560 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:52:47.96 ID:za9Ewc/V0
とある日の午後、○○市の街中にて…
霞「…」
霞(休憩にたまにはと思って出てきたのはいいけど…)
霞「…広い」
霞(逆に何していいか分からない…)
霞「戻ろうかしら」
??「あれ?おーい!」
霞「?」
??「おーい!」
霞「あなた…ラン」
ラン「よっ、珍しいなこんなとこで会うなんて」
霞「そうね」
霞(めったに出ないから…)
561 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:54:06.30 ID:za9Ewc/V0
霞「それはそうと…」
??「はひぃ…ひぃ…らっラン…急に走らないでよぉ…」
霞「その息切れしてる子は…ハギ?」
ハギ「あはは…久しぶり」
霞「二人してどこかお出かけ?」
ラン「似たようなもんかな」
ハギ「たまたま二人同じ日にお休み貰ったから、この街を色々見て回ろうって」
ラン「冒険だ!」キラキラ
霞「へぇ」
霞(言われてみれば、私もこの街は良く知らない…演習で鎮守府には何回か来たことはあったけど)
ラン「霞は?」
霞「へ?」
ラン「霞は休みなのか?」
霞「私は休憩よ。休みは土日で取ってるから」
ラン「あっそうか」
562 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:55:00.71 ID:za9Ewc/V0
ハギ「ランのとこは基本無休だからね…」
ラン「無休っていうか…気分屋だからな…決まった休みがないんだよ」
ラン「ウチの主人あれだろ?元気が取り柄っていうかさ…疲れてきたら休みって感じかな」
霞「何となく分かる気がする…」
ハギ「ランも似たようなものだし…」
霞「ハギは今日お休みなの?」
ハギ「うさぎ屋は水曜がお休みなの」
ラン「いいよなぁ、二人とも決まった日があって」
ハギ「休みがあるだけマシじゃない?」
ラン「まぁな~」
ラン「!なぁ、二人は休みの日何してるんだ?」
ハギ「へ?」
霞「私たち?」
ラン「そうそう。すっげぇ気になる!」
ハギ「私の休み…」
霞「そういうアンタは?」
563 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:55:28.73 ID:za9Ewc/V0
ラン「俺か?俺は…録り溜めした番組を見たりとか…ああ、今度タツにいと野球見に行く約束してたんだ」
ハギ「ランが野球を?」
ラン「俺がっていうか…タツにいが…付き添い?」
霞「おじさんが言ってた。生粋の中日ファンって」
ラン「そうそう。店中にペナントとか張ってやんの」
ハギ「そういえばそうだったね」
ラン「ほら、俺は言ったぞ」
ハギ「霞は?」
霞「私?…私は…」
霞(あれ?私いっつも何してるんだろう?)
564 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:55:56.60 ID:za9Ewc/V0
霞「…」
イヤ、ナンデヤネン!
ワハハ!
フツウ、ソウハナランヤロ!
ワハハ!
店主「面白い?」
霞「んー…」
霞「…」ペラッ
霞「…」ペラッ
深海「次それ貸して」
霞「んー…」
565 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:56:27.35 ID:za9Ewc/V0
霞「…」マッサオ
霞(あれ?何もしてない?…)
霞(っていうか、自堕落に…)
ラン「…霞?」
霞「ひゃい!」
ラン「ははーん。さては自堕落な生活を送ってるな」
霞「そっそんな事!」
ラン「いや、いいっていいって。俺らもそうだったし…な?」
ハギ「そうそう」
霞「へ?」
ラン「いや、だってさ。衣・食・住、全部そろってるんだぜ?」
ハギ「艦娘の時も揃ってたけど…それに加えて出撃の緊張感もないから尚更…ね」
霞「それはそうだろうけど…」
霞(流石に何もやらないのは…自堕落すぎる!」
ラン「おーい、声に漏れてんぞ」
566 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:56:59.69 ID:za9Ewc/V0
ハギ「だからね、今日二人でこの街を歩いてみようってなったの」
ラン「おう。こっちに来てから全く街なんて歩いてなかったからな。これを機に少し探検してみようって話になったんだ」
ハギ「そしたら少しは趣味につながるんじゃないかって」
霞「…趣味」
ラン「そうそう。確かに衣食住揃っていて楽かもしんないけど」
霞「うっ」ズキッ
ラン「ただダラダラ過ごしていたら勿体無いだろ」
霞「確かに…一理あるわね」
ラン「いやいや、百理ある!」
ハギ「それ訳が分からないよ…」アハハ
ラン「霞も一緒に来ないか?」
霞「さっき言ったでしょ休憩中だって。5時までには戻らないと…」
ラン「うーん…せっかくの機会なのに…勿体ねぇなぁ~」
ハギ「無理強いしちゃダメだよ」
ラン「おじさんに言って午後休みにしてもらったら?」
ハギ「ちょっと、そこまでするのは…」
霞「…」スマホトリダシ
ハギ「え?」
567 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:57:39.06 ID:za9Ewc/V0
ジリリリリリリン!
店主「はい、街角や!…って霞ちゃん?」
吹雪「?」
店主「うん…うん…」
深海「どったの?」
吹雪「霞ちゃんから電話みたいで…」
店主「うん?ん~…別にいいけどぉ…珍しいね」
深海「?」
店主「まぁ遅くならないように…うん…おう、じゃあ気を付けてな」
ガチャンッ
深海「どうしたの?」
店主「午後休みにしてほしいって」
深海「へ?」
568 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:58:11.67 ID:za9Ewc/V0
吹雪「どうしてです?」
店主「いやぁ、何でも街に行ったらラン君たちに会ったらしくって…」
深海「へぇ」
吹雪「仲良いんですね」
店主「まぁ、たまにはいいんじゃないか?」
深海「元々二人で回してたしね。それにせっかく友達増えたんだし…ねぇ?」
店主「今日の売り上げだと、夜は来なさそうだし。二人でもいけるだろう」
吹雪「優しいんですね!」
店主「その純粋な心が深雪にもあったらなぁ」ハァ
深雪「本人の目の前で言うほど、タチが悪い事ってねぇよなぁ」
店主・深海「居たの?」
深雪「そこへなおれぇ!」
569 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:59:01.75 ID:za9Ewc/V0
ハギ「どうだった?」
霞「ん」b!
ラン「おお!」
霞「なんだか子ども扱いされたけど…」
ハギ「まぁ、私たち子供みたいなものだし…」
ラン「そうそう。見た目は子供、頭脳は大人ってやつだ!」
ハギ「そのフレーズ…」
霞「いや、そもそも頭脳は大人なの…私たち…」
ラン「暁型の響はウォッカ飲んでたし…大人にしとかないと…」
霞・ハギ「そうね…」
ラン「きっ気を取り直して、どこから回ろうか!」
ハギ「とりあえず、おやつとか?」
ラン「いいな!霞どこか知ってるか?」
霞「知らないから見て回るんじゃない!」
ラン「そっか」ポン!
ハギ「当初の目的!」
570 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 00:59:59.26 ID:za9Ewc/V0
ラン「で、来ました。駅の裏側!」
霞「…なんで?」
ラン「なんかあるかな?…と」
ハギ「なんかあるかな…って」
霞「あるのは居酒屋とスナックぐらいじゃない!」
ハギ「…ところでスナックって何かな?」
ラン「スナック菓子をつまみに酒飲むところ!」
霞「そうなの?」
ラン「タツにいが言ってた」ヘヘン
霞「…(なんか違うような)」
ハギ「スナックサザナミ・カラオケ喫茶マヤ…」
霞「小料理屋 鳳?」
ラン「あれ?鳳ってここだっけ?」
ハギ「来たことあるの?」
ラン「タツにいに連れられて」
571 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:00:51.03 ID:za9Ewc/V0
霞「意外に見て回ってるんじゃない?」
ラン「いや、あんときは夜だったし」
ハギ「ご飯食べに?」
ラン「もあるけど…どっちかと言えば酒を飲みにだな」
霞「アンタが?」
ラン「飲んでみたかったけど…止められた」
霞「でしょうね」
ラン「お前んとこのおじさんに」
霞「おじさん?」
ハギ「なんで?」
ラン「龍驤さんの時に色々あったって」
ハギ「何となく分かったような…」
霞(いつ行ったんだろう?)
