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【艦これ】 提督「瑞鳳に媚薬を飲ませてみた」

2014/07/27 17:30 | CM(7) | 艦隊これくしょん SS

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1 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 20:55:36.74 ID:27knkYjCo
媚薬の飲ませるSSを見てたらいてもたってもいられなくなったので、衝動的に書いてしまいました

途中から急に地の文が入りますが、そこだけご勘弁を

書き溜め済みですので、数分おきに投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406202926



2 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 20:56:38.98 ID:27knkYjCo

瑞鳳「提督、任務娘さんから今日の仕事貰ってきましたよ」

提督「うん、ご苦労だった。それで、今日の任務は?」

瑞鳳「今日の任務は……午前10時、午後1時にこの鎮守府近海を航行する輸送艦の護衛。あと、ここ最近深海棲艦の目撃情報が増加しているらしいから、『近海の警備を怠るな』って」

提督「ふむ、特に変わった任務はなし……と」

提督「そうだな……じゃあ、輸送艦の護衛には第1艦隊を当ててくれ。警備は、引き続き第3艦隊の子たちに頼んでくれ」

瑞鳳「ん、わかった。そういう風に言っておくわね」

提督「おう、頼んだ」



3 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 20:56:50.30 ID:eYjO3hGJO
媚薬物語我歓喜也期待


4 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:00:25.53 ID:27knkYjCo

提督「それにしても、今日は暑いなー。初夏の暑さとは思えんな。舐めてるとすぐ汗が出てくるよ」

瑞鳳「たしかに今日は暑いわね……そういえば、空調機とかつけないの? 司令室ぐらいつけてもいいのに」

提督「それがさ、お上の方が『暑さに強くなるため』とかなんとか言って、許可を下ろさないんだ。この鎮守府は学校かよ……」

瑞鳳「ひえー……それまた大変ね……」

提督「例年通りだと、空調機の使用許可が下りるのはもう少し先だからな。今年も例外はないってことだろう」

提督「そんな感じで、今は我慢しろってことだな。ったく……暑すぎて仕事に支障が出そうだよ」



5 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:05:49.86 ID:27knkYjCo

提督「汗がしたたりそうだ……。ん……瑞鳳はあまり汗かいてないのか?」

瑞鳳「私? 少しだけならかいてるけど……って、これ女の子に聞くこと?」

提督「おっと、それはすまない……。いやしかし、汗をかいたなら水分補給は必要だよな。うん、今日ぐらいの猛暑日なら、水分補給は必須だよ。うん」

瑞鳳「ん、確かに私もそう思うけど……言い方不自然すぎない……?」

提督「……そんな訳で、スポーツドリンクを作ったんだ。って言っても、粉を水で溶かすだけの簡単なやつだけどな」

提督「これを瑞鳳に進呈しよう。ほれ」

瑞鳳「あ、ありがと……う? んっ、冷たい……」

提督「凍らせておいたからな、今日の昼ごろには丁度良く溶けるはずだよ。喉が渇いたら飲んでくれ」

瑞鳳「そう……じゃあ、せっかくのご厚意だしありがたく貰ってくわ。ありがと!」

瑞鳳「それじゃ、持ち場に戻るわね!」

提督「おう、頑張れよ!」



6 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:09:01.42 ID:27knkYjCo

提督(よし、なんとか瑞鳳に媚薬入りの飲み物を渡したぞ……!)

提督(あれを口にするのは昼すぎだろう。だとしたら効果が出るのは、恐らく今日の夜か……)

提督(媚薬を混ぜすぎた感があるが……大丈夫だろうか……?)

