HEADLINE

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- | CM(-) | スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「真のグルメ」

2015/01/02 01:28 | CM(1) | アイドルマスター SS
1 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:05:55.32 ID:Wnd2tYxY0

遅く起きた朝。
時計を見ると既に10時を回っている。
母さんはとっくに朝食を下げ、父さんは仕事に出ていた。

冬休みに入り、仕事も休みの今日。
とりあえず寝間着から着替え、日課のランニングをこなそう。
みっちり二時間走ったらちょうどお昼時になるし、そのまま外で昼食を摂るのもいい。
うん、そうしよう。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420031155



2 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:06:28.03 ID:Wnd2tYxY0

思い立ったが吉日、すぐに運動着に身を包み、母さんに昼食はいらない旨を伝えて家を飛び出した。
雲ひとつ無い快晴。

風も弱くスッキリとした天気の中、家を出て河川敷まで走る。
そのまま土手を走って走って走り続けた。

ともすれば耳の痛くなるような寒さの中、こうやって走るのがボクは好きだった。

真「ふぅ」



3 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:06:57.98 ID:Wnd2tYxY0

きっちり二時間走っていい汗をかき、河川敷から家までの道のりを、ジョギングで流す。
クールダウンは大事だ。

突然止まったり、歩いたりすると最悪の場合倒れてしまう。
だから、走る速度を緩めながら徐々に歩くようにしていくのが良いと、父さんから教わった。

たっぷりの運動の後はお腹が空くもので、今ボクは、家に帰りがてらお昼ごはんを食べられる所を探している。
家の近所だから食べられる物は限られるけど、今の気分では何がいいだろうか。

ジョギングから歩きへと変わり、のんびりと街中を歩く。
道行く人は皆忙しなく、師走とはこういうことなのかと思いふけった所で、鼻腔を刺激する匂いに気づいた。
スパイシーで、心惹かれる香り。

カレーだ!



4 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:08:14.66 ID:Wnd2tYxY0

通りに面したお店から漂うこの香りに、そして運動後の、ともすれば今日何も食べていない身体には抗うことは出来ず、匂いに誘われるまま気づくと扉を開いていた。

店員「イラッシャイマセ」

店に入って出迎えてくれたのは、日本人ではなくアジア系の外国の人。
内装も、所々に仏様の絵や、像が飾られていたりと、異国情緒を感じさせる。
二人がけのテーブル席に通されると、すぐに水を運んできてくれた。

片言の日本語ながら、丁寧な接客をしてくれている。
一所懸命な感じが伝わってきて、とても好印象だ。

真「さて、何を食べようかな」



5 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:09:08.91 ID:Wnd2tYxY0

備え付けのメニューを見ると、どうやらランチセットメニューがあるようだった。
カレーと言えばインドというイメージだが、この店はネパールカレーのお店みたいで、たまたま選んだ店ではあるが思いがけない出会いは嬉しくなる。

ランチセットメニューはAからDまであり、Aは順に値段が上がっていっているようだ。
上の等級になればその分セットの内容も増えるので当然だろう。
ランチ以外のメニューにも目を通してみたが、単品だとそれなりに値は嵩むし、なにより初めて来た店で冒険する勇気はない。
なのでここはセットを頼むのが無難だと思い、Bセットを頼むことにした。

真「すみません」

食べるものを決めて、手を上げて店員さんを呼ぶと、すぐに来てくれた。



6 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:10:48.04 ID:Wnd2tYxY0

店員「ハイ、ナニニシマスカ」

真「このBセットを一つ。辛さは中辛で」

メニューには0~10段階で辛さが選べるようになっていて、更にその上にも30とか50とか、最大で100までの辛さが設定されていた。
100辛とかもう想像つかないな……。

店員「アリガトウゴザイマス、Bセットヒトツ。ライストナンハドッチシマスカ?」

真「ナンでお願いします」

注文を受けた店員さんはすぐさま厨房へオーダーを通している。
こういうところに来たら、やっぱりナンで食べたくなる。



7 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:12:04.13 ID:Wnd2tYxY0

ちなみにAセットはシンプルにカレーとナンかライスとサラダのセット。
Bセットはそれにラッシーが付く。

真「このパパダってなんだろう……?」

B以上のセット全てに付く謎のメニュー、パパダ。
凄くインドとか、そっち方面の雰囲気を感じる名前だが、名前からどういったものか全く想像がつかず、メニューに写真も載っていない。
注文する時に聞いてみればよかったな。

料理が来るまでに持て余してしまったので、なんとなく店内を見渡してみる。
昼時ということもあり、お世辞にも広いとはいえない店の中は客で埋まりつつあった。
ボクが来た時はピーク直前だったのだろうか。
席に着いてからもひっきりなしに客がやってきている。
人気のお店なのだろう。