572 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:01:30.24 ID:za9Ewc/V0
ラン「ここの女将さんが美人っつうか、かわいい感じの人でな。卵焼きがうまかったよ」
ハギ「へぇ」
霞「この辺じゃおやつを食べるところないと思うわ」
ラン「そうだな…まだ昼過ぎで店全部閉まってるしな」
ハギ「駅前まで戻らない?」
ラン「商店街に行くか」
霞「はなっからそうした方が良かったかもね」
573 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:02:25.72 ID:za9Ewc/V0
ラン「いつ来ても混んでるな」
ハギ「この辺唯一のお買い物スポットだからね」
霞「基本ここに来ればなんでも揃う。そういうイメージ」
ラン「じゃあその服もここで買ったのか?」
霞「そこの路地に入った所に古着屋さんがあるの」
ハギ「そうなの?」
ラン「って古着かよ」
霞「あら、古着も捨てたもんじゃないわよ?」
ハギ「私も少し古着買ったよ?最初の頃はまだお金少なかったし」
ラン「そうか」
霞「そういうランはどうなの?」
ラン「タツにいが全部そろえてくれたからな…俺は少しも手を出してない」
ハギ「…だからセンスがそっちよりなんだ」
ラン「なんか変か?」
ハギ「変っていうか…」
霞「大丈夫。あなたなら似合ってるわよ」
ラン「?」
574 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:04:30.34 ID:za9Ewc/V0
ラン「ところで何にするか決めたか?食べるって決めてたからお昼少な目だったんだよなぁ~」
ハギ「ダメじゃない。ちゃんと食べなきゃ」
ラン「だってさぁ~」
霞「…」
ヘイラッシャイ!キョウハイイノハイッテルヨ!
オクサンコレイカガ?
イッコオマケニイレテオクヨ!
霞「…」ホォー…
ラン「どうした?」
霞「!」
ハギ「なんか見つけた?」
霞「ううん。こっちに来てからこうやってゆっくり商店街を見たの初めてだから…」
ラン「まぁ、俺の職場はこの近くだからそう珍しくもないけど…」
ハギ「私は少し外れてるから霞ちゃんの言うことは少しわかるかな」
ラン「そっか。通りは違っても商店街から外れてるもんな」
ハギ「そうそう」
575 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:05:06.28 ID:za9Ewc/V0
イマアゲタテダヨー!ユウハンニイカガァー!
霞「わっ揚げ物が一杯」
ラン「唐揚げ一杯あるとテンション上がるよな」
ハギ「そお?私はコロッケかな。ここの牛肉コロッケ安くておいしいよ」
霞「…甘くなくていいんじゃない?」
ラン「…なにが?」
霞「おやつ」
ラン「まさか唐揚げ食べるのか?」
霞「流石に唐揚げじゃないわよ」
ラン「じゃあ、なにさ?」
ハギ「コロッケ?」
霞「うーん…」
ラン「もしかしてお前…それも捨てがたいって思ったろ?」
霞「っ!」
ハギ「まぁ、持って歩けるからねぇ」
ラン「女3人でしゃべりながら食べ歩く…悪くないか?」
霞「良いとは思うけど…」
ハギ「あっ…じゃあさ!」
576 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:05:49.17 ID:za9Ewc/V0
親父「まいどありー!」
ラン「うはは。ありがとう!」
霞「…」ホワホワ
ラン「たこ焼きとは…なかなかいいチョイスしてくるな!」
ハギ「甘くないならこれもありかなって」
霞「知ってる店なの?」
ハギ「良く買ってきてくれる…かな。ウチのおじいさんがここのたこ焼きが大好きで」
霞「そうなんだ。おじいさんって権蔵さん…だよね」
ハギ「うん」
ラン「…何気に初めてかも」
霞「…そうね」
ハギ「一般的なたこ焼きって外はカリッとして中はトロっとしてるらしいんだけど…」
ハギ「ここのは中もある程度火が通ってるの。おじいさんが昔からよく食べたタコ焼きに近い味だから好きなんだって」
ラン「へぇ」
霞「…絶対熱いわよね?」
ラン「なんだぁ、猫舌か~?」
霞「なによ?」
577 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:06:39.30 ID:za9Ewc/V0
ラン「こういうのは口の中でハフハフしながら食べるのが醍醐味だって、タツにいが言ってたぜ!」
ラン「だからっ!」ガバッ
霞「あっ」
ハギ「ちょっと」
ラン「~~~~!!!!!???!??!!!???」
ハギ「言わんこっちゃない!」
ラン「~~~~!!!??!???!!!???!?」
ハギ「何?水?」
霞「そこの自販機でお茶買うわ」
ガコンッ
霞「ほら」
ラン「!!!!」ゴクゴクッ
ラン「はぁ~~!熱かったぁ…サンキュー霞」
578 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:07:59.17 ID:za9Ewc/V0
ハギ「多少は冷ましてから食べなさい」
ラン「だって醍醐味…」
霞「だからって無理して食べるものでもないでしょうに…」
ハギ「やけどしたら元も子もないんだよ」
ラン「はい。肝に銘じます」
ラン「では気を取り直して!」
霞・ハギ「…」ジーッ
ラン「…もうやらないよ」
霞「はむっ…あっつい」
ハギ「でも美味しいでしょ?」
霞「うん」
ラン「ゆっくり食べれば確かにうまいや」
霞「それが普通よ」
ラン「でもハギはこれを毎回食べてるんだろ?」
ハギ「毎日じゃないけどね。たまに置いてあるから頂くだけだよ」
ラン「でも高確率だろ」
579 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:08:44.70 ID:za9Ewc/V0
ハギ「まぁでも、出来立て食べるの今日が初めてだよ」
ラン「マジ!?」
霞「ああ、いつもは置いてあるから」
ハギ「そう。いつも冷めちゃってるから。こうやってフーフーして食べるのは初めて」
霞「やっぱり違う?」
ハギ「うん!」
ラン「そりゃあ、何だってそうだろうよ。ラーメンだって出来たてがうまい」
ハギ「まぁね。お餅もつきたてがおいしいし」
霞「やっぱそうなの?」
ハギ「今度来る?頼めば食べさせてくれるよ」
霞「ほんと!」
ラン「俺もいい?」
ハギ「断る訳ないじゃん」
ラン「やりぃ!」
霞「…」
ラン「どうした?」
霞「ううん。なんでもない」
霞「ちょっといいなって思っただけ」
580 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:09:18.95 ID:za9Ewc/V0
18:00
ガチャッ バタンッ
霞「たっただいま…」
深海「おう、お帰り」
霞「おじさんは?」
深海「まだ店に居るよ」
霞「出ようか?」
深海「いいよゆっくりしてなよ。今日は暇だからさ。だから私もここに居るんだし」
霞「そう…なんだ」
店主「おう、お帰り」
霞「ただいま…あの」
店主「ん?」
霞「急な休み貰ってごめんなさい」
店主「気にすんなよ。ラン君たちと遊んでたんだろ?偶には肩の力抜いて遊ぶのもいいだろ」
霞「…ありがとう」ボソッ
店主「うん?」
霞「え?あっ…なんでもない」
581 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:09:46.14 ID:za9Ewc/V0
深海「なんだいなんだい?ツンデレってやつかい?」
霞「何言ってんの!ツンもデレも要素無かったでしょ!」
深海「良きかな良きかな」ハハハッ
店主「古臭いこと言ってんな」
霞「あっそうだ」
店主「ん?」
霞「今度私も居酒屋に連れてって」
店主「え?おう。別にいいけど…」
深海「なに?また鳳に行ったの?」
店主「タツと一緒にな」
深海「好きだねぇ。やっぱ女将さんが可愛いから?瑞姫さんって言ったっけ」
店主「あの店をそんな風に見た覚えはないよ。純粋に料理がおいしいんだよ」
店主「特に卵焼きがな」
582 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:10:32.30 ID:za9Ewc/V0