提督(まぁやってしまったことを悔やんでも仕方がない。あとはなるようになるだけだな)

提督(しかし一体どうなるやら……少し怖くなってきたぞ……)



8 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:20:40.87 ID:27knkYjCo

 今日の報告書にひと通り目を通したあと、提督は壁に掛けられた時計の方へと目をやる。
 針はすでに9の文字を過ぎていた。
 提督の座る椅子後方に飾られた窓の、透き通ったカーテン越しに外の景色を見渡そうとする。だがとっくに日は落ちており、月光に照らされた夜空しか見ることができなかった。

 今、期待と不安の両方が、提督の胸の中をぐるぐると駆け巡っている。どちらかといえば、期待のほうが大きいだろうか。
 部屋の暑さを忘れるほどに、提督は緊張感のようなものを感じていた。
 
 そろそろ瑞鳳が、この部屋へやってくる頃だ。

 瑞鳳はどうなったのだろうか。そのことを考えながらでは仕事に手がつくわけもなく、提督はほとんどの仕事を明日に持ち越してしまいそうだった。
 「心の準備をしておくかな」なんて提督が呑気な事を考えていると、コンコンと控えめな音が部屋に響く。
 
「提督、瑞鳳です……呼ばれた通り、来ました……」
 
 扉越しに聞こえる声は先入観からだろうか、少しこもっていて、いつもと様子が違ったように聞こえた。
 そのせいもあって反応に戸惑り、少しどもりながら提督が答える。
 
提督「あ、ああ……入っていいよ……」
 
 少しの間が沈黙を作ったのち、徐々に扉が開かれる。
 


9 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 21:23:22.92 ID:LGYjo9m4O
やった、づほスレだ!


10 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 21:26:04.14 ID:ad72bKGZo
パンツ食った


11 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:29:04.38 ID:27knkYjCo

 こつこつと音を立てながらゆっくりと部屋に入る瑞鳳。明らかに具合がおかしい――。

 おかしいと感じるのは提督だけだろうか。いや、恐らく誰の目にも明らかだった。
 
 弱々しくも荒い息遣い。紅潮した頬。その澄み切った瞳には、うっすらと涙を浮かべている。
 肩を大きく揺らしながら息を吸い、怠そうに、何かを発散させようとするかのよう、じんわりと息を吐く。
 心なしか崩れた上着からは、白い肌が顔をのぞかせていた。
 その上半身に滲んだ汗が、その姿をさらに艶めかしく演出している。
 
 媚薬を盛ったという事実を知る提督だけが、それを理解できるのだろうか。誰が見ても、彼女が何かを求めていることは一目瞭然なのだろうか。
 
 その様子に提督は息を呑む。姿を見ただけで脳が揺さぶられる。
 この妖美な姿に、見惚れない男はいないだろう。提督も例外ではない。
 如何わしさを振りまく彼女を、誰にも見せたくないとまで瞬時に思わせた。
 
 時間にすればほんの数秒、数十秒の出来事だが、それ以上に時間が過ぎているのかと、脳が錯覚させていた。
 瑞鳳を見つめながら固まる提督に、瑞鳳が困ったような表情で呼びかける。
 
瑞鳳「あの、提督……用事……って、なんですか……?」
 
提督「う……その、なんだ……報告書を作るのを手伝ってもらおうと、思って……だな……」
 
 提督が瑞鳳に目を這わせる。その状況を作ったのが提督だったとしても、それを聞かざるを得なかった。
 
提督「それより……調子が悪そうだが……大丈夫か……?」
 
瑞鳳「その、なんだか……体がすごい暑くて……頭がふらふらするの……」

 そう言いながら瑞鳳は潤んだ瞳で提督を見つめる。その吸い込まれそうな視線に、提督は頭がクラクラする。
 今の提督の視界には、瑞鳳しか映っていなかった。
 


12 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:35:37.29 ID:27knkYjCo
 
提督「そ、そうなのか……」
 
提督「その、なんだ……そんな様子じゃ仕事も手につかないだろ……。報告書は俺一人で作るから、部屋のベッドで休んだらどうだ……?」
 
 提督は部屋の隅に置かれたベッドへ目を泳がせる。
 卑しい気持ちからではない。瑞鳳のあまりの変化に驚愕し、心の中で葛藤しながらも、提督は瑞鳳の身を案じることを選択した。
 それに、この状態の瑞鳳を外へ出してしまうと、誰にどんな目で見られるかわからない。
 提督だって男だ。今、この状況を少しの間だけ独占することを選んだ。
 
