのはしか知らない人には唐突にしか見えないな。
しないでもらえるかな。
胸糞悪いわ。
QBに騙されて踊ってるピエロ扱いだぜ。
読んだら分かるとかじゃなくて一応注意書きぐらいはしてほしかったな
サプライズ感狙ったのかもしれないが
そんなのは違うって
何度でも言い返せます
きっといつまでも言い張れます
そういえばなのはの家って喫茶店やってたなって思いながら読んでたから
そんなに驚きはしなかった、唐突過ぎて笑ったけど
けどほむほむが救われたんならなんでもいいや
ないわ
急に出てきたキャラが最後に全部持ってくのはよろしくない
まるで、Zガンダムでアムロがシロッコ倒しちゃった、みたいな…
まとめてくれた管理人さん、ありがとうございました。
読んでくれた皆さん、ありがとうございました。
不躾かと思いますが、この場を借りてお礼申し上げます。
感想、批評、耳に痛い言葉もありがたく頂戴いたします。
かなり不評の様なので、次はもうちっと上手くやります。