ラン「たっだいまぁ!」
タツ「おう、お帰り」
ラン「なぁ、またあの鳳ってとこ行こうぜ!」
タツ「どうした急に」
ラン「卵焼きが食いたい!」
タツ「はぁ?」
ラン「あと夕飯は少しずらして!まだお腹減ってないから!」ダダッ
タツ「おっおい!」
タツ「…」
タツ「なんだってんだ?」
店員「店長!」
タツ「?」
店員「空母盛り…入りました!」
タツ「なに!?」
店員「しかも"赤"です!」
タツ「ほぉ、腕が鳴る…」ポキッ
583 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:11:09.52 ID:za9Ewc/V0
米「おや、お帰りハギちゃん」
ハギ「ただいま戻りました。あっ片づけ手伝いますね」
米「いいよ。私たちがやっておくから」
進「そうそう。せっかくの休みなんだからさ」
ハギ「居候のみですし、これぐらいは」
米「本当にいい子ね」
進「君が来てくれて本当に助かってるよ」
ハギ「ありがとうございます」
権蔵「おう、戻ってたか」
ハギ「はい。ただいまです」
進「そうだ、親父。花見団子の予約入ったよ」
権蔵「花見?」
進「ああ、町内会の」
権蔵「おお、もうそんな季節か」
権蔵「いつだって?」
進「カレンダーに書いて…」
ハギ「予約って…大変なんですか?」
米「この時期はね。花見以外にもお祝い事が多いから予約が多くなるんだよ」
ハギ「へぇ~…私、頑張って手伝いますね!」
米「うんうん」
権蔵「…」ジーッ
進「どうしたの?」
権蔵「あの子、嫁にどうだ?」
進「流石に無理があるだろう…」
584 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/03/19(土) 01:12:50.26 ID:za9Ewc/V0
ここは○○市。
一般市民と艦娘が共存する素敵な街です。
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/19(土) 05:18:15.28 ID:3W0k93too
乙
空母盛り"赤"…一体何城なんだ…
616 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:29:52.09 ID:79DOjZAw0
俺はこの店を十数年と勤めている。
まぁ、学生ん時のバイト時期を含めてカウントしているが…
その十数年、俺はたびたび"あるもの"を見かけている。
それが…"忘れ物"である。
よく忘れ物として見かけるのが傘だ。
雨の日に差して来るのはいいが、食べ終えて帰るときに雨がやんでいた…なんて時が特に多かったりする。
気付いて取りに来るのは助かるが、そのまま忘れたまま取りに来ないっていうのはこっちとしては困ったものだ。
ビニール傘はまぁ…とは思うが、デパートの婦人洋品店で買ったような明らかに高そうなものとかはこっちも扱いに困るし…
珍しいものだと眼鏡とか、財布とか。
ひどい時は入れ歯なんてものまで。
まぁ、いろんな忘れ物を見てきた。
で、なんでこんな事を語りだしたかと言うと…だ
店主「…」
妖精「…」
今俺の目の前には小さな妖精?小人?が忘れられているからだ。
617 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:30:33.42 ID:79DOjZAw0
店主「…」
忘れ…もの…だよな?
妖精「?」
しかし、コイツは一体なんだ?
ロボットかなんかなのか?人型でこんな小さい生き物なんて居るはずが…
妖精「…?」
テッテッテ
妖精「!」
コテンッ
あっこけた!
店主「…大丈夫か?」
妖精「…」ウッウッ
618 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:31:04.60 ID:79DOjZAw0
涙目になってる…痛みを感じる?いやいや、よく出来た作り…
ツンツン
プニプニ
店主「はぁ?!」
妖精「?」グスン
やっ柔らかい…だと?
この手触りは…ロボットだとか作り物だとかそんなじゃない!
妖精「…っ!」グゥー
店主「!」
何だ腹減ってるのか?
店主「何食うかわからんが…昼のピークに間違えて作っちまったフライドポテトが余ってるが…食うか?」
妖精「!!」パァー!!
食った。
分からん…この生物?は一体…?
619 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:31:31.25 ID:79DOjZAw0
妖精「っ!っ!」モッモッモッ
妖精「!」
妖精「!」ニパッ
店主「お前さんは一体…何者?」
深海「何一人でぶつぶつ言ってんの?」
店主「うわぁ!?」
深海「うお!」
620 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:32:22.18 ID:79DOjZAw0
店主「おっ脅かすなぁ!」
深海「いやいや、そっちが勝手に驚いたんでしょ?」
まぁ、そうなんだけど…
店主「で、なに?」
深海「だから何ぶつぶつ言ってんの?いくら店が暇だからって独り言って…気持ち悪い」
店主「きっきも!?」
ま、なんだ…いい歳こいたおっさんがブツブツ言うのは確かに気持ち悪いか…
そんなに言ってたかな?
店主「ああ、そうだ」
深海「?」
店主「コイツ…この子をどう思う?」
もしかしたらかおるちゃんなら分かるかもしれない。
621 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:33:02.36 ID:79DOjZAw0
深海「?…この子って?」
店主「いや、だから…ってあれ?」
居ない!
今このテーブルの上に…
店主「あれ?見なかった?」
深海「なにを?」
店主「いや…これぐらいのちっちゃい…女の子?」
深海「…」ジトーッ
すっげぇ疑いの眼差し。
まぁ、あれだ説明が下手だったな。でも、あれしか説明できねぇぞ。
622 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:33:41.29 ID:79DOjZAw0
深海「おやっさん熱ある?」
店主「うわぁ!そう来たかぁ!」
そういう疑いで来たか!
まぁ、まだ頭のねじがぶっ飛んだ?って聞かれるよりかはマシか。
店主「いやいや、至って正常だよ」
深海「…」
いやぁ、また疑いの眼差し。
相談する相手間違ったかなぁ~。
623 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:34:07.94 ID:79DOjZAw0
深海「ゴールデンウィーク忙しかったね」ニッコリ
店主「え?ああ、うん」
今年のゴールデンウィークは二日休めば10連休
とある航空会社のCMでいっていた通り、間にある2日間の平日を休めば10連休と言う大型連休だった。
この街角やは土日祝は休みにするけど平日はいつも通り営業。
その2日間、ウチは休まず営業したわけだが、10連休を取っている人が多かったのかなぜか繁盛した。
2日間だけで3日分近い売り上げを計上した。
流石にたまらず15時~17時は休憩をはさんだけど…
いやいや
店主「確かに忙しかったけど、それで頭がいかれた訳じゃねぇぞ」
たぶん
624 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:34:47.44 ID:79DOjZAw0
深海「ふぅ~ん」
その眼やめてくんねぇかな…
深海「じゃあ、その小っちゃい子。どこに居るのさ」
店主「いや、だから…さっきまでここに…」
もしかして驚いた時に大声出したのがまずかったか?
それに驚いて逃げたとか…
店主「う~ん…なぁ」
深海「?」
店主「もし…そういう子が居たとしたら、忘れ物扱いになるのかな?」
深海「…」
うわぁ…ものっそい疑いの眼差しにすっげぇ顔…写メりたいぐらいだわ…
625 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:36:06.14 ID:79DOjZAw0
霞「ちょっと、何騒いでんのよ」
なんか不機嫌?昼寝でもしてたかな?
深海「あっ霞ちゃん。ちょっと聞いてよ」
店主「あっちょっ!」
また厄介なのに!