瑞鳳「うん、そうする……」
 
 この提督の発言をどう受け取ったのか、瑞鳳はあっさりと承諾する。
 しかし、瑞鳳は動く気配を見せなかった。
 
提督「どうした? 手伝いだったら本当に大丈夫だから、少し休んどけ」
 
 
 
 


瑞鳳「……歩くの辛いから、提督……連れてって……?」
 
 


 
 
 うつむきがちに言葉を発する瑞鳳。
 
 その台詞に、提督は言葉を詰まらせる。自らの心臓が恐るべき速さで鼓動しているのがわかった。
 握りこんだ手が熱くなる。何かを抑えこむように、呼吸を荒らげる。

 もう一度確認するように、「いいのか……?」と提督が尋ねると、瑞鳳はゆっくりと頷いた。
 
 瑞鳳の側に提督が立つ。すると瑞鳳はゆっくりと右手で提督の手を掴み、もう片方の手で軍服の裾を優しく握る。そして肩を、自ずと提督の方へ寄せる。
 雪のように白い肌が提督の手と重なる。その光景に、提督は固唾を飲む。

 瑞鳳の手から温もりを感じる。提督の体温は上昇していたが、それ以上に、瑞鳳は火照っていた――。
 


13 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:42:04.83 ID:27knkYjCo
 

提督(まいったな……こりゃ完全にやりすぎた……)
 

 提督が徐々に足をベッドへ向かわせると、その後を追うように瑞鳳がついてくる。
 瑞鳳と二人きりの空間。いつもなら、他愛ない会話が提督の口から飛び出すことだろうが、今はそれが出てこない。出せなかった。
 
 自身の手を掴みながらついてくる瑞鳳の顔を、提督は見ることが出来ない。
 だが、その彫刻のように繊細な、白い手から伝わってくる緊張や、不安を感知することはできた。
 
 提督がベッドに辿り着くと、提督の手を握ったままの瑞鳳は躊躇いがちに、手をゆっくりと離す。
 ベッドに腰を下ろした瑞鳳。それを見届けた提督は、自身の何かを振りほどくように、元の場所へ戻ろうとする。
 提督が瑞鳳に後ろ背を見せると、瑞鳳が口を開いた。
 

瑞鳳「提督も……ベッド……座って……」
 

提督「う……」
 
 その言葉を聞いた提督は拒否することができなかった。

 一度は落ち着きを取り戻した心臓の鼓動が、再び早まる。
 操り人形のように体を動かす提督。ゆっくりとベッド――瑞鳳の隣に腰を下ろす。
 
 
 二人の間に沈黙が流れた。提督は瑞鳳の方を向くことができない。
 瑞鳳が再び提督の袖をぎゅっと握りこむ。
 先に沈黙を破ったのは瑞鳳だった。
 



14 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 21:47:13.72 ID:8Fe610zm0
僕の46cm砲が硬くなってきました


15 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:48:44.94 ID:27knkYjCo
 
瑞鳳「やっぱり今日の私、なにかおかしいよね……こんな風になっちゃって……提督も、困ってるよね……?」
 
 上目遣いで瞳を潤わせながら提督を見つめる瑞鳳。提督は心ここにあらずだった。
 
 提督が硬直していると、瑞鳳がゆっくりと、自らの体を提督の方へと寄せる。
 瑞鳳と提督。二人の衣服が擦れあう音が、部屋の空気を変える。その音で、提督ははっと我に返った。
 
提督「そ、そうだな……今日のお前は様子が変だ……! だから早く休んだほうが――」
 

 提督の言葉を遮るよう、瑞鳳がその身を提督の胸へとうずめた――。
 
 
瑞鳳「体の、奥が……あついの……」
 

 またたびに酔う猫のように、その体を提督に擦らせる。
 しっかりと整えられた灰茶色の髪が、提督の顔を掠める。シャンプーのいい匂いが提督の鼻を包んだ。
 目の前に居るのが男だということを認識しているのだろうか。襟から胸元にかけて服がはだけ、その綺麗な肌が空気に触れていた。しかし、瑞鳳が気にする様子はない。
 