8 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:12:39.64 ID:Wnd2tYxY0

料理が来るのを待っていると、店員さんが陶製のカップを持ってきた。

店員「サービスノスープデス」

薄く濁りのある半透明のスープが運ばれてきた、テーブルに置かれたカップから湯気が立ち上っている。
礼を述べてからカップを持ち上げて、ふーふーと息を吹きかけ冷ましてから口を付ける。

真「あっつい!」

息を吹きかけて冷ましたくらいじゃ全然きかないくらい熱い。
しかし、味は旨い。
生姜が入っていて、寒い日には身体が温まってぴったりだ。



9 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:13:21.50 ID:Wnd2tYxY0

暫くスープを楽しんでいると、サラダが運ばれてきた。

箸は無いのでフォークでサラダをつつく。
黄色いドレッシングのようなものがかかっており、カレーの味がするのかとおもいきやそうでもなく、何だか不思議なドレッシングだった。
サラダをつつき続けていると、お盆に載せられてカレーとナンとラッシーが運ばれてきた。

ナンがでかい。

お盆から前も後ろもはみ出している。

メニューによるとカレーはポークカレーのようだ。



10 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:13:54.88 ID:Wnd2tYxY0

両手を合わせ、スプーンを親指と人差し指の間に挟んでから

「いただきます」

そう宣言してからまずはスプーンでカレーをひとすくい。
ナンにつけずに一口。

真「あ~……んっ……ん~! あんまり辛くない!」

以前行ったインドカレーのお店では中辛でも結構辛かった覚えがあるが、これはそこまででもなく、マイルドな辛さだった。

お待ちかねのナンはまだ熱を持っていて、柔らかくちぎりやすい。
二口分くらいのサイズにちぎって、カレーの中へ。
白いナンが、朱色の衣装を纏って口の中へ入ってきた。



11 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:14:22.18 ID:Wnd2tYxY0

真「はぐっ……んむっ……んっ!?」

美味しい。
カレーとの相性がいいのもさることながら、単純にナンだけで美味しいのだ。

真「もっちもちだ……あぐっ……んぐっ……ほいひい……!」

残った一口分はカレーに付けずに食べてみた。

真「んむっ……んぐっ……んっく……ぷぁ……」

何も付けずに食べるナンがこんなに美味しいとは思わなかった。
軽く衝撃を受けていると、ナンに隠れて小皿の上に謎の物体があることに気づく。

薄焼きせんべいのような色をした、半円状の物。

真「なんだろう、これ……?」



12 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:14:51.30 ID:Wnd2tYxY0

思い当たるフシとしては、パパダと呼ばれる物だが。
とりあえず手に取ってみる。
特に匂いはなく、少し力を入れるとすぐに割れてしまった。
見た目以上に脆いようだ。

とりあえず割れた欠片をひとつ、恐る恐る口の中へ。

真「あ~むっ……」

カリカリとした食感だった。
まるでお菓子みたいに。
しかし、ものすごく味が濃く、そのままでは感じなかったのに、噛むことによって香ばしさが口内で爆発的に広がった。

初めは食べるのが少し怖かったけど……。悪くない、決して悪くないぞ。



13 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:15:29.85 ID:Wnd2tYxY0

濃い味同士だからカレーとは合わないけど、サラダを乗せて食べたら意外なくらいに良く合った。

真「はぐっ……んぐんぐ……はぁ」

小さなパパダはあっという間に無くなり、それに合わせてサラダも無くなった。

真「こんなに美味しいとは思わなかった……」

ここで一度ラッシーに口を付ける。
シンプルなヨーグルト味のラッシーは、口の中のカレーやパパダの味を全部洗い流してくれた。
もしもカレーを辛くしていたら、辛さも一緒に洗い流してくれるんだろう。



14 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:15:58.52 ID:Wnd2tYxY0

さて、ここで箸を、もといスプーンをカレーに戻す。
ポークカレーなので、ルーの中にゴロゴロとした豚肉が入っている。
よく見ると、細長い野菜のような物の姿も。
気になってすくって食べてみる。

真「はむっ……あむっ……むはっ……これ、生姜だ!」

食前のスープ、そしてカレーにも生姜が入っている。しかし、生姜特有の辛味がするわけではなく、味付けのアクセントとしての生姜味にとどまっていた。
これならば生姜が苦手な人でも食べやすいのではないだろうか。

真「は~むっ……ん~、お肉もやらかい……まぐっ……んっく……」



16 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:16:42.48 ID:Wnd2tYxY0

一口大の豚肉はよく煮込んであるのかとても柔らかく、噛むとほろほろと崩れ、しかし味わいがぎゅっと閉じ込められている。
スプーンで肉をすくってナンに乗せ、かぶりつく。
ナンの柔らかさと旨さ、そこに肉とカレーの旨さがそれぞれ喧嘩せずに交じり合っていた。