霞「ふんふん…珍しい忘れものね」
深海「でしょー」
霞「で、どこに居るのよ」
深海「…信じるの?」
霞「信じるも何も、その子は艦娘にとって非常に大切な子よ」
店主「知ってるの?」
霞「そりゃあね。たぶんお昼のピークにそれらしいお客さんが居たから、その人のだと思うわ」
どの人だろう?
626 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:36:41.88 ID:79DOjZAw0
霞「とにかく探さなきゃ。下手したら艤装が動かなくなる」
店主「艤装?」
なんで艤装が出てくる?
深海「もしかして…装備妖精!?」
店主「なにそれ?」
深海「私もネットとかの情報しか知らないけど…」
霞「艦娘の装備している艤装。主砲だったり艦載機だったり電探だったりっていうのは、その妖精たちが助けてくれることによって動くの」
霞「だから一人でもかけたら…」
深海「大変!」
店主「多分さっき俺が声を上げたから…まだ店の中にいるかも探すぞ!」
深海「うん!」
霞「私は客席の方を探すわ」
深海「私は念のため外を!」
店主「おっ俺はキッチンだな!」
そんな大そうなもの…人?だったとは…
これからは艦娘についてはある程度知識を付けて置こう…
627 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:37:07.91 ID:79DOjZAw0
探すこと30分
結論から言うとその"装備妖精"とやらは見つかった。
これでめでたしめでたし
とは"ならない"のがおかしい所だ…
妖精「…」ヒクッヒクッ
深海「…」ゴゴゴゴゴ
霞「…」ゴゴゴゴゴ
店主「」チー…ン
何故か二人を前に正座させられています。
628 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:37:51.79 ID:79DOjZAw0
深海「おやっさん♪」ニッコリ
店主「はっはぁ~い♪」
深海「今年の初めにレジの周り掃除するって言ったよね!?今何月!」
霞「おかげで見なさい!この子も奥の方で書類やらチラシやらに挟まれて身動き出来てなかったじゃない!」
店主「すんません」
色々あってやるの忘れてた…
面目ない
ガララッ
北上「こんちゃーっす。食べに来たよ~」
初雪「…こんちゃーっす。…右に同じく」
店主「おう、いらっしゃい」チー…ン
北上「え?」
初雪「ぅお?」
深海「珍しい組み合わせだね」
霞「そうね」
北上「おっおう」
初雪「…どうしたおじさん」
見られたのがこの二人で助かった…のか?
629 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:38:27.09 ID:79DOjZAw0
北上「へぇ~。じゃあ、この妖精忘れ物なんだ」モグモグ
初雪「そもそもなんで連れていたのか不思議」ズズー
霞「確かにね」
深海「っていうか今思ったんだけど…」
北上「ん?」
深海「この子って兵器の一部って事よね?」
初雪「捉えようでは」モグノグ
深海「機密事項とかじゃないの?」
北上「…」
初雪「…」
店主「どうした急に黙り込んで…」
630 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:38:53.91 ID:79DOjZAw0
北上「ふっふっふっ、ついに知ってしまったね」
初雪「知ってしまったからには生きては返さない」
店主「なぁ!?」
深海「やっぱり!」
霞「生きては返さないって…ここ家なんだけど」
北上「…」
初雪「…」
霞「なによ?」
北上「つまんないなぁ…霞さん」
初雪「のれよ」チッ
霞「なによ!私が悪いわけ!?」
店主「どうどう」
631 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:39:35.95 ID:79DOjZAw0
霞「そもそもいうほど機密じゃないわよ。さっきだって、かおるがネットで情報見たって言ったでしょ?鎮守府のホームページにも載ってたりするほど基礎知識みたいなものよ」
深海「…」スマホイジイジ
深海「!ホントだし!」
北上「まぁ~そうなんだけどねぇ」
初雪「のれよ」チッ
霞「初雪、さっきからなんなのよ!」
店主「それにしても、この子はどの艤装の子なんだ?」
深海「霞ちゃん分かる?」
霞「私もそこまでは…明石とかだったら分かるかもだけど…」
北上「そうだねぇ。さすがに北上さまでもわかんねぇや…初雪わかる?」
初雪「…服装的にパイロット」
店主「っ!わかるのか!?」
初雪「それだけ。なんのとかは分かんない」
店主「そっか」
632 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:40:14.91 ID:79DOjZAw0
深海「ならこの後鎮守府に帰るんでしょ?連れて行ったらわかるんじゃない?」
北上「それもそっか!いいねぇ~ナイスアイデア!」
初雪「ほれほれ。帰るよ」
妖精「っ!」ババッ
初雪「あれ?」
北上「今…逃げなかった?」
霞「…気の所為よ」
北上「だよね。ほらお家帰るよ~」
妖精「っ!!」バババッ
北上「ちょちょちょっ!」
深海「気の所為じゃない!逃げてる!」
霞「なんで!?」
633 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:41:17.85 ID:79DOjZAw0
妖精「っ!」ピョンッ
ガシッ
店主「え!?」
深海「おやっさんに飛び乗った!?」
北上「いや、と言うより…」
初雪「しがみついた」
霞「なんでおじさん?」
店主「いや、俺にもさっぱり…」
北上「おーい。自分の上官の所に戻らなくていいのか~?」
深海「上官になるの?」
霞「まぁ…一応。形的に」
初雪「ん~~!」ググッ
妖精「!!!」ギューーー
店主「やめてくれ。服が伸びちまう」
初雪「…離れない」
634 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:41:54.28 ID:79DOjZAw0
北上「珍しいねぇこんな頑固な妖精」
初雪「なんでだろう?」
深海「なんかしたんじゃない?」
店主「俺か?!」
何も記憶にないんだが…
北上「手籠めにでもしたかい?」
店主「いやいや、語弊を招くような言い回しは辞めろ」
初雪「ペド?」
店主「断じて違う!っていうかお前らどこでどういう教育受けてんだ!」
深海「そんな趣味が…」
霞「やめときなさいよ。でかいしっぺ返しが来るわよ」
店主「夕飯抜き」
深海「っ!??!!???!!」
霞「ほらみなさい」
635 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:42:44.56 ID:79DOjZAw0
深海「そんなぁ~後生だよぉ~…私サラダぐらいしか作れないんだよぉ~…ヘルシー過ぎて死んじゃうよぉ~…」
初雪「大丈夫、カップ麺がある」b
変な入れ知恵しないでお願いだから。
北上「まぁ冗談は置いといてこの子どうしようか?」
霞「先にこの子の上官を探す…とか?」
北上「やっぱ?その方が早いよねぇ~」
初雪「うん」
北上「手伝ってくれる?」
初雪「え」
北上「そういう反応返ってくると思ってた。かくいう私も面倒だし…」
636 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:43:25.85 ID:79DOjZAw0
北上「あ~大井っちに丸投げしようか」
初雪「お~グッドアイデア!」
深海「うわぁ…大井ちゃん可哀想だけど、素直に可哀想とは思えない…」
霞「あの人なら喜んでやるわね」
店主「ああ」
ここに吹雪や白雪が居たのなら行く末が変わったんだろうなぁ…
まぁでも、ここは二人に任すしかないか。
とりあえず俺は
妖精「…」ギュー
この妖精さんをどうにかしないとな。
しかし、俺の妖精のイメージは蝶々なんだが…
妖精「…」ギュー
セミ…だよな。
637 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:45:12.70 ID:79DOjZAw0
その夜。
今日は金曜日ではないんだが…
龍驤「おう、生おかわり!」
霞「はーい」
飛鷹「とばすわね」
龍驤「今日はとっても気分がええんや」
隼鷹「私もだぜ」
千歳「私もよ~♪」
千代田「どうしよう、嫌な未来しか見えない」
飛鷹「良かった。私だけじゃなかったようね」
いつもの5人がご来店。
638 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:46:29.77 ID:79DOjZAw0
店主「はい、唐揚げ」
龍驤「おおう!待ってました!」
店主「今日は珍しいですね」
隼鷹「何が?」
深海「いつも金曜なのにって話です」
龍驤「ああ、そういう事」
飛鷹「それはですね」
千歳「明日、私たち任務があったんですけど」
千代田「急になくなって全員非番になったんですよ」
霞「全員?」
639 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:47:03.00 ID:79DOjZAw0
龍驤「元は別々の任務やったんやけど」
飛鷹「何か知らないけど次々無くなって行って」
隼鷹「ここに居る全員休み」
千歳「だ・か・ら」
隼鷹「飲みまくれるぜぇ~!!」
隼鷹「つうわけだからジャンジャン持ってきてな!」
飛鷹「限度はあるわよ」ギロリ
千代田「そうよ千歳ねぇ」
隼鷹「うっ」
千歳「ダメよ。そんなこと言っちゃ」
龍驤「せやで、これからとっておきのゲストが来るんやからなぁ」
店主「ゲスト?」
640 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:47:49.15 ID:79DOjZAw0
隼鷹「そうそう。そいつらも一緒の非番組」
飛鷹「まぁ、来るのは飲みにってだけじゃないんだけど」
霞「どういうこと?」
千代田「それは…」
ガララッ!