瑞鳳「んっ……こうしてると……頭が……真っ白になって……」
 
提督「瑞鳳ッ……! それはまずい……!」

 瑞鳳は体を擦るのをやめない。
 その行為によって何かが吹っ切れてしまったのか、体を擦らせる瑞鳳の口から、吐息が嬌声となって提督の肩にかかる。
 すでに、瑞鳳は提督に抱きつくような形になっていた。優しく、それなのにしっかりと瑞鳳が提督を抱きしめるたび、服から白く透き通った肌がこぼれた。
 


16 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 21:55:43.56 ID:27knkYjCo



 


瑞鳳「提督……んっ……好き……」
 
 
 
 


 
提督「ッ……! 今なんて……」
 




 提督は心臓が飛び出しそうになる。脳が段々と思慮を破棄していくのがわかった。
 この溢れ出る感情に、身を委ねてしまいたい。

 その光景をただ見つめる提督は、またしても激しい葛藤に襲われていた。
 激しい感情の波が、脳内を行ったり来たりしている。もう提督は、自分の体を押さえつけるのが精一杯だった。
 そんな提督を知ってか知らずか、瑞鳳はお互いの汗を交じり合わせるかの如く、さらに体を密着させようとする。
 
 
瑞鳳「んっ……好き……大好き……」
 
 
 瑞鳳が甘くささやく。

 
 提督の手が震える。我慢の限界だった――。
 
 
 瑞鳳を強く抱きしめたい。抱きしめて自分の物にしてしまいたい。瑞鳳は拒まないだろう。
 それができたら、どれだけ心が満たされるだろうか。そもそも、今ここでそれをしたとして、咎める者は誰もいない。
 
 事実を知るのは提督と瑞鳳だけなのだ。真実を知るのは提督だけなのだ。
 今すぐ瑞鳳を抱きしめ、そっと体を押し倒せばそれで終わりだ。
 
 
 提督はおもむろに、その手を瑞鳳の腰へと伸ばしていく――。
 
 


17 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:02:00.58 ID:27knkYjCo
 
 しかし、寸前のところで提督は手をとめた。
 
 
 それはできない――。
 やってはいけないと、僅かに働く脳が呼びかけている。瑞鳳の口から漏れたものが嘘偽りなかったとしても、今は駄目だと――。
 信頼を裏切るなと、心の声が提督の頭の中を走り回った。
 
 伸ばしかけた手の首を、もう片方の手で掴むと、提督が大きく深呼吸をする。
 ゆっくり手首を離し、瑞鳳の肩を優しく抱き寄せると、そのまま自分の崩れた衣服を整えた。
 
提督「今夜起こったことは全部夢だったんだ、忘れた方がいい。すまなかったな、瑞鳳」
 

 提督は顔を極限まで瑞鳳に近づける、そして――。
 
 
 その頬に、口づけをする――。
 
 
 ピクリと体を動かした瑞鳳。小さく声を漏らすが、拒絶しなかった。
 
 司令室は無音に包まれている。この空間だけ、時間が止まっているかのようだった。
 
 瑞鳳は動かない。提督の行動を待っているようだった。提督は無言のまま、そっと口を離す。
 乱れた瑞鳳の服装を、軽く整えてやる。それだけで瑞鳳は理解したようだった。
 
 今の提督にはこれしかできなかったが、これで十分、満たされている。瑞鳳はどうかわからないが、これでどうか勘弁願いたかった。
 
提督「……ベッドは好きに使っていいから、今日はここで寝てくれ。きっと明日には良くなってるさ」
 
瑞鳳「……提督は、どこで寝るの……?」

提督「俺は床さえあればどこでも寝られるから、大丈夫だ。……っとそうだな、今夜は暑くなるし床だけで寝るのはちょっとキツイか。よし、空調機もこっそりつけとこう。もし寒くなったら言ってくれよ」