真「あむっ……はむっ……んっく……ぷはっ」

カレーを食べ、合間にラッシーを飲んで口の中をスッキリさせる事で、最初の一口目のような新鮮さを保てる。
そんな風に食べていたらあっという間にカレーもナンも最後の一口を残すだけとなっていた。

真「は~むっ……んぐんぐ……んっく……はぁ~。ごちそうさまでした!」

全く手付かずだった水を最後に飲み干し、口元をティッシュで拭って一息つくと、来た時よりも店内に人が溢れている事に気づいた。
混雑時に長居しても迷惑になるのですぐに出ることにしよう。



17 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:18:16.67 ID:Wnd2tYxY0

伝票を掴んでレジまで行き、会計を済ませる。

店員「961円デス」

真「えっと、あ、じゃあちょうどで」

店員「アリガトゴザマス」

真「ごちそうさまでした! 美味しかったです」

扉を開けると、朝と違って冷たい風が吹くようになっていた。
ランニングとカレーとで、沢山の汗をかいた身体に風が心地よい。

すっかり温まった身体を冷やし過ぎない内に家に帰って、あっついシャワーを浴びよう。





おわり


18 ◆sIPDGEqLDE [saga]:2014/12/31(水) 22:19:26.43 ID:Wnd2tYxY0
終わりです。

ナンカレーって美味しいですよね。

少しでもお腹を空かせられたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。


19 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/31(水) 22:22:17.50 ID:7K3lE9Yso
 乙



20 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/31(水) 22:25:08.92 ID:0Vj1DBMr0
CMの後は原作者が登場したお店を訪問するFLAT千早


21 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/31(水) 22:28:58.60 ID:/qYqSbCJo
乙です。
正月気分なので、カレーはクるW


22 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/31(水) 22:49:52.37 ID:jSY4nsBso
乙乙


23 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/31(水) 22:50:54.01 ID:JC3ja3kX0
タイムリーでカレー食べてるww
小鳥さんとカレー食べたい


転載元

「真のグルメ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420031155/






深夜食堂 第三部 [ディレクターズカット版] [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント (2015-02-25)
売り上げランキング: 883

関連記事
2015/01/02 01:28 | CM(1) | アイドルマスター SS
    コメント一覧
  1. 名無し [ 2015/01/02 02:33 ]
  2. く、屈しないぞ(グーグル)
コメントの投稿










管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

インバリアントへようこそ
インバリアント -SSまとめサイト-
管理人:こばりあんと



  • About
  • 記事一覧
  • Twitter
  • まとめ依頼
  • ランダム SS
カテゴリ
アーカイブス

2018年 02月 (25)
2018年 01月 (7)
2017年 12月 (3)
2017年 11月 (22)
2017年 10月 (11)
2017年 09月 (2)
2017年 08月 (161)
2017年 07月 (180)
2017年 06月 (139)
2017年 05月 (311)
2017年 04月 (157)
2016年 02月 (1)
2015年 12月 (1)
2015年 05月 (261)
2015年 04月 (295)
2015年 03月 (305)
2015年 02月 (259)
2015年 01月 (283)
2014年 12月 (275)
2014年 11月 (287)
2014年 10月 (285)
2014年 09月 (262)
2014年 08月 (264)
2014年 07月 (262)
2014年 06月 (223)
2014年 05月 (218)
2014年 04月 (209)
2014年 03月 (185)
2014年 02月 (172)
2014年 01月 (191)
2013年 12月 (184)
2013年 11月 (183)
2013年 10月 (180)
2013年 09月 (153)
2013年 08月 (141)
2013年 07月 (154)
2013年 06月 (146)
2013年 05月 (152)
2013年 04月 (148)
2013年 03月 (130)
2013年 02月 (111)
2013年 01月 (123)
2012年 12月 (127)
2012年 11月 (120)
2012年 10月 (127)
2012年 09月 (117)
2012年 08月 (120)
2012年 07月 (122)
2012年 06月 (116)
2012年 05月 (122)
2012年 04月 (121)
2012年 03月 (123)
2012年 02月 (116)
2012年 01月 (122)
2011年 12月 (118)
2011年 11月 (113)
2011年 10月 (119)
2011年 09月 (110)
2011年 08月 (118)
2011年 07月 (118)
2011年 06月 (118)
2011年 05月 (123)
2011年 04月 (124)
2011年 03月 (117)
2011年 02月 (95)
2011年 01月 (109)
2010年 12月 (119)
2010年 11月 (110)
2010年 10月 (120)
2010年 09月 (74)
2010年 08月 (87)
2010年 07月 (113)
2010年 06月 (72)
2010年 05月 (67)
2010年 04月 (3)

SS検索
Ads
最新記事
Ads2
人気SSランキング