??「こんばんわ~」
隼鷹「話す前に来たな。こっちこっち!足柄こっち!」
足柄「呼ばなくても分かってるわよ。あんたの髪型どこ行っても目立つんだから」
隼鷹「およ?そうか?」
店主「いらっしゃい。足柄さん」
足柄「え?あっはい、お邪魔しますぅ」
龍驤「身代わりはっや」プヒッ
足柄「なんか言った?」ギロリッ
龍驤「なんも」
641 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:48:16.88 ID:79DOjZAw0
しかし、ゲストって足柄さんの事か?
とっておきなんて言うから初めてのお客かと思ったが…
店主「足柄さんの事です?とっておきって」
足柄「とっておき?隼鷹何のこと?」
隼鷹「え?あの二人連れてきたんじゃないのかよ」
足柄「え?だってもう…あれ?」
飛鷹「まさか置いてきたんじゃ…」
足柄「…」
千代田「足柄に限ってそんな事…」
足柄「まさか!さっきまで後ろに…」
??「ほら、早くしないとみんな待ってるよ」
??「む、そうだな」
足柄「ほら」
642 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:48:54.28 ID:79DOjZAw0
隼鷹「? お前ら何してたんだ?」
??「すまない、そこに猫が居てな」
龍驤「見た目に反してそういうの好きなんやな」
??「見た目に反してとはどういうことだ」
??「あら、結構的を得てるわよ?」
??「ん~?」
千代田「まぁ、立ちながらは何だし座ったら?」
??「それもそうね」
??「失礼する」
足柄「じゃあ、私はここで」
643 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:49:32.21 ID:79DOjZAw0
龍驤「ええんかそこで?何なら席交代しようか?」
足柄「アンタ揶揄ってるわね?良いわよ別に余計なお世話!」
飛鷹「あんま弄らない方がいいわよ?」
龍驤「それもそうやな」
足柄「もう」
深海「ところでその二人は?」
??「初めて…って訳ではないんだが、面と向かって話すのは初めてだな」
??「じゃあ、まずは私ね。私は伊勢型 1番艦の伊勢よ」
??「私はその2番艦、日向だよろしく頼む」
初めてって訳ではない?
ってことは…
644 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:50:23.42 ID:79DOjZAw0
店主「何度かこの店に?」
日向「何度かと言うか…」
伊勢「今日のお昼に初めて来たって感じかな?」
深海「そうなんだ~」
キッチンに籠ってると周りあんまり見えなくなるからなぁ…
霞「ねぇ」
日向「おや、なにかな?」
霞「ただ飲みに来ただけ?」
店主「霞ちゃん急に何を?」
日向「…」
日向「なるほど。噂には聞いていたが、まだ現役の勘とやらは健在のようだな」
店主「は?」
隼鷹「あはは、先に当てられるとはな」
深海「どういうこと?」
645 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:51:31.44 ID:79DOjZAw0
伊勢「実は今日ここに来たのは飲みに来たのと、もう一つ目的があって…」
日向「"忘れ物"を預かってもらってると伺っていたのだが」
忘れ物?
店主「ああ、あの妖精さんは貴方の!」
日向「そうなんだ、まさか勝手に付いて来ていたとは思わなくてな。訓練中に一機動かなくて焦ってしまったよ」
霞「勝手にって命令に反したって事?」
日向「そこまではいかないが…」
伊勢「あんた、瑞雲の妖精を随分甘やかしてるもんねぇ」ニヤニヤ
日向「そこまでしてないだろう」
伊勢「こういうのって本人は気付かないしね」ニシシ
日向「?」
646 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:52:28.71 ID:79DOjZAw0
足柄「まぁ何はともあれ見つかったんだからいいじゃない」
日向「ああ、まぁな。で、今どうしてる?」
深海「寝てますよ」
妖精「…」zzz
日向「そうか、なら帰るときに受け取ろう」
日向(しかし、私のところ以外で警戒なく寝れるとは…ここの主に大分懐いているようだな)
日向(なかなかやるな)フフッ
伊勢「って言っても食べて来ちゃったしね…」
千歳「そうなの?」
伊勢「うん。まさかこんな楽しそうなことしてるなんて思わなかったし」
日向「今度は是非とも誘ってほしいものだ」
647 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:52:55.25 ID:79DOjZAw0
隼鷹「いいねいいね!面子が増えたよ!」
飛鷹・千代田「…」
隼鷹「どうした?」
飛鷹「いえ、なにも」
千代田「キリキリとお腹が痛くなってきただけ」
隼鷹「? 飲み過ぎか?」
飛鷹「アンタと一緒にするな!」
千代田「ダレの所為だと思ってんのよ!」
隼鷹「へ?」
伊勢「大丈夫、私は弁える方だから」
飛鷹「本当!」
千代田「助かるぅ!」
648 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:53:37.07 ID:79DOjZAw0
足柄「ちょっと私もそんなに飲まないわよ?」
飛鷹「えぇ…前酔いつぶれたの誰よ…」
千代田「なんならその話を酒の肴にでもしようか?」
足柄「だからそのことは謝るわよ!それ以来弁えてるのよ!」
日向「その話、気になるな」キラン
足柄「気にしなくていいわよ!」
龍驤「とりあえず助け舟でも出そうか。おっちゃーん!」
店主「はいはい」
龍驤「さっきなんか食べたって言わんかった?」
伊勢「? うん、食べるのだったら軽くでいいわ」
龍驤「じゃあ、なんか軽いもんよろしゅう」
店主「軽いもん?」
と言われてもなぁ…
649 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:54:03.98 ID:79DOjZAw0
店主「うーん」
軽いもの…軽いもの…
揚げ物…は脂っぽいから重いだろうし、そうなってくると肉系もダメか?
唐揚げ、手羽先はダメか…って唐揚げさっき出したな…
店主「うーん…そういやまだ魚を出してないな…」
そろそろ刺身を出してもいいんだろうが、少し趣向を凝らしてみるか。
最近少し熱くなってきたしサッパリで攻めるのもありだろう。
刺身は鯛が余ってるから鯛を使用。
まずは彩も考えて紫玉ねぎなんてどうだろうか?白身魚に映えると思うんだが…
紫玉ねぎを薄くスライスして、水にさらしてよく水気を切って皿の上にのせる。
その上から薄く切りつけた鯛を盛りつけ、オリーブオイルとレモン汁を混ぜたソースをかけて。
上から塩と黒コショウ、パセリを散らして完成!