提督「今から俺は報告書を作るから、瑞鳳は勝手に寝ててくれ。体が怠いのは……どうにか我慢してくれ……」

 再び心に迷いが生じないよう、まくし立てるように話す提督。提督の言葉に、瑞鳳は素直に従った。
 
瑞鳳「うん、わかった……じゃあ今日は、提督のベッド……借りるわね……」
 
 その消え入りそうな声を背中で聞き入れ、提督は机へと戻っていった。
 


18 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:10:02.38 ID:27knkYjCo
 
提督「ふぃー……報告書完成、っと……」
 
 仕事を終えた提督は壁の時計に目を向ける。
 深夜0時を回っていたが、大量の書類を相手にするには、まぁこんなものかと言ったところで、大した感情は生まれてこなかった。

 提督はベッドへと視線を移動させる。瑞鳳の眠りを妨げないよう、部屋を机のスタンドのみで照らしていたので、明かりは薄暗く、ここからは瑞鳳の顔を見ることができなかった。
 提督は立ち上がり、ベッドへと向かう。
 
瑞鳳「んぅ……すぅ……すぅ……」
 
 そこに瑞鳳が居ることを確認する。どうやら眠ることができたようだ。
 少し乱れたその服から、チラリと白い肌が見えた。
 
 すやすやと寝息を立てていることを確かめると、提督は自らの軍服を脱ぎ、肌を隠すよう、優しく瑞鳳に羽織らせる。
 もう瑞鳳に異変はないようだった。そのことがわかると、どっと疲労と眠気がこみ上げてくる。
 
提督「まさかあんなことになろうとは……本当にすまなかったな……」
 
瑞鳳「ん……」
 
 提督は静かに呟く。瑞鳳の額に流れる汗をそっと手で拭うと、無防備な頬にまたしても口づけをしようとしたが、一歩手前のところでやめた。
 
 そのままベッド隣の床下に座り、ゆっくりと体を倒す。ほんのり冷たい床が、気持ちよかった。
 空調機がごうごうと鳴っている。その音は、提督の耳には入らない。
 ほっと一息ついて目を閉じると、提督の意識は少しづつ闇に包まれていった。
 


19 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:18:11.91 ID:27knkYjCo
 
 固い床の感触を体に浴び、提督はゆっくりと目を覚ます。
 体を起こすと、瑞鳳に掛けたはずの軍服が、上半身からひらりと落ちた。
 しわしわになったそれを拾いながら提督は立ち上がる。提督は立ち上がるとほぼ同時にベッドを見た。
 瑞鳳の姿がない。それに、ベッドのシーツが外されている。多分、自分が使用した事を気にして、洗濯をしに行ったのだろう。
 
 別にそんなこと気にしなくてもいいのに。と提督は思ったが、彼女も女の子だ。やっぱり気になるのだろう、と一人で納得する。
 
 そんなことを考えていると、司令室の扉が開かれ外から瑞鳳が入ってきた。
 
 瑞鳳の様子は、昨日とは打って変わって普段通りのようだったが、提督の顔を見るなりほんのりと頬を赤らめる。
 
瑞鳳「うぅ、その……おは、よ……」

 伏目がちに挨拶をする瑞鳳。何故かそれだけで提督はドキリとする。
 
提督「昨日のことは気にするな……悪い夢だったんだよ」

 
瑞鳳「き、昨日の……あぅ……」

 
 昨晩の出来事を思い出したのか、瑞鳳の顔が火を噴き出しそうなほど真っ赤になる。
 それを見た提督も、昨晩のことが走馬灯のように蘇る。
 提督の身体に重ねられる瑞鳳の綺麗な手。白い肌。甘い表情。艶めかしい息遣い。