650 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:54:34.77 ID:79DOjZAw0
店主「霞ちゃん」
霞「ん?」
店主「これ持ってって」
霞「やけにおしゃれなものが出てきたじゃない…ってこんなのお店で出してたっけ?」
店主「一応、常連さんだしな。お任せで頼まれたしこういうのもありだろ?」
霞「ふーん」
まぁ、鯛が余ってたっていうのが本音でもあるんだが。
霞「まぁ、いいんじゃない?サッパリしてて今からの季節にはピッタシだと思うわ」
霞「お待たせしましたー」
コトッ
隼鷹「おー、待ってましたー!」
651 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:55:04.90 ID:79DOjZAw0
龍驤「…えらい洒落たのが出てきたな」
飛鷹「ね」
日向「いつも違うのか?」
千代田「まぁ、たまにこういう感じで出てくるかな?メニューにないの」
伊勢「どういうこと?」
足柄「いつもお任せで頼んでるから、ここの店長さんの気まぐれでメニューにないのが出てくることがあるの」
伊勢「そうなんだぁ…あっおいしい!」
千歳「いつもはお刺身だけど、偶にはこういうのもいいわね」
日向「意外に日本酒も合うな」
伊勢「でも見た目的にワインかな?」
日向「いや、あえて日本酒で攻めるのもオツなもんだ」
652 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:55:35.68 ID:79DOjZAw0
足柄「…」
千代田「どうしたの?」
足柄「ううん、なんでもない」
足柄(見た目簡単だけど、こういうのがパッと出せるって…やっぱ凄いかも)
千歳「ん~♪おいしかった♪」
隼鷹「結構量があったと思ったけど」
千代田「すぐなくなったわね」
龍驤「やっぱ戦艦組は違うわぁ~」
日向「ただの戦艦ではない。航空戦艦だ」
足柄「やっぱ貴方はこだわるのね…」アハハ
653 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:56:09.44 ID:79DOjZAw0
なかなか好評のようだったな。鯛のカルパッチョ。
次も出して好評ならメニューに加えてみるかな?
日向「こうなったら〆も付き合うぞ」
お?
伊勢「大丈夫?さっきあれだけ食べたのに…」
日向「酒を飲んだら胃に空きが出来た」
伊勢「それお酒の所為?」
隼鷹「〆か…お任せだと何が出てくるか」
足柄「前何だったかしら?」
飛鷹「前はおにぎりじゃなかった?」
千歳「ああ、焼きおにぎり。あの醤油の焦げたのが良かったのよ」
龍驤「偶には茶漬けとかええなぁ」
千代田「ああ、いいわねぇ」
あれ絶対リクエストしてるだろ。
言われたなら仕方ない。わかった…作ってやる!
鯛もまだ残ってるし贅沢に〆ますか。
残った鯛を切り付けて、みりんや酒・ゴマ・生姜で作った醤油だれの中に漬け込む。
それをアッツアツのご飯の上にのせて。
654 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:56:54.98 ID:79DOjZAw0
店主「かおるちゃん。これよろしく」
深海「…これは甘えさせてない?豪華すぎるでしょ」
店主「いやいや、日夜日本の海を守ってくれてるんだ。これぐらいはしてあげないと」
深海「でも金はとる」
店主「それはそれ、これはこれ」
深海「ハーイ持ってきます」
深海「お待たせしましたぁ~」
隼鷹「今日の〆は何だろなぁ~」
龍驤「おおー!茶漬けやん!おっちゃん愛して…る?」
655 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:57:41.92 ID:79DOjZAw0
飛鷹「これってひょっとして…」
千代田「…鯛」
千歳「茶漬け?」
伊勢「ここってこんな豪華なもの出すの?」
足柄「私も初めて見た」
日向「またメニューにないぞ?」
深海「このだし汁をかけてお召し上がりください」
隼鷹「かけて持ってこないあたりが嬉しいね」
龍驤「おお白くなっとる白くなっとる」
足柄「これが鯛茶漬けの醍醐味よねぇ」
656 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:58:20.09 ID:79DOjZAw0
日向「!」ズズッ
伊勢「おいしい!鎮守府の近くでこんなのが食べれるなんて」
日向「まさに灯台下暗し…だな」
千代田「気に入った?」
伊勢「二品しか食べてないけど、かなり気に入ったわ」
日向「昼に来た時も思ったが、良い穴場のようだ」
隼鷹「だったら、今度も誘ってやるぜ」
日向「ぜひ」
伊勢「お願いね」
657 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 01:58:49.05 ID:79DOjZAw0
深海「やったねおやっさん。お客が増えたよ」
店主「ああ」
霞「金曜の夜が忙しくなるわね」
まったくだ。
霞「ところでさ」
店主「ん?」
霞「あの人たちが食べてるあれ…私も…」
店主「そういうと思って、3人分もう作ってある。あとでだし汁さえ作れば食べれるよ」
霞「わぁ」
この子もだいぶ壁がなくなってきたな。
ってそりゃもう4カ月か。無くなって当然か。
658 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 02:00:10.11 ID:79DOjZAw0
霞「ありがとうございましたー!」
店主「これで今日の営業終了!」
深海「早く片付けて鯛茶食べましょ!」
霞「口動かす前に手を動かす!」
店主「しかし…」
深海「ん?」
霞「どうしたの?」
店主「いや、何か忘れているような気がして…」
深海「そういや私も…」
店主「とっても大事な…」
店主・深海「うーん…」
スカー…
霞「!?」
659 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 02:00:58.35 ID:79DOjZAw0
霞「…もしかして」
店主「?」
霞「あれじゃない?」
店主「え?」
妖精「zzz」グガー
店主・深海「あ」
日向「あ」
660 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/14(土) 02:01:26.41 ID:79DOjZAw0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
忘れ物にはお気を付けを。
663 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/14(土) 05:59:02.95 ID:HI0gM8Eb0
普段焼きおにぎりとかそんな食べたいと思わないのに、これ読んでると視覚だけじゃなくて嗅覚までイメージで刺激されてきたよ……
682 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:07:55.22 ID:M/Iv1quP0
日曜日。今日は店休日だ。
唯一何もしないで家の事だけをしていればいい日なのだが…。
今俺は自分の部屋に籠ってパソコンの画面と睨めっこ。
何故か。
それはこれからの季節に関係してくる。
5月も終わりを迎えるころ。
最近は少し暑い日が続いている。
梅雨も近いこともあってか湿度も気持ち高い気がする。
そのせいなのか、ここ最近の売り上げが芳しくない。
商店街にあるそば屋やうどん屋が繁盛しているのを見ると、やはり冷たいものを求めてしまうのだろうか。
ウチには夏の主力商品と言うものが少ない。
ラーメン屋のように冷やし中華を出したり、そば屋のように元々冷たい商品があったりするわけではない。
去年出していたかき氷や、ソフトクリームのような冷たいデザートをいくつか出していたり、料理方面では冷ややっこや冷やしトマトなど、一部の人間にしか好まれないようなモノしかない。
684 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:08:33.09 ID:M/Iv1quP0
じゃあ何もしていないのか。と言われたらそういう訳でもない。
暑くなるにしたがってランチにスタミナ系、焼肉や生姜焼きなどとにかく肉系の頻度を増やしていき、なんとか夏の間は凌いでいる。
冷やし中華とかやれば良いんだろうけど…まぁ、その辺は強豪ぞろいだしな。
ラーメンなんかはタツ以外にも何店舗かあるし、そばうどんは専門店に勝てるわけがない…
そうなると…
店主「うー…ん」
ウチで麺類と言えばスパゲッティ。
一応、味噌煮込みうどんはやってたけど…あれは冬の限定商品。こんな暑い頃に食べるものでもない。
実際愛知の方でも夏場は取りやめてる店舗も多いし…
限られた内容で夏の新主力。
何かあるだろうか…
店主「うーん…」
685 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:09:08.18 ID:M/Iv1quP0
深海「おやっさん」
店主「なに?」
深海「まだ悩んでるの?」
店主「まぁーねぇー…」
悩みもするさ。
流石に少しは考えないと俺たちが食っていけない。
ただでさえ食い扶持が増えたってのに。
霞「ねぇ」
店主「ん?」
霞「そろそろお昼よ?」
店主「あれ?もうそんな時間かい?」
本当だ。画面の時計まで見落とすとは…
686 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:09:45.62 ID:M/Iv1quP0
店主「何食う?」
深海「何が良い?私冷たい麺が良い」
霞「その意見には賛成。こう暑くなってくると…」
やっぱ麺だよなぁ…
店主「最近よく行ってる気がするが…タツんとこでいいか?」
なんつうか相談に乗ってくれそうだし。
深海「えぇ~」
と思ったら…
霞「私は別にいいけど…」
深海「ランちゃん居るから?」
霞「そういう訳じゃないわ」
店主「じゃあ、どこが良い?」
深海「ふふん、実はね。…じゃじゃ~ん!」
店主「?」
チラシ?
687 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:10:12.79 ID:M/Iv1quP0
深海「駅前に新しく讃岐うどんのお店が出来たんです!」
店主「そういえば」
出来たね。駅前から外れてるせいかこっちの売り上げには支障がなかったけど。
深海「敵情視察も兼ねていかない?」
霞「…いいわね。どう?」
店主「まぁ…」
支障がないから敵情視察になるかは分からないが…何かヒントを得られるなら。
688 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:11:00.78 ID:M/Iv1quP0
さっすが日曜日。めっちゃ混んでる。
店主「流石は新規オープンだな」
チラシも入ってたし、こうなることは分かってた…
深海「げぇ~…めっちゃ混んでるしぃ…」ドヨーン…
分かってないのが一名…
霞「ねぇ…」
店主「ん?」
霞「これってどういうシステムなの?」
霞ちゃん初めてなのか。
店主「ああ、これは自分の欲しい"うどん"を注文して、あとは自分の好きな天ぷらやおにぎりを取っていくんだ」
霞「え?取り放題?」
店主「いやいや、取った分は払うよ。一個いくらって感じで」
霞「へぇ」
689 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:11:34.57 ID:M/Iv1quP0
メニュー表ジッと見てるな。
俺もなんか決めないと。
霞「かま玉?釜揚げ?ぶっかけ?…うーん?」
霞「おすすめは?」
それを店員さんではなく俺に聞くのか…
店主「どんなのが食いたい?」
霞「冷たいの」
だったら
店主「"ぶっかけ"か"おろし醤油"でいいんじゃない?肉玉ぶっかけとかだと霞ちゃんの好みじゃなさそうだし…うん?」
霞「なに?」
店主「あれなんかどう?女性に人気なんて書いてある」
霞「とろ玉うどん?」
店主「とろろと卵が乗ったシンプルな奴みたいだよ?冷たいのもあるみたいだし」
霞「じゃあ…それに」
690 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:12:01.87 ID:M/Iv1quP0
深海「じゃあ、私はチーズ釜玉かな」
店主「またとんだ変化球を」
深海「おやっさんは?」
店主「俺は…シンプルに"かけ"に」
深海「おやっさん…外暑いよ?」
店主「お前だって…」
釜玉だって熱いだろうがよ。
691 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:12:51.85 ID:M/Iv1quP0
店員「ありがとうございます」
さて、かけはあとで出汁をかけるのか。
店主「ん?」
白汁?赤汁?なんだそりゃ。
赤汁はたまり醤油…たまり醤油?
あれ?ここって…
深海「おやっさん遅いよ!」
霞「伸びちゃうじゃない!」
店主「ごめんごめん!っていうか霞ちゃんのは伸びないでしょ」
深海「私は伸びる!」
店主「悪かったって」
692 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:13:30.76 ID:M/Iv1quP0
調べたところによると、この店は東海地区を中心に展開しているチェーン店らしい。
だからたまり醤油か。
確かたまり醤油と言うと…
ズルズルズル
店主「うん…」
やっぱあれみたいな感じに…
深海「これカルボナーラみたい」
霞「ホント?」
深海「ちょっと食べてみ」
店主「あ」
霞「?」
深海「?」
693 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:14:00.24 ID:M/Iv1quP0
店主「ああ!」
あるじゃないか!うどんでもそばでもラーメンでもない麺が!
深海「どったの?」
霞「急に大きな声出したりして…」
店主「え?ああ、悪いちょっといいアイデアがあって…」
しまった…周りの客まで見てる…恥ずかしい…
しかし良かった。ヒントが得られたどころか簡単に答えが出た。
これで夏の主力商品が何とかなりそうだ!
694 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:14:29.93 ID:M/Iv1quP0
それから数日後の昼
夕立「暑いっぽいぃ~…」
??1「そんなダラしなくしていたらますます暑く感じますよ」
??2「その通り!これぐらいの暑さでバテてたら夏が思いやられるぜ!」
夕立「人選ミスったかなぁ…暑苦しいの連れて来なければよかったかもぉ…」
??2「それってあたいの事!?」
夕立「以外に誰が居るって?」
??1「うわぁ、夕立姉さんバテてて語尾があいまいに…」
??2「てやんでい!これぐらいの暑さが何だってんだ!」
??1「でも今日の天気予報で真夏日だって言ってたし…」
??2「どんと来い!」
夕立「ちょっと黙ってようかぁ…」
??2「…がってん!」
??1「…あはは」
695 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:14:55.55 ID:M/Iv1quP0
??2「ん?あれが姉貴の言う店か?」
夕立「おお!オアシス見えたっぽい!」
??1「急に元気が!?」
夕立「早く入って美味しいものを食べるよ!早く早く!今日は奢ってあげるっぽい!」
??2「本当か!」
??1「やった!」
夕立「」ピタッ
??2「どうした姉貴?」
夕立「おっおお…」
??1「何を見て…?」
??2「今日のおすすめメニュー的な?」
冷たい麺、はじめました!
夕立「今夕立が求めているもの…っぽい!」
696 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:15:24.66 ID:M/Iv1quP0
ガララッ!!