 また心臓の鼓動が早まりそうになり、無理矢理心を落ち着かせる。
 気まずい空気を振り払うように、提督が声を出す。
 
提督「とっ、とにかく! 早く忘れた方がいい!」
 
 取ってつけたような態度になってしまったが、瑞鳳も昨日のことはあまり思い出したくないのか、それに同調する。
 
瑞鳳「うん……! そ、そうね!」
 
 瑞鳳は自分の感情を吹き飛ばすかのように、すぅーと深呼吸をすると、何度か瞬きしたあとに、いつも通りの調子で提督に語りかける。
 
瑞鳳「それじゃ、今日の任務を聞いてきたから、それを教える……前に……」
 


20 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:23:37.73 ID:27knkYjCo
 
 瑞鳳は提督をまじまじと見つめる。それに釣られ、提督は自分の外観に目をやった。
 寝起きのせいか服が着崩れていて、だらしない格好をしていることに気づき、急いで服装を整える。
 それを見ていた瑞鳳がくすりと笑った。まだ本調子ではないかもしれないが、だいぶ調子は元に戻ったようだ。
 
提督「よし……と、これで問題ないか? じゃあ、よろしく頼む」
 
瑞鳳「わかりました! 今日の任務は――……」
 
 いつもと同じように瑞鳳が伝える。それ対し、提督もいつも通り返す。
 昨日の朝おこなった会話と同じやりとりが交わされる。
 
瑞鳳「ん……これで朝の報告は終わりだけど……」
 
瑞鳳「……提督、ちょっと止まってて――」
 
提督「ん? わかったけど……」
 
 報告を終えた瑞鳳が、急に提督の側へと歩き出す。
 一歩一歩何かを考えながら歩いているようなその姿に、自然と提督の目がいく。

 目の前まで行くと、瑞鳳は提督と目を合わせる。なにを考えているのか、提督にはわからない。
 
瑞鳳「その……椅子に、座って欲しいんだけど……」
 
提督「ああ……」
 


21 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:30:47.19 ID:27knkYjCo
 
 促されるように椅子に座る提督。目線が瑞鳳より低くなる。
 提督を座らせた瑞鳳は、まだ何かを思い悩んでいるようだった。
 
 瑞鳳は深呼吸を一回すると、顔を提督の顔へとぐっと近づける――。
 
 瑞鳳の穢れのない瞳が、目と鼻の先にある。その表情は、何かを決意している。
 提督が言葉を発しようとすると、それを阻止するかのように――瑞鳳が言葉を重ねる。
 
 
 
 
 
瑞鳳「これは、ゆうべのお返し――ちゅっ……」
 
 
 
 
 
 唇と唇が重なりあう――。
 
 
 柔らかい感触が、提督を包む。
 
 突然の出来事に提督は表情が固まり、状況を瞬時に理解できない。
 だが、やがてそれを理解すると、提督は目を丸くする。文字通り目の前には、目を閉じたまま顔を真っ赤にする瑞鳳がいた。
 
 唇を合わせるだけの軽いキス。それなのになぜか甘い香りがする。

 心拍数が上がる――。すべての血液が逆流しているように感じた。体を動かそうとしたが、脳がそれを拒否した。
 
 脳がアドレナリンを分泌する。それはほんの一瞬の出来事だったのかもしれないが、永遠にも感じる時間が流れた――。
 


22 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:35:56.34 ID:27knkYjCo
 
 やがて瑞鳳はその唇を離し、くるりと踵を返すと、無言のまま歩き出す。
 その光景を呆然と見守る提督。瑞鳳は扉の前まで立つと、ふわりと振り返り、火照った顔を提督に向ける。
 
瑞鳳「それじゃ、仕事に戻るわね……じゃあね、提督」
 
 言い終わると、瑞鳳は司令室をあとにする。この一件は、これで終わりだと言わんばかりだ。
 
 一人になったところで、ここまで放心状態だった提督の脳が徐々に時間を取り戻す。
 
 手に力が入らない。脳が揺れている。呼吸も荒くなっていた。体全体が、瑞鳳の虜となっている。
 五感が震えていた――。儚く消えてしまいそうな出来事を前に、湧き上がる熱情が全身を駆け回っていた。
 この感情が過ぎ去ってしまう前に、その一部始終を脳裏に焼き付けようと、脳が勝手に働きかける。
 