夕立「こんにちは~~!!」
??1「うわわわ!?人一杯いるのに大声はまずいよ!」
??2「ほう、なかなかの盛況ぶりじゃねぇか!」
深海「今日も元気ね夕立ちゃん」
夕立「3人!」
深海「3名ね…霞ちゃん!そこ空いた?」
霞「今空いたわ!」
深海「じゃあ、あそこのお席に」
夕立「はーい!」
697 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:15:53.21 ID:M/Iv1quP0
??1「狭いお店なのに人が一杯…」
??2「サラリーマンっていうのかねぇ?そういう兄ちゃんたちが多いな」
??1「昼間からお酒飲んでるおじさんもいるね」
夕立「ここなら何食べても美味しいよ」
??2「そう言ってたから付いてきたんだけどな」
??1「何にしよう?」
??2「メニュー多くてわかんねぇ!」
深海「お水置いとくね」
夕立「ありがとう!」
698 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:16:27.40 ID:M/Iv1quP0
深海「ところでその二人は?お友達?」
夕立「ううん。夕立の妹だよ」
??1「こんにちは。五月雨って言います」
??2「あたいは涼風ってんだ」
深海「へぇ、妹さん…」
夕立「なに?」
深海「艦娘って姉妹が多いなって」
夕立「吹雪たちには負けちゃうよ」
霞「それは言えてるかも。朝潮型でも敵わないから…」
699 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:16:56.43 ID:M/Iv1quP0
夕立「それより注文!」
深海「もう決まったの?」
涼風「あたいも決まったぜ」
五月雨「えっ!?私まだ…」
涼風「早くしろよぉ~」
五月雨「だってぇ~…」
深海「とりあえず決まった子から聞こうか」
夕立「私は冷たい麺!」
深海「えっとぉ~…」
夕立「?」
深海「あの中から選んでくれる?」
夕立「おおっあんなところにメニューが!」
700 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:17:27.47 ID:M/Iv1quP0
涼風「きしめん?」
五月雨「あの…平べったい麺の事ですよね?」
深海「そうそう」
涼風「良く知ってんな」
五月雨「前に本か何かで見たんだよ。愛知県の名物か何かだったよ」
涼風「へぇ~」
夕立「冷たいのってそれだけ?」
深海「今のところはね」
夕立「ふぅ~ん…じゃあ、それ」
深海「冷たいのだったら、"ざる"か"ころ"か選べるけど」
夕立「ころ?」
深海「冷たい御出汁をかけて食べるの」
涼風「ぶっかけうどんみたいな?」
深海「それに近いかな?」
701 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:18:05.30 ID:M/Iv1quP0
涼風「あたいそれ!」
夕立「え?じゃっじゃあ夕立ざる!」
五月雨「えっ?えっ?えと…えと…あの、温かいのは?」
深海「あるよ。でも、外暑くなかった?」
五月雨「私、お腹弱いから冷たいの苦手で」
深海「わかった。じゃあ、ころにざるにかけ…で良かったね?」
夕立「うん!」
深海「じゃあ、待ってて」
702 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:18:41.22 ID:M/Iv1quP0
深海「はい。きしめん3種」
店主「おお、見事に…」
霞「でも暑いから冷たいのが良く売れるわね」
店主「だな」
見るからに外回りの人は躊躇なく選んでくれてるしな。
さて、今年から始まる新メニュー「きしめん」
名古屋を…いや、愛知を代表すると言っても過言ではない麺料理の一つだろう。
見た目はただ平たいうどん。
ゆえに応用力は抜群だ。
なんせうどんと大差無いので、ざるにしても、かけにしても、さらには味噌煮込みにしても抜群にうまい。
俺は県外の知人に名古屋名物を勧めるときは決まって"ひつまぶし"かこのきしめん。
癖がないから勧めやすいってのが一番の理由だが。
さて、ざるは説明が不要だろう。
茹でた麺を素早く水で〆、ざるにのせて麺つゆと薬味と一緒に出す。
そばでもうどんでもお馴染みの料理だ。
かけもそうだ。そばうどんでよく見るモノ。
ただ違うと言えば、使用する醤油が"たまり醤油"であることだ。
その方が出汁がより濃くなり平べったいきしめんによく合うものになる。
仕上げは鰹節をどっさり乗せる。
703 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:19:28.76 ID:M/Iv1quP0
問題は「ころ」についてだろう。
あんまり聞きなれない人も多いだろうが、岐阜や愛知の人たちにはなじみ深いものだと思う。
どういうものかと聞かれたら、"冷たいきしめん(うどん・そば)"と言う答えになってしまう。
水で〆た冷たいきしめん(うどん・そば)に出汁の効いた冷たい汁をヒタヒタにかける。
その上から簡単な薬味。ネギ・生姜・ゴマをかけて完成。
ここで注意なのが目立ったものを載せないってのがルールとしてあるって事。
例えば油揚げとか、天ぷらとか。
それを乗せてしまうと"ころ"にはならないらしい。
704 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:20:04.77 ID:M/Iv1quP0
店主「はいお待ちどう」
夕立「きたきた!」
店主「これがころね」
涼風「あたいだね!」
店主「これがかけ」
五月雨「私です!わぁ、ありがとうございます」
店主「で、ざる」
夕立「ぽいっぽいっ!」
店主「薬味はご自由に。七味は?」
五月雨「私はいいです。辛いの苦手で…」
店主「じゃあ、ごゆっくり」
涼風「…」
五月雨「どうしたの?」
涼風「あの兄ちゃん、なかなか鍛えてんな」
夕立「だから足柄さんのお気に入り」
五月雨・涼風「なるほどぉ」
705 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:20:47.29 ID:M/Iv1quP0
夕立「それより伸びちゃうよ?」
涼風「あたいは冷たいのだし」
夕立「ぽいぽい」クイクイ
五月雨「私かけだ!いただきます!」
夕立「いただきますっ!」
涼風「うほぉ!本当につめてぇや!」
五月雨「どんな?」
涼風「まだ。どんぶり触った所だよ」
五月雨「なにそれ」
フーッフーッ
ズルルッ
五月雨「うわぁ、鰹節が良く効いてる!」
涼風「おいしいか?」
五月雨「うん!色が濃いから味も濃いのかなって思ったらそこまで濃くは無い…程よい感じだよ」
涼風「ほぉ」
706 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:21:18.94 ID:M/Iv1quP0
ズルルルッ!
夕立「うどんとは違ってのど越しが良い!っぽい!」
涼風「平たいのに?」
夕立「逆に平たいから?」
涼風「じゃあ、ころはどうかな」
ズルルル!
涼風「おっほ~ぅ!こりゃまいったね!」
五月雨「どう?」
涼風「最初はぶっかけと大差ないんじゃ?って思ったけど。汁に出汁を効かせてる分、全く違うって言っても過言じゃないかも」
涼風「汁が意外とあっさりしてるんだよ。これは当りだぁ!」
夕立「やっぱあっちにすればよかったかな?でもこれも美味しいし…」
707 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:21:56.90 ID:M/Iv1quP0
店主「ちなみに俺の知ってる店では"ころ中華"なるものもあるんだぜ」
夕立「ころ中華?」
店主「中華そばのころだ。これが意外にうまくてな」
深海「それって尾張旭にあるあのお店?」
霞「尾張旭?」
店主「そうそう」
涼風「尾張旭がどこだかは知らないけど興味があるな!」
五月雨「冷たい中華そばかぁ」
夕立「ころ…汎用性高すぎ!」
店主「まぁ、4種類ぐらいしかないけどな」
涼風「あたいも汎用性の高い駆逐艦になったらいいのになぁ」
五月雨「例えば?」
涼風「駆逐艦なのに46cm三連装砲が詰めたり?」
夕立「そんな清霜みたいな妹はいらないっぽい」
涼風「えぇ!?なんで!!」
708 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:22:36.59 ID:M/Iv1quP0
深海「ありがとうございました!」
霞「結構売れたわね」
店主「昼のピークだけでもこれか…やっぱ何でもやってみるもんだな」
霞「ところでさ」
店主「ん?」
霞「今度おじさんの実家に行く時って私も…」
店主「そりゃあもちろん一緒に行くぞ」
深海「お盆?」
店主「ああ、ゴールデンウィークは帰れなかったからな。お盆には帰らねぇと」
霞「いっいいの?」
店主「なんで?」
深海「家族が一緒に帰らない理由なんてないでしょ?」
霞「…うん」
深海「それに名古屋には美味しいものが一杯あるんだから。行かなきゃ損よ!」
霞「うん!」
店主「さぁて。一旦落ち着いた事だし、二人は片付け終えたら休憩行っておいで」
霞・深海「はぁーい!」
梅雨が明ければ夏が来る…
709 :
◆MyIMarvEFy8D [sage saga]:2016/05/28(土) 01:23:08.09 ID:M/Iv1quP0
ここは食堂「街角や」。
ランチもディナーもぜひここで。
冷たい麺、はじめました。
716 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 08:24:50.00 ID:MzzZ1Foto
名前はよく知ってるけど実際には食ったことない麺、それがきしめん
724 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:33:32.94 ID:vfX8SXTAO
>>1 乙なのです SS読んで きしめんを食べたくなったのです
726 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/29(日) 05:38:57.27 ID:xSWle7y0o
立ち食いきしめんかー出張で名古屋駅新幹線ホームのを何度か食べたけど美味しかったなー
727 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/29(日) 10:22:37.39 ID:YRszVemvo
阪神百貨店地下の今は亡きスナックパークには「讃岐きしめん」なる謎の食べ物が
美味かったけど
728 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/29(日) 23:59:50.42 ID:g0HfkCXB0
きしめん一度しか食ったことないけどうどんよりつるんとしててもっちりして美味かったな
オモーイハヤサシイ…
730 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 17:47:58.31 ID:XvDyU2FX0
乙
転載元
足柄「鎮守府近くの食堂へ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447945576/
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