 早まった鼓動を抑えきることができない提督は、一人虚空に向かって呟く。
 
 
提督「瑞鳳……そりゃ反則だろ……」
 
 
 
 
 
 
 結局、その日以来瑞鳳がそれに触れることはなかった。
 
 またいつも通りの瑞鳳と、いつも通りの提督になる。
 本当にあのキスが夢であったかのように、簡単にそれは、遠い出来事になってしまいそうだった。
 変わらぬ日々。あっさりと元の関係に戻る二人。別にそれでも提督は構わなかった。
 
 一つ変わったことがあるとすれば、二人っきりの時間が、心なしか増えたことぐらいだろうか。
 
 
――完
 


23 ◆ZOMUybyhxg [sage saga]:2014/07/24(木) 22:39:12.65 ID:27knkYjCo
以上で投下終了です

本当はエロいのが書きたかったのですが、今の技量では不可能だと思い断念しました・・・

拙く短い文章でしたが呼んでくださりありがとうございました


25 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2014/07/24(木) 22:50:19.98 ID:Vtu18hlz0
最高だった


26 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 22:53:47.28 ID:DXkWl4qlo
乙!


27 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/24(木) 23:58:38.81 ID:0qlSCpqAO
おつ
引き込まれた


29 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/25(金) 02:35:58.13 ID:qNOSJdM7o
おつ
すごく良かった


30 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/25(金) 09:50:28.35 ID:t+BGTchAo
シリーズ化しよう(提案)


31 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/25(金) 18:04:58.97 ID:RhMLTeyE0
瑞鳳はかわいいなあ


32 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/26(土) 01:26:25.65 ID:tcK7tDK4O
大切にしているのが伝わってきた


34 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/26(土) 10:48:34.92 ID:pnomavUhO
最高でした。
また瑞鳳で書いて欲しいです。


35 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/26(土) 18:45:56.95 ID:uH3/PhwDo
瑞鳳かわいい!
格納庫まさぐりたいなったわ


36 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2014/07/26(土) 20:04:01.86 ID:tXvwo6Ve0
とっても癒されますな


転載元

【艦これ】 提督「瑞鳳に媚薬を飲ませてみた」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406202926/







関連記事
2014/07/27 17:30 | CM(7) | 艦隊これくしょん SS
    コメント一覧
  1. 名無しさん@ニュース2ちゃん [ 2014/07/27 17:54 ]
  2. 学校かよ、も何も、今の学校は廊下までエアコン完備、
    教職の出退勤でOFF/ONの時代やで
  3. 774@いんばりあん [ 2014/07/27 18:23 ]
  4. 私立はともかく公立は未だにエアコン普及してないよ
  5. 774@いんばりあん [ 2014/07/27 18:27 ]
  6. どこの私立校だよ
    千葉市議会で学校エアコン設置請願が否決!自民党の反対理由が「強い精神をつけることも必要」
    http://ameblo.jp/takumiuna/entry-11882496610.html
  7. 774@いんばりあん [ 2014/07/27 19:37 ]
  8. 素晴らしい…とにかく素晴らしい。なんかこう、惹かれるな…

    学校に空調無いのは自治体によって違う。
    千葉県船橋市の県立高校に通ってたが空調はあった。
  9. 774@いんばりあん [ 2014/07/27 23:39 ]
  10. 媚薬盛っといて殆ど何も手を出さないとか何がしたかったんだこいつ
  11. 名無しさん [ 2014/07/28 05:28 ]
  12. 公立の小中高全部に空調はあったな
    各教室にエアコン本体があるタイプでは無かったが
    但し生徒がその恩恵を受けられるのは冬だけ
  13. 774@いんばりあん [ 2014/08/11 00:50 ]
  14. シリーズ化してほしい(切実)
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